以下、本発明の実施の態様について図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である有機材料について、以下説明を行う。
本発明の一態様の有機材料は、アリールハライドと、アリールボロン酸またはアリールボロン酸エステルと、をカップリングして得られる有機材料であって、アリールボロン酸またはアリールボロン酸エステルは、アリールボロン酸またはアリールボロン酸エステルのボリル基を水素で置換した第1の不純物、あるいは、第1の不純物の分子量に分子量16または分子量17を加算した第2の不純物のうち少なくともいずれか一方を含み、第1の不純物および第2の不純物を除く他の不純物が1%以下の濃度である有機材料である。
例えば、本発明の一態様の有機材料は、以下の合成スキーム(a−1)に示す方法で作製することができる。
合成スキーム(a−1)において、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、炭素数6〜13のアリール基を表し、該アリール基は置換基を有していてもよく、該置換基は互いに結合して環を形成しても良い。また、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素、または炭素数1〜6のアルキル基のいずれかを表し、R1とR2は互いに結合して環を形成しても良い。
また、X1はハロゲンを表し、反応性の高さからヨウ素、臭素、塩素の順で好ましい。
合成スキーム(a−1)に示すように、アリールハライド(G1)と、アリールボロン酸またはアリールボロン酸エステル(G2)と、を、鈴木・宮浦反応またはパラジウム触媒によるクロスカップリング反応等によりカップリングさせることで、本実施の形態で示す有機材料を合成することができる。ただし、一般式(G2)に示すアリールボロン酸またはアリールボロン酸エステルの分子量は、100〜1000であると好ましい。
一般式(G2)に示すアリールボロン酸またはアリールボロン酸エステルの分子量が、上記数値の範囲であると、例えば、蒸着装置を用いて、本発明の一態様である有機材料を蒸着する際に、蒸着効率を向上させることができる。
なお、一般式(G2)に示すアリールボロン酸またはアリールボロン酸エステルのR1及びR2は、それぞれ独立に、水素であることが好ましい。すなわち、一般式(G2)に示すアリールボロン酸またはアリールボロン酸エステルは、アリールボロン酸のほうが好ましく、アリールボロン酸またはアリールボロン酸エステルのボリル基は、ジヒドロキシボリル基である。
また、合成スキーム(a−1)に示すアリールボロン酸またはアリールボロン酸エステル(G2)は、具体的には、以下の一般式(G2−1)で示すことができる。
一般式(G2−1)において、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素、または炭素数1〜6のアルキル基のいずれかを表し、R1とR2は互いに結合して環を形成しても良い。また、R3〜R7は、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数6〜13の置換もしくは無置換のアリール基を表す。ただし、一般式(G2−1)に示すアリールボロン酸またはアリールボロン酸エステルの分子量は、100〜1000であると好ましい。
一般式(G2−1)の分子量が、上記数値の範囲であると、例えば、蒸着装置を用いて、本発明の一態様である有機材料を蒸着する際に、蒸着効率を向上させることができる。
なお、一般式(G2−1)に示すアリールボロン酸またはアリールボロン酸エステルのR1及びR2は、それぞれ独立に、水素であることが好ましい。すなわち、一般式(G2−1)に示すアリールボロン酸またはアリールボロン酸エステルは、アリールボロン酸のほうが好ましく、アリールボロン酸またはアリールボロン酸エステルのボリル基は、ジヒドロキシボリル基である。
上記に示すアリールボロン酸またはアリールボロン酸エステル(G2−1)は、置換基を有するフェニルボロン酸であると好ましく、さらに該フェニルボロン酸の分子量が、100〜1000であると好ましい。
フェニルボロン酸の分子量が、上記数値の範囲であると、例えば、蒸着装置を用いて、本発明の一態様である有機材料を蒸着する際に、蒸着効率を向上させることができる。
また、上記に示す置換基を有するアリールボロン酸またはアリールボロン酸エステル(G2−1)は、該置換基の骨格が、縮合複素芳香環を含むと良い。とくに、該縮合複素芳香環が、ジベンゾチオフェン環またはジベンゾフラン環であると良い。例えば、アリールボロン酸またはアリールボロン酸エステル(G2−1)は、以下の一般式(G2−2)で示すことができる。
一般式(G2−2)において、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素、または炭素数1〜6のアルキル基のいずれかを表し、R1とR2は互いに結合して環を形成しても良い。また、R3〜R5、及びR7は、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数6〜13の置換もしくは無置換のアリール基を表す。また、R11〜R17は、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数6〜13の置換もしくは無置換のアリール基を表す。また、Zは、硫黄または酸素を表す。
一般式(G2−2)に示すように、縮合複素芳香環とくに、該縮合複素芳香環が、ジベンゾチオフェン環またはジベンゾフラン環であると正孔輸送性が高い骨格であるため、カップリング後の有機材料に正孔輸送性を付与することができる。
また、上述したアリールボロン酸またはアリールボロン酸エステル(G2、G2−1、またはG2−2)は、該アリールボロン酸またはアリールボロン酸エステルのボリル基を水素で置換した第1の不純物、あるいは、該第1の不純物の分子量に分子量16または分子量17を加算した第2の不純物のうち少なくともいずれか一方を含み、第1の不純物および第2の不純物を除く他の不純物が1%以下の濃度であるとよい。さらに好適には、上記第1の不純物および第2の不純物を除く他の不純物が0.5%以下の濃度であるとよい。
アリールハライドと、第1の不純物および第2の不純物を除く他の不純物が1%以下、さらに好ましくは0.5%以下の濃度となるような高純度のアリールボロン酸またはアリールボロン酸エステルと、をカップリングして得られる有機材料を用いて発光素子を作製すると、該発光素子の素子特性または信頼性を向上させることができる。とくに、発光素子の信頼性において、アリールハライドと、上述した高純度のアリールボロン酸またはアリールボロン酸エステルと、をカップリングして得られる有機材料を用いることで、信頼性が極めて向上する。
例えば、アリールボロン酸またはアリールボロン酸エステルの不純物濃度を低減する方法としては、以下の2つの方法がある。
(方法1)
アリールボロン酸またはアリールボロン酸エステルの不純物濃度を低減する1つめの方法としては、アリールボロン酸またはアリールボロン酸エステルを合成する前の材料、例えば、ハロゲン化アリールの一であるアリールブロミドの純度を高めることで、アリールボロン酸またはアリールボロン酸エステルの不純物濃度を低減することができる。具体的には、アリールブロミドである4−(3−ブロモフェニル)ジベンゾチオフェンの純度が90%未満の場合、その4−(3−ブロモフェニル)ジベンゾチオフェンを用いてアリールボロン酸である3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸を合成すると、3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸中の第1の不純物および第2の不純物を除く他の不純物が2%以上となる。一方、4−(3−ブロモフェニル)ジベンゾチオフェンの純度が90%以上の場合、その4−(3−ブロモフェニル)ジベンゾチオフェンを用いてアリールボロン酸である3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸を合成すると、3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸中の第1の不純物および第2の不純物を除く他の不純物が1%以下、より好ましくは0.5%以下の濃度とすることができる。
(方法2)
アリールボロン酸またはアリールボロン酸エステルの不純物濃度を低減する2つめの方法としては、純度の低いアリールボロン酸またはアリールボロン酸エステルであっても、カップリングする前の段階で該アリールボロン酸またはアリールボロン酸エステルを精製することによって、該アリールボロン酸またはアリールボロン酸エステルの不純物濃度を低減することができる。一方、純度の低いアリールボロン酸またはアリールボロン酸エステルを用いて、カップリングした後の有機材料を精製(例えば、再結晶による精製等)しても該有機材料の信頼性に悪影響を及ぼす不純物濃度を低減させるのが困難である。
例えば、アリールボロン酸またはアリールボロン酸エステルの不純物濃度を低減させる精製法としては、以下に示すように、ポリオールによる処理方法を用いることができる。
アリールボロン酸またはアリールボロン酸エステルの分液の状態(状態A:有機相)で、分液の水相を取り除き水に可溶な不純物を除去した後に、ポリオールと塩基性の水溶液を加える。ポリオールと塩基性の水溶液を加えることで、アリールボロン酸またはアリールボロン酸エステルは水に可溶な状態(状態B:水相)になるので、有機相を取り除くことで水に不溶な不純物や反応剤を除去することが可能となる。その後、有機溶媒を加えて水相を酸性とすることで、再びアリールボロン酸またはアリールボロン酸エステルは分液の状態(状態C:有機相)に戻り、ポリオールは水相に戻り、有機相と水相に分離される。その後、有機相を取り出し濃縮することで高純度のアリールボロン酸またはアリールボロン酸エステルを得ることができる。すなわち、アリールボロン酸またはアリールボロン酸エステルを状態A(有機相)、状態B(水相)、状態C(有機相)といった順で相を切り替えることによって、アリールボロン酸またはアリールボロン酸エステルの不純物を除去することができる。
このように、上述した方法1及び方法2によって得られるアリールボロン酸またはアリールボロン酸エステルは、アリールボロン酸またはアリールボロン酸エステルのボリル基を水素で置換した第1の不純物、あるいは、第1の不純物の分子量に分子量16または分子量17を加算した第2の不純物のうち少なくともいずれか一方を含むが、第1の不純物および第2の不純物を除く他の不純物が1%以下、より好ましくは0.5%以下の濃度とすることができる。
以上のように、本発明の一態様の有機材料は、カップリング前のアリールボロン酸またはアリールボロン酸エステルの不純物を取り除き、高純度化することで、カップリング後の有機材料の純度を高め、該有機材料を用いた発光素子の信頼性が向上するといった優れた効果を有する。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の有機材料を用いた発光素子について図1を用いて説明する。
本実施の形態の発光素子は、一対の電極間に少なくとも発光層を有するEL層を挟持して形成される。EL層は発光層の他に複数の層を有してもよい。当該複数の層は、電極から離れたところに発光領域が形成されるように、つまり電極から離れた部位でキャリアの再結合が行われるように、キャリア注入性の高い物質やキャリア輸送性の高い物質からなる層を組み合わせて積層されたものである。本明細書では、キャリア注入性の高い物質やキャリア輸送性の高い物質からなる層をキャリアの注入、輸送などの機能を有する、機能層ともよぶ。機能層としては、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層などを用いることができる。
図1に示す本実施の形態の発光素子において、第1の電極101及び第2の電極103の一対の電極間に発光層113を有するEL層102が設けられている。EL層102は、正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114、及び電子注入層115を有している。また、図1における発光素子は、基板100上に、第1の電極101と、第1の電極101の上に順に積層した正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114、電子注入層115と、さらにその上に設けられた第2の電極103から構成されている。なお、本実施の形態に示す発光素子において、第1の電極101は陽極として機能し、第2の電極103は陰極として機能する。
また、本発明の一態様である有機材料は、EL層102に用いることができる。すなわち上述した正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114、及び電子注入層115の中から選ばれた少なくともいずれか一に含まれるとよい。とくに、発光層113に本発明の一態様である有機材料を用いると好適である。
以下に本実施の形態に示す発光素子を作製する上での具体例について説明する。
基板100は発光素子の支持体として用いられる。基板100としては、例えばガラス、石英、又はプラスチックなどを用いることができる。また可撓性基板を用いてもよい。可撓性基板とは、曲げることができる(フレキシブル)基板のことであり、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォンからなるプラスチック基板等が挙げられる。また、フィルム(ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニル等からなる)、無機蒸着フィルムなどを用いることもできる。なお、発光素子の作製工程において支持体として機能するものであれば、これら以外のものでもよい。
第1の電極101および第2の電極103には、金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。具体的には、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、シリコンまたは酸化シリコンを含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)の他、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(MgAg、AlLi)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金、その他、グラフェン等を用いることができる。なお、第1の電極101および第2の電極103は、例えばスパッタリング法や蒸着法(真空蒸着法を含む)等により形成することができる。
正孔注入層111、及び正孔輸送層112に用いる正孔輸送性の高い物質としては、π電子過剰型複素芳香族化合物(例えばカルバゾール誘導体やインドール誘導体)や芳香族アミン化合物が好ましく、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)、4−フェニル−3’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:mBPAFLP)、4−フェニル−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)、4,4’−ジフェニル−4’’−(9−フェニル−9−H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBBi1BP)、4−(1−ナフチル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−トリフェニルアミン(略称:PCBANB)、4、4’−ジ(1−ナフチル)−4’’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBNBB)、9,9−ジメチル−N−フェニル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−フルオレン−2−アミン(略称:PCBAF)、N−フェニル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−アミン(略称:PCBASF)などの芳香族アミン骨格を有する化合物や、1,3−ビス(N−カルバゾリル)ベンゼン(略称:mCP)、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、3,6−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)−9−フェニルカルバゾール(略称:CzTP)、3,3’−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール)(略称:PCCP)などのカルバゾール骨格を有する化合物や、4,4’,4’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:DBT3P−II)、2,8−ジフェニル−4−[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]ジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP−III)、4−[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]−6−フェニルジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP−IV)などのチオフェン骨格を有する化合物や、4,4’,4’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリ(ジベンゾフラン)(略称:DBF3P−II)、4−{3−[3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]フェニル}ジベンゾフラン(略称:mmDBFFLBi−II)などのフラン骨格を有する化合物が挙げられる。上述した中でも、芳香族アミン骨格を有する化合物やカルバゾール骨格を有する化合物は、信頼性が良好であり、また、正孔輸送性が高く、駆動電圧低減にも寄与するため好ましい。
さらに、正孔注入層111、及び正孔輸送層112に用いることのできる材料としては、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)などの高分子化合物を用いることもできる。
また、正孔注入層111、及び正孔輸送層112は、上記正孔輸送性の高い物質と、アクセプター性を有する物質との混合層を用いてもよい。この場合、キャリア注入性が良好となり好ましい。用いるアクセプター性物質としては、遷移金属酸化物や元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化モリブデンが特に好ましい。
発光層113は、例えば、電子輸送性材料をホスト材料として含み、正孔輸送性材料をアシスト材料として含み、三重項励起エネルギーを発光に変える発光性材料をゲスト材料として含んで形成される層であると好ましい。
上記発光層113におけるホスト材料として用いることのできる電子輸送性材料としては、含窒素複素芳香族化合物のようなπ電子不足型複素芳香族化合物が好ましく、例えば、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、9−[4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CO11)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]−1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール(略称:mDBTBIm−II)などのポリアゾール骨格を有する複素環化合物(オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリアゾール誘導体等)や、2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTPDBq−II)、2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)、2−[3’−(9H−カルバゾール−9−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mCzBPDBq)、4,6−ビス[3−(フェナントレン−9−イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mPnP2Pm)、4,6−ビス[3−(4−ジベンゾチエニル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mDBTP2Pm−II)などのジアジン骨格を有する複素環化合物(ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピリダジン誘導体、キノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体等)や、3,5−ビス[(3−9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]ピリジン(略称:35DCzPPy)、1,3,5−トリ[3−(3−ピリジル)フェニル]ベンゼン(略称:TmPyPB)などのピリジン骨格を有する複素環化合物(ピリジン誘導体、キノリン誘導体、ジベンゾキノリン誘導体等)が挙げられる。上述した中でも、ジアジン骨格を有する複素環化合物やピリジン骨格を有する複素環化合物は、信頼性が良好であり好ましい。特に、ジアジン(ピリミジンやピラジン)骨格を有する複素環化合物は、電子輸送性が高く、駆動電圧低減にも寄与する。
また、本発明の一態様の有機材料は、上記発光層113におけるホスト材料として用いることができる。発光層113におけるホスト材料として、本発明の一態様の有機材料を用いることで、有機材料中の不純物が低減され、信頼性の高い発光素子を作製することができる。
また、発光層113におけるアシスト材料として用いることのできる正孔輸送性材料としては、正孔注入層111、及び正孔輸送層112に用いることのできる正孔輸送性の高い物質を用いればよい。
なお、これらの電子輸送性材料および正孔輸送性材料は、青色の領域に吸収スペクトルを有さないことが好ましい。具体的には、吸収スペクトルの吸収端が440nm以下であることが好ましい。
一方、発光層113における三重項励起エネルギーを発光に変える発光性材料としては、例えば、燐光性材料や熱活性化遅延蛍光を示す熱活性化遅延蛍光(TADF)材料が挙げられる。
また、上記燐光性材料として、例えば440nm〜520nmに発光のピークを有する燐光性材料としては、トリス{2−[5−(2−メチルフェニル)−4−(2,6−ジメチルフェニル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル−κN2]フェニル−κC}イリジウム(III)(略称:Ir(mpptz−dmp)3)、トリス(5−メチル−3,4−ジフェニル−4H−1,2,4−トリアゾラト)イリジウム(III)(略称:Ir(Mptz)3)、トリス[4−(3−ビフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4H−1,2,4−トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:Ir(iPrptz−3b)3)のような4H−トリアゾール骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、トリス[3−メチル−1−(2−メチルフェニル)−5−フェニル−1H−1,2,4−トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:Ir(Mptz1−mp)3)、トリス(1−メチル−5−フェニル−3−プロピル−1H−1,2,4−トリアゾラト)イリジウム(III)(略称:Ir(Prptz1−Me)3)のような1H−トリアゾール骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、fac−トリス[1−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−2−フェニル−1H−イミダゾール]イリジウム(III)(略称:Ir(iPrpmi)3)、トリス[3−(2,6−ジメチルフェニル)−7−メチルイミダゾ[1,2−f]フェナントリジナト]イリジウム(III)(略称:Ir(dmpimpt−Me)3)のようなイミダゾール骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス{2−[3’,5’−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジナト−N,C2’}イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CF3ppy)2(pic))、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIr(acac))のような電子吸引基を有するフェニルピリジン誘導体を配位子とする有機金属イリジウム錯体が挙げられる。上述した中でも、4H−トリアゾール骨格を有する有機金属イリジウム錯体は、信頼性や発光効率にも優れるため、特に好ましい。
また、例えば520nm〜600nmに発光のピークを有する燐光性材料としては、トリス(4−メチル−6−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppm)3)、トリス(4−t−ブチル−6−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tBuppm)3)、(アセチルアセトナト)ビス(6−メチル−4−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppm)2(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(6−tert−ブチル−4−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tBuppm)2(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[4−(2−ノルボルニル)−6−フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(endo−,exo−混合物)(略称:Ir(nbppm)2(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[5−メチル−6−(2−メチルフェニル)−4−フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(略称:Ir(mpmppm)2(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(4,6−ジフェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(dppm)2(acac))のようなピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、(アセチルアセトナト)ビス(3,5−ジメチル−2−フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppr−Me)2(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(5−イソプロピル−3−メチル−2−フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppr−iPr)2(acac))のようなピラジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy)3)、ビス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(ppy)2(acac))、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bzq)2(acac))、トリス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)(略称:Ir(bzq)3)、トリス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(pq)3)、ビス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pq)2(acac))のようなピリジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体の他、トリス(アセチルアセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:Tb(acac)3(Phen))のような希土類金属錯体が挙げられる。
また、例えば600nm〜700nmに発光のピークを有する燐光性材料としては、ビス[4,6−ビス(3−メチルフェニル)ピリミジナト](ジイソブチリルメタナト)イリジウム(III)(略称:Ir(5mdppm)2(dibm))、ビス[4,6−ビス(3−メチルフェニル)ピリミジナト](ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:Ir(5mdppm)2(dpm))、ビス[4,6−ジ(ナフタレン−1−イル)ピリミジナト](ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:Ir(d1npm)2(dpm))のようなピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)2(acac))、ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)(ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)2(dpm))、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)2(acac))のようなピラジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、トリス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(piq)3)、ビス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(piq)2(acac))のようなピリジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体の他、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)のような白金錯体や、トリス(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(DBM)3(Phen))、トリス[1−(2−テノイル)−3,3,3−トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(TTA)3(Phen))のような希土類金属錯体が挙げられる。
電子輸送層114は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送層114には、上述した電子輸送性材料の他、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、BAlq、Zn(BOX)2、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)などの金属錯体を用いることができる。また、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン(略称:BzOs)などの複素芳香族化合物も用いることができる。また、ポリ(2,5−ピリジン−ジイル)(略称:PPy)、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(ピリジン−3,5−ジイル)](略称:PF−Py)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(2,2’−ビピリジン−6,6’−ジイル)](略称:PF−BPy)のような高分子化合物を用いることもできる。ここに述べた物質は、主に10−6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層114として用いてもよい。
また、電子輸送層114は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が2層以上積層したものとしてもよい。
電子注入層115は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層115には、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)、リチウム酸化物(LiOx)等のようなアルカリ金属またはアルカリ土類金属の化合物を用いることができる。また、フッ化エルビウム(ErF3)のような希土類金属化合物を用いることができる。また、上述した電子輸送層114を構成する物質を用いることもできる。
あるいは、電子注入層115に、有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複合材料を用いてもよい。このような複合材料は、電子供与体によって有機化合物に電子が発生するため、電子注入性および電子輸送性に優れている。この場合、有機化合物としては、発生した電子の輸送に優れた材料であることが好ましく、具体的には、例えば上述した電子輸送層114を構成する物質(金属錯体や複素芳香族化合物等)を用いることができる。電子供与体としては、有機化合物に対し電子供与性を示す物質であればよい。具体的には、アルカリ金属やアルカリ土類金属や希土類金属が好ましく、リチウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、エルビウム、イッテルビウム等が挙げられる。また、アルカリ金属酸化物やアルカリ土類金属酸化物が好ましく、リチウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物等が挙げられる。また、酸化マグネシウムのようなルイス塩基を用いることもできる。また、テトラチアフルバレン(略称:TTF)等の有機化合物を用いることもできる。
なお、上述した正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114、及び電子注入層115は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
上述した発光素子は、第1の電極101および第2の電極103との間に生じた電位差により電流が流れ、EL層102において正孔と電子とが再結合することにより発光する。そして、この発光は、第1の電極101および第2の電極103のいずれか一方または両方を通って外部に取り出される。従って、第1の電極101および第2の電極103のいずれか一方、または両方が透光性を有する電極となる。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様である有機材料を発光層に用いた発光素子の実施の形態2と異なる態様について、図2(A)及び図2(B)を用いて説明する。
本実施の形態に示す発光素子は、図2(A)に示すように一対の電極(第1の電極201及び第2の電極203)間にEL層210を有する構造である。なお、EL層210には、少なくとも発光層212を有し、その他、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層などが含まれていても良い。なお、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層には、実施の形態2に示した物質を用いることができる。また、本実施の形態においては、第1の電極201を陽極として用い、第2の電極203を陰極として用いる。
本実施の形態に示すEL層210に、本発明の一態様である有機材料が含まれる構成である。
発光層212は、第1の有機化合物213と、第2の有機化合物214と、第3の有機化合物215が含まれており、本実施の形態においては、第1の有機化合物213をホスト材料として用い、第2の有機化合物214をアシスト材料として用い、第3の有機化合物215をゲスト材料として用いる。本発明の一態様である有機材料は、例えば、ホスト材料として用いる第1の有機化合物213またはアシスト材料として用いる第2の有機化合物214に適用することができる。
発光層212において、上記ゲスト材料をホスト材料に分散させた構成とすることにより、発光層の結晶化を抑制することができる。また、ゲスト材料の濃度が高いことによる濃度消光を抑制し、発光素子の発光効率を高くすることができる。
なお、第1の有機化合物213(ホスト材料)、及び第2の有機化合物214(アシスト材料)のそれぞれの三重項励起エネルギーの準位(T1準位)は、第3の有機化合物215(ゲスト材料)のT1準位よりも高いことが好ましい。第1の有機化合物213(または第2の有機化合物214)のT1準位が第3の有機化合物215のT1準位よりも低いと、発光に寄与する第3の有機化合物215の三重項励起エネルギーを第1の有機化合物213(または第2の有機化合物214)が消光(クエンチ)してしまい、発光効率の低下を招くためである。
ここで、ホスト材料からゲスト材料へのエネルギー移動効率を高めるため、分子間の移動機構として知られているフェルスター機構(双極子−双極子相互作用)およびデクスター機構(電子交換相互作用)を考慮した上で、ホスト材料の発光スペクトル(一重項励起状態からのエネルギー移動を論じる場合は蛍光スペクトル、三重項励起状態からのエネルギー移動を論じる場合は燐光スペクトル)とゲスト材料の吸収スペクトル(より詳細には、最も長波長(低エネルギー)側の吸収帯におけるスペクトル)との重なりが大きくなることが好ましい。しかしながら通常の燐光性のゲスト材料の場合、ホスト材料の蛍光スペクトルを、ゲスト材料の最も長波長(低エネルギー)側の吸収帯における吸収スペクトルと重ねることは困難である。なぜならば、そのようにしてしまうと、ホスト材料の燐光スペクトルは蛍光スペクトルよりも長波長(低エネルギー)側に位置するため、ホスト材料のT1準位が燐光性化合物のT1準位を下回ってしまい、上述したクエンチの問題が生じてしまうからである。一方、クエンチの問題を回避するため、ホスト材料のT1準位が燐光性化合物のT1準位を上回るように設計すると、今度はホスト材料の蛍光スペクトルが短波長(高エネルギー)側にシフトするため、その蛍光スペクトルはゲスト材料の最も長波長(低エネルギー)側の吸収帯における吸収スペクトルと重ならなくなる。したがって、ホスト材料の蛍光スペクトルをゲスト材料の最も長波長(低エネルギー)側の吸収帯における吸収スペクトルと重ね、ホスト材料の一重項励起状態からのエネルギー移動を最大限に高めることは、通常困難である。
そこで本実施形態においては、第1の有機化合物213、および第2の有機化合物214は、励起錯体(エキサイプレックスとも言う)を形成する組み合わせであることが好ましい。これにより、発光層212において、第1の有機化合物213の蛍光スペクトルおよび第2の有機化合物214の蛍光スペクトルは、より長波長側に位置する励起錯体の発光スペクトルに変換される。そして、励起錯体の発光スペクトルとゲスト材料(第3の有機化合物215)の吸収スペクトルとの重なりが大きくなるように、第1の有機化合物213と第2の有機化合物214を選択すれば、一重項励起状態からのエネルギー移動を最大限に高めることができる(図2(B)参照)。
なお、三重項励起状態に関しても、ホスト材料ではなく励起錯体からのエネルギー移動が生じると考えられる。
第1の有機化合物213としては、実施の形態2に示す電子輸送性材料、または本発明の一態様の有機材料を用いるとよい。また、第2の有機化合物214としては、実施の形態2に示す正孔輸送性材料を用いるとよい。また、第3の有機化合物215としては、実施の形態2に示す燐光性材料を用いるとよい。
上述した第1の有機化合物213、及び第2の有機化合物214は、励起錯体を形成できる組み合わせの一例であり、励起錯体の発光スペクトルが、第3の有機化合物215の吸収スペクトルと重なり、励起錯体の発光スペクトルのピークが、第3の有機化合物215の吸収スペクトルのピークよりも長波長であればよい。
なお、電子輸送性材料と正孔輸送性材料で第1の有機化合物213と第2の有機化合物214を構成するため、その混合比によってキャリアバランスを制御することができる。具体的には、第1の有機化合物:第2の有機化合物=1:9〜9:1の範囲が好ましい。
本実施の形態で示した発光素子は、励起錯体の発光スペクトルと燐光性化合物の吸収スペクトルとの重なりを利用したエネルギー移動により、エネルギー移動効率を高めることができるため、外部量子効率の高い発光素子を実現することができる。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様として、電荷発生層を挟んで発光層を複数有する構造の発光素子(以下、タンデム型発光素子という)について説明する。
本実施の形態に示す発光素子は、図3(A)に示すように一対の電極(第1の電極301及び第2の電極303)間に、複数の発光層(第1の発光層311、第2の発光層312)を有するタンデム型発光素子である。
本実施の形態において、第1の電極301は、陽極として機能する電極であり、第2の電極303は陰極として機能する電極である。なお、第1の電極301及び第2の電極303は、実施の形態2と同様な構成を用いることができる。また、複数の発光層(第1の発光層311、第2の発光層312)は、実施の形態2または実施の形態3で示した発光層と同様な構成であっても良いが、いずれかが同様の構成であっても良い。すなわち、第1の発光層311と第2の発光層312は、同じ構成であっても異なる構成であってもよく、その構成は実施の形態2または実施の形態3と同様なものを適用することができる。
また、複数の発光層(第1の発光層311、第2の発光層312)の間には、電荷発生層313が設けられている。電荷発生層313は、第1の電極301と第2の電極303に電圧を印加したときに、一方の発光層に電子を注入し、他方の発光層に正孔を注入する機能を有する。本実施の形態の場合には、第1の電極301に第2の電極303よりも電位が高くなるように電圧を印加すると、電荷発生層313から第1の発光層311に電子が注入され、第2の発光層312に正孔が注入される。
なお、電荷発生層313は、光の取り出し効率の点から、可視光に対して透光性を有する(具体的には、電荷発生層313に対する可視光の透過率が、40%以上)ことが好ましい。また、電荷発生層313は、第1の電極301や第2の電極303よりも低い導電率であっても機能する。
電荷発生層313は、正孔輸送性の高い有機化合物に電子受容体(アクセプター)が添加された構成であっても、電子輸送性の高い有機化合物に電子供与体(ドナー)が添加された構成であってもよい。また、これらの両方の構成が積層されていても良い。
正孔輸送性の高い有機化合物に電子受容体が添加された構成とする場合において、正孔輸送性の高い有機化合物としては、例えば、NPBやTPD、TDATA、MTDATA、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物等を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い有機化合物であれば、上記以外の物質を用いても構わない。
また、電子受容体としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F4−TCNQ)、クロラニル等を挙げることができる。また、遷移金属酸化物を挙げることができる。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
一方、電子輸送性の高い有機化合物に電子供与体が添加された構成とする場合において、電子輸送性の高い有機化合物としては、例えば、Alq、Almq3、BeBq2、BAlqなど、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等を用いることができる。また、この他、Zn(BOX)2、Zn(BTZ)2などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、PBDやOXD−7、TAZ、BPhen、BCPなども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い有機化合物であれば、上記以外の物質を用いても構わない。
また、電子供与体としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属または希土類金属または元素周期表における第13族に属する金属およびその酸化物、炭酸塩を用いることができる。具体的には、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、イッテルビウム(Yb)、インジウム(In)、酸化リチウム、炭酸セシウムなどを用いることが好ましい。また、テトラチアナフタセンのような有機化合物を電子供与体として用いてもよい。
また、本発明の一態様の有機材料は、電荷発生層313に適用することができる。本発明の一態様の有機材料は、有機材料中の不純物が低減されているため、信頼性の高い発光素子を作製することができる。
なお、上述した材料を用いて電荷発生層313を形成することにより、発光層が積層された場合における駆動電圧の上昇を抑制することができる。
図3(A)においては、発光層を2層有する発光素子について説明したが、図3(B)に示すように、n層(ただし、nは、3以上)の発光層を積層した発光素子についても、同様に適用することが可能である。本実施の形態に係る発光素子のように、一対の電極間に複数の発光層を有する場合、発光層と発光層との間に電荷発生層313を配置することで、電流密度を低く保ったまま、高輝度領域での発光が可能である。電流密度を低く保てるため、長寿命素子を実現できる。また、照明を応用例とした場合は、電極材料の抵抗による電圧降下を小さくできるので、大面積での均一発光が可能となる。また、低電圧駆動が可能で消費電力が低い発光装置を実現することができる。
また、それぞれの発光層の発光色を異なるものにすることで、発光素子全体として、所望の色の発光を得ることができる。例えば、2つの発光層を有する発光素子において、第1の発光層の発光色と第2の発光層の発光色を補色の関係になるようにすることで、発光素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。なお、補色とは、混合すると無彩色になる色同士の関係をいう。つまり、補色の関係にある色を発光する物質から得られた光と混合すると、白色発光を得ることができる。
また、3つの発光層を有する発光素子の場合でも同様であり、例えば、第1の発光層の発光色が赤色であり、第2の発光層の発光色が緑色であり、第3の発光層の発光色が青色である場合、発光素子全体としては、白色発光を得ることができる。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様である発光装置について説明する。
本実施の形態に示す発光装置は、一対の電極間での光の共振効果を利用した微小光共振器(マイクロキャビティー)構造を有しており、図4に示す様に一対の電極(反射電極451及び半透過・半反射電極452)間に少なくともEL層455を有する発光素子を、複数有している。また、EL層455は、少なくとも発光層454(454R、454G、454B)を有し、その他、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層、電荷発生層などが含まれていても良い。
本発明の一態様の有機材料は、EL層455に適用することができる。本発明の一態様の有機材料をEL層455に適用することで、信頼性の高い発光装置とすることができる。
第1の発光素子450Rは、反射電極451上に第1の透明導電層453aと、第1の発光層454B、第2の発光層454G、第3の発光層454Rを一部に含むEL層455と、半透過・半反射電極452とが順次積層された構造を有する。また、第2の発光素子450Gは、反射電極451上に第2の透明導電層453bと、EL層455と、半透過・半反射電極452とが順次積層された構造を有する。また、第3の発光素子450Bは、反射電極451上にEL層455と、半透過・半反射電極452とが順次積層された構造を有する。
なお、上記発光素子(第1の発光素子450R、第2の発光素子450G、第3の発光素子450B)において、反射電極451、EL層455、半透過・半反射電極452は共通である。また、第1の発光層454Bでは、420nm以上480nm以下の波長領域にピークをもつ光(λB)を発光させ、第2の発光層454Gでは、500nm以上550nm以下の波長領域にピークを持つ光(λG)を発光させ、第3の発光層454Rでは、600nm以上760nm以下の波長領域にピークを持つ光(λR)を発光させる。これにより、いずれの発光素子(第1の発光素子450R、第2の発光素子450G、第3の発光素子450B)でも、第1の発光層454B、第2の発光層454G、及び第3の発光層454Rからの発光が重ね合わされた、すなわち可視光領域に渡るブロードな光を発光させることができる。なお、上記より、波長の長さは、λB<λG<λRなる関係であるとする。
本実施の形態に示す各発光素子は、それぞれ反射電極451と半透過・半反射電極452との間にEL層455を挟んでなる構造を有しており、EL層455に含まれる各発光層から全方向に射出される発光は、微小光共振器(マイクロキャビティー)としての機能を有する反射電極451と半透過・半反射電極452とによって共振される。なお、反射電極451は、反射性を有する導電性材料により形成され、その膜に対する可視光の反射率が40%〜100%、好ましくは70%〜100%であり、かつその抵抗率が1×10−2Ωcm以下の膜であるとする。また、半透過・半反射電極452は、反射性を有する導電性材料と光透過性を有する導電性材料とにより形成され、その膜に対する可視光の反射率が20%〜80%、好ましくは40%〜70%であり、かつその抵抗率が1×10−2Ωcm以下の膜であるとする。
また、本実施の形態では、各発光素子で、第1の発光素子450Rと第2の発光素子450Gにそれぞれ設けられた透明導電層(第1の透明導電層453a、第2の透明導電層453b)の厚みを変えることにより、発光素子毎に反射電極451と半透過・半反射電極452の間の光学距離を変えている。つまり、各発光素子の各発光層から発光するブロードな光は、反射電極451と半透過・半反射電極452との間において、共振する波長の光を強め、共振しない波長の光を減衰させることができるため、素子毎に反射電極451と半透過・半反射電極452の間の光学距離を変えることにより、異なる波長の光を取り出すことができる。
なお、光学距離(光路長ともいう)とは、実際の距離に屈折率をかけたものであり、本実施の形態においては、実膜厚にn(屈折率)をかけたものを表している。すなわち、「光学距離=実膜厚×n」である。
また、第1の発光素子450Rでは、反射電極451から半透過・半反射電極452までの光学的距離をmλR/2(ただし、mは1以上の自然数)、第2の発光素子450Gでは、反射電極451から半透過・半反射電極452までの光学的距離をmλG/2(ただし、mは1以上の自然数)、第3の発光素子450Bでは、反射電極451から半透過・半反射電極452までの光学的距離をmλB/2(ただし、mは1以上の自然数)としている。
以上より、第1の発光素子450Rからは、主としてEL層455に含まれる第3の発光層454Rで発光した光(λR)が取り出され、第2の発光素子450Gからは、主としてEL層455に含まれる第2の発光層454Gで発光した光(λG)が取り出され、第3の発光素子450Bからは、主としてEL層455に含まれる第1の発光層454Bで発光した光(λB)が取り出される。なお、各発光素子から取り出される光は、半透過・半反射電極452側からそれぞれ射出される。
また、上記構成において、反射電極451から半透過・半反射電極452までの光学的距離は、厳密には反射電極451における反射領域から半透過・半反射電極452における反射領域までの距離である。しかし、反射電極451や半透過・半反射電極452における反射領域の位置を厳密に決定することは困難であるため、反射電極451と半透過・半反射電極452の任意の位置を反射領域と仮定することで充分に上述の効果を得ることができるものとする。
次に、第1の発光素子450Rにおいて、第3の発光層454Rからの発光のうち、反射電極451によって反射されて戻ってきた光(第1の反射光)は、第3の発光層454Rから半透過・半反射電極452に直接入射する光(第1の入射光)と干渉を起こすため、反射電極451と第3の発光層454Rの光学的距離を(2nR−1)λR/4(ただし、nRは1以上の自然数)に調節する。光学的距離を調節することにより、第1の反射光と第1の入射光との位相を合わせ、第3の発光層454Rからの発光を増幅させることができる。
なお、反射電極451と第3の発光層454Rとの光学的距離とは、厳密には反射電極451における反射領域と第3の発光層454Rにおける発光領域との光学的距離ということができる。しかし、反射電極451における反射領域や第3の発光層454Rにおける発光領域の位置を厳密に決定することは困難であるため、反射電極451と第3の発光層454Rの任意の位置を、それぞれ反射領域、発光領域と仮定することで充分に上述の効果を得ることができるものとする。
次に、第2の発光素子450Gにおいて、第2の発光層454Gからの発光のうち、反射電極451によって反射されて戻ってきた光(第2の反射光)は、第2の発光層454Gから半透過・半反射電極452に直接入射する光(第2の入射光)と干渉を起こすため、反射電極451と第2の発光層454Gの光学的距離を(2nG−1)λG/4(ただし、nGは1以上の自然数)に調節する。光学的距離を調節することにより、第2の反射光と第2の入射光との位相を合わせ、第2の発光層454Gからの発光を増幅させることができる。
なお、反射電極451と第2の発光層454Gとの光学的距離とは、厳密には反射電極451における反射領域と第2の発光層454Gにおける発光領域との光学的距離ということができる。しかし、反射電極451における反射領域や第2の発光層454Gにおける発光領域の位置を厳密に決定することは困難であるため、反射電極451と第2の発光層454Gの任意の位置を、それぞれ反射領域、発光領域と仮定することで充分に上述の効果を得ることができるものとする。
次に、第3の発光素子450Bにおいて、第1の発光層454Bからの発光のうち、反射電極451によって反射されて戻ってきた光(第3の反射光)は、第1の発光層454Bから半透過・半反射電極452に直接入射する光(第3の入射光)と干渉を起こすため、反射電極451と第1の発光層454Bの光学的距離を(2nB−1)λB/4(ただし、nBは1以上の自然数)に調節する。光学的距離を調節することにより、第3の反射光と第3の入射光との位相を合わせ、第1の発光層454Bからの発光を増幅させることができる。
なお、反射電極451と第1の発光層454Bとの光学的距離とは、厳密には反射電極451における反射領域と第1の発光層454Bにおける発光領域との光学的距離ということができる。しかし、反射電極451における反射領域や第1の発光層454Bにおける発光領域の位置を厳密に決定することは困難であるため、反射電極451と第1の発光層454Bの任意の位置を、それぞれ反射領域、発光領域と仮定することで充分に上述の効果を得ることができるものとする。
なお、上記構成において、いずれの発光素子もEL層に複数の発光層を有する構造を有しているが、本発明はこれに限られることはなく、例えば、実施の形態4で説明したタンデム型(積層型)発光素子の構成と組み合わせて、一つの発光素子に電荷発生層を挟んで複数の発光層を形成する構成としてもよい。
本実施の形態で示した発光装置は、マイクロキャビティー構造を有しており、同じ構成のEL層を有していても発光素子毎に異なる波長の光を取り出すことができるためRGBの塗り分けが不要となる。従って、高精細化を実現することが容易であるなどの理由からフルカラー化を実現する上で有利である。また、特定波長の正面方向の発光強度を強めることが可能となるため、低消費電力化を図ることができる。この構成は、3色以上の画素を用いたカラーディスプレイ(画像表示装置)に適用する場合に、特に有用であるが、照明などの用途に用いてもよい。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様である発光素子を有する発光装置について説明する。
また、上記発光装置は、パッシブマトリクス型の発光装置でもアクティブマトリクス型の発光装置でもよい。本実施の形態では、アクティブマトリクス型の発光装置について図5を用いて説明する。
なお、図5(A)は発光装置を示す上面図であり、図5(B)は図5(A)を鎖線A−Bで切断した断面図である。本実施の形態に係るアクティブマトリクス型の発光装置は、素子基板501上に設けられた画素部502と、駆動回路部(ソース線駆動回路)503と、駆動回路部(ゲート線駆動回路)504と、を有する。画素部502、駆動回路部503、及び駆動回路部504は、シール材505によって、素子基板501と封止基板506との間に封止されている。
また、素子基板501上には、駆動回路部503、及び駆動回路部504に外部からの信号(例えば、ビデオ信号、クロック信号、スタート信号、又はリセット信号等)や電位を伝達する外部入力端子を接続するための引き回し配線507が設けられる。ここでは、外部入力端子としてFPC(フレキシブルプリントサーキット)508を設ける例を示している。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
次に、断面構造について図5(B)を用いて説明する。素子基板501上には駆動回路部及び画素部が形成されているが、ここでは、ソース線駆動回路である駆動回路部503と、画素部502が示されている。
駆動回路部503はnチャネル型TFT509とpチャネル型TFT510とを組み合わせたCMOS回路が形成される例を示している。なお、駆動回路部を形成する回路は、種々のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施の形態では、基板上に駆動回路を形成したドライバ一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、基板上ではなく外部に駆動回路を形成することもできる。
また、画素部502はスイッチング用TFT511と、電流制御用TFT512と電流制御用TFT512の配線(ソース電極又はドレイン電極)に電気的に接続された第1の電極513とを含む複数の画素により形成される。なお、第1の電極513の端部を覆って絶縁物514が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂を用いることにより形成する。なお、本実施の形態においては、第1の電極513を陽極として用いる。
また、上層に積層形成される膜の被覆性を良好なものとするため、絶縁物514の上端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにするのが好ましい。例えば、絶縁物514の材料としてポジ型の感光性アクリル樹脂を用いた場合、絶縁物514の上端部に曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物514として、ネガ型の感光性樹脂、或いはポジ型の感光性樹脂のいずれも使用することができ、有機化合物に限らず無機化合物、例えば、酸化シリコン、酸窒化シリコン等、の両者を使用することができる。
第1の電極513上には、EL層515及び第2の電極516が積層形成されている。EL層515は、先の実施の形態に示す構成を適用することができ、本発明の一態様の有機材料を用いることができる。なお、本実施の形態においては、第1の電極513を陽極として用い、第2の電極516を陰極として用いる。
なお、第1の電極513、EL層515及び第2の電極516との積層構造で、発光素子517が形成されている。第1の電極513、EL層515及び第2の電極516の用いる材料としては、実施の形態2に示す材料を用いることができる。また、ここでは図示しないが、第2の電極516は外部入力端子であるFPC508に電気的に接続されている。
また、図5(B)に示す断面図では発光素子517を1つのみ図示しているが、画素部502において、複数の発光素子がマトリクス状に配置されているものとする。画素部502には、3種類(R、G、B)の発光が得られる発光素子をそれぞれ選択的に形成し、フルカラー表示可能な発光装置を形成することができる。また、カラーフィルタと組み合わせることによってフルカラー表示可能な発光装置としてもよい。
さらに、シール材505で封止基板506を素子基板501と貼り合わせることにより、素子基板501、封止基板506、およびシール材505で囲まれた空間518に発光素子517が備えられた構造になっている。なお、空間518には、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材505で充填される構成も含むものとする。
なお、シール材505にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板506に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
以上のようにして、アクティブマトリクス型の発光装置を得ることができる。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成を適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、上記実施の形態に示す本発明の一態様の発光装置をその一部に含む電子機器について説明する。電子機器としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、携帯型ゲーム機、電子書籍、またはタブレット型端末等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的には、Digital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうる表示装置を備えた装置)などが挙げられる。これらの電子機器の具体例について、図6、及び図7を用いて説明する。
図6(A)は、本発明の一態様に係るテレビ装置であり、筐体611、支持台612、表示部613、スピーカー部614、ビデオ入力端子615等を含む。このテレビ装置において、表示部613には、本発明の一態様の発光装置を適用することができる。本発明の一態様の発光装置は、信頼性が高く、長寿命であるため、本発明の一態様の発光装置を適用することで、信頼性が高いテレビ装置を得ることができる。
図6(B)は、本発明の一態様に係るコンピュータであり、本体621、筐体622、表示部623、キーボード624、外部接続ポート625、ポインティングデバイス626等を含む。このコンピュータにおいて、表示部623には、本発明の一態様の発光装置を適用することができる。本発明の一態様の発光装置は、信頼性が高く、長寿命であるため、本発明の一態様の発光装置を適用することで、信頼性が高いコンピュータを得ることができる。
図6(C)は、本発明の一態様に係る携帯電話であり、本体631、筐体632、表示部633、音声入力部634、音声出力部635、操作キー636、外部接続ポート637、アンテナ638等を含む。この携帯電話において、表示部633には、本発明の一態様の発光装置を適用することができる。本発明の一態様の発光装置は、信頼性が高く、長寿命であるため、本発明の一態様の発光装置を適用することで、信頼性が高い携帯電話を得ることができる。
図6(D)は、本発明の一態様に係るカメラであり、本体641、表示部642、筐体643、外部接続ポート644、リモコン受信部645、受像部646、バッテリー647、音声入力部648、操作キー649、接眼部650等を含む。このカメラにおいて、表示部642には、本発明の一態様の発光装置を適用することができる。本発明の一態様の発光装置は、信頼性が高く、長寿命であるため、本発明の一態様の発光装置を適用することで、信頼性が高いカメラを得ることができる。
図7は、本発明の一態様に係る携帯型端末の一例であり、図7(A)、図7(B)、及び図7(C)は、携帯型端末5000を示し、図7(D)は、携帯型端末6000を示している。
図7(A)、図7(B)、及び図7(C)に示す携帯型端末5000において、図7(A)は正面図を、図7(B)は側面図を、図7(C)は背面図を、それぞれ示している。また、図7(D)に示す携帯型端末6000においては、正面図を示している。
携帯型端末5000は、筐体5001、表示部5003、電源ボタン5005、前面カメラ5007、背面カメラ5009、第1の外部接続端子5011、及び第2の外部接続端子5013などにより構成されている。
また、表示部5003は、筐体5001に組み込まれており、タッチパネルとしても用いることができる。例えば、表示部5003上にアイコン5015等を表示させて、メールや、スケジュール管理といった作業を行うことができる。また、筐体5001には、正面側に前面カメラ5007が組み込まれており、使用者側の映像を撮影することができる。また、筐体5001には、背面側に背面カメラ5009が組み込まれており、使用者と反対側の映像を撮影することができる。また、筐体5001には、第1の外部接続端子5011、及び第2の外部接続端子5013を備えており、例えば、第1の外部接続端子5011により、イヤホン等に音声を出力し、第2の外部接続端子5013により、データの移動等を行うことができる。
次に、図7(D)に示す携帯型端末6000は、第1の筐体6001、第2の筐体6003、ヒンジ部6005、第1の表示部6007、第2の表示部6009、電源ボタン6011、第1のカメラ6013、第2のカメラ6015などにより構成されている。
また、第1の表示部6007は、第1の筐体6001に組み込まれており、第2の表示部6009は、第2の筐体6003に組み込まれている。第1の表示部6007、及び第2の表示部6009は、例えば、第1の表示部6007を表示用パネルとして使用し、第2の表示部6009をタッチパネルとする。第1の表示部6007に表示されたテキストアイコン6017を確認し、第2の表示部6009に表示させたアイコン6019、またはキーボード6021(第2の表示部6009に表示されたキーボード画像)を用いて、画像の選択、または文字の入力等を行うことができる。もちろん、第1の表示部6007がタッチパネルであり、第2の表示部6009が表示用パネルといった構成や、第1の表示部6007、及び第2の表示部6009ともにタッチパネルといった構成としてもよい。
また、第1の筐体6001と、第2の筐体6003は、ヒンジ部6005により接続されており、第1の筐体6001と、第2の筐体6003と、を開閉することができる。このような構成とすることにより、携帯型端末6000を持ち運ぶ際に、第1の筐体6001に組み込まれた第1の表示部6007と、第2の筐体6003に組み込まれた第2の表示部6009と、を合わせることで、第1の表示部6007、及び第2の表示部6009の表面(例えば、プラスチック基板等)を保護することができるので好適である。
また、第1の筐体6001と第2の筐体6003は、ヒンジ部6005により、分離できる構成としても良い(所謂コンバーチブル型)。このような構成とすることで、例えば、第1の筐体6001を縦置きとし、第2の筐体6003を横置きとして使用するといったように、使用範囲が広がるので好適である。
また、第1のカメラ6013、及び第2のカメラ6015により、3D画像の撮影を行うこともできる。
また、携帯型端末5000、及び携帯型端末6000は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。例えば、無線により、インターネット等に接続し、所望の情報を購入し、ダウンロードする構成とすることも可能である。
また、携帯型端末5000、及び携帯型端末6000は、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示部に表示する機能、表示部に表示した情報をタッチ入力操作又は編集するタッチ入力機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有することができる。また、外光の光量に応じて表示の輝度を最適にすることができる光センサや、ジャイロ、加速度センサの傾きを検出するセンサなどといった検出装置を内蔵させてもよい。
携帯型端末5000の表示部5003、並びに携帯型端末6000の第1の表示部6007、または/および第2の表示部6009において、本発明の一態様の発光装置を適用することができる。本発明の一態様の発光装置は、信頼性が高く、長寿命であるため、本発明の一態様の発光装置を適用することで、信頼性が高い携帯型端末を得ることができる。
以上のように、本発明の一態様の発光装置の適用範囲は極めて広く、この発光装置をあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。本発明の一態様の発光装置を用いることにより、信頼性が高く、長寿命の電子機器を得ることができる。
また、本発明の一態様の発光装置は、照明装置として用いることもできる。照明装置の具体例について、図8を用いて説明する。
図8(A)は、本発明の一態様の発光装置をバックライトとして用いた液晶表示装置の一例である。図8(A)に示した液晶表示装置は、筐体701、液晶パネル702、バックライト703、筐体704を有し、液晶パネル702は、ドライバIC705と接続されている。また、バックライト703は、本発明の一態様の発光装置が用いられおり、端子706により、電流が供給されている。このように本発明の一態様の発光装置を液晶表示装置のバックライトとして用いることにより、信頼性が高く、長寿命のバックライトが得られる。また、本発明の一態様の発光装置は、面発光の照明装置であり大面積化も可能であるため、バックライトの大面積化も可能である。従って、低消費電力であり、大面積化された液晶表示装置を得ることができる。
図8(B)は、本発明の一態様の発光装置を、照明装置である電気スタンドとして用いた例である。図8(B)に示す電気スタンドは、筐体801と、光源802を有し、光源802として、本発明の一態様の発光装置が用いられている。本発明の一態様の発光装置を適用することで、信頼性が高い電気スタンドを得ることが可能となる。
図8(C)は、本発明の一態様の発光装置を、室内の照明装置901として用いた例である。本発明の一態様の発光装置は大面積化も可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる。また、本発明の一態様の発光装置は、信頼性が高く、長寿命であるため、本発明の一態様の発光装置を適用することで、信頼性が高い照明装置を得ることが可能となる。このように、本発明の一態様の発光装置を、室内の照明装置901として用いた部屋に、本発明の一態様のテレビ装置902を設置して公共放送や映画を鑑賞することができる。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
本実施例では、下記構造式(101)に示される2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)の合成方法について説明する。なお、本実施例においては、2mDBTBPDBq−II(略称)の異なる3つの合成方法について、それぞれ説明する。
(合成方法1)
以下に、本発明の一態様であるアリールボロン酸を用いた2mDBTBPDBq−II(略称)の合成方法について、説明を行う。
<ステップ1:4−(3−ブロモフェニル)ジベンゾチオフェンの合成>
4−(3−ブロモフェニル)ジベンゾチオフェンの合成スキームを(b−1)に示す。
まず、50.0L反応釜に1870g(6.60mol)の3−ブロモヨードベンゼンと、1370g(6.00mmol)のジベンゾチオフェン−4−ボロン酸と、18.3g(60.0mmol)のトリ(オルトートリル)ホスフィン(P(o−tolyl)3)と、1660g(12.0mol)の炭酸カリウムと、6.00Lの水と、20.0Lのトルエンと、10.0Lのエタノールと、6.74g(30.0mmol)の酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc)2)を入れ、反応釜内を窒素置換した。この混合物を減圧しながら攪拌することで脱気した。この混合物を窒素気流下、75℃で2時間攪拌した。攪拌後、この混合物から水層を除去し、この有機層を吸引ろ過してろ液を得た。得られたろ液を濃縮して得た油状物に、約2.00Lのトルエンを加えた。この溶液を滴下ロートに入れ、50.0Lの反応釜に入れた47.0Lのヘキサンを攪拌しながら、200mL/minの速度で滴下したところ、固体が析出した。析出した固体を吸引ろ過により回収し、ろ液を濃縮して得た固体と合わせて、約4.50Lの氷冷したトルエンで洗浄した。洗浄後、この固体を50.0L反応釜に入れ、エタノールを10.0L加えて攪拌しながら80℃に熱し、固体を溶解した。同温度で30分静置すると、二層に分離した。この混合物の上層を氷浴により冷却して再結晶したところ、固体を得た。得られた固体を約2.00Lのヘキサンで洗浄したところ、目的物の白色粉末を558g得た。また二層分離後の下層を室温まで冷却して得た褐色固体を、2.60Lのエタノールで再結晶したところ、固体を得た。得られた固体を1.5Lのヘキサンで洗浄したところ、目的物の淡褐色粉末を267g得た。目的物は合わせて825g、収率41%で得た。また、目的物(4−(3−ブロモフェニル)ジベンゾチオフェン)の純度を測定した結果、94.0%の純度であった。
<ステップ2:3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸の合成>
3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸の合成の合成スキームを(b−2)に示す。
50.0L反応釜に720g(2.20mol)の上記ステップ1で得られた4−(3−ブロモフェニル)ジベンゾチオフェンを入れ、反応釜内をアルゴン置換した。この反応釜内に、18Lの脱水テトラヒドロフラン(THF)を加え、この溶液を−80℃まで冷却した。この溶液に1.50L(2.40mol)のn−ブチルリチウム(1.6mol/L n−ヘキサン溶液)を、滴下ロートにより20mL/minの速度で滴下して加えた。滴下後、この溶液を−60℃まで昇温しながら3時間攪拌した。攪拌後、この溶液を−80℃まで冷却し、この溶液に265g(2.50mol)のホウ酸トリメチルを加え、室温に戻しながら15時間攪拌した。攪拌後、この溶液に3.00Lの希塩酸(1.0mol/L)を加えて、2時間攪拌した。攪拌後、この混合物の水層を酢酸エチルで抽出し、抽出溶液と有機層を合わせて、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥し、乾燥後この混合物を自然ろ過した。得られたろ液を濃縮したところ、油状物を得た。得られた油状物に5.00Lのトルエンを加えて再び濃縮したところ、固体を得た。得られた固体を、氷冷したトルエンで洗浄したところ、目的物の白色粉末を472g、収率73%で得た。
図9(A)、(B)にステップ2で得られた3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸のUPLCデータを示す。図9(A)、(B)は、横軸が時間(min)を、縦軸が吸光度(任意単位)を、それぞれ示す。また、図9(B)は、図9(A)に示す縦軸を拡大した図である。なお、本合成方法1で用いた3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸をサンプル1とする。
また、ここで3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸のUPLCデータについて説明を行う。UPLCの分析装置は、Waters社製ACQUITY UPLCシステムを用いた。カラムにはWaters社製ACQUITY UPLC BEH C8(粒子径1.7μm、100×2.1mm)を用い、40℃で分析を行った。移動相はA:アセトニトリル、B:0.1%ギ酸水溶液とし、流速0.5mL/minで、Aを40%で1分間保持し10分後に95%まで一定の割合で増やすグラジエント分析を行った。注入量は5μLとした。なお、検出器は、PDA(Photodiode Array)(吸収波長:210−500nm)を用いた。
<ステップ3:2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)の合成>
2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)の合成スキームを(b−3)に示す。
次に、200mL三口フラスコに2−(3−ブロモフェニル)ジベンゾ[f、h]キノキサリン3.0g(7.8mmol)、上記ステップ2で得られた3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸2.6g(8.6mmol)、トリ(オルトートリル)ホスフィン(P(o−tolyl)3)0.24g(0.78mmol)、トルエン78mL、エタノール7.8mL、2.0Mの炭酸カリウム水溶液12mLを加えた。この混合物を、減圧下で撹拌することで脱気し、フラスコ内を窒素置換した。この混合物に、酢酸パラジウム(II)35mg(0.16mmol)を加えた。この混合物を窒素気流下、80℃で8時間撹拌した。所定時間経過後、析出した固体を濾別し、黄色固体を得た。この固体を水、エタノールで洗浄し、さらにトルエンを加え、加熱しながら撹拌した。このトルエン溶液を吸引ろ過したところ収量3.1g、収率71%で2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)の黄色固体(黄色粉末)を得た。
得られた2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)の黄色粉末3.1gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は、圧力2.7Pa、アルゴン流量15mL/minの条件で、2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)を320℃で加熱して行った。昇華精製後2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)の黄色粉末を2.3g、回収率73%で得た。さらに得られた2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)の黄色粉末2.3gをもう一度トレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は、圧力2.7Pa、アルゴン流量15mL/minの条件で、2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)を320℃で加熱して行った。昇華精製後2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)の黄色粉末を1.9g、回収率82%で得た。
上記反応スキーム(b−3)で得られた化合物を核磁気共鳴法(1H NMR)により測定した。
得られた物質の1H NMRデータを以下に示す。
1H NMR(CDCl3,500MHz):δ(ppm)=7.46−7.51(m、2H)、7.61−7.65(m、2H)、7.73−7.81(m、5H)、7.85−7.90(m、1H)、7.90(d、H)、8.66(d、J=8.0Hz、2H)、8.69(s、1H)、9.27(dd、J=7.5Hz、1.7Hz、1H)、9.45(d、J=8.0Hz、1H)、9.47(s、1H)。
また、1H NMRチャートを図10(A)、(B)に示す。なお、図10(B)は、図10(A)を拡大して表したチャートである。測定結果から、目的物である2mDBTBPDBq−II(略称)が得られたことを確認した。
(合成方法2)
以下に、本発明の一態様であるアリールボロン酸を用いた2mDBTBPDBq−II(略称)の合成方法について、説明を行う。
<ステップ1:2−(3−ブロモフェニル)ジベンゾ[f、h]キノキサリンの合成>
2−(3−ブロモフェニル)ジベンゾ[f、h]キノキサリンの合成スキームを(c−1)に示す。
まず、1−(3−ブロモフェニル)エタン−1,2−ジアミン2.5g、水酸化カリウム0.62g、dryエタノール200mLを500mL三口フラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換した。フラスコ内の溶液を2時間還流させた後、9,10−フェナントレンキノン2.1gを加え、9時間還流させた。その後、得られた混合物を吸引ろ過し、吸引ろ過して得た固体をエタノールで洗浄することで2−(3−ブロモフェニル)ジベンゾ[f、h]キノキサリンを得た(黄白色固体、収率70%)。
<ステップ2:3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸の精製>
次に、下記構造式(102)に示す3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸の精製スキームを以下説明する。
100mL三角フラスコに3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸を4.0g(13.2mmol)入れ、これにTHF40mLと水1mLを加え、溶解させた。このTHF溶液を分液ロートに移した。この分液ロートに1.0M D−ソルビトール水溶液18mLと1.0M炭酸ナトリウム水溶液40mL、酢酸エチル20mLを加え、水層のPHが10になるように調整した。この分液ロートを振とうし、水層と有機層に分離した。分取した水層を分液ロートに戻し、酢酸エチル50mLを加えた。さらに水層のPHが1〜5になるように1N HCl水溶液で調整し、この水層を酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた混合物を自然ろ過後、ろ液を濃縮して白色固体を収量3.0g、収率75%で得た。
図11(A)、(B)に精製後の3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸のUPLCデータを示す。図11(A)、(B)は、横軸が時間(min)を、縦軸が吸光度(任意単位)を、それぞれ示す。また、図11(B)は、図11(A)に示す縦軸を拡大した図である。なお、本合成方法2で用いた3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸をサンプル2とする。なお、UPLCデータに関しては、先に説明した合成方法1のサンプル1と同様であるため、ここでの説明は省略する。
<ステップ3:2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)の合成>
2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)の合成スキームを(c−2)に示す。
200mL三口フラスコに上記ステップ1で得られた2−(3−ブロモフェニル)ジベンゾ[f、h]キノキサリン3.0g(7.8mmol)、上記ステップ2で精製した3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸2.6g(8.6mmol)、トリ(オルトートリル)ホスフィン(P(o−tolyl)3)0.24g(0.78mmol)、トルエン78mL、エタノール7.8mL、2.0Mの炭酸カリウム水溶液12mLを加えた。この混合物を、減圧下で撹拌することで脱気し、フラスコ内を窒素置換した。この混合物に、酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc)2)35mg(0.16mmol)を加えた。この混合物を窒素気流下、80℃で8時間撹拌した。所定時間経過後、析出した固体を濾別し、黄色固体を得た。この固体を水、エタノールで洗浄し、さらにトルエンを加え、加熱しながら撹拌した。このトルエン溶液を吸引ろ過したところ収量2.7g、収率61%で2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)の黄色固体(黄色粉末)を得た。
得られた2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)の黄色粉末2.7gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は、圧力2.7Pa、アルゴン流量15mL/minの条件で、2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)を320℃で加熱して行った。昇華精製後2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)の黄色粉末を2.3g、回収率85%で得た。得られた2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)の黄色粉末2.3gをもう一度トレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は、圧力2.7Pa、アルゴン流量15mL/minの条件で、2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)を320℃で加熱して行った。昇華精製後2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)の白色粉末を1.7g、回収率74%で得た。
上記反応スキーム(c−2)で得られた化合物を核磁気共鳴法(1H NMR)により測定した。
得られた物質の1H NMRデータを以下に示す。
1H NMR(CDCl3,500MHz):δ(ppm)=7.46−7.51(m、2H)、7.61−7.65(m、2H)、7.73−7.81(m、5H)、7.85−7.90(m、1H)、7.90(d、H)、8.66(d、J=8.0Hz、2H)、8.69(s、1H)、9.27(dd、J=7.5Hz、1.7Hz、1H)、9.45(d、J=8.0Hz、1H)、9.47(s、1H)。
また、1H NMRチャートを図12(A)、(B)に示す。なお、図12(B)は、図12(A)を拡大して表したチャートである。測定結果から、目的物である2mDBTBPDBq−II(略称)が得られたことを確認した。
(合成方法3)
以下に、本発明の一態様であるアリールボロン酸を用いた2mDBTBPDBq−II(略称)の合成方法について、説明を行う。なお、合成方法3については、先に記載の合成方法2と同様の箇所は、合成方法2を参酌することで合成することができるため、ここでの記載は省略する。
<ステップ1:2−(3−ブロモフェニル)ジベンゾ[f、h]キノキサリンの合成>
先に記載(合成方法2)のステップ1と同様に2−(3−ブロモフェニル)ジベンゾ[f、h]キノキサリンを合成する。
<ステップ2:3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸の精製>
500mL三角フラスコに3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸を5.0g(16.4mmol)入れ、これにTHF100mL、酢酸エチル100mLと水1mLを加え、溶解させた。この溶液を分液ロートに移した。この分液ロートに1.0M D−ソルビトール水溶液26mLと1.0M炭酸ナトリウム水溶液100mLを加え、水層のPHが10になるように調整した。この分液ロートを振とうし、水層と有機層に分取した(この水層を水層1とする)。再度有機層を分液ロートに移した。この分液ロートに1.0M D−ソルビトール水溶液26mLと1.0M炭酸ナトリウム水溶液100mLを加え、水層のPHが10になるように調整した。この分液ロートを振とうし、水層と有機層に分取した(この水層を水層2とする)。次に、得られた水層1と水層2を混合し、3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸―ソルビトール錯体の水溶液を得た。なお、該水溶液は、3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸とソルビトールが複合体を形成している状態である。すなわち、イオン化したソルビトールが3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸に結合している状態である。この水層の重量を測り、別途合成した3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸を用いてHPLCにて水層の3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸の含有量を求めたところ、3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸4.5g(14.8mmol)を含む230mLの水溶液を得た。なお、本実施例においては、3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸の精製時において、ソルビトール水溶液を用いたが、これに限定されずポリオール水溶液であれば、様々な種類の水溶液を用いることができる。
図20(A)、(B)に精製後の3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸水溶液のUPLCデータを示す。図20(A)、(B)は、横軸が時間(min)を、縦軸が吸光度(任意単位)を、それぞれ示す。また、図20(B)は、図20(A)に示す縦軸を拡大した図である。なお、本合成方法3で用いた3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸をサンプル3とする。
<ステップ3:2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)の合成>
次に、500mL三口フラスコに上記ステップ1で得られた2−(3−ブロモフェニル)ジベンゾ[f、h]キノキサリン5.7g(14.8mmol)、上記ステップ2で精製した3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸―ソルビトール錯体の水溶液230mL、トリ(オルトートリル)ホスフィン(P(o−tolyl)3)0.18g(0.59mmol)、トルエン74mL、エタノール36mLを加えた。この混合物を、減圧下で撹拌することで脱気し、フラスコ内を窒素置換した。この混合物に、酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc)2)66mg(0.30mmol)を加えた。この混合物を窒素気流下、80℃で4時間撹拌した。所定時間経過後、析出した固体を濾別し、黄色固体を得た。この固体を水、エタノールで洗浄し、さらにトルエンを加え、加熱しながら撹拌した。このトルエン溶液を吸引ろ過したところ収量6.0g、収率72%で2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)の黄色固体を得た。
(比較用合成方法4)
以下に、比較用のアリールボロン酸を用いた2mDBTBPDBq−II(略称)の合成方法について、説明を行う。
<ステップ1:2−(3−ブロモフェニル)ジベンゾ[f、h]キノキサリンの合成>
2−(3−ブロモフェニル)ジベンゾ[f、h]キノキサリンの合成スキームを(d−1)に示す。
まず、1−(3−ブロモフェニル)エタン−1,2−ジアミン2.5g、水酸化カリウム0.62g、dryエタノール200mLを500mL三口フラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換した。フラスコ内の溶液を2時間還流させた後、9,10−フェナントレンキノン2.1gを加え、9時間還流させた。その後、得られた混合物を吸引ろ過し、吸引ろ過して得た固体をエタノールで洗浄することで2−(3−ブロモフェニル)ジベンゾ[f、h]キノキサリンを得た(黄白色固体、収率70%)。
<ステップ2:3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸の分析>
次に、下記構造式(102)に示す3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸の分析を行った。なお、本比較用の合成方法4においては、3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸の精製は行わず、未精製の状態で分析を行った。
図13(A)、(B)に精製を行っていないの3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸のUPLCデータを示す。図13(A)、(B)は、横軸が時間(min)を、縦軸が吸光度(任意単位)を、それぞれ示す。また、図13(B)は、図13(A)に示す縦軸を拡大した図である。なお、本比較用合成方法4で用いた3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸をサンプル4とする。なお、UPLCデータに関しては、先に説明した合成方法1のサンプル1と同様であるため、ここでの説明は省略する。
<ステップ3:2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)の合成>
2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)の合成スキームを(d−2)に示す。
100mL三口フラスコに上記ステップ1で得られた2−(3−ブロモフェニル)ジベンゾ[f、h]キノキサリン1.2g(3.1mmol)、上記ステップ2の3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸1.0g(3.4mmol)、トリ(オルトートリル)ホスフィン(P(o−tolyl)3)94mg(0.31mmol)、トルエン30mL、エタノール3.0mL、2.0Mの炭酸カリウム水溶液4.5mLを加えた。この混合物を、減圧下で撹拌することで脱気し、フラスコ内を窒素置換した。この混合物に、酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc)2)14mg(0.062mmol)を加えた。この混合物を窒素気流下、80℃で8時間撹拌した。所定時間経過後、析出した固体を濾別し、黄色固体を得た。この固体を水、エタノールで洗浄し、さらにトルエンを加え、加熱しながら撹拌した。このトルエン溶液を吸引ろ過したところ収量1.1g、収率62%で2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)の黄色固体(黄色粉末)を得た。
得られた2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)の黄色粉末1.1gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は、圧力2.7Pa、アルゴン流量10mL/minの条件で、2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)を320℃で加熱して行った。昇華精製後2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)の黄色粉末を0.82g、回収率75%で得た。得られた2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)の黄色粉末0.82gをもう一度トレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は、圧力2.7Pa、アルゴン流量10mL/minの条件で、2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)を320℃で加熱して行った。昇華精製後2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)の黄色粉末を0.64g、回収率78%で得た。
上記反応スキーム(d−2)で得られた化合物を核磁気共鳴法(1H NMR)により測定した。
得られた物質の1H NMRデータを以下に示す。
1H NMR(CDCl3,500MHz):δ(ppm)=7.46−7.51(m、2H)、7.61−7.65(m、2H)、7.73−7.81(m、5H)、7.85−7.90(m、1H)、7.90(d、H)、8.66(d、J=8.0Hz、2H)、8.69(s、1H)、9.27(dd、J=7.5Hz、1.7Hz、1H)、9.45(d、J=8.0Hz、1H)、9.47(s、1H)。
また、1H NMRチャートを図14(A)、(B)に示す。なお、図14(B)は、図14(A)を拡大して表したチャートである。測定結果から、目的物である2mDBTBPDBq−II(略称)が得られたことを確認した。
ここで、上記合成方法1、合成方法2、合成方法3、及び比較用合成方法4で用いた3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸(サンプル1〜4)の不純物濃度を表1に示す。なお、各サンプル中に含まれる不純物の含有率(%)は、クロマトグラムからピーク面積を算出することにより求めた。この時、1分以内に検出されたピークは、材料を溶かすために使用したクロロホルムであるため、ピーク面積の算出から除外した。
図9、図11、図13、図20、及び表1に示すように、本発明の一態様であるEL材料に用いるアリールボロン酸(3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸:サンプル1乃至4)は、アリールボロン酸のジヒドロキシボリル基を水素で置換した第1の不純物(m/z 260)、あるいは第1の不純物(m/z 260)の分子量に分子量16または分子量17を加算した第2の不純物(m/z 276またはm/z 277)のうち少なくともいずれか一方を含んでいることが確認された。
また、サンプル1は、第1の不純物(m/z 260)および第2の不純物(m/z 276またはm/z 277)を除く他の不純物が1%以下、より具体的には0.7%であった。また、サンプル2は、第1の不純物(m/z 260)および第2の不純物(m/z 276またはm/z 277)を除く他の不純物が1%以下、より具体的には0%であった。また、サンプル3は、第1の不純物(m/z 260)および第2の不純物(m/z 276またはm/z 277)を除く他の不純物が1%以下、より具体的には0.9%であった。また、比較用のサンプル4は、第1の不純物(m/z 260)および第2の不純物(m/z 276またはm/z 277)を除く他の不純物が1.6%であった。
本実施例では、本発明の一態様の発光素子(発光素子1、発光素子2、発光素子3)、ならびに比較用の発光素子(比較発光素子4)について、図15を用いて説明する。また、本実施例で用いる材料の化学式を以下に示す。
以下に、本実施例の発光素子1、発光素子2、発光素子3、及び比較用発光素子4の作製方法を示す。
(発光素子1)
まず、基板1100上に、珪素または酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ化合物(ITO−SiO2、以下ITSOと略記する。)をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極1101を形成した。なお、用いたターゲットの組成は、In2O3:SnO2:SiO2=85:10:5[重量%]とした。また、第1の電極1101の膜厚は、110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。ここで、第1の電極1101は、発光素子の陽極として機能する電極である。
次に、基板1100上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板1100を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板1100を30分程度放冷した。
次に、第1の電極1101が形成された面が下方となるように、第1の電極1101が形成された基板1100を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極1101上に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、4,4’,4’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)((略称:DBT3P−II)と酸化モリブデンを共蒸着することで、正孔注入層1111を形成した。その膜厚は、27nmとし、DBT3P−II(略称)と酸化モリブデンの比率は、重量比で4:2(=DBT3P−II:酸化モリブデン)となるように調節した。
次に、正孔注入層1111上に、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)を蒸着することで、正孔輸送層1112を形成した。その膜厚は、20nmとした。
次に、正孔輸送層1112上に、2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)と、4、4’−ジ(1−ナフチル)−4’’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBNBB)と、(アセチルアセトナト)ビス(4,6−ジフェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(dppm)2(acac))と、を共蒸着し、発光層1113を形成した。ここで、2mDBTBPDBq−II(略称)とPCBNBB(略称)とIr(dppm)2(acac)(略称)の重量比は、0.8:0.2:0.05(=2mDBTBPDBq−II:PCBNBB:Ir(dppm)2(acac))となるように調節した。また、発光層1113の膜厚は40nmとした。
次に、発光層1113上に2mDBTBPDBq−II(略称)を膜厚10nmとなるように成膜し、第1の電子輸送層1114aを形成した。
なお、発光素子1の発光層1113及び第1の電子輸送層1114aで用いた2mDBTBPDBq−II(略称)は、実施例1で合成した本発明の一態様であるサンプル1のアリールボロン酸(3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸)と、アリールハライド(2−(3−ブロモフェニル)ジベンゾ[f、h]キノキサリン)と、をカップリングして得られる有機材料である。このように、本発明の一態様であるサンプル1のアリールボロン酸(3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸)を用いた有機材料(2mDBTBPDBq−II(略称))は、発光素子における発光層及び電子輸送層として用いることができる。
次に、第1の電子輸送層1114a上にバソフェナントロリン(略称:BPhen)を膜厚20nmとなるように成膜し、第2の電子輸送層1114bを形成した。
次に、第2の電子輸送層1114b上に、フッ化リチウム(LiF)を1nmの膜厚で蒸着し、電子注入層1115を形成した。
最後に、陰極として機能する第2の電極1103として、アルミニウム(Al)を200nmの膜厚となるように蒸着することで、本実施例の発光素子1を作製した。
なお、上述した蒸着過程において、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
(発光素子2)
本実施例の発光素子2は、発光素子1と同様の素子構成及び同様の作製方法を用いて作製した。ただし、発光素子2は、発光素子1の発光層1113及び第1の電子輸送層1114aで用いた有機材料(2mDBTBPDBq−II(略称))が異なる。発光素子2の発光層1113及び第1の電子輸送層1114aで用いた2mDBTBPDBq−II(略称)は、実施例1で合成した本発明の一態様であるサンプル2のアリールボロン酸(3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸)と、アリールハライド(2−(3−ブロモフェニル)ジベンゾ[f、h]キノキサリン)と、をカップリングして得られる有機材料である。このように、本発明の一態様であるサンプル2のアリールボロン酸(3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸)を用いた有機材料(2mDBTBPDBq−II(略称))は、発光素子における発光層及び電子輸送層として用いることができる。
(発光素子3)
本実施例の発光素子3は、発光素子1と同様の素子構成及び同様の作製方法を用いて作製した。ただし、発光素子3は、発光素子1の発光層1113及び第1の電子輸送層1114aで用いた有機材料(2mDBTBPDBq−II(略称))が異なる。発光素子3の発光層1113及び第1の電子輸送層1114aで用いた2mDBTBPDBq−II(略称)は、実施例1で合成した本発明の一態様であるサンプル3のアリールボロン酸(3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸)と、アリールハライド(2−(3−ブロモフェニル)ジベンゾ[f、h]キノキサリン)と、をカップリングして得られる有機材料である。このように、本発明の一態様であるサンプル3のアリールボロン酸(3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸)を用いた有機材料(2mDBTBPDBq−II(略称))は、発光素子における発光層及び電子輸送層として用いることができる。
(比較発光素子4)
本実施例の比較発光素子4は、発光素子1と同様の素子構成及び同様の作製方法を用いて作製した。ただし、比較発光素子4は、発光素子1と比較し、正孔注入層1111の膜厚、並びに発光層1113及び第1の電子輸送層1114aで用いた有機材料(2mDBTBPDBq−II(略称))が異なる。正孔注入層1111は、4,4’,4’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:DBT3P−II)と酸化モリブデンを共蒸着することで形成した。その膜厚は、40nmとし、DBT3P−II(略称)と酸化モリブデンの比率は、重量比で4:2(=DBT3P−II:酸化モリブデン)となるように調節した。また、発光層1113及び第1の電子輸送層1114aで用いた有機材料(2mDBTBPDBq−II(略称))は、実施例1で合成したサンプル4のアリールボロン酸(3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸)と、アリールハライド(2−(3−ブロモフェニル)ジベンゾ[f、h]キノキサリン)と、をカップリングして得られる有機材料である。
以上により得られた発光素子1、発光素子2、発光素子3、及び比較発光素子4の素子構造を表2に示す。
次に、発光素子1、発光素子2、発光素子3、及び比較発光素子4を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、各発光素子が大気に曝されないようにガラス基板により封止する作業(シール材を素子の周囲に塗布し、封止時に80℃にて1時間熱処理)を行った。その後、これらの発光素子の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
発光素子1、発光素子2、発光素子3、及び比較発光素子4の輝度−電流効率特性を図16に示す。図16において、横軸は輝度(cd/m2)、縦軸は電流効率(cd/A)をそれぞれ表す。また、発光素子1、発光素子2、及び比較発光素子3の電圧−輝度特性を図17に示す。図17において、横軸は電圧(V)を、縦軸は輝度(cd/m2)をそれぞれ表す。
また、各発光素子における輝度1000cd/m2付近のときの電圧(V)、電流密度(mA/cm2)、CIE色度座標(x、y)、電流効率(cd/A)、外部量子効率(%)を表3に示す。
表3に示すとおり、輝度993cd/m2の発光素子1の電流効率は69cd/Aであり、外部量子効率は26%であった。また、輝度1054cd/m2の発光素子2の電流効率は69cd/Aであり、外部量子効率は27%であった。また、輝度1021cd/m2の発光素子3の電流効率は75cd/Aであり、外部量子効率は29%であった。また、輝度833cd/m2の比較発光素子4の電流効率は69cd/Aであり、外部量子効率は29%であった。
また、輝度993cd/m2の発光素子1のCIE色度座標は、(x,y)=(0.54,0.45)であった。また、輝度1054cd/m2の発光素子2のCIE色度座標は、(x,y)=(0.55,0.45)であった。また、輝度1021cd/m2の発光素子3のCIE色度座標は、(x,y)=(0.55,0.45)であった。また、輝度833cd/m2の比較発光素子4のCIE色度座標は、(x,y)=(0.57,0.43)であった。
このように、本発明の一態様である発光素子1乃至発光素子3は、比較発光素子4と比べ、同等以上の素子特性が得られることが確認された。
次に、発光素子1、発光素子2、発光素子3、及び比較発光素子4について、信頼性試験の評価を行った。信頼性試験の結果を図18及び図19に示す。
図18及び図19において、信頼性試験の測定方法は、初期輝度を5000cd/m2に設定し、電流密度一定の条件で各発光素子を駆動した。図18においては、横軸は素子の駆動時間(h)を対数で表し、縦軸は初期輝度を100%とした時の50〜110%の範囲の規格化輝度(%)を等間隔で表す。また、図19においては、横軸は素子の駆動時間(h)を等間隔で表し、縦軸は初期輝度100%とした時の80〜100%の範囲の規格化輝度(%)を等間隔で表す。
図18及び図19より、発光素子1、発光素子2、発光素子3、及び比較発光素子4の746h経過後の規格化輝度は、それぞれ92.10%、91.95%、93.3%、87.03%であった。
このように、本発明の発光素子1乃至発光素子3は、比較発光素子4と比べ、長寿命な発光素子であることが確認された。
発光素子1、発光素子2、発光素子3、及び比較発光素子4は、素子構成は同一であり、発光層及び第1の電子輸送層に用いた有機材料(2mDBTBPDBq−II(略称))を合成するのに用いたアリールボロン酸(3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸)の不純物濃度が異なる。
発光素子1で用いたアリールボロン酸(サンプル1)は、第1の不純物(m/z 260)および第2の不純物(m/z 276またはm/z 277)を除く他の不純物が1%以下、より具体的には0.7%である。また、発光素子2で用いたアリールボロン酸(サンプル2)は、第1の不純物(m/z 260)および第2の不純物(m/z 276またはm/z 277)を除く他の不純物が1%以下、より具体的には0%である。また、発光素子3で用いたアリールボロン酸(サンプル3)は、第1の不純物(m/z 260)および第2の不純物(m/z 276またはm/z 277)を除く他の不純物が1%以下、より具体的には0.9%である。また、比較発光素子4で用いたアリールボロン酸(サンプル4)は、第1の不純物(m/z 260)および第2の不純物(m/z 276またはm/z 277)を除く他の不純物が1.6%である。
以上のように、本発明の一態様である発光素子1乃至発光素子3は、比較発光素子4と比べ、発光層及び第1の電子輸送層に用いた有機材料(2mDBTBPDBq−II(略称))に用いたアリールボロン酸(3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸)の不純物濃度が少ない。この不純物濃度の差が各発光素子における信頼性に影響を与える結果となった。なお、発光素子1乃至発光素子3と、比較発光素子4において、正孔輸送層の膜厚が異なるが、信頼性への影響は少ない。
このように、有機材料の合成のためのカップリングに用いるアリールボロン酸の不純物濃度を低減することにより、発光素子の信頼性を向上させることができる。