[go: up one dir, main page]

JP6379537B2 - 組換え水素酸化細菌およびそれを用いたタンパク質製造方法 - Google Patents

組換え水素酸化細菌およびそれを用いたタンパク質製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6379537B2
JP6379537B2 JP2014048577A JP2014048577A JP6379537B2 JP 6379537 B2 JP6379537 B2 JP 6379537B2 JP 2014048577 A JP2014048577 A JP 2014048577A JP 2014048577 A JP2014048577 A JP 2014048577A JP 6379537 B2 JP6379537 B2 JP 6379537B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protein
gene
hydrogen
strain
seq
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014048577A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015171340A (ja
Inventor
丸山 高廣
高廣 丸山
半澤 敏
敏 半澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tosoh Corp
Original Assignee
Tosoh Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tosoh Corp filed Critical Tosoh Corp
Priority to JP2014048577A priority Critical patent/JP6379537B2/ja
Publication of JP2015171340A publication Critical patent/JP2015171340A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6379537B2 publication Critical patent/JP6379537B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Description

本発明は、目的タンパク質遺伝子を導入することで前記タンパク質を発現可能な水素酸化細菌、およびそれを用いた前記タンパク質の製造方法に関する。
近年、微生物や細胞を用いたタンパク質の生産研究が盛んである。特に、分子量が大きく、かつ複雑な構造を有したタンパク質を含むバイオ医薬品は、低分子医薬品と比べ標的分子に対する高い特異性と親和性を有することから、従来の医薬品では対応できなかった疾患に対応しうる医薬として将来需要が増大することが予測される。
バイオ医薬品に用いられるタンパク質を工業的に生産する場合、主に遺伝子組み換え技術や細胞培養技術を用いて生産され、その多くは大腸菌を宿主とした生産系を利用している。しかしながら大腸菌を宿主とした従来の生産系では、培養の際、培地中に酵母エキス、ペプトン、アミノ酸、ビタミンなどの高価な原料を用いる必要がある上、目的タンパク質の生産量が低いため、製造コストが高くなるという問題点がある。また前記生産系の多くは目的タンパク質を大腸菌内に発現させており、大腸菌体内から目的タンパク質を抽出する操作が必要である。さらに生産した目的タンパク質が大腸菌体内由来のタンパク質分解酵素で分解され純度が低下する問題や、形成した封入体のリフォールディングによる精製コストの上昇の問題もある。
酵母や枯草菌を宿主として用いた生産系は、目的タンパク質を培養液中に分泌発現させることが可能である。しかしながら大腸菌を宿主とした系と同様、酵母エキスなどの高価な原料を用いる必要がある。また宿主由来のタンパク質分解酵素による目的タンパク質の分解や、培地中に含まれる窒素源由来の副生産物による精製コストの上昇の問題もあった。
大腸菌、酵母、枯草菌以外に物質生産において有効と考えられる宿主のひとつとして、水素酸化細菌Ralstonia eutrophaが知られている。Ralstonia eutrophaは窒素、リン、酸素などが供給制限となるような条件下で大量のPHB(ポリヒドロキシ酪酸)を蓄積することが報告されており、従属栄養条件下の高密度培養ではPHBを含む菌体収量は281g/Lにまで達することが確認されている(非特許文献1)。また、Ralstonia eutrophaは水素酸化によるエネルギーで炭素固定を行なう独立栄養条件でも増殖できるほか、無機塩と糖のみを原料とした培養でも高密度培養が可能であることが知られている。これまで、Ralstonia eutrophaを宿主とした物質生産は、前述したPHBのほかにも、2−メチルクエン酸(非特許文献2)、2−HIBA(ヒドロキシイソブチル酸)(非特許文献3)、R−3−ヒドロキシ酪酸(非特許文献4)、シアノフィシン(非特許文献5)などの例が報告されている。また無機塩とグルコースのみの原料からタンパク質である有機リン分解酵素を大量生産した例も報告されている(非特許文献6および7)。
Ryu,HW.et al.,Biotechnol.Bioeng.,55,28−32(1997) Ewering,C.et al.,Metab.Eng.,8,587−602(2006) Hoefel,T.et al.,Appl.Microbiol.Biotechnol.,88,477−484(2010) Shiraki,M.et al.,J.Biosci.Bioeng.,102,529−534(2006) Diniz,SC.et al.,Biotechnol.Bioeng.,93,698−717(2006) Srinivasan, S.et al.,Biotechnol.Bioeng.,55,114−120(2003) Barnard,GC.et al.,Protein.Expr.Purif.,38,264−271(2004)
水素酸化細菌Ralstonia eutrophaに代表されるRalstonia属の細菌はもともと温泉や土壌など様々な環境に生息している微生物であり、独立栄養条件で増殖できるなど、その環境適応性から物質の取り込みに関わる機能が発達していることが示唆されてきた。実際、芳香族化合物の取り込みや分解を行うRalstonia eutropha JMP134、重金属アンチポーターによる重金属排出能を持つRalstonia metallidurans CH34、多数の細胞外毒素を放出する機構を持つRalstonia solanacearum、細胞外PHBデポリメラーゼを持つRalstonia pickettiiなどの様々な種が存在し、細胞膜上の物質輸送に関するタンパク質が多様性に富んでいることが明らかとなっている。また、ゲノム情報解析の結果では、ゲノム中のタンパク質遺伝子のうち12%が物質の輸送に関わるものであり、大腸菌の9%と比べ多く、Ralstonia eutropha属の細菌における膜輸送タンパク質の多様性を裏付ける結果となっている。しかしながらこれまで、Ralstonia属などの水素酸化細菌の輸送タンパク質を利用した水素酸化細菌を宿主とするタンパク質の分泌発現系の報告はなかった。
そこで本発明の目的は、目的タンパク質遺伝子を導入した水素酸化細菌において、前記目的タンパク質を菌体外へ分泌発現可能な水素酸化細菌、および前記水素酸化細菌を用いた目的タンパク質の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、目的タンパク質遺伝子を導入した水素酸化細菌において、輸送タンパク質遺伝子をさらに導入し、前記水素酸化細菌により前記目的タンパク質と前記輸送タンパク質とを共発現させることで、目的タンパク質を培地中(水素酸化細菌外)に効率よく分泌発現できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は以下の態様を包含する。
(1)目的タンパク質遺伝子および輸送タンパク質遺伝子を水素酸化細菌に導入して得られる、前記目的タンパク質を発現可能な水素酸化細菌。
(2)輸送タンパク質が配列番号7または10に記載の配列からなるポリペプチドである、(1)に記載の水素酸化細菌。
(3)輸送タンパク質遺伝子が配列番号11または12に記載の配列からなるポリヌクレオチドである、(1)に記載の水素酸化細菌。
(4)水素酸化細菌がRalstonia属細菌である、(1)から(3)のいずれかに記載の水素酸化細菌。
(5)目的タンパク質がFc結合性タンパク質である、(1)から(4)のいずれかに記載の水素酸化細菌。
(6)(1)から(5)のいずれかに記載の水素酸化細菌を培養し、目的タンパク質および輸送タンパク質を共発現させることで、前記水素酸化細菌外へ目的タンパク質を分泌発現させる方法。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、宿主として用いる水素酸化細菌は特に限定はないものの、独立栄養条件下で増殖でき、かつ物質の取り込みに関わる機能が発達しているRalstonia属細菌が好ましく、その中でもRalstonia eutrophaは多様な環境適応性を持ち、かつ物質輸送に関わるタンパク質の機能や数が豊富である点で、特に好ましい水素酸化細菌といえる。
本発明は、水素酸化細菌を宿主として目的タンパク質を発現させる際に、目的タンパク質遺伝子に加えて輸送タンパク質遺伝子も水素酸化細菌に導入することを特徴としている。輸送タンパク質は、水素酸化細菌が有する分泌性タンパク質または膜タンパク質の中から、目的タンパク質との共発現により当該目的タンパク質を培地中に放出する機能を持つタンパク質を適宜選択すればよいが、親水性の高いタンパク質や分子量40kDa以下ののタンパク質を選択すると好ましい。なお輸送タンパク質の全長が40kDa以上の場合は、親水性の高い領域のみを利用し40kDa以下の輸送タンパク質として発現させればよい。輸送タンパク質の一例としては、Ralstonia eutrophaの染色体1由来のH16_2620(配列番号7)やH16_A0983のN末端側領域(配列番号10)があげられる。
水素酸化細菌に導入する輸送タンパク質遺伝子は、前記輸送タンパク質のcDNA等からPCR法などのDNA増幅法を用いて調製後適当な方法で連結して得てもよいし、前記輸送タンパク質のアミノ酸配列からヌクレオチド配列に変換後人工的に合成して得てもよい。アミノ酸配列からヌクレオチド配列に変換する際は、形質転換させる宿主におけるコドンの使用頻度を考慮して変換するのが好ましい。コドンの使用頻度の解析は公的データベース(例えば、かずさDNA研究所のホームページにあるCodon Usage Databaseなど)を利用することによっても可能である。輸送タンパク質遺伝子の一例として、配列番号7に記載のアミノ酸配列からなる輸送タンパク質(H16_2620)をコードするポリヌクレオチドである配列番号11に記載の配列からなるポリヌクレオチドや、配列番号10に記載のアミノ酸配列からなる輸送タンパク質(H16_A0983のN末端側領域)をコードするポリヌクレオチドである配列番号12に記載の配列からなるポリヌクレオチドがあげられる。
本発明において目的タンパク質遺伝子および輸送タンパク質遺伝子を導入する際、ペリプラズム中または外膜中に存在する宿主由来のプロテアーゼにより自動的に切断される適当な切断リンカーを介して連結し、目的タンパク質と輸送タンパク質との融合タンパク質として共発現させると好ましい。このようにすることで、発現した目的タンパク質と輸送タンパク質の融合タンパク質がペリプラズムに輸送された後プロテアーゼにより切断されることで、他の特別な処理を行なうことなく自動的に培地中に分泌されるからである。ここで用いる切断リンカーは、宿主由来のプロテアーゼで切断されるものであれば特に限定はなく、例えば大腸菌のpelBやPaucimonas lemoigneiの細胞外PHB分解酵素のシグナル配列であるprePhaZ1が例示できる。また本発明において目的タンパク質遺伝子および輸送タンパク質遺伝子を導入する際、(目的タンパク質遺伝子−(好ましくは切断リンカー)−輸送タンパク質遺伝子)の融合タンパク遺伝子の上流にファジンプロモーターを導入するとさらに好ましい。ファジンプロモーターはPHB(ポリヒドロキシ酪酸)顆粒の表面を覆うタンパク質であるファジン生産のプロモーターであり、Ralstonia eutrophaの中で強力なプロモーターとして知られている。またファジンプロモーターは、培地中の窒素源やリン源の枯渇により活性化するため、大腸菌発現系などで用いられるIPTG(イソプロピル−β−チオガラクトピラノシド)などの高価な誘導剤の添加なしにタンパク質の高発現が可能となる。
本発明の水素酸化細菌を作製する際、目的タンパク質遺伝子および輸送タンパク質遺伝子の水素酸化細菌への導入方法としては、主に広域宿主ベクターを用いた発現方法と自殺ベクターを用いたゲノム組換え法がある。水素酸化細菌としてRalstonia eutrophaを用いた場合、広域宿主ベクターとしてはpBBR1MCS2、pKT230、pBHR1が、自殺ベクターとしてはpJQ200mp18、pNHG1、pLO1が、それぞれ例示できる。なお広域宿主ベクターと自殺ベクターを併用して遺伝子導入を行なってもよい。
本発明の水素酸化細菌は、大腸菌の発現系などと比べ、無機塩などの安価な原料からタンパク質の生産が可能である。例えば、大腸菌の培養で通常用いられる酵母エキスやペプトンなどの有機窒素原料を、アンモニア、アンモニウム塩、硝酸塩、亜硝酸塩などの無機窒素原料で置き換えることが可能である。また炭素源としては、グルコン酸やフルクトースの代わりに二酸化炭素や炭酸塩などの無機窒炭素原料で置き換えることが可能である。このような夾雑タンパク質のない無機塩原料の使用および目的タンパク質の培地中への分泌発現により、培養工程のみで培養上清中に高純度なタンパク質を得ることが出来、一般のタンパク質精製における煩雑な工程を簡素化できる。
本発明の水素酸化細菌を用いて分泌発現可能な目的タンパク質に特に限定はなく、一例として、インシュリン、インターフェロン、インターロイキン、抗体、エリスロポエチン、成長ホルモンなどのヒト由来タンパク質、およびそれらの受容体タンパク質があげられる。なお本発明の水素酸化細菌を用いて分泌発現させる目的タンパク質は、完全体であってもよいし、目的タンパク質の機能に重要な部分のみから構成されるポリペプチドであってもよいし、さらに目的タンパク質を構成するアミノ酸の一つ以上が欠失および/または挿入および/または置換されていてもよい。以降、本発明の水素酸化細菌を用いて分泌発現可能な目的タンパク質のうち、Fc結合性タンパク質について詳細に説明する。
本明細書においてFc結合性タンパク質は、ヒトFcγRIの細胞外領域(具体的には天然型ヒトFcγRIの場合、配列番号13に記載のアミノ酸配列のうち16番目のグルタミンから292番目のヒスチジンまでの領域)、またはヒトFcγRIIIaの細胞外領域(具体的には天然型ヒトFcγRIIIaの場合、配列番号14に記載のアミノ酸配列のうち17番目のグリシンから208番目のグルタミンまでの領域)を構成するタンパク質のことをいう。ただし必ずしもヒトFcγRI細胞外領域またはヒトFcγRIIIa細胞外領域の全領域でなくてもよく、ヒトFcγRI細胞外領域またはヒトFcγRIIIa細胞外領域を構成するタンパク質(ポリペプチド)のうち、少なくとも抗体(免疫グロブリン)のFc領域に結合する本来の機能を発現し得る領域のポリペプチドを含んでいればよい。当該Fc結合性タンパク質の一例として、
(I)配列番号13に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも16番目のグルタミンから289番目のバリンまでのアミノ酸残基を含むタンパク質や、
(II)配列番号13に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも16番目のグルタミンから289番目のバリンまでのアミノ酸残基を含み、かつ前記アミノ酸残基のうちの一つ以上が他のアミノ酸残基に置換、挿入または欠失したタンパク質や、
(III)配列番号14に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも17番目のグリシンから192番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を含むタンパク質や、
(IV)配列番号14に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも17番目のグリシンから192番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を含み、かつ前記アミノ酸残基のうちの一つ以上が他のアミノ酸残基に置換、挿入または欠失したタンパク質、
があげられる。
前記(II)の具体例としては、特開2011−206046号公報や特開2014−027916号公報に開示のFc結合性タンパク質があげられる。前記(IV)の具体例としては、配列番号14に記載のアミノ酸配列のうち17番目から192番目までのアミノ酸残基を含み、かつ当該17番目から192番目までのアミノ酸残基において以下の(1)から(40)のうち少なくともいずれか1つのアミノ酸置換が生じている、Fc結合性タンパク質(特願2013−202245号)があげられる。
(1)配列番号14の18番目のメチオニンがアルギニンに置換
(2)配列番号14の27番目のバリンがグルタミン酸に置換
(3)配列番号14の29番目のフェニルアラニンがロイシンまたはセリンに置換
(4)配列番号14の30番目のロイシンがグルタミンに置換
(5)配列番号14の35番目のチロシンがアスパラギン酸、グリシン、リジン、ロイシン、アスパラギン、プロリン、セリン、スレオニン、ヒスチジンのいずれかに置換
(6)配列番号14の46番目のリジンがイソロイシンまたはスレオニンに置換
(7)配列番号14の48番目のグルタミンがヒスチジンまたはロイシンに置換
(8)配列番号14の50番目のアラニンがヒスチジンに置換
(9)配列番号14の51番目のチロシンがアスパラギン酸またはヒスチジンに置換
(10)配列番号14の54番目のグルタミン酸がアスパラギン酸またはグリシンに置換
(11)配列番号14の56番目のアスパラギンがスレオニンに置換
(12)配列番号14の59番目のグルタミンがアルギニンに置換
(13)配列番号14の61番目のフェニルアラニンがチロシンに置換
(14)配列番号14の64番目のグルタミン酸がアスパラギン酸に置換
(15)配列番号14の65番目のセリンがアルギニンに置換
(16)配列番号14の71番目のアラニンがアスパラギン酸に置換
(17)配列番号14の75番目のフェニルアラニンがロイシン、セリン、チロシンのいずれかに置換
(18)配列番号14の77番目のアスパラギン酸がアスパラギンに置換
(19)配列番号14の78番目のアラニンがセリンに置換
(20)配列番号14の82番目のアスパラギン酸がグルタミン酸またはバリンに置換
(21)配列番号14の90番目のグルタミンがアルギニンに置換
(22)配列番号14の92番目のアスパラギンがセリンに置換
(23)配列番号14の93番目のロイシンがアルギニンまたはメチオニンに置換
(24)配列番号14の95番目のスレオニンがアラニンまたはセリンに置換
(25)配列番号14の110番目のロイシンがグルタミンに置換
(26)配列番号14の115番目のアルギニンがグルタミンに置換
(27)配列番号14の116番目のトリプトファンがロイシンに置換
(28)配列番号14の118番目のフェニルアラニンがチロシンに置換
(29)配列番号14の119番目のリジンがグルタミン酸に置換
(30)配列番号14の120番目のグルタミン酸がバリンに置換
(31)配列番号14の121番目のグルタミン酸がアスパラギン酸またはグリシンに置換
(32)配列番号14の151番目のフェニルアラニンがセリンまたはチロシンに置換
(33)配列番号14の155番目のセリンがスレオニンに置換
(34)配列番号14の163番目のスレオニンがセリンに置換
(35)配列番号14の167番目のセリンがグリシンに置換
(36)配列番号14の169番目のセリンがグリシンに置換
(37)配列番号14の171番目のフェニルアラニンがチロシンに置換
(38)配列番号14の180番目のアスパラギンがリジン、セリン、イソロイシンのいずれかに置換
(39)配列番号14の185番目のスレオニンがセリンに置換
(40)配列番号14の192番目のグルタミンがリジンに置換
本発明は、以下の効果を奏することができる。
(1)本発明の水素酸化細菌は、目的タンパク質遺伝子および輸送タンパク質遺伝子(分泌性タンパク質遺伝子または膜タンパク質遺伝子)を導入し、前記目的タンパク質と前記輸送タンパク質とを共発現させることで、これまで困難であった目的タンパク質の培地中への分泌発現を可能とする。具体的には、本発明の水素酸化細菌は大腸菌よりも優れた分泌特性を有した細菌である。
(2)本発明の水素酸化細菌は安価なコストで目的タンパク質の生産が可能である。通常、組換え微生物で目的タンパク質を発現させるには、窒素源として酵母エキスやペプトン、炭素源としてグルコン酸やフルクトース、添加物としてアミノ酸やビタミン、といった高価な原料を用いる必要があった。一方本発明の水素酸化細菌を用いた目的タンパク質の分泌発現系では、窒素源としてアンモニア、アンモニウム塩、硝酸塩、亜硝酸塩などの無機窒素原料を用いることができ、炭素源として二酸化炭素ガス、炭酸塩など無機炭素原料を用いることができる。本発明の水素酸化細菌は、これらの無機窒素原料や無機炭素原料、および菌の生育に必要最低限の塩を含んだ培地原料のみから、目的タンパク質の分泌発現が可能である。
(3)本発明の水素酸化細菌を用いた目的タンパク質の製造方法は、従来の方法よりタンパク質精製のコストを抑えることができる。通常、組換え微生物で目的タンパク質の生産させるには、培養した微生物から目的タンパク質を抽出する操作が必要であり、かつ培地中の窒素源由来の不純物や前記微生物由来の夾雑タンパク質などにより精製が妨害されることから、精製コストが上昇する。一方本発明では、無機塩原料を用い、さらに目的タンパク質のみを培養液中に分泌発現させることが可能なため、菌体を除去するだけで高純度のタンパク質を得ることができ、精製工程を簡素化できる。
Fc結合性タンパク質遺伝子と輸送タンパク質遺伝子とを導入した水素酸化細菌および大腸菌による、フラスコ培養におけるFc結合性タンパク質の生産性および培地中への分泌性を評価した結果を示す図である。黒は培地中へ分泌発現した量、白は菌体内に発現した量である。 Fc結合性タンパク質遺伝子と輸送タンパク質遺伝子とを導入した水素酸化細菌A2820−FcR/H16株を高密度培養したときにおける、菌体濁度の経時変化を示す図である。黒ひし形は培地Aを、白丸は培地Bを、白三角は培地Cを、それぞれ用いたときの結果である。 Fc結合性タンパク質遺伝子と輸送タンパク質遺伝子とを導入した水素酸化細菌A2820−FcR/H16株を高密度培養したときにおける、Fc結合性タンパク質の生産性および培地中への分泌性を評価した結果を示す図である。黒は培地中へ分泌発現した量、白は菌体内に発現した量である。
以下、タンパク質としてFc結合性タンパク質を、水素酸化細菌としてRalstonia属の菌を、それぞれ用いたときの実施例を用いて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は前記例に限定されるものではない。
実施例1 発現ベクターの作製
下記(a)から(c)に示すプラスミド(発現ベクター)を作製した。
(a)ファジンプロモーター、(H16_A2935遺伝子−切断リンカー遺伝子−Fc結合性タンパク質遺伝子)の融合遺伝子、およびターミネーター遺伝子を導入したプラスミド
(a−1)ファジンプロモーター、(H16_A2935遺伝子−切断リンカー遺伝子−Fc結合性タンパク質遺伝子)の融合遺伝子、ターミネーター遺伝子の順番に連結した遺伝子(配列番号1)をプラスミドpUC57に挿入したものを、人工遺伝子合成により作製した(Gen Script社 人工遺伝子合成受託サービス、pUC57はGen Script社提供の人工遺伝子挿入用標準ベクター)。なお配列番号1中、7番目から444番目の領域がファジンプロモーター(配列番号2)に、451番目から684番目の領域がH16_A2935遺伝子(配列番号3)に、691番目から798番目までの領域が切断リンカー遺伝子(配列番号4)に、805番目から1641番目までがFc結合性タンパク質遺伝子(配列番号5)に、1648番目から1758番目までの領域がターミネーター遺伝子(配列番号6)に、それぞれ相当する。またファジンプロモーターはRalstonia eutropha H16株由来のプロモーターを、切断リンカーはPaucimonas lemoigneiの細胞外PHB分解酵素のシグナル配列であるPrephaZ1を、それぞれ用い、H16_A2935遺伝子、切断リンカー遺伝子およびFc結合性タンパク質遺伝子はRalstonia eutropha H16株におけるコドンに最適化したヌクレオチド配列となっている。以下、当該プラスミドをA2935−FcR/pUC57と記載する。
(a−2)作製したA2935−FcR/pUC57で大腸菌JM109株を形質転換した。得られた形質転換体を培養し、プラスミドA2935−FcR/pUC57を抽出した。
(a−3)市販の広域宿主ベクターであるpBBR1MCS2で大腸菌JM109株を形質転換し、得られた形質転換体の培養物からプラスミド精製キットでpBBR1MCS2を調製した。
(a−4)得られたpBBR1MCS2をApaIとXbaIで消化し、アガロース電気泳動後、約5.1kbpのDNA産物をゲル抽出キットにより精製した。
(a−5)(a−2)で調製したA2935−FcR/pUC57をApaIとXbaIで制限酵素消化し、アガロース電気泳動後、得られた約1.8kbpのDNA断片をゲル抽出キットにより精製した。
(a−6)(a−4)で得られたDNA断片と(a−5)で得られたDNA断片とを、16℃でライゲーション反応(Ligation High、東洋紡社製)を行ない、得られたプラスミドで大腸菌JM109株(タカラバイオ社製)を形質転換した。
(a−7)形質転換後の溶液を、カナマイシン20μg/mLとグルコース1%(w/v)とを含むLB平板培地(バクトトリプトン10g/L、酵母エキス5g/L、塩化ナトリウム10g/L、バクトアガロース15g/L)に撒き、目的クローンを選定した。
(a−8)選定した複数のコロニーを培養してプラスミド抽出を行ない、様々な制限酵素による切断パターンを確認した。
以上の方法で、プラスミドA2935−FcR/pUC57のApaI/XbaI断片をpBBR1MCS2のApaI/XbaI部位に挿入したプラスミドである、A2935−FcR/pBBR1MCS2を得た。なおA2935−FcR/pBBR1MCS2は、ファジンプロモーター、(H16_A2935遺伝子−切断リンカー遺伝子−Fc結合性タンパク質遺伝子)の融合遺伝子およびターミネーター遺伝子が、pBBR1MCS2のLacZに対し、正方向に挿入されたプラスミドである。またA2935−FcR/pBBR1MCS2で大腸菌JM109に形質転換して得られた形質転換体を、以下、A2935−FcR/JM109とする。
(b)ファジンプロモーター、(H16_A2820遺伝子−切断リンカー遺伝子−Fc結合性タンパク質遺伝子)の融合遺伝子およびターミネーター遺伝子を導入したプラスミド
(b−1)Ralstonia eutropha H16株由来のH16_A2820をRalstonia eutropha H16株に適したコドンで変換して得られたヌクレオチド配列(配列番号11の7番目から336番目の領域)を含むポリヌクレオチド(配列番号11)をプラスミドpUC57に挿入したプラスミドA2820/pUC57を人工遺伝子合成により作製した(Gen Script社 人工遺伝子合成受託サービス)。
(b−2)作製したA2820/pUC57で大腸菌JM109株を形質転換し、得られた形質転換体の培養物からプラスミドA2820/pUC57を抽出した。
(b−3)(a)で作製したA2935−FcR/pBBR1MCS2をHindIIIとSpeIで制限酵素消化し、アガロース電気泳動後、得られた約6.6kbpのDNA断片をゲル抽出キットにより精製した。
(b−4)(b−2)で調製したA2820/pUC57をHindIIIとSpeIで制限酵素消化し、アガロース電気泳動後、得られた約0.3kbpのDNA断片をゲル抽出キットにより精製した。
(b−5)(b−3)で得られたDNA断片と(b−4)で得られたDNA断片とを、16℃でライゲーション反応(Ligation High、東洋紡社製)を行ない、得られたプラスミドで大腸菌JM109株を形質転換した。
(b−6)形質転換後の溶液を、カナマイシン20μg/mLとグルコース1%(w/v)とを含むLB平板培地に撒き、目的クローンを選定した。
(b−7)選定した複数のコロニーを培養してプラスミド抽出を行ない、様々な制限酵素による切断パターンを確認した。
以上の方法で、プラスミドA2935−FcR/pBBR1MCS2中のH16_A2935遺伝子をH16_A2820遺伝子に置き換えたプラスミドである、A2820−FcR/pBBR1MCS2を得た。なおA2820−FcR/pBBR1MCS2は、ファジンプロモーター、(H16_A2820遺伝子−切断リンカー遺伝子−Fc結合性タンパク質遺伝子)の融合遺伝子およびターミネーター遺伝子が、pBBR1MCS2のLacZに対し、正方向に挿入されたプラスミドである。
(c)ファジンプロモーター、(H16_A0983N末端領域遺伝子−切断リンカー遺伝子−Fc結合性タンパク質遺伝子)の融合遺伝子、およびターミネーター遺伝子を導入したプラスミド
(c−1)Ralstonia eutropha H16株由来のH16_A0983N末端領域を含む遺伝子産物をPCRで増幅した。PCR条件は、鋳型としてRalstonia eutropha H16株のゲノムDNA(DSMZ社製、DSMZ428)を、プライマーセットとしてHindIII部位を有した配列番号8に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドとSpeI部位を有した配列番号9に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドとを、ポリメラーゼとしてKOD FX(東洋紡社製)を、それぞれ用い、94℃で2分加熱後、98℃で10秒−63℃で30秒−68℃で1分の温度サイクルを40サイクル行ない、最後は68℃で7分加熱する条件で行なった。
(c−2)PCR産物(配列番号12)をアガロース電気泳動後、得られた約0.6kbpのDNA断片をゲル抽出キットにより精製した。
(c−3)精製したPCR産物をリン酸化後、Mighty Cloning Kit(タカラバイオ社製)を用いてあらかじめHincIIで処理したpUC118とライゲーション反応を行ない、得られたプラスミドで大腸菌JM109株を形質転換した。
(c−4)形質転換後の溶液を、カナマイシン100μg/mLを含むLB平板培地に撒き、目的クローンを選定した。
(c−5)選定した複数のコロニーを培養してプラスミド抽出を行ない、様々な制限酵素による切断パターンを確認した。得られたプラスミドA0983N/pUC118は、Ralstonia eutropha H16株ゲノム中のH16_A0983のN末端側をコードする遺伝子(配列番号12)をpUC118のHincII部位へ挿入したプラスミドである。
(c−6)(a)で作製したA2935−FcR/pBBR1MCS2をHindIIIとSpeIで制限酵素消化し、アガロース電気泳動後、得られた約6.6kbpのDNA断片をゲル抽出キットにより精製した。
(c−7)(c−5)で調製したA0983N/pUC118をHindIIIとSpeIで制限酵素消化し、アガロース電気泳動後、得られた約0.6kbpのDNA断片をゲル抽出キットにより精製した。
(c−8)(c−6)で得られたDNA断片と(c−7)で得られたDNA断片とを、16℃でライゲーション反応(Ligation High、東洋紡社製)を行ない、得られたプラスミドで大腸菌JM109株を形質転換した。
(c−9)形質転換後の溶液を、カナマイシン20μg/mLとグルコース1%(w/v)とを含むLB平板培地に撒き、目的クローンを選定した。
(c−10)選定した複数のコロニーを培養してプラスミド抽出を行ない、様々な制限酵素による切断パターンを確認した。
以上の方法で、A2935−FcR/pBBR1MCS2中のH16_A2935遺伝子を、H16_A0983のN末端側をコードする遺伝子で置き換えたプラスミドであるA0983N−FcR/pBBR1MCS2を得た。なおA0983N−FcR/pBBR1MCS2は、ファジンプロモーター、(H16_A0983遺伝子−切断リンカー遺伝子−Fc結合性タンパク質遺伝子)の融合遺伝子およびターミネーター遺伝子が、pBBR1MCS2のLacZに対し、正方向に挿入されたプラスミドである。またA0983N−FcR/pBBR1MCS2で大腸菌JM109株を形質転換して得られた形質転換体を、以下、A0983N−FcR/JM109とする。
なお、Fc結合性タンパク質遺伝子を含まないネガティブコントロールとして、pBBR1MCS2で大腸菌JM109株を形質転換した株も作製した。この株を、以下、BBR1MCS2/JM109とする。
実施例2 Ralstonia eutropha形質転換体の作製
以下の方法により、実施例1(b)で作製したA2820−FcR/pBBR1MCS2、実施例1(c)で作製したA0983N−FcR/pBBR1MCS2、またはpBBR1MCS2で、Ralstonia eutrophaを形質転換した。
(1)A2820−FcR/pBBR1MCS2、A0983N−FcR/pBBR1MCS2またはpBBR1MCS2で、接合性大腸菌S17−1を形質転換した。
(2)形質転換後の溶液を、カナマイシン50μg/mLを含むLB平板培地に撒き、目的クローンを選定した。
(3)選定した大腸菌S17−1株形質転換体を、カナマイシン50μg/mLを含むLB(バクトトリプトン10g/L、酵母エキス5g/L、塩化ナトリウム10g/L)培地中、37℃で一晩培養を行なった。
(4)市販のRalstonia eutropha H16株(ATCC 17699)またはalstonia eutropha PHB_4株(DSM 541)をそれぞれ抗生物質を含まないNutrient Broth培地(Difco社製 Nutrient Broth、8g/L)中で30℃で一晩培養した。
(5)(4)で培養した菌体を遠心して濃縮し、600nmでの菌の濁度を測定後、(3)で培養した各大腸菌S17−1株の形質転換体と菌体濁度1:1の比で混合し、抗生物質を含まないNutrient brothプレート(Nutrient Broth8g/L、バクトアガロース15g/L)に撒き30℃で一晩培養した。なおコントロールとして、各大腸菌S17−1株の形質転換体、Ralstonia eutropha H16株またはRalstonia eutropha PHB_4株のみを、抗生物質を含まないNutrient brothプレートで30℃で一晩培養した。
(6)プレート表面の菌体をNutrient Broth培地に懸濁させ、Nutrient Broth培地で1/1000に希釈した後、カナマイシン600μg/mLを含むNutrient brothプレートに塗布し、30℃で2日から3日培養した。コントロールである、各大腸菌S17−1株の形質転換体、Ralstonia eutropha H16株またはRalstonia eutropha PHB_4株のみを培養したプレートからはコロニーは0または1個しか出現しなかった。一方、大腸菌S17−1株の形質転換体とRalstonia属の株とを接合し得られた混合菌体を塗布したプレートからは、A0983N−FcR/pBBR1MCS2の大腸菌S17−1形質転換体とRalstonia eutropha H16株の混合物を撒いたプレートを除き、それぞれ数十個のコロニーが得られた。
(7)得られた接合菌体の各クローンを培養してプラスミド抽出を行ない、様々な制限酵素による切断パターンの分析により、目的のプラスミドが伝達されたことを確認した。
以上の方法で、
A2820−FcR/pBBR1MCS2(実施例1(b)で作製したプラスミド)をRalstonia eutropha H16株に接合伝達した株であるA2820−FcR/H16株、
A2820−FcR/pBBR1MCS2(実施例1(b)で作製したプラスミド)をRalstonia eutropha PHB_4株に接合伝達した株であるA2820−FcR/PHB_4株、
A0983N−FcR/pBBR1MCS2(実施例1(c)で作製したプラスミド)をRalstonia eutropha PHB_4株に接合伝達した株であるA0983N−FcR/PHB_4株、
pBBR1MCS2(市販プラスミド)をRalstonia eutropha H16株に接合伝達した株であるBBR1MCS2/H16株、および
pBBR1MCS2(市販プラスミド)をRalstonia eutropha PHB_4株に接合伝達した株であるBBR1MCS2/PHB_4株、
を得ることができた(以下、菌株を上記の名称で記載する)。
実施例3 フラスコ培養におけるFc結合性タンパク質の生産性評価
実施例2で作製した水素酸化細菌を用いて、Fc結合性タンパク質の分泌発現性を評価した。
(1)実施例2で作製した、A2820−FcR/H16株、A2820−FcR/PHB_4株、A0983N−FcR/PHB_4株、BBR1MCS2/H16株、BBR1MCS2/PHB_4株、および比較対照用として実施例1で作製したA2820−FcR/JM109株、A0983N−FcR/JM109株、BBR1MCS2/JM109株を、それぞれ2×YT(バクトトリプトン16g/L、酵母エキス10g/L、塩化ナトリウム5g/L)培地を用いて試験管で前培養した(30℃、180rpm、一晩)。なおA2820−FcR/H16株、A2820−FcR/PHB_4株、A0983N−FcR/PHB_4株、BBR1MCS2/H16株およびBBR1MCS2/PHB_4株はカナマイシン300μg/mLを、A2820−FcR/JM109株、A0983N−FcR/JM109株およびBBR1MCS2/JM109株はカナマイシン50μg/mLを、それぞれ添加して前培養した。
(2)2×YT培地20mLを入れた100mL容フラスコに、(1)の前培養液を200μL植菌し、30℃、130rpmで4.5時間培養を行なった。なおA2820−FcR/H16株、A2820−FcR/PHB_4株、A0983N−FcR/PHB_4株、BBR1MCS2/H16株およびBBR1MCS2/PHB_4株はカナマイシン300μg/mLを、A2820−FcR/JM109株、A0983N−FcR/JM109株およびBBR1MCS2/JM109株はカナマイシン50μg/mLを、それぞれ添加して培養した。
(3)IPTG(イソプロピル−β−チオガラクトピラノシド)を最終濃度0.5mMとなるよう添加し、さらにA2820−FcR/H16株、A2820−FcR/PHB_4株、A2820−FcR/JM109株、A0983N−FcR/PHB_4株、A0983N−FcR/JM109株の培養液にはグルコン酸ナトリウムを最終濃度4%(w/v)となるよう添加して、30℃で引き続き2日間培養した。
(4)菌体を1mLずつマイクロチューブに採取し、15000rpmで10分間遠心分離することで上清と菌体ペレットを分離した。上清は別のマイクロチューブにそれぞれ500μL分取し、60%(v/v)グリセロール水溶液を500μL加えて保存した。一方上清を除いた菌体ペレットは、タンパク抽出試薬1mL(リゾチーム0.2mg/mL、エチレンジアミン四酢酸1mM、フッ化フェニルメチルスルホニル1mM、Benzonase 125U/mLを含むBugBuster(Novagen社製)タンパク質抽出試薬)を加えることで菌体内のタンパク質を抽出した。
(5)上清中と菌体中のFc結合性タンパク質量を以下に示すELISA法で測定した。
(5−1)96穴のELISAプレート(Nunc社製)にガンマグロブリン製剤10μg/mL(化学及血清療法研究所製)を各ウェルに100μLずつ添加し、4℃で18時間静置することにより固定した。
(5−2)TBS緩衝液(0.2%(w/v)Tween 20、150mM NaClを含む20mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5))で洗浄後、1%BSAを含むTween 20を除いたTBS緩衝液(150mM NaClを含む20mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5))を200μLずつ添加し、4℃で18時間以上静置することでブロッキング操作を施した。
(5−3)TBS緩衝液で洗浄後、保存した培養上清または菌体抽出物の希釈系列を各ウェルに100μL添加し、固定化したガンマグロブリンと反応させた(30℃、1時間)。
(5−4)反応終了後、TBS緩衝液で洗浄し、1次抗体anti−hFcγR1/CD64抗体(R&D社製 MAB12571)0.1μL/mLを各ウェルに100μL添加して反応させた(30℃、1時間)。
(5−5)反応終了後、TBS緩衝液で洗浄し、2次抗体Goat anti−Mouse IgG−h+I HRP抗体(BETHYL社製 A90−216P)を各ウェルに100μLずつ添加し反応させた(30℃、1時間)。
(5−6)反応終了後、TBS緩衝液で洗浄し、TMB Peroxidase Substrate(KPL社製)を各ウェルに50μLずつ添加し発色反応させた。
(5−7)発色後、1Mリン酸水溶液を添加して反応の停止させ、450nmの吸光度を測定した。
結果を図1に示す。ネガティブコントロール(Fc結合性タンパク質遺伝子を導入しない組換え微生物)である、BBR1MCS2/JM109株、BBR1MCS2/H16株およびBBR1MCS2/PHB_4株は、いずれもFc結合性タンパク質を生産しなかった。一方Fc結合性タンパク質遺伝子および輸送タンパク質遺伝子を水素酸化細菌に導入した菌株である、A2820−FcR/H16株、A2820−FcR/PHB_4株、A0983N−FcR/PHB_4株は、Fc結合性タンパク質をそれぞれ56mg/L、28mg/L、33mg/L生産し、そのうち培地中への分泌比率はそれぞれ64%、8%、7%であった。なおFc結合性タンパク質遺伝子およびタンパク質輸送遺伝子を大腸菌に導入した菌株である、A2820−FcR/JM109株、A0983N−FcR/JM109株のFc結合性タンパク質の生産量は、それぞれ13mg/L、8mg/Lであり、かつ培地中への分泌はほとんど認められなかった。
このことから、目的タンパク質遺伝子および輸送タンパク遺伝子を水素酸化細菌に導入して得られる本発明の水素酸化細菌を培養し、前記目的タンパク質と前記輸送タンパク質とを共発現させることで、目的タンパク質の生産性が向上しており、かつ培地中への分泌比率も向上することがわかる。
実施例4 高密度培養におけるFc結合性タンパク質の生産性評価
実施例3において、特にFc結合性タンパク質の分泌発現に優れていたA2820−FcR/H16株について高密度培養を実施し、ヒトFc結合性タンパク質の分泌生産性を評価した。
(1)カナマイシン300μg/mLを含む培地A、培地Bまたは培地Cをフラスコに入れ、A2820−FcR/H16株を接種後、30℃で16時間前培養した。
培地A:0.5%(w/v)グルコン酸ナトリウムを含む4×YT(バクトトリプトン32g/L、酵母エキス20g/L、塩化ナトリウム5g/L)培地
培地B:2%(w/v)グルコン酸ナトリウムを含むMSM培地(※1)
培地C:2%(w/v)フルクトースを含むMSM培地(※1)
(※1)MSM培地の組成:NaHPO 3.6g/L、KHPO 4.7g/L、(NHSO 3.0g/L、MgSO・7HO 2.2g/L、Trace element solution(※2) 10mL/L
(※2)Trace element solutionの組成:FeSO・7HO 28g/L、ZnSO・7HO 2.3g/L、CuSO・5HO 1.2g/L、MnSO・5HO 0.5g/L、CaCl・2HO 2.0g/L、HBO 40mg/L、(NHMo24 0.12g/L、CoCl 0.2g/L、NiCl・6HO 20mg/L、CrCl 6mg/L、35%(w/v)HCl 10mL/L
(2)1Lジャーに培地A、培地Bまたは培地Cを400mL入れ、(1)の前培養液20mLを接種後、培養を開始した。培養はDO−STAT法にて撹拌速度を制御し、14%アンモニア水溶液と50%リン酸水溶液を適宜流加することでpHを7.0に調整した。増殖開始後、以下に示す溶液を各培地に適宜流加することで、炭素源を補給した。
培地A用流加液:MgSO・7HO 42g/L、Trace element solution(※2) 167mL/L、35%(w/v)HCl 417μL/Lを含む33%(w/v)グルコン酸ナトリウム水溶液
培地B用流加液:MgSO・7HO 46g/L、Trace element solution(※2) 184mL/Lを含む41%(w/v)グルコン酸水溶液
培地C用流加液:MgSO・7HO 46g/L、Trace element solution(※2) 184mL/Lを含む33%(w/v)フルクトース水溶液の
(3)(2)の培養液を経時的に採取し600nmの菌体濁度を測定した。また採取した培養液の一部は、実施例3(4)および(5)に記載の方法で培地中および菌体中のヒトFc結合性タンパク質量を測定した。
培養時間と菌体濁度との関係を図2に示す。また図2のうち、(1)から(6)の培養液の培地中および菌体中に含まれるヒトFc結合性タンパク質量を測定した結果を図3に示す。窒素源としてタンパク質を用いても(培地A)、アンモニウム塩またはアンモニアを用いても(培地Bおよび培地C)を用いても、Fc結合性タンパク質を培地中に分泌発現していることがわかる。このことから、目的タンパク質遺伝子および輸送タンパク遺伝子を水素酸化細菌に導入して得られる本発明の水素酸化細菌を培養し、前記目的タンパク質と前記輸送タンパク質とを共発現させる、本発明の目的タンパク質の製造方法は、無機塩と糖のみを窒素源/炭素源としても培養液中へ目的タンパク質を分泌発現できることがわかる。

Claims (5)

  1. 目的タンパク質遺伝子および輸送タンパク質遺伝子をRalstonia属の水素酸化細菌に導入して得られる、前記目的タンパク質を発現可能な水素酸化細菌であって、
    前記輸送タンパク質が配列番号7に記載の配列からなるポリペプチドであり、
    前記目的タンパク質遺伝子および輸送タンパク質遺伝子が切断リンカーを介して連結した、水素酸化細菌
  2. 輸送タンパク質遺伝子が配列番号11に記載の配列からなるポリヌクレオチドである、請求項1に記載の水素酸化細菌。
  3. 目的タンパク質がFc結合性タンパク質である、請求項1または2に記載の水素酸化細菌。
  4. 請求項1からのいずれかに記載の水素酸化細菌を培養し、目的タンパク質および輸送タンパク質を共発現させることで、前記水素酸化細菌外へ目的タンパク質を分泌発現させる方法。
  5. 配列番号7に記載の配列からなるポリペプチドをコードするポヌクレオチドを含む、Ralstonia属の水素酸化細菌外へ目的タンパク質を分泌発現させるためのプラスミド。
JP2014048577A 2014-03-12 2014-03-12 組換え水素酸化細菌およびそれを用いたタンパク質製造方法 Active JP6379537B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014048577A JP6379537B2 (ja) 2014-03-12 2014-03-12 組換え水素酸化細菌およびそれを用いたタンパク質製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014048577A JP6379537B2 (ja) 2014-03-12 2014-03-12 組換え水素酸化細菌およびそれを用いたタンパク質製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015171340A JP2015171340A (ja) 2015-10-01
JP6379537B2 true JP6379537B2 (ja) 2018-08-29

Family

ID=54259134

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014048577A Active JP6379537B2 (ja) 2014-03-12 2014-03-12 組換え水素酸化細菌およびそれを用いたタンパク質製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6379537B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017212959A (ja) * 2016-06-02 2017-12-07 東ソー株式会社 組換え水素酸化細菌を用いたタンパク質発現方法
WO2020100888A1 (ja) * 2018-11-15 2020-05-22 株式会社カネカ Cupriavidus属に属する微生物
CN110229762A (zh) * 2019-03-04 2019-09-13 西北大学 一株具有植物促生作用的氢氧化细菌及其分离培养和应用

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02268687A (ja) * 1989-04-09 1990-11-02 Tosoh Corp プラスミド
JPH07163363A (ja) * 1993-12-13 1995-06-27 Kobe Steel Ltd 形質転換体の製造方法、生理活性タンパク質の製造方法および形質転換体
BRPI0712205A2 (pt) * 2006-05-19 2012-02-22 Ls9, Inc. Microorganismo, geneticamente modificado e métodos para produção melhorada de ácidos graxos, alcoís graxos, ésteres e cera de ácidos graxos usados em composições biocombustíveis, método para se obter um derivado de ácido graxo, composições biocombustíveis e biocombustiveis
JP5103619B2 (ja) * 2007-03-07 2012-12-19 国立大学法人東京工業大学 共重合ポリエステルの製造法
CA3178593A1 (en) * 2007-03-28 2008-10-02 Genomatica, Inc. Enhanced production of fatty acid derivatives
KR101293886B1 (ko) * 2009-02-05 2013-08-07 주식회사 엘지화학 폴리락틱산 또는 폴리락틱산 공중합체 생성능을 지닌 재조합 랄스토니아 유트로파 및 이것을 이용하여 폴리락틱산 또는 폴리락틱산 공중합체를 제조하는 방법
JP2011097898A (ja) * 2009-11-09 2011-05-19 Sagami Chemical Research Institute 組換えFc受容体およびそれの製造方法
GB201102700D0 (en) * 2011-02-16 2011-03-30 Univ Birmingham Protein secretion

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015171340A (ja) 2015-10-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2149607B1 (en) Method for production of succinic acid
CA2910625A1 (en) Psicose epimerase mutant and method for preparing psicose by using same
CN107723307A (zh) 一种高效制备d‑阿洛酮糖3‑差向异构酶的方法及其应用
KR102076288B1 (ko) 타가토스 생산용 조성물 및 이를 이용한 타가토스 제조방법
KR20170083843A (ko) 말론산 생성능을 가지는 재조합 변이미생물 및 이를 이용한 말론산의 제조방법
JP6379537B2 (ja) 組換え水素酸化細菌およびそれを用いたタンパク質製造方法
KR101835164B1 (ko) 향상된 퓨트레신 생산능을 가지는 변이된 오르니틴 디카복실레이즈 단백질 및 이의 용도
KR20070021732A (ko) 푸마레이트 하이드라타제 c를 코딩하는 유전자로 형질전환된 재조합 미생물 및 이를 이용한 숙신산의 제조방법
CN111778201B (zh) 一种生物鲁棒性提高的大肠杆菌底盘细胞及其构建方法与应用
CN111295446B (zh) 引入高活性苹果酸脱氢酶用以生产琥珀酸的突变型微生物及使用其生产琥珀酸的方法
JP6589327B2 (ja) 組換え水素酸化細菌とそれを用いたタンパク質製造方法
CN114752572B (zh) 甲酸脱氢酶突变体及其应用
CN108048494B (zh) 一种利用生物酶合成1,3-丙二醇的方法
CN114806913A (zh) 具有线粒体定位还原tca途径的高产琥珀酸酵母工程菌株及其构建方法和应用
KR101725454B1 (ko) 하프니아 알베이 유래의 라이신 디카르복실라아제를 코딩하는 유전자, 이를 포함하는 재조합 벡터, 숙주세포 및 이를 이용한 카다베린의 생산방법
Sahoo et al. Production of recombinant human insulin from a promising Pseudomonas fluorescens cell factory and its kinetic modeling
CN117660278A (zh) 谷氨酸棒杆菌atcc13032产l-丝氨酸的工程菌株及其构建方法与应用
CN114763541A (zh) 一种氧化酶及其应用
CN110862952A (zh) 5-氨基乙酰丙酸生产菌株及其构建方法和应用
US11965200B2 (en) Recombinant microorganism transformed with a glutaric acid transporter gene and method of preparing glutaric acid using same
JP2017212959A (ja) 組換え水素酸化細菌を用いたタンパク質発現方法
CN110684811A (zh) 一种提高甲硫氨酸产量的方法
CN109722456B (zh) 一种丙烯酸的生物合成方法及应用
KR20250157447A (ko) 2,4-다이하이드록시부티르산 생산 및 수율 개선 방법
KR20250161102A (ko) 글리세롤 활용능이 개선된 재조합 미생물 및 이를 이용한 글리세롤 활용 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170227

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20171213

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171226

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180207

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180703

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180716

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6379537

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151