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JP5995803B2 - カテコール−o−メチルトランスフェラーゼ阻害剤 - Google Patents

カテコール−o−メチルトランスフェラーゼ阻害剤 Download PDF

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Description

本開示は、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害剤に関する。
カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(catechol-O-methyltransferase、以下、「COMT」ともいう)は、カテコールアミン類を分解する酵素の一つであり、ドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリンやカテコール骨格を有するフラボノイド等を分解する(非特許文献1)。
それによりこの酵素は神経伝達にかかるさまざまな生体反応を調整する。精神疾患、人格特性、統合失調症、ADHD(注意欠陥多動性障害)、痛がりとの関連等が示唆されている。とりわけパーキンソン病においては、治療薬であるレボド−パの代謝を行い、この酵素を阻害することは薬効の上昇につながることから、COMT阻害剤はレボド−パ(L−3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン)等との併用薬としてパーキンソン病治療に使用されている(非特許文献2)。
COMT阻害剤については、1958年にAxelrodらにより酵素が発見されて以来、数多く報告され、植物由来天然物(非特許文献3)や生薬由来(特許文献1)の成分が知られ、阻害効果の強弱を検討している。最初に発見開発されたものはピロガロールやカテコール骨格を有する誘導体等、或いはフラボノイド由来、アスコルビン酸、トロポロン等であった。多くのCOMT阻害剤はCOMTの酵素触媒部位に結合し、作用する合成化合物である。
1980年代になり、カテコール基のオルト位にニトロ基等を持つものが開発され、これらの中には、トルカポン(非特許文献4)やエンタカポン(非特許文献5)が含まれ医薬品となっている。COMT阻害剤のほとんどが低分子のものであり高分子タンパク質は利用されておらず、抗体等を除きほとんど知られていない(非特許文献6)。
また、COMT阻害剤の中には肝障害等の重篤な副作用を持つものもあり(非特許文献7)、新規物質の開発には細胞毒性は注視されている(特許文献2)。
特開2005-126402号公報 特表2009-544571号公報
Mannisto PT. ら, 「Pharmacological Reviews」, 1999年, p.593-628 永山寛,「Clinical Neuroscience」, 2011年, 29巻, 5号, p.568−569 Guldberg HC.ら, 「Pharmacological Reviews」,1975年, 27巻,p.135-206 Napolitano A.ら, 「Eur. J. Pharmacol. 」,1995年,273巻,3号,p.215-221 Nissinen E.ら,「Naunyn Schmiedebergs Arch. Pharmacol.」, 1992年 346巻,3号,p.262-266. Assicot M.ら,「Biochemical Pharmacology」,1969年,18巻,8号,p.1893-1898 Benabou R.ら, 「Expert Opin. Drug Saf.」, 2003年, 2巻, 3号, p.263-267
このように、副作用が少ないCOMT阻害可能な物質が求められている。そこで、本開示は、安全性の高い優れたCOMT阻害剤を提供するものである。
本発明者らは、鋭意研究の結果、ラクトフェリン類がCOMTと結合することで、その活性を阻害することを見出した。
前記ラクトフェリン類は、従来の化学合成されたCOMT阻害用の人工物、生薬のような天然物とは異なる構造を有している。一般的に、構造上異なる物質で作用機序の異なる物質は、既存化学物質と同時に使用できる可能性;既存の物質が使用できない状況下での使用等の置き換えができる可能性を持つと考えられる。このようなことから、本開示のラクトフェリン類と他の薬剤とを併用した場合の相乗効果も本開示のラクトフェリン類は期待できる。
さらにラクトフェリンは生体内に由来するタンパク質であるので、この分解物等も食品として摂取可能であり、また安全性の高いタンパク質である。また、ラクトフェリンはこれまで知られているCOMT阻害剤とは異なる生体内物質でもある。このようなことから、本開示のラクトフェリン類も安全に摂取することができると考えられる。
また、ラクトフェリンを処理することで、COMT阻害作用が向上することも明らかにした。このことは、ラクトフェリンが分解や変性等の各種処理を受けてもその効能が低減することがなく、むしろ向上する。このため、工業的に生産される幅広い製品に使用することが可能である。例えば、工業的に生産される飲食品の場合、酸・アルカリ処理や熱処理等を行うことや長期間保存による成分変化が多いが、原料にラクトフェリン類を入れて加工処理することやラクトフェリン類を入れて液状又は固形状として長期間保存すること等が可能と考える。このように、工業的な製造分野においてCOMT阻害のためのラクトフェリン類は有益に利用できると考える。
また、医薬等では、例えば酸・アルカリや常温で効能が経時的にて減少することが問題となることが多いが、本開示のラクトフェリン類であれば効能が低下する可能性は低く、また適宜ラクトフェリンを処理することでより所望の効能を安定的に維持できると考える。このように、安定的な効能を期待する分野においてCOMT阻害のためのラクトフェリン類は有益に利用できると考える。
このようにして、本発明者らは、本技術を完成するに至った。
本開示は、ラクトフェリンを80〜125℃で1分以上熱処理しラクトフェリンの熱処理物を得る工程、ラクトフェリン含有溶液をpH5以下で5分〜1時間放置又は撹拌して酸処理しラクトフェリンの酸処理物を得る工程、ラクトフェリン含有溶液をpH9以上で5分〜1時間放置又は撹拌しアルカリ処理しラクトフェリンのアルカリ処理物を得る工程、ラクトフェリンをトリプシンで加水分解処理しラクトフェリンの加水分解処理物を得る工程、並びに、ラクトフェリンを前記熱処理、前記酸処理、前記アルカリ処理及び前記加水分解処理を2種以上組み合わせて処理してラトフェリンの処理物を得る工程、を含むカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害剤の製造方法を提供するものである(ただし、前記ラクトフェリンの熱処理物を有効成分とするカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害剤は、飲食品の態様を除く)。
また、本開示は、ラクトフェリンN−lobe部分に属し、N末端がアラニン−プロリン−アルギニン−リジン−アスパラギンであり、SDS−PAGEによる分子量が30〜40kDaのペプチドを有効成分とするCOMT阻害剤を提供するものである。
さらに、本開示は、配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるペプチドを有効成分とするCOMT阻害剤を提供するものである。
本開示によれば、安全性の高い優れたCOMT阻害剤を提供することができる。
本開示の好ましい実施形態について詳細に説明する。ただし、本開示は以下の好ましい実施形態に限定されず、本開示の範囲内で自由に変更することができるものである。
本開示のラクトフェリン類とは、ラクトフェリン、ラクトフェリンの熱処理物、ラクトフェリンの酸処理物、ラクトフェリンのアルカリ処理物、ラクトフェリン加水分解物、並びに、熱処理、酸処理、アルカリ処理及び加水分解処理を2種以上組み合わせて処理されたラクトフェリンの処理物から選ばれる1種又は2種以上のものである。
また、本開示のラクトフェリン類には、前記加水分解物が、ラクトフェリンN−lobe部分に属し、N末端がアラニン−プロリン−アルギニン−リジン−アスパラギンであり、SDS−PAGEによる分子量が30〜40kDaのペプチドのものも含まれる。
また、本開示のラクトフェリン類には、配列番号1又は配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるペプチド、当該ペプチドを含んでなるペプチド、当該ペプチドを含んでなるタンパク質から選ばれる1種又は2種以上のものも含まれる。なお、これらペプチド又はタンパク質は、COMT阻害活性を有する範囲において、1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入したものであってもよい。
上記ラクトフェリンは、哺乳動物(例えば、ヒト、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマ等)の初乳、移行乳、常乳、末期乳、又はこれらの乳の処理物である脱脂乳、ホエー等を乳原料とし、例えばイオン交換クロマトグラフィー等の公知の分離・精製方法を用いることで、前記原料から分離して得られるものを用いることができる。さらに、ラクトフェリン中の金属含有量は特に限定されず、上記ラクトフェリンは、この分離ラクトフェリンを塩酸やクエン酸等により脱鉄したアポ型ラクトフェリン;該アポ型ラクトフェリンを、鉄、銅、亜鉛、マンガン等の金属でキレートさせて得られる飽和度100%の状態の金属飽和ラクトフェリン;及び100%未満の各種飽和度で金属が結合している状態の金属部分飽和ラクトフェリンからなる群から選ばれる、いずれか1種又は複数種の混合物を用いることも可能である。
上記ラクトフェリンは、市販のラクトフェリンを使用してもよい。この市販のラクトフェリンとして、工業的規模で製造されているもの(例えば、森永乳業社製)を使用することが好適である。
また、上記ラクトフェリンは、遺伝子工学的手法により、微生物、動物細胞、トランスジェニック動物等で生産したラクトフェリンを使用することも可能である。好ましくは、ヒト若しくはウシ由来のラクトフェリン又はその対応する遺伝子に基づいて遺伝子工学的に製造されたラクトフェリンである。
本開示に使用するラクトフェリンの好ましい形態としては、ヒト由来のラクトフェリン及びウシ由来のラクトフェリン(配列番号2)が例示され、1種を単独で使用することも、複数種を混合して用いることも可能である。
ここで、本開示に用いられるラクトフェリンの調製(乳等の原料からのラクトフェリンの分離、精製)方法の一例を以下に示すが、これに限定されるものではない。
乳原料を陽イオン交換カラムに通液し、この通過液を回収し、適宜この通過液を繰り返しカラムに通液する。このカラムに脱イオン水を通液し、食塩水を通液し、この陽イオン交換カラムに吸着した塩基性タンパク質の溶出液を得る。この溶出液に硫酸アンモニウム沈殿法にて、これを回収し、適宜洗浄する。回収された沈殿物を脱イオン水にて溶解し、この溶解液を限外ろ過膜にてろ過する。さらに、脱塩処理、凍結乾燥することで、粉末状のラクトフェリンが得られる。
より詳細には、まず、イオン交換体(例えば、CM−セファロースFF(商品名、アマシャムファルマシア社製))をカラムに充填し、塩酸を通液し、水洗してイオン交換体を平衡化する。続いて、4℃に冷却したpH6.9の脱脂乳をカラムに通液し、透過液を回収し、再度同様にカラムに通液する。次いで、脱イオン水をカラムに通液し、食塩水を通液し、イオン交換体に吸着した塩基性タンパク質の溶出液を得る。この溶出液に飽和度80%の硫酸アンモニウムを添加し、タンパク質を沈殿させ、遠心分離して沈殿物を回収する。回収した沈殿物を、飽和度80%の硫酸アンモニウム溶液で洗浄し、脱イオン水を添加して溶解し、得られた溶液を限外ろ過膜モジュール(例えば、SLP0053(商品名、旭化成社製))を用いて脱塩し、凍結乾燥して、粉末状ウシラクトフェリンを得る。このようにして、純度が95質量%以上のウシラクトフェリンが得られる。
本開示に用いられるラクトフェリンにおいては、種、属、個体等の違いによって、1又は複数の位置での1又は複数の塩基の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位等の変異が当然存在し、このような変異を有する遺伝子がコードするタンパク質のアミノ酸においても変異が生じている場合がある。
本開示に用いることができるラクトフェリンには、COMT阻害活性が損なわれない範囲において、このような変異を含むものも含有される。
本開示のラクトフェリンはCOMT阻害作用を有するが、さらに熱処理、酸処理、アルカリ処理、加水分解処理等の各種処理を行ったラクトフェリン処理物は、ラクトフェリンと比較してCOMT阻害作用が同等以上に向上するので、好適である。
本開示のラクトフェリン処理物の好適な物理的及び/又は化学的処理方法としては、例えば、ラクトフェリンの変性を目的として熱処理、酸処理、及びアルカリ処理が挙げられ、ラクトフェリンの加水分解を目的として加水分解処理が挙げられる。なお、これらを2種以上組み合わせて、本開示のラクトフェリン処理物を得ることも可能である。
また、本開示のラクトフェリンの変性等の処理物の製造方法については、熱変性又はpH変化による変性(「タンパク質ハンドブック」,丸善株式会社 2003年発行)、圧力変性(Mazri Cら,「J. Dairy Sci.」,2012年,95巻,p.549-557)等多くの方法により行うことが可能である。
なお、ラクトフェリン変性物は、処理前のラクトフェリンの構造とは異なり変化しているタンパク質であり、COMT阻害作用が処理前のラクトフェリンと比較して同等以上にあるものをいう。
熱処理の際の加熱処理温度は、好ましくは60℃以上、より好ましくは65℃以上であり、例えば80〜125℃や90〜105℃の範囲で加熱処理することも好適である。
また、加熱処理時間は、好ましくは1分以上、より好ましくは5分以上、さらに好ましくは5分〜1時間であり、5〜30分間とするのが特に好適である。また、加熱処理時の圧力は、好ましくは0.8〜2気圧、より好ましくは0.8〜1.2気圧で行うのが好適である。
さらに、必要に応じて加熱処理後に、遠心分離等にて沈殿物を回収してもよい。
一例として、加熱処理ラクトフェリンは、ラクトフェリン水溶液を5〜30分間熱湯中で煮沸し、遠心分離の沈殿物を回収することで得ることができる。
また、酸・アルカリ処理する際には、ラクトフェリン含有溶液のpHを調整して処理すればよい。当該pH調整による処理の場合は、処理液のpHが、好ましくはpH5以下又はpH9以上であり、より好ましくはpH4以下又はpH10以上である。また、ラクトフェリン水溶液の規定を、鉱酸やナトリウム溶液等の酸アルカリ剤にて、0.0001〜1N(より好適には0.005〜0.05N)にして処理を行なってもよい。
このようにpH調整された処理液は、室温にて数分以上、好ましくは5分〜1時間、放置又は撹拌することによって、処理物として調製することができる。
なお、「室温」とは、4〜40℃程度であるが、当該温度範囲でより好ましくは10〜30℃である。
本開示のラクトフェリンの加水分解物の製造方法については、ラクトフェリンが加水分解される方法を適宜選択することが可能であり、中でも酵素加水分解処理が好ましく、これら加水分解される方法を1種又は2種以上組み合わせて行なってもよい。加水分解により、ラクトフェリンに由来し、COMT阻害作用を有するペプチドを得ることができる。
なお、本開示の加水分解物(例えば、酵素加水分解処理物等)は、ラクトフェリンを加水分解処理し、未精製のままの状態で使用しても効能を発揮することが可能である。さらに、後述するが、効能を向上させるために、適宜COMT阻害作用を有する成分又はこの成分を含有する画分を分離精製することも可能である。
本開示のタンパク質酵素加水分解処理にて得られるタンパク質分解酵素加水分解処理物の製造方法については、通常知られている方法により行うことが可能である。具体的には、Takayama Yらの方法が知られている(Takayama Y ら, 「B.B.R.C.」, 2002年, 299巻,p.813-817)。
酵素加水分解処理において、好ましくは、トリプシン又は類似の反応特異性を有する酵素による製造である。
一例として、pH7.5〜8.5程度に調整したラクトフェリン水溶液に、トリプシン酵素を加え、35〜39℃で2〜24時間程度処理することで本開示のタンパク質分解酵素生成物を得ることができる。さらに適宜分離精製処理してもよい。
また、本開示のラクトフェリンの熱処理、酸処理、アルカリ処理及び加水分解処理、の処理物の製造方法については、上述の処理物の製造方法及び加水分解物の製造方法を、適宜組み合わせて行うことも可能である。
さらに、ラクトフェリンの熱処理物、ラクトフェリンの酸処理物、ラクトフェリンのアルカリ処理物、ラクトフェリン加水分解物、並びに、熱処理、酸処理、アルカリ処理及び加水分解処理を2種以上組み合わせて処理されたラクトフェリンの処理物を、公知の分離精製を行うことで、さらにCOMT阻害活性を有するペプチド又は低分子化されたタンパク質を得ることも可能である。例えば、ポリマー系逆相カラム分画により各溶出画分を得、各溶出画分のCOMT阻害活性を確認することで、より活性の高い溶出画分を得ることが可能である。また、当該ペプチド又は低分子化されたタンパク質は、活性の高い抽出画分からさらに単離することも可能であり、また化学合成で得ることも可能である。
このようにして得ることが可能なCOMT阻害活性を有する好適なペプチド又はタンパク質としては、例えば、ラクトフェリンN−lobe部分に属し、N末端がアラニン−プロリン−アルギニン−リジン−アスパラギンであり、SDS−PAGEによる分子量が30〜40kDaのペプチド;配列番号1又は配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるペプチド;配列番号1又は配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるペプチドを含んでなるペプチド;配列番号1又は配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるペプチドを含んでなるタンパク質等が挙げられる。なお、これらペプチド又はタンパク質は、COMT阻害活性を有する範囲において、1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入したものであってもよい。
これらラクトフェリン処理物のペプチド又はタンパク質に、COMT阻害作用を発揮するための活性中心となり得る部分があると考えられる。当該活性の中心の一つとして、配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるペプチドが考えられる。
本開示のラクトフェリン類は、後記実施例に示すように、COMT阻害作用を有する。さらに、本開示のラクトフェリン類は、後記実施例に示すように、他のCOMT阻害剤と併用することにより、COMT阻害作用が相乗的に向上する。また、他のCOMT阻害剤の使用量を減らすことも可能となる。さらに、本開示のラクトフェリン類は乳由来で安全性が高いので、他のCOMT阻害剤を使用することによる副作用をより低減することができる。
前記「他のCOMT阻害剤」としては、既存のCOMT阻害剤に限定されないが、既存のCOMT阻害剤として、例えば、ピロガロール、ガリック酸、コーヒー酸、アスコルビン酸、エンタカポン、ニテカポン、トルカポン等が挙げられ、これらから1種又は2種以上選択することができる。
よって、ラクトフェリン類は、COMT阻害剤として使用することができ、さらにCOMTに関わる様々な状態の制御、例えばパーキンソン病等の疾患の予防及び/又は改善のために使用することができる。
従って、本開示のCOMT阻害剤は、ラクトフェリン類を有効成分として含有する。また、本開示のCOMT阻害剤は、ラクトフェリン類及び他のCOMT阻害剤を有効成分として含有することも可能である。
上記使用とは、適用対象であるヒト若しくは非ヒト動物における使用であり得、また治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。
本明細書において、「非治療的」とは、医療行為、すなわち治療による人体への処置行為を含まない概念である。
また、本明細書において、「改善」とは、疾患、症状又は状態の好転;疾患、症状又は状態の悪化の防止、遅延若しくは疾患又は症状の進行の逆転、防止又は遅延をいう。
また、本明細書において、「予防」とは、適用対象における疾患若しくは症状の発症の防止又は遅延、或いは適用対象の疾患若しくは症状の発症の危険性を低下させることをいう。
本開示のラクトフェリン類は、COMT阻害のため、或いはパーキンソン病等の疾患の予防及び/又は改善のための組成物、医薬、医薬部外品、飲食品若しくはその原料、又は飼料若しくはその原料に素材として配合することができ、その製造のために使用することができる。
ところで、カテコール部分を構造上含む生理活性物質は、抗酸化作用、抗炎症作用、血流改善作用等の種々の生理活性作用を有することが知られている。カテコール部分を構造上含む生理活性物質は、例えば、ポリフェノール;アントシアニジン及びその配糖体(例えばアントシアニン等);フラボノイド;カテコールアミン、ニトロカテコール及びその誘導体(例えば、ドパミン、エンタカポン等);カテコールエストロゲン等が挙げられる。
さらに、カテコール基を持つ生理活性物質は、食品(特に植物由来の食品)等に多く存在している。食品に存在するものとして、例えば、フラボノイド(例えばカテキン、アントシアニン、ルチン)等が知られている。 カテコール部分を構造上含む生理活性物質は、生体内ではCOMT等の酵素により、カテコール部分のOHがOCHと代謝されるが、この代謝によって生理活性作用の大きさが異なってくることも知られている(参考文献1:中野大介ら,「Bulletin of Osaka University of Pharmaceutical Sciences」2007年, 1巻、p.135―141)。このようなことから、例えば、COMT阻害作用を有するクェルセチンと緑茶とを混合して投与することで緑茶の化学的予防効果を高めることが提案されている(参考文献2:Wang Pら,「Food Funct.」 2012年, 3巻, 6号,p.635−642)。
後記実施例に示すように、本開示のラクトフェリン類は食品成分として安全に摂取でき、これまでのものと作用機序が異なることから、カテコール部分を含む生理活性物質(好適にはカテコール基を持つ生理活性物質)と同時又は別々に摂取しCOMTの活性阻害を調節することで、カテコール部分を含む生理活性物質が奏する効果を調節する等により、医薬、飲食品等に汎用が期待できる。
上記組成物、医薬、医薬部外品、飲食品、飼料又は飲食品若しくは飼料の原料は、ヒト又は非ヒト動物用として製造され、又は使用され得る。本開示のラクトフェリン類は、上記組成物、医薬、医薬部外品、飲食品、飼料又は飲食品若しくは飼料の原料に素材として配合することが可能であり、COMT阻害のため、或いはパーキンソン病等の疾患の予防及び/又は改善のための有効成分として含有させることが可能である。
以下の製剤等に使用するラクトフェリン類は、上記で製造されたラクトフェリン由来の生成物を含むものである。
上記医薬又は医薬部外品は、本開示のラクトフェリン類を有効成分として含有する。当該医薬又は医薬部外品の投与形態は特に限定されず、任意の投与形態で投与され得る。投与形態は、治療やサプリメントとしての予防等の目的に応じて適宜選択でき、経口投与でも非経口投与でもよい。例えば、経口投与形態として、錠剤、被覆錠剤、散剤、カプセル剤のような固形投与形態;シロップ及び懸濁液のような液体投与形態が挙げられ、非経口投与形態としては、注射、輸液、経皮、経粘膜、経鼻、経腸、吸入、坐剤、ボーラス、湿布剤等が挙げられる。
上記医薬又は医薬部外品は、本開示のラクトフェリン類を単独で含有していてもよく、又は製剤化にあたっては製剤担体として通常の薬剤に汎用される賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、流動性促進剤、矯味剤、矯臭剤、着色剤、香料、希釈剤、界面活性剤、注射剤用溶剤等の添加剤を使用できる。これらを用いて常法に従ってCOMT阻害剤の製剤を製造することができる。
結合剤として、デンプン、デキストリン、アラビアゴム末、ゼラチン、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴール等が例示される。
崩壊剤としては、デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース等が例示される。
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、大豆レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベート80等が例示される。
滑沢剤としては、タルク、ロウ類、水素添加植物油、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ポリエチレングリコール等が例示される。
流動性促進剤としては、軽質無水ケイ酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等が例示される。
本開示の製剤中に含まれる本開示のラクトフェリン類の量は、特に限定されず適宜選択すればよいが、例えばいずれも通常製剤中に0.0001〜75質量%、好ましくは0.001〜50質量%とするのがよい。
本発明の製剤の投与方法と投与量は特に限定されず、各種製剤形態、投与対象となる方の年齢、性別、その他の条件、摂取する医薬品や同様の効果を有するサプリメントとの摂取状況、或いはCOMTにより分解を受ける医薬品やサプリメントの摂取状況等により決定される。
通常有効成分としての本開示のラクトフェリン類の量は、0.1〜1000mg/kg/日、好ましくは0.5〜500mg/kg/日、特に好ましくは5〜250mg/kg/日の範囲となる量を目安とするのが良く、1日1回又は複数回に分けて投与することができる。
上記飲食品や飼料は、COMT阻害のため、或いはパーキンソン病等の疾患の予防及び/又は改善等の機能を有し、当該機能を必要に応じて表示した食品若しくは飲料、機能性飲食品、病者用飲食品、特定保健用食品、ペットフード等であり得る。
本開示の有効成分であるラクトフェリン類を、食品又は飲料に対して、食品添加剤として添加して、飲食品組成物(飲食品)の形態で製造することができ、経口または経管的に摂取することが可能である。
このような飲食品組成物(飲食品)の形態としては、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果汁飲料、乳酸菌飲料等の飲料、アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の氷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、チューインガム、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子等の菓子類;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、乳飲料、発酵乳、バター等の乳製品;惣菜、パン類;経腸栄養食品、流動食、スポーツ飲料;健康補助食品等の機能性食品等が例示される。
機能性食品の形態としては、顆粒状、タブレット状又は液状のサプリメントであることが、有効成分の摂取量を把握し易いという点で好ましい。
本開示の飲食品組成物において、本開示のラクトフェリン類を添加する量は、飲食品組成物の形態によって適宜設定されるが、通常の食品又は飲料中0.0001〜75質量%、好ましくは0.001〜50質量%となるように添加すればよい。
本開示の飲食品には、有効成分である前記ラクトフェリン類の他に、例えば、ラクチュロース、マルチトール、及びラクチトール等のアルコール吸収抑制性の糖類、及びそれ以外の糖類、例えばデキストリン、デンプン等;ゼラチン、大豆タンパク、トウモロコシタンパク等のタンパク質;アラニン、グルタミン、イソロイシン等のアミノ酸類;セルロース、アラビアゴム等の多糖類;大豆油、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の油脂類等を含有させることができる。
本開示のための食品添加剤は、各種食品添加剤を製造する際に、ラクトフェリン類を含有させることによって製造することができる。
食品添加剤には、有効成分としての本開示のラクトフェリン類の他に、通常使用される賦形剤等の添加剤を所望により含有させることができる。また、食品添加剤として公知の他の成分を所望により含有させることもできる。食品添加剤の形態には特に制限はなく、粉末、顆粒、タブレット、液体等、食品添加剤の通常の形態をとることができる。
本開示の有効成分であるラクトフェリン類は、ヒトに限られることなく、ほ乳類に対しても、効果を示すものである。したがって、本開示は、ラクトフェリン類を有効成分として含有する飼料、及び飼料添加剤にもあり、特にほ乳動物飼育用の粉乳、及び粉乳添加剤にもある。
本技術は、以下の構成を採用することも可能である。
(1) ラクトフェリン、ラクトフェリン加水分解物、ラクトフェリンの熱処理物、ラクトフェリンの酸処理物、ラクトフェリンのアルカリ処理物、ラクトフェリン加水分解物、並びに、熱処理、酸処理、アルカリ処理及び加水分解処理を2種以上組み合わせて処理されたラクトフェリンの処理物から選ばれる1種又は2種以上のものを有効成分とするCOMT阻害剤。
(2) 配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるペプチド及び/又は当該ペプチドを含んでなるペプチド若しくはタンパク質を有効成分とするCOMT阻害剤。
(3) 次の(a)又は(b)のペプチドを有効成分とするカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害剤。
(a)配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるペプチド
(b)配列番号3に記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入したアミノ酸列からなり、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害作用を有するペプチド
(4) COMT阻害剤の製造のための、ラクトフェリン、ラクトフェリンの熱処理物、ラクトフェリンの酸処理物、ラクトフェリンのアルカリ処理物、ラクトフェリン加水分解物、並びに、熱処理、酸処理、アルカリ処理及び加水分解処理を2種以上組み合わせて処理されたラクトフェリンの処理物、の使用。
(5) COMT阻害剤の製造のための、配列番号1又は配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるペプチド及び/又は当該ペプチドを含んでなるペプチド若しくはタンパク質の使用。当該アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入してもよい。
(6) 配列番号1又は配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるペプチド及び/又は当該ペプチドを含んでなるペプチド若しくはタンパク質の、COMT阻害剤への使用。当該アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入してもよい。
(7) ラクトフェリン、ラクトフェリンの熱処理物、ラクトフェリンの酸処理物、ラクトフェリンのアルカリ処理物、ラクトフェリン加水分解物、並びに、熱処理、酸処理、アルカリ処理及び加水分解処理を2種以上組み合わせて処理されたラクトフェリンの処理物を有効成分とする、COMTに起因する疾患、パーキンソン病の予防、改善又は治療方法。
(8) 配列番号1又は配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるペプチド及び/又は当該ペプチドを含んでなるペプチド若しくはタンパク質を有効成分とする、COMTに起因する疾患、パーキンソン病の予防、改善又は治療方法。当該アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入してもよい。
以下に、具体的な実施例等を説明するが、本発明(本開示)はこれに限定されるものではない。
試験例1
(COMTとラクトフェリンとの結合測定)
96穴マイクロタイタープレートに50μlのリン酸緩衝生理食塩液(PBS)に溶解させたウシラクトフェリン(森永乳業社製)20μg/mlを入れ、4℃で一晩放置する。その後、PBSで3回洗浄して1%ウシアルブミンを含むPBS溶液100μlでブロッキングを行う。
PBSで洗浄後、10、1、0.1μg/mlに溶解したCOMT溶液50μlを加え、室温で1時間40分反応させる。その後、0.1容量%のTween20(登録商標)を含むPBSで洗浄し、抗COMT抗体50μlを加え、室温で1時間30分反応させる。さらに洗浄後、パーオキシダーゼ標識した抗ヤギIgG抗体を50μl加え、室温で1時間反応後、0.1容量%のTween20を含むPBSで洗浄後、オルトフェニレンジアミンによる発色を行い硫酸により反応停止後492nmで吸収を測定した。
コントロールとして抗COMT抗体なしを使用した。
表1に結果を示した。その結果、COMT濃度上昇に伴い吸光度が増加し、COMTとラクトフェリンの結合が確認された。
Figure 0005995803
試験例2
(COMT阻害活性測定)
COMT阻害活性測定は、Floderus Yらの方法(Floderus Y.ら,「Upsala J. Med. Sci.」,1981年,86巻, p.309-318)によって実施した。
詳細には、50mM Tris(pH7.6)、2mM MgCl14C放射性同元素ラベルの11.2μM SAM(S−adenosyl−L−methionine)、1mM DBA(dihydroxybenzoic acid)、COMT酵素0.03mg/ml(ATGen 社)指定濃度のウシラクトフェリン等の被検物質を含む50μl反応液にて、37℃、16分反応させることによって行った。
酵素反応は、37℃、4分反応させた後、DBAを添加することで開始させた。反応後、25μlの1M HClを添加し、反応を停止させた。停止後、300μlのイソアミルアルコール3:トルエン7の溶液を加えて抽出し、2層の上部を取り、液体シンチレーションカウンターによりDBAの放射線ラベル量をカウントした。
表中の「bLF」はウシラクトフェリン;「Albumin」はアルブミン;「α-LA」は、α−ラクトアルブミン;「γ-Globulin」はγ−グロブリン;「Apo-Transferrin」はアポトランスフェリンである。
なお、既存の合成COMT阻害剤としては、エンタカポン(製品名:コムタン、ノバルティスファーマ株式会社)を使用した。
IC50は酵素活性を50%阻害する濃度とした。
結果を表2に示した。その結果、他の生体由来たんぱく質に比べてウシラクトフェリン(bLF)は高いCOMT阻害活性を示した。コントロールとして医薬品であるエンタカポンの値を示した。
Figure 0005995803
試験例3
(COMT阻害活性を有するウシラクトフェリンフラグメントの調製)
ウシラクトフェリン(森永乳業社製)を10mg/ml含む50mM(pH8)トリス溶液1mlに、1M CaClを10μl、トリプシン溶液(0.1mg/ml)を20μl、それぞれ加えて、37℃で一晩反応させて分解を行った。
フラグメントの分離はHPLCによって行った。カラムはPhenyl−5pwrp(東ソー株式会社)、流速0.8ml/min、移動層は0.5% heptafluorolactic acidを含む0%から80%のアセトニトリルの濃度勾配によった。溶出画分のCOMT阻害活性を含む部分を、さらにHPLCにより精製を行った。2回目の精製では、移動層を0.1%TFAを含む5−65%のアセトニトリル濃度勾配により溶出させ、活性を有するペプチドを得た。
活性フラクションのN末端アミノ酸シークエンスとSDS−PAGEによる分子量とこれまでの報告(Takayama Y ら, 「B.B.R.C.」, 2002年, 299巻,p.813-817)等から、ラクトフェリンN−lobe部分に属する分子量約3.6万(P36)のペプチドであった(配列番号1)。比較のため、C−lobeを含む分子量約5万のフラグメント(P51)、分子量約2万のフラグメント(P20)を調製し、実験を行った(試験例4)。
P36、P51、P20のN末端アミノ酸シークエンスは、N末端よりそれぞれP36:アラニン−プロリン−アルギニン−リジン−アスパラギン、P51:セリン−フェニルアラニン−グルタミン−ロイシン−フェニルアラニン、P20:グルタミン酸−セリン−プロリン−グルタミン−スレオニンであった。
試験例4
(ラクトフェリン由来ペプチドの活性測定)
COMT阻害活性測定は、Floderus Y.らの方法(Floderus Y.ら,「Upsala J. Med. Sci.」,1981年,86巻, p.309-318)を参考に実施した。
詳細には、50mM Tris(pH7.6)、2mM MgCl14C放射性同元素ラベルの11.2μM SAM、1mM DTT(Dithiothreitol)、1mg/ml BSA、COMT酵素0.004mg/ml、及び指定濃度のペプチド等の被検物質を含む22.5μl反応液にて、37℃、15分反応させることによった。反応はチューブを37℃、15分反応させた後、5mM DBAを2.5μl添加することで開始させた。反応後、12.5μlの1M HClを添加し、反応を停止させた。
停止後300μlのイソアミルアルコール3:トルエン7の溶液を加え抽出し、液体シンチレーションカウンターにより放射線量をカウントしたIC50は酵素活性を50%阻害する濃度とした。
結果を表3に示した。その結果、P36に活性があった。ウシラクトフェリン(bLF)に比較して高い活性を有していた。
Figure 0005995803
試験例5
(加熱処理ラクトフェリンの調製と活性測定)
ウシラクトフェリン水溶液(2mg/ml:pH未調整で約pH7〜8) 40μlを、1.5mlポリプロピレン遠心チューブに入れ、0分間,5分間,15分間それぞれ熱湯中で煮沸し、その後氷冷し、10000rpmで1秒遠心分離して、加熱処理ラクトフェリンを得た。得られたラクトフェリンを使用し活性測定を行った。
詳細には、50mMリン酸(pH7.8)、2mM MgCl14C放射性同元素ラベルの11.2μM SAM、1mM DTT、COMT酵素0.004mg/ml、及びラクトフェリン最終濃度2.4μM含む22.5μl反応液にて、37℃、15分反応させることによった。酵素反応はチューブを37℃、15分反応させた後、5mM DBAを2.5μl添加することで開始させた。15分反応後、12.5μlの1M HClを添加し、反応を停止させた。停止後、300μlのイソアミルアルコール:トルエン=3:7の溶液を加えて抽出し、液体シンチレーションカウンターにより放射線量をカウントした。
結果を表4に示した。その結果、熱処理時間0分のCOMT残存活性を100とした場合に、5分、15分処理により、それぞれ50.6%、35.9%となり、阻害は増加した。
Figure 0005995803
試験例6
(酸処理・アルカリ処理のラクトフェリン溶液の調製と活性測定)
50mg/mlのウシラクトフェリン溶液(30mM Tris(pH8)に溶解)100μlに、1M HClを、5μl、7.5μl、又は1M NaOHを、5μl、7.5μlそれぞれ添加し、室温(20〜30℃程度)に約1時間放置することにより、酸とアルカリによる処理を行った。反応液中のpHは、それぞれpH4、pH2.5、pH10、pH11.5であった。
各処理後、2倍濃度のPBSを100μl添加し、その後、1M HCl、又は1M NaOHを少しずつ添加して、それぞれ中和し、酸処理ラクトフェリン溶液、及びアルカリ処理ラクトフェリン溶液をそれぞれ調製した。コントロールは無処置(pH8に溶解)のウシラクトフェリン溶液に2倍濃度のPBSを添加したものを使用した。
活性測定は、反応液中のラクトフェリン濃度を6μMとした他は、試験例5の方法と同様に行った。
結果を表5に示した。その結果、ラクトフェリンを、酸処理又はアルカリ処理することにより、COMT阻害活性は増加した。
Figure 0005995803
試験例7
(組み合わせ処理によるCOMT阻害剤の調製の検討1) 表6に示すウシラクトフェリン処理物1−4を調製した後、2倍濃度の氷冷PBSを添加することで反応を停止した。活性測定は、反応液中のラクトフェリン濃度を1.3μMとした他は、試験例5の方法と同様に行った。酸と熱処理によりCOMT阻害活性が増強した。ウシラクトフェリンを添加しない場合の酵素活性を100とした場合の比活性を表に示した。
なお、処理物1は、2mg/mlのウシラクトフェリン溶液153μl(水溶液)を30℃で20分間処理を行った。処理物2は、ラクトフェリン溶液に塩酸を添加し、ラクトフェリン濃度2mg/mLで0.01N HCl溶液にした後、30℃で20分間処理を行った。処理物3は、2mg/mlのウシラクトフェリン溶液153μl(水溶液)を65℃で20分間熱処理を行った。処理物4は、処理物3に塩酸を添加し、0.01N HCl溶液にした後、65℃で20分間熱処理を行った。
すなわち、表6に示す処理物2及び4のように、ラクトフェリンを弱酸にて弱酸処理物を得た際に、当該ラクトフェリンのによるCOMT残存活性効果が高く認められた。このうち、60℃以上で熱処理した弱酸処理物のCOMT残存活性効果が最も高く認められた。
ラクトフェリンは酸処理や熱処理による変性を受けることで活性が増強されることが判明し、酸処理や加熱処理を組み合わせると活性は増強されることも明らかとなった。
Figure 0005995803
試験例8(組み合わせ処理によるCOMT阻害剤の調製の検討2)
2mg/mlのウシラクトフェリンを含む2mM塩化マグネシウム、50mMリン酸緩衝溶液(pH7.8)にトリプシンを0.1mg/mlとなるように添加した反応液30μlを37℃で20分間処理し酵素分解を行った。ウシラクトフェリン(bLF)を添加しないもの(No.3,4)、トリプシンを添加しないもの(No.1,3)をコントロールとして使用した。
酵素加水分解処理した後、5分間100℃熱処理(pH7)を行い、沈殿を12000rpmで1分遠心で除きCOMT阻害活性を有する上澄を得た。活性測定は試験例5の方法によった。No.3を100とした場合のCOMT残存活性を示した。
すなわち、表7に示す処理物2のように、ラクトフェリンをトリプシン加水分解にて酵素加水分解物を得た際に、当該ラクトフェリンの酵素加水分解物のCOMT残存活性効果が高く認められた。
Figure 0005995803
試験例9(ラクトフェリン類と他のCOMT阻害剤との併用によるCOMT阻害の増強)
活性測定は、反応液中の阻害剤としてウシラクトフェリンは12.5μM、エンタカポンは70nMとした。50mMリン酸ナトリウム(pH7.8)、2mMMgCl、14C放射性同元素ラベルの11.2μMSAM、1mMDTT、COMT酵素0.004mg/mlおよび阻害剤を含む22.5μl反応液にて37℃10分反応させ、その後、5mMDBAを2.5μl添加することで酵素反応を開始させた。15分後、12.5μlの1M塩酸を添加し、反応を停止した。ラクトフェリンとエンタカポンを添加したものは、単独よりも酵素阻害活性は増加した。
すなわち、表8に示すように、エンタカポン70nMに、ラクトフェリン12.5μMを配合することで、相乗的なCOMT残存活性効果が認められた。ラクトフェリンは食品由来のため安全性が高く、このような安全性の高いラクトフェリンにて、エンタカポンの投与量を減らすことができることは有益である。
Figure 0005995803
試験例10
(合成ペプチド(ウシラクトフェリン由来のペプチド)のCOMT活性阻害効果)
ウシラクトフェリン(配列番号1)のアミノ酸配列6番目−50番目からなるペプチドであるP5(配列番号3)及びアミノ酸配列42番目−84番目からなるペプチドであるP4(配列番号4)を化学合成し、COMT阻害活性を試験例5の方法と同様に行った。
コントロールとしてウシラクトフェリンを使用した。P5はウシラクトフェリンよりも低濃度で阻害効果が見られた。P5とP4のアミノ酸配列は以下の様である。
ペプチドP5(配列番号3):Val-Arg-Trp-Cys-Thr-Ile-Ser-Gln-Pro-Glu-Trp-Phe-Lys-Cys-Arg-Arg-Trp-Gln-Trp-Arg-Met-Lys-Lys-Leu-Gly-Ala-Pro-Ser-Ile-Thr-Cys-Val-Arg-Arg-Ala-Phe-Ala-Leu-Glu-Cys-Ile-Arg-Ala-lle-Ala
ペプチドP4(配列番号4):Ala-Leu-Glu-Cys-Ile-Arg-Ala-Ile-Ala-Glu-Lys-Lys-Ala-Asp-Ala-Val-Thr-Leu-Asp-Gly-Gly-Met-Val-Phe-Glu-Ala-Gly-Arg-Asp-Pro-Tyr-Lys-Leu-Arg-Pro-Val-Ala-Ala-Glu-Ile-Tyr-Gly-Thr
すなわち、表9に示すペプチドP5は、ウシラクトフェリンよりもCOMT活性阻害効果が高かった。このことはウシラクトフェリン(配列番号1)のアミノ酸配列6番目−50番目にCOMT阻害活性の中心的部分があると考えることができる。また、ペプチドP5は、ウシラクトフェリンの加水分解物とも言える。さらにペプチドP5にCOMT阻害活性の中心的部分が存在する可能性がある。また、ペプチドP5のうちの1〜3個程度のアミノ酸が置換、欠失、挿入しても、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害作用を有すると考えられる。
Figure 0005995803
試験例9及び10の結果より、本開示のラクトフェリン類は、他のCOMT阻害剤と併用することによりCOMT阻害作用の相乗的効果がある。また、本開示のラクトフェリン類は、カテコール部分を構造上含む化合物であって生理活性物質と併用することで、当該カテコール部分を構造上含む生理活性物質の生理活性作用の低減を抑制することができる。このような他のCOMT阻害剤や生理活性物質の使用量を減らしたり、これらの使用量をそのままで本開示のラクトフェリン類の使用量を増やすことが、本開示のラクトフェリン類は安全性が高いので可能である。
実施例1
ウシラクトフェリン(森永乳業社製)150g、ラクチュロース粉末(森永乳業社製)100g、マルツデキストリン(松谷化学工業社製)635g、脱脂粉乳(森永乳業社製)85g、ステビア甘味料(三栄源エフ・エフ・アイ社製)1g、ヨーグルト・フレーバー(三栄源エフ・エフ・アイ社製)5g、グリセリン脂肪酸エステル製剤(理研ビタミン社製)24gの各粉末を添加して均一に混合し、打錠機(畑鉄鋼所社製)を使用して、錠剤1錠当り0.5gとし、12錠/分打錠速度、9.8KPaの圧力で前記混合粉末を連続的に打錠し、ラクトフェリンを含有するタブレット1800錠(約900g)を製造した。

Claims (3)

  1. ラクトフェリンを80〜125℃で1分以上熱処理しラクトフェリンの熱処理物を得る工程、ラクトフェリン含有溶液をpH5以下で5分〜1時間放置又は撹拌し酸処理しラクトフェリンの酸処理物を得る工程、ラクトフェリン含有溶液をpH9以上で5分〜1時間放置又は撹拌しアルカリ処理しラクトフェリンのアルカリ処理物を得る工程、ラクトフェリンをトリプシンで加水分解処理しラクトフェリンの加水分解処理物を得る工程、並びに、ラクトフェリンを前記熱処理、前記酸処理、前記アルカリ処理及び前記加水分解処理を2種以上組み合わせて処理してラクトフェリンの処理物を得る工程、を含むカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害剤の製造方法(ただし、前記ラクトフェリンの熱処理物を有効成分とするカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害剤は、飲食品の態様を除く)。
  2. ラクトフェリンN−lobe部分に属し、N末端がアラニン−プロリン−アルギニン−リジン−アスパラギンであり、SDS−PAGEによる分子量が30〜40kDaのペプチドを有効成分とするカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害剤。
  3. 配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるペプチドを有効成分とするカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害剤。
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