JP5847741B2 - 廃正極材及び廃電池からの金属回収方法 - Google Patents
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Description
工程(1):前記硫酸酸性水溶液に、亜硫酸ガスと空気又は酸素ガスからなる混合ガスを吹き込みながら、炭酸カルシウムを添加して酸化中和処理に付し、生成された鉄及びアルミニウムを含有する沈殿物(a)を除去する。
工程(2):前記工程(1)で得られた酸化中和処理後液に、水酸化カルシウムを添加して中和処理に付し、ニッケル及びコバルトを含有する混合水酸化物を分離回収する。
工程(3):前記工程(2)で得られた混合水酸化物を、濃度50質量%以上の硫酸溶液中で溶解処理に付し、生成されたマンガン及び石膏を含有する沈殿物(b)を除去してニッケル及びコバルトの濃縮液を得る。
工程(4):前記工程(3)で得られた濃縮液を、燐酸エステル系酸性抽出剤を用いて溶媒抽出処理に付し、ニッケルを含有する抽出残液とコバルトを含有する逆抽出液を得る。
工程(5):前記工程(4)で得られた抽出残液に、中和剤を添加して中和処理に付し、生成された水酸化ニッケルを分離回収する。
Co、Ni及びMnの少なくとも二種からなる金属群Aと不純物とを含有する廃電池、廃正極材又はこれらの混合物から金属群Aを回収する方法であって、廃電池、廃正極材又はこれらの混合物から不純物を除去した後、金属群Aを金属塩の混合物として回収することを含む方法である。
工程(1):廃電池、廃正極材又はこれらの混合物に対して硫酸浸出し、浸出液を得る工程、
工程(2):不純物元素群B中にPが含まれる場合、浸出液にFe3+供給源を添加して燐酸鉄を沈澱させる工程、
工程(5):不純物元素群B中にFが含まれる場合、浸出液にカルシウム化合物を添加し、pHを5〜8の範囲に調整することでフッ化カルシウムを沈澱させる工程、
工程(6):工程(2)及び(5)の内、少なくとも最後の工程を実施した後に、固液分離することにより不純物を浸出液から分離する工程、
工程(7):工程(6)で得られた分離液から金属群Aを、金属塩の混合物として回収する工程。
工程(1):廃電池、廃正極材又はこれらの混合物に対して硫酸浸出し、浸出液を得る工程、
工程(3):不純物元素群C中にFe、Cr及びAlの少なくとも一種が含まれる場合、塩基性中和剤を添加し、浸出液のpHを5〜6の範囲に調整して当該金属の中和物を沈殿させる工程、
工程(4):不純物元素群C中にCuが含まれる場合、浸出液に硫化剤を添加して硫化銅を沈澱させる工程、
工程(6):工程(3)及び(4)の内、少なくとも最後の工程を実施した後に、固液分離することにより不純物を浸出液から分離する工程、
工程(7):工程(6)で得られた分離液から金属群Aを、金属塩の混合物として回収する工程。
工程(1):廃電池、廃正極材又はこれらの混合物に対して硫酸浸出し、浸出液を得る工程、
工程(2):不純物元素群B中にPが含まれる場合、浸出液にFe3+供給源を添加して燐酸鉄を沈澱させる工程、
工程(3):不純物元素群C中にFe、Cr及びAlの少なくとも一種が含まれる場合、塩基性中和剤を添加し、浸出液のpHを5〜6の範囲に調整して当該金属成分の中和物を沈殿させる工程、
工程(4):不純物元素群C中にCuが含まれる場合、浸出液に硫化剤を添加して硫化鉄を沈澱させる工程、
工程(5):不純物元素群B中にFが含まれる場合、浸出液にカルシウム化合物を添加し、pHを5〜8の範囲に調整することでフッ化カルシウムを沈澱させる工程、
工程(6):工程(2)〜(5)の内、少なくとも最後の工程を実施した後に、固液分離することにより不純物を浸出液から分離する工程、
工程(7):工程(6)で得られた分離液から金属群Aを、金属塩の混合物として回収する工程。
本発明においては、廃電池、廃正極材又はこれらの混合物を原料として、金属群Aを金属塩の混合物として回収する。廃電池、廃正極材又はこれらの混合物としては、Co、Ni及びMnの少なくとも二種、典型的にはこれら三種類からなる金属群Aと不純物とを含有する限り特に制限はないが、リチウムイオン電池の正極活物質を含む廃正極材、電池メーカーから出てくる正極活物質(場合によっては負極活物質及び溶剤(PVDFやNMP)が混練されている)を焼却・乾燥したもの、アルミニウム箔等の集電体にバインダーを介して正極活物質が接着された正極材、正極材から正極活物質を分離したもの、一般に電池滓や電池破砕粉と呼ばれる電池そのものを焼却・破砕・篩別などして正極活物質を分離したようなものが挙げられる。
工程(1)では、廃電池、廃正極材又はこれらの混合物に対して硫酸浸出し、浸出液を得る。硫酸浸出によって、Co、Ni及びMnの他、硫酸に溶解性の不純物が浸出液中に移行する。原料中に不純物としてバインダー、負極活物質等に由来するCが含まれている場合、Cは硫酸に不溶性であることが多いので、大部分のCは硫酸浸出時に除去可能である。硫酸浸出は、主にCo、Ni及びMnの回収効率の観点から、例えば以下の条件で実施することが望ましい。
浸出時の液温は低すぎると反応速度が遅いので、20℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましく、60℃以上が更により好ましい。一方、浸出時の液温は高すぎると設備や機器の耐久性を超えるので、90℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましい。
浸出時のpHは低すぎると後工程でのアルカリの使用量が増えるので、2以上が好ましく、3以上がより好ましい。一方、浸出時のpHは高すぎると浸出率が低くなるので、5以下が好ましい。
次工程に移行する前に浸出液から残渣を固液分離によって分離しておくことも可能であるが、コスト低減の観点から固液分離せずにそのまま次工程に移行することも可能である。
不純物元素群B中にPが含まれることがある。Pは例えば電解液等に由来する。この場合、工程(1)によって得られた浸出液にFe3+の供給源、例えば硫酸第二鉄(Fe2(SO4)3)を添加して燐酸鉄を沈澱させる工程を実施し、Pを除去することが望ましい。この際、主にPの除去効率の観点から、例えば以下の条件で実施することが望ましい。なお、本発明において、硫酸第二鉄はポリ硫酸第二鉄を含む概念とする。Fe3+の供給源としてはその他、塩化鉄(FeCl3)、酸化鉄(Fe2O3)などが挙げられる。水に溶解してFe3+を供給し得るものであればよく、特に限定されるものではない。その他、Fe屑などを添加し、溶解させてから、Airを吹き込んで3価のFe3+イオンにして使用することもできる。
液のpHは低すぎるとリン酸鉄が沈澱しないので、3以上が好ましく、3.5以上がより好ましい。一方、液のpHは高すぎるとCoやNiが沈殿する問題がある。一方、液のpHは高すぎるとCoやNiの沈殿量が増えるので、6以下が好ましく、5以下がより好ましい。
不純物元素群C中にFe、Cr及びAlの少なくとも一種が含まれることがあり、時としてこれらのすべてが含まれることもある。Feは例えば筐体等に由来する。Crは例えば筐体等に由来する。Alは例えば集電体、筐体等に由来する。この場合、工程(1)によって得られた浸出液に塩基性中和剤を添加し、浸出液のpHを5〜6の範囲に調整して当該金属の中和物を沈殿させる工程を実施し、これらの金属元素を除去することが望ましい。この際、主にこれらの金属元素の除去効率の観点から、例えば以下の条件で実施することが望ましい。
液のpHは低すぎると沈殿しないので、5以上が好ましく、5.5以上がより好ましい。一方、液のpHは高すぎるとCoやNiの沈殿量が増えるので、6.5以下が好ましく、6以下がより好ましい。
不純物元素群C中にCuが含まれることがある。Cuは例えば集電体、リード線、基板等に由来する。この場合、工程(1)によって得られた浸出液に硫化剤を添加して硫化銅を沈澱させる工程を実施し、これらの金属元素を除去することが望ましい。この際、主にCuの除去効率の観点から、例えば以下の条件で実施することが望ましい。
硫化水素ガス又は硫化アルカリから発生させる硫化水素ガスは、液中のCuに対して1当量より若干多い量とすることが好ましい。つまり、1.05当量以上とするのが好ましく、経済性の観点から1.05〜1.5当量が好ましい。
液のpHは低すぎると硫化水素が多く発生するので、1.5以上が好ましく、2以上がより好ましい。
不純物元素群B中にFが含まれることがある。Fは例えば電解液、バインダー等に由来する。バインダーそのものは樹脂であるため酸で浸出しないが、焼却炉で電池を加熱した時の熱分解等によりバインダー由来のFも考えられる。この場合、工程(1)によって得られた浸出液にカルシウム化合物を添加し、pHを5〜8の範囲に調整することでフッ化カルシウムを沈澱させる工程を実施し、Fを除去することが望ましい。カルシウム化合物としては、例えば水酸化カルシウム、酸化カルシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、カルシウムアルコキシド及びカルボン酸カルシウムが挙げられる。但し、有機物は廃液処理に留意する必要が出てくるため、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、塩化カルシウム、及び硫酸カルシウムが好適である。これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。工程(5)は、主にFの除去効率の観点から、例えば以下の条件で実施することが望ましい。
液のpHは低すぎるとCaF2が沈殿しないので、5以上が好ましく、6以上がより好ましい。一方、液のpHは高すぎるとCoやNiの沈殿が生じるので、8以下が好ましい。
上述した工程(2)〜(5)は、原料中に含まれる不純物に応じて任意の順番で組み合わせて行うことが可能である。例えば、不純物元素群Bを構成する元素のうちP及びFが共に原料中に含まれる場合、工程(2)と工程(5)を組み合わせることができる。更には、不純物としてCの有無を問わずP、F、Fe、Cr、Al及びCuすべてを含有する場合、工程(2)〜(5)のすべてを組み合わせることもできる。
工程(2)〜(5)の内、少なくとも最後の工程を実施した後に、固液分離することにより不純物を浸出液から分離する工程を実施する。これは、例えば工程(2)及び(5)のみを順に実施するときは、工程(2)及び工程(5)のそれぞれの終了時に固液分離してその工程において発生した沈殿物を除去することも可能であるし、工程(2)及び工程(5)の間に固液分離工程を挟むことなく、コスト低減の観点から最後の工程(5)が終了した後に固液分離することも可能であるということを意味する。各工程において生じた沈殿物を除去した後に次工程に移行することが工程管理上は好ましいと思われるが、少なくとも最後の工程(5)が終了した後に固液分離すれば本発明は実施可能である。
工程(6)を経て清浄化された浸出液には、Mn、Co及びNiの少なくとも一種が高純度で含まれている。本発明においては、浸出液からこれらをそれぞれ分離することなく、金属塩の混合物として回収する。これらを個別に分離する手間が存在しないので、正極材の再生コストの削減につながる。金属塩の混合物は、特に制限はないが、水酸化物、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩、塩酸塩などの形態で回収可能である。金属塩は、水溶液の形態とすることもできるが、輸送コストなどを考慮すると、固体とするほうが便利である。具体例として、水酸化物及び硫酸塩として回収する方法を以下に示す。
塩基性中和剤としては、限定的ではないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられ、一般的に、水酸化ナトリウムが使用される。
液のpHは低すぎると沈殿しないので、8以上が好ましく、8.5以上がより好ましい。一方、液のpHは高すぎるとNaが増えるので、12以下が好ましく、11以下がより好ましい。
固液分離の方法としては、特に制限はないが、濾過、圧搾、デカント、遠心分離などの公知の方法が挙げられ、回収物の低水分化の理由により、濾過、圧搾が好ましい。
本発明に係る上記の方法によって回収された金属塩の混合物を原料として正極活物質を製造することが可能であり、特にリチウムイオン電池用の正極活物質を好適に製造することができる。典型的な正極活物質は、リチウムに加えて、コバルト、ニッケル、マンガン等の遷移金属を含む複合酸化物で構成されている。正極活物質の製造方法自体は公知であり、特に説明を要しないと思われるが、簡単に説明する。
表1に記載の組成をもつリチウムイオン電池を焼却、破砕、篩別した焼却破砕粉を100g用意した。組成分析は、FとC以外は王水溶解してICP分析した。Fは王水溶解したものを蒸留してイオン電極で測定した。Cは燃焼法により測定した。
実施例1と同じリチウムイオン電池の廃正極材100gに対して、フッ化カルシウムの沈殿物を生成させ、濾過によって沈殿物を分離するまでは実施例1と同一の操作を行った。その後、得られた液200mLに対して、98質量%濃硫酸を10g添加した。得られた液の濃度分析結果を表9に示す。濃度分析はICPにより行った。但し、Fは蒸留してイオン電極で測定した。CはTOC測定器による測定により、酸濃度は酸濃度測定器により酸濃度を測定した。
Claims (12)
- Co、Ni及びMnの少なくとも二種からなる金属群Aと、C、P及びFの少なくとも一種からなる不純物元素群Bとを含有する廃電池、廃正極材又はこれらの混合物から金属群Aを回収する方法であって、工程(1)、(2)、(5)、(6)及び(7)を以下の条件に従って実施することを含む方法。
工程(1):廃電池、廃正極材又はこれらの混合物に対して硫酸浸出し、浸出液を得る工程、
工程(2):不純物元素群B中にPが含まれる場合、浸出液にFe 3+ 供給源を添加して燐酸鉄を沈澱させる工程、
工程(5):不純物元素群B中にFが含まれる場合、浸出液にカルシウム化合物を添加し、pHを5〜8の範囲に調整することでフッ化カルシウムを沈澱させる工程、
工程(6):工程(2)及び(5)の内、少なくとも最後の工程を実施した後に、固液分離することにより不純物を浸出液から分離する工程、
工程(7):工程(6)で得られた分離液から金属群Aを、金属塩の混合物として回収する工程。 - Co、Ni及びMnの少なくとも二種からなる金属群AとC、P及びFの少なくとも一種からなる不純物元素群Bと、Fe、Cr、Al及びCuの少なくとも一種からなる不純物元素群Cとを含有する廃電池、廃正極材又はこれらの混合物から金属群Aを回収する方法であって、
工程(1)〜(7)を以下の条件に従って実施することを含む方法。
工程(1):廃電池、廃正極材又はこれらの混合物に対して硫酸浸出し、浸出液を得る工程、
工程(2):不純物元素群B中にPが含まれる場合、浸出液にFe3+供給源を添加して燐酸鉄を沈澱させる工程、
工程(3):不純物元素群C中にFe、Cr及びAlの少なくとも一種が含まれる場合、塩基性中和剤を添加し、浸出液のpHを5〜6の範囲に調整して当該金属成分の中和物を沈殿させる工程、
工程(4):不純物元素群C中にCuが含まれる場合、浸出液に硫化剤を添加して硫化鉄を沈澱させる工程、
工程(5):不純物元素群B中にFが含まれる場合、浸出液にカルシウム化合物を添加し、pHを5〜8の範囲に調整することでフッ化カルシウムを沈澱させる工程、
工程(6):工程(2)〜(5)の内、少なくとも最後の工程を実施した後に、固液分離することにより不純物を浸出液から分離する工程、
工程(7):工程(6)で得られた分離液から金属群Aを、金属塩の混合物として回収する工程。 - 金属塩が固体である請求項1又は2に記載の方法。
- 前記金属塩が水酸化物、硫酸塩、炭酸塩、又は硝酸塩である請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。
- 工程(7)は、工程(6)で得られた分離液に塩基性中和剤を添加して浸出液のpHを8〜11の範囲に調整し、金属群Aの混合水酸化物を沈澱させ、金属群Aの混合水酸化物を固液分離により固体側に回収する工程、或いは、工程(6)で得られた分離液に硫酸を添加し、次いで加熱濃縮することによって金属群Aの硫酸塩混合物を生成させる工程である請求項1〜4の何れか一項に記載の方法。
- 廃電池、廃正極材又はこれらの混合物が、金属群AとしてCo、Ni及びMnを含有する請求項1〜5の何れか一項に記載の方法。
- 廃電池、廃正極材又はこれらの混合物が、不純物としてC、P、F、Fe、Cr、Al及びCuを含有する請求項1〜6の何れか一項に記載の方法。
- 工程(2)〜(5)は、工程(2)→工程(3)→工程(4)→工程(5)の順番に全て実施される請求項2に記載の方法。
- 硫酸浸出は還元剤を添加して実施する請求項1〜8の何れか一項に記載の方法。
- 工程(7)において金属群Aの混合水酸化物を沈澱させた後、当該混合水酸化物に対してリパルプ洗浄を少なくとも一回実施することを含む請求項5に記載の方法。
- 請求項1〜10の何れか一項に記載の方法によって得られた金属塩の混合物を正極活物質の原料として使用することを含む正極活物質の製造方法。
- 正極活物質がリチウムイオン電池用である請求項11に記載の製造方法。
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