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JP6061820B2 - 機能性フィルムおよび機能性フィルムの製造方法 - Google Patents

機能性フィルムおよび機能性フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、支持体の上に有機層と無機層とを交互に形成してなる機能性フィルム、および、この機能性フィルムの製造方法に関する。
光学素子、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示装置、各種の半導体装置、太陽電池等の各種装置において防湿性が必要な部位や部品、食品や電子部品等を包装する包装材料などガスバリアフィルムが利用されている。
ガスバリアフィルムは、一般的に、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等のプラスチックフィルムを支持体(基板)として、その上に、ガスバリア性を発現する膜(以下、ガスバリア膜とも言う)を成膜してなる構成を有する。また、ガスバリアフィルムに用いられるガスバリア膜としては、例えば、窒化ケイ素、酸化珪素、酸化アルミニウム等の各種の無機化合物からなる膜が知られている。
このようなガスバリアフィルムにおいて、より高いガスバリア性能が得られる構成として、支持体の上に、有機化合物からなる有機層(有機化合物層)と、無機化合物からなる無機層(無機化合物層)とを交互に積層した積層構造を有する、有機/無機積層型のガスバリアフィルムが知られている。
有機/無機積層型のガスバリアフィルムにおいて、主にガスバリア性を発現するのは無機層である。有機/無機積層型のガスバリアフィルムでは、下地となる有機層の上に無機層を形成することにより、有機層によって無機層の形成面を平滑化して、良好な平滑性を有する有機層の上に無機層を形成することにより、ヒビや割れ等のない均一な無機層を形成して、優れたガスバリア性能を得ている。
また、有機/無機積層型のガスバリアフィルムでは、下地となる有機層と無機層の組み合わせを、複数、有することにより、より優れたガスバリア性能を得られることも、知られている。
ここで、有機/無機積層型のガスバリアフィルムでは、層間の密着性、特に、無機層の上に形成する有機層の密着性を確保するのが困難である。
すなわち、ガスバリア性を発現する無機層は、緻密な結晶構造を有する。そのため、無機層の上に形成される有機層は、易接着層のように層内に浸透して、アンカリング効果を得ることができず、十分な密着性を確保できない。
そのため、有機/無機積層型のガスバリアフィルムにおいては、無機層の上に有機層を形成する際に、有機層にシランカップリング剤を含有させて、有機層の密着性を確保することが知られている。
周知のように、シランカップリング剤は、分子内に有機材料および無機材料と結合する官能基を有する化合物である。有機/無機積層型のガスバリアフィルムにおいては、シランカップリング剤は、例えば、無機層とは、シラノール化によってSi−O−Siの結合を形成し、また、アクリル基等の有機層を形成する有機材料(樹脂材料)と結合し易い官能基を有することで、無機層上の有機層の密着性を確保する。
具体的には、特許文献1には有機/無機積層型のガスバリアフィルムにおいて、無機層上の有機層が、有機溶剤と、有機層となる有機化合物と、シランカップリング剤とを有し、かつ、pH調整剤を有さない塗料から形成されたものであり、さらに、有機層の形成工程において、有機溶剤やシランカップリング剤に起因する副生成物等よりも高温の加熱を行うガスバリアフィルムの製造方法が記載されている。
また、特許文献2には、有機/無機積層型のガスバリアフィルムにおいて、有機層が、下記の一般式で示されるシランカップリング剤を有するガスバリアフィルムが記載されている。
(R1,R2,R3)Si−NH−Si(R4,R5,R6
(上記式において、R1〜R6は、それぞれ、置換もしくは無置換のアルキル基またはアリール基である。但し、R1〜R6の少なくとも1つは、ラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を含む。)
特開2013−31794号公報 特開2013−43382号公報
特許文献1や2に示されるガスバリアフィルムによれば、有機層の密着性に優れ、かつ、高いガスバリア性を有するガスバリアフィルムを得ることができる。
しかしながら、近年では、有機/無機積層型のガスバリアフィルムに対する要求は、益々、厳しくなっており、用途や要求される性能によっては、これらの有機層にシランカップリング剤を用いたガスバリアフィルムであっても、有機層の密着性やガスバリア性のいずれか、あるいは両方が不十分な場合も有る。
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、ガスバリアフィルム等の有機/無機積層型の機能性フィルムにおいて、無機層の上の有機層の優れた密着性と、高いガスバリア性等の優れた性能とを両立して得ることができる機能性フィルム、および、この機能性フィルムの製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の機能性フィルムは、支持体と、この支持体の上に交互に形成された有機層および無機層とを有する機能性フィルムであって、
無機層の上に形成された有機層を、少なくとも1層有し、かつ、この無機層の上に形成された有機層が、下記の一般式[I]で示されるシランカップリング剤を含有することを特徴とする機能性フィルムを提供する。
(R13−Si−R2−Si−(R13 ・・・ 一般式[I]
(一般式[I]において、R1は、置換基を有してもよいアルコキシ基であり、R2は、直鎖の炭素数が2〜10の置換基を有してもよい直鎖のアルキレン基である。また、各R1は、互いに同じでも異なってもよい。)
このような本発明の機能性フィルムにおいて、一般式[I]において、R1が−OCH3および−OCH2CH3から選択される1以上であるのが好ましい。
また、一般式[I]において、R1が置換基を有さないのが好ましい。
また、一般式[I]において、R2が置換基を有さないのが好ましい。
また、無機層の上の有機層が、2官能以上の(メタ)アクリレートからなる樹脂を主成分とするものであり、かつ、シランカップリング剤の含有量が1〜25質量%であるのが好ましい。
また、有機層となる有機化合物のガラス転移温度が、シランカップリング剤に起因する副生成物の沸点もしくは有機層の形成に用いる有機溶剤の沸点よりも高温であるのが好ましい。
また、無機層の上の有機層の厚さが5μm以下であるのが好ましい。
また、無機層が窒化ケイ素からなるものであり、その表面に−OH基および−O基の少なくとも一方が導入されるのが好ましい。
さらに、無機層の密度が2〜2.4g/cm3であるのが好ましい。
また、本発明の機能性フィルムの製造方法は、支持体の上に、有機層と無機層とを交互に形成してなる機能性フィルムを製造するに際し、
少なくとも1回、無機層の上に有機層を形成し、かつ、
無機層の上に有機層を形成する際には、少なくとも、有機溶剤、有機層となる有機化合物、および下記の一般式[I]で示されるシランカップリング剤を含有する塗料を塗布する塗布工程、
(R13−Si−R2−Si−(R13 ・・・ 一般式[I]
(一般式[I]において、R1は、置換基を有してもよいアルコキシ基であり、R2は、直鎖の炭素数が2〜10の置換基を有してもよい直鎖のアルキレン基である。また、各R1は、互いに同じでも異なってもよい。)
シランカップリング剤に起因する副生成物と有機溶剤との共沸点よりも高温、もしくは、副生成物の沸点と有機溶剤の沸点の高い方よりも高温で塗料を乾燥する乾燥工程、
および、乾燥した塗料を光照射によって硬化する硬化工程を行うことを特徴とする機能性フィルムの製造方法を提供する。
このような本発明の機能性フィルムの製造方法において、長尺な支持体を用い、この支持体を長手方向に搬送しつつ、有機層および無機層の形成を行うのが好ましい。
上記構成を有する本発明によれば、有機層と無機層とを交互に積層してなる、有機/無機積層型の機能性フィルムにおいて、無機層の上の有機層の高い密着性と、優れたガスバリア性等の高い性能とを、両立して得ることができる。
(A)〜(D)は、本発明の機能性フィルムの一例を概念的に示す図である。 本発明の機能性フィルムの製造方法を実施する製造装置の一例を概念的に示す図で、(A)は有機層の形成装置、(B)は無機層の形成装置である。
以下、本発明の機能性フィルムおよび機能性フィルムの製造方法について、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明する。
本発明の機能性フィルムは、基本的に、支持体の上に、有機層と無機層とを交互に形成してなる、有機/無機積層型の機能性フィルムである。
また、少なくとも1層は、無機層の上に形成された有機層を有し、かつ、この無機層の上に形成された有機層は、一般式[I]で示されるシランカップリング剤を含有する。
図1(A)に、本発明の機能性フィルムを利用するガスバリアフィルムの一例を概念的に示す。
なお、本発明の機能性フィルムおよび機能性フィルムの製造方法は、ガスバリアフィルムおよびガスバリアフィルムの製造方法に限定はされない。すなわち、本発明は、光学フィルタや光反射防止フィルムなどの各種の光学フィルム等、目的とする機能を発現する公知の各種の機能性フィルムに利用可能である。しかしながら、後述するが、本発明によれば、有機層内に生成されるシランカップリング剤の自己縮合物等に起因する物質による悪影響を大幅に低減して、無機層の上に高い密着性で有機層を形成し、その上に、緻密な無機層を形成できるので、無機膜の緻密さが性能に大きく寄与するガスバリアフィルムには、好適に利用される。
図1(A)に示すガスバリアフィルム10aは、支持体Zの上(表面/主面)に有機層12aを有し、この有機層12aの上に無機層14を有し、この無機層14の上に、2層目の有機層12bを有し、2層目の有機層12bの上に2層目の無機層14を有し、さらに、この2層目の無機層14の上に、3層目の有機層12bを有するものである。
すなわち、2層目および3層目の有機層12bは、無機層14の上に形成される有機層であって、前述のように、一般式[I]で示される所定のシランカップリング剤を含有するものである。
なお、図1(A)(同じく図1(B)〜図1(D))においては、構成を明確に示すために、無機層14のみハッチを入れている。
なお、本発明のガスバリアフィルム(機能性フィルム)は、図示例のような、1層の有機層12a、2層の有機層12bおよび2層の無機層14の、有機層と無機層とを交互に、計5層、積層した構成に限定はされない。
すなわち、本発明のガスバリアフィルムは、有機層と無機層とを交互に有し、かつ、無機層の上に形成された有機層を1層以上有するものであれば、各種の層構成のものが利用可能である。
例えば、図1(B)に示すような、図1(A)に示すガスバリアフィルム10aの表面に、さらに、3層目の無機層14を有し、その上に、4層目の有機層12bを有する、交互に形成された有機層と無機層とを合計で7層有する、ガスバリアフィルム10bも、好適に例示される。
本発明のガスバリアフィルムにおいては、基本的に、下地となる有機層と、有機層の上に形成される無機層との組み合わせが多い程、優れたガスバリア性を発現する。また、図1(A)に示すガスバリアフィルム10a等も同様であるが、最上層に有機層12bを有することにより、この有機層12bが保護層として作用するため、無機層14の損傷に起因するガスバリア性の低下を、好適に防止できる。
あるいは、図1(C)に示す、支持体Zの上に無機層14を有し、その上に有機層12bを有し、その上に2層目の無機層14を有し、その上に、最上層の有機層12bを有するガスバリアフィルム10cのように、支持体Zの上に無機層14を有して、その上に有機層と無機層とを交互に有する構成でもよい。すなわち、この構成の場合には、全ての有機層が無機層14の上に形成される有機層12bとなる。
有機層12aおよび12bは、一般的に、有機層となるモノマー等の有機化合物を有機溶剤に溶解した塗料を用いる塗布法で形成する。図1(C)に示すように、支持体Zの上に無機層14を有し、その上に有機層12bおよび無機層14を交互に形成することにより、シクロオレフィンコポリマー等の、光学特性に優れるが、有機溶剤によって溶解や変質が生じ易い材料からなる支持体Zを用いた際に、有機溶剤に起因する支持体Zの光学特性の劣化を防止できる。
さらに、図1(D)に示す、支持体Zの上に有機層12aを有し、その上に無機層14を有し、その上に、2層目の有機層12bを有し、その上に2層目の無機層14を有するするガスバリアフィルム10dのように、最上層が無機層14である構成でもよい。
このように、最上層を無機層14とすることにより、本発明のガスバリアフィルムを有機ELデバイス(OLEDデバイス)等に用いた際に、有機層12bからのアウトガスによる悪影響を、より好適に防止して、ダークスポットの生成などの有機ELデバイスの劣化を、より確実に防止できる。
本発明において、支持体(基板/基材)Zには、特に限定はなく、ガスバリアフィルムの支持体として利用されている、公知のシート状物が、各種、利用可能である。
好ましくは、後述するロール・ツー・ロールでの有機層および無機層の形成が可能なように、長尺なシート状の支持体Z(ウエブ状の支持体Z)が利用される。
支持体Zとしては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、トリアセチルセルロース(TAC)、透明ポリイミドなどの、各種のプラスチック(高分子材料)からなるプラスチックフィルムが、好適に例示される。
また、支持体Zは、このようなプラスチックフィルムの表面に、保護層、接着層、光反射層、反射防止層、遮光層、平坦化層、緩衝層、応力緩和層等の、各種の機能を得るための層(膜)が形成されているものであってもよい。
ガスバリアフィルム10aにおいて、有機層12aおよび12bは、有機化合物からなる層(有機化合物を主成分とする層(膜))であって、有機層となる有機化合物(モノマー、ダイマー、トリマー、および、オリゴマー等の1以上)を、重合(架橋)して硬化したものである。
本発明のガスバリアフィルム10aにおいて、支持体Zの表面など、無機層14の下層として形成される有機層12aおよび12bは、基本的に、ガスバリア性(目的とする機能)を発現する無機層14の下地層として作用する。有機層12aおよび12bを下地層として、無機層14を形成することにより、無機層14の形成面を平滑化して、ヒビや割れ、非形成部等の空隙の無い(空隙を大幅に低減した)、均一な無機層14を形成して、高いガスバリア性能を発現するガスバリアフィルムを、安定して製造できる。
また、前述のように、最上層の有機層12bは、保護層として作用するものであり、この最上層の有機層12bを有することにより、無機層14の損傷等によるガスバリア性の劣化等を、防止できる。
なお、本発明のガスバリアフィルムにおいては、支持体Zの表面に有機層12aでは無く無機層14を形成してもよく、また、最上層が無機層14であってもよいのは、前述の通りである。
本発明の製造方法において、支持体Zの表面に形成される有機層12aおよび12bの形成材料には、特に、限定はなく、公知の有機化合物(樹脂/高分子材料)が、各種、利用可能である。
具体的には、ポリエステル、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、セルロースアシレート、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、脂環式ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、フルオレン環変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、フルオレン環変性ポリエステル、アクリロイル化合物、などの熱可塑性樹脂、あるいはポリシロキサン、その他の有機珪素化合物の膜が好適に例示される。
中でも、無機層14の形成面を平坦にして、その機能を十分に発現できる、耐熱性に優れる等の点で、ラジカル重合性化合物および/またはエーテル基を官能基に有するカチオン重合性化合物の重合物から構成された有機層12aおよび12bは、好適である。
中でも、強度や光学特性にも優れる等の点で、アクリレートおよび/またはメタクリレートのモノマーの重合体を主成分とするアクリル樹脂やメタクリル樹脂などは、有機層12aおよび12bとして好適に利用される。
その中でも特に、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(DPGDA)、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート(A−NOD−N)、1,6ヘキサンジオールジアクリレート(A−HD−N)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(TMPTA)、(変性)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(DPHA)などの、2官能以上のアクリレートおよび/またはメタクリレートのモノマー等の重合体を主成分とする、アクリル樹脂やメタクリル樹脂は、好適に例示される。また、これらのアクリル樹脂やメタクリル樹脂を、複数、用いるのも好ましい。
有機層12aおよび12bを、アクリル樹脂やメタクリル樹脂、特に2官能以上のアクリル樹脂やメタクリル樹脂で形成することにより、骨格がしっかりした下地の上に無機膜14を形成できるので、より緻密でガスバリア性が高い無機膜14を形成できる。
有機層12aおよび12bの厚さは、5μm以下が好ましい。有機層12aおよび12bの厚さを5μm以下とすることにより、有機膜12aおよび12bが厚すぎることに起因する、有機膜12aおよび12bのクラックや、ガスバリアフィルム10aのカール等の問題の発生を、好適に防止することができる。特に、有機層12bの厚さは、5μm以下とするのが好ましい。
また、有機層12aおよび12bの厚さは、0.5μm以上が好ましい。有機膜16の厚さを0.5μm以上とすることにより、より好適に無機層14の形成面を適正にして、割れやヒビ等の無い適正な無機層14を、形成面の全面に渡って形成できる。
以上の点を考慮すると、有機膜12aおよび12bの厚さは、1〜3μmとするのが、より好ましい。
なお、図1(A)に示すガスバリアフィルム10aのように、複数の有機層を有する場合には、各有機層は、同じ材料で形成しても、異なる材料で形成してもよい。しかしながら、生産性等を考慮すれば、全ての有機層を、同じ材料で形成するのが好ましい。
また、同じく、複数の有機層を有する場合には、各有機層の厚さは、同じでも異なってもよい。
このような有機層12aおよび有機層12bは、公知の方法で形成すればよい。好ましくは、有機層12aや有機層12bとなるモノマーを含有する塗料を調製して、この塗料を塗布して、乾燥および硬化する、塗布法で形成する。
ここで、無機層14の上に形成される有機層12bは、所定のシランカップリング剤を含有する。すなわち、有機層12bを形成するための塗料には、シランカップリング剤が添加される。この点に関しては、後に詳述する。
本発明のガスバリアフィルム10aにおいて、無機層14は、無機化合物からなる層(無機化合物を主成分とする層(膜))で、ガスバリアフィルム10aにおいて、ガスバリア性を主に発現するものである。
無機層14としては、ガスバリア性を発現する無機化合物からなる膜が、各種、利用可能である。
具体的には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化インジウムスズ(ITO)などの金属酸化物; 窒化アルミニウムなどの金属窒化物; 炭化アルミニウムなどの金属炭化物; 酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸炭化ケイ素、酸化窒化炭化ケイ素などのケイ素酸化物; 窒化ケイ素、窒化炭化ケイ素などのケイ素窒化物; 炭化ケイ素等のケイ素炭化物; これらの水素化物; これら2種以上の混合物; および、これらの水素含有物等のが、好適に例示される。
特に、透明性が高く、かつ、優れたガスバリア性を発現できる点で、ケイ素化合物からなる膜は、好適に例示される。その中でも特に、窒化ケイ素からなる膜は、より優れたガスバリア性に加え、透明性も高く、好適に例示される。
なお、図1(A)に示すガスバリアフィルム10aのように、複数の無機層14を有する場合には、各無機層14は同じ材料で形成しても異なる材料で形成してもよい。しかしながら、生産性等を考慮すれば、全ての無機層14を同じ材料で形成するのが好ましい。
本発明のガスバリアフィルム10aにおいては、有機層12bが上に形成される無機層14が、ケイ素化合物である場合には、無機層14の表面に、−O基および/または−OH基が導入されているのが好ましい(すなわち、表層が酸化ケイ素化および/または水酸化ケイ素化しているのが好ましい)。特に、有機層12bが上に形成される無機層14が、窒化ケイ素である場合には、その表面に、−O基および/または−OH基が導入されているのが好ましい。
後に詳述するが、本発明のガスバリアフィルム10aにおいて、無機層14の上の有機層12bは、所定のシランカップリング剤を含有する。そのため、上に有機層12bが形成される無機層14の表面に、−O基や−OH基が導入されていることにより、無機層14と有機層12bとの密着性を、より高くできる。この点に関しては、後に詳述する。
無機層14の厚さは、形成材料に応じて、目的とするガスバリア性を発現できる厚さを、適宜、決定すればよい。なお、本発明者の検討によれば、無機層14の厚さは、10〜200nmとするのが好ましい。
無機層14の厚さを10nm以上とすることにより、十分なガスバリア性能を安定して発現する無機層14が形成できる。また、無機層14は、一般的に脆く、厚過ぎると、割れやヒビ、剥がれ等を生じる可能性が有るが、無機層14の厚さを200nm以下とすることにより、割れが発生することを防止できる。
また、このような点を考慮すると、無機層14の厚さは、10〜100nmにするのが好ましく、特に、20〜75nmとするのが好ましい。
なお、図1(A)に示すガスバリアフィルム10aのように、複数の無機層14を有する場合には、各無機層14の厚さは、同じでも異なってもよい。
本発明のガスバリアフィルム10aにおいて、無機層14は、密度が2〜2.4g/cm3であるのが好ましい。
無機層14の密度を2g/cm3以上とすることにより、緻密な膜で高いガスバリア性が得られる、上層に形成される有機層12bが含有するシランカップリング剤の結合に対して十分な結合数を得ることができる等の点で好ましい。
また、無機層14の密度を2.4g/cm3以下とすることにより、高剛性に起因する無機層14の割れを好適に防止できる、透明性が確保できる等の点で好ましい。
無機層14は、公知の方法で形成すればよい。具体的には、CCP−CVDやICP−CVD等のプラズマCVD、マグネトロンスパッタリングや反応性スパッタリング等のスパッタリング、真空蒸着など、気相堆積法(気相成膜法)が好適に例示される。
ここで、気相堆積法によって形成されるケイ素化合物からなる膜では、全てのケイ素が例えば窒化ケイ素などの目的とする化合物となっているわけではなく、未結合の結合手を有するケイ素も存在する。特に、膜の表面では、未結合の結合手を有するケイ素が多量に存在している。
そのため、無機層14を形成した後、膜の表面を空気(大気)に曝せば、この未結合の結合手に−O基や−OH基が結合して、無機層14の表面に、前述のように−O基や−OH基を導入できる。この点に関しては、後に詳述する。
前述のように、図1(A)に示すガスバリアフィルム10aにおいては、1層目の無機層14の上に、2層目の有機層12bが形成され、2層目の無機層14の上に、3層目の有機層12bが形成される。
ここで、本発明のガスバリアフィルム10a(機能性フィルム)は、無機層14の上に形成される有機層12bを、1層以上、有し、かつ、この無機層14の上に形成される有機層12bは、下記の一般式[I]
(R13−Si−R2−Si−(R13 ・・・ 一般式[I]
(一般式[I]において、R1は、置換基を有してもよいアルコキシ基であり、R2は、直鎖の炭素数が2〜10の置換基を有してもよい直鎖のアルキレン基である。また、各R1は、互いに同じでも異なってもよい。)
で示されるシランカップリング剤を含有する。
本発明のガスバリアフィルム10aは、このような構成を有することにより、有機層と無機層とを交互に積層してなる、有機/無機積層型のガスバリアフィルム(機能性フィルム)において、無機層14の上の有機層12bの高い密着性と、欠陥や損傷の無い均一な無機層14による優れたガスバリア性とを、両立して得ている。
前述のように、有機層と無機層とを交互に積層してなる有機/無機積層型のガスバリアフィルムは、下地としての有機層を有することで、欠陥のない均一な無機層を形成することができ、これにより、高いガスバリア性を得ることができる。さらに、この下地の有機層と無機層との組み合わせを、複数、有することにより、より高いガスバリア性が得られる。また、無機層を保護するために、最上層に有機層を有することも有効である。
ここで、高いガスバリア性を得るためには、例えば、密度が2g/cm3以上のような緻密な無機層を形成することが有効である。しかしながら、無機層が緻密であるが故に、無機層の上に有機層を形成する際には、易接着層のようなアンカリングの効果を得るのが困難であり、十分な密着性が得られない。
そのため、特許文献1や特許文献2にも示されるように、有機/無機積層型のガスバリアフィルムでは、無機層の上に有機層を形成する場合には、有機層にシランカップリング剤を添加している。
周知のように、シランカップリング剤は、分子内に有機材料および無機材料と結合する官能基を有する化合物である。
有機/無機積層型のガスバリアフィルムにおいては、シランカップリング剤は、例えば、無機層とは、シラノール化によってSi−O−Siの結合を形成し、有機層を形成する材料と結合し易い基を有することで、無機層上の有機層の密着性を確保する。
以上の点を考慮すると、有機/無機積層型のガスバリアフィルムにおいては、シランカップリング剤として、例えば、アクリル基のようなラジカル重合性(ラジカル反応性)を有し、有機層を形成する樹脂材料との反応性が高い官能基(置換基)を有する化合物を用いるのが好ましいと考えられる。
しかしながら、本発明者の検討によれば、有機/無機積層型のガスバリアフィルムにおいては、このようなラジカル重合性を有する官能基を有するシランカップリング剤を用いると、シランカップリング剤が有機層の形成の阻害要因として働いてしまい、十分なガスバリア性が得らず、また、十分な有機層の密着性が得られない等の不都合が生じる場合が有ることが分かった。
前述のように、有機層の形成は、通常、有機層となる有機化合物を含有する塗料を用いる塗布法で行われる。シランカップリング剤は、この塗料に添加される。
塗料を用いる有機層の形成では、有機層の形成面である無機層の上に塗料を塗布して乾燥し、その後、紫外線照射等の有機層に応じた硬化が行われ、有機層が形成される。
また、特許文献1にも示されるように、シランカップリング剤に起因する副生成物の除去、シランカップリング剤の加水分解およびシラノール化の進行等を考慮すると、塗料の乾燥は、シランカップリング剤に起因する副生成物や、塗料に用いる溶剤の沸点等よりも高温で行う方が有利である。
ところが、ラジカル重合性の官能基を有するシランカップリング剤を用いる従来の有機層の形成では、無機層表面の−OH基等によるプロトンでシランカップリング剤が加水分解され、さらに、前述のような副生成物や溶剤の沸点に応じた高温での乾燥によって、その反応が進行する。
この反応によって、適正に無機層表面の−OH基等と結合するシランカップリング剤も、勿論、存在するが、この乾燥における加水分解によって、シランカップリング剤同士が自己縮合して、ある程度の分子量を有する構造になってしまう物も、多く存在する。このように自己縮合したシランカップリング剤も、ラジカル重合を起こす官能基部分は、未反応のまま保持されている。その結果、自己縮合したシランカップリング剤は、分子量が大きくなるので、主成分である有機化合物と比較して、紫外線等による硬化がし難い材料となる。
このような乾燥における加水分解で自己縮合したシランカップリング剤は、分子量が大きすぎるので、流動性が悪く、無機層および有機層となる有機化合物との結合が困難であり、シランカップリング剤として十分に機能しない。
そのため、シランカップリング剤を用いているのも関わらず、無機層の上に形成した有機層は、十分な密着性が得られない場合が、多々、生じる。
また、自己縮合した無機層と結合できないシランカップリング剤が、有機層となる有機化合物と結合すると、有機化合物の結合手が減ってしまうため、架橋性の高い多官能の有機化合物を用いた場合でも、有機層となるモノマーの重合を阻害する。
しかも、自己縮合したシランカップリング剤は、ある程度の分子量を有するが故に、有機層となる有機化合物の重合も阻害するため、有機層の中に十分に重合しけれなかった領域が生成されてしまう。加えて、自己縮合したシランカップリング剤は、ある程度の分子量や立体構造を有するが故に、自身の重合性も低い。
その結果、有機層の中には、無機層と結合できない自己縮合したシランカップリング剤、同自己縮合したシランカップリング剤と有機化合物との結合体、低分子量の有機化合物の重合体等の低分子化合物が残存してしまう。
このような低分子化合物は、適正に重合した有機層に比して分子量が小さく、熱やプラズマ等に対する耐性が低い。そのため、有機層の上に無機層を形成する際に、プラズマCVDによるプラズマ等によって、これらの低分子化合物のガス化や分解が生じ、これが無機層の形成を阻害する。その結果、適正な無機層が形成できずに、目的とするガスバリア性を有するガスバリアフィルムが得られなくなってしまう。
また、ガスバリアフィルムを有機ELデバイス(OLEDデバイス)等に利用した際に、有機EL層の形成時などの熱で、低分子化合物が蒸発して有機層からアウトガスが発生し、このアウトガスが有機EL層等に悪影響を与え、ダークスポットが発生してしまう。特に、無機層に挟持された有機層では、ガスバリア性が高い無機層に挟持されているため、加熱によって低分子化合物が膨張して、破裂する。この破裂によって、無機層が損傷してガスバリア性が低下し、かつ、発生するガスが有機EL層等に悪影響を与える。
これに対し、本発明のガスバリアフィルムでは、無機層14の上に形成する有機層12bは、下層の無機層14との密着性を確保するためのシランカップリング剤として、下記の一般式[I]
(R13−Si−R2−Si−(R13 ・・・ 一般式[I]
(一般式[I]において、R1は、置換基を有してもよいアルコキシ基であり、R2は、直鎖の炭素数が2〜10の置換基を有してもよい直鎖のアルキレン基である。また、各R1は、互いに同じでも異なってもよい。)
で示されるシランカップリング剤を用いる。
一般式[I]に示されるように、このシランカップリング剤は、ラジカル重合性を有する官能基を有さない。
従って、塗料を塗布および乾燥した後に、紫外線照射等による硬化を行われても、自己縮合することが無いので、適正に、シランカップリング剤として作用する。
さらに、このシランカップリング剤は、無機層14と結合するアルコキシ基を有するケイ素原子を直鎖のアルキレン基で結合した構成を有するので、3次元架橋した有機化合物の重合体とよく絡み、高いアンカリング効果による密着性を得ることができる。特に、この直鎖アルキレンを、ある程度の長さにすることにより、両端が無機層14に結合したブリッジ状のようになるシランカップリング剤が生じ、より好適に3次元架橋した有機化合物の重合体と絡む。
そのため、有機層12bが含有するシランカップリング剤がラジカル重合性の官能基を有さなくても、本発明のガスバリアフィルム10は、無機層14の上に形成される有機層12bの密着性を、非常に高くできる。
さらに、このシランカップリング剤は、ラジカル重合性の官能基を有さないので、シランカップリング剤によって有機層12bとなる有機化合物の重合を阻害することもなく、かつ、低分子化合物等を生成することも無い。すなわち、本発明のガスバリアフィルム10aにおいて、無機層14の上の有機層12bの内部には、前述のような、低分子化合物も存在しない。
そのため、低分子化合物のガス化等に起因する無機層14の成膜阻害や無機層14の損傷が無く、均一な無機層14によって非常に高いガスバリア性を得ることができる。また、本発明のガスバリアフィルム10aを有機ELデバイス等に利用した際にも、低分子化合物のガスによるダークスポットの発生等が生じることもない。
一般式[I]で示されるシランカップリング剤において、Siに結合するR1は、置換基を有してもよいアルコキシ基である。しかしながら、一般式[I]で示されるシランカップリング剤において、R1は、置換基を有さないのが好ましい。
すなわち、無機層14と結合する際に、このR1は、副生成物となるが、R1が置換基を有すると、この副生成物が複雑で沸点が高いものとなってしまい、有機層12bを形成する塗料の乾燥の際に、副生成物を除去するのが難しくなってしまう。
また、同様の理由で、R1は、炭素数が2以下、特に炭素数が1のアルコキシ基であるのが好ましい。
このようなR1としては、具体的には、−OCH3および−OCH2CH3から選択される1以上が、好ましく例示される。すなわち、R1は、−OCH3、あるいは−OCH2CH3、あるいは−OCH3および−OCH2CH3であるのが好ましい。
なお、この例を含めて、R1が如何なるアルコキシ基であっても、上記一般式[I]で示されるシランカップリング剤において、各R1は、互いに同じでも異なってもよい。
他方、一般式[I]で示されるシランカップリング剤において、R2は、直鎖の炭素数が2〜10の置換基を有してもよい直鎖のアルキレン基である。
2の直鎖の炭素数が2未満では、前述の3次元架橋した重合体と絡む効果を十分に得られず有機層12bの密着性を確保できない等の不都合が生じる。
また、R2の直鎖の炭素数が10を超えると、下層の無機層14との結合数が少なくなり、シランカップリング剤の絶対量を増やす必要が生じる等の不都合が生じる。
ここで、前述のように、R2を、ある程度、長くすることにより、無機層14と結合するシランカップリング剤をブリッジ状のようにでき、高い有機層12bの密着性が得られる。すなわち、R2は、長い方が有機層12bの密着性の点では有利である。
この点を考慮すると、R2の直鎖の長さは、4以上が好ましい。
また、R2は、置換基を有してもよい。
しかしながら、R2が置換基を有すると、シランカップリング剤の構造が複雑になり、立体障害により、両末端のSiの反応に対して反応速度差を生じさせ、無機層14との結合が片側のSiのみになる等に起因して、密着力が低下する等の不都合が生じる。
従って、R2が置換基を有する場合には、直鎖の炭素数が5個以上である場合の中央のメチレン基のみが置換基を有する程度であるのが好ましく、置換基を有さないのが、特に好ましい。
本発明のガスバリアフィルム10aにおいて、有機層12bが含有するシランカップリング剤の量は、25質量%以下であるのが好ましい。
有機層12bに残存するシランカップリング剤は、有機層12bのガラス転移温度(Tg)を下げる方向に働くため、例えば高Tgの有機層12bを形成した場合ても、上層に無機層14を形成するためのプラズマCVDによるエッチングや熱に対する耐性を下げてしまう。これに対し、有機層12bにおけるシランカップリング剤の含有量を25質量%以下とすることにより、不要なシランカップリング剤が有機層12bに残存するのを防止できる等の点で好ましい。
また、有機層12bが含有するシランカップリング剤の量は、1質量%以上であるのが好ましい。
シランカップリング剤の含有量を1質量%以上とすることにより、シランカップリング剤を含有する被膜面積を十分に確保することができ、効果を好適に得て有機層12の高い密着性が得られる等の点で好ましい。
すなわち、本発明のガスバリアフィルム10aにおいて、有機層12bが含有するシランカップリング剤の量は、1〜25質量%が好ましい。また、以上の点を考慮すると、本発明のガスバリアフィルム10aにおいて、有機層12bが含有するシランカップリング剤の量は、5〜20質量%であるのがより好ましい。
図2に、本発明の製造方法を実施する製造装置の一例を、概念的に示す。
図2に示す製造装置は、有機層12aおよび12bを形成(成膜)する有機成膜装置20と、無機層14を形成(成膜)する無機成膜装置24とを有する。なお、図2において、(A)は、有機成膜装置20であり、(B)は、無機成膜装置24である。
この有機成膜装置20および無機成膜装置24は、共に、長尺な被成膜材料(ウエブ状の被成膜材料)をロール状に巻回してなる材料ロールから、被成膜材料を送り出し、被成膜材料を長手方向に搬送しつつ成膜を行い、成膜済の被成膜材料を、再度、ロール状に巻回する、いわゆる、ロール・ツー・ロール(Roll to Roll 以下、RtoRとも言う)によって、成膜を行なう装置である。
このような本発明の製造方法においては、好ましい態様として、このようなRtoRを利用することにより、効率のよい機能性フィルムの製造が可能になる。
なお、本発明の製造方法は、長尺な支持体Zを用いてRtoRによってガスバリアフィルム等の機能性フィルムを製造するのに限定はされず、カットシート状の支持体Zを用いて、いわゆる枚葉式(バッチ式)の成膜方法を用いて、機能性フィルムを製造するものであってもよい。
カットシート状の支持体Zを用いた場合でも、有機層12aおよび有機層12b、ならびに無機層14の形成方法は、以下に説明するRtoRによる製造方法と、同様である。
また、本発明の製造方法において、有機層12および/または無機層14を、複数、形成する場合には、形成方法(成膜方法)は、各層で同じでも異なってもよい。
ここで、図2に示す製造装置は、図1に示すような、支持体Zの上に、有機層と無機層14とが交互に形成され、かつ、無機層14の上の有機層12bを、1以上、有するガスバリアフィルム10a等を製造するものである。
従って、図2(A)に示す有機成膜装置20において、被成膜材料Zaとなるのは、長尺な支持体Zや、支持体Zの表面に1以上の層が形成された、表面が無機層14の材料である。他方、図2(B)の無機成膜装置24において、被成膜材料Zbとなるのは、長尺な支持体Zや、支持体Zの表面に1以上の層が形成された、表面が有機層12aもしくは有機層12bの材料である。
図2(A)に示す有機成膜装置20は、被成膜材料Zを長手方向に搬送しつつ、有機層12aもしくは12bとなる塗料を塗布、乾燥した後、光照射によって塗料に含まれる有機化合物を架橋して硬化し、有機層12aや12bを形成する装置である。
図示例の有機成膜装置20は、一例として、塗布部26と、乾燥部28と、光照射部30と、回転軸32と、巻取り軸34と、搬送ローラ対36および38とを有する。
なお、有機成膜装置20は、図示した部材以外にも、搬送ローラ対、被成膜材料Zbのガイド部材、各種のセンサなど、長尺な被成膜材料を搬送しつつ塗布による成膜を行なう公知の装置に設けられる各種の部材を有してもよい。
有機成膜装置20において、被成膜材料Zaを巻回してなる材料ロール42は、回転軸32に装填される。
回転軸32に材料ロール42が装填されると、被成膜材料Zaは、材料ロール42から引き出され、塗布部26、乾燥部28および光照射部30を通過して巻取り軸34に至る、所定の搬送経路を通される(通紙される)。
有機成膜装置20では、材料ロール42からの被成膜材料Zaの送り出しと、巻取り軸34における被成膜材料Zaの巻き取りとを同期して行なって、長尺な被成膜材料Zaを所定の搬送経路で長手方向に搬送しつつ、被成膜材料Zaに、連続的に、有機層12aや12bなどの成膜を行なう。
材料ロール42から送り出された被成膜材料Zaは、搬送ローラ対36によって挟持搬送されて、最初に塗布部26に搬送される。
塗布部26は、被成膜材料Zaの表面に、有機層12aや12bとなる塗料を塗布するものである。
ここで、本発明の製造方法において、支持体Zの表面に形成される有機層12aとなる塗料は、有機層12aとなる有機化合物(モノマー、ダイマー、トリマー、および、オリゴマー等の1以上)を有機溶剤に溶解してなる、公知の有機化合物からなる層の形成に用いられる塗料でよい。
これに対し、本発明の製造方法において、無機層14の上に形成される有機層12bとなる塗料は、このような有機化合物や有機溶剤に加え、さらに、前述の一般式[I]で示されるシランカップリング剤を含有する塗料である。なお、シランカップリング剤の含有量は、好ましくは対固形分濃度(有機溶剤を除いた有機層12bとなる塗料の固形分における濃度)で25質量%以下である。また、この塗料は、シランカップリング剤を用いる際に、通常、添加される、pH調整剤を含有しなくてもよい。
なお、有機層12aおよび12bの何れを形成する場合であっても、塗料には、必要に応じて、界面活性剤、粘度調整剤、重合開始剤、架橋剤、屈折率調整剤等の有機化合物からなる層を塗布法で形成する場合に添加される成分を添加してもよい。
塗布部26において、被成膜材料Zaへの塗料の塗布方法には、特に限定は無い。
従って、塗料の塗布は、ダイコート法、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、スライドコート法等の公知の塗料の塗布方法が、全て利用可能である。
ここで、塗布部26は、無機層14の上に塗料を塗布する必要が有るので、ダイコート法(ダイコータ)によって、塗料の塗布を行なうのが好ましい。無機層14は、脆く、ヒビ等が入り易いが、ダイコート法によれば、塗料以外が無機層14に接触することが無いので、無機層14の損傷を好適に防止できる。
被成膜材料Zaは、次いで、乾燥部28に搬送される。乾燥部28は、塗布部26が塗布した塗料(塗膜)を乾燥するものである。
ここで、図示例の有機成膜装置20においては、好ましい態様として、乾燥部28は、表面側(塗料側)から加熱して乾燥を行う乾燥部28aと、裏面側(支持体Z側)から加熱して乾燥を行う乾燥部28bを有し、表面側と裏面側の両方から、塗料の乾燥を行う。例えば、表面側の乾燥部28aは、温風乾燥部であり、裏面側の乾燥部28bはヒートローラ(加熱機構を有するパスローラ)である。
すなわち、乾燥部28は、支持体Zごと加熱することにより塗料の乾燥を行うものであり、有機層12bを形成する際には、塗料は、無機層14側からも十分に加熱されて、乾燥を行われる。
乾燥部28における乾燥手段には、特に限定はなく、支持体Zの搬送速度等に応じて、被成膜材料Zaが光照射部30に至る前に、塗料を乾燥(有機溶剤を除去)して、有機化合物の重合が可能な状態にできるものであれば、公知の加熱手段が全て利用可能である。
具体的には、ヒートローラを用いる乾燥手段、温風による乾燥手段、伝熱板を用いる乾燥手段等が、例示される。乾燥部28は、これらの1つのみを用いてもよく、複数を併用してもよい。
被成膜材料Zaは、次いで、光照射部30に搬送される。光照射部30は、塗布部26が塗布し、乾燥部28が乾燥した塗料に紫外線(UV光)や可視光などを照射して、塗料に含まれる有機化合物を架橋(重合)して硬化して、有機層12aや12bとするものである。
なお、本発明において、有機化合物の架橋は、光重合に限定はされず、電子線重合やプラズマ重合等、有機層12aや12bとなる有機化合物に応じた、各種の方法が利用可能である。ここで、本発明の製造方法においては、前述のように、有機層12および有機層12bとして、アクリル樹脂やメタクリル樹脂などのアクリル系樹脂が好適に利用されるので、光重合および電子線重合が好適に利用される。
なお、光照射部30においては、必要に応じて、被成膜材料Zaを加熱しつつ、有機化合物の硬化を行ってもよい。
なお、加熱方法は、乾燥部28と同様、公知の各種の手段が利用可能である。
このようにして有機層12aや12bを形成された被成膜材料Zaは、搬送ローラ対38に挟持搬送されて巻取り軸34に至り、巻取り軸34によって、再度、ロール状に巻き取られる。
有機層12aや12bを形成された被成膜材料Zaは、必要に応じて、無機層14を形成する無機成膜装置24で成膜を行われる材料ロール46として、図2(B)に示す無機成膜装置24(その供給室50)に供給される。
なお、最上層となる有機層12bを形成された被成膜材料Zaは、ガスバリアフィルム10a等を巻回してなる材料ロール46として、次の工程等に供される。
無機成膜装置24は、被成膜材料Zbの表面すなわち有機層12の表面に、気相堆積法(真空成膜法)によって無機層14を成膜(形成)するもので、供給室50と、成膜室52と、巻取り室54とを有する。
なお、無機成膜装置24は、図示した部材以外にも、搬送ローラ対や、被成膜材料Zbの幅方向の位置を規制するガイド部材、各種のセンサなど、長尺な被成膜材料を搬送しつつ気相堆積法による成膜を行なう公知の装置に設けられる各種の部材を有してもよい。
供給室50は、回転軸56と、ガイドローラ60と、真空排気手段61とを有する。
無機成膜装置24において、被成膜材料Zbを巻回した材料ロール46は、供給室50の回転軸56に装填される。
回転軸56に材料ロール46が装填されると、被成膜材料Zbは、供給室50から、成膜室52を通り、巻取り室54の巻取り軸58に至る所定の搬送経路を通される。無機成膜装置24においても、材料ロール46からの被成膜材料Zbの送り出しと、巻取り軸58での成膜済の被成膜材料Zbの巻き取りとを同期して行なって、被成膜材料Zbを長手方向に搬送しつつ、成膜室52において、被成膜材料Zbに連続的に無機層14の成膜を行なう。
供給室50においては、図示しない駆動源によって回転軸56を図中時計方向に回転して、材料ロール46から被成膜材料Zbを送り出し、ガイドローラ60によって所定の経路を案内して、隔壁76に形成されたスリット76aから、成膜室52に送る。
なお、図示例の無機成膜装置24には、好ましい態様として、供給室50に真空排気手段61を、巻取り室54に真空排気手段82を、それぞれ設けている。無機成膜装置24においては、成膜中は、それぞれの真空排気手段によって、供給室50および巻取り室54の圧力を、後述する成膜室52の圧力(成膜圧力)に応じた、所定の圧力に保つ。これにより、隣接する室の圧力が、成膜室52の圧力(成膜室52での成膜)に影響を与えることを防止している。
真空排気手段61には、特に限定はなく、ターボポンプ、メカニカルブースターポンプ、ドライポンプ、ロータリーポンプなどの真空ポンプ等、真空での成膜装置に用いられている公知の(真空)排気手段が、各種、利用可能である。この点に関しては、後述する他の真空排気手段74および82も同様である。
成膜室52は、被成膜材料Zbすなわち有機層12aや有機層12bの表面に、真空成膜法によって無機層14を形成するものである。図示例において、成膜室52は、ドラム62と、成膜手段64と、ガイドローラ68と、ガイドローラ72と、真空排気手段74とを有する。
成膜室52に搬送された被成膜材料Zbは、ガイドローラ68によって所定の経路に案内され、ドラム62の所定位置に巻き掛けられる。被成膜材料Zbは、ドラム62によって所定位置に位置されつつ長手方向に搬送され、成膜手段64によって気相堆積法によって無機層14を形成される。
真空排気手段74は、成膜室52内を真空排気して、気相堆積法による無機層14の形成に応じた真空度とするものである。
ドラム62は、中心線を中心に図中反時計方向に回転する円筒状の部材である。
供給室50から供給され、ガイドローラ68によって所定の経路に案内され、ドラム62の所定位置に巻き掛けられた被成膜材料Zbは、ドラム62の周面の所定領域に掛け回されて、ドラム62に支持/案内されつつ、所定の搬送経路を搬送され、成膜手段64によって表面に無機層14を形成される。
成膜手段64は、真空成膜法によって、被成膜材料Zb(有機層12aや12b)の表面に無機層14を形成するものである。
本発明の製造方法において、無機層14は、前述の特許文献に記載される形成方法等、公知の気相堆積法(真空成膜法)で形成すればよい。従って、成膜手段64での成膜方法にも、特に限定は無く、CVD、プラズマCVD、スパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティング等、公知の成膜方法が、全て、利用可能である。
従って、成膜手段64は、実施する真空成膜法に応じた、各種の部材で構成される。
例えば、成膜室52がICP−CVD法(誘導結合型プラズマCVD)によって無機層14の成膜を行なうものであれば、成膜手段64は、誘導磁場を形成するための誘導コイルや、成膜領域に反応ガスを供給するためのガス供給手段等を有して構成される。
成膜室52が、CCP−CVD法(容量結合型プラズマCVD)によって無機層14の成膜を行なうものであれば、成膜手段64は、中空状でドラム62に対向する面に多数の小孔を有し反応ガスの供給源に連結される、高周波電極および反応ガス供給手段として作用するシャワー電極等を有して構成される。
成膜室52が真空蒸着によって無機層14の成膜を行なうものであれば、成膜手段64は、成膜材料を充填するルツボ(蒸発源)、ルツボを遮蔽するシャッタ、ルツボ内の成膜材料を加熱する加熱手段等を有して構成される。
さらに、成膜室52が、スパッタリングによって無機層14の成膜を行なうものであれば、成膜手段64は、ターゲットの保持手段や高周波電極、ガスの供給手段等を有して構成される。
ドラム62に支持/搬送されつつ、成膜手段64によって無機層14を成膜された被成膜材料Zbは、ガイドローラ72によって所定経路に案内されて、隔壁78に形成されたスリット78aから、巻取り室54に搬送される。
図示例において、巻取り室54は、ガイドローラ80と、巻取り軸58と、真空排気手段82とを有する。
巻取り室54に搬送された成膜済の被成膜材料Zbは、巻取り軸58によってロール状に巻回され、材料ロール42とされる。無機層14が形成された被成膜材料Zbを巻回してなる材料ロール42として、有機成膜装置20に供給(回転軸32に装填)される。
以下、図2に示す製造装置によって、図1(A)に示す、支持体Zの上に、有機層12a、無機層14、2層目の有機層12b、2層目の無機層14、および、3層目の有機層12bを有するガスバリアフィルム10aを製造する際の作用を説明することにより、本発明の製造方法について、より、詳細に説明する。
なお、図1(B)〜図1(D)に示すガスバリアフィルム10b〜10d等や、その他の層構成を有するガスバリアフィルムを作製する際にも、形成する有機層12aおよび12bの数および無機の14の数や、層構成に応じて、同様の有機層および無機層の形成を繰り返し行えばよい。
ガスバリアフィルム10aを製造する際には、まず、被成膜材料Zaとなる長尺な支持体Zを巻回してなる支持体ロールが、材料ロール42として回転軸32に装填され、支持体Zの表面への、有機層12の形成が行われる。
回転軸32に材料ロール42が装填されると、支持体Zは、材料ロール42から引き出され、搬送ローラ対36を経て、塗布部26、乾燥部28および光照射部30を通過して、搬送ローラ対38を経て、巻取り軸34に至る、所定の搬送経路を通される。
材料ロール42から引き出された被成膜材料Za(支持体Z)は、搬送ローラ対36によって塗布部26に搬送され、表面に、有機層12aとなる塗料が塗布される。前述のように、有機層12aとなる塗料は、形成する有機層12aに応じたモノマー等の有機化合物を有機溶剤に溶解してなる、通常の塗料でよい。図示例においては、一例として、TMPTAを主成分として含有する塗料を塗布したとする。
有機層12aとなる塗料が塗布された被成膜材料Zaは、次いで、乾燥部28によって加熱されて、有機溶剤を除去され塗料が乾燥される。
塗料が乾燥された被成膜材料Zaは、次いで、光照射部によって紫外線等を照射され、有機化合物が重合(架橋)されて硬化され、有機層12aが形成される。なお、必要に応じて、有機層12aや有機層12bとなる有機化合物の硬化は、窒素雰囲気等の不活性雰囲気で行うようにしてもよい。
有機層12が形成された被成膜材料Zaは、搬送ローラ対38によって搬送されて、巻取り軸34によってロール状に巻回される。
所定長の有機層12aの形成が終了すると、必要に応じて切断した後、有機層12aを形成された被成膜材料Zaを巻回してなる材料ロール46として、図2(B)に示す無機成膜装置24に供給され、無機層14の形成に供される。
無機成膜装置24において、材料ロール46は供給室50の回転軸56に装填される。
材料ロール46が回転軸56に装填されると、被成膜材料Zb(有機層12aを形成された支持体Z)が引き出され、供給室50から、成膜室52を経て巻取り室54の巻取り軸58に至る所定の経路を通される。
材料ロール46から送り出された被成膜材料Zbは、ガイドローラ60によって案内されて成膜室52に搬送される。
成膜室52に搬送された、被成膜材料Zbは、ガイドローラ68に案内されてドラム62に巻き掛けられ、ドラム62に支持されて所定の経路を搬送されつつ、成膜手段64によって、例えば、CCP−CVDによって、無機層14を形成される。図示例においては、一例として、無機層14として窒化ケイ素を成膜したとする。
なお、無機層14の形成は、形成する無機層14に応じて、公知の気相堆積法による成膜方法で行えばよい。従って、使用するプロセスガスや成膜条件等は、形成する無機層14や膜厚等に応じて、適宜、設定/選択すればよい。
無機層14を形成された被成膜材料Zbは、ガイドローラ72に案内されて、巻取り室54に搬送される。
巻取り室54に搬送された被成膜材料Zbは、ガイドローラ58によって巻取り軸58に案内され、巻取り軸58によってロール状に巻回される。
無機層14の形成が終了すると、無機成膜装置24の全室に清浄化した乾燥空気が導入されて、大気開放される。
その後、必要に応じて切断されて、無機層14を形成した被成膜材料Zbを巻回してなる材料ロール42として、無機成膜装置20の巻取り室54から取り出される。
無機層14を形成した被成膜材料Zb(有機層12aおよび無機層14を形成された支持体Z)を巻回してなる材料ロール42は、2層目の有機層12bを形成するために、再度、有機成膜装置20に供給される。
被成膜材料Zbを巻回してなる材料ロール42は、先の有機層12aの形成と同様、回転軸32に装填され、被成膜材料Zbが巻取り軸34に至る所定の搬送経路を通される。
ここで、有機成膜装置20は、基本的に、大気中で有機層12aおよび12bを形成する装置である。従って、無機成膜装置24の巻取り室54が大気開放された時点から、塗布部26によって、無機層14の上に有機層12bとなる塗料が塗布されるまでの期間、無機層14(窒化ケイ素膜)は、空気に曝される。
無機層14を空気に曝すことによって、無機膜14の表面に−O基および/または−OH基が導入される(すなわち、無機膜14の表層が酸化ケイ素化および/または水酸化ケイ素化する)。
気相堆積法によって形成されるケイ素化合物層においては、全てのケイ素が例えば窒化ケイ素などの目的とする化合物となっているわけではなく、未結合の結合手を有するケイ素も存在する。特に、無機層14の表面では、未結合の結合手を有するケイ素が多量に存在している。そのため、無機層14を形成した後、無機層14の表面を空気(大気)に曝せば、この未結合の結合手に−O基や−OH基が結合して、無機層14の表面に、−O基および/または−OH基を導入することができる。
本発明においては、無機層14の表面に−OH基等を有することにより、有機層12bを形成する塗料がpH調整剤を含有しなくても、シランカップリング剤の反応を、好適に進行させることができる。
なお、本発明において、無機層14の表面を空気に曝すタイミングは、上述の例に限定はされない。すなわち、上層に有機層12bを形成される無機層14の表面を空気に曝すのは、上層の有機層を形成するまでの間であれば、どのようなタイミングや方法で行ってもよい。
例えば、無機層14を形成した後、無機成膜装置24の大気開放を窒素等の不活性ガスで行った場合には、巻取り室54から材料ロール42を取り出した後、有機層12bとなる塗料を塗布されるまでの期間、無機層14の表面を空気に曝せばよい。
前述のように、有機成膜装置20では、被成膜材料Zb(有機層12aおよび無機層14を形成された支持体Z)を長手方向に搬送しつつ、塗布部26によって、無機層14の上に有機層12bとなる塗料を塗布する。なお、塗布部26による塗料の塗布方法には、特に限定は無いが、ダイコート法が好適なのは、前述の通りである。
ここで、本発明の製造方法においては、無機層14の上の有機層12b形成するための塗料は、有機溶剤と、有機層12bとなる有機化合物と、前述の一般式[I]で示される所定のシランカップリング剤を含有する。なお、シランカップリング剤の含有量は、好ましくは対固形分濃度(固形分となる成分(固形分全体量)を100質量%とした際の含有量(質量%))で1〜25質量%であり、5〜20質量%であるのがより好ましい。また、本発明の製造方法においては、有機層12bとなる塗料は、シランカップリング剤を用いる際に、通常は必須成分として添加されるpH調整剤を含有しなくてもよい。
なお、図示例においては、一例として、TMPTAを主成分として含有する塗料を塗布したとする。
ここで、この有機層12bとなる有機化合物は、塗料が含有するシランカップリング剤に起因する副生成物(主に加水分解で副生成される副生成物(通常はアルコール))と、塗料に用いられる有機溶剤との共沸点よりも、Tg(ガラス転移温度)が高いものを用いるのが好ましい。以下の説明では、便宜的に、この副生成物と有機溶剤との共沸点を単に『副生成物共沸点』とする。
あるいは、シランカップリング剤に起因する副生成物と使用する有機溶剤とが共沸しない場合には、この副生成物の沸点と有機溶剤の沸点との高い方の温度よりも、Tgが高い物を、有機層12bとなる有機化合物としているのが好ましい。同様に、以下の説明では。便宜的に、この副生成物と有機溶剤の沸点の高い方を、『塗料沸点』とする。
本発明の製造方法においては、有機層12bを形成する塗料を塗布した後、副生成物共沸点よりも高温で、もしくは塗料沸点よりも高温で、塗料の乾燥を行う。好ましくは、有機層12bを形成する塗料を塗布した後、前述の共沸が生じる場合には副生成物共沸点よりも高温で、前述の共沸が生じない場合には塗料沸点よりも高温で、塗料の乾燥を行う。
ここで、有機層12bとなる有機化合物の耐熱性が低すぎると、この乾燥の際に、有機化合物が熱で軟化し、適正な乾燥を行うことができない、有機化合物が変質する、等の不都合を生じる可能性が有る。
そのため、有機層12bとなる有機化合物として、副生成物共沸点もしくは塗料沸点よりも高いTgを有する有機化合物を用いることにより、乾燥を行う際に、有機化合物の軟化等が生じるのを防止して、適正に乾燥した塗料によって、適正な有機層12bを安定して形成することが可能になる。
塗布部26によって塗布された塗料は、乾燥部28によって乾燥される。
ここで、図示例の有機成膜装置20において、乾燥部28は、有機層12bを形成する際に、有機層12bを形成する塗料の乾燥を副生成物共沸点よりも高温で行う。あるいは、乾燥部28は、有機層12bを形成する際に、有機層12bを形成する塗料の乾燥を塗料沸点よりも高温で行う。
なお、必要に応じて、塗料の乾燥を行う前に、副生成物共沸点や塗料沸点よりも高温で塗料を加熱する、加熱工程を設けてもよい。
本発明の製造方法は、一般式[I]で示されるシランカップリング剤を含有する塗料を用い、副生成物共沸点もしくは塗料沸点よりも高温で乾燥を行って、有機層12b(無機層の上の有機層)を形成することにより、下層の無機層14と有機層12bとの密着性に優れ、かつ、ガスバリア性能も高く、さらに有機ELデバイス等に利用した際にダークスポットの生成等のアウトガスによる悪影響も防止したガスバリアフィルムを製造することを、可能にしている。
特許文献1に示されるように、無機層14の上に有機層12bを形成する際には、無機層14がケイ素化合物である場合には、無機層14の表面に−O基および/または−OH基を導入しておき、その表面に、適量のシランカップリング剤を含有する塗料を塗布し、副生成物共沸点もしくは塗料沸点よりも高温で乾燥を行うことにより、pH調整を行わなくても、シランカップリング剤の加水分解反応、および、脱水縮合が生じる。
すなわち、無機層の表面に−OH基等を導入した状態で、塗料を副生成物共沸点等よりも高温に加熱することにより、無機層の表面から−OH基等が放出されてシランカップリング剤の加水分解反応が生じ、無機層表面とシランカップリング剤とが脱水縮合による共有結合によって結合される。また、塗料を副生成物共沸点や塗料沸点以上に加熱することにより、塗料の有機溶剤と共に副生成物等も蒸発して除去されるので、反応のサイクルが速くなり、無機層14表面とシランカップリング剤との結合が、さらに促進される。
すなわち、本発明によれば、シランカップリング剤を用いる際には必須であったpH調整剤を用いなくても、この無機層14表面とシランカップリング剤との結合と、前述の一般式[I]で示されるシランカップリング剤と重合したモノマー等の有機化合物との絡み付き等によって、無機層14と有機層12bとの密着性を確保することができる。
また、大気中で行う通常の方法で有機層12bとなる塗料の塗布を行うことができるので、生産性も向上できる。
しかも、加熱をシランカップリング剤による副生成物が蒸発する温度以上で行うので、加熱中にシランカップリング剤の加水分解によって生成されるアルコール等の副生成物を除去して、有機層中に残存する副生成物の量を大幅に低減できる。
そのため、不純物であるシランカップリング剤の副生成物を有さない、高品質で性能を好適に発現する有機層12bを形成することができる。また、後述するように無機層14の上に形成した有機層12bの上に、さらに無機層14を形成する際に、これらの副生成物等の蒸発が無機層14の形成に与える悪影響を無くして、緻密な無機層14を形成して、ガスバリア性能が高いガスバリアフィルムを製造することができる。
加えて、塗料がpH調整剤を必要としないので、pH調整剤の添加による、経時による塗料の粘度上昇等も防止できる。
さらに、有機層12bを形成する塗料にとっては、有機層の形成材料として見た場合にはpH調整剤は不純物である。そのため、塗料へのpH調整剤の添加によって、粘度の変動、有機化合物や形成する有機層12bのTg低下等が生じる可能性も有るが、このような不都合も防止(抑制)できる。
また、周知のように、塗料を加熱することにより、膜内において下方から上方に向かう塗料の対流が有る。そのため、この対流によって、塗料の乾燥と共に、無機層14の表面および表面近傍において、シランカップリング剤と無機層14との反応を進めることができる。しかも、前述のように、一般式[I]で示されるシランカップリング剤は、自己縮合もしないので、この対流は、非常に好適に行われる。
その結果、シランカップリング剤を無機層14の表面近傍に配向して、有機層12bの表面側は、シランカップリング剤の少ない高純度な有機化合物からなる状態とできる。これにより、有機層12bの表面が、形成材料等に応じた適正なTg等の特性を有するものとなり、有機層12bが、目的とする機能を適正に発現することができる。加えて、シランカップリング剤を無機層14の表面近傍に配向できるので、シランカップリング剤の添加量が少なくても、十分に、添加効果を得ることができる。
また、図示例のように、乾燥部28が、表面側(塗料側)および裏面側(支持体Z側すなわち無機層14側)の両方から、塗料の乾燥を行う場合には、この効果を、より好適に得ることができ、より好ましい。
本発明の製造方法において、有機層12bを形成する塗料の乾燥温度は、副生成物共沸点あるいは塗料沸点よりも高温とすればよく、好ましくは、前述のようにシランカップリング剤による副生成物と有機溶剤とが共沸する場合は複生成物共沸点よりも高温で、しない場合には塗料沸点よりも高温とする。
塗料の乾燥温度が、副生成物共沸点や塗料沸点未満では、前述のシランカップリング剤の加水分解や脱水縮合反応が、十分に進行しない。
なお、塗料の乾燥温度の上限には、特に、限定は無い。ここで、本発明者の検討によれば、乾燥温度が高いほど、良好な有機層と無機層との密着性が得られる。その反面、支持体Zの軟化点を超える温度で乾燥を行うと、支持体Zが熱によって損傷して適正な製品が作製できない。従って、塗料の乾燥温度は、使用する支持体Zに応じて、その軟化点以下とするのが好ましい。
乾燥部28によって、有機層12bとなる塗料の乾燥を行われた被成膜部材Zaは、次いで、光照射部30に搬送され、紫外線や可視光等を照射される。
この光照射によって、塗料の有機化合物が重合(架橋)して、塗料が硬化されて、無機層14の上に有機層12bが形成される。
有機層12bを成膜された被成膜材料Zaすなわちガスバリアフィルム10aは、巻取りローラ34によってロール状に巻き取られる。
所定長の有機層12bの形成が終了すると、必要に応じて切断した後、有機層12bを形成された被成膜材料Zaを巻回してなる材料ロール46として、先と同様、図2(B)に示す無機成膜装置24に供給され、2層目の無機層14の形成に供される。
1層目の無機層14の形成と同様、材料ロール46は供給室50の回転軸56に装填される。
材料ロール46が回転軸56に装填されると、被成膜材料Zb(有機層12a、無機層14および有機層12bが形成された支持体Z)が引き出され、供給室50から、成膜室52を経て巻取り室54の巻取り軸58に至る所定の経路を通される。
次いで、1層目の無機層14の形成と同様、被成膜材料Zbは、材料ロール46から送り出され、供給質50から成膜質52に搬送され、ここで2層目の無機層14(先と同様、窒化ケイ素)を形成され、巻取り室54に搬送されて、巻取り軸58によってロール状に巻回される。
無機層14の形成が終了すると、無機成膜装置24の全室に清浄化した乾燥空気が導入されて、大気開放される。
その後、必要に応じて切断されて、2層目の無機層14を成膜済の被成膜材料Zbを巻回してなる材料ロール42として、無機成膜装置20の巻取り室54から取り出される。
2層目の無機層14を形成された被成膜材料Zbを巻回してなる材料ロール42は、3層目の有機層12bを形成するために、再度、有機成膜装置20に供給される。
被成膜材料Zbを巻回してなる材料ロール42は、先の2層目の有機層12bの形成と同様、回転軸32に装填され、被成膜材料Zb(有機層12a、無機層14、2層目の有機層12bおよび2層目の無機層14が形成された基板Z)が、巻取り軸34に至る所定の搬送経路を通される。
次いで、被成膜材料Zbは、前述の2層目の有機層12bの形成と同様、長手方向に搬送されつつ、塗布部26で一般式[I]で示されるシランカップリング剤を含む塗料(先と同様、TMPTEが主成分)を塗布され、乾燥部28において、副生成物共沸点もしくは塗料沸点よりも高温で塗料が乾燥され、次いで、光照射部30に搬送されて、3層目の有機層12bが形成される。
最上層の有機層12bが形成された被成膜材料Zaすなわちガスバリアフィルム10aは、巻取りローラ34によってロール状に巻き取られる。
最上層の有機層12bの形成が終了したら、必要に応じて、ガスバリアフィルム10aを切断した後、ガスバリアフィルム10aを巻回してなる材料ロール46として、次工程等に供給される。
以上、本発明の機能性フィルムおよび機能性フィルムの製造方法について詳細に説明したが、本発明は、上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行なってもよいのは、もちろんである。
以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明を、より詳細に説明する。
[実施例1]
図2に示す製造装置を用いて、有機層12a、無機層14、2層目の有機層12bおよび2層目の無機層14を有する、図1(D)に示す、ガスバリアフィルム10dを作成した。
支持体Zとして、幅が1000mmで厚さが100μmの長尺なPENフィルム(帝人デュポンフィルム社製 テオネックスQ65FA)を用いた。
有機化合物および光重合開始剤を有機溶剤(メチルエチルケトン(MEK))に溶解して、有機層12を成膜するための塗料を調製した。
有機化合物は、TMPTA(ダイセル・サイテック社製)を、光重合開始剤はIrg189(チバケミカルズ社製)を用いた。また、塗料は、固形分濃度を15質量%(MEK85質量%)とした。また、塗料中の固形分における濃度は、有機化合物が98質量%、光重合開始剤が2質量%とした。
支持体Z(被成膜材料Za)を巻回してなる材料ロール42を、図2(A)に示す有機成膜装置20の回転軸32に装填して、支持体Zの表面に、調製した塗料を塗布/乾燥し、紫外線照射によって架橋して、有機層12aを形成した被成膜材料Zaを巻回してなる材料ロール46を得た。
塗布部26における塗料の塗布量は、有機層12aの膜厚が3μmとなるように調節した。なお、塗布部26はダイコータを用いた。乾燥部28による乾燥は、温風によって塗料を80℃に加熱して行った。さらに、光照射部30は、紫外線照射装置を用い、紫外線の照射量が積算照射量で約500mJ/cm2となるように光量調整した。
次いで、材料ロール46を図2(B)に示す無機成膜装置24に装填して、有機層12aを形成した支持体Z(被成膜材料Zb)の表面に、CCP−CVDによって、無機層14として膜厚50nmの窒化ケイ素膜を形成した。
成膜手段64は、ドラム62に対面して配置されるシャワー電極と、シャワー電極にプラズマ励起電力を供給する高周波電源と、ドラム62にバイアス電力を供給するバイアス電源と、シャワー電極に原料ガスを供給する供給手段とで構成した。さらに、ドラム62はステンレス製として、シャワー電極の対向電極として作用させた。
成膜ガスは、シランガス(SiH4)、アンモニアガス(NH3)、窒素ガス(N2)および水素ガス(H2)を用いた。供給量は、シランガスが100sccm、アンモニアガスが200sccm、窒素ガスが500sccm、水素ガスが500sccmとした。また、成膜圧力は50Paとした。
シャワー成膜電極には、高周波電源から、周波数13.5MHzで3000Wのプラズマ励起電力を供給した。さらに、ドラム62には、バイアス電源から、500Wのバイアス電力を供給した。また、成膜中は、ドラム62の温度を−20℃に調整した。
無機層14の形成を終了したら、供給室50、成膜室52および巻取り室54に清浄化した乾燥空気を導入して大気開放した。
次いで、無機層14を形成した被成膜材料Zbを巻回してなる材料ロール42を、巻取り室54から取り出した。
一方で、有機化合物、シランカップリング剤および光重合開始剤を有機溶剤(MEK)に溶解して、有機層12bを形成する塗料を調製した。
有機化合物および光重合開始剤は、有機層12aと同様の物を用いた。
シランカップリング剤は、一般式[I]
(R13−Si−R2−Si−(R13
において、R1が全て−OCH3で、R2が−(CH22−である物を用いた。
また、塗料は、固形分濃度を15質量%(MEK85質量%)とした。また、塗料中の固形分における濃度は、有機化合物が88質量%、光重合開始剤が2質量%、シランカップリング剤が10質量%とした。
なお、このシランカップリング剤による副生成物(メタノール)と、有機溶剤であるMEKとの共沸点は、MEKの残存量とメタノールの生成量とによって変化はあるが、概ね、約65℃である。
被成膜材料Za(有機層12aおよび無機層14を形成した支持体Z)を巻回してなる材料ロール42を、有機成膜装置20の回転軸32に装填して、支持体Zの表面に、調製した塗料を塗布/乾燥し、紫外線照射によって架橋して、有機層12bを形成し、有機層12bを形成してなる被成膜材料Zbを巻回してなる材料ロール46を得た。
塗布部26による塗料の塗布量は、有機層12の膜厚が3μmとなるように調節した。乾燥部28による乾燥は、温風によって塗料を80℃に加熱して行った。さらに、光照射部30は、紫外線の照射量が積算照射量で約500mJ/cm2となるようにした。
次いで、被成膜材料Zb(有機層12a、無機層14および有機層12bを形成した支持体Z)を巻回してなる材料ロール46を、図2(B)に示す無機成膜装置24に装填した。
さらに、1層目の無機層14と同様にして、2層目お有機層12bを形成した支持体Z(被成膜材料Zb)の表面に、2層目の無機層14として膜厚50nmの窒化ケイ素膜を形成して、図1(D)に示すガスバリアフィルム10dを作製し、このガスバリアフィルム10dを巻回してなる材料ロール46を得た。
[実施例2および3]
有機層12bの形成に用いるシランカップリング剤を、一般式[I]
(R13−Si−R2−Si−(R13
において、R1が全て−OCH3で、R2が−(CH26−である物に変更した以外(実施例2);
有機層12bの形成に用いるシランカップリング剤を、一般式[I]
(R13−Si−R2−Si−(R13
において、R1が全て−OCH3で、R2が−(CH28−である物に変更した以外(実施例3); は、実施例1と同様にして、支持体Zの上に有機層12a、無機層14、有機層12bおよび無機層14を形成してなる、図1(D)に示すガスバリアフィルム10dを作製し、これを巻回してなる材料ロール46を得た。
[実施例4]
有機層12bの形成に用いるシランカップリング剤を、一般式[I]
(R13−Si−R2−Si−(R13
において、R1が全て−OCH2CH3で、R2が−(CH26−である物に変更し、有機層12bの形成における乾燥部18での温風の温度を100℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、支持体Zの上に有機層12a、無機層14、有機層12bおよび無機層14を形成してなる、図1(D)に示すガスバリアフィルム10dを作製し、これを巻回してなる材料ロール46を得た。
なお、乾燥温度の100℃は、このシランカップリング剤による副生成物(エタノール)の沸点に応じて設定した温度である。
[比較例1]
有機層12bの形成に用いるシランカップリング剤を、一般式[I]
(R13−Si−R2−Si−(R13
において、各Siに結合するR1の2つが−OCH3で、1つがアクリル基を有する−C36−COCH=CH2であり、R2が−(CH26−である物に変更した以外は、実施例1と同様にして、支持体Zの上に有機層12a、無機層14、有機層12bおよび無機層14を形成してなる、図1(D)に示すガスバリアフィルム10dを作製し、これを巻回してなる材料ロール46を得た。
[比較例2]
有機層12bの形成に用いるシランカップリング剤を、下記式
(CH3O)3−Si−(CH25−CH3
で示される物に変更した以外は、実施例1と同様にして、支持体Zの上に有機層12a、無機層14、有機層12bおよび無機層14を形成してなる、図1(D)に示すガスバリアフィルム10dを作製し、これを巻回してなる材料ロール46を得た。
このようにして作製した各ガスバリアフィルム10dについて、ガスバリア性および密着性を評価した。
<ガスバリア性>
各ガスバリアフィルムのガスバリア性(水蒸気透過率[g/(m2・day)])を、カルシウム腐食法(特開2005−283561号公報に記載される方法)によって、測定した。
また、水蒸気透過率が、1×10-5[g/(m2・day)]未満(すなわち、1×10−5E[g/(m2・day)]未満)の場合を最優秀;
1×10-5[g/(m2・day)]以上、4×10-5[g/(m2・day)]未満の場合を優秀;
4×10-5[g/(m2・day)]以上、1×10-4[g/(m2・day)]未満の場合を良好;
1×10-4[g/(m2・day)]以上の場合を不可; と評価した。
<密着性>
JIS K5400に準拠したクロスカット剥離試験で評価した。
各ガスバリアフィルムの有機層および無機層の形成面に、カッターナイフを用いて、膜面に対して90°の切り込みを1mm間隔で入れ、1mm間隔の碁盤目を100個作成した。この上に2cm幅のマイラーテープ(日東電工製、ポリエステルテープ、No.31B)で貼り付けたテープを剥がした。有機層12bが残存したマスの数で評価した。
残存マス数が100個のものを最優秀;
残存マス数が91〜99個のものを優秀;
残存マス数が81〜90個のものを良好;
残存マス数が80個以下の物を不可; と評価した。
結果を、下記表に示す。
Figure 0006061820
上記表に示されるように、本発明のガスバリアフィルムは、いずれも、良好なガスバリア性および有機層12bの密着性を有している。特に、R2の直鎖炭素数が8で、R1が−OCH3である実施例3は、非常に優れたガスバリア性および密着性を有している。
なお、R2の直鎖炭素数が2である実施例1は、シランカップリング剤と重合した有機化合物との絡みが少ないと考えられ、他の実施例に比べ、若干、密着性に劣る。
それに対し、シランカップリング剤がアクリル基を含む比較例1は、前述のシランカップリング剤の自己縮合体が生成してしまい、これに起因して、シランカップリング剤の機能低下、重合の阻害、自己縮合体等の低分子量物の残存等が生じ、これに起因して、重合性の低下、密着性の低下、ガスバリア性の低下等が生じ、本発明品に比して、ガスバリア性が低く、かつ、密着性も低くなってしまったと考えられる。
また、シランカップリング剤がSi原子を1個しか有さない比較例2は、無機層14の形成を阻害する要因を優さないために、優れたガスバリア性を発現しているが、シランカップリング剤の密着性向上効果が低く、本発明品に比して、密着性が低くなってしまったと考えられる。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
10a,10b,10c,10d ガスバリアフィルム
12a,12b 有機層
14 無機層
20 有機成膜装置
24 無機成膜装置
26 塗布部
28 乾燥部
30 光照射部
32,56 回転軸
34,58 巻取り軸
36,38 搬送ローラ対
42,46 材料ロール
50 供給室
52 成膜室
54 巻取り室
60,68,72,80 ガイドローラ
61,74,82 真空排気手段
62 ドラム
64 成膜手段
76,78 隔壁

Claims (12)

  1. 支持体と、この支持体の上に交互に形成された有機層および無機層とを有する機能性フィルムであって、
    前記無機層の厚さが200nm以下であり、
    前記無機層の上に形成された有機層を、少なくとも1層有し、かつ、この無機層の上に形成された有機層が、2官能以上の(メタ)アクリレートからなる樹脂を主成分とするものであり、かつ、下記の一般式[I]で示されるシランカップリング剤を1〜25質量%含有することを特徴とする機能性フィルム。
    (R13−Si−R2−Si−(R13 ・・・ 一般式[I]
    (一般式[I]において、R1は、置換基を有してもよいアルコキシ基であり、R2は、直鎖の炭素数が2〜10の置換基を有してもよい直鎖のアルキレン基である。また、各R1は、互いに同じでも異なってもよい。)
  2. 前記一般式[I]において、R1が−OCH3および−OCH2CH3から選択される1以上である請求項1に記載の機能性フィルム。
  3. 前記一般式[I]において、R1が置換基を有さない請求項1または2に記載の機能性フィルム。
  4. 前記一般式[I]において、R2が置換基を有さない請求項1〜3のいずれか1項に記載の機能性フィルム。
  5. 前記無機層が窒化ケイ素からなるものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の機能性フィルム。
  6. 前記有機層となる有機化合物のガラス転移温度が、前記シランカップリング剤に起因する副生成物の沸点もしくは有機層の形成に用いる有機溶剤の沸点よりも高温である請求項1〜5のいずれか1項に記載の機能性フィルム。
  7. 前記無機層上の有機層の厚さが5μm以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の機能性フィルム。
  8. 前記無機層が窒化ケイ素からなるものであり、その表面に−OH基および−O基の少なくとも一方が導入される請求項1〜7のいずれか1項に記載の機能性フィルム。
  9. 前記無機層の密度が2〜2.4g/cm3である請求項1〜8のいずれか1項に記載の機能性フィルム。
  10. 支持体の上に、有機層と無機層とを交互に形成してなる機能性フィルムを製造するに際し、
    厚さが200nm以下の無機層を形成するものであり、かつ、
    少なくとも1回、前記無機層の上に有機層を形成し、さらに、
    前記無機層の上に有機層を形成する際には、少なくとも、有機溶剤、有機層となる2官能以上の(メタ)アクリレート、および下記の一般式[I]で示されるシランカップリング剤を対固形分濃度で1〜25質量%、含有する塗料を塗布する塗布工程、
    (R13−Si−R2−Si−(R13 ・・・ 一般式[I]
    (一般式[I]において、R1は、置換基を有してもよいアルコキシ基であり、R2は、直鎖の炭素数が2〜10の置換基を有してもよい直鎖のアルキレン基である。 また、各R1は、互いに同じでも異なってもよい。)
    前記シランカップリング剤に起因する副生成物と有機溶剤との共沸点よりも高温、もしくは、前記副生成物の沸点と有機溶剤の沸点の高い方よりも高温で前記塗料を乾燥する乾燥工程、
    および、前記乾燥した塗料を光照射によって硬化する硬化工程を行うことを特徴とする機能性フィルムの製造方法。
  11. 長尺な支持体を用い、この支持体を長手方向に搬送しつつ、前記有機層および無機層の形成を行う請求項10に記載の機能性フィルムの製造方法。
  12. 前記無機層として、窒化ケイ素からなる層を形成する請求項10または11に記載の機能性フィルムの製造方法。
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