以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る積層コイル部品について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、及び、製造工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面に示される構成要素の大きさまたは大きさの比は、必ずしも厳密ではない。
(実施の形態1)
実施の形態1に係る積層コイル部品は、環状の導体パターンが積層され、各層が層間接続導体を介して接続された積層コイルを内部に有し、当該積層コイルの一部が形成された第1積層基板と、当該積層コイルの他部が形成された第2積層基板とが、導電性接合材を挟んで積層方向に互いに離間して配置されている。
[積層コイル部品の構成]
まず、本実施の形態に係る積層コイル部品の構成について、図1〜図3を用いて説明する。
図1は、本実施の形態に係る積層コイル部品1の外観を模式的に示す斜視図である。また、図2は、図1のII−II線における本実施の形態に係る積層コイル部品1の断面図である。また、図3は、本実施の形態に係る積層コイル部品1によって形成される積層コイルL1の回路図である。
なお、図1及び図2において、Z軸方向はマイナス側を当該積層コイル部品1が実装される他の基板(例えば、マザーボード等)側とする積層コイル部品1の積層方向であり、X軸方向及びY軸方向は、互いに直交し、いずれもZ軸方向に直交する。また、これらの図では、説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明している箇所があるが、実際の使用態様において、Z軸方向が上下方向になるとは限らない。また、図2では、理解の助けのため、厳密には別断面にある構成要素を同一図面内に示して説明している場合がある。以降の図においても、同様である。
図1に示すように、本実施の形態に係る積層コイル部品1は、第1積層基板10と、第1積層基板10の積層方向に並ぶように配置された第2積層基板20と、第1積層基板10と第2積層基板20との間に配置された導電性接合材30とを備える。これにより、第1積層基板10と第2積層基板20とは導電性接合材30を介して接合されるため、第1積層基板10と第2積層基板20とは、離間して配置されている。具体的には、第1積層基板10の上面(Z軸方向プラス側の面)と第2積層基板20の下面(Z軸方向マイナス側の面)との間には、離間距離h1の空隙40(ギャップ)が形成されている。
図2に示すように、第1積層基板10及び第2積層基板20の各々は、内部に積層コイルL1が形成された基板本体101を有する。第1積層基板10の基板本体101には、積層コイルL1の一部である第1コイル要素L11を形成するための各種の導体が各層に設けられ、第2積層基板20の基板本体101には、積層コイルL1の他部である第2コイル要素L12を形成するための各種の導体が各層に設けられている。当該導体には、導体パターン102(面内配線導体)と、層間接続導体103と、表面電極104a(第1表面電極)と、表面電極104bと、表面電極105a(第2表面電極)、105bとが含まれる。
基板本体101は、磁性体セラミック材料を含む複数の磁性体層(例えば、9層の磁性体層)が積層されることにより形成された積層基板である。磁性体セラミック材料としては、例えば、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ニッケル及び酸化銅を主成分とする磁性体フェライトセラミック材料とを用いることができる。本実施の形態における第1積層基板10及び第2積層基板20は、つまり、本実施の形態で用いる磁性体セラミック材料は、比較的低い焼成温度(例えば、900℃)で焼結することができる、いわゆるLTCCセラミックス(Low Temperature Co-fired Ceramics)である。
導体パターン102は、第1積層基板10及び第2積層基板20各々の基板本体101の内層に形成された配線導体である。導体パターン102の材料としては、特に銀を主成分とする金属または合金が好ましい。基材としてLTCCセラミックスを用いることにより、第1積層基板10及び第2積層基板20を比較的低い焼成温度で焼結できるため、融点が比較的低い銀を主成分とする金属または合金を用いることができる。このように、導体パターン102として銀を主成分とする金属または合金を用いることにより、導体抵抗を低減することができ、例えば信号伝搬遅延などの特性を改善することができる。また、特に導体パターン102として銀を主成分とする金属または合金を用いることにより、未焼結の第1積層基板10及び第2積層基板20を、例えば大気等の酸化性雰囲気下で焼成することができる。
導体パターン102は、環状に形成された導体パターン102aと、導体パターン102a以外の導体パターン102bとからなる。各導体パターン102aは、層間接続導体103によって異なる層の導体パターン102aと直列接続されて螺旋形状を形成することにより、第1コイル要素L11又は第2コイル要素L12を構成する。また、導体パターン102bは、第1コイル要素L11又は第2コイル要素L12と、表面電極104a、104b、105a、105bのいずれかとを接続するための、例えば略矩形状又は略線状に形成された配線導体である。
各層の導体パターン102の具体的な形状については後述するが、複数層の導体パターン102のうち少なくとも一部の層(本実施の形態では、8層のうち6層)は、環状に形成された導体パターン102a(コイルパターン)である。また、本実施の形態では、他の層(本実施の形態では、8層のうち2層)は、環状以外の形状(例えば、略矩形状、略線状、等)に形成された導体パターン102bである。なお、環状に形成された導体パターン102aは、切れ目のない完全な環形状ではなく、環形状の一部が途切れた略C形状である。ここでは、環状に形成された導体パターン102aは、略1ターンのコイルパターンであるが、1ターン未満のコイルパターンでもよく、1ターン以上のコイルパターンでもよい。
層間接続導体103は、複数の磁性体層のうち所定の層を貫通して形成され、互いに異なる層に形成された、導体パターン102及び表面電極104a、104b、105a、105bを接続する。
このような導体パターン102及び層間接続導体103によって、第1積層基板10には第1コイル要素L11が形成され、第2積層基板20には第2コイル要素L12が形成される。
表面電極104aは、第1積層基板10及び第2積層基板20の互いに対向する一対の面において対向する位置に配置されている一対の導体パターン(ランド)である。つまり、第1積層基板10は、一対の表面電極104a(第1表面電極)の一方を有し、第2積層基板20は、一対の表面電極104a(第1表面電極)の他方を有する。具体的には、対となる表面電極104aは、第1積層基板10の基板本体101の上面(Z軸方向プラス側の面)及び第2積層基板20の基板本体101の下面(Z軸方向マイナス側の面)の各々において、平面視で(積層方向から見て)同じ位置に配置され、導電性接合材30によって接合される。表面電極104bについても、同様である。
このように、導電性接合材30によって対となる表面電極104a、104bが接合されることにより、第1積層基板10と第2積層基板20とは、当該導電性接合材30を上下方向両側(Z軸方向両側)から挟み込むように接合される。これにより、第1積層基板10と第2積層基板20とは、導電性接合材30を挟んで積層方向に互いに離間して配置される。つまり、第1積層基板10と第2積層基板20との間に、導電性接合材30の厚み(Z軸方向の大きさ)に応じた離間距離h1の空隙40が形成される。
ここで、一対の表面電極104aのうち第1積層基板10の表面電極104aは、当該第1積層基板10に形成された第1コイル要素L11の一方の端部と層間接続導体103を介して電気的に接続されている。また、一対の表面電極104aのうち第2積層基板20の表面電極104aは、第2積層基板20に形成された第2コイル要素L12の一方の端部と層間接続導体103を介して電気的に接続されている。
よって、導電性接合材30によって対となる表面電極104aが接合されることにより、第1コイル要素L11の端部と第2コイル要素L12の端部とが電気的に接続される。したがって、図3に示すように、第1コイル要素L11と第2コイル要素L12とが直列に接続される。
一対の表面電極104bのうち第2積層基板20の表面電極104bは、当該第2積層基板20に形成された第2コイル要素L12の他方の端部(第1コイル要素L11側と反対側の端部)と層間接続導体103を介して電気的に接続されている。よって、導電性接合材30によって対となる表面電極104bと接合されることにより、第1積層基板10の表面電極104bも、第2コイル要素L12の他方の端部と電気的に接続されることとなる。
表面電極105a、105bは、第1積層基板10の第2積層基板20と反対側に配置され、積層コイル部品1を他の基板(例えば、マザーボード等)に搭載するための導体パターンである。表面電極105a、105bのうち表面電極105aは、第1積層基板10に形成された第1コイル要素L11の他方の端部(第2コイル要素L12側と反対側の端部)と層間接続導体103を介して電気的に接続されている。一方、表面電極105a、105bのうち表面電極105bは、層間接続導体103及び一対の表面電極104bを介して、第2コイル要素L12の他方の端部と電気的に接続される。つまり、表面電極105a、105bは、積層コイル部品1に形成される積層コイルL1の入力端子及び出力端子に相当する。
層間接続導体103、及び、表面電極104a、104b、105a、105bの材料としては、例えば、導体パターン102と同一の材料を用いることができる。なお、これらの材質は互いに異なっていてもかまわない。また、表面電極104a、104b、105a、105bには、例えば、めっき処理が施されることにより、ニッケルめっき膜又は金めっき膜等が形成されていてもかまわない。
導電性接合材30は、第1積層基板10と第2積層基板20とを機械的に接合するとともに、第1コイル要素L11と第2コイル要素L12とを電気的に接続する。導電性接合材30としては、例えば、半田材、導電性接着ペースト(SCP)、導電性接着フィルム(SCF)、又は、異方性導電フィルム(ACF)を用いることができる。
本実施の形態では、導電性接合材30として、半田材を用いている。この場合、第1積層基板10の表面電極104a、104b上に半田ペーストを配置し、当該半田ペースト上に第2積層基板20の表面電極104a、104bが位置するように第2積層基板20を配置する。その後、半田ペーストを挟んだ第1積層基板10及び第2積層基板20をリフローすることで、第1積層基板10と第2積層基板20とが機械的に接合されるとともに、第1コイル要素L11の一方の端部と第2コイル要素L12の一方の端部とが電気的に接続される。
ここで、第1積層基板10及び第2積層基板20に設けられた導体パターン102の形状の詳細について、図4〜図7を用いて、具体的に説明する。
図4は、本実施の形態における第1積層基板10の各磁性体層11〜19を分離して示す分解斜視図であり、図5は、本実施の形態における第1積層基板10の各磁性体層11〜19を分離して積層順に示す分解平面図である。また、図6は、本実施の形態における第2積層基板20の各磁性体層21〜29を分離して示す分解斜視図であり、図7は、本実施の形態における第2積層基板20の各磁性体層21〜29を分離して積層順に示す分解平面図である。
なお、層間接続導体103について、図4及び図6では図示を省略し、図5及び図7では、各層を貫通する層間接続導体103の位置を丸印で示し、各層間接続導体103による導体の接続関係を破線で模式的に示している。ただし、図5の(1−1)及び図7の(2−1)以外では、層間接続導体103は丸印が描かれた層の1つ上の層を貫通することに留意されたい。つまり、例えば、図5の(1−2)に描かれた層間接続導体103は磁性体層12を貫通する。以降の分解平面図においても、同様である。
また、図4〜図7では、便宜上、各導体パターン102a、102bは、当該導体パターン102を挟むように配置される2つの磁性体層のうち下側の磁性体層上に配置されているように図示しているが、これは製造時の配置を限定するものではない。つまり、各導体パターン102a、102bは、製造工程において、当該導体パターン102a、102bを挟むように配置される焼成前の2層の磁性体層(2層の磁性体セラミックグリーンシート)の上側及び下側のいずれかに配置されていてもかまわない。
図4及び図5に示すように、第1積層基板10は、積層されることにより基板本体101を形成する複数の磁性体層(本実施の形態では、9層の磁性体層11〜19)を有する。また、第1積層基板10は、さらに、各磁性体層11〜19の間に配置される導体パターン102a、102bと、最下層の磁性体層11の下面に配置される表面電極105a、105bと、最上層の磁性体層19の上面に配置される表面電極104a、104bとを有する。
図5において、(1−1)は第1積層基板10の最下層(最もZ軸方向マイナス側の層)の磁性体層11の下面に位置する導体(つまり、表面電極105a、105b)を示し、(1−10)は第1積層基板10の最上層(最もZ軸方向プラス側の層)の磁性体層19の上面に位置する導体(つまり、表面電極104a、104b)を示し、(1−2)〜(1−9)は内層に位置する面内配線導体(つまり、導体パターン102a、102b)を示している。また、図7においても同様に、最下層の磁性体層から(2−1)〜(2−10)の順に、導体パターン(表面電極104a、104b、導体パターン102a、102b)が示されている。
ここで、図5に示す導体パターン113〜118、及び、図7に示す導体パターン123〜128は環状に形成された導体パターン102aの一例であり、図5に示す導体パターン112a、112b、119a、119b、及び、図7に示す導体パターン122a、122b、129は導体パターン102bの一例である。
導体パターン113〜118は、層間接続導体103によって直列に接続されることにより、螺旋形状に形成された積層コイルである第1コイル要素L11を形成している。つまり、第1コイル要素L11は、導体パターン113の端部113t及び導体パターン118の端部118tを両端部として構成される。
導体パターン113の端部113tは、層間接続導体103及び導体パターン112aを介して表面電極105aに接続され、導体パターン118の端部118tは層間接続導体103及び導体パターン119aを介して表面電極104aに接続される。よって、図3に示すように、表面電極105a及び表面電極104aは、第1コイル要素L11の入力端子及び出力端子に相当する。
導体パターン123〜128も、導体パターン113〜118と同様に接続されることにより、第2コイル要素L12を形成している。つまり、第2コイル要素L12は、導体パターン123の端部123t及び導体パターン128の端部128tを両端部として構成される。
導体パターン123の端部123tは、層間接続導体103、導体パターン122aを介して表面電極104aに接続され、導体パターン128の端部128tは、層間接続導体103、導体パターン129、複数の磁性体層22〜28を貫通する層間接続導体103、及び、導体パターン122b等を介して表面電極104bに接続される。よって、図3に示すように、表面電極104a、104bは、第2コイル要素L12の入力端子及び出力端子に相当する。
このように構成された第1積層基板10及び第2積層基板20において、対となる表面電極104a及び表面電極104bが導電性接合材30によって接合されることにより、図3に示すように、第1コイル要素L11と第2コイル要素L12とは直列に接続される。つまり、表面電極105a、105bは、第1コイル要素L11と第2コイル要素L12とが直列に接続されることにより形成された積層コイルL1の入力端子及び出力端子に相当する。
本実施の形態では、第1積層基板10及び第2積層基板20に形成された第1コイル要素L11及び第2コイル要素L12は、次のような構成を有する。
具体的には、第1コイル要素L11と第2コイル要素L12とは、積層方向に見て(平面視において:Z軸方向と平行に見て)、同一の内外径を有する。「同一の内外径」とは、例えば、図2に示すように、第1コイル要素L11の内径d11と第2コイル要素L12の内径d21とが同一、かつ、第1コイル要素L11の外径d12と第2コイル要素L12の外径d22とが同一であることを指す。なお、「同一」とは、完全に同一である必要はなく、例えば、一方の内径または外径寸法に対し他方の内径または外径寸法が10パーセント程度異なっていてもかまわない。
ここで、図5及び図7に示すように、本実施の形態では、導体パターン102aが略矩形状の環状に形成されている。よって、第1コイル要素L11及び第2コイル要素L12の各々は、積層方向に見て、仮想的な巻回軸を中心に矩形形状に巻回している。つまり、第1コイル要素L11及び第2コイル要素L12の各々は、積層方向に見て、方向に応じて内径及び外径が異なっている。そのため、第1コイル要素L11及び第2コイル要素L12の各々において、第1コイル要素L11は、巻回軸J1(図2参照)を含む任意の平面における内径と、当該巻回軸J1(図2参照)を含む他の任意の平面における内径とが異なる場合がある。
そのため、「同一の内外径を有する」とは、同一方向において、同一の内外径を有することとしてもかまわない。また、方向によらず、同一の最大内径及び最大外径、又は、同一の最小内径及び最小外径を有することとしてもかまわない。
なお、例えば、第1コイル要素L11の巻回軸J1(図2参照)と、第2コイル要素L12の巻回軸J1(図2参照)とは、略同一直線状に位置していてもかまわない。また、例えば、第1コイル要素L11と第2コイル要素L12とは、積層方向に垂直な平面への投影形状が略同一であってもかまわない。
また、第1コイル要素L11と第2コイル要素L12とは、螺旋形状の巻き方向が同一である。具体的には、第1コイル要素L11は、下側の端部である端部113tを始点とすると、上方から見て(Z軸方向プラス側から見て)導体パターン102aにより右回転しつつ、層間接続導体103により上方へと延伸する。同様に、第2コイル要素L12も、下側の端部である端部123tを始点とすると、上方から見て導体パターン102aにより右回転しつつ、層間接続導体103により上方へと延伸する。したがって、積層コイルL1に通電した場合、第1コイル要素L11及び第2コイル要素L12の各々によって形成される磁界の方向は同一となる。
また、第1コイル要素L11と第2コイル要素L12とは磁気的に結合している。つまり、第1コイル要素L11と第2コイル要素L12との結合係数をkとすると、0<k≦1を満たす。このように、第1コイル要素L11と第2コイル要素L12とが磁気的に結合することにより、第1コイル要素L11のインダクタンスをL(1)、第2コイル要素L12のインダクタンスをL(2)、積層コイルL1のインダクタンスをL(total)とすると、L(total)≧L(1)+L(2)を満たす。
すなわち、第1コイル要素L11及び第2コイル要素Ll2は、互いに独立した2つのコイルではなく、1つのコイル(本実施の形態では積層コイルL1)の一部及び他部をなす。
また、第1積層基板10において導体パターン112bと導体パターン119bとを接続する層間接続導体103と、第2積層基板20において表面電極304bと導体パターン129とを接続する層間接続導体103とは、環状に形成された導体パターン102aの内側に配置されている。これにより、層間接続導体103が導体パターン102aの外側に配置されている場合と比較して、導体パターン102aの外径および内径を大きくすることができるため、積層コイルL1のコアに相当する部分(積層方向に見て導体パターン102aの内周で囲まれる領域)を大きくすることができる。よって、積層コイルL1のインダクタンスを大きくできる。
以上のように、本実施の形態に係る積層コイル部品1によれば、積層コイルL1の一部である第1コイル要素L11が形成された第1積層基板10と、当該積層コイルL1の他部である第2コイル要素Ll2が形成された第2積層基板20と、第1コイル要素L11と第2コイル要素Ll2とを直列に接続する導電性接合材30とを備え、第1積層基板10と第2積層基板20とは、導電性接合材30を挟んで積層方向に互いに離間して配置されている。
つまり、本実施の形態によれば、第1コイル要素L11は第1積層基板10に設けられ、第2コイル要素L12は当該第1積層基板10とは別体の第2積層基板20に設けられている。また、第2積層基板20は、離間距離h1の空隙40(ギャップ)をおいて第1積層基板10の一方の主面(本実施の形態では上面)に搭載され、第1コイル要素L11の一端と第2コイル要素の一端とは導電性接合材30を介して接続されている。
[積層コイル部品の製造方法]
次に、積層コイル部品1の製造方法について、図8を用いて説明する。図8は、本実施の形態に係る積層コイル部品1の製造方法を示す工程図である。
まず、図8(a)に示すように、第1積層基板10の各層となるセラミックグリーンシートを用意する。具体的には、磁性体セラミック粉末を含んだスラリーをシート成形することによって磁性体セラミックグリーンシート11G〜19Gを準備する。次いで、所定のセラミックグリーンシートにおいて、例えば、図5で示される配置に従って、特定の位置に貫通孔を形成し、前記貫通孔内に導体ペーストを充填して層間接続導体(ビアホール導体)を形成するとともに、主面上の特定の位置に導体ペーストを印刷して導体パターンや表面電極を形成する。貫通孔は、例えばレーザー加工により形成され、導体パターンや表面電極は、例えばAg粉末を含んだ導体ペーストのスクリーン印刷によりパターニングされ得る。
次いで、図8(b)に示すように、導体ペーストが配置された磁性体セラミックグリーンシート11G〜19Gを、位置合わせをして所定の順序で積層・圧着し、未焼成の積層体に一体化した後、例えば、大気のような酸化性雰囲気下において900℃で一括して焼成する。この焼成により、各グリーンシート中の磁性体セラミック粉末、非磁性体セラミック粉末が焼結するとともに、導体ペースト中のAg粉末が焼結する。焼成することにより、焼結したセラミック積層体であって第1コイル要素L11が形成された第1積層基板10を形成する(第1焼成工程)。すなわち、第1焼成工程では、導電性ペースト(第1導電性ペースト)が環状に配置された磁性体セラミック材料(第1セラミック材料)を含む複数の磁性体セラミックグリーンシート11G〜19G(第1セラミックグリーンシート)を積層して焼成することにより、積層コイルL1の一部である第1コイル要素L11が形成された第1積層基板10を形成する。
また、図8(c)に示すように、第2積層基板20の各層となるセラミックグリーンシートを用意する。具体的には、磁性体セラミック粉末を含んだスラリーをシート成形することによって磁性体セラミックグリーンシート21G〜29Gを準備する。次いで、所定のセラミックグリーンシートにおいて、例えば、図7で示される配置に従って、特定の位置に貫通孔を形成し、前記貫通孔内に導体ペーストを充填して層間接続導体(ビアホール導体)を形成するとともに、主面上の特定の位置に導体ペーストを印刷して導体パターンや表面電極を形成する。
次いで、図8(d)に示すように、導体ペーストが配置された磁性体セラミックグリーンシート21G〜29Gを、位置合わせをして所定の順序で積層・圧着し、未焼成の積層体に一体化した後、焼成することにより、第2コイル要素L12が形成された第2積層基板20を形成する(第2焼成工程)。すなわち、第2焼成工程では、導電性ペースト(第2導電性ペースト)が環状に配置された磁性体セラミック材料(第2セラミック材料)を含む複数の磁性体セラミックグリーンシート21G〜29G(第2セラミックグリーンシート)を積層して焼成することにより、積層コイルL1の他部である第2コイル要素L12が形成された第2積層基板20を形成する。
ここで、磁性体セラミックグリーンシート11G〜19G及び21G〜29Gは、磁性体セラミック材料の粉末に、バインダ、及び、例えばガラス成分等の焼結助剤等を加えてスラリー化し、これをシート状に成形したものである。これら磁性体セラミックグリーンシート11G〜19G及び21G〜29Gのうち、所定の磁性体セラミックグリーンシート(例えば、磁性体セラミックグリーンシート12G〜17G及び22G〜17G)には、導電性ペーストが環状に配置される。また、他の所定の磁性体セラミックグリーンシート(例えば、磁性体セラミックグリーンシート11G〜19G及び21G〜28G)には、貫通孔が設けられ、貫通孔内に導電性ペーストが充填される。
なお、磁性体セラミックグリーンシート11G〜19Gに含まれる磁性体セラミック材料(第1セラミック材料)の材質と、磁性体セラミックグリーンシート21G〜29Gに含まれる磁性体セラミック材料(第2セラミック材料)の材質とは、同じであっても異なっていてもかまわない。また、磁性体セラミックグリーンシート11G〜19Gに配置される導電性ペースト(第1導電性ペースト)の材質と、磁性体セラミックグリーンシート21G〜29Gに配置される導電性ペースト(第2導電性ペースト)の材質についても、同様である。
必要に応じて、焼成された第1積層基板10および第2積層基板20に露出している表面電極104a、104b、105a、105bにめっきが施される。具体的には、無電解めっきにより、ニッケル/金のめっき膜を形成する。
次に、図8(e)及び図8(f)に示すように、第1焼成工程及び第2焼成工程の後で、第1積層基板10と第2積層基板20とを導電性接合材30によって積層方向に接合するとともに、第1コイル要素L11と第2コイル要素L12とを接続する(接合工程)。
この接合工程は、例えば、リフロー方式による半田付け(ソルダリング)である。具体的には、第1積層基板の表面電極104a、104b上に、印刷によって半田ペーストを配置し、当該半田ペースト上に第2積層基板20の表面電極104a、104bが位置するように第2積層基板20を配置する。その後、半田ペーストを挟んだ第1積層基板10、第2積層基板20をリフローすることで、第1積層基板10と第2積層基板20とが接合されるとともに、第1コイル要素L11の一方の端部と第2コイル要素L12の一方の端部とが電気的に接続される。
このような製造方法により、上述した積層コイル部品1が製造される。つまり、積層コイルL1の一部である第1コイル要素L11が形成された第1積層基板10と、当該積層コイルL1の他部である第2積層基板20とは、導電性接合材30を挟んで積層方向に互いに離間して配置される。
[効果等]
次に、本実施の形態に係る積層コイル部品1の効果について、説明する。
上述したように、本実施の形態に係る積層コイル部品1によれ・BR>ホ、積層コイルL1の一部(本実施の形態では第1コイル要素L11)が形成された第1積層基板10と当該積層コイルL1の他部(本実施の形態では第2コイル要素L12)が形成された第2積層基板20とが離間して配置される。
これにより、本実施の形態に係る積層コイル部品1は良好な直流重畳特性を有することができる。図9は、本実施の形態に係る積層コイル部品1の効果を説明するための図であり、具体的には、本実施の形態に係る積層コイル部品1の直流重畳特性(図中の「空隙有り」)と、本実施の形態の比較例に係る積層コイル部品の直流重畳特性(図中の「空隙無し」)とが図示されている。
比較例に係る積層コイル部品は、本実施の形態に係る積層コイル部品1と比較して、積層コイルが形成された積層基板が一体に形成されていることにより、空隙40が形成されていない構成を有する。
図9に示すように、比較例に係る積層コイル部品によれば、直流電流が増加するにしたがって、インダクタンスが大きく低下する。これは、直流電流の増加によって、磁性体セラミック材料が磁気飽和することで引き起こされる透磁率の低下による。
これに対して、図9に示すように本実施の形態に係る積層コイル部品1によれば、比較例と比べて、直流電流の増加に伴うインダクタンスの低下が抑制される。つまり、本実施の形態に係る積層コイル部品1は、良好な直流重畳特性を有する。これは、第1積層基板10と第2積層基板20との間に空隙40が設けられていることにより、直流電流が増加した場合であっても、磁性体セラミック材料が磁気飽和しにくくなるため、透磁率の低下を抑制できるためである。
言い換えると、積層コイルL1は、当該積層コイルL1への通電によって第1積層基板10及び第2積層基板20の積層方向に磁路を形成する。本実施の形態では、当該磁路を横切るように空隙40が配置されることにより、直流電流の増加による磁気飽和を抑制できる。よって、良好な直流重畳特性を実現できる。
なお、第1積層基板10の上面と第2積層基板20の下面との離間距離h1が大きくなるほど直流重畳特性及びQ値は向上するが、初期インダクタンスは低下する。このため、当該離間距離h1は、積層コイルL1に求められる特性に応じて適宜設計されればよい。
また、本実施の形態によれば、第1積層基板10は、第2積層基板20と反対側に配置される第2表面電極(本実施の形態では、表面電極105a)を有する。第2の表面電極は、積層コイル部品1を他の基板に搭載するためのものである。
これにより、積層方向に直交する方向の両端部に第2表面電極が設けられた構成と比べて、実装時の半田フィレット等が発生しないため、積層コイル部品1の実装面積を縮小できる。また、当該構成と比べて、積層方向において隣り合う他の部材(例えば、シールド部材等)との間の空隙(ギャップ)を狭くすることができる。このように、本実施の形態によれば、積層コイル部品1が搭載される機器における部品間ギャップを狭くすることができるため、小型化が求められる機器に好適に搭載することができる。
また、本実施の形態によれば、積層コイル部品1の製造方法は、第1積層基板10を形成する第1焼成工程と、第2積層基板20を形成する第2焼成工程と、第1焼成工程及び第2焼成工程の後で、第1積層基板10と第2積層基板20とを導電性接合材30によって積層方向に接合する接合工程とを含む。
これにより、第1積層基板10と第2積層基板20とは、導電性接合材30を挟んで積層方向に互いに離間して配置されることとなる。つまり、第1積層基板10と第2積層基板20との間には、空隙40が形成される。このような別体の積層基板(第1積層基板10及び第2積層基板20)の間に形成された空隙40は、一体の積層基板の内部に形成される空隙と比べて非常に変形しにくいため、第1積層基板10と第2積層基板20との離間距離を維持することができる。例えば、空隙が形成されるべき位置に熱消失性ペーストを配置した複数のセラミックグリーンシートを重ねて焼成することにより、一体の積層基板の内部に形成される空隙は、焼成時に積層基板にかかる応力によって、変形する場合がある。この場合、積層コイルの直流重畳特性は改善しにくい。これに対して、本実施の形態によれば、第1積層基板10と第2積層基板20との離間距離を維持することができるので、良好な直流重畳特性を有する積層コイル部品1を製造できる。
(実施の形態1の変形例1)
次に、本発明の実施の形態1の変形例1について説明する。本変形例によれば、上記実施の形態1と比較してさらに、第1積層基板及び第2積層基板の互いに対向する一対の面に配置されたダミー電極によって、第1積層基板と第2積層基板とが接合される。以下、本変形例に係る積層コイル部品の構成について、図10〜図12を用いて説明する。
図10は、本変形例に係る積層コイル部品201の外観を模式的に示す斜視図である。また、図11は、本変形例における第1積層基板210の各磁性体層11〜19を分離して積層順に示す分解平面図である。また、図12は、本変形例における第2積層基板220の各磁性体層21〜29を分離して積層順に示す分解平面図である。
図10に示すように、本変形例では、導電性接合材230が7箇所に配置されている。この導電性接合材230は、図11に示す第1積層基板210の表面電極204a、204bと図12に示す第2積層基板220の表面電極204a、204bとを接合し、さらに、後述する少なくとも一対(本変形例では五対)のダミー電極204cを接合する。
具体的には、本変形例における第1積層基板210及び第2積層基板220は、実施の形態1における第1積層基板10及び第2積層基板20と比較して、さらに、互いに対向する一対の面において対向する位置に配置され、かつ、積層コイルL1と絶縁された少なくとも一対(本実施の形態では五対)のダミー電極204cを有する。つまり、第1積層基板210は対となるダミー電極204cの一方を有し、第2積層基板220は対となるダミー電極204cの他方を有する。
各対のダミー電極204cは、第1積層基板210及び第2積層基板220の互いに対向する一対の面において対向する位置に配置され、かつ、積層コイルL1と絶縁されている。具体的には、図11及び図12に示すように、本変形例では、各ダミー電極204cは、層間接続導体103が設けられていない位置に配置されている。すなわち、各ダミー電極204cは、第1積層基板210に形成された第1コイル要素L11、及び、第2積層基板220に形成された第2コイル要素L12のいずれとも電気的に接続されないため、積層コイルL1と絶縁されることとなる。
また、本変形例では、実施の形態1における一対の表面電極104a及び一対の表面電極104bに代えて、一対の表面電極204a及び一対の表面電極204bが設けられている。
表面電極204a、204bの各々は、実施の形態1における表面電極104a、104bの各々と比較して、平面視形状が小さい。例えば、実施の形態1における表面電極104a、104bは、Y軸方向の大きさが環状に形成された導体パターン102aのY軸方向外径と同程度であり、X軸方向の大きさが導体パターン102aのY軸方向外径の略1/4以上かつ略1/2以下であった。これに対し、本変形例における表面電極204a、204bは、X軸方向及びY軸方向の大きさが導体パターン102aの幅と同程度又はそれ以下となっている。
このように表面電極204a、204bの平面視形状を小さくすると、導電性接合材230が対となる表面電極204a、204bのみを接合する場合、第1積層基板210と第2積層基板220との接合強度が低くなる。そこで、本変形例における導電性接合材230は、さらに、対となるダミー電極204cを接合することにより、第1積層基板210と第2積層基板220とを接合する。これにより、表面電極204a、204bの平面視形状が小さい場合であっても、第1積層基板210と第2積層基板220との接合強度を維持することができる。
また、ダミー電極204cは、積層方向に見て、第1コイル要素L11又は第2コイル要素L12を形成する環状の導体パターン102aと重なる位置に配置されていてもかまわない。つまり、ダミー電極204cは、積層コイルL1のコアに相当する部分(積層方向に見て導体パターン102aの内周で囲まれる領域)と異なる位置に配置されていてもかまわない。
これにより、積層コイルL1のコアに相当する部分において、当該積層コイルL1によって形成される磁路を横切る導体の面積を低減することができる。よって、磁界が妨げられにくくなるので、積層コイルL1のインダクタンスを増加させることができる。
また、第1積層基板210及び第2積層基板220の各々に配置されたダミー電極(本変形例では5つのダミー電極204c)及び表面電極204aは、均等に配置されていてもかまわない。つまり、複数のダミー電極204c及び表面電極204aは、第1積層基板210の上面及び第2積層基板220の下面の各々において、周方向に沿って略等間隔に配置されていてもかまわないし、行列状に略等間隔に配置されていてもかまわない。
このような配置により、導電性接合材230との接合による第1積層基板210及び第2積層基板220の各々にかかる局所的な応力負荷を抑制することができるため、耐破壊性が向上する。
以上のような本変形例に係る積層コイル部品201によれば、上記実施の形態1と同様の効果を奏することができる。すなわち、積層コイルL1の一部(本変形例では第1コイル要素L11)が形成された第1積層基板210と当該積層コイルL1の他部(本変形例では第2コイル要素L12)が形成された第2積層基板220とが離間して配置されることにより、本変形例に係る積層コイル部品201は良好な直流重畳特性を有することができる。
また、本変形例に係る積層コイル部品201によれば、導電性接合材230によって少なくとも一対(本変形例では五対)のダミー電極204cが接合されることにより、第1積層基板210と第2積層基板220とを強固に接合することができる。つまり、耐破壊性が向上する。
なお、ダミー電極204cは、少なくとも一対設けられていればよく、例えば、一対であっても二対であってもかまわない。また、二対以上設けられたダミー電極204cのうち、少なくとも一対が導電性接合材230によって接合されていればよく、接合されていないダミー電極204cがあってもかまわない。
(実施の形態1の変形例2)
次に、本発明の実施の形態1の変形例2について説明する。上記実施の形態1では、第1積層基板10及び第2積層基板20の互いに対向する一対の面において対向する位置に配置された一対の表面電極104a(第1表面電極)が矩形状であるとした。これに対し、本変形例では、当該表面電極が環状に形成されている。以下、本変形例に係る積層コイル部品の構成について、図13〜図15を用いて説明する。
図13は、本変形例に係る積層コイル部品301の外観を模式的に示す斜視図である。また、図14は、本変形例における第1積層基板310の各磁性体層11〜19を分離して積層順に示す分解平面図である。また、図15は、本変形例における第2積層基板320の各磁性体層21〜29を分離して積層順に示す分解平面図である。
図13に示すように、本変形例に係る積層コイル部品301は、第1積層基板310と第2積層基板320とを接合する導電性接合材330を備える。この導電性接合材330は、図14に示す第1積層基板310の表面電極304a、304bと図15に示す第2積層基板320の表面電極304a、304bとを接合することにより、環状に形成された構造を含む。
具体的には、本変形例における第1積層基板310及び第2積層基板320の各々は、実施の形態1における第1積層基板10及び第2積層基板20と比較して、表面電極104a、104bに代わり、表面電極304a、304bを有する。
図14に示すように、第1積層基板310の表面電極304aは、積層方向に見て、第1コイル要素L11と略同一の内外径を有する略環状に形成されている。また、本変形例において、第1コイル要素L11は、導体パターン113の端部113t及び導体パターン117の端部117tを両端部として構成される。
また、図15に示すように、第2積層基板320の表面電極304aは、積層方向に見て、第2コイル要素L12と略同一の内外径を有する略環状に形成されている。また、本変形例において、第2コイル要素L12は、導体パターン125の端部125t及び導体パターン128の端部128tを両端部として構成される。
各々が略環状に形成された一対の表面電極304aは、これらを接合する導電性接合材330と併せて、1つの略環状構造(1つのループ)を形成する。このため、当該略環状構造は、積層コイルL1の一部であり、かつ、第1コイル要素L11と第2コイル要素L12とを接続する第3コイル要素を構成する。
ここで、例えば、第1コイル要素L11の巻回軸と第1積層基板310の表面電極304aが形成する環形状の中心とは、略同一である。また、例えば、第1コイル要素L11と当該表面電極304aとは、表面電極304aの切れ目部分以外において、積層方向に垂直な平面への投影形状が略同一である。また、第2コイル要素L12と第2積層基板320の表面電極304aとについても、同様である。
以上のような本変形例に係る積層コイル部品301によれば、上記実施の形態1と同様の効果を奏することができる。すなわち、積層コイルL1の一部(本変形例では第1コイル要素L11)が形成された第1積層基板310と当該積層コイルL1の他部(本変形例では第2コイル要素L12)が形成された第2積層基板320とが導電性接合材330によって離間して配置されることにより、本変形例に係る積層コイル部品301は良好な直流重畳特性を有することができる。
なお、本例では、第1積層基板側の環状の表面電極304aと第2積層基板側の環状の表面電極304aとをその表面全域にて接合した(表面電極304aと同形状の導電性接合材を介して接続した)が、第1積層基板側の表面電極304aおよび第2積層基板側の表面電極304aの少なくとも一方の表面に、表面電極304aの複数個所が露出するようにレジスト層(代表的にはソルダーレジスト層)を設け、露出した部分にのみ導電性接合材を設け、各積層基板の表面電極同士を接続してもよい。つまり、第1積層基板および第2積層基板は、環状にパターニングされた表面電極の一部分(好ましくは複数の部分)同士を接続してもよい。
(実施の形態1の変形例3)
次に、本発明の実施の形態1の変形例3について説明する。本変形例によれば、上記実施の形態1と比較してさらに、第1積層基板10と第2積層基板20とが離間して配置されることにより形成された空隙40に充填材が充填されている。以下、本変形例に係る積層コイル部品の構成について、図16を用いて説明する。
図16は、本変形例に係る積層コイル部品401の断面図である。具体的には、同図は、図1のII−II線に相当する本変形例に係る積層コイル部品401の断面図である。同図に示すように、本変形例に係る積層コイル部品401では、空隙40に充填材440が充填されている。
充填材440は、例えば、エポキシ樹脂を主剤としたコンポジットレジン等の液状硬化性樹脂である。
以上のような本変形例に係る積層コイル部品401によれば、上記実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
また、充填材440を設けることにより、導電性接合材30、及び、当該導電性接合材30による接合部分を保護することができるため、積層コイル部品401の全体的な強度を向上することができる。
(実施の形態1の変形例4)
次に、本発明の実施の形態1の変形例4について説明する。積層コイル部品は、各々に積層コイルL1の一部分が形成された3以上の積層基板を備えていてもよく、本変形例に係る積層コイル部品は、3つの積層基板を備える。以下、本変形例に係る積層コイル部品の構成について、図17を用いて説明する。図17は、本変形例に係る積層コイル部品501の断面図である。
図17に示すように、本変形例に係る積層コイル部品501は、積層方向に並んで配置された、積層基板510、520、530を備える。なお、積層基板510、520、530は、実施の形態1における第1積層基板10及び第2積層基板20とほぼ同様の構成を有しているため、詳細な構成について、以下では簡略化または省略して説明を行う。
積層コイル部品501に形成された積層コイルL5は、積層基板510に形成された第1コイル要素L51と、積層基板520に形成された第2コイル要素L52と、積層基板530に形成された第3コイル要素L53とを含む。つまり、積層基板510、520、530の各々には、積層コイルL5の互いに異なる部分(本変形例ではコイル要素L51〜L53)が形成されている。
導電性接合材30は、積層基板510と積層基板520と、および積層基板520と積層基板530とを接合するとともに、各コイル要素L51〜L53を接続する。
これにより、積層基板510の上面(Z軸方向プラス側の面)と積層基板520の下面との間には、離間距離h51の空隙541が形成されている。また、積層基板520の上面と積層基板530の下面との間には、離間距離h52の空隙542が形成されている。つまり、積層コイル部品501全体では、離間距離h51+h52の空隙が形成されていることとなる。
また、本変形例では、上記実施の形態1の変形例3と同様、空隙541、542に充填材440が充填されている。なお、この充填材440は無くてもかまわない。
以上のような本変形例に係る積層コイル部品501によれば、上記実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
また、本変形例に係る積層コイル部品501は、第1コイル要素が形成された第1積層基板(本変形例ではコイル要素L51が形成された積層基板510)、及び、第2コイル要素が形成された第2積層基板(本変形例ではコイル要素L52が形成された積層基板520)とは異なる追加積層基板であって、第1コイル要素及び第2コイル要素とは異なるコイル要素が形成された追加積層基板(本変形例ではコイル要素L53が形成された積層基板530)を少なくとも1つ備える。また、本変形例において、導電性接合材30は、第1積層基板、第2積層基板及び追加積層基板のうち積層方向に隣り合う積層基板同士を接合するとともに、積層コイルの互いに異なる部分を接続する。また、さらに、第1積層基板、第2積層基板及び追加積層基板は、導電性接合材30を挟んで積層方向に離間して配置されている。
すなわち、本変形例に係る積層コイル部品501は、各々に積層コイルL5の互いに異なる部分(本変形例ではコイル要素L51〜L53)が形成された3以上の積層基板(本変形例では3つの積層基板510、520、530)を備える。また、本変形例において、導電性接合材30は、3以上の積層基板のうち積層方向に隣り合う積層基板同士を接合するとともに、積層コイルの互いに異なる部分を、例えば直列に接続する。また、さらに、3以上の積層基板の各々と当該積層基板に隣り合う積層基板とは、導電性接合材30を挟んで積層方向に離間して配置されている。
これにより、積層コイル部品501には、積層コイルL5への通電によって形成される磁路を横切るような空隙が複数配置されることとなる。
ここで、各空隙の大きさは、導電性接合材の厚み(例えば、10〜20μm)と表面電極の厚み(例えば、数μm)との合計で規定されるが、これらの厚みは、例えば製造条件及び材料等によって所定値となっている場合がある。この場合、積層コイル部品501全体に設けられる空隙を大きくするためには、空隙をより多く設ける必要がある。
そこで、積層コイル部品501がn個の積層基板(nは3以上の整数)を備えることにより、積層コイル部品501全体でn−1個の空隙を設けることができる。つまり、積層コイル部品501全体で捉えると、積層コイルL5への通電によって形成される磁路を横切るような空隙をより大きくできる。
言い換えると、積層基板の数を増減して空隙の数を増減することで、積層コイル部品501全体の空隙の大きさを調整することができる。したがって、積層コイル部品501全体の空隙を、例えば、要求される直流重畳特性と、直流重畳特性の向上に伴って低下する初期インダクタンスとのバランスが考慮された所望の大きさにすることができる。
なお、積層コイル部品501は、3つ以上の積層基板を備えればよく、例えば、4つの積層基板を備えても、5つの積層基板を備えてもかまわない。つまり、積層コイル部品501は、少なくとも1つの追加積層基板を備えればよい。
(実施の形態2)
上述したような積層コイル部品は、DC−DCコンバータモジュールに用いることができる。以下、実施の形態2において、上述の積層コイル部品を備えるDC−DCコンバータモジュールについて、図18〜図21を用いて説明する。
図18は、本実施の形態に係るDC−DCコンバータモジュール8の外観を模式的に示す斜視図である。また、図19は、本実施の形態に係るDC−DCコンバータモジュール8の各構成を分解して示す分解斜視図である。また、図20は、図18のXX−XX線における本実施の形態に係るDC−DCコンバータモジュール8の断面図である。また、図21は、本実施の形態に係るDC−DCコンバータモジュール8によって形成されるDC−DCコンバータ回路の回路図である。なお、図20において、DC−DCコンバータモジュール8のうち積層コイル部品801以外の各構成要素については、側面図で示している。
図18及び図19に示すように、DC−DCコンバータモジュール8は、積層コイル部品801の一方主面にスイッチングICチップ802およびチップコンデンサ803、804を実装して構成される。DC−DCコンバータモジュール8は、下面に設けられた電極Vin、Voutを介して、入力電圧Vinを受け取り安定化された出力電圧Voutに変換して外部回路に供給する。
DC−DCコンバータモジュール8において、スイッチングICチップ802およびチップコンデンサ803、804が、積層コイル部品801に形成される導体で接続されることにより、図21に示されるようなDC−DCコンバータ回路が形成される。
積層コイル部品801は、例えば、上記実施の形態1における積層コイル部品1に相当する構成を有し、第1コイル要素L11が形成された第1積層基板810と第2コイル要素L12が形成された第2積層基板820とが導電性接合材30を挟んで互いに離間して配置されている。なお、積層コイル部品801は、上記実施の形態1の各変形例における積層コイル部品に相当する構成を有してもかまわない。
積層コイル部品801は、上記実施の形態1における積層コイル部品1と比較して、スイッチングICチップ802及びチップコンデンサ803、804等を実装するために表面電極105a、105bの配置等が厳密には異なるものの、ほぼ同様の構成を有するため、詳細な説明については簡略化する。
積層コイル部品801は、入力電圧Vinが入力される表面電極、及び、出力電圧Voutが出力される表面電極の各々に接続された層間接続導体813を有する。図20に示すように、層間接続導体813は複数の磁性体層が積層された基板本体101を貫通している。よって、当該層間接続導体813はフェライトビーズLin、Loutとして機能するため、電磁ノイズの伝導を抑制することができる。
次に、本実施の形態に係るDC−DCコンバータモジュール8の効果について、説明する。
上述したように、本実施の形態に係るDC−DCコンバータモジュール8は、積層コイル部品801と、積層コイル部品801に実装され、積層コイルL1と接続されるスイッチングICチップ802とを備える。
このようなDC−DCコンバータモジュール8によれば、良好な直流重畳特性を有する積層コイルL1を備えるため、許容電流が増大する。つまり、本実施の形態によれば、大電流化に対応できるDC−DCコンバータモジュール8を実現できる。
また、DC−DCコンバータモジュール8では、スイッチングICチップ802と積層コイルL1とを接続する配線は、DC−DCコンバータ回路のスイッチング周波数での高周波電流が流れることから、電磁ノイズの発生源になり得る。
そこで、本実施の形態では、スイッチングICチップ802を積層コイル部品801に実装することにより、電磁ノイズの発生源になり得る配線を、図20のX部に示す層間接続導体103によって形成することができる。つまり、スイッチングICチップ802と積層コイル部品801とを別基板に対して並べる場合と比較して、電磁ノイズの発生源になり得る配線を非常に短くすることができる。このため、電磁ノイズが小さいDC−DCコンバータモジュール8を実現できる。
(実施の形態2の変形例)
次に、本発明の実施の形態2の変形例について説明する。本変形例に係るDC−DCコンバータモジュールは、マルチフェーズ出力に対応する。以下、本変形例に係るDC−DCコンバータモジュールの構成について、図22〜図24を用いて説明する。
図22は、本変形例に係るDC−DCコンバータモジュール9の外観を模式的に示す斜視図である。また、図23は、図22のXXIII−XXIII線における本変形例に係るDC−DCコンバータモジュール9の断面図である。また、図24は、本変形例に係るDC−DCコンバータモジュール9によって形成されるDC−DCコンバータ回路の回路図である。なお、図23において、DC−DCコンバータモジュール9のうち積層コイル部品901以外の各構成要素については、側面図で示している。
図22及び図23に示すように、DC−DCコンバータモジュール9は、積層コイル部品901の一方主面にスイッチングICチップ902およびチップコンデンサ903A、903B、904A、904Bを実装して構成される。DC−DCコンバータモジュール9は、下面に設けられた電極を介して、入力電圧Vin_Aを受け取り安定化された出力電圧Vout_Aに変換して外部回路に供給する。またDC−DCコンバータモジュール9は、さらに、下面に設けられた電極を介して、入力電圧Vin_Bを受け取り安定化された出力電圧Vout_Bに変換して外部回路に供給する。つまり、本変形例に係るDC−DCコンバータモジュール9は、出力電圧Vout_Aと、当該出力直流電力Vout_Aと独立な出力電圧out_Bを出力できる、マルチフェーズ出力に対応する。なお、入力電圧Vin_Aと入力電圧Vin_Bには、共通の入力電圧が入力されても構わない。
DC−DCコンバータモジュール9において、スイッチングICチップ902およびチップコンデンサ903A、903B、904A、904Bが、積層コイル部品901に形成される導体で接続されることにより、図24に示されるようなDC−DCコンバータ回路が形成される。
積層コイル部品901は、例えば、上記実施の形態1における積層コイル部品1に相当する構成を有し、一の積層コイルL9Aの一部が形成された第1積層基板910と当該一の積層コイルL9Aの他部が形成された第2積層基板920とが導電性接合材30を挟んで互いに離間して配置されている。なお、積層コイル部品901は、上記実施の形態1の各変形例における積層コイル部品に相当する構成を有してもかまわない。
また、積層コイル部品901は、一の積層コイルL9Aと異なる他の積層コイルL9Bを有する。具体的には、積層コイルL9Bは、第1積層基板910に形成されている。積層コイルL9Bは、積層コイルL9Aと同様、層間接続導体(不図示)によって直列に接続された複数の環状の導体パターン902aを有する。例えば、積層コイルL9Bは、積層方向に見て、内側に配置された導体パターン902aと外側に配置された導体パターン902aとを含み、二重の螺旋形状に形成されている。
スイッチングICチップ902は、2つのスイッチングICチップ(第1スイッチングICチップ及び第2スイッチングICチップ)が1チップ化された構成を有し、一方のスイッチングICチップの機能を実現する専用回路が積層コイルL9Aと接続され、他方のスイッチングICチップの機能を実現する専用回路が積層コイルL9Bと接続されている。
なお、DC−DCコンバータモジュール9は、スイッチングICチップ902に代わり、積層コイルL9Aと接続されるスイッチングICチップ(第1スイッチングICチップ)と、積層コイルL9Bと接続されるスイッチングICチップ(第2スイッチングICチップ)とを個別に備えていてもかまわない。
図22及び図23に示すように、スイッチングICチップ902は、第1積層基板910の第2積層基板920と対向する面のうち、第2積層基板920と対向しない位置に配置されている。つまり、スイッチングICチップ902は、第1積層基板910の第2積層基板920が搭載されている主面(本変形例では上面)に搭載されている。
以上のような本変形例に係るDC−DCコンバータモジュール9によれば、良好な直流重畳特性を有する積層コイルL9Aを備えるため、マルチフェーズ対応のDC−DCコンバータモジュールであっても大電流化に対応できる。
また、スイッチングICチップ902が第1積層基板910の第2積層基板920と対向する面のうち、第2積層基板920と対向しない位置に配置されていることにより、DC−DCコンバータモジュール9の全体の高さを抑えることができる。つまり、本変形例によれば、大電流化及びマルチフェーズ化に対応できる低背なDC−DCコンバータモジュール9を実現できる。
(その他の実施の形態)
以上、本発明の実施の形態に係る積層コイル部品及びDC−DCコンバータモジュールについて説明したが、本発明は、個々の実施の形態及び変形例には限定されない。例えば、上記実施の形態に次のような変形を施した態様も、本発明に含まれ得る。
図25は、その他の実施の形態に係る積層コイル部品1Aの断面図である。具体的には、同図は、図1のII−II線に相当する本実施の形態に係る積層コイル部品1Aの断面図である。
同図に示すように、積層コイル部品1Aは、基板本体101を備える第1積層基板10及び第2積層基板20を、基板本体101Aを備える第1積層基板10A及び第2積層基板20Aに置き換えて構成される。基板本体101Aは、基板本体101と比べて、一方の主面側の層を磁性体層から非磁性体層101aに置き換えて構成される。具体的には、第1積層基板10Aは最下層に非磁性体層101aを有し、第2積層基板20Aは最上層に非磁性体層101aを有する。つまり、積層コイル部品1Aは、両側表層に非磁性体層101aが配置されている。
一般的に、非磁性体層は磁性体層と比べて機械的な強度が大きいため、積層コイル部品1Aの両側表層に非磁性体層101aを設けることにより、積層コイル部品1Aの全体的な強度を向上することができる。
なお、本発明では、多層基板の各層の厚みや形状、導体及び空隙の位置や大きさなどの各種の寸法値は、特には限定されない。また、多層基板の各層を構成するセラミック材料の成分及び成分の配合比、透磁率などの物性値、多層基板内の導体等に用いられる材料の成分及び成分の配合比、導電率などの物性値も特には限定されない。これらの数値は、積層コイル部品に要求される直流重畳特性や定格容量などの各種の電気的特性を勘案して適宜決定されるものとする。