JP6265155B2 - 磁気光学材料及び磁気光学デバイス - Google Patents
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0<x<0.5
の範囲内とされる電子導電性セラミックス粉体が焼結され、その後還元処理されることによって形成されていることを特徴とする立方晶系チタン酸化物パイロクロア焼結体が開示されている。用途が電子導電性セラミックスのため、当該焼結体の透明度は言及されておらず、普通に焼結しただけでは、通常不透明焼結体ができあがることが当業者の間では知られており、特許文献4記載の材料も光学材料用途としては利用不可であると推定されるが、Tbを含むチタン酸化物パイロクロアが立方晶になり得るという情報は該特許文献4により開示されている。
また同じ頃、Tbは全く含まれないものの、ある種の希土類ハフニウム酸化物が立方晶パイロクロア構造を取り、透光性を有する事実が開示されている("Fabrication of transparent La2Hf2O7 ceramics from combustion synthesized powders", Mat. Res. Bull. 40 (3) 553-559 (2005)(非特許文献2))。
A2+xByDzE7
ここで、−1.15≦x≦0および0≦y≦3および0≦x≦1.6ならびに3x+4y+5z=8、かつAは希土類金属酸化物の群から選ばれる少なくとも1つの3価カチオンであり、Bは少なくとも1つの4価カチオンであり、Dは少なくとも1つの5価カチオンであり、およびEは少なくとも1つの2価アニオンである、
を含む多結晶、透明光学セラミックスであって、AはY、Gd、Yb、Lu、ScおよびLaから選択され、BはTi、Zr、Hf、SnおよびGeから選択される光学セラミックスが開示されており、Tbは全く含まれないものの、数種類の希土類を含んだチタン酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、スズ酸化物、ゲルマニウム酸化物が、98重量%以上の立方晶黄緑石(パイロクロア)構造を取り得ることが確認されている。
〔1〕 下記式(1)で表される複合酸化物を主成分として含む透明セラミックス又は下記式(1)で表される複合酸化物の単結晶からなることを特徴とする磁気光学材料。
Tb2xR2(2-x)O8-x (1)
(式中、1<x<1.3、Rはシリコン、ゲルマニウム、チタン、タンタル、スズ、ハフニウム、ジルコニウムよりなる群から選択された少なくとも1つの元素である(ただし、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルについては当該元素単独であることを除く)。)
〔2〕 波長1064nmでのベルデ定数が0.21min/(Oe・cm)以上である〔1〕記載の磁気光学材料。
〔3〕 光路長10mm当たりの波長1064nmの光の直線透過率が85%以上である〔1〕又は〔2〕記載の磁気光学材料。
〔4〕 パイロクロア格子を有する立方晶を主相とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の磁気光学材料。
〔5〕 〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の磁気光学材料を用いて構成されることを特徴とする磁気光学デバイス。
〔6〕 上記磁気光学材料をファラデー回転子として備え、該ファラデー回転子の光学軸上の前後に偏光材料を備えた波長帯0.9μm以上1.1μm以下で利用可能な光アイソレータである〔5〕記載の磁気光学デバイス。
〔7〕 上記ファラデー回転子は、その光学面に反射防止膜を有することを特徴とする〔6〕記載の磁気光学デバイス。
以下、本発明に係る磁気光学材料について説明する。
本発明に係る磁気光学材料は、下記式(1)で表される複合酸化物を主成分として含む透明セラミックス又は下記式(1)で表される複合酸化物の単結晶からなる。
Tb2xR2(2-x)O8-x (1)
(式中、1<x<1.3、Rはシリコン、ゲルマニウム、チタン、タンタル、スズ、ハフニウム、ジルコニウムよりなる群から選択された少なくとも1つの元素である(ただし、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルについては当該元素単独であることを除く)。)
ただし、シリコンやゲルマニウムはイオン半径が小さすぎるため、これらの元素だけでBサイトを充填してしまうと、斜方晶になって透明性が阻害されてしまうため好ましくない。そこで、シリコンやゲルマニウムを選択する場合には、よりイオン半径の大きな他の元素であるジルコニウムと組み合わせて利用する。
一般的に例示される、その他の副成分(主成分以外の成分)としては、単結晶育成の際にドープされるドーパントやフラックス、セラミックス製造の際に添加される焼結助剤等がある。
[原料]
本発明で用いる原料としては、テルビウム及び元素R(Rはシリコン、ゲルマニウム、チタン、タンタル、スズ、ハフニウム、ジルコニウムよりなる群から選択された少なくとも1つの元素である(ただし、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルについては当該元素単独であることを除く)。)からなる本発明の磁気光学材料の構成元素からなる金属粉末、ないしは硝酸、硫酸、尿酸等の水溶液、あるいは上記元素の酸化物粉末等が好適に利用できる。
また、上記原料の純度は99.9質量%以上が好ましい。次いで、得られた焼成原料を粉砕して原料粉末とする。
本発明では、上記原料粉末を用いて、所定形状にプレス成形した後に脱脂を行い、次いで焼結して、相対密度が最低でも95%以上に緻密化した焼結体を作製する。その後工程として熱間等方圧プレス(HIP)処理を行うことが好ましい。
本発明の製造方法においては、通常のプレス成形工程を好適に利用できる。即ち、ごく一般的な、原料粉末を型に充填して一定方向から加圧するプレス工程や変形可能な防水容器に密閉収納して静水圧で加圧するCIP(Cold Isostatic Pressing)工程が利用できる。なお、印加圧力は得られる成形体の相対密度を確認しながら適宜調整すればよく、特に制限されないが、例えば市販のCIP装置で対応可能な300MPa以下程度の圧力範囲で管理すると製造コストが抑えられてよい。あるいはまた、成形時に成形工程のみでなく一気に焼結まで実施してしまうホットプレス工程や放電プラズマ焼結工程、マイクロ波加熱工程なども好適に利用できる。更にプレス成形法ではなく、鋳込み成形法による成形体の作製も可能である。加圧鋳込み成形や押出し成形等の成形法も、出発原料である酸化物粉末の形状やサイズと各種の有機添加剤との組み合わせを最適化することで採用可能である。
本発明の製造方法においては、通常の脱脂工程を好適に利用できる。即ち、加熱炉による昇温脱脂工程を経ることが可能である。また、この時の雰囲気ガスの種類も特に制限はなく、空気、酸素、水素等が好適に利用できる。脱脂温度も特に制限はないが、もしも有機添加剤が混合されている原料を用いる場合には、その有機成分が分解消去できる温度まで昇温することが好ましい。
本発明の製造方法においては、一般的な焼結工程を好適に利用できる。即ち、抵抗加熱方式、誘導加熱方式等の加熱焼結工程を好適に利用できる。この時の雰囲気は特に制限されないが、不活性ガス、酸素ガス、水素ガス等が好適に利用できる。また、減圧下(真空中)で焼結してもよい。
本発明の製造方法においては、焼結工程を経た後に更に追加で熱間等方圧プレス(HIP(Hot Isostatic Pressing))処理を行う工程を設けることができる。
本発明の製造方法においては、HIP処理を終えた後に、得られたテルビウム含有パイロクロア型酸化物焼結体中に酸素欠損が生じてしまい、薄灰色の外観を呈する場合がある。その場合には、前記HIP処理温度以下(例えば、1100〜1500℃)、かつ前記HIP処理圧力と同等の条件にて微酸化アニール処理を施すことが好ましい。この場合、前記HIP処理設備と同じ設備を利用して微酸化アニール処理を行うと、製造プロセスが簡便となって良い。このアニール処理により、薄灰色の外観を呈してしまったテルビウム含有パイロクロア型酸化物焼結体も、すべて無色透明なセラミックス体に整えることができる。
本発明の製造方法においては、上記一連の製造工程を経たテルビウム含有パイロクロア型酸化物焼結体(即ち、透明セラミックス)について、その光学的に利用する軸上にある両端面を光学研磨することが好ましい。このときの光学面精度は測定波長λ=633nmの場合、λ/8以下が好ましく、λ/10以下が特に好ましい。なお、光学研磨された面に適宜反射防止膜を成膜することで光学損失を更に低減させることも可能である。
本発明の磁気光学材料は、磁気光学デバイス用途に好適であり、特に波長0.9〜1.1μmの光アイソレータのファラデー回転子として好適に使用される。
図1は、本発明の磁気光学材料からなるファラデー回転子を光学素子として有する光学デバイスである光アイソレータの一例を示す断面模式図である。図1において、光アイソレータ100は、本発明の磁気光学材料からなるファラデー回転子110を備え、該ファラデー回転子110の前後には、偏光材料である偏光子120及び検光子130が備えられている。また、光アイソレータ100は、偏光子120、ファラデー回転子110、検光子130の順序で配置され、それらの側面のうちの少なくとも1面に磁石140が載置されていることが好ましい。
また、上記光アイソレータ100は産業用ファイバーレーザー装置に好適に利用できる。即ち、レーザー光源から発したレーザー光の反射光が光源に戻り、発振が不安定になるのを防止するのに好適である。
上記式(1)において、Bサイト位置(上記式(1)におけるR)に単一元素を充填した例としてハフニウム、スズ、チタンを選定し、xを変化させた例について説明する。
信越化学工業(株)製の酸化テルビウム粉末、及びAmerican Elements社製の酸化ハフニウム粉末、並びに(株)高純度化学研究所製の酸化第2スズ粉末及び酸化チタン粉末を入手した。純度はいずれも99.9質量%以上であった。
上記原料を用いて、表1のような最終組成となる混合比率の計9種(3種×3水準)の混合酸化物原料を作製した。即ち、テルビウムのモル数と、ハフニウム、スズ又はチタンのモル数とがx=1.0、1.1、1.3となるように秤量した混合粉末(つまり、Tb2Hf2O7、Tb2.2Hf1.8O6.9、Tb2.6Hf1.4O6.7、Tb2Sn2O7、Tb2.2Sn1.8O6.9、Tb2.6Sn1.4O6.7、Tb2Ti2O7、Tb2.2Ti1.8O6.9、Tb2.6Ti1.4O6.7となるような混合粉末)をそれぞれ用意した。具体的には、酸化テルビウムと酸化ハフニウムをテルビウムとハフニウムがそれぞれ該当するモル比率となるよう秤量した混合粉末、酸化テルビウムと酸化第2スズをテルビウムとスズがそれぞれ該当するモル比率となるよう秤量した混合粉末、酸化テルビウムと酸化チタンをテルビウムとチタンがそれぞれ該当するモル比率となるよう秤量した混合粉末の9種を用意した。続いて、それぞれ互いの混入を防止するよう注意しながらエタノール中でジルコニア製ボールミル装置にて分散・混合処理した。処理時間は24時間であった。その後スプレードライ処理を行って、いずれも平均粒径が20μmの顆粒状原料を作製した。
得られた各焼結体をカーボンヒーター製HIP炉に仕込み、Ar中、200MPa、1650℃、3時間の条件でHIP処理した。
直線透過率は、NKT Photonics社製の光源とGentec社製のパワーメータ並びにGeフォトディテクタを用いて内製した光学系を用いて、波長1064nmの光を、ビーム径を1〜3mmφでの大きさで透過させたときの光の強度により測定され、以下の式に基づき、JIS K7361及びJIS K7136に準拠して求めた。
直線透過率(%/cm)=I/Io×100
(式中、Iは透過光強度(長さ10mm(1cm)の試料を直線透過した光の強度)、Ioは入射光強度を示す。)
ベルデ定数Vは、以下の式に基づいて求めた。なお、サンプルに印加される磁界の大きさ(H)は、上記測定系の寸法、残留磁束密度(Br)及び保持力(Hc)からシミュレーションにより算出した値を用いた。
θ=V×H×L
(式中、θはファラデー回転角(min)、Vはベルデ定数、Hは磁界の大きさ(Oe)、Lはファラデー回転子の長さ(この場合、1cm)である。)
なお、比較例1−4のTGG結晶(Tb3Ga5O12)及び比較例1−5のTSAG結晶((Tb(3-x)Scx)Sc2Al3O12)のベルデ定数は文献値(特開2011−213552号公報(特許文献1)を参照した。
熱レンズの発生しない入射パワーの最大値(熱レンズフリー入射パワー最大値)は、それぞれの入射パワーの光を1.6mmの空間光にして出射させ、そこへファラデー回転子を挿入した際の焦点距離の変化が0.1m以下となるときの最大入射パワーを読み取ることにより求めた。
以上の結果を表1にまとめて示す。
即ち、本実施例によればTGG結晶やTSAG結晶よりもベルデ定数が大きい0.21min/(Oe・cm)以上の磁気光学材料を作製できることが確認された。
上記式(1)において、Bサイト位置(上記式(1)におけるR)にジルコニウム単一元素を選定し、xを変化させた例について説明する。
信越化学工業(株)製の酸化テルビウム粉末、及び日産化学工業(株)製のジルコニア粉末を入手した。純度はいずれも99.9質量%以上であった。上記原料を用いて、x=1.0、1.1、1.3の計3種の酸化物原料(即ちTb2Zr2O7、Tb2.2Zr1.8O6.9、Tb2.6Zr1.4O6.7)を作製した。具体的には、酸化テルビウムと酸化ジルコニウムをテルビウムとジルコニウムがそれぞれ該当するモル比率となるよう秤量した混合粉末の3種を用意した。続いて、それぞれ互いの混入を防止するよう注意しながらエタノール中でジルコニア製ボールミル装置にて分散・混合処理した。処理時間は24時間であった。その後スプレードライ処理を行って、いずれも平均粒径が20μmの顆粒状原料を作製した。
得られた各焼結体をカーボンヒーター製HIP炉に仕込み、Ar中、200MPa、1650℃、3時間の条件でHIP処理した。
以上の結果を表2にまとめて示す。
即ち、本実施例によればTGG結晶やTSAG結晶よりもベルデ定数が大きい0.21min/(Oe・cm)以上の磁気光学材料を作製できることが確認された。
上記式(1)において、x=1.1とし、Bサイト位置にシリコン、ゲルマニウム、チタン、タンタル、スズよりなる群から実施例1の組成以外の組成となるように少なくとも1つを選択した例について説明する。
信越化学工業(株)製の酸化テルビウム粉末、及び(株)高純度化学研究所製のシリカ粉末、二酸化ゲルマニウム粉末、酸化チタン粉末、酸化第2スズ粉末、並びに昭和化学(株)製の五酸化タンタルを入手した。純度はいずれも99.9質量%以上であった。
上記原料を用いて、種々の複合酸化物原料を作製した。即ち、酸化テルビウムとシリカとジルコニアをテルビウムとシリコンとジルコニウムのモル比が2.2:0.9:0.9となるよう秤量した混合粉末、酸化テルビウムと二酸化ゲルマニウムとジルコニアをテルビウムとゲルマニウムとジルコニウムのモル比が2.2:0.9:0.9となるよう秤量した混合粉末、酸化テルビウムと酸化チタンと五酸化タンタルをテルビウムとチタンとタンタルのモル比が2.2:0.9:0.9となるよう秤量した混合粉末、酸化テルビウムと酸化第2スズと五酸化タンタルをテルビウムとスズとタンタルのモル比が2.2:0.9:0.9となるよう秤量した混合粉末、酸化テルビウムとシリカをテルビウムとシリコンのモル比が2.2:1.8となるよう秤量した混合粉末、酸化テルビウムと二酸化ゲルマニウムをテルビウムとゲルマニウムのモル比が2.2:1.8となるよう秤量した混合粉末、酸化テルビウムと五酸化タンタルをテルビウムとタンタルのモル比が2.2:1.8となるよう秤量した混合粉末を用意した。続いて、それぞれ互いの混入を防止するよう注意しながらエタノール中でジルコニア製ボールミル装置にて分散・混合処理した。処理時間は24時間であった。続いて、これらの粉末をイリジウムるつぼに入れ高温マッフル炉にて1400℃、3時間で焼成処理した。
次に、得られた各種原料を再度エタノール中でジルコニア製ボールミル装置にて分散・混合処理した。処理時間は40時間であった。その後再びスプレードライ処理を行って、いずれも平均粒径が20μmの顆粒状複合酸化物原料を作製した。
こうして得られた原料につき、それぞれ一軸プレス成形、198MPaの圧力での静水圧プレス処理を施してCIP成形体を得た。得られた成形体をマッフル炉中で1000℃、2時間の条件にて脱脂処理した。続いて当該乾燥成形体を真空加熱炉に仕込み、1700℃±20℃で3時間処理して種々の焼結体を得た。このとき、すべてのサンプルの焼結相対密度が95%になるように焼結温度を微調整した。
得られた各焼結体をカーボンヒーター製HIP炉に仕込み、Ar中、200MPa、1650℃、3時間の条件でHIP処理した。
これらの結果を表3にまとめて示す。
110 ファラデー回転子
120 偏光子
130 検光子
140 磁石
Claims (7)
- 下記式(1)で表される複合酸化物を主成分として含む透明セラミックス又は下記式(1)で表される複合酸化物の単結晶からなることを特徴とする磁気光学材料。
Tb2xR2(2-x)O8-x (1)
(式中、1<x<1.3、Rはシリコン、ゲルマニウム、チタン、タンタル、スズ、ハフニウム、ジルコニウムよりなる群から選択された少なくとも1つの元素である(ただし、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルについては当該元素単独であることを除く)。) - 波長1064nmでのベルデ定数が0.21min/(Oe・cm)以上である請求項1記載の磁気光学材料。
- 光路長10mm当たりの波長1064nmの光の直線透過率が85%以上である請求項1又は2記載の磁気光学材料。
- パイロクロア格子を有する立方晶を主相とする請求項1〜3のいずれか1項記載の磁気光学材料。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の磁気光学材料を用いて構成されることを特徴とする磁気光学デバイス。
- 上記磁気光学材料をファラデー回転子として備え、該ファラデー回転子の光学軸上の前後に偏光材料を備えた波長帯0.9μm以上1.1μm以下で利用可能な光アイソレータである請求項5記載の磁気光学デバイス。
- 上記ファラデー回転子は、その光学面に反射防止膜を有することを特徴とする請求項6記載の磁気光学デバイス。
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