JP6006905B1 - 高摺動性シリンジ - Google Patents
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Abstract
Description
ガスケットには、注射液が漏れないようにするため従来から加硫ゴム(ブチルゴム)が使用されている。
しかしながら、ブチルゴムを始め全てのエラストマは接触対象物に対して摺動性を持たないと考えられていた。
そこで、上記従来のゴム製ガスケットのシリンジバレルの内周面に対する摺動性の悪さを改善するために、従来からガスケット表面やシリンジバレルの内周面にシリコーングリスが塗布されていた。
シリコーングリスを塗布すると摺動抵抗は劇的に下がる。
ゴムリングはシリンジバレルの内径より0.2mm大きく製作され、その長さは2mmとした。ガスケット本体はシリンジバレルの内周面に接触しないようにしてゴムリングの摺動抵抗だけが検出されるようにした。
その結果、表1に示すように、ブチルゴムは摺動せず、他は20N以上の摺動抵抗を示した。
このような大きな摺動抵抗では注射をする時に、医者や看護師が手で注射器のピストンロッドを押す場合、スムーズにピストンロッドを押すことが出来ない。
この場合は最大でも8N以下が要求され、小さい程好ましいとされている。
また、注射装置に注射器を装着し、注射装置で注射器のピストンロッドを機械押しする場合でも20N以上の摺動抵抗ではピストンロッドがスムーズに移動しない。
注射装置により機械押しの場合でも15N以下の摺動抵抗が要求される。
シリコーングリスはシリンジバレルの内周面に対するゴム製ガスケットの摺動抵抗の改善に劇的な効果があり、5〜8Nとなる(表1参照)。
しかしながら、上記のようにシリコーングリスをゴム製ガスケット表面やシリンジバレルの内周面に塗布すると、シリコーングリスがシリンジバレル内の薬液に直接接触する。その結果、当該シリコーングリスが薬液中の有効成分と反応してしまうことによる変質(例えば、シリコーンオイルの微粒子を核とする有効成分の凝集)や、シリコーングリスから離脱したシリコン微粒子による薬液の微粒子汚染およびこれによる人体への悪影響があり、これが従来から問題視されていた。
又、ゴム中の可溶性成分が薬液中に溶出する虞もあった。
要求される性能は、例えば、(a) ガスケットが薬液と長期にわたって接触していたとしても薬液の品質に変化がなく、安全に使用できる事、(b) 高浸透性薬液に対しても密封性(薬液がガスケットとシリンジの間から漏れ出ない非液漏れ性やガスケットを通って薬液の水分が外部に透過しない水蒸気非透過性)が確保できること、(c) 通常の注射器におけるのと同等の摺動性(手で注射器のピストンロッドを押す場合は8N以下で小さい程好ましい、注射装置で機械押しの場合は15N以下の摺動抵抗)を有することなどである。
また、プレフィルドシリンジは、長期にわたって保管されるが、ガスケットが一つの位置に保持されたままになるとガスケットがシリンジバレルの内壁に付着してその位置に固着され、注射する時の初動圧力の増大につながる傾向もあり、使いずらいという問題も指摘されている。
即ち、シリンジバレルの内径よりも小さな外径を有する様々な形状のコア(ガスケット本体に相当する)を硬質プラスチックで作成し、これに液漏れ防止のために「ゴム弾性」を具備するリング状のエラストマ製弾性スリーブを嵌め込んだガスケットを提案している。
また、別の例として、特許文献2には、シリコーンゴムにシリコーンオイルやポリエチレン粉末を充填し、これを加硫成形して全体を摺動性シリコーンゴムで形成したガスケットも開示されている。
換言すれば、摺動性を劇的に改善するシリコーングリスを用いずに高い「摺動性」を示すエラストマが現時点で周知ではなかったため、実用的な摺動性を得るには、シリンジの内周面に必ずシリコーングリスの塗布が不可欠であるとされていた。
従って、特許文献1に記載の注射器では実際には注射液とシリコーングリスとの接触は不可避である。
一方、特許文献2のように全体を摺動性シリコーンゴムで形成したガスケットが開示されているが、この場合、僅かであったとしても添加されたシリコーンオイルがガスケットの表面に滲み出して充填された注射液に接し、これを汚染してしまうことは避けられない。
そして、仮に、引用文献1の弾性スリーブに引用文献2の摺動性シリコーンゴムを適用したと仮定した場合でも、引用文献1のコアの接液側鍔部(接液側摺動部に相当する)は弾性スリーブ(摺接リングに相当する)の外径より細くてシリンジバレルの内周面との間に隙間があるため、弾性スリーブをシリンジバレルに圧入してもシリンジバレルの内周面とコアの接液側鍔部との間には隙間が依然として発生しており、充填薬液がそこに入り込んで弾性スリーブに接し、弾性スリーブの表面にブリード(滲みだし)したシリコーンオイルに接触して充填薬液が汚染される恐れがある。
本発明の第1の課題は、長期にわたって安全性や密封性が高く、しかもガスケットのシリンジバレルに対する摺動抵抗が小さい、例えば、手で注射器のピストンロッドを押す場合(注射器の容量:1〜5ミリリットル)は少なくとも始動時も含めて7N以下の摺動抵抗を示す画期的な高摺動性シリンジを得ることである。
ガスケット10は、シリンジバレル1に充填される薬液30に対して耐薬液性を有する硬質プラスチック製で、シリンジバレル1の内周面2との摺接面11に凹溝18が形成されたガスケット本体26と、前記凹溝18に嵌め込まれた摺接リング19とで構成され、
摺接リング19は、充填されたシリコーンオイルがシリンジバレル1への実装加圧下でブリードするゴム基材(エラストマ)19cと、前記ゴム基材19cに充填された前記シリコーンオイルとで構成され、且つ、その外径D1はシリンジバレル1の内径D0より大きく形成され、
ガスケット本体26の接液側端面14と凹溝18との間に設けられた接液側摺接面11aの外径D2は、シリンジバレル1の内径D0より大きく形成され、ガスケット本体26のロッド側端面17aと凹溝18との間に設けられたロッド側摺接面11bの外径D3は、シリンジバレル1の内径D0と等しいか、又は、より小さく形成されていることを特徴とする。
このようなガスケット10をピストンロッド5に装着してシリンジバレル1に圧入すると、摺接リング19はシリンジバレル1の内周面2に圧縮されて内圧が高まりシリコーンオイルのブリードが生じる。プレフィルドシリンジAのように薬液30を充填した状態で高温状態(例えば、25〜30℃)に放置した場合、ブリードの促進がなされる。図3にブリードしたシリコーンオイル膜を19bで示す。
摺接リング19とシリンジバレル1の内周面2との間に薄いブリード・シリコーンオイル膜19bが介在することで、シリンジバレル1の内周面2に対する摺接リング19の摺動性がブリードしたシリコーンオイル膜19bが存在しない場合に比べて格段に向上する。
一方、前記摺接リング19に対して接液側に位置するガスケット本体26の接液側摺接面11aの外径D2は、シリンジバレル1の内径D0より大きく形成されているので、接液側摺接面11aはシリンジバレル1の内周面2に強く押圧されて密封性を保つ。これにより、ブリードして来たシリコーンオイルは接液側摺接面11aに堰き止められて薬液30側に露出することはない。
これに対して、ロッド側摺接面11bの外径D3は、シリンジバレル1の内径D0と等しく、又は、より小さく形成されているので、シリコーンオイルのブリード量が多い場合には、ロッド側摺接面11bとシリンジバレル1の内周面2の僅かな隙間を通ってピストンロッド5側に逃げ、薬液30側に露出することを確実に防止する。
摺接リング19は、ガスケット本体26の接液側端面14と凹溝18との間に設けられた接液側摺動部16に接触するように嵌め込まれていることを特徴とする。
この充填量を調整することにより、ゴム基材(エラストマ)19cの硬度を摺接リング19に最適のものとすることが出来るし、超高分子ポリエチレン微粉末を充填しない場合に比べてシリコーンオイルの充填量を格段に増やすことが出来る(図5)。
図1に示すガスケット10の本体部分26(或いは、ガスケット本体26とも称する)を構成する硬質プラスチックは全体がショアD硬度40以上のフッ素樹脂、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(四ふっ化エチレンと六ふっ化プロピレンの共重合体)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PVDF(ポリビリニデンフルオライド)、或いは、PP(ポリプロピレン)、超高分子ポリエチレン、COP(シクロオレフィンポリマ)、COC(エチレンノルボルネン共重合体)など、薬液30に反応しない硬質の材料(耐薬液性の硬質プラスチック)のいずれか1つであることを特徴とする。
これらはいずれも耐薬品性に優れた素材でガスケット本体26を構成する素材としては好適である。
接液側摺接面11aの摺接幅Tは、0.1mm以上、0.6mm以下であることを特徴とする。
接液側摺接面11aの摺接幅Tが上記範囲内にあれば、ガスケット本体26をシリンジバレル1に圧入した場合、接液側摺動部16が容易に撓んでシリンジバレル1の内周面2に密封性を保って接触することになる。0.1mmより薄い場合、接液側摺接部16の強度が不足し、密封性が損なわれ、0.6mmを越えると強度が過大となって接液側摺接部16の撓みが損なわれ、同様に密封性や摺動性が損なわれる。
上記寸法範囲内であれば、上記ガスケット10を寸法精度の高いプラスチック製シリンジバレル1は勿論、ガラス製シリンジバレル1を用いることが出来る。この場合、接液側摺接部16の厚みが薄いので、摺接リング19のバックアップの存在があれば好ましい。
シリンジバレル1は、ガラス又はプラスチック(例えば、COP、PP、COC等)で構成されていることを特徴とする。
以下、プレフィルドシリンジAを代表例として説明する。
図1に示すように、梱包から取り出したプレフィルドシリンジAは、ガスケット10と、薬液30が充填されたシリンジバレル1と、ガスケット10に装着されるピストンロッド5と、トップキャップ8とで構成されている。
本発明で使用される硬質プラスチックはショアA硬さで70以上(或いは、ショアD硬さで40〜100、ロックウェルM硬さで40〜70)のものが好適である。
本発明に使用されるPTFEは、上記純PTFE又はPTFEの変性体更には所謂HIP処理と言われる熱間等方圧加圧法による独立気泡化したブロック(丸棒材)も使用される。
PTFE1次焼結ブロックは、純PTFE粉又はPTFEの変性体の粉を圧縮成形し、これを焼結したものである。この焼結では、粉同士の接触部分は密着しているが、全体として非接触部分には極く微細な隙間が形成されており、これらが連続して微小な流体を通過させる。
このPTFE1次焼結ブロックを熱間等方圧加圧すれば、PTFE1次焼結ブロックは圧縮されてPTFEの粒間に存在する超微細間隙が確実に閉塞され、独立気泡化する。減圧下で熱間等方圧加圧を行えばより効果的である。
換言すれば、凹溝18の両側に狭い摺接面11a、11bが存在することになり、薬液30との接液面14に隣接する接液側摺接面11aに液密性が付与される。
即ち、接液側摺接面11a部分の外径D2はシリンジバレル1の内径D0より若干大きく形成され、この接液側摺接面11aを有する部分(接液側摺動部16)が所定の圧入代をもってシリンジバレル1に圧入される。
上記寸法範囲内であれば、上記ガスケット10をプラスチック製シリンジバレル1は勿論、ガラス製シリンジバレル1を用いることが出来る。
前記凹溝18にはシリンジバレル1の内周面2に摺接する摺接リング19が嵌め込まれている。凹溝18の溝底の形状は、本体部分26を軸方向に切断した時の断面において、ストレート、又は、凹溝18の開口側に円弧状に膨れている、或いは、逆に凹んでいるように形成される。凹溝18に嵌め込まれた摺接リング19の外周形状は凹溝18の溝底に倣う。
「充填したシリコーンオイルがブリードする」とは、(a)少なくとも加圧下で24時間の放置で充填されたシリコーンオイルがゴム基材19cの表面に滲み出す現象である。(b)加温を行えばブリードは促進される。
本発明の対象はシリンジなので、摺接リング19を構成するゴム基材19cは、医療用部材として既に認可されているものが好ましく、例えば、摺動性が付与された「シリコーンゴム」が挙げられる。
他の例としては、分子内にビニル基を組み込んだ粘土状のポリシロキサンと、分子端末に反応性水素を組み込んだ粘土状のポリシロキサンを、白金又はロジウム或いは錫の有機化合物を触媒として反応により加熱硬化させた付加反応型シリコーンゴムが挙げられる。
更に混練物の硬さを調整するために必要に応じて、適量の(例えば25%の)シリカ微粉末が添加される。更に必要があれば、例えば、所定量の超高分子ポリエチレン微粉末が添加される。
このような超高分子粒子は、透水性がなくしかも殆どののものと接着しない。
そして超高分子ポリエチレンはその分子量があまりにも高いために高温でも溶融せず、高圧で成形してもその球状形態を保持している。
球状の超高分子ポリエチレンの表面は比較的滑らかであるが、若干の凹凸も認められる。
微粉末に含まれる球状の超高分子微粒子の粒径の範囲は10〜300μmである(表2)。更に好ましくは20〜50μmである。
グレードによって異なるが、平均粒径が25μmのものや30μm或いはそれ以外のものが使用される。
粒度分布の幅が広い場合、粒径の大きいものの間に粒径の小さいものが入り込んで大きい粒径のものの間の隙間を埋め、細密充填を実現する。
そして、細密充填となると、微小粒子は透水性を持たないので、仮に、透水性を有するシリコーンゴム基材やシリコーンオイルを使用したとしても本発明の医療用摺動性シリコーンゴム全体としては非常に低い透水性を示すことになる。
前述のように練り込まれたシリコーンオイルとゴム基材19cとの間には相溶性があり、適量充填すればシリコーンオイルはゴム基材19cに均一に分散し、少なくとも加圧下で時間の経過(少なくとも24時間)と共にブリードし、ゴム基材19cの表面に薄く滲み出す。
なお、摺接リング19の幅は嵌め込まれる凹溝18の幅より若干小さく、両者間の間に隙間Sが設けられ、ガスケット10がシリンジバレル1に圧入された時に、圧縮された摺接リング19がガスケット本体26の長手方向に伸びて接液側摺接面11aの背面に接触して接液側摺接面11aを背後からバックアップできるように設定されている。
加工材料はPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を切削加工して図2に示すガスケット本体26を得た。
水密性に対して重要な働きをなす、ガスケット本体26の接液側摺動部16の接液側摺接面11aの幅(これを摺接幅Tとする)を、0.1〜0.6mm(より好ましくは、0.1〜0.3mm)の幅で削り出した。(勿論、PTFE以外の材料では、同じ形状のものを射出成形でも製作可能である。)
そして、このガスケット本体26の凹溝18に前述の摺接リング19を嵌め込み、ガスケット10とする。シリンジバレル1への圧入前は、凹溝18の嵌め込み幅は摺接リング19の幅より大きく、摺接リング19の前後に僅かな隙間Sが生じる(図2)。
そして、シリンジバレル1とガスケット10の閉じられた空間内に薬液30を充填し、図1に示すようなプレフィルドシリンジAを構成する。
ガスケット10がシリンジバレル1に圧入されるとシリンジバレル1に圧縮されて内圧が高まり、時間の経過と共にシリコーンオイルがブリードし、摺接リング19の表面に薄いシリコーンオイル膜19bを形成するが接液側に漏れることはない。
摺接リング18の摺動抵抗はブリード・シリコーンオイル膜19bの存在により、4〜5N前後であり、ガスケット本体26の接液側摺動面11aの摺接幅Tとシリンジバレル1に対する接液側摺動部16の圧入代(直径差の半分)を調節することで、この部分の摺動抵抗は4〜6N程度に抑えることが出来る。
使用にあたってピストンロッド5の動きは手動でも機械を使用した場合でも、初動も含めて極めてスムーズである。
また、同様に、ガスケット10は摺接リング19も含めたその優れた撥水性及び非透水性により常温は勿論、冷蔵保管を経たとしても摺接リング11aの非クリープ性により長期間にわたって良好な摺動性を保つ。
これと同時にガスケット10の内部及び内周面2との摺接面11aにおいて、漏液は勿論、その水蒸気の透過も生じない。
なお、種々な環境での使用も考慮して、加速試験(5℃及び40℃の雰囲気内に6か月保管)を経ても使用時には上記性能を満足した。
なお、特にプレフィルドシリンジAは使用されるまで高温で放置される場合があるが、この放置によって前記ブリードは促進され、ピストンロッド5の移動は更にスムーズになる。
シリコーンオイル添加による摺動性評価(図4)
高摺動性シリンジの摺動性能は、以下の実験によって評価した。(単位はmm)
シリンジ形状(1ミリリットル用)
内径:6.35、ガスケットの移動長:35
ガスケット(本体部分)の形状
接液側摺動部の外径:6.47、凹溝の形状:溝幅1.6 直径5.2
接液側摺動面のシール幅:0.3
材質:ポリテトラフルオロエチレン
摺接リングの形状 厚さ:1.55、外径:6.20、内径:4.5
同材質:ポリジメチルシロキサンにシリカ粉を25重量%を添加して混練したもの(シリコーンオイル添加なし)を基材1(比較例)とし、これに対して粘度1,000cP、粘度100,000cP及び粘度1,000,000cPのシリコーンオイルをそれぞれ5、10、15重量%を添加したもの(実施例1〜3)を用意し、ガスケットをシリンジバレルに圧入した直後のものと40℃で24時間保持したものとの平均摺動抵抗値の変化を測定した。(ここでは比較例及び実施例1〜3には、超高分子ポリエチレン粉末の添加はない。)
測定結果はシリコーンオイル5重量%〜15重量%の摺接リング使用のガスケットを用いた、組み立て直後のシリンジは、全て7N(単位ニュートン)以下の平均摺動抵抗を示した。そして、40℃で24時間保持することによってシリコーンオイルのブリードが促進され、より小さな平均摺動抵抗を示した。
図4に於いて、超高分子ポリエチレン粉末を添加していないので、シリコーンオイルの含有量は最大15重量%に制限される。15重量%を越えてシリコーンオイルを添加すると成形が困難となる。5重量%を下回ると、摺動抵抗は目標の7Nを越えるようになる。組み立て直後のシリンジの使用可能範囲は5〜15重量%、ブリードを促進させた場合は、2.5〜15重量%、好ましくは5〜15重量%である。
(図5)の評価では、ガスケット本体、摺接リングは図4と同一形状のものを使用した。この検討には、ポリジメチルシロキサン13.13g、充填材としてシリカ粉末4.37g、超高分子ポリエチレン粉末(20〜200μm)23.35g、を混合した基材(以下、基材2という。)に対して各種重合度のポリジメチルシロキサンオイル(以下、シリコーンオイルという。重合度の指数としてcPでその粘度を表す。)の粘度1,000〜1,000,000cPの各種シリコーンオイルを添加し、その添加量と摺動抵抗の関係を測定した。
超高分子ポリエチレン粉末は、シリコーンオイルとの親和性が高く、シリコーンオイルの添加量を増やすことが出来ると共に超高分子ポリエチレン粉末の添加によって摺接リングの硬度を高くすることが出来た。シリコーンオイルは5〜40重量%まで添加することが出来た。
この場合、シリコーンオイルの添加量が5〜40重量%で、全ての粘度で摺動抵抗は目標の7Nを下回った。5重量%未満では目標の7Nを越える。なお、40重量%を超える添加量では成形が困難であった。
なお、粘度が1,000cPのシリコーンオイルでは、40重量%を超えると成形できない。
この場合のシリコーンオイルの最適添加量は20重量%前後である。
図6は、図5の20重量%の場合の摺動抵抗の経時変化を測定したものである。
測定条件:100mm/分で摺動させた。
時間の経過と共にシリコーンオイルがブリードし、摺動性が向上した。また、本実験では40℃で保管すればブリードが促進され、摺動抵抗が更に低下する。80日程度では両者同程度の摺動性を示す。
Claims (7)
- シリンジバレルと、シリンジバレルに圧入され、シリンジバレル内を摺動状態で用いられるガスケットと、前記ガスケットが先端に装着されるピストンロッドとで構成された高摺動性シリンジにおいて、
ガスケットは、シリンジバレルに充填される薬液に対して耐薬液性を有する硬質プラスチック製で、シリンジバレルの内周面との摺接面に凹溝が形成されたガスケット本体と、前記凹溝に嵌め込まれた摺接リングとで構成され、
摺接リングは、充填されたシリコーンオイルがシリンジバレルへの実装加圧下でブリードするゴム基材と、前記ゴム基材に充填された前記シリコーンオイルとで構成され、且つ、その外径はシリンジバレルの内径より大きく形成され、
ガスケット本体の接液側端面と凹溝との間に設けられた接液側摺接面の外径は、シリンジバレルの内径より大きく形成され、ガスケット本体のロッド側端面と凹溝との間に設けられたロッド側摺接面の外径は、シリンジバレルの内径と等しいか、又は、より小さく形成されていることを特徴とする高摺動性シリンジ - 摺接リングのゴム基材は、シリコーンゴムであることを特徴とする請求項1に記載の高摺動性シリンジ。
- 摺接リングは、ガスケット本体の接液側端面と凹溝との間に設けられた接液側摺動部に接触するように嵌め込まれていることを特徴とする請求項1又は2の高摺動性シリンジ。
- ゴム基材に超高分子ポリエチレン微粉末が更に充填されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高摺動性シリンジ。
- ガスケット本体を構成する硬質プラスチックは、ショアD硬度40以上のフッ素樹脂、又は、ポリプロピレン、超高分子ポリエチレン、シクロオレフィンポリマ、エチレンノルボルネン共重合体のいずれか1つであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高摺動性シリンジ。
- 接液側摺接面の摺接幅は、0.1mm以上、0.6mm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の高摺動性シリンジ。
- シリンジバレルは、ガラス又はシクロオレフィンポリマ、エチレンノルボルネン共重合体、ポリプロピレンのいずれか1つで構成されていることを特徴とする請求項6に記載の高摺動性シリンジ。
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