以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(速度測定装置について)
<速度測定装置の全体構成について>
まず、図1を参照しながら、本発明の実施形態に係る速度測定装置の全体構成を説明する。図1は、本実施形態に係る速度測定装置10の全体構成を模式的に示した説明図である。
本実施形態に係る速度測定装置10は、所定の回転軸の周りを回転しながら、かかる回転軸の方向に進行している部材を被測定部材Sとする。すなわち、図1に模式的に示したように、本実施形態に係る速度測定装置10の測定対象物は、進行方向に沿った速度成分と、進行方向に略直交する方向に回転する速度成分という、2種類の速度成分を有しながら進行している部材である。従って、かかる測定対象物の表面の任意の1点に着目した場合に、かかる1点がらせん状に進行していくように観察される。
このような被測定部材Sとして、例えば、スパイラル回転をしている管状の部材を挙げることができ、具体的には、ピアサ穿孔工程やピルガ圧延工程等における鋼管などの金属管や、樹脂製のパイプや、木製のパイプ等、様々なものがある。
かかる被測定部材Sの速度を測定する速度測定装置10は、図1に示したように、測定ユニット100と、演算処理ユニット200と、を備える。速度測定装置10は、上記のような被測定部材Sが搬送されるライン上に配設されて、ラインを搬送される被測定部材Sの速度を測定する。
測定ユニット100は、上記のような被測定部材Sについて、被測定部材Sが有している速度のうち所定の測定方向に沿った速度成分の大きさを計測するユニットである。この測定ユニット100は、後述する演算処理ユニット200の制御のもとで、被測定部材Sの所定の測定方向に沿った速度成分を任意のタイミングで計測する。
かかる測定ユニット100の詳細な構成については、以下で改めて詳細に説明する。
演算処理ユニット200は、測定ユニット100における測定処理を制御するとともに、測定ユニット100により測定された被測定部材Sの測定データを利用して、被測定部材Sの速度を算出する。
この演算処理ユニット200の詳細な構成についても、以下で改めて説明する。
測定ユニット100による被測定部材Sの表面の測定処理や、演算処理ユニット200による速度の算出処理は、被測定部材Sの移動にあわせてリアルタイムに実施することが可能である。速度測定装置10の使用者は、速度測定装置10(より詳細には、演算処理ユニット200)から出力される速度算出結果に着目することで、ラインを搬送される被測定部材Sの速度をリアルタイムに把握することが可能となる。
以上、図1を参照しながら、本実施形態に係る速度測定装置10の全体構成について説明した。
<測定ユニット100の構成について>
次に、図2A〜図3Cを参照しながら、本実施形態に係る速度測定装置10が備える測定ユニット100の構成について、詳細に説明する。図2A及び図2Bは、本実施形態に係る速度測定装置が有する測定ユニットの一例を示した模式図である。図3A〜図3Cは、本実施形態に係る測定ユニットについて説明するための説明図である。なお、以下では、便宜的に、図2A〜図3Cに示したような空間座標系を適宜参照しながら、説明を行うものとする。
本実施形態に係る測定ユニット100は、図2A及び図2Bに模式的に示したように、被測定部材Sの表面における測定点で、所定の測定方向に沿った速度成分の大きさを計測する第1の速度計101及び第2の速度計103を有している。ここで、被測定部材Sは、図2A及び図2BにおけるZ軸方向に進行しているものとし、X軸からY軸に向かって右ねじを回す方向に回転しているものとする。
かかる第1及び第2の速度計101,103は、非接触で被測定部材Sの所定の測定方向に沿った速度成分の大きさを計測可能なものであれば特に限定されるものではなく、公知の速度計を利用することが可能である。かかる速度計の一例として、レーザ光によるドップラー効果を利用して測定対象物の速度を測定する、レーザドップラ速度計を挙げることができる。以下では、第1及び第2の速度計101,103として、レーザドップラ速度計を用いる場合を例に挙げて、説明を行うものとする。
第1の速度計101及び第2の速度計103は、図2Aに示したように、被測定部材Sの進行方向であり回転軸でもある中心軸Cの直上に配設されており、速度計101,103の中心軸は、被測定部材Sの進行方向である中心軸Cに対して直交するように設けられている。すなわち、速度計101,103の中心軸は、図2AにおけるY軸と略平行となるように設けられる。また、図2Bに示した例では、第1の速度計101及び第2の速度計103は、被測定部材Sの表面上の同一点を測定点とするように、互いに近接して設けられている。
本実施形態に係る測定ユニット100で用いられる速度計101,103は、所定の測定方向に沿った速度成分の大きさを計測する。ここで、図3Aに示したように、第1の速度計101の速度成分の測定方向105と中心軸Cとのなす角度は、θ1度となっており、第2の速度計103の速度成分の測定方向107と中心軸Cとのなす角度は、θ2度となっている。また、第1の速度計101の測定方向105は、被測定部材Sの回転方向の下流側を向くように傾いて設置されており、第2の速度計103の測定方向107は、被測定部材Sの回転方向の上流側を向くように傾いて設置されている。以下では、被測定部材Sの回転方向を正方向として、第1の速度計101の設置角度を+θ1度と表わすこととし、第2の速度計103の設置角度を−θ2度と表わすこととする。
本実施形態に係る測定ユニット100では、第1の速度計101及び第2の速度計103は、被測定部材Sの表面上のある一点(図3Aにおける点P)を測定点として、測定点におけるそれぞれの測定方向での速度成分の大きさを、互いに同じタイミングで計測する。同一の測定点を同じタイミングで計測することで、被測定部材Sの外形の形状変化(例えば、中心軸Cから被測定部材Sの表面までの外径)が大きい場合であっても、外形に影響を受けることなく正確に速度を計測することができる。すなわち、回転速度成分の大きさは、被測定部材Sの外径の大きさに応じて変化するため、被測定部材Sの外形の形状変化が大きい場合には、被測定部材Sの表面上の任意の2点が、互いに異なる回転速度成分を有している場合もある。そのため、2つの速度計101,103において測定点を同一の点とすることで、かかる外形の形状変化による回転速度成分の変動が測定データに重畳することを抑制できる。
一方、速度測定装置10が設けられる製造ラインにおいて、被測定部材Sの外形の形状変化の小さいものが常に搬送されている(例えば、被測定部材Sが所定の規格に則った鋼管等の金属管であり、中心軸Cから被測定部材Sの表面までの外径の誤差が小さい等)という状況も生じうる。被測定部材Sの外形の形状変化が大きくない場合には、上記のような形状変化に伴う回転速度成分の変動も小さいと考えられるため、例えば図3B及び図3Cに示したように、2つの速度計101,103の測定点を互いに異なる点とすることも可能となる。
図3Bに示した例では、第1の速度計101の測定点Pと、第2の速度計103の測定点Qとが、中心軸C上に位置しており、点Pと点Qとが異なる場合を図示している。また、図3Cに示した例では、第1の速度計101の測定点Pと、第2の速度計103の測定点Rとが、異なる軸上に存在している場合を図示している。このような場合であっても、被測定部材Sは剛体であるため、2つの速度計101,103において同じタイミングで計測を行うことにより、ある同一の瞬間における被測定部材Sの速度を計測することができる。
なお、図3B及び図3Cに示したように、2つの速度計101,103の測定点を異なる点とする場合には、2つの測定点はなるべく近い位置とすることが好ましい。
図3A〜図3Cに示したような、2つの速度計101,103の設置角度θ1,θ2の大きさは、それぞれ0°以上とし、少なくともいずれか一方の設置角度を0°超過とする。すなわち、2つの速度計101,103の測定方向105,107の少なくとも何れか一方は、中心軸Cに対して平行とならないようにする。一方、以下で詳述するように、被測定部材Sは、ある方向に回転しつつ、回転方向とは異なる方向に進行しているため、速度計101,103の何れか一方は、負の大きさの速度成分(すなわち、速度成分を表わすベクトルの向きが、図3A〜図3Cに示した測定方向を表わすベクトルとは逆向きとなる。)の影響を受けることとなる。ここで、負の値として計測される速度成分の大きさは、被測定部材Sの回転の速さに依存する。従って、操業条件(すなわち、被測定部材Sの径の大きさや、回転速度の設定値等)や、速度計で計測可能な負方向の速度の大きさの限界値等に応じて、設置角度θ1,θ2の大きさの上限値を予め設定しておくことが重要となる。
なお、設置角度θ1,θ2の大きさの好ましい範囲については、以下で改めて説明する。
以上、図2A〜図3Cを参照しながら、本実施形態に係る測定ユニット100の構成について、詳細に説明した。
<演算処理ユニット200の構成について>
続いて、図4〜図6を参照しながら、本実施形態に係る速度測定装置10が備える演算処理ユニット200の構成について、詳細に説明する。図4は、本実施形態に係る速度測定装置が有する演算処理ユニットの構成の一例を示したブロック図である。図5及び図6は、本実施形態に係る演算処理ユニットにおける速度算出処理を説明するための説明図である。
本実施形態に係る演算処理ユニット200は、先述のように、測定ユニット100における測定処理を統括的に制御するとともに、測定ユニット100により測定された被測定部材Sの測定データを利用して、被測定部材Sの速度を算出するユニットである。かかる演算処理ユニット200の具体的な構成については、特に限定されるものではなく、公知の演算処理ユニットを利用することが可能である。例えば、かかる演算処理ユニット200は、上記のような測定ユニット100に実装されているICチップ等からなる制御基板であってもよい。また、かかる演算処理ユニット200は、測定ユニット100の機能を統括的に制御するコンピュータ等のような演算処理装置であってもよい。
本実施形態に係る演算処理ユニット200は、図4に模式的に示したように、速度計制御部201と、測定データ取得部203と、速度算出部205と、測定結果出力部207と、表示制御部209と、記憶部211と、を主に備える。
速度計制御部201は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、通信装置等により実現される。速度計制御部201は、測定ユニット100における被測定部材Sの測定処理を統括的に制御する。また、速度計制御部201は、所定の時間間隔毎に、測定ユニット100の速度計101,103に対して、所定の測定方向における速度成分の測定処理を開始させるための制御信号を出力する。これにより、測定ユニット100の速度計101,103は、所定の時間間隔で被測定部材Sの所定の測定方向における速度成分の大きさを計測することとなる。
測定データ取得部203は、例えば、CPU、ROM、RAM、通信装置等により実現される。測定データ取得部203は、測定ユニット100(より詳細には、第1の速度計101及び第2の速度計103)で生成された、被測定部材Sに関する2種類の測定データをそれぞれ取得して、後述する速度算出部205へと出力する。
速度算出部205は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。速度算出部205は、測定ユニット100により測定された2種類の測定データ(すなわち、第1の速度計101により測定された第1測定データと、第2の速度計103により測定された第2測定データ)を利用して、被測定部材Sの速度を算出する。
より詳細には、速度算出部205は、第1測定データV1と、第2測定データV2と、測定方向と被測定部材の進行方向とのなす角に関する情報(すなわち、角度+θ1,−θ2)と、を利用して、被測定部材Sの進行方向の速度成分の大きさや、被測定部材Sの回転方向の速度成分の大きさを算出する。
以下、図5及び図6を参照しながら、速度算出部205による被測定部材Sの速度算出処理について、詳細に説明する。
先だって説明したように、第1の速度計101は、測定方向105が被測定部材Sの進行方向に対して回転方向の下流側へθ1度だけ傾くように配設されており、第2の速度計103は、測定方向107が被測定部材Sの進行方向に対して回転方向の上流側へθ2度だけ傾くように配設されている。すなわち、第1の速度計101の測定方向105と進行方向とのなす角は+θ1度となり、第2の速度計103の測定方向107と進行方向とのなす角は−θ2度となっている。その結果、第1の速度計101及び第2の速度計103は、進行方向の速度成分及び回転方向の速度成分という、2種類の速度成分の影響を受けた速度を計測する。
すなわち、図5に示したように、第1の速度計101の測定方向105には、進行方向の速度成分(進行速度成分)Vhからの影響として、Va=Vh×cosθ1が作用している。また、第1の速度計101の測定方向105には、回転方向の速度成分(回転速度成分)Vrからの影響として、Vb=Vr×sinθ1が作用している。従って、第1の速度計101の測定方向105には、結果として、V1=Va+Vbが作用していることとなる。そのため、第1の速度計101で計測される第1測定データV1の値は、以下の式101で表わされるものとなる。
また、図6に示したように、第2の速度計103の測定方向107には、進行速度成分Vhからの影響として、Vc=Vh×cos(−θ2)=Vh×cosθ2が作用している。また、第2の速度計103の測定方向107には、回転速度成分Vrからの影響として、Vb=Vr×sin(−θ2)=−Vr×sinθ2が作用している。従って、第2の速度計103の測定方向107には、結果として、V2=Vc+Vdが作用していることとなる。そのため、第2の速度計103で計測される第2測定データV2の値は、以下の式103で表わされるものとなる。
ここで、図6からも明らかなように、第2の速度計103を、回転方向の上流側にθ2度傾けているため、第2の速度計103では、回転速度成分Vdが負の値として計測される。従って、上記式101及び式103を比較すると明らかなように、第2の速度計103で計測される速度V2は、第1の速度計101で計測される速度V1よりも遅くなる。
なお、負の値として計測される回転速度成分Vdの大きさは、被測定部材Sの回転の速さに依存する。従って、操業条件(すなわち、被測定部材Sの径の大きさや、回転速度の設定値等)や、速度計で計測可能な負方向の速度の大きさの限界値等に応じて、角度θ2の大きさを予め設定しておくことが重要となる。
また、例えば鋼管等の金属管の製造プロセスを例に挙げると、回転方向の速度よりも、進行方向の速度を正確に測定することが重要となる。そのため、それぞれの速度計101,103で計測される速度V1,V2において、測定値に占める進行速度成分の寄与が50%以上であることが好ましい。すなわち、図5に示した第1の速度計101の測定データV1を例に挙げると、Va/(Va+Vb)≧0.5が成立することが好ましい。図6に示した第2の速度計103の測定データV2についても、測定データV1と同様のことがいえる。
かかる観点に則して、各種操業条件や速度計の性能等に基づき設置角度θ1,θ2の上限を算出すると、θ1,θ2の上限は、20degとすることが好ましい。すなわち、設置角度θ1,θ2の大きさは、0deg≦|θ1,θ2|≦20degであることが好ましい。なお、設置角度θ1,θ2の大きさは、0deg≦|θ1,θ2|≦10degであることがより好ましく、0deg≦|θ1,θ2|≦4.5degであることが更に好ましい。設置角度θ1,θ2がかかる条件を満たすことで、後述する演算処理により、より精度良く進行速度成分の大きさを算出することが可能となる。
なお、進行速度成分よりも回転速度成分を正確に測定することが重要である場合には、上記と同様の検討を行って、速度計101,103の測定値に占める回転速度成分の寄与が50%以上となるように、設置角度θ1,θ2の上限値を設定すればよい。
上記式101及び式103から明らかなように、速度計101,103の設置角度θ1,θ2は、被測定部材Sの搬送ラインへの速度計の実際の取り付け角度であり、既知の値である。また、測定データV1,V2は、速度計101,103から出力される値である。従って、上記式101及び式103において、未知の値は、進行速度成分Vh及び回転速度成分Vrの2つの値である。従って、速度算出部205は、上記式101及び式103を連立して求解することで、進行速度成分Vh及び回転速度成分Vrの2つの値を算出することができる。
すなわち、上記式101及び式103を連立して、回転速度成分Vrを消去することで、進行速度成分Vhを、下記式105のように表わすことができる。また、上記式101及び式103を連立して、進行速度成分Vhを消去することで、回転速度成分Vrを、下記式107のように表わすことができる。従って、速度算出部205は、測定データ取得部203から出力された第1測定データV1及び第2測定データV2と、記憶部211等に格納されている速度計の設置角度に関する情報(すなわち、θ1及びθ2の具体的な大きさ)と、を利用して、下記式105及び式107に基づいて、進行速度成分Vh及び回転速度成分Vrの2つの値を算出することができる。
また、第1の速度計101及び第2の速度計103を、回転軸Cに対して均等に配設することが出来、|θ1|=|θ2|が成立している場合には、上記式105及び式107は、更に簡略化することが可能となる。すなわち、速度算出部205は、測定データ取得部203から出力された第1測定データV1及び第2測定データV2と、記憶部211等に格納されている速度計の設置角度に関する情報(すなわち、|θ1|=|θ2|=θの具体的な大きさ)と、を利用して、下記式109及び式111に基づいて、進行速度成分Vh及び回転速度成分Vrの2つの値を算出することができる。
ここで、上記特許文献3に開示の技術では、被測定部材Sの搬送ラインへの速度計101,103の取り付け誤差が生じて、上記特許文献3に開示の技術の必須の条件であるθ1=θ2が実現出来なかった場合は、正確な速度計測を行うことができない。一方、本実施形態に係る速度算出処理では、速度計101,103の取り付け誤差が生じた場合であっても、取り付け角度の正確な大きさθ1,θ2が特定出来れば、正確に速度計測を行うことが可能となる。
速度算出部205は、上記式105、式107(又は、式109、式111)に基づいて被測定部材Sの速度を算出すると、得られた速度の算出結果を、測定結果出力部207へと出力する。
測定結果出力部207は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。測定結果出力部207は、速度算出部205から出力された被測定部材Sの速度に関する情報を、表示制御部209に出力する。これにより、被測定部材Sの速度に関する情報が、表示部(図示せず。)に出力されることとなる。また、測定結果出力部207は、得られた測定結果を、製造管理用プロコン等の外部の装置に出力してもよく、得られた測定結果を利用して、各種の帳票を作成してもよい。また、測定結果出力部207は、被測定部材Sの速度の測定結果に関する情報を、当該情報を算出した日時等に関する時刻情報と関連づけて、記憶部211等に履歴情報として格納してもよい。
表示制御部209は、例えば、CPU、ROM、RAM、出力装置等により実現される。表示制御部209は、測定結果出力部207から伝送された、被測定部材Sの速度に関する測定結果を、演算処理ユニット200が備えるディスプレイ等の出力装置や演算処理ユニット200の外部に設けられた出力装置等に表示する際の表示制御を行う。これにより、速度測定装置10の利用者は、被測定部材Sの速度に関する測定結果を、その場で把握することが可能となる。
記憶部211は、例えば本実施形態に係る演算処理ユニット200が備えるRAMやストレージ装置等により実現される。記憶部211には、本実施形態に係る演算処理ユニット200が、何らかの処理を行う際に保存する必要が生じた様々なパラメータや処理の途中経過等、または、各種のデータベースやプログラム等が、適宜記録される。この記憶部211は、速度計制御部201、測定データ取得部203、速度算出部205、測定結果出力部207、表示制御部209等が、自由に読み書きを行うことが可能である。
以上、本実施形態に係る演算処理ユニット200の機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU等が全て行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
なお、上述のような本実施形態に係る演算処理ユニットの各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
(速度測定方法について)
次に、図7を参照しながら、本実施形態に係る速度測定装置10における速度測定方法の流れの一例について、簡単に説明する。図7は、本実施形態に係る速度測定方法の流れの一例を示した流れ図である。
本実施形態に係る速度測定装置10では、まず、演算処理ユニット200の速度計制御部201は、測定ユニット100に設けられた2台の速度計(第1の速度計101及び第2の速度計103)を互いに同期させて、同じ時刻に計測を実施する(ステップS101)。その後、測定ユニット100の2台の速度計101,103は、得られた2種類の測定データ(すなわち、第1測定データ及び第2測定データ)を、演算処理ユニット200へと出力する(ステップS103)。
演算処理ユニット200の測定データ取得部203は、2台の速度計101,103から測定データが出力されると、取得した2種類の測定データ(第1測定データ及び第2測定データ)を、速度算出部205に出力する。
速度算出部205は、測定データ取得部203から伝送された第1測定データ及び第2測定データを利用して、着目する速度成分(すなわち、進行速度成分Vhや回転速度成分Vr)を算出する(ステップS105)。その後、速度算出部205は、算出した速度成分を、測定結果出力部207に出力する。
続いて、測定結果出力部207は、算出された速度成分に関するデータを出力する(ステップS107)。これにより、速度測定装置10の使用者は、被測定部材Sの速度を正確に把握することが可能となる。
以上、図7を参照しながら、本実施形態に係る速度測定方法について、簡単に説明した。
(ハードウェア構成について)
次に、図8を参照しながら、本発明の実施形態に係る演算処理ユニット200のハードウェア構成について、詳細に説明する。図8は、本発明の実施形態に係る演算処理ユニット200のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。
演算処理ユニット200は、主に、CPU901と、ROM903と、RAM905と、を備える。また、演算処理ユニット200は、更に、バス907と、入力装置909と、出力装置911と、ストレージ装置913と、ドライブ915と、接続ポート917と、通信装置919とを備える。
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、ROM903、RAM905、ストレージ装置913、またはリムーバブル記録媒体921に記録された各種プログラムに従って、演算処理ユニット200内の動作全般またはその一部を制御する。ROM903は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM905は、CPU901が使用するプログラムや、プログラムの実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバス等の内部バスにより構成されるバス907により相互に接続されている。
バス907は、ブリッジを介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バスに接続されている。
入力装置909は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチおよびレバーなどユーザが操作する操作手段である。また、入力装置909は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール手段(いわゆる、リモコン)であってもよいし、演算処理ユニット200の操作に対応したPDA等の外部接続機器923であってもよい。さらに、入力装置909は、例えば、上記の操作手段を用いてユーザにより入力された情報に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路などから構成されている。速度測定装置10のユーザは、この入力装置909を操作することにより、演算処理ユニット200に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
出力装置911は、取得した情報をユーザに対して視覚的または聴覚的に通知することが可能な装置で構成される。このような装置として、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、ELディスプレイ装置およびランプなどの表示装置や、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置や、プリンタ装置、携帯電話、ファクシミリなどがある。出力装置911は、例えば、演算処理ユニット200が行った各種処理により得られた結果を出力する。具体的には、表示装置は、演算処理ユニット200が行った各種処理により得られた結果を、テキストまたはイメージで表示する。他方、音声出力装置は、再生された音声データや音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して出力する。
ストレージ装置913は、演算処理ユニット200の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置913は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、または光磁気記憶デバイス等により構成される。このストレージ装置913は、CPU901が実行するプログラムや各種データ、および外部から取得した各種のデータなどを格納する。
ドライブ915は、記録媒体用リーダライタであり、演算処理ユニット200に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ915は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体921に記録されている情報を読み出して、RAM905に出力する。また、ドライブ915は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体921に記録を書き込むことも可能である。リムーバブル記録媒体921は、例えば、CDメディア、DVDメディア、Blu−ray(登録商標)メディア等である。また、リムーバブル記録媒体921は、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CompactFlash:CF)、フラッシュメモリ、または、SDメモリカード(Secure Digital memory card)等であってもよい。また、リムーバブル記録媒体921は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード(Integrated Circuit card)または電子機器等であってもよい。
接続ポート917は、機器を演算処理ユニット200に直接接続するためのポートである。接続ポート917の一例として、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポート、RS−232Cポート等がある。この接続ポート917に外部接続機器923を接続することで、演算処理ユニット200は、外部接続機器923から直接各種のデータを取得したり、外部接続機器923に各種のデータを提供したりする。
通信装置919は、例えば、通信網925に接続するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。通信装置919は、例えば、有線または無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、またはWUSB(Wireless USB)用の通信カード等である。また、通信装置919は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、または、各種通信用のモデム等であってもよい。この通信装置919は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で、例えばTCP/IP等の所定のプロトコルに則して信号等を送受信することができる。また、通信装置919に接続される通信網925は、有線または無線によって接続されたネットワーク等により構成され、例えば、インターネット、家庭内LAN、社内LAN、赤外線通信、ラジオ波通信または衛星通信等であってもよい。
以上、本発明の実施形態に係る演算処理ユニット200の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。
続いて、実施例を示しながら、本発明に係る速度測定装置及び速度測定方法について具体的に説明する。なお、以下に示す実施例は、本発明に係る速度測定装置及び速度測定方法のあくまでも一例であって、本発明に係る速度測定装置及び速度測定方法が下記の例に限定されるものではない。
本実施形態に係る測定ユニット100において好適に利用可能であるレーザドップラ速度計は、測定面を進行方向に合わせて設置することで進行方向の速度を計測することが可能であるが、被測定部材が本発明のように回転材の場合には、レーザドップラ速度計は、回転速度成分も含めて速度成分を計測するため、誤差が大きくなると考えられる。
そこで、以下の実施例1では、一般的なレーザドップラ速度計の性能の検証を行うべく、1台のレーザドップラ速度計を利用して、以下のような測定を行った。すなわち、被測定部材Sの進行方向に対して、レーザドップラ速度計の設置角度(例えば、図3Aにおけるθ1)を0°〜10°まで変化させて、レーザドップラ速度計からの出力を検証した。
ここで、用いたレーザドップラ速度計は、クラス2のレーザ(中心波長:633nm)を用いたレーザドップラ速度計である。また、被測定部材Sとして、外径が93mmである鋼管を用い、かかる鋼管の搬送ラインでは、鋼管の進行方向速度は150mm/秒に設定され、かつ、回転方向速度は1911mm/秒に設定されている。すなわち、レーザドップラ速度計が適切に機能している場合には、鋼管の進行方向速度として、150mm/秒が計測されるはずである。
得られた計測結果と、真の値(150mm/秒)からの誤差とを、あわせて図9に示した。図9において、横軸は、レーザドップラ速度計の設置角度の大きさ(単位:度)であり、縦軸は、レーザドップラ速度計の測定値、及び、真の値からの測定誤差である。また、図9において、レーザドップラ速度計の測定値は、○でプロットしており、真の値からの測定誤差は、◆でプロットしている。
図9から明らかなように、設置角度θが0°である場合には、レーザドップラ速度計の出力は、真の値150mm/秒となっているが、設置角度θが0°超過となり、角度の絶対値が大きくなるにつれて、測定誤差も大きくなることがわかる。
すなわち、レーザドップラ速度計が傾くことにより、回転速度成分も検知してしまい、測定値に大きな誤差が生じている。レーザドップラ速度計と被測定部材Sとの傾きが1°の場合であっても、図9に示したように測定誤差は30.9mm/秒となり、約20%もの測定誤差となっている。また、設置角度が1度未満であっても、測定誤差は10mm/sec以上となっている。
また、レーザドップラ速度計を設置後に、搬送ラインへの設置角度を高精度に測定し、その角度を1°と認識した場合においても、1台のレーザドップラ速度計を用いるのみでは、2方向の速度成分の合成値が計測されてしまう。その結果、上記特許文献2に示したような方法では、進行方向の速度変化と回転方向の速度変化との切り分けが出来ず、正確な速度測定を行うことができない。
図10に、本実施例で使用したレーザドップラ速度計の各速度における測定値を示した。被測定部材Sは、非回転状態として回転成分を排除しており、測定方向は、進行方向に対し正確に0°とした。
図10に得られた結果を示した。図10の横軸は、搬送ラインに設定された被測定部材Sの進行方向速度であり、図10の縦軸は、レーザドップラ速度計の出力値である。
図10から明らかなように、レーザドップラ速度計の出力値は、設定値とほぼ同等の値となっており、その誤差は、3σ=1.45mm/secとなり、約1%の誤差であった。従って、被測定部材Sを回転状態とした場合であっても、少なくとも非回転状態と同等の誤差で測定が行われることが重要となる。
なお、レーザドップラ速度計の測定誤差は、機種やレーザ出力等により変化するため、3σ=1.45mm/secという誤差が、全てのレーザドップラ速度計の測定精度を代表するものではない。また、本発明は、レーザドップラ速度計が本来有する測定精度を、回転している被測定部材Sにおいても確保することが目的である。
続いて、2台のレーザドップラ速度計を用いる本発明に係る速度測定方法により、上記と同条件の回転体の進行速度を測定した。図11に示した測定結果は、2台のレーザドップラ速度計の進行方向に対する設置角度の大きさをθ1=θ2=θとし、図3Aに示したようにレーザドップラ速度計を設置した場合の測定結果である。また、図12に示した測定結果は、2台のレーザドップラ速度計の進行方向に対する設置角度の大きさをθ1≠θ2とし、図3Aに示したようにレーザドップラ速度計を設置した場合の測定結果である。
図11及び図12において、横軸は、レーザドップラ速度計の設置角度の大きさであり、図12においては、第1の速度計101の設置角度θ1と、第2の速度計103の設置角度θ2との組み合わせを、(θ1&θ2)のように表記している。また、図11及び図12において、得られた測定値(すなわち、算出値)は、○でプロットしており、真の値からの測定誤差は、◆でプロットしている。
なお、2台のレーザドップラ速度計からの測定データを利用し、図11に示した例では、上記式109を利用して、進行方向速度を算出し、図12に示した例では、上記式105を利用して、進行方向速度を算出した。
図11に示したように、被測定部材Sである回転材の搬送ラインに対して角度を設定し、上記式109を利用して回転成分の影響を排除することで、測定誤差を2mm/sec未満まで大幅に抑制することが可能となったことがわかる。また、図11に示した測定例での測定精度は、3σ=1.68mm/secであった。この結果から、本発明に係る速度測定方法を利用することで、図10にて示した理想的な状態での測定精度とほぼ同等の測定精度の確保が可能であることが明らかとなった。
また、図12に示したように、2台のレーザドップラ速度計の設置角度が異なる場合であっても、図11に示した例と同等の測定誤差が得られていることがわかる。このことから、上記式105、式107を利用することで、進行方向及び回転方向の速度測定が可能となり、また、レーザドップラ速度計の角度設定の自由度を高めることが可能となることがわかった。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。