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JP5945361B1 - ろう材および熱交換器用ブレージングシート - Google Patents

ろう材および熱交換器用ブレージングシート Download PDF

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Abstract

【課題】粗大なSi粒の生成が抑制されたろう材およびこれを用いた熱交換器用ブレージングシートを提供する。【解決手段】ろう材は、Si:3.5質量%以上13.0質量%以下、Ti:0.001質量%以上0.05質量%以下、V:0.0005質量%を超えて0.05質量%以下、B:0.001質量%以下を含有し、残部がAlと不可避的不純物よりなる合金からなり、前記V含有量(質量%)を前記Ti含有量(質量%)で割った値であるV/Ti値が0.05以上5以下であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、自動車用熱交換器等のろう付接合構造体に用いられる、4000系アルミニウム合金ろう材、および、そのろう材を含むアルミニウム合金ブレージングシートに関する。
従来から、自動車等の熱交換器の素材として、心材の片面または両面にろう材を配したアルミニウム合金(以下、単に「Al合金」と称する場合がある)からなるブレージングシート(以下、単に「ブレージングシート」と称する場合がある)が使用されている。例えば、自動車に用いられるインタークーラ、ラジエータ、オイルクーラ、コンデンサ、ヒータコア、エバポレータ等の熱交換器のチューブ、ヘッダプレート、サイドサポート等の各部材に、少なくとも心材の片側に、Al−Si系合金からなるろう材がクラッドされたブレージングシートが使用されている。これらのブレージングシートは、それぞれ所定の形状に成型加工された後、ろう付工程において各部材が接合される。
ここで、アルミニウム合金においては従来、鋳造時の割れ防止、すなわち結晶粒の微細化を目的として、Al−Ti−B系合金を添加するのが一般的であった。しかしながら、TiやBを添加すると、粗大なSi粒が生成されやすくなる。また、4000系アルミニウム合金ろう材の凝固組織は、主としてAl−Si共晶とα固溶体からなるが、共晶組織中に最大径が20μmを超える粗大なSi粒が晶出する場合がある。粗大なSi粒のSi濃度および寸法は、その後の加工、熱処理では大きく変化しない。そのため、粗大なSi粒が生成されると、ろう付加熱時に粗大なSi粒の周囲で著しく溶融し、溶融穴が生じることが知られている。これに対し、従来は、Na、Sr等を添加する共晶Siの微細化処理等により粗大Si粒の生成を抑制していた(特許文献1参照)。しかしながら、この技術では、粗大Si粒の生成の抑制は不十分であった。
そこで、特許文献1では、粗大Si粒の晶出を防止する、あるいは粗大Si粒の成長を抑制することで、ろう付加熱時に溶融穴を発生させないまたは溶融穴の発生を抑制することを可能とする熱交換器用アルミニウムブレージングシートのろう材、およびその製造方法を開示している。
特許第4636520号公報
このように、従来においては、粗大なSi粒の生成を抑制するため、種々の技術が用いられている。しかしながら、アルミニウム合金の溶解および鋳造時において、粗大なSi粒の生成のさらなる抑制を実現する技術の開発が望まれている。
本発明は、前記課題を解決するものであり、粗大なSi粒の生成が抑制されたろう材およびこれを用いた熱交換器用ブレージングシートを提供することを課題とする。
本発明者らは、Si:3.5質量%以上13.0質量%以下を含む4000系ろう材において、Ti:0.001質量%以上0.05質量%以下、V:0.0005質量%を超えて0.05質量%以下、B:0.001質量%以下とし、前記V含有量(質量%)を前記Ti含有量(質量%)で割った値であるV/Ti値を0.05以上5以下とすることで粗大なSi粒の生成が抑制されることを見出した。
すなわち、本発明に係るろう材は、Si:3.5質量%以上13.0質量%以下、Ti:0.001質量%以上0.05質量%以下、V:0.0005質量%を超えて0.05質量%以下、B:0.001質量%以下を含有し、残部がAlと不可避的不純物よりなる合金からなり、前記V含有量(質量%)を前記Ti含有量(質量%)で割った値であるV/Ti値が0.05以上5以下であることを特徴とする。
このような構成によれば、アルミニウム合金の溶解および鋳造時において粗大なSi粒の生成が抑制され、粗大なSi粒の生成が抑制されたろう材となる。
また、本発明に係るろう材は、さらに、Na:0.0001質量%以上0.01質量%以下、Sr:0.001質量%以上0.05質量%以下のうち1種以上を含有することが好ましい。
このような構成によれば、ろう材は、共晶Siが微細化されたものとなる。
また、本発明に係るろう材は、さらに、Zn:0.01質量%以上6.0質量%以下を含有することが好ましい。
このような構成によれば、ろう材は、ろう材面側の耐食性が向上したものとなる。
また、本発明に係るろう材は、さらに、Mn:0.01質量%以上1.2質量%以下、Fe:0.3質量%以上1.2質量%以下のうち1種以上を含有することが好ましい。
このような構成によれば、ろう材は、ろう材面側の耐食性が向上したものとなる。
また、本発明に係る熱交換器用ブレージングシート(以下、適宜、ブレージングシートという)は、心材の少なくとも片面に前記記載のろう材がクラッドされたものであることを特徴とする。
このような構成によれば、ブレージングシートは、ろう付加熱時において溶融穴の発生が抑制される。
本発明のろう材は、粗大なSi粒の生成が抑制されているため、ろう付加熱時において溶融穴の発生が抑制される。
本発明の熱交換器用ブレージングシートは、ろう付加熱時において溶融穴の発生が抑制される。
鋳塊の断面を説明するための模式図である。 断面の中央部を説明するための模式図である。
以下、本発明に係るろう材および熱交換器用ブレージングシートについて具体的に説明する。
≪ろう材≫
本発明に係るろう材は、Si、Ti、V、Bを所定量含有し、残部がAlと不可避的不純物よりなる合金からなり、また、V/Ti値を規定したものである。
また、ろう材は、前記成分に加え、任意成分としてNa、Srのうち1種以上を所定量含有してもよい。さらに、任意成分としてZnを所定量含有してもよく、さらに、任意成分としてMn、Feのうち1種以上を所定量含有してもよい。
以下、各成分の限定理由について説明する。なお、各成分の含有量は、ろう材全体についての含有量である。
(Si:3.5質量%以上13.0質量%以下)
Si含有量が3.5質量%未満であれば、ろう付接合に必要なろうの量が不足し、ろう付不良が生じる。一方、Si含有量が13.0質量%を超えると、初晶Siが生成し、粗大に成長する。したがって、Si含有量は、3.5質量%以上13.0質量%以下とする。Si含有量は、ろう付けをより良好にする観点から、好ましくは4.0質量%以上、より好ましくは6.0質量%以上である。また、初晶Siの生成をより抑制する観点から、好ましくは12.5質量%以下、より好ましくは12.0質量%以下である。
(Ti:0.001質量%以上0.05質量%以下)
Ti含有量は、鋳造割れ防止のため、0.001質量%以上とする。一方、Ti含有量が0.05質量%を超えると、粗大Si晶が生成されやすくなる。このメカニズムはまだ明確にはなっていないが、Ti含有量が0.05質量%を超えると、TiBの生成量が過剰となりTiBがSi晶の核生成サイトとして働くために粗大Si晶が生成されやすくなると考えられる。したがって、Ti含有量は0.001質量%以上0.05質量%以下とする。Ti含有量は、鋳造割れ防止の効果をより高める観点から、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上である。また、粗大Si晶の生成をより抑制する観点から、好ましくは0.04質量%以下、より好ましくは0.02質量%以下である。
(V:0.0005質量%を超えて0.05質量%以下)
メカニズムは明らかではないが、VがTiB中に含まれることで、TiBがSi晶の核生成サイトとして作用しなくなるため粗大Si晶の生成が抑制される。V含有量が0.0005質量%以下であれば、TiBに含まれるV量が僅かとなり、TiBが粗大Si晶の核生成サイトとして働くために粗大Si晶が生成されやすい。一方、V含有量が0.05質量%を超えると、Al−V系化合物、Al−Ti−V(−B)系化合物等が生成され、これがSi晶の核生成サイトとして働くため、粗大Si晶が生成されやすくなる。したがって、V含有量は0.0005質量%を超えて0.05質量%以下とする。V含有量は、粗大Si晶の生成をより抑制する観点から、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%超である。また、粗大Si晶の生成をより抑制する観点から、好ましくは0.04質量%以下、より好ましくは0.03質量%以下である。
(B:0.001質量%以下(0質量%を含まない))
Bは、その含有量が0.001質量%を超えると、粗大Si晶が生成されやすくなる。このメカニズムはまだ明確にはなっていないが、B含有量が0.001質量%を超えると、TiBの生成量が過剰となりTiBがSi晶の核生成サイトとして働くために粗大Si晶が生成されやすくなると考えられる。したがって、B含有量は0.001質量%以下とする。B含有量は、粗大Si晶の生成をより抑制する観点から、好ましくは0.0008質量%以下、より好ましくは0.0005質量%以下である。一方、B含有量の下限値は、鋳造割れ防止の効果をより高める観点から、好ましくは0.00001質量%である。
(Na:0.0001質量%以上0.01質量%以下)
ろう材にNaを添加することで、共晶Siが微細化される。Na含有量が0.0001質量%未満であれば、その効果が十分に得られない。一方、Na含有量が0.01質量%を超えると、ろうの流動性が低下し、ろう付加熱時にフィレットの形成が不十分となりやすい。したがって、Naを添加する場合には、Na含有量は0.0001質量%以上0.01質量%以下とする。Naは共晶Siを微細化させる観点から、好ましくは0.0003質量%以上、より好ましくは0.0005質量%以上である。また、ろうの流動性の低下を抑制する観点から、好ましくは0.008質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下である。
(Sr:0.001質量%以上0.05質量%以下)
ろう材にSrを添加することで、共晶Siが微細化される。Sr含有量が0.001質量%未満であれば、その効果が十分に得られない。一方、Sr含有量が0.05質量%を超えると、ろうの流動性が低下し、ろう付加熱時にフィレットの形成が不十分となりやすい。したがって、Srを添加する場合には、Sr含有量は0.001質量%以上0.05質量%以下とする。Srは共晶Siを微細化させる観点から、好ましくは0.002質量%以上、より好ましくは0.003質量%以上である。また、ろうの流動性の低下を抑制する観点から、好ましくは0.047質量%以下、より好ましくは0.045質量%以下である。
(Zn:0.01質量%以上6.0質量%以下)
ろう材面側の耐食性を高めるために、Znを添加してもよい。Zn含有量が0.01質量%未満であれば、良好な耐食性が得られない。一方、Zn含有量が6.0質量%を超えると、ろう材表面でZnが過剰に濃化し自己消耗速度を高めるため耐食性が低下する。したがって、Znを添加する場合には、Zn含有量は0.01質量%以上6.0質量%以下とする。Zn含有量は、自己消耗速度を低減させる観点から、好ましくは5.5質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下である。
(Mn:0.01質量%以上1.2質量%以下)
ろう材面側の耐食性を高めるために、Mnを添加してもよい。Mn添加により、Al−Mn−Si系化合物等が形成され、その周囲で腐食が進行する。そのため、腐食が分散され、耐食性が向上する。Mn含有量が0.01質量%未満であれば、良好な耐食性が得られない。一方、Mn含有量が1.2質量%を超えると、鋳造時に粗大なAl−Mn−Si系化合物等が形成しやすくなり、加工性が低下する。したがって、Mnを添加する場合には、Mn含有量は0.01質量%以上1.2質量%以下とする。Mn含有量は、加工性を向上させる観点から、好ましくは1.1質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下である。
(Fe:0.3質量%以上1.2質量%以下)
ろう材面側の耐食性を高めるために、Feを添加してもよい。Fe添加により、Al−Fe−Si系化合物等が形成され、その周囲で腐食が進行する。そのため、腐食が分散され、耐食性が向上する。Fe含有量が0.3質量%未満であれば、良好な耐食性が得られない。一方、Fe含有量が1.2質量%を超えると、鋳造時に粗大なAl−Fe−Si系化合物等が形成しやすくなり、加工性が低下する。したがって、Feを添加する場合には、Fe含有量は0.3質量%以上1.2質量%以下とする。Fe含有量は、耐食性の向上効果をより高める観点から、好ましくは0.35質量%以上、より好ましくは0.4質量%以上である。また、加工性を向上させる観点から、好ましくは1.1質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下である。
(残部:Alと不可避的不純物)
ろう材の残部はAlと不可避的不純物である。ろう材には、不可避的不純物として、Fe:0.3質量%未満、Mn:0.01質量%未満、Zn:0.01質量%未満、Cu:0.05質量%未満、P:0.005質量%未満等を含んでもよい。
(V/Ti値:0.05以上5以下)
V/Ti値が0.05未満であれば、Vを含まないTiBが生成されやすくなり、これがSi晶の核生成サイトとして働くため、粗大Si晶が生成されやすくなる。一方、V/Ti値が5を超えると、Al−V系化合物等が生成されやすくなり、これがSi晶の核生成サイトとして働くため、粗大Si晶が生成されやすくなる。したがって、V/Ti値は0.05以上5以下とする。V/Ti値は、粗大Si晶の生成をより抑制する観点から、好ましくは0.2以上であり、より好ましくは0.7以上である。また、粗大Si晶の生成をより抑制する観点から、好ましくは4以下であり、より好ましくは3.5以下である。
前記した本発明のろう材は、粗大なSi粒の生成が抑制されたものとなる。ここで、本願において粗大なSi粒とは、円相当直径で20μm以上のものをいう。例えば、以下の方法でSi粒を測定した場合に、最も粗大なSi粒が円相当直径で20μm未満であれば、組織中に含まれる粗大なSi粒の量が抑制されているものと言える。
[最大Si粒径の測定方法]
図1、2に示すように、鋳塊1の鋳造方向Xの中心部(鋳造方向Xの長さの半分の部位)を、鋳造方向Xと直交する方向において垂直に輪切りにし、断面Sの中央部50mm(厚さ方向(垂直方向))×70mm(幅方向(鋳造方向Xと直交する方向))の領域Aを湿式研磨により鏡面に仕上げた後、光学顕微鏡等により、例えば100倍で、領域Aの全域についてSi粒の分布状態を調査する。具体的には、光学顕微鏡等で全域を写真撮影し、二値化処理した画像から解析ソフトによりSi粒の円相当直径を求め大きさを判別する。なお、図1、2は記載内容を分かりやすくするため、模式的に図示したものであり、各図面が示す部材や領域の大きさ等は誇張していることがある。
≪ブレージングシート≫
本発明に係るブレージングシートは、心材の少なくとも片面に前記記載のろう材がクラッドされたものである。
ブレージングシートとしては、例えば、心材の一面側にろう材、他面側に犠牲材を形成した3層のブレージングシートや、心材の両面側にろう材を形成した3層のブレージングシートを挙げることができる。その他、心材とろう材との間や、心材と犠牲材との間に中間材を形成した4層あるいは5層のブレージングシートとしてもよい。さらに、犠牲材、ろう材、中間材の層数を増やした6層以上のブレージングシートであってもよい。
本発明のブレージングシートに使用する心材としては特に規定されるものではなく、従来公知のものを使用すればよい。ブレージングシートの心材に用いられるアルミニウム合金としては、2000系、3000系、5000系、6000系アルミニウム合金のいずれであっても使用することができる。これらのアルミニウム合金であれば、自動車用熱交換器等の用途に使用されるアルミニウム合金ブレージングシートとして、物性の面で十分に使用し得るものである。
具体的には、例えば、Si:0.10〜1.00質量%、Cu:0.50〜1.20質量%、Mn:0.50〜2.00質量%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物であるアルミニウム合金を用いることができる。また、必要に応じて、さらに、Ti:0.05〜0.25質量%、Cr:0.05〜0.25質量%、Mg:0.05〜0.50質量%から選択される少なくとも1種類を含有したアルミニウム合金を用いることができる。
本発明のブレージングシートに使用する犠牲材としては特に規定されるものではなく、従来公知のものを使用すればよい。ブレージングシートの犠牲材に用いられるアルミニウム合金としては、例えば、Znを含む7000系アルミニウム合金を使用することができる。さらに、SiやMn等を含有していてもよい。例えば、Al−Mg−Si−Zn合金、Al−Si−Mn−Zn系合金、Al−Mg−Zn系合金等を用いることができる。
具体的には、例えば、Si:0.20質量%を超え0.80質量%以下、Zn:2.00質量%を超え5.00質量%以下、Mg:1.00〜4.50質量%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物であるアルミニウム合金を用いることができる。
本発明のブレージングシートに使用する中間材としては特に規定されるものではなく、従来公知のものを使用すればよい。ブレージングシートの中間材に用いられるアルミニウム合金としては、例えば、純AlやJIS3003の他、強度向上およびろう材との電位差確保のために、Si,Mn,Cu,Ti等を添加したアルミニウム合金を好適に用いることができる。
≪ブレージングシートの製造方法≫
次に、本発明のブレージングシートの製造方法について説明する。本発明のブレージングシートは、代表的な製造方法の例として、以下の製造方法によって製造することができる。ここでは、心材の一面側にろう材、他面側に犠牲材を形成した3層のブレージングシートの製造方法について説明する。
まず、心材用アルミニウム合金、犠牲材用アルミニウム合金およびろう材用アルミニウム合金を連続鋳造法によって、溶解、鋳造して鋳塊を製造する。この鋳塊に面削(表面平滑化処理)および均質化熱処理を行うことによって、心材用鋳塊(心材用部材)、犠牲材用鋳塊、ろう材用鋳塊を製造する。その後、犠牲材用鋳塊およびろう材用鋳塊は、それぞれ所定厚さに熱間圧延して、犠牲材用部材、ろう材用部材とする。ろう材用鋳塊については、鋳造時における鋳塊中央部での冷却速度は、577℃から600℃までの温度範囲では0.01℃/秒以上とすることが好ましい。
次に、心材用部材の一面側にろう材用部材、他面側に犠牲材用部材を重ね合わせ、この重ね合わせ材に熱処理(再加熱)を行った後、熱間圧延によって圧着して板材とする。その後、これらの板材は、冷間圧延、必要に応じて中間焼鈍を行い、さらに仕上げ冷間圧延を行う。なお、仕上げ冷間圧延の後に最終焼鈍を行ってもよく、また、中間焼鈍および仕上げ冷間圧延を行わずに、冷間圧延の後に最終焼鈍を行ってもよい。
また、心材用鋳塊には均質化処理を行なわなくてもよい。ろう材用鋳塊および犠牲材用鋳塊には、熱間圧延を行なわず、面削により厚さを調整してそれぞれ、ろう材用部材、犠牲材用部材としてもよい。また、重ね合わせ材に熱処理を行なわなくてもよい。
上記した各材料の鋳造、均質化熱処理、再加熱、熱間圧延、冷間圧延、中間焼鈍、仕上げ冷間圧延、最終焼鈍の条件は、公知の常法に従って行うことができる。
なお、心材用部材、犠牲材用部材、およびろう材用部材は、ブレージングシートになる前のものであるため、ここでは、心材用部材、犠牲材用部材、およびろう材用部材としている。ただし、これらを心材、犠牲材、およびろう材と呼称してもよく、本発明では、ろう材用部材をろう材と呼称している。
本発明のろう材、そしてそれを用いたブレージングシートは、例えば、自動車に用いられるインタークーラ、ラジエータ、オイルクーラ、コンデンサ、ヒータコア、エバポレータ等の熱交換器のチューブ、ヘッダプレート、サイドサポート等の各用途に広く用いられ得るものである。
このような用途に使用するためには、一般に、ろう材を有するブレージングシートを用いて、ろう付接合構造体に加工することが必要である。
ろう付接合構造体の製造方法として、以下にその一例を説明する。例えば、自動車に搭載されるコンデンサ、エバポレータ、インタークーラ等の熱交換器であれば、一般に、本発明のブレージングシートを用いて、流体通路を構成する偏平管状のチューブと板材をコルゲート成形したフィンとを交互に繰り返し重ねて組み合わせ、流体通路を集結させるように、板材をプレス成形したプレート(ヘッダ)にチューブを嵌合させて、組み立てた構造体とする。
これらの部品が組み立てられた状態で、ろう付加熱されることによって、チューブとフィン、チューブとプレートがそれぞれ接合されて、熱交換器が製造される。ろう付加熱により溶融したろう材(溶融ろう)が部品間の接続部位に充填されてろう溜り(フィレット)を形成することとなり、構造体を構成する部品同士が接合される。
これらのチューブ、プレートおよびフィンの少なくともいずれか一つに、アルミニウム合金からなる心材の少なくとも一方の面に本発明のろう材をクラッドしたブレージングシートを適用することができる。
次に、本発明のろう材およびブレージングシートについて、本発明の要件を満たす実施例と、本発明の要件を満たさない比較例と、を対比させて具体的に説明する。
表1に示す元素を含む、ろう材(場合によっては耐食性も付与したろう材)を想定したAl−Si系合金をDC鋳造により溶解、鋳造して鋳塊を作製した。この鋳塊について、最大Si粒径を測定した。なお、鋳塊のサイズは、厚さ150mm×幅350mm×長さ1000mmとした。鋳造時におけるこの鋳塊中央部での冷却速度は、577℃から600℃までの温度範囲では約0.5℃/秒であった。
[最大Si粒径の測定方法]
鋳塊の鋳造方向の中心部(鋳造方向の長さの半分の部位)を、鋳造方向と直交する方向において垂直に輪切りにし、断面の中央部50mm(厚さ方向)×70mm(幅方向)の領域を湿式研磨により鏡面に仕上げた後、光学顕微鏡により、100倍で、前記領域の全域についてSi粒の分布状態を調査した。具体的には、光学顕微鏡で全域を写真撮影し、二値化処理した画像から解析ソフト(Image−Pro PLUS、Media Cybernetics社製、バージョン.6.0)によりSi粒の円相当直径を求め大きさを判別した。最も粗大なSi粒が円相当直径で10μm未満を◎、10μm以上15μm未満を○、15μm以上20μm未満を△、20μm以上を×とし評価した。そして、◎、○、△のものを合格とした。
次に、Al−Mn−Si系合金である心材用合金をDC鋳造により造塊し、各々所望の厚さまで両面を面削して、心材用鋳塊を得た。また、ろう材用鋳塊は、鋳造方向と直交する方向における垂直な断面の中央部50mm(厚さ方向)×70mm(幅方向)の領域から切り出した。そして、それぞれ均質化処理を施し、ろう材用鋳塊、心材用鋳塊を組み合わせて重ね合わせ材とし、熱間圧延、冷間圧延、焼鈍を経て、厚さ0.2mmの供試材とした。ろう材のクラッド率は10%とした。
前記作製したろう材用鋳塊について、目視観察により鋳塊表面にて筋が認められる場合、その位置で鋳塊の断面観察を行い、割れの深さを測定した。最大長が20mm以上の割れを鋳造割れと判断した。
前記作製した供試材について、厚さ0.2mm×幅50mm×長さ200mmのサイズに切り出し、600℃で3分間のろう付相当加熱を行った。その後、20mm幅のサイズに切り出し、厚さ0.2mm×幅20mmの板を25枚準備し、これらを重ね合わせた。そして、供試材の圧延方向の中心部(圧延方向の長さの半分の部位)における、圧延方向と直交する方向における垂直な断面の断面積が100mm(厚さ0.2mm×幅20mm×25枚)の領域を研磨、ケラー氏液によるエッチングを施した後、光学顕微鏡により、100倍で、前記領域の全域について断面観察した。溶融ろうによる心材の浸食が最も顕著な場所において、心材の未溶融部の厚さ(厚さ方向の長さ)を測定した。心材の未溶融部の厚さが100μm以上のものを合格とした。
元素量および評価結果を表1、2に示す。なお、表1において、「−」は元素を含有しないものである。また、本発明の規定を満たさないものは数値に下線を引いて示す。
Figure 0005945361
Figure 0005945361
表1、2に示すように、実施例であるNo.1〜40は、本発明の構成を満たすため、最大Si粒径の評価および心材の未溶融部の厚さの評価が合格であった。
一方、比較例であるNo.41〜56は、本発明の構成を満たさないため、以下の結果となった。
供試材No.41は、Ti含有量が多いため、Si粒が粗大化した。そのため、心材の未溶融部の厚さの評価が不合格であった。
供試材No.42は、B含有量が多いため、Si粒が粗大化した。そのため、心材の未溶融部の厚さの評価が不合格であった。
供試材No.43は、V含有量が少ないため、また、V/Ti値が低いため、Si粒が粗大化した。そのため、心材の未溶融部の厚さの評価が不合格であった。
供試材No.44は、V含有量が多いため、また、V/Ti値が高いため、Si粒が粗大化した。そのため、心材の未溶融部の厚さの評価が不合格であった。
供試材No.45は、Ti含有量が多いため、Si粒が粗大化した。そのため、心材の未溶融部の厚さの評価が不合格であった。
供試材No.46は、B含有量が多いため、Si粒が粗大化した。そのため、心材の未溶融部の厚さの評価が不合格であった。
供試材No.47は、V含有量が少ないため、また、V/Ti値が低いため、Si粒が粗大化した。そのため、心材の未溶融部の厚さの評価が不合格であった。
供試材No.48は、V含有量が多いため、また、V/Ti値が高いため、Si粒が粗大化した。そのため、心材の未溶融部の厚さの評価が不合格であった。
供試材No.49は、Ti含有量が多いため、Si粒が粗大化した。そのため、心材の未溶融部の厚さの評価が不合格であった。
供試材No.50は、B含有量が多いため、Si粒が粗大化した。そのため、心材の未溶融部の厚さの評価が不合格であった。
供試材No.51は、V含有量が少ないため、また、V/Ti値が低いため、Si粒が粗大化した。そのため、心材の未溶融部の厚さの評価が不合格であった。
供試材No.52は、V含有量が多いため、また、V/Ti値が高いため、Si粒が粗大化した。そのため、心材の未溶融部の厚さの評価が不合格であった。
供試材No.53は、Si含有量が多いため、Si粒が粗大化した。また、心材の未溶融部の厚さの評価が不合格であった。
供試材No.54は、Ti含有量が少ないため、鋳造割れが発生した。
供試材No.55は、V/Ti値が低いため、Si粒が粗大化した。そのため、心材の未溶融部の厚さの評価が不合格であった。
供試材No.56は、V/Ti値が高いため、Si粒が粗大化した。そのため、心材の未溶融部の厚さの評価が不合格であった。
以上、本発明について実施の形態および実施例を示して詳細に説明したが、本発明の趣旨は前記した内容に限定されることなく、その権利範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて解釈しなければならない。なお、本発明の内容は、前記した記載に基づいて改変・変更等することができることはいうまでもない。
1 鋳塊
A 鋳塊の中央部の領域
S 断面
X 鋳造方向

Claims (5)

  1. Si:3.5質量%以上13.0質量%以下、Ti:0.001質量%以上0.05質量%以下、V:0.0005質量%を超えて0.05質量%以下、B:0.001質量%以下を含有し、残部がAlと不可避的不純物よりなる合金からなり、前記V含有量(質量%)を前記Ti含有量(質量%)で割った値であるV/Ti値が0.05以上5以下であることを特徴とするろう材。
  2. 前記ろう材が、さらに、Na:0.0001質量%以上0.01質量%以下、Sr:0.001質量%以上0.05質量%以下のうち1種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載のろう材。
  3. 前記ろう材が、さらに、Zn:0.01質量%以上6.0質量%以下を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のろう材。
  4. 前記ろう材が、さらに、Mn:0.01質量%以上1.2質量%以下、Fe:0.3質量%以上1.2質量%以下のうち1種以上を含有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のろう材。
  5. 心材の少なくとも片面に請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のろう材がクラッドされたものであることを特徴とする熱交換器用ブレージングシート。
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