以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、膜の厚さ又は領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されるものではない。
(実施の形態1)
本実施の形態では本発明一態様の酸化グラフェンの概要について説明する。グラフェンは、炭素が形成する六角形の骨格を平面状に延ばした結晶構造をもつ炭素材料である。グラフェンはグラファイト結晶の一原子面を取り出したものであり、電気的、機械的又は化学的な性質に驚異的な特徴を有することから、グラフェンを利用した高移動度の電界効果トランジスタや高感度のセンサ、高効率な太陽電池、次世代向けの透明導電膜など、様々な分野での応用が期待され注目を浴びている。
本明細書において、グラフェンは単層のグラフェン、又は2層以上100層以下の多層グラフェンを含むものである。単層グラフェンとは、π結合を有する1原子層の炭素分子のシートのことをいう。また、酸化グラフェンとは、上記グラフェンが酸化された状態の化合物のことをいう。なお、酸化グラフェンを還元してグラフェンを形成する場合、酸化グラフェンに含まれる酸素は全て脱離されずに、一部の酸素はグラフェンに残存する事がある。
ここで、グラフェンが多層グラフェンである場合、酸化グラフェンを還元したグラフェン(以下、RGO(Reduced Graphene Oxideの略記としてRGOと呼ぶ)であることで、グラフェンの層間距離は0.34nm以上0.5nm以下、好ましくは0.38nm以上0.42nm以下、さらに好ましくは0.39nm以上0.41nm以下である。通常のグラファイトは、単層グラフェンの層間距離が0.34nmであり、本発明の一態様に係る二次電池に用いるグラフェンの方が、その層間距離が長いため、多層グラフェンの層間におけるキャリアイオンの移動が容易となる。
グラフェンを導電助剤として用いる二次電池用正極は、グラフェンが正極活物質層中で重なり合い、複数の正極活物質粒子と接するよう分散させる。別言すると、正極活物質層中に、グラフェンによる電気伝導のためのネットワークを形成するともいえる。これにより、複数の正極活物質粒子の結合が維持された状態となり、結果として電気伝導性の高い正極活物質層を形成することができる。
グラフェンを導電助剤として加えた正極活物質層は、以下の方法で作製することができる。まずにグラフェン及び正極活物質に分散媒(溶媒ともいう。)を添加し、混練することで混合物を作製する。この混合物に結着剤(バインダともいう。)を添加して混練することで正極スラリーを作製する。最後に正極スラリーを正極集電体に塗布した後分散媒を揮発させ、グラフェンを導電助剤として加えた正極活物質層が作製される。
しかし、グラフェンを導電助剤に用いて正極活物質層中に電気伝導のネットワークを形成するためには、まずグラフェンが分散媒に均一に分散されなければならない。分散媒への分散性が直接正極活物質層へのグラフェンの分散性に依存するためであり、グラフェンの分散性が低い場合には、グラフェンが正極活物質層内で凝集し、局在化することで該ネットワークの形成に至らない。従って、導電助剤に用いるグラフェンの分散媒への分散性は、正極活物質層の電気伝導性を高めるための極めて重要なファクタであるといえる。
しかし、導電助剤としてグラフェンを活物質及び結着剤とともに分散媒に入れて作製した正極活物質層は、グラフェンの分散性が十分でなく、結果として正極活物質層内に電気伝導のためのネットワークの形成が難しい。さらに導電助剤としてグラフェンに替えて、RGOを分散媒に入れて作製した正極活物質層においてもRGOの分散性が充分でないため同様である。
一方で、酸化グラフェン(GO(Graphene Oxideの略記としてGOと呼ぶ。)を活物質及び結着剤とともに分散媒に入れて正極ペーストを作製した後、分散された酸化グラフェンを加熱処理により還元してRGOとした正極活物質層においては、活物質層内に電気伝導のネットワークが形成され、優れた電気伝導性を示す。
これらのことは、導電助剤の原料としてグラフェン又はRGOを分散させた正極活物質層では分散性が低いのに対し、酸化グラフェンを加えて正極ペースト化した後に還元したグラフェンは分散性が高いことを示している。
以上のことから、グラフェンを導電助剤として用い、正極活物質層中に高い電気伝導性を有するネットワークを構築するためには、正極ペーストの作製時において、分散媒に分散性の高い酸化グラフェンを用いることが効果的である。分散媒内の酸化グラフェンの分散性は、エポキシ基等の酸素を有する官能基の多寡(酸化度とと表現する。)に依存すると考えられる。
ここで、酸化グラフェンは黒鉛を酸化させることによって合成されるが、その際に使用する酸化剤の量により酸化グラフェンの酸化度を調節することが可能である。酸化度の高い酸化グラフェンは分散性に優れ、活物質の導電助剤として用いられるRGOの原料として好適である。しかし、本発明者らは、分散性が損なわれない程度に酸化度を落とした酸化グラフェンを原料としたRGOが良好な導電率を有し、有用な材料であることを見出した。
このため、本発明の一態様は、炭素に対する酸素の重量比が2.5以上4以下の酸化グラフェンである。
ここで、炭素に対する酸素の重量比とは、酸化度を示す指標であり、酸化グラフェンの構成元素のうち炭素と酸素の重量を、炭素を基準とした比率としてみたものである。なお、酸化グラフェンを構成する元素の重量は、例えばX線光電子分光法(XPS:X−ray Photoelectron Spectroscopy)で測定することができる。
炭素に対する酸素の重量比が2.5以上4以下である酸化グラフェンは、エポキシ基、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基等の官能基が電極の作製に充分な分散性を備える程度に結合した状態であることを意味する。なお、分散性という観点からは炭素に対する酸素の重量比が3以上であることが好ましく、RGOの導電率の観点からは炭素に対する酸素の重量比は3.7以下であることが好ましい。すなわち、分散性とRGOにした際の導電率との両方を鑑みると炭素に対する酸素の重量比が3以上3.7以下である酸化グラフェンがより好ましい。
よって、炭素に対する酸素の重量比が2.5以上4以下である酸化グラフェンを、正極活物質及び結着剤とともに分散媒に分散させて混練し、正極集電体上に塗布して加熱することにより、分散性が高く電気伝導のネットワークを有するグラフェンを含んだ電極を形成することができる。
酸化グラフェンは、一辺の長さが50nm以上100μm以下、好ましくは800nm以上20μm以下であると好ましい。
既に述べたように、当該酸化グラフェンは、電極を作製するという観点において充分に酸素を含む官能基を有するため、1−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の極性溶媒中において酸化グラフェン同士が凝集することなく、均一に分散する。分散した酸化グラフェンは複数の粒状の正極活物質と均一に混ざり合う。このため分散媒の揮発と該酸化グラフェンの還元処理とにより、酸化グラフェンから形成されたグラフェンは、他のグラフェンと面接触する程度に正極活物質層中に分散される。グラフェンはシート状であり、互いに部分的な面接触により電気的な接続を果たしているため、各グラフェンを一つの集合として捉えると、電気伝導のネットワークが形成されていると考えられる。またグラフェンどうしの接続が面接触であるため、接触抵抗を低く抑えることができ、電気伝導性の高いネットワークを構築す事ができる。
一方、それぞれのグラフェンは一辺の長さが50nm以上100μm以下、好ましくは800nm以上20μm以下のシートであり、粒状の正極活物質の平均粒径よりも大きいため、一枚のシート状のグラフェンが複数の粒状の正極活物質と接続することができる。特にグラフェンがシート状であるため、粒状の正極活物質の表面を覆うように面接触することができる。このため、導電助剤の量を増加させることなく、粒状の正極活物質とグラフェンとの接触抵抗を低減することができる。
なお、粒状の正極活物質としては、リン酸鉄リチウム等のキャリアイオンの挿入脱離が可能な材料を用いることができる。
続いて、上記酸化グラフェンを用いた電極の製造方法を説明する。まず、炭素に対する酸素の重量比が2.5以上4以下である酸化グラフェンと正極活物質を分散媒に分散させ、混練する。この混合物に結着剤を添加して混練することで正極スラリーを作製し、正極スラリーを正極集電体に塗布する。塗布した正極スラリーに含まれる分散媒を揮発させた後又は揮発させると同時に、酸化グラフェンを還元して、グラフェン(RGO)を含む正極活物質層を前記正極集電体上に形成し、電極を製造することができる。
上記製造方法において、正極ペーストは還元雰囲気又は減圧下において乾燥させる。これにより、正極ペーストに含まれる分散媒を揮発させ、正極ペーストに含まれる酸化グラフェンを還元させることができる。
また、上記製造方法において、混合物に結着剤を添加して混練する際に、さらに分散媒を添加することで、正極ペーストの粘度を調整することができる。
正極活物質は、炭素に対する酸素の重量比が2.5以上4以下である酸化グラフェンが分散された分散媒中に添加する。これを混練することでグラフェンの分散性の高い正極活物質層を形成する。酸化グラフェンは、正極活物質、導電助剤及び結着剤の混合物である正極ペーストの総重量に対して、少なくとも2wt%(重量パーセント)の割合で含まれていればよい。一方、正極ペーストを集電体に塗布し、還元した後のグラフェンは、正極活物質層の総重量に対して、少なくとも1wt%の割合で含まれていればよい。これは、酸化グラフェンの還元により、グラフェンの重量がほぼ半減するためである。
具体的には、正極ペーストの段階で、正極ペーストの総量に対して、酸化グラフェンを2wt%以上10wt%以下添加し、正極活物質を85wt%以上93wt%以下添加し、結着剤を1wt%以上5wt%以下添加することが好ましい。また、正極ペーストを集電体に塗布して酸化グラフェンを還元した正極活物質層の段階では、正極活物質層の総量に対して、グラフェンを1wt%以上5wt%以下添加し、正極活物質を90wt%以上94wt%以下添加し、結着剤を1wt%以上5wt%以下添加することが好ましい。
正極ペーストを正極集電体に塗布した後、還元雰囲気又は減圧下で乾燥させることにより、酸化グラフェンに含まれる酸素を脱離させることで、グラフェンを含む正極活物質層を形成することができる。なお、酸化グラフェンに含まれる酸素は全て脱離されず、一部の酸素はグラフェンに残存していてもよい。
以上のように製造された正極と、負極と、電解液と、セパレータとを用いることにより、二次電池を製造することができる。なお、本発明の一態様は、様々な蓄電装置に対して適用させることができる。例えば、蓄電装置の一例としては、電池、一次電池、二次電池、リチウムイオン二次電池、リチウム空気電池、などがあげられる。さらに、蓄電装置の別の例として、キャパシタに適用することもできる。また、酸化グラフェンは、容量が非常に大きいキャパシタであるスーパーキャパシタのための電極として用いたり、酸素還元電極触媒として用いたり、潤滑油より低摩擦な分散水の材料として用いたり、表示装置や太陽電池などのための透明電極として用いたり、ガスバリア材として用いたり、機械的強度が高くて軽量なポリマー材料として用いたり、放射能汚染水に含まれるウランやプルトニウムを検出するための高感度ナノセンサの材料として用いたり、放射性物質を取りのぞくための材料として用いたり、することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る酸化グラフェンを用いて作製した二次電池用の電極について、図1を参照して説明する。図1に電極の斜視図を示す。
図1は、正極200の斜視図である。図1では正極200を矩形のシート形状で示しているが、正極200の形状はこれに限らず、任意の形状を適宜選択することができる。正極200は、正極ペーストを正極集電体201上に塗布した後、還元雰囲気又は減圧下で乾燥させることで、正極活物質層202を形成することにより作製される。図1においては、正極活物質層202は正極集電体201の一方の面にのみ形成しているが、正極活物質層202は正極集電体201の両面に形成してもよい。また、正極活物質層202は正極集電体201の全面に形成する必要はなく、正極タブと接続するための領域等、非塗布領域を適宜設ける。
正極集電体201は、蓄電装置内で顕著な化学変化を引き起こさずに高い導電性を示す限り、特別な制限はない。例えば、アルミニウム、ステンレス、金、白金、亜鉛、鉄、ニッケル、銅、チタン、タンタル、マンガン等の金属、及びこれらの合金、焼結した炭素などを用いることができる。また、銅またはステンレス鋼を炭素、ニッケル、チタン等で被覆してもよい。また、シリコン、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどの耐熱性を向上させる元素が添加されたアルミニウム合金を用いることができる。また、シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素で形成してもよい。シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等がある。また、正極集電体201は、箔状、板状(シート状)、網状、円柱状、コイル状、パンチングメタル状、エキスパンドメタル状、多孔質状および不織布を包括する様々な形態等の形状を適宜用いることができる。さらに、活物質層との密着性を上げるために正極集電体201は表面に細かい凹凸を有していてもよい。接触抵抗の低減や密着性の向上のために被覆層(アンダーコート)を設けてもよい。アンダーコートは炭素や金属、或いはそれらと高分子との混合層で形成する事ができる。また、正極集電体201は、厚みが5μm以上30μm以下のものを用いるとよい。
活物質層202は、正極活物質を含む。活物質とは、キャリアであるイオンの挿入・脱離に関わる物や粒子のみを指すが、本明細書等では、本来「活物質」である材料に加えて、導電助剤やバインダーなどを含めたものも、活物質層と呼ぶ。
正極活物質としては、リチウムイオンの挿入及び脱離が可能な材料を用いることができ、例えば、オリビン型の結晶構造、層状岩塩型の結晶構造、又はスピネル型の結晶構造、NASICON型結晶構造を有する材料が挙げられる。
例えば、正極活物質として、LiFeO2、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、V2O5、Cr2O5、MnO2等の化合物を材料として用いることができる。
オリビン型構造のリチウム含有化合物としては遷移金属リン酸リチウム、例えば一般式LiMPO4(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(II)、Ni(II)の一以上)で表される複合酸化物が挙げられる。一般式LiMPO4の代表例としては、LiFePO4、LiNiPO4、LiCoPO4、LiMnPO4、LiFeaNibPO4、LiFeaCobPO4、LiFeaMnbPO4、LiNiaCobPO4、LiNiaMnbPO4(a+bは1以下、0<a<1、0<b<1)、LiFecNidCoePO4、LiFecNidMnePO4、LiNicCodMnePO4(c+d+eは1以下、0<c<1、0<d<1、0<e<1)、LiFefNigCohMniPO4(f+g+h+iは1以下、0<f<1、0<g<1、0<h<1、0<i<1)等が挙げられる。
特にLiFePO4は、安全性、安定性、高容量密度、高電位、初期酸化(充電)時に引き抜けるリチウムイオンの存在等、正極活物質に求められる事項をバランスよく満たしているため、好ましい。
層状岩塩型の結晶構造を有するリチウム含有化合物としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、LiNiO2、LiMnO2、Li2MnO3、LiNi0.8Co0.2O2等のNiCo系(一般式は、LiNixCo1−xO2(0<x<1))、LiNi0.5Mn0.5O2等のNiMn系(一般式は、LiNixMn1−xO2(0<x<1))、LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2等のNiMnCo系(NMCともいう。一般式は、LiNixMnyCo1−x−yO2(x>0、y>0、x+y<1))が挙げられる。さらに、Li(Ni0.8Co0.15Al0.05)O2、Li2MnO3−LiMO2(M=Co、Ni、Mn)等も挙げられる。
特に、LiCoO2は、容量が大きい、LiNiO2に比べて大気中で安定である、LiNiO2に比べて熱的に安定である等の利点があるため、好ましい。
スピネル型の結晶構造を有するリチウム含有化合物としては、例えば、LiMn2O4、Li1+xMn2−xO4、Li(MnAl)2O4、LiMn1.5Ni0.5O4等が挙げられる。
LiMn2O4等のマンガンを含むスピネル型の結晶構造を有するリチウム含有化合物に、少量のニッケル酸リチウム(LiNiO2やLiNi1−xMO2(M=Co、Al等))を混合すると、マンガンの溶出を抑制する、電解液の分解を抑制する等の利点があり好ましい。
また、正極活物質として、一般式Li(2−j)MSiO4(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(II)、Ni(II)の一以上、0≦j≦2)で表される化合物を用いることができる。一般式Li(2−j)MSiO4の代表例としては、Li(2−j)FeSiO4、Li(2−j)NiSiO4、Li(2−j)CoSiO4、Li(2−j)MnSiO4、Li(2−j)FekNilSiO4、Li(2−j)FekColSiO4、Li(2−j)FekMnlSiO4、Li(2−j)NikColSiO4、Li(2−j)NikMnlSiO4(k+lは1以下、0<k<1、0<l<1)、Li(2−j)FemNinCoqSiO4、Li(2−j)FemNinMnqSiO4、Li(2−j)NimConMnqSiO4(m+n+qは1以下、0<m<1、0<n<1、0<q<1)、Li(2−j)FerNisCotMnuSiO4(r+s+t+uは1以下、0<r<1、0<s<1、0<t<1、0<u<1)等が挙げられる。
また、正極活物質として、AxM2(XO4)3(A=Li、Na、Mg、M=Fe、Mn、Ti、V、Nb、Al、X=S、P、Mo、W、As、Si)の一般式で表されるナシコン型化合物を用いることができる。ナシコン型化合物としては、Fe2(MnO4)3、Fe2(SO4)3、Li3Fe2(PO4)3等が挙げられる。また、正極活物質として、Li2MPO4F、Li2MP2O7、Li5MO4(M=Fe、Mn)の一般式で表される化合物、NaF3、FeF3等のペロブスカイト型フッ化物、TiS2、MoS2等の金属カルコゲナイド(硫化物、セレン化物、テルル化物)、LiMVO4等の逆スピネル型の結晶構造を有するリチウム含有複合材料、バナジウム酸化物(V2O5、V6O13、LiV3O8等)、マンガン酸化物、有機硫黄等の材料を用いることができる。
なお、キャリアイオンが、リチウムイオン以外のアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ベリリウムイオン、またはマグネシウムイオンの場合、正極活物質として、上記リチウム化合物において、リチウムの代わりに、アルカリ金属(例えば、ナトリウムやカリウム等)、アルカリ土類金属(ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等)を用いてもよい。
また、導電助剤として正極活物質層202に添加するグラフェンは、炭素に対する酸素の重量比が2.5以上4以下である酸化グラフェンに還元処理を行うことによって形成される。
炭素に対する酸素の重量比が2.5以上4以下である酸化グラフェンは、黒鉛を酸化することにより作製することができる。
グラファイト粉末に、過マンガン酸カリウムの硫酸溶液、過酸化水素水等を加えて酸化反応させて酸化グラファイトを含む分散液を作製する。酸化グラファイトは、グラファイトの炭素の酸化により、エポキシ基、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基等の官能基が結合する。このため、複数のグラフェンの層間距離がグラファイトと比較して長くなり、層間の分離による薄片化が容易となる。次に、酸化グラファイトを含む分散液に、超音波振動を加えることで、層間距離が長い酸化グラファイトを劈開し、酸化グラフェンを分離するとともに、酸化グラフェンを含む分散液を作製することができる。そして、酸化グラフェンを含む分散液から溶媒を取り除くことで、粉末状の酸化グラフェンを得ることができる。
ここで、炭素に対する酸素の重量比が2.5以上4以下である酸化グラフェンは、過マンガン酸カリウム等の酸化剤の量を適宜調整することで形成することができる。すなわち、グラファイト粉末に対して酸化剤の量を増加させることで、酸化グラフェンの酸化度(炭素に対する酸素の重量比)を高めることができる。従って、製造する酸化グラフェンの量に合わせて、原料となるグラファイト粉末に対する酸化剤の量を決定すればよい。
なお、酸化グラフェンの作製は過マンガン酸カリウムの硫酸溶液を用いる方法に限られず、例えば硝酸、塩素酸カリウム、硝酸ナトリウム等を使用する方法、又はこれら以外の酸化グラフェンの作製方法を適宜用いてもよい。
また、酸化グラファイトの薄片化は、超音波振動の付加の他、マイクロ波やラジオ波、又は熱プラズマの照射や、物理的応力の付加により行ってもよい。
作製した酸化グラフェンは、エポキシ基、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基等を有する。当該酸化グラフェンは適度にこれら置換基を有するためNMPに代表される極性溶媒の中においては、官能基中の酸素がマイナスに帯電し、NMPと相互作用する一方で異なる酸化グラフェンどうしとは反発し、凝集しにくい。このため、極性溶媒中においては、酸化グラフェンが均一に分散しやすい。
また、酸化グラフェンの一辺の長さ(フレークサイズともいう。)は50nm以上100μm以下、好ましくは800nm以上20μm以下である。特にフレークサイズが粒状の正極活物質の平均粒径よりも小さい場合、複数の正極活物質との面接触がしにくくなるとともに、グラフェン相互の接続が難しくなるため、正極活物質層202の電気伝導性を向上させることが困難となる。
複数の粒状の正極活物質は、複数のグラフェンによって被覆される。一枚のシート状のグラフェンは、複数の粒状の正極活物質と接続する。特に、グラフェンがシート状であるため、粒状の正極活物質の表面の一部を包むように面接触することができる。正極活物質と点接触するアセチレンブラック等の粒状の導電助剤と異なり、グラフェンは接触抵抗の低い面接触を可能とするものであるから、導電助剤の量を増加させることなく、粒状の正極活物質とグラフェンとの電気伝導性を向上させるができる。
また、複数のグラフェンどうしも面接触する。これはグラフェンの形成に、極性溶媒中での分散性が充分な酸化グラフェンを用いるためである。均一に分散した酸化グラフェンを含有する分散媒から溶媒を揮発除去し、酸化グラフェンを還元してグラフェンとするため、正極活物質層202に残留するグラフェンは部分的に重なり合い、互いに面接触する程度に分散していることで電気伝導の経路を形成している。
グラフェンは必ずしも正極活物質層202の表面でのみ他のグラフェンと重なり合うものではなく、グラフェンの一部は正極活物質層202の内部へ潜りこむ等、三次元的に配置されるように形成されている。また、グラフェンは炭素分子の単層又はこれらの積層で構成される極めて薄い膜(シート)であるため、個々の粒状の正極活物質の表面をなぞるようにその表面の一部を覆って接触しており、正極活物質と接していない部分は複数の粒状の正極活物質の間で撓み、皺となり、あるいは引き延ばされて張った状態を呈する。
正極活物質層202の縦断面においては、正極活物質層202の内部において概略均一にシート状のグラフェンが分散する。正極活物質層202の上面についての説明と同様に、複数のグラフェンは、複数の粒状の正極活物質を包むように、あるいは覆うように形成されているため、互いに面接触する。また、グラフェンどうしも互いに面接触することで複数のグラフェンにより電気伝導のネットワークを形成する。
シート状の複数のグラフェンは正極活物質層202の内部において三次元的に分散し、これらが互いに面接触することで、三次元の電気伝導性のネットワークを形成する。また、それぞれのグラフェンは、複数の粒状の正極活物質を被覆し面接触する。このため正極活物質どうしの結合が維持される。さらに炭素に対する酸素の重量比が2.5以上4以下である酸化グラフェンを還元したグラフェンは高い導電率を有する。以上のことから、炭素に対する酸素の重量比が2.5以上4以下である酸化グラフェンを原料とし、ペーストの形成後に還元したグラフェンを導電助剤として用いることで、高い電気伝導性を有する正極活物質層202を形成することができる。
また、正極活物質とグラフェンとの接触点を増やすために、導電助剤の添加量を増加させなくてもよいため、正極活物質の正極活物質層202における比率を増加させることができる。これにより、二次電池の放電容量を増加させることができる。
粒状の正極活物質の一次粒子の平均粒径は、500nm以下、好ましくは50nm以上500nm以下のものを用いるとよい。この粒状の正極活物質の複数と面接触するために、グラフェンは一辺の長さが50nm以上100μm以下、好ましくは800nm以上20μm以下であると好ましい。
また、正極活物質層202に含まれる結着剤(バインダ)には、代表的なポリフッ化ビニリデン(PVdF)の他、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルクロライド、エチレンプロピレンジエンポリマー、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、フッ素ゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ニトロセルロース等を用いることができる。
本実施の形態に示すように、粒状の正極活物質の平均粒径よりも大きいグラフェンが、正極活物質層202中において、隣接する他のグラフェンの一以上と互いに面接触する程度に分散し、粒状の正極活物質の表面の一部を包むように面接触していることで、少量の導電助剤で、充填量が高く高密度化された正極活物質層を含む二次電池用正極を提供することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態3)
次に、上述した正極活物質、導電助剤、結着剤、分散媒を用いて、正極ペーストを作製し、該正極ペーストを正極集電体201上に塗布して、還元雰囲気又は減圧下で乾燥させることで、正極活物質層202を含む正極200を製造する方法について説明する。
分散媒としてNMPを用意し、NMP中に実施の形態1及び実施の形態2で説明した炭素に対する酸素の重量比が2.5以上4以下である酸化グラフェンと正極活物質としてリン酸鉄リチウムとを分散させる。正極ペーストの総量に対して、酸化グラフェンの量が2wt%未満であると、正極活物質層202が形成された際に導電性が低下する。また、酸化グラフェンの量が10wt%を超えると、正極活物質の粒径にもよるが、正極ペーストの粘度が高くなる。また、正極ペーストを正極集電体201に塗布した後の乾燥工程の際に、加熱により正極ペースト中で対流が生じ、軽くて薄い酸化グラフェンが移動・凝集することで、正極活物質層202がひび割れたり、正極活物質層202が正極集電体201から剥がれたりするおそれがある。したがって、酸化グラフェンの量は、正極ペースト(正極活物質、導電助剤、及び結着剤の総重量)に対して2wt%以上10wt%以下とするとよい。なお、酸化グラフェンは、後の熱処理工程によって還元されてグラフェンとなり重量がほぼ半減するため、正極活物質層202中の重量比は1wt%以上5wt%以下となる。
リン酸鉄リチウムの一次粒子の平均粒径は、20nm以上500nm以下のものを用いるとよい。添加するリン酸鉄リチウムの量は、正極ペーストの総量に対して、85wt%以上とすればよく、例えば、85wt%以上93wt%以下とすればよい。
なお、リン酸鉄リチウムの焼成時にグルコース等の炭水化物を混合して、リン酸鉄リチウムの粒子にカーボンを被覆してもよい。この処理により導電性が高まる。
次に、これらの混合物ペーストに固練り(高粘度の状態での混練)を行うことで、酸化グラフェン及びリン酸鉄リチウムの凝集をほどくことができる。また、酸化グラフェンは、官能基を有するため、極性溶媒中においては、官能基中の酸素がマイナスに帯電するため、異なる酸化グラフェンどうしで凝集しにくい。また、酸化グラフェンは、リン酸鉄リチウムとの相互作用が強い。このため、リン酸鉄リチウム中に酸化グラフェンをより均一に分散させることができる。
次に、これらの混合物に、結着剤としてPVdFを添加する。PVdFの量は、酸化グラフェン及びリン酸鉄リチウムの量によって設定すればよく、正極ペーストに対して、1wt%以上5wt%以下添加すればよい。酸化グラフェンが、複数の正極活物質粒子と面接触するように均一に分散されている状態で、結着剤を添加することにより、分散状態を維持したまま、正極活物質と酸化グラフェンとを結着することができる。また、リン酸鉄リチウムと酸化グラフェンの割合によっては、結着剤を添加しなくてもよいが、結着剤を添加した場合には正極の強度を向上させることができる。
次に、これらの混合物に、所定の粘度になるまでNMPを添加し、混練することで正極スラリーを作製することができる。以上の工程で、正極スラリーを作製することによって、酸化グラフェン、正極活物質、及び結着剤の混練状態が均一な正極スラリーを作製することができる。
次に、正極集電体201上に、正極ペーストを塗布する。
次に、正極集電体201上に塗布された正極ペーストを乾燥させる。乾燥工程は、60℃〜170℃、1分〜10時間加熱することにより、NMPを蒸発させることによって行う。なお、雰囲気は特に限定されない。
次に、正極ペーストに対して還元雰囲気または減圧下にて乾燥を行う。還元雰囲気又は減圧下とし、温度を130℃〜200℃、10時間〜30時間加熱することにより、正極ペーストに残ったNMPや水を蒸発させ、酸化グラフェンに含まれる酸素を脱離させる。これにより、酸化グラフェンをグラフェンとすることができる。なお、酸化グラフェンに含まれる酸素は全て脱離されず、一部の酸素は、グラフェンに残存してもよい。
以上の工程により、正極活物質にグラフェンが均一に分散された正極活物質層202を含む正極200を作製することができる。なお、乾燥工程の後、正極200に対して、加圧(プレス)工程を行っても良い。
本実施の形態で説明したように、炭素に対する酸素の重量比が2.5以上4以下である酸化グラフェンが分散された分散媒に、正極活物質を添加し、混練することで、正極活物質中に酸化グラフェンを均一に分散することができる。酸化グラフェンが、複数の正極活物質粒子と接するように分散された状態で、結着剤を添加することで、酸化グラフェンと複数の正極活物質粒子との接触を阻害することなく、結着剤を均一に分散させることができる。また、炭素に対する酸素の重量比が2.5以上4以下である酸化グラフェンを還元したグラフェンは導電率が高い。このようにして作製された正極ペーストを用いることで、正極活物質の充填量が高く、高密度化された正極活物質層を含む正極を作製することができる。また、該正極を用いて、電池を作製することで、高容量の二次電池を製造することができる。さらに、結着剤によって、シート状のグラフェンが、複数の正極活物質と接した状態を維持させることができるため、正極活物質とグラフェンとの剥離を抑制することができるため、サイクル特性の良好な二次電池を製造することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態4)
本実施の形態では、二次電池の構造及びその製造方法について、図2及び図3を参照して説明する。
図2(A)は、コイン型(単層偏平型)の二次電池の外観図であり、図2(B)は、その断面図である。
コイン型の二次電池300は、正極端子を兼ねた正極缶301と負極端子を兼ねた負極缶302とが、ポリプロピレン等で形成されたガスケット303で絶縁シールされている。正極304は、正極集電体305と、これと接するように設けられた正極活物質層306により形成される。また、負極307は、負極集電体308と、これに接するように設けられた負極活物質層309により形成される。正極活物質層306と負極活物質層309との間には、セパレータ310と、電解質(図示せず)とを有する。
正極304は、実施の形態2及び実施の形態3に示す正極200を用いることができる。
負極307は、負極集電体308上に、CVD法、スパッタリング法、または塗布法により、負極活物質層309を形成することで、形成される。
負極集電体308は、蓄電装置内で顕著な化学変化を引き起こさずに高い導電性を示す限り、特別な制限はない。例えば、銅、アルミニウム、ステンレス、金、白金、亜鉛、鉄、ニッケル、チタン、タンタル、マンガン等の金属、及びこれらの合金、焼結した炭素などを用いることができる。また、銅またはステンレス鋼を炭素、ニッケル、チタン等で被覆してもよい。また、シリコン、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどの耐熱性を向上させる元素が添加されたアルミニウム合金を用いることができる。また、シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素で形成してもよい。シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等がある。また、集電体308は、箔状、板状(シート状)、網状、円柱状、コイル状、パンチングメタル状、エキスパンドメタル状、多孔質状および不織布を包括する様々な形態等の形状を適宜用いることができる。さらに、活物質層との密着性を上げるために負極集電体308は表面に細かい凹凸を有していてもよい。接触抵抗の低減や密着性の向上のために被覆層(アンダーコート)を設けてもよい。アンダーコートは炭素や金属、或いはそれらと高分子との混合層で形成する事ができる。また、負極集電体308は、厚みが5μm以上30μm以下のものを用いるとよい。
負極活物質としては、リチウムの溶解・析出、又はリチウムイオンの挿入・脱離が可能な材料を用いることができ、例えば、リチウム金属、炭素系材料、合金系材料等が挙げられる。
リチウム金属は、酸化還元電位が低く(標準水素電極に対して−3.045V)、重量及び体積当たりの比容量が大きい(それぞれ3860mAh/g、2062mAh/cm3)ため、好ましい。
炭素系材料としては、黒鉛、易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)、難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンブラック等が挙げられる。
黒鉛としては、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、コークス系人造黒鉛、ピッチ系人造黒鉛等の人造黒鉛や、球状化天然黒鉛等の天然黒鉛が挙げられる。
黒鉛はリチウムイオンが黒鉛に挿入したとき(リチウム−黒鉛層間化合物の生成時)にリチウム金属と同程度に卑な電位を示す(0.1〜0.3V vs.Li/Li+)。これにより、リチウムイオン電池は高い作動電圧を示すことができる。さらに、黒鉛は、単位体積当たりの容量が比較的高い、体積膨張が小さい、安価である、リチウム金属に比べて安全性が高い等の利点を有するため、好ましい。
負極活物質として、リチウム金属との合金化・脱合金化反応により充放電反応を行うことが可能な合金系材料も用いることができる。例えば、Al、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Ag、Zn、Cd、In、Ga等のうち少なくとも一つを含む材料が挙げられる。このような元素は炭素に対して容量が大きく、特にシリコンは理論容量が4200mAh/gと飛躍的に高い。このため、負極活物質にシリコンを用いることが好ましい。このような元素を用いた合金系材料としては、例えば、SiO、Mg2Si、Mg2Ge、SnO、SnO2、Mg2Sn、SnS2、V2Sn3、FeSn2、CoSn2、Ni3Sn2、Cu6Sn5、Ag3Sn、Ag3Sb、Ni2MnSb、CeSb3、LaSn3、La3Co2Sn7、CoSb3、InSb、SbSn等が挙げられる。
また、負極活物質として、二酸化チタン(TiO2)、リチウムチタン酸化物(Li4Ti5O12)、リチウム−黒鉛層間化合物(LixC6)、五酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化タングステン(WO2)、酸化モリブデン(MoO2)等の酸化物を用いることができる。
また、負極活物質として、リチウムと遷移金属の複窒化物である、Li3N型構造をもつLi3−xMxN(M=Co、Ni、Cu)を用いることができる。例えば、Li2.6Co0.4N3は大きな充放電容量(900mAh/g)を示し好ましい。
リチウムと遷移金属の複窒化物を用いると、負極活物質中にリチウムイオンを含むため、正極活物質としてリチウムイオンを含まないV2O5、Cr3O8等の材料と組み合わせることができ好ましい。なお、正極活物質にリチウムイオンを含む材料を用いる場合でも、あらかじめリチウムイオンを脱離させることでリチウムと遷移金属の複窒化物を用いることができる。
また、コンバージョン反応が生じる材料を負極活物質として用いることもできる。例えば、酸化コバルト(CoO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化鉄(FeO)等の、リチウムと合金化反応を行わない遷移金属酸化物を負極活物質に用いてもよい。コンバージョン反応が生じる材料としては、さらに、Fe2O3、CuO、Cu2O、RuO2、Cr2O3等の酸化物、CoS0.89、NiS、CuS等の硫化物、Zn3N2、Cu3N、Ge3N4等の窒化物、NiP2、FeP2、CoP3等のリン化物、FeF3、BiF3等のフッ化物等がある。なお、上記フッ化物の電位は高いため、正極活物質として用いてもよい。
塗布法を用いて負極活物質層309を形成する場合は、負極活物質に、導電助剤や結着剤を添加して、負極ペーストを作製し、負極集電体308上に塗布して乾燥させればよい。
また、負極活物質として、シリコンを用いて負極活物質層309を形成する場合は、負極活物質層309の表面に、グラフェンを形成することが好ましい。シリコンは、充放電サイクルにおけるキャリアイオンの吸蔵・放出に伴う体積の変化が大きいため、負極集電体308と負極活物質層309との密着性が低下し、充放電により電池特性が劣化してしまう。そこで、シリコンを含む負極活物質層309の表面にグラフェンを形成することにより、充放電サイクルにおいて、シリコンの体積が変化したとしても、負極集電体308と負極活物質層309との密着性の低下を抑制することができ、電池特性の劣化が低減されるため好ましい。
負極活物質層309表面に形成するグラフェンは、正極の作製方法と同様に、酸化グラフェンを還元することによって形成することができる。該酸化グラフェンは、実施の形態1で説明した酸化グラフェンを用いることができる。
負極活物質層309に、電気泳動法を用いて酸化グラフェンを形成する方法について、図3(A)を参照して説明する。
図3(A)は電気泳動法を説明するための断面図である。容器401には、実施の形態1で説明した酸化グラフェンを分散媒に分散させた分散液(以下、酸化グラフェン分散液402という。)が入っている。また、酸化グラフェン分散液402中に被形成物403を設けて、これを陽極とする。また、酸化グラフェン分散液402中に陰極となる導電体404を設ける。なお、被形成物403は、負極集電体308及びその上に形成された負極活物質層309とする。また、導電体404は、導電性を有する材料、例えば、金属材料又は合金材料とすればよい。
陽極と陰極の間に適切な電圧を加えることで、被形成物403の表面、すなわち、負極活物質層309の表面に酸化グラフェンの層が形成される。これは、酸化グラフェンは、上記したように極性溶媒中において負に帯電するため、電圧を加えることで負に帯電した酸化グラフェンは陽極に引き寄せられ、被形成物403に付着するからである。酸化グラフェンの負の帯電は、酸化グラフェンが有するヒドロキシル基、カルボキシル基等の置換基から水素イオンが離脱していることに由来し、物体と当該置換基とが結合することで中性化する。なお、加える電圧は一定でなくてもよい。また、陽極と陰極の間を流れる電荷量を測定することで、物体に付着した酸化グラフェンの層の厚さを見積もることができる。
陽極と陰極の間に加える電圧は、0.5V乃至2.0Vの範囲とすると良い。より好ましくは、0.8V乃至1.5Vである。例えば陽極と陰極の間に加える電圧を1Vとすると、被形成物と酸化グラフェンの層との間に陽極酸化の原理により生じうる酸化膜が、形成されにくい。
必要な厚さの酸化グラフェンが得られたら、被形成物403を酸化グラフェン分散液402から引き上げ、乾燥させる。
電気泳動法による酸化グラフェンの電着において、酸化グラフェンで既に覆われている部分にさらに酸化グラフェンが積層することは少ない。これは、酸化グラフェンの導電率が十分に低いためである。一方、まだ酸化グラフェンに覆われていない部分には、酸化グラフェンが優先的に積層される。このため、被形成物403の表面に形成される酸化グラフェンの厚さは実用的に均一な厚さになる。
電気泳動を行う時間(電圧を加える時間)は、被形成物403の表面が酸化グラフェンに覆われるのにかかる時間より長時間行えばよく、例えば、0.5分以上30分以下、好ましくは5分以上20分以下とすればよい。
電気泳動法を用いると、イオン化した酸化グラフェンを電気的に活物質まで移動させることができるため、負極活物質層309の表面に凹凸を有していても、酸化グラフェンを均一に設けることが可能である。
次に、還元処理を行い、形成された酸化グラフェンから酸素の一部を脱離させる。還元処理としてはグラフェンを用いた実施の形態2で説明した、加熱による還元処理等を行っても良いが、ここでは電気化学的な還元処理(以下、電気化学還元という。)について説明する。
酸化グラフェンの電気化学還元は、加熱処理による還元とは異なり、電気エネルギーを用いた還元である。図3(B)に示すように負極活物質層309上に設けた酸化グラフェンを有する負極を導電体407として用いて閉回路を構成し、この導電体407に当該酸化グラフェンの還元反応が生じる電位、又は当該酸化グラフェンが還元される電位を供給し、当該酸化グラフェンをグラフェンに還元する。なお、本明細書では、酸化グラフェンの還元反応が生じる電位、又は当該酸化グラフェンが還元される電位を還元電位という。
図3(B)を用いて酸化グラフェンの還元方法を具体的に記述する。容器405に電解液406を満たし、そこに酸化グラフェンを有する導電体407と、対極408とを挿入し、浸漬させる。次に、酸化グラフェンを有する導電体407を作用極とし、他に少なくとも対極408及び電解液406を用いて電気化学セル(開回路)を組み、当該導電体407(作用極)の電位に酸化グラフェンの還元電位を供給し、当該酸化グラフェンをグラフェンに還元する。なお、供給する還元電位は、対極408を基準にした場合の還元電位、又は電気化学セルに参照極を設けて、当該参照極を基準にした場合の還元電位とする。例えば、対極408及び参照極をリチウム金属とする場合、供給する還元電位はリチウム金属の酸化還元電位を基準とした還元電位(vs.Li/Li+)となる。本工程によって、電気化学セル(閉回路)には、酸化グラフェンが還元される際に還元電流が流れる。そのため、酸化グラフェンの還元を確認するには、当該還元電流を連続的に確認すればよく、還元電流が一定値を下回った状態(還元電流に対応するピークが消失した状態)を、酸化グラフェンが還元された状態(還元反応が終了した状態)とすればよい。
また、当該導電体407の電位を制御する際は、酸化グラフェンの還元電位以下に固定するだけではなく、酸化グラフェンの還元電位を含んで掃引してもよく、さらに当該掃引は、サイクリックボルタンメトリのように周期的に繰り返してもよい。また、当該導電体407の電位の掃引速度に限定はない。なお、当該導電体407の電位の掃引を行う場合は、高電位側から低電位側に掃引してもよいし、低電位側から高電位側に掃引してもよい。
酸化グラフェンの還元電位は、その酸化グラフェンの構成(官能基の有無など)、及び電位制御の仕方(掃引速度など)によって値が多少異なるが、約2.0V(vs.Li/Li+)程度である。具体的には、1.6V以上2.4V以下(vs.Li/Li+)の範囲で上記導電体407の電位を制御すればよい。
以上の工程により、導電体407上にグラフェンを形成することができる。電気化学的還元処理を行った場合、加熱処理によって形成したグラフェンに比べてsp2結合である二重結合の炭素−炭素結合を有する割合が増大するため、導電性の高いグラフェンを負極活物質層309上に形成することができる。
なお、導電体407上にグラフェンを形成した後、負極活物質層309にグラフェンを介してリチウムをプレドープしてもよい。リチウムのプレドープ方法としては、スパッタリング法により負極活物質層309表面にリチウム層を形成してもよい。または、負極活物質層309の表面にリチウム箔を設けることで、負極活物質層309にリチウムをプレドープすることができる。
セパレータ310は、セルロース(紙)、または空孔が設けられたポリプロピレン、ポリエチレン等の絶縁体を用いることができる。
電解液は、電解質として、キャリアイオンを有する材料を用いる。電解質の代表例としては、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiPF6、Li(C2F5SO2)2N等のリチウム塩がある。
なお、キャリアイオンが、リチウムイオン以外のアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ベリリウムイオン、またはマグネシウムイオンの場合、電解質として、上記リチウム塩において、リチウムの代わりに、アルカリ金属(例えば、ナトリウムやカリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等)、ベリリウム、またはマグネシウムを用いてもよい。
また、電解液の溶媒としては、キャリアイオンの移送が可能な材料を用いる。電解液の溶媒としては、非プロトン性有機溶媒が好ましい。非プロトン性有機溶媒の代表例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)、γーブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等があり、これらの一つまたは複数を用いることができる。また、電解液の溶媒としてゲル化される高分子材料を用いることで、漏液性等に対する安全性が高まる。また、二次電池の薄型化及び軽量化が可能である。ゲル化される高分子材料の代表例としては、シリコーンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、フッ素系ポリマー等がある。また、電解液の溶媒として、難燃性及び難揮発性であるイオン液体(常温溶融塩)を一つまたは複数用いることで、二次電池の内部短絡や、過充電等によって内部温度が上昇しても、二次電池の破裂や発火などを防ぐことができる。
また、電解液の代わりに、硫化物系や酸化物系等の無機物材料を有する固体電解質や、PEO(ポリエチレンオキシド)系等の高分子材料を有する固体電解質を用いることができる。固体電解質を用いる場合には、セパレータやスペーサの設置が不要となる。また、電池全体を固体化できるため、漏液のおそれがなくなり安全性が飛躍的に向上する。
正極缶301、負極缶302には、二次電池の充放電時において電解液などの液体に対して耐腐食性を有するニッケル、アルミニウム、チタン等の金属、当該金属の合金、当該金属と他の金属との合金(例えば、ステンレスなど)、当該金属の積層、当該金属と前掲した合金との積層(例えば、ステンレス\アルミニウムなど)、当該金属と他の金属との積層(例えば、ニッケル\鉄\ニッケルなど)を用いることができる。正極缶301は正極304と、負極缶302は負極307とそれぞれ電気的に接続する。
これら負極307、正極304及びセパレータ310を電解質に含浸させ、図2(B)に示すように、正極缶301を下にして正極304、セパレータ310、負極307、負極缶302をこの順で積層し、正極缶301と負極缶302とをガスケット303を介して圧着してコイン形の二次電池300を製造する。
次に、ラミネート型の二次電池の一例について、図4を参照して説明する。
図4に示すラミネート型の二次電池500は、正極集電体501および正極活物質層502を有する正極503と、負極集電体504および負極活物質層505を有する負極506と、セパレータ507と、電解液508と、外装体509と、を有する。外装体509内に設けられた正極503と負極506との間にセパレータ507が設置されている。また、外装体509内は、電解液508で満たされている。
図4に示すラミネート型の二次電池500において、正極集電体501および負極集電体504は、外部との電気的接触を得る端子の役割も兼ねている。そのため、正極集電体501および負極集電体504の一部は、外装体509から外側に露出するように配置される。
ラミネート型の二次電池500において、外装体509には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アイオノマー、ポリアミド等の材料からなる膜上に、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケル等の可撓性に優れた金属薄膜を設け、さらに該金属薄膜上に外装体の外面としてポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等の絶縁性合成樹脂膜を設けた三層構造のラミネートフィルムを用いることができる。このような三層構造とすることで、電解液や気体の透過を遮断するとともに、絶縁性を確保し、併せて耐電解液性を有する。
次に、円筒型の二次電池の一例について、図5を参照して説明する。円筒型の二次電池600は図5(A)に示すように、上面に正極キャップ(電池蓋)601を有し、側面及び底面に電池缶(外装缶)602を有している。これら正極キャップと電池缶(外装缶)602とは、ガスケット(絶縁パッキン)610によって絶縁されている。
図5(B)は、円筒型の二次電池の断面を模式的に示した図である。中空円柱状の電池缶602の内側には、帯状の正極604と負極606とがセパレータ605を間に挟んで捲回された電池素子が設けられている。図示しないが、電池素子はセンターピンを中心に捲回されている。電池缶602は、一端が閉じられ、他端が開いている。電池缶602には、二次電池の充放電時において電解液などの液体に対して耐腐食性を有するニッケル、アルミニウム、チタン等の金属、当該金属の合金、当該金属と他の金属との合金(例えば、ステンレスなど)、当該金属の積層、当該金属と前掲した合金との積層(例えば、ステンレス\アルミニウムなど)、当該金属と他の金属との積層(例えば、ニッケル\鉄\ニッケルなど)を用いることができる。電池缶602の内側において、正極、負極及びセパレータが捲回された電池素子は、対向する一対の絶縁板608、609により挟まれている。また、電池素子が設けられた電池缶602の内部は、非水電解液(図示せず)が注入されている。非水電解液は、コイン形やラミネート型の二次電池と同様のものを用いることができる。
正極604及び負極606は、上述したコイン形の二次電池の正極及び負極と同様に製造すればよいが、円筒型の二次電池に用いる正極及び負極は捲回するため、集電体の両面に活物質を形成する点において異なる。正極604には正極端子(正極集電リード)603が接続され、負極606には負極端子(負極集電リード)607が接続される。正極端子603及び負極端子607は、ともにアルミニウムなどの金属材料を用いることができる。正極端子603は安全弁機構612に、負極端子607は電池缶602の底にそれぞれ抵抗溶接される。安全弁機構612は、PTC素子(Positive Temperature Coefficient)611を介して正極キャップ601と電気的に接続されている。安全弁機構612は電池の内圧の上昇が所定の閾値を超えた場合に、正極キャップ601と正極604との電気的な接続を切断するものである。また、PTC素子611は温度が上昇した場合に抵抗が増大する熱感抵抗素子であり、抵抗の増大により電流量を制限して異常発熱を防止するものである。PTC素子には、チタン酸バリウム(BaTiO3)系半導体セラミックス等を用いることができる。
なお、本実施の形態では、二次電池として、コイン形、ラミネート型及び円筒型の二次電池を示したが、その他の封止型二次電池、角型二次電池等様々な形状の二次電池を用いることができる。また、正極、負極、及びセパレータが複数積層された構造、正極、負極、及びセパレータが捲回された構造であってもよい。
本実施の形態で示す二次電池300、二次電池500、二次電池600の正極には、本発明の一態様に係る正極が用いられている。そのため、二次電池300、二次電池500、二次電池600の放電容量を高めることができる。
[薄型二次電池]
図6(A)に、蓄電装置の一例として、薄型の二次電池について示す。図6(A)は、薄型の二次電池の一例を示す。薄型の二次電池は、可撓性を有する構成とすれば、可撓性を有する部位を少なくとも一部有する電子機器に実装すれば、電子機器の変形に合わせて二次電池も曲げることもできる。
図6は薄型の二次電池500の外観図を示す。また、図7(A)および図7(B)は、図6に一点鎖線で示すA1−A2断面およびB1−B2断面を示す。薄型の二次電池500は、正極集電体501および正極活物質層502を有する正極503と、負極集電体504および負極活物質層505を有する負極506と、セパレータ507と、電解液508と、外装体509と、を有する。外装体509内に設けられた正極503と負極506との間にセパレータ507が設置されている。また、外装体509内は、電解液508で満たされている。
負極506または正極503の少なくとも一方には、本発明の一態様である酸化グラフェンが含まれている。
図6(B)は、リード電極に集電体を溶接する例を示す。例として、正極集電体501を正極リード電極510に溶接する例を示す。正極集電体501は、超音波溶接などを用いて溶接領域512で正極リード電極510に溶接される。また、正極集電体501は、図6(B)に示す湾曲部513を有することにより、二次電池500の作製後に外から力が加えられて生じる応力を緩和することができ、二次電池500の信頼性を高めることができる。
図6および図7に示す薄型の二次電池500において、正極リード電極510および負極リード電極511を用いて正極集電体501、或いは負極集電体504と超音波接合させて正極リード電極510および負極リード電極511を外側に露出している。また、外部との電気的接触を得る端子の役割を正極集電体501および負極集電体504で兼ねることもできる。その場合は、リード電極を用いずに、正極集電体501および負極集電体504の一部を外装体509から外側に露出するように配置してもよい。
また、図6では正極リード電極510と負極リード電極511は同じ辺に配置されているが、図7に示すように、正極リード電極510と負極リード電極511を異なる辺に配置してもよい。このように、本発明の一態様の二次電池は、リード電極を自由に配置することができるため、設計自由度が高い。よって、本発明の一態様の二次電池を用いた製品の設計自由度を高めることができる。また、本発明の一態様の二次電池を用いた製品の生産性を高めることができる。
薄型の二次電池500において、外装体509には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アイオノマー、ポリアミド等の材料からなる内面の上に、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケル等の可撓性に優れた金属薄膜を設け、さらに該金属薄膜上に外装体の外面としてポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等の絶縁性合成樹脂膜を設けた三層構造のフィルムを用いることができる。
また図6では、一例として、向かい合う正極と負極の組の数を5組としているが、勿論、電極の組は5組に限定されず、多くてもよいし、少なくてもよい。電極層数が多い場合には、より多くの容量を有する二次電池とすることができる。また、電極層数が少ない場合には、薄型化でき、可撓性に優れた二次電池とすることができる。
上記構成において、二次電池の外装体509は、曲率半径10mm以上好ましくは曲率半径30mm以上の範囲で変形することができる。二次電池の外装体であるフィルムは、1枚または2枚で構成されており、積層構造の二次電池である場合、湾曲させた電池の断面構造は、外装体であるフィルムの2つの曲線で挟まれた構造となる。
面の曲率半径について、図8を用いて説明する。図8(A)において、曲面1700を切断した平面1701において、曲面の形状である曲線1702の一部を円の弧に近似して、その円の半径を曲率半径1703とし、円の中心を曲率中心1704とする。図8(B)に曲面1700の上面図を示す。図8(C)に、平面1701で曲面1700を切断した断面図を示す。曲面を平面で切断するとき、切断する平面により、曲面の形状である曲線の曲率半径は異なるものとなるが、曲面を、最も曲率半径の小さい曲線を有する平面で切断したときにおいて、曲面の断面形状である曲線の曲率半径を面の曲率半径とする。
2枚のフィルムを外装体として電極・電解液など1805を挟む二次電池を湾曲させた場合には、二次電池の曲率中心1800に近い側のフィルム1801の曲率半径1802は、曲率中心1800から遠い側のフィルム1803の曲率半径1804よりも小さい(図9(A))。二次電池を湾曲させて断面を円弧状とすると曲率中心1800に近いフィルムの表面には圧縮応力がかかり、曲率中心1800から遠いフィルムの表面には引っ張り応力がかかる(図9(B))。外装体の表面に凹部または凸部で形成される模様を形成すると、このように圧縮応力や引っ張り応力がかかったとしても、ひずみによる影響を許容範囲内に抑えることができる。そのため、二次電池は、曲率中心に近い側の外装体の曲率半径が10mm以上好ましくは30mm以上となる範囲で変形することができる。
なお、二次電池の断面形状は、単純な円弧状に限定されず、一部が円弧を有する形状にすることができ、例えば図9(C)に示す形状や、波状(図9(D))、S字形状などとすることもできる。二次電池の曲面が複数の曲率中心を有する形状となる場合は、複数の曲率中心それぞれにおける曲率半径の中で、最も曲率半径が小さい曲面において、2枚の外装体の曲率中心に近い方の外装体の曲率半径が、10mm以上好ましくは30mm以上となる範囲で二次電池が変形することができる。
なお、本実施の形態では、二次電池として、コイン型、円筒型および薄型の二次電池を示したが、その他の封止型二次電池、角型二次電池等様々な形状の二次電池を用いることができる。
(実施の形態5)
[二次電池の構成例]
図10及び図11に、薄型の二次電池の構成例を示す。図10(A)に示す捲回体993は、負極994と、正極995と、セパレータ996と、を有する。
捲回体993は、セパレータ996を挟んで負極994と、正極995とが重なり合って積層され、該積層シートを捲回したものである。この捲回体993を角型の封止容器などで覆うことにより角型の二次電池が作製される。
なお、負極994、正極995及びセパレータ996からなる積層の積層数は、必要な容量と素子体積に応じて適宜設計すればよい。負極994はリード電極997及びリード電極998の一方を介して負極集電体(図示せず)に接続され、正極995はリード電極997及びリード電極998の他方を介して正極集電体(図示せず)に接続される。
図10(B)及び(C)に示す二次電池990は、外装体となるフィルム981と、凹部を有するフィルム982とを熱圧着などにより貼り合わせて形成される空間に上述した捲回体993を収納したものである。捲回体993は、リード電極997及びリード電極998を有し、フィルム981と、凹部を有するフィルム982との内部で電解液に含浸される。
フィルム981と、凹部を有するフィルム982は、例えばアルミニウムなどの金属材料や樹脂材料を用いることができる。フィルム981及び凹部を有するフィルム982の材料として樹脂材料を用いれば、外部から力が加わったときにフィルム981と、凹部を有するフィルム982を変形させることができ、可撓性を有する二次電池を作製することができる。
また、図10(B)及び(C)では2枚のフィルムを用いる例を示しているが、1枚のフィルムを折り曲げることによって空間を形成し、その空間に上述した捲回体993を収納してもよい。
また、薄型の二次電池のみが可撓性を有する蓄電装置ではなく、外装体や、封止容器を樹脂材料などにすることによって可撓性を有する蓄電装置を作製することができる。ただし、外装体や、封止容器を樹脂材料にする場合、外部に接続を行う部分は導電材料とする。
例えば、可撓性を有する別の薄型二次電池の例を図11に示す。図11(A)の捲回体993は、図10(A)に示したものと同一であるため、詳細な説明は省略することとする。
図11(B)及び(C)に示す二次電池990は、外装体991の内部に上述した捲回体993を収納したものである。捲回体993は、リード電極997及びリード電極998を有し、外装体991、992の内部で電解液に含浸される。外装体991、992は、例えばアルミニウムなどの金属材料や樹脂材料を用いることができる。外装体991、992の材料として樹脂材料を用いれば、外部から力が加わったときに外装体991、992を変形させることができ、可撓性を有する薄型二次電池を作製することができる。
[蓄電システムの構造例]
また、蓄電システムの構造例について、図12、図13、図14を用いて説明する。ここで蓄電システムとは、例えば、蓄電装置を搭載した機器を指す。
図12(A)及び図12(B)は、蓄電システムの外観図を示す図である。蓄電システムは、回路基板900と、二次電池913と、を有する。二次電池913には、ラベル910が貼られている。さらに、図12(B)に示すように、蓄電システムは、端子951と、端子952と、を有し、ラベル910の裏にアンテナ914と、アンテナ915と、を有する。
回路基板900は、端子911と、回路912と、を有する。端子911は、端子951、端子952、アンテナ914、アンテナ915、及び回路912に接続される。なお、端子911を複数設けて、複数の端子911のそれぞれを、制御信号入力端子、電源端子などとしてもよい。
回路912は、回路基板900の裏面に設けられていてもよい。なお、アンテナ914及びアンテナ915は、コイル状に限定されず、例えば線状、板状であってもよい。また、平面アンテナ、開口面アンテナ、進行波アンテナ、EHアンテナ、磁界アンテナ、誘電体アンテナ等のアンテナを用いてもよい。又は、アンテナ914若しくはアンテナ915は、平板状の導体でもよい。この平板状の導体は、電界結合用の導体の一つとして機能することができる。つまり、コンデンサの有する2つの導体のうちの一つの導体として、アンテナ914若しくはアンテナ915を機能させてもよい。これにより、電磁界、磁界だけでなく、電界で電力のやり取りを行うこともできる。
アンテナ914の線幅は、アンテナ915の線幅よりも大きいことが好ましい。これにより、アンテナ914により受電する電力量を大きくできる。
蓄電システムは、アンテナ914及びアンテナ915と、二次電池913との間に層916を有する。層916は、例えば二次電池913による電磁界の遮蔽を防止することができる機能を有する。層916としては、例えば磁性体を用いることができる。層916を遮蔽層としてもよい。
なお、蓄電システムの構造は、図12に限定されない。
例えば、図13(A−1)及び図13(A−2)に示すように、図12(A)及び図12(B)に示す二次電池913のうち、対向する一対の面のそれぞれにアンテナを設けてもよい。図13(A−1)は、上記一対の面の一方側方向から見た外観図であり、図13(A−2)は、上記一対の面の他方側方向から見た外観図である。なお、図12(A)及び図12(B)に示す蓄電システムと同じ部分については、図12(A)及び図12(B)に示す蓄電システムの説明を適宜援用できる。
図13(A−1)に示すように、二次電池913の一対の面の一方に層916を挟んでアンテナ914が設けられ、図13(A−2)に示すように、二次電池913の一対の面の他方に層917を挟んでアンテナ915が設けられる。層917は、例えば二次電池913による電磁界の遮蔽を防止することができる機能を有する。層917としては、例えば磁性体を用いることができる。層917を遮蔽層としてもよい。
上記構造にすることにより、アンテナ914及びアンテナ915の両方のサイズを大きくすることができる。
又は、図13(B−1)及び図13(B−2)に示すように、図12(A)及び図12(B)に示す二次電池913のうち、対向する一対の面のそれぞれに別のアンテナを設けてもよい。図13(B−1)は、上記一対の面の一方側方向から見た外観図であり、図13(B−2)は、上記一対の面の他方側方向から見た外観図である。なお、図12(A)及び図12(B)に示す蓄電システムと同じ部分については、図12(A)及び図12(B)に示す蓄電システムの説明を適宜援用できる。
図13(B−1)に示すように、二次電池913の一対の面の一方に層916を挟んでアンテナ914及びアンテナ915が設けられ、図13(A−2)に示すように、二次電池913の一対の面の他方に層917を挟んでアンテナ918が設けられる。アンテナ918は、例えば、外部機器とのデータ通信を行うことができる機能を有する。アンテナ918には、例えばアンテナ914及びアンテナ915に適用可能な形状のアンテナを適用することができる。アンテナ918を介した蓄電システムと他の機器との通信方式としては、NFCなど、蓄電システムと他の機器の間で用いることができる応答方式などを適用することができる。
又は、図14(A)に示すように、図12(A)及び図12(B)に示す二次電池913に表示装置920を設けてもよい。表示装置920は、端子919を介して端子911に電気的に接続される。なお、表示装置920が設けられる部分にラベル910を設けなくてもよい。なお、図12(A)及び図12(B)に示す蓄電システムと同じ部分については、図12(A)及び図12(B)に示す蓄電システムの説明を適宜援用できる。
表示装置920には、例えば充電中であるか否かを示す画像、蓄電量を示す画像などを表示してもよい。表示装置920としては、例えば電子ペーパー、液晶表示装置、エレクトロルミネセンス(ELともいう)表示装置などを用いることができる。例えば、電子ペーパーを用いることにより表示装置920の消費電力を低減することができる。
又は、図14(B)に示すように、図12(A)及び図12(B)に示す二次電池913にセンサ921を設けてもよい。センサ921は、端子922を介して端子911に電気的に接続される。なお、センサ921は、ラベル910の裏側に設けられてもよい。なお、図12(A)及び図12(B)に示す蓄電システムと同じ部分については、図12(A)及び図12(B)に示す蓄電システムの説明を適宜援用できる。
センサ921としては、例えば、力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むものを用いることができる。センサ921を設けることにより、例えば、蓄電システムが置かれている環境を示すデータ(温度など)を検出し、回路912内のメモリに記憶しておくこともできる。
本実施の形態で示す二次電池や蓄電システムには、本発明の一態様に係る電極が用いられている。そのため、二次電池や蓄電システムの容量の大きくすることができる。また、エネルギー密度を高めることができる。また、信頼性を高めることができる。また、寿命を長くすることができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態6)
本発明の一態様に係る二次電池は、電力により駆動する様々な電気機器の電源として用いることができる。
本発明の一態様に係る二次電池を用いた電気機器の具体例として、テレビ、モニタ等の表示装置、照明装置、デスクトップ型あるいはノート型のパーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、DVD(Digital Versatile Disc)などの記録媒体に記憶された静止画又は動画を再生する画像再生装置、ポータブルCDプレーヤ、ラジオ、テープレコーダ、ヘッドホンステレオ、ステレオ、置き時計、壁掛け時計、コードレス電話子機、トランシーバ、携帯無線機、携帯電話、自動車電話、携帯型ゲーム機、電卓、携帯情報端末、電子手帳、電子書籍、電子翻訳機、音声入力機器、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、玩具、電気シェーバ、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器、電気洗濯機、電気掃除機、温水器、扇風機、毛髪乾燥機、エアコンディショナ、加湿器、除湿器などの空調設備、食器洗い器、食器乾燥器、衣類乾燥器、布団乾燥器、電気冷蔵庫、電気冷凍庫、電気冷凍冷蔵庫、DNA保存用冷凍庫、懐中電灯、チェーンソー等の電動工具、煙感知器、透析装置等の医療機器などが挙げられる。さらに、誘導灯、信号機、ベルトコンベア、エレベータ、エスカレータ、産業用ロボット、電力貯蔵システム、電力の平準化やスマートグリッドのための蓄電装置等の産業機器が挙げられる。また、二次電池からの電力を用いて電動機により推進する移動体なども、電気機器の範疇に含まれるものとする。上記移動体として、例えば、電気自動車(EV)、内燃機関と電動機を併せ持ったハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、これらのタイヤ車輪を無限軌道に変えた装軌車両、電動アシスト自転車を含む原動機付自転車、自動二輪車、電動車椅子、ゴルフ用カート、小型又は大型船舶、潜水艦、ヘリコプター、航空機、ロケット、人工衛星、宇宙探査機や惑星探査機、宇宙船などが挙げられる。
なお、上記電気機器は、消費電力の殆ど全てを賄うための主電源として、本発明の一態様に係る二次電池を用いることができる。あるいは、上記電気機器は、上記主電源や商用電源からの電力の供給が停止した場合に、電気機器への電力の供給を行うことができる無停電電源として、本発明の一態様に係る二次電池を用いることができる。あるいは、上記電気機器は、上記主電源や商用電源からの電気機器への電力の供給と並行して、電気機器への電力の供給を行うための補助電源として、本発明の一態様に係る二次電池を用いることができる。
図15に、上記電気機器の具体的な構成を示す。図15において、表示装置700は、本発明の一態様に係る二次電池704を用いた電気機器の一例である。具体的に、表示装置700は、TV放送受信用の表示装置に相当し、筐体701、表示部702、スピーカ部703、二次電池704等を有する。本発明の一態様に係る二次電池704は、筐体701の内部に設けられている。表示装置700は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、二次電池704に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る二次電池704を無停電電源として用いることで、表示装置700の利用が可能となる。
表示部702には、液晶表示装置、有機EL素子などの発光素子を各画素に備えた発光装置、電気泳動表示装置、DMD(Digital Micromirror Device)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emission Display)などの、半導体表示装置を用いることができる。
なお、表示装置には、TV放送受信用の他、パーソナルコンピュータ用、広告表示用など、全ての情報表示用表示装置が含まれる。
図15において、据え付け型の照明装置710は、本発明の一態様に係る二次電池713を用いた電気機器の一例である。具体的に、照明装置710は、筐体711、光源712、二次電池713等を有する。図15では、二次電池713が、筐体711及び光源712が据え付けられた天井714の内部に設けられている場合を例示しているが、二次電池713は、筐体711の内部に設けられていても良い。照明装置710は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、二次電池713に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る二次電池713を無停電電源として用いることで、照明装置710の利用が可能となる。
なお、図15では天井714に設けられた据え付け型の照明装置710を例示しているが、本発明の一態様に係る二次電池は、天井714以外、例えば側壁715、床716、窓717等に設けられた据え付け型の照明装置に用いることもできるし、卓上型の照明装置などに用いることもできる。
また、光源712には、電力を利用して人工的に光を得る人工光源を用いることができる。具体的には、白熱電球、蛍光灯などの放電ランプ、LEDや有機EL素子などの発光素子が、上記人工光源の一例として挙げられる。
図15において、室内機720及び室外機724を有するエアコンディショナは、本発明の一態様に係る二次電池723を用いた電気機器の一例である。具体的に、室内機720は、筐体721、送風口722、二次電池723等を有する。図15では、二次電池723が、室内機720に設けられている場合を例示しているが、二次電池723は室外機724に設けられていても良い。あるいは、室内機720と室外機724の両方に、二次電池723が設けられていても良い。エアコンディショナは、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、二次電池723に蓄積された電力を用いることもできる。特に、室内機720と室外機724の両方に二次電池723が設けられている場合、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る二次電池723を無停電電源として用いることで、エアコンディショナの利用が可能となる。
なお、図15では、室内機と室外機で構成されるセパレート型のエアコンディショナを例示しているが、室内機の機能と室外機の機能とを1つの筐体に有する一体型のエアコンディショナに、本発明の一態様に係る二次電池を用いることもできる。
図15において、電気冷凍冷蔵庫730は、本発明の一態様に係る二次電池734を用いた電気機器の一例である。具体的に、電気冷凍冷蔵庫730は、筐体731、冷蔵室用扉732、冷凍室用扉733、二次電池734等を有する。図15では、二次電池734が、筐体731の内部に設けられている。電気冷凍冷蔵庫730は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、二次電池734に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る二次電池734を無停電電源として用いることで、電気冷凍冷蔵庫730の利用が可能となる。
なお、上述した電気機器のうち、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器などの電気機器は、短時間で高い電力を必要とする。よって、商用電源では賄いきれない電力を補助するための補助電源として、本発明の一態様に係る二次電池を用いることで、電気機器の使用時に商用電源のブレーカーが落ちるのを防ぐことができる。
また、電気機器が使用されない時間帯、特に、商用電源の供給元が供給可能な総電力量のうち、実際に使用される電力量の割合(電力使用率と呼ぶ)が低い時間帯において、二次電池に電力を蓄えておくことで、上記時間帯以外において電力使用率が高まるのを抑えることができる。例えば、電気冷凍冷蔵庫730の場合、気温が低く、冷蔵室用扉732、冷凍室用扉733の開閉が行われない夜間において、二次電池734に電力を蓄える。そして、気温が高くなり、冷蔵室用扉732、冷凍室用扉733の開閉が行われる昼間において、二次電池734を補助電源として用いることで、昼間の電力使用率を低く抑えることができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態7)
次に、電気機器の一例である携帯情報端末について、図16を用いて説明する。
図16(A)及び図16(B)に2つ折り可能なタブレット型端末800を示す。図16(A)は、開いた状態であり、タブレット型端末800は、筐体801、表示部802a、表示部802b、表示モード切り替えスイッチ803、電源スイッチ804、省電力モード切り替えスイッチ805、操作スイッチ807、を有する。
表示部802aは、一部をタッチパネルの領域808aとすることができ、表示された操作キー809にふれることでデータ入力をすることができる。なお、表示部802aにおいては、一例として半分の領域が表示のみの機能を有する構成、もう半分の領域がタッチパネルの機能を有する構成を示しているが該構成に限定されない。表示部802aの全ての領域がタッチパネルの機能を有する構成としても良い。例えば、表示部802aの全面をキーボードボタン表示させてタッチパネルとし、表示部802bを表示画面として用いることができる。
また、表示部802bにおいても表示部802aと同様に、表示部802bの一部をタッチパネルの領域808bとすることができる。また、タッチパネルのキーボード表示切り替えボタン810が表示されている位置に指やスタイラスなどでふれることで表示部802bにキーボードボタン表示することができる。
また、タッチパネルの領域808aとタッチパネルの領域808bに対して同時にタッチ入力することもできる。
また、表示モード切り替えスイッチ803は、縦表示または横表示などの表示の向きを切り替え、白黒表示やカラー表示の切り替えなどを選択できる。省電力モード切り替えスイッチ805は、タブレット型端末に内蔵している光センサで検出される使用時の外光の光量に応じて表示の輝度を最適なものとすることができる。タブレット型端末は光センサだけでなく、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサなどの他の検出装置を内蔵させてもよい。
また、図16(A)では表示部802bと表示部802aの表示面積が同じ例を示しているが特に限定されず、一方のサイズともう一方のサイズが異なっていてもよく、表示の品質も異なっていてもよい。例えば一方が他方よりも高精細な表示を行える表示パネルとしてもよい。
図16(B)は、閉じた状態であり、タブレット型端末800は、筐体801、太陽電池811、充放電制御回路850、バッテリー851、DCDCコンバータ852を有する。なお、図16(B)では充放電制御回路850の一例としてバッテリー851、DCDCコンバータ852を有する構成について示しており、バッテリー851は、上記実施の形態で説明した二次電池を有している。
なお、タブレット型端末800は2つ折り可能なため、未使用時に筐体801を閉じた状態にすることができる。従って、表示部802a、表示部802bを保護できるため、耐久性に優れ、長期使用の観点からも信頼性の優れたタブレット型端末800を提供することができる。
また、この他にも図16(A)及び図16(B)に示したタブレット型端末は、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示部に表示する機能、表示部に表示した情報をタッチ入力操作又は編集するタッチ入力機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有することができる。
タブレット型端末の表面に装着された太陽電池811によって、電力をタッチパネル、表示部、または映像信号処理部等に供給することができる。なお、太陽電池811は、筐体801の片面又は両面に設けることができ、バッテリー851の充電を効率的に行う構成とすることができるため好適である。なおバッテリー851としては、本発明の一態様に係る二次電池を用いると、小型化を図れる等の利点がある。
また、図16(B)に示す充放電制御回路850の構成、及び動作について図16(C)にブロック図を示し説明する。図16(C)には、太陽電池811、バッテリー851、DCDCコンバータ852、コンバータ853、スイッチSW1乃至SW3、表示部802について示しており、バッテリー851、DCDCコンバータ852、コンバータ853、スイッチSW1乃至SW3が、図16(B)に示す充放電制御回路850に対応する箇所となる。
まず、外光により太陽電池811により発電がされる場合の動作の例について説明する。太陽電池で発電した電力は、バッテリー851を充電するための電圧となるようDCDCコンバータ852で昇圧または降圧がなされる。そして、表示部802の動作に太陽電池811からの電力が用いられる際にはスイッチSW1をオンにし、コンバータ853で表示部802に必要な電圧に昇圧または降圧をすることとなる。また、表示部802での表示を行わない際には、SW1をオフにし、SW2をオンにしてバッテリー851の充電を行う構成とすればよい。
なお、太陽電池811については、発電手段の一例として示したが、特に限定されず、圧電素子(ピエゾ素子)や熱電変換素子(ペルティエ素子)などの他の発電手段によるバッテリー851の充電を行う構成であってもよい。例えば、無線(非接触)で電力を送受信して充電する無接点電力伝送モジュールや、また他の充電手段を組み合わせて行う構成としてもよい。
また、上記実施の形態で説明した二次電池を具備していれば、図16に示した電気機器に特に限定されないことは言うまでもない。
(実施の形態8)
さらに、電気機器の一例である移動体の例について、図17を用いて説明する。
先の実施の形態で説明した二次電池を制御用のバッテリーに用いることができる。制御用のバッテリーは、プラグイン技術や非接触給電による外部からの電力供給により充電をすることができる。なお、移動体が鉄道用電気車両の場合、架線や導電軌条からの電力供給により充電をすることができる。
図17(A)及び(B)は、電気自動車の一例を示している。電気自動車860には、バッテリー861が搭載されている。バッテリー861の電力は、制御回路862により出力が調整されて、駆動装置863に供給される。制御回路862は、図示しないROM、RAM、CPU等を有する処理装置864によって制御される。
駆動装置863は、直流電動機若しくは交流電動機単体、又は電動機と内燃機関と、を組み合わせて構成される。処理装置864は、電気自動車860の運転者の操作情報(加速、減速、停止など)や走行時の情報(上り坂や下り坂等の情報、駆動輪にかかる負荷情報など)の入力情報に基づき、制御回路862に制御信号を出力する。制御回路862は、処理装置864の制御信号により、バッテリー861から供給される電気エネルギーを調整して駆動装置863の出力を制御する。交流電動機を搭載している場合は、図示していないが、直流を交流に変換するインバータも内蔵される。
バッテリー861は、プラグイン技術による外部からの電力供給により充電することができる。例えば、商用電源から電源プラグを通じてバッテリー861に充電する。充電は、AC/DCコンバータ等の変換装置を介して、一定の電圧値を有する直流定電圧に変換して行うことができる。バッテリー861として、本発明の一態様に係る二次電池を搭載することで、電池の高容量化などに寄与することができ、利便性を向上させることができる。また、バッテリー861の特性の向上により、バッテリー861自体を小型軽量化できれば、車両の軽量化に寄与するため、燃費を向上させることができる。
なお、本発明の一態様の二次電池を具備していれば、上記で示した電子機器に特に限定されないことは言うまでもない。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態9)
本実施の形態では、可撓性を有する二次電池を電子機器に実装する例について説明する。
実施の形態3に示す可撓性を有する二次電池を電子機器に実装する例を図18に示す。フレキシブルな形状を備える蓄電装置を適用した電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
また、フレキシブルな形状を備える蓄電装置を、家屋やビルの内壁または外壁や、自動車の内装または外装の曲面に沿って組み込むことも可能である。
図18(A)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、蓄電装置7407を有している。
図18(B)は、携帯電話機7400を湾曲させた状態を示している。携帯電話機7400を外部の力により変形させて全体を湾曲させると、その内部に設けられている蓄電装置7407も湾曲される。また、その時、曲げられた蓄電装置7407の状態を図18(C)に示す。蓄電装置7407は薄型の二次電池である。蓄電装置7407は曲げられた状態で固定されている。なお、蓄電装置7407は集電体7409と電気的に接続されたリード電極7408を有している。例えば、集電体7409は銅箔であり、一部ガリウムと合金化させて、集電体7409と接する活物質層との密着性を向上し、蓄電装置7407が曲げられた状態での信頼性が高い構成となっている。
図18(D)は、バングル型の表示装置の一例を示している。携帯表示装置7100は、筐体7101、表示部7102、操作ボタン7103、及び蓄電装置7104を備える。また、図18(E)に曲げられた蓄電装置7104の状態を示す。蓄電装置7104は曲げられた状態で使用者の腕への装着時に、筐体が変形して蓄電装置7104の一部または全部の曲率が変化する。なお、曲線の任意の点における曲がり具合を相当する円の半径の値で表したものを曲率半径であり、曲率半径の逆数を曲率と呼ぶ。具体的には、曲率半径が40mm以上150mm以下の範囲内で筐体または蓄電装置7104の主表面の一部または全部が変化する。蓄電装置7104の主表面における曲率半径が40mm以上150mm以下の範囲であれば、高い信頼性を維持できる。
図18(F)は、腕時計型の携帯情報端末の一例を示している。携帯情報端末7200は、筐体7201、表示部7202、バンド7203、バックル7204、操作ボタン7205、入出力端子7206などを備える。
携帯情報端末7200は、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。
表示部7202はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、表示部7202はタッチセンサを備え、指やスタイラスなどで画面に触れることで操作することができる。例えば、表示部7202に表示されたアイコン7207に触れることで、アプリケーションを起動することができる。
操作ボタン7205は、時刻設定のほか、電源のオン、オフ動作、無線通信のオン、オフ動作、マナーモードの実行及び解除、省電力モードの実行及び解除など、様々な機能を持たせることができる。例えば、携帯情報端末7200に組み込まれたオペレーションシステムにより、操作ボタン7205の機能を自由に設定することもできる。
また、携帯情報端末7200は、通信規格された近距離無線通信を実行することが可能である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。
また、携帯情報端末7200は入出力端子7206を備え、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うことができる。また入出力端子7206を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は入出力端子7206を介さずに無線給電により行ってもよい。
携帯情報端末7200の表示部7202には、本発明の一態様の電極部材を備える蓄電装置を有している。例えば、図18(E)に示した蓄電装置7104を、筐体7201の内部に湾曲した状態で、またはバンド7203の内部に湾曲可能な状態で組み込むことができる。
図18(G)は、腕章型の表示装置の一例を示している。表示装置7300は、表示部7304を有し、本発明の一態様の蓄電装置を有している。また、表示装置7300は、表示部7304にタッチセンサを備えることもでき、また、携帯情報端末として機能させることもできる。
表示部7304はその表示面が湾曲しており、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、表示装置7300は、通信規格された近距離無線通信などにより、表示状況を変更することができる。
また、表示装置7300は入出力端子を備え、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うことができる。また入出力端子を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は入出力端子を介さずに無線給電により行ってもよい。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である
以下、本発明の一態様について実施例を用いて具体的に説明する。
<酸化グラフェンの合成>
まず、以下の方法により酸化グラフェンを合成した。はじめに、4gのグラファイト(株式会社中越黒鉛工業所製、BF−40AK)と138mLの濃硫酸(関東化学株式会社製、96%)を混合した。次に、氷浴中で撹拌しながら18gの過マンガン酸カリウム(キシダ化学株式会社製、99%)を加えた。更に、氷浴を取り除き、25℃で2.5時間撹拌して、混合液を得た。
次に、得られた混合液を氷浴中で撹拌しながら276mLの純水をゆっくり加えて希釈した。次に、およそ95℃のオイルバス中で15分撹拌して反応させた後、400mLの純水で希釈し、更に54mLの過酸化水素水(三菱ガス化学株式会社製、濃度31wt%)を加えて未反応の過マンガン酸カリウムを失活させ、混合液を得た。目の粗さが0.45μmのメンブレンフィルターで得られた混合液を吸引濾過して沈殿物を回収した。
得られた沈殿物を3.5%塩酸(和光純薬工業株式会社)で洗浄した後、沈殿物およそ5g当たり500mLの純水を加えた後に遠心分離し、沈殿物を回収するという操作を複数回行ない、沈殿物である酸化グラフェンを洗浄した。その後、エバポレートし、乾燥させて酸化グラフェンを得た。これをGO1−6とする。
GO1−6と同様に、原料グラファイト4gに対して過マンガン酸カリウム12gを濃硫酸138mL中で25℃4.5時間反応させ、希釈後に過酸化水素水36mLで失活して得られた酸化グラフェンをGO2−6とする。
GO1−6と同様に、原料グラファイト4gに対して過マンガン酸カリウム8gを濃硫酸138mL中で25℃4.5時間反応させ、希釈後に過酸化水素水24mLで失活して得られた酸化グラフェンをGO3−6とする。
GO1−6と同様に、原料グラファイト2gに対して過マンガン酸カリウム12gを濃硫酸92mL中で25℃2時間および35℃0.5時間反応させ、希釈後に過酸化水素水36mLで失活して得られた酸化グラフェンをGO4−6とする。
<XPS>
上記の酸化グラフェンをX線光電子分光法(XPS:X−ray Photoelectron Spectroscopy)により測定した。測定は、X線源として単色光Al(1486.6eV)を用い、測定面積100μm径、取り出し角45°として行なった。測定結果の元素比を表1に、結合状態の解析結果を表2に示す。なお、酸化グラフェンにはHが含まれるがXPSでは検出されない事に留意されたい。また組成の誤差は±1atm%程度である。
表1に於いて、C/Oは単にCとOの元素比を数値化したものになる。例えば、GO3−6では誤差を含めて考えると、C/Oは3.4〜3.8となるが、考慮しない数値で記載した。表2は波形分離解析結果によるものであり、通常誤差は±3%程度であるが、C=Cのピークのケミカルシフトは小さいので誤差は大きくなる。
GO3−6では組成比C/Oは他条件とは明らかに異なる値となった。また結合状態からsp2結合が10%以上検出され、未反応部位が多く残されている事が分かる。
<滴定>
上記反応における酸化剤のKMnO4(濃硫酸下ではMn2O7)の反応量について調べた結果について示す。即ち、反応中の溶液を多量の純水に滴下し、得られた上澄み液を過酸化水素水を用いて比色滴定した。反応条件はグラファイト4g、濃硫酸138mL、温度25℃に固定して、過マンガン酸カリウム量を8g、10g、12g、15g、18gと条件振りした。基質グラファイト重量当たりに消費された過マンガン酸カリウム量と反応時間の関係を図19に示す。なお、図中白抜きで表した測定点は、過マンガン酸カリウムが検出できなかったことを表す。なお、酸化剤18gの系においてはすべての測定点において過マンガン酸カリウムが検出されている。
図19で、酸化剤濃度は変化しているが、酸化剤消費速度には変化は見られず、反応速度は黒鉛に依存すると考えられる。また黒鉛4gに対して過マンガン酸カリウム15g以下の場合、反応時間4.5時間で溶液中には過マンガン酸カリウム(反応液中のMn2O7)は検出されなかった。なお、滴定時には沈殿物を除去しているため、グラファイト中、或いはグラファイトに結合している酸化剤は検出されない事に留意されたい。
<FT−IR>
次に、赤外線吸収スペクトル法(FT−IR)により分析した。即ちフーリエ変換赤外分光器(Nicolet製 Nexus670)を用い、一回反射ATR法(プリズム:Ge)にて酸化グラフェン膜を測定した。
GO1−6と同様に、原料グラファイト4gに対して過マンガン酸カリウム18gを濃硫酸138mL中で25℃4.5時間反応させ、希釈後に過酸化水素水54mLで失活して得られた酸化グラフェンをGO1−6aとする。更にGO1−6aに1−メチル−2−ピロリドン(NMP)を加え、混練して分散させたスラリーをポリイミドフィルム(カプトン(登録商標)Hタイプ)にブレード法にて塗工、乾燥させた膜をGO1−7とする。
GO3−6にNMPを加え、混練して分散させたスラリーをポリイミドフィルムにブレード法にて塗工、乾燥させた膜をGO3−7とする。
原料グラファイト4gに対して過マンガン酸カリウム18gを濃硫酸138mL中で25℃4.5時間反応させ、希釈後に過酸化水素水54mLで失活して得られた酸化グラフェンをGO5−6とする。更にGO5−6にNMPを加え、混練して分散させたスラリーをポリイミドフィルムにブレード法にて塗工、乾燥させた膜をGO5−7とする。
原料グラファイト4gに対して過マンガン酸カリウム21gを濃硫酸138mL中で25℃24時間反応させ、希釈後に過酸化水素水63mLで失活して得られた酸化グラフェンをGO6−6とする。更にGO6−6にNMPを加え、混練して分散させたスラリーをポリイミドフィルムにブレード法にて塗工、乾燥させた膜をGO6−7とする。
以上のGO1−7、GO3−7、GO5−7、GO6−7のFT−IR測定結果にベースライン補正で解析した結果を図20に示す。XPSで明らかな未酸化部位の存在が示唆されたGO3−7は3000〜1300cm−1に幅広くなだらかなピークを持ち、散乱成分が疑われるスペクトルとなった。希釈して95℃15分撹拌する際に溶液中の過マンガン酸カリウムが全て消費されていた6−7は1570cm−1にピークを持たず、過マンガン酸カリウム存在下で95℃15分の撹拌を行なったGO1−7、GO5−7は1570cm−1にピークを持つ結果となった。
<比抵抗測定>
上記のGO1−6を真空下にて170℃10時間加熱する事で酸化グラフェンの還元を行なった。更に5mm径のペレットダイスに得られた試料を詰め、油圧式ポンプで10分加圧し、解放後、再度10分加圧してRGOペレット1−8を作製した。この時、粉体に加わる単位面積当たりの圧力は約7.5Mgf/cm2であった。同様にGO2−6からRGOペレット2−8を、GO3−6からRGOペレット3−8を、GO5−6からRGOペレット5−8を作製した。
得られたRGOペレット1−8、RGOペレット2−8、RGOペレット3−8、RGOペレット5−9の比抵抗を、直流四端子van der Pauw 法により測定した。比抵抗測定には、ResiTest8300(東陽テクニカ社製)を用いた。
比抵抗の測定結果を表3に示す。
同じ還元条件であるが、得られたグラフェン(RGO)の抵抗率には大きな差が見られた。即ち、未酸化部位を残したRGOペレット3−9では明らかに比抵抗が低くなった。グラフェンの導電性は構成する炭素(C)のC=Cによるsp2結合の割合に強い相関があり、C=Cによるsp2結合の割合が多いほど導電性は高くなる傾向にあることが知られている。XPS分析結果やFT−IR分析と相関のある結果となった。これらからGO3−6は電気伝導度の高いグラフェンを得られやすい酸化グラフェンであると言える。
(分散性評価)
未酸化部位を多く残した場合、剥離や溶媒への分散が悪くなる事が懸念材料として挙げられる。これらについて評価するため、二次電池の導電助剤に用いて電池特性を評価した。
電池特性評価のために新たに合成した酸化グラフェン試料の合成条件について記載する。GO5−6同様に原料グラファイト4gに対して過マンガン酸カリウム18gを濃硫酸138mL中で25℃4.5時間反応させ、希釈後に過酸化水素水54mLで失活して得られた酸化グラフェンをGO5−6aとする。また、原料グラファイト4gに対して過マンガン酸カリウム15gを濃硫酸138mL中で25℃4.5時間反応させ、希釈後に過酸化水素水45mLで失活して得られた酸化グラフェンをGO6−6とする。原料グラファイト4gに対して過マンガン酸カリウム10gを濃硫酸138mL中で25℃4.5時間反応させ、希釈後に過酸化水素水30mLで失活して得られた酸化グラフェンをGO7−6とする。即ち、GO5−6a、GO6−6、GO2−6、GO7−6、GO3−6は過マンガン酸カリウム量とそれに比例した失活剤の過酸化水素水量のみを変えた合成条件となる。
(二次電池の作製)
二次電池の作製方法について説明する。まず、固相法で作製された、炭素被覆されていないLiFePO4に酸化グラフェンを加えたものに、溶媒としてNMPを添加して固練りを行なった。固練りとは高粘度での混練を指し、酸化グラフェン及び活物質の凝集をほぐしやすい方法の一つである。次に、その酸化グラフェンとLiFePO4の混合物に、バインダとしてPVdF(株式会社クレハ製#7300)のNMP溶液を添加した後、極性溶媒としてNMPをさらに添加して混練することでスラリーを作製した。上記の方法で作製したスラリーを、集電体の上に塗布し、大気雰囲気下、80℃、40分乾燥させることにより、集電体上に活物質層が形成された電極を作製した。なお、集電体には膜厚20μmのアルミニウムにカーボンブラックが約1μmコートされたものを用いた。また、LiFePO4は比表面積ca.11m2/g、結晶子サイズ110nmであった。電極層の割合は重量比でLiFePO4:GO:PVdF=93:2:5となるようにした。ここでLiFePO4は炭素被覆されていない場合、電気伝導性が悪く容量がかなり出にくいが、分散被覆される酸化グラフェンを用いると少量の添加で容量が出る事が知られている。言い換えれば余り剥離されていない酸化グラフェンや活物質に分散しにくい酸化グラフェンでは容量は出にくいため、分散性を評価可能だと言える。
更に真空雰囲気にて170℃10時間加熱して電極内の酸化グラフェンの還元を行ない、電極密度が約2.0g/cm2となるようにプレスした。直径12mmに打ち抜いたものを正極として、対極にリチウム金属を、電解液にはエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合液(体積比1:1)に六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を溶解させたもの(濃度1M)を、セパレータには多孔質ポリプロピレン(PP)を用いて、2032型コイン電池を作製した。なお1MのLiPF6を含むEC/DEC溶液としてキシダ化学株式会社製、コードLBG−96533を用いた。
以上の要領でGO5−6aから正極5−9及びそれを用いた電池5−aを、GO6−6から正極6−9及び電池6−aを、GO2−6から正極2−9及び2−aを、GO7−6から正極7−9及び電池7−aを、GO3−6から正極3−9及び電池3−aを得た。正極6−9、正極2−9、正極7−9、正極3−9の活物質担持量はいずれも6.5〜7.0mg/cm2であった。
さらに、同じ活物質を用いて、電導度は良いが活物質との相互作用が弱く、分散性の悪い直接剥離法によるグラフェン(Cheap Tubes社製)でも同様に電極を作製した。なお、配合比は重量比でLiFePO4:グラフェン:PVdF=90:5:5となるようにした。上記同様に正極および電池を作製した。得られた正極を正極G、電池を電池Gとする。正極Gの活物質担持量は6.0mg/cm2であった。また、アセチレンブラック(電気化学工業株式会社製、デンカブラック(登録商標)、ABと略記する)を使用して電極を作製した。なお、配合比は重量比でLiFePO4:AB:PVdF=80:15:5となるようにした。上記同様に正極および電池を作製した。得られた正極を正極AB、電池を電池ABとする。
(電池の容量測定)
得られた電池の放電容量を測定した。充電はCCCV、即ち定電流0.2Cで4.3Vとなるまで印加した後、電流値が0.05Cとなるまで定電圧4.3Vで保持する事で行なった。放電はCC、即ち定電流1Cで2.0Vとなるまで印加する事で行なった。1Cでの放電曲線を図21(A)(B)に示す。図21(B)は図21(A)における電池5−a、電池6−a、電池2−a、電池7−a及び電池3−aの測定値の縦軸及び横軸を拡大して示した図である。
図21(B)で電池3−aは他と同等の容量を示した。また、放電電位のPlateau(平坦部位)から外れ始める点に大きな差異は見られず、放電電位は他に比べてむしろ高くなっている。ここで分散性はPlateauからの外れやすさ(分極の起こり易さ)に関係し、放電電位は導電助剤の導電パスの抵抗(つながり具合と電気伝導率)に関係すると考えられる。故に図21(B)から未酸化部位を残すGO3−9は特に問題ない分散性を有すると示唆された。
一方で図21(A)より、グラフェンを用いた電池Gは十分高い電気伝導性を持つものの、初期からPlateauから外れやすいという結果となった。活物質への分散性が悪い事が原因として挙げられる。
以上のように十分な剥離、分散性と、高い電気伝導率を持つグラフェンを生成しやすいという二つを兼ね備えた酸化グラフェンであると示された。