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JP6265155B2 - 磁気光学材料及び磁気光学デバイス - Google Patents

磁気光学材料及び磁気光学デバイス Download PDF

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JP6265155B2 JP2015048182A JP2015048182A JP6265155B2 JP 6265155 B2 JP6265155 B2 JP 6265155B2 JP 2015048182 A JP2015048182 A JP 2015048182A JP 2015048182 A JP2015048182 A JP 2015048182A JP 6265155 B2 JP6265155 B2 JP 6265155B2
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Description

本発明は、磁気光学材料及び磁気光学デバイスに関し、より詳細には、光アイソレータなどの磁気光学デバイスを構成するのに好適な複合酸化物を含む透明セラミックス又は単結晶からなる磁気光学材料、並びに該磁気光学材料を用いた磁気光学デバイスに関する。
近年、高出力化が可能となってきたこともあり、ファイバーレーザーを用いたレーザー加工機の普及が目覚しい。ところで、レーザー加工機に組み込まれるレーザー光源は、外部からの光が入射すると共振状態が不安定化し、発振状態が乱れる現象が起こる。特に発振された光が途中の光学系で反射されて光源に戻ってくると、発振状態は大きく撹乱される。これを防止するために、通常光アイソレータが光源の手前等に設けられる。
光アイソレータは、ファラデー回転子と、ファラデー回転子の光入射側に配置された偏光子と、ファラデー回転子の光出射側に配置された検光子とからなる。また、ファラデー回転子は、光の進行方向に平行に磁界を加えて利用する。この時、光の偏波線分はファラデー回転子中を前進しても後進しても一定方向にしか回転しなくなる。更に、ファラデー回転子は光の偏波線分が丁度45度回転される長さに調整される。ここで偏光子と検光子の偏波面を、前進する光の回転方向に45度ずらしておくと、前進する光の偏波は、偏光子位置と検光子位置で一致するため透過する。他方、後進する光の偏波は、検光子位置から、45度ずれている偏光子の偏波面のずれ角方向とは逆回転に45度回転することになる。すると偏光子位置における戻り光の偏波面は、偏光子の偏波面に対して45度−(−45度)=90度のずれとなり、偏光子を透過できない。こうして前進する光は透過、出射させ、後進する戻り光は遮断する光アイソレータとして機能する。
上記、光アイソレータを構成するファラデー回転子として用いられる材料では、従来からTGG結晶(Tb3Ga512)やTSAG結晶((Tb(3-x)Scx)Sc2Al312)が知られている(特開2011−213552号公報(特許文献1)、特開2002−293693号公報(特許文献2))。TGG結晶のベルデ定数は比較的大きく、40rad/(T・m)(即ち、0.14min/(Oe・cm))であり、現在標準的なファイバーレーザー装置用として広く搭載されている。TSAG結晶のベルデ定数はTGG結晶の1.3倍程度(即ち、0.18min/(Oe・cm)程度)あるとされており、こちらもファイバーレーザー装置に搭載される材料である。ベルデ定数の大きな光アイソレータが得られると、45度回転するために必要な全長を短くすることができ、光アイソレータの小型化につながり好ましい。
単位長さあたりのベルデ定数が非常に大きな材料として、鉄(Fe)を含むイットリウム鉄ガーネット(通称:YIG)単結晶がある(特開2000−266947号公報(特許文献3))。ただし、鉄(Fe)は波長0.9μmに大きな光吸収があり、波長0.9〜1.1μm帯の光アイソレータにはこの光吸収の影響が出る。そのため、このイットリウム鉄ガーネット単結晶を用いた光アイソレータは、高出力化傾向の著しいファイバーレーザー装置での利用は極めて困難となっている。
また、TGG結晶(Tb3Ga512)やTSAG結晶((Tb(3-x)Scx)Sc2Al312)が属するガーネット型酸化物は、元素の配合比率が化学量論比から外れると、ガーネット構造以外の結晶相が生成しやすいことが当業者の間で知られており、原料配合時の組成ずれによる透光性の急激な低下や歩留りの低下が問題となっている。
これらの既存材料の代替として、パイロクロア型の結晶構造をもつ酸化物が挙げられる。パイロクロア型結晶はA227の結晶構造をもち、AイオンとBイオンとの半径比が一定の範囲内にあると立方晶構造をもつことが知られている。結晶構造が立方晶をとる材料を選択できると、単結晶はもちろんのこと、セラミックス体であっても高い透明性をもった材料の作製が可能となり、様々な光学材料としての応用が見込まれる。
パイロクロア型材料の例として、特開2005−330133号公報(特許文献4)では、Aサイトに希土類元素REを有する立方晶系チタン酸化物パイロクロアのうち、当該Aサイトの元素REがLu、Yb、Tm、Er、Ho、Y、Sc、Dy、Tb、Gd、Eu、Sm、Ceの各元素のうちの一つまたは二つ以上から成る複合酸化物RE2-xTi27-δであって、前記Aサイト元素REの不定比量xが当該Aサイト元素REに応じて
0<x<0.5
の範囲内とされる電子導電性セラミックス粉体が焼結され、その後還元処理されることによって形成されていることを特徴とする立方晶系チタン酸化物パイロクロア焼結体が開示されている。用途が電子導電性セラミックスのため、当該焼結体の透明度は言及されておらず、普通に焼結しただけでは、通常不透明焼結体ができあがることが当業者の間では知られており、特許文献4記載の材料も光学材料用途としては利用不可であると推定されるが、Tbを含むチタン酸化物パイロクロアが立方晶になり得るという情報は該特許文献4により開示されている。
ただし、それ以前にも単純なTbのシリコン酸化物では、立方晶を取ることができないことは別途知られている("Rare earth disilicates R2Si2O7 (R=Gd, Tb, Dy, Ho): type B", Z., Kristallogr., Vol.218 No.12 795-801 (2003)(非特許文献1))。
また同じ頃、Tbは全く含まれないものの、ある種の希土類ハフニウム酸化物が立方晶パイロクロア構造を取り、透光性を有する事実が開示されている("Fabrication of transparent La2Hf2O7 ceramics from combustion synthesized powders", Mat. Res. Bull. 40 (3) 553-559 (2005)(非特許文献2))。
更に、特開2010−241677号公報(特許文献5)では、個々の結晶の少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも98重量%が立方晶黄緑石または蛍石構造を有し、化学量論の化合物
2+xyz7
ここで、−1.15≦x≦0および0≦y≦3および0≦x≦1.6ならびに3x+4y+5z=8、かつAは希土類金属酸化物の群から選ばれる少なくとも1つの3価カチオンであり、Bは少なくとも1つの4価カチオンであり、Dは少なくとも1つの5価カチオンであり、およびEは少なくとも1つの2価アニオンである、
を含む多結晶、透明光学セラミックスであって、AはY、Gd、Yb、Lu、ScおよびLaから選択され、BはTi、Zr、Hf、SnおよびGeから選択される光学セラミックスが開示されており、Tbは全く含まれないものの、数種類の希土類を含んだチタン酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、スズ酸化物、ゲルマニウム酸化物が、98重量%以上の立方晶黄緑石(パイロクロア)構造を取り得ることが確認されている。
また、パイロクロア型酸化物はAサイトイオンとBサイトイオンの配合比率が理想的なパイロクロア構造を形成する1対1の化学量論比から外れていても、ある範囲の中で立方晶パイロクロア相を許容することが示されており、ガーネット型酸化物にみられる原料配合時の組成ずれによる透光性の急激な低下や歩留りの低下を抑制できると推察される("Phase equilibria in the refractory oxide systems of zirconia, hafnia and yttria with rare-earth oxides", J. Eur. Ceram. Soc. 28 2363-2388 (2008)(非特許文献3)、"Stuffed rare earth pyrochlore solid solutions", J. solid state chem. 179 3126-3135 (2006) (非特許文献4))。
ただし、これまでパイロクロア型酸化物であって、かつTbイオンが含まれた立方晶構造を維持しながら、更にAサイトイオンとBサイトイオンとの配合比率を積極的に化学両論比からずらすことで、より高いベルデ定数を備えた磁気光学材料を検討した公知例は見当たらなかった。
特開2011−213552号公報 特開2002−293693号公報 特開2000−266947号公報 特開2005−330133号公報 特開2010−241677号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、波長帯0.9〜1.1μmのファイバーレーザー光を吸収することなく、そのため熱レンズの発生も抑制し、ベルデ定数はTGG結晶やTSAG結晶よりも大きな、光アイソレータなどの磁気光学デバイスを構成するのに好適な透明な磁気光学材料及び磁気光学デバイスを提供することを目的とする。
本発明者らは、以上の先行技術の知見をベースとして、TGG結晶(Tb3Ga512)やTSAG結晶((Tb(3-x)Scx)Sc2Al312)よりもベルデ定数が大きく、かつ波長帯0.9〜1.1μmのファイバーレーザー光を吸収することが抑制された、全く新しい材料候補として、Tbを含む様々なパイロクロア型材料の検討を行い、光アイソレータなどの磁気光学デバイスを構成するのに好適な磁気光学材料及び磁気光学デバイスを完成した。
即ち、本発明は、下記の磁気光学材料及び磁気光学デバイスを提供する。
〔1〕 下記式(1)で表される複合酸化物を主成分として含む透明セラミックス又は下記式(1)で表される複合酸化物の単結晶からなることを特徴とする磁気光学材料。
Tb2x2(2-x)8-x (1)
(式中、1<x<1.3、Rはシリコン、ゲルマニウム、チタン、タンタル、スズ、ハフニウム、ジルコニウムよりなる群から選択された少なくとも1つの元素である(ただし、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルについては当該元素単独であることを除く)。)
〔2〕 波長1064nmでのベルデ定数が0.21min/(Oe・cm)以上である〔1〕記載の磁気光学材料。
〔3〕 光路長10mm当たりの波長1064nmの光の直線透過率が85%以上である〔1〕又は〔2〕記載の磁気光学材料。
〔4〕 パイロクロア格子を有する立方晶を主相とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の磁気光学材料。
〔5〕 〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の磁気光学材料を用いて構成されることを特徴とする磁気光学デバイス。
〔6〕 上記磁気光学材料をファラデー回転子として備え、該ファラデー回転子の光学軸上の前後に偏光材料を備えた波長帯0.9μm以上1.1μm以下で利用可能な光アイソレータである〔5〕記載の磁気光学デバイス。
〔7〕 上記ファラデー回転子は、その光学面に反射防止膜を有することを特徴とする〔6〕記載の磁気光学デバイス。
本発明によれば、波長帯0.9〜1.1μmのファイバーレーザー装置に搭載してもビーム品質を劣化させることなく、ベルデ定数をTGG結晶やTSAG結晶よりも大きくした、小型化の可能な、光アイソレータなどの磁気光学デバイスを構成するのに好適な透明な磁気光学材料を提供できる。
本発明に係る磁気光学材料をファラデー回転子として用いた光アイソレータの構成例を示す断面模式図である。
[磁気光学材料]
以下、本発明に係る磁気光学材料について説明する。
本発明に係る磁気光学材料は、下記式(1)で表される複合酸化物を主成分として含む透明セラミックス又は下記式(1)で表される複合酸化物の単結晶からなる。
Tb2x2(2-x)8-x (1)
(式中、1<x<1.3、Rはシリコン、ゲルマニウム、チタン、タンタル、スズ、ハフニウム、ジルコニウムよりなる群から選択された少なくとも1つの元素である(ただし、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルについては当該元素単独であることを除く)。)
テルビウム(Tb)は鉄(Fe)を除く常磁性元素のなかで最大のベルデ定数をもつ材料であり、かつ波長1.06μmにおいて透明(光路長1mmにおける光の直線透過率が80%以上)であるため、この波長域の光アイソレータに使用するには最も適した元素である。ただし、この透明性を活かすためにはテルビウムが金属結合状態であってはならず、安定な化合物状態に仕上げる必要がある。
ここで、安定な化合物を形成する最も典型的な形態として酸化物が挙げられる。その中でも、パイロクロア型構造を有するある種の材料(複合酸化物)は立方晶構造を取るため(これを、パイロクロア格子を有する立方晶(パイロクロア型立方晶)という)、異方性散乱のない高度に透明な化合物が得られる。よって、Aサイトにテルビウムが入る系からなり、パイロクロア型酸化物であって、立方晶構造をとる化合物(テルビウム含有立方晶系パイロクロア型酸化物)が、波長域0.9μm以上1.1μm以下、より詳細には1,064±40nmの光アイソレータに使用する材料として好ましい。
また、立方晶構造を取るためのBサイト元素としては、シリコン、ゲルマニウム、チタン、タンタル、スズ、ハフニウム、ジルコニウムが好適に利用できる。
ただし、シリコンやゲルマニウムはイオン半径が小さすぎるため、これらの元素だけでBサイトを充填してしまうと、斜方晶になって透明性が阻害されてしまうため好ましくない。そこで、シリコンやゲルマニウムを選択する場合には、よりイオン半径の大きな他の元素であるジルコニウムと組み合わせて利用する。
この結果、本発明の磁気光学材料は、パイロクロア格子を有する立方晶(パイロクロア型立方晶)が主相となったものが好ましく、パイロクロア型立方晶からなるものがより好ましい。なお、主相となったとは、結晶構造としてパイロクロア型立方晶が全体の90体積%以上、好ましくは95体積%以上を占めることをいう。あるいは、この磁気光学材料の粉末X線回折結果から算出されるパイロクロア化率が、上記式(1)におけるRがジルコニウム単独の場合には51.5%以上であることをいい、Rがそれ以外の場合(即ち、Rがシリコン、ゲルマニウム、チタン、タンタル、スズ、ハフニウム、ジルコニウムよりなる群から選択された少なくとも1つの元素(ただし、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルについては当該元素単独であることを除く)である場合)には97.3%以上、好ましくは99%以上であることをいう。
なお、パイロクロア化率とは、対象材料の粉末X線回折における立方晶の(622)面に相当するピーク位置(2θの値P(622))から、ベガード則に基づき酸化テルビウムの(622)面の2θの値(PTb)及び対象材料を理想的なパイロクロア型立方晶とした場合の(622)面の2θの値(PTbR)を用いて求めた上記対象材料に占める理想的なパイロクロア型立方晶のモル分率である。なお、(622)面は、パイロクロア型立方晶のX線回折パターンにおける4つの主回折面のうち、最も広角側の回折面である。
上記式(1)は、テルビウムと、Rはシリコン、ゲルマニウム、チタン、タンタル、スズ、ハフニウム、ジルコニウムよりなる群から選択された少なくとも1つの元素(ただし、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルについては当該元素単独であることを除く)とを含むもので構成されているが、更にその他の元素を含有していてもよい。その他の元素としては、希土類元素であれば、ランタン、ガドリニウム、ツリウム、セリウム、プラセオジム、イッテルビウム、ディスプロシウムが例示でき、様々な不純物群として、カルシウム、アルミニウム、燐、タングステン、モリブデン等が典型的に例示できる。
その他の元素の含有量は、テルビウムの全量を100としたとき、10以下であることが好ましく、1以下であることがより好ましく、0.1以下であることが更に好ましく、0.001以下(実質的にゼロ)であることが特に好ましい。
式(1)中、xは1より大きく1.3未満である。xが1より大きい場合、Tbイオンの一部がBサイトを占有し、若干350〜550nmの波長域に吸収が生じるが、化学両論組成のパイロクロア構造(x=1.0)より大きなベルデ定数となる。しかし、xが1.3以上の場合、混合晶となることでパイロクロア型立方晶が主相とならず、透光性が著しく低下するため好ましくない。
本発明の磁気光学材料は、上記式(1)で表される複合酸化物を主成分として含有する。即ち、本発明の磁気光学材料は、上記式(1)で表される複合酸化物を主成分として含有していればよく、その他の成分を副成分として意図的に含有していてもよい。
ここで、主成分として含有するとは、上記式(1)で表される複合酸化物を50質量%以上含有することを意味する。式(1)で表される複合酸化物の含有量は80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることが更に好ましく、99.9質量%以上であることが特に好ましい。
一般的に例示される、その他の副成分(主成分以外の成分)としては、単結晶育成の際にドープされるドーパントやフラックス、セラミックス製造の際に添加される焼結助剤等がある。
本発明の磁気光学材料の製法としては、フローティングゾーン法、マイクロ引下げ法などの単結晶製造方法、並びにセラミックス製造法があり、いずれの製法を用いても構わない。ただし、一般に単結晶製造方法では固溶体の濃度比の設計に一定程度の制約があり、セラミックス製造法の方が本発明ではより好ましい。
以下、本発明の磁気光学材料の製造方法の例としてセラミックス製造法について更に詳述するが、本発明の技術的思想を踏襲した単結晶製造方法を排除するものではない。
《セラミックス製造法》
[原料]
本発明で用いる原料としては、テルビウム及び元素R(Rはシリコン、ゲルマニウム、チタン、タンタル、スズ、ハフニウム、ジルコニウムよりなる群から選択された少なくとも1つの元素である(ただし、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルについては当該元素単独であることを除く)。)からなる本発明の磁気光学材料の構成元素からなる金属粉末、ないしは硝酸、硫酸、尿酸等の水溶液、あるいは上記元素の酸化物粉末等が好適に利用できる。
それらテルビウムとRを所定量秤量し、混合してから焼成して所望の構成の立方晶パイロクロア型酸化物を主成分とする焼成原料を得る。このときの焼成温度は、好ましくは1200℃以上、かつこの後に行われる焼結温度よりも低い温度であり、より好ましくは1400℃以上、かつこの後に行われる焼結温度よりも低い温度である。なお、ここでいう「主成分とする」とは、焼成原料の粉末X線回折結果から算出される上記パイロクロア化率が、上記式(1)におけるRがジルコニウム単独の場合には41.5%以上であることをいい、Rがそれ以外の場合(即ち、Rがシリコン、ゲルマニウム、チタン、タンタル、スズ、ハフニウム、ジルコニウムよりなる群から選択された少なくとも1つの元素(ただし、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルについては当該元素単独であることを除く)である場合)には50%以上であり、好ましくは55%以上であることをいう。
また、上記原料の純度は99.9質量%以上が好ましい。次いで、得られた焼成原料を粉砕して原料粉末とする。
また、最終的には所望の構成のパイロクロア型酸化物粉末を用いてセラミックス製造をすることになるが、その際の粉末形状については特に限定されず、例えば角状、球状、板状の粉末が好適に利用できる。また、二次凝集している粉末であっても好適に利用できるし、スプレードライ処理等の造粒処理によって造粒された顆粒状粉末であっても好適に利用できる。更に、これらの原料粉末の調製工程については特に限定されない。共沈法、粉砕法、噴霧熱分解法、ゾルゲル法、アルコキシド加水分解法、その他あらゆる合成方法で作製された原料粉末が好適に利用できる。また、得られた原料粉末を適宜湿式ボールミル、ビーズミル、ジェットミルや乾式ジェットミル、ハンマーミル等によって処理してもよい。
本発明で用いるパイロクロア型酸化物粉末原料中には、適宜焼結抑制助剤(焼結助剤)を添加してもよい。特に高い透明性を得るためには、テルビウム含有パイロクロア型酸化物に見合った焼結抑制助剤を添加することが好ましい。ただし、その純度は99.9質量%以上が好ましい。なお、焼結抑制助剤を添加しない場合には、使用する原料粉末についてその一次粒子の粒径がナノサイズであって焼結活性が極めて高いものを選定するとよい。こうした選択は適宜なされてよい。
更に製造工程での品質安定性や歩留り向上の目的で、各種の有機添加剤が添加される場合がある。本発明においては、これらについても特に限定されない。即ち、各種の分散剤、結合剤、潤滑剤、可塑剤等が好適に利用できる。
[製造工程]
本発明では、上記原料粉末を用いて、所定形状にプレス成形した後に脱脂を行い、次いで焼結して、相対密度が最低でも95%以上に緻密化した焼結体を作製する。その後工程として熱間等方圧プレス(HIP)処理を行うことが好ましい。
(成形)
本発明の製造方法においては、通常のプレス成形工程を好適に利用できる。即ち、ごく一般的な、原料粉末を型に充填して一定方向から加圧するプレス工程や変形可能な防水容器に密閉収納して静水圧で加圧するCIP(Cold Isostatic Pressing)工程が利用できる。なお、印加圧力は得られる成形体の相対密度を確認しながら適宜調整すればよく、特に制限されないが、例えば市販のCIP装置で対応可能な300MPa以下程度の圧力範囲で管理すると製造コストが抑えられてよい。あるいはまた、成形時に成形工程のみでなく一気に焼結まで実施してしまうホットプレス工程や放電プラズマ焼結工程、マイクロ波加熱工程なども好適に利用できる。更にプレス成形法ではなく、鋳込み成形法による成形体の作製も可能である。加圧鋳込み成形や押出し成形等の成形法も、出発原料である酸化物粉末の形状やサイズと各種の有機添加剤との組み合わせを最適化することで採用可能である。
(脱脂)
本発明の製造方法においては、通常の脱脂工程を好適に利用できる。即ち、加熱炉による昇温脱脂工程を経ることが可能である。また、この時の雰囲気ガスの種類も特に制限はなく、空気、酸素、水素等が好適に利用できる。脱脂温度も特に制限はないが、もしも有機添加剤が混合されている原料を用いる場合には、その有機成分が分解消去できる温度まで昇温することが好ましい。
(焼結)
本発明の製造方法においては、一般的な焼結工程を好適に利用できる。即ち、抵抗加熱方式、誘導加熱方式等の加熱焼結工程を好適に利用できる。この時の雰囲気は特に制限されないが、不活性ガス、酸素ガス、水素ガス等が好適に利用できる。また、減圧下(真空中)で焼結してもよい。
本発明の焼結工程における焼結温度は、選択される出発原料により適宜調整される。一般的には選択された出発原料を用いて、製造しようとするテルビウム含有パイロクロア型酸化物焼結体の融点よりも数10℃から100℃乃至は200℃程度低温側の温度が好適に選定される。また、選定される温度の近傍に立方晶以外の相に相変化する温度帯が存在するテルビウム含有パイロクロア型酸化物焼結体を製造しようとする際には、厳密にその温度帯を外した条件となるよう管理して焼結すると、立方晶以外の相の混入を抑制でき、複屈折性の散乱を低減できるメリットがある。
本発明の焼結工程における焼結保持時間は、選択される出発原料により適宜調整される。一般的には数時間程度で十分な場合が多い。ただし、テルビウム含有パイロクロア型酸化物焼結体の相対密度は最低でも95%以上に緻密化されていなければならない。
(熱間等方圧プレス(HIP))
本発明の製造方法においては、焼結工程を経た後に更に追加で熱間等方圧プレス(HIP(Hot Isostatic Pressing))処理を行う工程を設けることができる。
なお、このときの加圧ガス媒体種類は、アルゴン、窒素等の不活性ガス、又はAr−O2が好適に利用できる。加圧ガス媒体により加圧する圧力は、50〜300MPaが好ましく、100〜300MPaがより好ましい。圧力50MPa未満では透明性改善効果が得られない場合があり、300MPa超では圧力を増加させてもそれ以上の透明性改善が得られず、装置への負荷が過多となり装置を損傷するおそれがある。印加圧力は市販のHIP装置で処理できる196MPa以下であると簡便で好ましい。
また、その際の処理温度(所定保持温度)は材料の種類及び/又は焼結状態により適宜設定すればよく、例えば1000〜2000℃、好ましくは1300〜1800℃の範囲で設定される。このとき、焼結工程の場合と同様に焼結体を構成するテルビウム含有パイロクロア型酸化物の融点以下及び/又は相転移点以下とすることが必須であり、熱処理温度が2000℃超では本発明で想定しているテルビウム含有パイロクロア型酸化物焼結体が融点を超えるか相転移点を超えてしまい、適正なHIP処理を行うことが困難となる。また、熱処理温度が1000℃未満では焼結体の透明性改善効果が得られない。なお、熱処理温度の保持時間については特に制限されないが、焼結体を構成するテルビウム含有パイロクロア型酸化物の特性を見極めながら適宜調整するとよい。
なお、HIP処理するヒーター材、断熱材、処理容器は特に制限されないが、グラファイト、ないしはモリブデン(Mo)、タングステン(W)が好適に利用できる。
(アニール)
本発明の製造方法においては、HIP処理を終えた後に、得られたテルビウム含有パイロクロア型酸化物焼結体中に酸素欠損が生じてしまい、薄灰色の外観を呈する場合がある。その場合には、前記HIP処理温度以下(例えば、1100〜1500℃)、かつ前記HIP処理圧力と同等の条件にて微酸化アニール処理を施すことが好ましい。この場合、前記HIP処理設備と同じ設備を利用して微酸化アニール処理を行うと、製造プロセスが簡便となって良い。このアニール処理により、薄灰色の外観を呈してしまったテルビウム含有パイロクロア型酸化物焼結体も、すべて無色透明なセラミックス体に整えることができる。
(光学研磨)
本発明の製造方法においては、上記一連の製造工程を経たテルビウム含有パイロクロア型酸化物焼結体(即ち、透明セラミックス)について、その光学的に利用する軸上にある両端面を光学研磨することが好ましい。このときの光学面精度は測定波長λ=633nmの場合、λ/8以下が好ましく、λ/10以下が特に好ましい。なお、光学研磨された面に適宜反射防止膜を成膜することで光学損失を更に低減させることも可能である。
以上のようにして、波長1064nmでのベルデ定数が0.21min/(Oe・cm)以上の磁気光学材料が得られる。また、本発明の磁気光学材料は、光路長10mm当たりの波長1064nmでの光透過における直線透過率が85%以上であることが好ましい。なお本発明において、「直線透過率」とは、測定光路中にサンプルを置かずにブランク(空間)状態で測定した透過スペクトルを100%とした場合における直線透過率を意味する。
[磁気光学デバイス]
本発明の磁気光学材料は、磁気光学デバイス用途に好適であり、特に波長0.9〜1.1μmの光アイソレータのファラデー回転子として好適に使用される。
図1は、本発明の磁気光学材料からなるファラデー回転子を光学素子として有する光学デバイスである光アイソレータの一例を示す断面模式図である。図1において、光アイソレータ100は、本発明の磁気光学材料からなるファラデー回転子110を備え、該ファラデー回転子110の前後には、偏光材料である偏光子120及び検光子130が備えられている。また、光アイソレータ100は、偏光子120、ファラデー回転子110、検光子130の順序で配置され、それらの側面のうちの少なくとも1面に磁石140が載置されていることが好ましい。
また、上記光アイソレータ100は産業用ファイバーレーザー装置に好適に利用できる。即ち、レーザー光源から発したレーザー光の反射光が光源に戻り、発振が不安定になるのを防止するのに好適である。
以下に、実施例、比較例及び参考例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[実施例1、比較例1、参考例1]
上記式(1)において、Bサイト位置(上記式(1)におけるR)に単一元素を充填した例としてハフニウム、スズ、チタンを選定し、xを変化させた例について説明する。
信越化学工業(株)製の酸化テルビウム粉末、及びAmerican Elements社製の酸化ハフニウム粉末、並びに(株)高純度化学研究所製の酸化第2スズ粉末及び酸化チタン粉末を入手した。純度はいずれも99.9質量%以上であった。
上記原料を用いて、表1のような最終組成となる混合比率の計9種(3種×3水準)の混合酸化物原料を作製した。即ち、テルビウムのモル数と、ハフニウム、スズ又はチタンのモル数とがx=1.0、1.1、1.3となるように秤量した混合粉末(つまり、Tb2Hf27、Tb2.2Hf1.86.9、Tb2.6Hf1.46.7、Tb2Sn27、Tb2.2Sn1.86.9、Tb2.6Sn1.46.7、Tb2Ti27、Tb2.2Ti1.86.9、Tb2.6Ti1.46.7となるような混合粉末)をそれぞれ用意した。具体的には、酸化テルビウムと酸化ハフニウムをテルビウムとハフニウムがそれぞれ該当するモル比率となるよう秤量した混合粉末、酸化テルビウムと酸化第2スズをテルビウムとスズがそれぞれ該当するモル比率となるよう秤量した混合粉末、酸化テルビウムと酸化チタンをテルビウムとチタンがそれぞれ該当するモル比率となるよう秤量した混合粉末の9種を用意した。続いて、それぞれ互いの混入を防止するよう注意しながらエタノール中でジルコニア製ボールミル装置にて分散・混合処理した。処理時間は24時間であった。その後スプレードライ処理を行って、いずれも平均粒径が20μmの顆粒状原料を作製した。
続いて、これらの粉末をイリジウムるつぼに入れ高温マッフル炉にて1400℃にて保持時間3時間で焼成処理し、それぞれの組成での焼成原料を得た。得られた各焼成原料をパナリティカル社製粉末X線回折装置で回折パターン解析した。これらのピークから試料の結晶系を特定した。ピークがCu−Kα1及びCu−Kα2以外の影響でスプリットし、単一の晶系を決定できない場合は混晶と判断した。なお、磁気光学材料の品質を議論する場合には、単一の晶系でない場合は混晶と判断することで足りるが、ここではX線回折パターンのリファレンスデータとの比較やリートベルト解析により、パイロクロア型酸化物の結晶相以外の相を特定することを試みた。
その結果、BサイトにHf(即ちR=Hf)を用いた3種の焼成原料(Tb2Hf27、Tb2.2Hf1.86.9、Tb2.6Hf1.46.7)はすべてパイロクロア型酸化物の結晶相と考えられる立方晶が確認された。ただし、Tb2.6Hf1.46.7については立方晶パイロクロア型酸化物の他に正方晶であるフローライト型酸化物相が混在していた。
同様に、BサイトにSn(即ちR=Sn)を用いた3種の焼成原料(Tb2Sn27、Tb2.2Sn1.86.9、Tb2.6Sn1.46.7)はすべてパイロクロア型酸化物の結晶相と考えられる立方晶が確認された。ただし、Tb2.6Sn1.46.7については立方晶パイロクロア型酸化物の他に別の結晶相のXRD回折ピークが混在していることを確認したが、リファレンスデータが乏しく特定はできなかった。
最後に、BサイトにTi(即ちR=Ti)を用いた3種の焼成原料(Tb2Ti27、Tb2.2Ti1.86.9、Tb2.6Ti1.46.7)はすべてパイロクロア型酸化物の結晶相と考えられる立方晶が確認された。ただし、Tb2.6Ti1.46.7については立方晶パイロクロア型酸化物の他に正方晶であるフローライト型酸化物相又は六方晶のXRD回折ピークが混在していた。
こうして得られた原料につき、それぞれ一軸プレス成形、198MPaの圧力での静水圧プレス処理を施してCIP成形体を得た。得られた成形体をマッフル炉中で1000℃、2時間の条件にて脱脂処理した。続いて当該乾燥成形体を真空加熱炉に仕込み、2.0×10-3Pa以下の減圧下、1700℃±20℃で3時間処理して計9種(3種×3水準)の焼結体を得た。このとき、すべてのサンプルの焼結相対密度が95%になるように焼結温度を微調整した。
得られた各焼結体をカーボンヒーター製HIP炉に仕込み、Ar中、200MPa、1650℃、3時間の条件でHIP処理した。
更に、こうして得られた各セラミックス焼結体を、直径5mm、長さ10mmになるように研削及び研磨処理し、次いでそれぞれのサンプルの光学両端面を光学面精度λ/8(測定波長λ=633nmの場合)で最終光学研磨した。
上記光学研磨したサンプルについて中心波長が1064nmとなるように設計された反射防止膜をコートした。ここで得られたサンプルの光学外観もチェックした。
図1に示すように、得られた各セラミックスサンプルの前後に偏光素子をセットし、このサンプルを外径32mm、内径6mm、長さ40mmのネオジム−鉄−ボロン磁石の中心に挿入した後、IPGフォトニクスジャパン(株)製ハイパワーレーザー(ビーム径1.6mm)を用いて、両端面から、波長1064nmのハイパワーレーザー光線を入射して、直線透過率とベルデ定数、並びに熱レンズの発生しない入射パワーの最大値を測定した。
(直線透過率の測定方法)
直線透過率は、NKT Photonics社製の光源とGentec社製のパワーメータ並びにGeフォトディテクタを用いて内製した光学系を用いて、波長1064nmの光を、ビーム径を1〜3mmφでの大きさで透過させたときの光の強度により測定され、以下の式に基づき、JIS K7361及びJIS K7136に準拠して求めた。
直線透過率(%/cm)=I/Io×100
(式中、Iは透過光強度(長さ10mm(1cm)の試料を直線透過した光の強度)、Ioは入射光強度を示す。)
直線透過率が80%以上のサンプルについて、下記ベルデ定数及び熱レンズの発生しない入射パワーの最大値の測定を行い、直線透過率が80%未満のサンプルについてはベルデ定数及び熱レンズの発生しない入射パワーの最大値の測定を実施しなかった(以下、他の実施例でも同じ)。
(ベルデ定数の測定方法)
ベルデ定数Vは、以下の式に基づいて求めた。なお、サンプルに印加される磁界の大きさ(H)は、上記測定系の寸法、残留磁束密度(Br)及び保持力(Hc)からシミュレーションにより算出した値を用いた。
θ=V×H×L
(式中、θはファラデー回転角(min)、Vはベルデ定数、Hは磁界の大きさ(Oe)、Lはファラデー回転子の長さ(この場合、1cm)である。)
なお、比較例1−4のTGG結晶(Tb3Ga512)及び比較例1−5のTSAG結晶((Tb(3-x)Scx)Sc2Al312)のベルデ定数は文献値(特開2011−213552号公報(特許文献1)を参照した。
(熱レンズの発生しない入射パワーの最大値の測定方法)
熱レンズの発生しない入射パワーの最大値(熱レンズフリー入射パワー最大値)は、それぞれの入射パワーの光を1.6mmの空間光にして出射させ、そこへファラデー回転子を挿入した際の焦点距離の変化が0.1m以下となるときの最大入射パワーを読み取ることにより求めた。
以上の結果を表1にまとめて示す。
上記結果から、上記式(1)において化学量論比であるx=1.0の参考例1−1、1−2、1−3ではベルデ定数が0.21min/(Oe・cm)又は0.22min/(Oe・cm)であるところ、x=1.1である実施例1−1、1−2、1−3ではベルデ定数が0.23min/(Oe・cm)以上と更に改善されていた。また、x=1.3である比較例1−1、1−2、1−3では全て混晶となり、割れが生じた。
即ち、本実施例によればTGG結晶やTSAG結晶よりもベルデ定数が大きい0.21min/(Oe・cm)以上の磁気光学材料を作製できることが確認された。
[実施例2、比較例2、参考例2]
上記式(1)において、Bサイト位置(上記式(1)におけるR)にジルコニウム単一元素を選定し、xを変化させた例について説明する。
信越化学工業(株)製の酸化テルビウム粉末、及び日産化学工業(株)製のジルコニア粉末を入手した。純度はいずれも99.9質量%以上であった。上記原料を用いて、x=1.0、1.1、1.3の計3種の酸化物原料(即ちTb2Zr27、Tb2.2Zr1.86.9、Tb2.6Zr1.46.7)を作製した。具体的には、酸化テルビウムと酸化ジルコニウムをテルビウムとジルコニウムがそれぞれ該当するモル比率となるよう秤量した混合粉末の3種を用意した。続いて、それぞれ互いの混入を防止するよう注意しながらエタノール中でジルコニア製ボールミル装置にて分散・混合処理した。処理時間は24時間であった。その後スプレードライ処理を行って、いずれも平均粒径が20μmの顆粒状原料を作製した。
続いて、これらの粉末をイリジウムるつぼに入れ高温マッフル炉にて1400℃にて保持時間3時間で焼成処理し、それぞれの組成での焼成原料を得た。得られた各焼成原料をパナリティカル社製粉末X線回折装置で回折パターン解析した。これらのピークから試料の結晶系を特定した。ピークがCu−Kα1及びCu−Kα2以外の影響でスプリットし、単一の晶系を決定できない場合は混晶と判断した。なお、磁気光学材料の品質を議論する場合には、単一の晶系でない場合は混晶と判断することで足りるが、ここではX線回折パターンのリファレンスデータとの比較やリートベルト解析により、パイロクロア型酸化物の結晶相以外の相を特定することを試みた。
その結果BサイトにZr(即ちR=Zr)を用いた3種の焼成原料(即ち、それぞれTb2Zr27、Tb2.2Zr1.86.9、Tb2.6Zr1.46.7)は立方晶パイロクロア型酸化物の相の他に立方晶であるビックスバイト型酸化物相が混在していた。
こうして得られた原料につき、それぞれ一軸プレス成形、198MPaの圧力での静水圧プレス処理を施してCIP成形体を得た。得られた成形体をマッフル炉中で1000℃、2時間の条件にて脱脂処理した。続いて当該乾燥成形体を真空加熱炉に仕込み、2.0×10-3Pa以下の減圧下、1700℃±20℃で3時間処理して計3種の焼結体を得た。このとき、すべてのサンプルの焼結相対密度が95%になるように焼結温度を微調整した。
得られた各焼結体をカーボンヒーター製HIP炉に仕込み、Ar中、200MPa、1650℃、3時間の条件でHIP処理した。
更に、こうして得られた各セラミックス焼結体を、実施例1と同様にして長さ10mmになるように研削及び研磨処理し、次いで反射防止膜をコーティングした。
図1に示すように、得られた各セラミックスサンプルの前後に偏光素子をセットしてから磁石を被せ、IPGフォトニクスジャパン(株)製ハイパワーレーザー(ビーム径1.6mm)を用いて、両端面から、波長1064nmのハイパワーレーザー光線を入射し、実施例1と同様にして直線透過率とベルデ定数、並びに熱レンズの発生しない入射パワーの最大値を測定した。
以上の結果を表2にまとめて示す。
上記結果から、上記式(1)において化学量論比であるx=1.0の参考例2−1ではベルデ定数が0.21min/(Oe・cm)であるところ、x=1.1である実施例2−1ではベルデ定数が0.23min/(Oe・cm)と更に改善されていた。また、x=1.3である比較例2−1では混晶となり、割れが生じた。
即ち、本実施例によればTGG結晶やTSAG結晶よりもベルデ定数が大きい0.21min/(Oe・cm)以上の磁気光学材料を作製できることが確認された。
[実施例3、比較例3]
上記式(1)において、x=1.1とし、Bサイト位置にシリコン、ゲルマニウム、チタン、タンタル、スズよりなる群から実施例1の組成以外の組成となるように少なくとも1つを選択した例について説明する。
信越化学工業(株)製の酸化テルビウム粉末、及び(株)高純度化学研究所製のシリカ粉末、二酸化ゲルマニウム粉末、酸化チタン粉末、酸化第2スズ粉末、並びに昭和化学(株)製の五酸化タンタルを入手した。純度はいずれも99.9質量%以上であった。
上記原料を用いて、種々の複合酸化物原料を作製した。即ち、酸化テルビウムとシリカとジルコニアをテルビウムとシリコンとジルコニウムのモル比が2.2:0.9:0.9となるよう秤量した混合粉末、酸化テルビウムと二酸化ゲルマニウムとジルコニアをテルビウムとゲルマニウムとジルコニウムのモル比が2.2:0.9:0.9となるよう秤量した混合粉末、酸化テルビウムと酸化チタンと五酸化タンタルをテルビウムとチタンとタンタルのモル比が2.2:0.9:0.9となるよう秤量した混合粉末、酸化テルビウムと酸化第2スズと五酸化タンタルをテルビウムとスズとタンタルのモル比が2.2:0.9:0.9となるよう秤量した混合粉末、酸化テルビウムとシリカをテルビウムとシリコンのモル比が2.2:1.8となるよう秤量した混合粉末、酸化テルビウムと二酸化ゲルマニウムをテルビウムとゲルマニウムのモル比が2.2:1.8となるよう秤量した混合粉末、酸化テルビウムと五酸化タンタルをテルビウムとタンタルのモル比が2.2:1.8となるよう秤量した混合粉末を用意した。続いて、それぞれ互いの混入を防止するよう注意しながらエタノール中でジルコニア製ボールミル装置にて分散・混合処理した。処理時間は24時間であった。続いて、これらの粉末をイリジウムるつぼに入れ高温マッフル炉にて1400℃、3時間で焼成処理した。
次に、得られた各種原料を再度エタノール中でジルコニア製ボールミル装置にて分散・混合処理した。処理時間は40時間であった。その後再びスプレードライ処理を行って、いずれも平均粒径が20μmの顆粒状複合酸化物原料を作製した。
こうして得られた原料につき、それぞれ一軸プレス成形、198MPaの圧力での静水圧プレス処理を施してCIP成形体を得た。得られた成形体をマッフル炉中で1000℃、2時間の条件にて脱脂処理した。続いて当該乾燥成形体を真空加熱炉に仕込み、1700℃±20℃で3時間処理して種々の焼結体を得た。このとき、すべてのサンプルの焼結相対密度が95%になるように焼結温度を微調整した。
得られた各焼結体をカーボンヒーター製HIP炉に仕込み、Ar中、200MPa、1650℃、3時間の条件でHIP処理した。
得られた各焼結体のうちの一部につき、ジルコニア製乳鉢で粉砕処理して粉末形状にした。続いて、実施例1と同様にして得られた各粉末サンプルをパナリティカル社製粉末X線回折装置で回折パターン解析した。
その結果、立方晶パイロクロア型酸化物と確認できた組成が、Tb2.2Si0.9Zr0.96.9、Tb2.2Ge0.9Zr0.96.9、Tb2.2Ti0.9Ta0.96.9、Tb2.2Sn0.9Ta0.96.9の群であった。またパイロクロア型ではあったものの、結晶系が斜方晶になっていた組成が、Tb2.2Si1.86.9、Tb2.2Ge1.86.9の群であった。最後にTb2.2Ta1.86.9については明確なパイロクロア型の回折パターンは得られず、3つほどの異なる相の混合パターンらしき結果が得られた。ただし正確に同定することはできなかった。そのため、Tb2.2Ta1.86.9+αと表記している。
こうして得られた各セラミックス焼結体を、長さ10mmになるように研削及び研磨処理し、次いでそれぞれのサンプルの光学両端面を光学面精度λ/8(測定波長λ=633nmの場合)で最終光学研磨した。更に中心波長が1064nmとなるように設計された反射防止膜をコートした。ここで得られたサンプルの光学外観もチェックした。
図1に示すように、得られた各セラミックスサンプルの前後に偏光素子をセットしてから磁石を被せ、IPGフォトニクスジャパン(株)製ハイパワーレーザー(ビーム径1.6mm)を用いて、両端面から、波長1064nmのハイパワーレーザー光線を入射して、実施例1と同様にして直線透過率とベルデ定数、並びに熱レンズの発生しない入射パワーの最大値を測定した。
これらの結果を表3にまとめて示す。
上記結果から、Bサイト単体充填では失透又は失透ぎみとなり、直線透過率が30%以下となる元素(具体的には、比較例3−1〜3−3におけるシリコン、ゲルマニウム、タンタル)であっても、適当な第3の元素と一緒にBサイトに固溶させた組成にした場合(実施例3−1〜3−4)には、パイロクロア型立方晶を主相とする材料となり、ベルデ定数が0.23min/(Oe・cm)以上となることが確認された。
なお、これまで本発明を実施形態をもって説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
100 光アイソレータ
110 ファラデー回転子
120 偏光子
130 検光子
140 磁石

Claims (7)

  1. 下記式(1)で表される複合酸化物を主成分として含む透明セラミックス又は下記式(1)で表される複合酸化物の単結晶からなることを特徴とする磁気光学材料。
    Tb2x2(2-x)8-x (1)
    (式中、1<x<1.3、Rはシリコン、ゲルマニウム、チタン、タンタル、スズ、ハフニウム、ジルコニウムよりなる群から選択された少なくとも1つの元素である(ただし、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルについては当該元素単独であることを除く)。)
  2. 波長1064nmでのベルデ定数が0.21min/(Oe・cm)以上である請求項1記載の磁気光学材料。
  3. 光路長10mm当たりの波長1064nmの光の直線透過率が85%以上である請求項1又は2記載の磁気光学材料。
  4. パイロクロア格子を有する立方晶を主相とする請求項1〜3のいずれか1項記載の磁気光学材料。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の磁気光学材料を用いて構成されることを特徴とする磁気光学デバイス。
  6. 上記磁気光学材料をファラデー回転子として備え、該ファラデー回転子の光学軸上の前後に偏光材料を備えた波長帯0.9μm以上1.1μm以下で利用可能な光アイソレータである請求項5記載の磁気光学デバイス。
  7. 上記ファラデー回転子は、その光学面に反射防止膜を有することを特徴とする請求項6記載の磁気光学デバイス。
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