以下、本発明の吸収体及び吸収性物品について説明する。
態様1Aに係る吸収体は、液体を一時的に貯留する貯留層と、前記貯留層に貯留された液体を吸収する吸収性コアと、前記吸収性コアの貯留層側の面を被覆する被覆層と、前記貯留層及び前記被覆層を一体化する一体化部とを有する吸収体であって、前記貯留層が、セルロース系吸水性繊維(以下「吸水性繊維」と略する場合がある)と、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物又はそれらの混合物をモノマー成分として含む熱可塑性樹脂繊維(以下「熱可塑性樹脂繊維」と略する場合がある)とを含有し、前記吸収性コアが、高吸水性ポリマー材料を含有し、前記被覆層が、セルロース系吸水性繊維(以下「吸水性繊維」と略する場合がある)を含有する、前記吸収体である。
態様1Aに係る吸収体では、一体化部によって貯留層と被覆層とが一体化しているので、使用環境下(特に湿潤状態)で生じるおそれがある貯留層と被覆層との剥離を防止することができる。また、貯留層の繊維間に形成された高度なネットワークにより、貯留層の強度(特に湿潤時の強度)が向上しているので、貯留層の強度低下によって生じるおそれがある貯留層と被覆層との剥離を防止することができる。
態様1Aに係る吸収体において、一体化部は、貯留層を被覆層とともに加熱処理することにより形成される。加熱処理としては、例えば、ヒートエンボス処理、加熱流体噴射処理等が挙げられ、加熱流体噴射処理としては、例えば、高圧水蒸気噴射処理、加熱空気噴射処理等が挙げられる。貯留層を被覆層とともに加熱処理すると、貯留層に含有される熱可塑性樹脂繊維が、被覆層に含有される吸水性繊維と熱融着し、貯留層と被覆層とが一体化する。これにより、貯留層と被覆層との界面剥離強度が増加する。特に、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物又はそれらの混合物をモノマー成分として含む熱可塑性樹脂繊維は、熱融着によるセルロース系吸水性繊維との接合強度が大きいので、被覆層に熱可塑性樹脂を含有させなくても、あるいは、被覆層に含有される熱可塑性樹脂の量を減少させても、十分な界面剥離強度が得ることができる。したがって、被覆層に含有される熱可塑性樹脂の疎水性に起因する、貯留層から吸収性コアへの液体移行性の低下を防止することができる。
態様1Aに係る吸収体において、被覆層は、吸収性コアの貯留層側の面を被覆する第1の被覆部分に加えて、吸収性コアの貯留層側と反対側の面を被覆する第2の被覆部分を有してもよい。この場合、一体化部は、貯留層及び第1の被覆部分を一体化する限り、貯留層及び第1の被覆部分とともに第2の被覆部分を一体化してもよいし、第2の被覆部分を一体化しなくてもよい。また、態様1Aに係る吸収体は、吸収性コアの貯留層側の面を被覆する第1の被覆層に加えて、吸収性コアの貯留層側と反対側の面を被覆する第2の被覆層を有していてもよい。この場合、一体化部は、貯留層及び第1の被覆層を一体化する限り、貯留層及び第1の被覆層とともに第2の被覆層を一体化してもよいし、第2の被覆層を一体化しなくてもよい。
態様1Aに係る吸収体において、前記貯留層に含有される繊維同士が接着していることが好ましい(態様2A)。態様2Aに係る吸収体では、貯留層の構成繊維同士の接着により、繊維間に高度なネットワークが形成されているので、貯留層の強度(特に湿潤時の強度)が向上している。したがって、態様2Aに係る吸収体は、貯留層の強度低下によって生じるおそれがある貯留層と被覆層との剥離を防止することができる。接着の態様としては、例えば、熱可塑性樹脂繊維の熱融着による熱可塑性樹脂繊維間又は熱可塑性樹脂繊維−吸水性繊維間の接着、水素結合による熱可塑性樹脂繊維間、吸水性繊維間又は熱可塑性樹脂繊維−吸水性繊維間の接着等が挙げられる。貯留層が、その他の繊維を含む場合、熱可塑性樹脂繊維及び/又は吸水性繊維は、その他の繊維と接着していてもよい。なお、水素結合は、貯留層に吸収された液体により切断される。
態様1A又は2Aに係る吸収体において、前記貯留層及び前記被覆層の乾燥時界面剥離強度が1.75〜4.23N/25mmであり、前記貯留層及び前記被覆層の湿潤時界面剥離強度が1.05〜2.63N/25mmであることが好ましい(態様3A)。態様3Aに係る吸収体は、液体吸収の前後を通じて(すなわち、乾燥時だけでなく湿潤時も)、貯留層と被覆層との剥離を防止することができる。
態様1A〜3Aに係る吸収体において、前記貯留層における前記吸水性繊維に対する前記熱可塑性樹脂繊維の質量比が1/9〜5/5であることが好ましい(態様4A)。態様4Aに係る吸収体において、1/9という下限は、繊維間のネットワーク形成度の観点から規定されたものであり、吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比が1/9以上であると、繊維間に高度なネットワークが形成されるので、貯留層に十分な強度(特に湿潤時の強度)を付与することができ、これにより、貯留層の強度低下によって生じるおそれがある貯留層と被覆層との剥離を防止することができる。一方、5/5という上限は、貯留層の液体吸収性の観点から規定されたものであり、吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比が5/5以下であると、貯留層に十分な液体吸収性(液体浸透性及び拡散性)を付与することができ、これにより、貯留層に一時的に貯留された液体を効率よく吸収性コアへ分配して供給し、吸収性コアで効率よく吸収させることができる。
態様4Aに係る吸収体において、前記貯留層の密度が0.06〜0.14g/cm3であることが好ましい(態様5A)。貯留層における吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比が1/9〜5/5であるとき、貯留層の密度が0.06〜0.14g/cm3であると、貯留層に十分な液体吸収性を付与することができる。
態様5Aに係る吸収体において、前記貯留層が、前記セルロース系吸水性繊維と、前記熱可塑性樹脂繊維とを含有する混合材料に高圧水蒸気を噴射して高密度化することにより得られたものであることが好ましい(態様6A)。態様6Aに係る吸収体では、高圧水蒸気の噴射を利用した高密度化により、貯留層の密度が所望の範囲に調節されている。混合材料に高圧水蒸気が噴射されると、混合材料の内部に水蒸気が浸透し、水素結合(例えば、吸水性繊維間、熱可塑性樹脂繊維間、吸水性繊維−熱可塑性樹脂繊維間等で形成された水素結合)が切断され、混合材料が軟化する。したがって、高密度化に要する圧力が減少し、軟化した混合材料は容易に密度調整が可能である。密度調整された混合材料が乾燥して水素結合が再形成されると、繊維の弾性回復(嵩の増加)が抑制され、貯留層の密度が一定範囲に維持される。態様6Aは、熱可塑性樹脂繊維に不飽和カルボン酸無水物(例えば、無水マレイン酸又はその誘導体)がモノマー成分として含まれる場合に、特に好適である。熱可塑性樹脂繊維に含まれる不飽和カルボン酸無水物基が水蒸気と反応して不飽和カルボン酸基となると、水素結合を形成可能な酸素原子の数が増加するので、高密度化された繊維の弾性回復(嵩の増加)が効果的に抑制される。
態様5A又は6Aに係る吸収体おいて、前記貯留層の坪量が40〜900g/m2であることが好ましい(態様7A)。坪量が40g/m2未満であると、熱可塑性樹脂繊維の繊維量が不十分となり、貯留層の強度(特に湿潤時の強度)が低下するおそれがある一方、900g/m2を越えると、熱可塑性樹脂繊維の繊維量が過剰となり、貯留層の剛性が高くなりすぎるおそれがある。
態様1A〜7Aに係る吸収体において、前記熱可塑性樹脂繊維が、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物又はそれらの混合物を含むビニルモノマーでグラフト重合された変性ポリオレフィンあるいは該変性ポリオレフィンと他の樹脂との混合ポリマーを鞘成分とし、前記変性ポリオレフィンよりも融点が高い樹脂を芯成分とする芯鞘型複合繊維であることが好ましい(態様8A)。
態様1A〜8Aに係る吸収体において、前記不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物又はそれらの混合物が、マレイン酸又はその誘導体、無水マレイン酸又はその誘導体、あるいはそれらの混合物であることが好ましい(態様9A)。
態様1A〜9Aに係る吸収体において、前記貯留層における乾燥時の最大引張り強度と湿潤時の最大引張り強度との差が1〜5N/25mmであることが好ましい(態様10A)。態様10Aに係る吸収体では、貯留層が、液体吸収の前後を通じて(すなわち、乾燥時だけでなく湿潤時も)、被覆層との一体化構造を保持するのに十分な強度を有する。
態様1Bに係る吸収性物品は、液透過性層と、液不透過性層と、態様1A〜10Aのいずれか一態様に係る吸収体とを備えた吸収性物品であって、前記貯留層が前記液透過性層及び前記吸収性コアの間に位置するように、前記吸収体が前記液透過性層及び前記液不透過性層の間に設けられている前記吸収性物品である。態様1Bに係る吸収性物品は、具備する吸収体の態様に応じて、態様1A〜10Aに係る吸収体と同様の作用効果を発揮することができる。
本発明の吸収性物品の種類及び用途は特に限定されるものではない。吸収性物品としては、例えば、使い捨てオムツ、生理用ナプキン、パンティーライナー、失禁パッド、汗取りシート等の衛生用品・生理用品が挙げられ、これらはヒトを対象としてもよいし、ペット等のヒト以外の動物を対象としてもよい。本発明の吸収性物品が吸収対象とする液体は特に限定されるものではなく、例えば、着用者の液状排泄物、体液等が挙げられる。
以下、使い捨てオムツを例として、図面に基づいて、本発明の吸収性物品の一実施形態を説明する。
図1及び図2に示すように、本発明の吸収性物品の一実施形態に係るオムツ1は、着用者の腹部に当てられる前面部11と、着用者の股間部に当てられる中間部12と、着用者の尻部及び/又は背部に当てられる後面部13とを有している。なお、図2において、X軸方向は展開状態のオムツ1の幅方向に、Y軸方向は展開状態のオムツ1の長手方向に、X軸Y軸方向に広がる平面の方向は展開状態のオムツ1の平面方向に相当する。他の図においても同様である。
図1に示すように、接合部14a,14bにおいて、前面部11の両側部111a,111b及び後面部13の両側部131a,131bが互いに接合されることにより、前面部11の端部112と後面部13の端部132とによってウエスト開口部が形成されているとともに、中間部12の両側部121a,121bによってレッグ開口部が形成されており、オムツ1は、パンツ型の形状を有している。
図1〜図3に示すように、オムツ1は、液透過性のトップシート2と、液不透過性のバックシート3と、トップシート2及びバックシート3の間に設けられた吸収体4とを備えている。以下、これらの部材について説明する。
<トップシート>
トップシート2は、液透過性層の一例である。
図1〜3に示すように、トップシート2の一部(吸収体4の配置領域の一部)は、後述するカバーシート6の略中央に形成された開口部61から露出し、オムツ1の肌側表面を構成している。なお、吸収体4の配置領域は、吸収体4をトップシート2に投影したときに、吸収体4がトップシート2と重なる領域であり、本実施形態ではトップシート2の略全体である(図2参照)。
トップシート2は、着用者の液状排泄物が透過可能な液透過性シートである。トップシート2としては、例えば、不織布、織布、液体透過孔が形成された合成樹脂フィルム、網目を有するネット状シート等が挙げられるが、好ましくは不織布である。
不織布としては、例えば、エアースルー不織布、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布、メルトブローン不織布、及びこれらの組み合わせ(例えば、SMS等)等が挙げられる。
不織布を構成する繊維としては、例えば、天然繊維(羊毛,コットン等)、再生繊維(レーヨン,アセテート等)、無機繊維(ガラス繊維,炭素繊維等)、合成樹脂繊維(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、アイオノマー樹脂等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタラート、ポリトリメチレンテレフタラート、ポリ乳酸等のポリエステル;ナイロン等のポリアミド)等が挙げられる。不織布を構成する繊維の形態としては、例えば、芯・鞘型繊維、サイド・バイ・サイド型繊維、島/海型繊維等の複合繊維;中空タイプの繊維;扁平、Y型、C型等の異型繊維;潜在捲縮又は顕在捲縮の立体捲縮繊維;水流、熱、エンボス加工等の物理的負荷により分割する分割繊維等が挙げられる。
不織布の製造方法としては、例えば、ウェブ(フリース)を形成し、繊維同士を物理的・化学的に結合させる方法が挙げられ、ウェブの形成方法としては、例えば、スパンボンド法、乾式法(カード法、スパンボンド法、メルトブローン法、エアレイド法等)、湿式法等が挙げられ、結合方法としては、例えば、サーマルボンド法、ケミカルボンド法、ニードルパンチ法、ステッチボンド法、スパンレース法等が挙げられる。このようにして製造された不織布の他、水流交絡法によりシート状に形成したスパンレースをトップシート2として使用してもよい。また、肌側の面に凹凸をつけた不織布(例えば、熱収縮繊維等を含有する下層側を収縮させることで上層側に凹凸を形成した不織布、ウェブ形成時にエアーを当てることで凹凸を形成した不織布等)をトップシート2として使用してもよい。このように肌側の面に凹凸を形成することにより、トップシート2と肌との間の接触面積が低減する。
トップシート2の厚み、坪量、密度等は、着用者の液状排泄物が透過し得る範囲で適宜調整される。トップシート2として不織布を使用する場合、液状排泄物の透過性、肌触り等の観点から、不織布を構成する繊維の繊度、繊維長、密度、不織布の坪量、厚み等が適宜調整される。
トップシート2の隠ぺい性を高める観点から、トップシート2として使用する不織布に酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の無機フィラーを含有させてもよい。不織布の繊維が芯鞘タイプの複合繊維である場合、芯のみに無機フィラーを含有させてもよいし、鞘のみに含有させてもよい。
<バックシート>
バックシート3は、液不透過性層の一例である。
図1〜図3に示すように、バックシート3は、オムツ1の着衣側表面を構成している。
バックシート3は、吸収体4に吸収・保持される液状排泄物の漏れを防止可能な液不透過性シートである。バックシート3としては、例えば、防水処理を施した不織布(例えば、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布等)、合成樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等)フィルム、不織布と合成樹脂フィルムとの複合シート等が挙げられる。
バックシート3の材料、厚み、坪量、密度等は、吸収体4に吸収・保持される液状排泄物の漏れを防止可能な範囲で適宜調整することができる。バックシート3は、着用時のムレを低減させるために、液不透過性に加えて、通気性又は透湿性を有することが好ましい。
<吸収体>
図2に示すように、吸収体4は、前面部11から中間部12を通じて後面部13に至るように配置されている。
図3及び図4に示すように、吸収体4は、トップシート2を通過した液状排泄物を一時的に貯留する貯留層41と、貯留層41に貯留された液状排泄物を吸収する吸収性コア42と、吸収性コア42の貯留層41側の面及びその反対側の面を被覆するコアラップ43a,43bと、貯留層41及びコアラップ43aを一体化するする一体化部44とを有しており、トップシート2を通過した液状排泄物は、貯留層41に一時的に貯留された後、貯留層41から吸収性コア42へ分配して供給され、吸収性コア42で吸収・保持される。図3に示すように、吸収体4は、貯留層41がトップシート2と吸収性コア42との間に位置するように、トップシート2とバックシート3との間に設けられている。なお、図3においてコアラップ43a,43bの図示は省略されている。
図4に示すように、貯留層41は、コアラップ43aに直接積層されており、コアラップ43aとの界面を有する。この界面の剥離は、後述するように、一体化部44によって防止されている。
貯留層41は、セルロース系吸水性繊維(以下「吸水性繊維」と略する場合がある)と、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物又はそれらの混合物をモノマー成分として含む熱可塑性樹脂繊維(以下「熱可塑性樹脂繊維」と略する場合がある)とを含有する。吸水性繊維は、主として貯留層41の液体吸収性・貯留性に関与し、熱可塑性樹脂繊維は、主として貯留層41の強度(特に湿潤時の強度)に関与する。
吸水性繊維及び熱可塑性樹脂繊維は、混合状態で貯留層41に含有されている。繊維同士の交点(例えば、熱可塑性樹脂繊維同士の交点、熱可塑性樹脂繊維と吸水性繊維との交点)は、熱可塑性樹脂繊維の熱融着により接着している。また、繊維同士は機械的に交絡され、熱可塑性樹脂繊維間、吸水性繊維間又は熱可塑性樹脂繊維−吸水性繊維間に形成された水素結合により接着している。貯留層41が、その他の繊維を含む場合、熱可塑性樹脂繊維及び/又は吸水性繊維は、その他の繊維と接着していてもよい。
熱融着は、例えば、吸水性繊維及び熱可塑性樹脂繊維を含有する混合材料を熱可塑性樹脂繊維の融点以上の温度で加熱することにより実施される。加熱温度は、熱可塑性樹脂繊維の種類に応じて適宜調節することができる。熱可塑性樹脂繊維の融点以上の温度は、熱可塑性樹脂繊維の一部が融解する温度以上であればよく、例えば、熱可塑性樹脂繊維が芯鞘型複合繊維である場合、鞘成分が融解する温度以上であればよい。
貯留層41に含有される繊維同士の接着により、繊維間に高度なネットワークが形成されているので、貯留層41の強度(特に湿潤時の強度)が向上している。これにより、使用環境下(特に湿潤状態)において、貯留層41の強度低下によって生じるおそれがある貯留層41と被覆層43aとの剥離を防止することができる。
貯留層41における吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比(熱可塑性樹脂繊維/吸水性繊維)は、好ましくは1/9以上である。1/9という下限は、繊維間のネットワーク形成度の観点から規定されたものであり、吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比が1/9以上であると、繊維間に高度なネットワークが形成されるので、貯留層41に十分な強度(特に湿潤時の強度)を付与することができ、これにより、貯留層41の強度低下によって生じるおそれがある貯留層41と被覆層43aとの剥離を防止することができる。一方、5/5という上限は、貯留層41の液体吸収性の観点から規定されたものであり、吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比が5/5以下であると、貯留層41に十分な液体吸収性(液体浸透性及び拡散性)を付与することができ、これにより、貯留層41に一時的に貯留された液状排泄物を効率よく吸収性コアへ分配して供給し、吸収性コアで効率よく吸収させることができる。
貯留層41における吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比(熱可塑性樹脂繊維/吸水性繊維)が大きくなるほど、貯留層41の繊維間ネットワーク形成度及び強度(特に湿潤時の強度)は大きくなる。例えば、吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比が、1/9、1.5/8.5、2/8、2.5/7.5、3/7、3.5/6.5、4/6、4.5/5.5と大きくなるに伴って、貯留層41の繊維間ネットワーク形成度及び強度は大きくなる。したがって、1/9、1.5/8.5、2/8、2.5/7.5、3/7、3.5/6.5、4/6、4.5/5.5という質量比は、貯留層41の繊維間ネットワーク形成度及び強度を大きくする観点から、吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比の下限としての意義を有し得る。
貯留層41における吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比(熱可塑性樹脂繊維/吸水性繊維)の上限は、好ましくは5/5である。5/5という上限は、貯留層41の液体吸収性の観点から規定されたものであり、吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比が5/5以下であると、貯留層41に十分な液体吸収性(液体浸透性及び拡散性)を付与することができる。したがって、貯留層41は、一時的に貯留された液状排泄物を効率よく吸収性コア42へ分配して供給することができ、これにより、吸収性コア42における効率的な液状排泄物の吸収が実現可能となる。
貯留層41における吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比(熱可塑性樹脂繊維/吸水性繊維)が小さくなるほど、熱可塑性樹脂繊維の疎水性の影響が弱まり、貯留層41の液体吸収性は大きくなる。例えば、吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比が、5/5、4.5/5.5、4/6、3.5/6.5、3/7、2.5/7.5、2/8、1.5/8.5と小さくなるに伴って、貯留層41の液体吸収性は大きくなる。したがって、5/5、4.5/5.5、4/6、3.5/6.5、3/7、2.5/7.5、2/8、1.5/8.5という質量比は、貯留層41の液体吸収性を大きくする観点から、吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比の上限としての意義を有し得る。
貯留層41における吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比(熱可塑性樹脂繊維/吸水性繊維)は、貯留層41の繊維間ネットワーク形成度、強度(特に湿潤時の強度)及び液体吸収性の観点から、好ましくは1/9〜5/5、さらに好ましくは2/8〜4/6である。
所望の強度(特に湿潤時の強度)は、貯留層41における吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比を調整した上で、貯留層41の製造条件(例えば、熱融着の際の加熱条件)等を調整することにより、実現することができる。例えば、吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量混合比が1/9以上である繊維材料に対して、130〜220℃、好ましくは140〜180℃の熱風を、風量2.5〜30m/秒、好ましくは5〜20m/秒で、0.5〜60秒間、好ましくは5〜30秒間、吹き付けることにより、所望の強度(特に湿潤時の強度)を実現することができる。熱風の吹き付けは、例えば、エアースルー方式で実施することができる。なお、熱風の吹き付けは、加熱処理の一例である。加熱処理は、熱可塑性樹脂繊維の融点以上の温度に加熱可能である限り特に限定されない。加熱処理は、熱風の他、マイクロウェーブ、蒸気、赤外線等の熱媒体を使用して実施することができる。
貯留層41の密度は、好ましくは0.06〜0.14g/cm3、さらに好ましくは0.07〜0.12g/cm3、さらに一層好ましくは0.08〜0.1g/cm3である。貯留層41における吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比が1/9〜5/5であるとき、貯留層41の密度が0.06〜0.14g/cm3であると、貯留層41に対して十分な液体吸収性を付与することができる。
貯留層41の密度は、次式に基づいて算出する。
D(g/cm3)=B(g/m2)/T(mm)×10-3
[式中、D、B及びTは、それぞれ、貯留層41の密度、坪量及び厚みを表す。]
貯留層41の坪量(g/m2)は、次式に基づいて算出する。
貯留層41から100mm×100mmのサンプル片を3枚切り出し、標準状態(温度23±2℃,相対湿度50±5%)における各サンプル片の質量を直示天秤(例えば、研精工業株式会社製 電子天秤HF−300)で測定し、3つの測定値の平均値から算出した貯留層41の単位面積当たりの質量(g/m2)を、貯留層41の坪量とする。
なお、貯留層41の坪量の測定に関し、上記で特に規定しない測定条件については、ISO 9073−1又はJIS L 1913 6.2に記載の測定条件を採用する。
貯留層41の厚み(mm)の測定は、以下の通り、実施する。
厚み計(例えば、株式会社大栄科学精器製作所製 FS−60DS,測定面44mm(直径),測定圧3g/cm2)により、標準状態(温度23±2℃,相対湿度50±5%)における貯留層41の異なる5つの部位(厚み計FS−60DSを使用する場合、各部位の直径は44mm)を定圧3g/cm2で加圧し、各部位における加圧10秒後の厚みを測定し、5つの測定値の平均値を、貯留層41の厚みとする。
貯留層41の密度は、吸水性繊維及び熱可塑性樹脂繊維を含有する混合材料の高密度化により、所望の範囲に調節することができる。貯留層41の密度を一定範囲に維持するためには、繊維の弾性回復を抑制し、貯留層41の嵩を一定範囲に維持する必要がある。この点、水素結合(例えば、吸水性繊維間、熱可塑性樹脂繊維間、吸水性繊維−熱可塑性樹脂繊維間等で形成された水素結合)が、貯留層41の嵩の維持に寄与する。水素結合は、例えば、熱可塑性樹脂繊維の酸素原子(例えば、カルボキシル基、アシル基、エーテル結合等の酸素原子)と、セルロースの水素原子(例えば、水酸基の水素原子)との間で形成される。なお、水素結合は、貯留層41に吸収された液体により切断される。
貯留層41の乾燥時最大引張り強度(坪量200g/m2における最大引張り強度)は、好ましくは3〜36N/25mm、さらに好ましくは8〜20N/25mmであり、貯留層41の湿潤時最大引張り強度(坪量200g/m2における最大引張り強度)は、好ましくは2〜32N/25mm、さらに好ましくは5〜15N/25mmである。これにより、貯留層41は、液体吸収の前後を通じて(すなわち、乾燥時だけでなく湿潤時も)十分な強度を保持することができる。貯留層41における吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比が1/9以上であることは、このような貯留層41の強度が実現されるための必要条件である。なお、「N/25mm」は、貯留層41の平面方向における幅25mmあたりの最大引張り強度(N)を意味し、貯留層41の平面方向としては、例えば、貯留層41の製造時の搬送方向(MD方向)、MD方向と直交する方向(CD方向)等が挙げられるが、好ましくはMD方向である。
貯留層41の乾燥時最大引張り強度の測定は、以下の通り、実施する。
標準時(温度20℃,湿度60%の雰囲気下)のサンプル片(長さ150mm×幅25mm)を、引張試験機(島津製作所製,AG−1kNI)につかみ間隔100mmで取り付け、100mm/分の引張速度でサンプル片が切断されるまで荷重(最大点荷重)を加え、最大引張り強度(N/25mm)を測定する。なお、「N/25mm」は、サンプル片の長さ方向における幅25mmあたりの最大引張り強度(N)を意味する。
貯留層41の湿潤時最大引張り強度の測定は、以下の通り、実施する。
サンプル片(長さ150mm×幅25mm)をイオン交換水中にそれが自重で沈下するまで浸漬した後、又はサンプル片を1時間以上水中に沈めた後、乾燥時最大引張り強度と同様にして、最大引張り強度(N/25mm)を測定する。なお、「N/25mm」は、サンプル片の長さ方向における幅25mmあたりの最大引張り強度(N)を意味する。
乾燥時及び湿潤時最大引張り強度の測定に関し、上記で特に規定しない測定条件については、ISO 9073−3又はJIS L 1913:2010 6.3に記載の測定条件を採用する。
貯留層41の乾燥時最大引張り強度と湿潤時最大引張り強度との差(乾燥時最大引張り強度−湿潤時最大引張り強度)は、好ましくは1〜5N/25mm、さらに好ましくは2〜4N/25mmである。これにより、貯留層41は、液体吸収の前後を通じて(すなわち、乾燥時だけでなく湿潤時も)、被覆層43aとの一体化構造を保持するのに十分な強度を有する。貯留層41における吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比が1/9以上であることは、このような貯留層41の強度が実現されるための必要条件である。なお、乾燥時に形成されている水素結合は、湿潤時に切断されるので、乾燥時最大引張り強度と湿潤時最大引張り強度との差は、水素結合量の指標となる。
貯留層41に含有されるセルロース系吸水性繊維としては、例えば、針葉樹又は広葉樹を原料として得られる木材パルプ(例えば、砕木パルプ、リファイナーグランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ等の機械パルプ;クラフトパルプ、サルファイドパルプ、アルカリパルプ等の化学パルプ;半化学パルプ等);木材パルプに化学処理を施して得られるマーセル化パルプ又は架橋パルプ;バガス、ケナフ、竹、麻、綿(例えばコットンリンター)等の非木材パルプ;レーヨン繊維等の再生繊維等が挙げられる。
貯留層41に含有される熱可塑性樹脂繊維は、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物又はそれらの混合物をモノマー成分として含む熱可塑性樹脂繊維である限り特に限定されるものではなく、強度、水素結合性、熱融着性等の観点から、適宜選択することができる。
貯留層41に含有される熱可塑性樹脂繊維としては、例えば、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物又はそれらの混合物を含むビニルモノマーでグラフト重合された変性ポリオレフィンあるいは該変性ポリオレフィンと他の樹脂との混合ポリマーを鞘成分とし、該変性ポリオレフィンよりも融点が高い樹脂を芯成分とする芯鞘型複合繊維等が挙げられる。
不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸無水物としては、例えば、マレイン酸又はその誘導体、無水マレイン酸又はその誘導体、フマル酸又はその誘導体、マロン酸の不飽和誘導体、コハク酸の不飽和誘導体等のビニルモノマーが挙げられ、それ以外のビニルモノマーとしては、ラジカル重合性を有する汎用モノマー、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。マレイン酸の誘導体又は無水マレイン酸の誘導体としては、例えば、シトラコン酸、無水シトラコン酸、無水ピロシンコン酸等が挙げられ、フマル酸の誘導体又はマロン酸の不飽和誘導体としては、例えば、3−ブテン−1,1−ジカルボン酸、ベンジリデンマロン酸、イソプロピリデンマロン酸等が挙げられ、コハク酸の不飽和誘導体としては、例えば、イタコン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
変性ポリオレフィンの幹ポリマーとしては、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン、ポリブチレン、これらを主体とした共重合体(例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、アイオノマー樹脂等)が挙げられる。
幹ポリマーに対するビニルモノマーのグラフト重合は、例えば、ラジカル開始剤を用いて、ポリオレフィンに不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸無水物とビニルモノマーとを混合し、ランダム共重合体からなる側鎖を導入する方法、異種モノマーを順次重合し、ブロック共重合体からなる側鎖を導入する方法等の常法に従って実施することができる。
鞘成分は、変性ポリオレフィン単独であってもよいし、変性ポリオレフィンと他の樹脂との混合ポリマーであってもよい。他の樹脂としてはポリオレフィンが好ましく、変性ポリオレフィンの幹ポリマーと同種のポリオレフィンがさらに好ましい。例えば、幹ポリマーがポリエチレンである場合、他の樹脂もポリエチレンであることが好ましい。
芯成分として使用される樹脂は、変性ポリオレフィンよりも融点が高い樹脂である限り特に限定されず、例えば、6−ナイロン、6,6−ナイロン等のポリアミド;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸をはじめとする直鎖状又は分岐鎖状の炭素数20までのポリヒドロキシアルカン酸等のポリエステル及びこれらを主体とした共重合体、あるいはアルキレンテレフタレートを主成分として他の成分を少量共重合してなる共重合ポリエステル等が挙げられる。弾性反発性を有するのでクッション性が高いという観点、工業的に安価に得られるという経済的な観点等から、PETが好ましい。
芯成分に対する鞘成分の複合比は10/90〜90/10の範囲なら紡糸可能であるが、30/70〜70/30が好ましい。鞘成分比が減少し過ぎると熱融着性が低下し、増加し過ぎると紡糸性が低下する。
貯留層41に含有される熱可塑性樹脂繊維には、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、造核剤、エポキシ安定剤、滑剤、抗菌剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、可塑剤等の添加剤を必要に応じて添加してもよい。熱可塑性樹脂繊維は、界面活性剤、親水剤等により親水化処理されていることが好ましい。
貯留層41に含有される熱可塑性樹脂繊維の繊維長は、特に限定されないが、エアレイド方式でパルプと混合する場合、好ましくは3〜70mm、さらに好ましくは5〜20mmである。この範囲を下回ると、吸水性繊維との接合点の数が減少するため、貯留層41に対して十分な強度を付与することができない。一方、この範囲を上回ると、解繊性が著しく低下して未解繊状態のものが多数発生するため、地合ムラが発生し、貯留層41の均一性が低下する。また、熱可塑性樹脂繊維の繊度は、好ましくは0.5〜10dtex、さらに好ましくは1.5〜5dtexである。繊度が0.5dtex未満であると解繊性が低下し、10dtexを超えると繊維本数が少なくなり強度が低下する。
貯留層41に含有される熱可塑性樹脂繊維には、3次元捲縮形状を付与してもよい。これにより、繊維配向が平面方向に向いた場合でも、繊維の挫屈強度が厚み方向に働くので、外圧が加えられても潰れにくくなる。3次元捲縮形状としては、例えば、ジクザク状、Ω状、スパイラル状等が挙げられ、3次元捲縮形状の付与方法としては、例えば、機械捲縮、熱収縮による形状付与等が挙げられる。機械捲縮は、紡糸後の連続で直鎖状の繊維に対し、ライン速度の周速差、熱、加圧等によって制御可能であり、単位長さ辺りの捲縮個数が多いほど外圧下に対する挫屈強度が高められる。捲縮個数は、通常5〜35個/インチ、好ましくは15〜30個/インチである。熱収縮による形状付与では、例えば、融点の異なる2種以上の樹脂からなる繊維に熱を加えることにより、融点差に起因して生じる熱収縮の差を利用して、3次元捲縮が可能である。繊維断面の形状としては、例えば、芯鞘型複合繊維の偏芯タイプ、サイドバイサイドタイプが挙げられる。このような繊維の熱収縮率は、好ましくは5〜90%、さらに好ましくは10〜80%である。
貯留層41の厚み、坪量等は、オムツ1が備えるべき特性(例えば吸収性、強度、軽量性等)に応じて適宜調整することができる。貯留層41の厚みは、通常0.1〜15mm、好ましくは1〜10mm、さらに好ましくは2〜5mmであり、坪量は、通常20〜1000g/m2、好ましくは40〜900g/m2、さらに好ましくは100〜400g/m2である。坪量が40g/m2未満であると、熱可塑性樹脂繊維の繊維量が不十分となり、貯留層41の強度(特に湿潤時の強度)が保持できないおそれがある一方、900g/m2を越えると、熱可塑性樹脂繊維の繊維量が過剰となり、貯留層41の剛性が高くなりすぎるおそれがある。なお、貯留層41の厚さ、坪量等は、全体にわたって一定であってもよいし、部分的に異なっていてもよい。
貯留層41は、トップシート2及び貯留層41を貫通する貫通孔により、トップシート2と一体化されていてもよい。これにより、粘度が高い液体(例えば、経血)の吸収性・収容性が向上する。トップシート2及び貯留層41を貫通する貫通孔の開孔率(トップシート2の面積に対する貫通孔の総面積の割合)は、好ましくは0.1〜20%、さらに好ましくは1〜10%であり、貫通孔の径は、好ましくは0.1〜5mm、さらに好ましくは0.5〜3mmであり、貫通孔の間隔は、好ましくは0.2〜30mm、さらに好ましくは5〜20mmである。
貯留層41に含有される熱可塑性樹脂繊維は、色素等により着色されていてもよい。これにより、吸水性繊維と熱可塑性樹脂繊維とが均一に分散されているか否かの視認が容易である。また、吸収された液体の色をマスキングすることができる。例えば、吸収される液体が尿である場合には青色系に、経血である場合には緑色系に着色しておくことにより、着用者に清潔感を感じさせることができる。
貯留層41には、所望の機能を付与するために、銀、銅、亜鉛、シリカ、活性炭、アルミノケイ酸塩化合物、ゼオライト等を含有させてもよい。これにより、消臭性、抗菌性、吸熱効果等の機能を付与することができる。
貯留層41は、吸水性繊維及び熱可塑性樹脂繊維を含有する混合材料に高圧水蒸気を噴射して高密度化することにより得られたものであることが好ましい。貯留層41の密度は、高圧水蒸気の噴射を利用した高密度化により所望の範囲に調節することができる。混合材料に高圧水蒸気が噴射されると、混合材料の内部に水蒸気が浸透し、水素結合(例えば、吸水性繊維間、熱可塑性樹脂繊維間、吸水性繊維−熱可塑性樹脂繊維間等で形成された水素結合)が切断され、混合材料が軟化する。したがって、高密度化に要する圧力が減少し、軟化した混合材料は容易に密度調整可能である。密度調整された混合材料が乾燥して水素結合が再形成されると、繊維の弾性回復(嵩の増加)が抑制され、貯留層41の密度が一定範囲に維持される。
高圧水蒸気の噴射による高密度化は、熱可塑性樹脂繊維に不飽和カルボン酸無水物(例えば、無水マレイン酸又はその誘導体)がモノマー成分として含まれる場合に、特に好適である。熱可塑性樹脂繊維に含まれる不飽和カルボン酸無水物基が水蒸気と反応して不飽和カルボン酸基となると、水素結合を形成可能な酸素原子の数が増加するので、密度調整された繊維の弾性回復(嵩の増加)が効果的に抑制される。
高圧水蒸気の噴射による高密度化は、例えば、熱可塑性樹脂繊維を吸水性繊維と接着させた後に実施される。高圧水蒸気の温度、蒸気圧等は、求められる繊維密度範囲等に応じて適宜調節される。高圧水蒸気の温度は、熱可塑性樹脂繊維の融点(例えば、熱可塑性樹脂繊維が芯鞘型複合繊維である場合、鞘成分の融点)未満であることが好ましい。高圧水蒸気は、単位表面積あたり0.03kg/m2〜1.23kg/m2で噴射することが好ましい。高圧水蒸気の蒸気圧力は、通常0.1〜2Mpa、好ましくは0.3〜0.8Mpaである。
高圧水蒸気の噴射による高密度化を実施する場合、貯留層41の坪量は、好ましくは40〜900g/m2、さらに好ましくは100〜400g/m2である。繊維坪量が40g/m2未満であると、繊維量が少な過ぎるため、高圧水蒸気の噴射による高密度化が困難となる一方、900g/m2を越えると、繊維量が多過ぎるため、水蒸気の内部浸透が困難となる。
高圧水蒸気の噴射により、貯留層41の表面に畝部及び溝部を形成することができる。畝部及び溝部の数、間隔等は、高圧水蒸気を噴射するノズルの数、ピッチ等に応じて変化する。なお、高圧水蒸気が噴射される部分が溝部となる。畝部及び溝部は、貯留層41のトップシート2側の面に形成されていてもよいし、貯留層41のバックシート3側の面に形成されていてもよい。
畝部及び溝部は、貯留層41の長手方向(Y軸方向)に延び、貯留層41の幅方向(X軸方向)に交互に配置されるように形成することができる。畝部及び溝部は、貯留層41の長手方向(Y軸方向)に向けて連続して延びていてもよいし、その一部を欠いた状態で断続的に延びていてもよい。例えば、畝部及び溝部を欠く部分が平面視矩形状、平面視千鳥状等の形状となるように、畝部及び溝部が断続的に延びていてもよい。
また、畝部及び溝部は、貯留層41の幅方向(X軸方向)に延び、貯留層41の長手方向(Y軸方向)に交互に配置されるように形成することができる。畝部及び溝部は、貯留層41の幅方向(X軸方向)に向けて連続して延びていてもよいし、その一部を欠いた状態で断続的に延びていてもよい。例えば、畝部又は溝部を欠く部分が平面視矩形状、平面視千鳥状等の形状となるように、畝部又は溝部が断続的に延びていてもよい。貯留層41のトップシート2側の面又はバックシート3側の面に、貯留層41の幅方向(X軸方向)に延びる複数の畝部及び溝部が形成されている場合、貯留層41の幅方向に力が加わっても、貯留層41がヨレにくく、着用者の体の形に沿って貯留層41が曲面状に変形しやすい。したがって、着用者に違和感を与えにくい。
畝部の形状は特に限定されない。例えば、畝部の頂部及び側面は曲面であり、畝部の断面形状は、トップシート又はバックシートに向かって略逆U字型形状である。畝部の断面形状は適宜変更可能であり、例えば、ドーム状、台形状、三角状、Ω状四角状等であってもよい。貯留層41に力が加えられて畝部が潰されても、溝部の空間が維持されるように、畝部の幅は底部から頂部に向けて狭くなっていることが好ましい。
畝部の幅は、トップシート2からの液体移行性の観点から、好ましくは0.5〜10mmであり、さらに好ましくは2〜5mmである。同様の観点から、溝部の幅は、好ましくは0.1〜10mmであり、さらに好ましくは1〜5mmである。
複数の畝部が形成される場合、畝部の幅は略同一であってもよいし、異なっていてもよい。例えば、1つの畝部の幅は別の畝部の幅と異なるが、さらに別の畝部の幅と略同一であるように複数の畝部を形成することができる。複数の溝部が形成される場合も同様である。
高圧水蒸気は、混合材料の全体に噴射してもよいし、一部に噴射してもよい。また、噴射する高圧水蒸気の温度、蒸気圧等を混合材料の部分ごとに変化させてもよい。高圧水蒸気を混合材料に部分的に噴射することにより、又は噴射する高圧水蒸気の温度、蒸気圧等を混合材料の部分ごとに変化させることにより、貯留層41の繊維密度分布を変化させることができる。
高圧水蒸気は、混合材料をプレスしながら噴射してもよいし、プレスせずに噴射してもよい。混合材料の一部分はプレスしながら高圧水蒸気を噴射し、他の部分はプレスせずに高圧水蒸気を噴射することにより、貯留層41の繊維密度分布を変化させることができる。例えば、一部が開口するメッシュコンベアベルト間を通過させながら混合材料に高圧水蒸気を噴射すると、メッシュコンベアベルトの開口部分ではプレスされることなく高圧水蒸気が直接当てられ、メッシュコンベアベルトの非開口部分ではプレスされながら高圧水蒸気が当てられるので、繊維密度分布を変化させることができる。
なお、高圧水蒸気の噴射により高密度化する場合、他の方法と比較して、次の点で有利である。プレスロール成形によって混合材料を高密度化する場合、繊維の反発力に勝る繊維間結合力を付与するために高圧縮が必要である。また、高圧縮により一旦は圧縮されても、繊維が弾性回復し、嵩が元に戻ってしまう。一方、プレスロールと水スプレーを組み合わせて混合材料を高密度化する場合、坪量が100g/m2以下であれば、混合材料の内部に水分を浸透させることができるが、坪量が100g/m2を超えると、混合材料の内部に水分を浸透させることが困難となり、混合材料の内部に水素結合を形成させることができない。また、過剰な水分を与えれば、混合材料の内部に水分を浸透させることが可能となるが、この場合、水分を蒸発させるために過剰な熱量と時間を要するため、生産性が低下する。これに対して、高圧水蒸気の噴射により高密度化する場合、混合材料の内部に水蒸気が浸透し、水素結合(例えば、吸水性繊維間、熱可塑性樹脂繊維間、吸水性繊維−熱可塑性樹脂繊維間等で形成された水素結合)が切断され、混合材料が軟化する。したがって、高密度化に要する圧力が減少し、軟化した混合材料は容易に密度調整可能となる。また、水蒸気は容易に蒸発し、乾燥に要する時間が短いので、生産性が向上する。
吸収性コア42は、吸収性材料として、高吸水性ポリマー材料を含有する。吸収性コア42に含有される高吸収性ポリマー材料の坪量は、通常10〜1000g/m2、好ましくは100〜500g/m2、さらに好ましくは150〜350g/m2である。高吸水性ポリマー材料としては、例えば、デンプン系、セルロース系、合成ポリマー系の高吸水性ポリマー材料が挙げられる。デンプン系又はセルロース系の高吸水性ポリマー材料としては、例えば、デンプン−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、デンプン−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物等が挙げられ、合成ポリマー系の高吸水性ポリマー材料としては、例えば、ポリアクリル酸塩系、ポリスルホン酸塩系、無水マレイン酸塩系、ポリアクリルアミド系、ポリビニルアルコール系、ポリエチレンオキシド系、ポリアスパラギン酸塩系、ポリグルタミン酸塩系、ポリアルギン酸塩系、デンプン系、セルロース系等の高吸水性ポリマー材料が挙げられるが、これらのうちポリアクリル酸塩系(特に、ポリアクリル酸ナトリウム系)の高吸水性ポリマー材料が好ましい。高吸水性ポリマー材料の形状としては、例えば、粒子状、繊維状、鱗片状等が挙げられ、粒子状である場合、粒径は、好ましくは50〜1000μmであり、さらに好ましくは100〜600μmである。高吸水性ポリマー粒子の粒径の測定は、JIS R 6002:1998に記載のふるい分け試験方法に準拠して実施する。
吸収性コア42は、高吸水性ポリマー材料以外の吸収性材料を含有してもよい。高吸水性ポリマー材料以外の吸収性材料としては、例えば、親水性繊維が挙げられ、親水性繊維としては、例えば、針葉樹又は広葉樹を原料として得られる木材パルプ(例えば、砕木パルプ、リファイナーグランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ等の機械パルプ;クラフトパルプ、サルファイドパルプ、アルカリパルプ等の化学パルプ;半化学パルプ等);木材パルプに化学処理を施して得られるマーセル化パルプ又は架橋パルプ;バガス、ケナフ、竹、麻、綿(例えばコットンリンター)等の非木材パルプ;レーヨン、フィブリルレーヨン等の再生セルロース;アセテート、トリアセテート等の半合成セルロース等が挙げられるが、これらのうち、コストが低く、成形しやすいこと点から、粉砕パルプが好ましい。吸収性コア42が、高吸水性ポリマー材料以外の吸収性材料を含有する場合、吸収性コア42における高吸水性ポリマー材料とその他の吸収性材料との質量比(高吸水性ポリマー材料の含有量:その他の吸収性材料の含有量)は、通常0.5:9.5〜9.5:0.5、好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
吸収性コア42は、吸収性材料に加えて、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、造核剤、エポキシ安定剤、滑剤、抗菌剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、可塑剤等の添加剤を必要に応じて含有してもよい。例えば、吸収性コア42は、銀、銅、亜鉛、シリカ、活性炭、アルミノケイ酸塩化合物、ゼオライト等を含有することにより、消臭性、抗菌性、吸熱効果等の機能を発揮することができる。
コアラップ43a,43は、吸収性コアを被覆する被覆層の一例であり、コアラップ43aは吸収性コア42の貯留層41側の面を被覆し、コアラップ43bは、吸収性コア42の貯留層41側と反対側の面を被覆する。
コアラップ43a,43bは、セルロース系吸水性繊維を含有する。コアラップ43a,43bに含有されるセルロール系吸水性繊維としては、貯留層41に含有されるセルロール系吸水性繊維と同様の具体例が挙げられる。なお、コアラップ43a,43bに含有されるセルロール系吸水性繊維と、貯留層41に含有されるセルロール系吸水性繊維とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。コアラップ43a,43bは、液透過性及び吸収性コア保持性を有する限り特に限定されるものではなく、例えば、不織布、織布等が挙げられるが、不織布が好ましく、粉砕パルプを主材料とし湿式法で成形されるティッシュがさらに好ましい。不織布としては、トップシート2と同様の具体例が挙げられる。コアラップ43a,43bによる被覆により、吸収性コア42の崩壊防止、吸収体4のクッション性向上、吸収体4の隠蔽性向上、吸収体4のリウェットバック低減等を実現可能となる。
コアラップ43a,43bに含有されるセルロース系吸水性繊維の坪量は、通常1〜50g/m2、好ましくは5〜30g/m2、さらに好ましくは10〜20g/m2である。坪量が1g/m2未満であると、繊維量が少な過ぎるため、一体化部の形成が困難となる一方、50g/m2を越えると、繊維量が多過ぎるため、一体化部の剛性が過度に高くなるおそれがある。コアラップ43a,43bは、セルロース系吸水性繊維以外の吸水性繊維を含有してもよい。コアラップ43a,43bが、セルロース系吸水性繊維以外の吸水性繊維を含有する場合、コアラップ43a,43bにおけるセルロース系吸水性繊維とその他の吸水性繊維との質量比(セルロース系吸水性繊維の含有量:その他の吸水性繊維の含有量)は、通常0.5:9.5〜9.5:0.5、好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
本実施形態では、コアラップ43a,43bは別個の部材であるが、連続した一個の部材であってもよい。また、本実施形態では、吸収性コア42の表面のうち一部が、コアラップ43a,43bで被覆されていないが、吸収性コア42の表面全体が、コアラップ43a,43bで被覆されていてもよい。
図3及び図4に示すように、吸収体4をトップシート2側から平面視したとき、貯留層41のトップシート2側の面の略全体に、多数の略円形状の一体化部44が千鳥格子状に形成されている。一体化部44の形成パターンは適宜変更可能であり、本実施形態以外の形成パターン(吸収体4をトップシート2側から平面視したときのパターン)としては、例えば、直線状、曲線状、環状等が挙げられる。
本実施形態における一体化部44は、図4に示すように、ヒートエンボス処理により形成された凹部である。ヒートエンボス処理では、貯留層41の表面のうち、互いに離間する多数の部位が、吸収体4の厚さ方向へ、コアラップ43aに達するまで圧縮されるとともに加熱される。これにより、貯留層41及びコアラップ43aを一体化する一体化部44が、コアラップ43aに至る深さを有する圧搾部として形成される。
ヒートエンボス処理は、例えば、パターニングされた凸部を外周面に有するエンボスロールと、外周面が平滑であるフラットロールとの間に、貯留層41及びコアラップ43aを通過させてエンボス加工する方法によって行われる。この方法では、エンボスロール及び/又はフラットロールの加熱により、圧縮時の加熱が可能である。エンボスロールのエンボスパターンとしては、例えば、格子状パターン、千鳥状パターン、波状パターン等が挙げられる。エンボスロースの凸部に関し、先端径は通常0.1〜5mm、好ましくは1〜2mmであり、高さは通常0.1〜15mm、好ましくは2〜5mmであり、ピッチ(すなわち圧搾部の間隔)は、吸収体4の長手方向に関しては通常1〜30mm、好ましくは4〜12mmであり、幅方向に関しては通常1〜30mm、好ましくは4〜15mmである。エンボス処理における加熱温度は、通常80〜160℃、好ましくは120〜160℃であり、圧力は通常10〜3000N/mm、好ましくは50〜500N/mmであり、処理時間は通常0.0001〜5秒、好ましくは0.005〜2秒である。
ヒートエンボス処理により、貯留層41に含有される熱可塑性樹脂繊維が、コアラップ43aに含有されるセルロース系吸水性繊維と熱融着し、貯留層41及びコアラップ43aが一体化する。これにより、貯留層41とコアラップ43aとの界面剥離強度が増加する。
ヒートエンボス処理は、貯留層41及びコアラップ43aを一体化する一体化部の形成方法の一例であり、ヒートエンボス処理以外の形成方法としては、例えば、超音波エンボス、加熱流体噴射処理等が挙げられ、加熱流体噴射処理としては、例えば、高圧水蒸気噴射処理、加熱空気噴射処理等が挙げられる。
加熱流体噴射処理では、貯留層41に対して加熱流体を噴射することによって、貯留層41及びコアラップ43aを一体化する一体化部が形成される。加熱流体としては、例えば、高圧水蒸気、加熱空気等が挙げられる。加熱流体の噴射では、例えば、貯留層41の表面のうち、吸収体4の長手方向に延び、幅方向に並ぶ複数の領域が、吸収体4の厚さ方向へ圧縮されるとともに加熱される。貯留層41のうち、加熱流体が噴射された部分は溝部となり、加熱流体が噴射されなかった部分は畝部となる。貯留層41とコアラップ43aとを一体化する一体化部は、溝部とコアラップ43aとの接触面に形成される。溝部及び畝部の数、間隔等は、加熱流体を噴射するノズルの数、ピッチ等に応じて変化する。
加熱流体の温度、圧力等は、貯留層41に含有される熱可塑性樹脂の融点等に応じて適宜調節される。加熱流体の温度は、貯留層41に含有される熱可塑性樹脂繊維の融点(例えば、熱可塑性樹脂繊維が芯鞘型複合繊維である場合、鞘成分の融点)以上であることが好ましい。加熱流体が高圧水蒸気である場合、単位表面積あたり0.03kg/m2〜1.23kg/m2で噴射することが好ましく、高圧水蒸気の蒸気圧力は、通常0.1〜2Mpa、好ましくは0.3〜0.8Mpaである。
貯留層41及びコアラップ43aの乾燥時界面剥離強度は、好ましくは1.75〜4.23N/25mmであり、湿潤時界面剥離強度は、好ましくは1.05〜2.63N/25mmである。なお、「N/25mm」は、吸収体4の平面方向における幅25mmあたりの界面剥離強度(N)を意味し、吸収体4の平面方向としては、例えば、吸収体4の製造時の搬送方向(MD方向)、MD方向と直交する方向(CD方向)等が挙げられるが、好ましくはMD方向である。
乾燥時の界面剥離強度の測定は、以下の通り実施される。
標準時(温度20℃,湿度60%)のサンプル片(長さ40mm×幅25mm)を、引張試験機(島津製作所,AG−1kNI)につかみ間隔20mmで、上側つかみに貯留層41を、下側つかみにコアラップ43aを取り付け、100mm/分の引張速度でサンプル片が完全に剥離するまで荷重(最大点荷重)を加えて測定される。この場合、「N/25mm」は、サンプル片の長さ方向における幅25mmあたりの界面剥離強度(N)を意味する。
湿潤時の界面剥離強度の測定は、以下の通り実施される。
サンプル片(長さ40mm×幅25mm)をイオン交換水中にそれが自重で沈下するまで浸漬した後、又はサンプル片を1時間以上水中に沈めた後、乾燥時と同様にして測定される。この場合、「N/25mm」は、サンプル片の長さ方向における幅25mmあたりの界面剥離強度(N)を意味する。
乾燥時及び湿潤時界面剥離強度の測定に関し、上記で特に規定しない測定条件については、ISO 9073−3又はJIS L 1913 6.3に記載の測定条件を採用した。
本実施形態では、貯留層41のトップシート2側の面の略全体に千鳥格子状に形成されている多数の一体化部44のうち、通常0.5〜50個/cm2、好ましくは1〜30個/cm2、さらに好ましくは2〜20個/cm2の一体化部44を含むように、吸収体4から切り出されたサンプル片が、界面剥離強度の測定に使用される。一体化部の形成パターンが本実施形態と異なる場合も同様に、一体化部を含むように吸収体から切り出されたサンプル片が、界面剥離強度の測定に使用される。一体化部が吸収体の長手方向に延在する部分を含む場合には、吸収体の長手方向に延在する部分を含むサンプル片が使用されることが好ましい。また、サンプル片の長さ方向は、一体化部の延在方向と一致することが好ましい。例えば、吸収体を、長手方向に延在する一体化部の両側に沿って切断するとともに、長手方向に延在する一体化部に対して垂直に切断することにより、長さ方向が一体化部の延在方向と一致するサンプル片を作製することができる。
図1〜図3に示すように、オムツ1は、トップシート2、バックシート3及び吸収体4以外に、液不透過性のカバーシート6、液不透過性の防漏カフ7a,7b、液不透過性の防漏シート8、弾性部材91,92,93,94等を備えている。以下、これらの部材について説明する。
<カバーシート>
図1〜図3に示すように、トップシート2の肌側表面には、液不透過性のカバーシート6が設けられている。図1〜図3に示すように、カバーシート6の略中央には開口部61が形成されており、トップシート2の一部(吸収体4の配置領域の一部)は、カバーシート6の開口部61から露出し、カバーシート6とともに、オムツ1の肌側表面を構成している。
カバーシート6は、液不透過性シートであり、液不透過性シートとしては、例えば、防水処理を施した不織布(例えば、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布等)、合成樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等)フィルム、不織布と合成樹脂フィルムとの複合シート等が挙げられる。
<防漏カフ>
図1〜図3に示すように、カバーシート6の開口部61の両側には、液不透過性シートで形成された防漏カフ7a,7bが設けられている。防漏カフ7a,7bの一方の端部は、トップシート2とカバーシート6との間に挟まれて固定された固定端であり、他方の端部は、カバーシート6の開口部61から露出する自由端である。防漏カフ7a,7bの自由端には、縦方向Yに延びる弾性部71a,71bが設けられており、防漏カフ7a,7bは、着用者の肌方向に向けて立ち上がっている。
<防漏シート>
図2及び図3に示すように、バックシート3及び吸収体4の間には、液不透過性の防漏シート8が設けられている。防漏シート8は、液不透過性シートであり、液不透過性シートとしては、例えば、防水処理を施した不織布(例えば、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布等)、合成樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等)フィルム、不織布と合成樹脂フィルムとの複合シート等が挙げられる。
<弾性部材>
図1〜図3に示すように、略同一寸法の砂時計形状であるバックシート3及びカバーシート6の間には、弾性部材91,92,93,94が設けられている。なお、図1において、弾性部材91,92,93,94の一部は省略されている。
図1に示すように、弾性部材91,92の弾性収縮力によりウエスト開口部にはウエストギャザーが形成されているとともに、弾性部材93,94の弾性収縮力によりレッグ開口部にはレッグギャザー(レッグ側のカフ)が形成されている。レッグギャザーによって、レッグ開口部からの液状排泄物の漏れが防止される。
弾性部材91,92としては、例えば、太さ約310〜940dtexのストランド状又はストリング状の弾性体を使用することができ、弾性部材93,94としては、例えば、太さ約470〜940dtexのストランド状又はストリング状の弾性体を使用することができる。弾性部材91,92,93,94として、弾性を有する伸縮性繊維不織布等を使用してもよい。
図2及び図3に示すように、弾性部材91,92は、前面部11及び後面部13において、横方向Xへ伸長状態で収縮可能に、そして、縦方向Yへ離間して複数本取り付けられている。図2及び図3に示すように、弾性部材93は、中間部12の両側部121a,121bに沿って延びる部分93a,93bと、横方向Xへ延びて部分93a,93bを接続する部分93cとを有している。図2及び図3に示すように、弾性部材94は、中間部12の両側部121a,121bに沿って延びる部分94a,94bと、横方向Xへ延びて部分94a,94bを接続する部分94cとを有している。吸収体4は、前面部11から中間部12を通じて後面部13へと延びているので、弾性部材91,92,93,94の収縮力によって吸収体4が着用者の肌側へと押し付けられ、着用者の液状排泄物の漏れが防止される。
オムツ1は、トップシート2及びカバーシート6が内側(着用者の肌側)に、バックシート3が外側(着用者の着衣側)に位置するように着用される。但し、着用者が着衣を身につけている必要はない。着用者の液状排泄物は、カバーシート6の開口部61から露出するトップシート2を通じて吸収体4に浸透し、吸収体4で吸収・保持される。吸収体4に吸収・保持される液状排泄物の漏れは、バックシート3及び防漏シート6によって防止される。吸収対象となる液状排泄物としては、例えば、尿、経血、下り物等が挙げられるが、通常、主として尿である。
オムツ1において、種々の変更が可能である。以下、オムツ1の変更例について説明する。
<変更例A>
オムツ1の変更例Aでは、一体化部44に代えて、貯留層41とコアラップ43aとコアラップ43bとを一体化する一体化部44’(不図示)が形成される。一体化部44’は、一体化部44と同様、ヒートエンボス処理により形成された凹部である。ヒートエンボス処理では、貯留層41の表面のうち、互いに離間する多数の部位が、吸収体4の厚さ方向へ、コアラップ43bに達するまで圧縮されるとともに加熱される。これにより、貯留層41とコアラップ43aとコアラップ43bとを一体化する一体化部44Aが、コアラップ43bに至る深さを有する圧搾部として形成される。
以下、図5に基づいて、本発明の吸収体の製造方法の一実施形態を説明する。
[第1工程]
機械方向(MD方向)に進行するキャリアシート150には、高吸水性ポリマー粒子を含有する吸収性コアと、吸収性コアの上面を被覆する上層コアラップと、吸収性コアの下面を被覆する下層コアラップとを有する積層体223が間欠的に並んでいる。吸収性コアに含有されるSAP粒子は、上層コアラップの下面及び下層コアラップの上面に塗布されたホットメルト接着剤(HMA)によって、上層コアラップ及び下層コアラップの間に固定されている。接着剤は、例えば、ドット、スパイラル、ストライプ等のパターンで塗布される。ホットメルト接着剤としては、例えば、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)等のゴム系を主体とした、又は直鎖状低密度ポリエチレン等のオレフィン系を主体とした感圧型接着剤又は感熱型接着剤;水溶性高分子(例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシルメチルセルロース、ゼラチン等)又は水膨潤性高分子(例えば、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸ナトリウム等)からなる感水性接着剤等が挙げられる。接着剤の塗布方法としては、例えば、スパイラル塗工、コーター塗工、カーテンコーター塗工、サミットガン塗工等が挙げられる。
MD方向へ回転するサクションドラム151の周面151aには、繊維材料を詰める型として凹部153が周方向に所要のピッチで形成されている。サクションドラム151が回転して凹部153が繊維材料供給部152へ進入すると、サクション部156が凹部に作用し、繊維材料供給部152から供給された繊維材料が凹部153に真空吸引される。
フード付きの繊維材料供給部152は、サクションドラム151を覆うように形成されており、繊維材料供給部152は、セルロース系吸水性繊維と、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物又はそれらの混合物をモノマー成分として含む熱可塑性樹脂繊維との混合材料21を空気搬送により凹部153に対して供給する。セルロース系吸水性繊維と熱可塑性樹脂繊維とは、混合状態で凹部153に供給され、凹部153には繊維材料層が形成される。凹部153に形成された繊維材料層は、MD方向に向かって進むキャリアシート150上の積層体223の上面(上層コアラップの上面)に積層され、積層体224が形成される。
[第2工程]
キャリアシート150上の積層体224は、サクションドラム151の周面151aから離れてMD方向へ走行する。加熱部103は、積層体224の上面(繊維材料層の上面)に対して、135℃に加熱された空気を風速5m/秒で吹き付ける。これにより、繊維材料層中に含まれる熱可塑性樹脂繊維が溶融し、熱可塑性樹脂繊維同士、熱可塑性樹脂繊維−パルプが結合(熱融着)する。積層体224に対して吹き付けられる加熱空気の条件(温度、風速、加熱時間)は、生産速度等に応じて適宜に制御される。
[第3工程]
一対を成すように上下に配置されている通気性のメッシュコンベアベルト171,172は、加熱処理を経た積層体225を圧縮しつつMD方向へ走行させる。平行走行部175における上下方向dの寸法(メッシュコンベアベルト171,172間の距離)は、MD方向へ回転する上流側上ロール176と上流側下ロール177との間隙、及び下流側上ロール178と下流側下ロール179との間隙を調整することによって所要の値に設定されており、積層体225はメッシュコンベアベアベルト171,172によって所要の厚さにまで圧縮される。図5において水平に延びる平行走行部175には、メッシュコンベアベルト171,172を挟んで対向するように蒸気噴射部173と蒸気サクション部174とが配置されている。蒸気噴射部173には、例えば0.1〜2mmの口径のノズル(図示せず)が0.5〜10mm、好ましくは0.5〜5mm、さらに好ましくは0.5〜3mmのピッチで積層体225を横断するように、MD方向と上下方向TDとに直交する交差方向(CD方向)に配置されており、各ノズルには、蒸気ボイラー180で発生した水の沸点以上の温度の水蒸気が、圧力制御弁181で例えば0.1〜2.0MPaの蒸気圧に調整された高圧水蒸気となって配管182を介して供給される。各ノズルからは、メッシュコンベアベルト171,172によって圧縮された状態にある積層体225に対して、メッシュコンベアベルト171を介して高圧水蒸気が噴射される。積層体225に対して噴射される高圧水蒸気量は、メッシュコンベアベルト171,172の走行速度に応じて調整され、メッシュコンベアベルト171,172が5〜500m/分で走行しているとき、メッシュコンベアベルト171と向かい合っている積層体225の表面積に対して1.23kg/m2〜0.03kg/m2の範囲で噴射されることが好ましい。水蒸気は、積層体225の厚さ方向において、メッシュコンベアベルト171と、積層体225と、メッシュコンベアベルト172とを順に通過して蒸気サクション部174による真空圧のサクション作用で回収される。高圧水蒸気を噴射された積層体225は、MD方向へ進んでメッシュコンベアベルト171,172から分離され、第4工程に向かう。高圧水蒸気を噴射された積層体225の表面には、畝部及び溝部が形成される。蒸気噴射部173のノズルの数、ピッチ等を調節することにより、畝部及び溝部の数、間隔等を調節することができる。なお、高圧水蒸気を噴射された部分は溝部となる。
第3工程では、メッシュコンベアベルト171,172によって積層体225が局部的に圧縮されないようにするために、メッシュコンベアベルト171,172の少なくとも一方に対しては、上下方向TDへ容易に変形し得る程度の可撓性を有するものが使用される。メッシュコンベアベルト171,172には、ステンレス合金や青銅等で形成された金属製線材のメッシュベルト、ポリエステル繊維、アラミド繊維等で形成されたプラスチック製のメッシュベルトを使用することができ、開孔金属プレートで形成された金属製のベルトをメッシュベルトに代えて使用してもよい。積層体225が金属粉の混入を極度に嫌う場合には、プラスチック製のメッシュベルトを使用することが好ましい。また、プラスチック製のメッシュベルトであって高い耐熱性が求められる場合には、ポリフェニレンサルファイド樹脂製のメッシュベルトを使用することが好ましい。ポリフェニレンサルファイド樹脂を使用した10〜75メッシュの平織りメッシュベルトは、可撓性を有し、メッシュコンベアベルト171にもメッシュコンベアベルト172にも使用できる特に好ましいメッシュベルトの一例である。蒸気噴射部173や配管182には、適宜の保温対策を施したり、ドレン排出機構を設けたりすることが好ましい。そのようにすることによって、蒸気噴射部173等に生じたドレンがノズルから噴出されて積層体225に水分を過剰に含ませることを防ぐことができる。積層体225に向かって噴射される水蒸気には、水分である液分を含まない乾き蒸気である場合と、飽和蒸気である場合と、液分を含む湿り蒸気である場合とがある。水蒸気が湿り蒸気または飽和蒸気である場合には、パルプを容易に湿潤状態にして変形させることができる。乾き蒸気は、パルプに含まれる水分を気化させることができ、気化させた水分でパルプの変形を容易にすることが可能である。また、パルプが熱可塑性合成繊維であれば、乾き蒸気が持つ熱によってその熱可塑性合成繊維の変形を容易にすることができる。蒸気噴射部173は、それに加熱機構を設けておいて水蒸気を過熱水蒸気に変えて噴射することもできる。蒸気サクション部174は、吸引した高圧水蒸気が気水分離装置を通過した後に排気ブロワ(図示せず)へ向かうような配管を有するものであることが好ましい。なお、蒸気噴射部173と蒸気サクション部174との位置を入れ替えて、すなわち、蒸気噴射部173が下側となり、蒸気サクション部174が上側となる態様で実施することもできる。また、高圧水蒸気の回収が必要ではないときには、蒸気サクション174を配置することなく実施することもできる。
[第4工程]
一対のロール300,301は、高圧水蒸気噴射処理を経た積層体226をヒートエンボス処理し、貯留層(本実施形態では高圧水蒸気噴射処理を経た繊維材料層)及び上層コアラップを一体化する一体化部を圧搾部として形成する。一対のロール300,301は、貯留層及び上層コアラップとともに下層コアラップを一体化する一体化部を圧搾部として形成してもよい。ロール300は、凸部(不図示)が外周表面に設けられた上段ロールであり、ロール301は、外周表面が平滑である下段ロールである。ロール300の凸部は、圧搾部の形状、配置パターン等に対応するように形成されており、これらの凸部によって、貯留層及び上層コアラップが積層体226の厚さ方向へ圧縮されるとともに加熱される。これにより、貯留層及び上層コアラップを一体化する一体化部が圧搾部として形成される。こうして形成された圧搾部は、圧密化されており、他の部分に比して厚みが小さく、密度が大きくなっている。
ロール300及び/又は301は加熱されており、圧縮時の加熱が可能となっている。ロール300,301によるエンボス処理において、加熱温度は、通常80〜140℃、好ましくは90〜120℃であり、線圧(加圧部の単位幅あたりの押し付け力)は通常10〜200N/mm、好ましくは40〜100N/mmであり、処理速度は通常10〜500m/分、好ましくは20〜300m/分である。
こうして製造された吸収体4を使用したオムツの製造は、常法に従って実施することができる。
以下、製造例及び試験例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲は製造例及び試験例に限定されるものではない。
製造例において、以下の熱融着性複合繊維及び高吸水性樹脂粒子を使用した。
熱融着性複合繊維A(以下「複合繊維A」という)として、ポリエチレンテレフタレート(PET)を芯成分とし、無水マレイン酸を含むビニルポリマーでグラフト重合された高密度ポリエチレン(HDPE)を鞘成分とする芯鞘型複合繊維を使用した。複合繊維Aの芯鞘比は50:50(質量比)、芯成分中の酸化チタン量は0.7重量%、繊度は2.2dtex、繊維長は6mmである。
熱融着性複合繊維B(以下「複合繊維B」という)として、ポリエチレンテレフタレート(PET)を芯成分とし、一般的な高密度ポリエチレン(HDPE)を鞘成分とする芯鞘型複合繊維を使用した。複合繊維Bの芯鞘比は50:50(質量比)、芯成分中の酸化チタン量は0.7重量%、繊度は2.2dtex、繊維長は6mmである。
高吸水性樹脂粒子(以下「SAP粒子」という)として、ポリアクリル酸塩架橋体粒子(住友精化株式会社製)を使用した。SAP粒子の粒径分布は、150〜250μmが3.9%、250〜300μmが5.3%、300〜355μmが17.1%、355〜500μmが56.3%、500〜600μmが11.2%、600〜710μmが4.9%、710〜850μmが1.2%、850μm以上が0.1%である。
〔実施例1〕
(1)繊維材料A(A1〜A7)の調製
パルプ(ウエアーハウザー社製,NB416)と複合繊維Aとを、9:1(A1)、8:2(A2)、6.5:3.5(A3)、5:5(A4)、3.5:6.5(A5)、2:8(A6)、0:10(A7)の質量比で混綿し、繊維材料A1〜A7(坪量200g/m2)を調製した。
(2)繊維材料B(B1〜B9)の調製
パルプ(ウエアーハウザー社製,NB416)と複合繊維Bとを、9:1(B1)、8.5:1.5(B2)、8:2(B3)、6.5:3.5(B4)、5:5(B5)、3.5:6.5(B6)、2:8(B7)、0:10(B8)、10:0(B9)の質量比で混綿し、繊維材料B1〜B9(坪量200g/m2)を調製した。
(3)貯留層A(A1〜A7),B(B1〜B9)の製造
繊維材料A1〜A7,B1〜B9を、一般的なスルーエアー法によってボンディングし、複合繊維A,Bを加熱融着し、貯留層サンプルA1〜A7,B1〜B9を調製した。この際、加熱温度は135℃、風量は5m/秒、加熱時間は20秒に設定した。
(4)最大引張り強度の測定
[乾燥時の最大引張り強度(N/25mm)]
標準時(温度20℃,湿度60%)のサンプル片(長さ150mm×幅25mm,5個)を、引張試験機(島津製作所,AG−1kNI)につかみ間隔100mmで取り付け、100mm/分の引張速度でサンプル片が切断されるまで荷重(最大点荷重)を加え、サンプル片の長さ方向(MD方向)における幅25mmあたりの最大引張り強度を測定した。
[湿潤時の最大引張り強度(N/25mm)]
サンプル片(長さ150mm×幅25mm)をイオン交換水中にそれが自重で沈下するまで浸漬した後、又はサンプル片を1時間以上水中に沈めた後、上記と同様に、サンプル片の長さ方向(MD方向)における幅25mmあたりの最大引張り強度を測定した。
乾燥時及び湿潤時最大引張り強度の測定に関し、上記で特に規定しない測定条件については、ISO 9073−3又はJIS L 1913 6.3に記載の測定条件を採用した。
他の実施例における乾燥時及び湿潤時最大引張り強度の測定も、上記と同様にして実施した。
(5)貯留層の坪量、厚み及び密度の測定
[坪量]
貯留層の坪量(g/m2)の測定は、以下の通り、実施した。
貯留層から100mm×100mmのサンプル片を3枚切り出し、標準状態(温度23±2℃,相対湿度50±5%)における各サンプル片の質量を直示天秤(研精工業株式会社製 電子天秤HF−300)で測定し、3つの測定値の平均値から算出した貯留層の単位面積当たりの質量(g/m2)を、貯留層の坪量とした。
なお、貯留層の坪量の測定に関し、上記で特に規定しない測定条件については、ISO 9073−1又はJIS L 1913 6.2に記載の測定条件を採用した。
[厚み]
貯留層の厚み(mm)の測定は、以下の通り、実施した。
厚み計(株式会社大栄科学精器製作所製 FS−60DS,測定面44mm(直径),測定圧3g/cm2)により、標準状態(温度23±2℃,相対湿度50±5%)における貯留層の異なる5つの部位(各部位の直径は44mm)を定圧3g/cm2で加圧し、各部位における加圧10秒後の厚みを測定し、5つの測定値の平均値を、貯留層の厚みとした。
[密度]
貯留層の密度は、次式に基づいて算出した。
D(g/cm3)=B(g/m2)/T(mm)×10-3
[式中、D、B及びTは、それぞれ、貯留層の密度、坪量及び厚みを表す。]
なお、他の実施例におけるサンプルの坪量、厚み及び密度の測定も、上記と同様にして実施した。
(6)結果及び考察
測定結果を表1に示す。
表1に基づく考察は次の通りである。
貯留層Aにおいて、パルプに対する複合繊維Aの混合比(質量比)が1/9未満であると、湿潤時の最大引張り強度が2N/25mm未満となると予想され、湿潤時の強度が不十分となるおそれがある。したがって、貯留層Aでは、強度保持の観点から、パルプに対する複合繊維Aの混合比(質量比)が1/9以上であることが好ましいと考えられる。
貯留層Bにおいて、パルプに対する複合繊維Bの混合比(質量比)が1.5/8.5以下であると、湿潤時の最大引張り強度が2N/25mm未満となり、湿潤時の強度が不十分となるおそれがある。したがって、貯留層Bでは、強度保持の観点から、パルプに対する複合繊維Bの混合比(質量比)が1.5/8.5を上回ることが好ましいと考えられる。
パルプと複合繊維A,Bの混合比(質量比)が同一である貯留層同士(例えば、貯留層A1と貯留層B1)を比較すると、最大引張り強度(乾燥時及び湿潤時)は、いずれの混合比(質量比)においても、貯留層Aの方が貯留層Bよりも大きい。また、パルプと複合繊維A,Bとの混合比(質量比)が9:1〜3.5:6.5の範囲にあると(貯留層A1〜A5,B1〜B6)、乾燥時の最大引張り強度と湿潤時の最大引張り強度との差(乾燥時の最大引張り強度−湿潤時の最大引張り強度)は、貯留層Aの方が貯留層Bよりも大きい。
このような強度の差は、貯留層Aでは、無水マレイン酸が有するアシル基及びエーテル結合の酸素原子と、セルロースのOH基との間に水素結合が生じているが、貯留層Bでは、このような水素結合は生じていない点に起因すると考えられる。
このことは、ウェブ状態のサンプルの最大引張り強度からも裏付けられる。すなわち、ウェブ状態のサンプルの最大引張り強度を測定したところ、いずれのサンプルでも0.4N/25mm未満であり(表1参照)、強度の差が、絡合の程度の差に起因するものではなく、水素結合の形成の有無に起因することを示唆している。なお、ウェブ状態のサンプルは、繊維材料を基材に積層させた後、何の処理もしていないサンプルであり、ニードルパンチ等の絡合処理、熱風、エンボス、エネルギー波等による加熱処理、接着剤による処理等のいずれの処理も施されていない。
また、下記表2に示すように、複合繊維Aは複合繊維Bよりも融解熱熱量が大きいことから、複合繊維Aは複合繊維Bよりも結晶化度が高く、強度の差は、複合繊維A,B間の結晶化度(繊維自体の接合強度)の差にも起因すると考えられる。
なお、特開2004−270041号公報には、無水マレイン酸がグラフト重合された変性ポリオレフィンは、無水マレイン酸の無水カルボン酸基が開裂してセルロース繊維表面の水酸基と共有結合するため、セルロース繊維との接着性が良好であることが記載されているが、本結果では、共有結合の形成に起因する強度増加は観察されなかった。
〔実施例2〕
(1)貯留層C(C1〜C7),D(D1〜D9)の製造
キャリアシート(UCKN社製,ティッシュ坪量:14g/m2)に繊維材料A1〜A7(実施例1参照)を載置し、一般的なスルーエアー法によってボンディングし、複合繊維Aを加熱融着(加熱温度:135℃,風量:5m/秒,加熱時間:20秒)した後、スチームジェット(SJ)ベルトプレス機にて密度を約0.08g/cm3(0.0793〜0.0817g/cm3)に調整し、貯留層C1〜C7(120mm×120mm,各3枚)を製造した。
繊維材料B1〜B9(実施例1参照)を使用して同様に貯留層D1〜D9(120mm×120mm,各3枚)を製造した。
使用したSJベルトプレス機の構成を図6に示す。
図6(a)に示すように、SJベルトプレス機9は、メッシュコンベアベルト91a,91bと、蒸気ノズル92と、サクションボックス93とを備えており、互いに対向する蒸気ノズル92及びサクションボックス93の間に、一対のメッシュコンベアベルト91a,91bで挟持された繊維材料層を搬送し、蒸気ノズル92より繊維材料層に向かって高圧水蒸気を噴出し、繊維材料層を圧縮する。繊維材料層を通過した水蒸気はサクションボックス93で吸引されて排気される。繊維材料層の厚みの調整は、一対のメッシュコンベアベルト91a,91bの間隔の調整により可能である。
メッシュコンベアベルト91a,91bは、ポリフェニレンサルファイド製平織りメッシュコンベア(日本フィルコン社製)であり、縦横方向線径は0.37mm、縦線は34本/インチ、横線は32本/インチである。メッシュコンベアベルト91a,91b間の距離は、1mm又は0.2mmに調整されており、ライン速度は200m/秒である。
蒸気ノズル92には、図6(b)に示すように、口径0.5mmの開孔部が開孔ピッチ2mm,5mmで形成されており、そこから噴出する水蒸気の蒸気圧は0.7MPaであり、水蒸気処理量は単位面積あたり1.27kg/m2である。
(2)吸収性(浸透時間,液ハケ時間)の測定
貯留層に、表面シート(商品名ソフィ はだおもいの表面シートを使用)を載せ、その上に穴あきアクリル板(中央に40mm×10mmの穴、200mm(長さ)×100mm(幅))を重ねた。オートビュレット(柴田化学器械工業(株),マルチドジマットE725−1型)を使用して、アクリル板の穴に向けて、人工経血(イオン交換水1Lに対して、グリセリン80g,カルボキシメチルセルロースナトリウム8g,塩化ナトリウム10g,炭酸水素ナトリウム4g,赤色102号8g、赤色2号2g,黄色5号2gを加えて十分に攪拌したものを使用)を90ml/分で3mlを注入した。注入開始後、アクリル板の穴に滞留する人工経血が無くなるまでの時間を浸透時間(秒)、注入開始後、表面シート内から人工経血が無くなるまでの時間をハケ時間(秒)とした。
(3)乾燥時及び湿潤時の最大引張り強度の測定
貯留層の乾燥時及び湿潤時の最大引張り強度を実施例1と同様に測定した。
(4)結果及び考察
測定結果を表3に示す。
表3に示すように、パルプと複合繊維Aとの混合比(質量比)が9:1〜5:5の範囲にあると(貯留層C1〜C4)、貯留層の吸収性は十分なものであったが、パルプと複合繊維Aとの混合比(質量比)が3.5:6.5〜0:10の範囲にあると(貯留層C5〜C7)、貯留層の吸収性は著しく低下した。
表3に示すように、貯留層Cにおいて、パルプに対する複合繊維Aの混合比(質量比)が1/9未満であると、湿潤時の最大引張り強度が2N/25mm未満となると予想され、湿潤時の強度が不十分となるおそれがある。したがって、貯留層Cでは、強度保持の観点から、パルプに対する複合繊維Aの混合比(質量比)が1/9以上であることが好ましいと考えられる。
表3に示すように、貯留層Dにおいて、パルプに対する複合繊維Bの混合比(質量比)が1.5/8.5以下であると、湿潤時の最大引張り強度が2N/25mm未満となり、湿潤時の強度が不十分となるおそれがある。したがって、貯留層Dでは、強度保持の観点から、パルプに対する複合繊維Bの混合比(質量比)が1.5/8.5を上回ることが好ましいと考えられる。
表3に示す結果から、貯留層の密度が約0.08g/cm3(0.0793〜0.0817g/cm3)である場合、パルプと複合繊維Aとの混合比(質量比)が9:1〜5:5の範囲であれば、貯留層が十分な強度及び吸収性を兼ね備えることが明らかとなった。これは、複合繊維Aが、複合繊維Bよりも少量で(したがって、吸収性を阻害することなく)、貯留層の強度を担保できるからである。
〔実施例3〕
実施例2において、密度を約0.08g/cm3(0.0793〜0.0817g/cm3)に固定した系において、強度及び吸収性の観点から、パルプと複合繊維Aの混合比(質量比)の最適範囲を検討した。
本実施例では、吸収性の観点から、密度の最適範囲を検討した。
パルプ(ウエアーハウザー社製,NB416)と複合繊維Aとを表4に示す混合比(質量比)で混綿したもの(坪量200g/m2)を使用して、実施例2と同様にして、様々な密度(0.05,0.06,0.07,0.08,0.09,0.1,0.12,0.13,0.14g/cm3)の貯留層E1〜E9を製造し、吸収性(液ハケ時間)測定した。
測定結果を表4に示す。
表4に示す測定結果から、次のことが明らかとなった。
パルプと複合繊維Aとの混合比(質量比)が9:1〜5:5の範囲であるとき、十分な液ハケ性能(具体的には、人工経血3cc滴下後の液ハケ時間が90秒以内)が発揮される密度範囲は0.06〜0.14g/cm3である。
密度が0.06g/cm3を下回る場合、いずれの混合比においても、液ハケ時間が90秒を超えてしまう。密度が0.06g/cm3を下回ると、繊維間距離が大きく毛管力が作用しないと考えられる。
密度が0.12g/cm3を超える場合、パルプと複合繊維Aとの混合比(質量比)が9:1〜6.5:3.5の範囲であると、液ハケ時間が60秒以内となるが、それ以外の範囲であると、60秒を超える。密度が0.12g/cm3を超えると、毛管作用は働くものの、液体の移動空隙が小さくなり、液体の移動抵抗が増加するため、液ハケ性能が低下すると考えられる。
実施例1〜3の結果から、パルプと複合繊維Aとの混合比(質量比)の最適範囲は9:1〜5:5であり、最適密度は0.06〜0.14g/cm3であることが明らかとなった。
〔実施例4〕
(1)繊維材料F(F1〜F4)の製造
パルプ(ウエアーハウザー社製,NB416)と複合繊維Aとを、9:1(F1)、8.8:2(F2)、6.5:3.5(F3)、5:5(F4)の質量比で混綿し、繊維材料F1〜F4(坪量200g/m2)を製造した。
(2)繊維材料G(G1〜G5)の製造
パルプ(ウエアーハウザー社製,NB416)と複合繊維Bとを、9:1(G1)、8:2(G2)、6.5:3.5(G3)、5:5(G4)、10:0(G5)の質量比で混綿し、繊維材料G1〜G5(坪量200g/m2)を製造した。
(3)貯留層F(F1〜F4),G(G1〜G5)の製造
繊維材料F1〜F4,G1〜G5を、一般的なスルーエアー法によってボンディングし、複合繊維A,Bを加熱融着し、貯留層F1〜F4,G1〜G5を製造した。この際、加熱温度は135℃、風量は5m/秒、加熱時間は20秒に設定した。
(4)一体化サンプルF(F1〜F4),G(G1〜G5)の製造
貯留層F(F1〜F4),G(G1〜G5)の下面に、ユニ・チャーム国光ノンウーヴン株式会社製のティッシュ(組成:NBKP(叩解)67.9%,NBKP(非叩解)29.1%,紙力増強剤(ポリアクリル酸アミド系)2.14%,紙力増強剤(ポリアミドエピクロロヒドリン)0.86%,坪量:20g/m2,MD方向の強度(最大点強度):16.8N/25mm,CD方向の強度(最大点強度):2.9N/25mm,厚み:0.1mm)を積層し、貯留層側からヒートエンボス処理を行い、貯留層F(F1〜F4),G(G1〜G5)とティッシュとがエンボス部で一体化された一体化サンプルF(F1〜F4),G(G1〜G5)を製造した。
ヒートエンボス処理は、貯留層側(上側)のエンボスプレートとして、多数の凸部が形成されたプレート(各凸部の先端径:3mm,凸部間のピッチ:縦10mm×横10mm,各凸部の高さ:5mm,加熱温度:120℃)を使用し、ティッシュ側(下側)のエンボスプレートとして、平面プレート(加熱温度:120℃)を使用し、圧力3Mpa、エンボス時間3秒で行った。
(5)界面剥離強度の測定
一体化サンプルF(F1〜F4),G(G1〜G5)の乾燥時及び湿潤時の界面剥離強度を測定した。
[乾燥時の界面剥離強度(N/25mm)]
標準時(温度20℃,湿度60%)のサンプル片(長さ40mm×幅25mm,8個のエンボス部を含む)を、引張試験機(島津製作所,AG−1kNI)につかみ間隔20mmで、上側つかみに貯留層を、下側つかみにティッシュを取り付けた。100mm/分の引張速度でサンプル片が完全に剥離するまで荷重を加え、サンプル片の長さ方向(MD方向)における幅25mmあたりの界面剥離強度を測定した。
[湿潤時の界面剥離強度(N/25mm)]
サンプル片(長さ40mm×幅25mm)をイオン交換水中にそれが自重で沈下するまで浸漬した後、又はサンプル片を1時間以上水中に沈めた後、上記と同様に、サンプル片の長さ方向(MD方向)における幅25mmあたりの界面剥離強度を測定した。
乾燥時及び湿潤時界面剥離強度の測定に関し、上記で特に規定しない測定条件については、ISO 9073−3又はJIS L 1913 6.3に記載の測定条件を採用した。
(2)結果及び考察
測定結果を表5に示す。
表5に基づく考察は次の通りである。
貯留層と、吸収性コアを被覆する被覆層(本実施例ではティッシュ)との界面剥離強度が0.98N/25mm未満であると、吸収性物品の使用中に、貯留層と吸収性コアを被覆する被覆層との界面剥離が生じ、貯留層から吸収性コアへの液体移行性が悪化するおそれがある。そこで、乾燥時及び湿潤時界面剥離強度がともに0.98N/25mm以上であることを基準とすると、一体化サンプルF1〜F4は、この基準を満たした。したがって、貯留層におけるパルプに対する複合繊維Aの質量混合比を1/9以上とすることが、乾燥時及び湿潤時界面剥離強度を大きくする点で有利であり、これにより、1.75N/25mm以上という乾燥時界面剥離強度、及び1.05N/25mm以上という湿潤時界面剥離強度を実現することができる。また、貯留層におけるパルプに対する複合繊維Aの質量混合比を1/9〜5/5とすることにより、1.75〜4.23N/25mmという乾燥時界面剥離強度、及び1.05〜2.63N/25mmという湿潤時界面剥離強度を実現することができる。
貯留層におけるパルプに対する複合繊維A,Bの質量混合比が同一である一体化サンプル同士(すなわち、F1とG1、F2とG2、F3とG3、F4とG4)を比較すると、乾燥時及び湿潤時界面剥離強度は、いずれの質量混合比においても、一体化サンプルFの方が一体化サンプルGよりも大きい。したがって、貯留層におけるパルプに対する複合繊維A,Bの質量混合比が同一であるとき、複合繊維Aを使用する場合の方が複合繊維Bを使用する場合よりも、乾燥時及び湿潤時界面剥離強度を大きくすることができる。また、一定の乾燥時及び湿潤時界面剥離強度を実現したいとき、複合繊維Aを使用する場合の方が複合繊維Bを使用する場合よりも、貯留層におけるパルプに対する複合繊維の質量混合比を小さくすることができる(すなわち、その分、貯留層におけるパルプの質量混合比が大きくなり、貯留層の吸収性能を向上させることができる)。