以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態の構成と作用を詳細に説明する。本発明は、天然ガスを燃料として使用するエンジンを搭載した船舶と液化ガス貯蔵タンクを備えた船舶などに様々な応用と適用が可能である。また、下記実施形態は、様々な他の形態に変形が可能であり、本発明の範囲は下記の実施形態に限定されない。
後述する本発明の蒸発ガス処理システムは、低温液体貨物または液化ガスを貯蔵する貯蔵タンクが設置された全種類の船舶と海洋構造物、例えば、LNG運搬船(LNG Carrier)、液化エタンガス運搬船(Liquefied Ethane Gas Carrier)、LNG RVなどの船舶をはじめ、LNG FPSO、LNG FSRUなどの海上構造物に適用することができる。ただし、後述の実施形態では、説明の便宜上、代表的な低温液体貨物である液化天然ガスを例に説明し、LNG船は、LNG運搬船、LNG RV、LNG FPSO、LNG FSRUなどを含む概念である。
また、本発明の各ラインにおける流体は、システムの運用条件に応じて、液体状態、気液混合状態、気体状態、超臨界流体状態のいずれかの状態である。
図1は、本発明の一実施形態に係る蒸発ガス再液化の概念を説明するための基本的なモデルを示す。
図1を参照すると、本発明は、貯蔵タンクから排出された蒸発ガス(1)を熱交換器に送って冷媒として使用した後に圧縮機で圧縮し、圧縮機で圧縮した蒸発ガスはエンジンの燃料として使用し(2)、エンジンの要求量を超えて余った余剰蒸発ガス(3)を熱交換器に送って、貯蔵タンクから排出された蒸発ガス(1)を冷媒として熱交換して冷却する。
圧縮機で圧縮した後に熱交換器で冷却した再液化対象蒸発ガスは、減圧手段(例えば、膨張バルブ、膨張機)を通過した後、気液分離器によって液体成分と気体成分とに分離される。気液分離器で分離された液体成分は貯蔵タンクに戻され、気液分離器で分離された気体成分は貯蔵タンクから排出された蒸発ガス(1)と合流し冷媒として再び熱交換器に供給される。
本発明は、蒸発ガスを再液化するために別の追加サイクルを使用するのではなく、貯蔵タンクから排出された蒸発ガス自体を冷媒として使用し蒸発ガスを再液化することを特徴とする。必要に応じて全蒸発ガスの再液化を保障するため、別の冷凍サイクルを備えることも可能である。別のサイクルを備えることで、追加装置と追加動力が必要となるのは短所であるが、ほぼ全量の蒸発ガスの再液化が保障される。
本発明のように蒸発ガス自体を冷媒として使用して蒸発ガスを再液化するシステムの再液化性能は、再液化される蒸発ガス(以下、「再液化対象蒸発ガス」という。)の圧力によって大幅に異なるが、再液化対象蒸発ガスの圧力による再液化性能を調べる実験(以下、「実験1」とする。)結果は下記の通りである。
(実験1)
再液化対象蒸発ガスの圧力による再液化性能評価実験の条件は、下記の通りである。
1.対象船舶:推進用エンジンである高圧ガス噴射エンジンと、発電用エンジンである低圧エンジンを備えたLPG運搬船。
2.プロセス計算プログラム:Aspen HYSYS V8.0
3.物性値の計算式:Peng−Robinson方程式
4.蒸発ガスの量:170,000CBM(cubic meter)級のLPG運搬船で約3,500kg/h〜4,000kg/hの蒸発ガスが発生するため、本実験では3,800kg/hを適用する。
5.蒸発ガスの成分:貯蔵タンクから排出された蒸発ガスと圧縮機で圧縮した蒸発ガスの両方に、窒素(N2)10%、メタン(CH4)90%の組成を適用する。
6.貯蔵タンクから排出された蒸発ガスの温度と圧力:圧力は1.06bara、温度は−120℃を適用する。
7.エンジンの燃料消費量:実際の船舶運航の際には経済性を考慮して、エンジンを低負荷で運転するが、本実験では推進用エンジンと発電用のエンジンで使用する蒸発ガスの総量が、貯蔵タンクで発生する蒸発ガス(3,800kg/h)の70%である2,660kg/hであると仮定する。
8.圧縮機の容量:通常の圧縮機容量は、貯蔵タンクで発生する蒸発ガスの150%を超えないが、本計算では圧縮機の吸込流量を基準に、貯蔵タンクで発生する蒸発ガスの120%(3,800kg/h×120%=4,650kg/h)を適用する。
9.熱交換器の性能:対数平均温度差(LMTD;Logarithmic Mean Temperature Difference)13℃以上、最小二乗法(Minimum Approach)3℃以上を適用する。
熱交換器を設計する際には、熱交換器に流入する低温流体と高温流体の温度と熱流量は各々固定し、冷媒として使用する流体の温度が冷却する流体の温度より高くならないようにして(すなわち、熱流量による温度を示したグラフで、低温流体のグラフと高温流体のグラフが交差しないように)、対数平均温度差(LMTD;Logarithmic Mean Temperature Difference)を可能な限り小さくする。
対数平均温度差(LMTD)は、高温流体と低温流体が互いに反対方向から注入して反対側に排出される熱交換方式の対向流である場合、低温流体が熱交換器を通過する前の温度をtc1、低温流体が熱交換器を通過した後の温度をtc2、高温流体が熱交換器を通過する前の温度をth1、高温流体が熱交換器を通過した後の温度をth2、d1=th2−tc1、d2=th1−tc2であるとした場合、(d2−d1)/ln(d2/d1)で表現される数値であり、対数平均温度差が小さいほど熱交換器の効率は高くなる。
熱流量による温度を示したグラフにおける対数平均温度差(LMTD)は、冷媒として使用する低温流体と、冷媒と熱交換されて冷却する高温流体の間隔で表し、低温流体と高温流体の間隔が狭いほど対数平均温度差(LMTD)が少ないことを意味し、対数平均温度差(LMTD)が少ないのは熱交換器の効率が高いことを意味する。
前記1〜9の実験条件の熱力学計算は、再液化対象蒸発ガスの高圧圧縮が再液化性能に与える影響を定量的に提示するために実施した。蒸発ガスの圧力による再液化性能と熱交換器の冷却曲線の特性を検証するために、再液化対象蒸発ガスの圧力は、39bara、50bara〜200baraの範囲における10baraごとの各圧力、250bara及び300baraで各圧力別の再液化量と熱交換器の冷却曲線を熱力学的に計算した。
図2は、本発明の一実施形態に係る蒸発ガス再液化システムにおいて、再液化対象蒸発ガスの圧力が39baraまたは50bara〜120baraの範囲における10baraごとの各圧力である場合の高温流体と低温流体との各々の熱流量による温度変化を示したグラフである。図3は、本発明の一実施形態に係る蒸発ガス再液化システムにおいて、再液化対象蒸発ガスの圧力が130bara〜200baraの範囲における10baraごとの各圧力または300baraである場合の高温流体と低温流体の各々の熱流量による温度変化を示したグラフである。
また、図4は、再液化対象蒸発ガスの圧力が39baraである場合の本発明の一実施形態に係る蒸発ガス再液化システムの概略図である。図5は、再液化対象蒸発ガスの圧力が150baraである場合の本発明の一実施形態に係る蒸発ガス再液化システムの概略図である。図6は、再液化対象蒸発ガスの圧力が300baraである場合の本発明の一実施形態に係る蒸発ガス再液化システムの概略図である。
表1は、本発明の一実施形態に係る蒸発ガス再液化システムで、再液化対象蒸発ガスの圧力による再液化性能の計算値を示す。
また、図7及び図8は、前記表1の「再液化量」を39bara〜300baraの圧力範囲で示したグラフである。
図2〜図8及び表1を参照した結果、再液化対象蒸発ガスの冷却曲線において、たとえ蒸発ガスの圧縮圧力が超臨界状態の区間であっても、50bara〜100baraの範囲では39baraの場合に見られた潜熱区間のような水平区間が徐々に減少しつつも存在することが確認され、圧縮圧力160baraで最大液化量(膨張前の冷却温度−122.4℃、再液化量1,174.6kg/h、再液化量の相対比率208.4%)を示すことが確認された。
再液化対象蒸発ガスが低圧の場合と高圧の場合において最も大きい差は膨張前の冷却温度である。図8から分かるように、圧力による冷却曲線の差のため、低圧の場合には膨張前の冷却温度で限界が発生して冷却温度を大幅に下げることができないのに対し、高圧の場合には貯蔵タンクから排出される蒸発ガスの温度近くまで冷却が可能である。
この差は、蒸発ガスの主成分であるメタン(methane、CH4)の物性値の特性上、臨界圧力(純粋なメタンの場合は約47bara)以下では潜熱区間が存在し、その臨界圧力以上で潜熱区間と類似な区間が存在するが、減少していることがわかる。したがって、再液化量の観点では、蒸発ガスを再液化する場合には臨界圧力の47bara以上で実施することが好ましい。
一方、ME−GIエンジンは燃料ガスの供給圧力が150bara〜400bara(主に300baraで運転)の範囲であるが、図7及び表1の結果のように、再液化対象蒸発ガスの圧力が150〜170bara付近である場合に再液化量が最大値を示し、150〜300baraの間では液化量の変化がほぼないという点で、ME−GIエンジンに燃料を供給しながら蒸発ガスを再液化する場合には、再液化や燃料供給の制御が容易になるという利点がある。
表1の「再液化量」は、図4〜図6において、圧縮機(10)、熱交換器(20)、及び減圧装置(30)を通過した後に気液分離器(40)で分離した再液化された液化天然ガスの流量を示し、「再液化量の相対比率」は、再液化対象蒸発ガスが39baraである場合の再液化量に比べて各圧力における再液化量の相対比率(%)を表す。
一方、「再液化率」で再液化性能を示すことも可能であり、再液化率は再液化された液化天然ガスの流量を再液化対象蒸発ガス全体の流量で割った値を示す。すなわち、「再液化量」は再液化された液化天然ガスの絶対量を表し、「再液化率」は全体の再液化対象蒸発ガスのうち再液化された液化天然ガスの割合を表す。
一例として、船舶の速度が低くて推進用エンジンで蒸発ガスの使用量が少なくなると、再液化対象蒸発ガスの量が増加し、「再液化量」も増加する。しかし、前記実験1の条件では、冷媒として使用される流体である、貯蔵タンクから排出される蒸発ガスと気液分離器で分離した気体成分の合計が圧縮機の容量制限によりほぼ一定であるため、「再液化率」は減少する。
前記実験1で圧縮機に流入する冷媒の流量は、貯蔵タンクで発生する蒸発ガス3,800kg/hの120%である4,560kg/hであり、この中で、エンジンの使用量2,660kg/h(ME−GIエンジン2,042kg/h+DFDG618kg/h)を除いた1,900kg/hが再液化対象蒸発ガスとなる。
再液化対象蒸発ガスの圧力を400baraまで高めて実験しても300baraの場合と大差はなく、150baraの場合と400baraの場合の再液化流量差は4%以内であった。
一方、図2及び図3の各グラフにおいて、破線(上)で表示された高温流体は再液化対象蒸発ガスを意味し、実線(下)で表示された低温流体は貯蔵タンクから排出された蒸発ガス、すなわち冷媒を意味する。
図2及び図3の各グラフで、熱流量は変化するが温度変化がない直線区間が潜熱区間であり、メタンは超臨界流体の状態で潜熱区間がない特性があるため、超臨界流体であるか否かによって再液化量は大幅に異なる。すなわち、再液化対象蒸発ガスが超臨界流体である場合には熱交換時に潜熱区間がないため、再液化流量及び再液化率が高くなる。
以上の結果をまとめると、再液化対象蒸発ガスが超臨界状態である場合に再液化性能が高く、特に100bara〜400baraの範囲で、好ましくは150bara〜400baraの範囲で、より好ましくは150bara〜300baraの範囲で再液化性能が高かった。
ME−GIエンジンの要求圧力が150bara〜400baraである点を考慮すると、ME−GIエンジンの要求圧力を満たすため圧縮した蒸発ガスを、そのまま再液化対象蒸発ガスとして使用する場合、再液化性能が高くなるため、ME−GIエンジンに燃料を供給するシステムと蒸発ガス自体を冷媒として使用する蒸発ガス再液化システムとを連携させると非常に有利な利点があることを確認できる。
一方、上述した実験1は再液化対象蒸発ガスの圧力による再液化性能をシミュレーションプログラムによって評価したものであり、続いてこの結果が熱交換器を使用する実際の再液化装置で同じ結果を示すか否かを調べるために、PCHE(Printed Circuit Heat Exchanger)を使用して実験(以下、「実験2」という。)した。
(実験2)
実際の運航条件では蒸発ガスの発生量は一定であるが、エンジンで使用する蒸発ガスの量が変化するため、エンジンで使用されず余った再液化対象蒸発ガスの流量が変化する。したがって、実験2では、再液化対象蒸発ガスの流量を変えながら、実際の再液化装置の再液化性能を評価した。実験の便宜上、爆発性を有するメタンに代えて一般的に多く使用される窒素を冷媒として利用し、使用される窒素の温度は貯蔵タンクから排出された蒸発ガスと同様に調整し、その他の条件も前記実験1の1〜9の条件と同様に調整した。
また、運航条件に応じて使用するME−GIエンジンの燃料消費量が変化するため、実際のLNG運搬船を想定して実験した。前記実験1の条件で、LNG運搬船のME−GIエンジンの大きさを25MW(12.5MW、2機)であると想定して最高速度で運航すれば約19.5knot(エンジンの燃料消費量は約3,800kg/h)で運航することができ、経済的速度で運航すれば約17knot(エンジンの燃料消費量は約2,660kg/h)で運航することになる。したがって、実際の運航条件を考慮すると、最高運航速度の19.5knot、経済的運航速度の17knot及び停泊状態(ME−GIエンジンの燃料消費量0、DFDGの燃料消費量618kg/h)がほとんどの運航条件になる。実験2では、これらの条件で各々の再液化性能を実験した。
冷媒と再液化対象蒸発ガスとして窒素を使用する場合には、再液化対象蒸発ガスの流量に関係なく、再液化性能が前記実験1の計算値とほぼ同じ水準であることが確認された。すなわち、LNG運搬船の運航速度に応じて推進用エンジンの蒸発ガス消費量が異なるため、再液化対象蒸発ガスの流量も変わるが、冷媒及び再液化対象蒸発ガスとして窒素を使用する場合には再液化対象蒸発ガスの流量に関係なく再液化性能が安定的に維持された。
しかし、実際の蒸発ガス再液化システムでは、冷媒及び再液化対象蒸発ガスに窒素の代わりにメタン(すなわち、実際の貯蔵タンクで発生する蒸発ガス)を適用した場合には、LNG運搬船が停泊状態や、最高運航速度の付近(最高運航速度の条件ではLNG貯蔵タンクで発生する蒸発ガスのほとんどを燃料として使用することもある。)で再液化性能が前記実験1の計算値とほぼ同じ結果を示し、経済的運航速度である最高運航速度の燃料消費量の70%で船舶を運航する場合とそれ以下の速度で船舶を運航する場合には、再液化性能が理論的予想値の70%以下を示し、運航速度区間によっては再液化性能がより低い場合も確認された。すなわち、冷媒及び再液化対象蒸発ガスとして窒素の代わりにメタン(すなわち、実際の貯蔵タンクで発生する蒸発ガス)を使用する場合には、再液化対象蒸発ガスの流量によって再液化性能が理論上の計算値に達しない区間が存在した。
具体的に、実際の蒸発ガス再液化システムの再液化性能が理論的な計算値に達しない区間を例示すると下記の通りである。
1.25MWのME−GIエンジンを使用するLNG運搬船が10〜17knotの速度で運航する場合。
2.貯蔵タンクで発生する蒸発ガスの流量が3,800kg/hであって、エンジン(推進用エンジンのME−GIエンジン+発電用エンジンのDFDG)で燃料として使用する蒸発ガスの流量が1,100〜2,660kg/hである場合。
3.貯蔵タンクで発生する蒸発ガスの流量が3,800kg/hであって、再液化対象蒸発ガスの流量が1,900〜3,300kg/hである場合。
4.冷媒として使用される蒸発ガス(気液分離器で分離した気体成分を含む。)の流量に対する再液化対象蒸発ガスの流量の比が0.42〜0.72の範囲である場合。
船舶の運航条件または再液化対象蒸発ガスの流量によって実際に測定される再液化量と理論的な計算値には大差があるため、この問題を解決する必要が生じた。再液化性能が低くなって再液化されない蒸発ガスが多くなると、蒸発ガスの外部排出と燃焼によるエネルギーの浪費、別の再液化サイクルによって再液化するなどの追加措置が必要になるという問題がある。このように、窒素と異なって蒸発ガスの再液化性能が理論的な予想値と大差があるのは、窒素と蒸発ガスの物性値の差に起因すると考えられる。
以上の結果からLNG運搬船の運航条件が変わっても、すなわち、再液化対象蒸発ガスの流量が変動しても、再液化性能を安定的に維持するステップが必要であることが分かる。
したがって、本発明の実施形態では、貯蔵タンクから排出される蒸発ガスを高圧で圧縮し、高圧圧縮蒸発ガスの全部または一部を分岐させて貯蔵タンクから排出される蒸発ガスと熱交換するステップ、及び熱交換した高圧圧縮蒸発ガスを減圧するステップを含む高圧ガス噴射エンジンを備えるLNG船の蒸発ガス再液化方法において、LNG船の運航条件が変更、または再液化対象蒸発ガスの流量が変動しても、再液化性能を安定的に維持するステップを含むことを特徴とする、高圧ガス噴射エンジンを備えるLNG船の蒸発ガス再液化方法を提供する。
また、LNG船に搭載されるエンジンが、高圧ガス噴射エンジンではなく、X−DFエンジンなどの比較的低圧の蒸発ガスを燃料として使用する場合には、低圧エンジンの燃料として供給するために圧縮した蒸発ガスのうち再液化過程を経由する余剰蒸発ガスを更に加圧した後で再液化する場合に本発明の利点がある。
前記再液化方法は、LNG船が10〜17knotの速度で運航すること、エンジン(推進用エンジン+発電用エンジン)の燃料として使用する蒸発ガスの流量が1,100〜2,660kg/hであること、再液化対象蒸発ガスの流量が1,900〜3,300kg/hであること、または冷媒として使用する蒸発ガス(気液分離器で分離した気体成分を含む。)の流量に対する再液化対象蒸発ガスの流量の比が0.42〜0.72の範囲であることを特徴とする。
前記再液化性能を安定的に維持するステップは、熱交換器の比熱比(Heat Capacity Ratio)が0.7〜1.2の範囲である場合に、再液化性能が安定的に維持されることを特徴とする。
比熱比をCR、高温流体(本発明では再液化対象蒸発ガス)の流量をm1、高温流体の比熱をc1、低温流体(本発明では冷媒として使用する蒸発ガス)の流量をm2、低温流体の比熱をc2とした場合、次式(1)を満足する。
CR=(m1×c1)/(m2×c2) (1)
前記実験2では、冷媒として使用する蒸発ガス(気液分離器で発生する気体成分を含む。)の量は一定に維持されて再液化対象蒸発ガスの量が変化する場合、すなわち、前記式(1)のm2は一定に維持されてm1が変化する場合に再液化性能が計算値に達しないことが確認されたが、それだけでなく、冷媒として使用する蒸発ガス(気液分離器で発生する気体成分を含む。)の量が変化しても、すなわち、前記式(1)でm2が変化しても再液化性能が計算値に達しないことが確認された。
したがって、本発明の再液化性能を安定的に維持するステップは、冷媒として使用する蒸発ガス(気液分離器で発生する気体成分を含む。)の量と、再液化対象蒸発ガスの量のうちいずれか1つ以上が変動する場合に、熱交換器の比熱比0.7〜1.2の範囲である場合にも再液化性能が安定的に維持されることを特徴とする。
また、前記再液化性能を安定的に維持するステップは、前記実験1の計算条件の再液化量が計算値の50%以上になるように維持することを特徴とする。好ましくは、前記計算値の60%、さらに好ましくは70%以上になるように維持することを特徴とする。再液化量が計算値の50%以下になると、LNG運搬船の運航時に運航条件によって、余った蒸発ガスをガス燃焼装置(GCU)で燃焼して捨てなければならないという問題がある。
以上の結果からLNG運搬船の運航条件が変わっても、すなわち、再液化対象蒸発ガスの流量が変動しても、再液化性能を安定的に維持するステップが必要であることが分かる。
また、再液化性能が理論的な予想値と大差がある原因の1つは、2つ以上のブロックを結合した形態の熱交換器が原因であることが分かった。
実際のLNG蒸発ガス再液化システムに適用する熱交換器は、再液化対象蒸発ガスが高圧である場合に有利であるPCHEであり、KOBELCO社、ALfa Laval社、Heatric社などが製造していて、処理容量のため1つのブロックでは限界があり、2つ以上のブロックを組み合わせて使用する必要がある。
2つ以上のブロックを結合して使用する必要のある場合の蒸発ガス処理容量を、「A以上B以下」であるとした場合、Aは1,500kg/h、2,000kg/h、2,500kg/h、3,000kg/h、3,500kg/hのいずれか1つであることもあり、Bは7,000kg/h、6,000kg/h、5,000kg/hのいずれか1つであることもある。一例として、2つ以上のブロックを結合して使用する必要のある場合の蒸発ガス処理容量は2,500kg/h以上5,000kg/h以下であることもある。
図10は、従来のPCHEの概略図である。
図10を参照すると、従来のPCHEは、高温流体流入パイプ(Hot Gas Inlet Pipe、110)、高温流体流入ヘッド(Hot Gas Inlet Header、120)、コア(Core、190)、高温流体排出ヘッド(Hot Gas Outlet Header、130)、高温流体排出パイプ(Hot Gas Outlet Pipe、140)、低温流体流入パイプ(Cold Gas Inlet Pipe、150)、低温流体流入ヘッド(Cold Gas Inlet Header、160)、低温流体排出ヘッド(Cold Gas Outlet Header、170)、及び低温流体排出パイプ(Cold Gas Outlet Pipe、180)を備える。
熱交換器に供給された高温流体は、高温流体流入パイプ(110)を介して熱交換器の内部に流入した後、高温流体流入ヘッド(120)によって分散され、コア(190)に送られる。コア(190)に送られた高温流体は、コア(190)で低温流体と熱交換して冷却された後、高温流体排出ヘッド(130)に溜まって高温流体排出パイプ(140)を介して熱交換器の外部に排出される。
熱交換器に供給された低温流体は、低温流体流入パイプ(150)を介して熱交換器の内部に流入した後、低温流体流入ヘッド(160)によって分散されてコア(190)に送られる。コア(190)に送られた低温流体は、コア(190)で高温流体を冷却する熱交換の冷媒として使用された後、低温流体排出ヘッド(170)に溜まって低温流体排出パイプ(180)を介して熱交換器の外部に排出される。
本発明における熱交換器の冷媒として使用する低温流体は、貯蔵タンクから排出された蒸発ガス(気液分離器で分離した気体成分を含む。)であり、熱交換器で冷却される高温流体は圧縮した再液化対象蒸発ガスである。
一方、コア(190)は複数のブロックを備えることができ(図9は、3つのブロックを備える場合を示す。以下、本明細書において熱交換器のコアが3つのブロックを備える場合を説明するが、これに限定されない。)、熱交換器のコアが2つ以上のブロックを備えると、ブロックの間に空間が存在し、ブロックの間の空間に存在する空気が断熱層の役割をして、ブロック間の熱伝導度が低下することになる。
後述する図18(b)グラフを参照すると、ブロック間の断熱層または断熱部(ギャップ(gap)、バリアー空気等)によりブロック間の温度分布が不均一であることが確認できる。
また、冷媒として蒸発ガスを使用する場合、特定のブロックに先に冷媒が流入すると、冷媒が先に流入したブロックに、後で供給される冷媒が偏る現象が生じ、先に冷媒が流入されたブロックの温度が他のブロックの温度に比べてより低くなる。
冷媒が先に流入したブロックに冷媒が偏る現象とブロック間の熱伝導度が低下する現象が重なると、ブロック間の温度差が大きくなり、最終的には再液化性能が低下する結果となる。すなわち、特定のブロックに冷媒が偏っても、ブロック間の熱伝導度が高ければブロック間の温度差は大きくならないが、ブロック間の空気が断熱層の役割をすると、ブロック間の温度差は大きくなる。
図10は、本発明の第1実施形態に係る熱交換器の概略図である。
図10を参照すると、本実施形態の熱交換器は、図9に図示した従来のPCHEの構成に加えて、高温流体流入ヘッド(120)とコア(190)との間に設置される第1多孔板(210)、高温流体排出ヘッド(130)とコア(190)との間に設置される第2多孔板(220)、低温流体流入ヘッド(160)とコア(190)との間に設置される第3多孔板(230)、と低温流体排出ヘッド(170)とコア(190)との間に設置される第4多孔板(240)のうち少なくとも1つ以上をさらに備える。
本実施形態の熱交換器は、熱交換器に供給または熱交換器から排出される流体を分散させる手段を備えることを特徴として、流体を分散させるために流体の流れに抵抗を与える手段を使用することができる。本実施形態の多孔板(210、220、230、240)は流体を分散させる手段または流体の流れに抵抗を与える手段の一例であり、本実施形態の熱交換器が多孔板を備えることに限定されない。
本実施形態の多孔板(210、220、230、240)は、複数の孔が形成された薄い板部材であり、第1多孔板(210)は高温流体流入ヘッド(120)の断面と同じ大きさと形状を有することが好ましく、第2多孔板(220)は高温流体排出ヘッド(130)の断面と同じ大きさと形状を有することが好ましく、第3多孔板(230)は低温流体流入ヘッド(160)の断面と同じ大きさと形状を有することが好ましく、第4多孔板(240)は低温流体排出ヘッド(170)の断面と同じ大きさと形状を有することが好ましい。
本実施形態の多孔板(210、220、230、240)に形成された複数の孔はすべての断面積が同じであることも可能であり、流体が流入または排出されるパイプ(110、140、150、180)付近の断面積は狭く、パイプ(110、140、150、180)から離れるほど断面積が広い孔が形成されることも可能である。
また、本実施形態の多孔板(210、220、230、240)に形成された複数の孔は、形成密度が均一であることも可能であり、流体が流入または排出されるパイプ(110、140、150、180)付近の形成密度は低く、パイプ(110、140、150、180)から離れるほど形成密度が高くなることも可能である。形成密度が低いというのは、同じ面積内により少ない孔が形成されていることを意味し、形成密度が高いというのは、同じ面積により多くの孔が形成されていることを意味する。
また、本実施形態の多孔板(210、220、230、240)は、第1多孔板(210)及び第3多孔板(230)を通過した流体がコア(190)に効果的に分散して流入するように、またはコア(190)から排出された流体が効果的に分散して第2多孔板(220)及び第4多孔板(240)を通過できるように、コア(190)から所定間隔を離して設置されることが好ましい。多孔板(210、220、230、240)とコア(190)との間の距離は、例えば約20〜50mmである。
本実施形態の熱交換器は、第1〜第4多孔板(210、220、230、240)の少なくとも1つ以上によって流体を分散させるため、特定のブロックに冷媒が偏る現象が緩和される。
本発明の第2実施形態に係る熱交換器は、図10に図示した第1実施形態の熱交換器を備える構成に加えて、第1多孔板(210)とコア(190)との間に設置される第1隔壁(310)、コア(190)と第2多孔板(220)との間に設置される第2隔壁(320)、第3多孔板(230)とコア(190)との間に設置される第3隔壁(330)、及びコア(190)と第4多孔板(240)との間に設置される第4隔壁(340)を備える。
図11は、本発明の第2実施形態に係る熱交換器が備える第1隔壁または第2隔壁の概略図である。図12は、本発明の第2実施形態に係る熱交換器が備える第1隔壁と第1多孔板の概略図である。図13は、本発明の第2実施形態に係る熱交換器が備える第2隔壁と第2多孔板の概略図である。
本実施形態の第1〜第4隔壁(310、320、330、340)はそれぞれ、第1〜第4多孔板(210、220、230、240)によって分散された流体が再び集まることを防止する。
図11及び図12を参照すると、本実施形態の第1隔壁(310)は、第1多孔板(210)の周縁部を所定の高さで囲み、囲まれた内部空間を複数の領域に分割する形状である。図11(a)及び図12(a)には、第1多孔板(210)の周縁部を所定の高さで囲んだ内部空間を4個に分割した形状が示され、図11(b)及び図12(b)には8個に分割した形状が示されている。
図11(b)及び図12(b)に図示した第1隔壁(310)は、第1多孔板(210)の周縁部を所定の高さで囲んだ内部空間を、図11(a)及び図12(a)に示したように一方向の格子で分割するだけではなく、他方向の格子でも分割する。すなわち、図11(a)及び図12(a)に図示した第1隔壁(310)において、第1多孔板(210)の周縁部を所定の高さで囲んで内部空間を分割する部材を垂直部材(1)であるとすれば、図11(b)及び図12(b)に図示した第1隔壁(310)は、複数の垂直部材(1)だけでなく、各垂直部材(1)との間の空間を分割する複数の水平部材(2)を備え、一方向の格子と他方向の格子が互いに交差して内部空間を分割する。
図11(b)及び図12(b)に示すように、第1多孔板(210)の内部空間を他方向で更に分割した場合、流体をより分散することができ、特に、複数のブロック間だけでなく、1つのブロック内に冷媒が再び集まることを防止する。
また、第1多孔板(210)の内部空間を他方向で更に分割した場合、第1多孔板(210)とコア(190)との離隔をより安定的に維持できるという長所がある。特に、第1多孔板(210)を通過する流体の圧力によって第1多孔板(210)が屈曲してコア(190)と接触することを防止することができる。第1多孔板(210)とコア(190)が接触すると、接触した部分では流体の正常な供給ができなくなり熱交換効率が低下する虞がある。
図11及び図12を参照すると、高温流体流入パイプ(110)を介して流入した高温流体は、高温流体流入ヘッド(120)、第1多孔板(210)、及び第1隔壁(310)を順次に通過してコア(190)に流入する。
図11及び図13を参照すると、本実施形態の第2隔壁(320)は、第2多孔板(220)の周縁部を所定の高さで囲み、囲まれた内部空間を複数の領域に分割する形状である。図11(a)及び図13(a)には、第2多孔板(220)の周縁部を所定の高さで囲んだ内部空間を4個に分割した形状が示され、図11(b)及び図13(b)には8個に分割した形状が示されている。
図11(b)及び図13(b)に図示した第2隔壁(320)は、第2多孔板(220)の周縁部を所定の高さで囲んだ内部空間を、図11(a)及び図13(a)に示すように一方向の格子で分割するだけではなく、他方向の格子でも分割する。すなわち、図11(a)及び図13(a)に図示した第2隔壁(320)において、第2多孔板(220)の周縁部を所定の高さで囲んだ内部空間を分割する部材を垂直部材(1)とすれば、図11(b)及び図13(b)に図示された第2隔壁(320)は、複数の垂直部材(1)だけでなく、各垂直部材(1)との間の空間を分割する複数の水平部材(2)を備えて、一方向の格子とは他方向の格子が互いに交差して内部空間を分割する。
図11(b)及び図13(b)に示すように、第2の多孔板(220)の内部空間を他方向で更に分割した場合、流体をより分散することができ、特に、複数のブロック間だけでなく1つのブロック内に冷媒が再び集まることを防止する。
また、第2多孔板(220)の内部空間を他方向で更に分割した場合、第2多孔板(220)とコア(190)の離隔をより安定的に維持できるという長所がある。特に、第2多孔板(220)を通過する流体の圧力によって第2多孔板(220)が屈曲してコア(190)と接触することを防止することができる。第2多孔板(220)とコア(190)が接触すると、接触した部分では流体の正常な排出ができなくなり熱交換効率が低下する虞がある。
図10及び図13を参照すると、コア(190)から排出された高温流体は、第2隔壁(320)、第2多孔板(220)、及び高温流体排出ヘッド(130)を順次に通過して高温流体排出パイプ(140)を介して排出される。
図14は、本発明の第2実施形態に係る熱交換器が備える第3隔壁または第4隔壁の概略図である。図15は、本発明の第2実施形態に係る熱交換器が備える第3隔壁と第3多孔板の概略図である。図16は、本発明の第2実施形態に係る熱交換器が備える第4隔壁と第4多孔板の概略図である。
図14及び図15を参照すると、本実施形態の第3隔壁(330)は、第3多孔板(230)の周縁部を所定の高さで囲み、囲まれた内部空間を複数の領域に分割する形状である。図14(a)及び図15(a)には、第3多孔板(230)の周縁部を所定の高さで囲んだ内部空間を4個に分割した形状が示され、図14(b)及び図15(b)には8個に分割した形状が示される。
図14(b)及び図15(b)に図示された第3隔壁(330)は、第3多孔板(230)の周縁部を所定の高さで囲んだ内部空間を、図14(a)及び図15(a)に示すように一方向の格子で分割するだけではなく、他方向の格子でも分割する。すなわち、図14(a)及び図15(a)に図示された第3隔壁(330)において、第3多孔板(230)の周縁部を所定の高さで囲んだ内部空間を分割する部材を垂直部材(1)とすれば、図14(b)及び図15(b)に図示された第3隔壁(330)は、複数の垂直部材(1)だけでなく、各垂直部材(1)との間の空間を分割する複数の水平部材(2)を備えて、一方向の格子とは他方向の格子が互いに交差して内部空間を分割する。
図14(b)及び図15(b)に示したように、第3多孔板(230)の内部空間を他方向で更に分割した場合、流体をより分散することができ、特に複数のブロックとの間だけでなく、1つのブロック内でも冷媒が再び集まることを防止する。
また、第3多孔板(230)の内部空間を他方向で更に分割した場合、第3多孔板(230)とコア(190)の離隔をより安定的に維持できるという長所がある。特に、第3多孔板(230)を通過する流体の圧力によって第3多孔板(230)が屈曲してコア(190)と接触することを防止することができる。第3多孔板(230)とコア(190)が接触すると、接触した部分では流体の正常な供給ができなくなり熱交換効率が低下する虞がある。
図10及び図15を参照すると、低温流体流入パイプ(150)に沿って流入した低温流体は、低温流体流入ヘッド(160)、第3多孔板(230)、及び第3の隔壁(330)を順次に通ってコア(190)に流入する。
図14及び図16を参照すると、本実施形態の第4隔壁(340)は、第4多孔板(240)の周縁部を所定の高さで囲み、囲まれた内部空間を複数の領域で分割する形状である。図14(a)及び図16(a)には、第4多孔板(240)の周縁部を所定の高さで囲んだ内部空間を4個に分けた形状が示され、図14(b)及び図16(b)には8個に分割した形状が示される。
図14(b)及び図16(b)に図示された第4隔壁(340)は、第4多孔板(240)の周縁部を所定の高さで囲んだ内部空間を、図14(a)及び図16(a)に示すように一方向の格子で分割するだけではなく、他方向の格子でも分割する。すなわち、図14(a)及び図16(a)に図示された第4隔壁(340)において、第4多孔板(240)の周縁部を所定の高さで囲んだ内部空間を分割する部材を垂直部材(1)とすれば、図14(b)及び図14(b)に図示された第4隔壁(340)は、複数の垂直部材(1)だけでなく各垂直部材(1)との間の空間を分割する複数の水平部材(2)を備えて、一方向の格子と他方向格子が互いに交差して内部空間を分割する。
図14(b)及び図16(b)に示すように、第4多孔板(240)の内部空間を他方向で更に分割した場合、流体をより分散することができ、特に、複数のブロック間だけでなく、1つのブロック内でも、冷媒が再び集まることを防止する。
また、第4多孔板(240)の内部空間を他方向にもう一度分ける場合には、第4多孔板(240)とコア(190)の離隔をより安定的に維持できるという長所がある。特に、第4多孔板(240)を通過する流体の圧力により第4多孔板(240)が屈曲してコア(190)と接触することを防止することができる。第4多孔板(240)とコア(190)が接触すると、接触した部分では流体の正常な排出ができなくなり熱交換効率が低下する虞がある。
図10及び図16を参照すると、コア(190)から排出された低温流体は、第4隔壁(340)、第4多孔板(240)、及び低温流体排出ヘッド(170)を順次に通って低温流体排出パイプ(180)を介して排出される。
図17(a)は、従来の熱交換器の冷媒の流れを示した概略図である。図17(b)は本発明の第1実施形態に係る熱交換器の冷媒の流れを示した概略図である。図17(c)は本発明の第2実施形態に係る熱交換器の冷媒の流れを示した概略図である。
図17(a)を参照すると、従来の熱交換器の場合、低温流体流入パイプ(150)に流入した低温流体が、低温流体流入パイプ(150)の近くに位置した中心部のブロックに集中して供給されることがわかる。3つのブロックを備えた従来の熱交換器の場合には、低温流体流入パイプ(150)の近くに位置したブロックで約70%の冷媒が供給され、他のブロックにはそれぞれ約15%の冷媒が供給されて、ブロックとの間で冷媒流量の差が4倍以上に達することを確認した。
図17(b)を参照すると、本発明の第1実施形態の熱交換器の場合、低温流体流入パイプ(150)に流入した低温流体が第3多孔板(230)によって分散されて、従来の熱交換器に比べて、比較的複数のブロックにそれぞれ均等に流入することが分かる。しかし、依然としてある程度は低温流体流入パイプ(150)の近く位置した中心部のブロックで低温流体が集中する現象が残っていることを確認できる。
図17(c)を参照すると、本発明の第2実施形態の熱交換器の場合、低温流体流入パイプ(150)に流入した低温流体が第3多孔板(230)によって分散された後に第3隔壁(330)を通過して、従来の熱交換器に比べて、比較的複数のブロックにそれぞれ均等に流入することと、第1実施形態の熱交換器より均等に流入することが分かる。
本実施形態の熱交換器は、複数のブロックに各々供給される流体または複数のブロックから各々排出される流体の流量の差が4倍未満であることを特徴とする。
図18(a)は、熱交換器の内部温度を測定するために設置した温度センサの位置を示した概略図である。図18(b)は図18(a)に図示した位置で各々の温度センサが測定した熱交換器の内部の温度分布を示したグラフである。また、図18(b)に図示した破線(1)は、従来の熱交換器内部の温度分布を示し、実線(2)は本発明の第2実施形態に係る熱交換器の内部の温度分布を示す。
図18(b)を参照すると、従来の熱交換器の場合には、中心部のブロックの温度が他のブロックの温度に比べて非常に低く、複数のブロック間の温度差が大きいことが確認できる。従来の熱交換器の場合には、最低温度部分と最高温度部分との温度差が約130〜140℃であることが確認された。
一方、第2実施形態の熱交換器の場合、複数のブロック間の温度差が比較的小さいことが確認できる。本実施形態の熱交換器の場合、最低温度部分と最高温度部分との温度差が約40〜50℃であり、従来の熱交換器に比べてブロック間の温度差が減少することを確認した。
本発明は、熱交換器の冷媒として蒸発ガスを使用し、熱交換器が複数のブロックを備えても、各ブロックに供給される冷媒の流量を比較的均等に維持することができ、各ブロック間の温度差を減らして熱交換効率を高めることができ、再液化対象蒸発ガスの流量が変化しても安定した再液化性能を確保することができる。
また、多孔板はSUS材質で成形し、極低温の蒸発ガスとの接触で収縮されて冷媒が通過した後に再び元の状態に戻ることができる。薄い厚さの多孔板の熱交換器よりも熱容量が非常に少なく、多孔板と熱交換器を溶接する場合、熱容量の大きい熱交換器は蒸発ガスに接触しても収縮率が少なく、熱容量が小さい多孔板は蒸発ガスに接触すると収縮率が大きいため、多孔板が割れる虞がある。
したがって、多孔板を熱伸縮の解消ができるように熱交換器と結合させる必要があり、本発明の第4実施形態及び第5実施形態では熱伸縮解消ができるように結合させた多孔板の一例を説明する。
図19は本発明の第3実施形態に係る熱交換器の一部を示す概略図であり、図20は図19のA部分を拡大した概略図である。
本実施形態の熱交換器も、第1実施形態と同様に、図9に図示された従来のPCHEが備える構成に加えて、高温流体流入ヘッド(120)とコア(190)との間に設置される第1多孔板(210)、高温流体排出ヘッド(130)とコア(190)との間に設置される第2多孔板(220)、低温流体流入ヘッド(160)とコア(190)との間に設置される第3多孔板(230)、及び低温流体排出ヘッド(170)とコア(190)との間に設置される第4多孔板(240)のうち少なくとも1つ以上をさらに備える。
図19及び図20を参照すると、本実施形態の第4多孔板(240)は低温流体排出ヘッド(170)に設置され、第4多孔板(240)が低温流体排出ヘッド(170)に直接溶接されるのではなく、2つの支持部材(420)が所定間隔で離隔して低温流体排出ヘッド(170)に溶接(410)され、第4多孔板(240)は2つの支持部材(420)の間に挟まれる。
第4多孔板(240)は、2つの支持部材(420)との間に挟まれた状態であり、完全に固定された状態ではないため、極低温の蒸発ガスとの接触により収縮しても屈曲または破損せず、連結部分が破損されない。
支持部材(420)は第4多孔板(240)の収縮に対応できる最小限の大きさであることが好ましく、支持部材(420)間の間隔も第4多孔板(240)の収縮で多少の遊動が可能な最小距離であることが好ましい。
本実施形態の第1〜第3多孔板(210、220、230)も第4多孔板(240)と同様に、第1多孔板(210)は高温流体流入ヘッド(120)に所定間隔で離隔して溶接された2つの支持部材の間に挟まれ、第2多孔板(220)は高温流体排出ヘッド(130)に所定間隔で離隔して溶接された2つの支持部材の間に挟まれ、第3多孔板(230)は低温流体流入ヘッド(160)に所定間隔で離隔して溶接された2つの支持部材の間に挟まれる。
図21は、本発明の第4実施形態に係る熱交換器の一部を示す概略図であり、図22は、図21のB部分を拡大した概略図である。
本実施形態の熱交換器も、第1実施形態と同様に、図9に図示された従来のPCHEが備える構成に加えて、高温流体流入ヘッド(120)とコア(190)との間に設置される第1多孔板(210)、高温流体排出ヘッド(130)とコア(190)との間に設置される第2多孔板(220)、低温流体流入ヘッド(160)とコア(190)との間に設置される第3多孔板(230)、及び低温流体排出ヘッド(170)とコア(190)との間に設置される第4多孔板(240)のうち1つ以上をさらに備える。
図21及び図22を参照すると、本実施形態の第4多孔板(240)は、第3実施形態と同様に、低温流体排出ヘッド(170)に設置されるが、低温流体排出ヘッド(170)に直接溶接されない。
ただし、本実施形態の第4多孔板(240)は、第3実施形態とは異なり、両端部がコア(190)と平行に延長して、コア(190)から離れる方向に段差がある形状であり、2つの支持部材(420)との間に挟まれるのではなく、1つの支持部材(420)とコア(190)との間に挟まれる。
すなわち、1つの支持部材(420)がコア(190)と所定間隔に離隔して低温流体排出ヘッド(170)と溶接(410)され、コア(190)と平行に延長する第4多孔板(240)の両端部が支持部材(420)とコア(190)との間に挟まれ、第4多孔板(240)は支持部材(420)とコア(190)との間に位置した両端部からコア(190)と離れる方向に段差がある形状である。
本実施形態の第4多孔板(240)は、支持部材(420)とコア(190)との間に挟まれて完全に固定した状態ではないため、極低温の蒸発ガスとの接触により収縮しても屈曲または破損せず、接続部が破損されない。
本実施形態の支持部材(420)は、第4多孔板(240)の収縮に対応できる最小限の大きさであることが好ましく、支持部材(420)とコア(190)との間隔も第4多孔板(240)が収縮により多少の遊動が可能な最小距離であることが好ましい。また、コア(190)と平行に延長する第4多孔板(240)の両端部は、支持部材(420)とコア(190)との間に挟まれ、収縮による変形や遊動を許容できる最小の長さであることが好ましい。
本実施形態の第1〜第3多孔板(210、220、230)も第4多孔板(240)と同様に、両端部がコア(190)と平行に延長した後、コア(190)から離れる方向に段差がある形状であり、第1多孔板(210)は高温流体流入ヘッド(120)に溶接された支持部材とコア(190)との間に両端部が挟まれて、第2多孔板(220)は高温流体排出ヘッド(130)に溶接された支持部材とコア(190)との間に両端部が挟まれ、第3多孔板(230)は低温流体流入ヘッド(160)に溶接された支持部材とコア(190)との間に両端が挟まれる。
図23(a)は、熱交換器の全体形状の概略図であり、図23(b)はブロックの概略図であり、図23(c)はチャネルプレートの概略図である。 図23(b)に図示されたブロックは拡散ブロック(diffusion block)であり得る。
図23を参照すると、低温流体と高温流体の熱交換が行われるコア(190)は複数のブロック(192)で構成され、ブロック(192)は複数の低温流体用のチャネルプレート(194)と、複数の高温流体用チャネルプレート(196)が交互に積層された構成である。各チャネルプレート(194、196)には、流体が流れるチャネルが複数形成される。
図24(a)は図23(c)に図示された低温流体用のチャネルプレートをC方向から見た概略図であり、図24(b)は従来の熱交換器の低温流体用のチャネルプレートのチャネルの概略図であり、図24(c)は本発明の第5実施形態に係る熱交換器の低温流体用のチャネルプレートのチャネルの概略図であり、図24(d)は本発明の第6実施形態に係る熱交換器の低温流体用のチャネルプレートのチャネルの概略図である。
図24を参照すると、チャネルプレートに形成されたチャネル(198)は、図24(b)に示すように幅が一定で一直線であることが一般的であるが、本発明の第5実施形態及び第6実施形態に係る熱交換器、流体に抵抗を与える形状のチャネルを備える。
図24(c)を参照すると、第5実施形態の熱交換器は、流入部の幅が他の部分の幅に比べて狭い複数のチャネル(198)を備える。すなわち、本実施形態のチャネル(198)は、図23(c)のC方向からチャネルプレートを見た場合、流入部の断面積が他の部分に比べて狭く形成される。
チャネル(198)の流入部の断面積が小さくなると、流入する流体が抵抗を受けて流動が分散し、複数個のうち特定のブロックに流体が集中する現象を緩和または防止する。
図24(d)を参照すると、第6実施形態の熱交換器は、ジグザグ形状のチャネル(198)を複数備える。チャネル(198)をジグザグ状に形成すると、流体が抵抗を受けて流動が分散し、複数個のうち特定のブロックに流体が集中する現象を緩和または防止できる。
本発明の第5実施形態及び第6実施形態の熱交換器は、流体の抵抗を与える形状のチャネルを備えるため、流体を分散させる別の部材を追加しなくても、複数個のうち特定のブロックに冷媒が集中する現象を緩和または防止できるという長所がある。
本発明は、前記実施形態に限定されず、本発明の技術的要旨を逸脱しない範囲内で様々な修正または変形が可能であることは、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者において自明である。