製造方法の一例を示すブロック図である図1等の添付の図面を参照し、本発明にかかる成型用樹脂組成物の製造方法の詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2は、本発明の製造方法によって製造された成型用樹脂組成物10の一例を示す図であり、図3は、第1混練工程11の一例を説明する図である。図4は、図3の第1混練工程11から続く乾燥工程12の一例と乾燥工程12から続く第1冷却工程13の一例とを説明する図であり、図5は、図4の第1冷却工程13から続く第2混練工程14の一例を説明する図である。図6は、図5の第2混練工程14から続く第2冷却工程15の一例を説明する図である。図6では、成型用樹脂組成物10の図示を省略している。図2に示す成型用樹脂組成物10は、図1に示すように、第1混練工程11→乾燥工程12→第1冷却工程13→第2混練工程14→第2冷却工程15の各工程を経ることによって製造される。
本発明の製造方法によって製造される成型用樹脂組成物10は、熱硬化性合成樹脂と無機繊維と天然繊維材料全体に熱硬化性合成樹脂を含浸させた樹脂含浸繊維材料27とを混和することから作られ、図2に示すように、その全体形状が不揃いの立体形状を有する。樹脂含浸繊維材料27は、天然繊維材料と熱硬化性合成樹脂とを混和(有機溶剤を含む)することから作られている。なお、無機繊維は、成型用樹脂組成物10から作られた工具ホルダー50A,50B(成型品)(図7〜図10参照)の堅牢度や機械的強度、熱剛性を向上させる目的で添加される。天然繊維材料は、成型用樹脂組成物10から作られた工具ホルダー50A,50Bに靱性や弾性を付与し、ホルダー50A,50Bの剛性や耐衝撃性を向上させる目的で添加される。なお、工具ホルダー50A,50Bのみならず、成型用樹脂組成物10を使用して他の成型品を作ることもできる。
熱硬化性合成樹脂としては、ノボラック系フェノール樹脂やレゾール系フェノール樹脂等のフェノール系の樹脂16を使用することが好ましいが、フェノール系の樹脂16の他に、エポキシ樹脂やメラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、熱硬化性ポリイミドのいずれかを使用することもでき、それら樹脂を所定の割合で混合した樹脂を使用することもできる。この実施の形態では、熱硬化性合成樹脂としてフェノール系の樹脂16(以下、フェノール樹脂という)を例として説明するが、熱硬化性合成樹脂をフェノール樹脂16に限定する趣旨ではない。
無機繊維には、ガラス繊維17を使用することが好ましいが、ガラス繊維17の他に、炭素繊維や金属繊維のいずれかを使用することもでき、ガラス繊維17や炭素繊維、金属繊維のうちの少なくとも2種類を所定の割合で混同した繊維を使用することもできる。この実施の形態では、無機繊維としてガラス繊維17を例として説明するが、無機繊維をガラス繊維17に限定する趣旨ではない。
天然繊維材料には、糸状の天然繊維と布状の天然繊維とのうちの少なくとも一方、または、糸状の天然繊維と布状の天然繊維との両者を所定の割合で混同した繊維を利用することができる。天然繊維には、植物繊維と動物繊維とのうちの少なくとも一方、または、植物繊維と動物繊維との両者を所定の割合で混同した繊維を利用することができる。天然繊維には、粉砕パルプを使用することもできる。パルプには、木材パルプを使用することが好ましい。粉砕パルプは、ボールミルや攪拌ミル、ローラミル等の微粉砕機を使用してパルプを微粉砕して作ることができる。それら天然繊維材料は、その水分吸湿量が1〜10%の範囲、好ましくは、0.1〜3%の範囲にある。
植物繊維には、コットンやカッポク等の種子毛繊維、黄色麻やケナフ、コウゾ、ミツマタ、ガンピ等の靱皮繊維、サイザル麻やニュージーランド麻、ラフィア、パイナップル等の葉脈繊維、マニラ麻やバナナ等の葉柄繊維、ココナツヤシやヘチマ等の果実繊維、麦藁や稲藁、い草、竹、シュロ等の茎幹繊維のうちのいずれか、または、それらの少なくとの2種類を所定の割合で混同した繊維を使用することができる。なお、天然繊維には、綿糸または綿布を使用することが好ましい。動物繊維には、羊毛や繊獣毛、ビキューナ、ラクダ、カシミヤ、アンゴラ等の獣毛繊維、絹繊維、羽毛のうちのいずれか、または、それらの少なくとの2種類を所定の割合で混同した繊維を使用することができる。この実施の形態では、天然繊維材料として糸状形態の綿糸18や布状形態の綿布18を例として説明するが、天然繊維材料を綿糸18や綿布18に限定する趣旨ではない。
第1混練工程11では、液状フェノール樹脂16(熱硬化性合成樹脂)と綿糸18および綿布18(天然繊維材料)の少なくとも一方とメチルアルコール19(有機溶剤)とを攪拌しつつ混練するミキサー20と、ミキサー20を所定温度に加熱する加熱ユニット21とが利用される。ミキサー20には、ヘンシェルミキサーやスーパーミキサー等を利用することができる。ミキサー20は、図3に示すように、周壁22および底壁23から画成された所定容積の攪拌混練槽24と、攪拌混練槽24内に設置されたスクリュ25と、周壁22を囲繞する加熱パイプ26とから形成されている。加熱ユニット21は、加熱パイプ26に蒸気または温水を送る。第1混練工程11では、蒸気または温水が加熱パイプ26と加熱ユニット21とを循環する。
第1混練工程11における手順の一例は、以下のとおりである。液状フェノール樹脂16と綿糸18および綿布18の少なくとも一方とメチルアルコール19とをミキサー20の攪拌混練槽24に投入した後、ミキサー20のスイッチをONにする。スイッチをONにすると、ミキサー20と加熱ユニット21とが稼動し、スクリュ25が回転するとともに、加熱ユニット21から加熱パイプ26に蒸気または温水が送られ、加熱パイプ26を流動する蒸気または温水によってミキサー温度が50〜60℃に加熱される。
攪拌混練槽24では、液状フェノール樹脂16と綿糸18や綿布18とメチルアルコール19とが加熱されつつ、スクリュ25によって攪拌混練され、所定時間経過後に複数個の樹脂含浸繊維材料27が作られる。なお、ミキサー温度が50℃未満では、フェノール樹脂16の反応が進まず、綿糸18全域や綿布18(綿糸の集合物)全域にフェノール樹脂16を含浸させることができない。ミキサー温度が60℃を超過すると、フェノール樹脂16の反応が早期に進み、フェノール樹脂16の物性が所期するそれから変化してしまう場合がある。
攪拌混練槽24では、メチルアルコール19によって液状フェノール樹脂16の粘度が低下するとともに、スクリュ25による混練とミキサー温度とによって液状フェノール樹脂16の反応が緩慢に進み、綿糸18全域や綿布18(綿糸の集合物)全域にフェノール樹脂16が含浸し、綿糸18全体や綿布18全体にフェノール樹脂16がコーティングされる。なお、綿布18は、ミキサー20のスクリュ25によって開繊され、綿糸の集合物となる。有機溶剤には、メチルアルコール19(メタノール)の他に、エチルアルコール(エタノイール)、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、2-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、活性アルミアルコールのうちの少なくとも一つを使用することもできる。
第1混練工程11では、綿糸18や綿布18(天然繊維材料)に対するフェノール樹脂16(熱硬化性合成樹脂)の重量比(投入量)が綿糸18や綿布18(100重量%)に対して液状フェノール樹脂16が10〜40重量%の範囲、好ましくは、25〜30重量%の範囲にある。フェノール樹脂16の重量比が10重量%未満では、綿糸18全体や綿布18全体をフェノール樹脂16でコーティングすることができず、成型用樹脂組成物10を使用して成型された工具ホルダー50A,50Bの耐水性や耐湿性を向上させることができない。フェノール樹脂16の重量比が40重量%を超過すると、樹脂含浸繊維材料27の操作性が低下するとともに、成型用樹脂組成物10を使用して成型された工具ホルダー50A,50Bに靱性や弾性を付与することができず、ホルダー50A,50Bの剛性や耐衝撃性を向上させることができない。
この製造方法では、第1混練工程11における綿糸18や綿布18に対するフェノール樹脂16の重量比(投入量)が前記範囲にあるから、成型用樹脂組成物10から作られる工具ホルダー50A,50Bに靱性や弾性を確実に付与することができ、ホルダー50A,50Bの剛性や耐衝撃性を向上させることができるとともに、綿糸18全体や綿布18全体がフェノール樹脂16に確実にコーティングされ、成型用樹脂組成物10から作られるホルダー50A,50Bの耐水性や耐湿性を向上させることができる。
第1混練工程11において使用する綿布18(天然繊維材料)の縦横寸法は、0.5×0.5〜20×20mmの範囲にある。綿布18の縦横寸法が0.5×0.5mm未満では、綿布18をその寸法に裁断するためにコストがかかり、その結果、成型用樹脂組成物10から作られる工具ホルダー50A,50Bのコストが上昇してしまう。綿布18の縦横寸法が20×20mmを超過すると、綿布18全体をフェノール樹脂16でコーティングすることが難しく、成型用樹脂組成物10を使用して成型された工具ホルダー50A,50Bの耐水性や耐湿性を向上させることができない。
この製造方法では、第1混練工程11において使用する綿布18の縦横寸法が前記範囲にあるから、成型用樹脂組成物10から作られる工具ホルダー50A,50Bに靱性や弾性を確実に付与することができ、ホルダー50A,50Bの剛性や耐衝撃性を向上させることができるとともに、綿布18全体がフェノール樹脂16に確実にコーティングされ、成型用樹脂組成物10から作られるホルダー50A,50Bの耐水性や耐湿性を向上させることができる。
第1混練工程11において使用する綿糸18(天然繊維材料)の長さ寸法は、0.1〜10mmの範囲にある。綿糸18の長さ寸法が0.1mm未満では、綿糸18をその長さ寸法に粉砕するためのコストがかかり、その結果、成型用樹脂組成物10から作られる工具ホルダー50A,50Bのコストが上昇してしまう。綿糸18の長さ寸法が10mmを超過すると、綿糸18全体をフェノール樹脂16でコーティングすることが難しく、成型用樹脂組成物10を使用して成型された工具ホルダー50A,50Bの耐水性や耐湿性を向上させることができない。
この製造方法では、第1混練工程11において使用する綿糸18の長さ寸法が前記範囲にあるから、成型用樹脂組成物10から作られる工具ホルダー50A,50Bに靱性や弾性を確実に付与することができ、ホルダー50A,50Bの剛性や耐衝撃性を向上させることができるとともに、綿糸18全体がフェノール樹脂16に確実にコーティングされ、成型用樹脂組成物10から作られるホルダー50A,50Bの耐水性や耐湿性を向上させることができる。
第1混練工程11において液状フェノール樹脂16と綿糸18および綿布18の少なくとも一方とメチルアルコール19とを所定時間、所定温度で攪拌混練してそれら樹脂含浸繊維材料27が作られた後、図4の乾燥工程12に進む。乾燥工程12では、それら樹脂含浸繊維材料27を乾燥させるとともに、それら樹脂含浸繊維材料27を冷却させる乾燥冷却装置28が利用される。乾燥冷却装置28は、図4に示すように、開閉可能な扉29を有する収納箱30と、収納箱30の内部に設置された複数の棚枠31と、棚枠31に乗せる複数の網棚32と、ヒータ(図示せず)によって所定温度に加熱された空気(温風)または室温の空気を収納箱30内に送る送風機33と、収納箱30内の空気を箱30外に排気する排気管34とから形成されている。温風の温度は、110〜130℃である。収容箱30と送風機33とは、送風管35を介して接続されている。それら網棚32は、収容箱30に出し入れ可能である。なお、送風機33は、所定温度に冷却された冷風を収納箱30に送る空調機能を有していてもよい。
乾燥工程12における手順の一例は、以下のとおりである。収納箱30の扉29を開けて箱30から網棚32を取り出し、第1混練工程11において作られた樹脂含浸繊維材料27をミキサー20の攪拌混練槽24から取り出した後、それら樹脂含浸繊維材料27をそれら網棚32の上に載せる。樹脂含浸繊維材料27を載せた網棚32を再び収納箱30の内部に収納し、扉29を閉めて乾燥冷却装置28のスイッチをONにする。スイッチをONにすると、送風機33が稼動し、ヒータによって加熱された所定温度の温風が送風管35から収納箱30の内部に流入する。収納箱30の内部では、温風が収納箱30を循環した後、排気管34から収納箱30の外部に排気される。樹脂含浸繊維材料27は、収納箱30を循環する温風によって乾燥する。
温風を所定時間収納箱30内に流入させ、温風を所定時間樹脂含浸繊維材料27に吹き付けて樹脂含浸繊維材料27を乾燥させた後、第1冷却工程13に進む。第1冷却工程13では、図4の乾燥冷却装置28が利用される。所定温度の温風の送風時間が経過すると、ヒータがOFFになり、温風が室温の空気に変わる。室温の空気は送風管35から収納箱30の内部に流入する。収納箱30の内部では、室温の空気が収納箱30を循環した後、排気管34から収納箱30の外部に排気される。樹脂含浸繊維材料27は、収納箱30を循環する室温の空気によって室温にまで冷却される。なお、送風機33が空調機能を有する場合、送風機33によって所定温度に冷却された冷風が送風管35から収納箱30の内部に流入する。収納箱30の内部では、冷風が収納箱30を循環した後、排気管34から収納箱30の外部に排気される。樹脂含浸繊維材料27は、収納箱30を循環する冷風によって所定温度に冷却される。
第1冷却工程13において室温の空気または冷風を樹脂含浸繊維材料27に所定時間吹き付けて樹脂含浸繊維材料27を冷却した後、第2混練工程14に進む。第2混練工程14では、樹脂含浸繊維材料27と液状フェノール樹脂16(熱硬化性合成樹脂)とガラス繊維17(無機繊維)と攪拌しつつ混練する図3と同様のミキサー20が利用される。第2混練工程における手順の一例は、以下のとおりである。樹脂含浸繊維材料27と液状フェノール樹脂16とガラス繊維17とをミキサー20の攪拌混練槽24に投入した後、ミキサー20のスイッチをONにする。スイッチをONにすると、ミキサー20と加熱ユニット21とが稼動し、スクリュ25が回転するとともに、加熱ユニット21から加熱パイプ26に蒸気または温水が送られ、加熱パイプ26内を流動する蒸気または温水によってミキサー温度が55〜65℃に加熱される。
攪拌混練槽24では、樹脂含浸繊維材料27と液状フェノール樹脂16とガラス繊維17とが加熱されつつ、スクリュ25によって攪拌混練され、所定時間経過後に、樹脂含浸繊維材料27と液状フェノール樹脂16とガラス繊維17とが混和した図2に示す立体形状の複数個の成型用樹脂組成物10が作られる。攪拌混練槽24の内部では、ミキサー温度55〜65℃で加熱された樹脂含浸繊維材料27とフェノール樹脂16とガラス繊維17とがそれらの摩擦熱によってそれらの反応熱が90〜95℃になる。
第2混練工程14では、樹脂含浸繊維材料27とフェノール樹脂16とガラス繊維17との反応熱が90〜95℃の範囲に保持される。なお、攪拌混練槽24の内部に投入する樹脂含浸繊維材料27と液状フェノール樹脂16とガラス繊維17との総重量と、ミキサー温度と、スクリュ25の回転速度との相関関係により、それらの摩擦熱が定まるから、反応熱を90〜95℃の範囲に保持するには、前記相関関係に基づいて総重量に対するミキサー温度(55〜65℃の範囲)やスクリュ25の回転速度を割り出し、そのミキサー温度でミキサー20を加熱するとともに、その回転速度でスクリュ25を回転させる。
なお、ミキサー温度が55℃未満では、脂含浸繊維材料27とフェノール樹脂16とガラス繊維17との反応熱を90〜95℃の範囲に保持することができず、綿糸18全域または綿布18(綿糸の集合物)全域をフェノール樹脂16でコーティングすることができない。ミキサー温度が65℃を超過すると、脂含浸繊維材料27とフェノール樹脂16とガラス繊維17との反応熱が95℃を超過し、フェノール樹脂16の反応が早期に進み、フェノール樹脂16の物性や綿糸18または綿布18の物性が所期するそれから変化してしまう場合がある。
第2混練工程14では、液状フェノール樹脂16に対するガラス繊維17の重量比(投入量)がフェノール樹脂16(100重量%)に対してガラス繊維17が5〜15重量%の範囲、好ましくは、8〜12重量%の範囲にある。ガラス繊維17の重量比が5重量%未満では、成型用樹脂組成物10に対するガラス繊維17の割合が少なくなり、ガラス繊維17の補強機能を十分に利用することができず、成型用樹脂組成物10を使用して成型された工具ホルダー50A,50Bの堅牢度や機械的強度、熱剛性を向上させることができない。ガラス繊維17の重量比が15重量%を超過すると、成型用樹脂組成物10に対するガラス繊維17の割合が多すぎ、成型用樹脂組成物10から作られた工具ホルダー50A,50Bの表面に多くのガラス繊維17が露出し、ホルダー50A,50Bに切削工具51を着脱するときにガラス繊維17によって工具51が摩耗してしまう場合がある。
この製造方法では、第2混練工程14におけるガラス繊維17の重量比(投入量)が前記範囲にあるから、成型用樹脂組成物10から作られる工具ホルダー50A,50Bの堅牢度や機械的強度、熱剛性を向上させることができるとともに、ガラス繊維17による切削工具51の摩耗を防ぐことができる。
第2混練工程14において使用するガラス繊維17の長さ寸法は、1〜20mmの範囲、好ましくは、1.3〜1.5mmの範囲にあり、ガラス繊維17のフィラメント径は、6〜13μmの範囲にある。ガラス繊維17の長さ寸法が1.0mm未満であって、そのフィラメント径が6μm未満では、その寸法のガラス繊維17の作成にコストがかかり、その結果、成型用樹脂組成物10から作られる工具ホルダー50A,50Bのコストが上昇してしまう。ガラス繊維17の長さ寸法が20mmを超過し、そのフィラメント径が13μmを超過すると、成型用樹脂組成物10の全域にガラス繊維17を満遍なく分散させることが難しく、ガラス繊維17の補強機能を十分に利用することができず、成型用樹脂組成物10を使用して成型された工具ホルダー50A,50Bの堅牢度や機械的強度、熱剛性を向上させることができない。また、工具ホルダー50A,50Bの表面に露出するガラス繊維17によって工具51が摩耗してしまう場合がある。
この製造方法では、第2混練工程14において使用するガラス繊維17の長さ寸法やフィラメント径が前記範囲にあるから、成型用樹脂組成物10から作られる工具ホルダー50A,50Bの堅牢度や機械的強度、熱剛性を向上させることができるとともに、ガラス繊維17による切削工具51の摩耗を防ぐことができる。
第2混練工程14では、液状フェノール樹脂16に対する樹脂含浸繊維材料27の重量比(投入量)がフェノール樹脂16(100重量%)に対して樹脂含浸繊維材料27が100〜150重量%の範囲、好ましくは、115〜130重量%の範囲にある。樹脂含浸繊維材料27の重量比が100重量%未満では、成型用樹脂組成物10に対する綿布18や綿糸18の割合が少なくなり、成型用樹脂組成物10を使用して成型された工具ホルダー50A,50Bに靱性や弾性を付与することができず、ホルダー50A,50Bの剛性や耐衝撃性を向上させることができない。樹脂含浸繊維材料27の重量比が150重量%を超過すると、成型用樹脂組成物10に対する綿布18や綿糸18の割合が多すぎ、綿布18全体や綿糸18全体をフェノール樹脂16でコーティングすることができず、成型用樹脂組成物10を使用して成型された工具ホルダー50A,50Bの耐水性や耐湿性を向上させることができない。
この製造方法では、第2混練工程14における樹脂含浸繊維材料27の重量比(投入量)が前記範囲にあるから、成型用樹脂組成物10から作られる工具ホルダー50A,50Bに靱性や弾性を確実に付与することができ、ホルダー50A,50Bの剛性や耐衝撃性を向上させることができるとともに、綿糸18全体や綿布18全体がフェノール樹脂16に確実にコーティングされ、成型用樹脂組成物10から作られるホルダー50A,50Bの耐水性や耐湿性を向上させることができる。
第2混練工程14において液状フェノール樹脂16と樹脂含浸繊維材料27とガラス繊維17とを所定時間、所定温度で攪拌混練してそれら成型用樹脂組成物10が作られた後、図6の第2冷却工程15に進む。第2冷却工程15では、それら成型用樹脂組成物10を冷却させる冷却装置36が利用される。冷却装置36は、図6に示すように、周壁37および底壁38から画成された所定容積の攪拌槽39と、攪拌槽39内に設置された攪拌リボン40と、攪拌槽39に室温の空気を送風する送風機41とから形成されている。送風機41は、所定温度に冷却された冷風を攪拌槽39に送る空調機能を有していてもよい。
第2冷却工程15における手順の一例は、以下のとおりである。ミキサー20から攪拌混練槽24から成型用樹脂組成物10を取り出し、それら成型用樹脂組成物10を冷却装置36の攪拌槽39に投入した後、冷却装置36のスイッチをONにする。スイッチをONにすると、送風機41が稼動し、室温の空気が攪拌槽39の内部に送風されるとともに、攪拌リボン40が回転する。攪拌槽39の内部では、それら成型用樹脂組成物10が攪拌リボン40によって攪拌されつつ、それら成型用樹脂組成物10が室温の空気によって冷却される。なお、送風機41が空調機能を有する場合、送風機41によって所定温度に冷却された冷風が攪拌槽39の内部に送風される。攪拌槽39の内部では、それら成型用樹脂組成物10が冷風によって所定温度に冷却される。室温の空気または冷風を所定時間攪拌槽39内に流入させ、空気または冷風を所定時間成型用樹脂組成物10に吹き付けて成型用樹脂組成物10を冷却し、図2の成型用樹脂組成物10が製造される。
図7は、図2の成型用樹脂組成物10から作られた一例として示す工具ホルダー50Aの斜視図であり、図8は、図7のA−A線端面図である。図9は、図2の成型用樹脂組成物10から作られた他の一例として示す工具ホルダー50Bの斜視図であり、図10は、図9のB−B線端面図である。図7では、グリップの図示を省略している。図7,8,10では、切削工具51を二点鎖線で示す。図8では、周り方向を矢印Lで示す。それら工具ホルダー50A,50Bは、図2に示す成型用樹脂組成物10を使用し、その成型用樹脂組成物10をプレス加工や射出成型等の成型加工を行うことによって作られている。
図7,8の工具ホルダー50Aは、マシニングセンタ等の工作機械の工具マガジンに固定される固定部52と、エンドミルやメントリカッタ、フェイスミル等の切削工具51の周面を挟み込む挟持部53とから形成されている。工具ホルダー50Aは、図8に矢印Lで示すように、挟持部53のグリップ(図示せず)が周り方向へ旋回する。工具ホルダー50Aでは、グリップが開いた状態にあるときに切削工具51が挟持部53の間に進入し、工具51が挟持部53の間に進入した後、グリップが閉じ、工具51がグリップに挟み込まれた状態で保持される。
図9,10の工具ホルダー50Bは、マシニングセンタ等の工作機械の工具マガジンに固定される円筒状の周壁部54と、切削工具51を収容する収容部55とから形成されている。工具ホルダー50Bでは、収容部55に切削工具51を挿入すると、工具51の先端部が収容部55に設置された嵌合部材56に嵌合し、工具51が収容部55に保持される。
工作機械では、切削工具51がその未使用時に工具ホルダー50A,50Bに保持され、工具51がその用途に応じてホルダー50A,50Bから自動で交換される。図7,8の工具ホルダー50Aでは、切削工具51の交換時にグリップが開き、工具51が挟持部53から取り外され、その工具51が工作機械の主軸に取り付けられる。図9,10の工具ホルダー50Bでは、切削工具51の交換時に工具51の先端部と嵌合部材56との嵌合が解除され、工具51が収容部55から抜き取られ、その工具51が工作機械の主軸に取り付けられる。
それら図示の工具ホルダー50A,50Bの寸法変化率は、0.1〜0.2%の範囲にある。また、工具ホルダー50A,50Bの曲げ強さは、100〜130MPaの範囲にあり、ホルダー50A,50Bの曲げ弾性率は、11000〜12500MPaの範囲にある。工具ホルダー50A,50Bの寸法変化率が0.2%を超過すると、経年の寸法変化によってホルダー50A,50Bの寸法が大きく変化し、ホルダー50A,50Bに切削工具51を保持させることができない場合がある。工具ホルダー50A,50Bの曲げ強さが100MPa未満であって、ホルダー50A,50Bの曲げ弾性率が11000MPa未満では、ホルダー50A,50Bの使用中にホルダー50A,50Bに衝撃が加えられた場合、ホルダー50A,50Bが破損や折損する場合があり、ホルダー50A,50Bに切削工具51を保持させることができない場合がある。それら工具ホルダー50A,50Bは、前記組成の成型用樹脂組成物10を使用することで、優れた寸法安定性と優れた曲げ強さおよび曲げ弾性率を有し、高い堅牢度や機械的強度、熱剛性を有するとともに、高い剛性や耐衝撃性を有する。
図11は、寸法変化率の測定に使用した試験片60を示す図であり、図12は、曲げ試験の試験片61を示す図である。図13は、曲げ試験方法を示す図である。工具ホルダー50A,50Bの寸法変化率は、成型用樹脂組成物10から各試験片60,61を作り、その試験片60,61を使用してJIS K 6911に準拠して測定した。寸法変化率の測定に利用した装置は、JIS B 7502に規定された外側マイクロメータ(寸法測定器)と、試験片60を成型する金型と、その金型を所定の温度および圧力に保持する圧縮成形機と、最高150℃まで表示された1℃目盛の温度計とを使用した。試験片60は、所定の金型と圧縮成形機とを使用して図11に示す形状に成型した。
成形収縮率測定手順は、以下のとおりである。試験片60を成型後直ちに金型から取り出し、温度23±2℃、相対湿度50±5%の状態で、24±1時間放置した後、試験片60の表裏に突起した環状帯の外径を互いに直交する測定線に沿って、表面2箇所、裏面2箇所の計4箇所の寸法を0.01mmまで測定した。さらに、試験片60に対応する金型の溝の外径を同一条件で処理した後、溝の外径を0.01mmまで測定した。
加熱収縮率測定手順は、以下のとおりである。試験片60を温度110±3℃、短時間48±1時間、標準時間168±2時間の加熱処理条件で加熱処理後、温度23±2℃、相対湿度50±5%の室内に3〜4時間放置した後、試験片60の表裏に突起した環状帯の外径を互いに直交する測定線に沿って、表面2箇所、裏面2箇所の計4箇所の寸法を0.01mmまで測定した。
成形収縮率は、次式によって算出した。式:MS=1/4{(D1−d1)/D1+(D2−d2)/D2+(D3−d3)/D3+(D4−d4)/D4}×100、ここで、MSは、成型収縮率(%)、d1〜d4は、測定線に沿って測った試験片60の環状帯の外径(mm)であり、D1〜D4は、23±2℃の室温で測ったd1〜d4に対応する金型の溝の外径(mm)である。
加熱収縮率は、次式によって算出した。式:PS48またはPS168=1/4{(d1−d1′)/d1+(d2−d2′)/d2+(d3−d3′)/d3+(d4−d4′)/d4}×100、ここで、PS48は、加熱処理48時間の場合の加熱収縮率(%)であり、PS168は、加熱処理168時間の場合の加熱収縮率(%)である。d1〜d4は、測定線に沿って測った試験片60の環状帯の外径(mm)であり、d1′〜d4′は、前記加熱処理条件で加熱処理後23±2℃の室温で測ったd1〜d4に対応する寸法(mm)である。
工具ホルダー50A,50Bの曲げ強さおよび曲げ弾性率は、成型用樹脂組成物10から試験片61を作り、その試験片61を使用してJIS K 6911に準拠して測定した。寸法変化率の測定に利用した装置は、クロスヘッド移動速度を一定に保持可能な材料試験機(材料試験機の標準荷重に対して許容誤差が±1%、破断時の荷重がその容量の15%以上85%以下)と、先端に5±0.1mmの丸みを有する金属製の加圧くさびと、先端に2±0.2mmの丸みを有して支点間距離を調節可能な金属製の支点と、JIS B 7502に規定された外側マイクロメータ(寸法測定器)と、JIS B 7503に規定された目盛0.01mmのダイヤルゲージと、JIS B 7507に規定された最小読み取り値0.02mmのノギスとを使用した。試験片61は、図12に示すように、長さ80mm以上、高さ4±0.2mm、幅10±0.5mmに成型した。
試験片61の高さおよび幅を外側マイクロメータを用いてそれぞれ0.01mmまで正確に測った。次に、16h±0.5mmの支点間距離で試験片61を支え、図13に示すように、その中央に加圧くさびで荷重を加え、試験片61が折れたときの荷重を1Nまで測定した。試験片61の折れた箇所が試験片61を3等分した中央部以外である場合、それを試験値に採用せず、再試験をした。荷重速度は、次式によって算出した。式:V=(h/2t)±0.2、ここで、Vは、荷重速度(mm/min)、hは、試験片61の高さ(mm)であり、tは、時間(1min)である。なお、曲げ弾性率を測定する場合は、荷重−たわみ曲線が作図できるように、頻繁に荷重およびたわみを同時に読み取った。
曲げ強さは、次式によって算出した。式:σfB=3PLV/2Wh2、ここで、σfBは、曲げ強さ(MPa)、Pは、試験片61が折れたときの荷重(N)であり、LVは、支点間距離(mm)、Wは、試験片61の幅(mm)である。hは、試験片の高さ(mm)である。
曲げ弾性率は、次式によって算出した。式:Ef=(LV 3/4Wf3)・(F/Y)、ここで、Efは、曲げ弾性率(MPa)、LVは、支点間距離(mm)であり、Wは、試験片61の幅(mm)、hは、試験片61の高さ(mm)である。F/Yは、荷重−たわみ曲線の直線部分の勾配(N/mm)である。
以下、前記製造方法によって製造された成型用樹脂組成物10の実施例および比較例を説明するとともに、それら実施例や比較例の成型用樹脂組成物10を使用して成型した工具ホルダー50A,50Bの寸法変化率(%)、曲げ強さ(MPa)、曲げ弾性率(MPa)について説明する。なお、工具ホルダー50A,50Bの寸法変化率は、上述したように、試験片60を使用してJIS K 6911に準拠して測定したとおりである。また、工具ホルダー50A,50Bの曲げ強さおよび曲げ弾性率は、上述したように、試験片61を使用してJIS K 6911に準拠して測定したとおりである。
実施例(1)では、液状フェノール樹脂16(熱硬化性合成樹脂)と綿布18(天然繊維材料)とメチルアルコール19(有機溶剤)とを攪拌混練した第1混練工程、乾燥工程、第1冷却工程によって樹脂含浸繊維材料27を作り、その樹脂含浸繊維材料27と液状フェノール樹脂16とガラス繊維17とを攪拌混練した後(第2混練工程)、成型用樹脂組成物10を冷却し(第2冷却工程)、成型用樹脂組成物10を製造した。
実施例(1)では、液状フェノール樹脂16に対する樹脂含浸繊維材料27の投入量(重量比)がフェノール樹脂16(100重量%)に対して樹脂含浸繊維材料27(105重量%)であり、液状フェノール樹脂16に対するガラス繊維17の投入量(重量比)がフェノール樹脂16(100重量%)に対してガラス繊維17(8重量%)である。実施例(1)の成型用樹脂組成物10を使用して成型した工具ホルダー50A,50B(試験片60,61)の寸法変化率は0.18(%)、曲げ強さは110(MPa)、曲げ弾性率は12500(MPa)であった。実施例(1)の成型用樹脂組成物10を使用して成型した工具ホルダー50A,50Bは、寸法変化率が小さく、良好な曲げ強さおよび曲げ弾性率を示した。
実施例(2)では、実施例(1)と同一の工程によって成型用樹脂組成物10を製造した。実施例(2)では、液状フェノール樹脂16に対する樹脂含浸繊維材料27の投入量(重量比)がフェノール樹脂16(100重量%)に対して樹脂含浸繊維材料27(125重量%)であり、液状フェノール樹脂16に対するガラス繊維17の投入量(重量比)がフェノール樹脂16(100重量%)に対してガラス繊維17(9重量%)である。実施例(2)の成型用樹脂組成物10を使用して成型した工具ホルダー50A,50B(試験片60,61)の寸法変化率は0.16(%)、曲げ強さは115(MPa)、曲げ弾性率は12000(MPa)であった。実施例(2)の成型用樹脂組成物10を使用して成型した工具ホルダー50A,50Bは、寸法変化率が小さく、良好な曲げ強さおよび曲げ弾性率を示した。
実施例(3)では、実施例(1)と同一の工程によって成型用樹脂組成物10を製造した。実施例(3)では、液状フェノール樹脂16に対する樹脂含浸繊維材料27の投入量(重量比)がフェノール樹脂16(100重量%)に対して樹脂含浸繊維材料27(145重量%)であり、液状フェノール樹脂16に対するガラス繊維17の投入量(重量比)がフェノール樹脂16(100重量%)に対してガラス繊維17(12重量%)である。実施例(3)の成型用樹脂組成物10を使用して成型した工具ホルダー50A,50B(試験片60,61)の寸法変化率は0.13(%)、曲げ強さは120(MPa)、曲げ弾性率は11800(MPa)であった。実施例(3)の成型用樹脂組成物10を使用して成型した工具ホルダー50A,50Bは、寸法変化率が小さく、良好な曲げ強さおよび曲げ弾性率を示した。
実施例(4)では、液状フェノール樹脂16と綿糸綿布18(綿糸1対綿布1)とメチルアルコール19とを攪拌混練した第1混練工程、乾燥工程、第1冷却工程によって樹脂含浸繊維材料27を作り、その樹脂含浸繊維材料27と液状フェノール樹脂16とガラス繊維17とを攪拌混練した後(第2混練工程)、成型用樹脂組成物10を冷却し(第2冷却工程)、成型用樹脂組成物10を製造した。
実施例(4)では、液状フェノール樹脂16に対する樹脂含浸繊維材料27の投入量(重量比)がフェノール樹脂16(100重量%)に対して樹脂含浸繊維材料27(105重量%)であり、液状フェノール樹脂16に対するガラス繊維17の投入量(重量比)がフェノール樹脂16(100重量%)に対してガラス繊維17(8重量%)である。実施例(4)の成型用樹脂組成物10を使用して成型した工具ホルダー50A,50B(試験片60,61)の寸法変化率は0.17(%)、曲げ強さは110(MPa)、曲げ弾性率は12000(MPa)であった。実施例(4)の成型用樹脂組成物10を使用して成型した工具ホルダー50A,50Bは、寸法変化率が小さく、良好な曲げ強さおよび曲げ弾性率を示した。
実施例(5)では、実施例(4)と同一の工程によって成型用樹脂組成物10を製造した。実施例(5)では、液状フェノール樹脂16に対する樹脂含浸繊維材料27の投入量(重量比)がフェノール樹脂16(100重量%)に対して樹脂含浸繊維材料27(125重量%)であり、液状フェノール樹脂16に対するガラス繊維17の投入量(重量比)がフェノール樹脂16(100重量%)に対してガラス繊維17(9重量%)である。実施例(5)の成型用樹脂組成物10を使用して成型した工具ホルダー50A,50B(試験片60,61)の寸法変化率は0.15(%)、曲げ強さは120(MPa)、曲げ弾性率は11900(MPa)であった。実施例(5)の成型用樹脂組成物10を使用して成型した工具ホルダー50A,50Bは、寸法変化率が小さく、良好な曲げ強さおよび曲げ弾性率を示した。
実施例(6)では、実施例(4)と同一の工程によって成型用樹脂組成物10を製造した。実施例(6)では、液状フェノール樹脂16に対する樹脂含浸繊維材料27の投入量(重量比)がフェノール樹脂16(100重量%)に対して樹脂含浸繊維材料27(145重量%)であり、液状フェノール樹脂16に対するガラス繊維17の投入量(重量比)がフェノール樹脂16(100重量%)に対してガラス繊維17(12重量%)である。実施例(5)の成型用樹脂組成物10を使用して成型した工具ホルダー50A,50B(試験片60,61)の寸法変化率は0.13(%)、曲げ強さは115(MPa)、曲げ弾性率は11800(MPa)であった。実施例(5)の成型用樹脂組成物10を使用して成型した工具ホルダー50A,50Bは、寸法変化率が小さく、良好な曲げ強さおよび曲げ弾性率を示した。
比較例(1)では、液状フェノール樹脂16(熱硬化性合成樹脂)と綿布18(天然繊維材料)とメチルアルコール19(有機溶剤)とを攪拌混練した第1混練工程、乾燥工程、第1冷却工程によって樹脂含浸繊維材料27を作り、その樹脂含浸繊維材料27と液状フェノール樹脂16とガラス繊維17とを攪拌混練した後(第2混練工程)、成型用樹脂組成物10を冷却し(第2冷却工程)、成型用樹脂組成物10を製造した。
比較例(1)では、液状フェノール樹脂16に対する樹脂含浸繊維材料27の投入量(重量比)がフェノール樹脂16(100重量%)に対して樹脂含浸繊維材料27(90重量%)であり、液状フェノール樹脂16に対するガラス繊維17の投入量(重量比)がフェノール樹脂16(100重量%)に対してガラス繊維17(8重量%)である。比較例(1)の成型用樹脂組成物10を使用して成型した工具ホルダー50A,50B(試験片60,61)の寸法変化率は0.12(%)、曲げ強さは90(MPa)、曲げ弾性率は9000(MPa)であった。比較例(1)の成型用樹脂組成物10を使用して成型した工具ホルダー50A,50Bは、寸法変化率は小さいものの、曲げ強さや曲げ弾性率が不足していた。
比較例(2)では、比較例(1)と同一の工程によって成型用樹脂組成物10を製造した。比較例(2)では、液状フェノール樹脂16に対する樹脂含浸繊維材料27の投入量(重量比)がフェノール樹脂16(100重量%)に対して樹脂含浸繊維材料27(160重量%)であり、液状フェノール樹脂16に対するガラス繊維17の投入量(重量比)がフェノール樹脂16(100重量%)に対してガラス繊維17(9重量%)である。比較例例(2)の成型用樹脂組成物10では、それを使用した成型加工においてそれの流動性が悪く、成型加工に適さないことが分かった。
比較例(3)では、液状フェノール樹脂16と綿糸綿布18(綿糸1対綿布1)とメチルアルコール19とを攪拌混練した第1混練工程、乾燥工程、第1冷却工程によって樹脂含浸繊維材料27を作り、その樹脂含浸繊維材料27と液状フェノール樹脂16とガラス繊維17とを攪拌混練した後(第2混練工程)、成型用樹脂組成物10を冷却し(第2冷却工程)、成型用樹脂組成物10を製造した。
比較例(3)では、液状フェノール樹脂16に対する樹脂含浸繊維材料27の投入量(重量比)がフェノール樹脂16(100重量%)に対して樹脂含浸繊維材料27(90重量%)であり、液状フェノール樹脂16に対するガラス繊維17の投入量(重量比)がフェノール樹脂16(100重量%)に対してガラス繊維17(8重量%)である。比較例(3)の成型用樹脂組成物10を使用して成型した工具ホルダー50A,50B(試験片60,61)の寸法変化率は0.13(%)、曲げ強さは90(MPa)、曲げ弾性率は8500(MPa)であった。比較例(3)の成型用樹脂組成物10を使用して成型した工具ホルダー50A,50Bは、寸法変化率は小さいものの、曲げ強さや曲げ弾性率が不足していた。
比較例(4)では、比較例(3)と同一の工程によって成型用樹脂組成物10を製造した。比較例(4)では、液状フェノール樹脂16に対する樹脂含浸繊維材料27の投入量(重量比)がフェノール樹脂16(100重量%)に対して樹脂含浸繊維材料27(160重量%)であり、液状フェノール樹脂16に対するガラス繊維17の投入量(重量比)がフェノール樹脂16(100重量%)に対してガラス繊維17(9重量%)である。比較例(4)の成型用樹脂組成物10では、それを使用した成型加工においてそれの流動性が悪く、成型加工に適さないことが分かった。
比較例(5)は、液状フェノール樹脂16と綿布18とガラス繊維17とを攪拌混練した後(混練工程)、成型用樹脂組成物を冷却し(冷却工程)、成型用樹脂組成物を製造した。比較例(5)では、液状フェノール樹脂16に対する綿布18の投入量(重量比)がフェノール樹脂16(100重量%)に対して綿布18(100重量%)であり、液状フェノール樹脂16に対するガラス繊維17の投入量(重量比)がフェノール樹脂16(100重量%)に対してガラス繊維17(8重量%)である。比較例(5)の成型用樹脂組成物を使用して成型した工具ホルダー50A,50B(試験片60,61)の寸法変化率は0.36(%)、曲げ強さは115(MPa)、曲げ弾性率は12000(MPa)であった。比較例(5)の成型用樹脂組成物を使用して成型した工具ホルダー50A,50Bは、良好な曲げ強さや曲げ弾性率を有しているものの、寸法変化率が大きいことが分かった。
前記実施例や比較例から明らかなように、成型用樹脂組成物10の製造方法は、第1混練工程において液状フェノール樹脂16(熱硬化性合成樹脂)と綿糸18および綿布18の少なくとも一方(天然繊維材料)とを加熱しつつ混練して綿糸18や綿布18にフェノール樹脂16を含浸させた樹脂含浸繊維材料27を作り、第2混練工程において樹脂含浸繊維材料27とフェノール樹脂16とガラス繊維17とを加熱しつつ混練して樹脂含浸繊維材料27とフェノール樹脂16とガラス繊維17とを混和させた立体形状の成型用樹脂組成物10を作るから、綿糸18全体や綿布18全体にフェノール樹脂16を十分に含浸させることができ、天然繊維材料27のフェノール樹脂16に対する相容性が向上し、フェノール樹脂16とガラス繊維17と樹脂含浸繊維材料27とを混練したときに、樹脂含浸繊維材料27の綿糸18および綿布18やガラス繊維17をフェノール樹脂16に満遍なく混和させることができる。
製造方法は、第1冷却工程や第2冷却工程において樹脂含浸繊維材料27や成型用樹脂組成物10を冷却するから、第1および第2混練工程から続くフェノール樹脂16の熱による反応の進行を停止させることができ、フェノール樹脂16の反応が進行することによるフェノール樹脂16の物性変化を防ぐことができる。製造方法は、綿糸18や綿布18がフェノール樹脂16に確実に混和されるから、靱性や弾性を有するとともに機械的な強度や熱剛性が高い工具ホルダー50A,50Bを作ることが可能な成型用樹脂組成物10を製造することができる。製造方法は、フェノール樹脂16が綿糸18全体や綿布18全体に含浸され、綿糸18全体や綿布18全体がフェノール樹脂16にコーティングされるから、フェノール樹脂16が障壁となって水分が綿糸18や綿布18に滲入することはなく、高い耐水性や耐湿性を有するとともに優れた寸法安定性を有する工具ホルダー50A,50Bを作ることが可能な成型用樹脂組成物10を製造することができる。