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JP5676860B2 - 多糖類ナノファイバーとその製造方法、多糖類ナノファイバー含むイオン液体溶液と複合材料 - Google Patents

多糖類ナノファイバーとその製造方法、多糖類ナノファイバー含むイオン液体溶液と複合材料 Download PDF

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Description

本発明は、特別な前処理を必要とせず簡単且つ効率的に高品質なセルロースナノファイバーまたはキチンのナノファイバーを製造する方法に関するものである。本発明により得られる多糖類ナノファイバーであるセルロースナノファイバーまたはキチンナノファイバーは衣料、医用材料、複合材料などの分野に利用され得る。
多糖類であるセルロースやキチンは地球上に大量に存在するバイオマスであり、しかも再生可能で生分解可能な有機資源である。セルロースは植物によって最も多く生産される多糖類であるが、植物由来のセルロースは植物の繊維細胞からリグニン、ヘミセルロースが除去されて取り出され、その技術は確立している。
セルロースを生産する代表的なものは植物であり、セルロースは植物細胞壁を構成する多糖類であり、共存するリグニン、ヘミセルロース等を分離除去することにより取り出すことができる。
一方、キチンは昆虫やエビ、カニなどの外殻に含まれる多糖類であり、共存する蛋白質,脂質、炭酸カルシウムを分離除去することにより取り出すことができる。
これら天然物質から取り出された、セルロースおよびキチンは、非結晶性の不純物を含んでおり、そのファイバーの直径も大きいものであり、そのファイバーがより細いナノファイバーとして取り出すことができれば、超比表面積効果、ナノサイズ効果、超分子配列効果等の効果が期待されるため、近年ナノファイバーとして取り出す方法が種々開発されてきている。
そのため、セルロースナノファイバーの製造については、多くの提案、開発がなされてきた。
従来法としでは、セルロース繊維原料を叩解処理やホモジナイズ処理などにより、繊維をフィブリル化させる方法がある(特許文献1、特許文献2)。しかし、繊維径の小さいセルロースナノファイバーを得るためには、叩解処理を十分に行う必要があり、その結果繊維に大きなダメージを与え、得られたセルロースナノファイバーの強度及びアスペクト比が低下してしまう。叩解処理を低減して繊維のダメージを抑えると、得られた繊維の繊維径が大きく、アスペクト比も小さいので良好な補強特性を有するセルロースナノファイバーが得られない。
また、従来法は生産効率が悪いという問題点もある。例えば、特許文献1の予備叩解方法はダブルディスクリファイナーで7〜15回の処理を行うことを必要とした。さらに、特許文献2に提案されたように、予備叩解したパルプを砥石板のすり合わせによりフィブリル化し、さらに高圧ホモジナイザー処理を行うと、ミクロフィブリル化セルロースが得られるが、相当な処理回数が必要となり、生産効率が低いという問題点がある。
さらに、メディア撹拌式粉砕機でミクロフィブリル状セルロースを得る方法も提案されている(特許文献3)が、繊維状セルロースを懸濁液としたものを直接に粉砕機に投入して粉砕を行うため、上記叩解処理と同様にセルロースナノファイバーにダメージを与える問題があると共に、セルロースナノファイバー化に要する時間が非常に長く、生産性が低いという問題点がある。
また、塩酸溶液中、120〜130℃で加水分解処理した後、中和、洗浄し、ディスクリファイナーで磨砕する工程を備えた方法も提案されている(特許文献4)。この方法は、酸処理によりセルロースナノファイバーを分離しやすくするので、より微細な繊維を得ることが出来る。しかし長時間の酸処理はセルロースナノファイバーにダメージを与え、セルロースナノファイバーの物性が低下する問題点がある。
一方、天然キチンナノファイバー(ミクロフィブリルキチン)の製造方法に関する技術提案はまだ少ない。
非特許文献1ではキチンナノ繊維は市販キチンの非結晶相を繰り返し加水分解することによって除去することによって棒状のキチンナノ繊維が残ると報告している。この方法によると、90℃で数回の加水分解反応を繰り返すことが必要である。また、加水分解の際、高濃度量の酸を用いているので、キチンの分子構造が破壊される可能性もある。
特開2001−7592号公報 特開平8−284090号公報 特開平6−212587号公報 特公昭62−30220号公報
Biomacromolecules 2007, 8, 252-257
本発明は、前記従来の問題を解決するものであり、セルロースおよびキチンのナノファイバーを簡単且つ効率よく、さらには少ないダメージで製造することができるようにするため、イオン液体と有機溶媒を含有する溶媒を用いて木質パルプなどのセルロース系物質、キチン物質を膨潤及び/または部分溶解させた後、化学変性又は加水分解し、その後水又は有機溶媒を用いて洗浄することを特徴とする多糖類ナノファイバーの製造方法を提供することを目的としている。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、本発明の目的を達成し得る製造方法、すなわち特定のイオン液体を含む溶媒を用いてセルロースまたはキチンを膨潤及び/または部分溶解させた後、化学変性又は加水分解し、その後、水又は有機溶媒を用いて洗浄することを特徴とする多糖類ナノファイバーの製造方法を見出すことができて本発明を完成させるに至った。
さらに、前記水又は有機溶媒を用いて洗浄する工程の前段階の多糖類ナノファイバーを含むイオン液体溶液がナノファーバーを製造するのに有用な前駆体であることを見出した。
すなわち、本発明の多糖類ナノファイバーの製造方法は、
(1)セルロース系物質またはキチン物質から多糖類ナノファイバーを製造する方法であって、
化1化学式で表せるイオン液体と有機溶媒を含有する混合溶媒を用いてセルロース系物質またはキチン物質を膨潤及び/または部分溶解させる工程と、膨潤及び/または部分溶解された成分に化学変性又は加水分解を加える工程と、イオン液体及びその他の可溶物の一部又は全部を除去する洗浄工程とを有することを特徴とする多糖類ナノファイバーの製造方法である。

式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは炭素1〜4のアルキル基またはアリル基である。陰イオンXはハロゲン、擬ハロゲン、炭素数1〜4までのカルボキシレート、又はチオシアネートの群から選ばれるものである。
ここでセルロース系物質とは、木材、ワラ、砂糖キビ、綿、麻などセルロースを含有する天然セルロース系原料又は木質材料を脱リグニン処理したセルロースを主成分とする物質である。キチン物質とは、カニ、えび、昆虫などの殻やキノコから蛋白質、脂質、炭酸カルシウム、色素等を除去した天然キチンを主成分とする物質である。
ここで、セルロース系物質またはキチン物質を膨潤させることとは、セルロース系物質またはキチン物質の非晶性物質を膨潤することによりナノファイバーを若干弛緩し、外力により開裂し易い状態になることを意味する。部分溶解とは、高い結晶性のナノファイバーの間に結合剤として存在する非晶性物質を溶解することを意味する。非晶性物質は、セルロース系物質の場合はリグニン、ヘミセルロース及び非結晶のセルロース、キチン物質の場合は蛋白質、無機物、及び非結晶のキチンなどである。
化学変性はセルロースまたはキチンの非結晶性成分の一部又は全ての水酸基、及び高い結晶性のナノファイバーの表面の一部又は全ての水酸基を化学修飾することを指す。これらの修飾反応によって非結晶成分を溶媒に溶かすこと又は加熱によって流動性を付与することができる。更に高い結晶性のナノファイバーの表面の一部又は全ての水酸基を修飾することによりナノファイバーの疎水性(親油性)を向上することによりナノファイバーを有機溶媒や有機ポリマーへの分散性を改良することができる。
この方法によれば、多糖類ナノファイバーであるセルロースナノファイバーまたはキチンナノファイバーを少ないダメージで高結晶性を保持したまま効率よく製造することができる。更に、前記イオン液体と有機溶媒を含有する溶媒を用いてセルロースまたはキチン原料を膨潤及び/または部分溶解させた後、化学変性又は加水分解工程を加えることによって溶解及び/又は膨潤させた非結晶性物質を除去することができ、非結晶性物質の除去によってナノファイバーの強度や弾性率は一層高くすることができる。
更に、この方法により得られる前記多糖類ナノファイバーの繊維径は平均値が4nm〜500nmであることが好ましく、4nm〜200nmであることがより好ましく、4nm〜100nmであることがより一層好ましい。また、その繊維長は平均値が50nm〜50μmであることが好ましく、100nm〜10μmであることがより好ましい。
(2)前記混合溶媒中のイオン液体の含有率はセルロース系物質の場合にはイオン液体の比率が30〜65質量%であり、キチン物質の場合にはイオン液体の比率が50〜95質量%であることを特徴とする前記(1)に記載の多糖類ナノファイバーの製造方法。
イオン液体の含有量をこの範囲で調整すると、溶媒のセルロースナノファイバーまたはキチンのナノファイバー間への速やかな浸透、膨潤が起り、抽出効率とナノファイバーへのダメージの低減を両立することが出来る。
(3)前記有機溶媒が、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ピリジン、アセトニトリル、メタノール、エタノールの中から選ばれる一つ以上の溶媒であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の多糖類ナノファイバーの製造方法。
これらの成分の含有により、溶媒の浸透速度が向上すると共に、ナノファイバーのダメージは一層低減することが出来る。
(4)前記セルロース系物質またはキチン物質を膨潤及び/または部分溶解させる工程と同時に若しくは前記工程後に、膨潤及び/または部分溶解された成分に化学変性又は加水分解を加える工程と同時に若しくは前記工程後に、又はイオン液体及びその他の可溶物の一部又は全部を除去する洗浄工程と同時に若しくは前記工程後に、混合溶媒により弛緩された多糖類ナノファイバーの集結体を解す解繊工程を有することを特徴とする前記(1)から(3)のいずれかに記載の多糖類ナノファイバーの製造方法。
(5)前記化学変性方法はエステル化であることを特徴とする前記(1)から(4)のいずれかに記載の多糖類ナノファイバーの製造法。
(6)前記エステル化は、無水酢酸、酢酸ビニル、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、塩化フェニルアセチルなどのエステル化試薬から選ばれる1種又は2種以上の物質を用いて行うことを特徴とする前記(5)に記載の多糖類ナノファイバーの製造方法。
(7)前記化学変性方法はエーテル化であることを特徴とする前記(1)から(4)のいずれかに記載の多糖類ナノファイバーの製造法。
(8)前記エーテル化は炭素数1〜20のハロゲン化アルキル、炭素数2〜4のアルキレンオキシドまたはモノハロゲン化酢酸などのエーテル化剤から選ばれる1種又は2種以上の物質を用いて行うことを特徴とする前記(7)に記載の多糖類ナノファイバーの製造方法。
(9)前記化学変性はエステル化とエーテル化を同時に行うことを特徴とする前記(1)から(8)に記載の多糖類ナノファイバーの製造方法。
(10)前記加水分解は、有機酸又は無機酸及び水の存在下で行うことを特徴とする前記(1)から(4)のいずれかに記載の多糖類ナノファイバーの製造方法。
(11)前記加水分解は、15〜150℃の範囲で行うことを特徴とする前記(10)に記載の多糖類ナノファイバーの製造方法。
(12)前記化学変性は前記加水分解の後に行うことを特徴とする前記(1)から(11)に記載の多糖類ナノファイバーの製造方法。
(13)セルロース系物質またはキチン物質からなる多糖類ナノファイバーを含むイオン液体溶液であって、
前記(1)に記載する化1化学式で表せるイオン液体と有機溶媒を含有する混合溶媒を用いてセルロース系物質またはキチン物質を膨潤及び/または部分溶解させた、または膨潤及び/または部分溶解された成分に化学変性若しくは加水分解を加えたことを特徴とする多糖類ナノファイバーを含むイオン液体溶液。
(14)前記(1)から(12)のいずれかに記載の多糖類ナノファイバーの製造方法で製造された多糖類ナノファイバー。
(15)樹脂の結晶核剤として用いることを特徴とする前記(14)に記載の多糖類ナノファイバー。
(16)前記(14)に記載の多糖類ナノファイバーの製造方法で製造された多糖類ナノファイバーと樹脂を含むことを特徴とする複合材料。
本発明の多糖類ナノファイバーの製造方法では、特別な前処理を必要とせずセルロース系物質およびキチン物質などのナノファイバーを含む物質から効率よく高品質で結晶性の高いセルロースナノファイバーまたはキチンナノファイバーを製造することが出来る。本発明の製造方法により得られたセルロースナノファイバー、キチンナノファイバーは優れた性能をもち、不織布、フィルム、衣料、樹脂の補強材として利用できる。
また、本発明の多糖類ナノファイバーを含むイオン液体溶液は、溶液中にナノファイバーを高分散させた状態で保持できるので、各種使用目的に対応した多糖類ナノファーバーを製造するのに有用な前駆体として利用できる。
また、セルロースナノファイバー、キチンナノファイバーは結晶核剤としても利用できる。例えばポリ乳酸、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂に少量を加えると結晶度と結晶速度は顕著に向上できる。
更に、セルロースナノファイバー、キチンナノファイバーは樹脂の補強材として樹脂と複合することにより樹脂の強度、弾性率、耐熱性、形状安定性を向上することもできる。
実施例1で得られたセルロースセルロースナノファイバーの洗浄後の形態を示すSEM像である。 実施例1得られたセルロースナノファイバーと濾紙のX線回折分析結果である。 実施例2で得られたセルロースナノファイバーの形態を示すSEM像である。 実施例2と比較例1で得られたセルロースナノファイバーのIRスペクトル。 実施例3で得られたセルロースナノファイバーの形態を示すSEM像である。 実施例3と比較例1で得られたセルロースナノファイバーのIRスペクトル。 実施例4で得られたセルロースナノファイバーの形態を示すSEM像である。 実施例4と比較例1で得られたセルロースナノファイバーのIRスペクトル。 比較例1で得られたセルロースナノファイバーのSEM像(5000倍の倍率で撮影したもの) 実施例5と6、比較例2で得られたセルロースナノファイバー/PLA複合材料のTMAカーブ。 実施例5で調製したセルロースなのファイバー/PLA複合材料フィルムのDSC分析結果 実施例5で得られたセルロースナノファイバー/PLA複合材料の断面のSEM像 実施例6で調製したセルロースナノファイバー/PLA複合材料フィルムのDSC分析結果 比較例2で調製したPLAフィルムのDSC分析結果
以下に本発明をさらに詳細に説明する。本発明では、化1化学式で表させるイオン液体と有機溶媒を含有する溶媒を用いて、ナノファイバーを含むセルロースまたはキチン原料を膨潤または部分溶解、解繊させることによりセルロースのナノファイバーまたはキチンのナノファイバーを製造する。

式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは炭素1〜4のアルキル基またはアリル基である。陰イオンXはハロゲン、擬ハロゲン、炭素数1〜4までのカルボキシレート、又はチオシアネートの群から選ばれるものである。
これらのイオン液体としては、例えば、塩化1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、臭化1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、塩化1−アリル−3−メチルイミダゾリウム、臭化1−アリル−3−メチルイミダゾリウム、臭化1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムが挙げられる。イオン液体のみで繊維原料を処理することも出来るが、溶解力が高すぎでナノファイバーまで溶解してしまう恐れがある場合、有機溶媒を添加して使用することが好ましい。添加する有機溶媒種はイオン液体との相溶性、セルロースまたはキチン材料との親和性、混合溶媒の溶解性、粘度などを考慮し適宜選択すればよいが、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ピリジン、アセトニトリル、メタノール、エタノールの内のいずれかの一つ以上を使用することが好ましい。これらの有機溶媒の共存によりイオン液体はセルロースまたはキチンのナノファイバー間への浸透が促進され、またイオン液体によるナノファイバーの結晶構造の破壊を防ぐことが出来る。
有機溶媒の適切添加量はナノファイバーの原料、イオン液体、有機溶媒などの種類に依存する。これらの影響因子に応じて適宜調整すればよい。しかし溶液中のイオン液体の含有量は重量比で20%未満の場合、膨潤・溶解能力は不十分となり十分な解繊が出来ない。処理溶媒の溶解力がより高いためイオン液体含有量は30%以上であることがより好ましい。メタノールなどのアルコール溶媒では溶解力は低いためイオン液体の含有量は50%以上であることが好ましい、より好ましくは70%以上です。又、セルロースの場合にはイオン液体の比率は70%より大きくなるとナノファイバーまで溶解する恐れがあるため好ましくない。キチンは溶解性がセルロースよりひくい、イオン液体100%にたいしてもナノファイバーが安定であるためイオン液体の比率はより大きいのが好ましい。
更に詳しく言うとセルロース系物質の場合にはイオン液体と有機溶媒の比率が30%〜65%、より好ましくは40%〜60%、キチン物質の場合には、イオン液体と有機溶媒の比率が50%〜95%であることがより好ましい。
本発明に使用するセルロース系物質の種類は特に限定されることはない。使できる原料として木材、ワラ、砂糖キビ、綿、麻など天然セルロース系原料、クラフトパルプ、サルファイトパルプなどの化学処理木材パルプ、セミケミカルパルプ、古紙またはその再生パルプなどが挙げられる。これらのうち、コスト面、品質面、地球環境面より、木材、木材パルプ、ワラ、砂糖キビなどが好ましい。
前記キチン物質は天然キチンが使用できる、出処源は特に限定されることがない。例えば、カニ、えび、昆虫などの殻やキノコなどの植物から得られるキチン物質を挙げることができる。
使用するセルロース系物質またはキチン物質の形状は特に限定するものではないが、処理の容易さ及び溶媒の浸透促進の目的から、適宜粉砕してから使用してもちいるのがよい。
上記のイオン液体と有機溶媒を含有する溶媒を用いてセルロース系物質またはキチン物質を膨潤及び/または部分溶解させる方法及び膨潤及び/または部分溶解と同時に解繊する方法としては、特に限定することではなく、公知な処理方法及び装置を使用することが出来る。例えば、セルロース系物質またはキチン物質をイオン液体含有の溶液に分散させ、静置または攪拌下で原料を膨潤及び/または部分溶解させ並びに膨潤及び/または部分溶解、解繊することができる。
また、膨潤及び/または部分溶解させた後化学変性又は加水分解しする前に若しくは膨潤及び/または部分溶解させた後化学変性又は加水分解しすると同時に解繊する工程では、ホモジナイズ処理、超音波処理などによりさらに解繊を行なうことができる。
また、セルロース物質またはキチン物質をイオン液体と有機溶媒を含有する溶媒に膨潤及び/又は部分溶解させてから、機械処理または超音波処理により更に解繊することが好ましい。イオン液体と有機溶媒を含有する溶媒により膨潤及び/又は部分溶解処理を行なったセルロース系物質またはキチン物質は、ナノファイバー間の結合が弱くなっているため、外力の作用によりナノファイバーは容易に解繊される。
イオン液体と有機溶媒を含有する溶媒に対するセルロース系物質またはキチン物質の添加量は、0.5〜30重量%の範囲にあることが好ましい。0.5重量%より低くなると経済的な効率が低く好ましくない。30重量%より高くなると繊維の解繊度の均一性が劣るため好ましくない。より好ましくは繊維濃度が1.0〜20重量%である。
膨潤及び/または部分溶解での処理温度は特に限定するものではなく、繊維材料を膨潤しナノファイバー間の結合物を軟化・溶解できるための適切な温度を選択すればよいが、通常は20〜120℃がよい。20℃以下であると処理速度が低いと共に処理液の粘度が高いため、解繊効果が低くなる。そのため、解繊の工程が別途必要となってくる。120℃以上であるとナノファイバーまで溶解してしまい、ナノファイバーにダメージを与えると共にナノファイバーの収率は低くなる傾向がある。
上記イオン液体を含有する溶液の処理後、解繊をさらに促進するための機械または超音波処理を行なうことが好ましい。方法としては機械せん断、粉砕や研磨、ホモジナイズ、または超音波処理などが挙げられる。
本発明でいう化学変性は非結晶性セルロース若しくはヘミセルロース又は非結晶性キチンの水酸基を化学修飾することを指す。これらの修飾反応によって非結晶成分を溶媒に溶かすこと又は加熱によって流動性を付与することができる。更に化学変性は高い結晶性のセルロースナノファイバー又はキチンナノファイバーの表面の一部又は全ての水酸基を化学修飾することも好ましい。
前記化学変性はエステル化反応とエーテル化反応は単独で行うこともできるし、エステル化反応とエーテル反応と同時に行うことも好ましい。
本発明におけるエステル化反応はセルロース系物質又はキチン物質の非結晶部分の水酸基の一部又は全てがエステル結合によって封鎖され、セルロースエステル、或いはキチンエステルへ変換させることをいう。更にセルロースナノファイバー又はキチンナノファイバーの表面の一部又は全ての水酸基をエステル化結合させることをいう。
更に、エステルはアセテート、アセテートプロピオネート、アセテートブチレート、フタレートまたはこれらの混合エステルであるものでもよい。
エステル化剤は酸塩化物又は酸無水物であるものが好ましい。酸塩化剤としては、例えば、塩化プロピオニル、塩化ブチリル、塩化オクタノイル、塩化ステアロイル、塩化ベンゾイル、パラトルエンスルホン酸クロライド等が挙げられる。なお、酸塩化物の反応においては、触媒として働くと同時に、副生物である酸性物質を中和する目的でアルカリ性化合物を添加してもよい。具体的には、トリエチルアミン、トリメチルアミン等の3級アミン化合物やピリジン、ジメチルアミノピリジン等の含窒素芳香族化合物が挙げられるが、この限りではない。
また、酸無水物としては、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸等の脂肪族の酸無水物、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸等の二塩基酸無水物が挙げられる。なお、酸無水物の反応においては触媒として、硫酸、塩酸、燐酸などの酸性触媒であるもの或いはトリエチルアミン、ピリジン等のアルカリ性化合物を添加してもよい。
更にエステル化セルロース又はキチンは溶媒で洗浄することによって除去できるがそのままナノファイバーと一緒に析出してナノファイバーの表面に付着させることによってナノファイバーの表面修飾剤としても利用できる。
更にエステル化反応は不定形セルロースとキチンの他、ナノファイバーの表面でも行うことも好ましい。
本発明におけるエステル化反応温度に関しては、何れにおいても100℃以下にて反応を行うことがセルロース又はキチンの熱分解を抑制できるので好ましい。さらに好ましくは90℃以下である。
本発明におけるエーテル化反応はセルロース系物質又はキチン物質の非結晶部分の一部または全ての水酸基をエーテル結合されることをいう。更にセルロースナノファイバー又はキチンナノファイバーの表面の一部又はすべての水酸基がエーテル結合によって封鎖され、セルロースエーテル又はキチンエーテルへ変換させることをいう。
更に、エーテルは炭素数1から10までのエーテル、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチルのまたはこれらの混合エーテルであるものでもよい。
エーテル化剤は炭素数1〜10のクロライド又はブロマイドである。より好ましくはクロライド又はブロマイドのメチル、エチル、プロピル等が挙げられる。なお、エーテル反応においては、触媒を添加しても良い、添加しなくても良い、触媒としてトリエチルアミン、トリメチルアミン等の3級アミン化合物やピリジン、ジメチルアミノピリジン等の含窒素芳香族化合物が挙げられるが、この限りではない。
更にエーテル化セルロース又はキチンは溶媒で洗浄することによって除去できるがそのままナノファイバーと一緒に析出してナノファイバーの表面に付着させることによってナノファイバーの表面修飾剤としても利用できる。
更にエーテル化反応は不定形セルロースとキチンの他、ナノファイバーの表面でも行うことも好ましい。
本発明におけるエーテル化反応温度に関しては、何れにおいても100℃以下にて反応を行うことがセルロース又はキチンの熱分解を抑制できるので好ましい。さらに好ましくは95℃以下である。
更にエステル化とエーテル化変性をともにさせる場合、エステル化反応とエーテル反応は同時又はどちらかは先に行なう、その後エーテル化又はエステル化を行なうこともできる。それを実現するため、エステル化剤とエーテル化剤を同時又は前後にナノファイバー製造系内に加え、一定な温度と時間で反応させることを指す。
処理粘度を考慮すると、エステル化又はエーテル化する前に加水分解させても良い。但し、加水分解後水分を一定な濃度まで除くことが好ましい。
前記加水分解は非結晶性セルロース又はキチンのβ−O−4結合を切断することによって水溶性オリゴ糖及び/又は単糖に変換させることを言う。非結晶性セルロール又はキチンを一旦水溶性オリゴ糖又は単糖に変換させると洗浄により簡易に除去することができる。
前記単糖はグルコース又はN-アセチルグルコサミンと指す。これらの糖は水溶性であり、水洗浄により簡単に除去することができる。
本発明に置ける加水分解触媒は無機酸又は有機酸であれば限定されることがないが、硫酸、塩酸、燐酸、酢酸などを上げられる。
加水分解反応を効率よく進行するために水の添加量は多糖類ナノファイバーを含むイオン液体溶液に対して20重量パーセントを好ましい。さらに好ましくは10重量パーセント以下である。
加水分解反応の温度条件は特に限定されることがないが、セルロースナノファイバー又はキチンナノファイバーの熱分解を抑制でき、ダメージを与えないために反応温度が25〜160℃の範囲内であるのが好ましい。また、25〜120℃であることがより好ましい。
上記エステル化、エーテル化又は加水分解においては、エステル化、エーテル化又は加水分解するための試薬を、前記イオン液体と有機溶媒を含有する溶媒を用いてセルロース系物質またはキチン物質を膨潤及び/または部分溶解並びに解繊させたナノファイバーの製造系内に直接添加することが可能である。
以下に記載の水又は有機溶媒を用いて洗浄する工程に進むことなく、ここまでに記載した方法により、前記(13)記載の多糖類ナノファイバーを含むイオン液体溶液は製造することができる。この多糖類ナノファイバーを含むイオン液体溶液は、溶液中にナノファイバーを高分散させた状態で保持できるので、各種使用目的に対応した多糖類ナノファーバーを製造するのに有用な前駆体として利用できることは、前記したとおりである。
前記化学変性した多糖類ナノファイバーが分散するイオン液体溶液は、化学変性した物質が溶ける水又は溶媒によって洗浄することによって、ナノファイバーを分離することができる。
エステル化した場合は、水、アルコール類、ケトン類、アミド類、エーテル、芳香族等の溶媒で多糖類ナノファイバーが分散するイオン液体溶液を洗浄するのが好ましい。
また、エーテル化した場合は、水、アルコール類、ケトン類、アミド類、エーテル類、芳香族類等の溶媒で多糖類ナノファイバーが分散するイオン液体溶液を洗浄するのが好ましい。
また、前記加水分解した多糖類ナノファイバーが分散するイオン液体溶液は、水によって洗浄することができる。
前記化学変性又は加水分解した後の多糖類ナノファイバーが分散するイオン液体溶液を遠心分離機や濾過によりナノファイバーをイオン液体と有機溶媒を含む溶媒から分離してから、ナノファイバーを洗浄することもできる。ナノファイバーを洗浄するための溶剤はイオン液体と有機溶媒を含む溶媒を抽出し得る溶剤であれば特に限定されることがないが、低コストや安全の面から考えると、水やアルコールが好ましい。
本発明の多糖類ナノファイバーの製造方法で製造した多糖類ナノファイバーは、樹脂に混合して複合材料を製造することもできる。樹脂と複合することにより樹脂の耐熱性、結晶性、強度、弾性率を向上することができる。
樹脂の種類は特に限定されないか、ポリ乳酸(PLA)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PS)、ポリスチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメチルメタクリート(PMMA)、ポリカーボンネート(PC)、ポリビニルアルコール(PVA)、セルロース又はその誘導体などをあげられる。
好ましくはポリ乳酸(PLA)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、塩化ビニル(PVC)、ポリビニルアルコール(PVA)、セルロース又はその誘導体である。
更に本発明の多糖類ナノファイバーは樹脂の結晶核材として用いることもできる。環境面と結晶促進効果は従来の結晶核材より有利である。
以下は実施例にもとづいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。本発明ではセルロースまたはキチンの解繊を促進するためにドイツ製のUltra-Turrax T25 Basicホモジナイザーを用いた。回転速度は13000rpmである。また本発明に用いたポリ乳酸(PLA)はレイシア−100Jである。IR分析は反射モードで行った。
実施例1(加水分解)
濾紙(ADVANTECのFILTER PAPER)をハサミで3mm角に切断したもの2gを200mlのビーカに入れ、それにN,N−ジメチルアセトアミド50mLとイオン液体塩化1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム60gを加え、80℃で磁性攪拌子で30分攪拌した後、Ultra-Turraxホモジナイザーをもちいて13000rpmで5分間処理を行なった。得られた繊維分散液を光学顕微鏡で観察をしたところ、ミクロンオーダーの単繊維に解繊され、液中に均一に状態が確認できた。
上記のようにして得られたセルロースナノファイバーのイオン液体分散液に、6モルの硫酸水溶液9重量部を加え、90℃で20分加水分解反応を行った後、反応液を300重量部の蒸留水に投入、攪拌、濾過、洗浄することによって1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、N−ジメチルアセトアミド、硫酸、及び水溶性糖分などの水溶性成分を蒸留水に溶かし、ナノファイバーを回収した。得られたナノファイバーのSEM像は図1にしめす。セルロースナノファイバーの直径は約50nmであり、ナノファイバーの表面に付着ものが見られない平滑な表面であった。ナノファイバーのX線回折パターンを図2に示す。1型の結晶型であり、原料の濾紙と同様であった。セルロースの固有の性質を維持したままナノファイバー化されていることが分かる。
実施例2(アセチル化)
実施例1で得られたセルロースナノファイバーのイオン液体分散液をホモジナイザーで処理した後、4重量部の無水酢酸を加え、90℃で2時間反応を行った。得られた反応液を200重量部のジメチルアセトアミドに投入分散してから、遠心分離させたことにより無水酢酸又は酢酸、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、N−ジメチルアセトアミド、及び可溶性の酢酸セルロースを除去し、沈殿したナノファイバーを回収し、更に200重量部のメタノールに分散させてから再度遠心分離することによって不純物を除去した。得られたナノファイバーのSEM像とIRスペクトルは図3と4にしめす。セルロースナノファイバーの直径は約50nm前後であり、ナノファイバーの表面が後記する比較例1のSEMと比べはっきりしていることから不定形セルロースは除去されたと分った。又IR分析結果からアセチル化させたセルロースナノファイバーのIRスペクトルにエステル化の特徴とする波数1720のカルボキシ基吸収バンドがあることからナノファイバーの表面にアセチル化修飾できたと確認した。
実施例3(ブチレート化)
実施例1で得られたセルロースナノファイバーのイオン液体分散液をホモジナイザーで処理した後、6重量部の無水酪酸を加え、90℃で2時間反応を行った。得られた反応液を200重量部のジメチルアセトアミドに投入分散してから、遠心分離させたことにより無水酪酸又は酪酸、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、N−ジメチルアセトアミド、及び可溶性を有するセルロースブチレートを除去し、遠心管の底に沈殿したナノファイバーを回収し、更に200重量部のメタノールに分散させてから再度遠心分離によって不純物を除去した。得られたナノファイバーのSEM像とIRスペクトルは図5と6にしめす。セルロースナノファイバーの直径は約50nm前後であり、ナノファイバーの表面が後記する比較例1のSEM像と比べはっきりしていることから不定形セルロースは除去されたと分った。又IR分析結果からブチレート化させたセルロースナノファイバーのIRスペクトルにエステル化の特徴とする波数1720のカルボキシ基吸収バンドがあることからナノファイバーの表面にブチレート化修飾ができたと確認した。
実施例4(プロピルエーテル化)
実施例1で得られたセルロースナノファイバーのイオン液体分散液をホモジナイザーで処理した後、6重量部のプロピルブロマイドを加え、90℃で2時間反応を行った。得られた反応液を200重量部のジメチルアセトアミドに投入分散してから、遠心分離させたことによりプロピルブロマイド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、N−ジメチルアセトアミド、及び可溶性を有するプロビルセルロースを除去し、沈殿したナノファイバーを回収し、更に200重量部のメタノールに分散させてから再度遠心分離することによって不純物を除去した。得られたナノファイバーのSEM像とIRスペクトルは図7と8に示す。セルロースナノファイバーの直径は約50nmであり、ナノファイバーの表面が後記する比較例1のSEM像と比べはっきりしていることから不定形セルロースは除去されたと分った。又得られたナノファイバーのIRスペクトルに波数3650〜3200の水酸基吸収バンド、2975〜2970のアルキル基吸収バンド、及び1275〜1060のエーテル吸収バンドは比較例1と比較すると大きい変化があることからエーテル化反応はできたと推測した。
比較例1
実施例1で得られたセルロースナノファイバーのイオン液体分散液を加水分解またはアセチル化せず、遠心分離によってイオン液体を除去し、さらにメタノールを用いて洗浄した。得られたナノファイバーの5000倍で撮影したSEM像は図9に示す。実施例1〜4で得られたナノファイバーのSEM像と比べ、比較例1で得られたナノファイバーは太くて凝集していることが分かる。さらに、その背面にある繊維がSEM像で撮影されていないことから繊維の間には非結晶性の物質(不定形の物質)が存在していることが確認できる。
実施例5
実施例3で得られたセルロースナノファイバー1重量部、ポリ乳酸99重量部をラッボ混練機で190℃10分混練させてから、ホットプレス機にてフィルムを成形した。得られたフィルムの厚さは約0.2mmであった。フィルムを20mm×5mmの長方形をカットしてTMAの分析をさせた。更にDSC分析された。又液体窒素で冷却させてから折って破断断面をSEMで観察させた。TMA、とDSC分析した結果を図10、11及び表1に示す。フィルムの破断断面のSEMを図12に示す。SEM像からナノファイバーはポリ乳酸(PLA)に凝集しなく分散状態は良好であることが分った。又TMAの分析から軟化温度はPLA単独樹脂より約15℃上がることが分った。又、DSCの結果からセルロースナノファイバーと複合することにより結晶速度は顕著に向上し、結晶化熱が34J/gであった。この結果から本技術により調製したセルロースナノファイバーはポリマーの結晶核剤として利用できることが分った。
実施例6
セルロースナノファイバー5重量部、ポリ乳酸95重量部以外実施例6と同様に実施して得られたフィルムのTMAとDSC分析結果は図10、13と及び表1に示す。TMAの分析から軟化温度はPLA単独樹脂より約90℃上がることが分った。DSC分析結果からセルロースナノファイバー5%を添加するとポリ乳酸の結晶速度は顕著に向上し、結晶化熱が32J/gであった。この結果から本技術により調製したセルロースナノファイバーはポリマーの結晶核剤として利用できることが分った。
比較例2
セルロースナノファイバーを添加せず以外は実施例6と同様実施した。得られたPLAフィルムのTMA、DSC分析結果を図10、14及び表1に示す。熱軟化温度は実施例5と6よりはるか低くなり、結晶ピークは検出されなかった。
〔表1〕実施例5、6と比較例2で得られたフィルムの熱分析結果

本発明は、特別な前処理を必要とせず木質セルロースおよびキチンなどのナノファイバーを含む物質から効率よく高品質なセルロースナノファイバーまたはキチンナノファイバーを製造することが出来る。本発明の製造方法により得られたセルロースナノファイバー、キチンナノファイバーは医用材料、衣料、不織布、フィルター、フィルム、樹脂の補強材として利用できる。
また、セルロースナノファイバー、キチンナノファイバーは、環境に優しい特性と再生資源の利用などの利点を生かして、多方面の材料分野でこれまで以上の応用展開が大きく期待できる。
セルロースナノファイバーを構成するセルロース分子鎖は、伸びきり鎖結晶となっていることにより、弾性率、強度、熱膨張係数などの特性はマグネシウム合金に匹敵すると共に、低い比重、高アスペクト、大きい表面積などの特徴を持つためセルロースナノファイバーは樹脂の補強材として利用可能である。
それ以外にもその耐熱性を生かして他の材料に混入させることにより耐熱性材料としても利用できることができる。
特に、化学変性(エステル化及びエーテル化)したセルロースナノファイバーは、水素結合が修飾されるので、再凝縮することなく高分散の状態を維持することができる。そのため、疎水性のポリマーだけでなく、親水性のポリマーにも添加することができる。
さらに、キチン不織布は医療分野における創傷被覆保護材等に好適である。
特に、キチンは生体内で分解され、良好な生体親和性を持ち、創傷治癒効果があるために医療分野で注目され、キチンナノファイバーは、例えば止血剤、人工皮膚、人口骨、生体吸収性縫合糸などへ応用ができる。
また、抗菌性、消臭効果があるため繊維分野にも利用可能である。

Claims (9)

  1. セルロース系物質またはキチン物質から多糖類ナノファイバーを製造する方法であって、
    化1化学式で表せるイオン液体と有機溶媒を含有する混合溶媒を用いてセルロース系物質またはキチン物質を膨潤及び/または部分溶解させる工程と、膨潤及び/または部分溶解された成分にエステル化、エーテル化又は同時にエステル化とエーテル化を行う工程と、イオン液体及びその他の可溶物の一部又は全部を除去する洗浄工程とを有することを特徴とする多糖類ナノファイバーの製造方法。
    式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは炭素1〜4のアルキル基またはアリル基である。陰イオンXはハロゲン、擬ハロゲン、炭素数1〜4までのカルボキシレート、又はチオシアネートの群から選ばれるものである。
  2. 前記混合溶媒中のイオン液体の含有率はセルロース系物質の場合にはイオン液体の比率が30〜65質量%であり、キチン物質の場合にはイオン液体の比率が50〜95質量%であることを特徴とする請求項1に記載の多糖類ナノファイバーの製造方法。
  3. 前記有機溶媒が、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ピリジン、アセトニトリル、メタノール、エタノールの中から選ばれる一つ以上の溶媒であることを特徴とする請求項1または2に記載の多糖類ナノファイバーの製造方法。
  4. 前記セルロース系物質またはキチン物質を膨潤及び/または部分溶解させる工程と同時に若しくは前記工程後に、膨潤及び/または部分溶解された成分に加水分解を加える工程を設けて、前記加水分解の工程後にエステル化、エーテル化又は同時にエステル化とエーテル化を行う工程を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の多糖類ナノファイバーの製造方法。
  5. 前記エステル化は、無水酢酸、酢酸ビニル、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、塩化フェニルアセチルなどのエステル化試薬から選ばれる1種又は2種以上の物質を用いて行うことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の多糖類ナノファイバーの製造方法。
  6. 前記エーテル化は炭素数1〜20のハロゲン化アルキル、炭素数2〜4のアルキレンオキシドまたはモノハロゲン化酢酸などのエーテル化剤から選ばれる1種又は2種以上の物質を用いて行うことを特徴とする請求項1から5いずれかに記載の多糖類ナノファイバーの製造方法。
  7. 請求項1からのいずれかに記載の多糖類ナノファイバーの製造方法で製造された多糖類ナノファイバー。
  8. 樹脂の結晶核剤として用いることを特徴とする請求項に記載の多糖類ナノファイバー。
  9. 請求項に記載の多糖類ナノファイバーと樹脂を含むことを特徴とする複合材料。

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