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JP6372370B2 - 生体物質定量方法、画像処理装置、及びプログラム - Google Patents

生体物質定量方法、画像処理装置、及びプログラム Download PDF

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JP6372370B2 JP2015011257A JP2015011257A JP6372370B2 JP 6372370 B2 JP6372370 B2 JP 6372370B2 JP 2015011257 A JP2015011257 A JP 2015011257A JP 2015011257 A JP2015011257 A JP 2015011257A JP 6372370 B2 JP6372370 B2 JP 6372370B2
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Description

本発明は、蛍光物質の輝度情報を用いた生体物質定量方法、画像処理装置、及びプログラムに関する。
近年、抗体医薬を中心とした分子標的薬治療の広がりに伴い、分子標的薬をより効果的に設計するため、観察対象細胞上の生体物質の定量が求められている。生体物質の存在を確認する方法として、蛍光物質を用いて特定の生体物質を特異的に染色することによる、組織分析方法が知られている。
特許文献1には、生体物質に結合する蛍光体を用いて染色された組織標本から、蛍光体の発光を輝点で示す蛍光画像を取得し、蛍光発光輝点の輝点数及び蛍光強度を解析することにより、生体物質の発現量を評価する方法が記載されている。
特開2013−57631号公報
しかし、蛍光体1粒子当たりの蛍光強度は、製造上の問題によりある程度のばらつきが生じ得るため、特許文献1に記載される方法では、輝度値に基づいて生体物質を定量する場合には、蛍光体1粒子当たりの蛍光強度のばらつきの影響を受けて誤差が生じやすい。
また、生体物質に結合した蛍光体の密度が低く、1つ1つの蛍光体が発する輝点が分離して観察される場合には、輝点数を数えて正確な定量が容易である。しかし、実際の組織標本では、定量対象である生体物質が高密度に発現して蛍光体の密度が高いことも多く、その場合は、複数の蛍光体を一つの輝点として数えてしまうこととなるため、定量精度が低い。
図11(a)は、生体物質に結合する蛍光体を用いて染色された組織標本を、走査型電子顕微鏡を用いて取得した画像の一例である。図11(b)は、図11(a)に同一視野範囲の蛍光画像を重ねた図である。図11(b)の蛍光画像では1つの輝点として観察される領域に、実際には図11(c)に示されるような複数の蛍光粒子が存在していることも多い。
図11のように電子顕微鏡を用いて画像を取得すれば、蛍光体の粒子を一つ一つ数えることが可能であるため、粒子数を正確に計測できるが、電子顕微鏡を用いた観察は、標本の処理や画像の取得に手間がかかることから、簡易な光学顕微鏡を用いた生体物質の定量において、精度を高めることが求められている。
本発明の主な目的は、分解能が比較的低い顕微鏡を用いた場合であっても、標本内の生体物質の発現量を定量する精度を向上させることができる生体物質定量方法、画像処理装置、及びプログラムを提供することにある。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明によれば、
染色試薬を用いて染色された標本から、特定の生体物質を定量する生体物質定量方法において、
前記染色試薬は、相異なる発光波長の蛍光物質を含む2種類以上の試薬を混合した混合試薬であり、
前記2種類以上の試薬は、前記相異なる発光波長の蛍光物質を用いて同一種類の前記生体物質を染色可能であり、
前記標本における前記生体物質の発現を前記混合試薬に含まれる蛍光物質の蛍光に基づく蛍光輝点で表す蛍光画像を、前記蛍光物質の発光波長ごとに入力する入力工程と、
前記蛍光物質の発光波長ごとに入力された前記蛍光画像における前記蛍光輝点に基づいて、前記生体物質量を定量する定量工程と、
前記蛍光物質の発光波長ごとに定量された前記生体物質量を加算する加算工程と、
を有することを特徴とする生体物質定量方法が提供される。
請求項2に記載の発明によれば、
前記染色試薬は、相異なる発光波長の蛍光物質を含む3種類以上の試薬を混合した混合試薬であり、
前記3種類以上の試薬は、前記相異なる発光波長の蛍光物質を用いて同一種類の前記生体物質を染色可能であることを特徴とする請求項1に記載の生体物質定量方法が提供される。
請求項3に記載の発明によれば、
前記染色試薬は、前記蛍光物質を複数集積したナノ粒子を含み、前記ナノ粒子の平均粒径は、50nm以上100nm未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載の生体物質定量方法が提供される。
請求項4に記載の発明によれば、
前記入力工程において、超解像顕微鏡を用いて前記蛍光画像を入力することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の生体物質定量方法が提供される。
請求項5に記載の発明によれば、
前記生体物質が核タンパク質であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の生体物質定量方法が提供される。
請求項6に記載の発明によれば、
前記核タンパク質がKi67であることを特徴とする請求項5に記載の生体物質定量方法が提供される。
請求項7に記載の発明によれば、
染色試薬を用いて染色された標本から、特定の生体物質を定量する画像処理装置において、
前記染色試薬は、相異なる発光波長の蛍光物質を含む2種類以上の試薬を混合した混合試薬であり、
前記2種類以上の試薬は、前記相異なる発光波長の蛍光物質を用いて同一種類の前記生体物質を染色可能であり、
前記標本における前記生体物質の発現を前記混合試薬に含まれる蛍光物質の蛍光に基づく蛍光輝点で表す蛍光画像を、前記蛍光物質の発光波長ごとに入力する入力手段と、
前記蛍光物質の発光波長ごとに入力された前記蛍光画像における前記蛍光輝点に基づいて、前記生体物質量を定量する定量手段と、
前記蛍光物質の発光波長ごとに定量された前記生体物質量を加算する加算手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置が提供される。
請求項8に記載の発明によれば、
同一種類の特定の生体物質を染色可能な相異なる発光波長の蛍光物質を各々含む2種類以上の試薬を混合した混合試薬を染色試薬として用いて染色された標本から、前記生体物質を定量するコンピュータを、
前記標本における前記生体物質の発現を前記混合試薬に含まれる蛍光物質の蛍光に基づく蛍光輝点で表す蛍光画像を、前記蛍光物質の発光波長ごとに入力する入力手段、
前記蛍光物質の発光波長ごとに入力された前記蛍光画像における前記蛍光輝点に基づいて、前記生体物質量を定量する定量手段、
前記蛍光物質の発光波長ごとに定量された前記生体物質量を加算する加算手段、
として機能させるためのプログラムが提供される。
本発明によれば、分解能が比較的低い顕微鏡を用いた場合であっても、標本内の生体物質の発現量を定量する精度を向上させることができる。
本発明の生体物質定量方法を用いた病理診断支援システムのシステム構成を示す図である。 図1の画像処理装置の機能的構成を示すブロック図である。 明視野画像の一例を示す図である。 蛍光画像の一例を示す図である。 図2の制御部により実行される画像解析処理を示すフローチャートである。 図5のステップS2の処理の詳細を示すフローチャートである。 (a)明視野画像、(b)細胞核が抽出された画像を示す図である。 図5のステップS4の処理の詳細を示すフローチャートである。 (a)蛍光画像、(b)輝点領域が抽出された画像を示す図である。 顕微鏡の分解能と算出できる輝点数の関係を説明するための模式図である。 (a)電子顕微鏡画像、(b)電子顕微鏡画像に蛍光画像を重ねた画像、(c)電子顕微鏡画像の拡大画像の一例である。
以下、図を参照して本発明を実施するための形態について説明するが、本発明はこれらに限定されない。
<病理診断支援システム100の構成>
図1に、本発明の生体物質定量方法を用いた病理診断支援システム100の全体構成例を示す。病理診断支援システム100は、所定の染色試薬で染色された標本の顕微鏡画像を取得し、取得された顕微鏡画像を解析することにより、観察対象の組織標本における特定の生体物質の発現を定量的に表す特徴量を出力するシステムである。
図1に示すように、病理診断支援システム100は、顕微鏡画像取得装置1Aと、画像処理装置2Aがケーブル3A等のインターフェースを介してデータ送受信可能に接続されて構成されている。なお、顕微鏡画像取得装置1Aと画像処理装置2Aとの接続方式は特に限定されない。例えば、顕微鏡画像取得装置1Aと画像処理装置2AはLAN(Local Area Network)により接続されることとしてもよいし、無線により接続される構成としてもよい。
さらに、病理診断支援システム100は、標本の染色を自動で行う染色装置を備えても良い。
顕微鏡画像取得装置1Aは、公知のカメラ付き光学顕微鏡であり、スライド固定ステージ上に載置されたスライド上の組織標本の顕微鏡画像を取得し、画像処理装置2Aに送信するものである。
顕微鏡画像取得装置1Aは、照射手段、結像手段、撮像手段、通信I/F等を備えて構成されている。照射手段は、光源、フィルター等により構成され、スライド固定ステージに載置されたスライド上の組織標本に光を照射する。結像手段は、接眼レンズ、対物レンズ等により構成され、照射した光によりスライド上の組織標本から発せられる透過光、反射光、又は蛍光を結像する。撮像手段は、CCD(Charge Coupled Device)センサー等を備え、結像手段により結像面に結像される像を撮像して顕微鏡画像のデジタル画像データを生成する顕微鏡設置カメラである。通信I/Fは、生成された顕微鏡画像の画像データを画像処理装置2Aに送信する。本実施の形態において、顕微鏡画像取得装置1Aは、明視野観察に適した照射手段及び結像手段を組み合わせた明視野ユニット、蛍光観察に適した照射手段及び結像手段を組み合わせた蛍光ユニットが備えられており、ユニットを切り替えることにより明視野/蛍光を切り替えることが可能である。
なお、顕微鏡画像取得装置1Aとしては、例えば、国際公開第2014/005195号パンフレットに記載された構造化照明法(SIM: Structured Illumination Microscopy)を用いて画像を取得する超解像顕微鏡を用いてもよい。構造化照明法を用いた超解像顕微鏡によれば、視野全体を2本のコヒーレントビームで照明して試料上に縞状の光格子を作製し、モアレ効果を利用して従来捕えられなかった回折光を取り込んで解析することにより、分解能の高い顕微鏡画像を取得可能である。従来の光学顕微鏡の分解能(接近している2点を識別できる最小の距離)は、光の回折限界により、およそ200nmであるが、構造化照明法を用いた超解像顕微鏡によれば、約100nmの分解能が実現される。
なお、顕微鏡画像取得装置1Aとしては、カメラ付き顕微鏡に限定されず、例えば、顕微鏡のスライド固定ステージ上のスライドをスキャンして組織標本全体の顕微鏡画像を取得するバーチャル顕微鏡スライド作成装置(例えば、特表2002−514319号公報参照)等を用いてもよい。バーチャル顕微鏡スライド作成装置によれば、スライド上の組織標本全体像を表示部で一度に閲覧可能な画像データを取得することができる。
画像処理装置2Aは、顕微鏡画像取得装置1Aから送信された顕微鏡画像を解析することにより、観察対象の組織標本における特定の生体物質の発現量を算出する。
図2に、画像処理装置2Aの機能構成例を示す。図2に示すように、画像処理装置2Aは、制御部21、操作部22、表示部23、通信I/F24、記憶部25等を備えて構成され、各部はバス26を介して接続されている。
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等を備えて構成され、記憶部25に記憶されている各種プログラムとの協働により各種処理を実行し、画像処理装置2Aの動作を統括的に制御する。例えば、制御部21は、記憶部25に記憶されているプログラムとの協働により画像解析処理(図5参照)を実行し、生体物質の定量手段、及び生体物質量の加算手段としての機能を実現する。
操作部22は、文字入力キー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードで押下操作されたキーの押下信号とマウスによる操作信号とを、入力信号として制御部21に出力する。
表示部23は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等のモニタを備えて構成されており、制御部21から入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。
通信I/F24は、顕微鏡画像取得装置1Aをはじめとする外部機器との間でデータ送受信を行なうためのインターフェースである。通信I/F24は、明視野画像と蛍光画像の入力手段として機能する。
記憶部25は、例えばHDD(Hard Disk Drive)や半導体の不揮発性メモリー等で構成されている。記憶部25には、前述のように各種プログラムや各種データ等が記憶されている。
その他、画像処理装置2Aは、LANアダプターやルーター等を備え、LAN等の通信ネットワークを介して外部機器と接続される構成としてもよい。
本実施の形態における画像処理装置2Aは、顕微鏡画像取得装置1Aから送信された明視野画像及び蛍光画像を用いて解析を行うことが好ましい。
明視野画像は、H(ヘマトキシリン)染色試薬、HE(ヘマトキシリン−エオジン)染色試薬を用いて染色された組織標本を、顕微鏡画像取得装置1Aにおいて明視野で拡大結像及び撮影することにより得られる顕微鏡画像であって、当該組織標本における細胞の形態を表す細胞形態画像である。ヘマトキシリンは青紫色の色素であり、細胞核、骨組織、軟骨組織の一部、漿液成分など(好塩基性の組織等)を染色する。エオジンは赤〜ピンク色の色素であり、細胞質、軟部組織の結合組織、赤血球、線維素、内分泌顆粒など(好酸性の組織等)を染色する。図3に、HE染色を行った組織標本を撮影した明視野画像の一例を示す。
蛍光画像は、特定の生体物質を特異的に標識する蛍光物質を内包したナノ粒子(蛍光粒子)を含む染色試薬を用いて染色された組織標本に対し、顕微鏡画像取得装置1Aにおいて所定波長の励起光を照射して蛍光粒子を発光(蛍光)させ、この蛍光を拡大結像及び撮影することにより得られる顕微鏡画像である。即ち、蛍光画像に現れる蛍光は、組織標本における、特定の生体物質の発現を示すものである。図4に、蛍光画像の一例を示す。
<蛍光画像の取得>
ここで、蛍光画像の取得方法について、この蛍光画像の取得に際して用いられる染色試薬、染色試薬による組織標本の染色方法等も含めて詳細に説明する。
〔蛍光物質〕
蛍光画像の取得のための染色試薬に用いられる蛍光物質としては、蛍光有機色素及び量子ドット(半導体粒子)を挙げることができる。200〜700nmの範囲内の波長の紫外〜近赤外光により励起されたときに、400〜1100nmの範囲内の波長の可視〜近赤外光の発光を示すことが好ましい。
蛍光有機色素としては、フルオレセイン系色素分子、ローダミン系色素分子、Alexa Fluor(インビトロジェン社製)系色素分子、BODIPY(インビトロジェン社製)系色素分子、カスケード系色素分子、クマリン系色素分子、エオジン系色素分子、NBD系色素分子、ピレン系色素分子、Texas Red系色素分子、シアニン系色素分子等を挙げることができる。
具体的には、5−カルボキシ−フルオレセイン、6−カルボキシ−フルオレセイン、5,6−ジカルボキシ−フルオレセイン、6−カルボキシ−2’,4,4’,5’,7,7’−ヘキサクロロフルオレセイン、6−カルボキシ−2’,4,7,7’−テトラクロロフルオレセイン、6−カルボキシ−4’,5’−ジクロロ−2’,7’−ジメトキシフルオレセイン、ナフトフルオレセイン、5−カルボキシ−ローダミン、6−カルボキシ−ローダミン、5,6−ジカルボキシ−ローダミン、ローダミン 6G、テトラメチルローダミン、X−ローダミン、及びAlexa Fluor 350、Alexa Fluor 405、Alexa Fluor 430、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 500、Alexa Fluor 514、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 555、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 610、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 635、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680、Alexa Fluor 700、Alexa Fluor 750、BODIPY FL、BODIPY TMR、BODIPY 493/503、BODIPY 530/550、BODIPY 558/568、BODIPY 564/570、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665(以上インビトロジェン社製)、メトキシクマリン、エオジン、NBD、ピレン、Cy5、Cy5.5、Cy7等を挙げることができる。
量子ドットとしては、II−VI族化合物、III−V族化合物、又はIV族元素を成分として含有する量子ドット(それぞれ、「II−VI族量子ドット」、「III−V族量子ドット」、「IV族量子ドット」ともいう。)のいずれかを用いることができる。
具体的には、CdSe、CdS、CdTe、ZnSe、ZnS、ZnTe、InP、InN、InAs、InGaP、GaP、GaAs、Si、Geが挙げられるが、これらに限定されない。
〔蛍光物質内包ナノ粒子〕
本実施の形態において、蛍光物質は、複数の蛍光物質を内包したナノ粒子(蛍光粒子)を形成していることが好ましい。蛍光粒子とは、蛍光物質がナノ粒子内部に分散されたものをいい、蛍光物質とナノ粒子自体とが化学的に結合していても、結合していなくてもよい。ナノ粒子を構成する素材は特に限定されるものではなく、ポリスチレン、ポリ乳酸、シリカ、メラミン等を挙げることができる。
また、量子ドットをコアとし、その上にシェルを設けた量子ドットを蛍光粒子として用いることもできる。以下、本明細書中シェルを有する量子ドットの表記法として、コアがCdSe、シェルがZnSの場合、CdSe/ZnSと表記する。例えば、CdSe/ZnS、CdS/ZnS、InP/ZnS、InGaP/ZnS、Si/SiO2、Si/ZnS、Ge/GeO2、Ge/ZnS等を用いることができるが、これらに限定されない。
量子ドットは必要に応じて、有機ポリマー等により表面処理が施されているものを用いてもよい。例えば、表面カルボキシ基を有するCdSe/ZnS(インビトロジェン社製)、表面アミノ基を有するCdSe/ZnS(インビトロジェン社製)等が挙げられる。
本実施の形態で用いられる蛍光粒子は、公知の方法により作製することが可能であり、蛍光色素の内包には、原料であるモノマーに蛍光色素の分子を結合させて粒子を合成する方法、樹脂に蛍光色素を吸着させて導入する方法など、樹脂中への蛍光色素の導入はいかなる方法を用いても構わない。
蛍光有機色素を内包したポリスチレンナノ粒子は、米国特許4326008(1982)に記載されている重合性官能基をもつ有機色素を用いた共重合法や、米国特許5326692(1992)に記載されているポリスチレンナノ粒子への蛍光有機色素の含浸法を用いて作製することができる。
量子ドットを内包したポリマーナノ粒子は、ネイチャー・バイオテクノロジー19巻631ページ(2001)に記載されているポリスチレンナノ粒子への量子ドットの含浸法を用いて作製することができる。
本実施の形態で用いられる蛍光粒子の粒径は特に限定されないが、粒径が大きいものは、生体物質との結合が妨げられて定量結果が不正確となることがあり、また、粒径が小さいものは、1つの蛍光粒子に含まれる蛍光物質が少ないため蛍光粒子の信号がバックグラウンドノイズ(カメラのノイズや細胞の自家蛍光)に埋もれて定量が困難であることなどから、蛍光粒子の平均粒径は50〜250nm程度のものが好適である。また、粒径のばらつきを示す変動係数(=(標準偏差/平均値)×100%)は特に限定されないが、20%以下のものを用いることが好ましい。
なお、蛍光粒子の平均粒径の算出においては、まず、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影した電子顕微鏡写真から蛍光粒子の断面積を計測し、各計測値を円の面積としたときの円の直径を粒径とする。本願においては、1000個の蛍光粒子の粒径を計測し、その算術平均を平均粒径とした。変動係数も、1000個の粒子の粒径分布から算出した値とした。
〔蛍光粒子の表面修飾〕
蛍光粒子は、目的とする生体物質と特異的に結合及び/又は反応するために表面修飾を施される。目的とする生体物質は、それと特異的に結合する物質が存在するものであれば特に限定されるものではないが、代表的にはタンパク質(ペプチド)および核酸(オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド)、抗体等が挙げられる。したがって、そのような目的とする生体物質に結合する物質としては、前記タンパク質を抗原として認識する抗体やそれに特異的に結合する他のタンパク質等、および前記核酸にハイブリタイズする塩基配列を有する核酸等が挙げられる。具体的には、細胞核に存在するタンパク質であるKi67に特異的に結合する抗Ki67抗体、細胞膜に存在するタンパク質であるHER2に特異的に結合する抗HER2抗体、細胞骨格を形成するアクチンに特異的に結合する抗アクチン抗体等があげられる。中でも抗Ki67抗体及び抗HER2抗体を蛍光粒子に結合させたものは、乳癌の投薬選定に用いることができ、好ましい。
表面修飾された蛍光粒子と、目的とする生体物質は、直接結合されても良いが、別の物質を介して間接的に結合されても良い。例えば、生体物質に特異的に結合する一次抗体及び、一次抗体に特異的に結合するビオチン化二次抗体を介して、ビオチンに特異的に結合するストレプトアビジンにより修飾された蛍光粒子と生体物質が結合することとしても良い。
一次抗体及び二次抗体は、蛍光粒子が特定の生体物質に特異的に結合できる組み合わせの抗体を任意に用いることができ、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体のいずれを用いても良い。
特定抗原としては以下を例示することができ、各抗原を認識する抗体はさまざまな抗体メーカーから入手可能であるとともに一般的な知識に基づいて作成可能である。例示としてM.アクチン、M.S.アクチン、S.M.アクチン、ACTH、Alk-1、α1-アンチキモトリプシン、α1-アンチトリプシン、AFP、bcl-2、bcl-6、β-カテニン、BCA 225、CA19-9、CA125、カルシトニン、カルレチニン、CD1a、CD3、CD4、CD5、CD8、CD10、CD15、CD20、CD21、CD23、CD30、CD31、CD34、CD43、CD45、CD45R、CD56、CD57、CD61、CD68、CD79a、"CD99、MIC2"、CD138、クロモグラニン、c-KIT、c-MET、コラーゲン タイプIV、Cox-2、サイクリンD1、ケラチン、サイトケラチン(高分子量)、パンケラチン、パンケラチン、サイトケラチン5/6、サイトケラチン 7、サイトケラチン 8、サイトケラチン8/18、サイトケラチン 14、サイトケラチン 19、サイトケラチン 20、CMV、E-カドヘリン、EGFR、ER、EMA、EBV、第VIII因子関連抗原、ファッシン、FSH、ガレクチン-3、ガストリン、GFAP、グルカゴン、グリコフォリン A、グランザイムB、hCG、hGH、ヘリコバクターピロリ、HBc 抗原、HBs 抗原、ヘパトサイト特異抗原、HER2、HSV -I、HSV -II、HHV-8、IgA、IgG、IgM、IGF-1R、インヒビン、インスリン、カッパ L鎖、Ki67、ラムダ L鎖、LH、リゾチーム、マクロファージ、メランA、MLH-1、MSH-2、ミエロパーオキシダーゼ、ミオゲニン、ミオグロビン、ミオシン、ニューロフィラメント、NSE、p27 (Kip1)、p53、p53、P63、PAX 5、PLAP、ニューモシスティス カリニ、ポドプラニン(D2-40)、PGR、プロラクチン、PSA、前立腺酸性フォスファターゼ、Renal Cell Carcinoma、S100、ソマトスタチン、スペクトリン、シナプトフィジン、TAG-72、TdT、サイログロブリン、TSH、TTF-1、TRAcP、トリプターゼ、ビリン、ビメンチン、WT1、Zap-70が挙げられる。
目的とする生体物質が核酸の場合、病気との関連が指摘されている特定核酸遺伝子としては以下を例示することができ、各特定核酸遺伝子を認識するプローブは、BACプローブとして入手可能であるとともに一般的な知識に基づいて作成可能である。具体的な特定核酸遺伝子の例示は以下の通り。癌の増殖や分子標的薬の奏効率に関係する遺伝子として、HER2、TOP2A、HER3、EGFR、P53、METなどが挙げられ、さらに、各種癌関連遺伝子として知られている遺伝子として、以下のものが挙げられる。チロシンキナーゼ関連遺伝子として、ALK、FLT3、AXL、FLT4(VEGFR3、DDR1、FMS(CSF1R)、DDR2、EGFR(ERBB1)、HER4(ERBB4)、EML4−ALK、IGF1R、EPHA1、INSR、EPHA2、IRR(INSRR)、EPHA3、KIT、EPHA4、LTK、EPHA5、MER(MERTK)、EPHA6、MET、EPHA7、MUSK、EPHA8、NPM1−ALK、EPHB1、PDGFRα(PDGFRA)、EPHB2、PDGFRβ(PDGFRB)EPHB3、RET、EPHB4、RON(MST1R)、FGFR1、ROS(ROS1)、FGFR2、TIE2(TEK)、FGFR3、TRKA(NTRK1)、FGFR4、TRKB(NTRK2)、FLT1(VEGFR1)、TRKC(NTRK3) が挙げられる。また、乳がん関連の遺伝子としてATM、BRCA1、BRCA2、BRCA3、CCND1、E−Cadherin、ERBB2、ETV6、FGFR1、HRAS、KRAS、NRAS、NTRK3、p53、PTENが挙げられる。カルチノイド腫瘍に関連する遺伝子として、BCL2、BRD4、CCND1、CDKN1A、CDKN2A、CTNNB1、HES1、MAP2、MEN1、NF1、NOTCH1、NUT、RAF、SDHD、VEGFAが挙げられる。大腸がん関連遺伝子として、APC、MSH6、AXIN2、MYH、BMPR1A、p53、DCC、PMS2、KRAS2 (or Ki−ras)、PTEN、MLH1、SMAD4、MSH2、STK11、MSH6が挙げられる。肺がん関連の遺伝子としては、ALK、PTEN、CCND1、RASSF1A、CDKN2A、RB1、EGFR、RET、EML4、ROS1、KRAS2、TP53、MYCが挙げられる。肝臓がん関連の遺伝子としては、Axin1、MALAT1、b−catenin、p16 INK4A、c−ERBB−2、p53、CTNNB1、RB1、Cyclin D1、SMAD2、EGFR、SMAD4、IGFR2、TCF1、KRASが挙げられる。腎臓がん関連遺伝子として、Alpha、PRCC、ASPSCR1、PSF、CLTC、TFE3、p54nrb/NONO、TFEBが挙げられる。甲状腺がん関連遺伝子として、AKAP10、NTRK1、AKAP9、RET、BRAF、TFG、ELE1、TPM3、H4/D10S170、TPRが挙げられる。卵巣がん関連遺伝子として、AKT2、MDM2、BCL2、MYC、BRCA1、NCOA4、CDKN2A、p53、ERBB2、PIK3CA、GATA4、RB、HRAS、RET、KRAS、RNASET2が挙げられる。前立腺がん関連遺伝子として、AR、KLK3、BRCA2、MYC、CDKN1B、NKX3.1、EZH2、p53、GSTP1、PTENが挙げられる。骨腫瘍関連遺伝子として、CDH11、COL12A1、CNBP、OMD、COL1A1、THRAP3、COL4A5、USP6が挙げられる。
蛍光粒子を修飾する物質と蛍光粒子の結合の態様としては特に限定されず、共有結合、イオン結合、水素結合、配位結合、物理吸着及び化学吸着等が挙げられる。結合の安定性から共有結合等の結合力の強い結合が好ましい。
また、蛍光粒子を修飾する物質と蛍光粒子の間を連結する有機分子があってもよい。例えば、生体物質との非特異的吸着を抑制するため、ポリエチレングリコール鎖を用いることができ、Thermo Scientific社製SM(PEG)12を用いることができる。
蛍光物質内包シリカナノ粒子を表面修飾する場合、蛍光物質が蛍光有機色素の場合でも、量子ドットの場合でも同様の手順を適用することができる。例えば、無機物と有機物を結合させるために広く用いられている化合物であるシランカップリング剤を用いることができる。このシランカップリング剤は、分子の一端に加水分解でシラノール基を与えるアルコキシシリル基を有し、他端に、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、アルデヒド基等の官能基を有する化合物であり、上記シラノール基の酸素原子を介して無機物と結合する。具体的には、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ポリエチレングリコール鎖をもつシランカップリング剤(例えば、Gelest社製PEG-silane no.SIM6492.7)等が挙げられる。シランカップリング剤を用いる場合、二種以上を併用してもよい。
蛍光有機色素内包ナノ粒子とシランカップリング剤との反応手順は、公知の手法を用いることができる。例えば、得られた蛍光有機色素内包ナノ粒子を純水中に分散させ、アミノプロピルトリエトキシシランを添加し、室温で12時間反応させる。反応終了後、遠心分離又はろ過により表面がアミノプロピル基で修飾された蛍光有機色素内包ナノ粒子を得ることができる。続いてアミノ基と抗体中のカルボキシル基とを反応させることで、アミド結合を介し抗体を蛍光有機色素内包ナノ粒子と結合させることができる。必要に応じて、EDC(1-Ethyl-3-[3-Dimethylaminopropyl]carbodiimide Hydrochloride:Pierce(登録商標)社製)のような縮合剤を用いることもできる。
必要により、有機分子で修飾された蛍光有機色素内包ナノ粒子と直接結合しうる部位と、分子標的物質と結合しうる部位とを有するリンカー化合物を用いることができる。具体例として、アミノ基と選択的に反応する部位とメルカプト基と選択的に反応する部位の両方をもつsulfo-SMCC(Sulfosuccinimidyl 4[N-maleimidomethyl]-cyclohexane-1-carboxylate:Pierce社製)を用いると、アミノプロピルトリエトキシシランで修飾した蛍光有機色素内包ナノ粒子のアミノ基と、抗体中のメルカプト基を結合させることで、抗体結合した蛍光有機色素内包ナノ粒子ができる。
蛍光物質内包ポリスチレンナノ粒子へ生体物質認識部位を結合させる場合、蛍光物質が蛍光有機色素の場合でも、量子ドットの場合でも同様の手順を適用することができる。すなわち、アミノ基等の官能基をもつポリスチレンナノ粒子へ蛍光有機色素、量子ドットを含浸することにより、官能基をもつ蛍光物質内包ポリスチレンナノ粒子を得ることができ、以降EDC又はsulfo-SMCCを用いることで、抗体結合した蛍光物質内包ポリスチレンナノ粒子ができる。
〔染色方法〕
以下、表面修飾された蛍光粒子を用いて、パラフィン包埋された組織切片である組織標本の染色方法について述べるが、本発明はこれに限定されるものではなく、基板上に固定した細胞等の標本にも適用可能である。
また、以下に説明する染色方法が適用できる標本の作製法は特に限定されず、公知の方法により作製されたものを用いることができる。
1)脱パラフィン工程
キシレンを入れた容器に組織標本を浸漬させ、パラフィンを除去する。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また、必要により浸漬途中でキシレンを交換してもよい。
次いで、エタノールを入れた容器に組織標本を浸漬させ、キシレンを除去する。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また、必要により浸漬途中でエタノールを交換してもよい。
次いで、水を入れた容器に組織標本を浸漬させ、エタノールを除去する。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また、必要により浸漬途中で水を交換してもよい。
2)賦活化処理
公知の方法にならい、目的とする生体物質の賦活化処理を行う。賦活化条件に特に定めはないが、賦活液としては、0.01M クエン酸緩衝液(pH6.0)、1mM EDTA溶液(pH8.0)、5% 尿素、0.1M トリス塩酸緩衝液等を用いることができる。加熱機器は、オートクレーブ、マイクロウェーブ、圧力鍋、ウォーターバス等を用いることができる。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。温度は50−130℃、時間は5−30分で行うことができる。
次いで、PBS(Phosphate Buffered Saline:リン酸緩衝生理食塩水)を入れた容器に、賦活化処理後の標本を浸漬させ、洗浄を行う。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また、必要により浸漬途中でPBSを交換してもよい。
3)表面修飾された蛍光粒子を用いた染色
染色試薬として、表面修飾された蛍光粒子を複数種類混合したPBS分散液(混合試薬)を準備する。混合する蛍光粒子は、内包する蛍光物質が発する蛍光を分離して撮像できる組み合わせのものを任意に選択可能であり、任意の種類数を選択して良いが、特に、蛍光物質の励起光の波長差及び発光の波長差が、共にできるだけ大きくなるように選択することが好ましい。
また、1分子の生体物質に対しては、蛍光粒子が1粒子のみ結合して、蛍光粒子が2粒子以上結合しないようにするために、蛍光粒子に内包される蛍光物質の種類のみが異なり、その他の構成(例えば、表面修飾の構造、ナノ粒子の素材、平均粒径、粒径の変動係数など)は同じとなるように作製された蛍光粒子を混合することが好ましい。
表面修飾された蛍光粒子のPBS分散液を複数種類混合した染色試薬を、組織標本に載せ、目的とする生体物質と反応させる。蛍光粒子の表面修飾を変えることにより、さまざまな生体物質に対応した染色が可能となる。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。反応時間は、30分以上24時間以下であることが好ましい。
蛍光粒子による染色を行う前に、BSA含有PBS等、公知のブロッキング剤を滴下することが好ましい。
次いで、PBSを入れた容器に、染色後の組織標本を浸漬させ、未反応蛍光粒子の除去を行う。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また、必要により浸漬途中でPBSを交換してもよい。カバーガラスを組織標本に載せ、封入する。必要に応じて市販の封入剤を使用してもよい。
なお、HE染色試薬を用いて染色を行う場合、カバーガラスによる封入前にHE染色を行う。
〔蛍光画像の取得〕
染色した組織標本に対し顕微鏡画像取得装置1Aを用いて、広視野の顕微鏡画像(蛍光画像)を取得する。顕微鏡画像取得装置1Aにおいて、蛍光染色に用いた蛍光物質の吸収極大波長及び蛍光波長に対応した励起光源及び蛍光検出用光学フィルターを選択する。
<病理診断支援システム100の動作(画像処理方法を含む。)>
以下、病理診断支援システム100において、上記説明した蛍光画像及び明視野画像を取得して解析を行う動作について説明する。ここでは、HE染色試薬及び細胞核に発現する特定のタンパク質(以下、特定タンパクと呼ぶ。)を認識する生体物質認識部位が結合した蛍光粒子を含む2種類の染色試薬(以下、染色試薬A及びBとする)を同量ずつ混合した混合試薬を用いて染色された組織標本を観察対象とする場合を例にとり説明する。特定タンパクの1分子に対しては、混合試薬に含まれる蛍光粒子のうち1粒子のみが結合可能であるように、混合する染色試薬A及びBの種類を選択する。
まず、操作者は、HE染色試薬及び混合試薬を用いて組織標本を染色する。その後、顕微鏡画像取得装置1Aにおいて、(a1)〜(a6)の手順により明視野画像及び蛍光画像が取得される。
(a1)操作者は、HE染色試薬と、混合試薬とにより染色された組織標本をスライドに載置し、そのスライドを顕微鏡画像取得装置1Aのスライド固定ステージに設置する。
(a2)明視野ユニットに設定し、撮影倍率、ピントの調整を行い、組織上の観察対象の領域を視野に納める。
(a3)撮像手段で撮影を行って明視野画像の画像データを生成し、画像処理装置2Aに画像データを送信する。
(a4)ユニットを蛍光ユニットに変更する。
(a5)視野及び撮影倍率を変えずに、励起光及びフィルターを適宜選択して、染色試薬Aに含まれる蛍光粒子を励起させた状態で撮像手段により撮影を行って、染色試薬Aが発する蛍光を撮影した第一の蛍光画像の画像データを生成し、画像処理装置2Aに画像データを送信する。
(a6)視野及び撮影倍率を変えずに、励起光及びフィルターを適宜選択して、染色試薬Bに含まれる蛍光粒子を励起させた状態で撮像手段により撮影を行って、染色試薬Bが発する蛍光を撮影した第二の蛍光画像の画像データを生成し、画像処理装置2Aに画像データを送信する。
画像処理装置2Aにおいては、(a3)、(a5)、及び(a6)で撮影された明視野画像、第一の蛍光画像、及び第二の蛍光画像に基づき画像解析処理が実行される。
図5に、画像処理装置2Aにおける画像解析処理のフローチャートを示す。図5に示す画像解析処理は、制御部21と記憶部25に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
まず、通信I/F24により顕微鏡画像取得装置1Aからの明視野画像が入力されると(ステップS1)、制御部21は、明視野画像から細胞核の領域を抽出する(ステップS2)。
図6に、ステップS2における処理の詳細フローを示す。ステップS2の処理は、制御部21と記憶部25に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
ステップS2においては、HE染色により青色に染色された細胞核の領域を抽出するため、明視野画像を色分解して青色の成分を抽出し、モノクロ画像へ変換する(ステップS201)。なお、青色の成分のみを抽出するのではなく、青色を強調するような色相変換を行っても良い。図7(a)に、モノクロ画像に変換された明視野画像の一例を示す。
次いで、モノクロ画像に対し予め定められた閾値を用いて閾値処理を施し、各画素の値を二値化した二値画像を生成する(ステップS202)。
次いで、ノイズ処理を行う(ステップS203)。ノイズ処理は、具体的には、二値画像にクロージング処理を施すことにより行うことができる。クロージング処理は、膨張処理を行ってから同じ回数分だけ収縮処理を行う処理である。膨張処理は、注目画素からn×n画素(nは2以上の整数)の範囲内にある画素に1つでも白が含まれている場合に注目画素を白に置き換える処理である。収縮処理は、注目画素からn×n画素の範囲内にある画素に1つでも黒が含まれている場合に注目画素を黒に置き換える処理である。クロージング処理により、ノイズ等の小さい領域を除去することができる。図7(b)に示されように、ノイズ処理後には、細胞核が抽出された画像(細胞核画像)が生成される。
次いで、ノイズ処理後の画像にラベリング処理を施し、抽出された細胞核のそれぞれにラベルを付与する(ステップS204)。ラベリング処理とは、連結している画素に同じラベル(番号)を付与していくことで画像内のオブジェクトを識別する処理である。ラベリング処理により、ノイズ処理後の画像から各細胞核を識別してラベルを付与することができる。
次いで、図5の画像解析処理に戻り、通信I/F24により、顕微鏡画像取得装置1Aにより取得された蛍光画像(本実施の形態では、第一の蛍光画像及び第二の蛍光画像)が入力されると(ステップS3)、制御部21は、入力された各蛍光画像から、輝点領域を抽出する(ステップS4)。
図8に、ステップS4における処理の詳細フローを示す。ステップS4の処理は、制御部21と記憶部25に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
ステップS4においては、まず、細胞自家蛍光や他の不要信号成分等のノイズ除去処理が施される(ステップS401)。ノイズ除去処理には、ガウシアンフィルター等のローパスフィルターや二次微分等のハイパスフィルターが好ましく用いられる。図9(a)に、ノイズ除去処理後の蛍光画像の一例を示す。
次いで、蛍光画像に閾値処理を施し、二値画像を生成して輝点領域を抽出する(ステップS402)。図9(b)に、輝点領域が抽出された画像(輝点領域画像)の一例を示す。
次いで、抽出された輝点領域のそれぞれにラベルを付与するラベリング処理を施す(ステップS403)。
ステップS403の処理の終了後、図5の画像解析処理に戻り、輝点領域画像(図9(b))と細胞核画像(図7(b))を重ね合わせる加算処理が行われ、細胞核における輝点領域の分布が画像処理装置2Aの表示部23に表示されて(ステップS5)、ステップS204でラベリングされた各細胞核上に存在する輝点領域の数(輝点数)が算出される(ステップS6)。
次いで、制御部21は、ステップS3で入力された全ての蛍光画像に基づいて輝点数を算出したか否かを判定する(ステップS7)。
全ての蛍光画像に基づいて輝点数を算出していない場合には(ステップS7:No)、ステップS4の処理に戻り、輝点数を算出していない蛍光画像に対してステップS4〜S6の画像処理を実行して、輝点数を算出する。
制御部21が、全ての蛍光画像に基づいて輝点数が算出されたと判定すると(ステップS7:Yes)、ステップS6において蛍光画像ごとに算出された各細胞核上に存在する輝点数を加算して(ステップS8)、細胞核当りの総輝点数を算出する。
以上の本実施形態によれば、相異なる蛍光波長の蛍光物質を含む蛍光粒子を混合して染色された組織標本から、ステップS1〜S2の処理により細胞核の領域が抽出され、ステップS3〜S7の処理により、蛍光物質の波長毎に細胞核当りの輝点数が算出され、ステップS8の処理により、細胞核当たりの総輝点数が算出される。
本実施形態により算出される輝点数と、画像取得に用いる顕微鏡の分解能の関係を、図10の模式図を用いて説明する。
図10(a)は、同一種類の複数の特定タンパク30A及び30Bの発現を示す顕微鏡画像の模式図であり、点線で示される円31の直径Rは、蛍光画像の取得に用いる光学顕微鏡の分解能である。
図10(a)のように分布している特定タンパク30A及び30Bのそれぞれに、同一波長の蛍光を発する蛍光粒子32Aが結合すると、2つの蛍光粒子32Aによる蛍光輝点は、図10(b)に示されるように顕微鏡の分解能よりも近接しているため、2つの蛍光輝点を蛍光画像上で分離して観察することができない。従って、本実施形態の画像解析処理を実行すると、輝点数は1と算出される。
一方、図10(a)のように分布している特定タンパク30A及び30Bのそれぞれに、図10(c)に示されるように相異なる波長の蛍光を発する2種類の蛍光粒子32A及び32Bが結合すると、特定タンパク30A及び30Bは、異なる蛍光波長の蛍光粒子で染め分けられることとなる本実施形態の画像解析処理を実行すると、蛍光粒子32A及び32Bの蛍光は別の蛍光画像上の蛍光輝点として撮影されることとなるため、蛍光粒子32A及び32Bに基づく輝点が分離されて、輝点数は2と算出される。
混合する蛍光粒子の色数が多いほど、隣接する特定タンパクが異なる蛍光粒子により染め分けられる確率が増加するため、高密度に分布した蛍光物質を分離して算出される確率が高まり、正確な定量が可能となる。
なお、上記実施形態における記述内容は、本発明の好適な一例であり、これに限定されるものではない。
例えば、蛍光染色粒子を含む染色試薬は、3種類以上混合しても良い。また、特定タンパクの種類に応じて、特定タンパクが発現する領域を染色可能なHE染色以外の染色方法を用いて、染色を行っても良い。
また、本実施の形態において、蛍光染色に用いられる蛍光物質は、蛍光物質を複数集積した蛍光粒子を例として説明したが、これに限定されるものではなく、生体物質1分子に結合する蛍光物質の蛍光が顕微鏡画像上でドット状に観察される場合であれば、本発明の定量方法を適用することができる。
しかし、例えば生体物質1分子を有機蛍光色素1分子で蛍光染色したような場合には、有機蛍光色素1分子のわずかな蛍光を撮影できるように画像取得条件(露光時間、コントラスト等)を調整すると、細胞全体が蛍光を発するような画像となって蛍光輝点がドット状に得られないことが多い。一方、蛍光粒子は1粒子当たりの輝度値が高く、蛍光粒子1粒子に相当する蛍光輝点をドット状に観察することが容易であるという利点がある。また、蛍光粒子は、褪色を起こしにくいという観点からも、蛍光画像取得が容易である。以上のような観点から、本発明においては、蛍光物質を複数集積した蛍光粒子を染色試薬として用いることが好ましい。
また、複数の蛍光粒子を混合する割合は任意であるが、隣接する特定タンパクが発光波長の異なる蛍光粒子で染色される確率を高めるためには、相異なる発光波長の蛍光粒子が同一濃度となるように混合することが好ましい。
しかし、例えば特定タンパクが非常に高密度に発現している場合や、画像取得に用いる顕微鏡の分解能が低い場合には、相異なる発光波長の蛍光粒子の濃度を異ならせて混合して用いることも有効である。例えば、図10の円31内に生体物質30が10個以上存在するような場合には、全ての生体物質30を異なる発光波長の蛍光粒子で染色して識別することは事実上非常に困難であるが、2種類の染色試薬(染色試薬A及びBとする)の混合比率をA:B=1:9として、染色試薬Aの発する蛍光を撮影した蛍光画像から計測した輝点数の10倍を、1細胞核当りの総輝点数とみなすという解析が可能である。
また、ステップS4において、輝点領域に含まれる蛍光粒子数を解析する画像処理を実行して、ステップS5〜S7において、細胞核当りの輝点数の代わりに、細胞核当りの蛍光粒子数を算出することとしても良い。輝点領域に含まれる蛍光粒子数の算出方法は任意である。
また、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体としてHDDや半導体の不揮発性メモリー等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを、通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
その他、病理診断支援システム100を構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
(A)蛍光物質内包ナノ粒子の作製及び表面修飾
以下の(A−1)〜(A−3)の工程により、蛍光波長が異なる3種の蛍光物質をそれぞれ内包する蛍光物質内包ナノ粒子を作製し、ストレプトアビジンと結合させる表面修飾を行った。
(A−1)Alexa488内包ナノ粒子
蛍光物質としてAlexa488(ライフテクノロジーズ社製、励起波長490nm/蛍光波長525nm)2.5mgを水22.5mLに加えた後、ホットスターラー上で70℃で20分間加熱し、メラミン樹脂ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製、重量平均重合度:1.5)1.5gを加え、さらに5分間加熱撹拌した。ギ酸100μLを加え、60℃で20分間加熱撹拌した後、室温で放冷した。冷却後、反応混合物を遠心用チューブに入れて遠心分離機に12,000rpmで20分間かけ、上澄みを除去した。この粒子を1mLの純水中に再分散して、Alexa488内包ナノ粒子としてブチルヒドロキシトルエン・色素内包メラミン樹脂ナノ粒子を得た。
得られたAlexa488内包ナノ粒子を走査型電子顕微鏡(SEM;日立社製 S−800型)で観察したところ、平均粒径は150nmであった。
得られたAlexa488内包ナノ粒子0.1mgをEtOH1.5mL中に分散し、アミンプロピルトリメトキシシランLS−3150(信越化学工業社製)2μLを加えて8時間反応させて表面アミノ化処理を行なった。
次いで、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)を2mM含有したPBS(リン酸緩衝液生理的食塩水)を用いて3nMに調整し、この溶液に最終濃度10mMとなるようSM(PEG)12(サーモサイエンティフィック社製、succinimidyl-[(N-maleomidopropionamid)-dodecaethyleneglycol]ester)を混合し、1時間反応させた。この混合液を10,000Gで20分遠心分離を行い、上澄みを除去した後、EDTAを2mM含有したPBSを加え、沈降物を分散させ、再度遠心分離を行った。同様の手順による洗浄を3回行うことで末端にマレイミド基が付いたAlexa488内包ナノ粒子を得た。
一方、ストレプトアビジン(和光純薬社製)をN-succinimidyl S-acetylthioacetate(SATA)を用いてチオール基付加処理を行ったのち、ゲルろ過カラムによるろ過を行い、Alexa488内包ナノ粒子に結合可能なストレプトアビジン溶液を得た。
上記のAlexa488内包ナノ粒子とストレプトアビジンとを、EDTAを2mM含有したPBS中で混合し、1時間反応させた。10mMメルカプトエタノールを添加し、反応を停止させた。得られた溶液を遠心フィルターで濃縮後、精製用ゲルろ過カラムを用いて未反応ストレプトアビジン等を除去し、平均粒径150nmのストレプトアビジン結合Alexa488内包ナノ粒子を得た。
また、以上の平均粒径150nmのストレプトアビジン結合Alexa488内包ナノ粒子の作製及び表面修飾の工程において、メラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)を0.4gとした他は同様にして、平均粒径50nmのストレプトアビジン結合Alexa488内包ナノ粒子を得た。
(A−2)Alexa594内包ナノ粒子
(A−1)の工程において、Alexa488をAlexa594(ライフテクノロジーズ社製、最大励起波長594nm/最大蛍光波長580nm)に変更した他は同様にして、平均粒径150nm及び50nmの、ストレプトアビジン結合Alexa594内包ナノ粒子を得た。
(A−3)Alexa647内包ナノ粒子
(A−1)の工程において、Alexa488をAlexa647(ライフテクノロジーズ社製、最大励起波長650nm/最大蛍光波長665nm)に変更した他は同様にして、平均粒径150nm及び50nmの、ストレプトアビジン結合Alexa647内包ナノ粒子を得た。
(B)蛍光染色
<実施例1>
ホルマリン固定及びパラフィン包埋したヒト乳房組織から作製した病理切片を組織標本として用いた。組織標本を、キシレンを用いて脱パラフィン処理した後、オートクレーブ内で125℃で5分間賦活化及び、BSA1%溶液でブロッキングした後、市販のHE染色試薬を用いてHE染色を施した。
HE染色後の組織標本に、1次抗体として抗HER2抗体(ベンタナ パスウェーHER2(4B5))3μg/mlを室温で40分反応させた後、マウス ビオチン化2次抗体(ベンタナDABユニバーサルキット)6μg/mlを室温で30分反応させた。
1次抗体及び2次抗体と反応させた組織標本を、(A)で作製したストレプトアビジン結合蛍光物質内包ナノ粒子のうち、平均粒径が150nmの任意の蛍光波長のものを2種類選択して同量ずつ混合し、混合した合計濃度が0.2nMとなるように調整したものを組織標本に反応させて、細胞膜に発現するタンパク質であるHER2の蛍光染色を実施した。こののち、脱水操作及びエンテランニューによる封入を行った。
<実施例2>
実施例1において、ストレプトアビジン結合蛍光物質内包ナノ粒子のうち、平均粒径が150nmのもの3種類を同量ずつ混合し、混合した合計濃度が0.2nMとなるように調整したものを組織標本に反応させて蛍光染色を実施した他は同様にして、HER2を蛍光染色した組織標本を作製した。
<実施例3>
実施例1において、ストレプトアビジン結合蛍光物質内包ナノ粒子のうち、平均粒径が50nmの任意の蛍光波長のものを2種類選択して同量ずつ混合し、混合した合計濃度が0.2nMとなるように調整したものを組織標本に反応させて蛍光染色を実施した他は同様にして、HER2を蛍光染色した組織標本を作製した。
<実施例4>
実施例3において、ストレプトアビジン結合蛍光物質内包ナノ粒子のうち、平均粒径が50nmのもの3種類を同量ずつ混合し、混合した合計濃度が0.2nMとなるように調整したものを組織標本に反応させて蛍光染色を実施した他は同様にして、HER2を蛍光染色した組織標本を作製した。
<実施例5>
実施例1において、1次抗体としてKi67(クローンMIB1、DAKO社製)3μg/ml、2次抗体としてマウス ビオチン化2次抗体(ニチレイヒストファイン社製)6μg/mlを用いた以外は同様にして、細胞核に発現するタンパク質であるKi67の蛍光染色を実施した。
<実施例6>
実施例5において、ストレプトアビジン結合蛍光物質内包ナノ粒子のうち、平均粒径が50nmの任意の蛍光波長のものを2種類選択して同量ずつ混合し、混合した合計濃度が0.2nMとなるように調整したものを組織標本に反応させて蛍光染色を実施した他は同様にして、Ki67を蛍光染色した組織標本を作製した。
<実施例7>
実施例3において、ストレプトアビジン結合蛍光物質内包ナノ粒子のうち、平均粒径が50nmのもの3種類を同量ずつ混合し、混合した合計濃度が0.2nMとなるように調整したものを組織標本に反応させて蛍光染色を実施した他は同様にして、Ki67を蛍光染色した組織標本を作製した。
<比較例1>
実施例1において、ストレプトアビジン結合蛍光物質内包ナノ粒子のうち、平均粒径が150nmの任意の蛍光波長のものを1種類用いて濃度が0.2nMとなるように調整したものを組織標本に反応させて蛍光染色を実施した他は同様にして、HER2を蛍光染色した組織標本を作製した。
<比較例2>
比較例1において、ストレプトアビジン結合蛍光物質内包ナノ粒子のうち、平均粒径が50nmの任意の蛍光波長のものを1種類用いて濃度が0.2nMとなるように調整したものを組織標本に反応させて蛍光染色を実施した他は同様にして、HER2を蛍光染色した組織標本を作製した。
<比較例3>
実施例5において、ストレプトアビジン結合蛍光物質内包ナノ粒子のうち、平均粒径が150nmの任意の蛍光波長のものを1種類用いて濃度が0.2nMとなるように調整したものを組織標本に反応させて蛍光染色を実施した他は同様にして、Ki67を蛍光染色した組織標本を作製した。
<比較例4>
比較例3において、ストレプトアビジン結合蛍光物質内包ナノ粒子のうち、平均粒径が50nmの任意の蛍光波長のものを1種類用いて濃度が0.2nMとなるように調整したものを組織標本に反応させて蛍光染色を実施した他は同様にして、Ki67を蛍光染色した組織標本を作製した。
(C)画像の取得及び画像解析処理
<画像の取得>
蛍光染色を施した実施例1〜7及び比較例1〜4の組織標本の蛍光画像及び明視野画像を、蛍光顕微鏡(カールツァイス社製、Axio Imager Z2)及び超解像顕微鏡(ニコン社製、N−SIM)を用いて、それぞれ取得した。
なお、本実施例で用いた蛍光顕微鏡の分解能は約200nm(例えば、Alexa488の蛍光を観察する場合のReyleighの分解能は334nm)、超解像顕微鏡の分解能は約100nm(例えば、Alexa488の蛍光を観察する場合のReyleighの分解能は85nm)であった。
蛍光画像は、蛍光染色に用いたストレプトアビジン結合蛍光物質内包ナノ粒子の種類ごとに蛍光画像を取得した。蛍光画像の取得において用いる励起光及び蛍光検出用光学フィルターは、以下のように選択した。
Alexa488内包ナノ粒子の蛍光を撮影した蛍光画像は、励起波長488nmの励起光下、中心波長482nm、平均透過率90%以上の波長幅32nmの励起フィルター、エッジ波長506nmのダイクロイックミラー、中心波長540nm、平均透過率93%以上の波長幅50nmの吸収フィルターを用いて取得した。
Alexa594内包ナノ粒子の蛍光を撮影した蛍光画像は、励起波長590nmの励起光下、中心波長586nm、平均透過率90%以上の波長幅15nmの励起フィルター、エッジ波長599.5nmのダイクロイックミラー、中心波長624nm、平均透過率93%以上の波長幅40nmの吸収フィルターを用いて取得した。
Alexa647内包ナノ粒子の蛍光を撮影した蛍光画像は、励起波長633nmの励起光下、中心波長628nm、平均透過率93%以上の波長幅40nmの励起フィルター、エッジ波長660nmのダイクロイックミラー、中心波長692nm、平均透過率93%以上の波長幅40nmの吸収フィルターを用いて取得した。
蛍光顕微鏡および超解像顕微鏡を用いて画像を取得した後、組織標本を真空乾燥及びカーボン蒸着し、蛍光画像及び明視野画像を取得したのとほぼ同一の領域から、走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ社製、FE−SEM、HITACHI S−4500)を用いてSEM画像を取得した。
<画像解析処理>
取得した蛍光画像及び明視野画像に対して、図5の画像解析処理を実行した。
具体的には、まず、HER2を蛍光染色した実施例1〜4及び比較例1〜2においては、明視野画像からエオジンによる染色に基づいて細胞の領域を抽出し、Ki67を染色した実施例5〜7及び比較例3〜4においては、明視野画像からヘマトキシリンによる染色に基づいて細胞核の領域を抽出した。
また、輝点数の計測(図5、ステップS3〜6)では、予め設定された上限閾値および下限閾値に基づいて、取得した蛍光画像から輝点領域が抽出された2値化画像を作成した。作成された2値化画像に、ジーオングストローム社製の輝点計測ソフト「G−count」を用いて、細胞1000個について1細胞当たりの輝点数を算出し、平均値を算出した。
(D)実験結果
電子顕微鏡で観察された細胞又は細胞核1個当たりの蛍光粒子数の絶対値及び、電子顕微鏡で観察された細胞又は細胞核1個当たりの蛍光粒子数の絶対値を100(%)とした場合の、同一標本において蛍光顕微鏡及び超解像顕微鏡で観察された細胞又は細胞核1個当たりの輝点数(輝点抽出率:%)を、表1に示す。なお、電子顕微鏡で観察された蛍光粒子数の絶対値は、蛍光粒子数の真値であると見做すことができ、輝点抽出率が100(%)に近いほど、蛍光粒子数の絶対値に近い輝点数が算出されて定量精度が高いと考えられる。
蛍光染色に用いた蛍光粒子の色数が1つである比較例1〜4においては、通常の光学顕微鏡(分解能200nm)を用いて取得された蛍光画像から算出される輝点抽出率は、最大でも比較例1の75%であった。また、分解能が約100nmである超解像顕微鏡を用いて取得された蛍光画像から算出される輝点抽出率は、蛍光粒子の平均粒径が150nmである場合(比較例1及び3)には95%、蛍光粒子の平均粒径が50nmの場合(比較例2及び4)には46〜63%であり、蛍光画像の取得に用いた顕微鏡の分解能よりも蛍光粒子の平均粒径が小さい場合には、近接した複数の粒子が分離して観察できない確率が高く、複数の蛍光粒子が発する蛍光が1つの輝点として計測されていることが示唆される。
一方、蛍光粒子の色数が2〜3である実施例1〜7によれば、汎用顕微鏡及び超解像顕微鏡を用いて取得された蛍光画像から算出される輝点抽出率はいずれも増加し、電子顕微鏡で観察された細胞又は細胞核1個当たりの蛍光粒子数の絶対値に近い数の輝点数が算出された。
また、実施例1と2、実施例3と4、実施例6と7をそれぞれ比較することにより、用いる蛍光粒子の色数が増えるほど、汎用顕微鏡及び超解像顕微鏡を用いて取得された蛍光画像から算出される輝点抽出率が増加し、定量精度が高い。
また、蛍光粒子の平均粒径が50nmである場合には、平均粒径が150nmである場合と比較して、電子顕微鏡で観察される細胞又は細胞核1個当たりの蛍光粒子数の絶対値が増加することから、蛍光粒子数は生体物質の発現をより正確に反映すると考えられる。
蛍光染色に用いる蛍光粒子の色数が1つである場合には、蛍光粒子が高密度に分布するほど、近接した蛍光粒子の1つ1つを分離した輝点として観察できない可能性が高まる。そのため、生体物質に結合している蛍光粒子数が増加する一方で、輝点抽出率は減少し、結果として、検出できる輝点数には限界があるため定量精度が高まるとは限らなかった。しかし、本発明の方法によれば、顕微鏡の分解能の範囲内に複数の蛍光粒子が存在する場合であっても、分離した輝点として観察できる可能性が高く、輝点抽出率が高いため、平均粒径が超解像顕微鏡の分解能(100nm)以下の蛍光粒子を用いた染色であっても高精度の定量が可能である。
また、構造化照明法を用いた超解像顕微鏡により取得された蛍光画像から算出された輝点抽出率は、実施例においては常に80%以上と高い値であり、定量精度が高い。
また、比較例1〜4によれば、染色対象がKi67である場合には、HER2である場合と比較して、特に輝点抽出率が少ない。これは、染色対象がKi67のように高密度に発現する核タンパクの場合には、蛍光粒子の間隔が狭い場合が多いため、複数の蛍光粒子が発する蛍光が1つの輝点として計測される確率が特に高いことによると推測される。
しかし、比較例3と実施例5、及び、比較例4と実施例6〜7をそれぞれ比較すると、本発明の方法によれば、染色対象がKi67であっても輝点抽出率が高い。
また、染色に用いる蛍光粒子の色数が増加した場合の輝点抽出率の変化を検討すると、染色対象がKi67である場合には特に輝点抽出率が増加した。 具体的には、例えば、平均粒径が150nmの蛍光粒子を用いて、色数を1つから2つに増加した場合の汎用顕微鏡を用いた輝点抽出率は、染色対象がHER2である場合には1.1倍(75%(比較例1)から82%(実施例1)に増加)であったのに対し、染色対象がKi67である場合には2.7倍(23%(比較例3)から62%(実施例4)に増加)であった。
つまり、本発明の生体物質定量方法は、特に高密度に発現する生体物質(例えば、Ki67)の定量において特に効果が高い。Ki67の他に、例えば、ERなどの核タンパクの定量においても、同様に高い効果が得られると考えられる。
以上のように、本発明の生体物質定量方法によれば、蛍光画像の取得に用いる顕微鏡の分解能が蛍光粒子の平均粒径よりも小さい場合であっても、近接した複数の蛍光粒子を分離して計測できる確率が高いため、蛍光粒子の輝点数に基づく生体物質の発現量の定量精度を高めることができる。
また、本発明の方法で定量される生体物質の種類は、実施例で示されたHER2、Ki67に限定されるものではない。また、診断対象となる病変(がん)種に応じて、蛍光画像を取得する際の生体物質認識部位を異なるものとすれば、病変種に応じた生体物質の発現量を定量的に示す特徴量を医師に提供することが可能となる。
1A 顕微鏡画像取得装置
2A 画像処理装置
3A ケーブル
21 制御部(入力手段、定量手段、加算手段)
22 操作部
23 表示部
24 通信I/F
25 記憶部
26 バス
30A、30B 特定タンパク
32A、32B 蛍光粒子
100 病理診断支援システム

Claims (8)

  1. 染色試薬を用いて染色された標本から、特定の生体物質を定量する生体物質定量方法において、
    前記染色試薬は、相異なる発光波長の蛍光物質を含む2種類以上の試薬を混合した混合試薬であり、
    前記2種類以上の試薬は、前記相異なる発光波長の蛍光物質を用いて同一種類の前記生体物質を染色可能であり、
    前記標本における前記生体物質の発現を前記混合試薬に含まれる蛍光物質の蛍光に基づく蛍光輝点で表す蛍光画像を、前記蛍光物質の発光波長ごとに入力する入力工程と、
    前記蛍光物質の発光波長ごとに入力された前記蛍光画像における前記蛍光輝点に基づいて、前記生体物質量を定量する定量工程と、
    前記蛍光物質の発光波長ごとに定量された前記生体物質量を加算する加算工程と、
    を有することを特徴とする生体物質定量方法。
  2. 前記染色試薬は、相異なる発光波長の蛍光物質を含む3種類以上の試薬を混合した混合試薬であり、
    前記3種類以上の試薬は、前記相異なる発光波長の蛍光物質を用いて同一種類の前記生体物質を染色可能であることを特徴とする請求項1に記載の生体物質定量方法。
  3. 前記染色試薬は、前記蛍光物質を複数集積したナノ粒子を含み、前記ナノ粒子の平均粒径は、50nm以上100nm未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載の生体物質定量方法。
  4. 前記入力工程において、超解像顕微鏡を用いて前記蛍光画像を入力することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の生体物質定量方法。
  5. 前記生体物質が核タンパク質であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の生体物質定量方法。
  6. 前記核タンパク質がKi67であることを特徴とする請求項5に記載の生体物質定量方法。
  7. 染色試薬を用いて染色された標本から、特定の生体物質を定量する画像処理装置において、
    前記染色試薬は、相異なる発光波長の蛍光物質を含む2種類以上の試薬を混合した混合試薬であり、
    前記2種類以上の試薬は、前記相異なる発光波長の蛍光物質を用いて同一種類の前記生体物質を染色可能であり、
    前記標本における前記生体物質の発現を前記混合試薬に含まれる蛍光物質の蛍光に基づく蛍光輝点で表す蛍光画像を、前記蛍光物質の発光波長ごとに入力する入力手段と、
    前記蛍光物質の発光波長ごとに入力された前記蛍光画像における前記蛍光輝点に基づいて、前記生体物質量を定量する定量手段と、
    前記蛍光物質の発光波長ごとに定量された前記生体物質量を加算する加算手段と、
    を備えることを特徴とする画像処理装置。
  8. 同一種類の特定の生体物質を染色可能な相異なる発光波長の蛍光物質を各々含む2種類以上の試薬を混合した混合試薬を染色試薬として用いて染色された標本から、前記生体物質を定量するコンピュータを、
    前記標本における前記生体物質の発現を前記混合試薬に含まれる蛍光物質の蛍光に基づく蛍光輝点で表す蛍光画像を、前記蛍光物質の発光波長ごとに入力する入力手段、
    前記蛍光物質の発光波長ごとに入力された前記蛍光画像における前記蛍光輝点に基づいて、前記生体物質量を定量する定量手段、
    前記蛍光物質の発光波長ごとに定量された前記生体物質量を加算する加算手段、
    として機能させるためのプログラム。
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