本発明の水性複合樹脂組成物は、スルホン酸塩基を有するポリエステル樹脂(a1)粒子中に、エポキシ樹脂(a2)の一部または全部が内在し形成した複合樹脂粒子(A)、水性媒体(B)、硬化剤(C)、及び、必要に応じてその他の添加剤を含有するもののうち、前記複合樹脂粒子(A)を構成する前記ポリエステル樹脂(a1)と前記エポキシ樹脂(a2)との質量割合[(a1)/(a2)]が95/5〜30/70の範囲で含むものを使用し、かつ、前記硬化剤(C)としてカルボキシル基もしくはその中和塩基を有する樹脂粒子(c1)を含むものを使用することを特徴とするものである。
はじめに、本発明では、スルホン酸塩基を有するポリエステル樹脂(a1)粒子中に、エポキシ樹脂(a2)の一部または全部が内在し形成した複合樹脂粒子のうち、前記ポリエステル樹脂(a1)と前記エポキシ樹脂(a2)との質量割合が前記特定範囲のものを使用することが、優れた保存安定性と、優れた耐水性や耐溶剤性等の塗膜物性とを両立するうえで重要である。
ここで、前記ポリエステル樹脂(a1)と前記エポキシ樹脂(a2)とは、それぞれ別々に独立して樹脂粒子を形成し水性媒体(B)中に分散等した状態で存在するものではなく、エポキシ樹脂(a2)が前記ポリエステル樹脂(a1)によって水性媒体(B)中に分散された状態で存在する。具体的には、前記ポリエステル樹脂(a1)粒子中に、前記エポキシ樹脂(a2)の一部または全部が内在し複合樹脂粒子(A)を形成し存在する。
前記複合樹脂粒子(A)としては、一部または全部のエポキシ樹脂(a2)が前記ポリエステル樹脂(a1)粒子内部に、単一または複数の粒子状に分散したものであることが好ましく、前記エポキシ樹脂(a2)がコア部を形成し、前記ポリエステル樹脂(a1)がシェル部を形成した複合樹脂粒子(A)であることが好ましい。
前記複合樹脂粒子(A)は、水性媒体(B)中に分散した状態においては、その複合樹脂粒子(A)内部で、実質的に架橋構造を形成していないものであることが好ましい。
ここで、前記「実質的に架橋構造を形成していない」とは、複合樹脂粒子(A)の内部、具体的にはシェル部を構成するポリエステル樹脂(a1)間、コア部を構成するエポキシ樹脂(a2)間、もしくは前記ポリエステル樹脂(a1)とエポキシ樹脂(a2)との間で架橋構造を形成していない、または、本発明の水性複合樹脂組成物の保存安定性等を阻害しない程度の微少の架橋構造を形成した状態を指す。かかる複合樹脂粒子(A)内部の架橋密度は、本発明の水性複合樹脂組成物の優れた保存安定性と優れた造膜性とを両立し、かつ優れた耐水性や耐溶剤性を備えた塗膜を形成するうえで、できるだけ低いことが好ましく、架橋構造を形成していないことがより好ましい。
また、本発明では、前記複合樹脂粒子(A)として、単に、前記ポリエステル樹脂(a1)粒子中に、前記エポキシ樹脂(a2)の一部または全部が内在した複合樹脂粒子(A)を使用すればよいのではなく、前記ポリエステル樹脂(a1)と前記エポキシ樹脂(a2)との質量割合[(a1)/(a2)]が95/5〜30/70という特定の割合であることが重要である。
ここで、前記質量割合が95/5を超えると、塗膜の耐水性や耐溶剤性の低下を引き起こす場合がある。一方、前記質量割合が30/70未満となると、水性媒体(B)中における良好な保存安定性を維持することが困難な場合がある。
したがって、本発明では、前記ポリエステル樹脂(a1)と前記エポキシ樹脂(a2)との質量割合[(a1)/(a2)]が80/20〜30/70であることが好ましく、60/40〜30/70の範囲であることがより好ましく、55/45〜30/70の範囲であることが、特に優れた耐水性や耐溶剤性を備えた塗膜を形成するうえでさらに好ましい。
また、前記複合樹脂粒子(A)は、水性媒体(B)中に分散するために必要な親水性基としてスルホン酸塩基を有する。前記スルホン酸塩基は、スルホン酸基が例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、銅、鉄等の金属と塩構造を形成したものである。具体的には、前記スルホン酸塩基は、前記スルホン酸基が、水酸化ナトリウムや水酸化リチウム等の塩基性化合物によって中和されたものである。前記スルホン酸塩基は、例えばアンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン等の塩基性化合物を用いて中和されたものであってもよい。
前記スルホン酸塩基の優れた水分散性によって、長期にわたる優れた保存安定性を水性複合樹脂組成物に付与することが可能となる。また、前記スルホン酸塩基が複合樹脂粒子(A)中に存在することによって、前記複合樹脂粒子(A)全体に占めるエポキシ樹脂(a2)の質量割合を増加することができ、その結果、耐水性や耐溶剤性により一層優れた塗膜を形成することが可能となる。
ここで、前記スルホン酸塩基の代わりにカルボキシル基やその中和塩であるカルボキシレート基を有する複合樹脂粒子を使用した場合には、長期にわたる優れた保存安定性や耐水性を水性複合樹脂組成物に付与することができない場合や、前記カルボキシル基と前記エポキシ樹脂(a2)の有するエポキシ基との反応に起因したゲル化等を引き起こす場合がある。また、前記カルボキシル基等では、前記複合樹脂粒子(A)全体に占めるエポキシ樹脂(a2)の質量割合を、概ね40質量%程度以上に調整することが困難であるため、前記耐水性や耐溶剤性に優れた塗膜を形成することのできない場合がある。
また、前記スルホン酸塩基は、一般に、カルボン酸塩基等と比較して親水性であることから、前記スルホン酸塩基を樹脂中に導入することによって、形成される塗膜の耐水性の低下を引き起こすことが、通常、懸念される。
しかし、本発明では、前記スルホン酸塩基を有するポリエステル樹脂(a1)を使用した場合であっても、前記のとおりエポキシ樹脂(a2)の割合を5質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上とすることによって、保存安定性を損なうことなく、耐水性のより一層の向上を実現することが可能となる。
前記スルホン酸塩基は、前記複合樹脂粒子(A)のシェル部を構成する前記ポリエステル樹脂(a1)中に存在することが好ましい。前記スルホン酸塩基は、前記ポリエステル樹脂(a1)の全量に対して、0.1mol/kg〜1mol/kgの範囲で存在することが好ましく、0.2mol/kg〜0.6mol/kgの範囲で存在することが、長期にわたる優れた保存安定性と、塗膜の優れた耐水性や耐溶剤性とを両立するうえで特に好ましい。
前記複合樹脂粒子(A)を構成するポリエステル樹脂(a1)としては、スルホン酸塩基を有するポリエステル樹脂(a1)を使用することができる。具体的には、芳香族ポリエステル樹脂や脂肪族ポリエステル樹脂等を使用することができ、芳香族ポリエステル樹脂を使用することが、耐水性及び耐溶剤性に優れた塗膜を形成するうえで好ましい。
前記ポリエステル樹脂(a1)としては、5,000〜30,000の重量平均分子量を有するものを使用することが好ましく、5,000〜15,000の範囲であることがより好ましい。重量平均分子量が前記した範囲内であれば、優れた耐水性や耐溶剤性や保存安定性を損なうことなく、適度な粘度で良好な塗工作業性や造膜性を付与することが可能となる。
前記ポリエステル樹脂(a1)としては、30℃〜100℃のガラス転移温度を有するものを使用することが好ましい。前記ガラス転移温度を有するポリエステル樹脂(a1)であれば、優れた耐水性や耐溶剤性や保存安定性を損なうことなく、適度な粘度で良好な塗工作業性や造膜性を付与することが可能となる。
前記ポリエステル樹脂(a1)としては、ポリオール(a1−1)とポリカルボン酸(a1−2)とを反応させて得られるものを使用することができる。
また、前記ポリエステル樹脂(a1)の有するスルホン酸塩基は、前記ポリオール(a1−1)やポリカルボン酸(a1−2)の一部として、例えばスルホン酸基またはスルホン酸塩基を有するポリオールやスルホン酸基またはスルホン酸塩基を有するポリカルボン酸等のスルホン酸基またはスルホン酸塩基を有する化合物を使用することによって、ポリエステル樹脂(a1)中に導入することができる。
前記ポリオール(a1−1)としては、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の脂肪族ポリオールや、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族環式構造含有ポリオール等を使用することができる。また、前記ポリオールとしては、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の水酸基を3個以上有するポリオールを使用することもできる。
また、前記ポリオール(a1−1)としては、その一部または全部にスルホン酸基またはスルホン酸塩基を有する化合物としてスルホン酸基またはスルホン酸塩基を有するポリオールを使用することもでき、例えば2−ブテン−1,4−ジオール等の不飽和基含有ポリオールをスルホン化することによって得られるスルホン酸スルホン酸基またはスルホン酸塩基を有するポリオールを使用することができる。
前記ポリオール(a1−1)と反応しうる前記ポリカルボン酸(a1−2)としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ポリカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、水添ダイマー酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、ダイマー酸等の飽和又は不飽和の脂肪族ポリカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸及びその無水物、テトラヒドロフタル酸及びその無水物等の脂肪族環式構造含有ポリカルボン酸等を使用することができる。なかでも、優れた耐水性及び耐溶剤性を付与する観点から、芳香族ポリカルボン酸(a1−2−1)を使用することが好ましく、テレフタル酸やイソフタル酸等を使用することがより好ましい。
また、前記ポリカルボン酸(a1−2)としては、前記したものの他に、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水べンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等の3個以上のカルボキシル基を有するものを使用することができる。
前記ポリカルボン酸(a1−2)としては、その一部または全部にスルホン酸基またはスルホン酸塩基を有するポリカルボン酸を使用することができる。例えば4−スルホイソフタル酸、5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸やそれらの金属塩等が挙げられる。特に好ましいものは、5−ナトリウムスルホイソフタル酸や、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル等のそれらのエステル化物等が挙げられる。
なかでも、長期にわたる保存安定性を損なうことなく、優れた耐水性や耐溶剤性を付与する観点から、5−ナトリウムスルホイソフタル酸やそのエステル化物を使用することが好ましく、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルを使用することがより好ましい。
また、前記複合樹脂粒子(A)を構成するエポキシ樹脂(a2)は、形成する塗膜に優れた耐水性や耐溶剤性を付与するうえで必須であり、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
なかでも、架橋点となりうるエポキシ基を多数有するクレゾールノボラック型エポキシ樹脂やフェノールノボラック型エポキシ樹脂を使用することが、より一層優れた耐水性や耐溶剤性を付与するうえで好ましい。
また、前記エポキシ樹脂(a2)は、前記ポリエステル樹脂(a1)粒子中に内在し複合樹脂粒子(A)を形成する観点から、前記ポリエステル樹脂(a1)よりも疎水性であることが好ましい。前記疎水性とは、水に対して溶解しにくい性質を指し、例えば、25℃の水の質量に対して溶解する割合(溶解性)が、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下であるものを指す。
前記エポキシ樹脂(a2)としては、塗膜の架橋密度を向上させ、塗膜の耐水性や耐溶剤性をより一層向上する点から100〜2000(g/eq)以下のエポキシ当量を有するものを使用することが好ましく、1000(g/eq)以下がより好ましく、500(g/eq)以下であることが特に好ましい。
前記複合樹脂粒子(A)は、例えば無溶剤下または溶剤下で前記ポリオール(a1−1)と前記ポリカルボン酸(a1−2)とを、エステル化反応することによってポリエステル樹脂(a1)を製造し、次いで前記ポリエステル樹脂(a1)と、前記エポキシ樹脂(a2)と水性媒体(B)等とを混合することによって製造することができる。
前記ポリエステル樹脂(a1)を製造する方法としては、具体的には、無溶剤下または有機溶剤下で前記ポリオール(a1−1)と前記ポリカルボン酸(a1−2)とを、従来知られる方法でエステル化反応することによってポリエステル樹脂(a1)を製造し、次いで、必要に応じて水性媒体(B)や有機溶剤等の溶媒等を混合等することによって製造することができる。
前記エステル化反応は、具体的には、不活性ガス雰囲気中で触媒の存在下または不存在下に、前記ポリオール(a1−1)と前記ポリカルボン酸(a1−2)とを好ましくは180℃〜300℃に加熱してエステル化あるいはエステル交換反応させ、次いで減圧下に重縮合させる方法で行うことができる。
また、前記ポリエステル樹脂(a1)を製造する際に使用するスルホン酸基またはスルホン酸塩基を有する化合物は、前記ポリオール(a1−1)及び前記ポリカルボン酸(a1−2)の合計質量に対して3質量%〜30質量%の範囲で使用することが、前記ポリエステル樹脂(a1)中に前記所定の前記スルホン酸塩基を導入するうえで好ましい。
前記ポリエステル樹脂(a1)は、前記エポキシ樹脂(a2)と容易に複合樹脂粒子を(A)を形成するうえで、予め水性媒体(B)や有機溶剤中に溶解または分散等したものであることが好ましい。
次いで、前記方法で得られた、前記水性媒体(B)や有機溶剤中に溶解または分散したポリエステル樹脂(a1)組成物と、前記エポキシ樹脂(a2)とを、混合し攪拌する。これにより、前記ポリエステル樹脂(a1)粒子中に、前記エポキシ樹脂(a2)の一部または全部が内在した複合樹脂粒子(A)と、水性媒体(B)とを含む水性複合樹脂組成物を得ることができる。スルホン酸塩基を有するポリエステル樹脂(a1)から構成されるシェル部と、エポキシ樹脂(a2)から構成されるコア層とによって構成される複合樹脂粒子(A)と水性媒体(B)とを含む水性複合樹脂組成物もまた、同様の方法で製造することができる。
前記方法で得られた水性複合樹脂組成物中に有機溶剤が含まれる場合、環境負荷低減等の観点から、蒸留法などによって前記有機溶剤を除去してもよい。これにより、水性媒体(B)中に前記複合樹脂粒子(A)が分散等した水性複合樹脂組成物を得ることができる。
前記水性複合樹脂組成物は、塗工作業性や長期にわたる保存安定性を維持する観点から、その不揮発分が概ね10質量%〜90質量%の範囲であることが好ましく、30質量%〜70質量%の範囲であることがより好ましい。
また、本発明で使用する水性媒体(B)としては、水、水と混和する有機溶剤、及び、これらの混合物が挙げられる。水と混和する有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−及びイソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;ポリアルキレングリコールのアルキルエーテル類;N-メチル-2-ピロリドン等のラクタム類、等が挙げられる。本発明では、水のみを用いても良く、また水及び水と混和する有機溶剤との混合物を用いても良く、水と混和する有機溶剤のみを用いても良い。安全性や環境に対する負荷の点から、水のみ、又は、水及び水と混和する有機溶剤との混合物が好ましく、水のみが特に好ましい。
前記水性媒体(B)は、前記水性複合樹脂組成物の全量に対して、5質量%〜85質量%含まれることが好ましく、25質量%〜65質量%の範囲であることがより好ましい。
本発明の水性複合樹脂組成物に使用する硬化剤(C)としては、カルボキシル基もしくはその中和塩基を有する樹脂粒子(c1)を含むものを使用する。
前記樹脂粒子(c1)としては、前記したような水性媒体(B)中に分散可能なものを使用することができる。ここで、前記硬化剤(C)として、前記樹脂粒子(c1)の代わりに、水溶性の硬化剤を使用した場合、本発明の水性複合樹脂組成物を塗布等する際のポットライフが短くなる傾向にある。
前記樹脂粒子(c1)の有するカルボキシル基は、その一部または全部が前記同様の塩基性化合物によって中和され形成された中和塩基であってもよい。前記中和塩基は、具体的にはカルボキシル基が塩基性化合物によって中和され形成したカルボキシレート基であることが好ましい。
また、前記樹脂粒子(c1)としては、50〜500の範囲の酸価を有するものを使用することが、前記塗膜物性を損なうことなく、優れた水分散安定性と、実用上十分なポットライフを確保することができるため好ましく、80〜500の範囲であることがより好ましい。なお、前記酸価は、前記樹脂粒子(c1)が有するカルボキシル基またはその中和塩基であるカルボキシレート基に由来するものであることが好ましい。
前記樹脂粒子(c1)としては、具体的にはカルボキシル基もしくはその中和塩基を有するウレタン樹脂粒子、または、カルボキシル基もしくはその中和塩基を有するアクリル樹脂粒子を使用することが、樹脂粒子に複数のカルボキシル基またはその中和塩基を導入しやすいため好ましい。
前記カルボキシル基もしくはその中和塩基を有するウレタン樹脂粒子としては、各種のものを使用することができるが、例えば2,000〜200,000の重量平均分子量を有するものを使用することが好ましく、5,000〜50,000の重量平均分子量を有するものを使用することが、形成塗膜の硬化密度を向上し塗膜の耐水性や耐溶剤性をより一層向上するうえでより好ましい。
前記カルボキシル基もしくはその中和塩基を有するウレタン樹脂粒子としては、例えばポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られるウレタン樹脂を使用することができる。その際、前記ウレタン樹脂にカルボキシル基やその中和塩基のいずれか一方または両方を導入するうえで、カルボキシル基を有する化合物を使用することが好ましい。前記カルボキシル基を有する化合物としては、具体的には、前記ポリオールとして使用可能なカルボキシル基を有するポリオールを使用することが好ましい。
前記ウレタン樹脂粒子の製造に使用可能なポリオールとしては、例えば前記カルボキシル基を有するポリオール及びその他のポリオールを組み合わせ使用することができる。
前記カルボキシル基を有するポリオールとしては、例えば2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸等のカルボキシル基含有ポリオールや、5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホフタル酸、5[4−スルホフェノキシ]イソフタル酸等のスルホン酸基含有ポリオールを使用することができる。また、前記カルボキシル基を有するポリオールとしては、前記2,2−ジメチロールプロピオン酸等の低分子量のポリオールと、例えばアジピン酸等の各種ポリカルボン酸とを反応させて得られるカルボキシル基を有するポリエステルポリオール等を使用することもできる。
前記カルボキシル基を有するポリオールと組み合わせ使用可能なその他のポリオールとしては、例えばポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等を使用することができる。なかでもポリエステルポリオールを使用することが、ポリエステル基材への密着性を向上できるためより好ましい。
前記その他のポリオールに使用できるポリエステルポリオールとしては、例えば低分子量のポリオールとポリカルボン酸とをエステル化反応して得られる脂肪族ポリエステルポリオールや芳香族ポリエステルポリオール、ε−カプロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合反応して得られるポリエステルや、これらの共重合ポリエステル等を使用することができる。
前記低分子量のポリオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノール−A、ビスフェノール−F、4,4’−ビフェノール等を使用することができる。
また、前記ポリカルボン酸としては、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ポリカルボン酸や、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等の芳香族ポリカルボン酸、及びこれらの無水物またはエステル形成性誘導体などを使用することができる。
前記ポリエステルポリオールとしては、前記低分子量のポリオールとともに、前記脂肪族ポリカルボン酸と前記芳香族ポリカルボン酸とを組み合わせ反応させることによって得られたポリエステルポリオールを使用することが好ましい。
前記ポリエステルポリオールとしては、500〜5,000の数平均分子量を有するものを使用することが好ましい。
前記その他のポリオールに使用できるポリカーボネートポリオールとしては、例えば炭酸エステルとポリオールとを反応させて得られるものや、ホスゲンとビスフェノールA等とを反応させて得られるものを使用することができる。前記ポリカーボネートポリオールは、親水性基を有していても有さなくてもよい。
前記炭酸エステルとしては、メチルカーボネートや、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネ−ト等を使用することできる。
前記炭酸エステルと反応しうるポリオールとしては、前記ポリエステルポリオールを製造する際に使用可能な低分子量のポリオールとして例示したものと同様のものを使用することができる。
また、前記その他のポリオールに使用できるポリエーテルポリオールとしては、例えば活性水素原子を2個以上有する化合物の1種または2種以上を開始剤として、アルキレンオキサイドを付加重合させたものを使用することができる。
前記開始剤としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等を使用することができる。
また、前記アルキレンオキサイドとしては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン等を使用することができる。
また、前記ウレタン樹脂粒子を製造する際に使用するポリイソシアネートとしては、例えばフェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートや、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族または脂肪族環式構造含有ジイソシアネート等を、単独で使用または2種以上を併用して使用することができる。
前記ウレタン樹脂粒子は、例えば無溶剤下または有機溶剤の存在下で、前記ポリオールと前記ポリイソシアネートとを反応させることでウレタンプレポリマーを製造し、次いで、前記ウレタンプレポリマー中のカルボキシル基を必要に応じて中和したものを、水系媒体中に混合し水分散する際に、必要に応じて鎖伸長剤と混合し、反応させることによって製造することができる。
前記ポリオールとポリイソシアネートとの反応は、例えば、前記ポリオールが有する水酸基に対する、前記ポリイソシアネートが有するイソシアネート基の当量割合が、0.8〜2.5の範囲で行うことが好ましく、0.9〜1.5の範囲で行うことがより好ましい。
また、前記ウレタン樹脂粒子を製造する際に使用可能な有機溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;アセトニトリル等のニトリル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を、単独で使用または2種以上を使用することができる。
また、前記ウレタン樹脂粒子を製造する際に使用できる鎖伸長剤としては、ポリアミンや、その他活性水素原子含有化合物等を使用することができる。
前記ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン等のジアミン類;N−ヒドロキシメチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシプロピルアミノプロピルアミン、N−エチルアミノエチルアミン、N−メチルアミノプロピルアミン;ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン;ヒドラジン、N,N’−ジメチルヒドラジン、1,6−ヘキサメチレンビスヒドラジン;コハク酸ジヒドラジッド、アジピン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド;β−セミカルバジドプロピオン酸ヒドラジド、3−セミカルバジッド−プロピル−カルバジン酸エステル、セミカルバジッド−3−セミカルバジドメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサンを使用することができる。
前記その他活性水素含有化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレンリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等のグリコール類;ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン等のフェノール類、及び水等を使用することができる。
前記ウレタン樹脂粒子を水性媒体中に分散する際には、必要に応じて乳化剤等を使用してもよい。
前記乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体等のノニオン系乳化剤;オレイン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルフォン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、アルカンスルフォネートナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテルスルフォン酸ナトリウム塩等のアニオン系乳化剤等を使用することができる。
また、前記カルボキシル基もしくはその中和塩基を有する樹脂粒子(c1)に使用可能なカルボキシル基もしくはその中和塩基を有するアクリル樹脂粒子としては、2,000〜200,000の重量平均分子量を有するものを使用することが好ましく、5,000〜100,000の重量平均分子量を有するものを使用することが、形成塗膜の架橋密度を向上し塗膜の耐水性や耐溶剤性をより一層向上するうえでより好ましい。
前記アクリル樹脂粒子としては、例えば各種ビニル単量体を重合開始剤の存在下で重合することによって製造したものを使用することができる。
前記アクリル樹脂粒子としては、具体的には、後述するビニル単量体をラジカル重合することによって得られたものを使用することができる。
前記ビニル単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステルや水酸基を有するビニル単量体等を使用することができ、得られるアクリル樹脂粒子にカルボキシル基等を導入する観点から、更にカルボキシル基を有するビニル単量体等を使用することができる。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等を使用することができる。なお、本発明でいう「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及びメタクリル酸のいずれか一方または両方を指す。
また、前記水酸基を有するビニル単量体としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等を使用することができる。なお、本発明でいう「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートのいずれか一方または両方を指す。
また、前記カルボキシル基を有するビニル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸β−カルボキシエチル、2−(メタ)アクリロイルプロピオン酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸ハーフエステル、マレイン酸ハーフエステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンサクシネート、β−(メタ)ヒドロキシエチルハイドロゲンフタレート、及びこれらの塩等を使用することができる。なかでも、前記カルボキシル基含有ビニル単量体としては、(メタ)アクリル酸を使用することが好ましい。
前記カルボキシル基を有するビニル単量体は、得られるアクリル樹脂粒子にカルボキシル基やその中和塩基を導入し、良好な水分散安定性を付与するうえで使用することが好ましい。
前記アクリル樹脂粒子の製造に使用するビニル単量体としては、前記したものの他に、必要に応じてその他のビニル単量体を使用することもできる。
その他のビニル単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N−モノアルキルアミノアルキル、(メタ)アクリル酸N,N−ジアルキルアミノアルキル、(メタ)アクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、アクロレイン、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アミルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類;(メタ)アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルアニソール、α−ハロスチレン、ビニルナフタリン、イソプレン、ブタジエン、エチレン等を使用することもできる。
前記アクリル樹脂粒子としては、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルやスチレン等の疎水性モノマーと前記カルボキシル基を有するビニル単量体とを組み合わせ含む単量体混合部とを、反応させることによって得られたものを使用することが、粒子形成が可能となり、前記複合樹脂粒子(A)との配合後のポットライフをより維持できるためより好ましい。その際、前記疎水性モノマーは、前記単量体混合物の全量に対して5質量%〜90質量%の範囲で含まれることが好ましく、前記カルボキシル基を有するビニル単量体は、前記単量体混合物の全量に対して5質量%〜90質量%の範囲で含まれることが好ましい。
前記アクリル樹脂粒子は、例えば無溶剤、有機溶剤、水の存在下で、前記単量体混合物をラジカル重合開始剤と必要に応じて界面活性剤の存在下でラジカル重合させることでアクリルポリマー溶液を製造し、次いで、前記アクリルポリマー中のカルボキシル基を必要に応じて中和したものを、水系媒体中に混合し水分散させることで製造することができる。
前記ラジカル重合開始剤としては、例えばシクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド及びメチルシクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン及びn−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート等のパーオキシケタール類、クメンハイドロパーオキサイドや2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド類のハイドロパーオキサイド類、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキサイド−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド及びtert−ブチルクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド及びベンゾイルパーオキサイド類のジアシルパーオキサイド類、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド等のパーオキシカーボネート類のビス(tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシベンゾエートや2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)等のヘキサン等のパーオキシエステル類の有機過酸化物系重合開始剤並びに2,2’−アソビスイソブチロニトリル、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、アソクメン−2,2’−アゾビスメチルバレロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等のアゾ系重合開始剤が挙げられる。
また、前記アクリル樹脂粒子の製造に使用可能な界面活性剤としては、例えば陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、を使用できる。なかでも、陰イオン性界面活性剤を使用することが前記複合樹脂粒子(A)との配合安定性を向上できるため好ましい。
前記陰イオン性界面活性剤としては、例えば、高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルスルホン酸塩等を単独または2種以上を併用して使用することができる。
前記界面活性剤としては、前記ビニル単量体とともにラジカル重合しうるラジカル重合性不飽和二重結合を有する界面活性剤、いわゆる反応性界面活性剤を使用することが、該界面活性剤のブリードアウトに起因した塗膜の耐水性、耐溶剤性の低下を防止するうえで好ましい。
また、前記アクリル樹脂粒子の製造には必要に応じてメルカプタン類等の連鎖移動剤を用いてもよい。
前記カルボキシル基の中和に使用可能な塩基性化合物としては、例えばアンモニア、トリエチルアミン、ピリジン、モルホリン等の有機アミンや、モノエタノールアミン等のアルカノールアミンや、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム等を含む金属塩基化合物等が挙げられる。
また、前記カルボキシル基もしくはその中和塩基を有する樹脂粒子(c1)としては、前記カルボキシル基もしくはその中和塩基を有するウレタン樹脂粒子、または、カルボキシル基もしくはその中和塩基を有するアクリル樹脂粒子以外にも、メラミン樹脂、ポリイソシアネート等をポットライフが損なわれない範囲で使用することもできる。
前記硬化剤(C)は、前記複合樹脂粒子(A)との質量割合[前記複合樹脂粒子(A)/前記硬化剤(C)]が15/85〜80/20となる範囲で使用することが好ましい。
また、前記樹脂粒子(c1)は、前記硬化剤(C)の全量に対して80質量%〜100質量%の範囲で使用することが好ましい。
本発明の水性複合樹脂組成物には、必要に応じて、造膜助剤や硬化触媒、可塑剤、帯電防止剤、ワックス、光安定剤、流動調整剤、染料、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光触媒性化合物、無機顔料、有機顔料、体質顔料、ポリエステル樹脂やウレタン樹脂やアクリル樹脂等のその他の樹脂等の各種の添加剤等を使用することができる。前記添加剤が非水溶性の場合、前記水性媒体(B)や有機溶剤中にポリエステル樹脂(a1)を溶解または分散する際に使用することによって、前記添加剤を溶媒中に安定して分散等することが可能となる。
前記造膜助剤としては、例えばN−メチル−2-ピロリドン、N−エチル−2-ピロリドン、ブチルセロソルブ、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチルセロソルブ、を使用することができる。なかでも、N−メチル−2-ピロリドン、N−エチル−2-ピロリドンを使用することが、本発明の水性複合樹脂組成物との相溶性に優れるため、より一層高透明性の求められるフィルムや被膜等の製造できるため好ましい。
また、前記硬化触媒としては、例えば、アミン系、イミダゾール系、リン系、ホウ素系、リン−ホウ素系等を使用することができる。具体的には、エチルグアニジン、トリメチルグアニジン、フェニルグアジニン、ジフェニルグアニジン等のアルキル置換グアニジン類、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素、3−フェニル−1,1−ジメチル尿素、3−(4−クロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素等の3−置換フェニル−1,1−ジメチル尿素類、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2−ウンデシルイミダゾリン、2−ヘプタデシルイミダゾリン等のイミダゾリン類、2−アミノピリジン等のモノアミノピリジン類、N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシ−3−アリロキシプロピル)アミン−N’−ラクトイミド類のアミンイミド系類、エチルホスフィン、プロピルホスフィン、ブチルホスフィン、フェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン−トリフェニルボラン錯体、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等の有機リン系化合物、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデセン−7、1,4−ジアザビシクロ〔2,2,2〕オクタン等のジアザビシクロウンデセン系化合物等が挙げられる。これらは、単独でもしくは2種類以上併せて用いることができる。なかでも、上記イミダゾール系化合物や有機リン系化合物が好適に用いられる。
また、本発明では、前記複合樹脂粒子(A)の分散安定性を向上する観点から乳化剤等を使用しても良いが、前記乳化剤等は一般に、塗膜の耐水性の低下を引き起こす傾向にある。
一方、本発明の水性複合樹脂組成物は、前記乳化剤等を使用せずとも十分な保存安定性を有するものであり、かつ、耐水性等に優れた塗膜を形成できることから、前記乳化剤の使用量は水性複合樹脂組成物の全量に対して5質量%以下であることが好ましく0質量%であることがより好ましい。
以上のような本発明の水性複合樹脂組成物は、長期にわたる保存安定性と、耐水性や耐溶剤性に優れた塗膜を形成できることから、例えばコーティング剤や接着剤等に使用することができ、なかでもコーティング剤として好適に使用することができる。
前記コーティング剤や接着剤を塗布可能な基材としては、例えば金属基材やプラスチック基材、ガラス基材、紙や木材基材、繊維質基材等が挙げられる。
前記金属基材としては、例えば亜鉛めっき鋼板、アルミニウム−亜鉛合金鋼板等のめっき鋼板や、アルミ板、アルミ合金板、電磁鋼板、銅板、ステンレス鋼板または表面に金属蒸着面を有する基材等を使用することができる。
前記プラスチック基材としては、一般に、携帯電話、家電製品、自動車内外装材、OA機器等のプラスチック成型品に採用されている、ポリカーボネート基材、ポリエステル基材、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン基材、ポリアクリル基材、ポリスチレン基材、ポリウレタン基材、エポキシ樹脂基材、ポリ塩化ビニル系基材及びポリアミド系基材からなる群より選ばれるプラスチック基材を使用することができる。
前記した各種基材は、予め被覆が施されていても良いが、本発明のコーティング剤等はポリエステル基材をはじめとするプラスチック基材等に対して優れた密着性を有することから、予め被覆等の表面処理の施されていない基材であっても問題なく使用することができる。すなわち、本発明のコーティング剤は、前記プラスチック基材に対するプライマーに好適に使用することができる。また、前記基材は、それぞれ、板状、球状、フィルム状、シート状であってもよい。
本発明のコーティング剤等は、例えばそれを前記基材表面に直接、塗布し、次いで乾燥、硬化させることによって、その表面に塗膜を形成することができる。
前記コーティング剤等を前記基材上に塗布する方法としては、例えばスプレー法、カーテンコーター法、フローコーター法、ロールコーター法、刷毛塗り法、浸漬法等が挙げられる。
前記乾燥し硬化を進行させる方法としては、常温下で1日〜10日程度養生する方法であってもよいが、硬化を迅速に進行させる観点から、50℃〜250℃の温度で、1〜600秒程度加熱する方法が好ましい。また、比較的高温で変形や変色をしやすいプラスチック基材を用いる場合には、30℃〜100℃程度の比較的低温下で養生を行うことが好ましい。
本発明のコーティング剤や接着剤を用いて形成する塗膜の膜厚は、基材の使用される用途等に応じて適宜調整可能であるが、通常0.01μm〜20μm程度であることが好ましい。
前記コーティング剤によって塗膜が形成された塗装物は、優れた耐水性と耐溶剤性とを両立できることから、例えば例えば空調機器や冷蔵庫等の熱交換器、防汚性及び防曇性が求められる反射防止膜、光学フィルター、光学レンズ、眼鏡レンズ、鏡等の光学部材が使用される家電製品やディスプレイ、自動車内装材や外装材、壁材や屋根材等の建築部材等に使用することが可能である。
さらに、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂等のプラスチックフィルムの表面を改質し、易接着層を付与する目的で使用されるプライマーコート剤としては、例えば、食品包装ついてはアルミ蒸着プラスチックフィルム、光学用フィルム用途については、液晶ディスプレイやフラットディスプレイ等の光学部材は、プリズムレンズフィルムや防眩フィルム等の高機能フィルム等に使用することができる。
[合成例1]ポリエステル樹脂(I−1)の調製
180℃に調製した反応容器にエチレングリコール558質量部(8.99モル)、ジエチレングリコール478質量部(4.50モル)、テレフタル酸896質量部(5.39モル)、イソフタル酸478質量部(2.88モル)、ブチルヒドロキシ錫オキシド0.5質量部を仕込み4時間かけて240℃まで昇温し、その後240℃で反応を続けて約260質量部の溜出液をトラップした。
次いで、180℃まで冷却後、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル213質量部(0.72モル)、テトライソプロピルチタネート0.5質量部を仕込み、更に、260℃まで昇温し水銀柱2.0mmの減圧下で1時間重縮合反応することによって、重量平均分子量8,900、ガラス転移温度44℃であるポリエステル樹脂(I−1)を得た。
[合成例2]ポリエステル樹脂(I−2)の調製
テレフタル酸896質量部(5.39モル)の代わりにテレフタル酸665質量部(4.00モル)、イソフタル酸478質量部(2.88モル)の代わりにイソフタル酸543質量部(3.27モル)、そして5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル213質量部(0.72モル)の代わりに5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル509質量部(1.72モル)を用いること以外は合成例1と同様の方法でポリエステル樹脂(I−2)を得た。
[合成例3]ポリエステル樹脂(I−3)の調製
テレフタル酸896質量部(5.39モル)の代わりにテレフタル酸934質量部(5.62モル)、イソフタル酸478質量部(2.88モル)の代わりにイソフタル酸500質量部(3.01モル)、そして5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル213質量部(0.72モル)の代わりに5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル107質量部(0.36モル)を用いること以外は合成例1と同様の方法でポリエステル樹脂(I−3)を得た。
[合成例4]ポリエステル樹脂(I’−4)の調製
5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルの全量の代わりにトリメリット酸53質量部(0.25モル)を用いること以外は、合成例1と同様の方法で重縮合反応することによって、ポリエステル樹脂(I’−4)を得た。
[重量平均分子量の測定]
重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定した。
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
注入量:100μL
測定試料濃度:固形濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−550」
[ガラス転移温度]
示差走査熱量計(DSC)を用いた測定によって観察される、昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点の温度の中間値を求め、これをガラス転移温度とした。
[酸価の測定方法]
前記カルボキシル基もしくはその中和塩基を有する樹脂粒子の水分散体を乾燥し、乾燥固化した樹脂粒子の0.05g〜0.5gを、300mL三角フラスコに秤量し、次いで、テトラヒドロフランとイオン交換水との質量割合[テトラヒドロフラン/イオン交換水]が8/2の混合溶媒約80mLを加えそれらの混合液を得た。
次いで、前記混合液にフェノールフタレイン指示薬を混合した後、あらかじめ標定された0.1mol/Lの水酸化カリウム水溶液で滴定し、滴定に用いた水酸化カリウム水溶液の量から下記計算式に従い、樹脂粒子の酸価(mgKOH/g)を求めた。
計算式 A=(B×f×5.611)/S
式中、Aは樹脂の固形分酸価(mgKOH/g)、Bは滴定に用いた0.1mol/L水酸化カリウム水溶液の量(mL)、fは0.1mol/L水酸化カリウム水溶液のファクター、Sは樹脂粒子の質量(g)、5.611は水酸化カリウムの式量(56.11/10)である。
[調製例1]水性複合樹脂組成物(II−1)の調製
反応容器にN−メチル−2−ピロリドン130質量部を投入し、ゆっくりと攪拌しながら、前記ポリエステル樹脂(I−1)を200質量部加え、60℃下で攪拌を続けることによって、粘調なポリエステル樹脂組成物を得た。
次に、250質量部のEPICLON N−673−80M(DIC株式会社製、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、固形分エポキシ当量=209g/eq、不揮発分=80質量%、溶媒;メチルエチルケトン)を投入し均一になるまで攪拌した。
次いで、イオン交換水1000質量部を1時間かけて投入し、50℃の温度及び減圧下で前記メチルエチルケトンを除去することによって、ポリエステル樹脂(I−1)がシェル層を形成し、前記エポキシ樹脂がコア層を形成した複合樹脂粒子がイオン交換水中に分散した不揮発分=35質量%の水性複合樹脂組成物(II−1)を得た。
[調製例2]水性複合樹脂組成物(II−2)の調製
ポリエステル樹脂(I−1)の代わりにポリエステル樹脂(I−2)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法によって、不揮発分が35質量%の水性複合樹脂組成物(II−2)を得た。
[調製例3]水性複合樹脂組成物(II−3)の調製
反応容器にN−メチル−2−ピロリドン130質量部を投入し、ゆっくりと攪拌しながら、前記ポリエステル樹脂(I−3)を200質量部加え、60℃下で攪拌を続けることによって、粘調なポリエステル樹脂組成物を得た。
次に、250質量部のEPICLON N−673−80M(DIC株式会社製、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、固形分エポキシ当量=209g/eq、不揮発分=80質量%、溶媒;メチルエチルケトン)を投入し均一になるまで攪拌した。
次いで、イオン交換水1000質量部を1時間かけて投入し、50℃の温度及び減圧下で前記メチルエチルケトンを除去することによって、ポリエステル樹脂(I−3)がシェル層を形成し、前記エポキシ樹脂がコア層を形成した複合樹脂粒子がイオン交換水中に分散した不揮発分=35質量%の水性複合樹脂組成物(II−3)を得た。
[調製例4]水性複合樹脂組成物(II−4)の調製
反応容器にN−メチル−2−ピロリドン200質量部を投入し、ゆっくりと攪拌しながら、前記ポリエステル樹脂(I−1)を200質量部加え、60℃下で攪拌を続けることによって、粘調なポリエステル樹脂組成物を得た。
次に、464.3質量部のEPICLON N−673−80M(DIC株式会社製、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、固形分エポキシ当量=209g/eq、不揮発分=80質量%、溶媒;メチルエチルケトン)を投入し均一になるまで攪拌した。
次いで、イオン交換水1800質量部を1時間かけて投入し、50℃の温度及び減圧下で前記メチルエチルケトンを除去することによって、ポリエステル樹脂(I−1)がシェル層を形成し、前記エポキシ樹脂がコア層を形成した複合樹脂粒子がイオン交換水中に分散した不揮発分=35質量%の水性複合樹脂組成物(II−4)を得た。
[調製例5]水性複合樹脂組成物(II−5)の調製
反応容器にN−メチル−2−ピロリドン160質量部を投入し、ゆっくりと攪拌しながら、前記ポリエステル樹脂(I−1)を240質量部加え、60℃下で攪拌を続けることによって、粘調なポリエステル樹脂組成物を得た。
次に、75質量部のEPICLON N−673−80M(DIC株式会社製、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、固形分エポキシ当量=209g/eq、不揮発分=80質量%、溶媒;メチルエチルケトン)を投入し均一になるまで攪拌した。
次いで、イオン交換水1200質量部を1時間かけて投入し、50℃の温度及び減圧下で前記メチルエチルケトンを除去することによって、ポリエステル樹脂(I−1)がシェル層を形成し、前記エポキシ樹脂がコア層を形成した複合樹脂粒子がイオン交換水中に分散した不揮発分=30質量%の水性複合樹脂組成物(II−5)を得た。
[調製例6]水性複合樹脂組成物(II−6)の調製
EPICLON N−673−80M(DIC株式会社製、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、固形分エポキシ当量=209g/eq、不揮発分=80質量%、溶媒;メチルエチルケトン)の代わりに、EPICLON N−740−80M(DIC株式会社製、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、固形分エポキシ当量=180g/eq、不揮発分=80質量%、溶媒;メチルエチルケトン)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で不揮発分=35質量%の水性複合樹脂組成物(II−6)を得た。
[調製例7]水性複合樹脂組成物(II−7)の調製
反応容器にN−メチル−2−ピロリドン130質量部を投入し、ゆっくりと攪拌しながら、前記ポリエステル樹脂(I−1)を200質量部加え、60℃下で攪拌を続けることによって、粘調なポリエステル樹脂組成物を得た。
次に、200質量部のEPICLON 850S(DIC株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、固形分エポキシ当量=188g/eq、不揮発分=100質量%)を投入し均一になるまで攪拌した。
次いで、イオン交換水613質量部を1時間かけて投入し、ポリエステル樹脂(I−1)がシェル層を形成し、前記エポキシ樹脂がコア層を形成した複合樹脂粒子がイオン交換水中に分散した不揮発分=35質量%の水性複合樹脂組成物(II−7)を得た。
[比較調製例1]水性複合樹脂組成物(II’−1)の調製
反応容器にN−メチル−2−ピロリドン130質量部を投入し、ゆっくりと攪拌しながら、前記ポリエステル樹脂(I’−4)を200質量部加え、60℃下で攪拌を続けることによって、粘調なポリエステル樹脂組成物を得た。
次に、250質量部のEPICLON N−673−80M(DIC株式会社製、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、固形分エポキシ当量=209g/eq、不揮発分=80質量%、溶媒;メチルエチルケトン)と6.2質量部のトリエチルアミン加えて均一になるまで攪拌、混合した。
次いで、イオン交換水1000質量部を1時間かけて投入し、50℃の温度及び減圧下で前記クレゾールのボラック型エポキシ樹脂に含有するメチルエチルケトンを除去することによって、ポリエステル樹脂(I’−4)がシェル層を形成し、前記エポキシ樹脂がコア層を形成した複合樹脂粒子がイオン交換水中に分散した不揮発分=35.0質量%の比較用の水性複合樹脂組成物(II’−1)を得た。
[比較調製例2]水性複合樹脂組成物(II’−2)の調製
反応容器にN−メチル−2−ピロリドン200質量部を投入し、ゆっくりと攪拌しながら、前記ポリエステル樹脂(I’−4)を200質量部加え、60℃下で攪拌を続けることによって、粘調なポリエステル樹脂組成物を得た。
次に、583質量部のEPICLON N−673−80M(DIC株式会社製、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、固形分エポキシ当量=209g/eq、不揮発分=80質量%、溶媒;メチルエチルケトン)と6.2質量部のトリエチルアミン加えて均一になるまで攪拌、混合した。
次いで、イオン交換水1800質量部を1時間かけて投入し、50℃の温度及び減圧下で前記メチルエチルケトンを除去することによって、ポリエステル樹脂(I’−4)がシェル層を形成し、前記エポキシ樹脂がコア層を形成した複合樹脂粒子がイオン交換水中に分散した不揮発分=35質量%の比較用の水性複合樹脂組成物(II’−2)を得た。
[比較調製例3]水性複合樹脂組成物(II’−3)の調製
反応容器にN−メチル−2−ピロリドン320質量部を投入し、ゆっくりと攪拌しながら、前記ポリエステル樹脂(I−1)を200質量部加え、60℃下で攪拌を続けることによって、粘調なポリエステル樹脂組成物を得た。
次に、1000質量部のEPICLON N−673−80M(DIC株式会社製、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、固形分エポキシ当量=209g/eq、不揮発分=80質量%、溶媒;メチルエチルケトン)を投入し均一になるまで攪拌した。
次いで、イオン交換水2700質量部を1時間かけて投入し、50℃の温度及び減圧下で前記メチルエチルケトンを除去することによって、ポリエステル樹脂(I−1)がシェル層を形成し、前記エポキシ樹脂がコア層を形成した複合樹脂粒子がイオン交換水中に分散した不揮発分=35質量%の比較用の水性複合樹脂組成物(II’−3)を得た。
[比較調製例4]水性複合樹脂組成物(II’−4)の調製
反応容器にN−メチル−2−ピロリドン130質量部を投入し、ゆっくりと攪拌しながら、前記ポリエステル樹脂(I−1)を200質量部加え、60℃下で攪拌を続けることによって、粘調なポリエステル樹脂組成物を得た。
次にイオン交換水1000質量部を加え、50℃下で攪拌を続けることで、前記N−メチル−2−ピロリドン及びイオン交換水からなる溶媒に前記ポリエステル樹脂(I−1)が溶解または分散したポリエステル樹脂水分散体を得た。
次に、別の反応容器に、250質量部のEPICLON N−673−80M(DIC株式会社製、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、固形分エポキシ当量=209g/eq、不揮発分=80質量%、溶媒;メチルエチルケトン)と76.9質量部のLATEMUL E−118B(花王株式会社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、不揮発分=26質量%)とを投入し、均一に混合した。これにイオン交換水600質量部を1時間かけて投入し、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の水分散体を得た。
前記ポリエステル樹脂水分散体とクレゾールノボラック型エポキシ樹脂水分散体とを混合し、50℃の温度及び減圧下で前記メチルエチルケトンを除去することによって、前記ポリエステル樹脂粒子と、前記クレゾールノボラック型エポキシ樹脂粒子とがそれぞれ独立して、イオン交換水中に分散等した不揮発分=35質量%の比較用の水性複合樹脂組成物(II’−4)を得た。
[比較調製例5] 水性複合樹脂組成物(II’−5)の調製
反応容器にN−メチル−2−ピロリドン196質量部を投入し、ゆっくりと攪拌しながら、前記ポリエステル樹脂(I−1)を294質量部加え、60℃下で攪拌を続けることによって、粘調なポリエステル樹脂組成物を得た。
次に、7.5質量部のEPICLON N−673−80M(DIC株式会社製、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、固形分エポキシ当量=209g/eq、不揮発分=80質量%、溶媒;メチルエチルケトン)を投入し均一になるまで攪拌した。
次いで、イオン交換水1400質量部を1時間かけて投入し、50℃の温度及び減圧下で前記メチルエチルケトンを除去することによって、ポリエステル樹脂(I−1)がシェル層を形成し、前記エポキシ樹脂がコア層を形成した複合樹脂粒子がイオン交換水中に分散した不揮発分=20質量%の比較用の水性複合樹脂組成物(II’−5)を得た。
[保存安定性の評価方法]
調製例及び比較調製例で得た製造直後の水性複合樹脂組成物や比較用の水性複合樹脂組成物を、40℃の環境下に30日間保存した。
前記30日経過後の水性複合樹脂組成物等の外観を目視で観察し、下記基準に基づいて評価した。
◎:凝集物が全く見られず、製造直後のものと比較して変化がなかった。
○:若干の沈殿物が確認されたが、実用上使用可能なレベルであり、また、再度攪拌することによって、沈殿物の再分散が可能であった。
△:沈殿物がやや多く、再度攪拌してもごく一部の沈殿物が残留し、十分に再分散することができなかった。
×:樹脂全量の約50質量%以上が沈殿し、再度の攪拌によっても、再分散ですることができなかった。
表2〜4中の「EPICLON N−673−80M」は、DIC株式会社製のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂である。また、「EPICLON N−740−80M」は、DIC株式会社製のフェノールノボラック型エポキシ樹脂である。また、「EPICLON 850S」は、DIC株式会社製のビスフェノールA型エポキシ樹脂である。
[合成例1]ポリエステルポリオールAの合成
温度計、窒素ガス導入管、攪拌機を備えた反応容器中で窒素ガスを導入しながら、イソフタル酸830質量部(5モル)、アジピン酸730質量部(5モル)、1,4−ブタンジオール1026質量部(11.4モル)及びジブチル錫オキサイド0.5質量部を仕込み酸価が1以下になるまで230℃で15時間重縮合反応を行い、ポリエステルポリオールA(水酸基当量=1000g/eq)を得た。
[製造例1]カルボキシル基もしくはその中和塩基を有する樹脂粒子の水分散体(III−1)の調製
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに酢酸n−ブチル155.1質量部を仕込み、120℃に昇温、これに無水マレイン酸160質量部、メタクリル酸n−ブチル240質量部、酢酸n−ブチル122.4質量部、パーブチルD(ジターシャリーブチルハイドロパーオキサイド:日本油脂株式会社製)2.6質量部、パーブチルZ(ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート:日本油脂株式会社製)4.9質量部の溶解混合物を2時間かけて滴下し、120℃〜125℃にて反応を行った。その後120℃に120分間ホールドした後、温度を90℃に下げ、25%安水145.6質量部、イオン交換水1420.3質量部を添加し、中和、水分散を実施した。これを90℃で酢酸n−ブチルを除去することで、カルボキシル基もしくはその中和塩基を有する樹脂粒子の水分散体(III−1)〔不揮発分=20質量%、固形分酸価=228mgKOH/g〕を得た。
[製造例2]カルボキシル基もしくはその中和塩基を有する樹脂粒子の水分散体(III−2)の調製
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに酢酸n−ブチル155.1質量部を仕込み、120℃に昇温、これに無水マレイン酸160質量部、メタクリル酸n−ラウリル100質量部、アクリル酸140質量部、酢酸n−ブチル122.4質量部、パーブチルD(ジターシャリーブチルハイドロパーオキサイド:日本油脂株式会社製)2.6質量部、パーブチルZ(ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート:日本油脂株式会社製)4.9質量部の溶解混合物を2時間かけて滴下し、120℃〜125℃にて反応を行った。その後120℃に120分間ホールドした後、温度を90℃に下げ、25%安水315.2質量部、イオン交換水1667.9質量部を添加し、中和、水分散を実施した。これを90℃で酢酸n−ブチルを除去することで、カルボキシル基もしくはその中和塩基を有する樹脂粒子の水分散体(III−1)〔不揮発分=20質量%、固形分酸価=498mgKOH/g〕を得た。
[製造例3]カルボキシル基もしくはその中和塩基を有する樹脂粒子の水分散体(III−3)の調製
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに酢酸n−ブチル155.1質量部を仕込み、120℃に昇温、これに無水マレイン酸56質量部、メタクリル酸n−ブチル284質量部、スチレン60質量部、酢酸n−ブチル122.4質量部、パーブチルD(ジターシャリーブチルハイドロパーオキサイド:日本油脂株式会社製)2.6質量部、パーブチルZ(ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート:日本油脂株式会社製)4.9質量部の溶解混合物を2時間かけて滴下し、120℃〜125℃にて反応を行った。その後120℃に120分間ホールドした後、温度を90℃に下げ、25%安水77.7質量部、イオン交換水1667.9質量部を添加し、中和、水分散を実施した。これを90℃で酢酸n−ブチルを除去することで、カルボキシル基もしくはその中和塩基を有する樹脂粒子の水分散体(III−1)〔不揮発分=20質量%、固形分酸価=80mgKOH/g〕を得た。
[製造例4]カルボキシル基もしくはその中和塩基を有する樹脂粒子の水分散体(III−4)の調製
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに酢酸n−ブチル155.1質量部を仕込み、120℃に昇温、これに無水マレイン酸35.2質量部、メタクリル酸n−ブチル240質量部、スチレン124.8質量部、酢酸n−ブチル122.4質量部、パーブチルD(ジターシャリーブチルハイドロパーオキサイド:日本油脂株式会社製)2.6質量部、パーブチルZ(ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート:日本油脂株式会社製)4.9質量部の溶解混合物を2時間かけて滴下し、120℃〜125℃にて反応を行った。その後120℃に120分間ホールドした後、温度を90℃に下げ、25%安水48.8質量部、イオン交換水1667.9質量部を添加し、中和、水分散を実施した。これを90℃で酢酸n−ブチルを除去することで、カルボキシル基もしくはその中和塩基を有する樹脂粒子の水分散体(III−1)〔不揮発分=20質量%、固形分酸価=50mgKOH/g〕を得た。
[製造例5]カルボキシル基もしくはその中和塩基を有する樹脂粒子の水分散体(III−5)の調製
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに酢酸n−ブチル155.1質量部を仕込み、120℃に昇温、これに無水マレイン酸180質量部、メタクリル酸n−ラウリル60質量部、アクリル酸160質量部、酢酸n−ブチル122.4質量部、パーブチルD(ジターシャリーブチルハイドロパーオキサイド:日本油脂株式会社製)2.6質量部、パーブチルZ(ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート:日本油脂株式会社製)4.9質量部の溶解混合物を2時間かけて滴下し、120℃〜125℃にて反応を行った。その後120℃に120分間ホールドした後、温度を90℃に下げ、25%安水358.6質量部、イオン交換水1667.9質量部を添加し、中和、水分散を実施した。これを90℃で酢酸n−ブチルを除去することで、カルボキシル基もしくはその中和塩基を有する樹脂粒子の水分散体(III−1)〔不揮発分=20質量%、固形分酸価=568mgKOH/g〕を得た。
[製造例6]カルボキシル基もしくはその中和塩基を有する樹脂粒子の水分散体(III−6)の調製
反応容器で前記ポリエステルポリオールAを412質量部を減圧下100℃で脱水し、その後80℃まで冷却後、メチルエチルケトン833.2質量部を加え、攪拌し均一に混合した。
次に、2,2’−ジメチロールプロピオン酸300質量部を加え、次いでイソホロンジイソシアネート543.3質量部、オクチル酸第一錫1質量部を加えて、80℃で15時間反応させた。
前記ウレタン樹脂の製造に使用した原料の合計質量に対するイソシアネート基の質量割合(イソシアネート値)が0.1質量%以下になったのを確認し、n−ブタノール3質量部を加え、さらに2時間反応させた後、50℃まで冷却した。次に、トリエチルアミン20.4質量部を加え、イオン交換水3865質量部をゆっくりと添加した。次いで、減圧下、30℃〜50℃でメチルエチルケトンを除去することによって、カルボキシル基もしくはその中和塩基を有する樹脂粒子の水分散体(III−6)〔不揮発分=25質量%、固形分酸価=100mgKOH/g〕を得た。
実施例1 水性複合樹脂組成物(IV−1)の調製
調製例1で製造した直後の水性複合樹脂組成物(II−1)100質量部と、製造例1で調製したカルボキシル基もしくはその中和塩基を有する樹脂粒子の水分散体(III−1)103質量部とを混合することによって水性複合樹脂組成物(IV−1)を得た。
次いで、前記で得た水性複合樹脂組成物(IV−1)を、東レ株式会社製の未処理PETフィルム(ルミラー)の表面に、乾燥膜厚が5μmとなるよう、バーコーターを用いて塗布し、次いで150℃で5分間乾燥することによって塗膜を作製した。
また、調製直後の水性複合樹脂組成物(IV−1)の代わりに、前記水性複合樹脂組成物(IV−1)のポットライフ試験後の水性複合樹脂組成物を使用すること以外は、前記と同様の方法で、塗膜を作製した。
実施例2 水性複合樹脂組成物(IV−2)の調製
調製例1で製造した直後の水性複合樹脂組成物(II−1)100質量部と、製造例2で調製したカルボキシル基もしくはその中和塩基を有する樹脂粒子の水分散体(III−2)47.2質量部とを混合することによって水性複合樹脂組成物(IV−2)を得た。
次いで、前記で得た水性複合樹脂組成物(IV−2)を、東レ株式会社製の未処理PETフィルム(ルミラー)の表面に、乾燥膜厚が5μmとなるよう、バーコーターを用いて塗布し、次いで150℃で5分間乾燥することによって塗膜を作製した。
また、調製直後の水性複合樹脂組成物(IV−2)の代わりに、前記水性複合樹脂組成物(IV−2)のポットライフ試験後の水性複合樹脂組成物を使用すること以外は、前記と同様の方法で、塗膜を作製した。
実施例3 水性複合樹脂組成物(IV−3)の調製
調製例1で製造した直後の水性複合樹脂組成物(II−1)100質量部と、製造例3で調製したカルボキシル基もしくはその中和塩基を有する樹脂粒子の水分散体(III−3)293.6質量部とを混合することによって水性複合樹脂組成物(IV−3)を得た。
次いで、前記で得た水性複合樹脂組成物(IV−3)を、東レ株式会社製の未処理PETフィルム(ルミラー)の表面に、乾燥膜厚が5μmとなるよう、バーコーターを用いて塗布し、次いで150℃で5分間乾燥することによって塗膜を作製した。
また、調製直後の水性複合樹脂組成物(IV−3)の代わりに、前記水性複合樹脂組成物(IV−3)のポットライフ試験後の水性複合樹脂組成物を使用すること以外は、前記と同様の方法で、塗膜を作製した。
実施例4 水性複合樹脂組成物(IV−4)の調製
調製例1で製造した直後の水性複合樹脂組成物(II−1)100質量部と、製造例4で調製した水分散体(III−4)469.8質量部とを混合することによって水性複合樹脂組成物(IV−4)を得た。
次いで、前記で得た水性複合樹脂組成物(IV−4)を、東レ株式会社製の未処理PETフィルム(ルミラー)の表面に、乾燥膜厚が5μmとなるよう、バーコーターを用いて塗布し、次いで150℃で5分間乾燥することによって塗膜を作製した。
また、調製直後の水性複合樹脂組成物(IV−4)の代わりに、前記水性複合樹脂組成物(IV−4)のポットライフ試験後の水性複合樹脂組成物を使用すること以外は、前記と同様の方法で、塗膜を作製した。
実施例5 水性複合樹脂組成物(IV−5)の調製
調製例1で製造した直後の水性複合樹脂組成物(II−1)100質量部と、製造例5で調製したカルボキシル基もしくはその中和塩基を有する樹脂粒子の水分散体(III−5)41.4質量部とを混合することによって水性複合樹脂組成物(IV−5)を得た。
次いで、前記で得た水性複合樹脂組成物(IV−5)を、東レ株式会社製の未処理PETフィルム(ルミラー)の表面に、乾燥膜厚が5μmとなるよう、バーコーターを用いて塗布し、次いで150℃で5分間乾燥することによって塗膜を作製した。
また、調製直後の水性複合樹脂組成物(IV−5)の代わりに、前記水性複合樹脂組成物(IV−5)のポットライフ試験後の水性複合樹脂組成物を使用すること以外は、前記と同様の方法で、塗膜を作製した。
実施例6 水性複合樹脂組成物(IV−6)の調製
調製例1で製造した直後の水性複合樹脂組成物(II−1)100質量部と、製造例6で調製したカルボキシル基もしくはその中和塩基を有する樹脂粒子の水分散体(III−6)187.9質量部とを混合することによって水性複合樹脂組成物(IV−6)を得た。
次いで、前記で得た水性複合樹脂組成物(IV−6)を、東レ株式会社製の未処理PETフィルム(ルミラー)の表面に、乾燥膜厚が5μmとなるよう、バーコーターを用いて塗布し、次いで150℃で5分間乾燥することによって塗膜を作製した。
また、調製直後の水性複合樹脂組成物(IV−6)の代わりに、前記水性複合樹脂組成物(IV−6)のポットライフ試験後の水性複合樹脂組成物を使用すること以外は、前記と同様の方法で、塗膜を作製した。
参考例7 水性複合樹脂組成物(IV−7)の調製
調製例2で製造した直後の水性複合樹脂組成物(II−2)100量部と、製造例1で調製したカルボキシル基もしくはその中和塩基を有する樹脂粒子の水分散体(III−1)103.0質量部とを混合することによって水性複合樹脂組成物(IV−7)を得た。
次いで、前記で得た水性複合樹脂組成物(IV−7)を、東レ株式会社製の未処理PETフィルム(ルミラー)の表面に、乾燥膜厚が5μmとなるよう、バーコーターを用いて塗布し、次いで150℃で5分間乾燥することによって塗膜を作製した。
また、調製直後の水性複合樹脂組成物(IV−7)の代わりに、前記水性複合樹脂組成物(IV−7)のポットライフ試験後の水性複合樹脂組成物を使用すること以外は、前記と同様の方法で、塗膜を作製した。
実施例8 水性複合樹脂組成物(IV−8)の調製
調製例3で製造した直後の水性複合樹脂組成物(II−3)100質量部と、製造例1で調製したカルボキシル基もしくはその中和塩基を有する樹脂粒子の水分散体(III−1)103.0質量部とを混合することによって水性複合樹脂組成物(IV−8)を得た。
次いで、前記で得た水性複合樹脂組成物(IV−8)を、東レ株式会社製の未処理PETフィルム(ルミラー)の表面に、乾燥膜厚が5μmとなるよう、バーコーターを用いて塗布し、次いで150℃で5分間乾燥することによって塗膜を作製した。
また、調製直後の水性複合樹脂組成物(IV−8)の代わりに、前記水性複合樹脂組成物(IV−8)のポットライフ試験後の水性複合樹脂組成物を使用すること以外は、前記と同様の方法で、塗膜を作製した。
実施例9 水性複合樹脂組成物(IV−9)の調製
調製例4で製造した直後の水性複合樹脂組成物(II−4)100質量部と、製造例1で調製したカルボキシル基もしくはその中和塩基を有する樹脂粒子の水分散体(III−1)133.9質量部とを混合することによって水性複合樹脂組成物(IV−9)を得た。
次いで、前記で得た水性複合樹脂組成物(IV−9)を、東レ株式会社製の未処理PETフィルム(ルミラー)の表面に、乾燥膜厚が5μmとなるよう、バーコーターを用いて塗布し、次いで150℃で5分間乾燥することによって塗膜を作製した。
また、調製直後の水性複合樹脂組成物(IV−9)の代わりに、前記水性複合樹脂組成物(IV−9)のポットライフ試験後の水性複合樹脂組成物を使用すること以外は、前記と同様の方法で、塗膜を作製した。
実施例10 水性複合樹脂組成物(IV−10)の調製
調製例5で製造した直後の水性複合樹脂組成物(II−5)100質量部と、製造例1で調製したカルボキシル基もしくはその中和塩基を有する樹脂粒子の水分散体(III−1)35.3質量部とを混合することによって水性複合樹脂組成物(IV−10)を得た。
次いで、前記で得た水性複合樹脂組成物(IV−10)を、東レ株式会社製の未処理PETフィルム(ルミラー)の表面に、乾燥膜厚が5μmとなるよう、バーコーターを用いて塗布し、次いで150℃で5分間乾燥することによって塗膜を作製した。
また、調製直後の水性複合樹脂組成物(IV−10)の代わりに、前記水性複合樹脂組成物(IV−10)のポットライフ試験後の水性複合樹脂組成物を使用すること以外は、前記と同様の方法で、塗膜を作製した。
実施例11 水性複合樹脂組成物(IV−11)の調製
調製例6で製造した直後の水性複合樹脂組成物(II−6)100質量部と、製造例1で調製したカルボキシル基もしくはその中和塩基を有する樹脂粒子の水分散体(III−1)119.6質量部とを混合することによって水性複合樹脂組成物(IV−10)を得た。
次いで、前記で得た水性複合樹脂組成物(IV−11)を、東レ株式会社製の未処理PETフィルム(ルミラー)の表面に、乾燥膜厚が5μmとなるよう、バーコーターを用いて塗布し、次いで150℃で5分間乾燥することによって塗膜を作製した。
また、調製直後の水性複合樹脂組成物(IV−11)の代わりに、前記水性複合樹脂組成物(IV−11)のポットライフ試験後の水性複合樹脂組成物を使用すること以外は、前記と同様の方法で、塗膜を作製した。
実施例12 水性複合樹脂組成物(IV−12)の調製
調製例7で製造した直後の水性複合樹脂組成物(II−7)100質量部と、製造例1で調製したカルボキシル基もしくはその中和塩基を有する樹脂粒子の水分散体(III−1)114.5質量部とを混合することによって水性複合樹脂組成物(IV−12)を得た。
次いで、前記で得た水性複合樹脂組成物(IV−12)を、東レ株式会社製の未処理PETフィルム(ルミラー)の表面に、乾燥膜厚が5μmとなるよう、バーコーターを用いて塗布し、次いで150℃で5分間乾燥することによって塗膜を作製した。
また、調製直後の水性複合樹脂組成物(IV−12)の代わりに、前記水性複合樹脂組成物(IV−12)のポットライフ試験後の水性複合樹脂組成物を使用すること以外は、前記と同様の方法で、塗膜を作製した。
比較例1 水性複合樹脂組成物(IV’−1)の調製
比較調製例1で製造した直後の水性複合樹脂組成物(II’−1)100.0質量部と、10%質量%のクエン酸水溶液53.6質量部とを混合することによって水性複合樹脂組成物(IV’−1)を得た。
次いで、前記で得た水性複合樹脂組成物(IV’−1)を、東レ株式会社製の未処理PETフィルム(ルミラー)の表面に、乾燥膜厚が5μmとなるよう、バーコーターを用いて塗布し、次いで150℃で5分間乾燥することによって塗膜を作製した。
また、調製直後の水性複合樹脂組成物(IV’−1)の代わりに、前記水性複合樹脂組成物(IV’−1)のポットライフ試験後の水性複合樹脂組成物を使用すること以外は、前記と同様の方法で、塗膜を作製した。
比較例2 水性複合樹脂組成物(IV’−2)の調製
比較調製例2で製造した直後の水性複合樹脂組成物(II’−2)100.0質量部と、10%質量%のクエン酸水溶液75.1質量部とを混合することによって水性複合樹脂組成物(IV’−2)を得た。
次いで、前記で得た水性複合樹脂組成物(IV’−2)を、東レ株式会社製の未処理PETフィルム(ルミラー)の表面に、乾燥膜厚が5μmとなるよう、バーコーターを用いて塗布し、次いで150℃で5分間乾燥することによって塗膜を作製した。
また、調製直後の水性複合樹脂組成物(IV’−2)の代わりに、前記水性複合樹脂組成物(IV’−2)のポットライフ試験後の水性複合樹脂組成物を使用すること以外は、前記と同様の方法で、塗膜を作製した。
比較例3 水性複合樹脂組成物(IV’−3)の調製
比較調製例3で製造した直後の水性複合樹脂組成物(II’−3)100.0質量部と、10%質量%のクエン酸水溶液85.8質量部とを混合することによって水性複合樹脂組成物(IV’−1)を得た。
次いで、前記で得た水性複合樹脂組成物(IV’−3)を、東レ株式会社製の未処理PETフィルム(ルミラー)の表面に、乾燥膜厚が5μmとなるよう、バーコーターを用いて塗布し、次いで150℃で5分間乾燥することによって塗膜を作製した。
また、調製直後の水性複合樹脂組成物(IV’−3)の代わりに、前記水性複合樹脂組成物(IV’−3)のポットライフ試験後の水性複合樹脂組成物を使用すること以外は、前記と同様の方法で、塗膜を作製した。
比較例4 水性複合樹脂組成物(IV’−4)の調製
比較調製例4で製造した直後の水性複合樹脂組成物(II’−4)100.0質量部と、10%質量%のクエン酸水溶液51.0質量部とを混合することによって水性複合樹脂組成物(IV’−4)を得た。
次いで、前記で得た水性複合樹脂組成物(IV’−4)を、東レ株式会社製の未処理PETフィルム(ルミラー)の表面に、乾燥膜厚が5μmとなるよう、バーコーターを用いて塗布し、次いで150℃で5分間乾燥することによって塗膜を作製した。
また、調製直後の水性複合樹脂組成物(IV’−4)の代わりに、前記水性複合樹脂組成物(IV’−4)のポットライフ試験後の水性複合樹脂組成物を使用すること以外は、前記と同様の方法で、塗膜を作製した。
比較例5 水性複合樹脂組成物(IV’−5)の調製
比較調製例5で製造した直後の水性複合樹脂組成物(II’−5)100.0質量部と、10%質量%のクエン酸水溶液1.2質量部とを混合することによって水性複合樹脂組成物(IV’−5)を得た。
次いで、前記で得た水性複合樹脂組成物(IV’−5)を、東レ株式会社製の未処理PETフィルム(ルミラー)の表面に、乾燥膜厚が5μmとなるよう、バーコーターを用いて塗布し、次いで150℃で5分間乾燥することによって塗膜を作製した。
また、調製直後の水性複合樹脂組成物(IV’−5)の代わりに、前記水性複合樹脂組成物(IV’−5)のポットライフ試験後の水性複合樹脂組成物を使用すること以外は、前記と同様の方法で、塗膜を作製した。
[ポットライフ試験の評価方法]
実施例及び比較例で得た製造直後の水性複合樹脂組成物を、40℃の環境下に3日間保存した。
前記3日経過後の水性複合樹脂組成物等の外観を目視で観察し、下記基準に基づいて評価した。
◎:凝集物が全く見られず、製造直後のものと比較してほとんど変化がなく、塗膜形成が十分可能であった。
○:若干の沈殿物が確認されたが、実用上使用可能なレベルであり、また、再度攪拌することによって、沈殿物の再分散が可能であり、塗膜形成も評価可能であった。
△:沈殿物がやや多く、再度攪拌してもごく一部の沈殿物が残留し、バーコーターでの塗布が困難であり評価可能な塗膜の形成が困難であった。
×:樹脂全量の約50質量%以上が沈殿し、再度の攪拌によっても、再分散せず、バーコーターでの塗布が不可能であった。
[耐溶剤性1(製造直後の水性複合樹脂組成物を用いて得た塗膜の耐溶剤性)の評価方法]
100質量%のエタノールをしみこませた綿棒を用い、前記で得た塗膜表面を約0.3kgの圧力で30回擦過した。前記擦過後の塗膜表面を目視で観察し、以下の評価基準に従って評価した。
◎:擦過前後で、塗膜表面の変化が全くなかった。
○:擦過前後で塗膜表面に、ごく僅かな白化や傷が確認できたが、十分な透明性を維持しており実用上問題ないレベルであった。
△:擦過前後で塗膜表面に明確な白化及び傷が確認でき、透明性の明確な低下が確認できた。
×:塗膜表面が溶解し、未処理PETフィルム(ルミラー)の表面が確認できた。
なお、水性複合樹脂組成物の凝集や固化等によって、前記フィルム上に塗布し塗膜を形成することが困難であったものについては、表中「−」と記載した。
[耐溶剤性2(製造直後の水性複合樹脂組成物を用いて得た塗膜の耐溶剤性)の評価方法]
前記で得た塗膜表面に、JIS S 6037に規定するマーキングペンの黒、赤、青、それぞれのペン先を押しつけ、ペン先の広い幅の辺に対して直角の方向に、毎秒約150mmの速さで動かし、前記塗膜表面に、線幅が約2cmの線を、互いに接するよう3本引くことによって、塗膜表面の約36cm2の範囲を塗りつぶした。
前記塗りつぶした後、常温の環境下に18時間放置した塗膜の表面を、石油ベンジンとエタノールとを1:1の質量比で含有する混合溶媒を浸した清潔なガーゼを用いて拭き、皮膜表面に付着したマーキングペンのインクをふき取った。次いで、前記塗膜表面を乾燥した清潔なガーゼを用いて軽く拭き、更に1時間室温で放置した。
前記放置後の塗膜表面を、拡散昼光の下で目視によって観察し、試験前の塗膜と比較して塗膜の色・つやの変化及び膨れの有無を目視評価した。
◎:色のかすれや、つやの低下等の色・つやの変化が全く認められなかった。
○:前記色・つやの変化がごく僅かに認められたが、実用上問題ないレベルであった。
△:前記色・つやの変化が、塗膜の約4cm2の範囲の約半分の範囲で認められた。
×:前記色・つやの変化が非常に顕著に認められ、実用上問題があるレベルであった。
なお、水性複合樹脂組成物の凝集や固化等によって、前記フィルム上に塗布し塗膜を形成することが困難であったものについては、表中「−」と記載した。
[耐溶剤性3(前記ポットライフ試験後の水性複合樹脂組成物を用いて得た塗膜の耐溶剤性)の評価方法]
前記ポットライフ試験(40℃×3日)後の水性複合樹脂組成物を用いて得た塗膜の表面に、100質量%のエタノールをしみこませた綿棒を用い、前記で得た塗膜表面を約0.3kgの圧力で30回擦過した。前記擦過後の塗膜表面を目視で観察し、以下の評価基準に従って評価した。
◎:擦過前後で、塗膜表面の変化が全くなかった。
○:擦過前後で塗膜表面に、ごく僅かな白化や傷が確認できたが、十分な透明性を維持しており実用上問題ないレベルであった。
△:擦過前後で塗膜表面に明確な白化及び傷が確認でき、透明性の明確な低下が確認できた。
×:塗膜表面が溶解し、未処理PETフィルム(ルミラー)の表面が確認できた。
なお、水性複合樹脂組成物の凝集や固化等によって、前記フィルム上に塗布し塗膜を形成することが困難であったものについては、表中「−」と記載した。
[耐溶剤性4(前記ポットライフ試験後の水性複合樹脂組成物を用いて得た塗膜の耐溶剤性)の評価方法)]
前記ポットライフ試験(40℃×3日)後の水性複合樹脂組成物を用いて得た塗膜の表面に、JIS S 6037に規定するマーキングペンの黒、赤、青、それぞれのペン先を押しつけ、ペン先の広い幅の辺に対して直角の方向に、毎秒約150mmの速さで動かし、前記塗膜表面に、線幅が約2cmの線を、互いに接するよう3本引くことによって、塗膜表面の約36cm2の範囲を塗りつぶした。
前記塗りつぶした後、常温の環境下に18時間放置した塗膜の表面を、石油ベンジンとエタノールとを1:1の質量比で含有する混合溶媒を浸した清潔なガーゼを用いて拭き、皮膜表面に付着したマーキングペンのインクをふき取った。次いで、前記塗膜表面を乾燥した清潔なガーゼを用いて軽く拭き、更に1時間室温で放置した。
前記放置後の塗膜表面を、拡散昼光の下で目視によって観察し、試験前の塗膜と比較して塗膜の色・つやの変化及び膨れの有無を目視評価した。
◎:色のかすれや、つやの低下等の色・つやの変化が全く認められなかった。
○:前記色・つやの変化がごく僅かに認められたが、実用上問題ないレベルであった。
△:前記色・つやの変化が、塗膜の約4cm2の範囲の約半分の範囲で認められた。
×:前記色・つやの変化が非常に顕著に認められ、実用上問題があるレベルであった。
なお、水性複合樹脂組成物の凝集や固化等によって、前記フィルム上に塗布し塗膜を形成することが困難であったものについては、表中「−」と記載した。
[耐水性1(製造直後の水性複合樹脂組成物を用いて得た塗膜の耐水性)の評価方法]
前記実施例及び比較例で得た塗膜を、水中に40℃×24時間浸漬した後、前記塗膜表面を目視で観察し、以下の評価基準に従って評価した。
◎:浸漬前後で、塗膜表面の変化が全くなかった。
○:浸漬前後で、塗膜表面に、ごく僅かな白化や傷が確認できたが、十分な透明性を維持しており実用上問題ないレベルであった。
△:浸漬前後で、塗膜表面に明確な白化及び傷が確認でき、透明性の明確な低下が確認できた。
×:浸漬前後で、塗膜表面に明確な白化及び傷が確認でき、透明性の著しい低下が確認できた。
[耐水性2(前記ポットライフ試験後の水性複合樹脂組成物を用いて得た塗膜の耐水性)の評価方法]
前記ポットライフ試験(40℃×3日)後の水性複合樹脂組成物を用いて得た塗膜を水中に40℃×30日間浸漬した後、前記塗膜表面を目視で観察し、上記耐水性1の評価基準と同様の基準にしたがって評価した。