JP6236785B2 - アリールアミン化合物、有機el用材料およびその製造方法 - Google Patents
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Description
前者は成膜のために真空蒸着装置を必要とするため、製造コストが高い、大画面基板に適用できない、量産に難がある等の欠点を有している。一方、後者は、塗布液を基板に塗布し、次いで塗布液中の溶媒を除去することによって容易に成膜をおこなえるので、製造工程が簡単となり、低コストで製造できる。
塗布法にて有機EL材料の薄膜を成膜するにあたっては、有機EL材料を溶液に溶解させる必要があるところ、高分子有機EL材料を溶媒に溶解させた塗布用組成物が一般に知られている。
溶媒としては、トルエン、キシレン、テトラリン、メシチレン、シクロへキシルベンゼンなどが用いられる。
低分子有機EL材料を塗布で製膜するに当たって、任意の有機EL低分子材料を溶媒に溶解させようとする場合、溶解性の低さが問題となる。所定量以上(例えば0.5〜1.0wt%程度)の溶解度が無いと好適に塗布法を適用できないが、従来公知の低分子有機EL材料の溶解度はそれ以下であるものが多かった。
溶解性の向上のために、溶解性基を導入する方法、分子自体の対称性を下げる方法が主に行われている。(例えば特許文献1の特開2008−166629号公報)前者においては、アルキル鎖等の溶解基が存在するため、相転位の問題が生じ、熱安定性、経時安定性に優れた材料は見出すことができなかった。後者においては、非対称構造や折れ曲がり構造あるいは、全体として嵩高い構造を取る必要があるため、特性の向上を本質的に追及した分子設計が行えないというところに難点があった。
このように、溶解性と分子設計への展開性を両立した方法はこれまで見出せていない。
このような積層化における問題点を解決するために、特許文献2の特許第4761006号公報、特許文献3の特表2004−505169号公報、特許文献4の国際公開第2008/038747号パンフレット、特許文献5の国際公開第2005/053056号パンフレット)では、架橋性基を有する高分子化合物が提案され、架橋性基が反応することによって有機溶剤に不溶にする積層化方法が開示されているが、架橋重合に伴う体積変化等の要因により、平滑な膜が形成できない場合や素子の耐久性に問題があるという課題があった。
ところで、我々は上記の様な縮合芳香族化合物の可溶化手段として、脱離可能な溶解性置換基を付与する前駆体方式を提案している。(例えば特許文献6の特開2011−213705号公報、特許文献7の特願2011−086973号明細書)
それにおいては、複数の前駆体材料が挙げられているが、これは結晶性、キャリア移動度を追求した設計となっており、本発明における有機E材料として特に好適な特性を示すアモルファス性の膜を与えるアリールアミン化合物などは具体的に開示されていない。
加えて、脱離前後での溶解性を変化させることが可能であることを課題とする。
[1]下記一般式(1−1)または(1−2)で示される部分構造を含むことを特徴とするアリールアミン化合物。
[2]前記、一般式(1−1)および(1−2)中、脱離性置換基XまたはY、(X1とX2)または(Y1とY2)が、置換されていてもよい炭素数1以上の、[エーテル基またはアシルオキシ基]であり、他方は水素原子であることを特徴とする前記[1]項に記載のアリールアミン化合物。
[3]前記アリールアミン化合物はトリアリールアミン化合物であることを特徴とする前記[1]項又は[2]項に記載のアリールアミン化合物。
[4]前記一般式(1−1)および(1−2)の構造部分が、隣接するアリール環の炭素原子又は窒素原子に結合する結合手を有するシクロヘキサジエニル基[下記一般式(1−11)]、シクロへキセニル基[下記一般式(1−21)]、ベンゾシクロヘキセニル基[下記一般式(1−12)若しくは(1−13)]、ベンゾシクロヘキサジエニル基[下記一般式(1−22)]、インドリノ[2,3]シクロへキセニル基[下記一般式(1−14)、(1−15)若しくは(1−16)]、又はインドリノ[2,3]ヘキサジエ二ル基[下記一般式(1−23)、(1−24)若しくは(1−25)]から選ばれる芳香族基であり、これらそれぞれの基のシクロへキセニル環部分又はシクロヘキサジエ二ル環部分は、1つ又は2つのエーテル基またはアシルオキシ基で置換されたものであり、前記Q1乃至Q6のうちのQ1とQ2の対、Q2とQ3対、Q3とQ4の対又はQ4とQ5の対のうち1つ又は2つの対は、それぞれ結合して多縮合アリール環を形成していてもよいものであることを特徴とする[2]項又は[3]項に記載のアリールアミン化合物。
[6]溶媒と前記[1]項乃至[4]項のいずれかに記載のアリールアミン化合物を少なくとも含有する、有機エレクトロルミネッセンス材料インク。
[7]前記[6]項に記載のインクを用いて製膜された膜に、外部刺激を与えて脱離成分を脱離し、前記脱離性置換基を脱離し、二重結合を形成する工程を特徴とするアリールアミン化合物含有膜の製造方法。
[8]前記[1]項乃至[4]項のいずれかに記載のアリールアミン化合物に外部刺激を与えて、前記脱離性置換基を脱離し、二重結合を形成する工程を特徴とするアリールアミン化合物の製造方法。
前述のように本発明におけるアリールアミン化合物は、下記一般式(1−1)または(1−2)で示される部分構造を有することが特徴である。
これら置換基は窒素原子にQ1乃至Q6の位置で直接結合していても良いし、Q1乃至Q6部で他の原子や環を介して結合していても良い。
次に、前記一般式(1−1)または(1−2)で表される部分構造を有する基について説明する。
このシクロヘキセン骨格あるいはシクロヘキサジエン骨格と脱離性置換基からなる構造の所謂、溶解性置換基部分が剛直ではなくまた立体的に嵩高いために結晶性が悪く、このような構造を有する分子は溶解性が良好であり、且つ置換基脱離化合物を溶解した溶液を用いて塗布した際に、結晶性の低い、あるいは無定形の膜が得られやすい性質を有する。
上記、置換されていても良い炭素数1以上のエーテル基としては、炭素数1以上の置換されていても良い直鎖または環状の脂肪族アルコールおよび炭素数4以上の芳香族アルコール等、アルコール由来のエーテル基、オルガノシロキサン由来のエーテル基等が挙げられる。また、前記エーテル中の酸素原子が硫黄原子に置き換わったチオエーテル基も含めることができる。前記エーテル基の炭素数としては、溶解性、脱離成分の沸点等各種の影響を考慮して、普通C1〜C38、好ましくはC2〜C22、更に好ましくはC3〜C18である。
具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、ピバロイル基、ペントキシ基、ヘキシロキシ基、ラウリロキシ基、トリフルオロメトキシ基、3,3,3−トリフルオロプロポキシ基、ペンタフルオロプロポキシ基、シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロヘキシロキシ基、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジフェニルシリルオキシ基等が挙げられ、エーテル結合部位の酸素を硫黄に置き換えた対応するチオエーテル類も同様に含まれる。
具体的には、例えば、ホルミルオキシ基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、ラウロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ、3,3,3−トリフルオロプロピオニルオキシ、ペンタフルオロプロピオニルオキシ、シクロプロパノイルオキシ、シクロブタノイルオキシ、シクロヘキサノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
加えて、上記例示したアシルオキシ基のカルボニル基とアルキル基あるいはアリール基の間に酸素原子または硫黄原子を挿入した、炭酸ハーフエステル由来の炭酸エステルも挙げることができる。加えて、エーテル結合部位およびカルボニル部位の酸素の一つ以上を硫黄に置き換えた対応するアシルチオオキシ類、チオアシルオキシ類も同様に含まれる。
例えば、脱離性基として、置換または無置換の炭素数1以上のエーテル基およびアシルオキシ基に代えて炭素数1以上の置換されていてもよいスルホニルオキシ基、を導入することもできる。
尚、上記置換されていてもよいスルホニルオキシ基としては、炭素数1以上の直鎖または環状の脂肪族スルホン酸、炭素数4以上の芳香族スルホン酸等、スルホン酸由来のスルホニルオキシ基が挙げられる。具体的には、例えば、メチルスルホニルオキシ基、エチルスルホニルオキシ基、イソプロピルスルホニルオキシ基、ピバロイルスルホニルオキシ基、ペンタノイルスルホニルオキシ基、ヘキサノイルスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、3,3,3−トリフルオロプロピオニルスルホニルオキシ基、フェニルスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基等が挙げられ、エーテル部位の酸素原子が硫黄原子に置き換わったスルホニルチオオキシ基も同様に含むことができる。前記スルホニルオキシ基の炭素数としては、溶解性、脱離成分の沸点等各種の影響を考慮して、普通C1〜C38、好ましくはC2〜C22、更に好ましくはC3〜C18である。
これらの例としては、アルキル基[好ましくは置換または無置換の炭素数1以上のアルキル基[例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデカン基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、3,7−ジメチルオクチル基、2−エチルヘキシル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロオクチル基、トリフルオロドデシル基、トリフルオロオクタデシル基、2−シアノエチル基、シクロアルキル基(好ましくは置換または無置換の炭素数3以上のアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、ペンタフルオロシクロヘキシル基)、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基]が挙げられる。
以下に説明する他の有機基においても、アルキル基は上記概念のアルキル基を示す。
該環の結合、縮環形式の一例としては一般式(1−2)から派生した構造を例にとって、下記I−(1)〜I−(42)に示すような構造が挙げられる。(1−1)から派生した構造も同様の範囲が可能である。
(i):1つ以上の前記アリール基およびヘテロアリール基、または前記環同士が縮環された化合物残基。
(ii):(i)の環同士が共有結合を介して連結された化合物残基。
ここでの共有結合とは、炭素−炭素単結合、炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合、オキシエーテル結合、チオエーテル結合、アミド結合、エステル結合などが挙げられるが、好ましくは前記単結合、二重結合、三重結合のいずれかである。
前記、溶解性置換基(脱離性置換基を含む特定構造の置換基)は、脱離性置換基を脱離して、その構造を変換することが可能であることが特徴である。
すなわち、下記式に示されるように、溶解性置換基(IaまたはIb)から、脱離性置換基と水素原子で構成されるXおよびYまたは(X1,X2)および(Y1,Y2)を、化合物X−Y(IIIa)または化合物X1−Y1(IIIb1)および化合物X2−Y2(IIIb2)の形で脱離して、対応するベンゼン構造(II)へと変換される。
このために付与(印加)するエネルギーとしては、熱、光、電磁波が挙げられるが、反応性および収率、後処理の観点から、熱エネルギーあるいは光エネルギーが望ましく、特に熱エネルギーが好ましい。また、酸または塩基の存在下で上記エネルギーを印加してもよい。脱離反応を行なうための加熱の方法には、支持体上で加熱する方法、オーブン内で加熱する方法、マイクロ波の照射による方法、レーザーを用いて光を熱に変換して加熱する方法、光熱変換層を用いる等種々の方法を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
また、応用例として有機ELの活性層として用いる場合、加熱温度が脱離基を脱離した後の構造に対応するアリールアミン化合物のガラス転移点や融点よりも高いと結晶化や溶融が生じるため、アモルファス性の膜を得るには、これらの温度より低いことが特に好ましい。この場合、好ましくは30℃〜250℃、より好ましくは40℃〜250℃、最も好ましくは60℃〜150℃である。しかしながら、ガラス転移点を超える加熱処理をしたからといって本発明のアリールアミン化合物は、対応する化合物(すなわち脱離基を脱離し、二重結合を形成した分子構造)の膜をそのまま加熱した場合と同様の結晶化挙動を見せるわけではない。理由は定かではないが、熱変換による膜はアモルファス状態を維持していることが多くの場合見られる。
上記加熱の時間については、高温であるほど反応時間は短く、低温であるほど脱離反応に必要な時間は長くなる。また、脱離基を有するアリールアミン化合物の反応性、量にもよるが、通常0.5分〜120分、好ましくは1分〜60分、特に好ましくは1分〜30分である。
上記、酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸、蟻酸、リン酸等、2−ブチルオクタン酸等を用いることができる。
光酸発生剤としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩等のイオン性発生剤とイオン性光酸発生剤イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジスルホニルジアゾメタン、ニトロベンジルスルホネート等の非イオン性発生剤を用いることができる。
また、塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩、トリエチルアミン、ピリジン等のアミン類、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン等のアミジン類などを用いることができる。
また、光塩基発生剤としては、カルバマート類、アシルオキシム類、アンモニウム塩等を用いることができる。
中でも揮発性の酸または塩基の雰囲気中に行うのが、反応後の酸塩基の系外への除去の容易さを考えると好ましい。
前記アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール基、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、tertブチルアルコール、ペンタノール、ヘキサノール、トリフルオロメタノール、3,3,3−トリフルオロプロパノール、3,3,3−トリフルオロプロポキシ基、ペンタフルオロプロパノール、シクロプロパノール、シクロブタノール、シクロヘキサノール、トリメチルシラノール、トリエチルシラノール、tert−ブチルジメチルシリラノール、tert−ブチルジフェニルシラノール等が挙げられ、エーテル結合部位の酸素を硫黄に置き換えた対応するチオール類も同様に含まれる。
前記カルボン酸としては、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、トリフルオロ酢酸、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸、ペンタフルオロプロピオン酸、シクロプロパン酸、シクロブタン酸、シクロヘキサン酸、安息香酸、p−メトキシ安息香酸、ペンタフルオロ安息香酸などが挙げられ、エーテル結合部位の酸素を硫黄に置き換えた対応するチオカルボン酸類も同様に含まれる。脱離成分の安定性によっては、熱エネルギー等によりさらに分解することが見られる。より沸点の低い構造となるため、脱離成分の除去には有利に働く。
また、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒も溶媒として用いられる。
また、ブチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン、ブチルベンゼン、ドデシルベンゼンなどの直鎖または分岐アルキル基を有しても良い炭素数4以上のアルキル置換芳香族系溶媒も粘度調整液として用いられる。ここで、粘度調整液としてアルコール系溶液とするとアルコール系は水を吸いやすいことから溶液の保存管理に注意を要するところ、粘度調整液として炭素数4以上のアルキル置換芳香族系溶液とすると疎水性であるので保管が簡便であるという利点がある。
また、炭素数4以上のアルキル置換芳香族系溶液であれば、アルキル基の構造を変化させる(例えばアルキル鎖を長くする)ことにより粘度調整が可能であるという利点がある。
また、アルコール系溶液は粘度が高いので、高い溶液粘度を必要とする成膜プロセス(例えばインクジェット法)に適した溶液を調整する際に好適である。
また、粘度調整液としてアルコール系溶液、ケトン系溶液、パラフィン系溶液および炭素数4以上のアルキル置換芳香族系溶液のうちから選択した溶液を加えると、有機EL材料含有溶液の粘度を増加させて各種の塗布手段(インクジェット、ノズルプリント、スピンコート)に適した粘度に調整することができる。
なお、溶媒は、芳香族系溶媒、ハロゲン系溶媒およびエーテル系溶媒のうちから選択される少なくとも一つであり、2つ以上を混合してもよいことはもちろんである。
同様に、粘度調整液も、アルコール系溶液、ケトン系溶液、パラフィン系溶液および炭素数4以上のアルキル置換芳香族系溶液のうちから選択される少なくとも一つであり、2つ以上を混合してもよいことはもちろんである。
本発明のアリールアミン化合物は有機EL材料として好適である。以下に、その応用例としての有機EL素子について説明する。
図1(a)に示す有機EL素子(8)は、基板(1)の上に、陽極(2)、発光層(4)および陰極(7)が積層されている。
陽極(2)および陰極(7)には、それぞれ導線(図示せず)が接続されており、導線の他端は電源(図示せず)に接続されている。
図1(b)に示す有機EL素子(8)は、陽極(2)と発光層(4)の間に正孔輸送層(3)が積層されている以外は図1(a)と同様である。図1(c)に示す有機EL素子(8)は、発光層(4)と陰極(7)の間に電子輸送層(6)が積層されている以外は図1と同様である。図1(d)に示す有機EL素子(8)は、基板(1)の上に、陽極(2)、正孔輸送層(3)、発光層(4)、電子輸送層(6)および陰極(7)が積層されている。
図1(e)に示す有機EL素子(8)は、基板(1)の上に、陽極(2)、正孔輸送層(3)、発光層(4)、励起子阻止層(5)、電子輸送層(6)および陰極(7)が積層されている。
図1に示した有機EL素子の基板は、有機EL素子に一般的に使用されるものを使用することができ、特に制限されるものではないが、表面平滑性、防水性等に優れたガラス基板、シリコン基板およびプラスチック基板が好ましい。
陽極(2)は特に限定されないが、陽極の役割は正孔を正孔輸送層などの有機層に注入することであり、仕事関数が大きいものが好ましい。陽極材料としてはニッケル、金、白金、パラジウムやこれらの合金、或いは酸化スズ(SnO2)、アクセプター性不純物を含んだ酸化亜鉛(ZnO2)、沃化銅などの仕事関数の大きな金属やそれらの合金、化合物、更には、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール等の導電性ポリマーなどを用いることができる。陽極(2)に用いることができる透明導電材料としては、例えば、導電性、光透過性、エッチング加工性等を考慮し、インジウムスズ酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)により形成された透明電極等を好適に使用することができる。その他、インジウム亜鉛酸化物(IZO:In2O3−ZnO)等もあげることができる。また例えば、銀電極など反射電極上に上記透明導電材料を積層した構造を用いても良い。さらに、膜厚は、材料にもよるが、通常10nm〜1μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。
この中では、ジスチリルアリーレン誘導体を好ましく用いることができ、この誘導体の例として、ジフェニルアミノビニルアリーレンを挙げることができる。また、リン光材料としては、イリジウム錯体を好適に使用することができる。イリジウム錯体としては、例えば、緑色の発光色を得ることができるIr(ppy)3、赤色の発光色を得ることができるBtp2Ir(acac)、青色の発光色を得ることができるFIrpicを挙げることができる。
また、本発明のアリールアミン化合物も上記と同様に好適に用いることができる。
例えば、正孔輸送層にルブレンをドーピングすることによってルブレンから発光が観測され、素子の発光効率が向上する。また、キャリア輸送層、注入層へのドーピングにより、素子の長寿命化、耐久性の向上等の効果を得ることができる。
[化合物中間体の合成1]
滴下終了後、そのままの温度で1時間攪拌し、ヨウ化カリウム水溶液(13.0g,78.36mmol in Water 50mL)を一度に加え、氷浴を外し3時間攪拌し、その後60℃で窒素の発生が収まるまで1時間加熱した。
室温まで冷却した後、反応溶液をジエチルエーテルで3回抽出した。有機層を5%チオ硫酸ナトリウム水溶液(100mL×3回)で洗浄し、さらに飽和食塩水(100mL×2回)で洗浄した。さらに、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾液を濃縮することで赤色のオイルを得た。
これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン)にて精製することにより、無色のオイルとして化合物1を得た。(収量 12.0g,収率 71.2%)
以下に化合物1の分析結果を示す。
1H NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δ):1.73−1.81(m,4H),2.70(quint,4H,J=4.85Hz),6.80(d,1H,J=8.0Hz),7.38(dd,1H,J1=8.0Hz J2=1.75Hz),7.41(s,1H)
質量分析(GC−MS):m/z=258(M+)(実測値);258.099(分子量理論値)
J.Org.Chem.1999,64,9365−9373に記載の方法を応用して、目的化合物2の合成を行なった。
これ以上精製することなく次の反応に用いた。
以下に化合物2の分析結果を示す。
1H NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δ):2.31−2.41(m,2H),2.70−2.79(m,2H),5.65(t,2H,J=2.0Hz),7.24−7.28(m,2H),7.31−7.34(m,2H)
質量分析(GC−MS):m/z=416(100.0%),414(51.4%),418(48.6%)(実測値);415.891(分子量理論値)
質量分析(GC−MS):m/z=416(100.0%),414(51.4%),418(48.6%)(実測値);415.891(分子量理論値)以上の分析結果より、合成した物が化合物3の構造と矛盾がないことを確認した。
以下に化合物4の分析結果を示す。
1H NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δ):0.87−0.90(m,6H),1.24−1.34(m,8H),1.60−1.67(m,4H),1.90−1.94(m,2H),2.23−2.34(m,6H),5.98(d,2H,J=3.5Hz),7.06(d,2H,J=8.0Hz),7.63−7.66(m,2H)
質量分析(GC−MS):m/z=486(M+)(実測値);486.384(分子量理論値)
以上の分析結果から、合成したものが、化合物4の構造と矛盾がないことを確認した。
以下に化合物5の分析結果を示す。
1H NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δ):0.86−0.89(m,6H),1.25−1.35(m,8H),1.58−1.62(m,4H),1.63−1.69(m,2H),1.94−1.96(m,2H),2.24−2.38(m,4H),5.89(t,H,J=2.9Hz),6.00(t,H,J=2.9Hz),7.04−7.07(m,H),7.36(d,H,J=8.0Hz),7.89(d,H,J=8.0Hz)
質量分析(GC−MS):m/z=486(M+)(実測値);486.384(分子量理論値)
以上の分析結果から、合成したものが、化合物5の構造と矛盾がないことを確認した。
[化合物中間体の合成2]
[化合物6の合成]
さらに、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾液を濃縮することで赤色のオイルを得た。
これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=9/1)にて精製することにより、淡橙色の固体を得た。さらに、2−プロパノールより再結晶することにより、淡橙色の結晶として化合物6を得た(収量 11.4g、収率 35.2%)。
以下に化合物6の分析結果を示す。
1H NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δ):2.13(quint,2H,J=5.7Hz),2.64(t,2H,J=6.3Hz),2.92(t,2H,J=6.0Hz),7.66(d,1H,J=8.0Hz),,7.67(s,1H),7.72(d,1H,J=8.0Hz)
融点:74.0−75.0°C
質量分析(GC−MS):m/z=272(M+)(実測値);272.082(分子量計算値)
以上の分析結果から、合成したものが、化合物6の構造と矛盾が無いことを確認した。
下記反応式(スキーム)に従って化合物7を合成した。
これ以上精製することなく、このまま次の反応に用いた。
以下に化合物7の分析結果を示す。
1H NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δ):1.71(d,1H,J=5.8Hz),1.84−2.02(m,4H),2.65−2.71(m,1H,),2.75−2.81(m,1H,),4.72(d,1H,J=4.6Hz),7.17(d,1H,J=8.0Hz),,7.47(s,1H),7.52(d,t1H,J1=8.0Hz,J2=1.2Hz)
質量分析(GC−MS):m/z=274(M+)(実測値);274.098(分子量計算値)
融点:82.0−84.0℃
以上の分析結果から、合成したものが、化合物7の構造と矛盾がないことを確認した。
下記反応式(スキーム)に従って化合物8を合成した。
反応溶液に水50mlを加えて、酢酸エチル(20ml)で5回抽出し、合わせた有機層を希塩酸(100ml)で3回、続けて飽和炭酸水素ナトリウム溶液(100ml)で2回洗浄し、最後に飽和食塩水(100ml)で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾液を濃縮し、褐色の液体として化合物8を得た(収量 4.28g、収率 100%)。
これ以上精製することなく、このまま次の反応に用いた。
以下に化合物8の分析結果を示す。
1H NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δ):1.76−1.83(m,1H,),1.89−2.10(m,1H),2.07(s,3H),2.67−2.73(m,1H,),2.79−2.84(m,1H,),5.93(t,1H,J=5.2Hz),7.01(d,1H,J=8.6Hz),7.49(d,1H,J=2.3Hz),7.52(s,1H)
質量分析(GC−MS):m/z=316(M+)(実測値);316.135(分子量計算値)
以上の分析結果から、合成したものが、化合物8の構造と矛盾がないことを確認した。
下記反応式(スキーム)に従って化合物9を合成した。
以下に化合物9の分析結果を示す。
精密質量分析(LC−TofMS):m/z=393.9028(100.0%),395.9082(実測値);393.9065(100.0%),395.9045(97.3%) (理論値)
以上の分析結果から、合成したものが、化合物9の構造と矛盾が無いことを確認した。
下記反応式(スキーム)に従って化合物10を合成した。
水(300mL)を加えて、酢酸エチル(100mL)で4回抽出し、飽和食塩水(100mL)で2回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾液を濃縮することで褐色の液体を得た。これをカラム精製することにより、無色の結晶として化合物10を得た(収量 1.2g、収率 41.0%)。
以下に化合物10の分析結果を示す。
1H NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δ):1.70(d,1H,J=3.4Hz),2.58−2.61(m,2H),4.76(q,1H,J=6.3Hz),6.04(q,1H,J=5.2Hz),6.47(d,1H,J=9.8Hz),7.13(d,1H,J=8.1Hz),7.47(d,1H,J=1.7Hz),7.57(J1=8.1Hz J2=1.7Hz)
質量分析(GC−MS):m/z=272(M+),254(M+−H2O)(実測値);272.082(分子量計算値)
以上の分析結果から、合成したものが、化合物10)の構造と矛盾がないことを確認した。
下記反応式(スキーム)に従って化合物(11−1)を合成した。
以下に化合物(11)の分析結果を示す。
1H NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δ):0.86(t,3H,J=7.2Hz),1.21−1.30(m,4H),1.54−1.60(m,2H),2.23(td,2H,J1=7.5Hz J2=2.3Hz),2.58−2.62(m,2H),5.95(t,1H,J=5.2Hz),6.03(quint,1H,J=4.6Hz),6.48(d,1H,J=9.8Hz),7.10(d,1H,J=8.0Hz),7.48(d,1H,J=1.7Hz),7.54(dd,1H,J1=8.0Hz,J2=1.8Hz)
質量分析(GC−MS):m/z=370(M+)、254(M+−C5H11COOH)(実測値);370.225(分子量計算値)
以上の分析結果から、合成したものが、化合物(11)の構造と矛盾がないことを確認した。
下記反応式(スキーム)に従って化合物12を合成した。
出発原料の1−シクロヘキセニル トリフルオロメタンスルホン酸エステルはAldrichより購入したものを用いて、化合物2の合成と同様にジブロモ化を行い3,6−ジブロモ−1−シクロヘキセニル トリフルオロメタンスルホン酸エステルを得、それを次の反応に精製することなくそのまま用いた。
反応溶液を酢酸エチル100mLで希釈し、純水200mLを加え、有機層を分離した。
水層は酢酸エチル30mLで4回抽出し合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、続けて飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾液を濃縮し、オレンジ色のオイルを得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン→酢酸エチル/ヘキサン(5/95,v/v))にて精製することにより、無色のオイルとして化合物12を得た。(収量900 mg,収率 43.2%)
以下に化合物12の分析結果を示す。
1H NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δ):0.90(t,J=7.5Hz,6H),1.26−1.37(m,8H),1.60−1.67(m,4H),1.76−1.92(m,2H),1.96−2.08(m,2H),2.29−2.36(m,4H),5.48(q,1H,J=4.6Hz),5.51(t,1H,J=4.6Hz),6.12(d,J=5.2Hz,1H)
精密質量分析(LC−TofMS):m/z=458.1507(実測値),225.9980(M+−2C5H11COOH);458.1586,225.9910(理論値)
以上の分析結果から、合成したものが、化合物12の構造と矛盾がないことを確認した。
下記反応式(スキーム)に従って化合物13を合成した。
既知の1,5−シクロヘキサジエニル トリフルオロメタンスルホン酸エステルを化合物12と同様にブロモ化し、4−ブロモ−1,5−シクロヘキサジエニル トリフルオロメタンスルホン酸エステルを合成した。
精密質量分析(Tof−MS):m/z=342.0766(M+),225.9982(M+ −C5H11COOH)(実測値);342.0749(M+),225.9911(M+ −C5H11COOH)(理論値)
以上の分析結果から、合成したものが、化合物13の構造と矛盾がないことを確認した。
下記反応式(スキーム)に従って化合物14を合成した。
(収量 3.6g、収率 33%)
NMR、質量分析で分析したところ、既知の文献データと一致した。
和光純薬工業より購入した4,4’−Bis(carbazol−9−yl)biphenylを原料とし、下記スキームに従って公知の手法で化合物15を合成した。すなわち、DMF溶液にN−ブロモスクシンイミドを加えて、ブロモ化を行った後、J.Org.Chem.1995,60,7508−7510に記載の石山・宮浦らの手法を適用し、ブロモをボロン酸エステルへと誘導した。
化合物14と同様の方法で、化合物16を得た。(収量 4.0g,収率 70%)
1H NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δ):0.802−0.904(m,12H),1.15−1.32(m,12H),1.42−1.48(m,4H),1.58−1.65(m,8H),1.87−1.91(m,4H),2.03−2.35(m,12H),6.21−6.27(m,2H),6.63(t,2H,J=9.2Hz),7.24−7.25(m,2H),7.29−7.36(m,4H),7.44(td,1H,J1=5.3Hz, J2=2.3Hz),7.57−7.75(m,6H)
精密質量分析(MALDI−TOFMS):m/z=1153.4882(M+),689.8550(M+ −4C5H11COOH)(実測値);1153.4888(M+),688.8556(M+ −45H11COOH)(分子量計算値)
以上の分析結果から、合成したものが、それぞれHTL17の構造と矛盾がないことを確認した。
精密質量分析(MALDI−TOFMS):m/z=1153.4880(M+),689.8559(M+ −4C5H11COOH)(実測値);1153.4888(M+),688.8556(M+ −45H11COOH)(分子量計算値)
以上の分析結果から、合成したものが、それぞれHTL18の構造と矛盾がないことを確認した。
精密質量分析(MALDI−TOFMS):m/z=1153.4880(M+),689.8549(M+ −4C5H11COOH)(実測値);1153.4888(M+),688.8556(M+ −45H11COOH)(分子量計算値)
以上の分析結果から、合成したものが、それぞれHTL20の構造と矛盾がないことを確認した。
精密質量分析(MALDI−TOFMS):m/z=1317.6911(M+),853.0589(M+ −4C5H11COOH)(実測値);1317.6914(M+),853.0583(M+ −45H11COOH)(分子量計算値)
以上の分析結果から、合成したものが、それぞれHTL33の構造と矛盾がないことを確認した。
精密質量分析(MALDI−TOFMS):m/z=1721.0200(M+),792.3509(M+ −8C5H11COOH)(実測値);1721.0203(M+),792.3504(M+ −8C5H11COOH)(分子量計算値)
以上の分析結果から、合成したものが、それぞれHTL34の構造と矛盾がないことを確認した。
実施例1で合成したHTL17の熱分解挙動を、TG−DTA[リファレンスAl2O3、窒素気流下(200mL/min)、EXSTAR6000(商品名)、Seiko Instruments Inc.製]を用いて25℃から450℃の範囲を5℃/minのレートで昇温し、観察した。
上記の結果を図2に示す。なお、図2において横軸は温度[℃]、縦軸左は重量変化[ug]、縦軸右はDTA信号[uV]である。
図2より、室温から250℃付近にかけて、初期重量から40.0%の重量減少が確認された。これは、ヘキサン酸4分子がHTL17より脱離し、4,4’−ビス[N−(l−ナフチル)−N−(2−ナフチル)アミノ]ビフェニル(α,β−TNB)が生成したと考えられる重量減少量(40.28%)とほぼ一致する。
また、200℃の段階でサンプルを取り出し、精密質量分析を行ったところ、m/z,200℃加熱サンプルの実測値:688.2899に対して、α,β−TNBの理論値:688.2890と精密質量が小数点3桁一致した。
このことから、HTL17は加熱により、ヘキサン酸4分子を分子内より脱離し、α,β−TNBと定量的に変換することが確認された。
この実施例より本発明のアリールアミン化合物は、加熱により溶解基を脱離した構造へと定量的に変換が可能であることが明らかになった。
実施例6において、HTL17の代わりに実施例3で合成したHTL20に変えた以外は同様にして、TG−DTAを測定し、その重量減少量と、加熱後のサンプルの分析を行った。
室温から180℃付近にかけて、初期重量から25.1%の重量減少が確認された。これは、ヘキサン酸2分子がHTL20より脱離し、4,4’−ビス[N−(l−ナフチル)−N−(2−ナフチル)アミノ]ビフェニル(α,β−TNB)が生成したと考えられる重量減少量(25.22%)とほぼ一致する。
また、150℃の段階でサンプルを取り出し、精密質量分析を行ったところ、m/z,150℃加熱サンプルの実測値:688.2854に対して、α,β−TNBの理論値:688.2858と精密質量が小数点3桁一致した。
このことから、HTL20は加熱により、ヘキサン酸2分子を分子内より脱離し、α,β−TNBと定量的に変換することが確認された。脱離反応に要する温度はHTL17と比べて低いことが確認された。
実施例6において、HTL17の代わりに実施例2で合成したHTL18に変えた以外は同様にして、TG−DTAを測定し、その重量減少量と、加熱後のサンプルの分析を行った。
実施例6、7と同様に理論値からの重量減少値のずれは−0.12%となった。
また、精密質量分析については理論値と小数点以下3桁が一致した。
このことからHTL18についてもHTL17同様に加熱により構造変換が可能であることがわかった。
実施例6において、HTL17の代わりに実施例4で合成したHTL33に変えた以外は同様にして、TG−DTAを測定し、その重量減少量と、加熱後のサンプルの分析を行った。
実施例6、7と同様に理論値からの重量減少値のずれは−0.16%となった。
また、精密質量分析については理論値と小数点以下3桁が一致した。
このことからHTL33についてもHTL17同様に加熱により構造変換が可能であることがわかった。
実施例6において、HTL17の代わりに実施例5で合成したHTL34に変えた以外は同様にして、TG−DTAを測定し、その重量減少量と、加熱後のサンプルの分析を行った。
実施例6、7と同様に理論値からの重量減少値のずれは−0.18%となった。
また、精密質量分析については理論値と小数点以下3桁が一致した。
このことからHTL34についてもHTL17同様に加熱により構造変換が可能であることがわかった。
実施例1で得られたHTL17をそれぞれトルエン、クロロホルム、2−プロパノール、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(テトラリン(登録商標))、安息香酸エチル(各100mg)に溶け残りが出るまで添加し、溶媒還流下で10分間攪拌し、室温まで冷却し、さらに1時間攪拌し、16時間静置した後、上澄みを0.2μmのPTFEフィルターで濾過して飽和溶液を得た。これを減圧下乾燥させることにより、各溶媒に対する化合物の溶解度を算出した。
実施例11でHTL17に換えてHTL18を用いた以外は同様にして化合物の溶解度を算出した。
実施例11でHTL17に換えてHTL20を用いた以外は同様にして化合物の溶解度を算出した。
実施例11でHTL17に換えてHTL33を用いた以外は同様にして化合物の溶解度を算出した。
実施例11でHTL17に換えてHTL34を用いた以外は同様にして化合物の溶解度を算出した。
実施例11でHTL17に換えて、4,4’−ビス[N−(l−ナフチル)−N−(2−ナフチル)アミノ]ビフェニル(α,β−TNB)を用いた以外は同様にして、化合物の溶解度を算出した。
実施例11でHTL17に換えて、4,4’−テトラキス[N−(l−ナフチル)−N−(2−ナフチル)アミノ]ビフェニル(α−TNB)を用いた以外は同様にして、化合物の溶解度を算出した。
実施例11でHTL17に換えて、9,9−ビス[4−(N,N−ビス−ナフタレン−2−イル−アミノ)フェニル]−9H−フルオレン(慣用名NPAPF)を用いた以外は同様にして、化合物の溶解度を算出した。
実施例11でHTL17に換えて、N,N,N’,N’−tetra−biphenyl−4−yl−benzidine(慣用名TBPB)を用いた以外は同様にして、化合物の溶解度を算出した。
○:溶解度が5wt%以上、
△:1wt%以上5wt%未満、
×:1.0wt%未満、
成膜方法に応じて、極性、沸点など所望の物性を得るために例えば上記溶媒を混合することも効果的だと考えられる。
本発明のアリールアミン化合物は、分子量が1000を超えるような通常の蒸着法では成膜が困難な骨格においても多くの溶媒に対して高い溶解性を有するので、様々な溶液プロセスに好適な濃度、粘度のインクを調製することが容易である。
実施例1で合成したHTL17をクロロホルムに1.0wt%の濃度になるように溶解させ、0.2μmのフィルターで濾過して溶液を調製した。濃硫酸に24時間付けおき洗浄した膜厚300nmの熱酸化膜を有するN型のシリコン基板上に、調製した溶液をピペットを用いて100μL滴下し、シャーレを被せてそのまま溶媒が乾燥するまで静置し、薄膜を作製した。薄膜観察を偏光顕微鏡および走査型プローブ顕微鏡[コンタクトモード、Nanopics(商品名)、Seiko Instruments Inc.製]によって行ったところ、平滑な連続したアモルファス膜が得られていることが分かった。次に前記薄膜を、アルゴン雰囲気下で180℃で60分間アニール処理した後に、前記と同様にして膜の観察を行った。アニール処理後も変更顕微鏡像で確認したところ、結晶化は生じておらず、アモルファス性の連続した平滑な膜を保っていることが分かった。アニール後の薄膜を、クロロホルムに溶かし出し、精密質量分析を行ったところ、m/z,加熱後の薄膜抽出物の実測値:688.2812に対して、α,β−TNBの理論値:688.2878と精密質量が小数点2桁一致した。このことから、HTL17から製膜された膜が、加熱により、脱離成分を脱離し、二重結合を形成したことで、定量的にアモルファス性のα,β−TNB膜へと変換されていることが分かった。
実施例16において、HTL17の代わりにHTL20を用いて、アニール温度を135度に変更した以外は同様にして、製膜および膜の観察を行い、膜の質量分析を行った。
アニール処理後も変更顕微鏡像で確認したところ、結晶化は生じておらず、アモルファス性の連続した平滑な膜を保っていることが分かった。アニール後の薄膜を、クロロホルムに溶かし出し、精密質量分析を行ったところ、m/z,加熱後の薄膜抽出物の実測値:688.2855に対して、α,β−TNBの理論値:688.2878と精密質量が小数点2桁一致した。このことから、HTL20から製膜された膜が、加熱により、脱離成分を脱離し、二重結合を形成したことで、定量的にアモルファス性のα,β−TNB膜へと変換されていることが分かった。
実施例16において、HTL17をα,β−TNBに換えた以外は、同様にして、薄膜を調製し、観察を行ったところ、偏光顕微鏡像において一部結晶化していることが確認された。また、走査型プローブ顕微鏡像において、結晶化により不連続な膜を生じていることが確認された。同様に膜を180℃に加熱し、再度偏光顕微鏡像を確認したところ、さらに結晶化が進んでいることが確認された。
実施例16、17および比較例5より、本発明のアリールアミン化合物は結晶性が低く、有機EL材料に好適なアモルファス性膜を形成しやすいことが分かった。また、加熱変換後に生成する対応する化合物(この場合は、α,β−TNB)を単に溶液として製膜したのでは、結晶性の不連続膜が得られるのみであるが、本発明のアリールアミン化合物を製膜後、加熱処理することで、アモルファス性の連続膜が得られるということも明らかとなった。
<有機EL素子作成例>
40×40mm角の透明なガラスからなる基板を用意して、公知の洗浄工程により基板面を洗浄した。次に、前記基板の一面にITOを公知の成膜方法により成膜した後ストライプ状にパターニングして、これを陽極(電極)とした。その後、ITO表面をO2プラズマ処理によりクリーニングした。
次に、実施例1で合成したアリールアミン化合物HTL17の1.0wt%THF溶液を用意し、前記基板上にスピンコーティング法により膜厚60nmの膜を塗布した後、乾燥させた。
次に、前記基板を真空装置のチャンバーに入れ、真空蒸着法により、Alq3からなる電子輸送層(60nm)をこの順序で成膜した。次に、真空蒸着法により、メタルマスクを用いて、LiF(膜厚0.25nm)とMgAg(膜厚200nm)をこの順序で積層したストライプ状の陰極(電極)を形成した。
作製した有機EL素子について、電流密度の電圧依存性、輝度の電圧依存性、発光スペクトルの測定を行い、絶対蛍光量子効率を算出した。
実施例18(応用例1)において、HTL17をそれぞれHTL18に換えた以外は同様にして、有機EL素子の作製、素子評価を行った。
実施例18(応用例1)において、HTL17をそれぞれHTL20に換えた以外は同様にして、有機EL素子の作製、素子評価を行った。応用例1乃至3の外部量子効率の評価結果を表5に示した。
Claims (8)
- 下記一般式(1−1)または(1−2)で示される部分構造を含むことを特徴とするアリールアミン化合物。
(一般式(1−1)、(1−2)中、XおよびY、(X1とX2)および(Y1とY2)は水素原子もしくは脱離性置換基を表し、該XおよびYのうち一方、(X1とX2)および(Y1とY2)のうち一方は脱離性置換基であり、他方は水素原子である。前記脱離性置換基は、置換されていてもよい炭素数1以上のアシルオキシ基である。Q1乃至Q6は水素原子、ハロゲン原子、前記脱離性置換基以外の一価の有機基、又は、アリールアミンのアリール環炭素原子若しくはアミン窒素原子に結合する結合手であり、又は、Q1乃至Q6のうち隣り合った2つの基はそれぞれ結合して環を形成していてもよい。前記一価の有機基は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、アルコキシル基、チオアルコキシル基、アリールオキシ基、チオアリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオオキシ基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、チオール基、及びアミノ基から選択されるいずれかである。) - 前記置換されていてもよい炭素数1以上のアシルオキシ基が、ヘキサノイルオキシ基である請求項1に記載のアリールアミン化合物。
- 前記アリールアミン化合物はトリアリールアミン化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のアリールアミン化合物。
- 前記一般式(1−1)および(1−2)の構造部分が、隣接するアリール環の炭素原子又は窒素原子に結合する結合手を有するシクロヘキサジエニル基[下記一般式(1−11)]、シクロへキセニル基[下記一般式(1−21)]、ベンゾシクロヘキサジエニル基[下記一般式(1−12)若しくは(1−13)]、ベンゾシクロへキセニル基[下記一般式(1−22)]、インドリノ[2,3]シクロヘキサジエニル基[下記一般式(1−14)、(1−15)若しくは(1−16)]、又はインドリノ[2,3]シクロへキセニル基[下記一般式(1−23)、(1−24)若しくは(1−25)]から選ばれる芳香族基であり、これらそれぞれの基のシクロへキセニル環部分又はシクロヘキサジエニル環部分は、1つ又は2つのエーテル基またはアシルオキシ基で置換されたものであり、前記Q1乃至Q6のうちのQ 4とQ5の対は、それぞれ結合して多縮合アリール環を形成していてもよいものであることを特徴とする請求項1乃至3に記載のアリールアミン化合物。
- 有機エレクトロルミネッセンス素子用材料である請求項1乃至4のいずれかに記載のアリールアミン化合物。
- 溶媒と請求項1乃至4のいずれかに記載のアリールアミン化合物を少なくとも含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス材料インク。
- 請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンス材料インクを用いて製膜された膜に、外部刺激を与えて、前記脱離性置換基を脱離し、二重結合を形成する工程を含むことを特徴とするアリールアミン化合物含有膜の製造方法。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載のアリールアミン化合物に外部刺激を与えて、前記脱離性置換基を脱離し、二重結合を形成する工程を含むことを特徴とするアリールアミン化合物の製造方法。
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