図1は、本発明が適用された車両8に含まれる車両用駆動装置10の骨子図である。この車両用駆動装置10は横置き型であって、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両に好適に採用されるものである。図1に示すように車両用駆動装置10は、エンジン12と、トルクコンバータ14と、前後進切換装置16と、ベルト式無段変速機(CVT)18とを備えている。エンジン12の出力は、エンジン12のクランク軸13、トルクコンバータ14から前後進切換装置16、入力軸36、ベルト式無段変速機18(以下、無段変速機18という)、減速歯車装置20を介して差動歯車装置22に伝達され、左右一対の駆動輪24L、24R(特に左右を区別しない場合には、駆動輪24という)へ分配される。
エンジン12は、車両8の走行用動力源であって、ガソリンエンジンまたはディーゼルエンジンなどの内燃機関にて構成されている。エンジン12の吸気管38内には、エンジン12の吸入空気量を電気的に制御するための電子スロットル弁39が設けられている。電子制御装置60は、スロットルアクチュエータ40(スロットル弁駆動装置40)により電子スロットル弁39を開閉作動させ、それによりエンジン12の吸入空気量を調節する。要するにスロットル制御を行う。例えば、電子スロットル弁80の開度TA(以下、スロットル開度TAという)が大きくなるほど、エンジン12の吸入空気量が増加しエンジントルクTeが大きくなる。
トルクコンバータ14は、エンジン12と無段変速機18との間に配設された流体伝動装置であって、エンジン12のクランク軸13に連結された入力回転部材としてのポンプ翼車14pと、タービン軸34を介して前後進切換装置16に連結された出力回転部材としてのタービン翼車14tとを備えており、流体を介して動力伝達を行うようになっている。
また、トルクコンバータ14はそれらのポンプ翼車14pおよびタービン翼車14tの間にロックアップクラッチ26を備えている。そのロックアップクラッチ26は、ポンプ翼車14pとタービン翼車14tとを直結可能な摩擦係合装置であり、油圧制御回路84(図2参照)の油圧制御弁などによって油圧供給が切り換えられることにより、係合または解放されるようになっている。例えばロックアップクラッチ26が油圧制御により直結状態(完全係合状態)にされれば、それによりポンプ翼車14pおよびタービン翼車14tは一体回転させられる。上記ポンプ翼車14pには機械式のオイルポンプ28が連結されており、そのオイルポンプ28は車両用駆動装置10内で油圧供給源として機能し、更に、各部に潤滑油を供給する。
前後進切換装置16は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置を主体として構成されており、トルクコンバータ14のタービン軸34はサンギヤ16sに一体的に連結され、無段変速機18の入力軸36はキャリア16cに一体的に連結されている一方、キャリア16cとサンギヤ16sは前進用クラッチC1を介して選択的に連結され、リングギヤ16rは後進用ブレーキB1を介してハウジングに選択的に固定されるようになっている。前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1は何れも、油圧シリンダによって摩擦係合させられる油圧式摩擦係合装置である。前後進切換装置16では、前進用クラッチC1が完全係合させられるとともに後進用ブレーキB1が解放されることにより、前後進切換装置16は一体回転状態とされて、前進方向の駆動力が無段変速機18側へ伝達される。一方、後進用ブレーキB1が完全係合させられるとともに前進用クラッチC1が解放されると、入力軸36はタービン軸34に対して逆方向へ回転させられるようになり、後進方向の駆動力が無段変速機18側へ伝達される。また、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1が共に解放されると、前後進切換装置16は動力伝達を遮断するニュートラル(遮断状態)になる。
無段変速機18は、前記入力軸36に設けられた入力側部材である有効径が可変の入力側可変プーリ42と、出力軸44に設けられた出力側部材である有効径が可変の出力側可変プーリ46と、それ等の可変プーリ42、46に巻き掛けられた伝動ベルト48とを備えており、可変プーリ42、46と伝動ベルト48との間の摩擦力を介して動力伝達が行われる。無段変速機18は、エンジン12から駆動輪24への動力伝達経路の一部を構成しており、油圧制御により変速比γ(=入力軸回転速度Nin/出力軸回転速度Nout)が連続的に変化させられる自動変速機である。その無段変速機18の変速比γは、両可変プーリ42、46のV溝幅が変化して伝動ベルト48の掛かり径(有効径)が変更されることで、変化させられる。電子制御装置60は、車速V及びアクセル開度PAに基づき、予め実験的に設定された目標変速比マップに従って目標変速比γ*を決定し、その目標変速比γ*に変速比γを近付けるようにして無段変速機18の変速を実行する。なお、前記入力軸回転速度Ninは入力軸36の回転速度であり、前記出力軸回転速度Noutは出力軸44の回転速度である。また、無段変速機18は、本発明における自動変速機に対応する。
図2は、本実施例の車両用駆動装置10を制御するための制御装置として機能する電子制御装置60に対する入出力信号を例示した図である。この電子制御装置60は所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことによりエンジン12や無段変速機18に関する車両制御を実行するものである。電子制御装置60は本発明の車両用制御装置に対応する。
電子制御装置60には、図2に示すように、エンジン回転速度センサ62、タービン回転速度センサ64、入力軸回転速度センサ66、出力軸回転速度センサ68、スロットルセンサ70、アクセル開度センサ72などが接続されており、エンジン12の回転速度(エンジン回転速度)Ne、タービン軸34の回転速度(タービン回転速度)Nt、入力軸36の回転速度(入力軸回転速度)Nin、出力軸44の回転速度(出力軸回転速度)Nout、スロットル開度TA(単位は例えば%)、アクセルペダル74の踏込量であるアクセル開度PA(単位は例えば%)などを表す信号が供給されるようになっている。なお、タービン回転速度Ntは、前進用クラッチC1が完全係合させられた前進走行時には入力軸回転速度Ninと一致する。また、無段変速機18の出力軸回転速度Noutは車速Vに対応するので、出力軸回転速度センサ68は車速センサとしても機能する。
また、電子制御装置60から、車両8に設けられた各装置に各種出力信号が供給されるようになっている。例えば、電子制御装置60は、エンジン12の燃料噴射装置80、点火装置82、およびスロットルアクチュエータ40に対し、エンジン12の出力制御を行うための指令信号を出力する。また、油圧制御回路84に含まれるソレノイド弁等に対し、無段変速機18の変速制御およびベルト挟圧力制御を行うための指令信号を出力する。油圧制御回路84は、電子制御装置60により励磁されて油路を開閉するソレノイド弁や油圧制御を行うリニアソレノイド弁、それらのソレノイド弁から出力される信号圧に従って油路を開閉したり油圧制御を行ったりする開閉弁、調圧弁などを備えて構成されている。
ところで、本実施例の電子制御装置60は、運転者のアクセルペダル74の操作に応じてエンジン12の出力を調節するために、スロットル開度TAの目標値である目標スロットル開度TA*を逐次決定し、その目標スロットル開度TA*にスロットル開度TAが収束するようにスロットルアクチュエータ40を制御する。その目標スロットル開度TA*を決定する制御機能の要部について、図3を用いて説明する。
図3は、電子制御装置60に備えられた制御機能の要部を説明するための機能ブロック線図である。図3に示すように、電子制御装置60は、ペダル上限スロットル開度決定部としてのペダル上限スロットル開度決定手段90と、運転点上限スロットル開度決定部としての運転点上限スロットル開度決定手段92と、許可上限スロットル開度決定部としての許可上限スロットル開度決定手段94と、目標スロットル開度決定部としての目標スロットル開度決定手段96と、駆動制御部としての駆動制御手段98とを機能的に備えている。
本実施例では、目標スロットル開度TA*の上限値として、アクセル開度PAに基づく第1のスロットル開度上限値であるペダル上限スロットル開度ULTAp*と、燃費最適線Lef(図5参照)に基づく第2のスロットル開度上限値である運転点上限スロットル開度ULTAe*とが算出される。そして、それらのスロットル開度上限値ULTAp*,ULTAe*のうち大きい方が最終的に目標スロットル開度TA*の上限値として採用される。ペダル上限スロットル開度決定手段90は、目標スロットル開度TA*に対する2つの上限値ULTAp*,ULTAe*のうち、ペダル上限スロットル開度ULTAp*を逐次決定する。具体的に、ペダル上限スロットル開度決定手段90は、アクセル開度センサ72によりアクセル開度PAを逐次検出しており、そのアクセル開度PAに基づいて、図4に示すようなアクセル開度PAとペダル上限スロットル開度ULTAp*との予め実験的に設定された関係であるペダル上限スロットル開度マップからペダル上限スロットル開度ULTAp*を逐次算出する。その図4に示すペダル上限スロットル開度マップでは、アクセル開度PAが大きいほどペダル上限スロットル開度ULTAp*も大きくなる。すなわち、ペダル上限スロットル開度ULTAp*はアクセル開度PAが零であれば零であり、アクセル開度PAがそのアクセル開度PAの最大値(=100%)であればスロットル開度TAの最大値(=100%)になる。また、図4に示すペダル上限スロットル開度マップは、アクセル開度PAとペダル上限スロットル開度ULTAp*との関係が比例関係であっても差し支えないが、本実施例では非線形になっている。このペダル上限スロットル開度マップは、例えば、アクセルペダル74を踏み込んだ運転者が期待する車両加速を実現できるスロットル開度TAがペダル上限スロットル開度ULTAp*とされるように、予め実験的に設定されている。なお、図4から判るように、エンジン回転速度Neはペダル上限スロットル開度ULTAp*を決定するためのパラメータには含まれておらず、ペダル上限スロットル開度ULTAp*はエンジン回転速度Neとは無関係に決定される。
運転点上限スロットル開度決定手段92は、エンジン回転速度センサ62によりエンジン回転速度Neを逐次検出しており、そのエンジン回転速度Neと予め実験的に設定されているエンジン12の燃費最適線Lefとに基づいて運転点上限スロットル開度ULTAe*を逐次決定する。すなわち、その運転点上限スロットル開度ULTAe*は、燃費悪化を抑え且つエンジン振動などを抑えるために定められる。その運転点上限スロットル開度ULTAe*の決定方法を説明するための図が図5に示されている。図5において、燃費最適線Lefは、例えばエンジン12の定常運転状態において、エンジン12の燃料消費率が所定のエンジン出力の下で最小となるエンジン12の動作点(運転点)を前記所定のエンジン出力を変化させて連ねた曲線であり、実験的に求められるものである。また、図5の実線L1efで示すように、燃費最適線Lefとは別のエンジン動作曲線が予め実験的に設定されている。この実線L1efで表されたエンジン動作曲線は、燃費最適線Lefを基準として燃費最適線Lefよりも高エンジントルク側に、予め定められた設定条件に従って設定されている。例えば、実線L1efで表されたエンジン動作曲線は、エンジン12が燃費最適線Lef上の動作点で駆動される場合よりも燃費が所定幅(例えば1%)だけ悪化するエンジン12の動作点(以下、エンジン動作点またはエンジン運転点という)の連なりとして形成されていてもよいし、或いは、燃費最適線Lefを高エンジントルク側に所定のトルク幅だけずらして形成されていてもよい。また、図5に表されている複数の破線LTAconはそれぞれ、一定のスロットル開度TAの下でのエンジン回転速度NeとエンジントルクTeとの関係を示しており、高エンジントルク側の破線LTAconであるほどその破線LTAconに対応するスロットル開度TAは大きくなる。
この図5において、例えば実線L1efで表されたエンジン動作曲線が用いられる場合、横軸であるエンジン回転速度Neが与えられれば縦軸であるエンジントルクTeが定まるが、複数の破線LTAconが図5に表されていることから明らかなように、実線L1efで表されたエンジン動作曲線と破線LTAconとからスロットル開度TAも定まる。そこで、運転点上限スロットル開度決定手段92は、燃費最適線Lefに基づいて、詳細にはその燃費最適線Lefを基準とする前記実線L1efで表されたエンジン動作曲線に基づいて、且つエンジン回転速度Neに基づいて、そのエンジン動作曲線(実線L1ef)が示すスロットル開度TAを求め、その求めたスロットル開度TAを運転点上限スロットル開度ULTAe*として決定する。
許可上限スロットル開度決定手段94は、ペダル上限スロットル開度決定手段90からペダル上限スロットル開度ULTAp*を取得すると共に、運転点上限スロットル開度決定手段92から運転点上限スロットル開度ULTAe*を取得する。そして、そのペダル上限スロットル開度ULTAp*と運転点上限スロットル開度ULTAe*とを相互に比較し、それらの上限スロットル開度ULTAp*,ULTAe*のうちの大きい方を、目標スロットル開度TA*に対する最終的な上限値すなわち許可上限スロットル開度ULTA*として決定する。例えば、ペダル上限スロットル開度ULTAp*の方が運転点上限スロットル開度ULTAe*よりも大きければ、許可上限スロットル開度決定手段94は、ペダル上限スロットル開度ULTAp*を許可上限スロットル開度ULTA*とする。その一方で、ペダル上限スロットル開度ULTAp*が運転点上限スロットル開度ULTAe*以下であれば、許可上限スロットル開度決定手段94は、運転点上限スロットル開度ULTAe*を許可上限スロットル開度ULTA*とする。
図6は、許可上限スロットル開度ULTA*とペダル上限スロットル開度ULTAp*および運転点上限スロットル開度ULTAe*との関係を、エンジン回転速度Neと目標スロットル開度TA*との二次元座標に表した図、すなわち目標スロットル開度許容マップである。この図6は、アクセル開度PAが或る大きさであるときの目標スロットル開度許容マップである。図6において、破線L01はペダル上限スロットル開度ULTAp*を示すものであり、破線L02は運転点上限スロットル開度ULTAe*を示すものであり、実線L03は許可上限スロットル開度ULTA*を示すものである。図6の実線Lefは、スロットル開度TAが目標スロットル開度TA*に一致するものとして、図5に示す燃費最適線Lefを座標変換して図6の座標系に表したものである。図6では、実線L03は破線L01又は破線L02と重複するが、見易い図示とするために敢えてずらして表示されている。
図6の破線L01から判るように、ペダル上限スロットル開度ULTAp*は、アクセル開度PAが一定である限りエンジン回転速度Neに拘らず一定である。その一方で、運転点上限スロットル開度ULTAe*は、破線L02で示されるように、エンジン回転速度Neが高いほど大きく決定される。従って、両方の上限スロットル開度ULTAp*,ULTAe*が互いに等しくなるエンジン回転速度Ne(図6のNeb)を境に、そのエンジン回転速度Nebよりも低エンジン回転速度側ではペダル上限スロットル開度ULTAp*が運転点上限スロットル開度ULTAe*以上になる。すなわち、ペダル上限スロットル開度ULTAp*が許可上限スロットル開度ULTA*とされる。その一方で、前記エンジン回転速度Nebよりも高エンジン回転速度側では運転点上限スロットル開度ULTAe*がペダル上限スロットル開度ULTAp*以上になる。すなわち、運転点上限スロットル開度ULTAe*が許可上限スロットル開度ULTA*とされる。そして、目標スロットル開度TA*は、実線L03で示される許可上限スロットル開度ULTA*以下の範囲内の値、すなわち、図6の領域A01で示される範囲内の値をとり得る。
目標スロットル開度決定手段96は目標スロットル開度TA*を逐次決定する。但し、許可上限スロットル開度決定手段94から許可上限スロットル開度ULTA*を逐次取得し、その許可上限スロットル開度ULTA*以下に目標スロットル開度TA*を制限する。そのために、目標スロットル開度決定手段96は、先ず、許可上限スロットル開度ULTA*による制限を外した目標スロットル開度TA*に相当するベース目標スロットル開度TAb*を決定する。そのベース目標スロットル開度TAb*が決定される過程が図7に表されている。
図7は、目標スロットル開度決定手段96がベース目標スロットル開度TAb*を決定する過程を説明するためのブロック図である。目標スロットル開度決定手段96は、出力軸回転速度センサ68により車速Vを逐次検出すると共にアクセル開度センサ72によりアクセル開度PAを逐次検出する。そして、図7に示すように、その車速Vとアクセル開度PAとに基づいて、車両8の駆動力Fcの目標値である目標駆動力Fc*と、無段変速機18の変速比γの目標値である目標変速比γ*とを決定する。例えば、目標駆動力Fc*は、アクセルペダル74を踏み込んだ運転者が期待する駆動力Fcが発生させられるように予め実験的に設定された関係すなわち目標駆動力マップから決定される。また、無段変速機18の目標変速比γ*は、目標駆動力Fc*が得られるエンジン出力(単位は例えばkW)をエンジン12が発生する場合にエンジン12の燃料消費率が可及的に小さくなるように予め実験的に設定された関係すなわち目標変速比マップから決定される。例えばその目標変速比マップは一般的に知られたマップであり、車速Vが低いほど又はアクセル開度PAが大きいほど目標変速比γ*が大きくなるように設定されている。目標スロットル開度決定手段96は、上述のように目標変速比γ*を決定するので、目標変速比決定手段としても機能すると言える。
目標スロットル開度決定手段96は、目標駆動力Fc*と目標変速比γ*とを決定すると、その目標駆動力Fc*と目標変速比γ*とに基づいて、エンジントルクTeの目標値である目標エンジントルクTe*を算出する。その目標エンジントルクTe*は、無段変速機18の変速比γが目標変速比γ*であるときに目標駆動力Fc*に対応するエンジントルクTeである。言い換えれば、目標エンジントルクTe*は、目標変速比γ*および駆動輪24の直径などを加味して、目標駆動力Fc*をエンジントルクTeに換算して算出されるものである。また、目標スロットル開度決定手段96は、車速Vと目標変速比γ*とに基づいて、エンジン回転速度Neの目標値である目標エンジン回転速度Ne*を算出する。その目標エンジン回転速度Ne*は、無段変速機18の変速比γが目標変速比γ*であるときに車速Vに対応するエンジン回転速度Neである。言い換えれば、目標エンジン回転速度Ne*は、目標変速比γ*および駆動輪24の直径などを加味して、車速Vをエンジン回転速度Neに換算して算出されるものである。
目標スロットル開度決定手段96は、目標エンジン回転速度Ne*と目標エンジントルクTe*とを算出すると、その目標エンジン回転速度Ne*と目標エンジントルクTe*とに基づいてベース目標スロットル開度TAb*を決定する。具体的に説明すると、スロットル開度TAに応じたエンジン回転速度NeとエンジントルクTeとの関係である一般的に知られたエンジン駆動特性が予め実験的に求められており、目標スロットル開度決定手段96は、目標エンジン回転速度Ne*及び目標エンジントルクTe*をそれぞれ前記エンジン駆動特性にエンジン回転速度Ne及びエンジントルクTeとして与え、そのエンジン駆動特性から得られたスロットル開度TAをベース目標スロットル開度TAb*として決定する。このベース目標スロットル開度TAb*は許可上限スロットル開度ULTA*以下であることを条件に、そのまま目標スロットル開度TA*としてエンジン12の駆動制御に用いられる。また、目標変速比γ*は、無段変速機18(T/M)の変速制御に用いられる。
目標スロットル開度決定手段96は、図7を用いて説明したようにベース目標スロットル開度TAb*を決定すると、そのベース目標スロットル開度TAb*と許可上限スロットル開度ULTA*とを互いに比較し、そのベース目標スロットル開度TAb*と許可上限スロットル開度ULTA*との小さい方を目標スロットル開度TA*として決定する。このようにして、目標スロットル開度決定手段96は、目標スロットル開度TA*を許可上限スロットル開度ULTA*以下に制限する。
駆動制御手段98は、エンジン12の駆動制御を行うと共に、無段変速機18の変速制御を行う。例えば、駆動制御手段98は、そのエンジン12の駆動制御では、目標スロットル開度決定手段96から目標スロットル開度TA*を逐次取得し、スロットルセンサ70により検出されるスロットル開度TAが目標スロットル開度TA*に収束するようにスロットルアクチュエータ40を制御する。詳細に言えば、スロットル開度TAと目標スロットル開度TA*との差(偏差)を逐次算出し、その差が零に近づくようにスロットルアクチュエータ40を作動させるフィードバック制御を行う。
また、駆動制御手段98は、無段変速機18の変速制御では、目標スロットル開度決定手段(目標変速比決定手段)96から目標変速比γ*を逐次取得すると共に、入力軸回転速度センサ66により検出される入力軸回転速度Ninと出力軸回転速度センサ68により検出される出力軸回転速度Noutとに基づいて無段変速機18の変速比γを逐次算出する。そして、その変速比γが目標変速比γ*に収束するように、油圧制御回路84に指令して入力側可変プーリ42の有効径と出力側可変プーリ46の有効径とを制御する。このようにしてエンジン12の駆動制御および無段変速機18の変速制御が行われることで、効率良く目標駆動力Fc*が得られるようにエンジン12と無段変速機18とが作動させられる。
図8は、電子制御装置60の制御作動の要部、すなわち、アクセル開度PA及び車速Vに基づいて目標スロットル開度TA*を決定する制御作動を説明するためのフローチャートであり、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行される。この図8に示す制御作動は、単独で或いは他の制御作動と並列的に実行される。
先ず、ペダル上限スロットル開度決定手段90および目標スロットル開度決定手段96に対応するステップ(以下、「ステップ」を省略する)SA1においては、アクセル開度センサ72により現在のアクセル開度PAが検出される。言い換えれば、アクセル開度センサ72から得られる信号に基づいてアクセル開度PAが決定される。このとき、アクセル開度PAは、アクセルペダル74の操作角度に対して非線形の関係で決定されてもよいし、線形の関係で決定されてもよい。また、SA1では、出力軸回転速度センサ(車速センサ)68により現在の車速Vが検出される。SA1の次はSA2に移る。
目標スロットル開度決定手段96に対応するSA2においては、図7に示すように、目標駆動力Fc*と無段変速機18の目標変速比γ*とが、前記SA1で検出された車速V及びアクセル開度PAに基づいて算出される。そして、ベース目標スロットル開度TAb*が、その目標駆動力Fc*と目標変速比γ*とに基づいて算出される。例えば運転者は大きい駆動力を要求するときほどアクセルペダル74を大きく踏み込むので、目標駆動力Fc*はアクセル開度PAが大きいほど大きくなる。SA2の次はSA3に移る。
ペダル上限スロットル開度決定手段90に対応するSA3においては、ペダル上限スロットル開度ULTAp*が、前記SA1で検出されたアクセル開度PAに基づいて、図4のペダル上限スロットル開度マップから算出される。SA3の次はSA4に移る。
運転点上限スロットル開度決定手段92に対応するSA4においては、エンジン回転速度センサ62によりエンジン回転速度Neが検出され、運転点上限スロットル開度ULTAe*が、そのエンジン回転速度Neに基づいて、図5の実線L1efで表されたエンジン動作曲線から算出される。SA4の次はSA5に移る。
SA5においては、ペダル上限スロットル開度ULTAp*が運転点上限スロットル開度ULTAe*よりも大きいか否かが判断される。このSA5の判断が肯定された場合、すなわち、ペダル上限スロットル開度ULTAp*が運転点上限スロットル開度ULTAe*よりも大きい場合には、SA6に移る。一方、このSA5の判断が否定された場合には、SA7に移る。
SA6においては、許可上限スロットル開度ULTA*が、ペダル上限スロットル開度ULTAp*とされる。SA6の次はSA8に移る。
SA7においては、許可上限スロットル開度ULTA*が、運転点上限スロットル開度ULTAe*とされる。SA7の次はSA8に移る。なお、SA5からSA7は許可上限スロットル開度決定手段94に対応する。
目標スロットル開度決定手段96に対応するSA8においては、ベース目標スロットル開度TAb*と許可上限スロットル開度ULTA*とのうち小さい方が、目標スロットル開度TA*として決定される。このようにして、SA8において目標スロットル開度TA*が許可上限スロットル開度ULTA*以下に制限される。
本実施例によれば、電子制御装置60は、図7に示すように、目標駆動力Fc*と無段変速機18の目標変速比γ*とに基づいてエンジン12の目標スロットル開度TA*を決定する。そして、アクセル開度PAに基づいて決まるペダル上限スロットル開度ULTAp*(第1のスロットル開度上限値)と、エンジン12の予め設定されている燃費最適線Lef(図5,図6参照)に基づいて決まる運転点上限スロットル開度ULTAe*(第2のスロットル開度上限値)とのうちの大きい方の上限スロットル開度(スロットル開度上限値)以下に、前記目標スロットル開度TA*を制限する。従って、その目標スロットル開度TA*の大きさが少なくともペダル上限スロットル開度ULTAp*までは許容されるので、運転者のアクセル操作を直ちにエンジン12の駆動に反映させ易いという利点がある。また、運転点上限スロットル開度ULTAe*がペダル上限スロットル開度ULTAp*を上回る場合には目標スロットル開度TA*はその運転点上限スロットル開度ULTAe*によって制限されるので、エンジン12の動作点が前記燃費最適線Lefから大きく乖離することが抑制される。要するに、ペダル上限スロットル開度ULTAp*または運転点上限スロットル開度ULTAe*が用いられることで、運転者のアクセル操作をエンジン12の駆動に反映させつつそのエンジン12の燃費悪化を抑制できる。例えば、無段変速機18の変速制御を実行する油圧変化がアクセルペダル74の踏込操作に対して遅れた場合には、その油圧変化の遅れに対してエンジントルクTeを補償することが可能であり、それにより良好な応答性が確保される。また、目標スロットル開度TA*は運転点上限スロットル開度ULTAe*が許容する限りペダル上限スロットル開度ULTAp*を超えることが可能であるので、更なるアクセルペダル74の強い踏込操作に対しても、運転者の意思を反映させつつ良好な応答性が確保される。なお、ペダル上限スロットル開度ULTAp*が運転点上限スロットル開度ULTAe*を上回る場合には、目標スロットル開度TA*は、ペダル上限スロットル開度ULTAp*以下の範囲内で運転点上限スロットル開度ULTAe*を上回ることもあるが、運転者が大きくアクセルペダル74を踏み込んだときに加速意思が燃費性能よりも重視されるだけであるので、特に問題はない。
また、本実施例によれば、車両用駆動装置10に含まれる自動変速機は無段変速機18である。従って、その自動変速機が仮に有段変速機である場合と比較して、エンジン12を最適燃費線Lefに従って駆動し易いという利点がある。
また、本実施例によれば、図5に示すように、運転点上限スロットル開度ULTAe*は、燃費最適線Lefを基準としてその燃費最適線Lefよりも高エンジントルク側に設定されたエンジン動作曲線(実線L1ef)により決定される。従って、エンジン12の動作点が燃費最適線Lef上になるようにエンジン12を駆動するときのスロットル開度TAに対して、十分な余裕をもって運転点上限スロットル開度ULTAe*を決定することができる。そのため、エンジン12の動作点が燃費最適線Lef上またはその燃費最適線Lef近傍に位置するようにエンジン12を駆動し易いという利点がある。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
例えば、前述の実施例において、車両用駆動装置10はトルクコンバータ14を備えているが、そのトルクコンバータ14を備えていない構成であっても差し支えない。
また、前述の実施例において、車両用駆動装置10は自動変速機として無段変速機18を備えているが、例えば、その無段変速機18はベルト式ではなくトロイダルコーン式の無段変速機であっても差し支えない。
また、前述の実施例において、運転点上限スロットル開度ULTAe*は、燃費最適線Lefを基準とする前記実線L1ef(図5参照)で表されたエンジン動作曲線から決定されるが、前記燃費最適線Lefを基準として設定された他のエンジン動作曲線から決定されることも考え得る。例えば、運転点上限スロットル開度ULTAe*は前記燃費最適線Lefそのものから決定されることも考え得る。
また、前述の実施例において、図8のフローチャートに示す制御作動は、ロックアップクラッチ26が係合状態であるときに実行されるのが好ましいが、ロックアップクラッチ26が解放状態であるときに実行されてもよい。
また、前述の実施例において、図5および図6の横軸にはエンジン回転速度Neが採用されているが、その横軸のパラメータをエンジン回転速度Neから車速Vに置き換えることも可能である。