[第1実施形態]
以下、本発明の一実施形態として構造化照明顕微鏡装置を説明する。
図1は、構造化照明顕微鏡装置1の構成図である。本実施形態に係る構造化照明顕微鏡装置1は、3D−SIM(Structured Illumination Microscopy)モードの構造化照明顕微鏡である。本実施形態における構造化照明顕微鏡装置1は、その照明系の光学伝達関数(Optical Transfer Function;OTF)の0次成分と、1次および2次成分との比を、制御することができる。
先ず、構造化照明顕微鏡装置1の構成を説明する。
図1に示すとおり構造化照明顕微鏡装置1には、レーザユニット100と、光ファイバ11と、照明光学系10と、結像光学系30と、撮像素子42と、制御装置43と、画像記憶・演算装置44と、画像表示装置45とが備えられる。なお、照明光学系10は落射型であり、結像光学系30の対物レンズ31及びダイクロイックミラー33を利用して標本2の照明を行う。
レーザユニット100には、第1レーザ光源101、第2レーザ光源102、シャッタ103、104、ミラー105、ダイクロイックミラー106、レンズ107が備えられる。第1レーザ光源101及び第2レーザ光源102の各々は可干渉性のあるレーザ光を出射する光源であって、互いの出射波長は異なる。ここでは、第1レーザ光源101の波長λ1は、第2レーザ光源102の波長λ2よりも長い(λ1>λ2)。これらの第1レーザ光源101、第2レーザ光源102、シャッタ103、104は、それぞれ制御装置43によって駆動される。
光ファイバ11は、レーザユニット100から射出したレーザ光を導光するために、例えば、偏波面保存型のシングルモードファイバによって構成される。この光ファイバ11の出射端の光軸O方向の位置は、位置調節機構11Aによって調節可能である。この位置調節機構11Aは、制御装置43によって駆動・制御される。なお、位置調節機構11Aとしては、例えば、ピエゾ素子等が用いられる。
また、光ファイバ11として偏波面保存型のシングルモードファイバを使用した場合は、光ファイバ11の前後でレーザ光の偏波面が保存されるので、偏光板13は非必須であるが、レーザ光の偏光の品質を保つためには有効である。一方、光ファイバ11としてマルチモードファイバを使用した場合、偏光板13は必須である。
照明光学系10には、光ファイバ11の出射端側から順に、コレクタレンズ12と、偏光板13と、光束分岐部14と、集光レンズ17と、光量調整部18と、光束選択部19と、レンズ21と、視野絞り22と、フィールドレンズ23と、励起フィルタ24と、ダイクロイックミラー33と、対物レンズ31とが配置される。
光束分岐部14には、並進機構15と、回折光学素子(回折格子)16とが備えられ、光束選択部19には、1/2波長板19Aと、光束選択部材19Bと、回動機構19Cとが備えられる。これらの光束分岐部14、光束選択部19の各々は、制御装置43によって駆動される。
結像光学系30には、標本2の側から順に、対物レンズ31と、ダイクロイックミラー33と、吸収フィルタ34と、第2対物レンズ35とが配置される。
標本2は、例えば、平行平板状のガラス表面に配置された蛍光性の細胞(蛍光色素で染色された細胞)や、シャーレ内に存在する蛍光性の生体細胞(蛍光色素で染色された動く細胞)などの細胞である。この細胞には、波長λ1の光によって励起される第1蛍光領域と、波長λ2の光によって励起される第2蛍光領域との双方が発現している。
撮像素子42は、CCDやCMOS等からなる二次元の撮像素子である。撮像素子42は、制御装置43によって駆動されると、その撮像面41に形成された像を撮像し、画像を生成する。この画像は、制御装置43を介して画像記憶・演算装置44へと取り込まれる。撮像素子42のフレーム周期(撮像の繰り返し周期)は、撮像素子42の撮像時間(すなわち電荷蓄積及び電荷読出に要する時間)、干渉縞の方向切り換えに要する時間、その他の所要時間のうち、律速によって定められる。
制御装置43は、レーザユニット100、位置調節機構11A、光束分岐部14、光量調整部18、光束選択部19、撮像素子42を駆動制御する。制御装置43は、照明光学系10の光学伝達関数(Optical Transfer Function;OTF)の0次成分に対する1次成分の比C1と、0次成分に対する2次成分の比C2との設定を受け付け、該比C1、C2とレーザユニット100が出射させるレーザ光の波長λとに基づき、光量調整部18を制御する制御信号S3を生成する。なお、これらの制御の詳細は、後述する。また、比C1、C2は、予め設定されており、制御装置43は、レーザ光の波長λが変わっても、常に、該比C1、C2となるように、制御信号S3を生成するようにしてもよい。
画像記憶・演算装置44は、制御装置43を介して与えられた画像に対して演算を施し、演算後の画像を不図示の内部メモリに格納すると共に、画像表示装置45へ送出する。
次に、構造化照明顕微鏡装置1におけるレーザ光の振る舞いを説明する。第1レーザ光源101から射出した波長λ1のレーザ光(第1レーザ光)は、シャッタ103を介してミラー105へ入射すると、ミラー105で反射され、ダイクロイックミラー106へ入射する。一方、第2レーザ光源102から射出した波長λ2のレーザ光(第2レーザ光)は、シャッタ104を介してダイクロイックミラー106へ入射し、第1レーザ光と統合される。ダイクロイックミラー106から射出した第1レーザ光及び第2レーザ光は、レンズ107を介して光ファイバ11の入射端に入射する。なお、制御装置43がレーザユニット100を制御すると、光ファイバ11の入射端に入射するレーザ光の波長(=使用波長λ)は、長い波長λ1と短い波長λ2との間で切り替わる。
光ファイバ11の入射端に入射したレーザ光は、光ファイバ11の内部を伝搬して光ファイバ11の出射端に点光源を生成する。その点光源から射出したレーザ光は、コレクタレンズ12によって平行光束に変換され、偏光板13を介して光束分岐部14の回折格子16へ入射すると、各次数の回折光束に分岐される。これら各次数の回折光束(以下、「回折光束群」と称す。)は、集光レンズ17によって瞳共役面25の互いに異なる位置に集光される。
ここで、瞳共役面25は、レンズ17の焦点位置(後ろ側焦点位置)であって、対物レンズ31の瞳32(±1次回折光が集光する位置)に対してレンズ23、レンズ21を介して共役な位置のことである。この瞳共役面25にレンズ17の焦点位置(後ろ側焦点位置)が一致するように、レンズ17は配置されている。なお、「共役な位置」の概念には、当業者が対物レンズ17、レンズ21、23の収差、ビネッティング等、設計上必要な事項を考慮して決定した位置も含まれる。
なお、光ファイバ11から射出したレーザ光は基本的に直線偏光しているので、偏光板13は、省略することも可能であるが、余分な偏光成分を確実にカットするために有効である。また、レーザ光の利用効率を高めるため、偏光板13の軸は、光ファイバ11から射出したレーザ光の偏光方向に一致していることが望ましい。
瞳共役面25に向かった各次数の回折光束は、光量調整部18へ入射する。光量調整部18は、制御装置43からの制御信号S3に従い、0次の回折光束の光量と、1次および−1次の回折光束の光量とを調整する。なお、ここで、光量とは、撮像素子42により1つの変調画像を撮像する間の平均の光量である。光量調整部18により光量が調整された各回折光束は、瞳共役面25の近傍に配置された光束選択部19へ入射する。光束選択部19は、入射した各次数の回折光束のうち、0次回折光束と、1対の回折光束(ここでは±1次回折光束)とを選択的に通過させる。
光束選択部19を通過した0次回折光束と±1次回折光束は、レンズ21によって視野絞り22付近で回折格子16と共役な面を形成する。その後、0次回折光束と±1次回折光束の各々は、フィールドレンズ23により収束光に変換され、さらに励起フィルタ24を経てからダイクロイックミラー33で反射し、対物レンズ31の瞳面32上の互いに異なる位置に集光する。
瞳面32上に集光した0次回折光束と±1次回折光束の各々は、対物レンズ31の先端から射出される際には平行光束となり、標本2の表面で互いに干渉し、干渉縞を形成する。この干渉縞が、構造化照明光として使用される。
このような構造化照明光により標本2を照明すると、構造化照明光の周期構造と標本2の(蛍光領域の)周期構造との差に相当するモアレ縞が現れるが、このモアレ縞においては、標本2の高周波数の構造が元の周波数より低周波数側にシフトしているため、この構造を示す光(蛍光)は、元の角度よりも小さい角度で対物レンズ31へ向かうことになる。よって、構造化照明光により標本2を照明すると、標本2の(蛍光領域の)高周波数の構造情報までもが対物レンズ31によって伝達される。
標本2で発生した蛍光は、対物レンズ31に入射すると、対物レンズ31で平行光に変換された後、ダイクロイックミラー33とバリアフィルタ34を透過し、第2対物レンズ35を介して撮像素子42の撮像面41上に標本2の変調像を形成する。
この変調像は、撮像素子42により画像化され、制御装置43を介して画像記憶・演算装置44へと取り込まれる。さらに、取り込まれた変調画像には、画像記憶・演算装置44において公知の復調演算が施され、復調画像(超解像画像)が生成される。そして、この超解像画像は、画像記憶・演算装置44の内部メモリ(図示せず)に記憶されるとともに、画像表示装置45へと送出される。公知の復調演算としては、例えば、米国特許8115806号明細書に開示された方法が用いられる。
次に、光束分岐部14を詳しく説明する。図2は、光束分岐部14を説明する図であり、図2(A)は、光束分岐部14の回折格子16を光軸O方向から見た図であり、図2(B)は、±1次回折光束が瞳共役面に形成する集光点の位置関係を示す図である。なお、図2(A)は模式図であるため、図2(A)に示した回折格子16の構造周期は実際の構造周期と同じとは限らない。
図2(A)に示すように、回折格子16は、照明光学系10の光軸Oと直交する面内の互いに異なる複数方向に周期構造を有した回折格子である。回折格子16の材質は、例えば石英ガラスである。ここでは、回折格子16は、120°ずつ異なる第1方向V1、第2方向V2、第3方向V3の各々にかけて周期構造を有しており、それら3方向の構造周期は共通であると仮定する。
なお、回折格子16の周期構造は、濃度(透過率)を利用して形成された濃度型の周期構造、または段差(位相差)を利用して形成された位相型の周期構造の何れであってもよいが、位相差型の周期構造の方が±1次回折光の回折効率が高いという点で好ましい。
このような回折格子16に入射した平行光束は、第1方向V1にかけて分岐した第1回折光束群と、第2方向V2にかけて分岐した第2回折光束群と、第3方向V3にかけて分岐した第3回折光束群とに変換される。
第1回折光束群には、0次回折光束及び±1次回折光束が含まれ、このうち互いの次数が共通である±1次回折光束は、光軸Oに関して対称な方向に進行する。同様に、第2回折光束群には、0次回折光束及び±1次回折光束が含まれ、このうち互いの次数が共通である±1次回折光束は、光軸Oに関して対称な方向に進行する。同様に、第3回折光束群には、0次回折光束及び±1次回折光束が含まれ、このうち互いの次数が共通である±1次回折光束は、光軸Oに関して対称な方向に進行する。
これらの光束のうち、第1回折光束群の±1次回折光束、第2回折光束群の±1次回折光束、第3回折光束群の±1次回折光束は、前述した集光レンズ17により、瞳共役面内の互いに異なる位置に集光される。また、0次回折光束は、前述した集光レンズ17により、瞳共役面と光軸Oとの交点に集光される。
そして、図2(B)に示すように、第1回折光束群の±1次回折光束の集光点25d、25gは、光軸Oに関して対称であり、集光点25d、25gの配列方向は第1方向V1に対応している。
ここで、光ファイバ11から射出されるレーザ光の波長をλ、回折格子16の構造周期をP、レンズ17の焦点距離をfcとすると、光軸Oから集光点25d、25gまでの高さDは下記の式で表される。
D∝fcλ/P
したがって、レーザ光の波長λを変更すると、集光点25d、25gの位置にズレが生じる。
また、第2回折光束群の±1次回折光束の集光点25c、25fは、光軸Oに関して対称であり、集光点25c、25fの配列方向は、第2方向V2に対応している。なお、波長λが同じであるならば、光軸Oから第2回折光束群の集光点25c、25fまでの高さは、光軸Oから第1回折光束群の集光点25d、25gまでの高さと同じである。
また、第3回折光束群の±1次回折光束の集光点25b、25eは、光軸Oに関して対称であり、集光点25b、25eの配列方向は、第3方向V3に対応している。なお、波長λが同じであるならば、光軸Oから第3光束群の集光点25b、25eまでの高さは、光軸Oから第1回折光束群の集光点25d、25gまでの高さと同じである。
なお、ここでいう集光点とは、最大強度の8割以上の強度を有する領域の重心位置のことである。そのため、本実施形態の照明光学系10は、完全な集光点が形成されるまで光束を集光する必要はない。
以上の光束分岐部14において、並進機構15は、ピエゾモータ等からなる。並進機構15は、照明光学系10の光軸Oと垂直な方向であって、前述した第1方向V1、第2方向V2、第3方向V3の各々に対して非垂直な方向にかけて、回折格子16を並進移動させる。この方向に回折格子16を並進移動させると、構造化照明光の縞の位相がシフトする(詳細は後述)。
次に、光量調整部18を詳しく説明する。図3は、光量調整部18の構成を示す概略図である。光量調整部18は、空間光変調部18Aと、偏光子18Bとを含んで構成される。空間光変調部18Aには、0次回折光束R0、第1回折光束群から第3回折光束群各々の±1次回折光束R+1、R−1が入射される。空間光変調部18Aは、その強誘電体液晶(Ferroelectric Liquid Crystal;FLC)の配向が、制御装置43からの制御信号S3により制御されることで、入射された光束各々を、第1の偏光か、第2の偏光のいずれかに制御する空間光変調器である。制御信号S3は、撮像素子42により1つの変調画像を撮像する間に、第1の偏光に制御している時間と、第2の偏光に制御している時間との比を変えることで、光量を制御する。第1の偏光および第2の偏光については後述する。なお、本実施形態では、空間光変調部18Aは、通過型であるが、反射型であってもよい。空間光変調部18Aには、強誘電体液晶を用いているので、配向状態の変更を、高速(μsオーダー)で行うことができる。
偏光子18Bには、空間光変調部18Aにより偏光が制御された光束各々が入射する。偏光子18Bは、例えば、偏光板など、特定方向に偏光した光だけを通過させる偏光子である。
図4は、空間光変調部18Aの制御単位を示す図である。図4において、領域Ab、Ac、Ad、Ae、Af、Ag、Aoの各々は、制御信号S3により強誘電体液晶の配向が制御される単位である。これらのうち、領域Aoは、0次回折光束が入射する領域である。領域Ad、Agは、第1回折光束群の±1次回折光束が入射する領域である。領域Ac、Afは、第2回折光束群の±1次回折光束が入射する領域である。領域Ab、Aeは、第3回折光束群の±1次回折光束が入射する領域である。
図5は、空間光変調部18Aの強誘電体液晶の分子の配向を説明する図である。強誘電体液晶の分子は、図5に示す2つの配向状態ST1、ST2をとることが出来る。配向状態ST1の長軸と、配向状態ST2の長軸とがなす角θは、コーン角と呼ばれ、強誘電体液晶によって決まった値を持つ。強誘電体液晶は、この2つの配向状態ST1、ST2を、マイクロセカンドのオーダーで切り替えることができる。
強誘電体液晶の分子の長軸と短軸との屈折率差をΔn、空間光変調部18Aの厚みをd、入射する光束の波長をλとすると、空間光変調部18Aが付与する位相差Δφは、以下の式で表される。
Δφ=2πΔnd/λ
以下の図6、図7では、説明の簡易のために、空間光変調部18Aの厚みdが、Δφ=πとなる場合、すなわち空間光変調部18Aが、1/2波長板として動作する場合を例に説明する。なお、本実施形態では、レーザユニット100から出射されるレーザの波長λは、一定ではないが、λの取り得る範囲の中心よりも、短波長側の波長のときに、空間光変調部18Aが、1/2波長板として動作するように、厚みdをしておくことが望ましい。短波長側にすると、長い波長側としたときよりも、λの取り得る範囲の中で、1/2波長板に近い動作をする波長の範囲を広くすることができるためである。
図6、図7は、光量調整部18による光量の調整を説明する図である。図6、図7において、Ipは、空間光変調部18Aに入射する光束の偏光の方向を表す。図6では、強誘電体液晶の分子が、配向状態ST1であり、その分子の長軸L1は、入射光束の偏光の方向Ipから反時計回りにθ/2だけ回転させたものとなっている。このとき、空間光変調部18Aは、分子の長軸L1が進相軸の1/2波長板として機能している。このため、空間光変調部18Aから出射される光束の偏光(第1の偏光)Op1は、入射光束の偏光の方向Ipから反時計回りにθ/2の倍、すなわちθだけ回転させたものとなっている。
偏光子18Bには、この第1の偏光Op1が入射される。本実施形態では、偏光子18Bの軸のIpからの角度θpは、θと等しい。すなわち、偏光子18Bの軸と、第1の偏光Op1の方向と一致させている。このため、偏光子18Bからは、第1の偏光Op1が、そのまま偏光O1として出射される。
一方、図7では、強誘電体液晶の分子が、配向状態ST2であり、その分子の長軸L1は、入射光束の偏光の方向Ipから時計回りにθ/2だけ回転させたものとなっている。このとき、空間光変調部18Aは、分子の長軸L2が進相軸の1/2波長板として機能している。このため、空間光変調部18Aから出射される光束の偏光(第2の偏光)Op2は、入射光束の偏光の方向Ipから時計回りにθ/2の倍、すなわちθだけ回転させたものとなっている。
偏光子18Bには、この第2の偏光Op2が入射される。本実施形態では、偏光子18Bの軸は、第1の偏光Op1の方向と一致させている。このため、偏光子18Bからは、第2の偏光Op2のうち、第1の偏光Op1の方向の成分が、偏光O2として出射される。このように、偏光子18Bから出射される光束の光量は、空間光変調部18Aを、配向状態ST1としているときよりも、配向状態ST2としているときの方が小さくなる。したがって、領域Ab〜Ag毎に、1つの変調画像を撮像する間に、配向状態をST1とする時間長と、配向状態をST2とする時間長とを制御することで、1つの変調画像を撮像する間の平均の光量を、制御することができる。
なお、偏光子18Bは、後述する光束選択部19よりも回折光学素子(回折格子)16側に配置する例を説明したが、光束選択部19よりも標本2側に配置してもよい。
次に、光束選択部19を詳しく説明する。図8、図9は、光束選択部19を説明する図である。図8に示すとおり、光束選択部19の1/2波長板19Aは、入射した各次数の回折光束の偏光方向を設定し、図9に示すとおり、光束選択部19の光束選択部材19Bは、第1〜第3回折光束群のうち何れか1群の±1次回折光束と、0次回折光束とを選択的に通過させるマスクである。
そして、光束選択部19の回動機構19Cは、光束選択部材19Bを光軸Oの周りに回動させることにより、選択される±1次回折光束を第1〜第3回折光束群の間で切り替えると共に、光束選択部材19Bに連動して1/2波長板19Aを光軸Oの周りに回動させることにより、選択された±1次回折光束が標本2に入射するときの偏光方向をS偏光に保つ。
つまり、光束選択部19は、構造化照明光の縞方向を切り替える。
なお、回動機構19Cには、例えば、光束選択部材19Bを保持し、かつ光軸Oの周りに回転可能な不図示の保持部材と、その保持部材の周りに形成された不図示の第1の歯車と、第1の歯車に噛み合う不図示の第2の歯車と、第2の歯車に連結された不図示のモータ(回転モータ)とが備えられる。このモータが駆動されると第2の歯車が回転し、その回転力が第1の歯車へと伝達され、光束選択部材19Bが光軸Oの周りに回転する。
以下、縞の状態を保つための条件を具体的に説明する。
先ず、1/2波長板19Aの進相軸の向きは、選択される±1次回折光束の分岐方向(第1方向V1〜第3方向V3のいずれか)に対して、±1次回折光束の偏光方向が垂直となるように設定される必要がある。なお、ここでいう1/2波長板19Aの進相軸とは、その軸の方向に偏光した光が1/2波長板19Aを通過するときの位相遅延量が最小となるような方向のことである。
また、光束選択部材19Bの開口パターンは、同一の回折光束群に属する±1次回折光束の一方及び他方を個別に通過させる第1の開口部H19A及び第2の開口部H19Bからなり、これら第1の開口部H19Aと第2の開口部H19Bとの各々の光軸O周りの長さは、前述した方向に直線偏光した回折光束が通過できるような長さに設定されている。よって、第1の開口部H19A及び第2の開口部H19Bの各々の形状は、部分輪帯状に近い形状である。
ここで、図3(A)に示すように、1/2波長板19の進相軸の方向が偏光板13の軸の方向と平行になるときの1/2波長板19の回転位置を、1/2波長板19の回転位置の基準とする(以下、「第1の基準位置」と称する。)。
また、光束選択部材19Bの光束選択方向(=選択される±1次回折光束の分岐方向)が、偏光子18Bの軸の方向と垂直になるときの光束選択部材19Bの回転位置を、光束選択部材19Bの回転位置の基準とする(以下、「第2の基準位置」と称する。)。
このとき、図8(B)に示すように、1/2波長板19Aの第1基準位置からの回転量は、光束選択部材19Bの第2基準位置からの回転量の2分の1に制御されるべきである。
すなわち、1/2波長板19Aの第1基準位置からの回転量がθ/2であるときには、光束選択部材19Bの第2基準位置からの回転量は、θに設定される。
したがって、光束選択部19の回動機構19Cは、第1回折光束群の±1次回折光束(分岐方向は第1方向V1)を選択するために、図9(A)に示すように、光束選択部材19Bの光束選択方向を第2の基準位置から右方に回転角θ1だけ回転させた場合、1/2波長板19Aの進相軸の方向を、第1の基準位置から右方に回転角θ1/2だけ回転させる。
このとき、1/2波長板19Aを通過する前における各次数の回折光束の偏光方向は、図9(A)中に破線両矢印で示すとおり、偏光子18Bの軸の方向と平行となっているのに対し、1/2波長板19Aを通過した後における各次数の回折光束の偏光方向は、右方に回転角θ1だけ回転するので、選択された±1次回折光束の偏光方向は、図9(A)に実線両矢印で示すとおり、それら±1次回折光束の分岐方向(第1方向V1)に対して垂直となる。
換言すると、1/2波長板19Aの進相軸の方向は、光束選択部材19Bにより選択される±1次回折光束の分岐方向(第1方向V1)に応じた方向であって、1/2波長板19Aへ入射する±1次回折光束が有していた偏光方向(偏光子18Bの軸方向)と、1/2波長板19Aから射出する±1次回折光束が有するべき偏光方向(第1方向V1に垂直)とが成す角度の2等分線方向に、設定される。
また、光束選択部19の回動機構19Cは、第2回折光束群の±1次回折光束(分岐方向は第2方向V2)を選択するために、図9(B)に示すように、光束選択部材19の光束選択方向を第2の基準位置から右方に回転角θ2だけ回転させた場合、1/2波長板19Aの進相軸の方向を、第1の基準位置から右方に回転角θ2/2だけ回転させる。
このとき、1/2波長板19Aを通過する前における各次数の回折光束の偏光方向は、図9(B)中に破線両矢線で示すとおり、偏光子18Bの軸の方向と平行となっているのに対し、1/2波長板19Aを通過した後における各次数の回折光束の偏光方向は、右方に回転角θ2だけ回転するので、選択された±1次回折光束の偏光方向は、図9(B)に実線両矢印で示すとおり、それら±1次回折光束の分岐方向(第2方向V2)に対して垂直となる。
換言すると、1/2波長板19Aの進相軸の方向は、光束選択部材19により選択される±1次回折光束の分岐方向(第2方向V2)に応じた方向であって、1/2波長板19Aへ入射する±1次回折光束が有していた偏光方向(偏光子18Bの軸方向)と、1/2波長板19Aから射出する±1次回折光束が有するべき偏光方向(第2方向V2に垂直)とが成す角度の2等分線方向に、設定される。
また、光束選択部19の回動機構19Cは、第3回折光束群の±1次回折光束(分岐方向は第3方向V3)を選択するために、図9(C)に示すように、光束選択部材19Bの光束選択方向を第2の基準位置から左方(標本側から見て。以下同じ)に回転角θ3だけ回転させた場合、1/2波長板19Aの進相軸の方向を、第1の基準位置から左方に回転角θ3/2だけ回転させる。
このとき、1/2波長板19Aを通過する前における各次数の回折光束の偏光方向は、図9(C)中に破線両矢線で示すとおり、偏光子18Bの軸の方向と平行となっているのに対し、1/2波長板19Aを通過した後における各次数の回折光束の偏光方向は、左方に回転角θ3だけ回転するので、選択された±1次回折光束の偏光方向は、図9(C)に実両矢印で示すとおり、それら±1次回折光束の分岐方向(第3方向V3)に対して垂直となる。
換言すると、1/2波長板19Aの進相軸の方向は、光束選択部材19Bにより選択される±1次回折光束の分岐方向(第3方向V3)に応じた方向であって、1/2波長板19Aへ入射する±1次回折光束が有していた偏光方向(偏光子18Bの軸方向)と、1/2波長板19Aから射出する±1次回折光束が有するべき偏光方向(第3方向V3に垂直)とが成す角度の2等分線方向に、設定される。
したがって、光束選択部19の回動機構19Cは、1/2波長板19A及び光束選択部材19Bをギア比2:1で連動すればよい。
なお、以上の説明では、標本2に入射する±1次回折光束をS偏光に保つために回動可能な1/2波長板19Aを使用したが、回動可能な1/2波長板19Aの代わりに固定配置された液晶素子を使用し、その液晶素子を1/2波長板19Aとして機能させてもよい。液晶素子の配向を電気的に制御すれば、液晶素子の屈折率異方性を制御することができるので、1/2波長板としての進相軸を光軸O周りに回転させることができる。因みに、標本2に入射する±1次回折光束をS偏光に保つための方法は他にもある(後述)。
図10は、以上説明した光束選択部19の機能を説明する図である。なお、図10において円形枠で囲まれた両矢線は、光束の偏光方向を示し、四角枠で囲まれた両矢線は、光学素子の軸方向を示している。ただし、空間光変調部18Aの進相軸は、配向状態ST1のときの進相軸である。
また、図11に示すように、光束選択部材19Bの外周部には、複数の(図11に示す例では6個の)切り欠きH19Cが形成されており、回動機構19Cには、これらの切り欠きH19Cを検出するためのタイミングセンサH19Dが備えられている。これによって、回動機構19Cは、光束選択部19の回動位置、ひいては1/2波長板19Aの回動位置を検知することができる。
次に、光束分岐部14の並進機構15を詳しく説明する。
図12は、光束分岐部14の並進機構15の動作を説明する図である。
先ず、上述した復調演算を可能とするためには、同一の標本2に関する変調画像であって、干渉縞の方向が共通で位相の異なる3枚以上の変調画像が必要である。なぜなら、構造化照明顕微鏡装置1が生成する変調画像には、標本2の構造のうち、構造化照明光により空間周波数の変調された構造情報である0次変調成分、+1次変調成分、−1次変調成分が含まれており、それら3つの未知パラメータを復調演算で既知とするためには、それら未知パラメータの個数以上の枚数の変調画像が必要だからである。
そこで、光束分岐部14の並進機構15は、干渉縞の位相をシフトするために、図12(A)に示すように、照明光学系10の光軸Oと垂直な方向であって、前述した第1方向V1、第2方向V2、第3方向V3の全てに対して非垂直な方向(x方向)にかけて回折格子16をシフトさせる。
但し、干渉縞の位相を所望のシフト量φだけシフトさせるのに必要な回折格子16のシフト量Lは、光束選択部19による光束選択方向が第1方向V1であるときと、第2方向V2であるときと、第3方向V3であるときとでは、同じとは限らない。
図12(B)に示すとおり、回折格子16の第1方向V1、第2方向V2、第3方向V3の各々の構造周期をPとおき、回折格子16のシフト方向(x方向)と第1方向V1とのなす角をθ1とおき、回折格子16のシフト方向(x方向)と第2方向V2とのなす角をθ2とおき、回折格子16のシフト方向(x方向)と第3方向V3とのなす角をθ3とおくと、光束選択方向が第1方向V1であるときに必要な回折格子16のx方向のシフト量L1は、L1=φ×P/(a×4π×|cosθ1|)で表され、光束選択方向が第2方向V2であるときに必要な回折格子16のx方向のシフト量L2は、L2=φ×P/(a×4π×|cosθ2|)で表され、光束選択方向が第3方向V3であるときに必要な回折格子16のx方向のシフト量L3は、L3=φ×P/(a×4π×|cosθ3|)で表される。
すなわち、干渉縞の位相シフト量を所望の値φとするために必要な回折格子16のx方向のシフト量Lは、波長選択方向(第1方向V1、第2方向V2、第3方向V3の何れか)とx方向とのなす角θにより式のとおり表される。
L=φ×P/(a×4π×|cosθ|)
因みに、干渉縞の位相シフト量φを2πとするために必要な回折格子16のx方向のシフト量Lは、P/(a×2×|cosθ|)となる。これは、回折格子16の半周期に相当する量である。つまり、回折格子16を半周期分シフトさせるだけで、構造化照明光の位相を1周期分シフトできる(なぜなら、±1次回折光からなる干渉縞の縞周期は、回折格子16の構造周期の2倍に相当する。)。
図13は、制御装置43による制御を説明する図である。本実施形態では、1つの復調画像を得るのに、3つの回折光束群各々について、その回折光束群を用いた変調画像を、異なる位相でそれぞれ5つ、すなわち計15枚の変調画像を用いる。制御装置43は、これら15枚の変調画像各々が、決められた条件で撮影されるように、光束分岐部14の並進機構15と、光量調整部18の空間光変調部18Aと、光束選択部19の回動機構19Cと、撮像素子42とを制御する。
なお、取得した15枚の変調画像を用いて復調画像を生成するために復調演算としては、例えば、米国特許8115806号明細書に開示された方法が用いられる。
図13に示すように、15枚の変調画像のうち、第1回折光束群を用いた5枚の変調画像は、時間帯Td1に撮影される。第2回折光束群を用いた5枚の変調画像は、時間帯Td1に続く時間帯Td2に撮影される。第3回折光束群を用いた5枚の変調画像は、時間帯Td2に続く時間帯Td3に撮影される。時間帯Td1〜Td3は、同様であるので、代表して時間帯Td1の詳細を説明する。
時間帯Td1は、時間順に時間帯Tcd、Tp1、Tp2、Tp3、Tp4、Tp5の6つの時間帯からなる。先頭の時間帯Tcdでは、制御装置43は、第1回折光束群が、光束選択部19により選択されるように、回動機構19Cを制御する。次の時間帯Tp1では、制御装置43は、干渉縞の位相が第1位相の変調画像を撮影するように制御する。続いて、時間帯Tp2では、制御装置43は、干渉縞の位相が第2位相の変調画像を撮影するように制御する。続く、時間帯Tp3、Tp4、Tp5の各々では、制御装置43は、それぞれ、干渉縞の位相が第3位相、第4位相、第5位相の変調画像を撮影するように制御する。
時間帯Tp1〜Tp5は、同様であるので、代表して時間帯Tp2の詳細を説明する。時間帯Tp2の先頭の時間帯Tcpでは、制御装置43は、干渉縞の位相が第2位相となるように、並進機構15を制御する。時間帯Tcpに続く時間帯Tl01では、空間光変調部18Aの0次回折光束が通過する領域(図4の領域Ao)が、配向状態ST1となるように、制御装置43は、空間光変調部18Aを制御する。時間帯Tl01に続く時間帯Tl02では、空間光変調部18Aの0次回折光束が通過する領域が、配向状態ST2となるように、制御装置43は、空間光変調部18Aを制御する。
時間帯Tcpに続く時間帯であり、時間帯Tl01と時間帯Tl02とを合わせた時間帯Tl11では、空間光変調部18Aの±1次回折光束が通過する領域(図4の領域Ab〜Ag)が、配向状態ST1となるように、制御装置43は、空間光変調部18Aを制御する。そして、制御装置43、この時間帯Tl11の間、撮像素子42が、1つの変調画像を撮影するように制御する。
時間帯Tl11の長さTは、予め設定されている。制御装置43は、時間帯Tl11を、どのように、時間帯Tl01と、時間帯Tl02とに分割するか、すなわち、時間帯Tl02の長さを、何秒とするかを、以下のようにして決定する。まず、制御装置43は、照明光学系10の光学伝達関数(Optical Transfer Function;OTF)の0次成分と、1次成分との比C1、0次成分と2次成分との比C2、レーザユニット100が射出するレーザの波長λとを取得する。制御装置43は、例えば、ユーザが設定した、これらの値を取得する。制御装置43は、これら比C1、C2、波長λの組合せに対応付けて、予め記憶していた時間帯Tl01の長さt1を表す値を読み出し、これを用いる。
比C1、C2、波長λの組合せと対応付ける、時間帯Tl01の長さt1は、以下のようにして求めたものを記憶しておく。比C1、C2と、時間帯Tl01の長さt1とは、以下のような関係式(1)で表される。
標本2に形成する構造化照明光の波長を変化させた場合であっても、時間帯Tl01の長さt1を変化させることで、波長によらず構造化照明に含まれる各次数の光成分の成分間の比を一定にすることができる。なお、0次回折光束の強度が1次回折光束の強度より小さくなる場合は、時間帯Tl11のうちの一部の時間帯を配向状態ST2に割り当てることが望ましい。
ここで、Tは、時間帯Tl01と時間帯Tl02とを合わせた長さである。Ii,jは、配向状態STjのときのi次回折光束の光量調整部18を出射する際の光量である。Iiは、i次回折光束の光量調整部18に入射する際の光量である。ここで、Ii,jと、Iiとは、式(2)のような関係で表される。また、I0と、I1との比は、回折格子16によって決まる。
このα、βは、空間光変調部18Aの位相差Δφ、コーン角θ、偏光子18Bの軸の向きθpによって、以下のように決定できる。
入射光の電場振幅をEとすると、強誘電体液晶の分子の長軸方向、短軸方向の電場振幅El、Esは、式(3)、(4)で表される。
ここで、設計波長λ0において、Δφ=πとすると、ある波長λにおける位相差Δφは、式(5)で表される。
配向状態ST1の電場振幅Ep1は、式(6)で表され、配向状態ST2の電場振幅Ep2は、式(7)で表される。
一般に、電場と光強度との関係は、式(8)で表されるので、α、βは、以下の式(9)、(10)となる。
この式(9)、(10)でα、βを算出することで、時間帯Tl01の長さt1と、比C1、C2との対応を算出することができる。レーザの波長がλ0のときは、Δφ=πであるので、式(9)、(10)に変えて、以下の式(11)、(12)を用いることができる。
さらに、θp=θであるときは、式(9)、(10)に変えて、以下の式(13)、(14)を用いることができる。
なお、本実施形態では、配向状態ST2を0次回折光束に対してのみ用いる場合を示したが、±1次回折光束に対して用いるようにしてもよい。
また、図12において、時間帯Tl01と、時間帯Tl02との時間順を逆にしてもよい。あるいは、時間帯Tp1における時間帯Tl01と、時間帯Tl02との時間順と、時間帯Tp2における時間帯Tl01と、時間帯Tl02との時間順とを逆にするというように、交互に変えてもよい。交互に変えることで、配向状態の変更回数を半分にすることができる。
[各実施形態の変形例]
なお、上述した実施形態では、標本2に入射する±1次回折光束をS偏光に保つために、光軸の周りを回動可能な1/2波長板19Aを使用したが、固定配置された1/4波長板と光軸の周りを回動可能な1/4波長板とを使用してもよい。但し、その場合は、第1の基準位置を基準とした1/4波長板の回転位置は、第2の基準位置を基準とした光束選択部材19Bの回転位置と同じに設定される。
また、上述した実施形態では、光源からの射出光束を分岐する手段として、周期構造の方向数Mが2以上である回折格子16、すなわち、分岐方向の異なる複数の回折光束群を同時に生成する回折格子16(図2(A)参照)を使用したが、周期構造の方向数Mが1である回折格子、すなわち、分岐方向が共通の回折光束群を1群のみ生成する回折格子を使用してもよい。
但し、その場合は、干渉縞の方向を切り替えるために、回折格子を光軸の周りに回動可能とすればよい。また、その場合は、回動可能な光束選択部材19Bの代わりに、非可動の±1次より高次の回折光束をカットするマスクを使用すればよい。
言い換えると、上述した照明光学系10において、回折手段(16)は、光軸に垂直な単一方向に亘って周期構造を有した回折格子であってもよく、その場合は、標本(2)に対する1対の光束の入射方向を光軸周りに回転させる回転部(不図示)を更に備えてもよい。
また、上述した実施形態では、3D−SIMモードで標本2へ形成する干渉縞を3光束干渉縞とするために、構造化照明光に寄与する回折光束として、+1次回折光束と−1次回折光束と0次回折光束との組み合わせを使用したが、他の組み合わせを使用してもよいことは言うまでもない。
因みに、3光束干渉縞を形成するためには、回折次数の間隔が等間隔な3つの回折光による3光束干渉を生起させればよいので、例えば、0次回折光、1次回折光、2次回折光の組み合わせ、±2次回折光及び0次回折光の組み合わせ、±3次回折光及び0次回折光の組み合わせ、などを用いることが可能である。
なお、本実施形態の照明光学系10は、対物レンズ31よる落射照明光学系で構成されたが、これに限られず、対物レンズ31に代えてコンデサレンズによる透過・反射照明光学系で構成されてもよい。その場合、集光点が形成されるのは、コンデサレンズの瞳面である。
また、本実施形態の光束分岐部14は、光束を分岐する手段として回折格子を用いたが、例えば、位相型回折格子として機能する空間光変調器(SLM:Spatial light modulator)と、空間光変調器に対して駆動信号を与える制御部との組み合わせを用いてもよい。制御部は、空間光変調器に与える駆動信号を切り換えることにより、空間光変調器の構造周期(回折格子としての構造周期)を高速に切り換えることができる。
また、図1における制御装置43の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより制御装置43を実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
なお、上述の各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態及び変形例で引用した装置などに関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。