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JP5740097B2 - ヒートシンク用高熱伝導性樹脂成形体 - Google Patents

ヒートシンク用高熱伝導性樹脂成形体 Download PDF

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Description

本発明は、高熱伝導性と電気絶縁性とを両立させ、尚且つ耐光性、成形性、高耐光性、高白色度にも優れ、且つ高反射率を有する熱可塑性樹脂組成物から得られる樹脂成形体に関する。更に詳しくは、高熱伝導性樹脂でありながら低密度であり、照明器具部材や携帯型電子機器等の軽量化に貢献し得る、各種用途、特に照明器具部材として好適な熱可塑性樹脂成形体に関する。
電子機器の性能向上は著しく、性能向上に伴い集積度も増し、体積あたりの発熱量が著しく増加している。そのため電子機器設計において、熱対策をどの様に行うかが機器の性能や長期信頼性への重要な課題になっている。特に、近年LEDの用途が広がりディスプレイや液晶のバックライトや照明にも応用され、その熱対策が問題となっている。それらの放熱は多くの場合は発熱体の熱をヒートシンクやヒートスプレッダを用いて素早く広げ、大気や水等冷媒との接触面を増やすことで行われる。
従来のヒートシンクは、銅およびアルミ材料を用いて切削加工、ダイカスト若しくは熱間押出により製品を製造している。これら金属は一般的に放射率が低いためアルマイトなどの表面加工や塗装によって放射率を向上させているものもある。さらに放熱性を高めるために、金属製のヒートパイプを装填した製品も見受けられる。これら金属製のヒートシンクは、今後進む部品の更なる小型化・軽量化あるいは複雑形状化の際に、ダイキャストなどの金属では生産性が悪く、形状が制限される。そこで、金属に変わる材料として樹脂材料が注目されている。
しかし、熱可塑性樹脂成形体をパソコンやディスプレイの筐体、電子デバイス材料、自動車の内外装、照明器具部材、携帯電話等の携帯型電子機器、等種々の用途に適用する際、プラスチックは金属材料等無機物と比較して熱伝導性が低いため、発生する熱を逃がし難いことが問題になることがある。このような課題を解決するため、高熱伝導性無機物を大量に熱可塑性樹脂中に配合することで、高熱伝導性樹脂組成物を得ようとする試みが広くなされている。高熱伝導性無機化合物としては、グラファイト、炭素繊維、低融点金属、アルミナ、窒化アルミニウム、等の高熱伝導性無機物が用いられ、通常は30体積%以上、更には50体積%以上もの高含有量で樹脂中に配合する必要がある。(特許文献1)
これら樹脂組成物の中でも、グラファイト、炭素繊維、低融点金属、等を用いたものは、比較的高熱伝導性の樹脂成形体が得られるものの、得られる樹脂成形体が導電性を有してしまうため、金属との差別化が困難であり用途は限られている。(特許文献2)
一方、アルミナを用いたものは電気絶縁性と高熱伝導性とを両立できるが、アルミナが樹脂と比べ高密度であるため、得られる組成物の密度も高くなり、携帯型電子機器や照明器具部材等の軽量化要請に応えるのは困難である上、熱伝導率もあまり向上しないという課題がある。また窒化アルミニウムを用いると比較的高熱伝導率の組成物が得られるが、窒化アルミニウムの加水分解性等が懸念される。
更には、これらフィラーを高充填した熱可塑性樹脂組成物は、フィラー含量が高いが故に成形性が大幅に低下してしまい、実用的な形状の金型やピンゲートを有する金型では射出成形が非常に困難であるという課題がある。フィラーを高充填した高熱伝導性熱可塑性樹脂の成形性を向上させるため、例えば室温で液体の有機化合物を添加する方法が例示されている(特許文献3)。
しかしながらこのような方法では、射出成形時に液体の有機化合物がブリードアウトし、金型を汚染する等の課題がある。その他種々の成形性改良法が検討されているが、未だ有効な手法が見出されていないのが現状である。
一方、電球ソケットや発光管ホルダーといった照明器具部材には、以前は熱硬化性樹脂が主に用いられていたが、加工性やコストの問題から熱可塑性樹脂への転換が進められている。この場合樹脂として高い耐光性を有する必要があり、これを満たすために、例えば酸化チタンを含む白色顔料を大量に添加した白色熱可塑性ポリエステル樹脂組成物が例示されている(特許文献4)。
しかしながらこのような方法では、照明器具部材に近年求められるようになってきた、コンパクト化、長寿命化、高熱伝導性等の高機能化、といった要求に応え切れないという課題がある。
特許第4407250号 特開2009−16415 特許第3948240号 特許第1959144号
本発明は上記現状に鑑み、高熱伝導性、電気絶縁性、低密度、成形性良好、高耐光性、高白色度等の優れた特性を有し、更に反射率にも優れた熱可塑性樹脂成形体を得るという困難な課題を実現させることにある。
本発明者は、高熱伝導性、電気絶縁性、低密度、成形性、高耐光性、高白色を全て満足し、尚且つ高反射率を容易に付与しうる方法について鋭意検討した結果、特定構造と特定形状を有する六方晶窒化ホウ素粉末を樹脂と併用することで、目的の成形体を容易に成形し得ることができることを見出し、本発明に至った。
即ち本発明は、以下の[1]〜[]に関する。
[1]高熱伝導性樹脂組成物により一部または全部が形成されたヒートシンク用高熱伝導性樹脂成形体であって、前記高熱伝導性樹脂組成物が、熱可塑性ポリエステル系樹脂(A)、数平均粒径が15μm以上で白色度Wが90以上且つ黒鉛化指数GIが2.0以下の鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末(B)、及びガラス繊維を少なくとも含有し、(A)/(B)の体積比率が85/15〜25/75の範囲である樹脂組成物から得られ、かつ射出成形法により成形され、白色度が80以上、かつ全光線反射率が50%以上であり、120℃雰囲気中で400W水銀灯を10cmの距離から7日間連続照射した際の、照射前後の色差△Eが10以下であることを特徴とするヒートシンク用高熱伝導性樹脂成形体。
[2]鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末(B)の数平均粒径が30μm以上であることを特徴とする、[1]に記載のヒートシンク用高熱伝導性樹脂成形体。
[3]鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末(B)のタップ密度が0.6g/cm以上であることを特徴とする、[1]または[2]に記載のヒートシンク用高熱伝導性樹脂成形体。
]成形体の面方向における熱拡散率が成形体の厚み方向の熱拡散率の2倍以上であり、且つ成形体の面方向における熱拡散率が0.5mm/sec以上であることを特徴とする、[1]〜[]のいずれか1項に記載のヒートシンク用高熱伝導性樹脂成形体。
5]成形体としての熱伝導率が1W/m・K以上であり、更に表面電気抵抗値が1011Ω以上であることを特徴とする、[1]〜[]のいずれか1項に記載のヒートシンク用高熱伝導性樹脂成形体。
本発明の方法を用いることにより、反射率に優れた熱可塑性樹脂成形体を得ることができ、尚且つ該成形体に用いられる熱可塑性樹脂組成物自体が高熱伝導性、電気絶縁性、低密度、良好な成形性、高耐光性、高白色度を有しており、照明器具部材や携帯型電子機器等の軽量化、熱対策等に非常に有用な樹脂成形体が容易に成形できる。
ヒートシンクの形状例 実施例で用いた評価モデルである。
<熱可塑性ポリエステル系樹脂>
本発明の(A)成分の熱可塑性ポリエステル系樹脂としては、非晶性脂肪族ポリエステル、非晶性半芳香族ポリエステル、非晶性全芳香族ポリエステル等の非晶性熱可塑性ポリエステル系樹脂、結晶性脂肪族ポリエステル、結晶性半芳香族ポリエステル、結晶性全芳香族ポリエステル等の結晶性熱可塑性ポリエステル系樹脂、液晶性脂肪族ポリエステル、液晶性半芳香族ポリエステル、液晶性全芳香族ポリエステル等の液晶性熱可塑性ポリエステル系樹脂、等を用いることができる。熱可塑性ポリエステル系樹脂のうち、液晶性熱可塑性ポリエステル系樹脂として好ましい構造の具体例は、
−O−Ph−CO− 構造単位(I)、
−O−R3−O− 構造単位(II)、
−O−CH2CH2−O− 構造単位(III)及び
−CO−R4−CO− 構造単位(IV)
の構造単位からなる液晶性ポリエステルが挙げられる。
(ただし式中のR3は
から選ばれた1種以上の基を示し、R4は
から選ばれた1種以上の基を示す(ただし式中Xは水素原子又は塩素原子を示す)。
上記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位であり、構造単位(II)は4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン及び4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルから選ばれた一種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位を、構造単位(III)はエチレングリコールから生成した構造単位を、構造単位(IV)はテレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸及び4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸から選ばれた一種以上の芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位を各々示す。
これらの中でも、p−ヒドロキシ安息香酸及び6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位、テレフタル酸から生成した構造単位の液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、テレフタル酸から生成した構造単位の液晶性ポリエステルを特に好ましく用いることができる。
熱可塑性ポリエステル系樹脂のうち、結晶性熱可塑性ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート及びポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート等のほか、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレート及びポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート/イソフタレート等の結晶性共重合ポリエステル等が挙げられる。
これら結晶性ポリエステルの中でも、入手が容易であるという点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、等を用いることが好ましい。これらの中でも、結晶化速度が最適である点等から、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、等のポリアルキレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステル樹脂であることが好ましい。
本発明の高熱伝導性樹脂成形体に用いられる樹脂組成物において、ポリエステル系樹脂は1種類のみを単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて使用しても良い。2種以上を組み合わせて使用する場合には、その組み合わせは特に限定されず、化学構造、分子量、結晶形態、等が異なる2種以上の成分を任意に組み合わせることができる。
これら種々の熱可塑性ポリエステル系樹脂の中でも、樹脂単体での熱伝導率が高いことから、高結晶性あるいは液晶性の樹脂を用いることが好ましい。樹脂によっては、成形条件によって結晶化度が変化する場合もあるが、そのような場合には高結晶性となるような成形条件を選択することで、得られる樹脂成形体の熱伝導性を高めることができる。
本発明の高熱伝導性樹脂成形体に用いられる樹脂組成物には、熱可塑性ポリエステル系樹脂(A)以外の各種熱可塑性樹脂を更に用いることができる。(A)以外の熱可塑性樹脂は、合成樹脂であっても自然界に存在する樹脂であっても良い。(A)以外の熱可塑性樹脂を用いる場合の使用量は、成形性と機械的特性とのバランスを考慮すると、(A)100重量部に対して好ましくは0〜100重量部、より好ましくは0〜50重量部である。
(A)以外の熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン等の芳香族ビニル系樹脂、ポリアクリロニトリル等のシアン化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデン等の塩素系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のポリメタアクリル酸エステル系樹脂やポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンや環状ポリオレフィン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル等のポリビニルエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂及びこれらの誘導体樹脂、ポリメタクリル酸系樹脂やポリアクリル酸系樹脂及びこれらの金属塩系樹脂、ポリ共役ジエン系樹脂、マレイン酸やフマル酸及びこれらの誘導体を重合して得られるポリマー、マレイミド系化合物を重合して得られるポリマー、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアルキレンオキシド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、フェノキシ系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、液晶ポリマー、及びこれら例示されたポリマーのランダム・ブロック・グラフトの各共重合体、等が挙げられる。これら(A)以外の熱可塑性樹脂は、それぞれ1種類のみを単独で用いても良いし、種以上の複数を組み合わせて用いても良い。2種以上の樹脂を組み合わせて用いる場合には、必要に応じて相溶化剤等を添加して用いることもできる。これら(A)以外の熱可塑性樹脂は、目的に応じて適宜使い分ければ良い。
これら(A)以外の熱可塑性樹脂の中でも、樹脂の一部あるいは全部が結晶性あるいは液晶性を有する熱可塑性樹脂であることが、得られた樹脂組成物の熱伝導率が高くなる傾向がある点や、無機化合物(B)を樹脂中に含有させることが容易である点から好ましい。これら結晶性あるいは液晶性を有する熱可塑性樹脂は、樹脂全体が結晶性であっても、ブロックあるいはグラフト共重合体樹脂の分子中における特定ブロックのみが結晶性や液晶性である等樹脂の一部のみが結晶性あるいは液晶性であっても良い。樹脂の結晶化度には特に制限は無い。また(A)以外の熱可塑性樹脂として、非晶性樹脂と結晶性あるいは液晶性樹脂とのポリマーアロイを用いることもできる。この時、樹脂の結晶化度には特に制限は無い。
樹脂の一部あるいは全部が結晶性あるいは液晶性を有する(A)以外の熱可塑性樹脂の中には、結晶化させることが可能であっても、単独で用いたり特定の成形加工条件で成形したりすることにより、場合によっては非晶性を示す樹脂もある。このような樹脂を用いる場合には、無機化合物(B)の添加量や添加方法を調整したり、延伸処理や後結晶化処理をする等成形加工方法を工夫したりすることにより、樹脂の一部あるいは全体を結晶化させることができる場合もある。
結晶性あるいは液晶性を有する熱可塑性樹脂の中でも好ましい樹脂として、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、結晶性ポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系ブロック共重合体、等を例示することができるが、これらに限らず各種の結晶性樹脂や液晶性樹脂を用いることができる。
また、(A)以外の熱可塑性樹脂に弾性を有する樹脂を用いることで、(A)の樹脂の衝撃強度を改善することもできる。これら弾性樹脂は、得られる樹脂組成物の衝撃強度改良効果に優れていることから、その少なくとも1つのガラス転移点が0℃以下であることが好ましく、より好ましくは−20℃以下である。
該弾性樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、(メタ)アクリル酸アルキルエステル−ブタジエンゴム等のジエン系ゴム;アクリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、シロキサンゴム等のゴム状重合体;ジエン系ゴム及び/又はゴム状重合体10〜90重量部に対して、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる群より選択される少なくとも1つのモノマー10〜90重量部、並びに、これらと共重合可能な他のビニル系化合物10重量部以下を重合してなるゴム状共重合体;ポリエチレン、ポリプロピレン等の各種ポリオレフィン系樹脂;エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、等のエチレン−αオレフィン共重合体;プロピレン−ブテン共重合体、等のオレフィン共重合体;エチレン−エチルアクリレート共重合体等の、各種共重合成分により変性された共重合ポリオレフィン系樹脂;エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−プロピレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−プロピレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−ブテン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−ブテン−無水マレイン酸共重合体、プロピレン−ブテン−グリシジルメタクリレート共重合体、プロピレン−ブテン−無水マレイン酸共重合体、等の、各種官能成分により変性された変性ポリオレフィン系樹脂;スチレン−エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−エチレン−ブテン共重合体、スチレン−イソブチレン共重合体、等のスチレン系熱可塑性エラストマー、等が挙げられる。
該弾性樹脂を添加する場合、その添加量は、樹脂(A)100重量部に対して、通常150重量部以下であり、好ましくは0.1〜100重量部であり、より好ましくは0.2〜50重量部である。150重量部を超えると、剛性、耐熱性、熱伝導性、等が低下する傾向がある。
<鱗片形状六方晶窒化ホウ素>
本発明で用いられる、数平均粒径が15μm以上で白色度Wが90以上且つ黒鉛化指数GIが2.0以下の鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末(B)は、公知の種々の方法により製造することができる。一般的な製造方法としては、ホウ素源となる酸化ホウ素やホウ酸、窒素源となるメラミン、尿素、アンモニア、等とを、必要により事前に反応させた後、窒素等の不活性ガス存在下あるいは真空下で1000℃程度に加熱して乱層構造の窒化ホウ素を合成し、その後更に窒素やアルゴン等の不活性ガス存在下あるいは真空下で2000℃程度まで加熱して結晶化を進行させ、六方晶窒化ホウ素結晶粉末とする方法等が挙げられる。このような製造方法により、一般的には5〜15μm程度の数平均粒径を有する鱗片形状六方晶窒化ホウ素が得られる。しかしながら本発明で用いられる鱗片形状六方晶窒化ホウ素は、特殊な製造方法を用いることにより一次結晶を大きく成長させ、数平均粒径を15μm以上、白色度Wを90以上且つ黒鉛化指数GIを2.0以下としたものである。
数平均粒径15μm以上で白色度Wが90以上且つ黒鉛化指数GIが2.0以下の鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末(B)を得る方法としては、例えば窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中、硝酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、金属ケイ素、等の高温で液体となるフラックス化合物の共存下に、メラミン、尿素、等の窒素源となる化合物、あるいはチッ素ガス、アンモニアガス等の窒素源となる気体と、ホウ酸、酸化ホウ素、等のホウ素源となる化合物とを1700〜2200℃程度の高温で焼成することにより、フラックス化合物中で結晶成長を促進し、大粒径の結晶粒子を得る方法等を挙げることができるが、製造方法はこのような方法に限定されず、種々の方法を用いることができる。
このようにして得られた、数平均粒径が特に大きい鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末(B)を、樹脂に充填した樹脂組成物を射出成形または押出成形することにより、樹脂中に充填された鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末が成形体の面方向に配向しやすくなる。このような窒化ホウ素粉末の配向状態を得ることにより、成形体の面方向で測定された熱拡散率を厚み方向で測定された熱拡散率の2倍以上とすることが可能となる。即ち、数平均粒径が特に大きい鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末(B)は、数平均粒径が小さい窒化ホウ素と比べて、より鱗片形状の面方向に熱を伝えやすい性質を有している。
本発明で用いられる鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末(B)の数平均粒径は15μm以上であることが必要であるが、好ましくは20μm以上、より好ましくは25μm以上、更に好ましくは30μm以上、最も好ましくは40μm以上である。数平均粒径が大きいほど、該鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末を充填した樹脂組成物を成形体とした場合に、該成形体全体としての熱伝導率が向上する傾向が認められると共に、該成形体の面方向で測定された熱拡散率と厚み方向で測定された熱拡散率の比、即ち熱拡散の異方性が大きくなる傾向が認められる。また、数平均粒径の上限は一般的には1mm以下のものが用いられる。1mm以上であると、射出成形の際に金型のゲート部等に粉末が詰まる等して、成形性が低下する傾向が見られる。
また、本発明で用いられる鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末(B)の白色度Wは90以上であることが好ましく、更に好ましくは92以上、最も好ましくは95以上である。白色度が高いほど、該鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末を充填した樹脂組成物を成形体とした場合に、該成形体の白色度が高くなる傾向が見られる。
更に、本発明で用いられる鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末(B)の黒鉛化指数GIは2.0以下が好ましく、より好ましくは1.8以下、更に好ましくは1.6以下、最も好ましくは1.3以下である。黒鉛化指数の値が低いほど、該鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末の結晶性が高く、該鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末を充填した樹脂組成物を成形体とした場合に、該成形体全体としての熱伝導率が向上する傾向が認められるので好ましい。
ここでいう粒径とは、鱗片形状の粒子のうち投影面積が最も広くなるように観察した時に、形状が円形の場合には円の直径により算出される。また形状が円形でない場合には、面内で最も長い寸法を粒径と呼ぶこととする。即ち楕円形状であれば楕円の長径を、長方形であれば長方形の対角線の長さを、粒径とする。
粉末が鱗片形状であるとは、粉末の投影面積が最も広くなるように観察した時の長径の寸法が、粉末の投影面積が最も狭くなるように観察した時の最も短い辺の寸法の5倍以上であり、且つ粉末の投影面積が最も広くなるように観察した時の長径寸法が短径寸法の5倍未満であることにより定義されるものとする。投影面積が最も広くなるように観察した時の長径寸法と、投影面積が最も狭くなるように観察した時の短辺寸法との比は、好ましくは長径寸法が短辺寸法の6倍以上であり、更に好ましくは7倍以上である。粉末の投影面積が最も広くなるように観察した時の長径寸法と短径寸法との比は、好ましくは長径寸法が短径寸法の4.5倍未満であり、更に好ましくは4倍未満である。
また、ここでいう白色度Wとは、測色色差計を用いて測定した粉末の色の明度(L)、色相、彩度(a、b)から、次式(1)により算出できる。
W=100−{(100−L)2+a2+b2}1/2 (1)
更に、ここでいう黒鉛化指数GIとは、鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末の粉末X線回折測定における、回折線図の(100)、(101)及び(102)回折線の積分強度比(即ち面積比)から、次式(2)により算出できる。
GI=[面積{(100)+(101)}]/[面積(102)] (2)
本発明で用いられる鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末(B)のタップ密度は、一般的な粉末タップ密度測定装置を用い、鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末を密度測定用100cc容器に入れタッピングさせ衝撃で固めた後、容器上部の余分な粉末をブレードで擦りきる方法により算出される。このようにして測定されたタップ密度が大きい値であるほど、樹脂への充填が容易となる。タップ密度の値は好ましくは0.6g/cm 以上、より好ましくは0.65g/cm 以上、更に好ましくは0.7g/cm 以上、最も好ましくは0.75g/cm 以上である。
本発明の高熱伝導性樹脂成形体に用いられる熱可塑性樹脂組成物において、樹脂(A)と鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末(B)の比率は、(A)/(B)の体積比率が85/15〜25/75とすることが好ましい。(A)の使用量が多いほど、得られる成形体の耐衝撃性、表面性、成形加工性が向上し、溶融混練が容易になる傾向がある、という観点、及び(B)の使用量が多いほど熱伝導率が向上する傾向があり好ましいという観点から、体積比は好ましくは80/20〜33/67、より好ましくは75/25〜35/65、更に好ましくは73/27〜40/60、最も好ましくは70/30〜45/55である。
本発明の高熱伝導性樹脂成形体を更に高性能とするため、単体での熱伝導率が1W/m・K以上の高熱伝導性無機化合物を併用することができる。成形体の熱伝導率をより向上させるためには、併用する無機化合物単体での熱伝導率は、好ましくは2W/m・K以上、より好ましくは5W/m・K以上、更に好ましくは10W/m・K以上、最も好ましくは30W/m・K以上とする。高熱伝導性無機化合物単体での熱伝導率の上限は特に制限されず、高ければ高いほど好ましいが、一般的には3000W/m・K以下、更には2500W/m・K以下、のものが好ましく用いられる。
中でも成形体として高度な電気絶縁性が要求される用途に用いる場合には、高熱伝導性無機化合物としては電気絶縁性を示す化合物が好ましく用いられる。電気絶縁性とは具体的には、体積固有電気抵抗率が1Ω・cm以上のものを示すこととするが、好ましくは10Ω・cm以上、より好ましくは10 Ω・cm以上、更に好ましくは10 10 Ω・cm以上、最も好ましくは10 13 Ω・cm以上のものを用いるのが好ましい。体積固有電気抵抗率の上限には特に制限は無いが、一般的には10 18 Ω・cm以下である。
高熱伝導性無機化合物のうち、電気絶縁性を示す化合物としては具体的には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化ベリリウム、酸化銅、亜酸化銅、等の金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、等の金属窒化物、炭化ケイ素等の金属炭化物、炭酸マグネシウム等の金属炭酸塩、ダイヤモンド、等の絶縁性炭素材料、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、等の金属水酸化物、立方晶窒化ホウ素や乱層状窒化ホウ素等(B)以外の形態を有する各種窒化ホウ素等を例示することができる。また酸化アルミニウムはムライト等他の元素との複合化された化合物であっても良い。
中でも電気絶縁性に優れることから、(B)以外の窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、等の金属窒化物、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、等の金属酸化物、炭酸マグネシウム等の金属炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、等の金属水酸化物、ダイヤモンド、等の絶縁性炭素材料、をより好ましく用いることができる。酸化アルミニウムの中でもα−アルミナが熱伝導率に優れるため好ましい。これらは1種類のみを単独で用いても良いし、2種以上の複数種類を組み合わせて用いることもできる。
これら高熱伝導性無機化合物の形状については、種々の形状のものが適用可能である。例えば粒子状、微粒子状、ナノ粒子状、凝集粒子状、チューブ状、ナノチューブ状、ワイヤ状、ロッド状、針状、板状、ラグビーボール状、六面体状、大粒子と微小粒子とが複合化した複合粒子状、不定形、液体、等種々の形状を例示することができる。またこれら高熱伝導性無機化合物は天然物であっても良いし、合成されたものであっても良い。天然物の場合、産地等には特に限定は無く、適宜選択することができる。これら高熱伝導性無機化合物は、1種類のみを単独で用いても良いし、形状、平均粒子径、種類、表面処理剤等が異なる2種以上を併用することもできる。
これら高熱伝導性無機化合物は、樹脂と無機化合物との界面の接着性を高めたり、作業性を容易にしたりするため、シラン処理剤等の各種表面処理剤で表面処理がなされたものであっても良い。表面処理剤としては特に限定されず、例えばシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、等従来公知のものを使用することができる。中でもエポキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤、及び、アミノシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤、ポリオキシエチレンシラン、等が樹脂の物性を低下させることが少ないため好ましい。無機化合物の表面処理方法としては特に限定されず、通常の処理方法を利用することができる。
<添加剤>
本発明の高熱伝導性樹脂成形体に用いられる樹脂組成物には、樹脂組成物の耐熱性や機械的強度をより高めるため、本発明の特徴を損なわない範囲で上記以外の無機化合物を更に添加することができる。このような無機化合物としては特に制限は無い。但しこれら無機化合物を添加すると、熱伝導率に影響を及ぼす場合があるため、添加量等には注意が必要である。これら無機化合物も表面処理がなされていても良い。これらを使用する場合、その添加量は、樹脂(A)100重量部に対して、100重量部以下であることが好ましい。添加量が100重量部を上回ると、耐衝撃性や成形加工性が低下する場合がある。好ましくは50重量部以下であり、より好ましくは10重量部以下である。また、これら無機化合物の添加量が増加するとともに、成形体の表面性や寸法安定性が悪化する傾向が見られるため、これらの特性が重視される場合には、無機化合物の添加量をできるだけ少なくすることが好ましい。
また、本発明の高熱伝導性樹脂成形体をより高性能なものにするため、フェノール系安定剤、イオウ系安定剤、リン系安定剤等の熱安定剤等を、単独又は2種類以上を組み合わせて添加することが好ましい。更に必要に応じて、一般に良く知られている、安定剤、滑剤、離型剤、可塑剤、リン系以外の難燃剤、難燃助剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、染料、帯電防止剤、導電性付与剤、分散剤、相溶化剤、抗菌剤等を、単独又は2種類以上を組み合わせて、本発明の効果を奏する範囲で添加しても良い。
本発明の高熱伝導性樹脂成形体に用いられる樹脂組成物の製造方法としては、特に限定されるものではない。例えば、上述した成分や添加剤等を乾燥させた後、単軸、二軸等の押出機のような溶融混練機にて溶融混練することにより製造することができる。また、配合成分が液体である場合は、液体供給ポンプ等を用いて溶融混練機に途中添加して製造することもできる。
本発明の高熱伝導性樹脂成形体に用いられる樹脂組成物においては、必要に応じ造核剤等の結晶化促進剤を添加することにより、成形性を更に改善することができる。
本発明において用いられる結晶化促進剤としては、例えば、高級脂肪酸アミド、尿素誘導体、ソルビトール系化合物、高級脂肪酸塩、芳香族脂肪酸塩等が挙げられ、これらは1種類又は2種類以上用いることができる。中でも結晶化促進剤としての効果が高いことから、高級脂肪酸アミド、尿素誘導体、ソルビトール系化合物が好ましい。
上記高級脂肪酸アミドとしては、例えば、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、N−ステアリルベヘン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスラウリル酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、p−フェニレンビスステアリン酸アミド、エチレンジアミンとステアリン酸とセバシン酸の重縮合物、等が挙げられ、特にベヘン酸アミドが好ましい。
上記尿素誘導体としては、ビス(ステアリルウレイド)ヘキサン、4,4’−ビス(3−メチルウレイド)ジフェニルメタン、4,4’−ビス(3−シクロヘキシルウレイド)ジフェニルメタン、4,4’−ビス(3−シクロヘキシルウレイド)ジシクロヘキシルメタン、4,4’−ビス(3−フェニルウレイド)ジシクロヘキシルメタン、ビス(3−メチルシクロヘキシルウレイド)ヘキサン、4,4’−ビス(3−デシルウレイド)ジフェニルメタン、N−オクチル−N’−フェニルウレア、N,N’−ジフェニルウレア、N−トリル−N’−シクロヘキシルウレア、N,N’−ジシクロヘキシルウレア、N−フェニル−N’−トリブロモフェニルウレア、N−フェニル−N’−トリルウレア、N−シクロヘキシル−N’−フェニルウレア、等が例示され、特にビス(ステアリルウレイド)ヘキサンが好ましい。
上記ソルビトール系化合物としては、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール 、1,3−ベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−n−プロピルベンジリデン)ソルビトール 、1,3,2,4−ジ(p−i−プロピルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−n−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−s−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−t−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−メトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−エトキシベンジリデン)ソルビトール 、1,3−ベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンソルビトール、及び1,3,2,4−ジ(p−クロルベンジリデン)ソルビトール、等が挙げられる。これらの中で、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジベンジリデンソルビトールが好ましい。
本発明の高熱伝導性樹脂成形体に用いられる樹脂組成物における結晶化促進剤の使用量は、樹脂(A)100重量部に対し、成形性の点から、0.01〜5重量部が好ましく、0.03〜4重量部がより好ましく、0.05〜3重量部が更に好ましい。0.01重量部未満では、結晶化促進剤としての効果が不足する可能性があり、また5重量部を上回ると、効果が飽和する可能性があることから経済的に好ましくなく、外観や物性が損なわれる可能性がある。
<高熱伝導性樹脂成形体>
本発明の高熱伝導性樹脂成形体の全光線反射率は、50%以上100%以下であることが好ましく、より好ましくは60%以上100%以下であり、更に好ましくは65%以上100%以下であり、最も好ましくは70%以上100%以下である。照明用部材にあっては反射率が低いと光が吸収しているため、同じ明るさを達成するためにはより発光する必要があるので高いほうがより好ましい。反射率100%以上では入射光に反応し発光していることが考えられるが、本発明の想定外の効果であるため好ましい範囲には含まれない。また、反射率は成形体の材質と成形条件の両方に依存するため、反射率の高さは本発明が成形性良好であることも示す。
ここで、本発明の高熱伝導性樹脂成形体の全光線反射率は、正反射率と拡散反射率を合わせたものである。ここで正反射率とは、入射光量に対し、入射角と等しい反射角で反射した光量の割合をいう。光の入射面に凹凸がある場合、入射光の入射角と異なる反射角で反射する光が発生する。拡散反射率とは、入射光量に対し、この入射角と異なる反射角で反射する光量の割合をいう。可視光領域(400nmから800nm)を代表して波長550nmでの反射率が上記の数値以上であることが好ましい。
本発明の高熱伝導性樹脂成形体の白色度は、80以上であることが好ましく、更に好ましくは82以上であり、最も好ましくは85以上である。
ここで、本発明の高熱伝導性樹脂成形体の白色度は、鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末の白色度と同様に、測色色差計を用いて測定した成形体の色の明度(L)、色相、彩度(a、b)から、(1)により算出できる。
本発明の高熱伝導性樹脂成形体の耐光性は、高温下での水銀灯照射に伴うサンプルの色差で評価することができる。例えば、120℃雰囲気中で400W水銀灯を10cmの距離から7日間連続照射した際の、照射前後の色差△Eを評価する。この△Eが10以下であることが必要であり、好ましくは8以下であり、最も好ましくは6以下である。
ここで、水銀灯照射前後の色差△Eは、測色色差計により水銀灯照射前の成形体の色調L0、a0、b0及び照射後の成形体の色調L1、a1、b1を測定し、次式(3)により算出できる。
△E={(L1−L0)2+(a1−a0)2+(b1−b0)2}1/2 (3)
本発明の高熱伝導性樹脂成形体は、成形体としての熱伝導率が高いことが求められる。成形体としての熱伝導率は1W/m・K以上であることが好ましく、更に好ましくは2W/m・K以上であり、最も好ましくは3W/m・K以上である。
本発明の高熱伝導性樹脂成形体の、成形体としての熱伝導率は、例えば平板状あるいは円板状サンプルにて、ホットディスク法熱物性率測定装置を用い、二重スパイラル構造になっているニッケル箔センサをサンプル2個で挟み込み、このセンサを定電力で一定発熱させ、センサの温度上昇から算出することができる。
本発明の高熱伝導性樹脂成形体の、面方向と厚み方向の熱拡散率は、例えば平面状サンプルにてフラッシュ式熱拡散率測定装置を用いて、表面からレーザーや光で加熱し、加熱部分の裏面及び加熱部分と少し面方向に離れた箇所における裏面での昇温変化を測定する方法により、それぞれ算出することが可能である。測定時のサンプル表面温度上昇を低く抑える目的から、測定にはキセノンフラッシュ式熱拡散率測定装置を用いるのが好ましい。このような手法で測定された面方向及び厚み方向の熱拡散率を比較した際、成形体の面方向で測定された熱拡散率を成形体の厚み方向で測定された熱拡散率の2倍以上とすることにより、例えば該成形体を携帯型電子機器等の外部筐体等に適用した場合に、内部で発生する熱を面方向に効率良く分散させることができる。これを、「面方向に熱拡散の異方性が高い」と定義する。成形体の面方向で測定された熱拡散率は、成形体の厚み方向で測定された熱拡散率に対して、好ましくは2.5倍以上、より好ましくは3倍以上、更に好ましくは4倍以上、最も好ましくは5倍以上である。
更に、例えば携帯型電子機器等の内部で発生する熱を外部に良く伝えるためには、成形体の熱拡散率の絶対値自体も高くする必要があり、成形体の面方向で測定された熱拡散率の値で0.5mm /sec以上であることが必要である。成形体の面方向で測定された熱拡散率は、好ましくは0.75mm /sec以上、より好ましくは1.0mm /sec以上、更に好ましくは1.5mm /sec以上、最も好ましくは2.0mm /sec以上である。
本発明の高熱伝導性樹脂成形体は、電気絶縁性と高熱伝導性とを両立させることが可能であるため、従来高熱伝導性が要望されながら、絶縁性が必要なため金属を用いることができなかった用途に、特に有用に用いることができる。ASTM D−257に準じ二端子法で測定した成形体の表面電気抵抗値は、10 10 Ω以上であることが必要であり、好ましくは10 11 Ω以上、更に好ましくは10 12 Ω以上、最も好ましくは10 13 Ω以上である。
このような成形体は、射出成形、押出成形、プレス成形、ブロー成形、等種々の熱可塑性樹脂成形法により成形することが可能であるが、成形時に樹脂組成物が受ける剪断速度が速く成形体に容易に熱拡散の異方性を付与することができること、成形サイクルが短く生産性に優れること、等から、射出成形法により成形された成形体であることが好ましい。射出成形法とは、射出成形機に金型を取り付け、成形機にて溶融可塑化された樹脂組成物を高速で金型内に注入し、樹脂組成物を冷却固化させることにより、所定の目的形状に賦形して取り出す成形方法である。この際用いられる成形機や金型には特に制限は無く、所定の目的形状の成形体が得られるように設計された金型を用いることが好ましい。また、熱拡散に異方性をもつ成形体を連続的に得られ生産性が高いことから押出成形法により成形された成形体であることも好ましい。
このようにして得られた成形体は、樹脂フィルム、樹脂シート、樹脂成形体等の様々な形態で、電子材料、磁性材料、触媒材料、構造体材料、光学材料、医療材料、自動車材料、建築材料、等の各種の用途に幅広く用いることが可能である。本発明で得られた高熱伝導性樹脂成形体は、現在広く用いられている一般的なプラスチック用射出成形機が使用可能であるため、複雑な形状を有する成形体の取得も容易である。本発明の高熱伝導性樹脂成形体に用いられる熱可塑性樹脂組成物は、特に成形加工性良好、高熱伝導性、という優れた特性を有し、発熱源を内部に有する携帯電話等の携帯型電子機器、ディスプレイ、コンピューター等の筐体成形用樹脂として、また、高耐光性、高白色度、高反射率という優れた特性を有することから、電球ソケットや発光管ホルダーといった照明器具部材成形用樹脂として、非常に有用である。
本発明の高熱伝導性樹脂成形体は、家電、OA機器部品、AV機器部品、自動車内外装部品、電球形照明等の射出成形体等に好適に使用することができる。特に多くの熱を発する家電製品やOA機器において、外装材料として好適に用いることができる。また、発熱源を内部に有するがファン等による強制冷却が困難な電子機器において、内部で発生する熱を外部へ放熱するために、これらの機器の外装材として好適に用いられる。更に、白色、高い反射率を要求され、蛍光灯のように長尺形状を必要とする照明器具部材としても、好適に用いることができる。
これらの中でも好ましい装置として、ノートパソコン等の携帯型コンピューター、PDA、携帯電話、携帯ゲーム機、携帯型音楽プレーヤー、携帯型TV/ビデオ機器、携帯型ビデオカメラ、等の小型あるいは携帯型電子機器類が挙げられ、それらの筐体、ハウジング、外装材用樹脂組成物として、本発明の高熱伝導性樹脂成形体に用いられる熱可塑性樹脂組成物が非常に有用である。
また自動車や電車等におけるバッテリー周辺用、家電機器の携帯バッテリー用、ブレーカー等の配電部品用、モーター等の封止用、の各種材料としても非常に有用に用いることができる。
本発明の高熱伝導性樹脂成形体は従来良く知られている成形体に比べて、耐衝撃性、表面性が良好であり、上記の用途における部品あるいは筐体用として有用な特性を有するものである。
即ち、このような成形体は電気・電子工業分野、自動車分野、等、様々な状況で熱対策素材として用いることが可能で、工業的に有用である。
次に、本発明について実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに制限されるものではない。
[製造例1]
オルトホウ酸53重量部、メラミン43重量部、硝酸リチウム4重量部をヘンシェルミキサーで混合した後、純水200重量部を添加し80℃で8時間攪拌してからろ過し、150℃で1時間乾燥した。得られた化合物を窒素雰囲気下900℃で1時間加熱し、更に窒素雰囲気下1800℃で焼成・結晶化させた。得られた焼成物を粉砕して鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末(BN−1)を得た。得られた粉末の数平均粒径は48μm、白色度は92、黒鉛化指数は1.0、タップ密度は0.77g/cm であった。また本粉末を単独で固化させ熱伝導率を測定した結果熱伝導率は300W/mKであり、且つ電気絶縁性であった。
[製造例2]
オルトホウ酸50重量部、メラミン40重量部、炭酸カルシウム10重量部をヘンシェルミキサーで混合した後、純水200重量部を添加し80℃で8時間攪拌してからろ過し、150℃で1時間乾燥した。得られた化合物を窒素雰囲気下900℃で1時間加熱し、更に窒素雰囲気下2000℃で焼成・結晶化させた。得られた焼成物を粉砕後硝酸水溶液での洗浄により炭酸カルシウム成分を除去し、150℃で乾燥させて鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末(BN−2)を得た。得られた粉末の数平均粒径は19μm、白色度は90、黒鉛化指数は1.3、タップ密度は0.88g/cm であった。また本粉末を単独で固化させ熱伝導率を測定した結果熱伝導率は100W/mKであり、且つ電気絶縁性であった。
(実施例1)
ポリエチレンテレフタレート樹脂(三菱化学株式会社製PBKII)100重量部、フェノール系安定剤((株)ADEKA製AO−60)0.2重量部、を混合したものを準備した(原料1)。別途、鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末(BN−1)100重量部、ガラス繊維(FIL−1)50重量部、エポキシシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製KBM−303)1重量部、エタノール5重量部、をスーパーフローターで混合して5分間撹拌した後、80℃にて4時間乾燥したものを準備した(原料2)。原料1、原料2、を別々の重量式フィーダーにセットし、(A)/(B)の体積比率が55/30となるよう混合した後、(株)日本製鋼所製同方向噛合型二軸押出機TEX44XCTのスクリュー根本付近に設けられたホッパーより投入した。設定温度は原料供給口近傍が250℃で、スクリュー先端部に向かって順次設定温度を上昇させ、スクリュー先端部温度を280℃に設定した。本条件にて射出成形用サンプルペレットを得た。得られたペレットを140℃で4時間乾燥後、東芝機械(株)製75t射出成形機IS−75E−2Aにて、平板の面中心部分にゲートサイズ0.8mmφで設置されたピンゲートを通じて、50mm×80mm×厚み1.1mmの平板形状試験片を成形し、白色度、耐光性、反射率、熱拡散率とその異方性、及び電気絶縁性の評価に供した。また、成形体横方向からゲート径2mmのゲートを通じて厚み6.4mm×21mmφの試験片を成形し、成形体としての熱伝導率測定に供した。
(実施例2〜6、比較例1〜7)
配合原料の種類や量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、成形体を得た。
実施例及び比較例に用いた原料は、下記の通りである。
<その他無機化合物>
(BN−3):鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末(電気化学工業(株)製GP、単体での熱伝導率60W/m・K、数平均粒径8μm、白色度92、黒鉛化指数1.3、電気絶縁性、体積固有抵抗10 14 Ω・cm、タップ密度0.50g/cm )。
(BN−4):鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末を凝集処理させた、凝集処理六方晶窒化ホウ素粉末(NationalNitride Technologies Co.,Ltd.製NW150、単体での熱伝導率60W/m・K、数平均粒径150μm、白色度78、黒鉛化指数12、電気絶縁性、体積固有抵抗10 14 Ω・cm、タップ密度0.80g/cm )。
(BN−5):乱層構造窒化ホウ素粉末(営口硼達精細化工有限公司製、単体での熱伝導率25W/m・K、数平均粒径0.8μm、白色度75、黒鉛化指数4.7、電気絶縁性、体積固有抵抗10 16 Ω・cm、タップ密度0.20g/cm )。
(FIL−1):ガラス繊維(日本電気硝子(株)製T187H/PL、単体での熱伝導率1.0W/m・K、繊維直径13μm、数平均繊維長3.0mm、電気絶縁性、体積固有抵抗10 15 Ω・cm)
(FIL−2):酸化チタン(石原産業株式会社製CR−60、単体での熱伝導率5.0W/m・K、平均粒子径0.21μm、電気絶縁性、体積固有抵抗10 14 Ω・cm)
(FIL−3):天然鱗状黒鉛粉末(中越黒鉛(株)製BF−50A、単体での熱伝導率250W/m・K、数平均粒径53μm、導電性、タップ密度0.64g/cm
<熱可塑性ポリエステル系樹脂(A)>
(PES−1):ポリエチレンテレフタレート樹脂(三菱化学株式会社製PBKII)
(PC−1):ポリカーボネート樹脂(出光興産株式会社製タフロンA―2200)
(PPS−1):ポリフェニレンスルフィド樹脂(東レ株式会社製M3910)
<その他配合物>
(FR−1):臭素系複合難燃剤;臭素化フタルイミド系難燃剤(Albemarle Corporation製SAYTEX BT−93W)/三酸化アンチモン(日本精鉱(株)製PATOX−p)=82/18(重量比)複合体
(FR−2):リン系難燃剤(クラリアントジャパン製Exolit OP−935)
[窒化ホウ素粉末の数平均粒径]
100mlビーカーにヘキサメタリン酸ナトリウム20重量%水溶液15mlを入れ、この水溶液に窒化ホウ素粉末60mgを投入し、超音波分散器で40分間分散処理した。得られた分散液にて、(株)堀場製作所製レーザー回折/散乱式粒度分布測定器LA−950を用い、数平均粒子径を測定した。
[窒化ホウ素粉末の白色度W]
直径30mm、高さ13mmの石英ガラス製サンプルセルに窒化ホウ素粉末を充填し、日本電色工業(株)製測色色差計SE−2000を用いて色の明度(L)、色相、彩度(a、b)を測定し、(1)式により白色度Wを算出した。
[窒化ホウ素粉末の黒鉛化指数GI]
スペクトリス(株)製PANalytical X’Pert Pro XRD測定装置を用い、Cu・KαのX線にて、窒化ホウ素粉末の広角X線回折測定を行った。得られた測定値から、2θ=41°付近、44°付近、50°付近に見られる(100)(101)(102)の面積を測定し、(2)式により黒鉛化指数GIを算出した。
[窒化ホウ素粉末のタップ密度]
ホソカワミクロン(株)製パウダーテスターPT−Eを用い、窒化ホウ素粉末を100cm3の専用容器に充填し、タッピングタイム180秒、タッピング回数180回、タップリフト18mmの条件でタッピングを行った後の嵩比重を測定し、タップ密度とした。
[成形体の白色度]
日本電色工業(株)製測色色差計SE−2000を用いて成形体の色の明度(L)、色相、彩度(a、b)を測定し、(1)式により白色度を算出した。
[成形体の耐光性]
設定温度120℃の恒温槽中に設置した400W水銀灯から10cmの距離に平板サンプルを設置し、7日間水銀灯照射を継続した。照射前後の試験片の色調(L、a、b)を、日本電色工業(株)製測色色差計SE−2000を用いて測定し、その色差△Eを(3)式により算出した。
[成形体の反射率]
日本分光(株)製紫外可視分光光度計V−650を用いて成形体の反射率を測定した。正反射の測定は入射角7°で光を当てて行った。全光線反射率の波長550nmにおける値を代表値として記載する。
[成形体としての熱伝導率]
厚み6.4mm×21mmφの試験片2個を用い、京都電子工業(株)製ホットディスク法熱物性率測定装置TPA−501にて、成形体としての熱伝導率を測定した。
[成形体の熱拡散率とその異方性]
得られた厚み1.1mmの成形体を切り出し、25.4mmφの円板状サンプルを作成した。サンプル表面にレーザー光吸収用スプレー(ファインケミカルジャパン(株)製ブラックガードスプレーFC−153)を塗布し乾燥させた後、NETZSCH製XeフラッシュアナライザーLFA447Nanoflashを用い、厚み方向及び面方向の熱拡散率を測定した。
得られた熱拡散率から、次式(4)により熱拡散の異方性を算出した。
(熱拡散の異方性)=(面方向の熱拡散率)/(厚み方向の熱拡散率) (4)
[電気絶縁性]
平板を用いて、ASTM D−257に準じ二端子法により表面電気抵抗値を測定した。
それぞれの配合及び結果を表1に示す。表1より、本発明の成形体に用いられる熱可塑性樹脂組成物は、該組成物の範囲外の組成物と比べ、成形流動性に優れた反射率を持ち且つ高熱伝導率の樹脂組成物であることがわかる。特にFIL−2を配合した実施例2、実施例4は白色度、耐光性、反射率とも良好であった。
なお表中で、成形加工が困難であったため測定ができなかったものについては「不可」と表示した。比較例6は黄土色、比較例7は黒色であったため一部試験を行っていない。
実施例1の配合に関しては図1のようなヒートシンク形に射出成形(実施例2−1)し放熱性能を確認した。
測定は図2のようにヒーターの上にヒートシンク、下に断熱材を設置し、ヒーターと断熱材の間にサーミスタを差し込むことで行った。ヒーターの発熱は1.2W、0.4Wの2通りを行い。室温25度、自然対流にて一時間放置し定常状態になっていることを確認した。
同様に、同形状の溶融しプレス成形したサンプル(実施例2−2)、ポリエチレン(株式会社プライムポリマー製ハイゼックス3000B)を射出成形したサンプル(比較例2−1)、アルミヒートシンク(LSIクーラー株式会社製12F31L30)(比較例2−2)を用いた。比較例2−2のアルミヒートシンクは表面黒化して放射率を向上させたものであった。
測定結果を表2に示す。表2より本発明の成形体を用いるとアルミヒートシンクに匹敵する性能を発揮し、特に射出成形することにより性能が一層向上することがわかる。
図2の1 ヒートシンク
図2の2 発熱体
図2の3 断熱体

Claims (5)

  1. 高熱伝導性樹脂組成物により一部または全部が形成されたヒートシンク用高熱伝導性樹脂成形体であって、前記高熱伝導性樹脂組成物が、熱可塑性ポリエステル系樹脂(A)、数平均粒径が15μm以上で白色度Wが90以上且つ黒鉛化指数GIが2.0以下の鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末(B)、及びガラス繊維を少なくとも含有し、(A)/(B)の体積比率が85/15〜25/75の範囲である樹脂組成物から得られ、かつ射出成形法により成形され、白色度が80以上、かつ全光線反射率が50%以上であり、120℃雰囲気中で400W水銀灯を10cmの距離から7日間連続照射した際の、照射前後の色差△Eが10以下であることを特徴とするヒートシンク用高熱伝導性樹脂成形体。
  2. 鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末(B)の数平均粒径が30μm以上であることを特徴とする、請求項1に記載のヒートシンク用高熱伝導性樹脂成形体。
  3. 鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末(B)のタップ密度が0.6g/cm以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載のヒートシンク用高熱伝導性樹脂成形体。
  4. 成形体の面方向における熱拡散率が成形体の厚み方向の熱拡散率の2倍以上であり、且つ成形体の面方向における熱拡散率が0.5mm/sec以上であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のヒートシンク用高熱伝導性樹脂成形体。
  5. 形体としての熱伝導率が1W/m・K以上であり、更に表面電気抵抗値が1011Ω以上であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のヒートシンク用高熱伝導性樹脂成形体。
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