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JP6015723B2 - 低騒音変圧器鉄心用方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

低騒音変圧器鉄心用方向性電磁鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、変圧器鉄心などの用途に供される方向性電磁鋼板であって、磁区細分化処理が施されて鉄損に優れると共に、磁歪が小さくかつコイル内でのばらつきが小さいため、変圧器に組んだときの騒音が低くなる低騒音変圧器鉄心用方向性電磁鋼板とその製造方法に関するものである。
変圧器使用における主要課題は、1.エネルギ使用効率改善、2.ノイズ低減である。ここで、変圧器で生じるエネルギ損失としては、主に導線に生じる銅損と、鉄心に生じる鉄損とがある。このうち、鉄損は、方向性電磁鋼板の結晶方位先鋭化や被膜張力増大などによって大きく改善されてきた。例えば、特許文献1には、最終冷延前の焼鈍条件を適正化することによって、磁束密度と鉄損に優れた方向性電磁鋼板を製造する方法が示されている。
さらに、近年においては、最終焼鈍後に、プラズマ炎やレーザ等を照射することによって、鉄損を劇的に改善する技術が確立されている。
例えば、特許文献2には、2次再結晶後の鋼板に対してプラズマアークを照射することにより、照射前には0.80W/kg以上あった鉄損W17/50を、0.65W/kg以下に低減する技術が示されている。また、特許文献3には、電子ビーム照射によって鋼板面に形成された磁区不連続部の平均幅と、被膜厚とを適正化することによって、鉄損が低く、騒音が小さいトランス用素材を得る技術が示されている。
ここで、変圧器の騒音には、鉄心の磁歪、接合部の電磁振動および筐体の共振が影響するとされている(非特許文献1および特許文献4参照)。このうち磁歪は、方向性電磁鋼板の磁区構造を由来としており、ランセット磁区と呼ばれる励磁方向以外の方向を向いた磁区(補助磁区の一種)が励磁方向の磁歪原因とされていて、磁歪低減のためには、被膜張力増大によって補助磁区を可能な限り低減する方法が有効であると言われている。
また、ランセット磁区のような補助磁区は、レーザなどで熱歪みを導入した部分にも存在する(以下、還流磁区という)ことが知られている。興味深いことに、両者の励磁における磁化挙動は異なっていて、ランセット磁区は励磁に伴って増大する一方で、還流磁区は消失する傾向にある。従って、両者のバランスをとることで、磁歪を極限まで低減することが可能であると言われている(非特許文献2参照)。
なお、レーザ照射した方向性電磁鋼板の低磁歪材およびその製造方法については、例えば、特許文献5や特許文献6などに示されている。
特開2012−1741号公報 特開2011−246782号公報 特開2012−52230号公報 特許第4840535号公報 特許第4216488号公報 特開2002−69594号公報 特開平4−264345号公報 特開平2−118022号公報 特開平5−43944号公報 特公平6−21358号公報
川崎製鉄技報Vol.29, No.3, p.164 日本応用磁気学会誌Vol.25、No.12, p.1618
レーザや電子ビーム(以下、単にビームともいう)による局所的な歪みは、圧延方向を横切る方向(以下、幅方向ともいう)に対して、圧延方向に周期的に繰返し施すことで、磁歪を大きく変えることができるが、幅方向においては同一の品質が得られにくいという問題があった。特に、近年要求されている生産性向上の観点から、1000mmを超える幅の鋼板を、できるだけ少ない発振器や電子銃で処理しようとした場合には、レーザや電子ビームの照射幅が増大して、鋼板幅方向の品質の同一性保持はいっそう困難になる。
ここで、電子ビーム照射の場合は、電子ビームを偏向すればするほど電子ビーム径が増大し、偏向照射中心部と異なるビーム性状となってしまう。また、レーザ照射の場合は、偏向幅位置に応じて焦点距離を調整したレンズを設置することによって、ある程度の均一な歪み導入部が得られるものの、電子ビーム照射の場合と同様に、図1に示すように、偏向の端部では鋼板に対し斜めにビームを入射するため、ビーム形状が多少歪む現象が生じる。また、レーザ照射の場合には、鋼板の反射率が変わることによる変動も無視できない。
このような、コイルの位置によってビーム性状が異なる条件でコイルを作製し、鉄心として変圧器に使用した場合に、変圧器騒音が増大するものと発明者らは考えている。というのは、不均一なビーム性状が、コイル内部での磁歪ばらつきを生じ、この磁歪ばらつきが以下のメカニズムによって騒音に悪影響をおよぼすと推定しているからである。
すなわち、図2の左下吹き出しに示したように、鉄心中に磁歪が異なる方向性電磁鋼板が積層されている場合、積層された鋼板の励磁に伴う変位量の違いによって、鋼板の間に摩擦が発生し、騒音が発生するからである。従って、コイル平均の磁歪が如何に小さくても、そのばらつきが大きい場合には低騒音化することができない。これに対して、図2の右下吹き出しに示したように、鋼板同士の磁歪ばらつきが小さければ、積層された鋼板は同じように変形するので、摩擦は生じず、騒音もほとんど発生しないと考えられる。
また、コイルの位置によって異なるビーム性状は、磁歪だけでなく、鉄損のばらつき原因ともなり得るが、磁歪の方がより敏感にビーム性状の影響を受けることが明らかとなった。図3に、鉄損W17/50と磁歪λppにおよぼすビームエネルギ密度の影響を示す。ビームエネルギ密度は、ビーム出力/ビーム径とし、ビーム性状に対応するようにした。同図から、ビーム径が変化したときの鉄損変化率は、ビーム径が変化したときの磁歪の変化率に比較して十分小さいことが明らかとなった。
電子ビーム照射において、偏向端部のビーム形状変化を抑制する方法としては、例えばスティングマトール(特許文献7参照)の導入、集束距離に応じたコイル電流調整(特許文献8、以下ダイナミックフォーカッシング技術)、デフォーカス照射する方法(特許文献9参照)、鋼板を湾曲矯正する方法(特許文献10参照)などが有効であることが知られている。
しかしながら、スティングマトール技術(特許文献7)は、ある1つの偏向状態において、ビーム形状を補正することができるものの、直線状に偏向走査させたすべての状態において補正できるものではなく、静的な使用に限定されている。
また、偏向照射幅が増大すると、ダイナミックフォーカッシング技術(特許文献8)を適用したとしても、全幅均一なビームを作ることは困難である。というのは、偏向照射幅が大きい場合、偏向中心と端部でビーム径差が大きくなるため、特に偏向走査速度が大きい場合には、偏向照射中の短時間に収束コイル電流を大幅に変化させる必要があるが、コイルの固有インピーダンスの影響などによって急激な電流変化は物理的に困難だからである。
さらに、特許文献9に示された方法は、ビームをデフォーカスするものであるため、ビーム径が変化して磁気特性が劣化するおそれがある。すなわち、ビーム径は、小さい方が鉄損低減に有利との従来知見がある。
また、鋼板を湾曲矯正するという特許文献10に示された方法は、鋼板に歪みや割れが発生するリスクが増大するばかりでなく、複雑な設備導入が必要になるため、現実的な方法ではない。
本発明は、上記した現状に鑑み開発されたもので、電子ビームによる磁区細分化処理が施された方向性電磁鋼板であって、鉄損に優れると共に、磁歪が小さくかつコイル内での磁歪ばらつきも小さいため、変圧器としたときの騒音を低くすることができる方向性電磁鋼板を、その製造方法と共に提案することを目的とする。
前掲した特許文献7〜10は、結局、偏向中心部と端部とで電子ビームの行路長が異なるために、フォーカスのされ方が異なるという考えに基づくものである。ここで偏向中心部と端部とでの電子ビームの行路差:Δは、以下の式で表される。
Δ=WD×[[1+(L/(2WD))2]0.5−1]
WD:偏向コイル中心から鋼板までの距離
L:1台の電子銃による鋼板上の幅方向偏向照射長さ
これに対して、発明者らは、電子ビームによる磁区細分化処理効果に及ぼす、ビーム偏向の影響について鋭意検討した。その結果、驚くべきことに、偏向端部で生じるビーム径増大は行路差:Δのみによって支配されるのではなく、偏向動作自体によってもたらされることを知見したのである。
それを傍証する実験結果を以下に示す。
図4に示すように、収束コイル中心から鋼板までのビーム行路長が一定になるようにRD:320mm、TD:60mmの方向性電磁鋼板をTD方向に6枚並べて設置し、ビーム照射後の鉄損を調べた。その調査結果を図5に示すが、図5の結果によれば、鉄損は、偏向中心部(幅方向位置:180mm)近傍で最も低い値となって、行路長(=550mm)は同じであっても偏向量が増大するほど劣化していた。
ここに、偏向によって、ビームが不均一になる詳細なメカニズムを定量的に記述することは困難であるが、非点収差などの偏向収差の影響があるものと考えられる。
上記結果に基づき、発明者らは、幅方向に均一なビームとするためには、偏向量(偏向角)を抑制することが重要であるとの考えに到った。幅が狭い特殊なコイルやシート状の試験片を処理する場合などには、必然的に偏向角が小さくなるが、例えば、1200mm幅程度の、より標準的な広幅コイルを処理する場合には、偏向角を小さくすると、鋼板上の走査長さが減少して、コイル全幅処理に必要な電子銃台数が多くなって電子銃1台当たりの生産性が低下してしまう。そこで、WDを増大することによって、鋼板上の処理長さを維持しつつ、偏向角を小さくできないか、について検討した。
物理的な制約があることから、電子銃の高さ、すなわちWDを増大させることは、いままであまり検討されてこなかった。加えて、発明者らの過去の実験によれば、WDを増大させると、鋼板上のビーム径が増大してしまうケースがあった。
さらに、発明者らは、ビーム径の増大が歪み部体積の増大につながり、鋼板の磁気特性を損なうとの従来知見を考慮しつつ、WDを増大した場合のビーム径縮小手法として、(1)加工室真空度の向上、(2)照射ビーム電流の低減、(3)加速電圧の増大、を想起し、これらについて検討した。
その結果、上記(1)の手法、すなわち、加工室真空度の向上については、加工室真空度を現行真空条件の最良値(0.02Pa)よりさらに向上させてみても、ビーム径の縮小効果は認められなかった。
また、上記(2)の手法、すなわち、照射ビーム電流の低減については、照射ビーム電流を減少させてビーム径の縮小を図ったものの、その効果は小さく、WDを増大させた場合には、やはりビーム径が大きくなることが分かった。
これに対して、上記(3)の手法、すなわち、加速電圧の増大については、偏向コイル磁場増大など、ビーム偏向に必要な外部エネルギが増大するため、大きい偏向角での照射に適用することは考えられてこなかったが、実際に行ってみたところ、著しいビーム径低減効果が認められた。
そこで、発明者らは、電子ビームの加速電圧を上げることによって、ビーム径増大を抑制しつつ、WDを増大することができるものと考え、さらに詳細な実験を行い、本発明を完成させた。
本発明は上記知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.圧延方向を横切る方向に対して局所的に歪みを導入するに当たり、該歪みを圧延方向に周期的に繰返して導入する方向性電磁鋼板の製造方法において、
上記歪みの圧延方向に対する繰返し間隔を30mm以下とし、
上記歪みの導入を、加速電圧:40〜300kVの電子ビームによるものとし、
電子銃直下における電子ビーム径:Dを、50μm≦D≦500μmの範囲とし、さらに、
1台の電子銃による鋼板上の幅方向偏向照射長さをL(mm)、偏向コイル中心から鋼板までの距離をWD(mm)としたとき、
WD>L/(2tanθ)、L≧150、
なお、θ=10 deg.とする
の関係を満たすものとする低騒音変圧器鉄心用方向性電磁鋼板の製造方法。
2.前記幅方向偏向照射長さ:L(mm)と、鋼板の全幅:T(mm)とが、
L≧T/4
の関係を満たし、さらに前記電子ビーム径:Dを、
50μm≦D≦300μmの範囲とする
前記1に記載の低騒音変圧器鉄心用方向性電磁鋼板の製造方法。
3.前記電子ビームの加速電圧:Va(kV)と、収束コイル中心から鋼板までの距離:WDa(mm)とが、
0.019×Va2+6.0×Va+215≧WDa
の関係を満たす前記1または2に記載の低騒音変圧器鉄心用方向性電磁鋼板の製造方法。
4.前記加速電圧:Va(kV)と前記収束コイル中心から鋼板までの距離:WDa(mm)とが、さらに、
0.022×Va2+3.6×Va+168≧WDa
の関係を満たす前記3に記載の低騒音変圧器鉄心用方向性電磁鋼板の製造方法。
5.前記電子ビーム照射の最大出力を、6(kW)以下とする前記1〜4の何れかに記載の低騒音変圧器鉄心用方向性電磁鋼板の製造方法。
6.前記歪みの圧延方向に対する繰返し間隔を、4mm以上とする前記1〜5の何れかに記載の低騒音変圧器鉄心用方向性電磁鋼板の製造方法。
本発明によれば、幅方向に均一なビームによって方向性電磁鋼板を加工することができるため、コイル全体で均一な磁気特性とすることができ、変圧器鉄心として使用した場合の騒音を抑制することができる。さらに、WDが大きく、1台の電子銃で処理可能な幅が広いために、より少ない電子銃台数で広幅コイルの製造が可能になり、製造コスト上も有利になる。
収束コイルを通した電子ビームの偏向の端部の様子を示した図である。 磁歪のばらつきが変圧器の騒音の大きな要因であることを説明した図である。 鉄損W17/50と磁歪λppに及ぼすビームエネルギ密度の影響を示す図である。 収束コイル中心から鋼板までのビーム行路長が一定になるように方向性電磁鋼板を並べたことを説明する図である。 図4に示した並びにおけるビーム照射後の鋼板の鉄損を調べた結果を示す図である。 ビーム照射後の鋼板の鉄損におよぼす偏向角の影響を調べた結果を示す図である。 鋼板に電子ビームを照射する要領を示す図である。 偏向中心位置におけるビーム径が300μm以下、さらに200μm以下となるワーキングディスタンス(WDa)におよぼす加速電圧の影響を示した図である。 λpp(B=1.7T)におよぼす線間隔の影響を示した図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明は、電子ビーム照射を行う方向性電磁鋼板について、コイル全幅における鉄損と鉄損ばらつき、さらには磁歪と磁歪ばらつきを低減するものである。
以下、本発明にかかる種々の条件の限定理由を述べる。
まず、電子ビームの発生条件としては、
加速電圧(Va):40〜300kV
同一加速電圧のもとでは、ビームの高速化に伴い、適正出力が増大し、低鉄損化に好ましくないビーム径増大が生じる。ビーム径増大の抑制には、高加速電圧化が最も有効である。ここに、Vaが40kV未満であると、ビーム径を絞ることが難しくなって鉄損低減効果が小さくなる一方で、Vaが300kV超であると、フィラメントなどの装置寿命が短くなるだけでなく、X線漏洩防止のために装置が過度に巨大化して、メンテナンス性・生産性が低下してしまう。
さらに加速電圧は、より高いほど物質を透過し、被膜での局所的なエネルギ集中を抑制することができるので、被膜の損傷を効果的に抑制するため、より好ましい範囲は、70〜200kVである。
電子銃直下(偏向角0deg.位置)におけるビーム径(D):50〜500μm
ビーム径(D)が50μm未満であると、そのために、WDを極度に低減するなどの処置を講じざるを得ず、その場合、1つの電子ビーム源によって偏向照射可能な距離が大幅に減少してしまう。その結果、1200mmほどの広幅コイルを照射するために、多数の電子銃が必要となって、メンテナンス性・生産性が低下してしまう。
一方、Dが500μmより大きいと、十分な鉄損低減効果や、磁性改善効果が得られない。というのも、鋼板のビーム照射面積(歪み導入部分の体積)が過度に増大して、ヒステリシス損および磁歪が劣化するためである。
よって、ビーム径は50〜500μmの範囲に限定する。望ましくは、300μm以下、さらに望ましくは200μm以下である。
なお、ここでいうビーム径は、スリット幅30μmのスリット法によって得られたビーム波形の半値幅とする。
WD>L/(2tanθ)、L≧150、θ=10 deg.
WDは小さいほど、ビームが絞りやすくなる利点がある一方で、鋼板上のビーム偏向量を増大するために偏向角を大きくすると、ビーム品質が劣化してしまう。
図6に、照射後の鉄損におよぼす偏向角の影響を示す。
ここで試料は、設定された偏向角によって走査された領域のうち、最外から60mmの領域を切出したものである。偏向角が10 deg.を超えると、鉄損が大幅に劣化することが認められた。図7に示すように、偏向角:θと偏向コイル中心から鋼板までの距離:WDおよび1台の電子銃による鋼板上の幅方向偏向照射長さ:Lを用いて、θ=tan-1(L/(2×WD))と表されるから、変形してWD=L/(2tanθ)>L/(2tan10(deg.))が導かれる。
また、照射長さLは150(mm)以上とする。150mmより小さい場合には、広いコイル幅の全幅を照射するのにより多くの電子銃が必要となり、メンテナンス性を著しく損なうからである。
電子銃台数:4台以下
電子銃台数が多いほど、電力消費や消耗品であるフィラメントの交換頻度、電子銃クリーニング時間が増大するため、生産性を著しく阻害する。したがって、電子銃台数は少ない方がよく、4台以下が望ましい。このとき、照射する領域の全幅がTであれば、L×4≧Tとなる。
WDa上限:0.019×Va2+6.0×Va+215(ビーム径が300μm以下の場合)
0.022×Va2+3.6×Va+168(ビーム径がさらに200μm以下の場合)
図8に、偏向中心位置におけるビーム径が300μm以下、さらに200μm以下となった場合のワーキングディスタンスにおよぼす加速電圧の影響を示す。ここで、ワーキングディスタンスは、図7に示すように、収束コイル中心から鋼板までの距離を指し、偏向コイルからの距離で示したWDと区別するため、WDaとする。各コイル間動作の干渉を防ぐため、WDaは、WDよりも一般的に30mm以上大きいのが一般的である。また、出力は2kW、加速電圧を変更した場合には、適宜ビーム径が小さくなるよう光学系の調整を実施した。その結果、加速電圧が高いほど、WDaが大きくても小さなビーム径が得られることが分かる。ビーム径は300μm以下、特に200μm以下において、良好な磁気特性が得られる。
電子ビーム照射装置の照射定格出力:W≦6kW
照射出力の増大には、フィラメント径拡大が必要であるが、一方でビーム径を増大してしまい、磁気特性上不利に働くため、定格出力は小さい方がよく、6kW以下とするのが好ましい。なお、照射定格出力の下限に特に限定はないが、0.2kW程度とすることが好ましい。
RD線間隔:30mm以下
電子ビームは、直線状に鋼板の幅端部から、もう一方の幅端部へ照射し、これを圧延方向に周期的に繰返して行う。この繰返し間隔(RD線間隔、本発明では単に線間隔ともいう)は、30mm以下とする。線間隔が広すぎると、いくら深さ方向に還流磁区を拡大しても、磁区細分化効果が乏しくなって鉄損が改善しないからである。
一方、線間隔が狭いと、鋼中に形成される歪領域が過度に大きくなって、鉄損(ヒステリシス損)と共に、磁気歪みも劣化する結果、生産性が低下するおそれがあるので、4mm以上とすることが好ましい。
さらに、低磁歪化するためには、線間隔は6mm以上とするのがより好ましい。前述のとおり、低磁歪化のためには、鋼板内のランセット磁区を相殺するだけの還流磁区を形成する必要があるからである。
なお、還流磁区量は、電子ビームの出力、ビーム径、速度、点列間距離および線間隔のいずれかによって調整することが可能であるが、これらの調整項目のうち、出力や、ビーム径、速度を変更すると、ビームを、幅方向に均一にするための収束電流条件も同時に変わってしまい、再調整に多くの時間を要する結果、生産性が低下することになる。また、点列間距離による調整は、ある程度の効果を有するものの、拡大しすぎると、磁区細分化効果が失われてしまう。
これに対して、線間隔は、収束条件を変えることなく数mmのオーダーで大きく変更することが可能である。図9に、λpp(B=1.7T,50Hz)におよぼす線間隔の影響を示す。サンプルは同一コイルから切り出し、図中、各点は30データの平均値である。このデータにおけるビームの単位走査長さあたりのエネルギは、18J/mである。このエネルギでは、線間隔:5mmにおいて鉄損が最小となり、λppは、6mm以上30mm以下において未照射材よりも低減されることが分かる。
線角度:60°から120°
本発明では、鋼板の幅端部からもう一方の幅端部への直線状照射において、始点から終点に向かう照射方向は、圧延方向を横切れば問題はないが、圧延方向から60°から120°の範囲の角度となる方向とするのが好ましい。望ましくは90°である。90°から大きくずれると、歪み導入部の体積が過度に増大してしまうため、ヒステリシス損が劣化するからである。
加工室圧力:3Pa以下
加工室圧力が3Paより高いと、電子銃から発生した電子が散乱されて、地鉄に還流磁区を形成するための電子のエネルギが減少するために、十分な磁区細分化がなされず、鉄損が改善しないおそれがあるので、加工室圧力は3Pa以下が好ましい。なお、加工室圧力の下限値は特に制限されないが、設備の過度な負担を考えると0.02Pa程度である。
電子ビーム照射パタン:
電子ビームを偏向走査させて、通板される鋼板に直線状に分布される歪を与えていく。このとき、歪を導入する電子ビームの平均走査速度は30m/s以上とするのが良い。ここで、平均走査速度とは、直線状の連続電子ビーム走査であれば、その速度とすれば良く、点列状の照射であれば、(点列間最小距離)/(1点の滞在時間)を平均走査速度とすれば良い。走査速度が30m/sより小さいと、高い生産性を達成できない。より好ましくは、60m/s以上である。
全幅から切出した100mm幅の試料において、励磁中の圧延方向最大振幅:λppの平均値が3.5×10-7以下
全幅から切出した100mm幅の試料において、励磁中の圧延方向最大振幅:λppの最大λpp−最小λppが2.4×10-7以下
本発明における方向性電磁鋼板は、最大磁束密度B(T)にて励磁中の圧延方向最大振幅:λppの平均および最大λpp−最小λppの値が、上記した範囲、すなわち、λppの平均値(以下、平均磁歪振幅という)が3.5×10-7以下で、かつλppの最大値−最小値(以下、磁歪ばらつきという)が2.4×10-7以下となることを特徴としている。但し、前記B(T)は、1.3T以上1.9T以下のある一定値で励磁する。
以下に、その限定理由の根拠となる実験結果を示す。
まず、偏向中のビーム性状の均一性が変わるように、フォーカス条件を変えて電子ビームを照射した300mm幅コイルから幅方向に切出した100mm幅の試料3枚をコイル全体からまんべんなく15セット準備し、最大磁束密度B=1.7T、周波数50Hzの条件にてλppを測定した。なお、λppは、レーザドップラ振動計を用いて測定した。
かくして得られた結果から、圧延方向最大振幅の最大と最小の差および平均値を求めた。続いて、同一の電子ビーム照射条件によって処理したコイル内の素材だけで、変圧器鉄心を作製し騒音を測定した。騒音は、三相三脚の積み鉄心型の変圧器を模擬し、モデル変圧器を用いて評価を行った。
評価結果を表1および2に示す。
なお、鉄心重量を約20kgとした。三相は120°位相をずらして励磁を行い、磁束密度1.7Tにおいて、騒音測定を行った。騒音は、Aスケール補正を行ったdBA単位で表す。
Figure 0006015723
Figure 0006015723
表1より、平均磁歪振幅が同程度であっても、磁歪ばらつきが大きくなるほど、変圧器騒音が大きくなることがわかる。また、表2より、磁歪ばらつきが同程度であっても平均磁歪振幅が大きくなるほど、変圧器騒音が大きくなることがわかる。そして、特に、平均磁歪振幅を3.5×10-7以下、磁歪ばらつきを2.4×10-7以下とすることによって、40dBA以下の極めて低い値が得られることがわかった。
また、本発明に従う方向性電磁鋼板は、歪み導入部が、圧延方向を横切る方向であって、点列状に並んでいることや、この歪み導入部の圧延方向に対する繰返し間隔が、6mm以上であることが、平均磁歪振幅および磁歪ばらつきの低減化の点で好ましい。
なお、本発明において、上述した工程や製造条件以外については、従来公知の電子ビーム照射方法および方向性電磁鋼板の製造方法を適宜使用することができる。
Si:3.2質量%を含有する最終板厚:0.22mmに圧延された冷延板を、脱炭、一次再結晶焼鈍した後、MgOを主成分とした焼鈍分離剤を塗布し、二次再結晶過程と純化過程を含む最終焼鈍を施し、フォルステライト被膜を有する方向性電磁鋼板を得た。50%のコロイダルシリカとリン酸マグネシウムからなる張力コートを塗布、850℃にて焼付けた。その後、圧延方向と直角に電子ビームを照射することで磁区細分化処理を施した。また、電子ビームの照射条件を表3に記載する。
表3に示した条件で電子ビームを照射した300mm幅コイルから幅方向に切出した100mm幅の試料3枚をコイル全体からまんべんなく15セット準備し、最大磁束密度B=1.7T、周波数50Hzの条件にてλppを測定した。なお、λppは、レーザドップラ振動計を用いて測定した。
上記測定手順にて測定したλppより平均磁歪振幅と磁歪ばらつきをそれぞれ求め表4に記載した。
Figure 0006015723
Figure 0006015723
表4より、本発明の電子ビーム照射条件である範囲を外れた試験No.2,5,8,18は、平均磁歪振幅または磁歪ばらつきの少なくとも一方が本発明の方向性電磁鋼板の要件を満足していないことがわかる。これに対して、本発明の電子ビーム照射条件を満たす条件では、平均磁歪振幅が3.5×10-7以下で、かつ磁歪ばらつきが2.4×10-7以下となって、前述した実験結果(表1および表2)を参照すると、低騒音な変圧器が作製できていることがわかる。

Claims (6)

  1. 圧延方向を横切る方向に対して局所的に歪みを導入するに当たり、該歪みを圧延方向に周期的に繰返して導入する方向性電磁鋼板の製造方法において、
    上記歪みの圧延方向に対する繰返し間隔を30mm以下とし、
    上記歪みの導入を、加速電圧:40〜300kVの電子ビームによるものとし、
    電子銃直下における電子ビーム径:Dを、50μm≦D≦500μmの範囲とし、さらに、
    1台の電子銃による鋼板上の幅方向偏向照射長さをL(mm)、偏向コイル中心から鋼板までの距離をWD(mm)としたとき、
    WD>L/(2tanθ)、L≧150、
    なお、θ=10 deg.とする
    の関係を満たすものとする低騒音変圧器鉄心用方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 前記幅方向偏向照射長さ:L(mm)と、鋼板の全幅:T(mm)とが、
    L≧T/4
    の関係を満たし、さらに前記電子ビーム径:Dを、
    50μm≦D≦300μmの範囲とする
    請求項1に記載の低騒音変圧器鉄心用方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 前記電子ビームの加速電圧:Va(kV)と、収束コイル中心から鋼板までの距離:WDa(mm)とが、
    0.019×Va2+6.0×Va+215≧WDa
    の関係を満たす請求項1または2に記載の低騒音変圧器鉄心用方向性電磁鋼板の製造方法。
  4. 前記加速電圧:Va(kV)と前記収束コイル中心から鋼板までの距離:WDa(mm)とが、さらに、
    0.022×Va2+3.6×Va+168≧WDa
    の関係を満たす請求項3に記載の低騒音変圧器鉄心用方向性電磁鋼板の製造方法。
  5. 前記電子ビーム照射の最大出力を、6(kW)以下とする請求項1〜4の何れかに記載の低騒音変圧器鉄心用方向性電磁鋼板の製造方法。
  6. 前記歪みの圧延方向に対する繰返し間隔を、4mm以上とする請求項1〜5の何れかに記載の低騒音変圧器鉄心用方向性電磁鋼板の製造方法。
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