この発明に係るモータのステータについて、その好適な実施形態を、図1〜図21を参照しながら以下詳細に説明する。
[ステータ10の概略構成]
図1は、この実施形態に係る6極モータY型結線6並列(Y型結線全並列)のステータ10(以下、この実施形態に係るステータ10ともいう。)の平面図である。
回転磁界(界磁)を発生するステータ10は、その内部に設けられる図示しないロータと組み合わされてモータを構成し、例えば、電動車両のモータ(電動機)又はジェネレータ(発電機)として用いられる。前記電動車両としては、バッテリやキャパシタ等の蓄電装置を電力源とする電気自動車、前記蓄電装置と内燃機関を電力源乃至駆動源とするハイブリッド自動車、あるいは、燃料電池と前記蓄電装置を電力源とする燃料電池自動車等が対象とされる。なお、ロータは、永久磁石を有する永久磁石回転子、又は、リラクタンストルクによって回転する回転子のように、永久磁石を有していない回転子であってもよい。
ステータ10は、突極巻のステータであり、中空状のホルダ12に設けられた3相の電圧供給端子U、V、Wと、中性点を形成する中性点端子Nと、ホルダ12の内周面12aに沿って複数(図1及び図2では18個)の分割コア部14を環状に配置して形成されるステータコア16とを備えている。なお、電圧供給端子U、V、W及び中性点端子Nは、ステータコア16の径方向外側に設けられる。
ステータコア16は、U相、V相、W相のコイル18をそれぞれ有する分割コア部14を6つずつ含む。この場合、ステータコア16では、複数の分割コア部14をステータ10の円周方向(矢印C方向)に沿って環状に配置することにより、U相(U1相〜U6相)、V相(V1相〜V6相)、及び、W相(W1相〜W6相)の各コイル18が、図1の時計回りに、U1、V1、W1、U2、…、U6、V6、W6の順番に並ぶように配置される。
そして、ステータ10において、ステータコア16の径方向外側と中空状のホルダ12の内周面12aとの隙間には、円環状のカバー部材20が配置されている。カバー部材20は、可撓性を有する樹脂等の電気絶縁材料で構成され、例えば、ステータコア16の径方向外側に圧入されるか、又は、接着剤を介してステータコア16の径方向外側に接着されることにより、該ステータコア16に固定される。従って、カバー部材20が固定されたステータコア16を、例えば、ホルダ12の内側に圧入することにより、該ホルダ12内にステータコア16及びカバー部材20を配置することができる。
カバー部材20には、径方向外側に突出する突出部22が形成されている。この場合、突出部22に形成された図示しないネジ孔と、ホルダ12のフランジ部分に形成された図示しないネジ孔とをボルト24で締結することにより、カバー部材20をホルダ12に固定することができる。
なお、カバー部材20は、ホルダ12以外の他の部品に固定することも可能である。また、前述のように、ステータコア16にカバー部材20を圧入し、且つ、カバー部材20が装着されたステータコア16をホルダ12の内側に圧入する場合には、突出部22及びボルト24を設けなくてもよい。
図2は、上記した3相Y型結線全並列のコイル18を有するステータ10の回路図である。各コイル18は、コイル巻線部18Bと、このコイル巻線部18Bに連なる一端部側のコイル端末18xと他端部側のコイル端末18yとから構成される。
図3は、V相及びW相のコイル18を一部省略し、U相のコイル18を描いた図1の平面図に対応するコイル18の実体配線図である。
図2及び図3において、U相、V相及びW相のコイル18は、それぞれ全並列に結線されている。U1相〜U6相の6本のコイル端末18x同士がヒュージング処理等により結線されて電圧供給端子Uに接続され、V1相〜V6相の6本のコイル端末18x同士が同様に結線されて電圧供給端子Vに接続され、W1相〜W6相の6本のコイル端末18x同士が同様に結線されて電圧供給端子Wに接続される。従って、各コイル端末18xは、コイル18を電圧供給端子U、V、Wに接続するための渡り線として機能する。
一方、U相、V相及びW相の合計で18本のコイル端末18y、すなわち、U相の6本のコイル端末Nu、V相の6本のコイル端末Nv、及び、W相の6本のコイル端末Nwは、ヒュージング処理等により結線されて中性点端子Nに接続される。従って、各コイル端末18yは、コイル18を中性点端子Nに接続するための渡り線として機能する。
このように、複数のコイル端末18x、18y同士が束ねられ、ヒュージング処理等により結線されて電圧供給端子U〜W又は中性点端子Nに接続されることにより、結線部25n、25u〜25wが形成される。なお、以下の説明では、説明の便宜上、コイル端末18yであるコイル端末Nu、Nv、NwをN相のコイル端末18y(Nu、Nv、Nw)という場合がある。
[分割コア部14の構成]
次に、U相、V相及びW相のコイル18を有する各分割コア部14の内、代表的に、1個の分割コア部14の構成について、図4及び図5を参照しながら説明する。なお、ここで説明する分割コア部14の構成は、全ての相の分割コア部14に共通する構成である。
図4は、コイル巻線部18Bが設けられた1個の分割コア部14の斜視構成を示し、図5は、分割コア部14のティース26及び絶縁部材28の分解斜視構成を示す。
図4及び図5に示すように、分割コア部14は、特許文献1のステータの分割コア部と略同一の構造を備え、プレスにより打ち抜いた鋼板等の略T字状の金属板30を複数枚積層して構成されるティース26と、ティース26を電気的に絶縁する絶縁部材片28a、28bからなる絶縁部材28と、絶縁部材28を介してティース26に巻回されるコイル素線18aで構成されるコイル18とを有する。コイル素線18aは、図8に示すように、断面長方形状の平角線である。また、ティース26は、矢印B方向(ステータ10及びステータコア16の径方向)に沿って配置される。
図4及び図5に示すように、略T字状のティース26は、矢印B1方向側(ステータ10及びステータコア16の径方向外側)において矢印C方向(ステータ10及びステータコア16の円周方向)に沿って延在するヨーク部26aと、ヨーク部26aから矢印B2方向側(ステータ10及びステータコア16の径方向内側)に向かって延在する磁極部26bとから構成される。また、ヨーク部26aの矢印C2方向の端部には、略半円状の嵌合凹部32が形成され、ヨーク部26aの矢印C1方向の端部には、嵌合凹部32に対応した略半円状の嵌合凸部34が形成されている。
絶縁部材28は、可撓性を有する樹脂等の電気絶縁材料で構成され、コイル素線18aが巻回される巻回部38と、巻回部38から矢印B1方向に突出した引き回し部40とを有する。
巻回部38は、矢印A方向(上下方向)に嵌合可能な上側巻回部38aと下側巻回部38bとから構成される。
上側巻回部38aは、断面略U字状に形成された巻回部本体42aと、巻回部本体42aの矢印B2方向の端部に立設する内周壁44aと、内周壁44aと対向するように、巻回部本体42aの矢印B1方向の端部に立設する外周壁46aとを有する。
下側巻回部38bは、巻回部本体42aと対向するように断面略U字状に形成された巻回部本体42bと、内周壁44aと対向するように巻回部本体42bの矢印B2方向の端部に立設し、対向する部位が内周壁44aの厚み分薄くされた内周壁44bと、内周壁44bと対向するように巻回部本体42bの矢印B1方向の端部に立設し、対向する部位が外周壁46aの厚み分薄くされた外周壁46bとを有する。
従って、ティース26の磁極部26bを挟み込むように上側巻回部38aと下側巻回部38bとを嵌合させると、巻回部本体42aと巻回部本体42b、内周壁44aと内周壁44b、及び、外周壁46aと外周壁46bは、それぞれ、一部が重なり合って結合する。すなわち、上側巻回部38aの下方から下側巻回部38bが挿入されることで、上側巻回部38aと下側巻回部38bとが一体化されて巻回部38が構成され、該巻回部38の中央部には、矢印B方向に沿って図示しない孔が形成される。これにより、当該孔に磁極部26bが嵌まり込む一方で、巻回部38における内周壁44a、44bと外周壁46a、46bとの間の箇所にコイル素線18aが巻回されることにより、コイル18が構成される。
引き回し部40は、外周壁46aの上端部近傍から矢印B1方向に突出するように設けられ、コイル素線18aの一端部側のコイル端末18xを矢印C方向に沿って電圧供給端子U、V、Wの箇所にまで引き回し、一方で、コイル素線18aの他端部側のコイル端末18yを矢印C方向に沿って中性点端子Nの箇所にまで引き回す。
具体的に、引き回し部40は、外周壁46aの上端部に設けられた板状部50と、板状部50上に形成されるコイル端末収容部52とから構成される。コイル端末収容部52は、巻回部38に巻回されたコイル素線18aの一端部側のコイル端末18xと、他端部側のコイル端末18yとを矢印C方向に収容できるように構成されている。
すなわち、コイル端末収容部52は、図4〜図8に示すように、板状部50の矢印C2方向側に立設するブロック52aと、板状部50の矢印C1方向側に立設するブロック52bと、各ブロック52a、52bの矢印B2方向の背面を連結する連結部52cとから構成される。ブロック52bの背後(矢印B2方向の背面における矢印C1方向側の箇所)には、巻回部38に巻回されたコイル端末18x、18y(例えば、他端部側のコイル端末18y)を固定するコイル端末固定部54が形成されている。
各ブロック52a、52bには、それぞれ、矢印C方向に沿って延在し、且つ、平角線のコイル素線18aの他端部側のコイル端末18yを収容可能な幅(矢印A方向に沿った長さ)及び深さ(矢印B方向に沿った奥行き)を有する溝部56a、56bと、一端部側のコイル端末18xを収容可能な幅及び深さを有する溝部58a〜62a、58b〜62bとが、矢印A方向に所定間隔で設けられている。従って、各溝部56a〜62a、56b〜62bは、ステータ10の径方向外側の矢印B1方向に開口する開口部63a、63bをそれぞれ有することになる。
この場合、各ブロック52a、52bにおいて、矢印A方向の上側に形成された溝部56a、56bは、U1相〜U6相、V1相〜V6相及びW1相〜W6相のコイル18を構成する各コイル素線18aの他端部側のコイル端末18yを、矢印B方向に積層して収容するため、図8に示すように、コイル端末18xを収容する他の各溝部58a〜62a、58b〜62bよりも、矢印B2方向に深く形成されている。
一方、各ブロック52a、52bにおいて、矢印A方向に沿って、溝部56a、56bの下方に所定間隔で形成された各溝部58a〜62a、58b〜62bは、互いに略同一の幅(長さ)及び深さ(奥行き)に形成されている(図6〜図8参照)。
また、ブロック52a、52bにおいて、各溝部56a〜62a、56b〜62bを画成する部分は、それぞれ、該ブロック52a、52bの本体部64a、64bから矢印B1方向及び矢印C方向に平板状に延在する庇状の壁部として構成され、各壁部は、内壁部66a〜80a、66b〜80bを備える。
なお、一般的に、溝部は、細長い窪み状を呈し、細長い底面部と、この底面部の短手方向の両側にそれぞれの一端側が立設される二つの内壁部と、二つの前記内壁部の他端側により形成される、前記底面部に対応する開口部と、から構成される。
そして、図4〜図7に示すように、各内壁部66a〜80a、66b〜80bには、各溝部56a〜62a、56b〜62bに面して、矢印B方向に延在する円弧状の保持部としての凹部82a〜88a、82b〜88b又は凸部90a〜96a、90b〜96bが形成されている。凹部82a〜88a、82b〜88b及び凸部90a〜96a、90b〜96bは、内壁部66a〜80a、66b〜80bにおいて、矢印C方向に沿った略同一位置にそれぞれ設けられ、略同一の引込量又は突出量を有する。
すなわち、それぞれの溝部56a〜62a、56b〜62bに面する一方の内壁部に凹部82a〜88a、82b〜88bが設けられると共に、他方の内壁部に凹部82a〜88a、82b〜88bに対向して凸部90a〜96a、90b〜96bが設けられる。しかも、ブロック52aの溝部56a〜62aと、ブロック52bの溝部56b〜62bとでは、矢印C方向に沿って、凹部82a〜88a、82b〜88bと凸部90a〜96a、90b〜96bとが交互に設けられている。従って、各溝部56a〜62a、56b〜62bは、矢印C方向に沿って波状に形成されている。
これにより、U1相〜U6相、V1相〜V6相及びW1相〜W6相のコイル端末18yは、各溝部56a、56bの底部100a、100bに対して矢印B方向に積層され、且つ、矢印C方向に沿って、各溝部56a、56bに波状に収容された状態で、中性点端子Nの位置にまで引き回される。また、U1相〜U6相のコイル端末18xは、各溝部58a、58bの底部102a、102bに対して矢印B方向に積層され、且つ、矢印C方向に沿って、各溝部58a、58bに波状に収容された状態で、電圧供給端子Uの位置にまで引き回される。
同様に、V1相〜V6相のコイル端末18xは、各溝部60a、60bの底部104a、104bに対して矢印B方向に積層され、且つ、矢印C方向に沿って、各溝部60a、60bに波状に収容された状態で、電圧供給端子Vの位置にまで引き回される。また、W1相〜W6相のコイル端末18xは、各溝部62a、62bの底部106a、106bに対して矢印B方向に積層され、且つ、矢印C方向に沿って、各溝部62a、62bに波状に収容された状態で、電圧供給端子Wの位置にまで引き回される。
[カバー部材20の構成]
カバー部材20は、図1、図6及び図8に示すように、矢印C方向に沿って環状に配置された各分割コア部14に対して、各溝部56a〜62a、56b〜62b(の開口部63a、63b)を閉塞するように、引き回し部40の矢印B1方向の側面に取り付けられた円環状の部材である。
この場合、カバー部材20は、各引き回し部40の矢印B1方向の側面に圧入することによりステータコア16に固定してもよいし、又は、図示しない接着剤を介して各引き回し部40の矢印B1方向の側面に接着することによりステータコア16に固定してもよい。従って、カバー部材20は、ステータコア16がホルダ12の内側に圧入されることにより、ホルダ12の内周面12aとステータコア16の外周面(引き回し部40の矢印B1方向の側面)との隙間に固定保持される。
また、図7に示すように、カバー部材20のうち、電圧供給端子U〜W及び中性点端子Nが設けられる箇所(結線部25n、25u〜25wが設けられる箇所)は、結線部25n、25u〜25wを避けるようにカバー部材20の一部を矩形状に切り欠いた切欠部110として形成されている。従って、電圧供給端子U〜W及び中性点端子Nは、切欠部110を通過して、図1に示すように、ホルダ12及びカバー部材20よりもステータ10の径方向外側に突出して設けることができる。
なお、各溝部56a〜62a、56b〜62bにコイル端末18x、18yが収容されるので、カバー部材20は、各溝部56a〜62a、56b〜62bに各コイル端末18x、18yが収容され、且つ、結線部25n、25u〜25wの位置にまで引き回された直後に、引き回し部40の矢印B1方向の側面に取り付けられることが望ましい。
[各コイル端末18x、18yの引き回し]
ここで、カバー部材20の作用の説明に先立ち、各溝部56a〜62a、56b〜62bに対する各コイル端末18x、18yの収容(引き回し)や、結線部25n、25u〜25wの形成について説明する。
前述のように、コイル素線18aの一端部側のコイル端末18x及び他端部側のコイル端末18yは、平角線の長辺側を矢印A方向に沿わせた状態で(図4及び図6〜図8参照)、矢印C方向に引き回されることにより、各溝部56a〜62a、56b〜62bに収容される。そのため、各分割コア部14のそれぞれの溝部56a〜62a、溝部56b〜62bについて、U相、V相及びW相の各コイル端末18xの内、いずれの相のコイル端末18x同士を引き回し、さらには、U相〜W相の各コイル端末18yを引き回すのかを予め割り当てておくことが望ましい。
例えば、各溝部56a、56bにU1相〜U6相、V1〜V6相及びW1〜W6相のコイル端末18y同士を引き回し、各溝部58a、58bにU1相〜U6相のコイル端末18x同士を引き回し、各溝部60a、60bにV1相〜V6相のコイル端末18x同士を引き回し、各溝部62a、62bにW1相〜W6相のコイル端末18x同士を引き回すことを予め決めておく。
また、電圧供給端子U、V、W及び中性点端子Nについても、U1相、W6相及びV6相の3つの分割コア部14近傍に設けることも予め決めておく。
さらに、ステータコア16では、18個の分割コア部14が図1に示す順に環状に配置されている。
そのため、先ず、U1相〜U3相の3本のコイル端末18xは、U3相からU1相までの分割コア部14の各溝部58a、58bに収容され、矢印C1方向に沿って、図1の反時計回りに、電圧供給端子Uの位置にまで引き回される。その際、当該各溝部58a、58b内では、電圧供給端子Uの位置に向かうにつれて、3本のコイル端末18xが矢印B方向に積層された状態で引き回される。すなわち、電圧供給端子Uの位置に対して、U1相、U2相及びU3相の順に離れているので、当該各溝部58a、58b内では、底部102a、102b(図8参照)に対して、U1相、U2相及びU3相のコイル端末18xの順に積層されて引き回される。
一方、U4相〜U6相の3本のコイル端末18xは、U4相からU1相までの分割コア部14の各溝部58a、58bに収容され、矢印C2方向に沿って、図1の時計回りに、電圧供給端子Uの位置にまで引き回される。その際、当該各溝部58a、58b内では、電圧供給端子Uの位置に向かうにつれて、3本のコイル端末18xが矢印B方向に積層された状態で引き回される。すなわち、電圧供給端子Uの位置に対して、U6相、U5相及びU4相の順に離れているので、当該各溝部58a、58b内では、底部102a、102b(図8参照)に対して、U6相、U5相及びU4相のコイル端末18xの順に積層されて引き回される。
この結果、U1相〜U6相のコイル18を構成する各コイル素線18aのコイル端末18xを電圧供給端子Uに接続することができる。この場合、電圧供給端子Uの箇所では、U1相〜U3相の3本のコイル端末18xの端部をステータ10の径方向外側(矢印B1方向)にV字状に湾曲させると共に、対向するU4相〜U6相の3本のコイル端末18xの端部を矢印B1方向にV字状に湾曲させる。束ねられた6本のコイル端末18xの端部に対してヒュージング処理等を行うことにより、6本のコイル端末18xが結線されて電圧供給端子Uに接続され、結線部25uが形成される。
以下同様に、V1相〜V3相の3本のコイル端末18xは、V3相からW6相までの分割コア部14の各溝部60a、60bに収容され、矢印C1方向に沿って、図1の反時計回りに、電圧供給端子Vの位置にまで引き回される。その際、当該各溝部60a、60b内では、電圧供給端子Vの位置に向かうにつれて、3本のコイル端末18xが矢印B方向に積層された状態で引き回される。すなわち、電圧供給端子Vの位置に対して、V1相、V2相及びV3相の順に離れているので、当該各溝部60a、60b内では、底部104a、104b(図8参照)に対して、V1相、V2相及びV3相のコイル端末18xの順に積層されて引き回される。
一方、V4相〜V6相の3本のコイル端末18xは、V4相からW6相までの分割コア部14の各溝部60a、60bに収容され、矢印C2方向に沿って、図1の時計回りに、電圧供給端子Vの位置にまで引き回される。その際、当該各溝部60a、60b内では、電圧供給端子Vの位置に向かうにつれて、3本のコイル端末18xが矢印B方向に積層された状態で引き回される。すなわち、電圧供給端子Vの位置に対して、V6相、V5相及びV4相の順に離れているので、当該各溝部60a、60b内では、底部104a、104b(図8参照)に対して、V6相、V5相及びV4相のコイル端末18xの順に積層されて引き回される。
この結果、V1相〜V6相のコイル18を構成する各コイル素線18aのコイル端末18xを電圧供給端子Vに接続することができる。この場合も、電圧供給端子Vの箇所では、V1相〜V3相の3本のコイル端末18xの端部を矢印B1方向にV字状に湾曲させると共に、対向するV4相〜V6相の3本のコイル端末18xの端部を矢印B1方向にV字状に湾曲させる。束ねられた6本のコイル端末18xの端部に対してヒュージング処理等を行うことにより、6本のコイル端末18xが結線されて電圧供給端子Vに接続され、結線部25vが形成される。
さらに、W6相、W1相及びW2相の3本のコイル端末18xは、W2相からW6相までの分割コア部14の各溝部62a、62bに収容され、矢印C1方向に向かって、図1の反時計回りに、電圧供給端子Wの位置にまで引き回される。その際、当該各溝部62a、62b内では、電圧供給端子Wの位置に向かうにつれて、3本のコイル端末18xが矢印B方向に積層された状態で引き回される。すなわち、電圧供給端子Wの位置に対して、W6相、W1相及びW2相の順に離れているので、当該各溝部62a、62b内では、底部106a、106b(図8参照)に対して、W6相、W1相及びW2相のコイル端末18xの順に積層されて引き回される。
一方、W3相〜W5相の3本のコイル端末18xは、W3相からW6相までの分割コア部14の各溝部62a、62bに収容され、矢印C2方向に向かって、図1の時計回りに、電圧供給端子Wの位置まで引き回される。その際、当該各溝部62a、62b内では、電圧供給端子Wの位置に向かうにつれて、3本のコイル端末18xが矢印B方向に積層された状態で引き回される。すなわち、電圧供給端子Wの位置に対して、W5相、W4相及びW3相の順に離れているので、当該各溝部62a、62b内では、底部106a、106b(図8参照)に対して、W5相、W4相及びW3相のコイル端末18xの順に積層されて引き回される。
この結果、W1相〜W6相のコイル18を構成する各コイル素線18aのコイル端末18xを電圧供給端子Wに接続することができる。この場合も、電圧供給端子Wの箇所では、W6相、W1相及びW2相の3本のコイル端末18xの端部を矢印B1方向にV字状に湾曲させると共に、対向するW3〜W5相の3本のコイル端末18xの端部を矢印B1方向にV字状に湾曲させる。束ねられた6本のコイル端末18xの端部に対してヒュージング処理等を行うことにより、6本のコイル端末18xが結線されて電圧供給端子Wに接続され、結線部25wが形成される。
さらにまた、図1の左側におけるW6相〜V3相の9本のコイル端末18yは、W6相からV3相までの分割コア部14の各溝部56a、56bに収容され、矢印C1方向に向かって、図1の反時計回りに、中性点端子Nの位置にまで引き回される。その際、当該各溝部56a、56b内では、中性点端子Nの位置に向かうにつれて、9本のコイル端末18yが矢印B方向に積層された状態で引き回される。すなわち、中性点端子Nの位置に対して、W6相、U1相、…、U3相及びV3相の順に離れているので、当該各溝部56a、56b内では、底部100a、100b(図8参照)に対して、W6相、U1相、…、U3相及びV3相のコイル端末18yの順に積層されて引き回される。
一方、図1の右側におけるV6相〜W3相の9本のコイル端末18yは、V6相からW3相までの分割コア部14の各溝部56a、56bに収容され、矢印C2方向に向かって、図1の時計回りに、中性点端子Nの位置まで引き回される。その際、当該各溝部56a、56b内では、中性点端子Nの位置に向かうにつれて、9本のコイル端末18yが矢印B方向に積層された状態で引き回される。すなわち、中性点端子Nの位置に対して、V6相、U6相、…、U4相及びW3相の順に離れているので、当該各溝部56a、56b内では、底部100a、100b(図8参照)に対して、V6相、U6相、…、U4相及びW3相のコイル端末18yの順に積層されて引き回される。
この結果、V6相〜W3相のコイル18を構成する各コイル素線18aのコイル端末18yを中性点端子Nに接続することができる。この場合も、中性点端子Nの箇所では、W6相〜V3相の9本のコイル端末18yの端部を矢印B1方向にV字状に湾曲させると共に、対向するV6相〜W3相の9本のコイル端末18yの端部を矢印B1方向にV字状に湾曲させる。束ねられた18本のコイル端末18yの端部に対してヒュージング処理等を行うことにより、18本のコイル端末18yが結線されて中性点端子Nに接続され、結線部25nが形成される。
なお、各コイル端末18x、18yを各溝部56a〜62a、56a〜62aにそれぞれ収容する際、各コイル端末18x、18yは、凹部82a〜88a、82b〜88b及び凸部90a〜96a、90b〜96bに沿ってそれぞれ変形する(曲がる)。この結果、引き回し後、凹部82a〜88a、82b〜88b及び凸部90a〜96a、90b〜96bによって曲げられた変形部分には、スプリングバック効果により凸部90a〜96a、90b〜96b側に戻ろうとする反力が作用する。この反力によって、前記変形部分は、凸部90a〜96a、90b〜96bに押し付けられる形となる。この結果、各コイル端末18x、18yは、凸部90a〜96a、90b〜96bに確実に保持された状態で、各溝部56a〜62a、56b〜62bにそれぞれ波状に収容される。
[カバー部材20の作用]
次に、カバー部材20の作用について説明する。カバー部材20の作用とは、後述する各種の要因によって、上述のように各溝部56a〜62a、56b〜62bに収容された渡り線としての各コイル端末18x、18yが、径方向外側(矢印B1方向)に出ないように抑制(保護)するというものである。なお、カバー部材20は、各コイル端末18x、18yの引き回し工程の直後に、引き回し部40の矢印B1方向の側面に取り付けられる。
ここで、カバー部材20の作用に先立ち、カバー部材20が存在しないことによる課題について説明する。
ステータコア16は、分割コア部14を環状に配置して筒状に形成されている。そのため、ホルダ12にステータコア16を圧入した際、各分割コア部14が径方向内側(矢印B2方向)に寄せられ、ステータコア16が全体的に径方向内側に縮んでしまう。この結果、ステータコア16の外径が小さくなり、各溝部56a〜62a、56b〜62bにそれぞれ収容された各コイル端末18x、18yが径方向外側に緩む。
また、同相のコイル端末18x同士を結線することにより結線部25u〜25wを形成する場合には、例えば、同相のコイル端末18xの端部を束ねた後に、相毎に、各端部と電圧供給端子U、V、Wとをヒュージング処理によって接合することで結線部25u〜25wを形成する。各コイル端末18yについても、コイル端末18yの端部を束ねた後に、各端部と中性点端子Nとをヒュージング処理によって接合することで結線部25nを形成する。そのため、コイル端末18x、18y同士を束ねてヒュージング処理を行う工程で、コイル端末18x、18y同士の接触動作が繰り返されると、各溝部56a〜62a、56b〜62bに収容されたコイル端末18x、18yが緩むおそれがある。また、上記の接触動作が繰り返されることにより、各コイル端末18x、18yの絶縁被膜に余計な負荷がかかり、コイル18の電気絶縁性能に影響が及ぶおそれもある。
さらに、電圧供給端子U、V、W及び中性点端子Nと各相のケーブルの端子とを接続する際に、端子位置を微調整すれば、各コイル端末18x、18yの端部の根元部分が動くことになる。この結果、各コイル端末18x、18yに対する各溝部56a〜62a、56b〜62bの保持力が低下し、各コイル端末18x、18yが径方向外側に緩む可能性がある。
このようにコイル端末18x、18yの一部が外側に緩んで溝部56a〜62a、56b〜62bから露出すれば、当該コイル端末18x、18yの電気絶縁性能に影響が及ぶおそれがある。この場合、円周方向に各コイル端末18x、18yを引き回して各溝部56a〜62a、56b〜62bにそれぞれ収容する工程が全てやり直しとなり、全ての分割コア部14のコイル18を巻き直す必要があるため、ステータ10の歩留まりが低下して製造コストが増加するおそれがある。
そこで、この実施形態に係るステータ10では、上記の課題を解決するために、各分割コア部14を構成する絶縁部材28の引き回し部40における矢印B1方向の側面をカバー部材20で覆うことにより、各溝部56a〜62a、56b〜62bの開口部63a、63bを閉塞するようにしている。しかも、カバー部材20は、各引き回し部40の矢印B1方向の側面に圧入されているか、又は、当該側面に接着剤を介して接着固定されている。
これにより、カバー部材20が取り付けられたステータコア16をホルダ12の内側に圧入した際に、ステータコア16が径方向内側(矢印B2方向)に縮んだり、あるいは、電圧供給端子U、V、W及び中性点端子Nと各相のケーブルの端子とを接続する際に端子位置を微調整することで各コイル端末18x、18yの端部の根元部分が動くような場合でも、各開口部63a、63bがカバー部材20で閉塞されているので、各溝部56a〜62a、56b〜62bから各コイル端末18x、18yが径方向外側(矢印B1方向)に出ることを阻止することができる。
[この実施形態の効果]
以上説明したように、この実施形態に係るステータ10によれば、各コイル端末18x、18yを収容する各溝部56a〜62a、56b〜62bが、カバー部材20によって閉塞されている。そのため、ステータ10の製造時に、各コイル端末18x、18yを矢印C方向に沿って引き回して各溝部56a〜62a、56b〜62bに収容した後、環状に配置された各分割コア部14(筒状のステータコア16)をホルダ12の内側に圧入した際、各コイル端末18x、18yが各溝部56a〜62a、56b〜62bの径方向外側(矢印B1方向)に出てしまうことを抑制することができる。
このように、各コイル端末18x、18yを各溝部56a〜62a、56b〜62bに収容した後のステータ10の組立工程(例えば、コイル端末18x、18y同士の結線、ホルダ12の内側へのステータコア16の圧入)において、各コイル端末18x、18yが各溝部56a〜62a、56b〜62bの径方向外側に出ることを抑制できるため、ステータ10の歩留りの低下と、当該ステータ10の製造コストの増加とを共に抑制することができる。
すなわち、この実施形態では、仮に、各溝部56a〜62a、56b〜62bにおけるコイル端末18x、18yの保持に緩みがある場合でも、カバー部材20が存在している限り、外部の部品との干渉や、コイル端末18x、18y間の摩擦に起因した電気絶縁性能の低下(絶縁不良の発生)を防ぐことができる。また、渡り線としてのコイル端末18x、18yの引き回し工程の直後にカバー部材20をステータコア16に取り付けることによって、ステータ10の組立工程におけるコイル端末18x、18yの緩みの発生要因を排除することができる。この結果、コイル端末18x、18yの緩みの影響を極小化して、ステータ10の生産性を向上させることができる。
また、この実施形態において、各溝部56a〜62a、56b〜62bには、ステータ10の径方向外側に向けて開口部63a、63bがそれぞれ形成されている。そのため、カバー部材20を環状に形成し、開口部63a、63bの径方向外側で各分割コア部14の引き回し部40に固定すれば、当該カバー部材20を引き回し部40に容易に固定することができる。なお、開口部63a、63bの径方向外側でカバー部材20を引き回し部40に圧入することにより、カバー部材20を一層容易に固定することができる。
さらに、カバー部材20の各結線部25n、25u〜25wに対応する位置に切欠部110を設けると、各結線部25n、25u〜25wとカバー部材20との干渉を抑制することができる。
なお、従来のステータとしては、例えば、特開2012−228153号公報に開示されているように、渡り線としてのコイル端末自体を波状に成形した後に、成形後のコイル端末を引き回し部の各溝部に収容する場合がある。この従来技術では、コイル端末を波状に成形する装置が必要であり、コストがかかる上に当該装置の設置スペースを確保する必要がある。また、コイル端末の成形時に当該コイル端末の絶縁被膜に余計な負荷がかかると、コイルの電気絶縁性能に影響が及ぶおそれがある。さらに、コイル端末を波状に精度よく成形して溝部に収容するためには、コイル端末の寸法を厳密に管理する必要があると共に、波状に精度よく成形するための管理項目(コイル端末にかけるテンション、波のピッチ、各溝部に引き回すためのスピード等)が増えて生産性が簡易ではなくなってしまう可能性がある。
また、他の従来のステータとしては、特開2012−16100号公報に開示されているように、引き回し部の溝部を構成する内壁部の径方向外側に突起を設けてコイル端末を保持する場合がある。しかしながら、突起の形状がコイル端末の幅寸法より小さければ、コイル端末を溝部に挿入する際に、コイル端末に対して大きな挿入力を付与する必要があり、挿入時にコイル端末の側面に傷が付く可能性がある。このような傷によってコイルの電気絶縁性能に影響が出るおそれがある。そこで、このような状態を回避するために、絶縁被膜の厚いコイル素線を用いると、占積率が低下し、ステータを含めたモータの性能低下や、ステータのコスト及び重量の増加が予想される。
これに対して、この実施形態に係るステータ10では、前述のように、ステータコア16の径方向外側にカバー部材20を取り付けるだけで、各溝部56a〜62a、56b〜62bからコイル端末18x、18yが出ることを阻止できる。従って、ステータ10の製造コストを低く抑えることができると共に、コイル素線18aの電気絶縁性能を確保し、ステータ10の性能低下を回避することができる。
なお、上記の説明では、矢印B方向に沿って各溝部56a〜62a、56b〜62bを形成し、矢印B1方向に開口部63a、63bが設けられる場合について説明した。この実施形態は、上記の説明に限定されることはなく、例えば、任意の方向に開口部63a、63bが形成され、ステータ10の組立工程において、各溝部56a〜62a、56b〜62bに収容されたコイル端末18x、18yが緩んで外部に露出する可能性がある場合にも、カバー部材20で当該開口部63a、63bを閉塞することにより、上記の各効果を得ることができる。
また、上記の説明では、3相のステータ10について説明したが、例えば、6相のモータのステータに、この実施形態を適用可能であることは勿論である。
[この実施形態の変形例]
この発明は、上記した実施形態に限らず、この発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは当然可能である。
ここで、この実施形態に係るステータ10の変形例(第1〜第9変形例)について、図9〜図21を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、図1〜図8で説明した構成要素と同じ構成要素については、同じ参照符号を付けて、その詳細な説明を省略する。
第1変形例では、図9に示すように、カバー部材20が断面略L字状に形成され、従って、カバー部材20の上端部には、矢印B2方向に延在する突き当て部120が設けられている。これにより、各分割コア部14の引き回し部40における矢印B1方向の側面にカバー部材20を圧入した際、突き当て部120が引き回し部40の上面に当接すれば、当該引き回し部40に形成された全ての開口部63a、63bを容易に閉塞することができる。なお、第1変形例でも、圧入に代えて、図示しない接着剤によりカバー部材20を引き回し部40に接着固定してもよい。
第2変形例では、図10に示すように、板状部50が引き回し部40の矢印B1方向の側面から突出している。この場合、引き回し部40の矢印B1方向の側面にカバー部材20を圧入した際、カバー部材20の下端部が板状部50に突き当たるので、引き回し部40に形成された全ての開口部63a、63bを容易に閉塞することができる。なお、第2変形例でも、圧入に代えて、図示しない接着剤によりカバー部材20を引き回し部40に接着固定してもよい。
第3変形例では、図11〜図13に示すように、カバー部材20の上端部における連結部52cに対向する箇所に、矢印B2方向に延在する位相決め部122が設けられている。この場合、図12に示すように、カバー部材20の上端部は、溝部56a、56bを覆う程度に、引き回し部40の上面よりも低い位置に設定されている。
そのため、位相決め部122は、カバー部材20の上端部から上方に突出し、且つ、ブロック52aの上端部とブロック52bの上端部との間に嵌まり込むように、連結部52cに向かって矢印B2方向に延在している。また、位相決め部122の底面の先端側は、図13に示すように、各溝部56a、56bに収容されて矢印C方向に引き回された各コイル端末18yのうち、径方向外側のコイル端末18yの上面に接触している。
従って、引き回し部40の矢印B1方向の側面にカバー部材20を圧入すると、位相決め部122がブロック52a、52b間に嵌まり込むと共に、当該位相決め部122の底面が径方向外側のコイル端末18yの上面に突き当たる。このように、位相決め部122がブロック52a、52b間に嵌まり込むことにより、カバー部材20は、ステータコア16に対して所定の位相で位置決めされた状態で、ステータコア16に圧入される。また、位相決め部122がコイル端末18yの上面に突き当たることで、各溝部56a、56bに収容された各コイル端末18yの緩みを効果的に抑制することができる。
なお、第3変形例でも、図示しない接着剤によりカバー部材20を引き回し部40及び径方向外側のコイル端末18yに接着固定してもよい。
第4変形例では、図14に示すように、カバー部材20のうち、結線部25n、25u〜25wに対応する箇所が切り欠かれることにより、当該カバー部材20が、略円弧状の部材(図14の平面視で略C字状の帯状の部材)として形成される。
また、前述のように、カバー部材20は、可撓性を有する樹脂等の電気絶縁材料で構成されている。そのため、ステータコア16の径方向外側にカバー部材20を取り付ける際には、C字状のカバー部材20をある程度開き、且つ、開口部分を結線部25n、25u〜25wに合わせた状態で、各引き回し部40の径方向外側にカバー部材20を取り付ける。従って、カバー部材20の円弧状の部分が、各開口部63a、63bにおける結線部25n、25u〜25w以外の箇所を閉塞することになる。
この場合でも、カバー部材20と各結線部25n、25u〜25wとを干渉させることなく、当該カバー部材20を引き回し部40に容易に取り付けることが可能となる。
なお、第4変形例のカバー部材20は、前述のように、図14の平面視でC字状に形成されているため、圧入によってステータコア16の径方向外側に固定することができない。そのため、第4変形例では、図示しない接着剤を用いて各引き回し部40の矢印B1方向の側面にカバー部材20を接着させることにより、当該カバー部材20を各引き回し部40に取り付けることになる。
また、第4変形例のカバー部材20は、結線部25n、25u〜25wに対応してカバー部材20の一部が切り欠かれる点以外は、図1、図6、図7及び図8に示すカバー部材20と同じ構造であるため、これらの構造による効果も容易に得られることは勿論である。
第5変形例では、第4変形例と同様に、カバー部材20が平面視でC字状であり、且つ、図15に示すように、カバー部材20の矢印B2方向の側面に形成された各突出部124a〜130a、124b〜130bを各溝部56a〜62a、56b〜62bに嵌合させる。これにより、各溝部56a〜62a、56b〜62bの開口部63a、63bを確実に閉塞することができる。なお、第5変形例においても、図示しない接着剤によって各引き回し部40の矢印B1方向の側面にカバー部材20を接着させればよい。
第6変形例では、図16に示すように、引き回し部40の矢印B1方向の側面のうち、引き回し部40の上端部が矢印B1方向に突出する一方で、引き回し部40の下端部である板状部50が矢印B2方向に引っ込んでいる。このような引き回し部40の形状に対応して、カバー部材20は、断面略L字状に形成されている。すなわち、カバー部材20の上端部は、引き回し部40の上端部の底面に突き当たり、一方で、カバー部材20の下端部は、矢印B2方向に延在して板状部50に突き当たる突き当て部132として形成されている。
これにより、第6変形例では、図示しない接着剤を用いて引き回し部40の矢印B1方向の側面にカバー部材20を接着固定した際、カバー部材20の上端部が引き回し部40における矢印B1方向に突出した上端部の底面に突き当たり、且つ、突き当て部132が板状部50に突き当たる。これにより、各溝部56a〜62a、56b〜62bの開口部63a、63bを効率よく閉塞することができる。
また、突き当て部132が板状部50に突き当たることにより、各溝部62a、62bに引き回されたコイル端末18xの底面も突き当て部132の上面に突き当たることになる。この結果、各溝部62a、62bに収容された各コイル端末18xの緩みを効果的に抑制することができる。
なお、第6変形例は、図16の例に限定されることはなく、図13の第3変形例の断面形状に適用して、上方から径方向外側のコイル端末18yを突き当てることも可能である。すなわち、第6変形例は、下方からコイル端末18xを突き当てて押さえることも可能であるし、あるいは、上方からコイル端末18yを突き当てて押さえることも可能である。
第7変形例では、図17に示すように、カバー部材20が設けられておらず、その代わりに、束となったU相、V相及びW相の各コイル端末18xの端部や、束となった各コイル端末18yの端部を、略円弧状の保持部材134でまとめて保持する。なお、第7変形例では、電圧供給端子U、V、Wをバスバーとして図示しているが、図1及び図14に示す端子形状であってもよい。
そして、保持部材134は、束となった各コイル端末18x、18yの端部の根元部分と、バスバーの電圧供給端子U、V、W及び中性点端子Nとの間の箇所をまとめて保持する樹脂製の部材である。すなわち、保持部材134は、束となったU相、V相、W相の各コイル端末18xの端部と、束となった各コイル端末18yの端部とが動かないように一体的に保持する結束バンドの機能を有する。
従って、保持部材134は、各コイル端末18x、18yが引き回され、各端部が束ねられた直後に、又は、結線部25w、25v、25u、25nが設けられる工程の直後に、各コイル端末18x、18yの端部をまとめて保持することが望ましい。
具体的に、保持部材134は、図18A及び図18Bで模式的に図示するように、束となったU相、V相、W相の各コイル端末18xの端部がそれぞれ載置される凹部136u〜136wと、束となった各コイル端末18yの端部が載置される凹部136nとが形成された載置部138と、載置部138の凹部136w側の基端部140から延在し、且つ、基端部140を軸として載置部138に対して回動する押圧部142とを有する。なお、図18A及び図18Bでは、U相、V相及びW相について6本のコイル端末18xをそれぞれ束ねる一方で、N相について18本のコイル端末18yを束ねるため、説明の便宜上、コイル端末18yの厚みをコイル端末18xの厚みよりも薄く図示している。
各凹部136n、136u〜136wは、図18Aに示すように、テーパ状に形成されている。また、載置部138の先端部には、上方に延在する延出部144が設けられている。延出部144には、基端部140を軸として押圧部142が回動した際に、押圧部142の先端部に設けられた突起状の係合部146に係合する係合孔148が形成されている。
ここで、図18Aに示すように、載置部138に対して押圧部142を開いた状態で凹部136nに束となった各コイル端末18yの端部を載置すると共に、各凹部136u〜136wに束となった各コイル端末18xの端部をそれぞれ載置する。この状態で、基端部140を軸として押圧部142を載置部138側に回動させると、図18Bに示すように、係合部146が係合孔148に係合する。これにより、各凹部136n、136u〜136wに載置された各コイル端末18x、18yの端部は、押圧部142から押圧力を受けた状態で一体的に保持される。
しかも、各凹部136n、136u〜136wがテーパ状に形成されている。また、束となった各コイル端末18x、18yの端部は、断面略ブロック状に構成され、当該ブロックの角部が凹部136n、136u〜136wの傾斜面にそれぞれ接触可能である。これにより、係合部146と係合孔148とが係合した際、束となった各コイル端末18x、18yの端部に緊迫力が作用する。この結果、各コイル端末18x、18yの位置規制がしやすくなる。
すなわち、各コイル端末18x、18yの端部は、保持部材134によってまとめて保持され、位置規制が行われている。そのため、束となった各コイル端末18x、18yの端部のうち、少なくとも1つの束が引っ張られても、当該束を含めた全ての束のコイル端末18x、18yの端部が移動することを抑制することができる。
このように、第7変形例では、ステータ10の製造時に、各コイル端末18x、18yを矢印C方向に沿って引き回して各溝部56a〜62a、56b〜62bに収容した後、各結線部25n、25u〜25wを構成する束となった各コイル端末18x、18yの端部同士を保持部材134でまとめて保持する。これにより、任意の各コイル端末18x、18yの束がステータコア16の径方向外側(矢印B1方向)に引っ張られたとしても、他の相の各コイル端末18x、18yの束が保持部材134により位置決め固定されて相対位置が規制されているので、当該任意の各コイル端末18x、18yの束の移動を規制することができる。
この結果、各コイル端末18x、18yの束が同時に径方向外側に引っ張られたとしても、保持部材134によって各々の束が矢印C方向に位置決めされるので、各コイル端末18x、18yの束の移動を規制することができる。すなわち、第7変形例では、束となった各コイル端末18x、18yの端部を、U相、V相、W相及びN相の間で保持しているので、コイル端末18x、18yの緩みに対するタフネスを向上させることができる。
また、束となった各コイル端末18x、18yの端部を個別に位置規制する場合(例えば、束となった各コイル端末18x、18yの根元部分をそれぞれ位置規制する場合)と比較して、第7変形例は、全ての束の各コイル端末18x、18yの端部を確実に且つ効率よく位置規制することができる。
以上のように、結線部25n、25u〜25wにおいて各コイル端末18x、18yが束ねられた部分の移動を保持部材134で規制することにより、各溝部56a〜62a、56b〜62bに収容された各コイル端末18x、18yの径方向外側への動きも規制されることとなる。この結果、各コイル端末18x、18yを各溝部56a〜62a、56b〜62bに収容した後のステータ10の組立工程において、各コイル端末18x、18yが各溝部56a〜62a、56b〜62bの径方向外側に出ることを抑制することができる。従って、第7変形例においても、ステータ10の歩留りの低下と、当該ステータ10の製造コストの増加とを共に抑制することができる。
なお、第7変形例は、図17の例に限定されることはなく、保持部材134は、任意の順番で各コイル端末18x、18yの端部を保持してもよい。また、第7変形例は、図17に示す3相のステータ10に限定されることはなく、例えば、6相のモータのステータにも適用可能である。
第8変形例は、図19に示すように、押圧部142に断面矩形状の凹部136n、136u〜136wが設けられ、一方で、載置部138が平板状に形成されている。そのため、第8変形例では、束となった各コイル端末18x、18yの端部を押圧部142と載置部138とで挟み込むことにより、各凹部136n、136u〜136wに各コイル端末18x、18yの端部をそれぞれ収容する。しかも、第8変形例では、押圧部142と載置部138とを2本のボルト150a、150bで締結することにより、各コイル端末18x、18yの端部をまとめて保持する。このように、第8変形例においても、各コイル端末18x、18yの端部をまとめて保持するので、第7変形例と同様の効果を得ることができる。
なお、第8変形例では、2本のボルト150a、150bによる押圧部142と載置部138との締結に代えて、図示しない接着剤により押圧部142と載置部138とを接着してもよいし、押圧部142と載置部138とをかしめてもよいし、あるいは、嵌め殺し方式で押圧部142と載置部138とを固定してもよい。いずれの場合であっても、束となった各コイル端末18x、18yの端部をまとめて保持できるので、上記の効果を容易に得ることができる。
第9変形例は、図20及び図21に示すように、ステータコア16の径方向外側にカバー部材20が取り付けられると共に、束となった各コイル端末18x、18yの端部が保持部材134でまとめて保持されている。
この場合、第4変形例(図14参照)と同様に、カバー部材20における結線部25n、25u〜25wの箇所が切り欠かれることにより、当該カバー部材20は、図20の平面視で、円弧状(略C字状)に形成されている。また、カバー部材20の円弧部分の両端には、径方向外側に延在する延出部152a、152bが設けられている。この場合、延出部152a、152bの矢印A方向の厚みは、各凹部136n、136u〜136wの矢印A方向の深さに設定されている。さらに、第9変形例では、押圧部142に2つの凹部136v、136wが形成されているが、他の2つの凹部136n、136uは、図21に示すように、押圧部142及び載置部138の両端で2つの延出部152a、152bを挟み込むことにより形成される。
従って、第9変形例では、束となった各コイル端末18x、18yの端部と2つの延出部152a、152bとを、押圧部142と載置部138とで挟み込むことにより、各凹部136n、136u〜136wに各コイル端末18x、18yの端部をそれぞれ収容する。そして、押圧部142、延出部152a及び載置部138をボルト150aで締結し、一方で、押圧部142、延出部152b及び載置部138をボルト150bで締結することにより、各コイル端末18x、18yの端部をまとめて保持すると共に、保持部材134とカバー部材20とを連結する。
第9変形例においても、各コイル端末18x、18yの端部をまとめて保持するので、第7変形例及び第8変形例と同様の効果を得ることができる。また、第9変形例では、カバー部材20と保持部材134とを併用しているので、各コイル端末18x、18yを効率よく位置規制することができ、各コイル端末18x、18yが径方向外側に緩むことを効果的に抑制することができる。すなわち、第9変形例では、コイル端末18x、18yの緩みに対するタフネスを一層向上させることができる。
なお、第9変形例においても、ボルト150a、150bによる押圧部142、延出部152a、152b及び載置部138の締結に代えて、押圧部142、延出部152a、152b及び載置部138の接着、かしめ、又は、嵌め殺しでもよい。いずれの場合であっても、束となった各コイル端末18x、18yの端部をまとめて保持できるので、第8変形例での効果を容易に得ることができる。
また、第9変形例では、カバー部材20と保持部材134とをボルト150a、150bで連結する場合について説明したが、カバー部材20と保持部材134とをホルダ12等の他の部品に固定することも可能である。