以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係る血圧低下予測装置は上記課題を解決するために、生体の血圧低下を予測する血圧低下予測装置であって、前記生体の脈拍数を算出する脈拍数算出部と、前記生体の血流量を算出する血流量算出部と、前記算出された脈拍数及び前記算出された血流量の少なくとも一方の変動に基づいて、前記血圧低下が発生するリスクを示すリスクレベルを決定するリスクレベル決定部と、前記算出された脈拍数及び前記算出された血流量の少なくとも一方の所定期間での変動幅が、前記決定されたリスクレベルに応じて定まる閾値を超えた場合に、前記血圧低下が発生するリスクが、前記決定されたリスクレベルよりも高いリスクレベルハイ状態であると判定するリスクレベルハイ判定部とを備える。
本実施形態に係る血圧低下予測装置の動作時には、先ず脈拍数算出部によって生体の脈拍数が算出されると共に、血流量算出部によって生体の血流量が算出される。脈拍数算出部及び血流量算出部は、夫々別々の測定器を用いて脈拍数及び血流量を算出してもよいし、同一の測定器を用いて脈拍数及び血流量を算出してもよい。例えば、別々の測定器を用いる場合には、脈拍数を算出するために心電計を用い、血流量を得るために血流計を用いることが可能である。一方で、同一の測定器を用いる場合には、例えば血流計だけを用いて脈拍数及び血流量を算出することが可能である。より具体的には、例えばレーザードップラーフローメトリー法が用いられるレーザー血流計から被検体或いは患者である生体の血流波形(即ち、血流量の経時的な変化を示す波形信号)が入力され、該入力された血流波形に基づいて、生体の脈拍数及び血流量が、脈拍数算出部及び血流量算出部によってそれぞれ算出される。脈拍数算出部は、典型的には、血流波形の脈波に相当する振動数(即ち、周期の逆数)を、脈拍数として算出する。血流量算出部は、典型的には、血流波形の所定時間における平均値を、血流量として算出する。
本実施形態では特に、リスクレベル決定部により、算出された脈拍数及び血流量の少なくとも一方の変動に基づいて、生体の血圧低下が発生するリスク(即ち、血圧低下が発生する可能性)を示すリスクレベルが決定される。リスクレベル決定部は、例えば脈拍数及び血流量の各々の変動の組み合わせと、リスクレベルとが対応付けられた所定のリスクレベル決定テーブルを参照することにより、リスクレベルを決定する。
リスクレベル決定部は、算出された脈拍数及び血流量のいずれか一方を用いてリスクレベルを決定してもよいし、算出された脈拍数及び血流量の両方を用いてリスクレベルを決定してもよい。但し、算出された脈拍数及び血流量のいずれか一方を用いてリスクレベルを決定する場合と比べて、算出された脈拍数及び血流量の両方を用いてリスクレベルを決定する場合の方が、より高い精度でリスクレベルを決定することができる。
具体的には、リスクレベル決定部は、例えば脈拍数が上昇している場合又は血流量が減少している場合にリスクレベルが「低」であると決定し、脈拍数が上昇後一定となった場合又は血流量が下降後一定となった場合にリスクレベルが「中」であると決定し、脈拍数及び血流量のいずれかが下降後一定となりさらに下降している場合にリスクレベルが「高」であると決定する。或いはリスクレベル決定部は、脈拍数及び血流量の変動の組み合わせに対応するようにリスクレベルの値が格納された、リスクレベル決定テーブル等を用いてリスクレベルを決定する。このようにすれば、リスクレベル決定部は、脈拍数及び血流量の両方の変動に応じてより正確にリスクレベルを決定できる。尚、リスクレベル決定部は、脈拍数及び血流量に加えて、他のパラメータ(例えば、脈波振幅等)を用いてリスクレベルを決定してもよい。
ここで、血圧は心拍出量と末梢血管抵抗との積で決まる。「心拍出量」は、心臓から1分間に拍出される(即ち、送り出される)血液量であり、自律神経系(交感神経・副交感神経系)の働きによって変化する心拍数に応じて変化する。心拍出量は、1回の心拍で心臓から拍出される1回心拍出量と心拍数との積で決まる。よって、血圧は心拍数と1回心拍出量と末梢血管抵抗との積で決まる。「末梢血管抵抗」は、末梢動脈の血液の流れにくさであり、自律神経系(特に、交感神経系)の働きによって変化する。生体が健常者である場合、通常、生体は血圧を維持するために、心拍数や末梢血管抵抗を調節する。言い換えれば、生体は、血圧が低下しそうになると、心拍数や末梢血管抵抗を調節することで、血圧を維持する。よって、心拍数や末梢血管抵抗は、急激に血圧が低下する前に変化する場合が多い。
前述したように、リスクレベル決定部は、算出された脈拍数及び血流量の少なくとも一方の変動に基づいて生体の血圧低下のリスクレベルを決定する。ここで、脈拍数は心拍数に相当し、血流量は末梢血管抵抗の変動に応じて変動する場合が多いと推測される。よって、リスクレベル決定部によれば、脈拍数及び血流量の少なくとも一方の変動に基づいて、血圧低下が発生するリスクを示すリスクレベルを適切に決定できる。
本実施形態では更に、上述したリスクレベルの決定に加えて、リスクレベルハイ判定部によりリスクレベルハイ状態であるか否かの判定が行われる。具体的には、リスクレベルハイ判定部は、算出された脈拍数及び算出された血流量の少なくとも一方の所定期間での変動幅が、決定されたリスクレベルに応じて定まる閾値を超えた場合に、決定されたリスクレベルよりも高いリスクレベルハイ状態であると判定する。尚、ここでの「所定期間」とは、脈拍数及び血流量の比較的短期間における変動を検出するために設定される期間であり、リスクレベル決定部が脈拍数及び血流量の変動を検出する期間と比べると短く設定される。また、「決定されたリスクレベルに応じて定まる閾値」とは、リスクレベル決定部によって決定されたリスクレベルの高さに応じて決定される閾値であり、リスクレベルが高いほど低い値として決定される。言い換えれば、リスクレベル決定部によって決定されたリスクレベルが高いほど、リスクレベルハイ状態と判定され易くなる。
リスクレベルハイ判定部は、算出された脈拍数及び血流量のいずれか一方を用いてリスクレベルハイ状態であるか否かを判定してもよいし、算出された脈拍数及び血流量の両方を用いてリスクレベルハイ状態であるか否かを判定してもよい。但し、算出された脈拍数及び血流量のいずれか一方を用いてリスクレベルハイ状態であるか否かを判定する場合と比べて、算出された脈拍数及び血流量の両方を用いてリスクレベルハイ状態であるか否かを判定する場合の方が、より高い精度でリスクレベルハイ状態であるか否かを判定することができる。
尚、リスクレベルを決定するために脈拍数及び血流量のいずれか一方を用いた場合、リスクレベルハイ状態であるか否かの判定には、リスクレベルの決定に用いた一方とは異なる他方を用いてもよい。即ち、リスクレベル決定部が算出された脈拍数を用いてリスクレベルを決定した場合に、リスクレベルハイ判定部が算出された血流量を用いてリスクレベルハイ状態であるか否かを判定してもよい。同様に、リスクレベル決定部が算出された血流量を用いてリスクレベルを決定した場合に、リスクレベルハイ判定部が算出された脈拍数を用いてリスクレベルハイ状態であるか否かを判定してもよい。
本願発明者の研究によれば、脈拍数及び血流量が短期間で急激に変動した場合、血圧低下のリスクレベルは上昇すると考えられるものの、その上昇の度合いは、リスクレベル決定部において決定されたリスクレベルに対応していることが判明している。例えば、リスクレベルが比較的高い状態で、脈拍数及び血流量が短期間で急激に変動した場合、血圧低下のリスクレベルは比較的大きく上昇する。一方で、リスクレベルが比較的低い状態で、脈拍数及び血流量が短期間で急激に変動した場合、血圧低下のリスクレベルは比較的小さく上昇する。
以上のように、算出された脈拍数及び血流量のいずれか一方の所定期間における変動を用いてリスクレベルハイ状態であるか否かを判定することで、リスクレベル決定部だけでリスクレベルを決定する場合と比べて、高い精度で血圧低下が発生するリスクを予測することができる。
本実施形態では、リスクレベル決定部によって決定されたリスクレベル、或いはリスクレベルハイ判定部によって判定されたリスクレベルハイ状態を、例えば色、数字、文字、文章、図形、記号、音などとして外部に出力することで、被検体或いは患者である生体や、医師或いは看護師などの関係者に血圧低下のリスクを知らせることができる。この結果、血圧低下が予測される生体に対する処置が遅れてしまうことを低減或いは防止できる(即ち、血圧低下のリスクがある生体に対して早期に処置を行うことが可能となる)。
尚、リスクレベル及びリスクレベルハイ状態は、上述したように単純に出力されるのではなく、接続された他の装置の制御等に用いられてもよい。例えば、患者である生体が人工透析を行っている場合に、リスクレベル及びリスクレベルハイ状態に基づいて透析装置の動作を制御するようにすれば、好適に血圧以下のリスクを低減することが可能となる。また、透析装置等の他の装置が接続されている場合には、他の装置の情報を反映してリスクレベル及びリスクレベルハイ状態を出力することも可能である。例えば、リスクレベルを決定するためのパラメータである脈拍数及び血流値を算出するための信号を受け取っているが、実際に透析を行っていない場合には、透析装置から透析を行っていないという情報を受け取った上で、リスクレベル及びリスクレベルハイ状態を出力しないといった制御も可能となる。
更に、本実施形態では特に、例えばレーザー血流計から入力される血流波形に基づいて、脈拍数及び血流量を算出するので、例えばカフや電極を用いて血圧を測定する場合と比較して、生体にほとんど或いは全く負担をかけなくて済むという有利な効果がある。
以上説明したように、本実施形態の血圧低下予測装置によれば、生体にほとんど負担をかけることなく、生体の血圧低下を早期に且つ高精度で予測できる。
本実施形態に係る血圧低下予測装置の一の態様では、前記リスクレベルハイ判定部は、前記算出された脈拍数及び前記算出された血流量のいずれか一方の変動幅が前記決定されたリスクレベルに応じて定まる閾値を超えた場合と比べて、前記算出された脈拍数及び前記算出された血流量の両方の変動幅が前記決定されたリスクレベルに応じて定まる閾値を超えた場合の方が、前記血圧低下が発生するリスクが高いリスクレベルハイ状態であると判定する。
本態様では、算出された脈拍数及び算出された血流量のいずれか一方の変動幅が決定されたリスクレベルに応じて定まる閾値を超えた場合、血圧低下が発生するリスクが、リスクレベルハイ状態の中でも比較的低い状態(以下、適宜「リスクレベルハイA状態」と称する)と判定される。
一方で、算出された脈拍数及び算出された血流量の両方の変動幅が決定されたリスクレベルに応じて定まる閾値を超えた場合、血圧低下が発生するリスクが、リスクレベルハイ状態の中でも比較的高いリスクレベルハイ(以下、適宜「リスクレベルハイB状態」と称する)と判定される。
このように、算出された脈拍数及び算出された血流量のうち、どのパラメータが閾値を超えたかによって、血圧低下が発生するリスクを、リスクレベルハイA状態又はリスクレベルハイB状態であると判定することで、より高い精度で血圧低下のリスクを予測することができる。
本実施形態に係る血圧低下予測装置の他の態様では、前記リスクレベル決定部は、前記脈拍数及び前記血流量の少なくとも一方の変動と、前記リスクレベルとが対応付けられた所定のリスクレベル決定テーブルを参照することにより、前記リスクレベルを決定するようにしてもよい。
この態様によれば、リスクレベル決定部では、所定のリスクレベル決定テーブルを参照することにより、血圧低下が発生するリスクを示すリスクレベルが決定される。リスクレベル決定テーブルは、脈拍数及び血流量の少なくとも一方の変動と、該変動が生じた場合のリスクレベルとが予め対応付けられて格納された、リスクレベルを決定するための所定の参照テーブル(ルックアップテーブル)である。
例えば、リスクレベル決定テーブルには、脈拍数及び血流量の少なくとも一方の変動値に対応するように、リスクレベルの値が格納されている。具体的には、リスクレベル決定テーブルには、脈拍数が上昇している場合又は血流量が減少している場合に対応するリスクレベルとして「低」が格納されており、脈拍数が上昇後一定となった場合又は血流量が下降後一定となった場合に対応するリスクレベルとして「中」が格納されており、脈拍数及び血流量のいずれかが下降後一定となりさらに下降している場合に対応するリスクレベルとして「高」が格納されている。
或いは、リスクレベル決定テーブルには、脈拍数及び血流量の変動の組み合わせに対応するようにリスクレベルの値が格納されている。具体的には、脈拍数が上昇し、血流量が一定である場合のリスクレベルとして、「LV1」が格納されている。脈拍数が一定であり、血流量が減少している場合のリスクレベルとして、「LV1」が格納されている。脈拍数が上昇しており、血流量が減少している場合のリスクレベルとして、「LV1」よりも血圧低下が発生するリスクが高いことを示す「LV2」が格納されている。脈拍数が上昇後一定であり、血流量が減少している場合のリスクレベルとして、「LV2」よりも血圧低下が発生するリスクが高いことを示す「LV3」が格納されている。脈拍数が上昇しており、血流量が減少後一定である場合のリスクレベルとして、「LV3」が格納されている。脈拍数が上昇後一定であり、血流量が減少後一定である場合のリスクレベルとして、「LV3」よりも血圧低下が発生するリスクが高いことを示す「LV4」が格納されている。脈拍数が上昇後一定となり更に下降しており、血流量が減少後一定である場合のリスクレベルとして、「LV4」よりも血圧低下が発生するリスクが高いことを示す「LV5」が格納されている。脈拍数が上昇後一定であり、血流量が減少後一定となり更に減少している場合のリスクレベルとして、「LV5」が格納されている。脈拍数が上昇後一定となり更に下降しており、血流量が減少後一定となり更に減少している場合のリスクレベルとして、「LV5」よりも血圧低下が発生するリスクが高いことを示す「LV6」が格納されている。
尚、リスクレベル決定テーブルには、脈拍数及び血流量の変動と、他のパラメータ(例えば、脈波振幅等)との組み合わせに対応するようにリスクレベルの値が格納されていてもよい。
ちなみに、脈拍数及び血流量の各々の変動が生じた場合における血圧低下が発生するリスクを、予め実験的・経験的に或いはシミュレーションにより推定することで、リスクレベル決定テーブルを作成することができる。
リスクレベル決定部は、算出された脈拍数及び血流量の変動値が、リスクレベル決定テーブルに格納された脈拍数及び血流量の変動値のいずれかと一致する場合に、リスクレベルを該一致した組み合わせに対応付けられたリスクレベルに決定する。尚、算出された脈拍数及び血流量の変動値が、リスクレベル決定テーブルに格納された脈拍数及び血流量の変動値のいずれとも一致しない場合には、例えば、リスクレベルを、リスクがほとんど無い或いは極低いことを示す「無」に決定してもよい。
本態様では、リスクレベル決定テーブルを用いることで比較的容易且つ的確にリスクレベルを決定することが可能となる。よって、生体の血圧低下をより好適に予測でき、血圧低下が発生するリスクを示すリスクレベルをより適切に決定できる。
本実施形態に係る血圧低下予測装置の他の態様では、前記脈拍数算出部は、前記生体の血流量の経時的な変化を示す血流波形に基づいて、前記生体の脈拍数を算出し、前記血流量算出部は、前記血流波形に基づいて、前記生体の血流量を算出する。
この態様によれば、生体の脈拍数及び血流量の各々が、生体の血流量の経時的な変化を示す血流波形から夫々算出される。即ち、生体の脈拍数及び血流量は、互いに異なるパラメータに基づいて算出されるのではなく、同一のパラメータから夫々算出される。
本態様では、例えば血流計等から得られる血流波形から、リスクレベルの決定及びリスクレベルハイ状態であるか否かの判定に用いる生体の脈拍数及び血流量という2種類のパラメータを両方算出することができる。よって、装置構成及び各パラメータの算出処理を簡単化することが可能である。
本実施形態に係る血圧低下予測装置の他の態様では、前記生体の脈波振幅を算出する脈波振幅算出部を更に備え、前記リスクレベル決定部は、前記算出された脈拍数及び前記算出された血流量の少なくとも一方に加えて、前記算出された脈波振幅の変動に基づいて、前記血圧低下が発生するリスクを示すリスクレベルを決定する。
この態様によれば、リスクレベル決定部は、算出された脈拍数及び血流量の少なくとも一方の変動に加えて、算出された脈波振幅の変動にも基づいて、生体の血圧低下を予測するので、生体の血圧低下をより早期に且つより適切に予測できる。
上述した脈波振幅算出部を備える態様では、前記リスクレベル決定部は、前記脈拍数及び前記血流量の少なくとも一方、並びに前記脈波振幅の各々の変動の組み合わせと、前記リスクレベルとが対応付けられた所定のリスクレベル決定テーブルを参照することにより、前記リスクレベルを決定するようにしてもよい。
この場合、リスクレベル決定部は、所定のリスクレベル決定テーブルを参照することにより、血圧低下が発生するリスクを示すリスクレベルを決定する。リスクレベル決定テーブルは、脈拍数及び血流量の少なくとも一方の変動、並びに脈波振幅の変動の組み合わせと、該組み合わせが生じた場合のリスクレベルとが予め対応付けられて格納された、リスクレベルを決定するための所定の参照テーブル(ルックアップテーブル)である。
例えばリスクレベル決定テーブルには、脈拍数が一定であり、脈波振幅が減少しており、血流量が一定である場合のリスクレベルとして、「LV1」が格納されている。脈拍数が上昇しており、脈波振幅が減少しており、血流量が一定である場合のリスクレベルとして、「LV1」よりも血圧低下が発生するリスクが高いことを示す「LV2」が格納されている。脈拍数が一定であり、脈波振幅が減少しており、血流量が減少している場合のリスクレベルとして、「LV2」が格納されている。脈拍数が上昇しており、脈波振幅が減少しており、血流量が減少している場合のリスクレベルとして、「LV2」よりも血圧低下が発生するリスクが高いことを示す「LV3」が格納されている。脈拍数が上昇後一定であり、脈波振幅が減少しており、血流量が減少している場合のリスクレベルとして、「LV3」よりも血圧低下が発生するリスクが高いことを示す「LV4」が格納されている。脈拍数が上昇しており、脈波振幅が減少しており、血流量が減少後一定である場合のリスクレベルとして、「LV4」が格納されている。脈拍数が上昇後一定であり、脈波振幅が減少しており、血流量が減少後一定である場合のリスクレベルとして、「LV4」よりも血圧低下が発生するリスクが高いことを示す「LV5」が格納されている。脈拍数が上昇後一定となり更に減少しており、脈波振幅が減少しており、血流量が減少後一定である場合のリスクレベルとして、「LV5」よりも血圧低下が発生するリスクが高いことを示す「LV6」が格納されている。脈拍数が上昇後一定であり、脈波振幅が減少しており、血流量が減少後一定となり更に減少している場合のリスクレベルとして、「LV6」が格納されている。脈拍数が上昇後一定となり更に減少しており、脈波振幅が減少しており、血流量が減少後一定となり更に減少している場合のリスクレベルとして、「LV6」よりも血圧低下が発生するリスクが高いことを示す「LV7」が格納されている。
リスクレベル決定部は、算出された脈拍数、血流量及び脈波振幅の変動の組み合わせが、リスクレベル決定テーブルに格納された脈拍数、血流量及び脈波振幅の変動の組み合わせのいずれかと一致する場合に、リスクレベルを該一致した組み合わせに対応付けられたリスクレベルに決定する。尚、算出された脈拍数、血流量及び脈波振幅の変動の組み合わせが、リスクレベル決定テーブルに格納された脈拍数、血流量及び脈波振幅の変動の組み合わせのいずれとも一致しない場合には、例えば、リスクレベルを、リスクがほとんど無い或いは極低いことを示す「無」に決定してもよい。
本態様では、リスクレベル決定テーブルを用いることで比較的容易且つ的確にリスクレベルを決定することが可能となる。よって、生体の血圧低下をより好適に予測でき、血圧低下が発生するリスクを示すリスクレベルをより適切に決定できる。
上述した脈波振幅算出部を備える態様では、前記脈拍数算出部は、前記生体の血流量の経時的な変化を示す血流波形に基づいて、前記生体の脈拍数を算出し、前記血流量算出部は、前記血流波形に基づいて、前記生体の血流量を算出し、前記脈波振幅算出部は、前記血流波形に基づいて、前記生体の脈波振幅を算出するようにしてもよい。
この場合、生体の脈拍数、血流量及び脈波振幅の各々が、生体の血流量の経時的な変化を示す血流波形から夫々算出される。即ち、生体の脈拍数、血流量及び脈波振幅は、互いに異なるパラメータに基づいて算出されるのではなく、同一のパラメータから夫々算出される。
本態様では、例えば血流計等から得られる血流波形から、リスクレベルの決定及びリスクレベルハイ状態であるか否かの判定に用いる生体の脈拍数、血流量及び脈波振幅という3種類のパラメータを全て算出することができる。よって、装置構成及び各パラメータの算出処理を簡単化することが可能である。
本実施形態に係る血圧低下予測装置の他の態様では、前記リスクレベル決定部によって決定されたリスクレベルを外部に出力する第1出力部を更に備える。
この態様によれば、出力部は、リスクレベル決定部によって決定されたリスクレベルを、例えば色、数字、文字、文章、図形、記号、或いは音などとして外部に出力する。よって、被検体或いは患者である生体や、医師或いは看護師などの関係者に血圧低下のリスクを知らせることができる。この結果、血圧低下が予測される生体に対する処置が遅れてしまうことを低減或いは防止できる(即ち、血圧低下のリスクがある生体に対して早期に処置を行うことが可能となる)。
本実施形態に係る血圧低下予測装置の他の態様では、前記リスクレベルハイ判定部によって判定されたリスクレベルハイ状態を外部に出力する第2出力部を更に備える。
この態様によれば、出力部は、リスクレベルハイ判定部による判定結果(即ち、リスクレベルハイ状態であるか否か)を、例えば色、数字、文字、文章、図形、記号、或いは音などとして外部に出力する。よって、被検体或いは患者である生体や、医師或いは看護師などの関係者に血圧低下のリスクを知らせることができる。この結果、血圧低下が予測される生体に対する処置が遅れてしまうことを低減或いは防止できる(即ち、血圧低下のリスクがある生体に対して早期に処置を行うことが可能となる)。
本実施形態におけるこのような作用、及び他の利得は次に説明する実施例から更に明らかにされる。
以下、本発明の実施例について図を参照しつつ説明する。
<装置構成>
先ず、本実施例に係る血圧低下予測装置の構成について、図1を参照して説明する。ここに図1は、本実施例に係る血圧低下予測装置の構成を示すブロック図である。
図1において、本実施例に係る血圧低下予測装置100は、患者である生体900が透析装置600による人工透析を受けている最中における、生体900の血圧低下を予測するための装置である。血圧低下予測装置100は、脈拍数算出部110と、血流量算出部120と、脈波振幅算出部130と、リスクレベル決定部150及びリスクレベルハイ判定部160を有する血圧低下予測部140と、出力部170とを備えている。
血圧低下予測装置100は、血流波形出力装置800が出力する血流波形が入力されるように構成されている。血流波形出力装置800は、例えばレーザードップラーフローメトリー法が用いられるレーザー血流計であり、生体900の血流波形(即ち、血流量の経時的な変化を示す波形信号)を出力する。
脈拍数算出部110、血流量算出部120及び脈波振幅算出部130は、血流波形出力装置800から入力される血流波形に基づいて、生体900の脈拍数、血流量及び脈波振幅をそれぞれ算出する。
リスクレベル決定部150は、脈拍数算出部110、血流量算出部120及び脈波振幅算出部130の各々によって算出された、生体900の脈拍数、血流量及び脈波振幅の変動を用いて、生体900の血圧低下が発生するリスクを示すリスクレベルを決定する。
リスクレベル判定部は、脈拍数算出部110、血流量算出部120及び脈波振幅算出部130の各々によって算出された、生体900の脈拍数、血流量及び脈波振幅の短期間での変動を用いて、生体900の血圧低下が発生するリスクが極めて高いリスクレベルハイ状態であるか否かを判定する。
出力部170は、リスクレベル決定部150によって決定されたリスクレベル及びリスクレベルハイ判定部160の判定結果(即ち、リスクレベルハイ状態であるか否か)をモニタに出力する。
制御部180は、リスクレベル決定部150によって決定されたリスクレベル及びリスクレベルハイ判定部160の判定結果に応じて、透析装置600の動作を制御する。また制御部180は、透析装置600から各種情報(例えば、透析装置の動作状況や、透析時の各種パラメータ等)を受け取ることも可能に構成されている。
<パラメータ算出処理>
次に、脈拍数算出部110、血流量算出部120及び脈波振幅算出部130における脈拍数、血流量及び脈波振幅の具体的な算出方法について、図2を参照して説明する。ここに図2は、血流波形に基づく、脈拍数、血流量及び脈波振幅の算出方法の一例を説明するためのグラフである。尚、図2には、血流波形出力装置800が出力する血流波形の一例が示されている。
図2において、脈拍数算出部110は、血流波形において脈波に相当する波形の振動数、即ち、血流波形の周期Aの逆数(1/A)を、脈拍数として算出する。なお、脈拍数の算出方法は、高速フーリエ変換などの他の算出方法を用いてもよい。
血流量算出部120は、血流波形の所定時間における平均値Bを、血流量として算出する。
脈波振幅算出部130は、血流波形において脈波に相当する波形の振幅Cを、脈波振幅として算出する。尚、脈波振幅の算出方法は、高速フーリエ変換などの他の算出方法を用いてもよい。
このように、血圧低下予測装置100は、血流波形出力装置800から出力される血流波形から脈拍数、血流量及び脈波振幅という3つの変動パラメータを取得するように構成されている。
<血圧低下予測処理>
次に、血圧低下予測部140において実行される血圧低下予測処理について、図3を参照して説明する。ここに図3は、血圧低下予測処理の流れを示すフローチャートである。である。
図3において、血圧低下予測処理が開始されると、先ず出力部170によってLV0が出力される(ステップS110)。即ち、リスクレベル決定部150は、血圧低下リスクレベルに初期値として、血圧低下のリスクがほとんど無い或いは極低いことを示す「LV0」を設定し、出力部170は、この設定された血圧低下リスクレベル「LV0」を出力する。
続いて、脈拍数算出部110、血流量算出部120及び脈波振幅算出部130の各々において、脈拍数HR、血流量BF及び脈波振幅PWが夫々算出される(ステップS120)。脈拍数算出部110、血流量算出部120及び脈波振幅算出部130は、上述したように、血流波形に基づいて、脈拍数HR、血流量BF及び脈波振幅PWを夫々算出する。
脈拍数HR、血流量BF及び脈波振幅PWが算出されると、脈拍数HR、血流量BF及び脈波振幅PWの各々の変動を検出するためのサブルーチンが開始される(ステップS130)。以下では、この変動検出サブルーチンについて、図4から図6を参照して詳細に説明する。ここに図4は、脈拍数の変動検出サブルーチンにおける処理の流れを示すフローチャートである。図5は、血流量の変動検出サブルーチンにおける処理の流れを示すフローチャートである。図6は、脈波振幅の変動検出サブルーチンにおける処理の流れを示すフローチャートである。
脈拍数HR、血流量BF及び脈波振幅PWの変動は、脈拍数HRの変動を示す脈拍数変動フラグflHR、血流量BFの変動を示す血流量変動フラグflBF、及び脈波振幅PWの変動を示す脈波振幅変動フラグflPWを判定することで検出される。尚、脈拍数変動フラグflHR、血流量変動フラグflBF及び脈波振幅変動フラグflPWは、夫々変化なしを示す「0」、上昇を示す「1」、下降を示す「−1」、上昇後一定となった場合を示す「2」、下降後一定となった場合を示す「−2」の値を取り得る。また、上昇後一定となり(即ち、「2」の状態となり)そこからまた上昇する場合を「1(2)」、上昇後一定となり(即ち、「2」の状態となり)そこから下降する場合を「−1(2)」、下降後一定となり(即ち、「−2」の状態となり)そこから上昇する場合を「1(−2)」、下降後一定となり(即ち、「−2」の状態となり)そこから下降する場合を「−1(−2)」と表記するものとする。
図4において、脈拍数変動フラグflHRを判定する際には、先ず脈拍数変動フラグflHRの初期値fl0HRとして「0」が設定される。尚、脈拍数変動フラグflHRの判定サブルーチンが初回でない場合には、初期値fl0HRとして前回判定された脈拍数変動フラグflHRの値が設定される(ステップS21)。
続いて、脈拍数HRの過去の平均値HRpastと、現在値HRpreが決定される(ステップS22)。過去の平均値HRpastは、例えば過去5分平均値として算出される。但し、平均値に限らず、過去の最大値等の一点でもよい。現在値HRpreは、例えば直近1分の平均値として算出される。
過去の平均値HRpast及び現在値HRpreが決定されると、過去の平均値HRpast及び現在値HRpreが互いに比較される(ステップS23)。ここで、HRpast>HRpreである場合(即ち、脈拍数HRが減少している場合)、ステップS24の処理へと進む。HRpast=HRpreである場合(即ち、脈拍数HRが変化していない場合)、ステップS25の処理へと進む。HRpast<HRpreである場合(即ち、脈拍数HRが増加している場合)、ステップS26の処理へと進む。
HRpast>HRpreである場合(即ち、脈拍数HRが減少している場合)、初期値fl0HRが「2」ならば、脈拍数変動フラグflHRは「−1(2)」とされる。また、初期値fl0HRが「−2」ならば、脈拍数変動フラグflHRは「−1(−2)」とされる。それ以外の場合は、脈拍数変動フラグflHRは「−1」とされる(ステップS24)。
HRpast=HRpreである場合(即ち、脈拍数HRが変化していない場合)、初期値fl0HRが「1(2)」ならば、脈拍数変動フラグflHRは「2」とされる。初期値fl0HRが「1(−2)」ならば、脈拍数変動フラグflHRは「2」とされる。初期値fl0HRが「2」ならば、脈拍数変動フラグflHRは「2」とされる。初期値fl0HRが「1」ならば、脈拍数変動フラグflHRは「2」とされる。初期値fl0HRが「0」ならば、脈拍数変動フラグflHRは「0」とされる。初期値fl0HRが「−1」ならば、脈拍数変動フラグflHRは「−2」とされる。初期値fl0HRが「−2」ならば、脈拍数変動フラグflHRは「−2」とされる。初期値fl0HRが「−1(2)」ならば、脈拍数変動フラグflHRは「−2」とされる。初期値fl0HRが「−1(−2)」ならば、脈拍数変動フラグflHRは「−2」とされる(ステップS25)。
HRpast<HRpreである場合(即ち、脈拍数HRが増加している場合)、初期値fl0HRが「2」ならば、脈拍数変動フラグflHRは「1(2)」とされる。また、初期値fl0HRが「−2」ならば、脈拍数変動フラグflHRは「1(−2)」とされる。それ以外の場合は、脈拍数変動フラグflHRは「1」とされる(ステップS26)。
以上のように、脈拍数変動フラグflHRは、場合分けによって決定され出力される(ステップS27)。脈拍数変動フラグflHRが出力されると、サブルーチンは終了し、メインルーチン(即ち、図3で示す処理)へと戻る。
図5において、血流量変動フラグflBFを判定する際には、先ず血流量変動フラグflBFの初期値fl0BFとして「0」が設定される。尚、血流量変動フラグflBFの判定サブルーチンが初回でない場合には、初期値fl0BFとして前回判定された血流量変動フラグflBFの値が設定される(ステップS31)。
続いて、血流量BFの過去の平均値BFpastと、現在値BFpreが決定される(ステップS32)。過去の平均値BFpastは、例えば過去5分平均値として算出される。但し、平均値に限らず、過去の最大値等の一点でもよい。現在値BFpreは、例えば直近1分の平均値として算出される。
過去の平均値BFpast及び現在値BFpreが決定されると、過去の平均値BFpast及び現在値BFpreが互いに比較される(ステップS33)。ここで、BFpast>BFpreである場合(即ち、血流量BFが減少している場合)、ステップS34の処理へと進む。BFpast=BFpreである場合(即ち、血流量BFが変化していない場合)、ステップS35の処理へと進む。BFpast<BFpreである場合(即ち、血流量BFが増加している場合)、ステップS36の処理へと進む。
BFpast>BFpreである場合(即ち、血流量BFが減少している場合)、初期値fl0BFが「2」ならば、血流量変動フラグflBFは「−1(2)」とされる。また、初期値fl0BFが「−2」ならば、血流量変動フラグflBFは「−1(−2)」とされる。それ以外の場合は、血流量変動フラグflBFは「−1」とされる(ステップS34)。
BFpast=BFpreである場合(即ち、血流量BFが変化していない場合)、初期値fl0BFが「1(2)」ならば、血流量変動フラグflBFは「2」とされる。初期値fl0BFが「1(−2)」ならば、血流量変動フラグflBFは「2」とされる。初期値fl0BFが「2」ならば、血流量変動フラグflBFは「2」とされる。初期値fl0BFが「1」ならば、血流量変動フラグflBFは「2」とされる。初期値fl0BFが「0」ならば、血流量変動フラグflBFは「0」とされる。初期値fl0BFが「−1」ならば、血流量変動フラグflBFは「−2」とされる。初期値fl0BFが「−2」ならば、血流量変動フラグflBFは「−2」とされる。初期値fl0BFが「−1(2)」ならば、血流量変動フラグflBFは「−2」とされる。初期値fl0BFが「−1(−2)」ならば、血流量変動フラグflBFは「−2」とされる(ステップS35)。
BFpast<BFpreである場合(即ち、血流量BFが増加している場合)、初期値fl0BFが「2」ならば、血流量変動フラグflBFは「1(2)」とされる。また、初期値fl0BFが「−2」ならば、血流量変動フラグflBFは「1(−2)」とされる。それ以外の場合は、血流量変動フラグflBFは「1」とされる(ステップS36)。
以上のように、血流量変動フラグflBFは、場合分けによって決定され出力される(ステップS37)。血流量変動フラグflBFが出力されると、サブルーチンは終了し、メインルーチン(即ち、図3で示す処理)へと戻る。
図6において、脈波振幅変動フラグflPWを判定する際には、先ず脈波振幅変動フラグflPWの初期値fl0PWとして「0」が設定される。尚、脈波振幅変動フラグflPWの判定サブルーチンが初回でない場合には、初期値fl0PWとして前回判定された脈波振幅変動フラグflPWの値が設定される(ステップS41)。
続いて、脈波振幅PWの過去の平均値PWpastと、現在値PWpreが決定される(ステップS42)。過去の平均値PWpastは、例えば過去5分平均値として算出される。但し、平均値に限らず、過去の最大値等の一点でもよい。現在値PWpreは、例えば直近1分の平均値として算出される。
過去の平均値PWpast及び現在値PWpreが決定されると、過去の平均値PWpast及び現在値PWpreが互いに比較される(ステップS43)。ここで、PWpast>PWpreである場合(即ち、脈波振幅PWが減少している場合)、ステップS44の処理へと進む。PWpast=PWpreである場合(即ち、脈波振幅PWが変化していない場合)、ステップS45の処理へと進む。PWpast<PWpreである場合(即ち、脈波振幅PWが増加している場合)、ステップS46の処理へと進む。
PWpast>PWpreである場合(即ち、脈波振幅PWが減少している場合)、初期値fl0PWが「2」ならば、脈波振幅変動フラグflPWは「−1(2)」とされる。また、初期値fl0PWが「−2」ならば、脈波振幅変動フラグflPWは「−1(−2)」とされる。それ以外の場合は、脈波振幅変動フラグflPWは「−1」とされる(ステップS44)。
PWpast=PWpreである場合(即ち、脈波振幅PWが変化していない場合)、初期値fl0PWが「1(2)」ならば、脈波振幅変動フラグflPWは「2」とされる。初期値fl0PWが「1(−2)」ならば、脈波振幅変動フラグflPWは「2」とされる。初期値fl0PWが「2」ならば、脈波振幅変動フラグflPWは「2」とされる。初期値fl0PWが「1」ならば、脈波振幅変動フラグflPWは「2」とされる。初期値fl0PWが「0」ならば、脈波振幅変動フラグflPWは「0」とされる。初期値fl0PWが「−1」ならば、脈波振幅変動フラグflPWは「−2」とされる。初期値fl0PWが「−2」ならば、脈波振幅変動フラグflPWは「−2」とされる。初期値fl0PWが「−1(2)」ならば、脈波振幅変動フラグflPWは「−2」とされる。初期値fl0PWが「−1(−2)」ならば、脈波振幅変動フラグflPWは「−2」とされる(ステップS45)。
PWpast<PWpreである場合(即ち、脈波振幅PWが増加している場合)、初期値fl0PWが「2」ならば、脈波振幅変動フラグflPWは「1(2)」とされる。また、初期値fl0PWが「−2」ならば、脈波振幅変動フラグflPWは「1(−2)」とされる。それ以外の場合は、脈波振幅変動フラグflPWは「1」とされる(ステップS46)。
以上のように、脈波振幅変動フラグflPWは、場合分けによって決定され出力される(ステップS47)。脈波振幅変動フラグflPWが出力されると、サブルーチンは終了し、メインルーチン(即ち、図3で示す処理)へと戻る。
図3に戻り、上述したサブルーチンによって、脈拍数変動フラグflHR、血流量変動フラグflBF及び脈波振幅変動フラグflPWが出力されると、脈拍数変動フラグflHR、血流量変動フラグflBF及び脈波振幅変動フラグflPWの値が、予め設定された変動パターンテーブルと比較される。
以下では、変動パターンテーブルについて、図7から図10を参照して具体的に説明する。ここに図7は、脈拍数に関する変動パターンテーブルの一例を概念的に示す概念図である。図8は、血流量に関する変動パターンテーブルの一例を概念的に示す概念図である。図9は、脈拍数及び血流量の組み合わせに関する変動パターンテーブルの一例を概念的に示す概念図である。図10は、脈拍数、血流量及び脈波振幅に関する変動パターンテーブルの一例を概念的に示す概念図である。図11は、リスクレベルハイ判定処理の流れを示すフローチャートである。
図7及び図8において、脈拍数変動フラグflHR、血流量変動フラグflBF及び脈波振幅変動フラグflPWの値は、3つ全てを用いずとも、脈拍数変動フラグflHR及び血流量変動フラグflBFの少なくとも一方を用いるだけでも、相応の精度で血圧低下のリスクを予測することができる。
図7に示す脈拍数HRに関する変動パターンテーブルでは、脈拍数変動フラグflHRが「0」である場合の血圧低下リスクレベルとして、血圧低下のリスクがほとんど無い或いは極低いことを示す「LV0」が格納されている。脈拍数変動フラグflHRが「1」である場合の血圧低下リスクレベルとして、「LV0」よりも血圧低下が発生するリスクが高いことを示す「LV1」が格納されている。脈拍数変動フラグflHRが「2」である場合の血圧低下リスクレベルとして、「LV1」よりも血圧低下が発生するリスクが高いことを示す「LV2」が格納されている。脈拍数変動フラグflHRが「−1(−2)」である場合の血圧低下リスクレベルとして、「LV2」よりも血圧低下が発生するリスクが高いことを示す「LV3」が格納されている。
図8に示す血流量BFに関する変動パターンテーブルでは、血流量変動フラグflBFが「0」である場合の血圧低下リスクレベルとして、血圧低下のリスクがほとんど無い或いは極低いことを示す「LV0」が格納されている。血流量変動フラグflBFが「−1」である場合の血圧低下リスクレベルとして、「LV0」よりも血圧低下が発生するリスクが高いことを示す「LV1」が格納されている。血流量変動フラグflBFが「−2」である場合の血圧低下リスクレベルとして、「LV1」よりも血圧低下が発生するリスクが高いことを示す「LV2」が格納されている。血流量変動フラグflBFが「−1(−2)」である場合の血圧低下リスクレベルとして、「LV2」よりも血圧低下が発生するリスクが高いことを示す「LV3」が格納されている。
図9において、脈拍数変動フラグflHR及び血流量変動フラグflBFの少なくとも一方を用いる場合よりも、脈拍数変動フラグflHR及び血流量変動フラグflBFの両方を用いる場合の方が精度よく血圧低下のリスクを予測することができる。
図9に示す脈拍数及び血流量の組み合わせに関する変動パターンテーブルでは、脈拍数変動フラグflHRが「0」であり、血流量変動フラグflBFが「0」である場合の血圧低下リスクレベルとして、血圧低下のリスクがほとんど無い或いは極低いことを示す「LV0」が格納されている。脈拍数変動フラグflHRが「1」であり、血流量変動フラグflBFが「0」である場合の血圧低下リスクレベルとして、「LV0」よりも血圧低下が発生するリスクが高いことを示す「LV1」が格納されている。脈拍数変動フラグflHRが「0」であり、血流量変動フラグflBFが「−1」である場合の血圧低下リスクレベルとして、「LV0」よりも血圧低下が発生するリスクが高いことを示す「LV1」が格納されている。脈拍数変動フラグflHRが「1」であり、血流量変動フラグflBFが「−1」である場合の血圧低下リスクレベルとして、「LV1」よりも血圧低下が発生するリスクが高いことを示す「LV2」が格納されている。脈拍数変動フラグflHRが「2」であり、血流量変動フラグflBFが「−1」である場合の血圧低下リスクレベルとして、「LV2」よりも血圧低下が発生するリスクが高いことを示す「LV3」が格納されている。脈拍数変動フラグflHRが「1」であり、血流量変動フラグflBFが「−2」である場合の血圧低下リスクレベルとして、「LV2」よりも血圧低下が発生するリスクが高いことを示す「LV3」が格納されている。脈拍数変動フラグflHRが「2」であり、血流量変動フラグflBFが「−2」である場合の血圧低下リスクレベルとして、「LV3」よりも血圧低下が発生するリスクが高いことを示す「LV4」が格納されている。脈拍数変動フラグflHRが「−1(2)」であり、血流量変動フラグflBFが「−2」である場合の血圧低下リスクレベルとして、「LV4」よりも血圧低下が発生するリスクが高いことを示す「LV5」が格納されている。脈拍数変動フラグflHRが「2」であり、血流量変動フラグflBFが「−1(−2)」である場合の血圧低下リスクレベルとして、「LV4」よりも血圧低下が発生するリスクが高いことを示す「LV5」が格納されている。脈拍数変動フラグflHRが「−1(2)」であり、血流量変動フラグflBFが「−1(−2)」である場合の血圧低下リスクレベルとして、「LV5」よりも血圧低下が発生するリスクが高いことを示す「LV6」が格納されている。
図10において、脈拍数変動フラグflHR、血流量変動フラグflBF及び脈波振幅変動フラグflPWの値は、3つ全てを用いることで、血圧低下のリスクを極めて高い精度で予測することができる。
図10に示す脈拍数、血流量及び脈波振幅に関する変動パターンテーブルでは、脈拍数変動フラグflHRが「0」であり、脈波振幅変動フラグflPWが「0」であり、血流量変動フラグflBFが「0」である場合の血圧低下リスクレベルとして、血圧低下のリスクがほとんど無い或いは極低いことを示す「LV0」が格納されている。脈拍数変動フラグflHRが「0」であり、脈波振幅変動フラグflPWが「−1」であり、血流量変動フラグflBFが「0」である場合の血圧低下リスクレベルとして、「LV0」よりも血圧低下が発生するリスクが高いことを示す「LV1」が格納されている。脈拍数変動フラグflHRが「1」であり、脈波振幅変動フラグflPWが「−1」であり、血流量変動フラグflBFが「0」である場合の血圧低下リスクレベルとして、「LV1」よりも血圧低下が発生するリスクが高いことを示す「LV2」が格納されている。脈拍数変動フラグflHRが「0」であり、脈波振幅変動フラグflPWが「−1」であり、血流量変動フラグflBFが「−1」である場合の血圧低下リスクレベルとして、「LV1」よりも血圧低下が発生するリスクが高いことを示す「LV2」が格納されている。脈拍数変動フラグflHRが「1」であり、脈波振幅変動フラグflPWが「−1」であり、血流量変動フラグflBFが「−1」である場合の血圧低下リスクレベルとして、「LV2」よりも血圧低下が発生するリスクが高いことを示す「LV3」が格納されている。脈拍数変動フラグflHRが「2」であり、脈波振幅変動フラグflPWが「−1」であり、血流量変動フラグflBFが「−1」である場合の血圧低下リスクレベルとして、「LV3」よりも血圧低下が発生するリスクが高いことを示す「LV4」が格納されている。脈拍数変動フラグflHRが「1」であり、脈波振幅変動フラグflPWが「−1」であり、血流量変動フラグflBFが「−2」である場合の血圧低下リスクレベルとして、「LV3」よりも血圧低下が発生するリスクが高いことを示す「LV4」が格納されている。脈拍数変動フラグflHRが「2」であり、脈波振幅変動フラグflPWが「−1」であり、血流量変動フラグflBFが「−2」である場合の血圧低下リスクレベルとして、「LV4」よりも血圧低下が発生するリスクが高いことを示す「LV5」が格納されている。脈拍数変動フラグflHRが「−1(2)」であり、脈波振幅変動フラグflPWが「−1」であり、血流量変動フラグflBFが「−2」である場合の血圧低下リスクレベルとして、「LV5」よりも血圧低下が発生するリスクが高いことを示す「LV6」が格納されている。脈拍数変動フラグflHRが「2」であり、脈波振幅変動フラグflPWが「−1」であり、血流量変動フラグflBFが「−1(−2)」である場合の血圧低下リスクレベルとして、「LV5」よりも血圧低下が発生するリスクが高いことを示す「LV6」が格納されている。脈拍数変動フラグflHRが「−1(2)」であり、脈波振幅変動フラグflPWが「−1」であり、血流量変動フラグflBFが「−1(−2)」である場合の血圧低下リスクレベルとして、「LV6」よりも血圧低下が発生するリスクが高いことを示す「LV7」が格納されている。
このような変動パターンテーブルは、脈拍数HR、血流量BF及び脈波振幅PWの各々の変動の組み合わせが生じた場合における血圧低下が発生するリスクを予め実験的・経験的に或いはシミュレーションにより推定することで、予め作成することができる。
図3に戻り、リスクレベル決定部150は、変動パターンテーブルの参照結果を用いて血圧低下リスクレベルを決定する(ステップS150)。決定された血圧低下リスクレベルは、出力部170によって、モニタ500へと表示される(ステップS160)。これにより、患者である生体900や、医師或いは看護師などの関係者に血圧低下のリスクを知らせることができる。この結果、血圧低下のリスクがある生体900に対して早期に処置を行うことが可能となる。
本実施例では更に、血圧低下リスクレベルの決定後に、短期的な脈拍数HR、血流量BFの変動を用いて、リスクレベルが極めて高いリスクレベルハイ状態であるか否かが判定される(ステップS170)。
以下では、リスクレベルハイの判定処理について、図11を参照して詳細に説明する。ここに図11は、リスクレベルハイ判定処理の流れを示すフローチャートである。
図11において、リスクレベルハイ判定処理では、先ず脈拍数HR、血流量BFの短期的な変化量が算出される(ステップS51)。ここでの変化量は、例えば直前の適当な時間間隔における過去平均値と現在値との比として算出される。この場合、過去平均値は、例えば過去10秒の平均値として算出されるものを用いればよい。また、現在値は、例えば直近の1秒の平均値として算出されるものを用いればよい。
続いて、リスクレベル決定部150によって決定された血圧低下リスクレベルに応じて、上述した短期的な脈拍数HR、血流量BFの変化量に対する閾値が決定される(ステップS52)。閾値は、典型的には、血圧低下リスクレベルが高いほど、低い値として決定される。即ち、血圧低下リスクレベルが高いほど、閾値を超えやすくなるように設定される。より具体的には、例えば「LV0」に対応する閾値は「40%」、「LV1」に対応する閾値は「35%」、「LV2」に対応する閾値は「30%」、「LV3」に対応する閾値は「25%」、「LV4」に対応する閾値は「20%」、「LV5」に対応する閾値は「15%」、「LV6」に対応する閾値は「10%」、「LV7」に対応する閾値は「5%」とされる。
閾値が決定されると、脈拍数HR及び血流量BFの変化量の少なくとも一方が閾値を超えたが否かが判定される(ステップS53)。ここで、脈拍数HR及び血流量BFの変化量の少なくとも一方が閾値を超えない場合(言い換えれば、脈拍数HR及び血流量BFの両方の変化量が閾値を超えない場合)(ステップS53:NO)、リスクレベルハイ状態ではないと判定される(ステップS54)。即ち、急激に血圧低下のリスクが高まっている状態にはないと判定される。
一方、脈拍数HR及び血流量BFの変化量の少なくとも一方が閾値を超えた場合(ステップS53:YES)、脈拍数HR及び血流量BFの変化量の両方が閾値を超えたか否かが判定される(ステップS54)。ここで、脈拍数HR及び血流量BFの変化量の両方が閾値を超えない場合(言い換えれば、脈拍数HR及び血流量BFのいずれか一方の変化量しか閾値を超えない場合)(ステップS54:NO)、リスクレベルハイA状態であると判定される(ステップS56)。一方で、脈拍数HR及び血流量BFの変化量の両方が閾値を超えた場合(ステップS55:YES)、リスクレベルハイB状態であると判定される(ステップS57)。
ここで特に、リスクレベルハイB状態は、リスクレベルハイA状態より、血圧低下が発生するリスクが高いものとして設定されている。よって、リスクレベルハイA状態及びリスクレベルハイB状態のいずれであるかを判定可能であることにより、リスクレベルハイ状態であっても、比較的リスクが低いのか或いは高いのかを正確に判定できる。
図3に戻り、リスクレベルハイ状態が判定されると、リスクレベルハイの判定結果がリスクレベルハイ判定部160から出力される(ステップS180)。このリスクレベルハイの判定結果、或いはリスクレベル決定部150によって決定された血圧低下リスクレベルに応じて、制御部180は、透析装置600の動作を制御する(ステップS190)。
制御部180は、例えば透析装置600における除水のスピードやオン/オフ、生理食塩水の投与量等を、患者である生体900の血圧が低下し難くなるように制御する。よって、患者である生体900の血圧低下を効果的に低減させることができる。
尚、制御部180は、透析装置600を制御するだけでなく、透析装置600から得られる各種情報に応じて、血圧低下予測装置100の動作を制御してもよい。例えば、透析装置600から得られる情報を反映してリスクレベル及びリスクレベルハイ状態を出力することも可能である。より具体的には、リスクレベルを決定するためのパラメータである脈拍数及び血流値を算出するための信号を受け取っているが、実際に透析を行っていない場合には、透析装置600から透析を行っていないという情報を受け取った上で、リスクレベル及びリスクレベルハイ状態を出力しないといった制御も可能となる。このようにすれば、装置の動作をより効率的なものとすることができる。
また、血圧低下予測装置100は、リスクレベル決定部150によって決定された血圧低下リスクレベルに応じて、血圧計などの外部機器に信号を送って前記血圧計などの外部機器を自動的に動作させるようにしてもよい。
また、血圧低下予測装置100は、脈拍数算出部110によって算出された脈拍数、血流量算出部120によって算出された血流量、脈波振幅算出部130によって算出された脈波振幅の各々の変動を同時に示すグラフを表示するように構成されてもよい。この場合には、患者である生体900や、医師或いは看護師などの関係者が、血圧低下が発生するリスクを直感的に把握することも可能になり、実践上大変便利である。
また、血圧低下予測装置100は、必ずしもリスクレベル決定テーブルを使用しなくともよい。
また、リスクレベル決定部150は、血流量と脈波振幅との間の相関値を算出し、この算出した相関値に基づいて、血圧低下リスクレベルを決定するように構成されてもよい。例えば、リスクレベル決定部150は、血流量と脈波振幅とが相関をもって減少する場合(即ち、血流量と脈波振幅との間の相関値が所定値よりも大きく、且つ、血流量及び脈波振幅が減少する場合)には、血圧低下リスクレベルを相対的に高いレベルに決定してもよい。この場合には、血圧低下リスクレベルをより適切に決定することが可能となる。
また、リスクレベル決定部150は、脈拍数、血流量及び脈波振幅の各々の平均の偏差の値に基づいて、血圧低下リスクレベルを決定するように構成されてもよい。この場合には、血圧低下リスクレベルをより適切に決定することが可能となる。
また、血圧低下予測装置100は、脈拍数、血流量及び脈波振幅に加えて、血流波形から得られる血圧低下に関する他の情報に基づいて、血圧低下リスクレベルを決定するように構成されてもよい。この場合には、血圧低下リスクレベルをより適切に決定することが可能となる。この際、血圧低下予測装置100は、人工透析を過去に受けた患者の血圧低下に関する情報に基づいて、血圧低下リスクレベルを決定してもよい。
また、血圧低下予測装置100は、リスクレベル決定部150によって決定された血圧低下リスクレベルに応じて、生体900の血圧の血圧計による計測を、患者である生体900や、医師或いは看護師などの関係者に促すように構成されてもよい。或いは、血圧低下予測装置100は、リスクレベル決定部150によって決定された血圧低下リスクレベルに応じて、生体900の血圧を血圧計により計測するように構成されてもよい。
以上説明したように、本実施例に係る血圧低下予測装置100によれば、生体900にほとんど負担をかけることなく、生体900の血圧低下を早期に予測でき、血圧低下が発生するリスクを示す血圧低下リスクレベルを適切に決定できる。更に、患者である生体900や、医師或いは看護師などの関係者に血圧低下のリスクを知らせることができる。この結果、血圧低下のリスクがある生体900に対して早期に処置を行うことが可能となる。
本発明は、前述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う血圧低下予測装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。また、本発明は、生体の脱水症状を予測する装置にも適用可能である。即ち、例えば、血圧低下リスクレベルに応じて脱水症状のレベルを決定することも可能である。