JP6364714B2 - 太陽電池用封止材及び太陽電池モジュール - Google Patents
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Description
さらに、太陽電池に求められる各特性に応じて種々の無機フィラーを含有した封止材が用いられる。例えば、白色に着色された裏面側封止材を用いると、裏面側封止材と受光面側封止材との界面における光の反射や顔料による乱反射で、太陽電池素子同士の間に入射した光や太陽電池素子を通過した光を乱反射させ、再度太陽電池素子に入射させることができるようになる。これにより、太陽電池に入射した光の利用効率が高まり、発電効率を向上させることができる。また、太陽電池素子は一般的に黒色状の外観を有する為、封止材を黒色に着色することで太陽電池モジュールの意匠性を向上させることも可能となる。しかし、無機フィラーを含有することにより、封止材の有する前面保護材や裏面保護材などへの接着性が低下することなどの懸念があった。
ここで、シラン変性樹脂が失活するとは、シラン変性樹脂に含まれ、太陽電池素子等との接着性に関与するアルコキシシリル基が水の存在下で加水分解、及び縮合反応してアルキロキシ基になり、アルコキシシリル基が減少し、接着性が低下する現象を指している。
[1] シラン変性樹脂を含有し、且つ無機フィラーを含有しない樹脂層(I)と、無機フィラーを含有する樹脂層(II)とを有する太陽電池用封止材であって、該樹脂層(I)と該樹脂層(II)との間に樹脂層(III)を有することを特徴とする太陽電池用封止材。
[2] 前記樹脂層(I)を構成する樹脂の主成分が、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体であることを特徴とする前記[1]に記載の太陽電池用封止材。
[3] 前記樹脂層(I)及び樹脂層(II)を構成する樹脂の主成分が、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体であることを特徴とする前記[1]に記載の太陽電池用封止材。
[4] 前記樹脂層(I)、樹脂層(II)及び樹脂層(III)を構成する樹脂の主成分が、同一種類の樹脂であることを特徴とする前記[1]に記載の太陽電池用封止材。
[5] 前記樹脂層(I)、樹脂層(II)及び樹脂層(III)を構成する樹脂の主成分が、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合であることを特徴とする前記[1]に記載の太陽電池用封止材。
[6] 前記樹脂層(III)が、シラン変性樹脂及び無機フィラーを含有しないことを特徴とする前記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の太陽電池用封止材。
[7] 前記無機フィラーが無機顔料であることを特徴とする前記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の太陽電池用封止材。
[8] 前記無機顔料が白色顔料又は黒色顔料であることを特徴とする前記[7]に記載の太陽電池用封止材。
[9] 前記樹脂層(III)の吸水率(JIS K7209)が50ppm以上であることを特徴とする前記[1]〜[8]のいずれか1項に記載の太陽電池用封止材。
[10] 前記[1]〜[9]のいずれか1項に記載の太陽電池用封止材を用いて作製した太陽電池モジュール。
「層を構成する樹脂」とは、その層に含まれる全ての樹脂を意味する。また、「層を構成する樹脂組成物」とは、その層に含まれる全ての樹脂、無機フィラー及びその他の添加剤を意味する。また、本明細書の吸水率及び含水率に係るppmは、質量ppmを意味する。
本発明に用いられる樹脂層(I)は、シラン変性樹脂を含有し、且つ無機フィラーを含有しないものである。樹脂層(I)を構成する樹脂は特に限定されるものではないが、接着性、接着力の長期安定性及び耐熱性の他、太陽電池用封止材の製膜時の生産性の観点から、好ましくは、オレフィン系樹脂を主成分とするものである。
オレフィン系樹脂としては、特に限定されるものではないが、具体的には下記の(A)〜(C)の各々に示されるオレフィン系樹脂が好適に用いられる。オレフィン系樹脂は、1種のみを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。得られる封止材の柔軟性、水蒸気バリア特性、フィッシュアイ(ゲル)の少なさ、回路の腐食性物質(酢酸など)の少なさおよび経済性などの観点から(A)や(B)に示されるものが好ましく、中でも低温特性や耐候性に優れる点で(A)に示されるものが特に好適に用いられる。
オレフィン系樹脂(A)は、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体である。ここで、エチレンと共重合する前記α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、3−メチル−ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1等が例示される。
本発明においては、工業的な入手し易さや諸特性、経済性などの観点からエチレンと共重合する前記α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−へキセン、1−オクテンが好適に用いられる。また、柔軟性などの観点からエチレン−α−オレフィンランダム共重合体が好適に用いられる。エチレンと共重合するα−オレフィンは1種のみを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体の立体構造、分岐、分岐度分布、分子量分布や共重合形式(ランダム、ブロックなど)は、特に制限されるものではないが、例えば、長鎖分岐を有する共重合体は、一般に機械物性が良好であり、また、シートを成形する際の溶融張力(メルトテンション)が高くなりカレンダー成形性が向上するなどの利点がある。
ここで、MFRは、シートを成形する際の成形加工性や太陽電池素子(セル)を封止する時の密着性、回り込み具合などを考慮して選択すればよい。例えば、シートをカレンダー成形する場合には、シートを成形ロールから引き剥がす際のハンドリング性からMFRは、比較的低い値、具体的には0.5〜5g/10min程度が好ましく、また、Tダイを用いて押出成形する場合には、押出負荷を低減させ押出量を増大させる観点からMFRは、1〜50g/10minが好ましく、2〜50g/10minがより好ましく、さらに好ましくは3〜30g/10minである。さらに、太陽電池素子(セル)を封止する時の密着性や回り込み易さの観点からは、MFRは、好ましくは2〜50g/10min、より好ましくは3〜30g/10minである。
オレフィン系樹脂(B)は、プロピレンと該プロピレンと共重合可能な他の単量体との共重合体あるいは、プロピレンの単独重合体である。但し、これらの共重合形式(ランダム、ブロックなど)、分岐、分岐度分布や立体構造には特に制限がなく、イソタクチック、アタクチック、シンジオタクチックあるいはこれらの混在した構造の重合体とすることができる。
共重合可能な他の単量体としては、エチレンや1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−ペンテン−1、1−オクテン等の炭素数4〜12のα−オレフィンおよびジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、シクロオクタジエン、エチリデンノルボルネン等のジエン類等が例示される。
本発明においては、工業的な入手し易さや諸特性、経済性などの観点からプロピレンと共重合するα−オレフィンとしては、エチレンや1−ブテンが好適に用いられる。また、柔軟性などの観点からプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体が好適に用いられる。プロピレンと共重合する単量体は1種のみを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ここで、MFRは、シートを成形する際の成形加工性や太陽電池素子(セル)を封止する時の密着性、回り込み具合などを考慮して選択すればよい。例えば、シートをカレンダー成形する場合には、シートを成形ロールから引き剥がす際のハンドリング性からMFRは、比較的低い方、具体的には0.5〜5g/10min程度が好ましく、また、Tダイを用いて押出成形する場合には、押出負荷を低減させ押出量を増大させる観点からMFRは、好ましくは2〜50g/10min、より好ましくは3〜30g/10minである。さらに、太陽電池素子(セル)を封止する時の密着性や回り込み易さの観点からは、MFRは、好ましくは2〜50g/10min、より好ましくは3〜30g/10minである。
オレフィン系樹脂(C)は変性オレフィンである。
変性オレフィンの種類は特に限定されるものではないが、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体(E−MMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(E−EAA)、エチレン−グリシジルメタアクリレート共重合体(E−GMA)、アイオノマー樹脂(イオン架橋性エチレン−メタクリル酸共重合体、イオン架橋性エチレン−アクリル酸共重合体)、及び無水マレイン酸グラフト共重合体からなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂であることが好ましい。
本発明に用いられるシラン変性樹脂は、特に限定されるものではないが、例えば、オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂等の樹脂とシランカップリング剤との重合により得られるものが挙げられ、その中でも、工業的な入手し易さや経済性の観点から、シラン変性オレフィン系樹脂が好適に用いられる。
シラン変性樹脂の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、前述したオレフィン系樹脂(A)〜オレフィン系樹脂(C)の各々に示されるオレフィン系樹脂(その中で、反応性や、耐候性などの観点から特にオレフィン系樹脂(A)が好ましい)、後述するシランカップリング剤をラジカル発生剤存在下で高温で溶融混合し、グラフト重合することにより得ることができる。
該シランカップリング剤の添加量は、シラン変性樹脂のシラン変性前の樹脂100質量部に対し、通常、0.1〜5質量部程度であり、好ましくは0.2〜3質量部である。
該ラジカル発生剤の添加量は、シラン変性樹脂のシラン変性前の樹脂100質量部に対し、通常、0.001〜0.1質量部程度であり、好ましくは0.005〜0.05質量部である。
本発明の樹脂層(I)を構成する樹脂組成物は、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、諸物性(柔軟性、耐熱性、透明性、接着性等)や成形加工性または経済性等をさらに向上させる目的で、上述以外の樹脂を含むことができる。その他の樹脂として、例えば、粘着付与樹脂(石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂等)、各種エラストマー(スチレン系エラストマー等)等が挙げられる。
酸化防止剤の添加量は、限定されるものではないが、樹脂層(I)を構成する樹脂100質量部に対し、通常0.1質量部以上1質量部以下であることが好ましく、0.2質量部以上0.5質量部以下の範囲であることがより好ましい。
紫外線吸収剤の添加量は、限定されるものではないが、樹脂層(I)を構成する樹脂100質量部に対し、通常0.01質量部以上2.0質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上0.5質量部以下であることがより好ましい。
ヒンダードアミン系光安定化剤の添加量は、限定されるものではないが、樹脂層(I)を構成する樹脂100質量部に対し、通常0.01質量部以上0.5質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上0.3質量部以下の範囲であることがより好ましい。
本発明に用いられる樹脂層(II)は、無機フィラーを含有するものである。樹脂層(II)を構成する樹脂は特に限定されるものではないが、本発明の封止材の製造時における再生添加の容易性や、それによる歩留まり等の生産性の向上、さらに柔軟性、耐熱性などの観点から、具体的には、前述の(A)〜(C)の各々に示されるオレフィン系樹脂を主成分とすることが好ましく、前記樹脂層(I)を構成する樹脂の主成分と同一種類の樹脂を使用することがより好ましい。なお、ここでいう「同一種類の樹脂」とは、例えば、樹脂層(I)を構成する樹脂の主成分が前記オレフィン系樹脂(A)である場合に、樹脂層(II)を構成する樹脂の主成分も前記オレフィン系樹脂(A)に分類される樹脂であることを意味する。
また、樹脂層(II)及び樹脂層(I)を構成する樹脂の主成分が、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体であることが更に好ましい。
無機フィラーとしては、剛性や耐熱性など付与する為の無機フィラーや、反射性、隠蔽性や意匠性を高める為の無機フィラー(以下、無機顔料と呼ぶこともある)などが用いられる。
白色顔料を添加することにより太陽光を光反射させ、太陽電池を通過した光を再利用することで発電効率を向上させることができる。また、黒色顔料、青色顔料などの各種顔料を添加することにより太陽電池モジュールの意匠性、装飾性を向上することができる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒色酸化鉄、黒鉛などが用いられる。長期安定性などの観点から、カーボンブラックが好ましく用いられる。
その他の顔料としては、青色顔料として群青、紺青、コバルトブルーなどが、黄色顔料として黄色酸化鉄、チタンイエロー、黄鉛などが、赤色顔料としてベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹などが用いられる。
例えば、無機フィラーが白色顔料の場合は反射性の観点から、1〜30質量部程度であり、好ましくは3〜20質量部、更に好ましくは5〜15質量部である。
例えば、無機フィラーが黒色顔料の場合は隠蔽性の観点から、0.1〜15質量部程度であり、好ましくは0.5〜10質量部、更に好ましくは1〜5質量部である。
無機フィラーなどを予め樹脂に濃縮したマスターバッチの場合、無機フィラーなどの含有率は30質量%〜70質量%であることが好ましい。
無機フィラーなどを予め樹脂に濃縮したマスターバッチの含水率は、通常、1000ppm以下であり、好ましくは800ppm以下であり、より好ましくは600ppm以下であり、更に好ましくは400ppm以下である。
含水率は、JIS K7251のB法に準拠して測定できる。
本発明に用いられる樹脂層(III)は、樹脂層(I)と樹脂層(II)との間に設置することが重要である。樹脂層(III)を構成する樹脂は特に限定されるものではないが、樹脂層(II)に添加された無機フィラーに含まれる水分が、樹脂層(I)に移行することを抑制することや、封止材の製造時における再生添加の容易性や、それによる歩留まり等の生産性の向上などの観点から、具体的には、前述の(A)〜(C)の各々に示されるオレフィン系樹脂を主成分とすることが好ましく、前記樹脂層(I)を構成する樹脂の主成分と同一種類の樹脂を使用することがより好ましい。また、前記樹脂層(I)、樹脂層(II)及び樹脂層(III)を構成する樹脂の主成分が、同一種類の樹脂であることが更に好ましく、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体であることが最も好ましい。
吸水率がこの範囲であれば、屋外環境下で太陽電池モジュールとして使用中に水分を吸収しすぎて配線が錆びるなどの不具合を生じ難く、また、無機フィラーから発生した水分が樹脂層(I)に移行しシラン変性樹脂と反応して失活するなどの不具合を生じ難い。
吸水率は、JIS K7209のA法に準拠して測定できる。
また、封止材の接着性がすでに樹脂層(I)により付与されることや、経済性などの観点から、樹脂層(III)を構成する樹脂組成物には、シラン変性樹脂を含有しなくてもよい。
樹脂層(III)の経済性、吸水性などの役割の観点から、樹脂層(III)を構成する樹脂組成物には、無機フィラー及びシラン変性樹脂を含有しないことが好ましい。
本発明の太陽電池用封止材は、少なくとも、シラン変性樹脂を含有し、且つ無機フィラーを含有しない樹脂層(I)と、無機フィラーを含有する樹脂層(II)と、樹脂層(I)と樹脂層(II)との間に配された樹脂層(III)とを有する。
本発明の封止材の層構成としては、特に限定されるものではなく、例えば、樹脂層(I)/樹脂層(III)/(樹脂層(II)からなる3種3層構成や、樹脂層(I)/樹脂層(III)/樹脂層(II)/樹脂層(III)/樹脂層(I)の3種5層構成などを挙げることができる。中でも、樹脂層(I)/樹脂層(III)/樹脂層(II)/樹脂層(III)/樹脂層(I)の3種5層構成が、表裏対称構成となっておりハンドリング性などの観点から好ましい。
<接着性>
本発明の封止材は、樹脂層(I)を有する為、太陽電池素子や、上部保護材、下部保護材などに対する接着性に優れている。
本発明の封止材は、無機フィラーを含有し、長期保管後もシラン変性樹脂の失活が抑制される封止材である。従来の無機フィラー(例えば、無機顔料)を含有する封止材(特許文献2及び3)は、無機顔料に含まれる水分は、無機顔料を含有する層の樹脂の吸水率に応じて吸収されるが、吸水可能な量を超えた水分が隣接する層(シラン変性樹脂を含有する層)に移行する。この際、シラン変性樹脂は、水によって失活する恐れがある。本発明の封止材では、樹脂層(III)を形成することにより、樹脂層(II)によって吸収されなかった水分を吸収することができ、樹脂層(I)に含有するシラン変性樹脂と水との反応を抑制することができる。従って、長期保管後も接着性に優れることが可能である。
例えば、上部保護材または下部保護材として使用されるガラスに対する接着性の評価は、封止材とガラスとをラミネートした後、引張試験機で界面を剥離させた際の剥離強度によって評価することが出来る。
本発明の封止材の常温における柔軟性は、特に制限されるものではなく、適用される太陽電池の形状や厚み、設置場所などを考慮して適宜調整することができる。
例えば、封止材の動的粘弾性測定における振動周波数10Hz、温度20℃の貯蔵弾性率(E´)が1〜2000MPaであることが好ましい。太陽電池素子の保護や柔軟性を考慮すると、1〜100MPaであることが好ましく、5〜50MPaであることがより好ましく、5〜30MPaであることがさらに好ましい。また、シート形状などで封止材を採取した場合のハンドリング性やシート表面同士のブロッキング防止、あるいは、太陽電池モジュールにおける軽量化(通常3mm程度に対して、薄膜ガラス(1mm程度)が適用可能、あるいはガラスレスの構成が適用可能)などを考慮すると、100〜800MPaであることが好ましく、200〜600MPaであることがより好ましい。該貯蔵弾性率(E´)は、粘弾性測定装置を用いて、振動周波数10Hzで所定温度範囲を測定し、温度20℃における値を求めることで得られる。
本発明に用いられる封止材の耐熱性は、封止材を構成する樹脂の諸特性(結晶融解ピーク温度、結晶融解熱量、MFR、分子量など)により影響されるが、とくに、その結晶融解ピーク温度が強く影響する。一般に、太陽電池モジュールは発電時の発熱や太陽光の輻射熱などで85〜90℃程度まで昇温するが、結晶融解ピーク温度が100℃以上であれば、封止材の耐熱性を確保することが出来るため好ましい。耐熱性の評価は、例えば、厚み3mmの白板ガラス(サイズ;縦75mm、横25mm)と厚み5mmのアルミ板(サイズ;縦120mm、横60mm)の間に厚みが0.5mmのシート状の封止材を重ね、真空プレス機を用いて150℃、15分の条件で積層プレスした試料を作製し、該試料を100℃の恒温槽内で60度に傾斜して設置し500時間経過後の状態を観察し、ガラスが初期の基準位置からずれなかったものを○、ガラスが初期の基準位置からずれたり、シートが溶融したものを×として優劣を評価することができる。
次に、本発明の封止材の製造方法について説明する。
封止材の形状は、限定されるものではないが、取り扱い性の観点からシート状であるのが好ましい。
製膜方法としては、公知の方法、例えば単軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーなどの溶融混合設備を有し、Tダイを用いる押出キャスト法やカレンダー法などを採用することができ、特に限定されるものではないが、本発明においては、ハンドリング性や生産性などの面から、複数の押出機とTダイを用いた共押出キャスト法が好適に用いられる。
Tダイを用いる共押出キャスト法での成形温度は、用いる樹脂組成物の流動特性や製膜性などによって適宜調整されるが、概ね80℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは140℃以上であり、かつ、概ね300℃以下、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下、さらに好ましくは180℃以下であり、シランカップリング剤などを添加する場合は架橋反応に伴う樹脂圧の増加やフィッシュアイの増加を抑制するために成形温度を低下させることが好ましい。
シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤などの各種添加剤は、予め樹脂とともにドライブレンドしてからホッパーに供給してもよいし、予め全ての材料を溶融混合してペレットを作製してから供給してもよいし、添加剤のみを予め樹脂に濃縮したマスターバッチを作製し供給することができるしてもよい。
また、必要に応じて、シートを巻物とした場合のシート同士のブロッキング防止や太陽電池素子の封止工程でのハンドリング性やエア抜きのしやすさ向上などの目的のためエンボス加工や種々の凹凸(円錐や角錐形状や半球形状など)加工を行うことができる。さらに、シートを製膜する際に、シート製膜時のハンドリング性を向上するなどの目的のため、別の基材フィルム(延伸ポリエステルフィルム(OPET)や延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)など)と押出ラミネート法やサンドラミネート法などの方法で積層することができる。
太陽電池モジュールは、太陽電池素子が上下の保護材の間に設けられる。太陽電池モジュールとして、種々の構成のものを挙げることができ、例えば、(i)上部保護材(ガラス)/ガラス側に用いる封止材(受光面側封止材)/太陽電池素子/バックシート側に用いる封止材(背面側封止材)/下部保護材(バックシート)のように、太陽電池素子の両側から封止材で挟むように構成されたもの、(ii)上部保護材/封止材/内周面上に太陽電池素子を設けた下部保護材のように、下部保護材の内周面上に設けた太陽電池素子上に封止材と上部保護材を設けるように構成されたもの、(iii)内周面下に太陽電池素子を設けた上部保護材/封止材/下部保護材のように、上部保護材の内周面下に設けた太陽電池素子の下に封止材と下部保護材を設けるように構成されたものなどを挙げることができる。なお、記号「/」は、記号「/」を挟む層が隣接して積層されていることを表す。
太陽電池素子としては、例えば、単結晶シリコン型、多結晶シリコン型、アモルファスシリコン型、ガリウム−砒素、銅−インジウム−セレン、カドミウム−テルル等のIII−V族やII−VI族化合物半導体型、色素増感型、有機薄膜型等が挙げられる。
太陽電池モジュールを構成する各部材については、特に限定されるものではないが、上部保護材としては、無機材料や各種熱可塑性樹脂フィルム等の単層もしくは多層のシートであり、例えば、ガラス等の無機材料、ポリエステル、無機物蒸着ポリエステル、フッ素含有樹脂、ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂からなる単層もしくは多層の保護材を挙げることができる。下部保護材としては、無機材料や各種熱可塑性樹脂フィルム等の単層もしくは多層のシートであり、例えば、金属(錫、アルミニウム、ステンレス等)、ガラス等の無機材料、ポリエステル、無機物蒸着ポリエステル、フッ素含有樹脂、ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂からなる単層もしくは多層の保護材を挙げることができる。上部及び/又は下部の保護材の表面には、封止材や他の部材との接着性を向上させるためにプライマー処理やコロナ処理等公知の表面処理を施すことができる。
本発明の封止材の内、無機顔料を含有し反射性や隠蔽性を有するものは、背面側封止材として使用することが好ましい。
本発明の太陽電池モジュールは、上部保護材、受光面側封止材、太陽電池素子、本発明の封止材、下部保護材を、常法に従って、真空ラミネーターで、好ましくは100〜180℃、より好ましくは130〜150℃の温度、脱気時間2〜15分、プレス圧力0.5〜1atm、好ましくは2〜45分、より好ましくは4〜20分のプレス時間で加熱加圧圧着することにより製造することができる。
<吸水率>
吸水率は、JIS K7209のA法に準拠して測定した。
含水率は、JIS K7251のB法に準拠して測定した。
本発明における封止材の接着性は下記のように評価した。
厚み3.2mm、縦150mm、横150mmの白板ガラス(旭硝子社製、商品名「ソライト」)と、厚み0.33mm、縦150mm、横150mmのバックシート(Taiflex社製、商品名「Solmate VTPE1」)との間に後述する封止材(縦150mm、横150mm)と、厚み0.1mm、縦90mm、横150mmの離型PETフィルムを重ね、真空ラミネーターを用い、設定温度150℃、真空5分、プレス6分の条件で積層プレスした試料を作製した後、離型フィルムを取り除き、万能引張試験機(INTESCO社製、商品名「200X」)のチャックにガラスと封止材の積層体を挟み、もう一方のチャックにバックシートと封止材の積層を取り付け、角度180度、引張速度50mm/分の条件で剥離試験を行い、測定結果よりチャートにおける最大値(最大層間剥離強度)を読み取り、以下の基準で評価した。尚、200N/10mm巾以上の場合は>200と記載した。
○:最大層間剥離強度が100N/10mm巾以上
△:最大層間剥離強度が100N/10mm巾より小さく50N/10mm巾以上
×:最大層間剥離強度が50N/10mm巾より小さい
単位面積(1m2)の表1に示す封止材において、樹脂層(I)に到達する水分量を下記(式1)より算出し、以下の基準で評価した。
・計算式
(式1)到達水分量=(無機フィラーまたはマスターバッチの含水率x無機フィラーまたはマスターバッチの単位面積あたりの質量)−〔{樹脂層(II)の吸水率x樹脂層(II)の単位面積あたりの質量}+{樹脂層(III)の吸水率×樹脂層(III)の単位面積あたりの質量}〕
・評価基準
○:到達水分量が1.0mg未満
△:到達水分量が1.0mg以上かつ10mg未満
×:到達水分量が10mg以上
封止材を構成する原料を下記する。
(PE)
エチレン−オクテンランダム共重合体(プライムポリマー(株)製、商品名:エボリューP SP00108、密度:0.90g/cm3、MFR:10g/10min、Tm:95℃)と、エチレン−ヘキセンランダム共重合体(プライムポリマー(株)製、商品名:ネオゼックス0234N、密度:0.92g/cm3、2g/10min、Tm:125℃)との質量比2:1混合組成物。(吸水率:160ppm)
(S−PE)
シラン変性エチレン−ブテンランダム共重合体(三菱化学(株)製、商品名:リンクロンXLE815N、密度:0.915g/cm3、Tm:122℃、MFR:0.5g/10min)
(W−MB)
白色マスターバッチ(東京インキ(株)、商品名:PEX6800 White、酸化チタン60質量%、密度:1.7g/cm3、使用樹脂:低密度ポリエチレン、含水率550ppm)
(B−MB)
黒色マスターバッチ(東京インキ(株)、商品名:PEX999017 Black、カーボンブラック50質量%、密度:1.2g/cm3、使用樹脂:直鎖低密度ポリエチレン、含水率250ppm)
(I−1):PE/S−PE=90/10(質量比)
(I−2):PE/S−PE/W−MB=60/10/30(質量比)
(I−3):PE/S−PE/B−MB=85/10/5(質量比)
(III−1):PEのみ
(II−1):PE/W−MB=70/30(質量比)
(II−2):PE/W−MB=75/25(質量比)
(II−3):PE/B−MB=95/5(質量比)
樹脂層(I)を構成する樹脂組成物として(I−1)、樹脂層(III)を構成する樹脂組成物として(III−1)、樹脂層(II)を構成する樹脂組成物として(II−1)、をそれぞれ用いて、樹脂層(I)/樹脂層(III)/樹脂層(II)/樹脂層(III)/樹脂層(I)の積層構成となるように、同方向二軸押出機を用いたTダイ法にて樹脂温180〜200℃にて共押出成形した後、25℃のキャストエンボスロールで急冷製膜し、封止材を得た。各層の厚み及び各種の評価結果を表1に示した。
各層使用する樹脂組成物及び各層の厚みを表1に記載のように変更した以外は、実施例1と同様の方法により、封止材を得た。各層の厚み及び各種の評価結果を表1に示した。
樹脂層(I)を構成する樹脂組成物として(I−1)、樹脂層(II)を構成する樹脂組成物として(II−1)、をそれぞれ用いて、樹脂層(I)/樹脂層(II)/樹脂層(I)の積層構成となるように、同方向二軸押出機を用いたTダイ法にて樹脂温180〜200℃にて共押出成形した後、25℃のキャストエンボスロールで急冷製膜し、封止材を得た。各層の厚み及び各種の評価結果を表1に示した。
樹脂層(I)を構成する樹脂組成物として(I−2)を用いて、同方向二軸押出機を用いたTダイ法にて樹脂温180〜200℃にて共押出成形した後、25℃のキャストエンボスロールで急冷製膜し、単層封止材を得た。厚み及び各種の評価結果を表1に示した。
樹脂層(I)を構成する樹脂組成物を(I−3)に変更した以外に、比較例2と同様にして封止材を得た。厚み及び各種の評価結果を表1に示した。
これに対して、本発明で規定した特性を満足する樹脂層(III)がない封止材の場合は、樹脂層(I)に到達する水分量(到達水分量)が14mgである(比較例1)。この際、樹脂層(I)に含有されたシラン変性樹脂は、水によって失活する恐れがある。
樹脂層(I)に含有されたシラン変性樹脂が、無機フィラーに含まれる水分によって失活することを簡単な方法を用いて証明するために、比較例2及び3の樹脂層(I)を構成する樹脂組成物は、無機フィラー(酸化チタン、カーボンブラック)を含有させる。表1の結果に示したように、比較例2及び3の樹脂層(I)は、実施例1〜4の樹脂層(I)と同じのシラン変性樹脂の含有量(10質量%)を有しても、接着性は大幅に低減した。
Claims (2)
- シラン変性樹脂を含有し、且つ無機フィラーを含有しない樹脂層(I)と、無機フィラーを含有する樹脂層(II)とを有する太陽電池用封止材であって、該樹脂層(I)と該樹脂層(II)との間にシラン変性樹脂及び無機フィラーを含有しない樹脂層(III)を有することを特徴とし、該樹脂層(I)、該樹脂層(II)及び該樹脂層(III)を構成する樹脂の主成分が、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合であり、該無機フィラーが白色無機顔料又は黒色無機顔料である、太陽電池用封止材。
- 前記樹脂層(III)の吸水率(JIS K7209)が50ppm以上であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用封止材。
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