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JP5993967B2 - 細胞内生体分子の検出に用いる標準試料及び細胞内生体分子の検出方法 - Google Patents

細胞内生体分子の検出に用いる標準試料及び細胞内生体分子の検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、細胞内のタンパク質、核酸、多糖等の生体分子を検出する際に用いる標準試料に関する。また、本発明は、当該標準試料を用いて、免疫染色、インサイチュハイブリダイゼーション等により細胞内の生体分子を検出する方法に関する。
細胞や生体組織内の生体分子(タンパク質、DNA、RNA、多糖等)を検出し、その分布をイメージングする方法には様々なものがある。生体分子に特異的に結合する分子を利用して検出とイメージングを行う方法、発現するタンパク質に蛍光タンパク質(タグ)を連結し、それを目印にして検出とイメージングを行う方法、あるいは、酵素活性を利用してタンパク質の検出とイメージングを行う方法等である。これらの中でも、生体分子に特異的に結合する分子を利用した検出とイメージングが最も広く行われており、特定の生体分子に特異的な抗体を用いた、いわゆる免疫染色(免疫組織化学、Immunohistochemistry、IHC)や、核酸同士の相補的結合を利用したインサイチュハイブリダイゼーション(in situ hybridization、ISH)が一般的な手法となっている。
免疫染色(免疫組織化学、IHC)やインサイチュハイブリダイゼーション(ISH)を用いれば、患者から採取した組織や細胞に対して、特定の疾患に関連する特定のタンパク質や遺伝子の発現を顕微鏡観察することができるので、これらの手法は病理診断にもよく使用されている。
例えば、HER2遺伝子は、ヒト乳癌症例の15〜25%で遺伝子の増幅と、HER2タンパク質の過剰発現が認められる癌遺伝子であるが、HER2遺伝子増幅/HER2タンパク過剰発現のある乳癌患者は予後不良であり、ホルモン療法及びCMF療法に対する治療抵抗性を示すとの報告がある。また、HER2遺伝子増幅/タンパク過剰発現が確認された乳癌に対しては、ハーセプチチン(登録商標、一般名トラスツズマブ)の投与により、生存期間・生存率の有意な改善が認められている。
したがって、乳癌患者に対しては、免疫染色(免疫組織化学、IHC)やインサイチュハイブリダイゼーション(ISH)により、HER2遺伝子/HER2タンパク質の検査を行うことが、予後の予測と治療方針の決定において重要となる。しかし、この判定は、病理医が染色強度などを見て主観的に診断しており、過去のHER2検査のうち20%程度が不正確なものであったとする見解もあり、その精度はまだ十分なものとはいえない。
病理診断を誤れば、重大な疾患を見過ごすことにもつながり、また、病理診断の結果が治療方針を大きく左右する。したがって、病理医の主観的な判断だけでなく、客観的な指標を用いることにより、判定制度を高めることが好ましい。免疫染色(免疫組織化学、IHC)やインサイチュハイブリダイゼーション(ISH)による判定精度を高めるためには、標準試料を用いることが一つの効果的な方法である。標準試料とは、検出対象とするタンパク質や核酸を所定の濃度で含む試料であり、この標準試料の染色の程度と、被検試料の染色の程度を比較することにより、検出目的タンパク質/遺伝子の発現の程度を精度良く判定することが可能となる。
例えば、特開平2−32260(特許文献1)には、寒天溶液をゲル化したブロックにおいて複数のくぼみを設け、それぞれのくぼみの中に特定濃度の抗原溶液を吸着させたゲルペレットを設けたことを特徴とする標準試料が開示されている。
また、WO91/05263(特許文献2)には、標準となる細胞をゼラチン・寒天などに包埋してスライスした標準試料が開示されている。
WO00/62064(特許文献3)には、特定の濃度の抗原を複数スポットしたスプリット状の標準試料を、免疫染色反応を行うスライドガラス状に貼り付けて使用することが開示されている。
そして、特許第4741486号(特許文献4)には、人工的なビーズにタンパク質を吸着させた標準試料が開示されている。
しかし、これらのいずれの標準試料も、細胞よりも小さなサイズの標準試料ではなかった。また、特許文献4に記載のビーズにおいては、対比観察に適したサイズと均一性を制御することができるものではなかった。したがって、これらの標準試料は、細胞との対比観察が容易なものではなかった。
特開平2−32260号公報 国際公開WO91/05263号パンフレット 国際公開WO00/62064号パンフレット 特許第4741486号公報
従来の標準試料は、細胞を含む被検試料との対比観察が容易なものではなかった。
そこで、本発明は、上記従来の状況に鑑み、標準試料と細胞を含む被検試料との対比を容易とし、細胞内生体分子の存在をより精度良く判定するために有効な標準試料及びその標準試料を用いた細胞内生体分子の検出方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究した結果、親水性基を有するアルケンからなるモノマーと、2つ以上の反応部位を有する架橋剤を反応させて得られるハイドロゲル微粒子を用いれば、細胞よりも小さなサイズに制御して均一な微粒子を製造することができ、これに生体分子を付着させれば、細胞との対比に優れた標準試料とすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、細胞内生体分子の検出に用いる標準試料に係る下記の第1の発明と、細胞内生体分子の検出方法に係る下記の第2の発明を提供する。
第1の発明は、細胞内生体分子の検出に用いる標準試料を提供するものである。この標準試料は、親水性基を有するアルケンからなるモノマーと、2つ以上の反応部位を有する架橋剤とを含む複数種類の化合物を反応させて得られるハイドロゲル微粒子と、前記ハイドロゲル微粒子に付着した生体分子とを含むことを特徴とする。
第1の発明の標準試料において、前記2つ以上の反応部位を有する架橋剤として、2つ以上の炭素間二重結合を有するモノマーを用いることが好ましい。
また、上記の標準試料において、前記複数種類の化合物の一つとして、反応性基を有するアルケンからなるモノマーを使用し、この反応性基と生体分子とを化学反応により結合して、ハイドロゲル微粒子に生体分子を付着させることが好ましい。
また、上記の標準試料において、ハイドロゲル微粒子を平均粒径0.1〜50μmとすることが好ましい。
また、上記の標準試料において、前記ハイドロゲル微粒子が、異なる濃度の前記生体分子が付着した複数種類のハイドロゲル微粒子としてもよい。
このように、異なる濃度の生体分子が付着した複数種類のハイドロゲル微粒子を用いる場合には、前記ハイドロゲル微粒子が、付着した前記生体分子の濃度に応じてサイズが異なるハイドロゲル微粒子としてもよい。
また、上記の標準試料において、反応性基を有するアルケンからなるモノマーを用いる場合には、p―ニトロフェニルアクリレート若しくはN−アクリロキシスクシンイミド又はこれらの組み合わせを用いることができる。そして、前記親水性基を有するアルケンからなるモノマーとして、アクリルアミド、N―イソプロピルアクリルアミド若しくはメタクリル酸又はこれらの組み合わせを用い、前記2つ以上の反応部位を有する架橋剤として、メチレンビスアクリルアミドを用いることができる。
さらに、上記の標準試料において、前記生体分子をタンパク質とすることができる。
第2の発明は、細胞内生体分子の検出方法を提供するものである。この検出方法は、親水性基を有するアルケンからなるモノマーと、2つ以上の反応部位を有する架橋剤とを含む複数種類の化合物を反応させて得られるハイドロゲル微粒子に、検出対象となる生体分子が付着した標準試料を使用するものである。そして、第1のステップとして、細胞を含む被検試料と前記標準試料とを混合して検体を作成し、第2のステップとして、第1のステップで作製した検体を染色し、第3のステップとして、前記標準試料の染色の程度と、前記被検試料の細胞の染色の程度とを比較するものである。
第2の発明の検出方法において、前記第1のステップでは、前記標準試料として、異なる濃度の前記検出対象となる生体分子が付着した複数種類のハイドロゲル微粒子を用い、前記第3のステップでは、付着した生体分子の濃度に応じた前記複数種類のハイドロゲル微粒子の染色の程度と、前記被検試料の細胞の染色の程度とを比較することにより、前記細胞内の生体分子の濃度を測定することもできる。
このように複数種類のハイドロゲル微粒子を用いる場合には、前記ハイドロゲル微粒子が、付着した前記生体分子の濃度に応じてサイズが異なるものとすることができる。
また、上記の検出方法において、前記第1のステップでは、染色により検出可能な濃度の生体分子が付着したハイドロゲル微粒子を標準試料として用い、前記第3のステップでは、前記標準試料の染色が検出できなかった場合に、検出実験が失敗したと判定することができる。
また、上記の検出方法において、前記第1のステップでは、前記標準試料が、前記検出対象となる生体分子が付着していないか又は前記検出対象となる生体分子とは異なる生体分子が付着しているハイドロゲル微粒子からなる陰性コントロール微粒子をさらに含み、前記第3のステップでは、前記陰性コントロール微粒子が十分に染色された場合には、検出実験が失敗したと判定することができる。
さらに、上記の検出方法において、前記生体分子はタンパク質とし、前記染色を免疫染色とすることができる。
第1の発明の細胞内生体分子の検出に用いる標準試料は、親水性基を有するアルケンからなるモノマーと、2つ以上の反応部位を有する架橋剤とを含む複数種類の化合物を反応させて得られるハイドロゲル微粒子を利用するものである。したがって、原料とするモノマーの種類、その組み合わせ、配合量及び反応条件を適宜選択することにより、ハイドロゲル微粒子のサイズを被検対象とする細胞よりも小さなものに制御することができ、しかも、サイズの均一性の高い微粒子を得ることができる。したがって、このハイドロゲル微粒子に生体分子を付着させた本発明の標準試料は、細胞と対比するのに適したサイズの標準試料とすることができるという効果を奏する。
また、第2の発明の細胞内生体分子の検出方法は、本発明の標準試料を、細胞を含む被検試料(生体組織等)と混合して検体を作成し、この検体を染色して生体分子を検出するものである。したがって、細胞と標準試料とを、顕微鏡観察における同一視野で比較し、あるいは、同一画像上で比較することができるため、より正確に細胞における生体分子の存在、局在、分布又は濃度を判定することができるという効果を奏する。
本発明の標準試料の一実施形態を示す図である。 2つ以上の炭素間二重結合を有するモノマーを用いて製造した、本発明の標準試料の他の実施形態を示す図である。 反応性基を有するアルケンからなるモノマーを用いて製造した、本発明の標準試料の他の実施形態を示す図である。 本発明の細胞内生体分子の検出方法の一実施形態を示す図である。 ハイドロゲル微粒子を電子顕微鏡観察した結果を示す図面に代わる写真である。 本発明の標準試料を用いて免疫染色を行った結果を示す図面に代わる写真である。 タンパク質の濃度がそれぞれ異なるハイドロゲル微粒子を用いて免疫染色を行った結果を示す図面に代わる写真である。
本発明の細胞内生体分子の検出に用いる標準試料は、親水性基を有するアルケンからなるモノマーと、2つ以上の反応部位を有する架橋剤とを含む複数種類の化合物を反応させてハイドロゲル微粒子を製造し、このハイドロゲル微粒子に生体分子を付着させたものである。
ここで、生体分子とは、タンパク質、DNA、RNA、多糖、脂質等の生体に存在する分子をいい、糖タンパク質のようにこれらの生体分子同士が結合したものも含む。
本発明の標準試料の一実施形態を図1に示す。
親水性基を有するアルケンからなるモノマーは、炭素間二重結合(図1中、二重線で示される部分)と、親水性基とを有する化合物である。図1中、Rは水素原子又は任意の置換基を示す。このモノマーは、アルケンの炭素間二重結合部分がラジカル開始剤によって炭素ラジカルとなり、他のモノマーの炭素間二重結合部分に次々と付加してポリマーを形成することができる。
次に、2つ以上の反応部位を有する架橋剤は、2つ以上の反応部位を有し、例えば図1に示されるように、それらの反応部位が任意の置換基を介して連結されている化合物である(図1中、R’は任意の置換基を示す)。ここで、反応部位とは、親水性基を有するアルケンからなるモノマー又はそのモノマーが重合したポリマーと化学反応して結合することができる官能基を有する部位を意味する。この架橋剤を介して、2つの(又は3つ以上の)ポリマーが架橋されることとなる。この架橋は、親水性基を有するアルケンからなるモノマーと、2つ以上の反応部位を有する架橋剤とを混合して、これらを反応させる一段階反応により行うことができる。あるいは、最初に親水性基を有するアルケンからなるモノマーを重合してポリマーを形成し、さらに架橋剤を加えてポリマー同士を架橋させる、2段階反応により行うこともできる。
このようにして架橋したポリマーを形成すると、三次元の網目構造のポリマー微粒子が形成される。そして、このポリマー微粒子は親水性基を有しているため、網目の内部に水性の溶媒を包含したハイドロゲル微粒子となることができる。
このハイドロゲル微粒子に生体分子を付着させれば、本発明の標準試料を得ることができる。
本発明の標準試料は、原料とするモノマーの種類、その組み合わせ、配合量及び反応条件を適宜選択することにより、ハイドロゲル微粒子のサイズを被検対象とする細胞よりも小さなものに制御することができ、しかも、サイズの均一性の高い微粒子を得ることができる。したがって、このハイドロゲル微粒子に生体分子を付着させた本発明の標準試料は、細胞と対比するのに適したサイズの標準試料となるという効果を奏する。
本発明の標準試料において、2つ以上の反応部位を有する架橋剤として、2つ以上の炭素間二重結合を有するモノマーを用いることが好ましい。この実施形態を図2に示す。ここで用いる架橋剤は、炭素間二重結合を2つ以上有し、図2に示されるように、任意の置換基を介してそれらが連結されている化合物である(図2中、R’は任意の置換基を示す)。この架橋剤は、炭素間二重結合部分においてポリマーに付加することができるため、この化合物を介して、2つの(又は3つ以上の)ポリマーが架橋されることになる。ポリマーが架橋した状態を図2の中段に(重合してできたポリマーの一部)として示す。
この架橋反応は、炭素間二重結合同士の反応により生じるため、親水性基を有するアルケンからなるモノマーと、2つ以上の炭素間二重結合を有するモノマーとを混合し、重合させることによる一段階反応によって行うことができる。したがって、2つ以上の炭素間二重結合を有するモノマーを架橋剤として用いれば、反応を効率的に行うことができるという効果を奏する。
本発明の標準試料のハイドロゲル微粒子を製造するために用いる、親水性基を有するアルケンからなるモノマーとは、炭素間二重結合を有するアルケンにおいて、少なくとも一つの水素が親水性基によって置換されている化合物をいう。ここで、アルケンとは、直鎖状のアルケンだけでなく分岐鎖状のアルケンを含むものであり、また、二重結合が2つ以上あるものであってもよいが、好ましくは、二重結合が1つのアルケンを用いるのが重合に好適である。また、親水性基とは、親水性の官能基又は親水性の官能基を有する置換基をいう。ここで、親水性の官能基とは、酸性の官能基と塩基性の官能基とを含み、これらに限定されるわけではないが、例えば、酸性の官能基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、硫酸基、ホルミル基、チオカルボン酸基、ジチオカルボン酸基等が挙げられ、塩基性の官能基としては、アミノ基、アミド基、水酸基、ピロリドン基、アミン基等が挙げられる。親水性基を有するアルケンは、親水性基以外に他の置換基を有するものであってもよい。
親水性基を有するアルケンからなるモノマーとしては、具体例を挙げると、これらに限定されるわけではないが、例えば、アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、メタクリル酸、メタクリル酸−N,N−ジメチルアミノエチル、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、マレイン酸、ビニルアルコール、アリルアミン、N,N―ジメチルアクリルアミド、N−(2―ヒドロキシルエチル)アクリルアミド、N―アミノカルボニルメタクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)アクリルアミド、N−(アクリルアミドメチル)ピロリドン、2−アクロイルフェノール、メタクリル酸3−ヒドロキシブチル、メタクリルアミド、メタクリル酸2−アミノエチル等を使用することができる。
これらの中でも特に、アクリル酸又はメタクリル酸を母体とするモノマーを用いるのが、適したサイズのハイドロゲル微粒子を得る上で好ましい。
これらの親水性基を有するアルケンからなるモノマーは、1種を用いてもよく、また、
2種以上を用いてもよい。
親水性基を有するアルケンからなるモノマーとして、陽イオンとなり得る親水性の官能基を有するモノマーと、陰イオンとなり得る親水性の官能基を有するモノマーとの2つを用いた場合には、陽イオンの官能基と陰イオンの官能基との間に働く電気的な吸引力により収縮して、ハイドロゲル微粒子を小さくすることができる。逆に、陽イオン又は陰イオンとなり得る官能基を有するモノマーの一方のみを使用した場合には、イオン同士が反発して膨潤し、ハイドロゲル微粒子を大きくすることができる。
このように重合に用いるモノマーを適宜選択することにより、ハイドロゲル微粒子のサイズを制御することができる。
本発明の標準試料のハイドロゲル微粒子を製造するために用いる、2つ以上の反応部位を有する架橋剤としては、例えば、これらに限定されるわけではないが、2つ以上の炭素間二重結合を有するモノマーや、2つ以上のエポキシ基を有する分子、2つ以上の水酸基を有する分子等を用いることができる。
上述のように、これらの中でも、2つ以上の炭素間二重結合を有するモノマーを架橋剤として用いるのが好ましい。2つ以上の炭素間二重結合を有するモノマーとは、分子の少なくとも2箇所に炭素間二重結合を有し、その炭素間二重結合において付加反応が生ずるものをいう。
2つ以上の炭素間二重結合を有するモノマーとしては、これらに限定されるわけではないが、例えば、N,―N’―メチレンビスアクリルアミド、N,―N’―メチレンビスメタクリルアミド、N,―N’―エチレンビスアクリルアミド、N,―N’―エチレンビスメタクリルアミド、N,―N’―1,3―フェニレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリメタクリレート等を使用することができる。
2つ以上の炭素間二重結合を有するモノマーは、1種を用いてもよく、また、2種以上を用いてもよい。
2つ以上のエポキシ基を有する分子(架橋剤)としては、これらに限定されるわけではないが、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等を使用することができる。
これらのエポキシ基を有する分子は、アミノ基又は水酸基を親水性基として有するポリマーと反応して、ポリマーを架橋することができる。したがって、親水性基を有するアルケンからなるモノマーを重合してポリマーを形成し、さらに架橋剤を加えてポリマー同士を架橋させる、2段階反応によりハイドロゲル微粒子を製造することが好ましい。
また、2つ以上の水酸基を有する分子(架橋剤)としては、これらに限定されるわけではないが、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール等を用いることができる。
これらの水酸基を有する分子は、カルボキシル基を親水性基として有するポリマーと反応して、ポリマーを架橋することができる。この反応は、オキソ酸とアルコールの存在下に行うことができ、こちらも2段階反応によりハイドロゲル微粒子を製造することが好ましい。
図1に示すように、本発明の標準試料は、親水性基を有するアルケンからなるモノマーと、2つ以上の反応部位を有する架橋剤とを反応させてハイドロゲル微粒子を得た後、このハイドロゲル微粒子に生体分子を付着させることにより得られるものである。ハイドロゲル微粒子に生体分子を付着させる方法としては、生体分子の親水性基とハイドロゲル微粒子の官能基を化学反応により結合させたり、ハイドロゲル微粒子の親水性基の有する電荷と生体分子の有する電荷との間のクーロン力により付着させたりする方法がある。
しかし、容易にかつ強固に生体分子をハイドロゲル微粒子に付着させるためには、ハイドロゲル微粒子を製造する際に、反応性基を有するアルケンからなるモノマーを用いるのが好ましい。
反応性基を有するアルケンからなるモノマーを用いた、本発明の一実施形態を図3に示す。
図3に示すように、親水性基を有するアルケンからなるモノマーと、2つ以上の炭素二重結合を有するモノマーの他に、反応性基を有するアルケンからなるモノマーを重合に用いる。
この複数種類のモノマーを重合すると、三次元の網目構造のポリマー微粒子が形成されるが、その親水性基によって網目の内部に水性の溶媒を包含したハイドロゲル微粒子が得られる。そして、このハイドロゲル微粒子は、図3に示すように、親水性基だけでなく反応性基を有しているため、生体分子と混合すると、その反応性基が生体分子の官能基と化学反応して、生体分子が共有結合により強固にハイドロゲル微粒子に付着することができるという効果を奏する。
また、反応性基を有するアルケンからなるモノマーの配合量を調節することにより、ハイドロゲル微粒子に付着する生体分子の量を制御することが可能になるという効果も奏する。
ここで、反応性基とは、生体分子と化学反応により共有結合を形成し得る化学基をいい、例えば、これらに限定されるわけではないが、p−ニトロフェニルオキシ基、スクシンイミドオキシカルボニル基、エポキシ基、ホルミル基、マレイミド基等を使用することができる。
反応性基を有するアルケンからなるモノマーとしては、これらに限定されるわけではないが、例えば、p―ニトロフェニルアクリレート、N−アクリロイルオキシスクシンイミド、メタクリル酸グリシジル、N−ホルミルアクリルアミド等を用いることができる。
反応性基を有するアルケンからなるモノマーは、親水性基を有するアルケンからなるモノマーとは別の種類のモノマーとして加えてもよく、また、親水性基と反応性基の両方を有するアルケンからなる1種類のモノマーを、両者の機能を有するモノマーとして用いてもよい。
ハイドロゲル微粒子に用いるモノマーとしては、親水性基を有するアルケンからなるモノマー、2つ以上の反応部位を有する架橋剤、そして、反応性基を有するアルケンからなるモノマーの他に、他のモノマーを用いることもできる。このようなモノマーとしては、重合反応することができる炭素間二重結合を有するモノマーが好ましく、例えば、これらに限定されるわけではないが、メタクリル酸メチル、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、クロロエチレン、スチレン、テトラフルオロエチレン、アクリロニトリル等を用いることができる。
上記のモノマーの配合比は、好ましくは、親水性基を有するアルケンからなるモノマーを20〜99重量%、2つ以上の反応部位を有する架橋剤を1〜20%、反応性基を有するアルケンからなるモノマーを0〜70重量%、その他のモノマーを0〜30%配合するのがよい。
これらのモノマーの種類を適宜選択し、また、配合比を調整することにより、ハイドロゲル微粒子のサイズを制御することができる。
ハイドロゲル微粒子を一段階反応により製造するには、上記の複数種類の化合物を水性の溶媒に溶解させ、これを反応容器内で撹拌しつつ、さらに重合開始剤を添加することにより、モノマーを重合させてハイドロゲル微粒子を得ることができる。
重合を行う際の反応温度は、40℃以上で、溶媒が揮発する温度以下とするのが反応効率の点で好ましく、また、均一で略球形の微粒子を得るためには十分に撹拌することが好ましい。
また、溶媒に含まれる酸素や水が重合開始剤を阻害することがあるため、不活性ガスで溶媒を十分に置換することが好ましい。
反応に用いる溶媒としては、反応に用いるモノマーが溶解する極性の溶媒を使用することができ、例えば、これらに限定されるわけではないが、エタノール、イソプロパノール、t−ブチルアルコール等のアルコール類やジオキサン、テトラヒドロフラン等を用いることができる。
また、溶媒の選択によりハイドロゲル微粒子のサイズを制御することができる。例えば、より極性の小さな溶媒を用いることにより、ハイドロゲル微粒子のサイズを小さくすることができる。
モノマーの重合に用いる重合開始剤としては、ラジカルを発生するものであれば特に限定されないが、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、クメンヒドロペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド等を用いることができる。
ハイドロゲル微粒子に生体分子を付着させるにあたっては、上記のように、反応性基を有するアルケンからなるモノマーを使用して重合を行い、表面に反応性基を有するハイドロゲル微粒子を得ることが好ましい。
このハイドロゲル微粒子に生体分子を付着させるには、まず、ハイドロゲル微粒子を洗浄して、これを溶媒に分散させた後、所定の量の生体分子を加えることにより、あるいは、既知濃度の生体分子の溶液を加えることにより、ハイドロゲル微粒子と生体分子とを反応させることができる。
ハイドロゲル微粒子と生体分子との反応を行った後、未反応の反応性基が他の生体分子と結合しないようにブロックする処理を行うことが好ましい。未反応の反応基がハイドロゲル微粒子の表面に残っていると、例えば、抗体による生体分子の検出を行う際に、ハイドロゲル微粒子に抗体が付着してしまい、標準試料としての精度が低下してしまうからである。反応性基をブロックするには、これらに限定されるわけではないが、例えば、反応性基と反応できる官能基を有するブロック用低分子化合物を用いるのが好ましい。生体分子が結合したハイドロゲル微粒子を洗浄した後、これを溶媒に分散させ、ブロック用低分子化合物を添加して十分な時間反応させることにより、未反応の反応性基をブロックすることができる。
ブロック用低分子化合物としては、例えば、反応性基としてp−ニトロフェニルオキシ基を使用した場合には、これと反応するアミノ基を有する低分子化合物、例えば、エチレンジアミン、エチルアミン、1,3−プロパンジアミン、プロピルアミン等を用いることができる。
ハイドロゲル微粒子に生体分子を付着させるには、反応性基を有するアルケンからなるモノマーを使用せずに行う方法もある。例えば、これらに限定されるわけではないが、触媒等を用いた特定の条件下で、生体分子の官能基とハイドロゲル微粒子の官能基を結合させることができる。例えば、生体分子のアミノ基とハイドロゲル微粒子のカルボキシル基とをカップリング触媒(例えば、4−ジメチルアミノピリジン)を用いてアミド結合させることができる。また、疎水性のモノマーを加えてハイドロゲル微粒子の重合を行い、このモノマーが形成する疎水性部分と生体分子の疎水性部分とを疎水性相互作用により吸着させることもできる。また、ハイドロゲル微粒子の親水性基の有する電荷と生体分子の有する電荷との間のクーロン力により、生体分子をハイドロゲル微粒子に吸着させることもできる。さらに、ハイドロゲル微粒子を重合する過程で、ハイドロゲル微粒子の網目構造の中に生体分子を取り込むことにより、生体分子をハイドロゲル微粒子に付着させることもできる。
ハイドロゲル微粒子に付着させる生体分子については、例えば、これらに限定されるわけではないが、生体試料からの精製、遺伝子工学を用いた組換えタンパク質の作製、化学合成、核酸合成装置を用いた任意配列の核酸の合成等により得ることができる。
上記のようにハイドロゲル微粒子を製造した後には、さらに化学反応により、ハイドロゲル微粒子を修飾してもよい。例えば、これらに限定されるわけではないが、蛍光色素、蛍光タンパク質、親水性基、反応性基等を修飾することができる。
本発明の標準試料には、生体分子が付着したハイドロゲル微粒子の他に、例えば、これらに限定されるわけではないが、溶媒、pH調整剤、緩衝剤、酵素阻害剤、浸透圧調整剤等を含ませることもできる。
本発明の標準試料は、合成に使用するモノマーの種類及び配合量を調整することにより、そのサイズを制御することができる。
特定の生体分子を検出するにあたり、細胞を染色した場合には、その細胞の一部が染色することとなるため、これと比較する標準試料は、細胞よりも小さなサイズとすることが好ましい。細胞よりも大きなサイズの標準試料を用いると、細胞と標準試料とを対比して顕微鏡で観察する際に、視野の大部分を標準試料が占めてしまうことになる。
本発明の標準試料の好ましいサイズとしては、平均粒径が0.1〜50μmとするのがよく、より好ましくは、0.5〜3μmである。
本発明で用いる「平均粒径」とは、大塚電子のFPAR-1000Fを用い、セルに0.01%程度に希釈したゲル微粒子分散液を入れ、室温にて動的光散乱法・光子相関分光法により測定した平均粒子径(散乱強度平均粒子径)をいう。
また、標準試料の形状は、どのような形状であってもよいが、略球形の微粒子を用いれば、ゆがんだ楕円形の細胞との区別がつきやすく好ましい。
本発明においては、反応容器中で撹拌しつつ反応を行えば球形となるが、微細管などの特殊な環境で反応を行えば、他の形状とすることもできる。
本発明の他の実施形態では、ハイドロゲル微粒子に付着した生体分子の濃度が異なる、複数種類のハイドロゲル微粒子のセットを標準試料とすることができる。
生体分子の濃度が異なるハイドロゲル微粒子のセットは、染色した場合に、それぞれの生体分子の濃度に応じて染色の強度が異なっている。このため、被検試料の細胞における染色の程度と、本発明の標準試料の段階的な染色の程度とを比較することにより、被検試料の細胞における生体分子の発現の程度をより高い精度で判定することができるという効果を奏する。
さらには、染色の強度を数値化して、標準試料の染色の強度と生体分子の濃度との関係をプロットして検量線を作成することにより、被検試料の細胞における生体分子の濃度を測定することも可能となる。
ハイドロゲル微粒子に付着した生体分子の濃度が異なる、複数種類のハイドロゲル微粒子のセットを得るには、例えば、これらに限定されるわけではないが、高濃度の生体分子を含有する溶液、中濃度の生体分子を含有する溶液、低濃度の生体分子を含有する溶液といった濃度が異なる複数種類の生体分子の溶液を用意し、これらの溶液でハイドロゲル微粒子をそれぞれ処理することにより得ることができる。また、反応性基を有するアルケンからなるモノマーの配合量を段階的に変更し、それぞれ重合すれば、表面の反応性基の数がそれぞれ異なるハイドロゲル微粒子のセットが得られる。したがって、このハイドロゲル微粒子のセットを同一濃度の生体分子溶液で処理することによって、付着した生体分子の濃度が異なるハイドロゲル微粒子のセットを得ることができる。
ハイドロゲル微粒子に付着した生体分子の濃度が異なる、複数種類のハイドロゲル微粒子のセットを製造する他の方法としては、次の方法を用いることもできる。まず、反応性基を有するハイドロゲル微粒子を製造し、この反応性基に生体分子を結合させる前に、ブロック用低分子化合物を用いてブロック処理を行い、活性な反応性基の量を減らしておく。このブロック用低分子化合物の量又はブロック処理の時間を段階的に変更すれば、活性な反応性基の量がそれぞれ異なる、複数種類のハイドロゲル微粒子を得ることができる。そして、これらの複数種類のハイドロゲル微粒子に、生体分子を反応させれば、結合した生体分子の濃度が異なるハイドロゲル微粒子のセットを得ることができる。
本発明の他の実施形態では、ハイドロゲル微粒子に付着した生体分子の濃度が異なる、複数種類のハイドロゲル微粒子のセットにおいて、その生体分子の濃度に応じてサイズが異なるものとしたハイドロゲル微粒子のセットを標準試料とすることができる。
ハイドロゲル微粒子のサイズを変更するには、上述したように、例えば、重合に用いるモノマーの種類を変更することにより、異なるサイズのハイドロゲル微粒子を得ることができる。この場合には、微粒子のサイズが異なれば濃度も異なることが把握できるので、対比観察が容易になるという効果を奏する。
次に本発明の標準試料を用いた細胞内生体分子の検出方法について説明をする。
本発明の検出方法の一実施形態を図4に示す。
本発明の細胞内生体分子の検出方法では、親水性基を有するアルケンからなるモノマーと、2つ以上の反応部位を有する架橋剤とを含む複数種類の化合物を反応させて得られるハイドロゲル微粒子を用いる。
そして、本発明の第1のステップとして、まず、ハイドロゲル微粒子に検出対象となる生体分子が付着した標準試料と、細胞を含む被検試料(例えば、患者からサンプリングした生体組織)とを、図4の上段に示すように混合して検体を作成する。
次に、第2のステップとして、作成した検体の染色を行う。検体を染色した状態を図4の中段に示す。
そして、第3のステップとして、標準試料の染色の程度と、被検試料の細胞の染色の程度とを比較する。図4の中段に示されるように、標準試料と比較して細胞が十分に強く染色されている場合には、検出目的となる生体分子が十分に発現していると判定することができる。
本発明の検出方法によれば、図4に示されるように、細胞と標準試料とを、顕微鏡観察における同一視野で比較し、あるいは、同一画像上で比較することができるため、より正確に細胞における生体分子の存在、局在、分布又は濃度を判定することができるという効果を奏する。
以下、本発明の細胞内生体分子の検出方法について、ステップごとに詳細に説明する。
本発明の検出方法の第1のステップは、本発明の標準試料を、細胞を含む被検試料と混合して検体を作製する工程である。ここで、細胞を含む被検試料とは、細胞を含むものであればいかなるものでもよく、ヒト、ヒト以外の動物又は植物の器官若しくは生体組織の一部又は細胞として得ることができる。また、細胞を含む被検試料として微生物や培養細胞を用いてもよい。さらに、観察が可能であれば、これらの細胞の断片を含むものであってもよい。
被検試料は、化学的あるいは物理的に固定されたものを用いてもよく、また、固定されていないものを用いてもよい。化学的な固定としては、これらに限定されるわけではないが、例えば、ホルムアルデヒド、グルタールアルデヒド、スベリミド酸ジメチル二塩酸塩、四酸化オスミウム等を、生体組織や細胞に浸潤させ、生体組織・細胞内の高分子物質を架橋することによって不動化する方法がある。また、物理的な固定としては、これらに限定されるわけではないが、例えば、煮沸やマイクロウェーブ照射による熱凝固や、凍結により生体組織・細胞内の高分子物質を不動化する方法がある。また、これらを組み合わせ、例えば、被検試料を急速凍結後に、ホルマリン/アセトン中で置換固定したものであってもよい。その他、被検試料に対しては、抗原賦活化等の処理を行ってもよい。
また、被検試料は、上記の化学的・物理的な固定や、抗原賦活化等の処理を行っていないものを用いてもよい。あるいは、細胞を含む被検試料と本発明の標準試料とを混合した上で、上記の固定や処理を行ってもよい。
通常、器官や生体組織の一部を被検試料とする場合、そのままの大きさで顕微鏡観察することが難しいため、ある程度の厚さの切片を作製する。切片の作製方法としては、これらに限定されるわけではないが、例えば、標準試料と被検試料との混合物(検体)をOCTコンパウンド等の凍結組織包埋剤に包埋し、凍結してから凍結ミクロトームにて薄切りする方法や、被検試料を凍結せずにそのまま振動式ミクロトーム等により薄切りする方法や、被検試料をパラフィンに包埋し冷却して硬くした後に、ミクロトームにて薄切りする方法などがある。
尚、培養細胞や微生物を被検試料とする場合には、包埋剤に包埋してブロック状にして切片を作製したり、包埋剤でシート状にしたり、ガラス基板に細胞を固定したりすることもできるが、そのままの状態で標準試料と混合して次のステップの染色に進むことも可能である。
本発明の標準試料を、細胞を含む被検試料と混合するとは、両者を一緒にして両者の少なくとも一部が混合した状態にすることをいう。例えば、細胞を含む被検試料(生体組織等)と標準試料とをゼラチンの中で混合して検体を作製することができる。この検体をさらにOCTコンパウンドやパラフィン等で包埋して、切片を作製することができる。
また、OCTコンパウンドやパラフィン等の包埋剤中に被検試料と標準試料の両者を加えて、包埋剤中で両者が混合した検体とすることもできる。
さらに、本発明の標準試料をゲル等で包埋したカプセルを作製し、被検試料をOCTコンパウンドやパラフィン等で包埋して作製したブロックに、このカプセルを埋め込むことにより、両者が混合した検体を作製してもよい。
次に本発明の検出方法の第2のステップは、本発明の標準試料を混合した被検試料を染色する工程である。
ここで、本発明における染色とは、色素を付着させる狭義の意味の「染色」を意味するものではなく、細胞中の生体分子の存在、局在、分布又は濃度のイメージングを可能にすることをいう。例えば、これらに限定されるわけではないが、検出対象となる生体分子に特異的に、色素、蛍光色素、金コロイド粒子、蛍光タンパク質、放射性同位体、標識酵素等の標識を直接又は間接的に結合させることにより染色することができる。そして、これらの標識による発色、発光、放射線、あるいは、酵素反応により生成される色素による発色等により、生体分子をイメージング(可視化又は画像化)することができる。
特定の生体分子にこれらの標識を結合させる方法としては、これらに限定されるわけではないが、例えば、検出対象となる生体分子に特異的に結合する抗体を用いる方法、標的となる核酸に相補的な配列を有する核酸をハイブリダイズさせる方法、特定の生体分子に親和性のある低分子化合物や毒素を用いる方法、遺伝子工学的手法を用いて発現するタンパク質に蛍光タンパク質等の標識を連結する方法、糖鎖と結合する能力を有するタンパク質であるレクチンを用いる方法等がある。
生体分子としてタンパク質を染色する方法としては、タンパク質に特異的な抗体を用いた免疫染色(免疫組織化学、Immunohistochemistry、IHC)がよく使用される。この免疫染色は、ペルオキシダーゼやアルカリホスファターゼ等の酵素を標識として連結させた抗体を用いる酵素抗体法と、蛍光色素を標識として連結させた抗体を用いる蛍光抗体法とが2本の柱となる手法である。
この二つの手法のうち、酵素抗体法は、病理診断等で組織切片の生体分子を検出するのに適している一方、蛍光抗体法は、培養細胞の生体分子を検出するのに適している。
病理診断でのタンパク質検出に適した酵素抗体法について詳しく述べると、標識として用いられる酵素としては、これらに限定されるわけではないが、例えば、ペルオキシターゼ(西洋ワサビペルオキシダーゼ、Horseradish peroxidase: HRP)、アルカリホスファターゼ(alkaline phosphatase: AP)、グルコースオキシダーゼ(β-D galactosidase: GAL)等の酵素を用いることができる。
これらの酵素の基質としては、ペルオキシターゼに対しては、例えば、3,3’-ジアミノベンジジン(DAB)を用いて茶色に発色させたり、3-アミノ-9-エチルカルバゾール(AEC)を用いて赤色に発色させることができる。
酵素抗体法には、大きく分けて直接法と間接法とがある。直接法は、抗体に直接酵素を連結し、抗原と反応させるものである。一方、間接法は、検出すべき抗原に対する抗体(一次抗体)には酵素標識せず、その抗体に対する抗体(二次抗体)に酵素標識して検出する方法である。間接法は、直接法に比べて反応回数が多いが、一次抗体を同種の動物で作製すれば、1種類の2次抗体であらゆる免疫染色をすることができ、また、感度の面でも優れている。したがって、酵素抗体法では、間接法が使用されることが多い。
免疫染色を行うにあたっては、特開2012−13598号公開公報に開示されている変動電界による非接触撹拌を用いた免疫染色法を用いることができる。この方法は、免疫染色によりタンパク質を検出する組織に、抗体を含む溶液を滴下し、変動電界によりこの液滴を撹拌し、抗原抗体反応を促進するものである。具体的には、組織を載置したスライドガラスの下部に電極を配し、その電極と対向する側にも液滴に接触しないように電極を配して、この2つの電極間に変動電界を発生させる。この変動電界は、矩形波と10〜300Hzの周波数信号とが重畳したものであり、この変動電界により液滴が撹拌され、抗原抗体反応が促進される。この変動電界を用いた迅速免疫染色法を用いれば、通常、70〜200分程度の時間を必要としていた免疫染色を、15〜30分程度で迅速に行うことができる。本発明の標準試料は、免疫染色における判定を容易にし、短い時間で正確な判定を行うことを可能とするため、この迅速免疫染色法と本発明の標準試料とを併せて用いることにより、迅速な病理診断が可能になる。例えば、手術中に患者から採取した組織を迅速に病理診断することにより手術の方針を決定する、術中迅速病理診断が可能になる。
生体分子としてタンパク質を染色する方法としては、この他に、遺伝子工学的手法を用いて検出対象となるタンパク質に蛍光タンパク質等のタグを連結して発現させる方法がある。蛍光タンパク質としては、EGFP(緑色蛍光)、DsRed(赤蛍光)、ECFP(青色蛍光)等を用いることができる。
その他の手法としては、これらに限定されるわけではないが、例えば、糖タンパク質の糖鎖をレクチンで染色する方法、F―アクチンというタンパク質をファロイジンという毒素で染色する方法、核酸に結合するタンパク質を、蛍光色素で標識した核酸で染色する方法(サウスウェスタン)等がある。
生体分子として核酸を染色する方法としては、標的となる核酸に相補的な配列を有する核酸をハイブリダイズさせるインサイチュハイブリダイゼーション(in situ hybridization、ISH)を用いるのが一般的である。
ISHでは、検出対象となる核酸に相補的な配列を有する核酸を合成し、その相補的核酸を標識したプローブを作製する。そして、切片とした被検試料に、プローブを添加し、検出対象となる核酸とプローブとをハイブリダイゼーションさせる。ハイブリダイゼーション後、蛍光顕微鏡で観察すると、検出対象となる核酸を検出することができる。ISHを用いて、細胞のDNAを検出する方法では、細胞の染色体中の特定の遺伝子のコピー数を調べることができる。
インサイチュハイブリダイゼーションを行うにあたっては、特開2010−119388号公開公報に記載された、非接触撹拌を用いたハイブリダイゼーションを用いることができる。この方法は、方形波に0.1〜800Hzの周波数信号を重畳させた変動電界により、核酸とその相補的な核酸が混合した液滴を非接触に撹拌し、ハイブリダイゼーション反応を促進するものである。この場合も同様に、本発明の標準試料とこの非接触撹拌を用いたハイブリダイゼーションを併せて用いることにより、迅速な病理診断が可能となる。
生体分子として核酸を染色する他の方法としては、これらに限定されるわけではないが、例えば、核酸に特異的な抗体を用いた染色がある。
生体分子として脂質を染色する方法としては、これらに限定されるわけではないが、例えば、脂質に特異的な抗体を用いる方法や、フィリピン(Filipin)、ライセニン(Lysenin)等の脂質に結合する物質を用いる方法がある。
生体分子として多糖を染色する方法としては、これらに限定されるわけではないが、例えば、多糖に特異的な抗体を用いる方法や、多糖に結合するアルシアンブルー(Alcian Blue)を用いた染色や、レクチンを用いる方法がある。
本発明の第3のステップは、本発明の標準試料の染色の程度と、被検試料の細胞に存在する前記生体分子の染色の程度とを比較する工程である。
これらの染色の程度は、発色、発光、放射線等の強度により把握することができる。発色・発光の強度は、顕微鏡等で視認することができ、また、放射線の強度は、放射線により感光するフィルムを用いて画像化することができる。
これらの染色の程度は、従来、研究者や病理医が、発色の強度等を視認して主観的に判断しているものであった。しかし、染色の程度は、例えば、抗体との接触時間や、抗体濃度、発色時間などの影響を受けるため、同じ生体分子の量であったとしても一定の結果が得られるとは限らない。また、検出対象となる生体分子が存在しているのにもかかわらず、染色反応に失敗した場合には、その失敗に気が付かないまま、染色されないことから検出対象となる生体分子が存在しないと判定される恐れもある。
一方、本発明の標準試料を用いれば、標準試料に含まれる生体分子の量を作製時に所定のものとすることができ、この標準試料に対して被検試料と全く同一の染色処理を施すことができるため、この標準試料の染色の強度を参照して、細胞中の生体分子の量をより正確に把握することができるという効果を奏する。また、染色反応に失敗した場合には、標準試料に十分検出可能な量の生体分子が含有されていたときであっても、標準試料が十分に染色されない結果となるので、それにより検出実験が失敗したことを把握することができる。すなわち、本発明の標準試料は、陽性コントロールとしての機能も奏するものである。
本発明の標準試料は、細胞を含む被検試料と混合して、両者が混在した状態で染色等によるイメージングを行うことができる。したがって、被検試料と標準試料とを顕微鏡観察における同一視野で比較し、あるいは、同一画像上で比較することができるため、より正確に細胞中における生体分子の存在、局在、分布又は濃度を判定することができるという効果を奏するものである。
例えば、現在の免疫染色によるHER2タンパク過剰発現の判定は、0、1+、2+、3+の4段階であり、「強い完全な細胞膜の陽性染色がある癌細胞が30%以上である」と観察された場合に3+と判定し、ハーセプチン(登録商標)による治療対象としていた(HER2検査ガイドブック第三版、2009年9月、トラスツズマブ病理部会作成)。しかし、「強い完全な細胞膜の陽性染色」とは病理医が主観的に判断するものであるため、判定の精度が十分なものではなかった。本発明の標準試料を用いれば、「強い完全な細胞膜の陽性染色」がどの程度の染色であるかを、標準試料の染色の程度により把握でき、これと癌細胞の染色の程度とを顕微鏡観察における同一視野で比較することにより、判定の精度を高めることが可能となる。
また、本発明の他の実施形態では、ハイドロゲル微粒子に付着させる生体分子の濃度を所定のものとし、濃度が異なるものを複数作製して、このハイドゲル微粒子のセットを被検試料と混合することもできる。
この実施形態では、ハイドロゲル微粒子は、含有する生体分子の濃度が異なるため、染色強度が段階的となる。したがって、複数のハイドロゲル微粒子のセットの段階的な染色の程度と比較することにより、被検試料の細胞において染色された箇所における生体分子のだいたいの濃度を把握することも可能である。
また、画像処理により数値化された染色強度をX軸に、その染色強度を有する微粒子が含有する生体分子の濃度をY軸にプロットすることにより検量線を作成することができる。
そして、被検試料の細胞内の染色を、当該検量線と比較することにより、細胞において染色された箇所における生体分子の濃度を測定することができる。
また、本発明の他の実施形態では、含有する生体分子の濃度が異なるハイドロゲル微粒子を複数作製するとともに、その濃度に応じてハイドロゲル微粒子のサイズを異なるものとすることとできる。
この場合には、微粒子のサイズが異なれば濃度も異なることが把握できるので、顕微鏡等での観察が容易となるという効果を奏するものである。
本発明の他の実施形態では、検出対象の生体分子とは異なる生体分子を含有した陰性コントロール微粒子を、本発明の標準試料に含ませてもよい。この陰性コントロール微粒子は、検出対象の生体分子とは異なる分子であるので、本来染色されることはないはずのものである。しかし、この陰性コントロール微粒子が染色された場合には、非特異的な染色反応等が生じた結果であるため、検出実験が失敗したことを把握することができるという効果を奏するものである。ここで、陰性コントロール微粒子を他の微粒子とは異なるサイズとすれば、陰性コントロール微粒子であることを容易に識別できるのでより好ましい。
(ハイドロゲル微粒子の製造)
アクリルアミド 10 m mol(0.71 g)、メタクリル酸 10 m mol(0.82 g)、ニトロフェニルアクリレート 10 m mol(2.70 g)、メチレンビスアクリルアミド 5 m mol(0.77 g)を40 mLのエタノールに溶解した溶液を調製した。この溶液を、羽根付き攪拌棒、コンデンサー、窒素導入管、温度計を取り付けたフラスコ中に、注入した。4つ口フラスコを60℃の恒温槽に浸け、溶液に窒素ガスを30分間バブリングした後、1.5 g の重合開始剤アゾビスイソブチロニトリルをエタノールに溶かした溶液を注入した。反応系は約30分で白濁し粒子の生成が確認され、反応を6時間で止めて、生成したハイドロゲル微粒子を回収した。大塚電子のFPAR-1000Fを用い、セルに0.01%程度に希釈したハイドロゲル微粒子分散液を入れ、室温にて動的光散乱法・光子相関分光法により測定したところ平均粒径は1.2 μmであった。
(生体分子の吸着)
上記のハイドロゲル微粒子を遠心精製した後、ハイドロゲル微粒子を0.1 %含有する水分散液とした。分散液を4つに分け、それぞれに、肺がんに特異的に発現するタンパク質であるサイトケラチン19を0、0.001、0.005、0.010%加えた。室温で30分間軽く撹拌し、ハイドロゲル微粒子の反応性基(p−ニトロフェニルオキシ基)にサイトケラチン19を付着させた。次に、それぞれに1 mmol(0.061 g)のエタノールアミンを加えて再度30分撹拌し、未反応の反応性基をブロックした。その後1000rpmで10分間遠心分離し、上澄みを純水と交換した。保管は冷蔵庫で行った。
(電子顕微鏡観察)
上記により得られたハイドロゲル微粒子を、走査型電子顕微鏡で観察した。その電子顕微鏡画像を図5に示す。電子顕微鏡画像に示されるように、本発明の標準試料は、略球形でサイズが揃っている単分散性のハイドロゲル微粒子であった。
(染色用切片の作製)
肺癌の培養細胞H358を固定液(50mM Dimethyl suberimidate dihydrochloride)で固定後6%ゼラチンに浮遊させて固化させた(細胞ブロック)。このゼラチン内にサイトケラチン19を付着させたハイドロゲル微粒子(陽性コントロール)と、サイトケラチン19を付着させていないハイドロゲル微粒子(陰性コントロール)とを標準試料として同時浮遊させた。
標準試料を含んだ細胞ブロックをO.C.Tコンパウンド(Sakura Finetek Japan CO., Ltd., Japan)に包埋して-80℃の冷アセトンでHisto-Tek Pino (Sakura Finetek Japan)を用いて凍結した。この検体をクリオスタット(CM1900 Leica, Wetzlar, Germany)で5μmの厚さに薄切し、スライドグラス上に貼り付けた。得られた切片を2分間アセトンで固定した。
(免疫染色)
上記により作成した切片を、リン酸緩衝液で3度洗浄後(各5秒)、抗サイトケラチン抗体カクテル(AE1/AE3; Progen Biotechnik GmbH, Heiderberg)1:200倍濃度(5μg/ml)を添加して1時間反応させた。その後、リン酸緩衝液で3度洗浄後、30分間二次抗体(EnVison + System/HRP Mouse (DAB+) Dako)と反応させた。そしてリン酸緩衝液で3度洗浄してDAB(3,3’ diaminobenzidine substrate)で発色させた。核をヘマトキシリン液で染色して、カバーグラスをかけた後に顕微鏡で観察した。その結果を図6に示す。
図6Aは、陰性コントロールと肺癌細胞H358の組織を抗サイトケラチン抗体カクテルAE1/AE3で染色したものである。図6Bは、陽性コントロールと肺癌細胞H358の組織を抗サイトケラチン抗体カクテルAE1/AE3で染色したものである。図6Aでは肺癌細胞H358(Bの矢印で示されるもの)は染色されているが、陰性コントロールは染色されておらず、写真には写っていない。一方、図6Bでは肺癌細胞H358(Bの矢印で示されるもの)と陽性コントロール(Aの矢印で示されるもの)がともに染色されている。図6に示すように、肺癌細胞は抗サイトケラチン抗体カクテルAE1/AE3で細胞は染色されている。一方、陽性コントロールは抗サイトケラチン抗体カクテルAE1/AE3で染色されているが、陰性コントロールは染色されていない。
(ハイドロゲル微粒子の製造)
次に、結合したタンパク質濃度がそれぞれ異なるハイドロゲル微粒子のセットの製造を行った。
まず、ハイドロゲル微粒子を合成するためのモノマー液として、アクリルアミド 10 m mol(0.710 g)、メタクリル酸 10 m mol(0.860 g)、ニトロフェニルアクリレート 4 m mol(0.756 g)、メチレンビスアクリルアミド 4 m mol(0.616 g)を、フラスコ内でエタノール:メタノール=4:1の割合のもの40mL に溶解して調整した。これを撹拌しながら60℃とし、0.5 g の重合開始剤アゾビスイソブチロニトリルをエタノールに溶解したものを注入した。60℃を保ち、羽つき攪拌棒で200 rpmで均一に6時間撹拌し重合を行なった。このとき、重合促進のためフラスコ内の空気は窒素に置換し、溶液も約20分バブリングし、液体内に存在する可能性のある気体を窒素に置換した。反応系は約15分で白濁し粒子の生成が確認され、反応を6時間で止めて、生成したハイドロゲル微粒子を遠心分離により回収した。
(ブロッキング)
今回作成したハイドロゲル微粒子は、タンパク質と結合する反応性基を有するため、標的となるタンパク質を結合させることができる。そして、標的タンパク質が結合したハイドロゲル微粒子は、標的タンパク質に対する抗体を用いた酵素抗体法による免疫染色で染色することができる。一方、実際に標的タンパクが発現している組織では、そのタンパク量により免疫染色強度が変化する。同様に、ハイドロゲル微粒子に結合させるタンパク量を増減させることで、染色強度を変化させることができる。しかし、タンパク質と未反応の反応性基には、免疫染色で用いる一次抗体も結合し、染色性を示したため、タンパク質が結合していないハイドロゲル微粒子も染色されてしまうことや、少量のタンパク質しか結合していない(本来染色強度が低いはずの)ハイドロゲル微粒子が強く染色されてしまうことが懸念された。そこで、グリシン( 1mol/L )をハイドロゲル微粒子分散液に加え1時間反応させることで、タンパク質が結合していない未反応性基をブロッキングしたところ、非特異的反応は抑えられた。
(タンパク質の結合)
60℃、200 rpmで6時間の重合を行ない生成したハイドロゲル微粒子は、遠心分離により取りだされ、溶媒であるアルコールは蒸留水に置換した。このハイドロゲル微粒子分散液を3つに分け、Cytokeratin19タンパクを0、0.001、0.010%加えた。前述したブロッキングのため、それぞれに1molグリシン溶液を加え、4℃で1時間静置し反応させた。
(抗原抗体反応の実施)
反応を終えた3 種類のハイドロゲル微粒子分散液を遠心分離にて取り出しアルギン酸ナトリウムに分散させ、CaCl2 を加えて固化した。試料をO.C.Tコンパウンド(Sakura Finetek Japan CO., Ltd., Japan)に包埋して-80℃の冷アセトンでHisto-Tek Pino (Sakura Finetek Japan)を用いて凍結した。この検体をクリオスタット(CM1900 Leica, Wetzlar, Germany)で4μmの厚さに薄切し、スライドグラス上に貼り付けた。得られた切片を2分間アセトンで固定した。
上記により作成した切片を、リン酸緩衝液で3度洗浄後(各5秒)、抗サイトケラチン抗体カクテル(AE1/AE3; Progen Biotechnik GmbH, Heiderberg)1:200倍濃度(5μg/ml)を添加して10分間反応させた。その後、リン酸緩衝液で3度洗浄後、20分間二次抗体(EnVison + System/HRP Mouse (DAB+) Dako)と反応させた。そしてリン酸緩衝液で3度洗浄してDAB(3,3’ diaminobenzidine substrate)で発色させた。その結果を図7に示す。図7(A)〜(C)はそれぞれ、Cytokeratin 19を0 %、0.001 %、0.010 %加えた条件でタンパク質を結合させたハイドロゲル微粒子を免疫染色した結果を示す。図7から明らかなように、添加するタンパク量が増えるにつれ、染色強度は増加した。

Claims (14)

  1. 細胞内生体分子の検出に用いる標準試料において、
    親水性基を有するアルケンからなるモノマーと、2つ以上の反応部位を有する架橋剤とを含む複数種類の化合物を反応させて得られるハイドロゲル微粒子と、
    前記ハイドロゲル微粒子に付着した、検出対象となる生体分子と
    を含むことを特徴とする標準試料。
  2. 前記2つ以上の反応部位を有する架橋剤が、2つ以上の炭素間二重結合を有するモノマーである、請求項1に記載の標準試料。
  3. 前記複数種類の化合物が、反応性基を有するアルケンからなるモノマーを含み、前記検出対象となる生体分子が、前記反応性基と化学反応して結合することにより前記ハイドロゲル微粒子に付着していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の標準試料。
  4. 前記ハイドロゲル微粒子が、平均粒径0.1〜50μmのハイドロゲル微粒子であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の標準試料。
  5. 前記ハイドロゲル微粒子が、同一種類で異なる濃度の前記検出対象となる生体分子が付着した複数種類のハイドロゲル微粒子であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の標準試料。
  6. 前記ハイドロゲル微粒子が、付着した前記検出対象となる生体分子の濃度に応じてサイズが異なるハイドロゲル微粒子であることを特徴とする請求項5に記載の標準試料。
  7. 前記親水性基を有するアルケンからなるモノマーとして、アクリルアミド、N―イソプロピルアクリルアミド若しくはメタクリル酸又はこれらの組み合わせを用い、前記2つ以上の反応部位を有する架橋剤として、メチレンビスアクリルアミドを用い、前記反応性基を有するアルケンからなるモノマーとして、p―ニトロフェニルアクリレート若しくはN−アクリロイルオキシスクシンイミド又はこれらの組み合わせを用いることを特徴とする、請求項3から5のいずれかに記載の標準試料。
  8. 前記検出対象となる生体分子がタンパク質であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の標準試料。
  9. 細胞内生体分子を検出する方法において、
    親水性基を有するアルケンからなるモノマーと、2つ以上の反応部位を有する架橋剤とを含む複数種類の化合物を反応させて得られるハイドロゲル微粒子に、検出対象となる生体分子が付着した標準試料を、
    細胞を含む被検試料と混合して検体を作成する第1のステップと、
    前記検体を染色する第2のステップと、
    前記標準試料の染色の程度と、前記被検試料の細胞の染色の程度とを比較する第3のステップと
    を有することを特徴とする検出方法。
  10. 前記第1のステップは、前記標準試料として、同一種類で異なる濃度の前記検出対象となる生体分子が付着した複数種類のハイドロゲル微粒子を用い、
    前記第3のステップは、付着した生体分子の濃度に応じた前記複数種類のハイドロゲル微粒子の染色の程度と、前記被検試料の細胞の染色の程度とを比較することにより、前記細胞内の生体分子の濃度を測定することを特徴とする請求項9に記載の検出方法。
  11. 前記ハイドロゲル微粒子が、付着した生体分子の濃度に応じてサイズが異なるハイドロゲル微粒子であることを特徴とする請求項10に記載の検出方法。
  12. 前記第1のステップにおいて、染色により検出可能な濃度の生体分子が付着したハイドロゲル微粒子を標準試料として用い、
    前記第3のステップにおいて、前記標準試料の染色が検出できなかった場合には、検出実験が失敗したと判定することを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載の検出方法。
  13. 前記第1のステップにおいて、前記標準試料が、前記検出対象となる生体分子が付着していないか又は前記検出対象となる生体分子とは異なる生体分子が付着している前記ハイドロゲル微粒子からなる陰性コントロール微粒子をさらに含み、
    前記第3のステップにおいて、前記陰性コントロール微粒子が十分に染色された場合には、検出実験が失敗したと判定することを特徴とする請求項9から12のいずれかに記載の検出方法。
  14. 前記検出対象となる生体分子はタンパク質であり、前記染色は免疫染色であることを特徴とする、請求項9から13のいずれかに記載の検出方法。
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