JP6038800B2 - 光学活性アルコールの製造方法 - Google Patents
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Description
光学活性アルコールの製造方法には種々のものがあるが、最も効率的な方法は非対称ケトンの触媒的不斉還元反応を用いる方法である。このため、数多くのケトンの不斉還元触媒が開発されてきているが、とりわけ野依らの発明によるRuCl(Tsdpen)(p−cymene)に代表される光学活性ジアミン配位子を有する不斉ルテニウム錯体(例えば特許文献1参照)を用いる水素移動型不斉還元反応は非常に高い不斉収率を与える上に、2−プロパノールや蟻酸といった有機化合物を水素源に利用できるために還元剤として高圧水素ガスを用いる場合のような特殊設備が不要であるなどで工業的に最も有利な方法である。
[1] キラルなプロリンアミド類化合物を配位子とするイリジウム(III)錯体の存在下にケトンを還元することを特徴とする光学活性アルコールの製造方法。
[2] ケトンが式[I]:
R1およびR2が適宜の位置で連結して環を形成していてもよく、
該環にはさらに同一または異なって1個若しくは2個以上の酸素、置換されていてもよい窒素、または硫黄を含んでいてもよい。)
で示される化合物である[1]に記載の製造方法。
[4] 光学活性アルコールが式[II]:
で示される化合物である[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[7] キラルなプロリンアミド類化合物が、(R)−N−(6−キノリニル)−2−ピロリジンカルボキサミドまたは(S)−N−(6−キノリニル)−2−ピロリジンカルボキサミドである[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8] キラルなプロリンアミド類化合物が、(R)−N−(2−メトキシ−3−ジベンゾフラニル)−2−ピロリジンカルボキサミドまたは(S)−N−(2−メトキシ−3−ジベンゾフラニル)−2−ピロリジンカルボキサミドである[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[9] キラルなプロリンアミド類化合物が、(R)−2−ピロリジンカルボキサミドまたは(S)−2−ピロリジンカルボキサミドである[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[11] キラルなプロリンアミド類化合物を配位子とするイリジウム(III)錯体が、(R)または(S)−クロロ〔(1,2,3,4,5−η)−ペンタメチル−2,4−シクロペンタジエン−1−イル〕(2−ピロリジンカルボキサミダト−κN1,κN2)イリジウム(III)触媒のいずれかである[1]〜[5]および[9]のいずれかに記載の製造方法。
[12] キラルなプロリンアミド類化合物を配位子とするイリジウム(III)錯体が結晶性である[1]〜[11]のいずれかに記載の製造方法。
[13] 還元がケトンと水素供与性化合物の反応により行われる[1]〜[12]のいずれかに記載の製造方法。
[14] 水素供与性化合物が蟻酸または蟻酸塩である[13]に記載の製造方法。
さらに詳説すれば、通常、不斉反応の触媒として用いる配位子は、複雑な構造をした金属錯体であり、非常に高価であるという問題がある。しかし、本発明に用いる配位子は単純な構造を有するキラルなプロリンアミド類化合物である。とりわけ(R)および(S)−プロリンアミドは分子量が低く工業的に容易に製造可能なため、安価な化合物であり、本発明は産業上非常に利用価値の高い製造方法である。
本発明の製造方法は、例えば下記に示す化学反応式に従って行うことができる。
本発明の製造方法において出発原料に用いられるケトンは、分子内にケトン基を有する化合物であれば特に制限されず、目的とする光学活性アルコールに対して適宜選ぶことができる。
R1およびR2が適宜の位置で連結して環を形成していてもよく、
該環にはさらに同一または異なって1個若しくは2個以上の酸素、置換されていてもよい窒素、または硫黄を含んでいてもよく、置換されていてもよい脂肪環若しくは複素環と、置換されていてもよい芳香環若しくは複素芳香環との縮合環であってもよい)
で示される化合物が好ましい。
前記の直鎖若しくは分岐状のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、ヘテロアリールアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基における置換基の数は、例えば1〜4とすることができる。
該環は、単環構造でも多環構造でもよい。該環が多環構造の場合、2または3以上の単環からなる多環または縮合環であってもよい。該環が多環構造の場合、2以上の脂肪環若しくは複素環からなる多環または縮合環であってもよく、脂肪環若しくは複素環および芳香環若しくは複素芳香環からなる多環または縮合環であってもよい。
該環は、さらに同一または異なって1個若しくは2個以上の酸素、置換されていてもよい窒素、または硫黄を含んでいてもよい。ここで、前記窒素の置換基としては、例えば前記の直鎖若しくは分岐状のアルキル基において例示した置換基と同じものが挙げられる。
置換されていてもよい脂肪環における“脂肪環”としては、例えば4〜10員の脂肪環が挙げられ、具体的にはシクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカンなどが挙げられる。
置換されていてもよい複素環における“複素環”としては、例えば4〜10員の複素環が挙げられ、具体的にはピロリジン、ピペリジン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
置換されていてもよい複素芳香環における“複素芳香環”としては、例えば5〜12員の芳香環が挙げられ、具体的にはフラン、ピロール、チオフェン、オキサゾール、イミダゾール、チアゾ−ル、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジンなどが挙げられる。
置換されていてもよい脂肪環若しくは複素環、置換されていてもよい芳香環または複素芳香環における置換基としては、例えば前記の直鎖若しくは分岐状のアルキル基において例示した置換基と同じものが挙げられる。また、置換されていてもよい脂肪環若しくは複素環、置換されていてもよい芳香環または複素芳香環における置換基の数は、例えば1〜4個であればよく、1〜2個であることが好ましい
前記縮合環である化合物において、カルボニル基以外の置換基としては、例えば前記の直鎖若しくは分岐状のアルキル基において例示した置換基と同じものが挙げられる。
前記縮合環を構成する環である、環内に同一若しくは異なって1個若しくは2個以上の酸素、置換されていてもよい窒素、または硫黄を含んでいてもよい4〜10員の脂肪環としては、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロヘキセン、ピロリジン、ピペリジン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
前記縮合環を構成する環である、環内に同一若しくは異なって1個若しくは2個以上の酸素、置換されていてもよい窒素、または硫黄を含んでいてもよい5〜12員の芳香環若しくは複素芳香環としては、ベンゼン、ナフタレン、フラン、ピロール、チオフェン、オキサゾール、イミダゾール、チアゾ−ル、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジンなどが挙げられる。 前記窒素の置換基としては、例えば前記の直鎖若しくは分岐状のアルキル基において例示した置換基と同じものが挙げられる。
前記縮合環を構成する環である4〜10員の脂肪環若しくは芳香環及び5〜12員の芳香環若しくは複素芳香環の置換基としては、例えば前記の直鎖若しくは分岐状のアルキル基において例示した置換基と同じものが挙げられる。
本発明の製造方法において、還元はケトンと水素供与性化合物の反応により行われる。本発明に用いる水素供与性化合物としては特に限定されず、例えば蟻酸、2−プロパノールなどの還元性化合物;、例えば蟻酸ナトリウム、蟻酸カリウム、蟻酸アンモニウムなどの前記還元性化合物の塩が挙げられる。高い不斉収率を得るためには終始、酸性条件下で反応が行えるため、蟻酸若しくは蟻酸塩又はこれらの混合物が好ましい。蟻酸ナトリウム、蟻酸カリウムまたは蟻酸アンモニウムを単独で使用する場合には液性が塩基性を示すためにイリジウム(III)錯体の配位子であるキラルなプロリンアミド類化合物の塩基触媒によるラセミ化が懸念され、その結果として不斉収率の低下を引き起こす可能性がある。従って蟻酸ナトリウム、蟻酸カリウムまたは蟻酸アンモニウムなどを水媒体中で水素供与性化合物として用いる場合には、例えば酢酸ナトリウム/酢酸などで酸性に調製された緩衝溶液の共存下で反応を行うのが好ましい。
水素供与性化合物の使用量は、通常化合物[I]1モルに対し約1モル〜約40モル、好ましくは約2モル〜約20モルである。
塩基の使用量は、原料のイリジウム(III)化合物がダイマーである場合、該ダイマー1モルに対して通常約2〜3モル、好ましくは約2〜2.2モルである。
本発明の製造方法に用いる溶媒としては、例えばアセトニトリル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジクロロメタン、またはメタノール、エタノール、2−プロパノール、エチレングリコールなどのアルコール類やこれらの含水溶媒などが挙げられる。溶媒の使用量は、ケトン1kgに対し、通常約2L〜約200L、好ましくは約5L〜約100Lである。
本発明の製造方法における還元反応は、化合物[I]の溶液にキラルなプロリンアミド類化合物を配位子とするイリジウム(III)錯体を添加、溶解させた後に、水素供与性化合物を添加、反応させることにより好適に実施できる。
本反応の製造方法において、反応温度は、通常−70℃以上であり、好ましくは約−30℃〜約40℃である。
反応後は、公知の抽出、濃縮、ろ過、洗浄などの処理を行うことにより、目的とする光学活性アルコールを得ることができる。必要に応じて、結晶化や再結晶、蒸留、カラムクロマトグラフィーなどの精製操作を加えることでより純粋な光学活性アルコールに導くことができる。
本発明の製造方法による生成物である光学活性アルコールは、ヒドロキシル基を有し、原料であるケトンに対応する構造を有するものであれば特に制限されない。
で示される化合物であることが好ましい。
R1、R2の定義および例示は、式[I]で述べたものと同じものが挙げられる。
本発明の製造方法により製造された光学活性アルコールは、医薬品、農薬、液晶材料、ファインケミカルなどの合成原料として用いることができる。
本発明に用いる触媒は、キラルなプロリンアミド類化合物を配位子とするイリジウム(III)錯体であれば特に限定されない。
(イリジウム(III)化合物)
イリジウム(III)化合物としては、例えばペンタメチルシクロペンタジエニルイリジウム(III)クロリドダイマー、アセチルアセトナトイリジウム(III)、トリス(ノルボルナジエン)(アセチルアセトナト)イリジウム(III)などが挙げられ、とりわけペンタメチルシクロペンタジエニルイリジウム(III)クロリドダイマーが好ましい。
キラルなプロリンアミド類化合物としては、式[III]:
で示される化合物が挙げられる。
式[III]で表されるプロリンアミド類化合物としては、プロリンアミドの他、N−置換アミド、例えばN−アルキルアミド、N−シクロアルキルアミド、N−アリールアミド、N−ヘテロアリールアミド、N−アラルキルアミド、N−ヘテロアリールアルキルアミドなどが挙げられる。これらはR3置換基の例示であるが、置換基はさらに置換基(以下、置換分ということもある。)を有していてもよい。
N−アルキルアミドにおける“アルキル基”、“ヘテロアリール基”、“アラルキル基”および“ヘテロアリールアルキル基”の置換基としては、前記した置換基(A)と同様のものが挙げられる。
触媒の調製に用いる塩基としては弱塩基が好ましく、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、N−メチルモルホリンなどの第3級アミン類、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの炭酸水素アルカリ金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸アルカリ土類金属塩などがより好ましく、トリエチルアミンが特に好ましい。水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物やナトリウムメトキシドなどの強塩基を触媒の調製に用いることは、調製したプロリンアミド錯体が速やかにエピ化し光学純度が低下するために好ましくない。
塩基の使用量は、原料のイリジウム(III)化合物がダイマーである場合、該ダイマー1モルに対して通常約2〜3モル、好ましくは約2〜2.2モルである。
触媒の調製に用いる溶媒としては有機溶媒が好ましい。有機溶媒としては、例えば脂肪族炭化水素類(例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(例えばベンゼン、トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素類(例えばジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、o−ジクロロベンゼンなど)、アルコール類(例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、t−アミルアルコールなど)、エーテル類(例えばジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジグリム、tert−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、エチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなど)、アミド類(例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなど)、スルホキシド類(例えばジメチルスルホキシドなど)、ニトリル類(例えばアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなど)、ケトン類(例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、エステル化合物(例えば酢酸メチル、酢酸エチルなど)などが挙げられる。水とよく混和するアルコール類、エーテル類、アミド類、スルホキシド類、ニトリル類、ケトン類、エステル類を用いる場合には50%程度までの水を含ませてもよい。中でもメタノール、水含有メタノール、エタノール、水含有エタノール、塩化メチレン、酢酸エチルまたはアセトニトリルがより好ましい。
本発明に用いる触媒であるキラルなプロリンアミド類化合物を配位子とするイリジウム(III)錯体は、キラルなプロリンアミド類化合物を溶媒に溶解し、イリジウム(III)化合物および塩基(例えばトリエチルアミンなど)を添加し、好ましくは室温で通常10分〜20時間攪拌することにより調製することができる。
本発明の製造方法に用いる触媒としては、キラルなプロリンアミド類化合物を配位子とするイリジウム(III)錯体は、キラルなプロリンアミド類と3価イリジウム(III)化合物から形成される錯体であればよい。
本発明の製造方法に用いる触媒としては、式[III]:
で示されるキラルなプロリンアミド類と3価のイリジウム化合物から形成される錯体が好ましい。この化合物を、以下イリジウム(III)錯体ともいう。
精製単離の方法としては、生成したイリジウム(III)錯体を溶液から濃縮等で一旦単離した後に公知の再結晶法や再沈殿法で精製する方法や、はじめから精製効率の高い溶媒のもとで錯体形成を行い、精製過程を経て析出してくる主生成物を濾過、洗浄、乾燥させる方法などを用いることができ、これらの方法により化学的かつ光学的に純粋な結晶性イリジウム(III)錯体を容易に得ることができる。
精製単離された結晶性のイリジウム(III)錯体は安定性が高く、化学純度および光学純度が長期間にわたって一定であり、室温で長期保存が可能である。この錯体を触媒として不斉還元反応に用いれば、高い化学収率および不斉収率で還元生成物が得られる。
核磁気共鳴スペクトル(NMR)は、Gemini−200(Varian製)により計測した。内部標準物質としてTMS(Tetramethylsilane)を用い、測定溶媒としてCDCl3またはCD3ODを用いて、室温下で計測した。測定値はすべてδ(ppm)で示した。
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、LC10A(島津製作所製)により計測した。HPLCにおける保持時間の差から、光学純度を決定した。
比旋光度は、P−1020(JASCO製)により計測した。
反応に用いた溶媒および試薬は特記ない限り、市販品を使用した。
7−メトキシ−β−テトラロン 529mgをメタノール30mlに溶解し、(S)−クロロ〔(1,2,3,4,5−η)−ペンタメチル−2,4−シクロペンタジエン−1−イル〕(2−ピロリジンカルボキサミダト−κN1,κN2)イリジウム(III)57mgを加えた。溶液を−10℃に冷却し、蟻酸/トリエチルアミン(モル比5/2)混合溶液7.5mlを滴下した。同温で2日間攪拌を続けると反応は終了した。反応液を減圧濃縮し、塩化メチレンで抽出した。抽出物に炭酸ナトリウム水溶液を加えて塩基性とした後に分液し有機層を水洗、濃縮したところ、480mgの7−メトキシ−2−テトラロールが油状物として得られた。
光学活性カラム展開溶媒:(CHIRALPAC AD−H;ダイセル化学工業(株)、展開溶媒:n−ヘキサン/2−プロパノール=95/5)を用いて分析したところ、このものは、(R)−7−メトキシ−2−テトラロールであり、目的物(R体)の光学純度は92.0%eeであった。
比旋光度:[α]D 20 +45.6(C=1.24、CHCl3)
1H-NMR (200 MHz, CDCl3): δ1.70-1.89 (1H, m, one of 3-H2), 1.85 (1H, s, OH), 1.96-2.11 (1H, m, one of 3-H2), 2.66-3.11 (4H, m, 1-H2 and 4-H2), 3.77 (3H, s, OMe), 4.07-4.20 (1H, m, 2-H), 6.61 (1H, d, J = 2.7 Hz, ArH), 6.70 (1H, dd, J = 8.4, 2.7 Hz, ArH), 7.00 (1H, d, J = 8.4 Hz, ArH).
13C-NMR (50.3 MHz, CDCl3): δ26.1 (CH2), 31.7 (CH2), 38.6 (CH2), 55.2 (OMe), 67.2 (2-C), 112.4 (ArCH), 114.0 (ArCH), 127.7 (quaternary ArC), 129.4 (ArCH), 135.4 (quaternary ArC), 157.7 (quaternary ArC).
β−テトラロン 292mgをメタノール2mlに溶解し、(S)−クロロ〔(1,2,3,4,5−η)−ペンタメチル−2,4−シクロペンタジエン−1−イル〕(2−ピロリジンカルボキサミダト−κN1,κN2)イリジウム(III)38mgを加えた。溶液を−10℃に冷却し、蟻酸/トリエチルアミン(モル比5/2)混合溶液5.0mlを滴下した。同温で2日間攪拌を続けると反応は終了した。反応液を減圧濃縮し、塩化メチレンで抽出した。抽出物に炭酸ナトリウム水溶液を加えて塩基性とした後に分液し有機層を水洗、濃縮したところ、268mgの2−テトラロールが油状物として得られた。
このものを光学活性カラム(CHIRALPAC AD−H;ダイセル化学工業(株)、展開溶媒:n−ヘキサン/2−プロパノール=50/1)を用いて分析したところ(R)−2−テトラロールであり、目的物(R体)の光学純度は89.6%eeであった。
比旋光度:[α]D 20 +57.6(C=1.07、CHCl3)
1H-NMR (200 MHz, CDCl3): δ1.71-1.90 (1H, m, one of 3-H2), 1.85 (1H, s, OH), 1.97-2.12 (1H, m, one of 3-H2), 2.68-3.14 (4H, m, 1-H2 and 4-H2), 4.08-4.21 (1H, m, 2-H), 7.05-7.15 (4H, m, ArH).
13C-NMR (50.3 MHz, CDCl3): δ26.9 (CH2), 31.4 (CH2), 38.4 (CH2), 67.2 (2-C), 125.8 (ArCH), 125.9 (ArCH), 128.6 (ArCH), 129.5 (ArCH), 134.2 (quaternary ArC), 135.6 (quaternary ArC).
7−メトキシ−α−テトラロン 352mgをメタノール20mlに溶解し、(S)−クロロ〔(1,2,3,4,5−η)−ペンタメチル−2,4−シクロペンタジエン−1−イル〕(2−ピロリジンカルボキサミダト−κN1,κN2)イリジウム(III)38mgを加えた。溶液を−10℃に冷却し、蟻酸/トリエチルアミン(モル比5/2)混合溶液5.0mlを滴下した。同温で2日間攪拌を続けると反応は終了した。反応液を減圧濃縮し塩化メチレンで抽出した。抽出物に炭酸ナトリウム水溶液を加えて塩基性とした後に分液し有機層を水洗、濃縮したところ、334mgの7−メトキシ−α−テトラロールが油状物として得られた。
このものを光学活性カラム(CHIRALPAC AD−H;ダイセル化学工業(株)、展開溶媒:n−ヘキサン/2−プロパノール=50/1)を用いて分析したところ、(R)−7−メトキシ−α−テトラロールであり、目的物(R体)の光学純度は98.1%eeであった。
比旋光度:[α]D 20 ―46.8(C=1.33、CHCl3)
1H-NMR (200 MHz, CDCl3): δ1.68-2.04 (4H, m, 2-H2 and 3-H2), 1.84 (1H, s, OH), 2.56-2.83 (2H, m, 4-H2), 3.79 (3H, s, OMe), 4.72 (1H, dd, J = 5.5, 4.6 Hz, 1-H), 6.77 (1H, dd, J = 8.2, 2.7 Hz, ArH), 6.98 (1H, d, J = 2.7 Hz, ArH), 7.01 (1H, d, J = 8.2 Hz, ArH).
13C-NMR (50.3 MHz, CDCl3): δ19.2 (CH2), 28.4 (CH2), 32.4 (CH2), 55.3 (OMe), 68.4 (1-C), 112.6 (ArCH), 114.3 (ArCH), 129.1 (quaternary ArC), 129.9 (ArCH), 139.8 (quaternary ArC), 157.9 (quaternary ArC).
4−クロマノン 296mgをメタノール40mlに溶解し(S)−クロロ〔(1,2,3,4,5−η)−ペンタメチル−2,4−シクロペンタジエン−1−イル〕(2−ピロリジンカルボキサミダト−κN1,κN2)イリジウム(III)38mgを加えた後にー20℃に冷却し蟻酸/トリエチルアミン(モル比5/2)混合溶液4.0mlを滴下し同温で2日間攪拌を続けると反応は終了する。反応液を減圧濃縮し塩化メチレンで抽出し炭酸ナトリウム水溶液を加えて塩基性とした後に分液し有機層を水洗、濃縮して得られる油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると260mgの無色結晶が得られた。
このものを光学活性カラム(CHIRALPAC IB;ダイセル化学工業(株)、n−ヘキサン/2−プロパノール=95/5)を用いて分析したところ光学純度は99.0%eeであった。このものは(R)−4−クロマノールである。
(結果)
比旋光度:[α]20 D 72.7(C=0.5、EtOH)
1H-NMR (200 MHz, CDCl3): δ1.93-2.19 (3H, m, 3-H2 and OH), 4.19-4.33 (2H, m, 2-H2), 4.75 (1H, br t, J = 3.9 Hz, 4-H), 6.83 (1H, dd, J = 8.2, 1.3 Hz, 8-H), 6.91 (1H, td, J = 7.5, 1.3 Hz, 6-H), 7.20 (1H, ddd, J = 8.2, 7.5, 1.6 Hz, 7-H), 7.30 (1H, dd, J = 7.5, 1.6 Hz, 5-H).
13C-NMR (50.3 MHz, CDCl3): δ30.8 (3-C), 61.9 (2-C), 63.2 (4-C), 117.1 (ArCH), 120.6 (ArCH), 124.3 (quaternary ArC), 129.6 (overlapped, 2 x ArCH), 154.6 (quaternary ArC).
2−ベンジリデンシクロヘキサノン 373mgをメタノール40mlに溶解し(S)−クロロ〔(1,2,3,4,5−η)−ペンタメチル−2,4−シクロペンタジエン−1−イル〕(2−ピロリジンカルボキサミダト−κN1,κN2)イリジウム(III)38mgを加えた後にー20℃に冷却し蟻酸/トリエチルアミン(モル比5/2)混合溶液4.0mlを滴下し同温で2日間攪拌を続けると反応は終了する。反応液を減圧濃縮し塩化メチレンで抽出し炭酸ナトリウム水溶液を加えて塩基性とした後に分液し有機層を水洗、濃縮して得られる油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると273mgの無色結晶が得られた。
このものを光学活性カラム(CHIRALPAC IB;ダイセル化学工業(株)、n−ヘキサン/2−プロパノール=95/5)を用いて分析したところ光学純度は85.3%eeであった。このものは(E)―(1S)―2−ベンジリデンシクロヘキサノールである。
(結果)
比旋光度:[α]20 D−33.0(C=0.5、CHCl3)
1H-NMR (200 MHz, CDCl3): δ1.38-1.71 (4H, m, 2 x CH2), 1.77-2.19 (4H, m, 3H of 2 x CH2 and OH), 2.65-2.79 (1H, m, one of CH2), 4.23 (1H, ddd, J = 8.1, 4.0, 1.3 Hz, 1-H), 6.52 (1H, br s, benzylic H), 7.16-7.25 (3H, m, ArH) , 7.27-7.39 (2H, m, ArH).
13C-NMR (50.3 MHz, CDCl3): δ23.2 (CH2), 27.0 (CH2), 27.3 (CH2), 36.5 (CH2), 73.7 (1-C), 120.8 (ArCH), 126.2 (ArCH), 128.1 (ArCH), 128.9 (ArCH), 137.7 (quaternary ArC), 144.3 (quaternary ArC).
Claims (6)
- ケトンが式[I]:
[化2]
(式中、R1およびR2は、互いに異なり、一方が置換されていてもよいベンジル基であり、他方が、置換されていてもよい直鎖若しくは分岐状のアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいアルキニル基を示し、
R1およびR2が適宜の位置で連結して環を形成していてもよく、
該環にはさらに同一または異なって1個若しくは2個以上の酸素、置換されていてもよい窒素、または硫黄を含んでいてもよい。)
で示される化合物である請求項1に記載の製造方法。 - キラルなプロリンアミド類化合物が、(R)−2−ピロリジンカルボキサミドまたは(S)−2−ピロリジンカルボキサミドである請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- キラルなプロリンアミド類化合物を配位子とするイリジウム(III)錯体が、(R)または(S)−クロロ〔(1,2,3,4,5−η)−ペンタメチル−2,4−シクロペンタジエン−1−イル〕(2−ピロリジンカルボキサミダト−κN1,κN2)イリジウム(III)触媒のいずれかである請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
- キラルなプロリンアミド類化合物を配位子とするイリジウム(III)錯体が結晶性である請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
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