JP6063940B2 - 硬化材ペースト及びアルジネート硬化性組成物調製用キット - Google Patents
硬化材ペースト及びアルジネート硬化性組成物調製用キット Download PDFInfo
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Description
この支台歯等の型を印象と称し、印象を採得するための硬化材料を印象材(impression material)と呼んでいる。この印象材として、アルジネート印象材、寒天印象材、シリコーンゴム印象材、ポリサルファイドゴム印象材、あるいは、ポリエーテルゴム印象材等が用いられる。その中でも、アルジネート印象材は、安価かつ取扱いが容易であるため、最も広く用いられる。
一つは、水を除いた固形分を粉末状として保存しておき、使用時に水を混練する粉末タイプである。もう一つは、アルギン酸塩と水とを主成分とするペースト(基材ペースト)とゲル化反応剤を主成分とするペースト(硬化材ペースト)とに分けて保存しておき、使用時に、これら2種のペーストを混練するペーストタイプである。
これに対して、ペーストタイプのアルジネート印象材は、基材ペーストと硬化材ペーストとを混練する専用の混練装置を用いることにより、容易に混練作業の自動化・省力化が図れる。このため、近年では、粉末タイプのアルジネート印象材に代わってペーストタイプのアルジネート印象材が普及しつつある。
このような家畜用乳頭パックは、家畜の乳房炎の感染予防に使用されるものであり、上記のような硬化性組成物を牛等の家畜の乳頭に塗布し硬化皮膜を形成することにより、乳房炎に感染し易い乾乳期(dry period)の一定期間、乳頭を保護するというものである。これにより、乳頭からの菌の侵入を防止し、乳房炎への感染を予防できる。
(A)硫酸カルシウム、
(B)HLBが2.0〜6.0であるポリグリセリン脂肪酸エステル、
(C)難水溶性分散媒、
を含むことを特徴とする硬化材ペーストが提供される。
(1)前記難水溶性分散媒が、20℃の水100gに対する溶解度が5g以下のものであること、
(2)ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)を、硫酸カルシウム(A)100質量部当り1〜50質量部の量で含んでいること、
(3)難水溶性分散媒(C)を、硫酸カルシウム(A)100質量部当り10〜200質量部の量で含んでいること、
(4)ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)が、デカグリセリンペンタステアリン酸エステル、デカグリセリンペンタイソステアリン酸エステル、デカグリセリンペンタオレイン酸エステルから選ばれる少なくとも1種であること、
(5)下記式(1);
TI=ηA/ηB (1)
式中、ηAは、コーンプレート型粘度計を用いて、せん断速度0.1/s
で測定した粘度(25℃)であり、
ηBは、コーンプレート型粘度計を用いて、せん断速度1.0/s
で測定した粘度(25℃)である、
で定義されるチキソトロピー指数TIが1.5以上であること、
が好適である。
かかるアルジネート硬化性組成物調製用キットにおいては、前記硬化材ペーストまたは前記基材ペーストの少なくとも何れか一方にトレハロースが配合されていることが好ましい。
即ち、このキットに含まれる硬化材ペーストと基材ペーストとを混練装置等を用いて調製される硬化性組成物は、一定時間経過後に硬化するため、調製後、直ちに所定の部位に施し、硬化せしめることにより、硬化物表面に所定の部位の表面を反映させることができる。従って、このようなアルジネート硬化性組成物調製用キットは、印象材としての用途に好適に使用され、特に歯科用印象材としての使用に最適である。
(i)皮膜形成力が高いこと、
(ii)乳頭表面に対する密着性が大きいこと、
(iii)被膜形成後、乳頭口から滲出してくる乳液中に含まれているカルシウムイオンにより過硬化を発生しないこと(過硬化を発生すると皮膜にしわやクラックが発生し、乳頭の保護効果が損なわれてしまう)、
(iv)使用後は容易に剥がせること、
等の特性が望まれているが、上記のアルジネート硬化性組成物は、これらの特性にも優れている。
本発明の硬化材ペーストは、アルギン酸(D)及び水を含む基材ペーストと混練することにより、例えば印象材(特に歯科用)や家畜用乳頭パックなどの用途に適用されるアルジネート硬化性組成物を形成するものである。
このような硬化材ペーストは、硫酸カルシウム(A)、ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)及び難水溶性分散媒(C)を必須成分として含み、さらに必要に応じて配合される他の配合剤を含む。
以下、硬化材ペーストに配合される各成分について説明する。
硫酸カルシウムは、硬化材ペースト中の主成分であり、ゲル化反応剤とも呼ばれる成分である。即ち、この成分は、後述する基材ペースト中のアルギン酸塩と水の存在下で反応して硬化物を形成する。
硫酸カルシウムとしては、2水塩、半水塩、無水塩等が知られているが、本発明においては、これらの何れも使用することができ、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明において、ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)は、この硬化材ペーストにチキソトロピー性を付与するためのノニオン系界面活性剤であり、特にHLB(親水親油バランス)が2.0〜6.0の範囲にあるものが選択的に使用される。例えば、アニオン系やカチオン系の界面活性剤、或いはHLBが、上記範囲外のノニオン系界面活性剤を使用した場合には、目的とする高いチキソトロピー性は発現しない。
また、上記の範囲のHLBを有するポリグリセリン脂肪酸エステル(B)が使用された硬化材ペーストでは、基材ペーストとの混練物から得られる硬化物の過硬化を抑制し、皮膜形成能を高めることができるという利点も有している。即ち、硬化材ペーストと後述する基材ペースト(アルギン酸塩の水性ペースト)との混練物中での難水溶性分散媒(C)の流動が円滑になるために、硫酸カルシウム(A)とアルギン酸塩(D)との硬化が、混練物全体にわたって均一に進行するために、局部的な硬化が防止され、結果として過硬化が抑制されるものと思われる。
HLB=20×(親水基部分の分子量)/(界面活性剤の分子量)
また、ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンは、HLBが上記範囲内である限りにおいて、2量体〜12量体のもの、すなわちジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、ヘプタグリセリン、オクタグリセリン、ノナグリセリン、デカグリセリン、ウンデカグリセリン、ドデカグリセリンが好ましく、中でも、硬化材ペーストへの分散性の観点から、8量体〜10量体のオクタグリセリン、ノナグリセリン、デカグリセリンがより好ましい。
また、ポリグリセリン中のエステル化された水酸基の数については、グリセリンの量体数にもよるが、所望のHLBにするために適宜選択され、一般的には、1置換〜8置換体が用いられる。
ペンタグリセリンモノペンタデシル酸エステル
ペンタグリセリンモノパルミチン酸エステル
トリグリセリンモノマルガリン酸エステル
ジグリセリンモノステアリン酸エステル
ジグリセリンモノオレイン酸エステル
ジグリセリンモノイソステアリン酸エステル
テトラグリセリンモノステアリン酸エステル
テトラグリセリンモノオレイン酸エステル
ヘキサグリセリントリステアリン酸エステル
デカグリセリンペンタステアリン酸エステル
デカグリセリンペンタイソステアリン酸エステル
デカグリセリンペンタオレイン酸エステル
デカグリセリンペンタノナデカン酸エステル
デカグリセリン酸トリエイカ酸エステル
デカグリセリルトリベヘン酸エステル
本発明に用いられる難水溶性分散媒は、硫酸カルシウム(A)を含む固形分(粉材)のペースト化に用いられる。この場合、硫酸カルシウム(A)は水と反応して硬化(ゲル化)する。したがって、保存中での硫酸カルシウムの硬化を防止し、長期にわたっての保存安定性を高めるために、この分散媒は含水し難い難水溶性のもの、例えば、20℃の水100gに対する溶解度が5g以下であることが必要である。この溶解度は、0.4mg以下が好ましい。
以下、これら各種の難水溶性分散媒の好適な例を示す。
環式アルコールとしては、ベンジルアルコール、メタ−クレゾール等が挙げられる。
脂肪酸エステルとしては、オクタン酸エチル、フタル酸ブチル、オレイン酸グリセリド;オリーブ油、ごま油等の植物油;肝油、鯨油等の動物脂;などが挙げられる。
例えば印象材、特に歯科用印象材としての用途に硬化材ペーストを用いる場合には、製造コスト、生体に対する為害性、歯牙の印象を採取する際の味覚への影響等の観点から、上記で列挙した難水溶性分散媒の中でも、炭化水素化合物または疎水性重合体を用いることが好ましく、流動パラフィンまたはシリコーンオイルを用いることが最も好適である。
また、家畜用乳頭パックなどの用途に硬化材ペーストを用いる場合には、前述した過硬化の抑制効果をより長期間発揮させる観点から、上記で列挙した分散媒の中でも沸点が高いものが好ましく、1気圧での沸点が100℃以上、特に150〜600℃のもの、例えば、オクタン、ノナン、デカン、1−ヘキサノール、オレイン酸グリセリド、流動パラフィン、シリコーンオイル等が好ましく、さらに、製造コスト、家畜に対する安全性等を考慮すれば、炭化水素化合物及び疎水性重合体が好ましく、流動パラフィン及びシリコーンオイルが最も好ましい。
例えば、上述した各成分の種類や配合量等を適宜選択することにより、本発明の硬化材ペーストは、下記式(1);
TI=ηA/ηB (1)
式中、ηAは、コーンプレート型粘度計を用いて、せん断速度0.1/s
で測定した粘度(25℃)であり、
ηBは、コーンプレート型粘度計を用いて、せん断速度1.0/s
で測定した粘度(25℃)である、
で定義されるチキソトロピー指数TIを1.5以上、特に、1.8以上、最も好ましくは2.0以上に調整できる。
上述した硬化材ペーストと混練されて硬化性組成物を形成する基材ペーストは、アルギン酸塩(D)及び水(E)を必須成分として含む。
既に述べたように、アルギン酸塩は、前述した硬化材ペースト中の硫酸カルシウム(A)と水の存在下で反応して硬化物を形成する成分であり、それ自体公知のもの、例えば、
i)アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム等のアルギン酸アルカリ金属塩、
ii)アルギン酸アンモニウム、アルギン酸トリエタノールアミン等のアルギン酸アンモニウム塩、
などを使用することができる。
これらのアルギン酸塩の中でも、入手容易性、取扱い容易性、硬化物の物性等の観点から、アルギン酸アルカリ金属塩を用いることが好ましい。また、アルギン酸塩は、2種類以上を混合して用いることもできる。
また、アルギン酸塩の分子量は特に限定されないが、一般的には、アルギン酸塩を1重量%含む水溶液の粘度が50cps〜100cps(23℃)の範囲内となる分子量が好ましい。
水は、硫酸カルシウム(A)とアルギン酸塩(D)との硬化反応(ゲル化)に必要な成分であり、水道水、イオン交換水、蒸留水等が使用される。
水の使用量は、アルギン酸塩100質量部当り、100〜4000質量部、特に500〜2000質量部の範囲内とするのがよい。
尚、この水は、その一部の量(例えば1000質量部以下)を基材ペーストと硬化材ペーストとの混練時に配合することもできる。
本発明においては、前述した高いチキソトロピー性を損なわない範囲で、硬化材ペースト及び基材ペーストの何れにも、その用途や要求特性に応じて、種々の添加剤を配合することができる。
マスキング剤は、特に上述した硬化材ペーストと基材ペーストとの混練物からなるアルジネート硬化性組成物を歯科用印象材に適用する場合に使用されるものであり、この印象材(アルジネート硬化性組成物)を患者の口腔内に挿入したとき、患者に与える不快感を抑制するために使用されるものである。
即ち、口腔内に挿入される印象材には、前述したポリグリセリン脂肪酸エステル(B)が含有されている為、これが口腔内に挿入されると、患者が独特の味(苦味、渋み)を感じる場合がある。このような独特の味をマスキング剤によって緩和することにより、患者に与える不快感を抑制するわけである。
また、トレハロースを使用し、その印象精度向上効果や耐乾燥性向上硬化を重視する場合には、トレハロースの使用量は、アルギン酸塩100質量部当り、100〜2000質量部、特に400〜1200質量部の量で使用する範囲内であること好ましい。
このような乳頭パックの用途に好適な非還元糖の使用量は、アルギン酸塩100質量部当り、100〜2000質量部、特に400〜1200質量部の量で使用する範囲内であること好ましい。
これら添加剤は、基材ペーストおよび硬化材ペーストのいずれか一方、または、双方に適宜添加することができる。しかしながら、これらの中で充填剤は、基材ペーストおよび硬化材ペーストの双方に添加することが好ましく、ゲル化調整剤は、硬化材ペーストに添加されることが好ましい。
a)リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸ナトリウム、
トリポリリン酸ナトリウム等のアルカリ金属を含むリン酸塩、
b)蓚酸ナトリウム、蓚酸カリウム等のアルカリ金属を含む蓚酸塩、
c)炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属を含む炭酸塩、
などであり、これらは、1種単独或いは2種類以上の組み合わせで使用される。
このような充填剤としては、珪藻土、タルク等の粘度鉱物が代表的であるが、シリカ、アルミナ等の酸化物も用いることができる。充填剤の配合量は特に制限されるものではないが、アルギン酸塩100質量部当り50〜2000質量部の範囲内が好ましく、100〜1000質量部の範囲内がより好ましい。
このような添加剤も、基材ペースト及び硬化材ペーストの何れにも配合することができる。
さらに、上記の添加剤以外にも、香料、着色料、抗菌剤、防腐剤、pH調整剤等を適宜配合することができる。
これらの添加剤もまた、基材ペースト及び硬化材ペーストの何れにも配合することができる。
本発明の硬化材ペーストは、使用直前に基材ペーストと混練し、この混練物(アルジネート硬化性組成物)が印象材や乳頭パックの用途に適用され、混練時に、適宜の量の水(E)を補充することができる。
尚、当然のことながら、上記の混合比Rmは、製品パッケージや使用説明書などにより、使用者に情報表示しておかなければならない。
これにより、牛やヤギ等の搾乳用家畜について、乳頭からの乳房炎などへの感染を有効に防止することができる。
尚、以下の実験例において、実験Iは、歯科用印象材についての評価であり、実験IIは、家畜用乳頭パックについての評価である。
後述する実験例に使用されている各種原料の略称は以下の通りである。
1.アルギン酸塩;
Alg−K:
アルギン酸カリウム
(1%水溶液粘度(20℃) 600mPa・sec)
Alg−Na:
アルギン酸ナトリウム
(1%水溶液粘度(20℃) 120mPa・sec)
HGSE:
ヘキサグリセリントリステアリン酸エステル(HLB=2.5)
DGSE:
デカグリセリンペンタステアリン酸エステル(HLB=3.5)
DGISE:
デカグリセリンペンタイソステアリン酸エステル(HLB=3.5)
DGOE:
デカグリセリンペンタオレイン酸エステル(HLB=3.5)
DIGMOE:
ジグリセリンモノオレイン酸エステル(HLB=5.5)
DGMRE:(比較)
デカグリセリンモノラウリン酸エステル(HLB=15.5)
DGTOE:(比較)
デカグリセリントリオレイン酸エステル(HLB=7.0)
DGTSE:(比較)
デカグリセリントリステアリン酸エステル(HLB=7.5)
流動パラフィン
粘度(20℃) 150mPa・sec
水への溶解度 < 0.001mg/L(殆ど溶解しない)
沸点 450℃(1気圧)
SO:
シリコーンオイル(ポリジメチルシロキサン)
粘度(20℃) 300mPa・sec
水への溶解度 < 0.001mg/L(殆ど溶解しない)
沸点 250℃(1気圧)
Cdex−α:
α−シクロデキストリン
Cdex−β:
β−シクロデキストリン
P3Na:
リン酸三ナトリウム
FTK:
フッ化チタンカリウム
MT−10:
粒径0.02μmの非晶質シリカ(メチルトリクロロシラン処理物)
SG:
ステアリン酸グリセリル(HLB=3.0)
MSPG:
モノステアリン酸プロピレングリコール(HLB=3.5)
以下の実験例で調製されたサンプルについての各種物性の測定或いは評価は、以下の方法により行った。
ガラス製ビーカー(容量:300ml)に、調製後の硬化材ペースト(約240ml)を投入した後、このビーカーを、温度を25℃に設定したインキュベーター内に1時間程度放置した。
その後、インキュベーター内にて回転式粘度計(RION社製 ビスコテスター VT−04F)を用いて硬化材ペーストの粘度(初期粘度V、Poise)を測定した。
次に、調製した硬化材ペーストをアルミ製のペーストパックに充填し、ペースト取り出し口を下方に向けて直立させた状態で、温度を25℃に設定したインキュベーター内に保管した。所定の期間(1年後、2年後)が経過した時に、ペースト取り出し口から、硬化材ペーストを取り出し(約240ml)、上記と同様の方法にて、硬化材ペーストの粘度(保管後の粘度V1、V2、Poise)を測定した。
コーンプレート型粘度計(BOHLIN社製CSレオメーター CVO120HR)に、調整後の硬化材ペーストを適量載せ、25℃で保持しながら粘度の測定を開始し、せん断速度0.1/sでの測定開始から60秒後の粘度(ηA)を測定した。次に、同様の方法で、せん断速度1.0/sでの測定開始から60秒後の粘度(ηB)を測定した。なお、粘度の測定条件は、コーンの直径が2cm、コーンの傾斜角度は1°とした。粘度を下記式(1)に代入し、チキソトロピー指数(TI)を算出した。
TI=ηA/ηB (1)
ペースト自動混練装置として、トクヤマデンタル社製「APミキサーII」を用意した。
この混練装置に、調製後の硬化材ペーストを充填したパック(ペーストパック)をセットし、しばらくポンプを稼働し、装置内のミキサー内部にペーストを充填した後、硬化材ポンプを10秒間起動し、その間に吐出される硬化材ペーストの重量(硬化材ペースト初期10秒吐出量)を測定した。
一方、上記ペーストパックを、ペースト取り出し口を下方に向けて直立させた状態で、温度を25℃に設定したインキュベーター内に保管した。所定の期間(1年後、2年後)が経過した時に、上記と同様の方法にて、保管後の硬化材ペースト10秒吐出量を測定した。
上記のペースト自動混練装置に、調製後の硬化材ペースト或いは基材ペーストが充填された硬化材ペーストパック及び基材ペーストパックをそれぞれセットした。
この混練装置から得られた混練物(印象材ペースト)について、JIST6513に記載された方法に準拠して細線再現性試験を行った。
すなわち、幅50μm及び幅20μmの細線が施された細線再現性試験用金型に印象材ペーストを盛り付け、35℃水中に6分放置後、印象材硬化体を撤去し、印象面に石膏を盛り付け、100%湿度中に1時間保持し、硬化した石膏の印象面に、幅50μm及び幅20μmの細線が再現されているかどうか顕微鏡を用いて観察し、以下に示す評価基準により評価した。
細線再現性評価基準;
◎:幅20μmの細線が途切れる事無く、再現されている。
○:幅50μmの細線が途切れる事無く、再現されている。
△:幅50μmの細線が確認されるが、ところどころ途切れている。
×:幅50μmの細線が確認できない。
所定の期間(1年後、2年後)が経過した時に、硬化材ペーストを再びペースト自動混練装置にセットし、同様の方法にて、保管後の硬化材ペーストの印象精度(細線再現性)を評価した。
上記のペースト自動混練装置に、硬化材ペーストパック及び基材ペーストパックをそれぞれセットした。
硬化材ペーストと基材ペーストとが混練されたペーストを、上顎印象採得用のメタルトレー上に吐出し、被験者10名の上顎の印象を通常の方法にて、採得した。印象採得処置の間、苦味・渋みの程度を下記判定基準により評価した。
苦味・渋み判定基準;
○:苦味・渋みが気になったと答えた被験者が1人も確認されなかった。
△:苦味・渋みが気になったと答えた被験者が1〜3名存在した。
×:苦味・渋みが気になったと答えた被験者が5名以上存在した。
(実施例1)
硫酸カルシウム(A)として、25gの硫酸カルシウム無水塩(無水石膏)及び10gの硫酸カルシウム二水塩(二水石膏)、ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)として、3.5gのHGSE、難水溶性分散媒(C)として、20gの流動パラフィンを量りとり、小型混練器(アイコー産業社製アイコーミキサー)を用いて1時間混練し、硬化材ペーストを調製した。
得られた硬化材ペーストに関して、粘度、チキソトロピー指数TIおよび10秒吐出量の評価を行った。
この基材ペースト及び上記硬化材ペーストの全量を、前述したペースト自動混練装置を用いて混練し、得られた混練物について、印象精度(細線再現性)の評価を行った。
また、調製後、25℃インキュベーター内に1年、及び2年保管した硬化材ペーストに関しても、それぞれ同様の評価を行った。
硬化材ペースト或いは基材ペーストの組成を、表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして硬化材ペースト、基材ペースト及び混練物を調製し、各種の測定を行った。
硬化材ペーストの組成を、表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして硬化材ペースト、基材ペースト及び混練物を調製し、各種の測定を行った。
また、各実施例及び比較例での硬化材ペーストのチキソトロピー指数TIは、以下のとおりであった。
実施例1: 1.56
実施例2: 2.12
実施例3: 2.13
実施例4: 2.20
実施例5: 1.55
実施例6: 2.01
実施例7: 2.08
実施例8: 1.93
実施例9: 2.89
実施例10: 3.81
実施例11: 1.82
比較例1: 1.02
比較例2: 1.04
比較例3: 1.34
比較例4: 1.14
比較例5: 1.08
比較例6: 1.09
更に、これらの硬化材ペーストは粘度が非常に高いにもかかわらず、ペーストのチキソトロピー性が高く(チキソトロピー指数が1.5以上)、良好な流動性(10秒吐出量)を有している事がわかる。また、これらの硬化材ペーストを長期間保管した後も、粘度及び流動性(10秒吐出量)の大きな変動は認められず、初期の値が維持されており、良好な印象精度が得られている。
硬化材ペースト或いは基材ペーストの組成を、表5に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして基材ペーストおよび硬化材ペーストを調整し、印象採得時の苦味・渋み評価を行った。印象材の組成及び結果を表5に示す。
以下の実験は、本発明の硬化材ペーストから得られるアルジネート硬化性組成物を乳頭パックに適用したときの効果を示すために行われたものである。
この実験において、各種の測定及び評価は、以下の方法により行った。
硬化材ペーストと基材ペーストとを練和用のカップに量りとり、ヘラを用いて、気泡が混入しないように練和して混合ペースト(硬化性組成物)を調製する。
この混合ペーストを、アクリル板上に載せたテフロン(登録商標)製モールドに充填し、さらに、充填された混合ペーストの上面にアクリル板を圧接し、クリップを用いて圧接したアクリル板を固定し、3分放置後、硬化物(ゲル化物)をモールドから撤去することにより、サンプル片(横:57mm、縦:19mm、高さ:3mm)を作製した。
サンプル片作製直後に、サンプル片の寸法(横、縦、高さ)を、測定顕微鏡(オリンパス社製
「STM6」)を用いて計測し、サンプル片の初期体積(V1/mm3)を算出した。
過硬化性目視評価基準;
○:しわやひび割れが全く見られず、初期の状態と見分けがつかない状
態。
△:しわが確認でき、初期の状態と異なっている。
×:無数のしわが確認でき、ひび割れも確認され、明らかに初期の状態
と異なっている。
寸法歪(%)=(V1−V2)/V1×100
サンプル片を再び、乳液(搾りたての生牛乳)をしみ込ませた布で包みこみ、25℃インキュベーター内に保管し、1日経過毎に、同様の方法にて、過硬化性(目視評価、寸法歪)評価を行った。
(2−1)初期弾性歪の測定
過硬化性評価の場合と同様にして、硬化材ペーストと基材ペーストとの混合ペースト(硬化性組成物)を調製する。
アクリル板(縦45mm×横45mm)の上面にプラスチックリングA(内径31mm、外径38mm、高さ16mm)を配置した後、プラスチックリングA内に、上記の混合ペーストを充填し、この充填と同時に時間の計測を開始した。
さらに、プラスチックリングA内に混合ペーストを充填した後、直ちに、このプラスチックリングAに、小さなプラスチックリングB(内径13mm、外径25mm、高さ20mm)をさらに挿入することにより、プラスチックリングB内部に、上記の混合ペーストを充填した。
そして時間の計測を開始してから30秒後に、万力によって両端がアクリル板により圧接固定されているプラスチックリングB(内部に混合ペーストが充填されている)を、25℃のインキュベーター内に入れ、インキュベーターに入れてから15分後(時間の計測開始から15分30秒後)に、プラスチックリングBを取り出した。これによりプラスチックリングB内において硬化した円柱状の硬化物サンプルを得た。
上記で得られた円柱状の硬化物サンプルを、該サンプルの中心軸方向から荷重が加わるように圧縮試験機にセットし、時間の計測開始から16分経過後に、以下の手順で圧縮試験を実施した。
圧縮試験開始時から30秒を経過した後のダイヤルゲージの値A(mm)を読み取った。また、圧縮試験開始時から60秒〜70秒までの間に、硬化物サンプルに対して印加する荷重を100gf/cm2から1000gf/cm2へと増大させ、さらに、70秒〜100秒経過する間では、硬化物サンプルに対して印加する荷重を1000gf/cm2に保持し続けた。
そして、圧縮試験開始から100秒経過した時点でのダイヤルゲージの値B(mm)を読み取った。
弾性歪(εe)=(A−B)/20×100(%)
そして、同一の硬化物サンプルについて同様の評価を3回実施して得られた各々の弾性歪の平均値を硬化物の弾性歪(初期)とした。
初期弾性歪の測定方法と同様の方法により、硬化材ペーストと基材ペーストとの混合ペースト(硬化性組成物)から、円柱状の硬化物サンプルを得た。この硬化物サンプルを25℃インキュベーター内に所定の期間保管した。
所定期間経過後に、硬化物サンプルをインキュベーター内から取り出し、初期弾性歪と同様の測定方法により、所定期間経過後の弾性歪(εe)を求めた。そして、同一のゲル化物サンプルについて同様の評価を3回実施して得られた各々の弾性歪の平均値を硬化物の弾性歪(保管後)とした。
アルギン酸塩(D)として100gのAlg−K、水(E)として1500gの蒸留水、非還元糖(F)として600gのトレハロース、その他成分として珪藻土295gを量りとり、小型混練器(アイコー産業社製アイコーミキサー)を用いて1時間練和し、基材ペーストを調製した。
一方、下記処方により各成分を、上記小型練和器を用いて1時間練和し、硬化材ペーストを調製した。
硬化材ペースト処方;
硫酸カルシウム(A):400gの無水石膏
ポリグリセリン脂肪酸エステル(B):40gのDGSE
難水溶性分散媒(C):200gの流動P1
その他の成分:
60gのMgO
40gのFTiK
40gのZnO
8gのP3Na
55gの珪藻土
30gのMT−10
基材ペースト及び硬化材ペーストの組成については表6に示し、硬化組成物の評価結果は表7に示した。
硬化材ペースト及び基材ペーストの組成、或いは両ペーストの混練比を表6に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、乳頭パック用硬化性組成物を調製し、過硬化性評価及び硬化体弾性評価を行い、その結果を表7に示した。
Claims (10)
- (A)硫酸カルシウム;
(B)HLBが2.0〜6.0であるポリグリセリン脂肪酸エステ
ル;
及び
(C)難水溶性分散媒;
を含むことを特徴とする硬化材ペースト。 - 前記難水溶性分散媒が、20℃の水100gに対する溶解度が5g以下のものである請求項1に記載の硬化材ペースト。
- ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)を、硫酸カルシウム(A)100質量部当り1〜50質量部の量で含んでいる請求項1に記載の硬化材ペースト。
- 難水溶性分散媒(C)を、硫酸カルシウム(A)100質量部当り10〜200質量部の量で含んでいる請求項1に記載の硬化材ペースト。
- ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)が、デカグリセリンペンタステアリン酸エステル、デカグリセリンペンタイソステアリン酸エステル、デカグリセリンペンタオレイン酸エステルから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の硬化材ペースト。
- 下記式(1);
TI=ηA/ηB (1)
式中、ηAは、コーンプレート型粘度計を用いて、せん断速度
0.1/sで測定した粘度(25℃)であり、
ηBは、コーンプレート型粘度計を用いて、せん断速度
1.0/sで測定した粘度(25℃)である、
で定義されるチキソトロピー指数TIが1.5以上である請求項1に記載の硬化材ペースト。 - (D)アルギン酸塩;
及び
(E)水;
を含む基材ペーストと、請求項1に記載の硬化材ペーストとからなるアルジネート硬化性組成物調製用キット。 - 前記硬化材ペーストまたは前記基材ペーストの少なくとも何れか一方にトレハロースが配合されている請求項7に記載のアルジネート硬化性組成物調製用キット。
- 歯科用アルジネート印象材の形成に使用される請求項7に記載のアルジネート硬化性組成物調製用キット。
- 家畜用乳頭パックの形成に使用される請求項7に記載のアルジネート硬化性組成物調製用キット。
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