以下で説明の実施の形態は、上述の発明が解決しようとする課題の欄や発明の効果の欄に記載した内容に止まること無くその他にもいろいろな課題を解決し、効果を呈している。以下の実施の形態が解決する課題の主なものを、上述の欄に記載した内容をも含め、次に列挙する。
〔特性改善〕
振動状態に応じて減衰力特性(ピストン速度に対する減衰力)を変更する際に、より滑らかに変更する等の特性設定が求められている。これは、小さな減衰力が発生する特性と、大きな減衰力が発生する特性の切り替わりが唐突に起こると、実際に発生する減衰力も唐突に切り替わるので、車両の乗り心地が悪化し、さらには減衰力の切り替わりが車両の操舵中に発生すると、車両の挙動が不安定となり、運転者が操舵に対して違和感を招く恐れがあるためである。そのため、先に示した特許文献1に示すようにより滑らかに変更する特性設定が検討されているが、さらなる特性改善が望まれている。
〔大型化の抑制〕
先に示した特許文献1に示されるように、シリンダ内の2室を仕切り、減衰力を発生する機構を有するピストンに加え、ピストンの一端側に設けられ、ハウジング内を上下動するフリーピストンを備えることにより、振動周波数の広い領域に対応した減衰力特性が得られるように改善が図られたシリンダ装置は種々開発されている。これらのシリンダ装置に共通する課題として、フリーピストンが上下動する領域が必要であるため、軸方向に長くなるということがあげられる。シリンダ装置が大型化すると、車体への取付け自由度が低下するため、シリンダ装置の軸方向長の増加は、大きな課題である。
〔部品数の低減〕
先に示した特許文献1に示されるように、ピストンに加え、ハウジングやフリーピストンなどの構成部品が備えられるため、部品数は増えることになる。部品数が増えると、生産性、耐久性、信頼性などに影響がでるため、所望の特性、つまり振動周波数の広い領域に対応した減衰力特性が得られるような特性を出しつつ、部品数の低減が望まれている。
以下、本発明に係る各実施形態について図面を参照して説明する。
「第1実施形態」
本発明に係る第1実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。以下の説明では理解を助けるために、図の下側を一方側とし、逆に図の上側を他方側として定義する。
第1実施形態の緩衝器は、図1に示すように、いわゆるモノチューブ式の油圧緩衝器で作動流体としての油液が封入される有底円筒状のシリンダ10を有している。シリンダ10内には、ピストン11が摺動可能に嵌装され、このピストン11により、シリンダ10内が上室12および下室13の2室に区画されている。ピストン11は、ピストン本体14と、その外周面に装着される円環状の摺動部材15と、ピストン本体14に連結されるピストンロッド16のピストン本体14への挿通部分とによって構成されている。
ピストン本体14は、焼結により形成されるもので、ピストンロッド16の一端部に連結されており、ピストンロッド16の他端側は、シリンダ10の開口側に装着されたロッドガイド17およびオイルシール18等に挿通されてシリンダ10の外部へ延出されている。
ピストンロッド16は、主軸部20と、これより小径でピストン本体14が取り付けられる一端側の取付軸部21とを有している。ピストンロッド16には、ピストン本体14とロッドガイド17との間の主軸部20に、内側にピストンロッド16を挿通させてリバウンドストッパ24および緩衝体25が設けられている。また、ピストン11よりもシリンダ10の底部側には、ピストン11側に下室13を画成するための区画体26がシリンダ10内を摺動可能に設けられている。シリンダ10内の上室12および下室13内には、油液が封入されており、区画体26により下室13と画成された室27には高圧(20〜30気圧程度)ガスが封入されている。
上述の緩衝器の例えば一方側は車体により支持され、上記緩衝器の他方側に車輪側が固定される。この逆に緩衝器の他方側が車体により支持され緩衝器の一方側に車輪側が固定されるようにしても良い。車輪が走行に伴って振動すると該振動に伴ってシリンダ10とピストンロッド16との位置が相対的に変化するが、上記変化は第1ピストン11に形成された流路の流体抵抗により抑制される。以下で詳述するごとく第1ピストン11に形成された流路の流体抵抗は振動の速度や振幅により異なるように作られており、振動を抑制することにより、乗り心地が改善される。上記シリンダ10とピストンロッド16との間には、車輪が発生する振動の他に、車両の走行に伴って車体に発生する慣性力や遠心力も作用する。例えばハンドル操作により走行方向が変化することにより車体に遠心力が発生し、この遠心力に基づく力が上記シリンダ10とピストンロッド16との間に作用する。以下で説明するとおり、本実施の形態の緩衝器は車両の走行に伴って車体に発生する力に基づく振動に対して良好な特性を有しており、車両走行における高い安定性が得られる。
図2に示すように、ピストン本体14には、上室12と下室13とを連通可能であり、ピストン11の上室12側への移動、つまり伸び行程において上室12から下室13に向けて油液が流れ出す複数(図2では断面とした関係上一カ所のみ図示)の通路(第1通路)30aと、ピストン11の下室13側への移動、つまり縮み工程において下室13から上室12に向けて油液が流れ出す複数(図2では断面とした関係上一カ所のみ図示)の通路(第1通路)30bとが設けられている。これらのうち半数を構成する通路30aは、円周方向において、それぞれ間に一カ所の通路30bを挟んで等ピッチで形成されており、ピストン11の軸方向一側(図1の上側)が径方向外側に軸方向他側(図1の下側)が径方向内側に開口している。なお、通路30a,30bをシリンダ10の外側に配管等によって形成することも可能である。
そして、これら半数の通路30aに、減衰力を発生する減衰力発生機構31が設けられている。減衰力発生機構31は、ピストン11の軸線方向の下室13側に配置されてピストンロッド16の取付軸部21に取り付けられている。通路30aは、ピストンロッド16がシリンダ10外に伸び出る伸び側にピストン11が移動するときに油液が通過する伸び側の通路を構成しており、これらに対して設けられた減衰力発生機構31は、伸び側の通路30aの油液の流動を規制して減衰力を発生させる伸び側の減衰力発生機構を構成している。
また、残りの半数を構成する通路30bは、円周方向において、それぞれ間に一カ所の通路30aを挟んで等ピッチで形成されており、ピストン11の軸線方向他側(図1の下側)が径方向外側に軸線方向一側(図1の上側)が径方向内側に開口している。
そして、これら残り半数の通路30bに、減衰力を発生する減衰力発生機構32が設けられている。減衰力発生機構32は、ピストン11の軸線方向の上室12側に配置されてピストンロッド16の取付軸部21に取り付けられている。通路30bは、ピストンロッド16がシリンダ10内に入る縮み側にピストン11が移動するときに油液が通過する縮み側の通路を構成しており、これらに対して設けられた減衰力発生機構32は、縮み側の通路30bの油液の流動を規制して減衰力を発生させる縮み側の減衰力発生機構を構成している。
ピストンロッド16には、取付軸部21の減衰力発生機構31よりもさらに端側に減衰力可変機構35が取り付けられている。
ピストン本体14は、略円板形状をなしており、その中央には、軸方向に貫通して、上記したピストンロッド16の取付軸部21を挿通させるための挿通穴38が形成されている。
ピストン本体14の軸方向の下室13側の端部には、伸び側の通路30aの一端開口位置に環状のシート部41aが形成されている。ピストン本体14の軸方向の上室12側の端部には、縮み側の通路30bの一端の開口位置に、減衰力発生機構32を構成する環状のシート部41bが形成されている。
ピストン本体14において、シート部41aの挿通穴38とは反対側は、これらシート部41aよりも軸線方向高さが低い環状の段差部42bとなっており、この段差部42bの位置に縮み側の通路30bの他端が開口している。ピストン本体14において、シート部41bの挿通穴38とは反対側は、シート部41bよりも軸線方向高さが低い環状の段差部42aとなっており、この段差部42aの位置に伸び側の通路30aの他端が開口している。また、シート部41bには、図示は略すが、軸方向に凹む通路溝(オリフィス)が、それぞれ通路30bからピストン11の径方向に外側に延在して段差部42aに抜けるように形成されている。
伸び側の減衰力発生機構31は、軸方向の上室12側つまりピストン本体14側から順に、ディスク200と、中間ディスク201と、減衰バルブ本体202と、バルブ部材203と、ディスクバルブ(排出バルブ)205と、スペーサ206と、バルブ規制部材207とを有している。ディスク200と、中間ディスク201と、減衰バルブ本体202とが、ピストン本体14の通路30aとバルブ部材203の通路215との間に設けられてピストン11の摺動によって生じる油液の流れを規制して減衰力を発生させる減衰バルブ208を構成している。つまり、減衰バルブ208はディスクバルブとなっている。なお、減衰バルブ208としては、ディスクバルブ以外の例えばポペットバルブを用いても良い。
バルブ部材203は、軸直交方向に沿う有孔円板状の底部210と、底部210の内周側に形成された軸方向に沿う円筒状の内側円筒状部211と、底部210の外周側に形成された軸方向に沿う円筒状の外側円筒状部212とを有している。底部210には軸方向に貫通する複数の貫通孔213が形成されている。複数の貫通孔213を含むこのバルブ部材203の内側円筒状部211と外側円筒状部212との間の空間は、ピストン本体14の通路30aに連通することで、上室12と下室13とを連通可能であり、ピストン11の上室12側への移動によって上室12から下室13に向けて油液が流れ出す通路(第1通路)215を構成している。また、外側円筒状部212には、その軸方向の下室13側に、環状のシート部216が形成されており、図示は略すがシート部216には径方向に沿って貫通する通路溝が形成されている。なお、シート部216に形成する通路溝に換えてシート部216と接するディスクバルブ215の外周側に切り欠きを設けることにより通路を形成してもよい。
ディスク200は、ピストン本体14のシート部41aよりも小径の外径を有する有孔円板状をなしている。中間ディスク201は、ディスク200と同径の外径を有する有孔円板状をなすもので、その外周側には複数の切欠部220が形成されている。
減衰バルブ208は、その減衰バルブ本体202が、ピストン本体14の通路30aとバルブ部材203の通路215との間に設けられてピストン11の摺動によって生じる油液の流れを規制して減衰力を発生させることになる。減衰バルブ本体202は、ピストン本体14のシート部41aに着座可能な有孔円板状のディスク222と、ディスク222のピストン本体14とは反対の外周側に固着されたゴム材料からなる円環状のシール部材223とからなっている。ディスク222は、シール部材223よりも径方向内側に軸方向に貫通する貫通孔224が形成されている。この減衰バルブ本体202は、貫通孔224がシート部41aよりも内側に位置して中間ディスク201の切欠部220と連通可能となるように径方向の位置を合わせている。シール部材223はバルブ部材203の外側円筒状部212の内周面に接触して、減衰バルブ本体202とバルブ部材203の外側円筒状部212との隙間をシールする。バルブ部材203の外側円筒状部212、底部210および内側円筒状部211と、減衰バルブ本体202との間の空間は、減衰バルブ本体202に、シート部41aに当接させる閉弁方向に内圧を作用させる背圧室225となっている。また、減衰バルブ本体202の貫通孔224と中間ディスク201の切欠部220とを含む減衰バルブ本体202と中間ディスク201とで形成される油路が、背圧室225にシリンダ10内の上室12から油液を導入する背圧室流入油路226となっている。減衰バルブ本体202は、ピストン本体14のシート部41aから離座して開くと、通路30aからの油液をピストン本体14とバルブ部材203との間の径方向の流路227を介して下室13に流す。
ディスクバルブ205は、バルブ部材203のシート部216に着座可能な環状をなしている。ディスクバルブ205は、シート部216から離座することで背圧室225を開放するものであり、複数枚の環状のディスクが重ね合わせられることで構成されている。スペーサ206は、ディスクバルブ205よりも小径の環状をなしており、また、バルブ規制部材207は、スペーサ206よりも大径の環状をなしている。このバルブ規制部材207はディスクバルブ205の開方向への規定以上の変形を規制する。ディスクバルブ205とバルブ部材203のシート部216の図示略の通路溝とで形成される油路が、背圧室225に設けられて、背圧室225の油液を下流側に流出させる排出オリフィス228を構成しており、ディスクバルブ205は、背圧室225に設けられて、開弁時に背圧室225の油液を下流側に流出させる。
縮み側の減衰力発生機構32は、シート部41bに着座可能な環状のディスクバルブ45と、ディスクバルブ45よりも小径であってディスクバルブ45の軸方向の下室13側に配置される環状のスペーサ46と、スペーサ46よりも大径であってスペーサ46のピストン本体14とは反対側に配置される環状のバルブ規制部材47とを有している。このバルブ規制部材47は、ピストンロッド16の主軸部20の取付軸部21側の端部の軸段部48に当接している。ディスクバルブ45も複数枚の環状のディスクが重ね合わせられることで構成されており、シート部41bから離座することで通路30bを開放する。また、バルブ規制部材47はディスクバルブ45の開方向への規定以上の変形を規制する。ディスクバルブ45とピストン本体14のシート部41bの図示略の通路溝とで形成される油路が、排出オリフィス229を構成している。
本実施の形態では、伸び側のディスクバルブ205、縮み側のディスクバルブ45をいずれも内周クランプのディスクバルブの例を示したが、これに限らず、減衰力を発生する機構であればよく、例えば、ディスクバルブをコイルバネで付勢するリフトタイプのバルブとしてもよく、また、ポペット弁であってもよい。
ピストンロッド16の先端部にはオネジ50が形成されており、このオネジ50に減衰力可変機構35が螺合されている。減衰力可変機構35は、ピストンロッド16のオネジ50に螺合されるメネジ52が形成された蓋部材53と、この蓋部材53にその開口側が閉塞されるように取り付けられる有底円筒状のハウジング本体54とからなるハウジング55と、このハウジング55内に摺動可能に嵌挿されるフリーピストン57と、フリーピストン57とハウジング55の蓋部材53との間に介装されてフリーピストン57が一方向へ移動したときに圧縮変形する縮み側のOリング(抵抗要素,弾性体,一の弾性体)58と、フリーピストン57とハウジング55のハウジング本体54との間に介装されてフリーピストン57が他方向へ移動したときに圧縮変形する伸び側のOリング(抵抗要素,弾性体,他の弾性体)59とで構成されている。なお、図2においては便宜上自然状態のOリング58,59を図示している。特にOリング59は、シールとしても機能するので、取り付けられた状態で常時、変形(断面非円形)しているように配置されることが望ましい。
蓋部材53は、切削加工を主体として形成されるもので、略円筒状の蓋筒部(延出部)62と、この蓋筒部62の軸方向の端部から径方向外側に延出する円板状の蓋フランジ部63とを有している。
蓋筒部62の内周部には、軸方向の中間位置から蓋フランジ部63とは反対側の端部位置まで内側に突出して上記したメネジ52が形成されている。また、蓋筒部62の外周部には蓋フランジ部63とは反対側に段差部66が形成されており、蓋筒部62の段差部66より蓋フランジ部63側の外周面には円筒面部67および曲面部68が形成されている。円筒面部67は、一定径となっており、円筒面部67に繋がる曲面部68は、円筒面部68から軸方向に離れるほど大径の円環状となっていて、蓋フランジ部63の蓋筒部62側のフランジ面部69に繋がっている。曲面部68は蓋部材53の中心軸線を含む断面が円弧状をなしている。
ハウジング本体54は、切削加工を主体として形成されるもので、略円筒状のハウジング筒部75と、このハウジング筒部75の軸方向の端部を閉塞するハウジング底部76とを有している。
ハウジング筒部75の内周部には、ハウジング底部76側の端部に径方向内方に突出する円環状の内側環状突起(ハウジング側環状突起)80が形成されている。ハウジング筒部75の内周面には、ハウジング底部76側から順に、小径円筒面部81、テーパ面部(傾斜する面)82、曲面部(傾斜する面)83、大径円筒面部84、および大径の嵌合円筒面部85が形成されている。小径円筒面部81は一定径をなしており、小径円筒面部81に繋がるテーパ面部82は、小径円筒面部81から離れるほど大径となっている。テーパ面部82に繋がる曲面部83は、テーパ面部82から離れるほど大径の円環状となっており、曲面部83に繋がる大径円筒面部84は、小径円筒面部81より大径の一定径をなしている。大径円筒面部84に軸方向で隣り合う嵌合円筒面部85は、大径円筒面部84より大径となっている。曲面部83はハウジング本体54の中心軸線を含む断面が円弧状をなしており、小径円筒面部81とテーパ面部82と曲面部83とが、内側環状突起80に形成されている。
なお、ハウジングを円筒と記述しているが、内周面は断面円形となることが望ましいが、外周面は、多角形等断面非円円形であってもよい。
ここで、ハウジング本体54には、蓋部材53が蓋筒部62を先側にして開口側から挿入されることになり、その際に、蓋部材53は、嵌合円筒面部85に蓋フランジ部63を嵌合させることになる。この状態でハウジング筒部75の開口側の端部が内側に加締められることで、ハウジング本体54に蓋部材53が固定され一体化されてハウジング55を構成する。ハウジング底部76にはその中央に軸線方向に貫通する連通穴(オリフィス)87が形成されている。
フリーピストン57は、切削加工を主体として形成されるもので、略円筒状のピストン筒部(筒部)91と、このピストン筒部91の軸方向の一端部を閉塞するピストン底部92と、ピストン筒部91の軸方向の他端部から径方向外方に突出する円環状の外側環状突起(フリーピストン側環状突起)93を有するピストンフランジ部(フランジ部)94を有している。
ピストン筒部91およびピストンフランジ部94の外周面には、ピストン底部92側から順に、小径円筒面部97、曲面部(傾斜する面)98、テーパ面部(傾斜する面)99および大径円筒面部100が形成されている。小径円筒面部97はピストン筒部91に、曲面部98、テーパ面部99および大径円筒面部100はピストンフランジ部94に形成されている。小径円筒面部94は一定径となっており、この小径円筒面部97に繋がる曲面部98は小径円筒面部97から離れるほど大径の円環状となっている。曲面部98に繋がるテーパ面部99は、曲面部98から離れるほど大径となっており、テーパ面部99に繋がる大径円筒面部100は、小径円筒面部97より大径の一定径をなしている。曲面部98はフリーピストン57の中心軸線を含む断面が円弧状をなしている。
ピストン筒部91の内周面には、ピストン底部92側から順に円筒面部102およびテーパ面部(傾斜する面)103が形成されている。円筒面部102のピストン底部92側はピストン筒部91に、円筒面部102のピストン底部92とは反対側およびテーパ面部103はピストンフランジ部94に形成されている。円筒面部102は一定径となっており、円筒面部102に繋がるテーパ面部103は、円筒面部102から離れるほど大径となっている。
ピストン底部92のピストン筒部91とは反対側には、中央に、軸方向に凹む凹部104が形成されている。
フリーピストン57は、大径円筒面部100においてハウジング本体54の大径円筒面部84に、小径円筒面部97においてハウジング本体54の小径円筒面部81に、それぞれ摺動可能に嵌挿されることになる。この状態で、ハウジング本体54のテーパ面部82とフリーピストン57の曲面部98とがこれらの径方向において位置を重ね合わせることになり、ハウジング本体54の曲面部83とフリーピストン57のテーパ面部99とがこれらの径方向において位置を重ね合わせることになる。よって、ハウジング本体54のテーパ面部82および曲面部83の全体と、フリーピストン57の曲面部98およびテーパ面部99の全体とがフリーピストン57の移動方向で対向する。加えて、蓋部材53の蓋フランジ面部69とフリーピストン57のテーパ面部103とがフリーピストン57の移動方向で対向する。ハウジング本体54のテーパ面部82とフリーピストン57のテーパ面部99とは、これらの軸線に対する傾斜角度が同等となっている。フリーピストン57の曲面部98はその上記断面の曲率がハウジング本体54の曲面部83の上記断面の曲率と同等にされている。しかも、曲面部83,98の曲率半径が、断面円形のOリング59の断面半径より大きな曲率半径となっている。
そして、フリーピストン57の小径円筒面部97、曲面部98およびテーパ面部99と、ハウジング本体54のテーパ面部82、曲面部83および大径円筒面部84との間に、言い換えれば、フリーピストン57の外側環状突起93とハウジング本体54の内側環状突起80との間に、Oリング59が配置されている。このOリング59は、自然状態にあるとき、中心軸線を含む断面が円形状をなし、内径がフリーピストン57の小径円筒面部97よりも小径で、外径がハウジング本体54の大径円筒面部84よりも大径となっている。つまり、Oリング59は、フリーピストン57およびハウジング本体54の両方に対してこれらの径方向に締め代をもって嵌合される。
また、蓋部材53の円筒面部67、曲面部68およびフランジ面部69と、フリーピストン57のテーパ面部103との間に、Oリング58が配置されている。このOリング58も、自然状態にあるとき、中心軸線を含む断面が円形状をなしており、内径が蓋部材53の円筒面部67と同等になっている。両Oリング58,59はフリーピストン57をハウジング55に対して中立位置に保持するとともにフリーピストン57のハウジング55に対する軸方向の上室12側および下室13側の両側への軸方向移動を許容する。中立位置にあるフリーピストン57は、その軸方向移動のため、ハウジング本体54のハウジング底部76および蓋部材53の蓋フランジ部63と軸方向に離間しており、蓋筒部62との間に径方向に隙間を有している。
フリーピストン57においては、Oリング59が小径円筒面部97、曲面部98およびテーパ面部99に接触することになり、これらのうち曲面部98およびテーパ面部99は、フリーピストン57の移動方向に対し傾斜している。また、フリーピストン57においては、Oリング58がフリーピストン57の移動方向に対し傾斜するテーパ面部103に接触することになる。
ハウジング55においては、Oリング59がテーパ面部82、曲面部83および大径円筒面部84に接触することになり、これらのうちテーパ面部82および曲面部83は、フリーピストン57の移動方向に対し傾斜している。また、ハウジング55においては、Oリング58が円筒面部67、曲面部68およびフランジ面部69に接触することになる。
そして、フリーピストン57の小径円筒面部97、曲面部98およびテーパ面部99において、Oリング59に接触している部分であるフリーピストン接触面と、ハウジング55の大径円筒面部84、曲面部83およびテーパ面部82において、Oリング59に接触している部分であるハウジング接触面とが、フリーピストン57の移動によってOリング59に接触している部分の最短距離が変化し、最短距離となる部分を結ぶ線分の傾斜角が大きくなる。言い換えれば、フリーピストン57のフリーピストン接触面と、ハウジング55のハウジング接触面と、それぞれのうちOリング59が接触している部分の最短距離を結ぶ線分の向きが変化するように小径円筒面部97、曲面部98およびテーパ面部99と大径円筒面部84、曲面部83およびテーパ面部82との形状が設定されている。具体的に、フリーピストン57がハウジング55に対して軸方向の上室12側に位置するとき、フリーピストン接触面とハウジング接触面と、それぞれのうちOリング59が接触している部分の最短距離は大径円筒面部84と小径円筒面部97との半径差である(大径円筒面部84と小径円筒面部97との半径差よりもOリング59の外径と内径の半径差の方が大であるため、Oリング59がその差分潰れ、その部分、つまり最短距離の線分は傾斜角0となる)。一方フリーピストン57がハウジング55に対して軸方向の下室13側に移動すると、Oリング59との接触部分は曲面部98と曲面部83となり、最もOリング59が潰される位置、つまり最短距離の線分の傾斜角が斜めになる(最短距離を結ぶ線分の傾斜角が大きくなる)。
フリーピストン57には、一端側に、内周に傾斜するテーパ面部103を有し外周に傾斜する曲面部98およびテーパ面部99を有するピストンフランジ部94が設けられており、ハウジング55には、蓋部材53の一部にフリーピストン57のピストン筒部91内に延出する蓋筒部62が設けられていて、一方のOリング58をピストンフランジ部94の内周面であるテーパ面部103と蓋筒部62とに当接するように配置し、他方のOリング59をピストンフランジ部94の外周面である小径円筒面部97、曲面部98およびテーパ面部99と、ハウジング55の内周面であるテーパ面部82、曲面部83および大径円筒面部84に当接するように配置している。
なお、減衰力可変機構35は、ハウジング本体54内に曲面部83の位置までOリング59を挿入し、これらハウジング本体54およびOリング59の内側にフリーピストン57を嵌合し、フリーピストン57のテーパ面部103にOリング58を配置して、このOリング58の内側に蓋筒部62を挿入しつつ蓋部材53をハウジング本体54に嵌合させてハウジング本体54を加締めることにより、組み立てられることになる。そして、このように予め組み立てられた減衰力可変機構35がピストンロッド16の取付軸部21のオネジ50にハウジング55のメネジ52を螺合させて取り付けられることになり、その際に、ハウジング55の蓋フランジ部63が減衰力発生機構31のバルブ規制部材207に当接して、減衰力発生機構31、ピストン本体14および減衰力発生機構32をピストンロッド16の軸段部48との間に挟持することになる。つまり、減衰力可変機構35は、減衰力発生機構31、ピストン本体14および減衰力発生機構32をピストンロッド16に締結する締結部材を兼ねている。減衰力可変機構35の外径つまりハウジング本体54の外径は、シリンダ10の内径よりも流路抵抗とならない程度小さく設定されている。
ピストンロッド16には、主軸部20の取付軸部21側の端部位置に径方向に沿う通路穴105が形成されており、取付軸部21には、この通路穴105に連通する通路穴106が軸方向に沿って形成されている。よって、これらの通路穴105,106によって、上室12が、減衰力可変機構35のハウジング55内に形成された圧力室112に連通しており、具体的には、圧力室112のうちハウジング55とOリング58とフリーピストン57とで画成される上室連通室107内に連通している。また、下室13が、ハウジング55のハウジング底部76に形成された連通穴87を介してハウジング55内に連通しており、具体的には、圧力室112のうちハウジング55とOリング59とフリーピストン57とで画成される下室連通室108内に連通している。なお、ハウジング本体54とフリーピストン57との間に配置されたOリング59は、ハウジング55とフリーピストン57との間を常にシールするように配置され、上室連通室107と下室連通室108との連通を常に遮断する。
通路穴105,106および上室連通室107が、ピストン11の上室12側への移動によりシリンダ10内の一方の上室12から油液が流れ出す通路(第2通路)110を構成しており、連通穴87および下室連通室108が、ピストン11の下室13側への移動によりシリンダ10内の一方の下室13から油液が流れ出す通路(第2通路)111を構成している。よって、ハウジング55には、内部に通路110の一部の流路が形成されており、内部に通路111の全体の流路が形成されている。フリーピストン57は、これら通路110,111の途中に設けられたハウジング55内の圧力室112内に摺動自在に挿入されており、通路110,111を上流と下流に画成する。ここで、第2通路は、フリーピストン57により画成されており、上室12と下室13間で油液が置換する流れは生じないが、フリーピストン57がハウジング55に対して移動している間は、上室12の油液が圧力室112に流入し、同量の油液が下室13側に押し出されるので、実質的に流れを生じている。フリーピストン57の摺動方向両側に配置されたOリング58,59は、このフリーピストン57の変位に対し抵抗力を発生する。通路30a,30bと、通路110とが、ピストンロッド16の一部を含むピストン11に設けられている。
ここで、ピストンロッド16が伸び側に移動する伸び行程で、減衰力発生機構31のみが作用する場合には、ピストン速度が遅い時、上室12からの油液は、通路30aと、背圧室流入油路226および背圧室225を含む通路215と、バルブ部材203のシート部216に形成された図示略の通路溝とディスクバルブ205とで形成される排出オリフィス228とを介して下室13に流れ、オリフィス特性(減衰力がピストン速度の2乗にほぼ比例する)の減衰力が発生する。このため、ピストン速度に対する減衰力の特性は、ピストン速度の上昇に対して比較的減衰力の上昇率が高くなる。また、ピストン速度が速くなると、上室12からの油液は、通路30aと通路215とを介して、ディスクバルブ205を開きながら、ディスクバルブ205とシート部216との間を通って、下室13に流れることになり、バルブ特性(減衰力がピストン速度にほぼ比例する)の減衰力が発生する。このため、ピストン速度に対する減衰力の特性は、ピストン速度の上昇に対して減衰力の上昇率はやや下がることになる。
また、ピストン速度がさらに高速の領域になると、リリーフバルブ202に作用する力(油圧)の関係は、通路30aから加わる開方向の力が背圧室225から加わる閉方向の力よりも大きくなる。よって、この領域では、ピストン速度の増加に伴いリリーフバルブ202が開くことになり、ディスクバルブ205とシート部216との間を通る下室13への流れに加え、ピストン本体14とバルブ部材203との間の流路227を介して下室13に油液を流すため、減衰力の上昇を抑えることになる。このときのピストン速度に対する減衰力の特性は、ピストン速度の上昇に対して減衰力の上昇率はほとんどないことになる。
ここで、図3は、A=0.05m/s,B=0.1m/s,C=0.3m/s,D=0.6m/s,E=1.0m/s,F=1.5m/sの各ピストン速度における周波数と振幅との関係を示したものである。この図3において、領域X1が、ピストン速度が速く周波数が比較的高い、路面の段差等により生じるインパクトショック発生時であるが、このようなピストン速度の高速領域において、上記のようにピストン速度の増加に対する減衰力の上昇を抑えることで、ショックを十分に吸収する。
また、インパクトショックの発生後には、発生時と同等の周波数で、振幅が小さくなりピストン速度が遅くなって、図3に示す領域X2に移ることになるが、この領域X2では、リリーフバルブ202に作用する力の関係は、通路30aから加わる開方向の力が背圧室225から加わる閉方向の力よりも小さくなり、リリーフバルブ202が閉弁方向に移動することになる。よって、リリーフバルブ202が開弁することによる上室12から下室13への流れが減少し、ディスクバルブ205とシート部216との間を通る下室13への流れが主体となるため、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇率が上がることになる。これにより、インパクトショック発生後のバネ下のバラツキを抑える。
ピストンロッド16が縮み側に移動する縮み工程で、減衰力発生機構32のみが作用する場合には、ピストン速度が遅い時、下室13からの油液は、通路30bと、ピストン本体14のシート部41bに形成された図示略の通路溝とシート部41bに当接するディスクバルブ45とで画成される排出オリフィス229とを介して上室12に流れオリフィス特性(減衰力がピストン速度の2乗にほぼ比例する)の減衰力が発生することになる。このため、ピストン速度に対する減衰力の特性は、ピストン速度の上昇に対して比較的減衰力の上昇率が高くなる。また、ピストン速度が速くなると、下室13から通路30bに導入された油液が、基本的にディスクバルブ45を開きながらディスクバルブ45とシート部41bとの間を通って上室12に流れることになり、バルブ特性(減衰力がピストン速度にほぼ比例する)の減衰力が発生する。このため、ピストン速度に対する減衰力の特性は、ピストン速度の上昇に対して減衰力の上昇率はやや下がることになる。
以上が、減衰力発生機構31,32のみが作用する場合であるが、他方で、図3に領域X3〜X5で示すように、ピストン速度が遅いときの周波数が比較的高い領域は、例えば路面の細かな表面の凹凸から生じる振動であり、このような状況では減衰力を下げるのが好ましい。ここで、領域X3は路面にかなり細かい凹凸があって、いわゆるゴツゴツ感、ビリビリ感が伝わる領域であり、領域X4は路面に領域X3よりも若干粗い凹凸があって、いわゆるブルブル感が伝わる領域であり、領域X5は路面に領域X4よりも若干粗い凹凸があって、いわゆるヒョコヒョコ感が伝わる領域である。他方、同じくピストン速度が遅いときであっても、図3に領域X6で示すように、上記とは逆に周波数が比較的低い領域は、いわゆる車体のロールによるぐらつき等の振動であり、このような状況では減衰力を上げるのが好ましい。
これに対応して、上記した減衰力可変機構35が、ピストン速度が同じように遅い場合でも、周波数に応じて減衰力を可変とする。つまり、ピストン速度が遅い時、ピストン11の往復動の周波数が高くなると、その伸び行程では、上室12の圧力が高くなって、ピストンロッド16の通路穴105,106を介して減衰力可変機構35の上室連通室107に上室12から油液を導入させるとともに減衰力可変機構35の下室連通室108から通路111内の下流側のオリフィスを構成する連通穴87を介して下室13に油液を排出させながら、フリーピストン57が軸方向の下室13側にあるOリング59の付勢力に抗して軸方向の下室13側に移動する。このようにフリーピストン57が軸方向の下室13側に移動することにより、上室連通室107に上室12から油液を導入することになり、上室12から通路30aに導入され減衰力発生機構31を通過して下室13に流れる油液の流量が減ることになる。これにより、減衰力が下がる。
続く縮み行程では、下室13の圧力が高くなるため、通路内上流側のオリフィスを構成する連通穴87を介して減衰力可変機構35の下室連通室108に下室13から油液を導入させるとともにピストンロッド16の通路穴105,106を介して上室連通室107から上室12に油液を排出させながら、それまで軸方向の下室13側に移動していたフリーピストン57が軸方向の上室12側にあるOリング58の付勢力に抗して軸方向の上室12側に移動する。このようにフリーピストン57が軸方向の上室12側に移動することにより、下室連通室108に下室13から油液を導入することになり、下室13から通路30bに導入され減衰力発生機構32を通過して上室12に流れる油液の流量が減ることになる。これにより、減衰力が下がる。
そして、ピストン11の周波数が高い領域では、フリーピストン57の移動の周波数も追従して高くなり、その結果、上記した伸び行程の都度、上室12から上室連通室107に油液が流れ、縮み行程の都度、下室13から下室連通室108に油液が流れることになって、上記のように、減衰力が下がった状態に維持されることになる。
他方で、ピストン速度が遅い時、ピストン11の周波数が低くなると、フリーピストン57の移動の周波数も追従して低くなるため、伸び行程の初期に、上室12から上室連通室107に油液が流れるものの、その後はフリーピストン57がOリング59を圧縮して軸方向の下室13側で停止し、上室12から上室連通室107に油液が流れなくなるため、上室12から通路30aに導入され減衰力発生機構31を通過して下室13に流れる油液の流量が減らない状態となり、減衰力が高くなる。
続く縮み行程でも、その初期に、下室13から下室連通室108に油液が流れるものの、その後はフリーピストン57がOリング58を圧縮して軸方向の上室12側で停止し、下室13から下室連通室108に油液が流れなくなるため、下室13から通路30bに導入され減衰力発生機構32を通過して上室12に流れる油液の流量が減らない状態となり、減衰力が高くなる。
そして、本実施形態においては、上記したように、フリーピストン57に中立位置へ戻すように付勢力を与える部品としてゴム材料からなるOリング58,59を用いており、フリーピストン57の中立位置では、フリーピストン57とハウジング本体54との間にあるOリング59が、ハウジング55の大径円筒面部84とフリーピストン57の小径円筒面部97との間に位置する。
この中立位置から例えば伸び行程でフリーピストン57がハウジング55に対して軸方向の下室13側に移動すると、ハウジング55の大径円筒面部84とフリーピストン57の小径円筒面部97とがOリング59を、相互間で転動つまり内径側と外径側とが逆方向に移動するように回転させてハウジング55に対して軸方向の下室13側に移動させることになり、その後、ハウジング55の曲面部83およびテーパ面部82の軸方向の上室12側と、フリーピストン57の曲面部98およびテーパ面部99の軸方向の下室13側とが、Oリング59を転動させながらフリーピストン57の軸方向および径方向に圧縮し、続いてハウジング55の曲面部83およびテーパ面部82の軸方向の下室13側と、フリーピストン57の曲面部98およびテーパ面部99の軸方向の上室12とが、Oリング59をフリーピストン57の軸方向および径方向に圧縮する。
このとき、ハウジング55の大径円筒面部84とフリーピストン57の小径円筒面部97との間でOリング59を転動させる領域と、ハウジング55の曲面部83およびテーパ面部82とフリーピストン57の曲面部98およびテーパ面部99との間でOリング59を転動させる領域とが、フリーピストン57の移動領域のうち下流側端部から離間した位置において、Oリング59が転動する転動領域であり、下流側端部から離間した位置において、Oリング59がフリーピストン57の移動方向にハウジング55とフリーピストン57と双方に接触した状態で移動する移動領域となっている。この移動とは、Oリング59の少なくともフリーピストン移動方向下流端位置(図2における下端位置)が移動することを言う。
また、ハウジング55の曲面部83およびテーパ面部82とフリーピストン57の曲面部98およびテーパ面部99との間でOリング59を圧縮する領域が、フリーピストン57の移動領域のうち下流側端部側において、Oリング59をフリーピストン57の移動方向に弾性変形させる移動方向変形領域となっている。この移動方向変形領域における弾性変形とは、Oリング59のフリーピストン移動方向上流端位置(図2における上端位置)が移動し、下流端位置が移動しない変形のことである。ここでは、転動領域および移動領域が、移動方向変形領域の一部とラップしている。
続く縮み行程でフリーピストン57がハウジング55に対して軸方向の上室12側に移動すると、ハウジング55の曲面部83およびテーパ面部82の軸方向の下室13側と、フリーピストン57の曲面部98およびテーパ面部99の軸方向の上室12とが、Oリング59の圧縮を解除し、続いて、ハウジング55の曲面部83およびテーパ面部82の軸方向の上室12側と、フリーピストン57の曲面部98およびテーパ面部99の軸方向の下室13側とが、Oリング59を転動させながら圧縮をさらに解除することになり、続いて、ハウジング55の大径円筒面部84とフリーピストン57の小径円筒面部97とがOリング59を、相互間で転動させながらハウジング55に対して軸方向の上室12側に移動させることになる。そして、フリーピストン57が中立位置の近辺で、蓋部材53とフリーピストン57との間のOリング58を、ハウジング55の円筒面部67、曲面部68およびフランジ面部69に保持した状態で、これら円筒面部67、曲面部68およびフランジ面部69とフリーピストン57のテーパ面部103とでフリーピストン57の軸方向および径方向に圧縮する。
続く伸び行程では、ハウジング55の円筒面部67、曲面部68およびフランジ面部69とフリーピストン57のテーパ面部103とが離間方向の相対移動でOリング58の圧縮を解除し、ハウジング55の大径円筒面部84とフリーピストン57の小径円筒面部97とがOリング59を、相互間で転動させながらハウジング55に対して軸方向の下室13側に移動させることになる。フリーピストン57が中立位置を通過すると、Oリング59を上記と同様に動作させることになる。
以上により、一方のOリング58は、移動方向変形領域において移動方向につぶされ、他のOリング59は、移動領域においてフリーピストン57の移動方向に移動する。
ここで、ゴム材料からなるOリング58,59によるフリーピストン57の変位に対する荷重の特性は、フリーピストン57の中立位置の前後の所定範囲では線形に近い特性となり、この範囲を超えると、変位に対して滑らかに荷重の増加率が増大するような、非線形の特性になる。上記のように、ピストン11の周波数が高い領域では、ピストン11の振幅も小さいため、フリーピストン57の変位も小さくなり、中立位置前後の線形の特性範囲で動作することになる。これにより、フリーピストン57は動きやすくなり、ピストン11の振動に追従して振動して減衰力発生機構31,32の発生する減衰力の低減に寄与する。
他方で、ピストン11の周波数が低い領域では、ピストン11の振幅が大きくなるため、フリーピストン57の変位が大きくなり、非線形の特性範囲で動作することになる。これにより、フリーピストン57は徐々に滑らかに、動き難くなり、減衰力発生機構31,32の発生する減衰力を低減し難くなる。
上記した特許文献1に記載のものでは、ピストン速度が比較的遅い領域では、ピストン速度の増加割合に対して減衰力の増加割合が大きな傾向を有し、ピストン速度が速くなると、ピストン速度の増加割合に対して減衰力の増加割合が小さな傾向となり、さらに、ピストンが小さな振幅で上下動すると滑らかに減衰力の変化を得ることができる。また、特許文献2に記載のものでは、減衰力特性の設定の自由度を高めることができるようになっている。ところで、路面状況などによる種々の振動状態に応じて減衰力を適正に制御することが求められている。
これに対して、以上に述べた第1実施形態によれば、ピストン11の移動によりシリンダ10内の上室12から流れ出す通路30a,215に、ピストン11の摺動によって生じる油液の流れを規制して減衰力を発生させるリリーフバルブ202と、リリーフバルブ202に閉弁方向に内圧を作用させる背圧室225と、背圧室225に上室12から油液を導入する背圧室流入油路226とを設け、また、ピストン11の移動によりシリンダ10内の上室12および下室13から油液が流れ出す通路105,106の途中に、摺動自在のフリーピストン57を有する圧力室112を備えた。このため、図3にX1で示すピストン速度が速い領域において、リリーフバルブ202により、ピストン速度の増加に対する減衰力の上昇を抑えることができ、また、フリーピストン57および圧力室112によって、図3にX3〜X5で示すピストン速度が遅い領域で周波数が高いときに減衰力を下げ、図3にX6で示すピストン速度が遅い領域で周波数が低いときに減衰力を上げることができる。したがって、路面状況等による種々の振動状態に応じて減衰力を適正に制御可能となる。
また、フリーピストン57の変位に対し抵抗力を発生するOリング58,59を備えたため、周波数に感応して減衰力を変化させる場合に円滑に変化させることができる。
また、圧力室112を形成するハウジング55と、ハウジング55とフリーピストン57との間に設けられたOリング59とを有するため、Oリング59でハウジング55とフリーピストン57との間をシールすることができ、部品点数を低減できる。
また、背圧室225には、背圧室225の油液を下流側に流出させる排出オリフィス228を設けたため、背圧室225の圧力を簡素な構成で制御できる。
また、背圧室225には、背圧室225の油液を下流側に流出させるディスクバルブ205を設けたため、背圧室225の圧力を良好に開放し、所望の減衰力特性とすることができる。
また、フリーピストン57のOリング59が接触する小径円筒面部97、曲面部98およびテーパ面部99が、フリーピストン57の移動方向に対し傾斜する曲面部98およびテーパ面部99を有しており、ハウジング55のOリング59が接触するテーパ面部82、曲面部83および大径円筒面部84が、フリーピストン57の移動方向に対し傾斜するテーパ面部82および曲面部83を有していて、フリーピストン57の移動によって、小径円筒面部97、曲面部98およびテーパ面部99のうちのOリング59に接触しているフリーピストン接触面と、大径円筒面部84、曲面部83およびテーパ面部82のうちのOリング59に接触しているハウジング接触面との最短距離が変化するため、周波数に感応して減衰力を変化させる場合に円滑に変化させることができる。なお、小径円筒面部97、曲面部98およびテーパ面部99と、大径円筒面部84、曲面部83およびテーパ面部82とのうちの、少なくともいずれか一方が、フリーピストン接触面とハウジング接触面の最短距離を変化させる形状になっていれば良い。
また、フリーピストン57の傾斜するテーパ面部99および曲面部98が、曲面部98を有しており、ハウジング55の傾斜するテーパ面部82および曲面部83が、曲面部83を有しているため、減衰力をさらに円滑に変化させることができる。なお、この場合も、曲面部83,98のうちの少なくともいずれか一方が設けられていれば良い。
また、小径円筒面部97、曲面部98およびテーパ面部99と、大径円筒面部84、曲面部83およびテーパ面部82とは、Oリング59に接触しているフリーピストン接触面とハウジング接触面との最短距離が小さくなったときに、この最短距離の傾斜角を大きくするため、減衰力をさらに円滑に変化させることができる。また、断面の径が小さなOリングを用いても、Oリングが転動するためフリーピストンのOリングによる抵抗力を与えるストローク距離を大きくとることが可能(Oリングの直径以上とすることも可能)となる。
また、フリーピストン57が一方向へ移動したときに圧縮変形するOリング58と、フリーピストン57が他方向へ移動したときに圧縮変形するOリング59とを有するため、伸び行程および縮み行程の両方で減衰力を円滑に変化させることができる。
これにより、減衰力が周波数の変化、ピストン速度の変化等においても円滑に変化するので、減衰力の変化による乗り心地の違和感がなく、さらには、姿勢変化についても徐々に減衰力が大きくなり、運転者に違和感なく姿勢変化を抑えることが出来き、乗り心地、操縦安定性共に、特許文献1にあるようなものと比較し、より高いレベルの車両を提供することが可能となる。
フリーピストン57の一端側に内周が傾斜するテーパ面103となり、外周が傾斜する曲面部98およびテーパ面部99となるピストンフランジ部94を設け、ハウジング55の一部にフリーピストン57のピストン筒部91内に延出する蓋筒部62を設け、Oリング58をピストンフランジ部94の内周のテーパ面103と蓋筒部62とに当接するように配置し、Oリング59をピストンフランジ部94の外周の曲面部98およびテーパ面部99とハウジング55の内周面とに当接するように配置した。このため、ハウジング本体54内にOリング59を配置し、ハウジング本体54およびOリング59の内側にフリーピストン57を配置し、フリーピストン57にOリング58を配置して、このOリング58の内側に蓋筒部62を挿入しつつ蓋部材53をハウジング本体54に固定することにより、組み立てられることになる。したがって、各部品の組み付け性が良好となる。
また、Oリング59がフリーピストン57とハウジング55との間で転動するため、減衰力をさらに円滑に変化させることができる。また、断面の径が小さなOリングを用いても、Oリングが転動するためフリーピストンのOリングによる抵抗力を与えられるストローク距離を大きくとることが可能(Oリングの直径以上とすることも可能)となる。
よって、ゴムを圧縮するのみの特許文献1のような技術(ゴムのつぶす方向の厚さ以上にストローク距離をとることが出来ない)と、本実施の形態の技術は、ゴムを使う点は同じであるが、上述の通りその使い方が異なり、技術思想として全く異なるものである。
さらには、ばね定数が急激に大きくなることを防止することが可能であり、線形に近い特性をも得ることもできる。
通路30a,30bおよび通路110が、ピストン11に設けられているため、構成を簡素化できる。
通路111の上流および下流にオリフィスとしての連通穴87を設けたため、フリーピストンの移動に対する抵抗力としてOリングに加えオリフィスも作用するので、減衰力をさらに円滑に変化させることができる。
なお、上記実施の形態において、フリーピストン57に小さなオリフィスを設けることで、特性を変化させることが可能となる。
また、上記実施の形態ではハウジング55を蓋部材53とハウジング本体54から構成したものを示したが、蓋筒部62を短くして、ピストンロッド20の図中下端側の外周部にOリング58が接触するようにした場合は、ピストンロッド20の下端側の分部もハウジング55を構成する。
「第2実施形態」
次に、第2実施形態を主に図4に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第2実施形態においては、第1実施形態に対してピストンロッド16および減衰力発生機構31が一部相違している。つまり、まず、減衰力発生機構31のバルブ部材203の内側円筒状部211と底部210とに背圧室225を挿通穴38側に連通させる連通穴241が形成されており、内側円筒状部211に背圧室225を挿通穴側38に連通させる連通溝242が形成されている。そして、ピストンロッド16の径方向に形成される通路穴105が、これら連通穴241および連通溝242に連通可能となるように、これらとピストンロッド16の軸方向位置を合わせて形成されている。
また、第2実施形態においては、第1実施形態に対して減衰力可変機構35が一部相違している。つまり、まず、第1実施形態とは一部異なる蓋部材53が用いられている。この蓋部材53は、蓋フランジ部63の外周側に円筒部(ハウジング側環状突起)121を設けた構成となっている。この円筒部121の蓋フランジ部63とは反対の先端面部122は、蓋部材53の軸直交方向に沿っている。
また、第2実施形態においては、第1実施形態に対して一部異なるフリーピストン57が用いられている。第2実施形態のフリーピストン57は、そのピストン筒部91の外周部に、径方向外側に突出する円環状の外側環状突起(フリーピストン側環状突起)93が軸方向の中間位置に形成されている。そして、この外側環状突起93の外周面には、軸方向の下室側から順に、第1実施形態と同様の、曲面部98、テーパ面部99、大径円筒面部100が形成され、さらに、大径円筒面部100から、テーパ面部(傾斜する面)131および曲面部(傾斜する面)132が形成されている。大径円筒面部100に繋がるテーパ面部131は大径円筒面部100から離れるほど小径となり、テーパ面部131に繋がる曲面部132は、テーパ面部131から離れるほど小径の円環状をなしている。曲面部132には小径円筒面部133が繋がっており、この小径円筒面部133は、小径円筒面部97と同径となっている。曲面部132はフリーピストン57の中心軸線を含む断面が円弧状をなしており、曲面部98,132とテーパ面部99,131と大径円筒面部100とが、外側環状突起93に形成されている。第2実施形態の外側環状突起93はその軸線方向の中央位置を通る平面に対して対称形状をなしている。
フリーピストン57は、大径円筒面部100においてハウジング本体54の大径円筒面部84に、一方の小径円筒面部97においてハウジング本体54の小径円筒面部81に、他方の小径円筒面部133において蓋部材53の円筒部121にそれぞれ摺動可能に嵌挿されることになる。この状態で、蓋部材53の円筒部121の先端面部122とフリーピストン57のテーパ面部131および曲面部132とがこれらの径方向において位置を重ね合わせることになる。つまり、円筒部121の先端面部122とフリーピストン57のテーパ面部131および曲面部132とがフリーピストン57の移動方向で対向する。
そして、フリーピストン57のテーパ面部99、曲面部98および小径円筒面部97と、ハウジング本体54のテーパ面部82、曲面部83および大径円筒面部84との間に、Oリング59(図4においても自然状態を図示)が、第1実施形態と同様に、配置されている。
第2実施形態では、ハウジング本体54の大径円筒面部84と、蓋部材53の先端面部122と、フリーピストン57のテーパ面部131、曲面部132および小径円筒面部133との間に、Oリング58(図4においても自然状態を図示)が配置されている。このOリング58も、Oリング59と同様、自然状態にあるとき、内径がフリーピストン57の小径円筒面部133よりも小径で、外径がハウジング本体54の大径円筒面部84よりも大径となっている。つまり、Oリング58も、フリーピストン57およびハウジング本体54の両方に対してこれらの径方向に締め代をもって嵌合される。
両Oリング58,59は、同じ大きさのものであり、フリーピストン57をハウジング55に対して所定の中立範囲に保持するとともにフリーピストン57のハウジング55に対する軸方向の上室12側および下室13側の両側への軸方向移動を許容する。
よって、第2実施形態のフリーピストン57においては、Oリング58が小径円筒面部133、曲面部132およびテーパ面部131に接触することになり、これらのうち曲面部132およびテーパ面部131は、フリーピストン57の移動方向に対し傾斜している。また、ハウジング55においては、Oリング58が大径円筒面部84および先端面部122に接触することになる。
言い換えれば、フリーピストン57の外周部に外側環状突起93を設け、この外側環状突起93の軸方向両面は、曲面部98およびテーパ面部99と、曲面部132およびテーパ面部131とを構成し、ハウジング55の内周の外側環状突起93の両側の位置には、テーパ面部82および曲面部83を構成する内側環状突起80、および先端面部122を構成する、ハウジング55から内側に環状に突出する円筒部121を設け、外側環状突起93と、内側環状突起80および円筒部121との間にそれぞれOリング59およびOリング58を設けている。
なお、第2実施形態の減衰力可変機構35は、ハウジング本体54内に曲面部83の位置までOリング59を挿入し、ハウジング本体54およびOリング59の内側にフリーピストン57を嵌合し、フリーピストン57とハウジング本体54との間にOリング58を押し入れて、フリーピストン57とハウジング本体54との間に円筒部121を嵌合しつつ蓋部材53をハウジング本体54に固定することにより、組み立てられることになる。
また、ハウジング本体54とフリーピストン57との間に配置されたOリング58は、ハウジング55とフリーピストン57との間をシールするように配置され、上室連通室107と下室連通室108との連通を常に遮断する。
そして、第2実施形態の減衰力可変機構35では、上記したように上室連通室107は、通路穴105,106を介して減衰力発生機構31の背圧室225に連通している。よって、上室連通室107には、シリンダ10内の上室12側からの油液が、背圧室導入油路226と背圧室225とを介して導入される。ここで、背圧室225は、上室12の圧力が上昇しても圧力が低く抑えられることになり、上昇時の上室12の圧力とそのとき下降する下室13の圧力のほぼ中間の圧力になる。このような中間圧が減衰力可変機構35の上室連通室107に導入されることになる。
また、第2実施形態の減衰力可変機構35においては、フリーピストン57の中立位置では、フリーピストン57とハウジング本体54との間にあるOリング58,59が、ハウジング本体54の大径円筒面部84とフリーピストン57の小径円筒面部97,133との間に位置する。
この中立位置から例えば伸び行程でフリーピストン57がハウジング55に対して軸方向の下室13側に移動すると、第1実施形態と同様に、ハウジング55の大径円筒面部84とフリーピストン57の小径円筒面部97とがOリング59を、相互間で転動させてハウジング55に対して軸方向の下室13側に移動させることになり、その後、ハウジング55の曲面部83およびテーパ面部82の軸方向の上室12側と、フリーピストン57の曲面部98およびテーパ面部99の軸方向の下室13側とが、Oリング59を転動させながらフリーピストン57の軸方向および径方向に圧縮し、続いてハウジング55の曲面部83およびテーパ面部82の軸方向の下室13側と、フリーピストン57の曲面部98およびテーパ面部99の軸方向の上室12とが、Oリング59をフリーピストン57の軸方向および径方向に圧縮する。なお、第2実施形態においては、この中立位置から伸び行程でフリーピストン57がハウジング55に対して軸方向の下室13側に移動すると、ハウジング55の大径円筒面部84とフリーピストン57の小径円筒面部133とがOリング58を、相互間で転動させてハウジング55に対して軸方向の下室13側に移動させることになる。
続く縮み行程でフリーピストン57がハウジング55に対して軸方向の上室12側に移動すると、第1実施形態と同様に、ハウジング55の曲面部83およびテーパ面部82の軸方向の下室13側と、フリーピストン57の曲面部98およびテーパ面部99の軸方向の上室12とが、Oリング59の圧縮を解除し、続いて、ハウジング55の曲面部83およびテーパ面部82の軸方向の上室12側と、フリーピストン57の曲面部98およびテーパ面部99の軸方向の下室13側とが、Oリング59を転動させながら圧縮をさらに解除することになり、続いて、ハウジング55の大径円筒面部84とフリーピストン57の小径円筒面部97とがOリング59を、相互間で転動させながらハウジング55に対して軸方向の上室12側に移動させることになる。なお、第2実施形態では、この縮み行程でフリーピストン57がハウジング55に対して軸方向の上室12側に移動すると、ハウジング55の大径円筒面部84とフリーピストン57の小径円筒面部133とがOリング58を、相互間で転動させてハウジング55に対して軸方向の上室12側に移動させることになる。そして、その後、フリーピストン57がOリング58を、ハウジング55の大径円筒面部84および先端面部122と、フリーピストン57のテーパ面部131および曲面部132とでフリーピストン57の軸方向および径方向に圧縮する。
このとき、ハウジング55の大径円筒面部84とフリーピストン57の小径円筒面部133との間でOリング58を転動させる領域が、フリーピストン57の移動領域のうち下流側端部から離間した位置において、Oリング58が転動する転動領域であり、下流側端部から離間した位置において、Oリング58がフリーピストン57の移動方向にハウジング55とフリーピストン57と双方に接触した状態で移動する移動領域となっている。この移動とは、Oリング58の少なくともフリーピストン移動方向下流端位置(図4における上端位置)が移動することを言う。
ハウジング55の先端面部122とフリーピストン57の曲面部132およびテーパ面部131との間でOリング58を圧縮する領域が、フリーピストン57の移動領域のうち下流側端部側において、Oリング58をフリーピストン57の移動方向に弾性変形させる移動方向変形領域となっている。この移動方向変形領域における弾性変形は、Oリング58のフリーピストン移動方向上流端位置(図4における下端位置)が移動し、下流端位置が移動しない変形のことである。ここでは、転動領域および移動領域が、移動方向変形領域の一部とラップしている。
上記に続く伸び行程では、ハウジング55の先端面部122とフリーピストン57のテーパ面部131および曲面部132とがOリング58の圧縮を解除して、ハウジング55の大径円筒面部84とフリーピストン57の小径円筒面部133とがOリング58を、相互間で転動させてハウジング55に対して軸方向の下室13側に移動させることになり、Oリング59についても、ハウジング55の大径円筒面部84とフリーピストン57の小径円筒面部97とが、相互間で転動させてハウジング55に対して軸方向の下室13側に移動させることになる。そして、フリーピストン57が中立位置を通過すると、Oリング58,59を上記と同様に、動作させる。
以上に述べた第2実施形態によれば、上室連通室107が減衰力発生機構31の背圧室225に連通しているため、シリンダ10内の上室12側からの油液を、背圧室導入油路226と背圧室225とを介し上室連通室107に、圧力上昇が抑制された状態で導入されることになる、よって、Oリング58の耐久性が向上する。また、突起乗り越しや、ポットホールなど、急激なピストンの動作に対する上室12、下室13の圧力変動による影響を減衰力可変機構35は受けないので、さらにOリング58の耐久性が向上する。
また、フリーピストン57の外周部に設けられた外側環状突起93の軸方向両面は曲面部98およびテーパ面部99と、テーパ面部131および曲面部132とを構成し、ハウジング55の内周の外側環状突起93の両側の位置には、曲面部83およびテーパ面部82を有する内側環状突起80と、先端面部122を有する円筒部121とを設け、外側環状突起93と内側環状突起80および円筒部121との間にそれぞれOリング58,59を設けたため、Oリング58,59を共通化できる。
「第3実施形態」
次に、第3実施形態を主に図5に基づいて第1,第3実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第3実施形態においては、第1実施形態に対して異なる減衰力可変機構250が設けられている。
第3実施形態の減衰力可変機構250は、略筒状のハウジング本体251と、ハウジング本体251の軸方向の一端側に取り付けられる底蓋部材252とを有するハウジング253を備えている。ハウジング本体251は、中央に、底蓋部材252の取付側から順に、底蓋部材252が螺合されるメネジ255と、メネジ255よりも小径の収納穴部256と、収納穴部256よりも小径のテーパ穴257と、ピストンロッド16のオネジ50に螺合されるメネジ258と、メネジ258より大径の取付穴部259とが軸方向に形成されて筒状をなしている。底蓋部材252は、外周面にメネジ255に螺合するオネジ261が形成されており、中央には軸方向に沿って貫通する連通穴262が形成されている。
また、ハウジング253は、ハウジング本体251の収納穴部256内に配置されて収納穴部256の底面および底蓋部材252の内面に当接するように配置される有底円筒状の一対のリテーナ265,266と、これらリテーナ265,266のそれぞれの内側に配置される一対のスペーサ267,268と、これらスペーサ267,268の軸方向におけるリテーナ265,266とは反対側に配置される円板状の一対のベース板269,270と、これらベース板269,270の軸方向におけるスペーサ267,268とは反対側に配置される一対の略山型の板バネ271,272と、これら板バネ271,272の軸方向の間に設けられて板バネ271,272をベース板269,270とで挟持する略円筒状のガイド部材273とを有している。
リテーナ265,266には、底部中央に軸方向に沿って貫通孔275,276が形成されている。また、リテーナ265,266の底部からガイド部材273とハウジング本体251との径方向の隙間内に延びる側部には、径方向に延在した後に軸方向に延在して底部とは反対側に抜けるスリット265A,266Aが形成されている。また、ベース板269,270の中央にも軸方向に沿って貫通孔(オリフィス)277,278が形成されている。スペーサ267,268は、リテーナ265,266の貫通孔275,276とベース板269,270の貫通孔277,278とを常時連通可能な状態でこれらの間に挟持される。貫通孔277,278は貫通孔275,276よりも小径となっている。
ガイド部材273には、軸方向中間所定位置に外側に突出する円環状の突出部280が形成されており、この突出部280の外周部には、ハウジング本体251との隙間をシールするシールリング281を保持する円環状の保持溝282が形成されている。また、ガイド部材273には、突出部280の軸方向両外側に、径方向に貫通する複数の貫通孔283および複数の貫通孔284が形成されている。
加えて、減衰力可変機構250は、ガイド部材269内にその軸方向に沿って摺動可能に嵌合されるフリーピストン287と、フリーピストン287と各ベース板269,270との間に配置されてフリーピストン287を中立位置に保持するとともにその変位に対して抵抗力を発生する一対のコイルスプリング(抵抗要素,弾性体)288,289とを有している。フリーピストン287には、軸方向両側に、コイルスプリング288,289を保持するための一対のスプリング保持穴291,292が軸方向に形成されており、外周面の軸方向の中間所定範囲に径方向に凹む円環状の溝部293が形成されている。溝部293はフリーピストン287のガイド部材273に対する位置に応じて貫通孔283,284への連通・遮断が切り換えられる。
第3実施形態の減衰力可変機構250は、ガイド部材273と、フリーピストン287と、ピストンロッド16側のベース板269との間に、ピストンロッド16の通路穴105,106、ピストンロッド16側のリテーナ265の貫通孔275およびピストンロッド16側のベース板269の貫通孔277を介して上室12に連通する上室連通室295が形成されている。また、ガイド部材273と、フリーピストン287と、ピストンロッド16とは反対側のベース板270との間に、ベース板270の貫通孔278、ピストンロッド16とは反対側のリテーナ266の貫通孔276および底蓋部材252の連通穴262を介して下室13に連通する下室連通室296が形成されている。
第3実施形態の減衰力可変機構250においては、フリーピストン287の中立位置では、フリーピストン287の溝部293がガイド部材273のすべての貫通孔283,284およびリテーナ265,266のスリット265A,266Aに連通しており、例えば伸び行程で中立位置からフリーピストン287がハウジング253に対して軸方向の下室13側に移動すると、軸方向の上室12側のコイルスプリング288を伸ばしながら軸方向の下室側のコイルスプリング289を縮めることになり、上室連通室295に上室12側の油液を導入する。このとき、フリーピストン287は、溝部293が軸方向の上室12側の貫通孔283を閉じ、軸方向の下室13側の貫通孔284のみと連通する状態となる。
続く縮み行程でフリーピストン287が軸方向の上室12側に移動すると、軸方向の下室側のコイルスプリング289を伸ばしながら軸方向の上室12側のコイルスプリング288を縮めることになり、下室連通室296に下室13側の油液を導入する。このとき、フリーピストン287は、溝部293が、軸方向両側の貫通孔283,284と連通する状態を経て、軸方向の下室側の貫通孔284を閉じ、軸方向の上室12側の貫通孔283のみと連通する状態となる。
続く伸び行程で、フリーピストン287がハウジング253に対して軸方向の下室13側に移動すると、軸方向の上室12側のコイルスプリング288を伸ばしながら軸方向の下室13側のコイルスプリング289を縮めることになり、フリーピストン287が溝部293を軸方向両側の貫通孔283,284に連通させる中立位置を通過した後、上記と同様に、動作する。
以上に述べた第3実施形態によれば、フリーピストン287をコイルスプリング288,289で付勢するようにしたため、長寿命化が図れることになる。
「第4実施形態」
次に、第4実施形態を主に図6に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第4実施形態においては、第1実施形態に対してピストン11およびピストンロッド16が一部相違している。つまり、第4実施形態のピストン11は、ピストン本体14の挿通穴38の減衰力発生機構31側に、挿通穴38よりも大径の大径穴301が形成されている。また、ピストン本体14に、減衰力発生機構31側の端面の通路30aよりも径方向内側に、通路30aと大径穴301とを連通させる通路溝302が径方向に貫通するように形成されている。この通路溝302は、ピストン本体14の成形時に行われるコイニング加工により形成される。これに対して、ピストンロッド16の径方向に形成される通路穴105が、ピストン11の大径穴301とピストンロッド16の軸方向位置を合わせて形成されており、これに合わせて、軸方向の通路穴106が短くなっている。
そして、上記した通路溝302および大径穴301が、ピストン11に設けられて通路30aから、背圧室導入油路226と分岐されるピストン分岐通路303を形成することになる。また、ピストンロッド16に設けられた通路穴105,106が、このピストン分岐通路303に連通するピストンロッド通路304を形成することになる。そして、ピストン11が上室12側へ移動すると、ピストン11に設けられた通路30aから、これらピストン分岐通路303およびピストンロッド通路304を介して、シリンダ10内の一方の上室12からの油液が上室連通室107に向け流れ出すことになる。よって、これらのピストン分岐通路303およびピストンロッド通路304が、上記した通路110を一部構成している。
以上に述べた第4実施形態によれば、通路110を、ピストン11に形成されて通路30aから分岐されるピストン分岐通路303と、ピストンロッド16に設けられたピストンロッド通路304とにより構成したため、ピストンロッド通路304の通路穴106の管路長を短くすることができる。よって、ピストンロッド通路304の管路抵抗を小さくでき、所望の減衰力特性を容易に得ることができる。また、ピストンロッド通路304の通路穴106は切削により形成されるため、切削長さを短くできることから、生産性を向上できる。加えて、ピストン分岐通路303の一部がピストン11の端面の通路溝302で形成されるため、コイニング加工によりピストン11に形成可能となり、生産性に優れる。なお、通路溝302の通路面積を調整し、オリフィスとして機能が可能な通路面積とすれば、オリフィスを構成する連通穴87をなくすことができる。
「第5実施形態」
次に、第5実施形態を主に図7に基づいて第4実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第4実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第5実施形態においては、第4実施形態に対してピストン11および減衰バルブ208が一部相違している。つまり、第5実施形態のピストン11は、そのピストン本体14に第4実施形態と同様の大径穴301が形成されているものの、第4実施形態の通路溝302は形成されていない。また、減衰バルブ208を構成するディスク200が三枚の同一の内外径を有する有孔円板状の単板ディスク310〜312からなっている。そして、最もピストン11側の単板ディスク310には、内径側に切欠部313が形成されており、この単板ディスク310に隣り合う単板ディスク311には、外径側に切欠部314が形成されている。これら切欠部313,314は、径方向および円周方向の位置を重ね合わせており、互いに常に連通している。そして、単板ディスク311の切欠部314が常に通路30aに連通し、単板ディスク310の切欠部313が常に大径穴301に連通していることから、通路30aが切欠部313,314を介して大径穴301に常に連通している。なお、単板ディスク311の単板ディスク310とは反対側の単板ディスク312には切欠部は形成されていない。
切欠部313,314が、減衰バルブ208に設けられて通路30aから、背圧室導入油路226と分岐されるバルブ分岐通路315を形成することになる。また、大径穴301が、ピストン11に設けられてバルブ分岐通路315に連通するピストン通路316を形成することになる。そして、ピストン11が上室12側へ移動すると、ピストン11に設けられた通路30aから、バルブ分岐通路315、ピストン通路316およびピストンロッド通路304を介して、シリンダ10内の一方の上室12からの油液が流れ出すことになる。よって、これらのバルブ分岐通路315、ピストン連通通路316およびピストンロッド通路304が、上記した通路110を一部構成している。
以上に述べた第5実施形態によれば、通路110を、減衰バルブ208に形成されて通路30aから分岐されるバルブ分岐通路315と、ピストン11に形成されてバルブ分岐通路315に連通するピストン連通通路316と、ピストンロッド16に設けられてピストン連通通路316に連通するピストンロッド通路304とにより構成したため、第4実施形態と同様、ピストンロッド通路304の通路穴106の長さを短くすることができる。よって、ピストンロッド通路304の管路抵抗を小さくできる。また、ピストンロッド通路304の通路穴106は切削により形成されるため、切削長さを短くできることから、生産性を向上できる。加えて、バルブ分岐通路315は、減衰バルブ208を構成する単板ディスク310,311の交換で流路面積を変更できるため、容易に通路110の流路面積を調整可能となる。
「第6実施形態」
次に、第6実施形態を主に図8に基づいて第2実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第2実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第6実施形態においては、第2実施形態に対して、減衰力発生機構31が一部相違している。つまり、減衰力発生機構31のバルブ部材203には、第2実施形態の連通穴241および連通溝242は設けられておらず、内側円筒状部211の内周の底部210とは反対側に、底部210側よりも若干大径の大径穴321が形成されており、内側円筒状部211の底部210とは反対側の端面に、端面から若干凹んで径方向に貫通する通路溝322が形成されている。大径穴321は、ピストンロッド16の通路穴105と位置を合わせており、これにより、大径穴321および通路溝322が、圧力室112の上室連通室107と、背圧室225との間に配置されて、これらを連通させるオリフィス323を構成している。
また、第6実施形態においては、第2実施形態に対して減衰力可変機構35が一部相違している。つまり、まず、第2実施形態とは一部異なる蓋部材53が用いられている。この蓋部材53は、蓋フランジ部63および円筒部121が同外径となっており、また、円筒部121の内周面が、蓋フランジ部63側から順に、小径円筒面部326、テーパ面部(傾斜する面)327および曲面部(傾斜する面)328を有している。また、蓋筒部62には、第2実施形態の段差部66に代えて、面取り部329が形成されている。
また、第6実施形態では、第2実施形態とは一部異なるハウジング本体54が用いられている。つまり、このハウジング本体54は、第2実施形態のオリフィスを構成する連通穴87を含むハウジング底部76がなく、フリーピストン57がハウジング筒部75の小径円筒面部81から突出している。また、ハウジング筒部75の嵌合円筒面部85が、蓋部材53の蓋フランジ部63および円筒部121を全長にわたり嵌合させるようになっている。この嵌合円筒面部85に嵌合させることで、円筒部121の曲面部328が、ハウジング筒部75の大径円筒面部84と段差なく連続するようになっている。なお、減衰力発生機構31に設けられたオリフィス323が、第2実施形態の連通穴87の代わりとなっている。
加えて、第6実施形態においては、第2実施形態に対して一部異なるフリーピストン57が用いられている。第2実施形態のフリーピストン57は、外側環状突起93の軸方向の中央位置に、外側環状突起93を径方向に貫通する貫通穴330が複数形成されている。
フリーピストン57は、大径円筒面部100においてハウジング本体54の大径円筒面部84に、一方の小径円筒面部97においてハウジング本体54の小径円筒面部81に、それぞれ摺動可能に嵌挿されることになる。この状態で、蓋部材53の円筒部121のテーパ面部327および曲面部328と、フリーピストン57のテーパ面部131および曲面部132とがこれらの径方向において位置を重ね合わせることになる。つまり、円筒部121のテーパ面部327および曲面部328とフリーピストン57のテーパ面部131および曲面部132とがフリーピストン57の移動方向で対向する。
そして、第6実施形態では、ハウジング本体54の大径円筒面部84と、蓋部材53のテーパ面部327および曲面部328と、フリーピストン57のテーパ面部131、曲面部132および小径円筒面部133との間に、Oリング58(図8においても自然状態を図示)が配置されている。このOリング58も、Oリング59と同様、自然状態にあるとき、内径がフリーピストン57の小径円筒面部133よりも小径で、外径がハウジング本体54の大径円筒面部84よりも大径となっている。つまり、Oリング58も、フリーピストン57およびハウジング55の両方に対してこれらの径方向に締め代をもって嵌合される。
両Oリング58,59は、同じ大きさのものであり、フリーピストン57をハウジング55に対して所定の中立範囲に保持するとともにフリーピストン57のハウジング55に対する軸方向の上室12側および下室13側の両側への軸方向移動を許容する。
よって、第6実施形態のフリーピストン57においては、Oリング58が小径円筒面部133、曲面部132およびテーパ面部131に接触することになり、これらのうち曲面部132およびテーパ面部131は、フリーピストン57の移動方向に対し傾斜している。また、ハウジング55においては、Oリング58が大径円筒面部84、テーパ面部327および曲面部328に接触することになり、これらのうちテーパ面部327および曲面部328は、フリーピストン57の移動方向に対し傾斜している。
言い換えれば、フリーピストン57の外周部に外側環状突起93を設け、この外側環状突起93の軸方向両面は、曲面部98およびテーパ面部99と、曲面部132およびテーパ面部131とを構成し、ハウジング55の内周の外側環状突起93の両側の位置には、テーパ面部82および曲面部83を構成する内側環状突起80と、テーパ面部327および曲面部328を構成する内側環状突起331とを設け、外側環状突起93と、内側環状突起80および内側環状突起331との間にそれぞれOリング59およびOリング58を設けている。
そして、第6実施形態の減衰力可変機構35では、上記したように上室連通室107は、通路穴105,106およびオリフィス323を介して減衰力発生機構31の背圧室225に連通している。よって、上室連通室107には、シリンダ10内の上室12側からの油液が、背圧室導入油路226と背圧室225とオリフィス323とを介して導入される。ここで、背圧室225は、上室12の圧力が上昇しても圧力が低く抑えられることになり、上昇時の上室12の圧力とそのとき下降する下室13の圧力のほぼ中間の圧力になる。このような中間圧が減衰力可変機構35の上室連通室107に導入されることになる。
また、第6実施形態の減衰力可変機構35においては、フリーピストン57の中立位置では、フリーピストン57とハウジング55との間にあるOリング58,59が、ハウジング本体54の大径円筒面部84とフリーピストン57の小径円筒面部97,133との間に位置する。
この中立位置から例えば伸び行程でフリーピストン57がハウジング55に対して軸方向の下室13側に移動すると、第2実施形態と同様に、ハウジング55の大径円筒面部84とフリーピストン57の小径円筒面部97とがOリング59を、相互間で転動させてハウジング55に対して軸方向の下室13側に移動させることになり、その後、ハウジング55の曲面部83およびテーパ面部82の軸方向の上室12側と、フリーピストン57の曲面部98およびテーパ面部99の軸方向の下室13側とが、Oリング59を転動させながらフリーピストン57の軸方向および径方向に圧縮し、続いてハウジング55の曲面部83およびテーパ面部82の軸方向の下室13側と、フリーピストン57の曲面部98およびテーパ面部99の軸方向の上室12とが、Oリング59をフリーピストン57の軸方向および径方向に圧縮する。なお、第6実施形態においても、この中立位置から伸び行程でフリーピストン57がハウジング55に対して軸方向の下室13側に移動すると、ハウジング55の大径円筒面部84とフリーピストン57の小径円筒面部133とがOリング58を、相互間で転動させてハウジング55に対して軸方向の下室13側に移動させることになる。
続く縮み行程でフリーピストン57がハウジング55に対して軸方向の上室12側に移動すると、第2実施形態と同様に、ハウジング55の曲面部83およびテーパ面部82の軸方向の下室13側と、フリーピストン57の曲面部98およびテーパ面部99の軸方向の上室12とが、Oリング59の圧縮を解除し、続いて、ハウジング55の曲面部83およびテーパ面部82の軸方向の上室12側と、フリーピストン57の曲面部98およびテーパ面部99の軸方向の下室13側とが、Oリング59を転動させながら圧縮をさらに解除することになり、続いて、ハウジング55の大径円筒面部84とフリーピストン57の小径円筒面部97とがOリング59を、相互間で転動させながらハウジング55に対して軸方向の上室12側に移動させることになる。なお、第6実施形態では、このとき、Oリング58についても、ハウジング55の大径円筒面部84とフリーピストン57の小径円筒面部133とが、相互間で転動させてハウジング55に対して軸方向の上室12側に移動させることになる。そして、その後、ハウジング55の曲面部328およびテーパ面部327の軸方向の下室13側と、フリーピストン57の曲面部132およびテーパ面部131の軸方向の上室12側とが、Oリング58を転動させながらフリーピストン57の軸方向および径方向に圧縮し、続いてハウジング55の曲面部328およびテーパ面部327の軸方向の上室12側と、フリーピストン57の曲面部132およびテーパ面部131の軸方向の下室13側とが、Oリング58をフリーピストン57の軸方向および径方向に圧縮する。
上記に続く伸び行程では、ハウジング55の曲面部328およびテーパ面部327の上室12側とフリーピストン57のテーパ面部131および曲面部132の下室13側とがOリング58の圧縮を解除し、続いて、ハウジング55の曲面部328およびテーパ面部327の下室13側とフリーピストン57のテーパ面部131および曲面部132の上室12側とがOリング58を転動させながら圧縮をさらに解除することになり、続いて、ハウジング55の大径円筒面部84とフリーピストン57の小径円筒面部133とがOリング58を、相互間で転動させてハウジング55に対して軸方向の下室13側に移動させることになる。このとき、Oリング59についても、ハウジング55の大径円筒面部84とフリーピストン57の小径円筒面部97とが、相互間で転動させてハウジング55に対して軸方向の下室13側に移動させることになる。そして、フリーピストン57が中立位置を通過すると、Oリング58,59を上記と同様に、動作させる。
以上に述べた第6実施形態によれば、背圧室225と圧力室112の上室連通室107との間にオリフィス323を設けたため、圧力室112用のオリフィスを、背圧室225用のオリフィスで兼用できる。したがって、ハウジング55にオリフィスを形成するためのハウジング底部が不要となり、減衰力可変機構35の全長を短縮することができる。
「第7実施形態」
次に、第7実施形態を主に図9および図10に基づいて第6実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第6実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第7実施形態においては、第6実施形態に対して、ディスクバルブからなる減衰バルブ208が一部相違している。第7実施形態の減衰バルブ208は、減衰バルブ本体202の軸方向のバルブ部材203側に、減衰バルブ本体202側から順に、チェック弁ディスク(閉塞バルブ)340、単板ディスク341および単板ディスク342を有している。また、減衰バルブ208は、減衰バルブ本体202の軸方向のバルブ部材203とは反対側に、減衰バルブ本体202側から順に、単板ディスク345、単板ディスク346、チェック弁ディスク(第2の閉塞バルブ)347およびスペーサ348を有している。これらはいずれもピストンロッド16の取付軸部21を挿通させるために有孔円板状をなしている。
減衰バルブ本体202のディスク222には、径方向のシール部材223よりも内側に、シール部材223に近接して通路穴349が形成されており、通路穴349よりもさらに内側に通路穴350が形成されている。チェック弁ディスク340は、減衰バルブ本体202の通路穴350の外端部と外径を合わせており、径方向中間位置に、通路穴350と径方向および周方向の位置を合わせて通路穴351が形成されている。チェック弁ディスク340は、通路穴349を軸方向外側で覆うように設けられている。単板ディスク341は、チェック弁ディスク340よりも小径の外径となっており、外径側に、通路穴351と径方向および周方向の位置を一部重ね合わせて切欠部352が形成されている。単板ディスク342は、単板ディスク341と同外径であり、切欠部358を軸方向外側で覆うように設けられている。この単板ディスク342がバルブ部材203に当接している。
単板ディスク345は、チェック弁ディスク340と同外径となっており、外径側に、通路穴349と径方向および周方向の位置を合わせて切欠部354が形成され、径方向中間位置に、通路穴350と径方向および周方向の位置を合わせて通路穴355が形成されている。単板ディスク346は、単板ディスク345と同外径となっており、径方向中間位置に、通路穴355と径方向および周方向に位置が一部重なり合うように通路穴356が形成されている。チェック弁ディスク347は、外径が、単板ディスク346より小径かつ通路穴356の外端部よりも大径となっており、通路穴356を覆っている。スペーサ348は、外径がチェック弁ディスク347よりも小径となっており、ピストン11に当接する。
そして、上記のように、減衰バルブ208に形成された、単板ディスク345の切欠部354および減衰バルブ本体202の通路穴349は、通路30aを介して上室12に常時連通しており、これらが、伸び行程において図9に実線矢印で示すように背圧室225に上室12から油液を導入する背圧室流入油路226を構成している。そして、チェック弁ディスク340は、この背圧室流入油路226を塞ぐと共に、背圧室流入油路226の圧力が背圧室225の圧力より所定値高くなると背圧室225への油液の流入方向に変形し開弁する。このチェック弁ディスク340が開弁すると、背圧室流入油路226を開いて背圧室225に連通させることになり、上室12側の油液が背圧室225に導入される。
また、単板ディスク341の切欠部352、チェック弁ディスク340の通路穴351、減衰バルブ本体202の通路穴350、単板ディスク345の通路穴355、単板ディスク346の通路穴356は、背圧室225に常時連通しており、これらが、背圧室流入油路226と並列に設けられて、縮み行程において図9に破線矢印で示すように背圧室225から上室12に油液を排出する背圧室流出油路358を構成している。そして、チェック弁ディスク347は、この背圧室流出油路358を塞ぐと共に、背圧室225の圧力が通路30aの圧力より所定値高くなると、背圧室225からの油液の流出方向に変形し開弁する。このチェック弁ディスク347が開弁すると、背圧室流出油路358を開いて上室12に連通させることになり、背圧室225の油液が上室12側に放出される。
以上に述べた第7実施形態によれば、背圧室流入油路226を塞ぐと共に背圧室225への流入方向に開弁するチェック弁ディスク340を設け、背圧室流出油路358を塞ぐと共に背圧室225からの流出方向に開弁するチェック弁ディスク347を設けたため、減衰力をさらに円滑に変化させることができる。つまり、チェック弁ディスク340,347を設けない場合には、図10に破線で示すように、ストロークが縮み側から伸び側に切り替わった直後、および伸び側から縮み側に切り替わった直後に、減衰力が不足する領域Y1’,Y2’が生じることになる。これに対し、チェック弁ディスク340,347を設けることで、図10に実線で示すように、領域Y1’,Y2’に対する領域Y1,Y2のように減衰力の不足を生じさせないようにできる。つまり、緩衝器のストロークが縮み側から伸び側に切り替わった直後に、背圧室流入油路226をチェック弁ディスク340が一時的に閉じていることによって、上室12から通路30a、背圧室流入油路226、背圧室225、オリフィス323、通路穴105,106を介する油液の流れを一時的に阻止して、減衰力を発生させることになる(領域Y1)。また、チェック弁ディスク347を設けることで、緩衝器のストロークが伸び側から縮み側に切り替わった直後に、背圧室流出油路358をチェック弁ディスク347が一時的に閉じていることによって、通路穴105,106側から、オリフィス323、背圧室225、背圧室流出油路358および通路30aを介して上室12側に流れる油液の流れを一時的に阻止して、減衰力を発生させることになる(実線の領域Y2)
また、減衰バルブ202をディスクバルブとし、このディスクバルブにチェック弁ディスク340,347を設けたため、これらチェック弁ディスク340,347の交換で容易に減衰力特性を変更可能となる。
以上に述べた実施形態によれば、作動流体が封入されたシリンダと、前記シリンダ内に摺動可能に嵌装され、該シリンダ内を2室に区画するピストンと、前記ピストンに連結されると共に前記シリンダの外部に延出されたピストンロッドと、前記ピストンの移動により前記シリンダ内の一方の室から作動流体が流れ出す第1通路および第2通路と、前記第1通路に設けられて、前記ピストンの摺動によって生じる前記作動流体の流れを規制して減衰力を発生させる減衰バルブと、前記減衰バルブに閉弁方向に内圧を作用させる背圧室と、前記背圧室に前記シリンダ内の一方の室から前記作動流体を導入する背圧室流入油路と、前記第2通路の途中に設けられた圧力室と、前記圧力室内に摺動自在に挿入されたフリーピストンと、を備えた。このため、ピストン速度が速い領域において、ピストン速度の増加に対する減衰力の上昇を抑えることができ、また、ピストン速度が遅い領域で周波数が高いときに減衰力を下げ、ピストン速度が遅い領域で周波数が低いときに減衰力を上げることができる。したがって、路面状況等による種々の振動状態に応じて減衰力を適正に制御可能となる。
また、前記フリーピストンの変位に対し抵抗力を発生する抵抗要素を備えたため、周波数に感応して減衰力を変化させる場合に円滑に変化させることができる。
また、前記第2通路は、前記シリンダ内の一方の室からの作動流体を、前記背圧室流入油路と前記背圧室とを介して前記圧力室に導くように構成したため、背圧室流入油路および背圧室で第2通路を兼用することができる。
また、前記抵抗要素をコイルスプリングとしたため、フリーピストンの変位に対し抵抗力を発生する抵抗要素の長寿命化が図れる。
また、前記圧力室を形成するハウジングと、前記ハウジングと前記フリーピストンとの間に設けられ前記抵抗要素を構成する弾性体とを有するため、抵抗要素でハウジングとフリーピストンとの間をシールすることができ、部品点数を低減できる。
また、前記背圧室には、前記背圧室の作動流体を下流側に流出させる排出オリフィスを設けたため、背圧室の圧力を簡素な構成で制御できる。
また、前記背圧室には、前記背圧室の作動流体を下流側に流出させる排出バルブを設けたため、背圧室の圧力を良好に開放することができる。
また、作動流体が封入されたシリンダと、前記シリンダ内に摺動可能に嵌装され、該シリンダ内を2室に区画するピストンと、前記ピストンに連結されると共に前記シリンダの外部に延出されたピストンロッドと、前記ピストンの移動により前記シリンダ内の一方の室から作動流体が流れ出す第1通路および第2通路と、前記第1通路に設けられて、前記ピストンの摺動によって生じる前記作動流体の流れを規制して減衰力を発生させる減衰バルブと、前記減衰バルブに閉弁方向に内圧を作用させる背圧室と、前記背圧室に前記シリンダ内の一方の室から前記作動流体を導入する背圧室流入油路と、内部に前記第2通路の少なくとも一部の流路が形成されるハウジングと、前記ハウジング内に移動可能に設けられ前記第2通路を上流と下流に画成するフリーピストンと、前記フリーピストンと前記ハウジングとの間に設けられた1つまたは複数の弾性体とからなり、前記フリーピストンの前記弾性体が接触するフリーピストン接触面、および、前記ハウジングの前記弾性体が接触する前記ハウジング接触面のうち少なくともいずれか一方の面が、前記フリーピストンの移動方向に対し傾斜する面を有しており、前記フリーピストンの移動によって前記フリーピストン接触面のうち前記弾性体と接触している部分と前記ハウジング接触面のうち前記弾性体と接触している部分との最短距離が変化するように構成した。このため、ピストン速度が速い領域において、ピストン速度の増加に対する減衰力の上昇を抑えることができ、また、ピストン速度が遅い領域で周波数が高いときに減衰力を下げ、ピストン速度が遅い領域で周波数が低いときに減衰力を上げることができる。したがって、路面状況等による種々の振動状態に応じて減衰力を適正に制御可能となる。しかも、周波数に感応して減衰力を変化させる場合に円滑に変化させることができる。
また、前記フリーピストン接触面および前記ハウジング接触面のうち少なくともいずれか一方の前記傾斜する面が曲面を有するため、減衰力をさらに円滑に変化させることができる。
前記フリーピストン接触面および前記ハウジング接触面のうち少なくともいずれか一方の前記傾斜する面は、前記フリーピストン接触面のうち前記弾性体と接触している部分と前記ハウジング接触面のうち前記弾性体と接触している部分との最短距離が小さくなったときに傾斜角が大きくなるため、減衰力をさらに円滑に変化させることができる。
前記弾性体は、前記フリーピストンが一方向へ移動したときに圧縮変形する一の弾性体と、前記フリーピストンが他方向へ移動したときに圧縮変形する他の弾性体とを有するため、伸び行程および縮み行程の両方で減衰力を円滑に変化させることができる。
前記フリーピストンの一端側に内周と外周とが前記傾斜する面となるフランジ部を設け、前記ハウジングの一部に前記フリーピストンの筒部内に延出する延出部を設け、前記一の弾性体を前記フランジ部の内周面と前記延出部とに当接するように配置し、前記他の弾性体を前記フランジ部の外周面と前記ハウジングの内周面に当接するように配置したため、各部品の組み付け性が良好となる。
前記フリーピストンの外周部にフリーピストン側環状突起を設け、前記フリーピストン環状突起の軸方向両面は前記フリーピストン接触面を構成し、前記ハウジングの内周の前記環状突起の両側の位置には、前記ハウジング接触面を構成するハウジング側環状突起を設け、前記フリーピストン環状突起と各前記ハウジング側環状突起との間にそれぞれ前記弾性体を設けたため、弾性体を共通化できる。
前記弾性体が前記フリーピストンと前記ハウジングとの間で転動するため、減衰力をさらに円滑に変化させることができる。
前記第1通路および前記第2通路は、前記ピストンに設けられたため、構成を簡素化できる。
前記第2通路の上流または下流の少なくとも一方にオリフィスを設けたため、減衰力をさらに円滑に変化させることができる。
前記ピストンに前記第1通路を設け、前記第2通路を、前記ピストンに形成され前記第1通路から分岐されるピストン分岐通路と、前記ピストンロッドに設けられたピストンロッド通路とにより構成したため、ピストンロッド通路の長さを短くすることができる。よって、ピストンロッド通路の管路抵抗を小さくできる。また、ピストンロッド通路を切削により形成する場合には、切削長さを短くできるため、生産性を向上できる。加えて、ピストン分岐通路をコイニング加工によりピストンに形成可能であるため、生産性に優れる。
前記ピストンに前記第1通路を設け、前記第2通路を、前記減衰バルブに形成され前記第1通路から分岐されるバルブ分岐通路と、前記ピストンロッドに設けられたピストンロッド通路とにより構成したため、ピストンロッド通路の長さを短くすることができる。よって、ピストンロッド通路の管路抵抗を小さくできる。また、ピストンロッド通路を切削により形成する場合には、切削長さを短くできるため、生産性を向上できる。加えて、バルブ分岐通路は、減衰バルブの交換で流路面積を変更できるため、容易に流路面積を調整可能となる。
前記背圧室と前記圧力室との間にオリフィスを設けたため、圧力室用のオリフィスを、背圧室用のオリフィスで兼用できる。
前記背圧室流入油路を塞ぐと共に前記背圧室への流入方向に開弁する閉塞バルブを設けたため、減衰力をさらに円滑に変化させることができる。
前記背圧室流入油路と並列に背圧室流出油路を設け、該背圧室流出油路を塞ぐと共に前記背圧室からの流出方向に開弁する第2の閉塞バルブを設けたため、減衰力をさらに円滑に変化させることができる。
前記減衰バルブをディスクバルブとし、前記ディスクバルブに前記閉塞バルブおよび前記第2の閉塞バルブを設けたため、閉塞バルブおよび第2の閉塞バルブの交換で容易に減衰力特性を変更可能となる。
上記各実施の形態は、モノチューブ式の油圧緩衝器に本発明を用いた例を示したが、これに限らず、シリンダの外周に外筒を設け、外筒とシリンダの間にリザーバを設けた複筒式油圧緩衝器に用いてもよく、あらゆる緩衝器に用いることができる。また、複筒式油圧緩衝器の場合、シリンダのボトムに下室とリザーバとを連通するボトムバルブを設け、このボトムバルブに上記ハウジングを設けることで、ボトムバルブに本発明を適用することも可能である。また、シリンダの外部にシリンダ内と連通する油通路を設け、この油通路に減衰力発生機構を設ける場合は、上記ハウジングをシリンダ外部に設けることになる。
なお、上記実施の形態では、油圧緩衝器を例に示したが、流体として水や空気を用いることもできる。
さらに、上記各実施形態では、Oリングを1個または2個の例を示したが、必要に応じて同様の技術思想で、3個以上としてもよい。また、上記各実施形態では、弾性体としてゴム(樹脂)製のリングを用いた例を示したが、ゴム製の球を周方向に間隔をもって複数も設けてもよく、また、本発明に用いることのできる弾性体は、一の軸方向に弾性を有するもではなく、複数の軸方向に対して弾性を有するものであれば、ゴムでなくともよい。