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JP6006211B2 - 3員環の縮合エーテルカルバメートおよびその使用 - Google Patents

3員環の縮合エーテルカルバメートおよびその使用 Download PDF

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JP6006211B2 JP2013527348A JP2013527348A JP6006211B2 JP 6006211 B2 JP6006211 B2 JP 6006211B2 JP 2013527348 A JP2013527348 A JP 2013527348A JP 2013527348 A JP2013527348 A JP 2013527348A JP 6006211 B2 JP6006211 B2 JP 6006211B2
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Description

本発明は、HIVタンパク質分解酵素を阻害する化合物、及びこれらの化合物を調製するためのプロセスに関する。また、本発明は、HIVに感染した患者を治療するのに、本明細書に開示の化合物を使用する方法にも関する。
AIDSの流行は、21世紀の医学において最も大きな難題のひとつである。免疫系が次第に破壊され、中枢神経系や末梢神経系が変性することを含む複雑な疾患(後天性免疫不全症候群;AIDS)の病因因子に、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)と呼ばれるレトロウイルスがある。このウイルスは、かつてLAV、HTLV−IIIまたはARVとして知られていた。レトロウイルスの複製に共通するひとつの特徴は、ウイルスの構築と機能に必要な成熟ウイルスタンパク質を生成するため、複製に必須なようにコードされたプロテアーゼによって、前駆体であるポリタンパク質が広範囲にわたって翻訳後プロセシングされることである。このプロセシングを阻害することで、通常は感染性であるウイルスの産生が阻止される。HIVにコードされたプロテアーゼを遺伝的に不活性化すると、未熟な非感染性ウイルス粒子が産生されることが、過去に示されている。これらの結果は、HIVプロテアーゼの阻害が、AIDSの治療およびHIV感染の予防または治療のための実行可能な方法となることを示している。
この疾患と闘うための多くの戦略のうち、HIVプロテアーゼ阻害剤(PI)を逆転写酵素阻害剤(RTI)と併用する高活性抗レトロウイルス剤療法(HAART)が、ずっとHIV感染を制御する第一線の治療法になっている。この治療レジメンによって、生活の質は明らかに改善され、HIVをコントロールしやすくなり、疾患の進行が止まるようになってきてはいる。しかしながら、このように改善が成功しているにもかかわらず、この壊滅的な疾患を治療するのに、多くの取り組むべき課題が残っている。一例をあげると、これらの治療レジメンにおける毒性と、治療レジメンの複雑さを、ともに抑えることである。また、HIVの多剤耐性株を生じている患者の数が増え続けており、これらの株がさらに伝わって行く可能性があることを示す十分な証拠がある。
HAARTは、工業先進国でのAIDSの流行に大きな影響を与えている。しかしながら、ひとつには血液中や感染組織に残っているウイルスの残存巣が原因で、現段階では、ヒト免疫不全ウイルスのタイプ1(HIV 1)は根絶されていないように見える。AIDSに対する抗ウイルス療法では、使用計画が複雑化し、薬剤耐性HIV−1多様体が発生し、多数の固有の副作用があることから、限界がさらに狭まっている。しかしながら、それにもかかわらず、HAARTを受けている個人のAIDSおよびHIV−1感染に対する現時点で入手可能な治療薬の最適な利点をもたらす際、多数の取り組むべき課題にぶつかっている。こうした課題には、(i)薬剤関連の毒性;(ii)AIDSを発症した後に免疫機能が部分的に回復すること;(iii)寿命がのびたことによる、さまざまな癌の発症;(iv)HAARTを受けている個人における炎症の悪化または免疫再構築症候群(IRS);(v)抗ウイルス療法のコストの増加が含まれる。このようなHAARTの限界は、薬剤耐性HIV−1多様体が生じることで、さらに悪くなっている。
新たな化合物を使用して耐性の発生に対処するための尽力が、最近になって報告されている(Ghosh AK, et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 1998;Ghosh AK, et al., Farmaco 2001;Ghosh AK, et al., ChemMedChem, 2006;Yoshimura K, et al., J. Virol. 2002;Koh Y, Nakata H, Maeda K., Antimicrob Agents Chemother, 2003)。FDAは、2006年6月23日に、ダルナビルを承認した。2008年の10月21日には、FDAは、HIV−1感染の治療用にリトナビルなどの抗レトロウイルス薬と同時投与される、Prezista(ダルナビル)に対する従来の承認を、治療を受けた経験のある成人患者に対しても認可した。従来の承認に加えて、治療を受けたことのない患者に対する新たな投与レジメンが承認された(Tie Y, et al., Proteins 2007;Kovalevsky AY, et al., J. Med. Chem. 2006;Ghosh AK, Chapsal BD, Weber IT, Mitsuya H., Acc. Chem. Res. 2008-;Ghosh AK, et al., J. Med. Chem. 2006;Ghosh AK, et al., J. Med. Chem. 2009;Ghosh AK, Chen Y., Tetrahedron Lett., 1995)。PIの1つであるダルナビル(DRV)は、他の抗レトロウイルス薬には応答しない薬剤耐性HIVを持つHIV/AIDS患者に対して、初めて承認された。最近になって、DRVは、HIV−1に感染した子どもを含むすべてのHIV/AIDS患者用として、完全に承認された。DRVは、立体化学的に特定された縮合ビス−テトラヒドロフラン(ビス−THF)を、P2−リガンドとして包含する。本明細書に引用した文書を各々、本明細書に援用する。HIV−1プロテアーゼの阻害は、HIV/AIDSを治療するための効果的な戦略として、文書に記載されてきている。
本明細書に記載されるのは、さまざまな多剤耐性HIV−1多様体に対するものを含めて、HIVプロテアーゼに対して活性のある阻害剤である。一実施形態では、本明細書に記載の阻害剤は、ダルナビル(DRV)よりも10倍近く阻害が改善される。もうひとつの実施形態では、本明細書に記載の阻害剤は、プロテアーゼのダイマー化を、DRVに比して少なくとも10倍という率で強力に阻止する。
本明細書に記載の発明は、HIV、AIDS、AIDS関連疾患を緩和する必要のある患者を治療するための、新規な化合物および組成物を含む。また、本明細書に記載の発明は、本明細書に記載の化合物を使用して、HIV、AIDS、AIDS関連疾患を治療するための方法のみならず、以前は、このような疾患を治療する上で有用なものとしては使用または記載されていなかった既知の化合物を含む。
本発明の一実施形態では、以下の式で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩、異性体、異性体の混合物、結晶形態、非結晶形態、水和物または溶媒和物が記載される。
Figure 0006006211

(式中、
は、結合または任意に置換されていてもよいアルキレンであり、
は、結合、C(O)、S(O)、S(O)、任意に置換されていてもよいアミノまたは任意に置換されていてもよいアルキレンであり、
およびRは、事例ごとに独立に、水素、P(O)(OR)[式中、Rは、事例ごとに、水素またはアルキルから独立に選択される]、プロドラッグを形成する基からなる群から選択され、
は、各々が任意に置換されていてもよい、スルホニル、アシル、アミノ、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、
は、水素、ハロゲン、−OHまたは−NOであるか、Rは、各々が任意に置換されていてもよい、アミノ、アルコキシ、スルホニル、アシル、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリールであるか、あるいは、R、R、X、結合した窒素が、任意に置換されていてもよいヘテロシクリルを形成し、
およびRは独立に、事例ごとに、水素であるか、各々が任意に置換されていてもよい、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、
Zは、以下の式で表される。
Figure 0006006211

<式中、*は結合点を示し、mは、0、1または2であり、
およびWは、事例ごとに独立に、任意に置換されていてもよいアルキレン、アルキレンオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンチオ、アルキレンスルホキシル、アルキレンスルホニルからなる群から選択され、
およびWは、事例ごとに独立に、アミノ、酸素、アルキレン、アルキレンオキシ、アルキレンアミノ、ヘテロアルキレンからなる群から選択され、
またはWのうちの少なくとも1つが酸素であり、WまたはWのうちの1つが任意に置換されていてもよいメチレンである場合に、WまたはWのうちの少なくとも1つは酸素またはアルキレンオキシであり、
は、結合または任意に置換されていてもよいメチレンであり、
Yは、水素、ヒドロキシルまたはカルボニルであるか、各々が任意に置換されていてもよい、アミノ、アシル、スルホニル、アルキルまたはヘテロアルキルであり、
Zは、過酸化物結合、スルフェナート結合およびスルフェンアミド結合を含まない。>)
もうひとつの実施形態では、以下の式で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩、異性体、異性体の混合物、結晶形態、非結晶形態、水和物または溶媒和物が記載される。
Figure 0006006211

(式中、
は、結合または任意に置換されていてもよいアルキレンであり、
は、結合、C(O)、S(O)、S(O)、任意に置換されていてもよいアミノまたは任意に置換されていてもよいアルキレンであり、
およびRは、事例ごとに独立に、水素、P(O)(OR)[式中、Rは、事例ごとに、水素またはアルキルから独立に選択される]プロドラッグを形成する基からなる群から選択され、
は、各々が任意に置換されていてもよい、スルホニル、アシル、アミノ、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、
は、水素、ハロゲン、−OHまたは−NOであるか、Rは、各々が任意に置換されていてもよい、アミノ、アルコキシ、スルホニル、アシル、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリールであるか、あるいは、R、R、X、結合した窒素が、任意に置換されていてもよいヘテロシクリルを形成し、
およびRは独立に、事例ごとに、水素であるか、各々が任意に置換されていてもよい、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、
Zは、以下の式で表される。
Figure 0006006211

<式中、*は結合点を示し、nは、1、2または3であり、
およびWは、事例ごとに独立に、任意に置換されていてもよいメチレン、酸素、アミノからなる群から選択され、
およびWは、事例ごとに独立に、アミノ、酸素、アルキレン、ヘテロアルキレンからなる群から選択され、
またはWのうちの少なくとも1つが酸素であり、WまたはWのうちの1つが任意に置換されていてもよいメチレンである場合に、WまたはWのうちの少なくとも1つは酸素であり、
は、結合または任意に置換されていてもよいメチレンであり、
Yは、水素、ヒドロキシルまたはカルボニルであるか、各々が任意に置換されていてもよい、アミノ、アシル、スルホニル、アルキルまたはヘテロアルキルであり、
Zは、過酸化物結合、スルフェナート結合およびスルフェンアミド結合を含まない。>)
もうひとつの実施形態では、HIV感染を治療するための、治療有効量の、本明細書に記載された1種類または2種類以上の化合物を含む、薬学的組成物が記載される。
もうひとつの実施形態では、HIV、AIDS、AIDS関連疾患の治療に、本明細書に記載の化合物を使用する。また、本明細書には、HIV感染を緩和する必要のある患者を治療するための方法であって、HIV感染を緩和する必要のある患者に、治療有効量の、本明細書に記載された化合物のうちの1種類または2種類以上の化合物、または組成物を投与する工程を含む方法も記載される。
もうひとつの実施形態では、本明細書に記載されるのは、構造的に確定され、立体異性的にも特定されているトリス−テトラヒドロフラン誘導体をP2−リガンドとして包含する、HIV−1プロテアーゼ用の一連の阻害剤の合成である。これらの阻害剤は、顕著な酵素阻害・抗ウイルス活性を示している。これらの多数の阻害剤は、多剤耐性HIV−1多様体に対して極めて活性が高い。
==関連出願へのクロスリファレンス==
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2010年9月2日にファイルされた米国仮特許出願第61/379,414号の優先権の利益を主張するものであり、その開示内容全体を本明細書に援用する。
本発明の実施形態を、以下に列挙した項によって、さらに説明する。
0.以下の式で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩、異性体、異性体の混合物、結晶形態、非結晶形態、水和物または溶媒和物。
Figure 0006006211

(式中、
は、結合または任意に置換されていてもよいアルキレンであり、
は、結合、C(O)、S(O)、S(O)、任意に置換されていてもよいアミノまたは任意に置換されていてもよいアルキレンであり、
およびRは、事例ごとに独立に、水素、P(O)(OR)[式中、Rは、事例ごとに、水素またはアルキルから独立に選択される]、プロドラッグを形成する基からなる群から選択され、
は、各々が任意に置換されていてもよい、スルホニル、アシル、アミノ、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、
は、水素、ハロゲン、−OHまたは−NOであるか、Rは、各々が任意に置換されていてもよい、アミノ、アルコキシ、スルホニル、アシル、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリールであるか、あるいは、R、R、X、結合した窒素が、任意に置換されていてもよいヘテロシクリルを形成し、
およびRは独立に、事例ごとに、水素であるか、各々が任意に置換されていてもよい、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、
Zは、以下の式で表される。
Figure 0006006211

<式中、*は結合点を示し、mは、0、1または2であり、
およびWは、事例ごとに独立に、任意に置換されていてもよいアルキレン、アルキレンオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンチオ、アルキレンスルホキシル、アルキレンスルホニルからなる群から選択され、
およびWは、事例ごとに独立に、アミノ、酸素、アルキレン、アルキレンオキシ、アルキレンアミノ、ヘテロアルキレンからなる群から選択され、
またはWのうちの少なくとも1つが酸素であり、WまたはWのうちの1つが任意に置換されていてもよいメチレンである場合に、WまたはWのうちの少なくとも1つは酸素またはアルキレンオキシであり、
は、結合または任意に置換されていてもよいメチレンであり、
Yは、水素、ヒドロキシルまたはカルボニルであるか、各々が任意に置換されていてもよい、アミノ、アシル、スルホニル、アルキルまたはヘテロアルキルであり、
Zは、過酸化物結合、スルフェナート結合およびスルフェンアミド結合を含まない。>)
1.以下の式で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩、異性体、異性体の混合物、結晶形態、非結晶形態、水和物または溶媒和物。
Figure 0006006211

(式中、
は、結合または任意に置換されていてもよいアルキレンであり、
は、結合、C(O)、S(O)、S(O)、任意に置換されていてもよいアミノまたは任意に置換されていてもよいアルキレンであり、
およびRは、事例ごとに独立に、水素、P(O)(OR)[式中、Rは、事例ごとに、水素またはアルキルから独立に選択される]プロドラッグを形成する基からなる群から選択され、
は、各々が任意に置換されていてもよい、スルホニル、アシル、アミノ、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、
は、水素、ハロゲン、−OHまたは−NOであるか、Rは、各々が任意に置換されていてもよい、アミノ、アルコキシ、スルホニル、アシル、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリールであるか、あるいは、R、R、X、結合した窒素が、任意に置換されていてもよいヘテロシクリルを形成し、
およびRは独立に、事例ごとに、水素であるか、各々が任意に置換されていてもよい、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、
Zは、以下の式で表される。
Figure 0006006211

<式中、*は結合点を示し、nは、1、2または3であり、
およびWは、事例ごとに独立に、任意に置換されていてもよいメチレン、酸素、アミノからなる群から選択され、
およびWは、事例ごとに独立に、アミノ、酸素、アルキレン、ヘテロアルキレンからなる群から選択され、
またはWのうちの少なくとも1つが酸素であり、WまたはWのうちの1つが任意に置換されていてもよいメチレンである場合に、WまたはWのうちの少なくとも1つは酸素であり、
は、結合または任意に置換されていてもよいメチレンであり、
Yは、水素、ヒドロキシルまたはカルボニルであるか、各々が任意に置換されていてもよい、アミノ、アシル、スルホニル、アルキルまたはヘテロアルキルであり、
Zは、過酸化物結合、スルフェナート結合およびスルフェンアミド結合を含まない。>)
2.Zは、以下の式で表される、第1項に記載の化合物。
Figure 0006006211

(式中、*は結合点を示す。)3.Zは、以下の式で表される、第1項または第2項に記載の化合物。
Figure 0006006211

(式中、Wは酸素であり、*は結合点を示す。)4.Xは結合である、上述した項のいずれか1項に記載の化合物。5.nは、1または2である、上述した項のいずれか1項に記載の化合物。6.Wは、任意に置換されていてもよいエチレンまたはプロピレンである、上述した項のいずれか1項に記載の化合物。7.nは1である、上述した項のいずれか1項に記載の化合物。8.Wはエチレンである、上述した項のいずれか1項に記載の化合物。9.Yは水素である、上述した項のいずれか1項に記載の化合物。10.W、W、Wは、酸素である、上述した項のいずれか1項に記載の化合物。11.Zは、
Figure 0006006211

である、上述した項のいずれか1項に記載の化合物。
11.1 Zは、
Figure 0006006211

である、上述した項のいずれか1項に記載の化合物。
11.2 Zは、
Figure 0006006211

である、上述した項のいずれか1項に記載の化合物。
12.RおよびRは各々水素である、上述した項のいずれか1項に記載の化合物。13.Rは、任意に置換されていてもよいアリールアルキルである、上述した項のいずれか1項に記載の化合物。14.Xは結合であり、Rは水素である、上述した項のいずれか1項に記載の化合物。15.XはS(O)であり、Rは任意に置換されていてもよいアリールである、上述した項のいずれか1項に記載の化合物。16.Rはイソブチルである、上述した項のいずれか1項に記載の化合物。17.XはNR(式中、Rは水素またはアルキルである。)である、上述した項のいずれか1項に記載の化合物。18.Xはアリールスルホニルである、上述した項のいずれか1項に記載の化合物。18a.Rは、任意に置換されていてもよいアリールアルキルである、上述した項のいずれか1項に記載の化合物。18b.Wは酸素である、上述した項のいずれか1項に記載の化合物。18c.WまたはW4は酸素である、上述した項のいずれか1項に記載の化合物。18d.Wと、WまたはWのうちの1つとが、酸素である、上述した項のいずれか1項に記載の化合物。18e.WおよびWは酸素である、上述した項のいずれか1項に記載の化合物。18f.W、W、W3の各々は酸素である、上述した項のいずれか1項に記載の化合物。18g.Wは、任意に置換されていてもよいメチレンである、上述した項のいずれか1項に記載の化合物。18h.Xは、任意に置換されていてもよいアルキレンであり、Rは、各々が任意に置換されていてもよいアリールまたはアリールアルキルである、上述した項のいずれか1項に記載の化合物。19.HIV感染を治療するための、治療有効量の、上述した項のいずれか1項に記載の1種類または2種類以上の化合物を含む、薬学的組成物。20.キャリア、希釈剤または賦形剤あるいはこれらの組み合わせのうちの1つまたは2つ以上をさらに含む、第19項に記載の組成物。21.HIV感染を緩和する必要のある患者を治療するための方法であって、HIV感染を緩和する必要のある患者に、治療有効量の、第1項〜第18h項のいずれか1項に記載の1種類または2種類以上の化合物または第19項または第20項に記載の組成物を投与する工程を含む、方法。21.Zは、
Figure 0006006211

である、第0項または第1項に記載の化合物。
22.Zは、
Figure 0006006211

である、第0項または第1項に記載の化合物。
(式中、Wは、任意に置換されていてもよいメチレンであり、Wは、−CHO−または−OCH−である。)
23.Zは、
Figure 0006006211

である、第0項または第1項に記載の化合物。
24.Zは、
Figure 0006006211

である、第0項または第1項に記載の化合物。
25.Zは、
Figure 0006006211

である、第0項または第1項に記載の化合物。
26.Zは、
Figure 0006006211

である、第0項または第1項に記載の化合物。
27.Zは、
Figure 0006006211

である、第0項または第1項に記載の化合物。
もうひとつの実施形態では、以下の式で表される化合物が、記載される。
Figure 0006006211

もうひとつの実施形態では、以下の式で表される化合物が、記載される。
Figure 0006006211

もうひとつの実施形態では、以下の式で表される化合物が、記載される。
Figure 0006006211

(式中、Ar=p−PhOMe、p−PhNH2、p−PH−CH2OH、p,m−置換芳香族置換(p,m-substituted aromatic, substituted)ベンゾオキサゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾジオキサン、ベンゾジオキソランなどである。)
もうひとつの実施形態では、以下の式で表される化合物が、記載される。
Figure 0006006211

(式中、Ar=p−PhOMe、p−PhNH2、p−PH−CH2OH、p,m−置換芳香族置換ベンゾオキサゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾジオキサン、ベンゾジオキソランなどである。)
一具体例では、以下のスキームに示す工程のうちの1つまたは2つ以上あるいはすべてを含む方法によって、本明細書に記載の化合物を調製する。
Figure 0006006211

本明細書に記載の化合物は、1つまたは2つ以上のキラル中心を含むものであってもよいし、そうでなければ、複数の立体異性体として存在できるものであってもよい。一実施形態では、本明細書に記載の発明は、特定の立体化学要件に限定されるものではなく、化合物ならびに、これらを含む組成物、方法、用途、医薬剤は、光学的に単一であってもよいし、多岐にわたる立体異性混合物のいずれか(エナンチオマーのラセミ混合物および他の混合物、他のジアステレオマー混合物などを含む)であってもよいことは、理解できよう。また、立体異性体のこのような混合物は、1つまたは2つ以上のキラル中心に単一の立体化学構造を含むと同時に、1つまたは2つ以上の他のキラル中心に立体化学構造の混合物を含むものであってもよいことも理解できよう。
同様に、本明細書に記載の化合物は、cis、trans、E−二重結合およびZ−二重結合などの幾何学中心を含むものであってもよい。もうひとつの実施形態では、本明細書に記載の発明は、特定の幾何学異性体要件に限定されるものではなく、化合物ならびに、これらを含む組成物、方法、用途、医薬剤は、単一の異性体であってもよいし、多岐にわたる幾何学異性体混合物のいずれであってもよいことは、理解できよう。また、幾何学異性体のこのような混合物は、1つまたは2つ以上の二重結合に単一の構成を含んでもよいが、1つまたは2つ以上の他の二重結合に幾何学異性体の混合物を含むものであってもよいことは、理解できよう。
本明細書では、DRVが結合しているプロテアーゼ複合体と、TMC126が結合しているプロテアーゼ複合体の両方のX線構造から、活性部位全体にわたるHIV−1プロテアーゼの骨格が、広範囲にわたってタンパク質−リガンド水素結合相互作用に関わっていることが明らかになったことが示されている。特に、本明細書では、P2−ビス−THFリガンドの両方の酸素が、Asp−29およびAsp−30骨格NHとの水素結合に関与していることも観察されている。また、二環式のリガンドが、S2−サブサイトの疎水性ポケットを埋めているように見える。理論に拘泥するものではないが、薬剤耐性に対するDRVの優れた特性は、P2−ビス−THFによるものと思われる。理論に拘泥するものではないが、本明細書では、薬剤耐性に対抗するためには、阻害剤の設計戦略で、特にタンパク質骨格原子との広範囲にわたる水素結合相互作用を促進するために、阻害剤とHIV−1プロテアーゼ活性部位との相互作用を最大にすることに注力し得たと思われる。本明細書では、骨格との結合を強めれば、一連の多剤耐性HIV−1多様体に対して完全な活性を維持するPIにつながることが、示されている。DRV−結合HIV−1プロテアーゼのタンパク質−リガンドX線構造についての試験結果から、ビス−THFリガンドに別のテトラヒドロフラン環を包含させることで、さらにリガンド結合部位相互作用が生じる場合があることが、見出されている。特に、リガンドの酸素は、Asp29およびAsp30に対する骨格との水素結合を効果的に維持するだけでなく、疎水性ポケットも効果的に埋める場合があるように見える。理論に拘泥するものではないが、これらの相互作用によって、薬剤耐性に対するPIの特性がさらに改善される場合があるようにも思われる。
このようなオキサ三環式(oxatricyclic)のリガンドは、syn−syn−syn(SSS−タイプ)およびsyn−anti−syn(SAS−タイプ)異性体をはじめとして、可能性のある多数の立体化学モチーフを持ち得る。どちらも活性のある化合物ではあるが、本明細書では、SSS−異性体と比較すると、SAS−タイプリガンドベースのPIのほうが親和性が高いことが示される。この観察結果は、X線構造ベースの予備的なモデルの試験によって裏付けられ、SSS−異性体と比較すると、SAS−タイプリガンドベースのPIのほうが、S2−サブサイトで強い相互作用を生み出すのではないかと考えられる。
もうひとつの実施形態では、新規なオキサ三環式[3(R)、3aS、4aS、7aR、8aS]および[3(R)、3aS、4aR、7aS、8aS]−リガンドを設計し、合成し、(R)−ヒドロキシエチルスルホンアミドアイソスターに包含させた。たとえば、化合物33は、顕著な酵素阻害・抗ウイルス活性を示す。臨床で得られたPI耐性が高い一連のHIV−1多様体に対するin vitroでの33の抗ウイルス活性を測定した。33は、現在利用できる多数のPIに対して高い耐性を有する、臨床で得られたすべての被験HIV−1多様体を効果的に抑制したことが、見出された。
理論に拘泥するものではないが、よくできた抗ウイルス薬は、細胞の代謝または機能を乱すことなく、ウイルスの受容体、ウイルスにコードされる酵素、ウイルスの構造成分、ウイルス遺伝子またはその転写物と相互作用することで、ウイルス特異的な作用を発揮すると思われる。しかしながら、今までのところ、現在の抗レトロウイルス薬および抗レトロウイルス剤は、HIV−1に対して完全に特異的ではないか、AIDSの治療の際の毒性または副作用が除去されていないように思われる。これらの問題には、特に注意が払われる。なぜなら、AIDSやその関連疾患にかかった患者は、長期間にわたって、おそらくは残りの人生の最後まで、抗レトロウイルス治療を受けなければならなくなるからである。
理論に拘泥するものではないが、本明細書に記載の化合物は、HIV−1などのヒト免疫不全ウイルス(HIV)にコードされるプロテアーゼを阻害することで、有用性を発揮するかもしれないこともまた、示唆されている。本明細書に記載の化合物は、ホモダイマーのHIV−1プロテアーゼを阻害するかもしれないし、機能的酵素の形成を阻害する(たとえば、タンパク質サブユニットのダイマー化を阻害するなど)かもしれないと、理解できる。これらの化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、HIV感染の予防、HIV感染の治療、この感染によって生じる後天性免疫不全症候群(AIDS)の治療において、化合物、薬学的に許容可能な塩または薬学的組成物成分のいずれかとして、価値のあるものである。
本明細書に記載の化合物を、単独で使用してもよいし、同一または異なる作用モードで作用し得る化合物など、このような疾患の治療に有用な他の化合物との組み合わせで使用してもよいことは、自明である。さらに、本明細書に記載の化合物および組成物を、単独で投与してもよいし、他の抗ウイルス薬、免疫調節薬、抗菌薬、ワクチンなどの他の化合物および組成物とともに投与してもよいことは、自明である。
本明細書で使用する場合、「アルキル」という用語は、任意に分岐していてもよい炭素原子の鎖を含む。本明細書で使用する場合、「アルケニル」および「アルキニル」という用語は、任意に分岐していてもよい炭素原子の鎖を含み、それぞれ、少なくとも1つの二重結合または三重結合を含む。アルキニルが、1つまたは2つ以上の二重結合を含んでもよいことは理解できよう。また、アルキルは、好都合なように長さが制限されている(C〜C24、C〜C12、C〜C、C〜C、C〜Cなど)ことも理解できよう。さらに、アルケニルおよび/またはアルキニルは各々、好都合なように長さが制限されていてもよい(C〜C24、C〜C12、C〜C、C〜C、C〜Cなど)ことも理解できよう。本明細書では、アルキル基、アルケニル基および/またはアルキニル基の長さが短ければ短いほど化合物の親油性の増し方を小さくでき、よって薬物動態挙動も異なるものとなることは、自明である。
本明細書で使用する場合、「シクロアルキル」という用語は、任意に分岐していてもよい炭素原子の鎖を含み、鎖の少なくとも一部が環状である。シクロアルキルアルキルがシクロアルキルのサブセットであることは、理解できよう。シクロアルキルが多環であってもよいことも理解できよう。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2−メチルシクロプロピル、シクロペンチルエチ−2−イル、アダマンチルなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。本明細書で使用する場合、「シクロアルケニル」という用語は、任意に分岐していてもよい炭素原子の鎖を含み、かつ、少なくとも1つの二重結合を含み、この場合の鎖の少なくとも一部は環状である。1つまたは2つ以上の二重結合が、シクロアルケニルの環部分および/またはシクロアルケニルの非環部分にあってもよいことは、理解できよう。シクロアルケニルアルキルおよびシクロアルキルアルケニルは各々、シクロアルケニルのサブセットであることも理解できよう。シクロアルキルは多環であってもよいことも理解できよう。シクロアルケニルの例として、シクロペンテニル、シクロヘキシルエテン−2−イル、シクロヘプテニルプロペニルなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。また、鎖形成シクロアルキルおよび/またはシクロアルケニルは、好都合なように長さが制限されている(C〜C24、C〜C12、C〜C、C〜C、C〜Cなど)ことも理解できよう。本明細書では、それぞれシクロアルキルおよび/またはシクロアルケニルを形成するアルキルおよび/またはアルケニル鎖が短ければ短いほど化合物の親油性の増し方を小さくでき、よって薬物動態挙動も異なるものとなることは、自明である。本明細書で使用する場合、「アルキレン」という用語は、二価のアルキル部分をいう。
本明細書で使用する場合、「ヘテロアルキル」という用語は、炭素と少なくとも1つのヘテロ原子との両方を含み、任意に分岐していてもよい、原子の鎖を含む。ヘテロ原子の例として、窒素、酸素、硫黄があげられる。特定のバリエーションでは、ヘテロ原子の例に、リンおよびセレンも含む。本明細書で使用する場合、ヘテロシクリルおよび複素環を含む「シクロヘテロアルキル」という用語は、ヘテロアルキルなど、炭素と少なくとも1つのヘテロ原子との両方を含み、任意に分岐していてもよい、原子の鎖を含む。この場合、鎖の少なくとも一部が環状である。ヘテロ原子の例として、窒素、酸素、硫黄があげられる。特定のバリエーションでは、ヘテロ原子の例に、リンおよびセレンも含む。シクロヘテロアルキルの例として、テトラヒドロフリル、ピロリジニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルフォリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、キヌクリジニルなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。本明細書で使用する場合、「ヘテロアルキレン」という用語は、二価のヘテロアルキル部分をいう。
本明細書で使用する場合、「アリール」という用語は、各々が任意に置換されていてもよい、芳香族炭素環および芳香族複素環基など、単環および多環の芳香族基を含む。本明細書で使用する場合、「カルバリル」という用語は、各々が任意に置換されていてもよい、芳香族炭素環基を含む。本明細書に記載の芳香族炭素環基の例として、フェニル、ナフチルなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。本明細書で使用する場合、「ヘテロアリール」という用語は、各々が任意に置換されていてもよい、芳香族複素環基を含む。芳香族複素環基の例として、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、テトラジニル、キノリニル、キナゾリニル、キニキサリニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾイソチアゾリルなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。
本明細書で使用する場合、「アミノ」という用語は、基NH、アルキルアミノ、ジアルキルアミノを含み、この場合、ジアルキルアミノの2つのアルキル基は同一であっても異なっていてもよい(すなわち、アルキルアルキルアミノであってもよい)。たとえば、アミノは、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、メチルエチルアミノなどを含む。また、アミノアルキルまたはアシルアミノなど、アミノが別の用語を修飾するか、別の用語によって修飾される場合、アミノという用語の上記のバリエーションもそこに含まれることは、理解できよう。たとえば、アミノアルキルは、HN−アルキル、メチルアミノアルキル、エチルアミノアルキル、ジメチルアミノアルキル、メチルエチルアミノアルキルなどを含む。たとえば、アシルアミノは、アシルメチルアミノ、アシルエチルアミノなどを含む。
本明細書で使用する場合、「アミノおよびその誘導体」という表現は、本明細書に記載したようなアミノならびに、アルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、ヘテロアルキルアミノ、ヘテロアルケニルアミノ、ヘテロアルキニルアミノ、シクロアルキルアミノ、シクロアルケニルアミノ、シクロヘテロアルキルアミノ、シクロヘテロアルケニルアミノ、アリールアミノ、アリールアルキルアミノ、アリールアルケニルアミノ、アリールアルキニルアミノ、アシルアミノなど(各々が任意に置換されていてもよい)を含む。「アミノ誘導体」という用語は、尿素、カルバメートなども含む。
本明細書で使用する場合、「ヒドロキシおよびその誘導体」という表現は、OHならびに、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、ヘテロアルキルオキシ、ヘテロアルケニルオキシ、ヘテロアルキニルオキシ、シクロアルキルオキシ、シクロアルケニルオキシ、シクロヘテロアルキルオキシ、シクロヘテロアルケニルオキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アリールアルケニルオキシ、アリールアルキニルオキシ、アシルオキシなど(各々が任意に置換されていてもよい)を含む。「ヒドロキシ誘導体」という用語は、カルバメートなども含む。
本明細書で使用する場合、「チオおよびその誘導体」という表現は、SHならびに、アルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、ヘテロアルキルチオ、ヘテロアルケニルチオ、ヘテロアルキニルチオ、シクロアルキルチオ、シクロアルケニルチオ、シクロヘテロアルキルチオ、シクロヘテロアルケニルチオ、アリールチオ、アリールアルキルチオ、アリールアルケニルチオ、アリールアルキニルチオ、アシルチオなど(各々が任意に置換されていてもよい)を含む。「チオ誘導体」という用語は、チオカルバメートなども含む。
本明細書で使用する場合、「アシル」という用語は、ホルミルならびに、アルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、ヘテロアルキルカルボニル、ヘテロアルケニルカルボニル、ヘテロアルキニルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、シクロアルケニルカルボニル、シクロヘテロアルキルカルボニル、シクロヘテロアルケニルカルボニル、アリールカルボニル、アリールアルキルカルボニル、アリールアルケニルカルボニル、アリールアルキニルカルボニル、アシルカルボニル、など(各々が任意に置換されていてもよい)を含む。
本明細書で使用する場合、「カルボキシレートおよびその誘導体」という表現は、基COHおよびその塩、そのエステルおよびアミドならびに、CNを含む。
「任意に置換されていてもよい」という表現は、本明細書で使用する場合、ラジカル上で水素原子を任意に置換されていてもよい他の官能基にする置換を含む。このような他の官能基の例として、アミノ、ヒドロキシル、ハロ、チオール、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、アリールヘテロアルキル、ニトロ、スルホン酸およびそれらの誘導体、カルボン酸およびそれらの誘導体などがあげられるが、これらに限定されるものではない。たとえば、アミノ、ヒドロキシル、チオール、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、アリールヘテロアルキルおよび/またはスルホン酸のいずれも、任意に置換されていてもよい。
本明細書で使用する場合、「任意に置換されていてもよいアリール」という表現は、アリール上で水素原子を任意に置換されていてもよい他の官能基で置換することを含む。このような他の官能基の例として、アミノ、ヒドロキシル、ハロ、チオール、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、アリールヘテロアルキル、ニトロ、スルホン酸およびそれらの誘導体、カルボン酸およびそれらの誘導体などがあげられるが、これらに限定されるものではない。たとえば、アミノ、ヒドロキシル、チオール、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、アリールヘテロアルキルおよび/またはスルホン酸のいずれも、任意に置換されていてもよい。
置換基の例として、ラジカル−(CH(式中、xは0〜6の整数であり、Zは、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルカノイルオキシを含むアルカノイルオキシ、任意に置換されていてもよいアロイルオキシ、C〜Cアルキルを含むアルキル、C〜Cアルコキシを含むアルコキシ、C〜Cシクロアルキルを含むシクロアルキル、C〜Cシクロアルコキシを含むシクロアルコキシ、C〜Cアルケニルを含むアルケニル、C〜Cアルキニルを含むアルキニル、C〜Cハロアルキルを含むハロアルキル、C〜Cハロアルコキシを含むハロアルコキシ、C〜Cハロシクロアルキルを含むハロシクロアルキル、C〜Cハロシクロアルコキシを含むハロシクロアルコキシ、アミノ、C〜Cアルキルアミノ、(C〜Cアルキル)(C〜Cアルキル)アミノ、アルキルカルボニルアミノ、N−(C〜Cアルキル)アルキルカルボニルアミノ、アミノアルキル、C〜Cアルキルアミノアルキル、(C〜Cアルキル)(C〜Cアルキル)アミノアルキル、アルキルカルボニルアミノアルキル、N−(C〜Cアルキル)アルキルカルボニルアミノアルキル、シアノ、ニトロから選択されるか、あるいは、Zは、−COおよび−CONR(式中、R、R、Rは各々独立に、出現する都度、水素、C〜Cアルキル、アリール−C〜Cアルキルから選択される)から選択される)があげられるが、これらに限定されるものではない。
「プロドラッグ」という用語は、本明細書で使用する場合、主に、生物系に投与されると、1つまたは複数の自然な化学反応、1つまたは複数の酵素による化学反応および/または1つまたは複数の代謝化学反応あるいは、これらの組み合わせのうちの1つまたは2つ以上の結果として、生物学的に活性な化合物を生成する化合物をいう。in vivoでは、プロドラッグは一般に、酵素(エステラーゼ、アミダーゼ、ホスファターゼなど)、単純な生物化学または他のin vivoでのプロセスによって作用して、薬理学的に一層活性の高い薬剤を遊離または再生させる。この活性化は、被投与体の内在性酵素の作用によって起こることもあれば、プロドラッグの投与前、投与後あるいは投与時に被投与体に投与される非内在性の酵素の作用によって起こることもある。プロドラッグの使用に関するこれ以上の詳細については、米国特許第5,627,165号およびPathalk et al., Enzymic protecting group techniques in organic synthesis, Stereosel. Biocatal. 775-797 (2000)に記載されている。プロドラッグは、ターゲット・デリバリー、安全性、安定性などの目的が達成されると、好都合なことにすぐに元の薬剤に変換され、その後すみやかにプロドラッグを形成している基の放出された残りが排出されることは、自明である。
プロドラッグは、最終的にin vivoで切断されて、−OH−、−SH、−COH、−NRなどの化合物に存在する1つまたは2つ以上の官能基になる基を結合することによって、本明細書に記載の化合物から調製してもよいものである。プロドラッグの例として、基が、アルキル、アリール、アラルキル、アシルオキシアルキル、アルコキシカルボニルオキシアルキルであるカルボキシレートエステルならびに、結合した基が、アシル基、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、ホスフェートまたはスルフェートであるヒドロキシル、チオールおよびアミンのエステルがあげられるが、これらに限定されるものではない。活性エステルとも呼ばれるエステルの例として、1−インダニル、N−オキシスクシンイミド;アセトキシメチル、ピバロイルオキシメチル、β−アセトキシエチル、β−ピバロイルオキシエチル、1−(シクロヘキシルカルボニルオキシ)プロピ−1−イル、(1−アミノエチル)カルボニルオキシメチルなどのアシルオキシアルキル基;エトキシカルボニルオキシメチル、α−エトキシカルボニルオキシエチル、β−エトキシカルボニルオキシエチルなどのアルコキシカルボニルオキシアルキル基;ジメチルアミノメチル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノメチル、ジエチルアミノエチルなどの、ジ−低級アルキルアミノアルキル基を含むジアルキルアミノアルキル基;2−(イソブトキシカルボニル)ペンタ−2−エニル、2−(エトキシカルボニル)ブタ−2−エニルなどの2−(アルコキシカルボニル)−2−アルケニル基;フタリジル、ジメトキシフタリジルなどのラクトン基があげられるが、これらに限定されるものではない。
別のプロドラッグの例には、本明細書に記載の化合物の溶解性および/または安定性を高めるよう機能するアミドまたはリン基などの化学的な部分を含む。アミノ基用の別のプロドラッグの例として、(C〜C20)アルカノイル;ハロ−(C〜C20)アルカノイル;(C〜C20)アルケノイル;(C〜C)シクロアルカノイル;(C〜C)−シクロアルキル(C〜C16)アルカノイル;未置換のアロイルあるいは、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシからなる群から選択される1〜3個の置換基(各々、1〜3個のハロゲン原子のうちの1つまたは2つ以上で任意にさらに置換されていてもよい)で置換されたアロイルなどの任意に置換されていてもよいアロイル;未置換のアリールラジカルあるいは、ハロゲン、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシからなる群から選択される1〜3個の置換基(各々、1〜3個のハロゲン原子で任意にさらに置換されていてもよい)で置換されたアリールラジカルなどの任意に置換されていてもよいアリール(C〜C16)アルカノイル;未置換であるか、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシからなる群から選択される1〜3個の置換基(各々、1〜3個のハロゲン原子で任意にさらに置換されていてもよい)で置換されたヘテロアリールラジカルなど、ヘテロアリール部分にO、S、Nから選択される1〜3個のヘテロ原子を有し、アルカノイル部分に2〜10個の炭素原子を有する、任意に置換されていてもよいヘテロアリールアルカノイルがあげられるが、これらに限定されるものではない。ここに例示した基は、あくまで例にすぎず、すべてを網羅したものではなく、従来のプロセスで調製できるものである。
プロドラッグ自体は、有意な生物学的活性を持つのではなく、in vivoへの投与後に、1つまたは複数の自然な化学反応、1つまたは複数の酵素による化学反応および/または1つまたは複数の代謝化学反応あるいは、これらの組み合わせのうちの1つまたは2つ以上が生じて、生物学的に活性であるか、生物学的に活性な化合物の前駆体である、本明細書に記載の化合物を生成する場合もあることは、理解できよう。しかしながら、場合によっては、プロドラッグが生物学的に活性であることは自明である。また、プロドラッグは、経口バイオアベイラビリティ、薬力学的半減期などの改善によって、薬剤の有効性または安全性を改善するよう機能し得ることが多いのも自明である。プロドラッグとは、望ましくない薬剤特性を単にマスクするか、薬剤の送達性を改善する基を含む本明細書に記載の化合物の誘導体もいう。たとえば、1つまたは2つ以上の本明細書に記載の化合物が、うまくゆけば抑制されまたは最低限に抑えられるような、望ましくない特性を示し、薬剤の臨床応用時に、薬剤の経口吸収率の低さ、部位特異性の欠如、化学的不安定さ、毒性、患者による許容しくにさ(味が悪い、臭い、注射部位の痛みなど)といった、薬理学的、薬学的または薬物動態学的障壁になるかもしれない。本明細書では、プロドラッグまたは可逆的誘導体を用いる他の戦略が、薬剤の臨床用途を最適化するにあたって有用なものとなり得ることは自明である。
「治療有効量」という用語は、本明細書で使用する場合、研究者、獣医師、医師または他の臨床医が求めている組織系、動物またはヒトにおいて生物学的または医学的応答を引き出す(これには、治療対象となる疾患または障害の症状を軽減することを含む)活性化合物または薬剤の量をいう。一態様では、治療有効量は、疾患または疾患の症状を、あらゆる医療に適用可能な妥当な便益/危険比で、治療または軽減できるものである。しかしながら、本明細書に記載の化合物および組成物の日々の合計使用量については、主治医が信頼できる医学的判断の範囲内で決定すればよいことを、理解されたい。個々の患者にとっての具体的な治療有効用量レベルは、治療対象となる障害および障害の重篤度;使用する特定の化合物の活性;使用する特定の組成物;患者の年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事:投与時期、投与経路、使用する特定の化合物の排泄速度;治療期間;使用する特定の化合物と組み合わせてまたは同時に用いる薬剤;通常の技術を有する研究者、獣医師、医師または他の臨床医らに周知の同様の要因をはじめとして、多岐にわたる要因に左右される。
また、治療有効量は、単独療法をいうにしろ併用療法をいうにしろ、本明細書に記載の化合物のうち1つまたは2つ以上を投与する際に生じ得る毒性または他の望ましくない副作用を基準に、都合よく選択されることも自明である。さらに、本明細書に記載の併用療法によって、そのような毒性または他の望ましくない副作用を示す化合物をそれまでより低用量で投与できるようになることもある。この場合、その低用量は、毒性の閾値未満であるか、治療域において、併用療法を使用しないで投与される量よりも少ない。
本明細書で使用する場合、「組成物」という用語は主に、指定の成分を指定の量で含む生成物のみならず、直接的または間接的に、指定の成分を指定の量で用いた組み合わせから得られる生成物をいう。本明細書に記載の組成物を、本明細書に記載の単離された化合物から調製してもよいし、本明細書に記載の化合物の塩、溶液、水和物、溶媒和物および他の形態から調製してもよいことは、理解できよう。また、本明細書に記載の化合物のアモルファス、非アモルファス、部分結晶性、結晶性および/または他の形態などから組成物を調製してもよいことも理解できよう。また、本明細書に記載の化合物のさまざまな水和物および/または溶媒和物から組成物を調製してもよいことも理解できよう。したがって、本明細書に記載の化合物に関連するこのような薬学的組成物は、本明細書に記載の化合物のさまざまな形態的な構造および/または溶媒和物または水和物の構造の各々または組み合わせを含むものと理解される。たとえば、組成物は、1種類または2種類以上のキャリア、希釈剤および/または賦形剤を含むものであってもよい。本明細書に記載の化合物またはこれらを含む組成物を、治療有効量で、本明細書に記載の方法に適した従来の剤形で調製してもよい。本明細書に記載の化合物またはこれらを含む組成物(このような調製物など)は、本明細書に記載の方法に合った多岐にわたる従来の経路かつ、多岐にわたる剤形で、既知の手順(概要については、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, (21st ed., 2005)を参照のこと)を用いて、投与できるものである。
本明細書に記載の方法では、同時投与または組み合わせの個々の成分を、好適な手段によって、同時期に、同時に、逐次的に、別々にまたは単一の製剤調製物で投与可能であることを理解されたい。同時投与対象の化合物または組成物を別々の剤形で投与する場合、化合物ごとに、投与される1日あたりの投与数が同じであっても異なっていてもよい。化合物または組成物を、同一の投与経路で投与してもよいし、異なる投与経路で投与してもよい。化合物または組成物を、同時治療レジメンまたは交互治療レジメンに従って、治療過程の同一または異なる時点で、単一の形態または分割した形態で同時に投与してもよい。
経口投与経路の例としては、錠剤、カプセル、エリキシル剤、シロップなどがあげられる。
非経口投与経路の例としては、静脈内、動脈内、腹腔内、硬膜外、尿道内、胸骨内、筋肉内、皮下のみならず、従来技術において認識されている他の非経口投与経路があげられる。非経口投与手段の例としては、針(マイクロニードルを含む)、注射器、無針注射器、点滴技術のみならず、従来技術において認識されている他の非経口投与手段があげられる。非経口調製物は一般に、塩、炭水化物、緩衝剤(好ましくはpHが約3〜約9の範囲である)などの賦形剤を含有してもよい水溶液であるが、用途によっては、滅菌水などの適切な溶媒とともに使用される乾燥形態または滅菌非水溶液として、一層適切に調製されてもよい。たとえば凍結乾燥による滅菌条件下での非経口調製物の調製は、当業者間で周知の標準的な製剤技術を用いて容易に達成できるものである。化合物の非経口投与は、たとえば、生理食塩水の形態で、あるいは化合物をリポソームに包む形で実施される。化合物それ自体が、溶解できるほど十分な溶解性を持たない場合は、エタノールなどの可溶化剤を用いることも可能である。
本明細書にあげた組み合わせの各化合物の投与量は、投与方法、治療対象となる状態、その状態の重篤度、その状態が治療対象であるのか予防対象であるのか、治療対象となる人の年齢、体重、健康状態をはじめとして、さまざまな要因に左右される。また、特定の患者に関する薬理ゲノミクス(治療薬の遺伝子型が薬物動態、薬力学的または有効性プロファイルに与える影響)情報が、使用する投与量に影響することもある。
本明細書に記載の化合物の薬学的組成物をつくるにあたり、本明細書に記載のさまざまな形態のうちのいずれかを有する、治療有効量の1種類または2種類以上の化合物を、1種類または2種類以上の賦形剤と混合、1種類または2種類以上の賦形剤で希釈あるいは、カプセル、サシェ、紙などの容器の形態であり得るキャリア内に封入してもよい。賦形剤は、希釈剤として機能することもあり、活性成分用の溶媒、キャリアまたは媒体として作用する、固体、半固体または液体の材料が可能である。このため、調製物の組成物は、錠剤、ピル、粉末、薬用ドロップ、サシェ、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁液、エマルション、溶液、シロップ、エアロゾル(固体としてまたは液体媒体中)、軟膏、ソフトゼラチンカプセルおよびハードゼラチンカプセル、坐剤、滅菌注射溶液、無菌包装粉末剤の形態であってもよい。組成物は、選択した用量および剤形に応じて、約0.1%〜約99.9%のいずれかの活性成分を含有するものであってもよい。
好適な賦形剤のいくつかの例として、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、スターチ、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロースがあげられる。調製物は、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ミネラルオイルなどの潤滑剤;湿潤剤;乳化剤および懸濁剤;メチルヒドロキシベンゾエートおよびプロピルヒドロキシベンゾエートなどの保存剤;甘味料;香味料をさらに含むものであっても構わない。従来技術において知られた手順を用いることで、患者への投与後の活性成分の即時放出、持続放出または遅延放出を提供するように、組成物を調製可能である。本明細書に記載の組成物を調製するのに用いるキャリア、希釈剤、賦形剤が、好都合なことに、GRAS(一般に安全であるとみなされる;generally regarded as safe)化合物であることは自明である。
乳化剤の例として、天然に生じるゴム(たとえば、アカシアゴムまたはトラガントゴムなど)および天然に生じるホスファチド(たとえば、ダイズレシチンおよびソルビタンモノオレエート誘導体など)があげられる。酸化防止剤の例として、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビン酸およびその誘導体、トコフェロールおよびその誘導体、ブチルヒドロキシアニソール、システインがあげられる。保存剤の例として、メチルp−ヒドロキシベンゾエートまたはプロピルp−ヒドロキシベンゾエートなどのパラベン、塩化ベンザルコニウムがあげられる。保水剤の例として、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、尿素があげられる。浸透促進剤の例として、プロピレングリコール、DMSO、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、2−ピロリドンおよびその誘導体、テトラヒドロフルフリルアルコール、AZONEがあげられる。キレート剤の例として、ナトリウムEDTA、クエン酸、リン酸があげられる。ゲル形成剤の例として、CARBOPOL、セルロース誘導体、ベントナイト、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドンがあげられる。軟膏ベースの例として、蜜蝋、パラフィン、パルミチン酸セチル、植物油、脂肪酸のソルビタンエステル(Span)、ポリエチレングリコール、脂肪酸のソルビタンエステルと酸化エチレンとの縮合物(たとえば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(TWEEN)など)があげられる。
方法および実施例
Syn−Syn−Syn SSS)トリス−THFアルコール
Figure 0006006211

スキーム1.SSS−タイプのトリス−THFリガンド8および10の合成
Syn−Syn−Syn(SSS)−タイプのトリス−THFアルコールの合成
縮合Syn−Syn−Syn(SSS)−タイプのトリス−テトラヒドロフラン(トリス−THF)リガンド8および10を、スキーム1に概要を示したようにして合成した。既知の手順に従って、(3R、3aS、6aR)−3−ヒドロキシヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン(ビス−THFアルコール)2を調製した。トリフェニルホスフィンとヨウ素を用いて、ビス−THFアルコール2を収率90%で対応するヨウ化物3に変換し、そこからβ除去して環状ビニルエーテル4を生成した。化合物4は揮発性が高く、これをそのまま溶媒の存在下で次の反応に使用した。よって、3工程で、環状ビニルエーテル4を、CHCl中、0℃にてNISとプロパルギルアルコールで処理し、収率58%でヨウ化物5を生成した。AIBNで開始した5のラジカル環化によって、対応するトリス−THFアルケン6を生成した。これを、2工程で、オゾン分解によって切断し、収率68%でトリス−THFケトン7を生成した。7のsyn−syn−syn構成をNOESYとX線結晶構造(図1)で確認した。L−セレクトリドでのケトン7の還元によって、収率85%で単一の異性体としてアルコール8を生成した。同じ手順で、1を開始材料として用いて、エナンチオマー10を調製した。
Syn−Anti−Syn(SAS)−タイプのトリス−THFアルコールの合成
スキーム2に示すようにして、市販の2,3−ジヒドロフランを還流下にてエチルジアゾアセテートと無水CuSOで処理し、テトラヒドラフラニルシクロプロパニルエステル11(4:1dr)を生成した。得られるエステルをLAH還元し、対応する第1級アルコール12を定量収率で生成した。第1級アルコール12をIBXで酸化することで対応する無水物が得られ、これをin−situで配置調整して環状ラセミビニルエーテル4を生成した。この経路を用いて、3工程で、2,3−ジヒドロフランから収率35%でラセミ体であるアルケン4を得ることができた。比較のためあげておくと、スキーム1に記載した方法で同じアルケン4を得るには、6工程が必要である。
Figure 0006006211


スキーム2.シクロプロピルエステル11からのビス−THFアルケン4の合成
SAS環縮合を用いるトリス−THFの合成経路を、スキーム3に示す。直前に調製した、アセトンを含まないDMDOのCHCl溶液に、アルケン4を−78℃で曝露して対応するエポキシドを得て、これをメタノール/ナトリウムメトキシドで開環して、収率96%でアルコール13を得た。触媒量(10%)のナトリウムメトキシドの添加は、この反応に不可欠である。H−NMRカップリング定数比較とNOE分析によって、立体異性を確認した。アルコール13をデス・マーチン試薬で酸化して、対応するケトンを得た。2工程で、このケトンを用いてL−セレクトリドを還元し、収率58%で排他的に、3位のOHが反転したアルコール14を得た。
Figure 0006006211


スキーム3.SAS−タイプのトリス−THFアルコール(±)−19の合成
H−NMRとNOE分析によって、立体異性の反転が容易に確認できた。アルコール14のアシル化と、その後のTMSOTfによって促進されるプロパルギルアルコール交換反応によるグリコシル化によって、対応するアセタール15および16を、4:1の比で、分離できない混合物として得た。アセチル保護基を除去した後、フラッシュクロマトグラフィーによって2つのジアステレオマーが容易に分離でき、対応するアルコールが得られた。生じたアルコールを、1)チオカルボニル誘導体17に対する中性条件下で、1,1’−チオカルボニルジイミダゾールを用いて、収率95%でヒドロキシル基をチオカルボニル誘導体に変換する、2)AIBNによって開始される、還流しているトルエン中での水酸化トリ−n−ブチルスズでのラジカル環化によって、収率75%で3員環のアルケン18を得る、という2工程のシーケンスで、3員環のアルケン18に変換した。生じたアルケン18の二重結合を、CHCl/CHOH中、−78℃にてO流で切断することで、対応する3員環のケトンが収率89%で得られた。生じたケトンを用いてL−セレクトリドを還元することで、収率95%で排他的に、ラセミ体であるSAS−タイプのトリス−THFアルコール(±)−19が得られた。
Figure 0006006211

スキーム4.リパーゼ30を用いるトリス−THFアルコール(±)−19の速度論的光学分割
ラセミ体であるSAS−タイプのトリス−THFアルコール(±)−19を用い、高光学純度のトリス−THFアルコールを生成するための手順を本明細書に記載する(スキーム3.7)。ビス−THFアルコールを調製する戦略に基づいて、酵素速度論的光学分割を使用して2つのエナンチオマーを分離した。このため、ラセミ体である化合物(±)−19を、固定化したリパーゼ30、酢酸ビニル、DMEで36時間かけて分割することで、遊離アルコール(+)−19が収率49%で、アシル化生成物20が収率47%で得られた。エステル20をKCOとメタノールで加水分解し、他のSAS−タイプのトリス−THFエナンチオマー(−)−19を収率100%で得た。
THF−Cy−THF P2リガンド28および30の合成
リガンド28の合成を、スキーム3.8に示す。過去に報告のある手順に従って、高光学純度のシクロペンテニルアルコール22を調製した。アセテート22のTBS保護と加水分解によって、定量収率でアルコール23を得た。これを、2工程で、エチルビニルエーテルおよびNBSのCHCl溶液で対応するブロモアセタールに変換した後、TBSを除去し、収率85%でアルコール24を得た。アルコール24を、TBAIの存在下、NaHとプロパルギルブロミドで処理し、収率90%で環化前駆体25を得た。AIBNによって開始される、還流しているトルエン中での水酸化トリ−n−ブチルスズを用いるカスケード環化によって、収率79%で3員環のアルケン26を得た。三フッ化ホウ素ジエチルエーテルおよびトリエチルシランでのアセタール還元によって、収率76%でアルケン27を得た。−78℃でオゾン化して二重結合を切断した後、単一の操作で−15℃にてNaBH還元し、収率85%でP2リガンド28を得た。
2工程で、アルコール23を光延反応条件下で処理した後、ひきつづき加水分解することで、対応する反転アルコール29が収率90%で得られた。前述したものと同じ手順で、リガンド30を合成した。
Figure 0006006211

スキーム5.THF−Cp−THFアルコール28および30の合成
阻害剤31〜36の合成
阻害剤31〜36の合成について、スキーム6に概要を示す。さまざまな溶媒中、クロロギ酸p−ニトロフェニルとN−メチルモルホリンを使用して、リガンドアルコールを対応するp−ニトロフェニルカーボネート37a〜fに変換した。市販のエポキシド38を、2−プロパノール中、65℃で3時間かけてイソブチルアミンで開環した。過去に報告のある手順に従って、この未精製の生成物をスルホン化し、定量収率でアイソスター39を得た。アイソスター39をトリフルオロ酢酸で処理した後、対応するカーボネート37a〜fとアミンカップリングし、阻害剤31〜36を得た。
Figure 0006006211

スキーム6.阻害剤31〜36の合成
表1.化合物31〜36の酵素阻害活性ならびに、選択した阻害剤のHIV−1LAIに対する抗ウイルス活性
Figure 0006006211

Figure 0006006211

Figure 0006006211

阻害剤33、34の耐性プロファイル
PHA−PBMにおける、臨床で得られた多剤耐性単離株に対する33および34の相対的な抗ウイルス活性
Figure 0006006211

Los Alamosデータベースから引用したコンセンサスタイプB配列と比較した、HIV−1ERS104pre、HIV−1、HIV−1、HIV−1、HIV−1TM、HIV−1MM、HIV−1JSLのプロテアーゼコード領域で同定されたアミノ酸置換は、それぞれ、L63P;L10I、K14R、L33I、M36I、M46I、F53I、K55R、I62V、L63P、A71V、G73S、V82A、L90M、I93L;L10I、I15V、K20R、L24I、M36I、M46L、I54V、I62V、L63P、K70Q、V82A、L89M;L10I、V11I、T12E、I15V、L19I、R41K、M46L、L63P、A71T、V82A、L90M;L10I、K14R、R41K、M46L、I54V、L63P、A71V、V82A、L90M;I93L;L10I、K43T、M46L、I54V、L63P、A71V、V82A、L90M、Q92K;L10I、L24I、I33F、E35D、M36I、N37S、M46L、I54V、R57K、I62V、L63P、A71V、G73S、V82Aを含む。HIV−1ERS104preは、野生型HIV−1の供給源として機能した。PHA−PBMを標的細胞として用いてIC50値を求め、各薬剤によるp24 Gagタンパク質産生の阻害を評価項目として用いた。括弧内の数字は、野生型HIV−1ERS104preのIC50値と比較して、それぞれの単離株でIC50値が何倍に増えたかを示す。アッセイはすべて二重に実施した。

Claims (5)

  1. 以下の式で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
    Figure 0006006211
    (式中、
    1は結合であり、R6は水素であり、
    2は、S(O)2であり、R4は、任意に置換されていてもよいアリールであり、
    1およびR2は、それぞれ水素であり、
    3は、各々が任意に置換されていてもよい、スルホニル、アシル、アミノ、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、
    5は、任意に置換されていてもよいアリールアルキルであり、
    Zは、
    Figure 0006006211
    のうちのいずれかである。
  2. 3はイソブチルである、請求項1に記載の化合物。
  3. 以下のうちから選ばれる、請求項1または2に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩。
    Figure 0006006211
    Figure 0006006211
    Figure 0006006211
  4. HIV感染を治療する方法に使用するための薬学的組成物であって、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物のうちの1種類以上と、キャリア、希釈剤、もしくは賦形剤、またはこれらの組み合わせのうちの1つ以上とを含む、薬学的組成物。
  5. HIV感染を緩和する必要のある患者を治療するための方法に用いられる、請求項4に記載の薬学的組成物。
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