以下、本発明の実施形態に係る偏光板について、図面を参照しながら説明する。図1は本実施形態に係る偏光板の概略構成図であり、図2は本実施形態に係る偏光子、旋光層、および光透過性フィルムの配置関係および偏光状態を表した図であり、図3は本実施形態に係る旋光層による偏光軸旋回の様子を示した図である。図4はねじれ角を連続的に変化させたセルによるピッチの測定方法を説明する概略図であり、図5はコレステリック液晶断面写真の模式図である。なお、本明細書において、「フィルム」、「シート」、「板」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「フィルム」はシートや板とも呼ばれ得るような部材も含む概念である。一具体例として、「光透過性フィルム」には、「光透過性シート」や「光透過性板」等と呼ばれる部材も含まれる。
≪偏光板≫
画像表示装置に用いられる偏光板10は、図1に示されるように、偏光子11と、偏光子11上に設けられた光透過性フィルム12と、偏光子11と光透過性フィルム12との間に設けられた旋光層13と、光透過性フィルム12の旋光層13が設けられている面とは反対側の面に設けられた機能層14とを備えている。本発明の偏光板は、偏光子と、光透過性フィルムと、旋光層とを備えていればよく、機能層を備えていなくともよい。
<偏光子>
偏光子11は吸収軸を有するものであるが、偏光子11は、図2に示されるように、偏光子の吸収軸方向が水平方向に沿うように配置されるものである。「偏光子の吸収軸方向が水平方向に沿う」とは、偏光子の吸収軸方向が水平方向に対して±10°未満の範囲内にあることを意味する。偏光子11は、偏光子の吸収軸方向が水平方向に対して±5°未満の範囲内となるように配置されていることが好ましい。
偏光子11としては、例えば、ヨウ素等により染色し、延伸したポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルホルマールフィルム、ポリビニルアセタールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体系ケン化フィルム等が挙げられる。
<光透過性フィルム>
光透過性フィルム12は、偏光子11を保護するための保護フィルムとして機能する。光透過性フィルム12は、面内に複屈折性を有するものである。光透過性フィルムが面内に複屈折性を有しているか否かは、波長550nmの屈折率において、Δn(=nx−ny)≧0.0005であるものは、複屈折性を有しているとし、Δn<0.0005であるものは、複屈折性を有していないとする。ここで、nxは、光透過性フィルムの面内における屈折率が最も大きい方向である遅相軸方向の屈折率であり、nyは光透過性フィルムの面内における前記遅相軸方向と直交する方向である進相軸方向の屈折率である。複屈折率は、王子計測機器社製KOBRA−WRを用いて、測定角0°かつ測定波長552.1nmに設定して、測定を行うことができる。この時、複屈折率の算出には、膜厚、平均屈折率が必要となる。膜厚は、例えば、マイクロメーター(Digimatic Micrometer、ミツトヨ社製)や、電気マイクロメータ(アンリツ社製)を用いて測定できる。平均屈折率は、アッベ屈折率計や、エリプソメーターを用いて測定することができる。
一般的に等方性材料として知られる、トリアセチルセルロースから成るTD80UL−M(富士フィルム社製)、シクロオレフィンポリマーから成るZF16−100(日本ゼオン社製)のΔnは、上記測定方法により、それぞれ、0.0000375、0.00005である。したがって、これらの製品は、複屈折性を有していない、すなわち等方性であると判断できる。
その他、複屈折を測定する方法として、二枚の偏光板を用いて、光透過性基材の配向軸方向(主軸の方向)を求め、配向軸方向に対して直交する二つの軸の屈折率(nx、ny)を、アッベ屈折率計(アタゴ社製 NAR−4T)によって求めることもできるし、裏面に黒ビニールテープ(例えば、ヤマトビニールテープNo200−38−21 38mm幅)を貼ってから、分光光度計(V7100型、自動絶対反射率測定ユニット、VAR−7010 日本分光社製)を用いて、偏光測定:S偏光にて、S偏光に対して、遅相軸を平行にした場合と、進相軸を平行にした場合の5度反射率を測定し、下記式(1)より、遅相軸と進相軸の各波長の屈折率(nx、ny)を算出することもできる。
R(%)=(1−n)2/(1+n)2 …式(1)
光透過性フィルム12のリタデーション値は、0でなければ、特に限定されない。上記「リタデーション」とは、光透過性フィルムの面内における遅相軸方向の屈折率nxと、光透過性フィルムの面内における進相軸方向の屈折率nyと、光透過性フィルムの厚みdとにより、下記式(9)によって表わされるものである。
リタデーション(Re)=(nx−ny)×d …式(2)
上記リタデーションは、例えば、王子計測機器社製KOBRA−WRによって測定(測定角0°、測定波長589.3nm)することができる。また、光透過性フィルムの遅相軸および進相軸の屈折率(nx、ny)をアッベ屈折率計(アタゴ社製 NAR−4T)によって測定し、また光透過性フィルム厚みd(nm)を電気マイクロメータ(アンリツ社製)によって測定し、単位をnmに換算する。そして、求めた屈折率(nx、ny)と厚みdを用いて、式(9)によりリタデーションを求めることができる。
光透過性フィルム12の面内における屈折率が最も大きい方向を遅相軸方向とし、この面内における遅相軸方向と直交する方向を進相軸方向としたとき、光透過性フィルム12は、図2に示されるように、光透過性フィルム12の進相軸方向が水平方向に沿うように配置される。すなわち、偏光板10は、光透過性フィルム12の進相軸方向と、偏光子11の吸収軸方向と、の両方が、水平方向に沿うように配置される。したがって、光透過性フィルム12の進相軸が、水平方向および偏光子11の吸収軸の両方に対して位置決めされることになる。なお、「光透過性フィルムの進相軸方向が水平方向に沿う」とは、光透過性フィルムの進相軸方向が水平方向に対して±10°未満の範囲内にあることを意味する。光透過性フィルム12は、光透過性フィルムの進相軸方向が水平方向に対して±5°未満の範囲となるように配置されていることが好ましい。
光透過性フィルム12は、光透過性フィルム12の遅相軸方向の屈折率nxと、前記遅相軸方向と直交する方向である進相軸方向の屈折率nyとの差Δnが、0.01以上0.30以下であることが好ましい。屈折率差Δnが0.01未満であると、遅相軸と進相軸とを水平方向に設置した時の反射率差が小さくなり、得られる明所コントラスト向上効果が小さくなるからである。一方、屈折率差Δnが0.30を超えると、延伸倍率を過度に高くする必要が生じるので、裂け、破れ等を生じやすくなり、工業材料としての実用性が著しく低下することがある。好ましくは、屈折率差Δnの下限は0.05であり、より好ましくは、0.07である。屈折率差Δnの好ましい上限は0.27である。なお、屈折率差Δnが0.27を超える場合、光透過性フィルム12の種類によっては、耐湿熱性試験での光透過性フィルム12の耐久性が劣ることがある。耐湿熱性試験での優れた耐久性を確保する観点からは、屈折率差Δnのより好ましい上限は0.25である。
光透過性フィルム12としては、面内に複屈折性を有する光透過性フィルムであれば、特に限定されない。このような光透過性フィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、アクリルフィルム等が挙げられる。これらの中でも、屈折率差Δn発現性が大きく、明所コントラスト向上効果を得られやすいという観点から、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルムが好ましい。なお、セルロールエステルフィルムであっても、延伸させて、面内に複屈折性を有するようにしたセルロールエステルフィルムであれば、使用可能である。
ポリエステルフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレンナフタレート(ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリエチレン−1,4−ナフタレート、ポリエチレン−1,5−ナフタレート、ポリエチレン−2,7−ナフタレート、ポリエチレン−2,3−ナフタレート)等が挙げられる。
ポリエステルフィルムに用いられるポリエステルは、これらの上記ポリエステルの共重合体であってもよく、上記ポリエステルを主体(例えば80モル%以上の成分)とし、少割合(例えば20モル%以下)の他の種類の樹脂とブレンドしたものであってもよい。ポリエステルとしてポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)が力学的物性や光学物性等のバランスが良いので特に好ましい。特に、ポリエチレンテレフタレートからなることが好ましい。ポリエチレンテレフタレートは汎用性が高く、入手が容易かつ、複屈折性を大きくすることができる。
ポリカーボネートフィルムとしては、例えば、ビスフェノール類(ビスフェノールA等)をベースとする芳香族ポリカーボネートフィルム、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等の脂肪族ポリカーボネートフィルム等が挙げられる。
シクロオレフィンポリマーフィルムとしては、例えばノルボルネン系モノマーおよび単環シクロオレフィンモノマー等の重合体からなるフィルムが挙げられる。
アクリルフィルムとしては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチルフィルム、ポリ(メタ)アクリル酸エチルフィルム、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体フィルム等が挙げられる。
セルロースエステルフィルムとしては、例えば、セルローストリアセテートフィルム、セルロースジアセテートフィルムが挙げられる。セルロースエステルフィルムは光透過性に優れており、セルロースアシレートフィルムの中でもトリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム)が好ましい。トリアセチルセルロースフィルムは、可視光域380以上780nm未満において、平均光透過率を50%以上とすることが可能な光透過性フィルムである。トリアセチルセルロースフィルムの平均光透過率は70%以上、更に85%以上であることが好ましい。
なお、トリアセチルセルロースフィルムとしては、純粋なトリアセチルセルロース以外に、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートの如くセルロースとエステルを形成する脂肪酸として酢酸以外の成分も併用した物であってもよい。また、これらトリアセチルセルロースには、必要に応じて、ジアセチルセルロース等の他のセルロース低級脂肪酸エステル、或いは可塑剤、易滑剤等の各種添加剤が添加されていてもよい。
後述するコレステリック構造を形成した棒状化合物が液晶材料である場合、液晶材料は表示面から入射する紫外線によって劣化しやすいので、光透過性フィルム12には、紫外線吸収剤が含まれていることが好ましい。ここで、紫外線吸収剤が光透過性フィルムの表面に存在すると、紫外線吸収剤がブリードアウトしてしまうおそれがあるので、紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制するために、光透過性フィルム12は紫外線吸収剤を含む光透過性フィルムの両面を、紫外線吸収剤を含まない光透過性フィルムで挟んだ構造であることが好ましい。
光透過性フィルム12の厚みとしては、10μm以上300μm以下の範囲内であることが好ましい。10μm未満であると、力学特性の異方性が顕著となり、裂け、破れ等を生じやすくなり、工業材料としての実用性が著しく低下することがある。一方、300μmを超えると、光透過性フィルムが非常に剛直であり、高分子フィルム特有のしなやかさが低下し、やはり工業材料としての実用性が低下するので好ましくない。上記光透過性フィルムの厚さのより好ましい下限は20μm、より好ましい上限は200μmであり、更に好ましい上限は150μmである。
また、光透過性フィルム12は、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、84%以上であるものがより好ましい。なお、上記透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
なお、光透過性フィルムには本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、けん化処理、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、及び火炎処理等の表面処理を行ってもよい。
光透過性フィルム12は、未延伸の光透過性フィルムを幅方向のみに延伸させ、または長手方向に僅かに延伸させた後に幅方向に延伸させることによって得ることが好ましい。これは以下の理由からである。従来の光透過性フィルムは、未延伸の光透過性フィルムを長手方向に延伸させた後に、幅方向に長手方向と同じ倍率で延伸させることによって得られるが、このような延伸方法で得られた光透過性フィルムにおいてはボーイング現象が発生しやすい。これに対し、ロール状の未延伸の光透過性フィルムを幅方向のみに延伸させ、または縦方向に僅かに延伸させた後に幅方向に延伸させた場合には、ボーイング現象の発生を抑制できるので、このようにして得られた延伸光透過性フィルムにおいては、進相軸が長手方向に沿って存在している。その一方で、ロール状の偏光子は、その延伸処理を非常に高精度に管理されながら製造されるため、特殊な場合を除き、長手方向に沿って吸収軸が存在しているので、ロールツーロール法によって光透過性フィルムの片面に旋光層が形成された状態で光透過性フィルムと偏光子とを貼り合わせることによって、偏光子の吸収軸方向と透過性フィルムの進相軸方法が沿った偏光板を形成することができる。
<旋光層>
旋光層13は、上記したように偏光子11と光透過性フィルム12との間に設けられている。旋光層13は、直線偏光の偏光軸を旋回させる機能を有している。具体的には、図2および図3に示されるように、旋光層13は、直線偏光の偏光軸が光透過性フィルム12の遅相軸方向および進相軸方向の両方に対して傾くように直線偏光の偏光軸を旋回させる。ここで、「直線偏光の偏光軸が光透過性フィルムの遅相軸方向および進相軸方向の両方に対して傾く」とは、直線偏光の偏光軸が光透過性フィルムの遅相軸方向および進相軸方向のいずれとも方向とも一致していないことを意味する。また、直線偏光の偏光軸の旋回方向は、観察者側から見て、右回り(右旋回)および左回り(左旋回)のいずれであってもよい。
旋光層13における直線偏光の偏光軸の旋回は、旋光層13の膜厚や次に説明するコレステリック構造のツイスト角等によって制御することができる。したがって、旋光層13の膜厚や次に説明するコレステリック構造のツイスト角等を適宜調整すれば、直線偏光の偏光軸が光透過性フィルム12の遅相軸方向および進相軸方向の両方に対して傾くように直線偏光の偏光軸を旋回させることができる。
旋光層13は、直線偏光の偏光軸を、光透過性フィルム12の進相軸方向に対する直線偏光の偏光軸の角度が10°以上80°以下となるように旋回させることが好ましく、30°以上60°以下となるように旋回させることがより好ましい。ここで、「光透過性フィルムの進相軸方向に対する直線偏光の偏光軸の角度」とは、光透過性フィルムの進相軸方向と直線偏光の偏光軸とによって形成される角度のうち、小さい方の角度を意味するものとする。
旋光層13は、コレステリック構造を形成した棒状化合物を含むものである。旋光層13が、コレステリック構造を形成した棒状化合物を含むことにより、直線偏光が旋光層13を透過する際に、直線偏光の偏光軸を旋回させることができる。
コレステリック構造とは、一つの平面内では棒状化合物が長軸の方向を揃えて配列しており、旋光層の膜厚方向に進むに従って棒状化合物の配列する向きが螺旋状に旋回する構造を意味する。
コレステリック構造においては、特定の波長の光を選択的に反射する選択反射性を有するところ、本発明のコレステリック構造は、赤外領域(780nm以上1mm以下)に選択反射波長が存在する。コレステリック構造が、赤外領域に選択反射波長を有することにより、外光に含まれ、かつ選択反射波長に対応する赤外線を反射することができる。
コレステリック構造の選択反射波長は、下記式(3)で求めることができる。
λ=N×P …式(3)
上記式中、λは選択反射波長を表し、Nは平均屈折率を表し、Pはピッチを表す。ここで、液晶材料の波長780nm〜2000nmにおける平均屈折率は、液晶の種類や温度によって異なるが、一般に1.5〜1.7程度である。また、コレステリック構造のピッチ(1ピッチ)とは、棒状化合物が螺旋を描いて360°回転する軸の長さである(図5参照)。
コレステリック構造の選択反射波長の下限は、780nm以上であることが好ましく、また、コレステリック構造の選択反射波長の上限は、3000nm以下であることが好ましく、2000nm以下であることがより好ましい。
本発明においては選択反射波長が赤外領域に存在しているので、コレステリック構造のピッチは選択反射波長が赤外領域に存在するようなピッチであれば特に限定されないが、460nm以上2000nm以下の範囲内であることが好ましい。コレステリック構造のピッチの上限は、1500nm以下であることがより好ましく、1000nm以下であることがさらに好ましい。コレステリック構造のピッチの下限は、500nm以上であることが好ましく、550nm以上であることがさらに好ましい。
コレステリック構造における選択反射波長とピッチには、上記式(3)で示した関係があるため、分光器(例えば紫外可視近赤外分光光度計UV3100(島津製作所社製))で選択反射波長を測定すれば、式(3)を用いて0.25〜1.6μm程度までのピッチが算出できる。また、平均屈折率の測定には、アッベ屈折率計((株)アタゴ社製)や、エリプソメーター(J.A.Woollam社製)などを用いて測定することができる。さらに長いピッチの測定は、Canoのくさび法が用いられる。この測定法の詳細については、「T.Inukai,K.Furukawa,H.Inoue and K. Terashima : Mol. Cryst. Liq. Cryst., 94 (1983) 109」に記載があり、この測定法で求めることのできるピッチの範囲は1〜400μm程度である。
また、ネマチック液晶材料に微量のコレステリック液晶またはカイラル剤を添加した場合のように、ピッチがセルギャップの数倍以上の場合には、「M.A.Osman:Mol.Cryst.Liq.Cryst,82(Letters)(1982)295」に示される方法によってピッチを測定することができる。すなわち、図4に示すように、下の基板表面を一方向に平行ラビングし、上の基板表面を、Q点を中心とする同心円状にラビングすると、セル内の場所によってねじれ角bが連続的に変化することになる。このセルにピッチPの液晶を導入すると、ディスクリネーションがたとえば図4に破線で示したような位置に発生する。これはQ点を通る直線に対応し、この直線上では上下の基板のラビング方向のなす角bは、下記式(4)で表される。
b=a+(π/2) …式(4)
上記式中aは破線と下の基板のラビング方向のなす角を表す。この場合、ディスクリネーションは右巻きと左巻きのねじれ配向の領域の境界であり、このaの値を測定することによって、ピッチは、下記式(5)によって得ることができる。
P=2πd/a …式(5)
上記式中、dはセルギャップを表す。
これらの測定方法とは別に、コレステリック構造のピッチは、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡写真(TEM)によるコレステリック液晶断面観察からも知ることができる。例えば、SEMによるコレステリック液晶断面写真を撮影した場合には、コレステリック液晶層中に明暗模様が現れる。これは、図5に示した液晶材料ダイレクタ方向の違いからくるものである。したがって、5層(暗、明、暗、明、暗または、明、暗、明、暗、明)の距離から、ピッチを知ることができる。
コレステリック構造が、460nm以上2000nm以下のピッチを有する場合、コレステリック構造のツイスト角は、90°より大きいことが好ましい。通常、旋光層または旋光板は、液晶材料のツイスト角に沿って偏光軸を旋回させるものであるが、液晶材料のツイスト角をバラツキなく制御することは困難であるため、ツイスト角のバラツキに対応して、旋光角にもバラツキが生じてしまい、均質な表示画像を観察することができないおそれがある。これに対し、460nm以上2000nm以下のピッチおよび90°より大きいツイスト角を有するコレステリック構造を用いた場合には、コレステリック構造のツイスト角に依存しないで直線偏光の偏光軸を旋回させることができる。したがって、ツイスト角にバラツキが生じたとしても、直線偏光の旋光角にバラツキが発生することを抑制できる。上記コレステリック構造のピッチおよびツイスト角を上記範囲内することにより、旋光層の厚みを調整することによって、所望の旋光角を実現することが可能である。
コレステリック構造のツイスト角(°)は、ピッチと膜厚から計算することができる。図5に示すように、1ピッチは360度であるため、下記式(6)より算出できる。
ツイスト角=360×d/P …式(6)
上記式中、dは膜厚を表し、Pはピッチを表す。
例えば、上述した評価方法において算出されたピッチが1010nmのコレステリック構造の膜厚が、2.0μmの場合、ツイスト角は上記式(6)より、713度と算出できる。
上記コレステリック構造のツイスト角は、91度以上43200度以下の範囲内であることがより好ましく、180度以上25200度以下の範囲内であることがさらに好ましく、360度以上7200度以下の範囲内であることが最も好ましい。ここで、本発明の旋光角は、同じ液晶材料の場合には、同じツイスト角であっても、選択反射波長λが長波長側であるコレステリック層のほうが、旋光角が大きくなり、異なる液晶材料の場合には、同じツイスト角であっても、複屈折Δn(=ne−no)が大きいコレステリック層のほうが、旋光角が大きくなるという特徴を持つため、使用するコレステリック液晶の選択反射波長と、複屈折Δnに応じて、必要とする旋光角にあわせて、ツイスト角を調節すればよい。ここで、neとnoはそれぞれ光の電気スペクトルの振動方向が、液晶材料の光軸に対し直交と平行である通常光(ordinary light)と異常光(extraordinary light)の屈折率である。
旋光層13の膜厚は、上記コレステリック構造のピッチ等に応じて、所望の旋光性を付与できるよう適宜調整されるものであるが、中でも0.25μm以上120μm以下の範囲内であることが好ましく、0.5μm以上70μm以下の範囲内であることがより好ましく、1μm以上20μm以下の範囲内であることがさらに好ましい。
旋光層13は、偏光子11と光透過性フィルム12の間に設けられていればよいが、偏光子11の片面に粘着剤等により貼り付けられていることが好ましい。また、旋光層と光透過性フィルム12との間には、棒状化合物を所望の配列にするために、ポリイミド膜等の配向膜が形成されていることが好ましい。
旋光層13に用いられる棒状化合物について説明する。本発明に用いられる棒状化合物としては、屈折率異方性を有するものであり、旋光層13内でコレステリック構造を形成することにより、旋光層13に所望の旋光性を付与できるものであれば特に限定されるものではない。中でも本発明に用いられる棒状化合物は、分子内に重合性官能基を有するものが好適に用いられ、さらに3次元架橋可能な重合性官能基を有するものがより好適に用いられる。上記棒状化合物が重合性官能基を有することにより、上記棒状化合物を重合して固定することが可能になるため、旋光層13を、旋光性の経時変化が生じにくいものとすることができるからである。また、上記重合性官能基を有する棒状化合物と、上記重合性官能基を有さない棒状化合物とを混合して用いても良い。なお、上記「3次元架橋」とは、液晶性分子を互いに3次元に重合して、網目(ネットワーク)構造の状態にすることを意味する。
上記重合性官能基としては、例えば、紫外線、電子線等の電離放射線、或いは熱の作用によって重合する重合性官能基を挙げることができる。これら重合性官能基の代表例としては、ラジカル重合性官能基、或いはカチオン重合性官能基等が挙げられる。さらにラジカル重合性官能基の代表例としては、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が挙げられ、具体例としては、置換基を有するもしくは有さないビニル基、アクリレート基(アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基を包含する総称)等が挙げられる。また、上記カチオン重合性官能基の具体例としては、エポキシ基等が挙げられる。その他、重合性官能基としては、例えば、イソシアネート基、不飽和3重結合等が挙げられる。これらの中でもプロセス上の点から、エチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が好適に用いられる。
また、本発明における棒状化合物は液晶性を示す液晶性材料であることが好ましい。液晶性材料は屈折率異方性が大きいため、旋光層に所望の旋光性を付与することが容易になるからである。
本発明に用いられる棒状化合物の具体例としては、下記化学式(1)〜(6)で表される化合物を例示することができる。
ここで、化学式(1)、(2)、(5)および(6)で示される液晶性材料は、D.J.Broerら、Makromol.Chem.190,3201−3215(1989)、またはD.J.Broerら、Makromol.Chem.190,2255−2268(1989)に開示された方法に従い、あるいはそれに類似して調製することができる。また、化学式(3)および(4)で示される液晶性材料の調製は、DE195,04,224に開示されている。
また、末端にアクリレート基を有するネマチック液晶性材料の具体例としては、下記化学式(7)〜(17)に示すものも挙げられる。
さらに、本発明に用いられる棒状化合物としては、SID 06 DIGEST 1673−1676に開示された下記化学式(18)に表わされる化合物を例示することができる。
なお、本発明において上記棒状化合物は、1種類のみを用いてもよく、または、2種以上を混合して用いてもよい。例えば、上記棒状化合物として、両末端に重合性官能基を1つ以上有する液晶性材料と、片末端に重合性官能基を1つ以上有する液晶性材料とを混合して用いると、両者の配合比の調整により重合密度(架橋密度)及び光学特性を任意に調整できる点から好ましい。
本発明においては、上記のいずれの棒状化合物が用いられた旋光層であっても好適に用いることができるが、なかでもネマチック液晶性を示す棒状化合物を用い、当該棒状化合物をカイラル剤と併用された旋光層が用いられることが好ましい。このような旋光層は、カイラルネマチック液晶を固定化してなるものとなることから、上記旋光層の旋光性を任意に制御することが容易になるからである。
上記カイラル剤としては、棒状化合物を所定のコレステリック配列させることができるものであれば特に限定されるものではない。本発明に用いられるカイラル剤としては例えば、下記の一般式(19)、(20)又は(21)で表されるような、分子内に軸不斉を有する低分子化合物を用いることが好ましい。
上記一般式(19)又は(20)において、R1は水素又はメチル基を示す。Yは上記に示す式(i)〜(xxiv)の任意の一つであるが、中でも、式(i)、(ii)、(iii)、(v)及び(vii)のいずれか一つであることが好ましい。また、アルキレン基の鎖長を示すc及びdは、それぞれ個別に2〜12の範囲で任意の整数をとり得るが、4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であることがさらに好ましい。
また、本発明に用いられるカイラル剤としては、以下のような化学式で表わされるものも用いることができる。
旋光層13は、例えば、以下の方法によって形成することができる。まず、光透過性基材12上に、棒状化合物およびカイラル剤を含有する旋光層用組成物を塗布して、光透過性基材12上に塗膜を形成する。なお、光透過性フィルム12の表面にポリイミド等から構成された配向膜(図示せず)を形成する場合には、旋光層用組成物を塗布する前に、光透過性基材12上に配向膜を形成し、配向膜にラビング処理を施した後に、配向膜上に旋光層用組成物を塗布することが好ましい。次いで、必要に応じて旋光層用組成物の塗膜に紫外線照射等の硬化処理を施す。これにより、コレステリック構造を有する旋光層13が形成される。
コレステリック構造のピッチを460nm以上2000nm以下とし、かつコレステリック構造のツイスト角を90°より大きくする場合には、上記旋光層用組成物の棒状化合物およびカイラル剤の含有率、さらには旋光層の厚みを適宜調整することにより、このようなピッチおよびツイスト角を有するコレステリック構造を形成することができる。なお、コレステリック構造のピッチおよびツイスト角は、棒状化合物、カイラル剤の種類等に依存するものであるので、棒状化合物、カイラル剤の種類および添加量、また旋光層の厚みを調整することにより、目的とするツイスト角、ピッチを達成することができる。
<機能層>
機能層14は、光透過性フィルム12の旋光層13が設けられている面とは反対側の面に設けられている。機能層14とは、何らかの機能を発揮することを意図された層であり、具体的には、例えば、ハードコート性、防眩性、反射防止性、帯電防止性、または防汚性等の一以上の機能を発揮する層が挙げられる。機能層14は、光透過性フィルム12の進相軸方向と平行となる方向における屈折率が光透過性フィルム12の進相軸方向の屈折率よりも低くなっている。なお、光透過性フィルムの遅相軸方向と平行となる方向における屈折率が光透過性フィルムの遅相軸方向の屈折率よりも高い機能層を用いる場合には、光透過性フィルムは、光透過性フィルムの遅相軸方向が水平方向に沿うように配置されることが好ましい。
なお、機能層14の光透過性フィルム12が設けられている側とは反対側に、一以上の更なる機能層が設けられていても良い。更なる機能層としては、上述した機能層14と同様に、ハードコート性、防眩性、反射防止性、帯電防止性、または防汚性等の一以上の機能を発揮する層を例示することができる。
(ハードコート層)
ハードコート層は、ハードコート性を発揮する層であり、具体的には、JIS K5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験(4.9N荷重)で「H」以上の硬度を有するものである。
ハードコート層の厚みは1.0μm以上10.0μm以下であることが好ましい。ハードコート層の厚みがこの範囲内であれば、所望の硬度を得ることができる。また、ハードコート層の薄膜化を図ることができる一方で、ハードコート層の割れやカールの発生を抑制できる。ハードコート層の厚みは、断面顕微鏡観察により測定することができる。ハードコート層の厚みの下限は1.5μm以上であることがより好ましく、上限は7.0μm以下であることがより好ましく、ハードコート層の厚みは2.0μm以上5.0μm以下であることがさらに好ましい。
ハードコート層は、例えば、少なくともバインダ樹脂を含んでいる。バインダ樹脂は、光照射により光重合性化合物を重合(架橋)させて得られたものである。光重合性化合物は、光重合性官能基を少なくとも1つ有するものである。本明細書における、「光重合性官能基」とは、光照射により重合反応し得る官能基である。光重合性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合が挙げられる。なお、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」および「メタクリロイル基」の両方を含む意味である。また、光重合性化合物を重合する際に照射される光としては、可視光線、並びに紫外線、X線、電子線、α線、β線、およびγ線のような電離放射線が挙げられる。
光重合性化合物としては、光重合性モノマー、光重合性オリゴマー、または光重合性ポリマーが挙げられ、これらを適宜調整して、用いることができる。光重合性化合物としては、光重合性モノマーと、光重合性オリゴマーまたは光重合性ポリマーとの組み合わせが好ましい。
光重合性モノマー
光重合性モノマーは、重量平均分子量が1000未満のものである。光重合性モノマーとしては、光重合性官能基を2つ(すなわち、2官能)以上有する多官能モノマーが好ましい。本明細書において、「重量平均分子量」は、テトラヒドロフラン(THF)等の溶媒に溶解して、従来公知のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算により得られる値である。
2官能以上のモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、アダマンチルジ(メタ)アクリレート、イソボロニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートや、これらをPO、EO等で変性したものが挙げられる。
これらの中でも硬度が高いハードコート層を得る観点から、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)等が好ましい。
光重合性オリゴマー
光重合性オリゴマーは、重量平均分子量が1000以上10000未満のものである。光重合性オリゴマーとしては、2官能以上の多官能オリゴマーが好ましい。多官能オリゴマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、 ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル−ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、イソシアヌレート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
光重合性ポリマー
光重合性ポリマーは、重量平均分子量が10000以上のものであり、重量平均分子量としては10000以上80000以下が好ましく、10000以上40000以下がより好ましい。重量平均分子量が80000を超える場合は、粘度が高いため塗工適性が低下してしまい、得られる光学フィルムの外観が悪化するおそれがある。上記多官能ポリマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、イソシアヌレート(メタ)アクリレート、ポリエステル−ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ハードコート層には、その他、必要に応じて、溶剤乾燥型樹脂(熱可塑性樹脂等、塗工時に固形分を調整するために添加した溶剤を乾燥させるだけで、被膜となるような樹脂)、熱硬化性樹脂が添加されていてもよい。
溶剤乾燥型樹脂を添加した場合、ハードコート層を形成する際に、塗液の塗布面の被膜欠陥を有効に防止することができる。溶剤乾燥型樹脂としては特に限定されず、一般に、熱可塑性樹脂を使用することができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂及びゴム又はエラストマー等を挙げることができる。
熱可塑性樹脂は、非結晶性で、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒)に可溶であることが好ましい。特に、透明性や耐候性という観点から、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)等が好ましい。
ハードコート層に添加される熱硬化性樹脂としては、特に限定されず、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等を挙げることができる。
ハードコート層は、上記光重合性化合物を含むハードコート層用組成物を、光透過性フィルムに塗布し、乾燥させた後、塗膜状のハードコート層用組成物に紫外線等の光を照射して、光重合性化合物を重合(架橋)させることにより形成することができる。
ハードコート層用組成物には、上記光重合性化合物の他、必要に応じて、上記熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、溶剤、重合開始剤を添加してもよい。さらに、ハードコート層用組成物には、ハードコート層の硬度を高くする、硬化収縮を抑える、屈折率を制御する等の目的に応じて、従来公知の分散剤、界面活性剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤、易滑剤等を添加していてもよい。
ハードコート層用組成物を塗布する方法としては、スピンコート、ディップ法、スプレー法、スライドコート法、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ダイコート法等の公知の塗布方法が挙げられる。
ハードコート層用組成物を硬化させる際の光として、紫外線を用いる場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等から発せられる紫外線等が利用できる。また、紫外線の波長としては、190〜380nmの波長域を使用することができる。電子線源の具体例としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。
(防眩層)
防眩層は、防眩性を発揮させる層である。防眩層の表面は、凹凸面となっている。防眩層の表面を凹凸面とすることにより、外光を拡散反射させることができる。なお、「防眩層の表面」とは、防眩層の光透過性フィルム側の面(裏面)とは反対側の面を意味するものとする。防眩層は、上記ハードコート層用組成物中に凹凸面を形成するための有機微粒子または無機微粒子を含有させることで形成することができる。
(帯電防止層)
帯電防止層は、帯電防止性を発揮する層である。帯電防止層は、上記ハードコート層用組成物中に帯電防止剤を含有させることで形成することができる。上記帯電防止剤としては従来公知のものを用いることができ、例えば、第4級アンモニウム塩等のカチオン性帯電防止剤や、スズドープ酸化インジウム(ITO)等の微粒子や、導電性ポリマー等を用いることができる。上記帯電防止剤を用いる場合、その含有量は、全固形分の合計質量に対して1〜30質量%であることが好ましい。
(防汚層)
防汚層は、防汚性を発揮する層であり、具体的には、画像表示装置の最表面に汚れ(指紋、水性又は油性のインキ類、鉛筆等)が付着しにくく、又は付着した場合でも容易に拭取ることができるという役割を担う層である。また、上記防汚層の形成により、液晶表示装置に対して防汚性と耐擦傷性の改善を図ることも可能となる。防汚層は、例えば、防汚染剤及び樹脂を含む組成物により形成することができる。
上記防汚剤は、画像表示装置の最表面の汚れ防止を主目的とするものであり、液晶表示装置に耐擦傷性を付与することもできる。上記防汚染剤としては、例えば、フッ素系化合物、ケイ素系化合物、又は、これらの混合化合物が挙げられる。より具体的には、2−パーフロロオクチルエチルトリアミノシラン等のフロロアルキル基を有するシランカップリング剤等が挙げられ、特に、アミノ基を有するものが好ましくは使用することができる。
防汚層は、特に最表面になるように形成することが好ましい。防汚層は、例えばハードコート層自身に防汚性能を付与することにより代替することもできる。
ハードコート層や防眩層上には、低屈折率層が形成されていることが好ましい。
(低屈折率層)
低屈折率層は、外部からの光(例えば蛍光灯、自然光等)が偏光板の表面にて反射する際に、その反射率を低下させるためのものである。低屈折率層はハードコート層や防眩層よりも低い屈折率を有する。具体的には、例えば、低屈折率層は、1.45以下の屈折率を有することが好ましく、1.42以下の屈折率を有することがより好ましい。
低屈折率層の厚みは、限定されないが、通常は30nm〜1μm程度の範囲内から適宜設定すれば良い。低屈折率層の厚みdA(nm)は、下記式(7)を満たすものが好ましい。
dA=mλ/(4nA) …式(7)
上記式中、nAは低屈折率層の屈折率を表し、mは正の奇数を表し、好ましくは1であり、λは波長であり、好ましくは480nm以上580nm以下の範囲の値である。
低屈折率層は、低反射率化の観点から、下記式(8)を満たすものが好ましい。
120<nAdA<145 …式(8)
低屈折率層は単層で効果が得られるが、より低い最低反射率、あるいはより高い最低反射率を調整する目的で、低屈折率層を2層以上設けることも適宜可能である。2層以上の低屈折率層を設ける場合、各々の低屈折率層の屈折率及び厚みに差異を設けることが好ましい。
低屈折率層としては、好ましくは1)シリカ、フッ化マグネシウム等の低屈折率粒子を含有する樹脂、2)低屈折率樹脂であるフッ素系樹脂、3)シリカ又はフッ化マグネシウムを含有するフッ素系樹脂、4)シリカ、フッ化マグネシウム等の低屈折率物質の薄膜等のいずれかで構成することが可能である。フッ素系樹脂以外の樹脂については、上述したハードコート層を構成するバインダ樹脂と同様の樹脂を用いることができる。
シリカは、中空シリカ微粒子であることが好ましく、このような中空シリカ微粒子は、例えば、特開2005−099778号公報の実施例に記載の製造方法にて作製できる。
<偏光板による明所コントラスト等の改善>
本実施形態においては、光透過性フィルム12が、偏光子の吸収軸方向と、光透過性フィルムの進相軸方向と、の両方が水平方向に沿うように、偏光子11および光透過性フィルム12が配置されている。本件発明者らが確認したところ、この偏光板10を表示装置の観察者側に位置する偏光板、いわゆる上偏光板として用いることにより、目視にて改善の程度を感知し得る程度にまで明所コントラストを効果的に上昇させることができた。このような現象が生じる詳細な理由は不明であるが、以下のことが一要因と考えられ得る。ただし、本発明は以下の推定に拘束されるものではない。
まず、明所コントラストは、{(白表示の輝度+外光反射)/(黒表示の輝度+外光反射)}として算出され、得られたコントラスト値が高いほどコントラストに優れる。したがって、光透過性フィルムの表面での外光反射を低減することができれば、明所コントラストを向上させることができる。その一方で、偏光板に含まれる各層は、種々の機能を発現することを期待されており、各層に用いられる材料、そして当該材料によって決まる各層の屈折率の設定には当然に制約が生じる。このため、特別な場合を除き、光透過性フィルムと機能層との間に屈折率差が不可避的に生じてしまう。また、図示された形態とは異なり、光透過性フィルムの観察者側に機能層等の層が設けられないことも想定されるが、この場合にも、反射を引き起こす屈折率界面が空気と光透過性フィルムとの間に生じることになる。この屈折率差が、光透過性フィルムと機能層との間の界面での外光の反射を引き起こし、画像表示装置の明所コントラストの低下の一因をなしていた。
その一方で、画像表示装置に入射して明所コントラストを引き起こし得る光の偏光成分として、P偏光とS偏光とが存在する。そして、P偏光の反射率はS偏光の反射率よりも低く、しかもP偏光には反射率が0%となるブリュースター角が存在する。このため、床面や天井面で反射して、画像表示装置の画像表示面に入射する光には、必然的に、水平方向に振動する偏光成分(S偏光)が偏って含まれるようになる。以上のことからすれば、たとえ用いられる材料に依存して決まる平均屈折率が光透過性フィルムと機能層との間で異なっていたとしても、光透過性フィルムの水平方向に沿った面内屈折率を、機能層の水平方向に沿った面内屈折率に近付けさえすれば、明所コントラストの低下を引き起こす光透過性フィルムと機能層との間での外光反射を効果的に防止することができる。
そこで、本実施の形態の偏光板10では、材料選択の制約から必然的に生じ得る光透過性フィルム12と機能層14との間での平均屈折率差を許容しながらも、複屈折率を有した光透過性フィルム12を用いることにより、さらには、通常光学等方性として扱われてきた材料からなる光透過性フィルム12に対してさえも敢えて複屈折性を付与することにより、水平方向に振動する偏光成分の反射率を支配する光透過性フィルム12と機能層14との間での水平方向における屈折率差を少しでも低減するようにしている。より具体的には、光透過性フィルム12の平均屈折率が、通常、機能層14の平均屈折率よりも高くなるので、光透過性フィルム12の面内屈折率の中で最も低屈折率となる進相軸方向を水平方向に揃え、水平方向における光透過性フィルム12と機能層14との間での屈折率差を低減する。このように、偏光板10に含まれる光透過性フィルム12の進相軸の方向を水平方向に揃えることにより、光透過性フィルム12と機能層14との間で平均屈折率に屈折率差が生じることを許容して光透過性フィルム12と機能層14に用いられる材料選択の自由度を確保しながら、光透過性フィルム12と機能層14との間の界面での水平方向における屈折率差を低減し、明所コントラストの低下を引き起こす主原因となる水平方向に振動する偏光成分の光透過性フィルム12と機能層14との界面での反射を効果的に低減している。なお、機能層14が存在していない場合には、光透過性基材12は空気と接することになるので、光透過性フィルム12の面内屈折率の中で最も低屈折率となる進相軸方向を水平方向に揃えることにより、空気との間での屈折率差を低減することができる。これにより、上記と同様に、明所コントラストの低下を引き起こす主原因となる水平方向に振動する偏光成分の反射を効果的に低減することができる。
以上のようにして本実施形態によれば、光透過性フィルム12の表面における水平方向に振動する偏光成分(S偏光)の反射を低減することができるので、明所コントラストを効果的に改善することができる。
また、図2に示されるように偏光子11の吸収軸は水平方向となっているので、偏光子11においては吸収軸と直交する透過軸と平行な方向の直線偏光が透過する。そして、偏光子11を透過した直線偏光は、偏光子11と光透過性フィルム12との間に設けられた旋光層13の作用によって、直線偏光の偏光軸が光透過性フィルムの遅相軸方向および進相軸方向の両方に対して傾くように旋回させられる。このような旋回した直線偏光が光透過性フィルム12を入射すると、光透過性フィルム12の複屈折性により偏光状態が変化し、偏光状態が変化した状態で偏光が光透過性フィルム12から出射される。
一方、クロスニコル下で観測される透過光強度は、偏光子の吸収軸(直線偏光の振動方向)と面内に複屈折性を有する光透過性フィルムの遅相軸とがなす角度をθとした場合、下記式(9)で表される。
I=I0・sin2(2θ)・sin2(π・Re/λ) …式(9)
上記式(8)中、Iはクロスニコルを透過した光の強度、I0は面内に複屈折性を有する光透過性フィルムに入射する光の強度、λは光の波長、Reは光透過性フィルムのリタデーションである。
旋光層が設けられていない場合には、上記式(8)におけるsin2(2θ)が0となり、偏光サングラスを光が透過しないため、視認性が低下してしまう。これに対し、本実施形態においては、偏光子11と光透過性フィルム12との間に旋光層13を設けているので、直線偏光の振動方向と面内に複屈折性を有する光透過性フィルム12の遅相軸との成す角度θが変化し、上記式(8)におけるsin2(2θ)が0よりも大きな値をとる。これにより、偏光サングラス越しに表示画像を視認した場合における視認性低下を改善することができる。
本実施形態によれば、赤外領域に選択反射波長を有するコレステリック構造を含む旋光層13を用いているので、選択反射波長の赤外線を反射させることができる。これにより、外光に含まれる赤外線による画像表示装置の温度上昇を軽減することができる。また、外光に含まれる赤外線による画像表示装置の温度上昇を軽減することができるので、画像表示装置の光源として発光ダイオードを用いた場合において、温度上昇による発光効率の低下を抑制することができる。また、バックライトを構成するプリズムシート等の撓みをも抑制することができるので、画像にムラが生じることも抑制できる。なお、コレステリック構造が赤外領域に選択反射波長を有するので、可視光領域に影響を与えない。これにより、画像の色味等が変化することもないので、表示品質が損なわれてしまうおそれもない。
≪画像表示装置および画像表示装置における明所コントラストの改善方法≫
偏光板20は、画像表示装置に組み込んで使用することができる。画像表示装置としては、例えば液晶ディスプレイ(LCD)、陰極線管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、タッチパネル、タブレットPC、電子ペーパー等が挙げられる。図6は本実施形態に係る光学フィルムを組み込んだ画像表示装置の一例である液晶ディスプレイの概略構成図である。
図6に示される画像表示装置20は、液晶ディスプレイである。画像表示装置20は、バックライトユニット30と、バックライトユニット30よりも観察者側に配置された、偏光板10を備える液晶パネル40とから構成されている。
バックライトユニット30は、バックライト光源として発光ダイオードを備えたものが好ましい。発光ダイオードとしては、白色発光ダイオード(白色LED)を備えたものが好ましい。上記白色LEDとは、蛍光体方式、すなわち化合物半導体を使用した青色光又は紫外光を発する発光ダイオードと蛍光体を組み合わせることにより白色を発する素子のことである。なかでも、化合物半導体を使用した青色発光ダイオードとイットリウム・アルミニウム・ガーネット系黄色蛍光体とを組み合わせた発光素子からなる白色発光ダイオードは、連続的で幅広い発光スペクトルを有していることから明所コントラストの改善に有効であるとともに、発光効率にも優れるため、本発明における上記バックライト光源として好適である。また、消費電力の小さい白色LEDを広汎に利用可能になるので、省エネルギー化の効果も奏することが可能となる。
図6に示される液晶パネル40は、バックライトユニット30側から観察者側に向けて、トリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム)等の保護フィルム41、偏光子42、位相差フィルム43、接着剤層44、液晶セル45、接着剤層46、位相差フィルム47、偏光板10の順に積層された構造を有している。液晶セル45は、2枚のガラス基材間に、液晶層、配向膜、電極層、カラーフィルタ等を配置したものである。
偏光板10は、偏光子11の吸収軸方向と光透過性フィルム12の進相軸方向と、の両方が水平方向に沿うように画像表示装置20に配置されている。
画像表示装置20は、VAモード又はIPSモードの液晶表示装置であることが好ましい。上記VA(Vertical Alignment)モードとは、電圧無印加のときに液晶分子が液晶セルの基板に垂直になるように配向されて暗表示を示し、電圧の印加で液晶分子を倒れ込ますことで明表示を示す動作モードである。また、上記IPS(In−Plane Switching)モードとは、液晶セルの一方の基板に設けた櫛形電極対に印加された横方向の電界により、液晶を基板面内で回転させて表示を行う方式である。
画像表示装置が、VAモード又はIPSモードのものであることが好ましいのは、VAモード又はIPSモードにおいては、液晶セルよりも観測者側に設置された偏光子の吸収軸が水平方向に沿っているからである。
画像表示装置は、水平方向に偏光子の吸収軸を設置した有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(有機ELディスプレイ)であっても良い。この場合、観測者側から上記偏光板、λ/4位相差板、有機EL素子の順に積層してもよい。有機ELディスプレイの画像表示方式としては、白色発光層を用い、カラーフィルタを通すことで、カラー表示を得るカラーフィルタ方式、青色発光層を用い、その発光の一部を色変換層を通すことによりカラー表示を得る色変換方式、赤色・緑色・青色の発光層を用いる3色方式、この3色方式にカラーフィルタを併用した方式などが挙げられる。発光層の材料としては、低分子であっても、高分子であっても良い。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの記載に限定されない。
<明所コントラスト>
以下、実施例、および比較例で得られた各偏光板において、明所コントラストを評価したが、明所コントラストの評価は、以下のようにして行った。偏光子の吸収軸方向が水平方向となるように、液晶モニター(FLATORON IPS226V(LG Electronics Japan社製))の観察者側に設置された偏光板の代わりに、実施例および比較例にかかる偏光板を、偏光板の後述するTD80UL−M側が液晶パネル側となるように感圧接着剤(P−3132、リンテック社製)を介して設置し、周辺照度400ルクス(明所)において、黒表示した液晶モニターから50〜60cm程度離れた場所から、この黒表示を被験者15人が鑑賞することで、明所コントラストを官能評価により評価した。黒く見えると答えた人数が多かった液晶モニターを明所コントラストが優れているとし、黒く見えると答えた人数が少ない液晶モニターは、劣ると評価した。
明所コントラスト:CR=LW/LB
明所白輝度(LW):外光がある明所(周辺照度400ルクス)にて、表示装置を白表示した時の輝度
明所黒輝度(LB):外光がある明所(周辺照度400ルクス)にて、表示装置を黒表示した時の輝度
<反射率>
以下、実施例及び比較例で得られた各偏光板において、反射率を測定したが、反射率の測定は以下のようにして行った。偏光板の光透過性フィルム側とは反対側に、黒ビニールテープ(ヤマトビニールテープNo200−38−21 38mm幅を貼った後、分光光度計(V7100型、自動絶対反射率測定ユニットVAR−7010 日本分光社製)を用いて、S偏光に対して、偏光子の吸収軸を平行に設置した場合における5度反射率を測定した。
<選択反射波長>
以下、実施例及び比較例で得られた各偏光板において、旋光層の選択反射中心波長を測定したが、測定は以下のようにして行った。偏光板の光透過性フィルム側とは反対側に、黒ビニールテープ(ヤマトビニールテープNo200−38−21 38mm幅)を貼った後、分光器(紫外可視近赤外分光光度計UV3100(島津製作所社製))を用いて、5度反射率を測定した。
<視認性評価>
以下、実施例及び比較例で得られた各偏光板において、視認性を評価したが、視認性の評価は、以下のようにして行った。偏光子の吸収軸方向が水平方向となるように、液晶モニター(FLATORON IPS226V(LG Electronics Japan社製))の観察者側に設置された偏光板の代わりに、実施例および比較例にかかる偏光板を、偏光板の後述するTD80UL−M側が液晶パネル側となるように感圧接着剤(P−3132、リンテック社製)を介して設置した。暗所にて、液晶表示装置を白表示とし、偏光サングラス吸収軸と偏光子の吸収軸とのなす角度が0°(パラレルニコル)から90°(クロスニコル)となるように回転させ、どのような角度でも表示画像を視認できる液晶モニターを、視認性が良好である(偏光サングラス対応ができている)とし、角度によって、表示画像を視認できない角度がある液晶モニターを、視認性が良好ではない(偏光サングラス対応ができていない)とした。
<旋光角測定>
以下、実施例及び比較例で得られた各偏光板において、旋光角を測定したが、旋光角の測定は、以下のようにして行った。各実施例及び比較例における光透過性フィルムと旋光層とからなる積層体の状態で測定を行った。なお、下記偏光板1および2は、各実施例及び比較例の偏光板を意味するものではない。
(1)面光源の上に偏光板1を設置する。
(2)偏光板1の上に、光透過性フィルムと旋光層とからなる積層体の光透過性フィルム側を偏光板1側とし、偏光板1の吸収軸と光透過性フィルムの進相軸とのなす角度が0度となるように設置する。
(3)光透過性フィルムと旋光層とからなる積層体における旋光層の上に、偏光板1の吸収軸と偏光板2の吸収軸とのなす角度が90°(クロスニコル)となるように偏光板2を設置する。
(4)偏光板2から600mm離れた位置に色彩輝度計(トプコン社製 BM−5A)を設置する。
(5)この設置状態(図7参照)で、偏光板2を5度ずつ回転させながら輝度を測定し、輝度が最小となる角度をその旋光層の旋光角とした。
<実施例1、比較例1>
(光透過性フィルムの作製)
ポリエチレンテレフタレート材料を290℃で溶融して、フィルム形成ダイを通して、シート状に押出し、水冷冷却した回転急冷ドラム上に密着させて冷却し、未延伸フィルムを作製した。未延伸フィルムは、Δn=0.00035であり、平均屈折率N=1.61であった。この未延伸フィルムを二軸延伸試験装置(東洋精機社製)にて、120℃にて1分間予熱した後、120℃にて、延伸倍率4.0倍にて延伸を行い、nx=1.68、ny=1.58、(nx−ny)=0.10、膜厚75μmの光透過性フィルムを得た。
(旋光層の作製)
両末端に重合可能なアクロイル基を有するとともに中央部のメソゲン基と前記アクリレートとの間にスペーサを有する、液晶性モノマー分子(Paliocolor(登録商標) LC1057(BASF社製))96.3部と、両側の末端に重合可能なアクリロイル基を有するカイラル剤分子(Paliocolor(登録商標) LC756(BASF社製))3.7部とを溶解させたシクロヘキサノン溶液を準備した。なお、前記シクロヘキサノン溶液には、前記液晶性モノマー分子に対して2.5重量%の光重合開始剤を添加した(固形分40重量%)。
前記シクロヘキサノン溶液を、光透過性フィルムの片面にバーコーターにて塗布し、80℃で2分保持して前記シクロヘキサノン溶液中のシクロヘキサノンを蒸発させ、100℃で2分保持し、液晶性モノマー分子を配向させた。そして、途膜に紫外線を300mJ/cm2照射し、塗膜中の光重合開始剤から発生するラジカルによって、配向した液晶性モノマー分子のアクロイル基を3次元架橋してポリマー化し、コレステリック構造を固定化することにより、旋光層を作製した。旋光層の膜厚は、5μmであった。
(偏光子の作製)
平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%以上で厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の純水に浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.02/2/100の水溶液に30℃で浸漬させた。その後、このポリビニルアルコールフィルムを、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が12/5/100の水溶液に56.5℃で浸漬させた。引き続き8℃の純水で洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された偏光子を得た。延伸は、主に、ヨウ素染色およびホウ酸処理の工程で行い、トータル延伸倍率は5.3倍であった。
(偏光板の作製)
得られた偏光子の一方の面に、偏光子の吸収軸と光透過性フィルムの進相軸とのなす角度が0度となるように、光透過性フィルムと旋光層とからなる積層体における旋光層側の面を、脂環式エポキシ化合物を含有する無溶剤の活性エネルギー線硬化型接着剤で、接着貼合した。次いで、偏光子における光透過性フィルム側の面とは反対側の面に、等方性フィルムであるTD80UL−M(富士フィルム社製)を、脂環式エポキシ化合物を含有する無溶剤の活性エネルギー線硬化型接着剤で接着貼合し、実施例1にかかる偏光板を作製した。
比較例1においては、偏光子の吸収軸と、光透過性フィルムの進相軸とのなす角度が90度となるようにした以外は、実施例1と同様の方法にて、偏光板を作製した。
実施例1、比較例1にかかる偏光板の選択反射中心波長を測定したところ、どちらの偏光板も800nmであり、赤外線を反射していた。
実施例1、比較例1の旋光層の旋光角は、35度であった。したがって、実施例1においては、偏光子の吸収軸と光透過性フィルムの進相軸とのなす角度が0度であるので、光透過性フィルムの進相軸方向と、旋光層によって旋回された直線偏光の偏光軸とのなす角度は55度であった。また、比較例1においては、偏光子の吸収軸と光透過性フィルムの進相軸とのなす角度が90度であるので、光透過性フィルムの進相軸方向と、旋光層によって旋回された直線偏光の偏光軸とのなす角度は35度であった。
実施例1、比較例1にかかる偏光板の視認性を評価したところ、どちらの偏光板も偏光サングラス越しで表示画像を視認した場合であっても、視認性は良好であった。
実施例1、比較例1にかかる偏光板の反射率を評価したところ、それぞれ、5.0%、6.4%であり、実施例1にかかる偏光板が、反射防止性能に優れていた。また、実施例1、比較例1を用いた液晶モニターの明所コントラストを目視により評価したところ、実施例1の偏光板を用いた液晶モニターは、比較例1の偏光板を用いた液晶モニターよりも明所コントラストに優れていた。
<実施例2、比較例2>
実施例2においては、液晶性モノマー分子(Paliocolor(登録商標) LC1057(BASF社製))98.0部と、両側の末端に重合可能なアクリロイル基を有するカイラル剤分子(Paliocolor(登録商標) LC756(BASF社製))2.0部としたシクロヘキサノン溶液を用いた以外は、実施例1と同様の方法にて、偏光板を作製した。
比較例2においては、実施例2で用いたシクロヘキサノン溶液を用い、偏光子の吸収軸と、光透過性フィルムの進相軸とのなす角度が90度となるようにした以外は、実施例1と同様の方法にて、偏光板を作製した。
実施例2、比較例2にかかる偏光板の選択反射中心波長を測定したところ、どちらの偏光板も1580nmであり、赤外線を反射していた。
実施例2、比較例2の旋光層の旋光角は、80度であった。したがって、実施例2においては、偏光子の吸収軸と光透過性フィルムの進相軸とのなす角度が0度であるので、光透過性フィルムの進相軸方向と、旋光層によって旋回された直線偏光の偏光軸とのなす角度は10度であった。また、比較例2においては、偏光子の吸収軸と光透過性フィルムの進相軸とのなす角度が90度であるので、光透過性フィルムの進相軸方向と、旋光層によって旋回された直線偏光の偏光軸とのなす角度は80度であった。
実施例2、比較例2にかかる偏光板において、偏光サングラス越しの視認性を評価したところ、どちらの偏光板も視認性が良好であった。
実施例2、比較例2にかかる偏光板の反射率を評価したところ、それぞれ、5.0%、6.4%であり、実施例2にかかる偏光板が、反射防止性能に優れていた。また、実施例2、比較例2を用いた液晶モニターの明所コントラストを目視により評価したところ、実施例2の偏光板を用いた液晶モニターは、比較例2の偏光板を用いた液晶モニターよりも明所コントラストに優れていた。
<実施例3、比較例3>
実施例3においては、実施例1で用いたシクロヘキサノン溶液を用い、旋光層の膜厚を1.5μmとした以外は、実施例1と同様の方法にて、偏光板を作製した。
比較例3においては、実施例1で用いたシクロヘキサノン溶液を用い、旋光層の膜厚を1.5μmとし、偏光子の吸収軸と、光透過性フィルムの進相軸とのなす角度が90度となるようにした以外は、実施例1と同様の方法にて、偏光板を作製した。
実施例3、比較例3にかかる偏光板の選択反射中心波長を測定したところ、どちらの偏光板も800nmであり、赤外線を反射していた。
実施例3、比較例3の旋光層の旋光角は、10度であった。したがって、実施例3においては、偏光子の吸収軸と光透過性フィルムの進相軸とのなす角度が0度であるので、光透過性フィルムの進相軸方向と、旋光層によって旋回された直線偏光の偏光軸とのなす角度は80度であった。また、比較例3においては、偏光子の吸収軸と光透過性フィルムの進相軸とのなす角度が90度であるので、光透過性フィルムの進相軸方向と、旋光層によって旋回された直線偏光の偏光軸とのなす角度は10度であった。
実施例3、比較例3にかかる偏光板において、偏光サングラス越しの視認性を評価したところ、どちらの偏光板も視認性が良好であった。
実施例3、比較例3にかかる偏光板の反射率を評価したところ、それぞれ、5.0%、6.4%であり、実施例3にかかる偏光板が、反射防止性能に優れていた。また、実施例3、比較例3を用いた液晶モニターの明所コントラストを目視により評価したところ、実施例3の偏光板を用いた液晶モニターは、比較例3の偏光板を用いた液晶モニターよりも明所コントラストに優れていた。
<実施例4、比較例4>
実施例4においては、実施例1で用いたシクロヘキサノン溶液を用いて、同様の方法にて旋光層を作製した。次に、旋光層を作製した側とは、反対の面に、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)を、MIBK溶媒に30質量%溶解させ、光重合開始剤(Irg184、BASF社製)を固形分に対して5質量%添加したハードコート層用組成物を、バーコーターにより、乾燥後の膜厚が5μmとなるように塗布し、塗膜を形成した。塗膜を形成した後、この塗膜を70℃で1分間加熱して、溶剤を除去し、塗工面に紫外線を照射することにより、硬化させ、光透過性フィルム上に屈折率1.53のハードコート層を形成した以外は、実施例1と同様の方法にて、偏光板を作製した。
比較例4においては、実施例1で用いたシクロヘキサノン溶液を用いて、同様の方法にて旋光層を作製した。次に、旋光層を作製した側とは、反対の面に、実施例4で用いたハードコート層用組成物を用いて、実施例4と同様の方法にて、ハードコート層を形成した。偏光子の吸収軸と、光透過性フィルムの進相軸とのなす角度が90度となるようにした以外は、実施例1と同様の方法にて、偏光板を作製した。
実施例4、比較例4にかかる偏光板の選択反射中心波長を測定したところ、どちらの偏光板も800nmであり、赤外線を反射していた。
実施例4、比較例4の旋光層の旋光角は、35度であった。したがって、実施例4においては、偏光子の吸収軸と光透過性フィルムの進相軸とのなす角度が0度であるので、光透過性フィルムの進相軸方向と、旋光層によって旋回された直線偏光の偏光軸とのなす角度は55度であった。また、比較例4においては、偏光子の吸収軸と光透過性フィルムの進相軸とのなす角度が90度であるので、光透過性フィルムの進相軸方向と、旋光層によって旋回された直線偏光の偏光軸とのなす角度は35度であった。
実施例4、比較例4にかかる偏光板において、偏光サングラス越しの視認性を評価したところ、どちらの偏光板も視認性が良好であった。
実施例4、比較例4にかかる偏光板の反射率を評価したところ、それぞれ、4.3%、4.8%であり、実施例4にかかる偏光板が、反射防止性能に優れていた。また、実施例4、比較例4を用いた液晶モニターの明所コントラストを目視により評価したところ、実施例4の偏光板を用いた液晶モニターは、比較例4の偏光板を用いた液晶モニターよりも明所コントラストに優れていた。
<比較例5>
比較例5においては、実施例1で用いたシクロヘキサノン溶液を用い、光透過性基材として、実施例1で作製した未延伸フィルムを用いた以外は、実施例1と同様の方法にて、偏光板を作製した。
比較例5にかかる偏光板の選択反射中心波長を測定したところ、800nmであり、赤外線を反射していた。
比較例5の旋光層の旋光角は、35度であった。
比較例5にかかる偏光板の視認性を評価したところ、偏光サングラスの吸収軸と偏光子の吸収軸とのなす角度が90°(クロスニコル)となっていても視認できるが、ある角度で表示画像が視認できず、視認性が良好ではなかった。
比較例5にかかる偏光板の反射率を評価したところ、5.5%であり、実施例1にかかる偏光板よりも反射防止性能に劣っていた。また、実施例1、比較例5を用いた液晶モニターの明所コントラストを目視により評価したところ、比較例5の偏光板を用いた液晶モニターは、実施例1の偏光板を用いた液晶モニターよりも明所コントラストに劣っていた。
<比較例6>
比較例6においては、実施例1で用いたシクロヘキサノン溶液を用い、偏光子の吸収軸と、光透過性フィルムの進相軸とのなす角度が45度となるようにした以外は、実施例1と同様の方法にて、偏光板を作製した。
比較例6にかかる偏光板の選択反射中心波長を測定したところ、800nmであり、赤外線を反射していた。
比較例6の旋光層の旋光角は、35度であった。したがって、比較例6においては、偏光子の吸収軸と光透過性フィルムの進相軸とのなす角度が45度であるので、光透過性フィルムの進相軸方向と、旋光層によって旋回された直線偏光の偏光軸とのなす角度は10度であった。
比較例6にかかる偏光板の視認性を評価したところ、視認性が良好であった。
比較例6にかかる偏光板の反射率を評価したところ、5.7%であり、実施例1にかかる偏光板よりも反射防止性能に劣っていた。また、実施例1、比較例6を用いた液晶モニターの明所コントラストを目視により評価したところ、比較例6の偏光板を用いた液晶モニターは、実施例1の偏光板を用いた液晶モニターよりも明所コントラストに劣っていた。