以下、本発明の複合成形体および複合成形体の製造方法について添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<複合成形体>
まず、本発明の複合成形体の実施形態について説明する。
図1は、本発明の複合成形体の実施形態を示す斜視図であり、図2は、図1に示す複合成形体の平面図および断面図であり、図3は、図2に示す複合成形体の一点鎖線Bで囲まれた部分を模式的に示す部分拡大図である。
図1〜図3に示す複合成形体1は、シート状をなしており、複合成形体1の主面の平面視形状は、図2(a)に示すように、長方形である。
このような複合成形体1は、密度が高い高密度領域(第1の領域)2と、第1の領域2よりも相対的に密度が低い低密度領域(第2の領域)3と、を含んでいる。これらの第1の領域2および第2の領域3は、特に限定されないが、それぞれその厚さ方向において同じ構造になっている。なお、図1、2では、第1の領域2に対して相対的に密なドットを付し、第2の領域3に対して相対的に疎なドットを付している。
本実施形態に係る第1の領域2は、第1樹脂21および第1繊維22を含んでいる。また、本実施形態に係る第2の領域3は、第2樹脂31および第2繊維32を含んでいる。
また、本実施形態に係る複合成形体1は、平面視において、第2の領域3が規則的に配置されている。このように第2の領域3が規則的に配置されていることにより、複合成形体1の全体において、第1の領域2と第2の領域3とをいずれか一方が偏在することなく分布させることになる。そして、複合成形体1における第2の領域3の面積率(平面視において、複合成形体1の主面の面積に対する第2の領域3の面積の割合)は20〜90%である。
このような複合成形体1では、第2の領域3が所定の面積率で均一に含まれているため、その分、全体の比重を低下させることができる。また、第1の領域2も含まれているため、複合成形体1に高い機械的強度が付与される。したがって、複合成形体1では、軽量化と高い機械的強度とが両立している。
以下、複合成形体1の各部について詳述する。
(第1の領域)
まず、第1の領域2について説明する。
第1の領域2は、平面視において、主面の外形が長方形をなしている板状の部材である。この主面の外形は、平面視における複合成形体1の外形と一致する。
また、第1の領域2は、内部に第2の領域3を内包するための複数の貫通孔25を備えている。この貫通孔25は、平面視において、それぞれ正六角形をなしており、互いに離間するように規則的に配置されている。
第1の領域2は、前述したように、第1樹脂21および第1繊維22を含んでいる。このような第1の領域2は、第1樹脂21のマトリックスに第1繊維22が分散することによって複合化され、高い機械的特性を示す。これにより、複合成形体1の機械的特性をより高めることができる。
−第1繊維−
第1繊維22は、第1の領域2の機械的特性や熱伝導性を高めることに寄与する。
このような第1繊維22は、例えば、繊維糸または長い繊維束を所定の長さに切断することによって得られる。
第1繊維22の平均長さは、特に限定されないが、1mm以上であるのが好ましく、2mm以上であるのがより好ましく、4mm以上であるのがさらに好ましい。第1繊維22の平均長さを前記範囲内に設定することにより、第1の領域2の機械的特性を十分に高めることができる。特に第1樹脂21の機械的特性が比較的低い場合であっても、第1繊維22によってそれを十分に補うことができる。その結果、機械的特性が特に良好な第1の領域2が得られる。
第1繊維22の平均長さの上限値は、特に限定されないが、例えば100mm以下であるのが好ましく、50mm以下であるのがより好ましい。これにより、第1の領域2を製造するにあたって第1繊維22を分散媒に分散させるとき、その分散性が良好になる。その結果、均質な構造の成形体が得られるため、最終的に機械的特性に優れた第1の領域2が得られる。
なお、第1繊維22の平均長さは、次のように測定される。第1の領域2の第1樹脂21を溶解する等して取り出された任意の100本以上の第1繊維22について、それらの長さを測定する。得られた長さの測定値を平均した値を第1繊維22の平均長さとする。
一方、第1繊維22の平均径は、特に限定されないが、1〜100μm程度であるのが好ましく、5〜80μm程度であるのがより好ましい。第1繊維22の平均径を前記範囲内に設定することにより、第1の領域2の機械的特性を高めつつ、第1の領域2を製造するときの成形性を高めることができる。
なお、第1繊維22の平均径は、次のように測定される。第1の領域2の第1樹脂21を溶解する等して取り出された任意の100本以上の第1繊維22について、それらの径を測定する。得られた径の測定値を平均した値を第1繊維22の平均径とする。
また、第1繊維22の径に対する長さの比(長さ/径)は、10以上であるのが好ましく、100以上であるのがより好ましい。これにより、第1繊維22が上記のような効果をより確実に発揮する。
このような第1繊維22としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アルミニウム繊維、銅繊維、ステンレス鋼繊維、黄銅繊維、チタン繊維、鋼繊維、リン青銅繊維のような金属繊維、綿繊維、絹繊維、木質繊維のような天然繊維、アルミナ繊維のようなセラミック繊維、全芳香族ポリアミド(アラミド)、全芳香族ポリエステル、全芳香族ポリエステルアミド、全芳香族ポリエーテル、全芳香族ポリカーボネート、全芳香族ポリアゾメチン、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリ(パラ−フェニレンベンゾビスチアゾール)(PBZT)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(パラ−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール)(PBO)のような有機繊維等が挙げられ、これらのうちの1種、または、少なくとも1種を含むもの(複数種の繊維が混在したもの)が用いられる。
このうち、第1繊維22としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維およびセラミック繊維のような無機繊維が好ましく用いられる。引張強度等の機械的特性に優れている無機繊維を用いることにより、第1の領域2の機械的特性を特に高めることができる。
なお、第1繊維22には、必要に応じて、カップリング剤処理、界面活性剤処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、プラズマ照射処理等の表面処理が施されていてもよい。
このうち、カップリング剤としては、例えば、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランのようなアミノ基含有アルコキシシラン、およびそれらの加水分解物等が挙げられ、これらのうちの少なくとも1種を含むものが用いられる。
一方、前述した有機繊維を用いることにより、第1の領域2のさらなる軽量化を図ることができる。また、有機繊維とは言ってもその機械的特性はさまざまであり、無機繊維よりも高い機械的特性を有するものも多い。したがって、有機繊維の最適な選択によって、軽量化と高い機械的特性とを高度に両立させた複合成形体1を実現することが可能である。
第1の領域2における第1繊維22の含有量は、特に限定されないが、第1樹脂21の5〜300体積%程度であるのが好ましく、10〜150体積%程度であるのがより好ましく、20〜90体積%程度であるのがさらに好ましい。第1繊維22の含有量を前記範囲内に設定することにより、第1樹脂21と第1繊維22との量的なバランスが最適化される。このため、第1の領域2の機械的特性を特に高めることができる。すなわち、第1繊維22の含有量が前記下限値を下回ると、第1繊維22の含有量が相対的に不足するため、第1樹脂21の組成や第1繊維22の長さ、構成材料等によっては、第1の領域2の機械的特性が低下するおそれがある。一方、第1繊維22の含有量が前記上限値を上回ると、第1樹脂21の含有量が相対的に不足するため、第1樹脂21の組成や第1繊維22の長さ、構成材料等によっては、第1の領域2の機械的特性が低下するおそれがある。
なお、図3に示す第1繊維22の形状は、一例であり、図示したような直線状には限定されず、いかなる形状であってもよい。
また、第1繊維22は、第1の領域2中においていかなる方向に配向していてもよいが、好ましくは第1の領域2の表面(主面)と平行になるように配向しているのが好ましい。これにより、第1の領域2の表面の引張方向において靭性を高めることができる。また、第1の領域2の表面の耐摩耗性も高くなる。
−第1樹脂−
第1樹脂21は、第1の領域2に成形性や保形性を付与したり、第1繊維22同士を結着するバインダーとして機能したりする。したがって、第1樹脂21としては、このような機能を有するものであれば特に限定されない。例えば、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、メラミン系樹脂、ポリウレタン、ビスマレイミド系樹脂のような熱硬化性樹脂、ポリアミド系樹脂(例えばナイロン等)、熱可塑性ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(例えばポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリカーボネート、ポリエステル系樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、フッ素樹脂(例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等)、変性ポリフェニレンエーテル、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリイミドのような熱可塑性樹脂等が挙げられる。なお、第1樹脂21は、これらのうちの少なくとも1種を含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。
第1樹脂21は、特にフェノール系樹脂、エポキシ系樹脂およびビスマレイミド系樹脂のうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。これにより、第1の領域2の機械的特性および耐熱性を特に高めることができる。
フェノール系樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、アリールアルキレン型ノボラック樹脂のようなノボラック型フェノール樹脂、未変性のレゾールフェノール樹脂、桐油、アマニ油、クルミ油等で変性した油変性レゾールフェノール樹脂等のレゾール型フェノール樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、コストおよび成形性の観点から、ノボラック型フェノール樹脂が好ましく用いられる。
フェノール系樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、1000〜15000程度であるのが好ましい。なお、フェノール系樹脂の重量平均分子量が前記下限値を下回ると、第1樹脂21の粘度が低くなり過ぎて複合成形体1の製造時の第1の領域2の成形が難しくなるおそれがある。一方、フェノール系樹脂の重量平均分子量が前記上限値を上回ると、第1樹脂21の粘度が高くなり過ぎて、複合成形体1の製造時の第1の領域2の成形性が低下するおそれがある。
フェノール系樹脂の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量として求めることができる。
エポキシ系樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型のようなビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型のようなノボラック型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型、臭素化フェノールノボラック型のような臭素化型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、高流動性や成形性等の観点から、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂が好ましく用いられる。
また、比較的分子量の低いビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂がより好ましく用いられる。
さらに、耐熱性の観点から、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂がさらに好ましく用いられ、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂が特に好ましく用いられる。
ビスマレイミド系樹脂としては、例えば、分子鎖の両末端にマレイミド基を有する樹脂であれば、特に限定されないが、ベンゼン環を有するものが好ましく、下記一般式(1)で表されるものがより好ましく用いられる。
[式中、R
1〜R
4は、置換基を有していてもよい炭素数1〜4の炭化水素基または水素原子を表す。また、R
5は、2価の有機基を表す。]
ただし、ビスマレイミド系樹脂は、分子鎖の両末端以外にマレイミド基を有していてもよい。
ここで、有機基とは、炭素原子以外の原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、炭素原子以外の原子としてはO、S、N等が挙げられる。
R5は、好ましくはメチレン基と芳香環とエーテル結合(−O−)とが任意の順序で結合した主鎖構造を有し、主鎖上に置換基および側鎖の少なくとも一方を有していてもよい。主鎖構造に含まれるメチレン基と芳香環とエーテル結合との合計数は15個以下である。上記の置換基または側鎖としては、例えば、炭素数3個以下の炭化水素基、マレイミド基、フェニレン基等が挙げられる。
ビスマレイミド系樹脂としては、例えば、N,N’−(4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミド、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、m−フェニレンビスマレイミド、p−フェニレンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、N,N’−エチレンジマレイミド、N,N’−ヘキサメチレンジマレイミド等が挙げられる。
また、第1樹脂21とともに、必要に応じて硬化剤が併用される。
例えば、第1樹脂21としてノボラック型フェノール樹脂が用いられる場合、硬化剤としては、通常、ヘキサメチレンテトラミンが用いられる。
また、例えば、第1樹脂21としてエポキシ系樹脂が用いられる場合、硬化剤としては、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、ジシアミンジアミドのようなアミン化合物、脂環族酸無水物、芳香族酸無水物のような酸無水物、ノボラック型フェノール樹脂のようなポリフェノール化合物、イミダゾール化合物等が用いられる。
これらの中でも、取り扱い性や環境面の観点から、ノボラック型フェノール樹脂が好ましく用いられる。特に、エポキシ系樹脂としてフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、およびトリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂を用いる場合、硬化剤としては、硬化物の耐熱性がより向上し易いという観点から、ノボラック型フェノール樹脂が好ましく用いられる。
また、例えば、第1樹脂21としてビスマレイミド系樹脂が用いられる場合、硬化剤としては、イミダゾール化合物が用いられる。
なお、硬化剤としては、上述したもののうちの1種または2種以上が用いられる。
一方、第1樹脂21は、特に熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。これにより、第1の領域2の成形性を特に高めることができ、より寸法精度が高い第1の領域2が得られる。
さらに、第1樹脂21は、熱可塑性樹脂の中でもスーパーエンジニアリングプラスチックを含むことが好ましい。これにより、熱可塑性樹脂がもたらす効果に加え、高い機械的特性という効果が第1の領域2に付加されることとなる。なお、スーパーエンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、フッ素樹脂等が挙げられる。
第1樹脂21の融点は、特に限定されないが、200〜400℃であるのが好ましく、210〜390℃であるのがより好ましく、260〜380℃であるのがさらに好ましい。このような融点の第1樹脂21を用いることにより、第1の領域2の機械的特性および耐熱性を十分に高めることができる。これにより、耐熱性に優れた複合成形体1が得られる。
なお、第1樹脂21の融点が前記下限値を下回ると、第1の領域2の構成やその他の部位の構成によっては、複合成形体1の高温時の寸法精度が低下するおそれがある。一方、第1樹脂21の融点は前記上限値を上回ってもよいが、それに伴って一部の物性(例えば耐衝撃性等)が低下するおそれがある。
ここで、第1樹脂21の融点は、原則として結晶融点のことであり、例えば、示差走査熱量計(DSC−2920、TAインスツルメント社製)により測定できる。
また、第1樹脂21に結晶融点が存在せずガラス転移温度が存在する場合には、本発明における第1樹脂21の融点はガラス転移温度も含むものとする。このガラス転移温度も、上記の示差走査熱量計により測定可能である。
さらに、第1樹脂21が熱硬化性樹脂の場合であって結晶融点もガラス転移温度も存在しない場合には、本発明における第1樹脂21の融点は熱硬化性樹脂の硬化物の耐熱温度も含むものとする。この耐熱温度は、JIS K 6911:1995の熱可塑性プラスチック一般試験方法に規定されている荷重たわみ温度とする。
−パルプ−
第1の領域2は、必要に応じてパルプを含んでいてもよい。パルプとは、フィブリル構造を有する繊維材料であり、上記第1繊維22とは異なるものである。パルプは、例えば、繊維材料を機械的または化学的にフィブリル化することによって得ることができる。
パルプとしては、例えば、リンターパルプ、木材パルプのようなセルロース繊維、ケナフ、ジュート、竹のような天然繊維、パラ型全芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維)およびその共重合体、芳香族ポリエステル繊維、ポリベンザゾール繊維、メタ型アラミド繊維およびそれらの共重合体、アクリル繊維、アクリロニトリル繊維、ポリイミド繊維、ポリアミド繊維のような有機繊維等をフィブリル化したものが挙げられ、これらのうちの少なくとも1種が用いられる。
また、第1の領域2におけるパルプの含有量は、特に限定されないが、第1樹脂21の0.5〜10質量%程度であるのが好ましく、1〜8質量%程度であるのがより好ましく、1.5〜5質量%程度であるのがさらに好ましい。これにより、機械的特性や熱伝導性がより良好な第1の領域2を実現することができる。
−凝集剤−
第1の領域2は、必要に応じて凝集剤を含んでいてもよい。
凝集剤としては、例えば、カチオン性高分子凝集剤、アニオン性高分子凝集剤、ノニオン性高分子凝集剤、両性高分子凝集剤等が挙げられ、これらのうちの少なくとも1種が用いられる。
より具体的には、例えば、カチオン性ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリルアミド、ホフマンポリアクリルアミド、マンニックポリアクリルアミド、両性共重合ポリアクリルアミド、カチオン化澱粉、両性澱粉、ポリエチレンオキサイド等が挙げられる。
また、第1の領域2における凝集剤の含有量は、特に限定されないが、第1樹脂21の0.01〜1.5質量%程度であるのが好ましく、0.05〜1質量%程度であるのがより好ましく、0.1〜0.5質量%程度であるのがさらに好ましい。これにより、第1の領域2を例えば抄造法により製造するとき、脱水処理等を容易かつ安定的に行うことができ、最終的に均質で機械的特性に優れた第1の領域2が得られる。
−その他の添加剤−
第1の領域2は、必要に応じてその他の添加剤を含んでいてもよい。
かかる添加剤としては、例えば、充填材、金属粉、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、離型剤、可塑剤、硬化触媒、硬化助剤、顔料、耐光剤、帯電防止剤、抗菌剤、導電剤、分散剤等が挙げられ、これらのうちの少なくとも1種が用いられる。
このうち、硬化助剤としては、例えば、イミダゾール化合物、三級アミン化合物、有機リン化合物、酸化マグネシウム等が挙げられる。
また、充填材には、例えば、無機充填材、有機充填材等が用いられる。具体的な構成材料としては、例えば、酸化チタン、アルミナ、シリカ、ジルコニア、酸化マグネシウム、酸化カルシウムのような酸化物類、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素のような窒化物類、硫酸バリウム、硫酸鉄、硫酸銅のような硫化物類、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムのような水酸化物類、カオリナイト、タルク、天然マイカ、合成マイカのような鉱物類、炭化ケイ素のような炭化物類等が挙げられる。さらに、これらの粉末にカップリング剤処理のような表面処理が施されたものであってもよい。
また、充填材として、金属粉、ガラスビーズ、ミルドカーボン、グラファイト、ポリビニルブチラール、木粉等が用いられてもよい。
また、離型剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等が挙げられる。
また、カップリング剤としては、例えば、エポキシシランカップリング剤、カチオニックシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。
また、難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムのような金属水酸化物、アンチモン化合物、ハロゲン化合物、リン化合物、窒素化合物、ホウ素化合物等が挙げられる。
(第2の領域)
次に、第2の領域3について説明する。
第2の領域3は、前述した第1の領域2に形成されている貫通孔25の内部に配置されている(嵌め込まれている)。したがって、第2の領域3は、平面視において(図2(a)参照)、主面の外形が正六角形をなしている板状の部材である。また、貫通孔25は、複数個設けられており、各貫通孔25に第2の領域3が配置されている。このため、第2の領域3は、互いに離間しつつ、規則的に配置されることとなる。加えて、第2の領域3はその外側を第1の領域2で取り囲まれることになるので、仮に第2の領域3の機械的強度が低い場合であっても、その影響が複合成形体1全体に及び難くなる。
このような第2の領域3は、第1の領域2よりも相対的に密度が低い。このため、第1の領域2および第2の領域3の構成材料等にもよるが、第2の領域3の面積率が増加するほど、複合成形体1の比重を低下させることができる。これにより、軽量化が図られた複合成形体1が得られる。このため、軽量化の観点からは、第2の領域3の面積率が高いほど好ましいが、第2の領域3の面積率が高くなり過ぎると、複合成形体1の機械的強度が低下するおそれがある。
したがって、第2の領域3の構成材料は、第1の領域2の構成材料よりも密度が低い材料であれば特に限定されず、有機材料や無機材料であってもよいが、好ましくは第2樹脂31と第2繊維32とを含んでいる。このような第2の領域3は、軽量であるにもかかわらず、第2樹脂31のマトリックスに第2繊維32が分散することによって複合化され、比較的高い機械的特性を示す。これにより、複合成形体1の軽量化に寄与する一方、第2の領域3を設けることによって機械的特性が低下してしまうのを抑制することができる。
また、第2の領域3を設けることにより、その分、相対的に高コストになり易い第1の領域2の体積を減らすことができる。これにより、複合成形体1の低コスト化を図ることができる。すなわち、第1の領域2によって複合成形体1の機械的特性の大部分を担保することができていることにより、第2の領域3については、密度が小さいことを最優先に構成材料を選択することが可能になる。したがって、第2の領域3に用いられる材料の選択の幅が非常に広がり、低コスト化において有利になる。また、第2の領域3を設けることにより、質量を抑えつつ複合成形体1の大型化を容易に図ることができる。
また、複合成形体1において、第2の領域3には、前述した第1樹脂21も混じり合うように含まれていてもよい。これにより、第1の領域2および第2の領域3は、共通して含有する第1樹脂21によって一体化され易くなる。その結果、第1の領域2と第2の領域3とがより強固に接合され、複合成形体1の信頼性をより高めることができる。
一方、複合成形体1において、前述した第1の領域2には、第2樹脂31が混じり合うように含まれていてもよい。これにより、第1の領域2および第2の領域3は、共通して含有する第2樹脂31によって一体化され易くなる。その結果、第1の領域2と第2の領域3とがより強固に接合され、複合成形体1の信頼性をより高めることができる。
また、第1樹脂21および第2樹脂31は、同種の樹脂であるのが好ましい。これにより、第1の領域2と第2の領域3とがとりわけ強固に接合され、複合成形体1の信頼性を特に高めることができる。
また、第2の領域3は、内部に空孔を含んでいてもよい。これにより、第2の領域3の密度をさらに低下させることができる。
この空孔は、第2の領域3に内包されている空孔のことをいう。また、この空孔は、その1つ1つまたは複数個が連結したものが系外と隔離されている空間(独立気泡)であってもよく、系外と連通している空間(連続気泡)であってもよい。
このうち、特に限定されるものではないが、独立気泡が連続気泡よりも多いことが好ましい。これにより、空孔を含んでいても第2の領域3の機械的特性がより低下し難くなる。これは、独立気泡が圧壊し難いので、それに伴って第2の領域3の機械的強度が低下し難いことによる。
なお、独立気泡が連続気泡より多いとは、第2の領域3の断面を拡大観察したとき、独立気泡が占める面積の合計が、連続気泡が占める面積の合計より大きい状態をいう。
第2の領域3が空孔として独立気泡を含む場合、空孔の平均径は、特に限定されないが、2〜300μm程度であるのが好ましく、5〜200μm程度であるのがより好ましい。これにより、空孔による第2の領域3の軽量化と、空孔による第2の領域3の機械的特性の低下の抑制と、を両立させることができる。すなわち、空孔の平均径が前記下限値を下回る場合、空孔率によっては、第2の領域3の軽量化が難しくなるおそれがある。一方、空孔の平均径が前記上限値を上回る場合、空孔率によっては、空孔が屈折や亀裂等の起点になり易くなるため、第2の領域3の機械的特性が低下するおそれがある。
なお、空孔の平均径は、第2の領域3の断面から各空孔の面積と同じ面積を持つ円をそれぞれ仮想したとき、それらの円の直径(円相当径)の平均値として求められる。
第2の領域3の空孔率は、特に限定されないが、5〜90%程度であるのが好ましく、10〜87.5%程度であるのがより好ましく、15〜85%程度であるのがさらに好ましい。空孔率を前記範囲内に設定することにより、第2の領域3の軽量化と機械的特性とをバランスよく両立させることができる。すなわち、空孔率が前記下限値を下回ると、第2樹脂31の組成や第2繊維32の長さ、構成材料等によっては、第2の領域3の軽量化が不十分になるおそれがある。一方、空孔率が前記上限値を上回ると、第2樹脂31の組成や第2繊維32の長さ、構成材料等によっては、第2の領域3の機械的特性が低下するおそれがある。
なお、第2の領域3の空孔率は、例えば第2の領域3の断面の面積において、空孔が占める面積の割合(空孔の面積率)として求められる。
−第2繊維−
第2繊維32は、第2の領域3の機械的特性や熱伝導性を高めることに寄与する。
このような第2繊維32としては、例えば、繊維糸または長い繊維束を所定の長さに切断することによって得られたものが用いられる。
第2繊維32の平均長さは、特に限定されず、第1繊維22の平均長さより長くても短くてもよい。
一方、第2繊維32自体の比重が第2樹脂31自体の比重より大きい場合が多いことを踏まえると、第2繊維32の平均長さを第1繊維22の平均長さよりも短くした場合、第2の領域3の密度を低くし易いだけでなく、第2の領域3の弾性率が高くなり易い。このため、第2の領域3を第1の領域2と併設することにより、第1の領域2に由来する高い剛性と、第2の領域3に由来する高い弾性率と、を両立させた複合成形体1が得られる。
この場合、第2繊維32の平均長さは、第1繊維22の平均長さの1〜90%程度であるのが好ましく、3〜70%程度であるのがより好ましく、5〜50%程度であるのがさらに好ましい。第2繊維32に平均長さを前記範囲内に設定することにより、第2の領域3の弾性率を最適化することができる。これにより、複合成形体1の機械的特性をより高めることができる。
一例として、第2繊維32の平均長さは、5〜500μm程度であるのが好ましく、10〜300μm程度であるのがより好ましい。これにより、例えば第2の領域3中に空孔を形成することによって密度を低下させようとするとき、空孔を気密化し易くなり、第2の領域3の低密度化を図りつつ、機械的特性を高め易くなる。
なお、第2繊維32の平均長さとは、第2の領域3の第2樹脂31を溶解する等して取り出された任意の100本以上の第2繊維32について、その長さを測定し、平均した値のことをいう。
一方、第2繊維32の平均径は、特に限定されないが、5〜20μm程度であるのが好ましく、6〜18μm程度であるのがより好ましく、7〜16μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、第2の領域3に適度な弾性率が付与される。なお、第2繊維32の平均径が前記下限値を下回ると、第2繊維32の材質や長さ等によっては、第2の領域3の弾性率が低下するおそれがあり、第2繊維32の平均径が前記上限値を上回ると、第2繊維32の長さ等によっては、第2の領域3を製造するときの成形性が低下するおそれがある。
なお、第2繊維32の平均径とは、第2の領域3の第2樹脂31を溶解する等して取り出された任意の100本以上の第2繊維32について、その径を測定し、平均した値のことをいう。
このような第2繊維32としては、例えば、第1繊維22として前述したもののうちの1種、または、少なくとも1種を含むもの(複数種の繊維が混在したもの)が用いられる。なお、第2繊維32は、第1繊維22と同じ種類の繊維であってもよく、異なる種類の繊維であってもよい。
例えば、本実施形態のように、第2の領域3の周囲が第1の領域2によって取り囲まれている場合あるいはそれに準じた配置の場合等では、第2の領域3と第1の領域2とで求められる機械的特性が異なる。そこで、第1繊維22と第2繊維32とで種類を異ならせることにより、それぞれの部位に最適な機械的特性が付与されることとなる。その結果、例えば第2繊維32にはより軽量な繊維を用いる一方、第1繊維22にはより靭性に優れた繊維を用いるといった最適化が可能になる。
なお、第2繊維32には、必要に応じて、カップリング剤処理、界面活性剤処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、プラズマ照射処理等の表面処理が施されていてもよい。
第2の領域3における第2繊維32の含有量は、特に限定されないが、第2樹脂31の5〜300体積%程度であるのが好ましく、10〜150体積%程度であるのがより好ましく、20〜90体積%程度であるのがさらに好ましい。第2繊維32の含有量を前記範囲内に設定することにより、第2樹脂31と第2繊維32との量的なバランスが最適化されるため、第2の領域3の機械的特性を特に高めることができる。すなわち、第2繊維32の含有量が前記下限値を下回ると、第2繊維32の含有量が相対的に不足するため、第2樹脂31の組成や第2繊維32の長さ、構成材料等によっては、第2の領域3の機械的特性が低下するおそれがある。一方、第2繊維32の含有量が前記上限値を上回ると、第2樹脂31の含有量が相対的に不足するため、第2樹脂31の組成や第2繊維32の長さ、構成材料等によっては、第2の領域3の機械的特性が低下するおそれがある。
なお、図3に示す第2繊維32の形状は、一例であり、図示したような直線状には限定されず、いかなる形状であってもよい。
また、第2繊維32は、第2の領域3においていかなる方向に配向していてもよいが、好ましくは方向を問わずランダムに配向している。これにより、第2の領域3は、構造上の異方性がなくなるので、機械的特性においても等方的になる。その結果、第2の領域3の一部に応力が集中したとしても、第2の領域3が破損し難くなる。そして、複合成形体1の信頼性をより高めることができる。
−第2樹脂−
第2樹脂31としては、特に限定されず、第1樹脂21として前述したもののうちの1種、または、少なくとも1種を含むもの(複数種の樹脂が混在したもの)が用いられる。なお、第2樹脂31は、第1樹脂21と同じ種類の樹脂であってもよく、異なる種類の樹脂であってもよい。
例えば、本実施形態のように、第2の領域3の周囲が第1の領域2によって取り囲まれている場合あるいはそれに準じた配置の場合等では、第2の領域3と第1の領域2とで求められる機械的特性が異なる。そこで、第1樹脂21と第2樹脂31とで種類を異ならせることにより、それぞれの部位に最適な機械的特性が付与されることとなる。その結果、例えば第2樹脂31にはより軽量な樹脂を用いる一方、第1樹脂21にはより耐衝撃性に優れた樹脂を用いるといった最適化が可能になる。これにより、複合成形体1の信頼性をより高めることができる。
−その他の添加剤−
第2の領域3は、必要に応じてその他の添加剤を含んでいてもよい。
かかる添加剤としては、第1の領域2と同様、例えば、充填材、金属粉、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、離型剤、可塑剤、硬化触媒、硬化助剤、顔料、耐光剤、帯電防止剤、抗菌剤、導電剤、分散剤等が挙げられ、これらのうちの少なくとも1種が用いられる。
以上のような成分を含む第2の領域3は、前述したように、第1の領域2と併設されるが、このとき、第2の領域3が規則的に配置されている。これにより、前述したように、複合成形体1の全体から見たとき、第1の領域2と第2の領域3とをいずれか一方が偏在することなく分布させることができる。その結果、第1の領域2による高強度化の恩恵を十分に受けつつ、軽量化を図ることができる。
なお、規則的とは、第2の領域3のパターンが繰り返し並んでいる状態をいう。このとき、隣り合う第2の領域3のパターン同士は、互いに同じ形状であっても異なる形状であってもよい。互いに異なるパターンが隣り合っている場合には、その2つのパターンを1組にして繰り返し並んでいればよい。
ただし、第2の領域3のパターンが繰り返し並ぶ場合、多少の位置ずれは許容される。具体的には、例えば第2の領域3が等間隔に並ぶという規則性を有する場合、その規則に基づく位置を基準にして±20%のずれが許容される。なお、この割合は、第2の領域3が並ぶ方向における第2の領域3の長さに対する割合であり、ずれの方向は限定されない。
また、このような第1の領域2と第2の領域3とを有する複合成形体1においては、第2の領域3の面積率が20〜90%になるように設定される。第2の領域3の面積率が前記範囲内であることにより、第1の領域2と第2の領域3のバランスが最適化される。その結果、軽量化と高い機械的強度とが両立した複合成形体1が得られる。
また、第2の領域3の面積率は、好ましくは30〜85%とされ、より好ましくは50〜90%とされる。
なお、第2の領域3の面積率が前記下限値を下回ると、第2の領域3による軽量化の恩恵を十分に受けられなくなり、複合成形体1の軽量化が図られないおそれがある。一方、第2の領域3の面積率が前記上限値を上回ると、相対的に第1の領域2の割合が低下し、複合成形体1の機械的強度が低下するおそれがある。
また、第1の領域2の外形形状は、特に限定されず、長方形以外の形状、例えば正方形、平行四辺形、菱形のような四角形の他、五角形、六角形のような多角形、真円、楕円、長円のような円形、その他いかなる形状であってもよい。
一方、第2の領域3の外形形状も、特に限定されず、六角形以外の形状、例えば、正方形、長方形、平行四辺形、菱形のような四角形、五角形、八角形のような多角形、真円、楕円、長円のような円形、その他いかなる形状であってもよいが、六角形であるのが好ましい。すなわち、六角形をなす第2の領域3が、第1の領域2を介して互いに離間しつつ配置されているのが好ましい。これにより、第2の領域3の形状の効果によって、第2の領域3を互いに近づけた状態で配置したとしても、複合成形体1の機械的強度が低下し難い。これは、第2の領域3の外形形状を六角形にすることで、いわゆるハニカム構造が形成されるため、複合成形体1に荷重が加わったとしても、それによる応力を分散させ易くなるためであると考えられる。その結果、複合成形体1において軽量化と高い機械的強度とをより高度に両立させることができる。
なお、六角形の角の形状については、必要に応じて面取り加工またはアール加工が施された形状になっていてもよい。
また、第2の領域3と貫通孔25との間は、いわゆる嵌め合わせの状態になっていてもよく、接着剤等の介在物を介して接着されている状態になっていてもよい。
以上、複合成形体1について説明したが、この複合成形体1はあらゆる構造体に適用可能である。一例として、輸送機器用内装材を例示することができる。具体的には、キャビン天井パネル、キャビン内装パネル、キャビン床面、コックピット天井パネル、コックピット内装パネル、コックピット床面、手荷物ロッカー壁、収納ロッカー壁、ドア内張、窓カバー、機長席、副操縦士席、客室乗務員用座席、乗客座席のような各種座席、化粧室用内装材等の各種航空機用内装材の他、自動車用内装材、船舶用内装材、鉄道用内装材、宇宙船用内装材等が挙げられる。このような輸送機器用内装材は、いずれも、安全性と輸送効率の観点から、軽量であるとともに高い機械的強度が要求される。このため、本発明の複合成形体が好適に用いられる。
ここで、複合成形体1は、以下のような特性を有することが好ましい。
まず、複合成形体1の密度は、特に限定されないが、0.05〜1.6g/cm3程度であるのが好ましく、0.1〜1.55g/cm3程度であるのがより好ましく、0.2〜1.5g/cm3程度であるのがさらに好ましい。これにより、軽量化と機械的特性の向上とを両立させた複合成形体1が得られる。
なお、密度は、JIS K 7112:1999にA法として規定されている試験方法に準じて測定される。
また、複合成形体1の曲げ強度は、特に限定されないが、50〜400MPa程度であるのが好ましく、70〜350MPa程度であるのがより好ましく、100〜300MPa程度であるのがさらに好ましい。これにより、十分に機械的特性が高い複合成形体1が得られる。
なお、複合成形体1の曲げ強度は、室温(25℃)において、ISO178:2001に規定されている試験方法に準じて測定される。
また、複合成形体1の比強度は、特に限定されないが、30〜400MPa・(g/cm3)−1程度であるのが好ましく、40〜350MPa・(g/cm3)−1程度であるのがより好ましく、50〜300MPa・(g/cm3)−1程度であるのがさらに好ましく、50〜250MPa・(g/cm3)−1程度であるのが特に好ましい。これにより、軽量化と機械的特性の向上との両立が図られた複合成形体1が得られる。なお、比強度が前記下限値を下回ると、重い割には曲げ強度が小さいといえるので、例えば軽量化と高い機械的特性の双方を求められる産業分野の複合成形体1としては不適当になるおそれがある。一方、比強度が前記上限値を上回ると、軽い割には曲げ強度が大きいといえるが、その他の物性とのバランスによっては耐衝撃性が低下したり、製造条件によるバラツキが出やすくなるため、製造歩留まりを高め難くなったりするおそれがある。
なお、複合成形体1の比強度は、曲げ強度(単位:MPa)を密度(単位:g/cm3)で除することによって求められる。
また、複合成形体1の比弾性率は、特に限定されないが、2〜30GPa・(g/cm3)−1程度であるのが好ましく、3〜25GPa・(g/cm3)−1程度であるのがより好ましく、4〜20GPa・(g/cm3)−1程度であるのがさらに好ましい。これにより、軽量化と機械的特性の向上との両立が図られた複合成形体1が得られる。
なお、複合成形体1の比弾性率は、曲げ弾性率(単位:GPa)を密度(単位:g/cm3)で除することによって求められる。そして、曲げ弾性率は、室温(25℃)において、ISO178:2001に規定されている試験方法に準じて測定される。
また、上記の説明では、第1の領域2と第2の領域3の双方が樹脂と繊維とを含んでいる例について説明したが、本発明はかかる構成に限定されない。例えば、第2の領域3が樹脂のみで構成されているものであってもよく、反対に、第1の領域2が樹脂のみで構成されているものであってもよい。
<複合成形体の製造方法>
≪第1実施形態≫
次に、本発明の複合成形体の製造方法の第1実施形態について説明する。
図4〜図7は、それぞれ図1に示す複合成形体1を製造する方法(本発明の複合成形体の製造方法の第1実施形態)を説明するための図である。また、図8は、図7(b)の一点鎖線Cで囲まれた部分の部分拡大図である。
本実施形態に係る複合成形体1を製造する方法は、第1樹脂21と第1繊維22とを含む第1分散液61を抄造することにより、中実領域41と中空領域42とを含む第1中間体4aを得る工程と、第2樹脂31と第2繊維32とを含む第2分散液62を中空領域42に供給しつつ第2分散液62を抄造することにより、第2中間体4bを得る工程と、第1中間体4aおよび第2中間体4bを加圧成形することにより、複合成形体1を得る工程と、を有する。以下、各工程について順次説明する。
[1]まず、第1樹脂21と第1繊維22とこれらを分散させる分散媒51とを含む第1分散液61を調製する(図4参照)。調製した第1分散液61は、十分に撹拌、混合される。なお、第1分散液61には、必要に応じて、前述した凝集剤やパルプ、その他の添加剤等が添加されていてもよい。
本工程における第1樹脂21の形状は、特に限定されず、例えば、略球形粒子状、薄膜粒子状等の粒子状(粉状)または繊維状とされる。これにより、後述する抄造において、第1繊維22とともに第1樹脂21を抄きとることができる。その結果、第1樹脂21と第1繊維22とを均一に絡み合わせることができ、第1中間体4aを得ることができる。この第1中間体4aは、その後の加圧成形を経ることにより、第1の領域2となる。
なお、第1樹脂21が熱硬化性樹脂を含む場合、その熱硬化性樹脂は半硬化状態であることが好ましい。半硬化の熱硬化性樹脂は、第1中間体4aを製造後、加熱、加圧によって所望の形状に成形されて硬化に至る。これにより、熱硬化性樹脂の特性を生かした複合成形体1が得られることとなる。
一方、第1繊維22としては、例えば第1樹脂21よりも融点が高い繊維が用いられる。このような第1繊維22を用いることにより、後述する工程において第1中間体4aおよび第2中間体4bを加熱しつつ加圧成形するとき、第1樹脂21のみを選択的に溶融させることができる。これにより、第1樹脂21を第1繊維22の周辺で溶融、分散させることができ、均質な複合成形体1が得られる。
第1繊維22の融点は、第1樹脂21の融点よりも高ければよいが、その差は10℃以上であるのが好ましく、50℃以上であるのがより好ましい。
また、分散媒51としては、第1樹脂21や第1繊維22を溶解させ難く、かつ、第1樹脂21や第1繊維22を分散させる過程において揮発し難いものが好ましく用いられる。また、脱溶媒させ易いものが好ましく用いられる。かかる観点から、分散媒51の沸点は50〜200℃程度であるのが好ましい。
分散媒51としては、例えば、水、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、エチレングリコールのようなアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノンのようなケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチルのようなエステル類、テトラヒドロフラン、イソプロピルエーテル、ジオキサン、フルフラールのようなエーテル類等が挙げられ、これらのうちの少なくとも1種が用いられる。
これらの中でも、水が好ましく用いられる。水は、入手が容易であり、環境負荷が低く安全性も高いことから、分散媒51として有用である。
また、第1分散液61における分散媒51の含有量は、特に限定されないが、固形分総量に対して0.05〜3質量%程度であるのが好ましく、0.1〜2質量%程度であるのがより好ましい。
続いて、調製した第1分散液61を抄造する。これにより、中実領域41と中空領域42とを含む第1中間体4aを得る。
具体的には、まず、図5に示すように、底面にフィルター71が設けられた容器70を用意する。
次に、容器70内に第1分散液61を供給する。そして、第1分散液61中の分散媒51を、フィルター71を介して容器70の底面から外部へ排出する。これにより、第1分散液61中の分散質である第1樹脂21と第1繊維22とが図5に示すようにフィルター71上に残存する(抄造)。以上のようにしてフィルター71上に第1中間体4aを得る。
ここで、フィルター71上には、あらかじめ、図6(a)に示すように、中空領域42に対応する遮蔽部を備えるマスク72を配置する。このマスク72を介して第1分散液61を抄造することにより、マスク72の遮蔽部がない部分では、第1分散液61中の分散質が濾し取られ、フィルター71上に残存する。一方、マスク72の遮蔽部がある部分では、分散質が留まることがない。その結果、図6(b)に示すように、マスク72の遮蔽部がない部分に対応する中実領域41が形成されるとともに、マスク72の遮蔽部がある部分に対応する中空領域42が形成される。そして、これらをフィルター71から取り外すことにより、図6(c)に示す第1中間体4aが得られる。
また、第1中間体4aには、さらに、第1樹脂21より融点が低い熱可塑性樹脂(以下、「低融点樹脂」という。)が含まれていてもよい。この低融点樹脂が含まれることにより、第1中間体4aの保形性をより高めることができる。すなわち、第1中間体4aが加圧成形における加熱温度よりも低温で加熱されたとき(例えば乾燥等)、低融点樹脂が溶融して第1繊維22同士、第1樹脂21同士または第1樹脂21と第1繊維22との間を結着する。これにより、第1中間体4aはその形状を維持し易くなる。その結果、最終的に得られる複合成形体1についても、寸法精度や機械的特性が低下し難くなる。また、複合成形体1が型崩れし難くなるため、複合成形体1を把持し易くなり、可搬性が高くなる。これにより、複合成形体1を例えば成形型内に配置する作業を容易に行うことができる。
溶融する前の低融点樹脂の形状は、特に限定されず、略球形粒子状、薄膜粒子状等の粒子状(粉状)をなしていてもよく、繊維状をなしていてもよい。
また、複合成形体1における低融点樹脂の含有量は、特に限定されないが、0.5〜30体積%程度であるのが好ましく、1〜20体積%程度であるのがより好ましく、2〜10体積%程度であるのがさらに好ましい。これにより、前述した効果を損なうことなく、低融点樹脂を添加することによる複合成形体1の保形性を高めるという効果が必要かつ十分に確保される。
低融点樹脂の融点は、第1樹脂21の融点から10〜250℃程度低いのが好ましく、50〜200℃程度低いのが好ましい。このような融点の差があることにより、低融点樹脂が乾燥等の工程において溶融するとともに、加圧成形の際には熱分解して除去され易くなる。このため、低融点樹脂が持つ機能を最大限に発揮させることができる。すなわち、第1中間体4aの加圧成形前においては低融点樹脂がその形状を維持させるように働き、その第1中間体4aの加圧成形後においては低融点樹脂が多く存在することによる機械的特性の低下を抑制することができる。
このようにして得られた第1中間体4aは、分散媒51を含んでいても、含んでいなくてもよい。
また、必要に応じて、第1中間体4aに乾燥処理を施すようにしてもよい。これにより、残存している分散媒51の少なくとも一部が除去される。
また、必要に応じて、第1中間体4aに仮の加圧成形処理(プレス処理)を施すようにしてもよい。これにより、第1中間体4aの保形性をより高めることができ、取り扱い性がさらに良好になる。
[2]次に、第2樹脂31と第2繊維32とこれらを分散させる分散媒52とを含む第2分散液62を調製する。調製した第2分散液62は、十分に撹拌、混合される。なお、第2分散液62には、必要に応じて、前述した凝集剤やパルプ、その他の添加剤等が添加されていてもよい。
本工程における第2樹脂31の形状は、特に限定されず、例えば、略球形粒子状、薄膜粒子状等の粒子状(粉状)または繊維状とされる。これにより、後述する抄造において、第2繊維32とともに第2樹脂31を抄きとることができる。その結果、第2樹脂31と第2繊維32とを均一に絡み合わせることができ、最終的に良好な第2中間体4bが得られる。この第2中間体4bは、その後の加圧成形を経ることにより、第2の領域3となる。
なお、第2樹脂31が熱硬化性樹脂を含む場合、その熱硬化性樹脂は半硬化状態であることが好ましい。半硬化の熱硬化性樹脂は、第2中間体4bを製造後、加熱、加圧によって所望の形状に成形されて硬化に至る。これにより、熱硬化性樹脂の特性を生かした複合成形体1が得られることとなる。
一方、第2繊維32としては、例えば第2樹脂31よりも融点が高い繊維が用いられる。このような第2繊維32を用いることにより、後述する工程において第1中間体4aおよび第2中間体4bを加熱しつつ加圧成形するとき、第2樹脂31のみを選択的に溶融させることができる。これにより、第2樹脂31を第2繊維32の周辺で溶融、分散させることができ、均質な複合成形体1が得られる。
第2繊維32の融点は、第2樹脂31の融点よりも高ければよいが、その差は10℃以上であるのが好ましく、50℃以上であるのがより好ましい。
また、分散媒52としては、分散媒51として挙げたものから適宜選択される。
また、第2分散液62における分散媒52の含有量は、特に限定されないが、固形分総量に対して0.05〜3質量%程度であるのが好ましく、0.1〜2質量%程度であるのがより好ましい。
続いて、図7(a)に示すように、調製した第2分散液62を抄造する。これにより、中空領域42において第2分散液62中の分散質が濾し取られ、図7(b)に示すようにフィルター71上に残存する。その結果、中空領域42を埋めるように中実領域43が形成される。そして、第1中間体4aと第2中間体4bとが組み合わさった第3中間体4cが得られる(図7(b)参照)。
このような第1中間体4aは、図8に示すように、第1樹脂21と第1繊維22とを含む中実領域41を含むものであり、第2中間体4bは、図8に示すように、第2樹脂31と第2繊維32とを含む中実領域43を含むものである。
なお、第2中間体4bには、必要に応じて、前述した低融点樹脂が含まれていてもよい。この低融点樹脂については、前述した第1中間体4aにおける説明と同様である。
このようにして得られた第2中間体4bは、分散媒52を含んでいても、含んでいなくてもよい。
また、必要に応じて、第2中間体4bに乾燥処理を施すようにしてもよい。これにより、残存している分散媒52の少なくとも一部が除去される。
また、必要に応じて、第2中間体4bに仮の加圧成形処理(プレス処理)を施すようにしてもよい。これにより、第2中間体4bの保形性をより高めることができ、取り扱い性がさらに良好になる。
なお、第2樹脂31の形状としては、特に繊維状が好ましく採用される。これにより、見かけ密度が特に小さい第2中間体4bを得ることができる。このような第2中間体4bによれば、後述する加圧成形を経て、密度が小さい第2の領域3を得ることができる。
繊維状をなす第2樹脂31の平均長さは、特に限定されないが、1mm以上であるのが好ましく、2mm以上であるのがより好ましく、4mm以上であるのがさらに好ましい。繊維状をなす第2樹脂31の平均長さを前記範囲内に設定することにより、繊維状をなす第2樹脂31と第2繊維32との絡み合いの程度がさらに大きくなる。これにより、製造される第2の領域3において実現可能な空孔率の幅をより広くとることができる。
なお、繊維状をなす第2樹脂31の平均長さの上限値は、特に限定されないが、例えば100mm以下であるのが好ましく、50mm以下であるのがより好ましい。これにより、第2の領域3を製造するにあたって繊維状をなす第2樹脂31を分散媒52に分散させるとき、その分散性が良好になる。その結果、均質な構造の成形体が得られるため、最終的に機械的特性に優れた第2の領域3が得られる。
なお、繊維状をなす第2樹脂31の平均長さとは、任意の100本以上の繊維状をなす第2樹脂31について、その長さを測定し、平均した値のことをいう。
また、繊維状をなす第2樹脂31の平均長さは、第2繊維32の平均長さの10〜1000%程度であるのが好ましく、20〜500%程度であるのがより好ましい。これにより、繊維状をなす第2樹脂31と第2繊維32との絡まり合いの程度がより顕著になるため、第2中間体4bの保形性がより良好になるとともに、より幅広い範囲の空孔率の第2の領域3を容易に製造可能な第2中間体4bが得られる。
また、繊維状をなす第2樹脂31の平均径は、特に限定されないが、1〜100μm程度であるのが好ましく、5〜80μm程度であるのがより好ましい。繊維状をなす第2樹脂31の平均径を前記範囲内に設定することにより、繊維状をなす第2樹脂31自体がある程度の機械的強度を有するものとなるため、第2中間体4bにおいて繊維状をなす第2樹脂31が均一に分散した状態を維持し易くなる。その結果、製造される第2の領域3において実現可能な空孔率の幅をより広くとることができる。
なお、繊維状をなす第2樹脂31の平均径とは、任意の100本以上の繊維状をなす第2樹脂31について、その径を測定し、平均した値のことをいう。
また、繊維状をなす第2樹脂31の径に対する長さの比(長さ/径)は、10以上であるのが好ましく、100以上であるのがより好ましい。これにより、繊維状をなす第2樹脂31が上記のような効果をより確実に発揮する。
一方、第2分散液62は、熱膨張性マイクロカプセルを含んでいてもよい。
この熱膨張性マイクロカプセルとは、揮発性の液体発泡剤を、ガスバリア性を有する熱可塑性シェルポリマーによりマイクロカプセル化した粒子である。このような熱膨張性マイクロカプセルは、次のようなメカニズムにより、発泡剤として機能するものである。すなわち、加熱によりカプセルの外殻が軟化しつつ、カプセルに内包した液体発泡剤が気化し圧力が増加する。その結果、カプセルが膨張し、中空球状粒子が形成される。この中空球状粒子は、加圧成形後においても残存するため、結果的に第2の領域3の密度を低下させることに寄与する。したがって、密度の小さい第2の領域3を得ることができる。
液体発泡剤としては、例えば、イソペンタン、イソブタン、イソプロパン等といった低沸点の炭化水素が挙げられる。
熱可塑性シェルポリマーとしては、例えば、ポリアクリロニトリル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニリデン−メチルメタクリレート共重合体、塩化ビニリデン−エチルメタクリレート、アクリロニトリル−メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチルメタクリレート等が挙げられ、これらを単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いるようにしてもよい。
熱膨張性マイクロカプセルとしては、例えば、エクスパンセル(日本フェライト社製)、マイクロスフェアーF50、マイクロスフェアーF60(以上、松本油脂製薬社製)、アドバンセルEM(積水化学工業社製)といった市販品を用いることができる。
熱膨張性マイクロカプセルの含有量は、第2樹脂31の0.05〜10質量%程度とするのが好ましく、0.1〜5質量%程度とするのがより好ましい。これにより、第2の領域3の密度を低下させつつ、ある程度の機械的強度を確保することができる。
[3]次に、図7(c)に示すように、成形型74と成形型75との間に、第1中間体4aおよび第2中間体4bからなる第3中間体4cを配置し、加圧成形する。これにより、図2(b)に示す複合成形体1が得られる。
成形型74と成形型75との間に配置された第3中間体4cは、図7(c)に示す矢印Pのように成形型74を降下させることにより、成形型74と成形型75との間で圧縮される。このとき同時に加熱されるため、第1中間体4aに含まれる第1樹脂21の少なくとも一部が溶融し、第1繊維22同士の間に流れ込む。その後、第1樹脂21が硬化することにより、第1樹脂21によって第1繊維22同士が結着される。これにより、第1中間体4aから第1の領域2が得られる。
また、第2中間体4bに含まれる第2樹脂31の少なくとも一部が溶融し、第2繊維32同士の間に流れ込む。その後、第2樹脂31が硬化することにより、第2樹脂31によって第2繊維32同士が結着される。これにより、第2中間体4bから第2の領域3が得られる。
その結果、第1の領域2と第2の領域3とが組み合わさった複合成形体1が得られる。
なお、第1の領域2と第2の領域3との間では、第1樹脂21が第2の領域3側に混ざり合ったり、反対に、第2樹脂31が第1の領域2側に混ざり合ったりする。これにより、第1の領域2と第2の領域3との間がより強固に接合される。なお、このような成分の混ざり合いは、必須の現象ではなく、いずれか一方のみが起こる場合や、いずれも起こらない場合があってもよい。
以上のようにして第1の領域2と第2の領域3とが一体化され、図2(b)に示す複合成形体1が得られる。
このときの加熱温度は、第1樹脂21や第2樹脂31の組成等に応じて適宜設定されるが、一例として150〜350℃程度であるのが好ましく、160〜300℃程度であるのがより好ましい。
また、このときの加熱時間は、加熱温度に応じて適宜設定されるが、1〜180分程度であるのが好ましく、5〜60分程度であるのがより好ましい。
また、このときの加圧力は、加熱温度や加熱時間に応じて適宜設定されるが、0.05〜80MPa程度であるのが好ましく、0.1〜60MPa程度であるのがより好ましい。
なお、複合成形体1を製造する方法は、上記の方法に限定されず、例えば、第2の領域3は抄造法以外の方法、例えば射出成形法、押出成形法等で製造されてもよい。
≪第2実施形態≫
次に、本発明の複合成形体の製造方法の第2実施形態について説明する。
図9〜図11は、それぞれ図1に示す複合成形体1を製造する方法(本発明の複合成形体の製造方法の第2実施形態)を説明するための図である。
以下、第2実施形態について説明するが、以下の説明では第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
本実施形態に係る複合成形体1を製造する方法は、第1樹脂21と第1繊維22とを含む第1分散液61を抄造することにより、中実領域41と中空領域42とを含む第1中間体4aを得る工程と、第2樹脂31と第2繊維32とを含む第2分散液62を抄造することにより、第2中間体4bを得る工程と、中空領域42に第2中間体4bを配置する工程と、第1中間体4aおよび第2中間体4bを加圧成形することにより、複合成形体1を得る工程と、を有する。
すなわち、本実施形態は、第1中間体4aと第2中間体4bをそれぞれ個別に形成した後、これらを組み合わせた状態で加圧成形するという点で第1実施形態と相違する。以下、各工程について順次説明する。
[1]まず、図9(a)に示すようにして第1分散液61を抄造することにより、図9(b)に示す仮中間体4a’を得る。この仮中間体4a’は中空部を含まず、全体が中実になっている。また、仮中間体4a’は、図9(b)に示すようにシート状をなしている。
次に、図9(c)に示すように、切断ツール8を用いて仮中間体4a’を切断する。そして、仮中間体4a’の一部を切り抜くことにより、中空になっている中空領域42と、中実になっている中実領域41と、を含む第1中間体4aを得る(図9(d)参照)。このような方法によれば、例えば仮中間体4a’をあらかじめ多量に作製しておき、必要に応じて仮中間体4a’を目的とする形状に切断するというプロセスをとることができる。これにより、抄造の作業を簡素化することができ、かつ、低コスト化を図ることができる。
なお、切断ツール8は、仮中間体4a’を切断可能な手段であれば、いかなるものであってもよく、例えば機械的加工、ウォータージェット加工、レーザー加工等を行い得る手段が用いられる。
[2]次に、図10(a)に示すようにして第2分散液62を抄造することにより、図10(b)に示す仮中間体4b’を得る。この仮中間体4b’は中空部を含まず、全体が中実になっている。また、仮中間体4b’は、図10(b)に示すようにシート状をなしている。
次に、図10(c)に示すように、切断ツール8を用いて仮中間体4b’を切断する。そして、仮中間体4b’の一部を切り抜くことにより、複数の中実領域43を含む第2中間体4bを得る(図10(d)参照)。このような方法によれば、例えば仮中間体4b’をあらかじめ多量に作製しておき、必要に応じて仮中間体4b’を目的とする形状に切断するというプロセスをとることができる。これにより、抄造の作業を簡素化することができ、かつ、低コスト化を図ることができる。
[3]次に、図11(a)に示すように、第1中間体4aの中空領域42に、第2中間体4bを配置する。具体的には、中空領域42に対して第2中間体4bの中実領域43を嵌め込む。これにより、中空領域42が中実領域43によって充填され、1つのシート状をなす第3中間体4cを得る(図11(b)参照)。
次に、図11(b)に示すように、成形型74と成形型75との間に、第1中間体4aおよび第2中間体4bからなる第3中間体4cを配置する。そして、図11(b)に示す矢印Pのように成形型74を降下させることにより、第3中間体4cを加圧成形する。これにより、図2(b)に示す複合成形体1が得られる。
以上のような第2実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、上記の説明では、一旦、シート状の仮中間体4a’や仮中間体4b’を形成した後、これらを切断して第1中間体4aや第2中間体4bを形成しているが、第1中間体4aや第2中間体4bの形成はこれらの手順に限定されない。例えば、第1実施形態と同様、フィルター71上にマスク72を配置することによって、第1中間体4aと第2中間体4bとを個別に形成した後、本実施形態の工程[3]と同様にして、第1中間体4aの中空領域42に第2中間体4bを配置するようにしてもよい。
以上、本発明の複合成形体および複合成形体の製造方法を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、本発明の複合成形体は、前記実施形態に任意の要素が付加されたものであってもよい。
また、本発明の複合成形体の製造方法は、前記実施形態に任意の工程を付加したものであってもよく、前記実施形態の各工程の順序を入れ替えたものであってもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.歯車の製造
(実施例1A)
[1]まず、レゾール型フェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製、品番PR−51723)と、アラミド繊維(帝人株式会社製、品番T32PNW、平均長さ3mm、平均径12μm)と、アラミドパルプ(デュポン社製、品番パラアラミドパルプ)と、を水に加え、ディスパーザーで20分間撹拌した。これにより、固形分濃度0.6質量%の第1分散液を得た。なお、配合比は表1に示す通りである。
次に、得られた第1分散液に、あらかじめ水に溶解させた凝集剤(ポリエチレンオキシド、分子量1000000)を、上述した固形分(第1分散液の水以外の成分)に対して0.2質量%の割合で添加した。
[2]次に、凝集剤が添加された第1分散液を、40メッシュの金属網(スクリーン)でろ過し凝集物を得た。この凝集物を圧力3MPaで脱水プレスして水を除去した。このとき、マスクを併用して抄造する領域を設定するようにした。
次に、脱水した凝集物を、50℃で5時間乾燥させて、図1に示す第1の領域2と同形状の第1中間体を得た。
[3]次に、アトマイザー粉砕機で平均粒径100μm(質量基準の50%粒子径)に粉砕したレゾール型フェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製、品番PR−51723)と、アラミド繊維(帝人株式会社製、品番T32PNW、平均長さ3mm、平均径12μm)と、発泡剤として熱膨張性マイクロカプセル(積水化学工業社製、アドバンセルEM−304)と、アラミドパルプ(デュポン社製、品番パラアラミドパルプ)と、を水に加え、ディスパーザーで30分間撹拌した。これにより、固形分濃度0.01質量%の第2分散液を得た。なお、配合比は表1に示す通りである。
次に、得られた第2分散液に、あらかじめ水に溶解させた凝集剤(合成スメクタイト:スメクトン(クニミネ工業社製))を、上述した固形分(第2分散液の水以外の成分)に対して0.2質量%の割合で添加した。
[4]次に、30メッシュの金属網(スクリーン)を用意し、その上に第1中間体を配置した。そして、この状態で、凝集剤が添加された第2分散液を、30メッシュの金属網(スクリーン)でろ過し凝集物を得た。この凝集物を圧力3MPaで脱水プレスして水を除去した。
次に、脱水した凝集物を、70℃で3時間乾燥させて、図1に示す第2の領域3と同形状の第2中間体を得るとともに、第1中間体と第2中間体とを組み合わせてなる第3中間体を得た。
[5]次に、成形型のキャビティー内に、第3中間体を配置した。
次に、成形型を加熱しつつ、第3中間体を加圧成形した。このときの加熱温度を180℃、加圧力を2MPa、加圧時間を10分間とした。このとき、熱膨張性マイクロカプセルを膨張させ、空孔を形成した。
以上により、図1に示す複合成形体を得た。この複合成形体の厚さは、4mmであった。
(実施例2A〜16Aおよび実施例1B〜17Bならびに比較例5Aおよび比較例5B、7B〜8B)
複合成形体の製造条件を表1、表2、表3または表4に示すように変更した以外は、実施例1Aと同様にして複合成形体を得た。
(比較例1A、2A、6Aおよび比較例1B、2B、6B)
複合成形体の製造条件を表2または表4に示すように変更し、第2の領域を省略し、複合成形体の全体を第1の領域で占めるようにした以外は、実施例1Aと同様にして複合成形体を得た。
(比較例3A、4Aおよび比較例3B、4B)
複合成形体の製造条件を表2または表4に示すように変更し、第1の領域を省略し、複合成形体の全体を第2の領域で占めるようにした以外は、実施例1Aと同様にして複合成形体を得た。
2.複合成形体の評価
2.1 密度および軽量化の評価
まず、各実施例および各比較例の複合成形体について、JIS K 7112:1999のA法に準拠した方法により密度を測定した。測定結果を表1ないし表4に示す。
また、併せて、軽量化されているか否かを評価した。なお、軽量化されているか否かの評価にあたっては、各実施例および比較例の複合成形体について、その第1の領域のみで構成した成形体を比較基準とした。なお、第1の領域が存在しない比較例3A、4Aおよび比較例3B、4Bについては、比較基準がないため、上記評価を省略した。
そして、比較基準の複合成形体の密度に対する評価対象の複合成形体の密度の減少率を算出し、以下の評価基準に照らして評価した。なお、実施例1Aの密度の減少率は、100×(1.19−1.15)/1.19=約3.4%であり、実施例11Aの密度の減少率は、100×(1.39−1.27)/1.39=約8.6%であり、実施例15Aの密度の減少率は、100×(1.52−1.25)/1.52=約17.8%である。
<軽量化の評価基準>
A:密度の減少率が10.0%以上である
B:密度の減少率が7.0%以上、10.0%未満である
C:密度の減少率が3.4%以上、7.0%未満である
D:密度の減少率が1.0%以上、3.4%未満である
E:密度の減少率が1.0%未満である
2.2 引張強度の評価
次に、各実施例および各比較例の複合成形体について、JIS K 7162:1994に準拠した方法により引張強度を測定した。
そして、各実施例および比較例の複合成形体について、その第1の領域のみで構成した成形体の引張強度を1としたときの相対値を算出した。なお、第1の領域が存在しない比較例3A、4Aおよび比較例3B、4Bについては、比較基準がないため、上記評価を省略した。
次に、算出した相対値を以下の評価基準に照らして評価した。
<引張強度の評価基準>
A:相対値が0.9以上である
B:相対値が0.7以上0.9未満である
C:相対値が0.5以上0.7未満である
D:相対値が0.3以上0.5未満である
E:相対値が0.3未満である
評価結果を表1ないし表4に示す。
表1ないし表4から明らかなように、各実施例の複合成形体については、十分な軽量化が図られている一方、軽量化が施されていない比較対象、すなわち第1の領域のみで構成した成形体と同等程度の引張強度を有していることが認められた。また、第2の領域の面積率が95%である複合成形体(比較例5Aおよび5B)は、十分な軽量化が図られていたが、十分な引張強度を有していなかった。一方、第2の領域の面積率が15%である複合成形体(比較例7B〜8B)は、十分な引張強度を有していたが、十分な軽量化が図られていなかった。このことから、本発明は、軽量化と高い機械的強度とを両立させた複合成形体を実現し得ることが認められた。
なお、上述した各実施例の複合成形体は、いずれも第2の領域が正六角形である複合成形体であるが、表1、2には記載していないものの、第2の領域がそれ以外の形状、具体的には正方形および真円形である場合の複合成形体も作製し、上記と同様の評価を行った。その結果、いずれの評価項目においても、第2の領域が正六角形である複合成形体の方が良好な結果となった。
また、第2の領域をランダムに(不規則的に)配置した複合成形体についても、上記と同様の評価を行った。その結果、いずれの評価項目においても、第2の領域が規則的に配置されている複合成形体の方が良好な結果を示した。