[第1実施形態]
図1に示すように、電子内視鏡システム11は、電子内視鏡12、プロセッサ装置13、及び光源装置14を備える。電子内視鏡12は、被検者の体内に挿入される可撓性の挿入部16と、挿入部16の基端部分に連接された操作部17と、プロセッサ装置13及び光源装置14に接続されるコネクタ18と、操作部17‐コネクタ18間を繋ぐユニバーサルコード19とを有する。挿入部16の先端(以下、先端部という)20には、体腔内の生体組織(以下、被検体内という)を撮影するためのCCD型イメージセンサ(図2参照。以下、CCDという)21が設けられている。
操作部17には、先端部20を上下左右に湾曲させるためのアングルノブや挿入部16の先端からエアーや水を噴出させるための送気/送水ボタン、観察画像を静止画像記録するためのレリーズボタン、モニタ22に表示された観察画像の拡大/縮小を指示するズームボタン、通常光観察と特殊光観察の切り替えを行う切り替えボタンといった操作部材が設けられている。
プロセッサ装置13は、光源装置14と電気的に接続され、電子内視鏡システム11の動作を統括的に制御する。プロセッサ装置13は、ユニバーサルコード19や挿入部16内に挿通された伝送ケーブルを介して電子内視鏡12に給電を行い、CCD21の駆動を制御する。また、プロセッサ装置13は、伝送ケーブルを介してCCD21から出力された撮像信号を取得し、各種画像処理を施して画像データを生成する。プロセッサ装置13で生成された画像データは、プロセッサ装置13にケーブル接続されたモニタ22に観察画像として表示される。
図2に示すように、先端部20には、対物光学系31、CCD21、投光ユニット41等が設けられている。また、タイミングジェネレータ(以下、TGという)32、アナログ信号処理回路(以下、AFEという)33、CPU34は、操作部17やコネクタ18等に設けられている。
対物光学系31は、レンズやプリズム等からなり、観察窓36を介して入射する被検体内からの光をCCD21に結像させる。
CCD21は、対物光学系31によって撮像面に結像された被検体内の像を画素毎に光電変換し、入射光量に応じた信号電荷を蓄積する。CCD21は、各画素で蓄積した信号電荷を撮像信号として出力する。また、CCD21は、各画素に複数の色セグメントからなるカラーフィルタが形成されている。CCD21のカラーフィルタは、例えばベイヤー配列の原色(RGB)のカラーフィルタである。
TG32は、CCD21にクロック信号を入力する。CCD21は、TG32から入力されるクロック信号に基づいて、信号電荷を蓄積する蓄積動作や信号電荷の読み出しを行う読み出し動作を所定のタイミングで行う。TG32から出力されるクロック信号はCPU34によって制御される。
AFE33は、相関二重サンプリング(CDS)回路、自動ゲイン調節(AGC)回路、A/D変換回路からなり、CCD21からアナログの撮像信号をノイズを除去しながら取得し、ゲイン補正処理を施した後にデジタル信号に変換してDSP52に入力する。CDS回路は、相関二重サンプリング処理により、CCD21が駆動することによって生じるノイズを除去しながら撮像信号を取得する。AGC回路は、CDS回路から入力される撮像信号を増幅する。A/D変換回路は、AGC回路から入力される撮像信号を所定のビット数のデジタルな撮像信号に変換し、DSP52に入力する。AFE33の駆動は、CPU34によって制御される。例えば、CPU34は、プロセッサ装置13のCPU51から入力される信号に基づいてAGC回路による撮像信号の増幅率(ゲイン)を調節する。
投光ユニット41は、被検体内に照明光を照射するユニットである。通常光及び特殊光は、照明光として、どちらも投光ユニット41から照射される。なお、後述するように投光ユニット41は、通常光と特殊光を同時に被検体内に照射する。
投光ユニット41は蛍光体43を備えるとともに、光ファイバからなるライトガイド42によって光源装置14から青色レーザー光や青紫色レーザー光が導光される。蛍光体43は、青色レーザー光や青紫色レーザー光の一部を吸収して緑色〜黄色に励起発光する蛍光体であり、例えばYAG系蛍光体、BAM(BaMgAl10O17)系蛍光体等からなる。投光ユニット41に導光された青色レーザー光や青紫色レーザー光は、蛍光体43に一部吸収されることにより、蛍光体43から緑色〜黄色の蛍光を発光させるとともに、一部は蛍光体43を透過する。したがって、投光ユニット41は、蛍光体43が発する緑色〜黄色の蛍光と、蛍光体43を透過した青色光及び青紫色光とが合わさった擬似白色光(通常光)を照明光として被検体内に照射する。同時に、蛍光体43を透過した青色光,青紫色光は、後述するように各々特殊光としても作用する。
なお、蛍光体43が励起発光効率は、青色レーザー光と青紫色レーザー光で異なり、同じ入射光量であれば青色レーザー光は青紫色レーザー光よりも多くの蛍光を発生させる。また、蛍光体43を透過する青色レーザー光は、蛍光体43によって拡散されるため、投光ユニット41から照射される通常光は電子内視鏡12の視野内で均一である。
プロセッサ装置13は、CPU51、デジタル信号処理回路(DSP)52、デジタル画像処理回路(DIP)53、表示制御回路54、操作部56等を有する。
CPU51は、図示しないデータバスやアドレスバス、制御線を介して各部と接続されており、プロセッサ装置13の全体を統括的に制御する。ROM57にはプロセッサ装置13の動作を制御するための各種プログラム(OS,アプリケーションプログラム等)やグラフィックデータ等の各種データが記憶されている。CPU51は、ROM57から必要なプログラムやデータを読み出して、作業メモリであるRAM58に展開し、読み出したプログラムを逐次処理する。また、CPU51は、検査日時、被検体や術者の情報等の文字情報といった検査毎に変わる情報を、操作部56やLAN等のネットワークより取得し、RAM58に記憶する。
DSP52は、AFE33を介してCCD21から入力される撮像信号に対して色分離、色補間、ゲイン補正、ホワイトバランス調節、ガンマ補正等の各種信号処理を施して画像データを生成する。
通常光観察を行う場合、DSP52は、画像データとして、CCD21の青色画素から出力される青色撮像信号(以下、B信号という)が青色画素(以下、B画素という)に、緑色画素から出力される緑色撮像信号(以下、G信号という)が緑色画素(以下、G画素という)に、赤色画素から出力される赤色撮像信号(以下、R信号という)が赤色画素(以下、R画素という)に各々割り当てられた通常光画像データを生成する。一方、特殊光観察を行う場合、DSP52は、画像データとして、B信号をB画素及びG画素に、G信号をR画素に各々割り当てた特殊光画像データを生成する。この場合、後述する抑制表示処理部60が機能している場合を除いて、R信号は破棄される。
さらに、DSP52は、中深層血管抑制画像データを生成する抑制表示処理部60を備える。中深層血管抑制画像データは、特殊光観察時に生成され、B信号をB画素及びG画素に割り当て、G信号にR信号を加えた信号値をR画素に割り当てた画像データである。R画素の画素値としてG信号に加算されるR信号の加算率は、設定により定められる。具体的には、どの程度中深層血管の表示を抑制するかを示す抑制度が、画像処理用のパラメータとして予め設定され、設定された抑制度が大きいほど加算するR信号が多くなり、抑制度が小さいほど加算されるR信号が少なくなる。また、抑制表示処理部60は、設定により、中深層血管の表示を抑制することが選択された場合に機能する。
DSP52で生成された画像データは、DIP53の作業メモリに入力される。また、DSP52は、例えば生成した画像データの各画素の輝度を平均した平均輝度値等、照明光量の自動制御(ALC制御)に必要なALC制御用データを生成し、CPU51に入力する。
DIP53は、DSP52で生成された画像データに対して、電子変倍や強調処理等の各種画像処理を施す回路である。DIP53で各種画像処理が施された画像データは、観察画像としてVRAM59に一時的に記憶された後、表示制御回路54に入力される。
DIP53で施される各種画像処理のうち強調処理は、具体的には周波数強調処理であり、設定により必要に応じて施される。DIP53は、表層血管を強調する場合、中深層血管を強調する場合等、強調する対象の組織性状に応じて、予め定められた周波数帯の像の画素値を増大させることにより、強調対象の像のコントラストを向上させる。表層血管用に予め定められた周波数帯の像のコントラストを向上させることにより、表層血管が強調される。同様に、中有深層血管用に予め定められた周波数帯のコントラストを向上させることにより、中深層血管が強調される。但し、撮影距離(先端部20から被検体内粘膜までの距離)が遠い場合には、中深層血管も細く写し出されるので表層血管強調用の周波数強調処理を施しても中深層血管が強調されることがあり、撮影距離が近い場合には、表層血管であっても太く写し出されるので中深層血管強調用の周波数強調処理を施しても表層血管が強調されることがある。
表示制御回路54は、VRAM59から観察画像を取得するとともに、CPU51からROM57及びRAM58に記憶されたグラフィックデータ等を受け取る。グラフィックデータ等には、観察画像のうち被写体が写された有効画素領域のみを表示させる表示マスク、被検体及び術者の氏名等の情報や検査日時等の文字情報、GUIといったものがある。表示制御回路54は、観察画像に対してグラフィックデータ等の重畳処理を行うとともに、モニタ22の表示形式に応じたビデオ信号(コンポーネント信号、コンポジット信号等)に変換してモニタ22に出力する。これにより、モニタ22に観察画像が表示される。
操作部56は、プロセッサ装置13の筐体に設けられる操作パネル、マウスやキーボード等の周知の入力デバイスである。CPU51は、操作部56や電子内視鏡12の操作部17から入力される操作信号に応じて電子内視鏡システム11の各部を動作させる。
プロセッサ装置13には、上記の他にも、画像データに所定の圧縮形式(例えばJPEG形式)で画像圧縮処理を施す圧縮処理回路や、レリーズボタンの操作に連動して圧縮された画像をリムーバブルメディアに記録するメディアI/F、LAN等のネットワークとの間で各種データの伝送を行うネットワークI/F等が設けられている。これらは、データバス等を介してCPU51と接続されている。
光源装置14は、光源として青色LD66と青紫色LD67の2つのレーザーダイオードを有する。
青色LD66は、中心波長445nmの青色レーザー光を発光する。青色LD66が発する青色レーザー光は、コネクタ18やライトガイド42を介して投光ユニット41に導光され、蛍光体43に入射することによって擬似白色の通常光となって被検体内に照射される。また、青色レーザー光は、蛍光体43を透過するときに拡散され、青色光となって被検体内に照射される。この青色光は、蛍光体43が励起発光する蛍光よりも強く、表層血管に血液に良く吸収される特殊光としても作用する。
青紫色LD67は、中心波長405nmの青紫色レーザー光を発光する。青紫色LD67が発する青紫レーザー光は、カプラ69によって青色レーザー光と合波され、青色レーザー光と同様にコネクタ18やライトガイド42を通じて投光ユニット41に導光される。青紫色レーザー光は、蛍光体43に入射することによって擬似白色の通常光となって被検体内に照射されるが、その光量は青色レーザー光によるものよりも概ね小さい。また、青紫色レーザー光が蛍光体43によって拡散して透過する青紫色光は、青色光と同様に、特殊光として作用する。
青色LD66及び青紫色LD67の発光タイミングや発光量は、CPU68によって制御される。例えば、CPU68は、通常光観察を行う場合には青色LD66のみを点灯させ、特殊光観察を行う場合には青色LD66及び青紫色LD67をともに点灯させる。また、CPU68は、プロセッサ装置13のCPU51から入力されるALC制御用データに基づいて、観察に適切な光量となるように、青色LD66及び青紫色LD67の発光量をリアルタイムに自動制御する。
上述のように構成される電子内視鏡システム11は、観察の態様が通常光観察であるか、特殊光観察であるかに関わらず、青色LD66及び青紫色LD67をともに点灯させることにより、投光ユニット41から白色光と特殊光(青色光及び青紫色光)とを同時に、照明光として被検体内に照射する。但し、青色LD66及び青紫LD67の発光量や、これらのLD66,67の光量比は、通常光観察か特殊光観察か、あるいは、特殊光観察時に表層血管を強調するのか、中深層血管を強調するのか等によって調節される。
通常光観察時には、電子内視鏡システム11は、CCD21が出力するB信号をB画素に、G信号をG画素に、R信号をR画素にそれぞれ使用して、通常光画像データを生成する。通常光画像データは、DIP53によって設定に応じた各種画像処理が施された後に、表示制御回路54によってグラフィックデータ等が重畳され、モニタ22に表示される。
一方、図3に示すように、電子内視鏡システム11は、特殊光観察時には、CCD21が出力するB信号をB画素及びG画素に、G信号をR画素に使用して、特殊光画像データを生成する。このように、B信号をB画素及びG画素に使用し、G信号をR画素に使用して生成した特殊光画像データは、通常光画像データよりも血管が強調された画像データとなる。これは、血液に含まれるヘモグロビンは青色光や緑色光の波長帯に光吸収のピークがあるために、これに対応するB信号やG信号では血管のコントラストが向上するからである。特殊光画像データは、DIP53によって設定に応じた各種画像処理が施された後に、表示制御回路54でグラフィックデータ等が重畳され、モニタ22に表示される。
図4に示すように、特殊光画像データ71は、例えば、表層血管72が強調して写し出された画像データとなる。一方、特殊光画像データ71には、中深層血管73も写し出されている。このため、表層血管72が強調されてはいるが、中深層血管73の像が重畳して写し出されていることにより、表層血管72の観察の妨げになることがある。また、特殊光画像データ71に対して、DIP53で周波集強調処理を施すと、撮影距離によっては中深層血管73が強調される結果となり、さらに表層血管72の観察の妨げになってしまうことがある。
こうした場合に、電子内視鏡システム11では、操作部56等を操作して、中深層血管73の表示を抑制する設定を行うことにより、中深層血管73の像の表示を抑制することができる。具体的には、操作部56等を操作して、中深層血管73の抑制表示の設定をオンにする。同時に、中深層血管73の表示をどの程度抑制するかを示す抑制度を画像処理のパラメータとして設定する。抑制度は、例えば1−100等の数値で設定され、抑制度が大きいほど中深層血管73の像の表示が抑制され、抑制度が小さいほど中深層血管73が撮影された像に近い状態で残る。
中深層血管73の抑制表示の設定をオンにすると、DSP52でCCD21から入力された撮像信号からDSP52で特殊光画像データ71を生成するときに、抑制表示処理部60が機能する。この場合、図5に示すように、DSP52は抑制表示処理部60によって、CCD21が出力するB信号をB画素及びG画素に使用するとともに、G信号にR信号を加算した信号値をR画素の画素値に使用して、中深層血管抑制画像データを生成する。
中深層血管73は、表層血管72よりも粘膜下の深い位置にあるので、主として深達度が大きい緑色光を吸収する。このため、中深層血管73は、G信号のコントラストとして写し出される。一方、表層血管72は、中深層血管73よりも浅い位置にあり、深達度が小さい青色光を吸収しやすいので、主としてB信号のコントラストとして写し出される。また、赤色の波長帯はヘモグロビンによる吸収が少ないので、R信号における表層血管72及び中深層血管73のコントラストはどちらも小さい。
したがって、中深層血管抑制画像データでは、中深層血管73のコントラストが高いG信号に、中深層血管73のコントラストが低いR信号が加算されることにより、相対的にG信号の成分が減少した信号値がR画素の画素値として利用されることになる。これにより、図6に示すように、中深層血管抑制画像データ74は、中深層血管73の像のコントラストは低下した画像データとなる。一方、表層血管72は、主としてB信号に反映されるので、B画素及びG画素による像のコントラストとして現れるので、表層血管72は中深層血管抑制画像データにおいても、特殊光画像データと同様に強調された像として表示される。こうしたことから、中深層血管抑制画像データ74では、表層血管72の視認性が向上する。
なお、抑制表示処理部60は、設定された抑制度に応じて、R信号を加算率を調節する。例えば、抑制度が大きいほど、G信号にR信号を多く加算する。G信号に対してR信号を多く加算されるほど、G信号に現れる中深層血管73の像のコントラストは低下する。これにより、設定された抑制度に応じた視認性で中深層血管73が表示される。
また、中深層血管抑制画像データ74は、特殊光画像データ71と同様にDIP53で各種画像処理が施された後に、表示制御回路54でグラフィックデータ等が重畳され、モニタ22に表示される。前述のように、DSP52で生成した画像データにDIP53で周波数強調処理を施す場合、撮影距離によって観察対象外の組織(ここでは中深層血管73)が強調されてしまうことがあるが、中深層血管抑制画像データ74は、中深層血管73のコントラストが抑制度に応じて低減されているので、周波数強調処理によって中深層血管73が強調されてしまったとしても、その影響は特殊光画像データ71の場合よりも少ない。
なお、上述の第1実施形態では、G信号にR信号を加算するので、中深層血管抑制画像データ74の色調が特殊光画像データ71に対して変化してしまう。
例えば、図7(A)に示すように、所定条件の照明光のもとで撮影したときに、CCD21の各色の信号値が、B信号:G信号:R信号=300:300:150であるとする。また、DSP52は、これらの各色の画像信号から観察に違和感のないように色調を調節して特殊光画像データ71を生成するが、ここでは簡単のために、BG(R)各色の信号がそのままの割合で特殊光画像データ71の各画素値に利用されるものとする。すると、特殊光画像データ71は、B画素、G画素、R画素の画素値が300で全て等しいグレーの画像データとなる。
一方、図7(B)に示すように、同条件の照明光のもとで撮影し、中深層血管抑制画像データ74を生成すると、B画素及びG画素の画素値は300で特殊光画像データ71の場合と等しいが、R画素の画素値は、G信号にR信号が加算され450となる。このため、特殊光画像データ71の生成時と同様にして特殊光画像データ71を生成すると、全体として赤味がかった画像データとなってしまう。
こうしたことから、中深層血管抑制画像データ74を生成するときには、特殊光画像データ71と同様の色調になるように補正することが好ましい。こうした色調の補正は、例えば、以下に説明する3つの態様で行うことができる。
まず、図8に示すように、中深層血管抑制画像データ74の生成前に、BGR各色の撮像信号に対して、中深層血管抑制画像データ74が所定の色調(グレー)になるように、抑制度を加味したゲイン補正を施すことによって、中深層血管抑制画像データ74の色調を補正することができる。
中深層血管抑制画像データ74の生成時に、G信号とR信号が1:1の割合で加算される抑制度が設定されている場合には、B信号の信号値を200に、R信号の信号値を100にするゲイン補正を施す。したがって、ゲイン補正後の信号値は、B信号:G信号:R信号=300:200:100となるので、これに基づいて中深層血管抑制画像データ74を生成すると、中深層血管抑制画像データ74の各画素の画素値は、B画素:G画素:R画素=300:300:300となる。これにより、中深層血管抑制画像データ74を、特殊光画像データ71と同様に、色調がグレーの画像データとすることができる。
なお、ここで行うゲイン補正は、CCD21から撮像信号が出力される段階のAFE33で行っても良く、DSP52においてCCD21から入力される撮像信号に対して行っても良い。
また、図9に示すように、中深層血管抑制画像データ74の生成後に、特殊光画像データ71と同様の色調に変換するための色調変換処理を施すことにより、中深層血管抑制画像データ74の色調を補正しても良い。例えば、CCD21から入力される各色の撮像信号をそのまま利用し、設定された抑制度に応じた中深層血管抑制画像データ74を生成する。ここで生成される中深層血管抑制画像データ74は、前述のとおり赤味がかった画像データである。その後、赤味がかった中深層血管抑制画像データ74に対して、R画素の画素値を300に変換する色調変換処理を施すことにより、色調がグレーの中深層血管抑制画像データ74が生成される。
さらに、図10に示すように、G信号にR信号を加算するときに、G信号とR信号に、それぞれ係数α及び係数βを乗算してから足し合わせることによって、R画素の画素値が所定値(ここでは300)になるようにして加算することにより、グレーの中深層血管抑制画像データ74を生成しても良い。なお、係数α,βは、照明光量や抑制度等に応じて予め定められ、例えば、G信号とR信号の比率が2:1(=300:150)となる照明光であり、かつ、G信号とR信号がそのまま加算される抑制度の場合には、R画素の画素値を300にしてグレーの中深層血管抑制画像データ74を得るためには、係数α及びβはともに2/3に設定すれば良い。
上述のように行う色調の補正処理は、抑制度等に応じて、予め色調変換用のルックアップテーブル(LUT)を複数用意しておき、これらを抑制度に応じて使い分けることで容易に実現することができる。また、演算によって色調補正処理を行うときには、演算に用いるマトリクス(MTX)を複数用意しておけば良い。ゲイン補正によって中深層血管抑制画像データ74の色調を補正する場合も同様であり、抑制度に応じてゲインを定めるLUTや、規定のゲインから抑制度に応じたゲインを算出する場合に用いるMTXを複数用意しておけば良い。また、係数α及びβを用いる場合も同様である。
なお、上述の第1実施形態では、抑制表示処理部60を機能させることによって、中深層血管73の表示を抑制する例を説明したが、同様に抑制表示処理部60によって表層血管72の表示を抑制することもできる。上述の第1実施形態では、中深層血管73の表示を抑制するために、中深層血管73のコントラストが高いG信号に、中深層血管73のコントラストが低いR信号を加算することによって、生成される画像データにおける中深層血管73のコントラストを低下させる。したがって、同様に抑制表示処理部60を用いた信号処理によって表層血管72を抑制表示する場合には、表層血管72のコントラストが高いB信号に、表層血管72のコントラストが低いR信号もしくはG信号を加算すれば良い。但し、抑制表示処理部60を用いた信号処理による抑制表示は、中深層血管73の抑制表示に適した態様であり、表層血管72の抑制表示は後述する第2実施形態の態様で行うことがより好ましい。
なお、上述の第1実施形態では、中深層血管73を抑制表示する例を説明したが、表示を抑制する対象は中深層血管73に限らない。例えば、中深層血管73を観察したい場合には、表層血管72の表示を抑制することが好ましい。以下、第2実施形態として表層血管72の表示を抑制する例を説明する。なお、上述の第1実施形態の電子内視鏡システム11と同様の部材には同一の符号を付し、説明を省略する。
[第2実施形態]
図11に示すように、電子内視鏡システム76は、設定に応じて表層血管72の表示を抑制するシステムであり、光源装置14のCPU68に光量比調節部77を備える。
光量比調節部77は、ALC制御によって定められる照明光全体としての光量と、設定により定められる抑制度とに応じて、青色LD66と青紫色LD67の発光量の比を調節する。これにより、照明光のスペクトルが変化し、表層血管72のコントラストが低減される。抑制度は、表層血管72の表示をどの程度抑制表示するかを示すパラメータであり、例えば数値の入力によって予め設定される。また、光量比調節部77は、表層血管72のコントラストを低減し、表層血管72の表示を抑制することが設定された場合に機能する。
具体的には、光量比調節部77は、青紫色LD67に対して、青色LD66の発光量を相対的に増大させる。青色LD66の発光量の相対的増加率は、設定された抑制度に応じて定められる。なお、光量比調節部77による青色LD66及び青紫色LD67の光量比の調節は、投光ユニット41から照射される通常光の光量が前述のALC制御によって定められる光量となるように行われる。このため、光量比調節部77による青色LD66及び青紫色LD67の光量比の調節は、ALC制御の状況に応じて、青紫色LD67の発光量の低下、青紫色LD67の発光量の増大、またはこれらの組み合わせで行われる。
通常光観察時や、表層血管72の表示を抑制しない特殊光観察時の電子内視鏡システム76の動作は、前述の第1実施形態の電子内視鏡システム11と同様である。一方、特殊光観察を行う場合に、表層血管72の表示を抑制する場合には、電子内視鏡システム76は、以下のように動作する。
表層血管72の表示を抑制する場合には、まず、操作部56等を操作して、表層血管72の抑制表示の設定をオンにし、抑制度を設定する。抑制度は、例えば1−100等の数値で設定され、抑制度が大きいほど表層血管72の像の表示が抑制され、抑制度が小さいほど表層血管72が撮影された像に近い状態で残る。
こうして、表層血管72の抑制表示の設定をオンにして、抑制度が設定されると、光量比調節部77が機能する。これにより、照明光に含まれる通常光の光量がALC制御に基づいた所定光量に制御されつつ、青色LD66の発光量が、青紫色LD67の発光量に対して相対的に増大される。
図12に実線及び破線で示すように、蛍光体43は、青紫色LD67から出射される青紫色レーザー光(405nm)と、青色LD66から出射される青色レーザー光(445nm)とで励起発光する蛍光の光量が異なる。具体的には、青色LD66から入射する青色レーザー光の方が励起発光効率が良い。
このため、図12に二点鎖線で示すように、青色LD66の発光量を増大させると、照明光量に含まれる通常光の成分が多くなる。これにより、特殊光として機能する青紫色光(405nm)及び青色光(445nm)の光量は、照明光量全体に占める割合は小さくなる。
表層血管72は、特殊光を吸収することによってB信号のコントラストとして写し出されるので、上述のように特殊光の光量が占める割合が照明光量全体の中で小さくなると、これに応じて表層血管72の像のコントラストは低下し、視認性が低下する。一方、中深層血管73は、主としてG信号のコントラストとして写し出されるので、青色LD66及び青紫色LD67の光量比を変化させてもほぼ変化はない。このため、中深層血管73は、光量比調節部77が機能しているか否かによらず、ほぼ同様に観察することができる。
こうしたことから、図13(A)に示すように、表層血管72の抑制表示の設定をオフにしている場合には、特殊光画像データ71において中深層血管73に表層血管72が重畳し、表層血管72が中深層血管73の観察の妨げになることがあるが、図13(B)に示すように、表層血管72の抑制表示の設定をオンにすることにより生成される特殊光画像データ87(以下、表層血管抑制画像データという)では、表層血管72の表示が抑止され、中深層血管73の視認性が相対的に向上する。
なお、画像処理の設定によっては表層血管抑制画像データ78に対して、DIP53で周波数強調処理が施されることがある。この場合、表層血管72の表示を抑制されていない特殊光画像データ71では、中深層血管73を観察したいにもかかわらず、撮影距離に応じて表層血管72が強調され、中深層血管73の観察をかえって妨げる結果になることがある。しかし、表層血管抑制画像データ78では、抑制度に応じて表層血管72のコントラストが低減されているので、周波数強調処理を施すことによって表層血管72が強調されてしまったとしても、その影響は特殊光画像データ71の場合よりも少ない。
なお、上述の第2実施形態では、青色LD66や青紫色LD67の光量を変化させるので、表層血管抑制画像データ78の色調が特殊光画像データ71に対して変化してしまう。
例えば、図14(A)に示すように、所定条件の照明光のもとで撮影したときに、CCD21の各色の信号値が、B信号:G信号:R信号=500:150:100であるとする。また、DSP52は、これらの各色の画像信号から観察に違和感がないように色調を調節して特殊光画像データを生成するが、ここでは簡単のために、BG(R)各色の信号がそのままの割合で特殊光画像データ71の各画素値に利用されるものとする。この場合、特殊光画像データ71の各画素の画素値の比率は、B画素:G画素:R画素=500:500:150となり、特殊光画像データ71はシアン色になる。
一方、図14(B)に示すように、照明光全体としての光量が一定のまま、青色LD66と青紫色LD67の発光量の比を変化させると、CCD21の各色の信号値が変化する。ここでは、光量比調節部77が青色LD66と青紫色LD67の発光量の比を調節したことにより、B信号:G信号:R信号=500:250:170に変化したとする。この場合、表層血管抑制画像データ78の各画素の画素値の比率は、B画素:G画素:R画素=500:500:250となり、特殊光画像データ71よりも薄いシアン色(より白色)になる。
こうしたことから、光量比調節部77によって青色LD66と青紫色LD67の発光量の比を調節して、表層血管抑制画像データ78を生成する場合には、特殊光画像データ71と同様の色調となるように補正することが好ましい。越した色調の補正は、例えば、以下に説明する3つの態様で行うことができる。
まず、図15に示すように、表層血管抑制画像データ78の生成前に、BGR各色の撮像信号に対して、表層血管抑制画像データ78が所定の色調(特殊光画像データ71と同様のシアン色)となるように、抑制度を加味したゲイン補正を施すことによって、表層血管抑制画像データ78の色調を補正することができる。ここで行うゲイン補正は、CCD21から撮像信号が出力される段階のAFE33で行っても良く、DSP52においてCCD21から入力される撮像信号に対して行っても良い。
また、図16に示すように、表層血管抑制画像データ78の精製後に、特殊光画像データ71と同様の色調に変換するための色調変換処理を施すことにより、表層血管抑制画像データ78の色調を補正しても良い。
さらに、図17に示すように、青色LD66と青紫色LD67の発光量の比に応じて所定係数pを予め定めておき、G信号に係数pを乗算した値をR画素の画素値とすることによっても、表層血管抑制画像データ78の色調を補正することができる。
上述のように行う色調の補正処理は、抑制度等に応じて、予め色調変換用のルックアップテーブル(LUT)を複数用意しておき、これらを抑制度に応じて使い分けることで容易に実現することができる。また、演算によって色調補正処理を行うときには、演算に用いるマトリクス(MTX)を複数用意しておけば良い。ゲイン補正によって中深層血管抑制画像データ74の色調を補正する場合も同様であり、抑制度に応じてゲインを定めるLUTや、規定のゲインから抑制度に応じたゲインを算出する場合に用いるMTXを複数用意しておけば良い。所定係数pを用いる場合も同様である。
なお、上述の第2実施形態では、蛍光体43の特性を利用して、青紫色LD67に対して青色LD66の発光量を相対的に増大させることによって表層血管72の表示を抑制するが、表層血管72の表示を抑制する態様はこれに限らない。上述の第2実施形態と同様に、表層血管72の表示抑制は照明光の成分を調節する他の態様によっても実現することができる。
例えば、図18に示すように、光源装置14に表層血管72の表示抑制のために用いる第3のレーザーダイオードとして、青緑色LD81を備えておく。青緑色LD81は、波長473nmの青緑色レーザー光を発する光源であり、青色LD66や青紫色LD67と同様にカプラ69で合波され、投光ユニット41から照明光として被検体内に照射される。青緑色レーザー光は、蛍光体43によって拡散され、青緑色の照明光として視野内に均一に照射される。また、青緑色LD81は、表層血管72の表示を抑制する場合に点灯され、通常光観察時等では点灯されない。
図19に示すように、青緑色光(473nm)は、表層血管72と中深層血管73の反射率を比較した場合に、表層血管72の反射率が相対的に高く、他の波長帯の光と比較しても、表層血管72と中深層血管73の反射率の差が大きい波長の光である。このため、上述のように青緑色光を照明光に加えることによって、表層血管72のコントラストは中深層血管73に対して相対的に低下するので、表層血管72の表示を抑制することができる。また、青緑色光を用いることによって中深層血管73の像を、これを用いない場合と比較して、よりコントラスト良く撮影することができる。
ここでは、青緑色光を利用する例を説明したが、表層血管72の表示を抑制する場合に、他の波長の光を照明光として追加し、B信号のコントラストを相対的に低減させることによって、表層血管72の表示を抑制しても良い。例えば、図20に示すように、白色光を発光するキセノンランプ82を第3の光源として追加し、表層血管72の表示を抑制するときに、キセノンランプ82を点灯して照明光に含まれる通常光成分を増大させることにより、相対的にB信号のコントラストを低下させて表層血管72の表示を抑制しても良い。
[第3実施形態]
なお、第1実施形態では中深層血管73の表示を抑制する態様を説明し、第2実施形態では表層血管72の表示を抑制する態様をそれぞれ説明したが、これらの2種類の表示抑制機能は同じ電子内視鏡システムに搭載されていることが好ましい。表層血管72と中深層血管73のどちらを観察対象とするかは、病状等に応じて異なるものであり、表層血管72と中深層血管73をどちらを観察対象とするかによって電子内視鏡システムを交換することは、煩雑であるとともに、被検者への負担も大きいからである。
中深層血管73と表層血管72の表示抑制機能を、一つの電子内視鏡に搭載する場合には、図21に示す電子内視鏡システム86のように、DSP52に抑制表示処理部60を設け、かつ、光源装置14のCPU68に光量比調節部77を設け、設定によりいずれかが機能するようにすれば良い。
こうして抑制表示処理部60と光量比調節部77とともに備える場合、図22に示す設定ウィンドウ87のように、中深層血管73と表層血管72のどちらを抑制表示するかを一度に設定可能な抑制表示設定用のGUIを用いることが好ましい。設定ウィンドウ87は、操作部56を操作することによりモニタ22に表示され、例えば、択一的なチェックボックス88a〜88c、抑制度設定欄89a,89bを有する。
表層血管72の表示を抑制する場合、設定ウィンドウ87においてチェックボックス88aをチェックし、抑制度設定欄89aに抑制度を設定する。これにより、光量比調節部77が作動し、抑制度設定欄89aに設定した抑制度に応じて表層血管72の表示が抑制される。
中深層血管73の表示を抑制する場合、設定ウィンドウ87においてチェックボックス88bをチェックし、抑制度設定欄89bに抑制度を設定する。これにより、抑制表示処理部60が作動し、抑制度設定欄89bに設定した抑制度に応じて中深層血管73の表示が抑制される。
表層血管72も中深層血管73も表示を抑制しない場合にはチェックボックス88cにチェックする。これにより、電子内視鏡システム86は、抑制表示処理部60も、光量比調節部77も動作させず、特殊光観察時には第1実施形態や第2実施形態で説明したとおり、特殊光画像データ71を生成する。
なお、上述の設定ウィンドウ87の態様は一例であり、他の態様の設定ウィンドウ87を用いても良い。例えば、設定ウィンドウ87では、抑制度設定欄89a,89bに数値を入力する例を説明したが、スライドバー等でより直感的に操作できるようにすることが好ましい。また、設定ウィンドウ87で設定した設定内容は、医師毎に異なるので、電子内視鏡システムを使用する医師毎に個別に保存され、使用する医師のID等を入力することにより、前回の使用状態が復元されることが好ましい。
なお、ここでは、抑制表示処理部60と光量比調節部77のいずれか一方が機能させることにより、中深層血管73と表層血管72のいずれか一方の表示を抑制する例を説明するが、表層欠陥72の表示を抑制する際には、抑制表示処理部60と光量比調節部77の両方を同時に用いても良い。前述のように抑制表示処理部60は、中深層血管73の表示を抑制することができるとともに、B信号に、R信号もしくはG信号を加算することによって表層血管72の表示を抑制することができるからである。
[第4実施形態]
なお、上述の第1〜第3実施形態では、DIP53で周波数強調処理を行うか否かにかかわらず、表層血管72と中深層血管73のうち、観察対象でない血管の表示を抑制することにより、観察対象の血管の視認性を向上させる例を説明したが、DIP53で施す強調処理と第1〜第3実施形態で説明した血管の抑制表示処理が連動するようにしても良い。なお、以下では、第3実施形態で説明したように、1つの電子内視鏡システム86に抑制表示処理部60と光量比調節部77がともに設けられているとする。
この場合、例えば図23に示すように、強調処理を行うか否かを設定する設定ウィンドウ91を用いて、表層血管72に対して強調処理を施すか、中深層血管73に対して強調処理を施すか、あるいは、どちらにも強調処理を施さないかを選択する。強調する血管を設定する、あるいは強調処理を行わない設定をするチェックボックス92a〜92cのチェックは択一的である。強調度設定欄93a,93bは、表層血管72及び中深層血管73をどの程度強調して表示するかを入力する欄であり、例えば1−100の数値で設定される。
表層血管72を強調するためにチェックボックス92aをチェックした場合、電子内視鏡システムは次のように動作する。チェックボックス92aは、表層血管72を強調するという設定を行うものであり、中深層血管73の抑制処理を行うか否かを選択するものではない。しかし、表層血管72が観察対象である場合、表層血管72に重畳する中深層血管73は、表層血管72の観察の妨げになることがあるので、プロセッサ装置13のCPU51は、チェックボックス92aがチェックされ、表層血管72を強調する周波数強調処理を行うという設定がなされたことに連動してDSP52の抑制表示処理部60を作動させる。このため、DSP52は、CCD21から入力される各色の撮像信号に基づいて、抑制表示処理部60によって中深層血管抑制画像データ74を生成し、DIP53に入力する。
DIP53は、入力された中深層血管抑制画像データ74に対して、表層血管72を強調する所定周波数の周波数強調処理を施す。したがって、モニタ22に表示される観察画像は、設定ウィンドウ91で表層血管72を強調する設定を行ったことにともなって、表層血管72が周波数強調処理によって強調されると同時に、表層血管72の観察の妨げになり得る中深層血管73の表示が自動的に抑制される。
なお、DIP53は、周波数強調処理によって、強調度設定欄93aに入力された強調度に応じた程度に表層血管72の像を強調する。一方、抑制表示処理部60は、中深層血管抑制画像データ74の生成時に、抑制度を、強調度設定欄93aに入力された強調度に対応する抑制度(例えば、強調度と同じ値)に自動設定し、これに基づいてR信号の加算率を決定する。
同様に、中深層血管73を強調するためにチェックボックス92bをチェックした場合、電子内視鏡システムは次のように動作する。チェックボックス92bは、中深層血管73を強調するという設定を行うものであり、表層血管72の抑制処理を行うか否かを選択するものではない。しかし、中深層血管73が観察対象である場合、中深層血管73に重畳する表層血管72は、中深層血管73の観察の妨げになることがあるので、プロセッサ装置13のCPU51は、チェックボックス92bがチェックされ、中深層血管73を強調する周波数強調処理を行うという設定がなされたことに連動して、光量比調節部77を作動させる。したがって、中深層血管73を強調する場合、光量比調節部77が青色LD66や青紫色LD67の発光量の比を調節することによって、照明光に含まれる成分が調節され、DSP52が生成する特殊光画像データ71は、表層血管抑制画像データ78となる。
DIP53は、DSP52から入力される表層血管抑制画像データ78に対して、中深層血管73を強調する所定周波数の周波数強調処理を施す。したがって、モニタ22に表示される観察画像は、設定ウィンドウ91で中深層血管73を強調する設定を行ったことにともなって、中深層血管73が周波数強調処理によって強調されると同時に、中深層血管73の観察の妨げになり得る表層血管72の表示が自動的に抑制される。
なお、DIP53は、周波数強調処理によって、強調度設定欄93bに入力された強調度に応じた程度に中深層血管73の像を強調する。一方、光量比調節部77は、青色LD66や青紫色LD67の発光量の比を調節するときに、抑制度を、強調度設定欄93bに入力された強調度に対応する抑制度(例えば、強調度と同じ値)に自動設定し、これに基づいて青色LD66や青紫色LD67の発光量の比を決定する。
こうしてDIP53による強調処理と、抑制表示処理を連動して行うようにすると、観察したい対象を選択するだけで、観察の妨げになる微細組織の表示が自動的に抑止表示されるので、強調と抑制を個別に設定する必要がなく、ユーザビリティが向上する。
なお、上述の第4実施形態では、強調処理を行う設定に連動して観察対象でない血管の表示を抑制する例を説明したが、抑制表示の設定に連動して、抑制されない方の血管を観察対象とみなし、自動的に強調処理を行うようにしても良い。
なお、上述の第4実施形態では、抑制表示処理部60と光量比調節部77をともに備える電子内視鏡システムを例に説明したが、第1実施形態の電子内視鏡システム11や第2実施形態の電子内視鏡システム76の場合にも強調処理の設定と抑制表示の設定を連動させても良い。
[第5実施形態]
なお、上述の第1〜第4実施形態では、カラーの画像を撮影する、いわゆる同時式の電子内視鏡システムを例に説明したが、これに限らない。例えば、モノクロの撮像素子を用い、複数の色毎に順次撮像し、得られた色毎の画像を合成してカラーの撮影画像を得る、いわゆる面順次式の電子内視鏡システムも知られているが、面順次式の電子内視鏡システムにおいても表層血管72や中深層血管73の表示を抑制することができる。以下、面順次式の電子内視鏡の例を説明するが、第1〜第4実施形態と同様の部材については同一の符号を付し、説明を省略する。
図24に示すように、電子内視鏡システム101は、電子内視鏡12に撮像素子としてCCD102を備える。CCD102は、カラーフィルタが設けられていないモノクロの撮像素子であり、被検体内に照射される照明光の色を切り替えることによって、色毎に順次撮影を行う。
DSP52は、CCD102から複数枚分の撮像信号に基づいて、1枚の画像データを生成する。DSP52は、設定に応じて、RGB各色を全て組み合わせることによって通常光画像データを生成したり、例えば、青色の照明光下で撮影された青色画像と緑色の照明光下で撮影した緑色画像を組み合わせて特殊光画像データ71に対応する画像データ(後述)を生成する。
また、DSP52は、抑制表示処理部103を備える。抑制表示処理部103は、CCD102から順次入力される複数色の撮像信号に基づいて、表層血管72の表示を抑制した画像データや、中深層血管73の表示を抑制した画像データを生成する。抑制表示処理部103は、表層血管72または中深層血管73の表示を抑制する場合に機能する。
光源装置104は、白色光源105と回転フィルタ106を備える。白色光源105は、白色LDやLED、キセノンランプ等、広帯域の白色光を出射する光源であり、CPU68によって発光のタイミングや発光量が調節される。
回転フィルタ106は、白色光源105の前面に配置され、白色光源105から出射される白色光を所定波長の狭帯域光に制限して電子内視鏡12に入射させるフィルタである。回転フィルタ106は、後述するように複数に区画され、各区画毎に電子内視鏡12に入射させる狭帯域光の波長が異なる。また、回転フィルタ106は、白色光源105の前面に回転自在に配置され、CPU68の制御によって所定のタイミングで回転される。これにより、被検体内に照明光として照射される狭帯域光の波長が順次切り替えられる。
回転フィルタ106を透過することによって狭帯域光となった照明光は、図示しないレンズ等を介してライトガイド42に導光され、電子内視鏡12の先端部20に設けられたレンズや照明窓等を介して被検体内に照射される。
図25に示すように、回転フィルタ106は、極狭い波長帯の光(以下、狭帯域光という)を透過する3種類のフィルタを備える。青色狭帯域フィルタ111は青色の狭帯域光を、緑色狭帯域フィルタ112は緑色の狭帯域光を、青緑色狭帯域フィルタ113は青緑色の狭帯域光をそれぞれ透過する。例えば、青色狭帯域光は波長415nm、緑色狭帯域光は波長540nm、青緑色狭帯域光は波長445nmである。ここで簡単のために、青色狭帯域フィルタ111、緑色狭帯域フィルタ112、青緑色狭帯域フィルタ113で回転フィルタ106を3分割しているが、赤色等、他の色を透過するフィルタや所定範囲の波長帯の光を透過するフィルタ、全色の光を透過/遮蔽するフィルタ等を備えていても良い。また、各フィルタが占める角度は、各色に必要な照射時間を確保するために任意に定めて良い。
図26に示すように、電子内視鏡システム101は、特殊光観察を行う場合、DSP52によって青色狭帯域フィルタ111を透過した青色狭帯域光の照明下で撮像された青色撮像信号に基づいて青色画像データ114を生成する。また、緑色狭帯域フィルタ112を透過した緑色狭帯域光の照明下で撮像された緑色撮像信号に基づいて、緑色画像データ115を生成する。そして、DSP52は、青色画像データ114をB画素及びG画素に、緑色画像データ115をR画素にそれぞれ割り当てた画像データを生成する。こうして生成された画像データは、前述の第1〜第4実施形態における特殊光画像データ71に対応する。
中深層血管73の表示を抑制する場合、DSP52は、青色画像データ114、緑色画像データ115とともに、青緑色狭帯域光の照明下で撮像された青緑色撮像信号に基づいて青緑色画像データ116を生成する。そして、DSP52は、抑制表示処理部103によって中深層血管抑制画像データ117を生成する。
このとき、抑制表示処理部103は、まず緑色画像データ115と青緑色画像データ116を画素毎に加算した第1中間画像データ121を生成する。中深層血管73は、緑色画像データ115のコントラストとして写し出される。一方、青緑色狭帯域光(445nm)は他の波長に比べて表層血管72と中深層血管73、さらには粘膜との反射率の差が少ない波長の光である(図19参照)。このため、青緑色画像データ116に写し出される中深層血管73及び表層血管72のコントラストは低い。したがって、緑色画像データ115と青緑色画像データ116を加算したことによって、第1中間画像データ121においては、緑色画像データ115に対して中深層血管73のコントラストが低下する。
なお、第1中間画像データ121を生成するときに、緑色画像データ115と青緑色画像データ116の加算は、予め設定された抑制度に応じて重み付けして行われる。例えば、抑制度が大きいほど、緑色画像データ115に対して青緑色画像データ116の割合が多くなり、より中深層血管73のコントラストが低下される。
抑制表示処理部103は、第1中間画像データ121をR画素に使用するとともに、青色画像データ114をB画素及びG画素に使用して第1中間画像データ121と青色画像データ114を合成し、中深層血管抑制画像データ117を生成する。表層血管72は青色画像データ114のコントラストとして写し出されるので、抑制表示処理部103が生成した中深層血管抑制画像データ117においてもB画素及びG画素の像として、青色画像データ114と同等のコントラストで観察される。一方、中深層血管73は、第1中間画像データ121が生成された段階でコントラストが低減されているので、中深層血管抑制画像データ117においてもコントラストは低く、表示が抑制される。
表層血管72の表示を抑制する場合、DSP52は、青色画像データ114、緑色画像データ115、青緑色画像データ116を生成する。さらに、DSP52は、抑制表示処理部103によって表層血管抑制画像データ118を生成する。
抑制表示処理部103は、表層血管抑制画像データ118を生成する場合、まず、青色画像データ114と青緑色画像データ116を画素毎に加算した第2中間画像データ122を生成する。表層血管72は、青色画像データ114のコントラストとして写し出される。一方、前述のとおり青緑色狭帯域光は表層血管72と中深層血管73と粘膜で反射率に差が少ない波長であるため、青緑色画像データ116に写し出される表層血管72のコントラストが低い。したがって、青色画像データ114と青緑色画像データ116を加算したことによって、第2中間画像データ122においては、青色画像データ114に対して表層血管72のコントラストが低下する。
なお、第2中間画像データ122を生成するときに、青色画像データ114と青緑色画像データ116の加算は、予め設定された抑制度に応じて重み付けして行われる。例えば、設定された抑制度が大きいほど、青色画像データ114に対して青緑色画像データ116の割合が多くなり、より表層血管72のコントラストが低減される。
抑制表示処理部103は、第2中間画像データ122をB画素及びG画素に使用するとともに、緑色画像データ115をR画素に使用して、第2中間画像データ122と青色画像データ114を合成し、表層血管抑制画像データ118を生成する。中深層血管73は緑色画像データ115のコントラストとして写し出されるので、表層血管抑制画像データ118においてもR画素の像として、緑色画像データ115と同等のコントラストで観察される。一方、表層血管72は、第2中間画像データ122が生成された段階でコントラストが低減されているので、表層血管抑制画像データ118においてもコントラストは低く、表示が抑制される。
なお、上述の第5実施形態では、青色狭帯域フィルタ111、緑色狭帯域フィルタ112、青緑色狭帯域フィルタ113の3つのフィルタを備える回転フィルタ106を用いる例を説明したが、これに限らない。
例えば、図29に示すように、上述の回転フィルタ106とともに、青色狭帯域フィルタ111と緑色狭帯域フィルタ112を有する回転フィルタ123を交換自在に設けておき、表層血管72や中深層血管73の表示を抑制する場合には回転フィルタ106を、表示を抑制しない場合には回転フィルタ123を用いるようにしても良い。
なお、上述の第5実施形態では、回転フィルタ106に青色狭帯域フィルタ111、緑色狭帯域フィルタ112、青緑色狭帯域フィルタ113の3種のフィルタを用いる例を説明したが、これに限らない。
例えば、図30に示すように、青色狭帯域フィルタ及び緑色狭帯域フィルタの2種類のフィルタを有する回転フィルタ123a〜123cを交換可能に設けておく。これらの回転フィルタ123a〜123cの各青色狭帯域フィルタ(青1〜青3)は、青色の狭帯域光を透過する点は共通するが、各々に透過する波長が異なる。このため、青色画像データ114に写し出される表層血管72のコントラストは、各回転フィルタ123a〜123cで異なる。
同様に、回転フィルタ123a〜123cの各緑色狭帯域フィルタ(緑1〜緑3)は、緑色の狭帯域光を透過する点は共通するが、各々の透過波長は異なる。このため、緑色画像データ115に写し出される中深層血管73のコントラストは、各回転フィルタ123a〜123cで異なる。
したがって、表層血管72と中深層血管73のどちらの血管の表示を抑制するかの選択や、設定された抑制度に応じて、回転フィルタ123a〜123cから適切なものを選択することで、表層血管72や中深層血管73を抑制した画像データを得ることができる。この場合、各回転フィルタ123a〜123cを用いて撮影された青色画像データ114及び緑色画像データ115を図26で説明したように合成すると、使用した回転フィルタ123a〜123cに応じて、表示抑制のない特殊光画像データ、中深層血管抑制画像データ117、表層血管抑制画像データ118を得ることができる。
なお、上述の第5実施形態で説明した電子内視鏡システム101では、前述の第1〜第4実施形態と同様に、青緑色画像データ116を緑色画像データ115(又は青色画像データ114)に加算したことによって、生成される中深層血管抑制画像データ117(又は表層血管抑制画像データ118)は、血管の抑制表示をしない場合と比べて、色調が変化する。このため、第1実施形態及び第2実施形態で説明したように、ゲイン補正や色調変換処理によって、生成される画像データ114,115の色調を補正することが好ましい。また、同様に第1実施形態及び第2実施形態で説明したように、青緑色画像データ116と緑色画像データ115(又は青色画像データ114)を加算するときに、最終的に得られる画素値が一定になるように、青緑色画像データ116と緑色画像データ115(又は青色画像データ114)に所定係数を乗じて加算することによって、色調を調節しても良い。
なお、上述の第5実施形態では、表層血管72または中深層血管73の表示を抑制する例を説明したが、第4実施形態で説明したように、強調表示と連動して抑制表示を行っても良い。
なお、上述の第5実施形態では、青緑色狭帯域フィルタ113を設け、青緑光を照明光として撮影したときに得られる青緑色画像データ116を、緑色画像データ115や青色画像データ114に加算することによって表層血管72や中深層血管73の表示を抑制する例を説明したが、これに限らない。例えば、表示抑制のために緑色画像データ115や青色画像データ114に加算する画像データは、表層血管72や中深層血管73のコントラストが低い画像であれば良い。このため、必ずしも青緑色画像データ116を加算する必要はなく、例えば、赤色狭帯域光の照明下で得られる赤色画像データや、白色光の照明下で得られる白色光画像データを加算しても良い。この場合、必要なフィルタや開口等は、回転フィルタ106に予め設けておけば良い。
なお、上述の第1〜第4実施形態ではCCD21が出力するB信号をB信号及びG信号に割り当て、G信号をR画素に割り当てて画像データを生成する例を説明したが、CCD21が出力する撮像信号と生成する画像データの画素との対応関係はこの例に限らない。同様に、第5実施形態では、青色画像データ114をB画素及びG画素に、緑色画像データ115をR画素に使用して画像データを生成する例を説明したが、各色の画像データと生成する画像データの画素との対応関係はこの例に限らない。例えば、B信号をB画素に、G信号をG画素に、R信号をR画素に割り当てる場合にも、上述の第1〜第4実施形態と同様にして表層血管72や中深層血管73の表示を抑制することができる。また、第5実施形態のように、面順次式の電子内視鏡システム101においても同様である。
なお、上述の第1〜第5実施形態では、撮像素子としてCCDを用いる例を説明したが、CMOS等、他の態様の撮像素子を用いても良い。また、使用する撮像素子の個数や配置等は任意である。
なお、上述の第1〜第5実施形態では、DSP52に抑制表示処理部を設け、信号処理によって観察対象外の血管の表示を抑制した画像データを生成する例を説明したが、これに限らない。例えば、DSP52では、CCDから入力される撮像信号に基づいて、色毎に画像データを生成し、DIP53において、これらの各色の画像データを合成する画像処理を施すことによって、上述の第1〜第5実施形態のように観察対象外の血管の表示を抑制した観察画像を生成しても良い。