以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
なお、以下の説明で参照する図は、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材ないし部分の縦横の縮尺は実際のものとは異なる模式図である。
(液体噴射装置)
まず、液体噴射装置10の構成について説明する。
図1は、液体噴射装置10の主要構成を示した説明図である。液体噴射装置10は、水や生理食塩水などの液体をパルス状に噴射する脈動発生部100と、液体を脈動発生部100に供給する液体供給手段300と、噴射する液体を収容する液体容器306と、脈動発生部100及び液体供給手段300の動作を制御する噴射制御手段としての制御部200と、から構成されている。
脈動発生部100は、第2ケース106と第1ケース108とを重ねてネジ止め等により着脱可能に固定された構造であり、第2ケース106の第1ケース108と合わさる面とは反対側の面には円管形状の液体噴射管104が接続され、液体噴射管104の先端にはノズル105が設けられている。
第2ケース106と第1ケース108との合わせ面には、液体が充填される液体室110が設けられており、この液体室110は、液体噴射管104を介してノズル105に接続されている。また、第1ケース108の内部には、積層型の圧電素子112が設けられており、制御部200から駆動電圧波形を印加して圧電素子112を伸縮駆動することにより、液体室110の容積を変動させて、液体室110内の液体をノズル105からパルス状に噴射することが可能となっている。なお、脈動発生部100の詳細な構成については、図2を参照して後述する。
液体供給手段300は、第1接続チューブ302を介して液体容器306と接続されており、液体容器306から吸い上げた液体を、第2接続チューブ304を介して脈動発生部100の液体室110に供給する。本実施形態の液体供給手段300は、図示は省略するが、2つのピストンがシリンダー内で摺動する構成となっており、双方のピストンの移動速度を適切に制御することで、脈動発生部100に向かって液体を安定して圧送することが可能である。
制御部200は、脈動発生部100に内蔵された圧電素子112の動作や、液体供給手段300の動作を制御している。本実施形態の液体噴射装置10では、液体供給手段300から供給する液体の流量や、圧電素子112に印加する駆動電圧の波形、最大電圧値及び周波数を変更することによって、ノズル105からの液体の噴射態様を変化させることが可能である。
続いて、脈動発生部100の構成について代表的な実施例をあげ説明する。
(第1実施例)
図2は、第1実施例に係る脈動発生部100を示す組立分解図である。脈動発生部100は、第2ケース106と第1ケース108とを合わせてネジ止めによって固定されている。よって、第2ケース106と第1ケース108とは着脱可能である。第1ケース108には、第2ケース106と合わさる面の中央位置に、第1ケース108を貫通する円形断面の貫通穴108hが形成されている。この貫通穴108hには、圧電素子112が収納され、更に、貫通穴108hの第2ケース106と合わさる面とは反対側の開口部は第3ケース118によって塞がれている。圧電素子112は、多数の圧電体を重ねて柱状にした積層型の圧電素子で構成されており、圧電素子112の一端は第3ケース118に固定されている。また、圧電素子112の他端には、金属板などで形成された円形の補強板116が固着されている。なお、液体室110の容積を減少させる本実施例の圧電素子112及び補強板116は、「容積変更部」に相当する。
第2ケース106には、第1ケース108と合わさる面に、円形の浅い凹部106cが形成されている。凹部106cの周縁の位置には、第2ケース106に接続された第2接続チューブ304と連通する入口流路106aが開口されている。また、凹部106cのほぼ中央位置には、液体噴射管104に連通する出口流路106bが開口されている。
第2ケース106の凹部106cには、円形断面のチューブ120で形成された液体室110が配置されている。なお、本実施例の脈動発生部100では、液体室110を金属製のチューブで形成しているが、チューブ120の材料は可撓性を有すれば金属に限定されるわけではなく、樹脂製のチューブであってもよい。また、チューブ120の断面形状は、円形に限られるわけではなく、角形や楕円であってもよい。
続いて、液体室110の構成を図3を参照して説明する。
図3は、第1実施例に係る液体室110の構成を示す説明図である。なお、図3では、液体室110を第1ケース108側から見た状態を示している。図示するように、液体室110は、チューブ120を渦巻き形状に巻回して略円形に形成されており、多重に巻回されたチューブ120の巻回毎の間には、所定の隙間が設けられている。
この渦巻き形状のチューブ120の最外周の径は、円形の補強板116の外径よりも小さく設定されている。更に、チューブ120の外周側端部及び中央側端部は、第2ケース106に向けて折り曲げられている(図2、参照)。なお、本実施例では、液体室110を形成する渦巻き形状のチューブ120の外周側端部の開口部を「流入口110a」とし、中央側端部の開口部を「流出口110b」とする。
このように構成される液体室110は、図2に示すように、流入口110aを入口流路106aに接続し、流出口110bを出口流路106bに接続した状態で、第2ケース106の凹部106cに設置される。第2ケース106と第1ケース108とを合わせてネジ止めすると、チューブ120の一方の側面が第2ケース106の凹部底面106dに接し、チューブ120の他方の側面が補強板116に接して、凹部底面106dと補強板116との間にチューブ120が挟まれた状態となる。
上述したように、チューブ120は、一方の側面が第2ケース106の凹部底面106dに当接されており、他方の側面が補強板116と当接されている。詳しくは後述するが、本実施例の脈動発生部100では、駆動電圧波形が印加されずに圧電素子112が伸長していない状態でも、補強板116を介して圧電素子112がチューブ120の側面を押圧した状態となるように、補強板116の厚さ等が設定されている。但し、この押圧量は、駆動電圧波形を印加し圧電素子112が伸長したときの押圧量よりも小さく、補強板116がチューブ120に接触した隙間「0」の状態であってもよい。
図2に示すように、第2ケース106の第1ケース108と合わさる面とは反対側の面には、液体噴射管104が接続されており、この液体噴射管104の内径は、出口流路106bの内径に比べて大きく設定されている。また、液体噴射管104の先端には、出口流路106bよりも内径が小さく設定された液体噴射開口部を有するノズル105が挿着されている。従って、液体室110内で加圧された液体が噴射されるまでの流路は、出口流路106bを通って液体噴射管104に到ると断面積が広くなり、液体噴射管104の先端のノズル105の部分で再び断面積が狭くなるようになっている。
ここで、第1ケース108と、第3ケース118と、圧電素子112と、補強板116と、がそれぞれ固着されている構成を容積変更ユニット101とする。第2ケース106と、ノズル105を含む液体噴射管104と、チューブ120と、がそれぞれ固着または挿着されている構成を噴射ユニット102とする。
容積変更ユニット101と噴射ユニット102とは、第1ケース108と第2ケース106との合わせ面においてネジ固定等によって、着脱可能な構成である。
以上のように構成された脈動発生部100では、圧電素子112に駆動電圧波形を印加して伸縮駆動させることによって、ノズル105から液体をパルス状に噴射することが可能である。以下に、脈動発生部100が液体を噴射する動作について説明する。
図4及び図5は、第1実施例における脈動発生部100が液体を噴射する動作を模式的に示した説明図であり、図4は駆動電圧波形を圧電素子112に印加しない状態を表し、図5は駆動電圧波形を圧電素子112に印加した状態を表している。
まず、図4を参照して圧電素子112を駆動していない状態を説明する。図4(a)は脈動発生部100の部分断面図、図4(b)は液体室110の平面図である。この状態では、図4(a)に示すように、液体供給手段300から第2接続チューブ304を介して脈動発生部100に供給される液体が入口流路106aを通って液体室110へと流入し、液体室110内が液体で満たされる。なお、図4(a)に示す破線の矢印は、液体の流れを表している。
図4(b)に示すように液体室110は、チューブ120を渦巻き形状に巻回されることで渦巻き流路が形成されており、入口流路106aと接続された周縁部の流入口110aから流入した液体は、チューブ120に沿って旋回しながら、出口流路106bに接続された中央の流出口110bへと導かれる。なお、図4(b)にて示す破線の矢印は、液体の流れを表している。チューブ120の渦巻き流路の断面積はほぼ一定であることから、液体室110内の液体の流れは、流入口110aから流出口110bまでほぼ均一な流速で流動させることができる。
前述したように、液体供給手段300からは液体がほぼ一定の安定した圧力で供給されるので、液体室110内が液体で満たされると、圧電素子112が駆動していなくても、液体室110内の液体が流出口110bから出口流路106bを通ってノズル105に向けて押し出される。
次に、図5を参照して圧電素子112を駆動している状態を説明する。図5(a)は脈動発生部100の部分断面図、図5(b)は液体室110の平面図である。
液体室110が液体で満たされた状態で、圧電素子112に駆動電圧波形が印加されると、図5(a)に示すように、圧電素子112が駆動電圧の増加によって伸長し、補強板116を介してチューブ120の側面を第2ケース106の凹部底面106dに向けて押圧する。このため、チューブ120の断面が円形から楕円に変形して液体室110の容積が減少する。その結果、液体室110内の液体が加圧される。
なお、液体室110を形成するチューブ120の最外周の径は、補強板116の外径よりも小さく設定されているので、液体室110の渦巻き流路全体が押圧された状態になる。また、チューブ120は、巻回毎に所定の隙間を空けて巻かれているが、押圧されて変形すると、互いに密着した状態、または隙間が縮小された状態となる。こうして液体室110内で加圧された液体は、図5(a)中に破線の矢印で示したように、流出口110bに接続された出口流路106b、及び液体噴射管104を介して、ノズル105から噴射される。
液体室110には、流入口110aに接続される入口流路106a、及び流出口110bに接続される出口流路106bの2つの流路が接続されている。従って、液体室110内で加圧された液体は、出口流路106bだけでなく、入口流路106aにも流出しようとすると考えられる。しかし、流路における液体の流れ易さは、流路の断面積や流路の長さ等によって定まる。例えば、流出口110bの直径を1mm程度、流入口110aの流路直径を0.3mm程度のキャピラリー形状にすると、単位時間当たりの流量の変化は断面積に比例し、長さに反比例するので、大半の液体を出口流路106bへ流出させることが可能である。
さらに、入口流路106aには、液体供給手段300から圧送される液体が液体室110内に流入しようとすることから液体室110内の液体の逆流を妨げる。出口流路106bには、液体室110内の液体の流出を妨げる抵抗となる要素や慣性を増加させる要素は少ない。そのため、液体室110内で加圧された液体は、もっぱら出口流路106bに流出して、液体噴射管104を介して先端のノズル105から噴射される。
図5(b)に示すように、液体室110の渦巻き流路は、チューブ120を渦巻き形状に巻回して形成されており、液体室110内で加圧された液体は、渦巻き形状のチューブ120に沿って中央の流出口110bへと移動する。このとき、多重に巻回されたチューブ120のうち、中央の流出口110bから離れた最外周の部分では、移動する液体はわずかであるものの、流出口110bに近づくにつれて流量が増加して、流出口110bに近い部分では、液体室110の容積減少分に相当する液体が一気に移動して流出口110bから押し出される。その結果、出口流路106b及び液体噴射管104を介して、ノズル105から液体が高速噴射される。
続いて、駆動電圧を減少させると圧電素子112が収縮して元の長さに戻る。すると、液体室110を形成するチューブ120は、圧電素子112による押圧が弱まるので、チューブ120の復元力によって断面が楕円から円形に戻って、液体室110の容積が元の容積に復元する。その結果、液体供給手段300から供給される液体がチューブ120に沿って流れて液体室110内を満たすことで、図4に示した圧電素子112が駆動する前の状態に復帰する。
その後、再び駆動電圧の増加により圧電素子112が伸長すると、図5に示したように液体室110内で加圧された液体がノズル105から噴射される。こうした動作を繰り返すことによって、第1実施例における脈動発生部100では、パルス状の噴流を周期的に発生させることが可能となっている。
なお、前述したように、脈動発生部100は、駆動電圧波形が印加されず圧電素子112が伸長していない状態でも、液体室110を形成するチューブ120の側面に押圧がかかるようになっていることが好ましい。これは、次のような理由によるものである。
積層型の圧電素子で構成される圧電素子112は、外部からの圧縮力に対しては強いが引張力に対しては弱いという特性がある。そして、圧電素子112が収縮する際には、素子自体の質量等に起因する慣性力により圧電素子112に引張方向の力がかかり易いことから、圧電素子112に層間剥離などの破損が生じるおそれがある。そこで、圧電素子112が収縮した状態でも、チューブ120で形成された液体室110の側面に押圧がかかるようにしておけば、その反力として、圧電素子112にはチューブ120の復元力による圧縮方向の力が常に作用することになるので、圧電素子112にかかる引張方向の力を軽減することができる。その結果、引張力の作用による圧電素子112の破損の発生を低減することが可能となる。
以上説明した第1実施例によれば、入口流路106aと出口流路106bとの間に、断面積がほぼ一定の渦巻き形状の液体室110を形成しておけば、液体室110内の液体の流れは、渦巻き流路に沿うほぼ一定の流速に規制されるので、流れの遅い箇所に気泡が滞留することを抑制し、液体室内の気泡を出口流路106bから容易に排出できる。その結果、気泡の影響を受けること無く、液体室110内の圧力を十分高めることができ、安定した液体の噴射を維持することが可能となる。
また、圧電素子112を伸長させない状態においても、液体室110を押圧する状態にしておけば、その押圧の反力として、圧電素子112に対して圧縮方向の力を予め作用させておくことができる。これにより、圧電素子112に引張方向の力がかかる際には、その引張方向の力が軽減されるので、引張力の作用による圧電素子112の破損の発生を低減することが可能となる。
さらに、圧電素子112を伸長させない状態においても、液体室110を押圧する状態にすれば、圧電素子112が伸長し始めたときに直ちに液体室110の容積を減少させる。よって、圧電素子112の伸長と液体室110の容積減少との間にストロークロスがなく、効率よく液体噴射が行えるという効果もある。
また、入口流路106aの断面積を出口流路106bの断面積より小さく設定することにより、入口流路106aへの逆流を抑えて液体室110内の圧力を高め、断面積の大きい流出口110bからの流出をし易くすることができる。このようにすれば、入口流路106aにチェック弁等を設けなくても逆流を抑えることができる。
さらに、噴射ユニット102と容積変更ユニット101とを、着脱可能な構成にしている。噴射ユニット102は、たとえば、水、食塩水、あるいは薬液等の液体を流動させるユニットであって、液体噴射装置10を手術具として用いる場合には、血液や体液等に接触することがある。そこで、噴射ユニット102を容積変更ユニット101から取り外して使い捨てにすれば、安全性を高めることができる。
また、液体に接触しない容積変更ユニット101は、繰り返し使用が可能であって、噴射ユニット102に比べて高コストであることから、容積変更ユニット101を繰り返し使用することでランニングコストを低減することができる。
液体室110は、渦巻き形状に巻回された可撓性を有するチューブ120によって形成された渦巻き流路を有している。このように、チューブ120によって液体室110を形成する構成では、入口流路106a及び出口流路106bの配置や、チューブ120の巻回形状は製造方法等によって限定されない。そのため、液体室110の設計の自由度が増し、液体噴射装置10の構造の簡略化や小型化を図ることが可能である。
また、液体室110にチューブ120を用いることで、渦巻き流路の断面積を容易にほぼ一定に規制することが可能である。
また、チューブ120は、巻回毎に隣り合う流路との間に隙間が設けられている。チューブ120は、圧電素子112によって押圧されて変形される。この際、巻回毎に隙間を設けることによって、隣り合うチューブ120が互いに押圧し合うことによる負荷の上昇を排除し、液体噴射に必要な押圧量を確保することができる。
また、流入口110aを、渦巻き形状に巻回されたチューブ120の外周側端部に配置し、流出口110bを、渦巻き形状に巻回されたチューブ120の中央側端部に配置している。このように構成する液体噴射装置10では、液体室110の中央付近の押圧力が外周部の押圧力よりも強くなる傾向がある。従って、流出口110bに向かって圧力が高まるため、液体を強く押し出すことができる。
また、流入口110aが連通する入口流路106aを液体室110の外周側端部に配置し、流出口110bが連通する出口流路106bを中央側端部に配置している。従って、液体噴射装置10を手で持って操作するような場合、液体噴射装置10のほぼ中央に出口流路106bの延長上にあるノズル105を配置できるので、操作しやすいという利点がある。
(第2実施例)
続いて、第2実施例について図面を参照して説明する。前述した第1実施例では、流入口110aが、チューブ120の外周側端部に配置され、流出口110bが、チューブ120の中央側端部に配置されていることに対して、実施形態2では、流入口110aと流出口110bの配置を入れ替えていることに特徴を有している。よって、第1実施例との相違箇所を中心に、第1実施例と同じ機能要素には同じ符号を付して説明する。
図6は、第2実施例に係る脈動発生部100の一部を示す組立分解図である。第2実施例における第1ケース108、圧電素子112、補強板116の構成は、第1実施例と同じ構成である。
一方、第2ケース106の凹部106cの中央位置には、第2ケース106に接続された第2接続チューブ304と連通する入口流路106aが開口されており、液体室110の流入口110aが接続されている。また、凹部106cの周縁位置には、液体噴射管104に連通する出口流路106bが開口されており、流出口110bが接続されている。
凹部106cには、円形断面のチューブ120で形成された液体室110が配置されている。なお、第2実施例では、これらの配置位置が異なるものの液体噴射管104及びノズル105の構成も、第1実施例と同じであるため、詳しい説明は省略する。
次に、第2実施例に係る液体室110の構成を説明する。
図7は、第2実施例に係る液体室110の構成を示す説明図である。なお、図7では、液体室110を第1ケース108側から見た状態を示している。図示するように、液体室110は、チューブ120を渦巻き形状に巻回して略円形に形成されており、多重に巻回されたチューブ120の巻回毎の互いの間には、所定の隙間が設けられている。
この渦巻き形状のチューブ120の最外周の径は、円形の補強板116の外径よりも小さく設定されている。さらに、チューブ120の外周側端部及び中央側端部は、第2ケース106に向けて折り曲げられている(図6、参照)。液体室110を形成する渦巻き形状のチューブ120の中央側端部の流入口110aは入口流路106aに接続され、外周側端部の流出口110bは出口流路106bに接続されている。
このようにチューブ120によって構成される液体室110は、第2ケース106の凹部106c内に設置される。そして、図6に示すように、第2ケース106と第1ケース108とを合わせてネジ止めすると、チューブ120の一方の側面が第2ケース106の凹部底面106dに接し、チューブ120の他方の側面が補強板116に接して、凹部底面106dと補強板116との間にチューブ120が挟まれた状態となる。
図7は、第2実施例に係る液体室110の平面図である。図示した状態は、液体供給手段300から第2接続チューブ304を介して脈動発生部100に供給される液体が入口流路106aを通って液体室110へと流入し、液体室110内が液体で満たされる状態を表している。なお、図7に示す破線の矢印は、液体の流れを表している。
液体室110は、チューブ120を渦巻き形状に巻回されることで渦巻き流路が形成されており、入口流路106aと接続された中央部の流入口110aから流入した液体は、チューブ120に沿って旋回しながら、出口流路106bに接続された周縁部の流出口110bへと導かれる。チューブ120の渦巻き流路の断面積はほぼ一定であることから、液体室110内の液体の流れは、流入口110aから流出口110bまでほぼ均一な流速で流動させることができる。
前述したように、液体供給手段300からは液体がほぼ一定の安定した圧力で供給されるので、液体室110内が液体で満たされると、圧電素子112が駆動していなくても、液体室110内の液体が流出口110bから出口流路106bを通って液体噴射管104に向けて押し出される。
図8は、第2実施例に係る圧電素子112を駆動して液体室110を押圧している状態を示す部分断面図である。なお、図8は図示を分かり易くするために補強板116の変形を拡大して表している。
液体室110が液体で満たされた状態で、圧電素子112に駆動電圧波形が印加されると、第1実施例と同様に、圧電素子112が駆動電圧の増加によって伸長し、チューブ120を押圧する。補強板116は、チューブ120の巻回された外周径と同じか大きい外径を有し、圧電素子112は補強板116の外径よりも小さい。
チューブ120と補強板116と圧電素子112とがこのような関係にある場合、チューブ120を押圧すると、図8に示すように、流入口110aが配設される中央部を中心にして補強板116の外周縁が反るため、中央部付近では液体室110の押圧量が大きく、容積の変化が大きい。外周方向では押圧量が小さく、容積の変化が小さい。つまり、液体室110内の圧力は、中央部が高く、外周部は低くなるものと考えられる。従って、液体室110内の液体は、中央部から外周部へ強く押し出されることになる。
このように、中央部にある流入口110a付近の圧力は大きくなり、流入口110a付近の液体の戻し圧力が高くなる。しかし、流入口110aの直径が0.3mm程度のキャピラリー形状であることから液体室110から流入口110aへの逆流が抑制され、液体室110の圧力を高めることができ、強い液体噴射を得ることができる。
液体室110の渦巻き流路は、チューブ120を渦巻き形状に巻回して形成されており、液体室110内で加圧された液体は、渦巻き形状のチューブ120に沿って外周側端部の流出口110bへと移動する。このとき、流出口110bに近づくにつれて流量が増加して、流出口110bに近い部分では、液体室110の容積減少分に相当する液体が一気に移動して流出口110bから押し出される。その結果、出口流路106b及び液体噴射管104を介して、ノズル105から液体が高速噴射される。
続いて、駆動電圧を減少させると圧電素子112が収縮して元の長さに戻る。すると、圧電素子112による押圧力が弱まるので、チューブ120の復元力によって断面が楕円から円形に戻って、液体室110の容積が元の容積に復元する。その後、再び駆動電圧の増加により圧電素子112が伸長すると、液体室110内で加圧された液体がノズル105から噴射される。こうした動作を繰り返すことによって、第2実施例の脈動発生部100においても、パルス状の噴流を周期的に発生させることができる。
第2実施例による構成では、圧電素子112によってチューブ120を押圧する場合、中央部の押圧量の方が外周部の押圧量よりも大きくなる傾向がある。従って、中央部に流入口110aを配置すれば、流入口付近の圧力が高まる。この際、流入口110a及び入口流路106aの断面積が流出口110b及び出口流路106bより小さい0.3mm程度のキャピラリー形状にすれば、液体室110から流入口110aへの逆流が抑制され、液体室の圧力を高めることができ、強い液体噴射を得ることができる。
さらに、上述したように、液体が液体室110の中央部から外周側端部の出口流路106bに圧送されることから、気泡の移動がし易くなり、その結果、気泡の排除性をより高めることができる。
(変形例)
以上に説明した第1実施例及び第2実施例では、液体室110がチューブ120を渦巻き形状に巻回して略円形に形成されている。しかし、チューブ120で形成される液体室110の形状は、圧電素子112の伸長によってチューブ120の全体を押圧可能な形状であれば、これに限られるわけではない。以下では、上述した実施例とは異なる形状の液体室110を採用した変形例について説明する。なお、変形例の説明にあたっては、前述した第1実施例と同様の構成部分については、先に説明した第1実施例と同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図9は、変形例に係る液体室110の形状を示す説明図である。図示されているように、変形例の液体室110は、断面積がほぼ一定の円形断面のチューブ120がつづら折りに幾重にも折り畳まれて略四角形に形成されており、折り返す部分では、チューブ120が閉塞すること無く、断面積を保持して折り曲げられている。また、四角形に折り畳まれたチューブ120の両端を成す流入口110a及び流出口110bは、それぞれ四角形の対角に位置している。
このような液体室110の形状に対応して、補強板116は四角形に形成され、且つ、補強板116の大きさは、四角形に折り畳まれたチューブ120の外縁よりも大きく設定されており、液体室110の全体を押圧可能となっている。また、図示は省略するが、変形例の第2ケース106には、第1ケース108と合わさる面に、四角形の浅い凹部106cが形成されており、凹部106cの一角には入口流路106aが開口し、その対角には出口流路106bが開口されている。
このような変形例の液体噴射装置10においても、前述した実施形態と同様に、圧電素子112が伸長すると、補強板116を介して、液体室110を形成するチューブ120の側面が押圧される。このとき、チューブ120の断面形状が変形することで液体室110の容積が減少する。その結果、液体室110内で加圧された液体をノズル105からパルス状に噴射することができる。また、流入口110aから液体室110に流入した液体は、折り畳まれたチューブ120に沿って流出口110bへと流れることから、液体室110内の液体の流れは一定の流れに規制される。そのため、流れの遅い箇所に気泡が滞留することが無く、液体室110内の気泡を速やかに排出することができる。
また、以上から明らかなように、液体室110を形成するチューブ120は、圧電素子112の伸長によって押圧可能であれば、その形状は特に限定されず、流入口110a及び流出口110bの配置も、第2ケース106に設けられる入口流路106a及び出口流路106bに合わせて設定することが可能である。このように、流入口110a及び流出口110b、ひいては入口流路106a及び出口流路106bの配置の自由度が増すことから、脈動発生部100の構造の簡略化や小型化を図ることができる。
以上、本発明の液体噴射装置10について第1実施例、第2実施例、及び変形例をあげ説明したが、本発明はこれらの実施態様に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
例えば、前述した第1実施例または第2実施例と変形例とを組み合わせて、流入口110aと流出口110bとの間で、チューブ120が巻回される箇所と折り畳まれる箇所とを形成してもよい。この場合も、前述した実施例や変形例と同様の効果を得ることができる。
また、前述した第1実施例、第2実施例、及び変形例では、チューブ120で形成される液体室110の流入口110a及び流出口110bを、第2ケース106の凹部106cに開口する入口流路106a及び出口流路106bとそれぞれ接続していた。しかし、液体室110の流入口110a側の端部を入口流路106aとチューブ120で一体に構成してもよい。
また、チューブ120の流出口110b側の端部を延設して、出口流路106b及び液体噴射管104を一体に形成し、更に、その液体噴射管104の先端を細くしぼってノズル105を形成してもよい。このようにすれば、入口流路106aからノズル105までをチューブ120で一体に構成することができるので、脈動発生部100における液体の漏れを防止することができる。なお、このような構成では、チューブ120は金属製であることが望ましい。
(第3実施例)
続いて、第3実施例について図面を参照して説明する。前述した第1実施例及び第2実施例が、渦巻き形状に巻回したチューブ120によって液体室110を形成していたことに対し、第3実施例は、液体室110を仕切壁130wを有する流路形成部材130によって形成したことを特徴とする。なお、第1実施例との共通部分については第1実施例と同じ符号を付して説明する。
図10は、第3実施例に係る脈動発生部100を示す組立分解図、図11は、流路形成部材130の形状を示す平面図である。第1ケース108には、第2ケース106と合わさる面のほぼ中央に、円形の浅い凹部108cが形成されており、凹部108cの中央位置には、第1ケース108を貫通する円形断面の貫通穴108hが形成されている。そして、凹部108cの底面には、貫通穴108hを塞ぐように、金属薄板などで形成された円形のダイアフラム114が固着されている。
ダイアフラム114によって塞がれた貫通穴108hには、圧電素子112が収納され、更に、貫通穴108hの開口部は第3ケース118によって塞がれている。また、圧電素子112とダイアフラム114との間には、円形の補強板116が挿入されている。そして、第1ケース108の貫通穴108hに圧電素子112を収納して、第3ケース118で貫通穴108hを塞いだ状態では、ダイアフラム114と補強板116、補強板116と圧電素子112、圧電素子112と第3ケース118がちょうど接するように、補強板116の厚さが設定されている。なお、圧電素子112の一端は、第3ケース118に固着されており、圧電素子112の他端は、補強板116に固着されている。また、補強板116の圧電素子112とは反対側の面は、ダイアフラム114に固着されている。
ダイアフラム114の第2ケース106と向かい合う面には、流路形成部材130が、支持板130bをダイアフラム114と重ね合わせるように凹部108cに嵌め込まれている。流路形成部材130は、支持板130bの片面に仕切壁130wが第2ケース106に向かう第1方向側に立設されている。支持板130bは、仕切壁130wが立設された面とは反対側の面がダイアフラム114に固着されており、さらに、支持板130bとダイアフラム114とを加えた厚さが凹部108cの深さと同じになるように形成されている。また、流路形成部材130は、可撓性を有する材料で変形可能に形成されている。なお、流路形成部材130の仕切壁130wの形状については、図11を参照して後述する。
一方、第2ケース106には、第1ケース108と合わさる面に、円形の浅い凹部106cが形成されている。この凹部106cの内径は、第1ケース108に嵌め込まれた流路形成部材130の支持板130bの外径より小さく、且つ、支持板130bに立設された仕切壁130wを内包可能な大きさに設定されている。また、凹部106cの深さは、仕切壁130wの高さとほぼ同じになるように設定されている。
そして、第2ケース106と第1ケース108とを合わせてネジ止めすると、第2ケース106の凹部106cと、第1ケース108側に嵌め込まれた流路形成部材130の支持板130bとによって、液体室110が形成される。さらに、流路形成部材130の仕切壁130wの第2ケース106と向かい合う第1方向側の端部は、凹部106cの凹部底面106dに固着され、液体室110の内部には、仕切壁130wによって仕切られた渦巻き形状の流路が形成される。
しかし、これとは逆に、流路形成部材130の支持板130bが第2ケース106の凹部底面106dに固着されて、第2ケース106と第1ケース108とを合わせてネジ止めした状態で、流路形成部材130の仕切壁130wの第1ケース108と向かい合う第2方向側の端部が、第1ケース108に設けられたダイアフラム114に固着されていてもよい。
第2ケース106には、第2ケース106に接続された第2接続チューブ304から供給される液体を液体室110まで導く入口流路106a、及び液体室110内で加圧された液体を液体噴射管104へと導く出口流路106bが開口されている。このうち、入口流路106aは、凹部106cの周縁の位置に開口されており、出口流路106bは、凹部106cの中央位置に開口されている。
第2ケース106の前面に接続された液体噴射管104の内径は、出口流路106bの内径に比べて大きく設定されている。また、液体噴射管104の先端には、出口流路106bよりも内径が小さく設定された液体噴射開口部を有するノズル105が挿着されている。従って、液体室110から流出した液体が進む流路は、出口流路106bを通って液体噴射管104に到ると断面積が広くなり液体噴射管104の先端のノズル105の部分で再び断面積が狭くなるようになっている。
なお、出口流路106bの内径を液体噴射管104の内径と同じにして、流出口110bを液体室110と直接接続してもよい。
ここで、第1ケース108と、第3ケース118と、圧電素子112と、補強板116と、ダイアフラム114と、がそれぞれ固着されている構成を容積変更ユニット101とする。第2ケース106と、ノズル105を含む液体噴射管104と、流路形成部材130と、がそれぞれ固着または挿着されている構成を噴射ユニット102とする。
容積変更ユニット101と噴射ユニット102とは、第1ケース108と第2ケース106との合わせ面においてネジ固定を用いることによって、着脱可能な構成である。
次に、流路形成部材130の構成について図11を参照して説明する。図11は、流路形成部材130を第2ケース106と向かい合う第1ケース108側から見た状態を示している。流路形成部材130の支持板130bは、ダイアフラム114と同一の円形に形成されており、この支持板130bの第2ケース106と向かい合う面に、支持板130bの中心部に向かって巻き込みながら旋回する渦巻き形状の仕切壁130wが立設されている。
この渦巻き形状の仕切壁130wは、最外郭の外周面が凹部106cの内周面と接するように形成されており、さらに、多重に巻かれた仕切壁130wの径方向の間隔は、ほぼ一定に設定されている。前述したように、第2ケース106と第1ケース108とを合わせてネジ止めすると、仕切壁130wによって、液体室110の内部には、周縁部から旋回しつつ中央に向かう渦巻き流路が形成される。
第2ケース106の凹部106cには、入口流路106a及び出口流路106bが接続されており、第2ケース106と第1ケース108とを適切な位置で合わせてネジ止めすると、液体室110の内部に形成される渦巻き流路の中央部分に出口流路106bが開口し、渦巻き流路の周縁側の突き当たり部分に入口流路106aが開口するようになっている。
以上のように構成された脈動発生部100では、圧電素子112に駆動電圧波形を印加して圧電素子112を伸縮駆動することによって、ノズル105から液体をパルス状に噴射することが可能となっている。以下に、脈動発生部100が液体を噴射する動作について説明する。
図12及び図13は、脈動発生部100が液体を噴射する動作を模式的に示した説明図であり、図12は駆動電圧波形を圧電素子112に印加しない状態を表し、図13は駆動電圧波形を圧電素子112に印加した状態を表している。
まず、図12を参照して圧電素子112を駆動していない状態を説明する。図12(a)は部分断面図、図12(b)は液体室110の平面図である。この状態では、図12(a)に示すように、液体供給手段300から第2接続チューブ304を介して供給される液体が入口流路106aを通って液体室110へと流入し、液体室110内が液体で満たされる。なお、図12(a)に示す破線の矢印は、液体の流れを表している。
液体室110は、仕切壁130wを渦巻き形状に形成することで渦巻き流路が形成されており、図12(b)に示す破線の矢印のように、入口流路106aから流入した液体は、仕切壁130wに沿って旋回しながら、出口流路106bへと導かれる。仕切壁130wによって形成される液体室110の渦巻き流路の断面積はほぼ一定であることから、液体室110内の液体の流れは、入口流路106aから出口流路106bまでほぼ均一な流速で流動させることができる。
液体供給手段300からは液体がほぼ一定の安定した圧力で供給されるので、液体室110内が液体で満たされると、圧電素子112が駆動していなくても、液体室110内の液体が出口流路106bを通って液体噴射管104に向けて押し出される。
次に、図13を参照して圧電素子112を駆動している状態を説明する。図13(a)は部分断面図、図13(b)は液体室110の平面図である。液体室110が液体で満たされた状態で、圧電素子112に駆動電圧波形が印加されると、図13(a)に示すように、圧電素子112が駆動電圧の増加によって伸長し、補強板116を介してダイアフラム114及び流路形成部材130の支持板130bを液体室110に向けて押圧する。このことによって、液体室110の容積が減少する。その結果、液体室110内の液体が加圧される。液体室110内で加圧された液体は、図13(a)中に破線の矢印で示したように、出口流路106b及び液体噴射管104を介して、ノズル105からパルス状に噴射される。
なお、液体室110には、入口流路106a及び出口流路106bの2つの流路が連通されている。従って、液体室110内で加圧された液体は、出口流路106bだけでなく、入口流路106aからも流出すると考えられる。しかし、流路の液体の流れ易さは、流路の断面積や流路の長さ等によって定まるので、入口流路106a及び出口流路106bの断面積や長さを適切に設定しておけば、入口流路106aよりも出口流路106bから液体が流出し易くすることが可能である。例えば、本実施例では、出口流路106bの直径は1mm程度、入口流路106aの直径は0.3mm程度のキャピラリー形状である。よって、入口流路106aからの逆流は抑制される。
入口流路106aでは、液体供給手段300から圧送される液体が液体室110内に流入しようとする流れがあるので、液体室110内の液体の流出を妨げるのに対して、出口流路106bでは、液体室110内の液体の流出を妨げる抵抗や流体慣性を増加する要素は少ない。そのため、液体室110内で加圧された液体は、もっぱら出口流路106bから流出して、液体噴射管104を介して先端のノズル105から噴射される。
第3実施例の液体室110の内部は、流路形成部材130の仕切壁130wによって渦巻き状に区画されている。しかし、圧電素子112の伸長によって液体室110の容積が減少する際には、渦巻き形状の仕切壁130wに沿って液体が流れるだけではなく、仕切壁130wが出口流路106b側に向けて変形することによって、液体室110内の液体は液体室110の中央に向かって移動するようになっている。この点について補足して説明する。
多重に巻回された渦巻き形状の仕切壁130wの最も内郭を成す仕切壁130wを例に考えると、最内郭の仕切壁130wの内側では、出口流路106bが液体室110の中央部に開口しているので、液体室110の容積が減少する際には、液体が出口流路106bから流出することによって圧力の上昇が抑えられる。
これに対して、仕切壁130wの外側では、入口流路106aはキャピラリー形状であり、液体の流出を抑制するため仕切壁130wの内側に比べて圧力が上昇することになる。仕切壁130wは、可撓性の材料で変形可能に形成されていることから、圧力の高い外側から圧力の低い内側に向けて仕切壁130wを押して変形させて、内側と外側との圧力差を減少させようとする。なお、第3実施例の仕切壁130wは、支持板130bから立設されており、且つ、先端が第2ケース106の凹部底面106dに固着されているので、図13(a)に示すように、仕切壁130wの中央部分が外側から押されて内側に撓むように変形する。
このような仕切壁130wの内側と外側との圧力差は、最内郭の仕切壁130wだけでなく、最内郭の仕切壁130wが内側に変形して外側の圧力が低下することによって、2重目の仕切壁130wにも生じ、同様に、3重目の仕切壁130wにも伝播する。従って、渦巻き形状の仕切壁130wは、全体的に液体室110の中央に向かって渦巻き流路を収縮させるように変形する。なお、仕切壁130wの変位は、図13(a)に示すように、内径の小さい最内郭の仕切壁130wが最も大きくなっている。
このように圧電素子112の伸長によって液体室110の容積が減少する際には、渦巻き形状の仕切壁130wの中央部分が液体室110の中央に向けて撓むように変形することで、液体室110内の液体は、図13(b)で示す破線の矢印方向に、液体室110の中央の出口流路106bに向かって移動しようとする。
圧電素子112の伸長によって液体室110の容積が減少すると、それとほぼ同じ分量の液体が出口流路106bに集められて押し出され、液体噴射管104の先端のノズル105から液体が噴射される。このとき、液体室110内の渦巻き形状の仕切壁130wが妨げとなって、中央の出口流路106bに周囲から十分な量の液体を集めることができないとも考えられる。しかし、第3実施例の脈動発生部100では、圧電素子112の伸長による変位量はわずかであり、1回のパルスで噴射される液体の量は、液体室110の容積に対して1/100程度であることから、仕切壁130wが液体室110の中央に向けてわずかに変形するだけで、出口流路106bに周囲から十分な量の液体が集められる。
例えば、噴射量Vを液体室110の容積の1/100として、液体室110の内半径をR、液体室110の厚さ、つまり凹部106cの深さをHとすると、
V=πR2H/100 式(1)
と表すことができる。
また、渦巻き状の仕切壁130wの最内郭の内半径をrとして、最内郭の仕切壁130wが液体室110の中央に向けて距離sだけ変位することで出口流路106bに集められて押し出された分量の液体がノズル105から噴射されるとすると、噴射量Vは、変形前の最内郭の内側の容積V1と、変形後の最内郭の内側の容積V2との差であることから、
V1=πr2H
V2=π(r−s)2H
V=V1−V2=πH{r2−(r2−2rs+s2)}
=πH(2rs−s2)
と表すことができる。
ここで、距離sがわずかな変位量であれば、s2は極めて小さな値となる。従って、
V≒2πrsH 式(2)
と近似することができる。
そして、例えば、最内郭の仕切壁130wの内半径rが液体室110の内半径Rの半分(1/2)に設定されている場合には、上記の式(1)及び式(2)の2つの式から、
2π(R/2)sH=πR2H/100 式(3)
s=R/100 式(4)
となる。従って、最内郭の仕切壁130wが液体室110の中央に向けて、液体室110の内半径の1/100というスケールでわずかに変位するだけで、噴射量に相当する液体が出口流路106bに集められる。従って、液体の噴射に際して液体室110内の渦巻き形状の仕切壁130wが妨げとなることはない。
液体を噴射した後、駆動電圧の減少によって圧電素子112は収縮して元の長さに戻る。それに伴って液体室110の容積が元の容積に復元する。また、液体供給手段300から液体室110に供給される液体が仕切壁130wに沿って流れることで液体室110内を満たし、液体室110内の仕切壁130wも元の直立した状態に復元する。その結果、図12(a)に示した圧電素子112が駆動する前の状態に復帰する。
再び駆動電圧の増加によって圧電素子112が伸長すると、図13に示したように液体室110内で加圧された液体がノズル105から噴射される。こうした動作を繰り返すことによって、第3実施例の脈動発生部100では、ノズル105から液体をパルス状に噴射することができる。
以上説明した第3実施例によれば、液体室110が、入口流路106aと出口流路106bとの間で、変形可能な仕切壁130wによって断面積がほぼ一定の渦巻き形状の流路に区画されている。そして、入口流路106aから供給される液体が液体室110に充填された状態で、圧電素子112を駆動すると、仕切壁130wが変形して液体室110の容積が減少し、液体室110内で加圧された液体が渦巻き形状の流路に沿って流れ、出口流路106bまで導かれ、出口流路106bを通ってノズル105から噴射される。従って、渦巻き流路に沿って液体が十分な速さの流速で流れるので、流れの遅い箇所に気泡が滞留することを抑制して、液体室110内の気泡を出口流路106bから速やかに排出することができる。その結果として、気泡の影響を受けることなく、液体室110内の圧力を十分高めることができ、安定した液体の噴射が可能となる。
また、液体室110の内部で渦巻き流路を形成する仕切壁130wは、可撓性の材料で変形可能であることから、圧電素子112が伸長して液体室110の容積が減少する際には、渦巻き形状の仕切壁130wの中央部分が液体室110の中央に向けて撓むように変形する。このことによって、液体室110内の加圧された液体は、液体室110の中央に向かって移動することができる。そのため、渦巻き状の仕切壁130wの最内郭よりも内側には、中央に開口する出口流路106bに向かう液体の流れが生じて、出口流路106bに周囲から液体が集められる。このように本実施例の液体噴射装置10では、液体室110の内部に仕切壁130wが設けられているものの、液体を噴射するに際して仕切壁130wが妨げとなることはなく、液体を強く噴射することができる。
(第4実施例)
以上に説明した第3実施例に係る脈動発生部100の他、第3実施例の技術思想を展開した実施例が実現可能である。以下に、これら他の実施例について説明する。なお、このような実施例の説明にあたっては、前述した第3実施例と同様の構成部分については、第3実施例と同様の符号を付し、共通部分はその詳細な説明を省略する。
図14は、第4実施例の脈動発生部100の内部構造を示した説明図であり、(a)には、駆動電圧波形を圧電素子112に印加しない状態を示し、(b)には、駆動電圧波形を圧電素子112に印加して伸長させた状態を示している。なお、前述した第3実施例では、流路形成部材130の仕切壁130wは、支持板130bから立設されており、且つ、先端が第2ケース106の凹部底面106dに固着されていた。しかし、第4実施例では、仕切壁130wの先端は、第2ケース106の凹部底面106dに固着されていない。
図14(a)に示すように、流路形成部材130には、支持板130bに渦巻き形状の仕切壁130wが立設されている。液体室110の内部には、仕切壁130wによって仕切られた渦巻き流路が形成されている。但し、第4実施例では、前述した第3実施例と異なり、仕切壁130wの第2ケース106と向かい合う第1方向側の線端部が第2ケース106の凹部底面106dに固着されておらず、仕切壁130wの先端部と凹部底面106dとの間には、わずかな隙間が設けられている。
このような第4実施例の脈動発生部100においても、前述した第3実施例と同様に、液体室110の周縁部に開口する入口流路106aから流入した液体が、仕切壁130wに沿って旋回しながら、中央の出口流路106bへと流れることによって、液体室110内が液体で満たされる。なお、仕切壁130wの先端と凹部底面106dとの隙間はわずかであることから、液体室110に流入した液体は、もっぱら渦巻き流路に沿って流れる。
こうして液体室110が液体で満たされた状態で、駆動電圧波形の印加によって圧電素子112が伸長すると、液体室110の容積が減少して、液体室110内の液体が加圧される。このとき、仕切壁130wの内側と外側とで圧力差が生じるので、圧力の高い外側から圧力の低い内側に向けて仕切壁130wが押されて変形する。第4実施例の脈動発生部100では、仕切壁130wの先端が第2ケース106の凹部底面106dに固着されていないので、図14(b)に示すように、仕切壁130wの先端側が液体室110の中央に向けて倒れるように変形する。
このように仕切壁130wの先端側が液体室110の中央に向けて倒れると、仕切壁130wの外側の液体が仕切壁130wを乗り越えて内側に流れ込むことから、液体室110の内部には、渦巻き流路を横切って中央の出口流路106bに向かう液体の流れが生じる。
以上に説明したように、第4実施例の脈動発生部100では、仕切壁130wの先端が第2ケース106の凹部底面106dに固着されていないものの、液体室110に液体が充填される際には、前述した第3実施例と同様に、液体室110内の液体の流れを、仕切壁130wによって形成される渦巻き流路に沿って一定の流速に規制することができる。従って、流れの遅い箇所に気泡が滞留することが無く、液体室110内の気泡を速やかに排出することが可能となる。
また、圧電素子112が伸長して液体室110の容積が減少する際には、第2ケース106の凹部底面106dに固着されていない仕切壁130wの先端が液体室110の中央に向けて倒れることによって、液体室110の内部には、仕切壁130wを乗り越えて中央の出口流路106bに向かう液体の流れが生じる。このように、渦巻き流路を横切る流れも加わって中央の出口流路106bに周囲から液体が集められるので、液体を適切に噴射することができる。
(第5実施例)
続いて、第5実施例に係る脈動発生部100について説明する。上述した第3実施例及び第4実施例では、流路形成部材130の仕切壁130wは、支持板130bから立設されていた。第5実施例では、渦巻き形状の内周側の仕切壁130wが支持板130bに立設されていないことを特徴とする。
図15は、第5実施例に係る脈動発生部100の内部構造を示した説明図である。(a)は、駆動電圧波形を圧電素子112に印加していない状態、(b)は、駆動電圧波形を圧電素子112に印加伸長した状態を示している。第5実施例の脈動発生部100においても、前述した第3実施例、第4実施例と同様に、液体室110の内部には、渦巻き形状の仕切壁130wによって仕切られた渦巻き流路が形成されている。
この仕切壁130wは、第2ケース106の凹部底面106dに固着されておらず、凹部底面106dとの間にわずかな隙間が設けられている。また、仕切壁130wの全体が支持板130bから立設されているわけではなく、多重に巻かれた渦巻き形状の仕切壁130wのうち最も外郭を成す部分だけが支持板130bに立設されており、残りの部分は、渦巻き形状に一連であるものの、支持板130bから立設されておらず、僅かな隙間を有している。
このように構成される第5実施例の脈動発生部100においても、液体室110に液体が充填される際には、前述した第3実施例及び第4実施例と同様に、液体室110内の液体の流れが、仕切壁130wによって形成される渦巻き流路に沿って一定の流速に規制されるので、その流れに乗せて液体室110内の気泡を速やかに排出することが可能となる。
一方、図15(b)に示すように、圧電素子112の伸長によって液体室110の容積が減少して、仕切壁130wの内側と外側とで圧力差が生じると、圧力の高い外側から圧力の低い内側に向けて仕切壁130wが押される。このとき、渦巻き形状の仕切壁130wの支持板130bに固定されていない部分は、ちょうどゼンマイが巻き上げられるように、液体室110の中央に向けて移動することから、液体室110内の加圧された液体は、液体室110の中央に向かって移動する。加えて、仕切壁130wを乗り越えて渦巻き流路に交差するように中央の出口流路106bに向かう液体の流れが生じて、出口流路106bに周囲から液体が集められるので、液体を強く噴射することができる。
なお、上述した第3実施例、第4実施例及び第5実施例においては、液体室110に供給された液体を効率的に出口流路106bへと導くために、出口流路106bが、液体室110を構成する凹部106cの中央位置に開口される構成としていた。しかし、出口流路106bが開口される位置は、凹部106cの中央位置に限られるわけではなく、少なくとも出口流路106bが入口流路106aよりも凹部106cの中央に近い位置に開口する位置関係になっていればよい。
(第6実施例)
続いて、第6実施例に係る脈動発生部100について説明する。前述した第3実施例、第4実施例、及び第5実施例では、出口流路106bが、渦巻き形状に形成された液体室110の中央部に、入口流路106aが液体室110の外周縁部に開口されている。それに対して、第6実施例では出口流路106bが、渦巻き形状に形成された液体室110の外周縁部に、入口流路106aが液体室110の中央部に開口されていることを特徴とする。よって、第6実施例の説明にあたっては、前述した第3実施例と同様の構成部分については、先に説明した第3実施例と同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図16は、第6実施例に係る脈動発生部100を示す組立分解図である。脈動発生部100は、第1ケース108、第2ケース106、と合わさる面のほぼ中央に、円形の浅い凹部108cが形成されており、凹部108cの底面には、貫通穴108hを塞ぐように、金属薄板などで形成された円形のダイアフラム114が固着されている。
ダイアフラム114によって塞がれた貫通穴108hには、圧電素子112が収納されている。圧電素子112とダイアフラム114との間には、円形の補強板116が挿入されている。そして、ダイアフラム114と補強板116、圧電素子112と第3ケース118とがちょうど接するように、補強板116の厚さが設定されている。なお、圧電素子112の一端は、第3ケース118(図示は省略)に固着されており、圧電素子112の他端は、補強板116に固着されている。また、補強板116の圧電素子112に対して反対側の面は、ダイアフラム114に固着されている。
ダイアフラム114の第2ケース106と向かい合う側には、円形の支持板130bの片面に仕切壁130wが立設された流路形成部材130が、支持板130bをダイアフラム114と重ね合わせるように凹部108cに嵌め込まれている。支持板130bは、仕切壁130wが立設された面とは反対側の面がダイアフラム114に固着されている。支持板130bとダイアフラム114とを加えた厚さは、凹部108cの深さと同じになるように形成されている。また、流路形成部材130は、可撓性の材料で変形可能に形成されている。なお、仕切壁130wの形状については、図17を参照して後述する。
一方、第2ケース106には、第1ケース108と合わさる面に、円形の浅い凹部106cが形成されている。そして、第2ケース106と第1ケース108とを合わせてネジ止めすると、第2ケース106の凹部106cと、第1ケース108側に設けられた流路形成部材130とによって、液体室110が形成される。さらに、流路形成部材130の仕切壁130wの第2ケース106と向かい合う側の先端は、第2ケース106の凹部底面106dに固着されて、液体室110の内部には、仕切壁130wによって仕切られた渦巻き形状の流路が形成される。
しかし、これとは逆に、流路形成部材130の支持板130bが第2ケース106の凹部底面106dに固着されて、第2ケース106と第1ケース108とを合わせてネジ止めした状態で、流路形成部材130の仕切壁130wのダイアフラム114と向かい合う側の先端が、ダイアフラム114に固着されていてもよい。
渦巻き形状の液体室110の中央部には、入口流路106aが連通され、外周縁部には出口流路106bが連通されている。入口流路106aには、第2接続チューブ304が接続され、出口流路106bには液体噴射管104が接続されている。
次に、第6実施例に係る流路形成部材130の構成について図17を参照して説明する。
図17は、流路形成部材130の形状を示した説明図である。なお、図17は、流路形成部材130をダイアフラム114側から見た状態を示している。図示するように、流路形成部材130の支持板130bは、ダイアフラム114と同一の円形に形成されており、支持板130bの第2ケース106と向かい合う面に、支持板130bの中心部に向かって巻き込みながら旋回する渦巻き形状に仕切壁130wが立設されている。
この渦巻き形状の仕切壁130wは、最外郭の外周面の一部が凹部106cの内周面と接するように形成されており、入口流路106aと出口流路106bの間の渦巻き流路の断面積は、ほぼ一定である。第2ケース106と第1ケース108とを合わせてネジ止めすると、仕切壁130wによって、液体室110の内部には、中心部から旋回しつつ外周縁部に向かう渦巻き流路が形成される。
また、図16に示すように、第2ケース106の凹部106cには、入口流路106a及び出口流路106bが連通されており、第2ケース106と第1ケース108とを適切な位置で合わせてネジ止めすると、液体室110の内部に形成される渦巻き流路の中央側の突き当たり部分に入口流路106aが開口し、渦巻き流路の外周縁側の突き当たり部分に出口流路106bが開口するようになっている。
以上のように構成された脈動発生部100においても、圧電素子112に駆動電圧波形を印加して圧電素子112を伸縮駆動することによって、ノズル105から液体をパルス状に噴射することが可能となる。
続いて、第6実施例に係る脈動発生部100による液体噴射動作について説明する。圧電素子112を駆動しない状態(駆動電圧波形を印加しない状態)では、図16及び図17に示すように、液体は液体供給手段300から第2接続チューブ304を介して入口流路106aを通って液体室110へと流入することにより、液体室110内が液体で満たされる。
液体室110の内部には、流路形成部材130の仕切壁130wで区画されることによって、断面積がほぼ一定の渦巻き流路が形成されている。液体室110の中央部に開口する入口流路106aから流入した液体は、図17において破線の矢印で示すように、仕切壁130wに沿って旋回しながら、液体室110の外周縁部に開口する出口流路106bへと導かれる。このように仕切壁130wに沿って液体の流れを規制することによって、液体室110内に流れの速い箇所と遅い箇所とが生じることが無く、入口流路106aから流入した液体を出口流路106bまでほぼ均一な流速で流すことができる。
なお、液体供給手段300からは、液体がほぼ一定圧力で途切れることなく供給されるので、液体室110内が液体で満たされると、圧電素子112が駆動していなくても、液体室110内の液体が出口流路106bを通って液体噴射管104に向けて押し出されることになる。
図18は、第6実施例において駆動電圧波形を圧電素子112に印加した状態を示し、図18(a)は脈動発生部100の部分断面図、図18(b)は、流路形成部材130の平面図である。液体室110が液体で満たされた状態で、圧電素子112に駆動電圧波形が印加されると、図18(a)に示すように、圧電素子112が駆動電圧の増加によって伸長し、補強板116を介してダイアフラム114及び流路形成部材130の支持板130bを液体室110に向けて押圧する。このことによって、液体室110の容積が減少し、液体室110内の液体が加圧される。液体室110内で加圧された液体は、図18(a)中に破線の矢印で示したように、出口流路106b及び液体噴射管104を介して、ノズル105からパルス状に噴射される。
なお、液体室110には、入口流路106a及び出口流路106bの2つの流路が接続されている。従って、液体室110内で加圧された液体は、出口流路106bだけでなく、入口流路106aからも流出すると考えられる。しかし、流路の液体の流れ易さは、流路の断面積や流路の長さ等によって定まるので、入口流路106a及び出口流路106bの断面積や長さを適切に設定しておけば、入口流路106aよりも出口流路106bから液体が流出し易くすることが可能である。例えば、第5実施例では、出口流路106bの直径は1mm程度、入口流路106aの直径は0.3mm程度のキャピラリー形状である。よって、入口流路106aからの逆流は抑制される。
入口流路106aでは、液体供給手段300から圧送される液体が液体室110内に流入しようとする流れがあるので、液体室110内の液体の流出を妨げるのに対して、出口流路106bでは、液体室110内の液体の流出を妨げるような抵抗や流体慣性を増加する要素は少ない。そのため、液体室110内で加圧された液体は、もっぱら出口流路106bから流出して、液体噴射管104を介して先端のノズル105から噴射される。
第6実施例の液体室110の内部は、流路形成部材130の仕切壁130wによって渦巻き状に仕切られている。しかし、圧電素子112の伸長によって液体室110の容積が減少する際には、渦巻き形状の仕切壁130wに沿って液体が流れるだけではなく、仕切壁130wが外周縁部の出口流路106b側に向けて変形することによって、液体室110内の液体は液体室110の外周側に向かって移動するようになっている。この点について補足して説明する。
先ず、多重に巻回された渦巻き形状の仕切壁130wの最も内郭を成す仕切壁130wを例に考えると、最内郭の仕切壁130wの内側では、入口流路106aが液体室110の中央部に開口しているので、液体室110の容積が減少する場合には、液体が出口流路106bから流出することによって圧力の上昇が抑えられる。
これに対して、仕切壁130wの内側では、入口流路106aはキャピラリー形状であり、液体の流出を抑制するため、仕切壁130wの外側に比べて圧力が上昇することになる。仕切壁130wは、可撓性の材料で変形可能に形成されていることから、圧力の高い内側から圧力の低い外側に向けて仕切壁130wを押して変形させて、内側と外側との圧力差を減少させようとする。なお、第6実施例の仕切壁130wは、支持板130bから立設されており、且つ、先端が第2ケース106の凹部底面106dに固着されているので、図18(a)に示すように、仕切壁130wの中央部分が内側から押されて外側に撓むように変形する。
仕切壁130wの内側と外側との圧力差は、最内郭の仕切壁130wだけでなく、最内郭の仕切壁130wが外側に変形して内側の圧力が低下することによって、2重目の仕切壁130wにも生じ、同様に、3重目の仕切壁130wにも伝播する。従って、渦巻き形状の仕切壁130wは、全体的に液体室110の外周側に向かって渦巻きを拡大させるように変形する。
圧電素子112の伸長によって液体室110の容積が減少する場合には、渦巻き形状の仕切壁130wの中央部分が液体室110の外側に向けて撓むように変形することで、液体室110内の液体は、図18(b)の破線の矢印に示すように、液体室110の中央部から外周縁部の出口流路106bに向かって移動しようとする。
圧電素子112の伸長によって液体室110の容積が減少すると、それに対応する分量の液体が出口流路106bに集められて押し出されることで、液体噴射管104の先端のノズル105から液体が噴射される。このとき、液体室110内の渦巻き形状の仕切壁130wが妨げとなって、外周縁部の出口流路106bに周囲から十分な量の液体を集めることができないとも考えられる。しかし、第6実施例の脈動発生部100では、圧電素子112の伸長による変位量はわずかであり、1回のパルスで噴射される液体の量(噴射量)は、液体室110の容積に対して1/100程度であることから、仕切壁130wが液体室110の中央に向けてわずかに変形するだけで、出口流路106bに中央部から十分な量の液体が集められる。なお、このことは、第3実施例で説明した式(1)〜式(4)によって裏付けることができる。
また、図18(a)に示すように、支持板130bの周縁部は第1ケース108と第2ケース106とで挟まれるようにして固定されており、補強板116の外径は支持板130bの外径より小さく、さらに、圧電素子112の断面寸法は補強板116の外径よりも小さい。従って、圧電素子112によって液体室110を押圧すると、入口流路106aが配置される中央部を中心にして外周縁が反るため、中央部付近では液体室110の押圧量が大きく、容積の変化が大きい。また、外周側では押圧量が小さく、容積の変化が小さい。つまり、液体室110内の圧力は、中央部が高く、外周部は低くなるものと考えられる。従って、入口流路106aには液体供給手段300からほぼ一定の圧力で液体が圧送されていることを含めて液体室110内の液体は、中央部から外周部へ強く押し出されることになる。
従って、中央部にある入口流路1106a付近の圧力は大きくなり、流入口110aに液体の戻し圧力が高くなる。しかし、流入口110aの直径がキャピラリー形状であることから、液体室110から入口流路106aへの逆流が抑制されることから、液体室110の圧力を高めることができ、強い液体噴射を得ることができる。
第6実施例では、流路形成部材130を用いて渦巻き流路を形成し、出口流路106bが渦巻き形状に形成された液体室110の外周縁部に、入口流路106aが液体室110の中央部に連通されている構成を説明した。このような構成であっても、前述した第4実施形態または第5実施形態の考え方を適用できる。
(第7実施例)
第7実施例は、前述した第4実施例に対し、入口流路106aと出口流路106bの配置が異なり、他は第4実施例と同様な構成を適用できる。従って、前述した第4実施例と同様の構成部分については、第4実施例と同様の符号を付し、共通部分はその詳細な説明を省略する。
図19は、第7実施例に係る脈動発生部100の内部構造の一部を示し、図19(a)は、駆動電圧波形を圧電素子112に印加していない状態を示し、図19(b)は、駆動電圧波形を圧電素子112に印加した状態を示している。
図19(a)に示すように、流路形成部材130には、支持板130bに渦巻き形状の仕切壁130wが立設されている。液体室110の内部には、仕切壁130wによって仕切られた渦巻き流路が形成されている。第7実施例では、仕切壁130wの第2ケース106と向かい合う側の先端が第2ケース106の凹部底面106dに固着されておらず、仕切壁130wの先端と凹部底面106dとの間には、わずかな隙間が設けられている。そして、出口流路106bが、渦巻き形状に形成された液体室110の外周縁部に、入口流路106aが液体室110の中央部に開口されている。
このような構成の第7実施例では、前述した第5実施例と同様に、液体室110の中央部に開口する入口流路106aから流入した液体が、仕切壁130wに沿って旋回しながら、中央の出口流路106bへと流れることによって、液体室110内が液体で満たされる。なお、仕切壁130wの先端と凹部底面106dとの隙間はわずかであることから、液体室110に流入した液体は、もっぱら渦巻き流路に沿って流れる。
こうして液体室110が液体で満たされた状態で、駆動電圧波形の印加によって圧電素子112が伸長すると、液体室110の容積が減少して、液体室110内の液体が加圧される。このとき、仕切壁130wの内側と外側とで圧力差が生じるので、圧力の高い内側から圧力の低い外側に向けて仕切壁130wが押されて変形する。第7実施例では、仕切壁130wの先端が第2ケース106の凹部底面106dに固着されていないので、図19(b)に示すように、仕切壁130wの先端側が液体室110の外周側に向けて倒れるように変形する。
このように仕切壁130wの先端側が液体室110の外周側に向けて倒れると、仕切壁130wの内側の液体が仕切壁130wを乗り越えて外周側に流れ込むことから、液体室110の内部には、渦巻き流路を横切って外周側にある出口流路106bに向かう液体の流れが生じる。
以上に説明したように、第7実施例の脈動発生部100では、仕切壁130wの先端が第2ケース106の凹部底面106dに固着されていないものの、液体室110に液体が充填される際には、前述した第5実施例と同様に、液体室110内の液体の流れを、仕切壁130wによって形成される渦巻き流路に沿って一定の流速に規制することができる。従って、流れの遅い箇所に気泡が滞留することが無く、液体室110内の気泡を速やかに排出することが可能となる。
また、圧電素子112が伸長して液体室110の容積が減少する際には、第2ケース106の凹部底面106dに固着されていない仕切壁130wの先端が液体室110の外周方向に倒れることによって、液体室110の内部には、仕切壁130wを乗り越えて中央の出口流路106bに向かう液体の流れが生じる。このように、渦巻き流路を横切る流れも加わって中央の出口流路106bに周囲から液体が集められるので、液体を適切に噴射することができる。
(第8実施例)
次に、第8実施例に係る脈動発生部100の構成について説明する。
第8実施例は、前述した第5実施例に対し、入口流路106aと出口流路106bの配置が異なり、他は第5実施例と同様な構成を適用できる。従って、前述した第5実施例と同様の構成部分については、第5実施例と同様の符号を付し、共通部分はその詳細な説明を省略する。
図20は第8実施例に係る脈動発生部100の内部構造を示した説明図であり、図20(a)は、駆動電圧波形を圧電素子112に印加していない状態を示し、図20(b)は、駆動電圧波形を圧電素子112に印加伸長した状態を示している。図20(a)に示すように、第8実施例の脈動発生部100においても、前述した第5実施例と同様に、液体室110の内部には、渦巻き形状の仕切壁130wによって仕切られた渦巻き流路が形成されている。
この仕切壁130wは、第2ケース106の凹部底面106dに固着されておらず、凹部底面106dとの間にわずかな隙間が設けられている。また、仕切壁130wの全体が支持板130bから立設されているわけではなく、多重に巻かれた渦巻き形状の仕切壁130wのうち最も外郭を成す部分だけが支持板130bに立設されており、残りの内周部分は、渦巻き形状に一連であるものの、支持板130bから立設されておらず、僅かな隙間を有している。
このような構成の第8実施例では、液体室110の中央部に開口する入口流路106aから流入した液体が、仕切壁130wに沿って旋回しながら、外周縁部の出口流路106bに向かって流れることによって、液体室110内が液体で満たされる。なお、仕切壁130wの先端と凹部底面106dとの隙間、及び支持板130bとの隙間はわずかであることから、液体室110に流入した液体は、もっぱら渦巻き流路に沿って流れる。
このような構成の第8実施例の脈動発生部100においても、液体室110に液体が充填される際には、液体室110内の液体の流れが、仕切壁130wによって形成される渦巻き流路に沿って一定の流れに規制されるので、その流れに乗せて液体室110内の気泡を速やかに排出することが可能となる。
一方、図20(b)に示すように、圧電素子112の伸長によって液体室110の容積が減少して、仕切壁130wの内側と外側とで圧力差が生じると、圧力の高い内側から圧力の低い外側に向けて仕切壁130wが押される。このとき、内周部の仕切壁130wの凹部底面106dと支持板130bとに固定されていない部分は、ちょうどゼンマイが開放されるように、外周方向に向けて移動することから、液体室110内の加圧された液体は、液体室110の外周方向に向かって移動する。加えて、仕切壁130wを乗り越えて渦巻き流路に交差するように外周方向にある出口流路106bに向かう液体の流れが生じて、出口流路106bに周囲から液体が集められるので、液体を強く噴射することができる。
前述した第6実施例ないし第8実施例では、入口流路106aを液体室110の中央部に配置し、出口流路106bを液体室110の外周部に配置している。入口流路106aと出口流路106bとをこのように配置すれば、液体が中央部から外周部の出口流路に圧送されることから、気泡の排除性をより高めることができる。
なお、上述した第3実施例から第7実施例においては、液体室110の内部に仕切壁130wによって渦巻き形状の流路を形成していた。しかし、液体室110の内部に形成する流路は、入口流路106aから旋回しつつ出口流路106bに向かう形状であれば特に限定されず、例えば、つづら折り形状等の変形を加えてもよい。
以上説明した液体噴射装置10は、水や生理食塩水などの液体を生体組織に向けて噴射することで、生体組織を切開あるいは切除する手術具として、あるいは傷口等への薬液塗布、あるいは洗浄等の医療用の他に、液体としてインクなどを用いた描画、精密部品の洗浄、電子機器の冷却装置など、少量の液体を高速で噴射させることを利用するものとして活用可能である。