本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有する色素を含有する感光体層のヘイズ率を特定の値以上とすることにより、変換効率が高く、耐久性に優れた光電変換素子及び光電気化学電池とすることができることを見出した。本発明はこの知見に基づきなされたものである。
本発明の光電変換素子の好ましい実施態様を、図1の模式的断面図を参照して説明する。
図1に示すように、光電変換素子10は、導電性支持体1、導電性支持体1上にその順序で配された、感光体層2、電荷移動体層3、及び対極4からなる。上記導電性支持体1と感光体層2とにより受光電極5を構成している。その感光体層2は半導体微粒子22と増感色素(以下、単に、色素ともいう。)21とを有している。増感色素21はその少なくとも一部において半導体微粒子22に吸着している(増感色素21は吸着平衡状態になっており、一部電荷移動体層3に存在していてもよい。)。電荷移動体層3は、例えば正孔(ホール)を輸送する正孔輸送層として機能する。感光体層2が形成された導電性支持体1は、光電変換素子10において作用電極として機能する。この光電変換素子10を外部回路6で仕事をさせるようにして、光電気化学電池100として作動させることができる。
上記受光電極5は、導電性支持体1及び導電性支持体1上に塗設される増感色素21の吸着した半導体微粒子22の感光体層2(半導体膜)よりなる電極である。感光体層2(半導体膜)に入射した光は色素を励起する。励起色素はエネルギーの高い電子を有している。そこでこの電子が増感色素21から半導体微粒子22の伝導帯に渡され、さらに拡散によって導電性支持体1に到達する。このとき増感色素21の分子は酸化体となっている。電極上の電子が外部回路6で仕事をしながら酸化体に戻ることにより、光電気化学電池100として作用する。この際、受光電極5はこの電池の負極として働く。
上記感光体層2は、後述の色素が吸着された半導体微粒子22の層からなる多孔質半導体層で構成されている。この色素は一部電解質中に解離したもの等があってもよい。感光体層2は目的に応じて設計され、多層構造からなる。
上述したように感光体層2には、特定の色素が吸着した半導体微粒子22を含むことから、受光感度が高く、光電気化学電池100として使用する場合に、高い光電変換効率を得ることができ、さらに高い耐久性を有する。
(A)色素
上記感光体層2では、多孔質半導体層が下記一般式(1)で表される少なくとも1つの色素21で増感されている。一般式(1)において、Mzは金属原子を表す。
Mz(LL1)m1(LL2)m2(X)m3・CI ・・・一般式(1)
(A1)金属原子Mz
Mzは金属原子を表す。Mzは好ましくは4配位又は6配位が可能な金属であり、より好ましくはRu、Fe、Os、Cu、W、Cr、Mo、Ni、Pd、Pt、Co、Ir、Rh、Re、Mn又はZnである。特に好ましくは、Ru、Os、Zn又はCuであり、最も好ましくはRuであり、本発明ではRuである。
(A2)配位子LL1
配位子LL1は、下記一般式(2)により表される2座又は3座の配位子であり、好ましくは2座配位子である。配位子LL1の数を表すm1は0〜3の整数であり、1〜3であるのが好ましく、1であるのがより好ましい。m1が2以上のとき、配位子LL1は同じでも異なっていてもよい。ただし、m1と、後述の配位子LL2の数を表すm2のうち少なくとも一方は1以上の整数である。したがって金属原子に、配位子LL1及び配位子LL2のどちらか一方又は両方が配位している。
一般式(2)中のR101及びR102はそれぞれ独立に酸性基を表し、例えばカルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基(好ましくは炭素原子数1〜20のヒドロキサム酸基、例えば、―CONHOH、―CONCH3OH等)、ホスホリル基(例えば―OP(O)(OH)2等)及びホスホニル基(例えば―P(O)(OH)2等)が挙げられ、好ましくはカルボキシル基、ホスホニル基であり、より好ましくはカルボキシル基が挙げられる。R101及びR102はピリジン環上のどの炭素原子に置換してもよい。
一般式(2)中、R103、R104はそれぞれ独立に置換基を表し、好ましくはアルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルキニル基、例えば、エチニル、ブタジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリール基、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数2〜20のヘテロ環基、例えば、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、例えば、エトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20のアミノ基、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、アニリノ等)、スルホンアミド基(好ましくは炭素原子数0〜20のスルホンアミド基、例えば、N,N−ジメチルスルホンアミド、N−フェニルスルホンアミド等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20のカルバモイル基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、シアノ基、又はハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、シアノ基又はハロゲン原子であり、特に好ましくはアルキル基、アルケニル基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基又はシアノ基である。
配位子LL1がアルキル基、アルケニル基等を含むとき、これらは直鎖状でも分岐状でもよく、置換されていても無置換でもよい。また配位子LL1がアリール基、ヘテロ環基等を含むとき、それらは単環でも縮環でもよく、置換されていても無置換でもよい。
一般式(2)中、R105及びR106はそれぞれ独立に、芳香族基(好ましくは炭素原子数6〜30の芳香族基、例えば、フェニル、置換フェニル、ナフチル、置換ナフチル等)、又はヘテロ環基(好ましくは炭素原子数1〜30のヘテロ環基、例えば、2−チエニル、2−ピロリル、2−イミダゾリル、1−イミダゾリル、4−ピリジル、3−インドリル)であり、好ましくは1〜3個の電子供与基を有するヘテロ環基であり、より好ましくはチエニルが挙げられる。該電子供与基はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基(以上好ましい例はR101及びR102の場合と同様)又はヒドロキシル基であるのが好ましく、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基又はヒドロキシル基であるのがより好ましく、アルキル基であるのが特に好ましい。R103とR104は同じであっても異なっていてもよいが、同じであるのが好ましい。
R105とR106は、直接ベンゼン環に結合していてもよい。R105とR106は、L1及びL2のどちらか一方又は両方を介してベンゼン環に結合していてもよい。
ここでL1及びL2はそれぞれ独立に、エテニレン基及び/又はエチニレン基からなる共役鎖を表す。エテニレン基が置換基を有する場合、該置換基はアルキル基であるのが好ましく、メチルであるのがより好ましい。L1及びL2はそれぞれ独立に、炭素原子数2〜6個の共役鎖であるのが好ましく、エテニレン、ブタジエニレン、エチニレン、ブタジイニレン、メチルエテニレン又はジメチルエテニレンがより好ましく、エテニレン又はブタジエニレンが特に好ましく、エテニレンが最も好ましい。L1とL2は同じであっても異なっていてもよいが、同じであるのが好ましい。なお、共役鎖が炭素―炭素二重結合を含む場合、各二重結合はトランス体であってもシス体であってもよく、これらの混合物であってもよい。
d3は0又は1であり、a1及びa2はそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。a1が2以上のときR101は同じでも異なっていてもよく、a2が2以上のときR102は同じでも異なっていてもよい。a1は0又は1であるのが好ましく、a2は0〜2の整数であるのが好ましい。特に、d3が0のときa2は1又は2であるのが好ましく、d3が1のときa2は0又は1であるのが好ましい。a1とa2の和は0〜2の整数であるのが好ましい。
b1及びb2はそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、0〜2の整数であるのが好ましい。b1が2以上のとき、R103は同じでも異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していてもよい。b2が2以上のとき、R104は同じでも異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していてもよい。またb1及びb2がともに1以上のとき、R103とR104が連結して環を形成していてもよい。形成する環の好ましい例としては、ベンゼン環、ピリジン環、チオフェン環、ピロール環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環等が挙げられる。
a1とa2の和が1以上であって、配位子LL1が酸性基を少なくとも1個有するときは、一般式(2)中のm1は2又は3であるのが好ましく、2であるのがより好ましい。
一般式(2)における配位子LL1として好ましくは、R105またはR106が、フェニル基、チエニル基、フリル基、ピリル基を表し、且つ置換基として炭素数2以上のアルキル基を含む場合である。
一般式(2)における配位子LL1としてより好ましくは、R 105 またはR 106 が、フェニル基、チエニル基、フリル基、ピリル基を表し、且つ置換基として炭素数2以上のアルキル基を含み、且つa1、a2がどちらも0である場合である。
一般式(2)における配位子LL1として更に好ましくは、R 105 またはR 106 が、フェニル基、チエニル基を表し、且つ置換基として炭素数3以上のアルキル基を含み、且つa1、a2、b1およびb2が全て0である場合である。
一般式(2)における配位子LL1は、下記一般式(4−1)、(4−2)又は(4−3)で表されるものがさらに好ましい。
上記一般式(4−1)〜(4−3)中、R101〜R104、a1、a2、b1、b2及びd3は一般式(2)におけるものと同義である。
一般式(4−2)中、R107は酸性基を表し、好ましくはカルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基、ホスホリル基及びホスホニル基であり、より好ましくはカルボキシル基又はホスホリル基であり、特に好ましくはカルボキシル基である。
一般式(4−2)中、R108は置換基を表し、好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基又はアシルアミノ基(以上好ましい例は、一般式(2)における上記R103及びR104の場合と同様)であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アミノ基又はアシルアミノ基である。
一般式(4−1)及び(4−2)中、R121〜R124はそれぞれ独立に、水素、アルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。R121〜R124の好ましい例は、一般式(2)における上記R103及びR104の好ましい例と同様である。R121〜R124はさらに好ましくは、アルキル基又はアリール基であり、より好ましくはアルキル基である。R121〜R124がアルキル基である場合はさらに置換基を有していてもよく、該置換基としてはアルコキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基又はカルボンアミド基が好ましく、アルコキシ基が特に好ましい。R121とR122ならびにR123とR124はそれぞれ互いに連結して環を形成していてもよい。形成する環としてはピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、又はモルホリン環等が好ましい。
一般式(4−1)〜(4−3)中、R125、R126、R127及びR128はそれぞれ独立に置換基を表し、好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基(以上好ましい例は上記一般式(2)におけるR101の場合と同様である。)又はヒドロキシル基であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アミノ基又はアシルアミノ基であり、特に好ましくはアルキル基、アルキニル基である。
一般式(4−2)中、a3は0〜3の整数を表し、好ましくは0〜2の整数を表す。d3が0のときa3は1又は2であるのが好ましく、d3が1のときa3は0又は1であるのが好ましい。a3が2以上のときR107は同じでも異なっていてもよい。
一般式(4−1)及び(4−2)中、d1及びd2はそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。d1が1以上のときR125は、R121及びR122のどちらか一方又は両方と連結して環を形成していてもよい。形成される環はピペリジン環又はピロリジン環であるのが好ましい。d1が2以上のときR125は同じでも異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していてもよい。d2が1以上のときR126は、R123及びR124のどちらか一方又は両方と連結して環を形成していてもよい
形成される環はピペリジン環又はピロリジン環であるのが好ましい。d2が2以上のときR126は同じでも異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していてもよい。
ただし、本発明では、LL1は、下記の1)または2)である。
1)上記一般式(2)において、R105及びR106がそれぞれ独立に、2−フリル基であり、L1およびL2がエテニレン基であり、a1、a2、b1、b2が0であり、d3は1であり、d1及びd2が1である。
2)上記一般式(4−3)において、a1、a2、b1及びb2は0であり、R127およびR128はそれぞれ独立にアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基であり、d3は1である。
(A3)配位子LL2
一般式(1)中、配位子LL2は2座又は3座の配位子を表す。配位子LL2の数を表すm2は0〜2の整数であり、0又は1であるのが好ましい。m2が2のとき配位子LL2は同じでも異なっていてもよい。ただし、m2と、前述の配位子LL1の数を表すm1のうち少なくとも一方は1以上の整数である。
配位子LL2は、下記一般式(3)で表される2座又は3座の配位子である。
一般式(3)中、Za、Zb及びZcはそれぞれ独立に、5員環又は6員環を形成しうる非金属原子群を表す。形成される5員環又は6員環は置換されていても無置換でもよく、単環でも縮環していてもよい。
Za、Zb及びZcには、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子を有する5員環又は6員環であることが好ましく、5員環又は6員環には、水素原子やハロゲン原子を有していてもよい。Za、Zb又はZcは芳香族環であることが好ましい。5員環の場合はイミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環又はトリアゾール環を形成するのが好ましく、6員環の場合はピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環又はピラジン環を形成するのが好ましい。なかでもイミダゾール環又はピリジン環がより好ましい。
一般式(3)中、cは0又は1を表す。cは0であるのが好ましく、配位子LL2は2座配位子であるのが好ましい。
配位子LL2は、下記一般式(5−1)〜(5−8)のいずれかにより表されるのが好ましく、一般式(5−1)、(5−2)、(5−4)又は(5−6)により表されるのがより好ましく、一般式(5−1)又は(5−2)により表されるのが特に好ましく、一般式(5−1)により表されるのが最も好ましい。
なお、一般式(5−1)〜(5−8)中のR
151〜R
166は図示の都合上1つの環上に置換したように描写しているが、その環上にあっても、または図示されたものとは異なる環状に置換していてもよい。
一般式(5−1)〜(5−8)中、R151〜R158はそれぞれ独立に酸性基を表す。R151〜R158は、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基(好ましくは炭素原子数1〜20のヒドロキサム酸基、例えば―CONHOH、―CONCH3OH等)、ホスホリル基(例えば―OP(O)(OH)2等)又はホスホニル基(例えば―P(O)(OH)2等)を表す。R151〜R158は、好ましくはカルボキシル基、ホスホリル基又はホスホニル基等、さらに好ましくはカルボキシル基又はホスホニル基であり、より好ましくはカルボキシル基である。
一般式(5−1)〜(5−8)中、R159〜R166はそれぞれ独立に置換基を表し、好ましくはアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシル基、スルホンアミド基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アシルアミノ基、シアノ基又はハロゲン原子(以上好ましい例は、一般式(14)におけるR103及びR104の場合と同様)であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基又はハロゲン原子であり、特に好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基又はアシルアミノ基である。
一般式(5−1)〜(5−8)中、R167〜R171はそれぞれ独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基、炭素原子で結合するヘテロ環基を表し。好ましくは、脂肪族基、芳香族基であり。より好ましくはカルボキシル基を有する脂肪族基である。配位子LL2がアルキル基、アルケニル基等を含むとき、それらは直鎖状でも分岐状でもよく、置換されていても無置換でもよい。また、配位子LL2がアリール基、ヘテロ環基等を含むとき、それらは単環でも縮環でもよく、置換されていても無置換でもよい。
一般式(5−1)〜(5−8)中、R151〜R166は環上のどの位置に結合していてもよい。またe1〜e6はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、好ましくは1〜2の整数を表す。e7及びe8はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、好ましくは1〜3の整数を表す。e9〜e12及びe15はそれぞれ独立に0〜6の整数を表し、e13、e14及びe16はそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。e9〜e16はそれぞれ独立に0〜3の整数であるのが好ましい。
e1〜e8が2以上のとき、R151〜R158はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、e9〜e16が2以上のとき、R159〜R166はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していてもよい。
ただし、本発明の配位子LL 2 は、一般式(3)において、Za、Zb及びZcはそれぞれ独立に、ピリジン環を形成しうる非金属原子群であり、cが0である。また、該ピリジン環はカルボキシル基を有してもよい。
(A4)配位子X
一般式(1)中、配位子Xは1座又は2座の配位子を表す。配位子Xの数を表すm3は0〜2の整数を表し、m3は好ましくは1又は2である。配位子Xが1座の配位子のとき、m3は2であるのが好ましく、配位子Xが2座配位子のとき、m3は1であるのが好ましい。m3が2のとき、配位子Xは同じでも異なっていてもよく、配位子X同士が連結していてもよい。
配位子Xは、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、サリチル酸、グリシルオキシ、N,N−ジメチルグリシルオキシ、オキザリレン(―OC(O)C(O)O―)等)、アシルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルチオ基、例えば、アセチルチオ、ベンゾイルチオ等)、チオアシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のチオアシルオキシ基、例えば、チオアセチルオキシ基(CH3C(S)O―)等))、チオアシルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20のチオアシルチオ基、例えば、チオアセチルチオ(CH3C(S)S―)、チオベンゾイルチオ(PhC(S)S―)等))、アシルアミノオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルアミノオキシ基、例えば、N−メチルベンゾイルアミノオキシ(PhC(O)N(CH3)O―)、アセチルアミノオキシ(CH3C(O)NHO―)等))、チオカルバメート基(好ましくは炭素原子数1〜20のチオカルバメート基、例えば、N,N−ジエチルチオカルバメート等)、ジチオカルバメート基(好ましくは炭素原子数1〜20のジチオカルバメート基、例えば、N−フェニルジチオカルバメート、N,N−ジメチルジチオカルバメート、N,N−ジエチルジチオカルバメート、N,N−ジベンジルジチオカルバメート等)、チオカルボネート基(好ましくは炭素原子数1〜20のチオカルボネート基、例えば、エチルチオカルボネート等)、ジチオカルボネート(好ましくは炭素原子数1〜20のジチオカルボネート、例えば、エチルジチオカルボネート(C2H5OC(S)S―)等)、トリチオカルボネート基(好ましくは炭素原子数1〜20のトリチオカルボネート基、例えば、エチルトリチオカルボネート(C2H5SC(S)S−)等)、アシル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシル基、例えば、アセチル、ベンゾイル等)、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、シアノ基、アルキルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルチオ基、例えばメタンチオ、エチレンジチオ等)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜20のアリールチオ基、例えば、ベンゼンチオ、1,2−フェニレンジチオ等)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシ基、例えばメトキシ等)及びアリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、例えばフェノキシ、キノリン−8−ヒドロキシル等)からなる群から選ばれた基で配位された1座又は2座の配位子、もしくはハロゲン原子(好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、カルボニル(…CO)、ジアルキルケトン(好ましくは炭素原子数3〜20のジアルキルケトン、例えばアセトン((CH3)2CO…)等)、1,3−ジケトン(好ましくは炭素原子数3〜20の1,3−ジケトン、例えば、アセチルアセトン(CH3C(O…)CH=C(O―)CH3)、トリフルオロアセチルアセトン(CF3C(O…)CH=C(O―)CH3)、ジピバロイルメタン(tC4H9C(O…)CH=C(O―)t−C4H9)、ジベンゾイルメタン(PhC(O…)CH=C(O―)Ph)、3−クロロアセチルアセトン(CH3C(O…)CCl=C(O―)CH3)等)、カルボンアミド(好ましくは炭素原子数1〜20のカルボンアミド、例えば、CH3N=C(CH3)O―、―OC(=NH)―C(=NH)O―等)、チオカルボンアミド(好ましくは炭素原子数1〜20のチオカルボンアミド、例えば、CH3N=C(CH3)S―等)、又はチオ尿素(好ましくは炭素原子数1〜20のチオ尿素、例えば、NH(…)=C(S―)NH2、CH3N(…)=C(S―)NHCH3、(CH3)2N―C(S…)N(CH3)2等)からなる配位子を表す。なお、「…」は配位結合を示す。
配位子Xは、好ましくはアシルオキシ基、チオアシルチオ基、アシルアミノオキシ基、ジチオカルバメート基、ジチオカルボネート基、トリチオカルボネート基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、シアノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基及びアリールオキシ基からなる群から選ばれた基で配位する配位子、あるいはハロゲン原子、カルボニル、1,3−ジケトン又はチオ尿素からなる配位子であり、より好ましくはアシルオキシ基、アシルアミノオキシ基、ジチオカルバメート基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、シアノ基又はアリールチオ基からなる群から選ばれた基で配位する配位子、あるいはハロゲン原子、1,3−ジケトン又はチオ尿素からなる配位子であり、特に好ましくはジチオカルバメート基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基及びイソシアネート基からなる群から選ばれた基で配位する配位子、あるいはハロゲン原子又は1,3−ジケトンからなる配位子であり、最も好ましくは、ジチオカルバメート基、チオシアネート基及びイソチオシアネート基からなる群から選ばれた基で配位する配位子、あるいは1,3−ジケトンからなる配位子である。なお配位子Xがアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキレン基等を含む場合、それらは直鎖状でも分岐状でもよく、置換されていても無置換でもよい。またアリール基、ヘテロ環基、シクロアルキル基等を含む場合、それらは置換されていても無置換でもよく、単環でも縮環していてもよい。
配位子Xが2座配位子のとき、配位子Xはアシルオキシ基、アシルチオ基、チオアシルオキシ基、チオアシルチオ基、アシルアミノオキシ基、チオカルバメート基、ジチオカルバメート基、チオカルボネート基、ジチオカルボネート基、トリチオカルボネート基、アシル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基及びアリールオキシ基からなる群から選ばれた基で配位する配位子、あるいは1,3−ジケトン、カルボンアミド、チオカルボンアミド、又はチオ尿素からなる配位子であるのが好ましい。配位子Xが1座配位子のとき、配位子Xはチオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、シアノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基からなる群から選ばれた基で配位する配位子、あるいはハロゲン原子、カルボニル、ジアルキルケトン、チオ尿素からなる配位子であるのが好ましい。
ただし本発明では、Xはチオシアネート基、イソチオシアネート基、シアネート基、イソシアネート基からなる群から選ばれた基で配位する1座の配位子、あるいは1,3−ジケトンの2座の配位子である。
(A5)対イオンCI
一般式(2)中のCIは電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。一般に、色素が陽イオン又は陰イオンであるか、あるいは正味のイオン電荷を有するかどうかは、色素中の金属、配位子及び置換基に依存する。
置換基が解離性基を有することなどにより、一般式(2)の色素は解離して負電荷を持ってもよい。この場合、一般式(2)の色素全体の電荷は対イオンCIにより電気的に中性とされる。
対イオンCIが正の対イオンの場合、例えば、対イオンCIは、無機又は有機のアンモニウムイオン(例えばテトラアルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン等)、アルカリ金属イオン又はプロトンである。
対イオンCIが負の対イオンの場合、例えば、対イオンCIは、無機陰イオンでも有機陰イオンでもよい。例えば、ハロゲン陰イオン(例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等)、置換アリールスルホン酸イオン(例えばp−トルエンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホン酸イオン等)、アリールジスルホン酸イオン(例えば1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオン等)、アルキル硫酸イオン(例えばメチル硫酸イオン等)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等が挙げられる。さらに電荷均衡対イオンとして、イオン性ポリマーあるいは色素と逆電荷を有する他の色素を用いてもよく、金属錯イオン(例えばビスベンゼン−1,2−ジチオラトニッケル(III)等)も使用可能である。
(A6)結合基
一般式(1)で表される構造を有する色素は、半導体微粒子の表面に対する適当な結合基(interlocking group)を少なくとも1つ以上有するのが好ましい。この結合基を色素中に1〜6個有するのがより好ましく、1〜4個有するのが特に好ましい。カルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ヒドロキサム酸基(例えば―CONHOH等)、ホスホリル基(例えば―OP(O)(OH)2等)、ホスホニル基(例えば―P(O)(OH)2等)等の酸性基(解離性のプロトンを有する置換基)を色素中に有することが好ましい。
一般式(1)で表される色素は、溶液中における極大吸収波長が、500〜700nmの範囲であり、より好ましくは500〜650nmの範囲である。
一般式(1)で表される色素は、特開2001−291534号公報を参考に、従来の方法で調製することができる。
本発明で用いる一般式(1)で表される構造を有する色素の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。ここで、下記の色素A−1、A−2、A−5、A−6、A−7、A−11〜A−14およびA−16は参考例である。
なお、下記具体例における色素がプロトン解離性基を有する配位子を含む場合、該配位子は必要に応じて解離しプロトンを放出してもよい。
(B)電荷移動体
本発明の光電変換素子10に用いられる電解質組成物には、酸化還元対として、例えばヨウ素とヨウ化物(例えばヨウ化リチウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム等)との組み合わせ、アルキルビオローゲン(例えばメチルビオローゲンクロリド、ヘキシルビオローゲンブロミド、ベンジルビオローゲンテトラフルオロボレート)とその還元体との組み合わせ、ポリヒドロキシベンゼン類(例えばハイドロキノン、ナフトハイドロキノン等)とその酸化体との組み合わせ、2価と3価の鉄錯体(例えば赤血塩と黄血塩)の組み合わせ等が挙げられる。これらのうちヨウ素とヨウ化物との組み合わせが好ましい。
ヨウ素塩のカチオンは5員環又は6員環の含窒素芳香族カチオンであるのが好ましい。特に、一般式(1)により表される化合物がヨウ素塩でない場合は、再公表WO95/18456号公報、特開平8−259543号公報、電気化学,第65巻,11号,923頁(1997年)等に記載されているピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩等のヨウ素塩を併用するのが好ましい。
本発明の光電変換素子10に使用される電解質組成物中には、ヘテロ環4級塩化合物と共にヨウ素を含有するのが好ましい。ヨウ素の含有量は電解質組成物全体に対して0.1〜20質量%であるのが好ましく、0.5〜5質量%であるのがより好ましい。
本発明の光電変換素子10に用いられる電解質組成物は溶媒を含んでいてもよい。電解質組成物中の溶媒含有量は組成物全体の50質量%以下であるのが好ましく、30質量%以下であるのがより好ましく、10質量%以下であるのが特に好ましい。
溶媒としては低粘度でイオン移動度が高いか、高誘電率で有効キャリアー濃度を高めることができるか、又はその両方であるために優れたイオン伝導性を発現できるものが好ましい。このような溶媒としてカーボネート化合物(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等)、複素環化合物(3−メチル−2−オキサゾリジノン等)、エーテル化合物(ジオキサン、ジエチルエーテル等)、鎖状エーテル類(エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等)、アルコール類(メタノール、エタノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等)、多価アルコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等)、ニトリル化合物(アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、ビスシアノエチルエーテル等)、エステル類(カルボン酸エステル、リン酸エステル、ホスホン酸エステル等)、非プロトン性極性溶媒(ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルフォラン等)、水、特開2002−110262記載の含水電解液、特開2000−36332号公報、特開2000−243134号公報、及び再公表WO/00−54361号公報記載の電解質溶媒などが挙げられる。これらの溶媒は二種以上を混合して用いてもよい。
また、電解質溶媒として、室温において液体状態であり、及び室温よりも低い融点を有する電気化学的に不活性な塩を用いても良い。例えば、1−エチルー3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチルー3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート等にイミダゾリウム塩、ピリジニウム塩などの含窒素ヘテロ環四級塩化合物、又はテトラアルキルアンモニウム塩などが挙げられる。
本発明の光電変換素子に用いられる電解質組成物には、ポリマーやオイルゲル化剤を添加したり、多官能モノマー類の重合やポリマーの架橋反応等の手法によりゲル化(固体化)してもよい。
ポリマーを添加することにより電解質組成物をゲル化させる場合、Polymer Electrolyte Reviews−1及び2(J. R. MacCallumとC. A. Vincentの共編、ELSEVIER APPLIED SCIENCE)に記載された化合物等を添加することができる。この場合、ポリアクリロニトリル又はポリフッ化ビニリデンを用いるのが好ましい。
オイルゲル化剤を添加することにより電解質組成物をゲル化させる場合は、オイルゲル化剤としてJ. Chem. Soc. Japan, Ind. Chem. Soc., 46779 (1943)、J. Am. Chem. Soc., 111, 5542 (1989)、J. Chem. Soc., Chem. Commun., 390 (1993)、Angew. Chem. Int.Ed. Engl., 35, 1949 (1996)、Chem. Lett., 885, (1996)、J. Chem. Soc., Chem. Commun., 545, (1997)等に記載された化合物を使用することができ、アミド構造を有する化合物を用いるのが好ましい。
多官能モノマー類の重合によって電解質組成物をゲル化する場合は、多官能モノマー類、重合開始剤、電解質及び溶媒から溶液を調製し、キャスト法、塗布法、浸漬法、含浸法等の方法により色素を担持した電極上にゾル状の電解質層を形成し、その後多官能モノマーのラジカル重合によってゲル化させる方法が好ましい。多官能モノマー類はエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物であることが好ましく、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等が好ましい。
ゲル電解質は上記多官能モノマー類の他に単官能モノマーを含む混合物の重合によって形成してもよい。単官能モノマーとしては、アクリル酸又はα−アルキルアクリル酸(アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等)或いはそれらのエステル又はアミドやビニルエステル類(酢酸ビニル等)、マレイン酸又はフマル酸又はそれらから誘導されるエステル類(マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジエチル等)、p−スチレンスルホン酸のナトリウム塩、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ジエン類(ブタジエン、シクロペンタジエン、イソプレン等)、芳香族ビニル化合物(スチレン、p−クロロスチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム等)、N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、メタクリルスルホン酸ナトリウム、ビニリデンフルオライド、ビニリデンクロライド、ビニルアルキルエーテル類(メチルビニルエーテル等)、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブテン、N−フェニルマレイミド等が使用可能である。
多官能モノマーの配合量は、モノマー全体に対して0.5〜70質量%とすることが好ましく、1.0〜50質量%であるのがより好ましい。上述のモノマーは、大津隆行・木下雅悦共著「高分子合成の実験法」(化学同人)や大津隆行「講座重合反応論1ラジカル重合(I)」(化学同人)に記載された一般的な高分子合成法であるラジカル重合によって重合することができる。本発明で使用するゲル電解質用モノマーは加熱、光又は電子線によって、或いは電気化学的にラジカル重合させることができるが、特に加熱によってラジカル重合させるのが好ましい。この場合、好ましく使用できる重合開始剤は2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート等のアゾ系開始剤、ラウリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオクトエート等の過酸化物系開始剤等である。重合開始剤の好ましい添加量はモノマー総量に対し0.01〜20質量%であり、より好ましくは0.1〜10質量%である。
ゲル電解質に占めるモノマーの重量組成範囲は0.5〜70質量%であるのが好ましい
。より好ましくは1.0〜50質量%である。ポリマーの架橋反応により電解質組成物をゲル化させる場合は、組成物に架橋可能な反応性基を有するポリマー及び架橋剤を添加するのが好ましい。好ましい反応性基はピリジン環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、トリアゾール環、モルホリン環、ピペリジン環、ピペラジン環等の含窒素複素環であり、好ましい架橋剤は窒素原子が求核攻撃できる官能基を2つ以上有する化合物(求電子剤)であり、例えば2官能以上のハロゲン化アルキル、ハロゲン化アラルキル、スルホン酸エステル、酸無水物、酸クロライド、イソシアネート等である。
本発明の電解質組成物には、金属ヨウ化物(LiI、NaI、KI、CsI、CaI2等)、金属臭化物(LiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr 2等)、4級アンモニウム臭素塩(テトラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイド等)、金属錯体(フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩、フェロセン−フェリシニウムイオン等)、イオウ化合物(ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィド等)、ビオロゲン色素、ヒドロキノン−キノン等を添加してよい。これらは混合して用いてもよい。
また、本発明ではJ. Am. Ceram. Soc., 80, (12), 3157−3171 (1997)に記載のt−ブチルピリジンや、2−ピコリン、2,6−ルチジン等の塩基性化合物を添加してもよい。塩基性化合物を添加する場合の好ましい濃度範囲は0.05〜2Mである。
また、本発明の電解質としては、正孔導体物質を含む電荷輸送層を用いても良い。正孔導体物質として、9,9’−スピロビフルオレン誘導体などを用いることができる。
また、電極層、感光体層(光電変換層)、電荷移動体層(ホール輸送層)、伝導層、対極層を順次に積層することができる。p型半導体として機能するホール輸送材料をホール輸送層として用いることができる。好ましいホール輸送層としては、例えば無機系又は有機系のホール輸送材料を用いることができる。無機系ホール輸送材料としては、CuI、CuO,NiO等が挙げられる。また、有機系ホール輸送材料としては、高分子系と低分子系のものが挙げられ、高分子系のものとしては、例えばポリビニルカルバゾール、ポリアミン、有機ポリシラン等が挙げられる。また、低分子系のものとしては、例えばトリフェニルアミン誘導体、スチルベン誘導体、ヒドラゾン誘導体、フェナミン誘導体等が挙げられる。この中でも有機ポリシランは、従来の炭素系高分子と異なり、主鎖のSiに沿って非局化されたσ電子が光伝導に寄与し、高いホール移動度を有するため、好ましい(Phys. Rev. B, 35, 2818(1987))。
上記伝導層は、導電性のよいものであれば特に限定されないが、例えば無機導電性材料、有機導電性材料、導電性ポリマー、分子間電荷移動錯体等が挙げられる。中でもドナー材料とアクセプター材料とから形成された分子間電荷移動錯体が好ましい。この中でも、有機ドナーと有機アクセプターとから形成されたものを好ましく用いることができる。
この伝導層の厚みは、特に限定されないが、多孔質を完全に埋めることができる程度が好ましい。
上記ドナー材料は、分子構造内で電子がリッチなものが好ましい。例えば、有機ドナー材料としては、分子のπ電子系に、アミン基、水酸基、エーテル基、セレン又は硫黄原子を有するものが挙げられ、具体的には、フェニルアミン系、トリフェニルメタン系、カルバゾール系、フェノール系、テトラチアフルバレン系材料が挙げられる。アクセプター材料としては、分子構造内で電子不足なものが好ましい。例えば、有機アクセプター材料としては、フラーレン、分子のπ電子系にニトロ基、シアノ基、カルボキシル基又はハロゲン基等の置換基を有するものが挙げられ、具体的にはPCBM、ベンゾキノン系、ナフトキノン系等のキノン系、フロオレノン系、クロラニル系、ブロマニル系、テトラシアノキノジメタン系、テトラシアノンエチレン系等が挙げられる。
(C)導電性支持体
図1に示すように、本発明の光電変換素子には、導電性支持体1上には多孔質の半導体微粒子22に増感色素21が吸着された感光体層2が形成されている。後述する通り、例えば、半導体微粒子の分散液を導電性支持体に塗布・乾燥後、本発明の色素溶液に浸漬することにより、感光体層2を製造することができる。
導電性支持体1としては、金属のように支持体そのものに導電性があるものか、又は表面に導電膜層を有するガラスや高分子材料を使用することができる。導電性支持体1は実質的に透明であることが好ましい。実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることが好ましく、80%以上が特に好ましい。導電性支持体1としては、ガラスや高分子材料に導電性の金属酸化物を塗設したものを使用することができる。このときの導電性の金属酸化物の塗布量は、ガラスや高分子材料の支持体1m2当たり、0.1〜100gが好ましい。透明導電性支持体を用いる場合、光は支持体側から入射させることが好ましい。好ましく使用される高分子材料の一例として、テトラアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAR)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフィン、ブロム化フェノキシ等を挙げることができる。導電性支持体1上には、表面に光マネージメント機能を施してもよく、例えば、特開2003−123859記載の高屈折膜及び低屈性率の酸化物膜を交互に積層した反射防止膜、特開2002−260746記載のライトガイド機能が上げられる。
この他にも、金属支持体も好ましく使用することができる。その一例としては、チタン、アルミニウム、銅、ニッケル、鉄、ステンレス、銅を挙げることができる。これらの金属は合金であってもよい。さらに好ましくは、チタン、アルミニウム、銅が好ましく、特に好ましくは、チタンやアルミニウムである。
導電性支持体1上には、紫外光を遮断する機能を持たせることが好ましい。例えば、紫外光を可視光に変えることが出来る蛍光材料を透明支持体中又は、透明支持体表面に存在させる方法や紫外線吸収剤を用いる方法も挙げられる。
導電性支持体1上には、さらに特開平11−250944号公報等に記載の機能を付与してもよい。
好ましい導電膜としては金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等)、炭素、もしくは導電性の金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの等)が挙げられる。
導電膜の厚さは0.01〜30μmであることが好ましく、0.03〜25μmであることが更に好ましく、特に好ましくは0.05〜20μmである。
導電性支持体1は表面抵抗が低い程よい。好ましい表面抵抗の範囲としては50Ω/cm2以下であり、さらに好ましくは10Ω/cm2以下である。この下限に特に制限はないが、通常0.1Ω/cm2程度である。
導電膜の抵抗値はセル面積が大きくなると大きくなる為、集電電極を配置してもよい。導電性支持体1と透明導電膜の間にガスバリア膜及びイオン拡散防止膜のどちらか一方又は両方を配置しても良い。ガスバリア層としては、樹脂膜や無機膜を使用することができる。
また、透明電極と多孔質半導体電極光触媒含有層を設けてもよい。透明導電膜は積層構造でも良く、好ましい方法としてたとえば、ITO上にFTOを積層することができる。
(D)半導体微粒子
図1に示すように、本発明の光電変換素子10には、導電性支持体1上には多孔質の半導体微粒子22に増感色素21が吸着された感光体層2が形成されている。後述する通り、例えば、半導体微粒子22の分散液を前記導電性支持体1に塗布・乾燥後、上述の色素溶液に浸漬することにより、感光体層2を製造することができる。
半導体微粒子22としては、好ましくは金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)又はペロブスカイトの微粒子が用いられる。金属のカルコゲニドとしては、好ましくはチタン、スズ、亜鉛、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、もしくはタンタルの酸化物、硫化カドミウム、セレン化カドミウム等が挙げられる。ペロブスカイトとしては、好ましくはチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム等が挙げられる。これらのうち酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステンが特に好ましい。
半導体には伝導に関わるキャリアーが電子であるn型とキャリアーが正孔であるp型が存在するが、本発明の素子ではn型を用いることが変換効率の点で好ましい。n型半導体には、不純物準位をもたず伝導帯電子と価電子帯正孔によるキャリアーの濃度が等しい固有半導体(例えば真性半導体)の他に、不純物に由来する構造欠陥により電子キャリアー濃度の高いn型半導体が存在する。本発明で好ましく用いられるn型の無機半導体は、TiO2、TiSrO3、ZnO、Nb2O3、SnO2、WO3、Si、CdS、CdSe、V2O5、ZnS、ZnSe、SnSe、KTaO3、FeS2、PbS、InP、GaAs、CuInS2、CuInSe2などである。これらのうち最も好ましいn型半導体はTiO2、ZnO、SnO2、WO3、ならびにNb2O3である。また、これらの半導体の複数を複合させた半導体材料も好ましく用いられる。
半導体微粒子22の粒径は、半導体微粒子分散液の粘度を高く保つ目的で、一次粒子の平均粒径が2nm以上50nm以下であることが好ましく、また一次粒子の平均粒径が2nm以上30nm以下の超微粒子であることがより好ましい。粒径分布の異なる2種類以上の微粒子を混合してもよく、この場合小さい粒子の平均サイズは5nm以下であるのが好ましい。また、入射光を散乱させて光捕獲率を向上させる目的で、上記の超微粒子に対して平均粒径が50nmを越える大きな粒子を、低含率で添加、又は別層塗布することもできる。この場合、大粒子の含率は、平均粒径が50nm以下の粒子の質量の50%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。上記の目的で添加混合する大粒子の平均粒径は、100nm以上が好ましく、250nm以上がより好ましい。また、大粒子の平均粒径の上限値は、光の散乱効果を有効に利用するという観点から500nmとすることが好ましい。上記のように平均粒径を制御することでヘイズ率を60%以上とすることができる。
本発明ではヘイズ率60%以上の半導体膜に本発明の一般式(1)で表される色素を用いることで、驚くべきことに変換効率と耐久性が向上することがわかった。
感光体層は、多孔質光電変換層が2層以上の多層構造からなる場合が好ましい。感光体層2の多孔質半導体層を形成する半導体微粒子22は、各層で異なる平均粒径を有している。さらに多層構造の感光体層2の多孔質半導体層が、平均粒径の小さい半導体微粒子22によって形成された層から平均粒径の大きい半導体微粒子22によって形成された層の順で受光面側から配置されていることが好ましい。
さらにまた、多層構造の感光体層2における多孔質半導体層の受光面側に位置する多孔質半導体層は、粒度分布の変動係数が10以下の半導体微粒子22によって形成されていることが好ましい。変動係数として好ましくは、0.1〜10、より好ましくは、0.2〜8、さらに好ましくは0.3〜7である。
加えて、多層構造の感光体層2の多孔質半導体層は、吸収スペクトルにおける最大感度波長領域を短波長側に有する層から吸収スペクトルにおける最大感度波長領域を長波長側に有する層の順で受光面側から配置されていることが好ましい。例えば、多層構造の感光体層2は、受光部側から、最大感度波長が400nm〜500nmである、後述するメロシアニン系色素S−2を吸着させた第1の半導体微粒子層、最大感度波長が500nm〜700nmである前記一般式(1)で表される、例えば色素A−1〜A−7、A−9、A−11、A−13〜A−17のいずれかを吸着させた第2の半導体微粒子層の順に積層されている。
本発明において、半導体微粒子の平均粒径は、島津製作所株式会社製レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−3100を用いて測定された値をいう。また、粒度分布の変動係数は、得られた平均値と標準偏差のデータを用いて以下の式より求めた。
変動係数=(標準偏差)÷(平均値)
光散乱用の平均粒径の大きな粒子を用いることで、ヘイズ率60%以上となることが好ましい。ヘイズ率とは(拡散透過率)÷(全光透過率)で表される。なお、ヘイズ率を制御するには、半導体微粒子の分散時間を変化させる方法や、多孔質半導体層と同一もしくは異種材料で大きな粒径を持つ粒子を混在させる方法などが挙げられる。
多層構造の感光体層は以下(a)〜(d)の工程を含む方法で作成することが好ましい。
(a)平均粒径が5nm〜50nmの半導体微粒子を含む分散液A(コロイド液場合も含む)を作成する工程、
(b)平均粒径が100nm〜500nmの半導体微粒子を含む分散液B(コロイド液場合も含む)を作成する工程、
(c)前記分散液Aにより第1層目の感光体層を形成する工程、
(d)及び前記分散液Bにより第2層目の感光体層を形成する工程。
(b)工程では、作成される分散液Bは平均粒径が100nm〜500nmの半導体微粒子の他、平均粒径が5nm〜50nmの半導体微粒子を5質量%〜90質量%含んでも良い。分散液B中の平均粒径が5nm〜50nmの半導体微粒子の好ましい含有量は半導体微粒子全含有量のうちの5質量%〜50質量%である。
半導体微粒子の大きさは、散乱の大きさに影響し、粒子サイズが大きいと光の回折角が大きく、多孔質光電変換層を透過する光の量が減少し、利用される光が多くなる。これまで使用されてきた色素に比べ、一般式(1)で表される色素は散乱されやすい長波長側で吸光係数が大きいことから散乱された光の利用効率が高くなったと考えられる。
半導体微粒子22の作製法としては、作花済夫の「ゾル・ゲル法の科学」アグネ承風社(1998年)等に記載のゲル・ゾル法が好ましい。またDegussa社が開発した塩化物を酸水素塩中で高温加水分解により酸化物を作製する方法も好ましい。半導体微粒子22が酸化チタンの場合、上記ゾル・ゲル法、ゲル・ゾル法、塩化物の酸水素塩中での高温加水分解法はいずれも好ましいが、さらに清野学の「酸化チタン 物性と応用技術」技報堂出版(1997年)に記載の硫酸法及び塩素法を用いることもできる。さらにゾル・ゲル法として、バルべ等のジャーナル・オブ・アメリカン・セラミック・ソサエティー,第80巻,第12号,3157〜3171頁(1997年)に記載の方法や、バーンサイドらのケミストリー・オブ・マテリアルズ,第10巻,第9号,2419〜2425頁に記載の方法も好ましい。
この他に、半導体微粒子の製造方法として、例えば、チタニアナノ粒子の製造方法として好ましくは、四塩化チタンの火炎加水分解による方法、四塩化チタンの燃焼法、安定なカルコゲナイド錯体の加水分解、オルトチタン酸の加水分解、可溶部と不溶部から半導体微粒子を形成後に可溶部を溶解除去する方法、過酸化物水溶液の水熱合成、又はゾル・ゲル法によるコア/シェル構造の酸化チタン微粒子の製造方法が挙げられる。
チタニアの結晶構造としては、アナターゼ型、ブルッカイト型、又は、ルチル型があげられ、アナターゼ型、ブルッカイト型が好ましい。
チタニアナノチューブ・ナノワイヤー・ナノロッドをチタニア微粒子に混合してもよい。
チタニアは、非金属元素などによりドーピングされていても良い。チタニアへの添加剤としてドーパント以外に、ネッキングを改善する為のバインダーや逆電子移動防止の為に表面へ添加剤を用いても良い。好ましい添加剤の例としては、ITO、SnO粒子、ウイスカー、繊維状グラファイト・カーボンナノチューブ、酸化亜鉛ネッキング結合子、セルロース等の繊維状物質、金属、有機シリコン、ドデシルベンゼンスルホン酸、シラン化合物等の電荷移動結合分子、及び電位傾斜型デンドリマーなどが挙げられる。
チタニア上の表面欠陥を除去するなどの目的で、色素吸着前にチタニアを酸塩基又は酸化還元処理しても良い。エッチング、酸化処理、過酸化水素処理、脱水素処理、UV−オゾン、酸素プラズマなどで処理してもよい。
(E)半導体微粒子分散液
本発明においては、半導体微粒子以外の固形分の含量が、半導体微粒子分散液全体の10質量%以下よりなる半導体微粒子分散液を前記導電性支持体1に塗布し、適度に加熱することにより、多孔質半導体微粒子塗布層を得ることができる。
半導体微粒子分散液を作製する方法としては、前述のゾル・ゲル法の他に、半導体を合成する際に溶媒中で微粒子として析出させそのまま使用する方法、微粒子に超音波などを照射して超微粒子に粉砕する方法、又はミルや乳鉢などを使って機械的に粉砕しすり潰す方法、等が挙げられる。分散溶媒としては、水及び各種の有機溶媒のうちの一つ以上を用いることができる。有機溶媒としては、メタノール,エタノール,イソプロピルアルコール,シトロネロール,ターピネオールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、酢酸エチルなどのエステル類、ジクロロメタン、アセトニトリル等が挙げられる。
分散の際、必要に応じて例えばポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのようなポリマー、界面活性剤、酸、又はキレート剤等を分散助剤として少量用いてもよい。しかし、これらの分散助剤は、導電性支持体上へ製膜する工程の前に、ろ過法や分離膜を用いる方法、あるいは遠心分離法などによって大部分を除去しておくことが好ましい。半導体微粒子分散液は、半導体微粒子以外の固形分の含量が分散液全体の10質量%以下とすることができる。この濃度は好ましくは5%以下であり、さらに好ましくは3%以下であり、特に好ましくは1%以下である。さらに好ましくは0.5%以下であり、特に好ましくは0.2%である。すなわち、半導体微粒子分散液中に、溶媒と半導体微粒子以外の固形分を半導体微分散液全体の10質量%以下とすることができる。実質的に半導体微粒子と分散溶媒のみからなることが好ましい。
半導体微粒子分散液の粘度が高すぎると分散液が凝集してしまい製膜することができず、逆に半導体微粒子分散液の粘度が低すぎると液が流れてしまい製膜することができないことがある。したがって分散液の粘度は、25℃で10〜300N・s/m2が好ましい。さらに好ましくは、25℃で50〜200N・s/m2である。
半導体微粒子分散液の塗布方法としては、アプリケーション系の方法としてローラ法、ディップ法等を使用することができる。またメータリング系の方法としてエアーナイフ法、ブレード法等を使用することができる。またアプリケーション系の方法とメータリング系の方法を同一部分にできるものとして、特公昭58−4589号に開示されているワイヤーバー法、米国特許2681294号明細書等に記載のスライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法等が好ましい。また汎用機を使用してスピン法やスプレー法で塗布するのも好ましい。湿式印刷方法としては、凸版、オフセット及びグラビアの3大印刷法をはじめ、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等が好ましい。これらの中から、液粘度やウェット厚さに応じて、好ましい製膜方法を選択する。また本発明の半導体微粒子分散液は粘度が高く、粘稠性を有するため、凝集力が強いことがあり、塗布時に支持体とうまく馴染まない場合がある。このような場合に、UVオゾン処理で表面のクリーニングと親水化を行うことにより、塗布した半導体微粒子分散液と導電性支持体1表面の結着力が増し、半導体微粒子分散液の塗布が行い易くなる。
半導体微粒子層全体の好ましい厚さは0.1μm〜100μmである。半導体微粒子層の厚さはさらに1μm〜30μmが好ましく、2μm〜25μmがより好ましい。半導体微粒子の支持体1m2当りの担持量は0.5g〜400gが好ましく、5g〜100gがより好ましい。
塗布した半導体微粒子の層に対し、半導体微粒子同士の電子的接触の強化と、支持体との密着性の向上のため、また塗布した半導体微粒子分散液を乾燥させるために、加熱処理が施される。この加熱処理により多孔質半導体微粒子層を形成することができる。
また、加熱処理に加えて光のエネルギーを用いることもできる。例えば、半導体微粒子22として酸化チタンを用いた場合に、紫外光のような半導体微粒子22が吸収する光を与えることで表面を活性化してもよいし、レーザー光などで半導体微粒子22表面のみを活性化することができる。半導体微粒子22に対して該微粒子が吸収する光を照射することで、粒子表面に吸着した不純物が粒子表面の活性化によって分解され、上記の目的のために好ましい状態とすることができる。加熱処理と紫外光を組み合わせる場合は、半導体微粒子22に対して該微粒子が吸収する光を照射しながら、加熱が100℃以上250℃以下あるいは好ましくは100℃以上150℃以下で行われることが好ましい。このように、半導体微粒子22を光励起することによって、微粒子層内に混入した不純物を光分解により洗浄するとともに、微粒子の間の物理的接合を強めることができる。
また、半導体微粒子分散液を前記導電性支持体1に塗布し、加熱や光を照射する以外に他の処理を行ってもよい。好ましい方法として例えば、通電、化学的処理などが挙げられる。
塗布後に圧力をかけても良く、圧力をかける方法としては、特表2003−500857号公報等が挙げられる。光照射の例としては、特開2001−357896号公報等が挙げられる。プラズマ・マイクロ波・通電の例としては、特開2002−353453号公報等が挙げられる。化学的処理としては、例えば特開2001−357896号公報が挙げられる。
上述の半導体微粒子22を導電性支持体1上に塗設する方法は、上述の半導体微粒子分散液を導電性支持体1上に塗布する方法のほか、特許第2664194号公報に記載の半導体微粒子22の前駆体を導電性支持体1上に塗布し空気中の水分によって加水分解して半導体微粒子膜を得る方法などの方法を使用することができる。
前駆体として例えば、(NH4)2TiF6、過酸化チタン、金属アルコキシド・金属錯体・金属有機酸塩等が挙げられる。
また、金属有機酸化物(アルコキシドなど)を共存させたスラリーを塗布し加熱処理、光処理などで半導体膜を形成する方法、無機系前駆体を共存させたスラリー、スラリーのpHと分散させたチタニア粒子の性状を特定した方法が挙げられる。これらスラリーには、少量であればバインダーを添加しても良く、バインダーとしては、セルロース、フッ素ポリマー、架橋ゴム、ポリブチルチタネート、カルボキシメチルセルロースなどが挙げられる。
半導体微粒子22又はその前駆体層の形成に関する技術としては、コロナ放電、プラズマ、UVなどの物理的な方法で親水化する方法、アルカリやポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸などによる化学処理、ポリアニリンなどの接合用中間膜の形成などが挙げられる。
半導体微粒子22を導電性支持体1上に塗設する方法として、上述の(1)湿式法とともに、(2)乾式法、(3)その他の方法を併用しても良い。(2)乾式法として好ましくは、特開2000−231943号公報等が挙げられる。(3)その他の方法として、好ましくは、特開2002−134435号公報等が挙げられる。
乾式法としては、蒸着やスパッタリング、エアロゾルデポジション法などが挙げられる。また、電気泳動法・電析法を用いても良い。
また、耐熱基板上でいったん塗膜を作製した後、プラスチック等のフィルムに転写する方法を用いても良い。好ましくは、特開2002−184475号公報記載のEVAを介して転写する方法、特開2003−98977号公報記載の紫外線、水系溶媒で除去可能な無機塩を含む犠牲基板上に半導体層・導電層を形成後、有機基板に転写後、犠牲基板を除去する方法などが挙げられる。
半導体微粒子22は多くの増感色素21を吸着することができるように表面積の大きいものが好ましい。例えば半導体微粒子22を導電性支持体1上に塗設した状態で、その表面積が投影面積に対して10倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがより好ましい。この上限には特に制限はないが、通常5000倍程度である。好ましい半導体微粒子22の構造としては、特開2001−93591号公報等が挙げられる。
一般に、半導体微粒子層の厚みが大きいほど単位面積当たりに担持できる増感色素21の量が増えるため光の吸収効率が高くなるが、発生した電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大きくなる。半導体微粒子層の好ましい厚みは素子の用途によって異なるが、典型的には0.1μm〜100μmである。光電気化学電池として用いる場合は1μm〜50μmであることが好ましく、3μm〜30μmであることがより好ましい。半導体微粒子は、支持体に塗布した後に粒子同士を密着させるために、100℃〜800℃の温度で10分〜10時間加熱してもよい。支持体としてガラスを用いる場合、製膜温度は400℃〜600℃が好ましい。
支持体として高分子材料を用いる場合、250℃以下で製膜後に加熱することが好ましい。その場合の製膜方法としては、(1)湿式法、(2)乾式法、(3)電気泳動法(電析法を含む)の何れでも良く、好ましくは、(1)湿式法、又は(2)乾式であり、更に好ましくは、(1)湿式法である。
なお、半導体微粒子22の支持体1m2当たりの塗布量は0.5g〜500g、さらには5g〜100gが好ましい。
半導体微粒子22に増感色素21を吸着させるには、溶液と本発明にかかる色素よりなる色素吸着用色素溶液の中に、よく乾燥した半導体微粒子22を長時間浸漬するのが好ましい。色素吸着用色素溶液に使用される溶液は、本発明にかかる増感色素21が溶解できる溶液なら特に制限なく使用することができる。例えば、エタノール、メタノール、イソプロパノール、トルエン、t-ブタノール、アセトニトリル、アセトン、n−ブタノールなどを使用することができる。その中でも、エタノール、トルエンを好ましく使用することができる。
溶液と本発明の色素よりなる色素吸着用色素溶液は必要に応じて50℃ないし100℃に加熱してもよい。増感色素21の吸着は半導体微粒子22の塗布前に行っても塗布後に行ってもよい。また、半導体微粒子22と増感色素21を同時に塗布して吸着させてもよい。未吸着の増感色素21は洗浄によって除去する。塗布膜の焼成を行う場合は増感色素21の吸着は焼成後に行うことが好ましい。焼成後、塗布膜表面に水が吸着する前にすばやく増感色素21を吸着させるのが特に好ましい。吸着する増感色素21は上記の色素A1の1種類でもよいし、さらにほかの色素を混合してもよい。光電変換の波長域をできるだけ広くするように、混合する色素が選ばれる。色素を混合する場合は、すべての色素が溶解するようにして、色素吸着用色素溶液とすることが好ましい。
増感色素21の使用量は、全体で、支持体1m2当たり0.01ミリモル〜100ミリモルが好ましく、より好ましくは0.1ミリモル〜50ミリモル、特に好ましくは0.1ミリモル〜10ミリモルである。この場合、本発明にかかる増感色素21の使用量は5モル%以上とすることが好ましい。
また、増感色素21の半導体微粒子22に対する吸着量は半導体微粒子1gに対して0.001ミリモル〜1ミリモルが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5ミリモルである。
このような色素量とすることによって、半導体における増感効果が十分に得られる。これに対し、色素量が少ないと増感効果が不十分となり、色素量が多すぎると、半導体に付着していない色素が浮遊し増感効果を低減させる原因となる。
また、会合など色素同士の相互作用を低減する目的で無色の化合物を共吸着させてもよい。共吸着させる疎水性化合物としてはカルボキシル基を有するステロイド化合物(例えばコール酸、ピバロイル酸)等が挙げられる。
増感色素21を吸着した後に、アミン類を用いて半導体微粒子22の表面を処理してもよい。好ましいアミン類としては4−tert−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン等が挙げられる。これらは液体の場合はそのまま用いてもよいし有機溶媒に溶解して用いてもよい。
対極4は、光電気化学電池の正極として働くものである。対極4は、通常前述の導電性支持体1と同義であるが、強度が十分に保たれるような構成では対極の支持体は必ずしも必要でない。ただし、支持体を有する方が密閉性の点で有利である。対極4の材料としては、白金、カーボン、導電性ポリマー、などがあげられる。好ましい例としては、白金、カーボン、導電性ポリマーが挙げられる。
対極4の構造としては、集電効果が高い構造が好ましい。好ましい例としては、特開平10−505192号公報などが挙げられる。
受光電極5は酸化チタンと酸化スズ(TiO2/SnO2)などの複合電極を用いても良く、チタニアの混合電極として例えば、特開2000−113913号公報等が挙げられる。チタニア以外の混合電極として例えば、特開2001−185243号公報、特開2003−282164号公報等が挙げられる。
また、光電変換素子の構成としては、第1電極層、第1光電変換層、導電層、第2光電変換層、第2電極層を順次積層した構造を有していても良い。この場合、第1光電変換層と第2光電変換層に用いる色素は同一又は異なっていてもよく、異なっている場合には、吸収スペクトルが異なっていることが好ましいい。
受光電極5は、入射光の利用率を高めるなどのためにタンデム型にしても良い。好ましいタンデム型の構成例としては、特開2000−90989、特開2002−90989号公報等に記載の例が挙げられる。
受光電極5の層内部で光散乱、反射を効率的に行う光マネージメント機能を設けてもよい。好ましくは、特開2002−93476号公報に記載のものが挙げられる。
導電性支持体1と多孔質半導体微粒子層の間には、電解液と電極が直接接触することによる逆電流を防止する為、短絡防止層を形成することが好ましい。好ましい例としては、特開平06−507999号公報等が挙げられる。
受光電極5と対極4の接触を防ぐ為に、スペーサーやセパレータを用いることが好ましい。好ましい例としては、特開2001−283941号公報が挙げられる。
セル、モジュールの封止法としては、ポリイソブチレン系熱硬化樹脂、ノボラック樹脂、光硬化性(メタ)アクリレート樹脂、エポキシ樹脂、アイオノマー樹脂、ガラスフリット、アルミナにアルミニウムアルコキシドを用いる方法、低融点ガラスペーストをレーザー溶融する方法などが好ましい。ガラスフリットを用いる場合、粉末ガラスをバインダーとなるアクリル樹脂に混合したものでもよい。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(色素の調製)
前記具体例に示した一般式(1)の色素A−1〜A−7を、特開2001−291534号公報記載の方法により調製した。
(色素の極大吸収波長の測定)
色素A−1〜A−7の極大吸収波長を測定した。その結果を表1に示す。測定は、分光光度計(U−4100(商品名)、日立ハイテク社製)によって行い、溶液はTHF:エタノール=1:1を用い、濃度が2μMになるように調整した。
[実験1]
(1)受光面側の半導体微粒子層(第1の半導体微粒子層)の形成
チタンイソプロポキシド125mlを0.1M−硝酸水溶液(キシダ化学株式会社製)750mlに滴下し、80℃で8時間加熱して、加水分解反応をさせることにより、ゾル液を調製した。得られたゾル液をチタン製オートクレーブにて250℃で15時間保持し、粒子成長させ、その後、超音波分散を30分間行うことにより、平均一次粒径20nmの酸化チタン粒子を含むコロイド溶液を得た。
得られた酸化チタン粒子を含むコロイド溶液を、エバポレーターにて、酸化チタンが10wt%の濃度になるまでゆっくりと濃縮した後、ポリエチレングリコール(キシダ化学株式会社製、重量平均分子量:200000)を酸化チタンに対する重量比で40%添加し、攪拌することにより、酸化チタン粒子が分散した懸濁液Aを得た。
透明導電膜としてSnO2膜を形成したガラス基板(導電性支持体1)の透明導電膜側に、調製した酸化チタン懸濁液をドクターブレード法で塗布し、面積10mm×10mm程度の塗膜を得た。この塗膜を120℃で30分間予備乾燥し、さらに酸素雰囲気下、500℃で30分間焼成し、膜厚が10μm程度の受光面側の半導体微粒子層を形成した。
(2)第2の半導体微粒子層の形成
次に、市販の酸化チタン微粒子(テイカ社製、製品名:TITANIX JA−1、粒径約180nm)4.0gと酸化マグネシウム粉末(キシダ化学株式会社製)0.4gを蒸留水20mlに入れ、塩酸でpH=1に調整した。さらに、ジルコニアビーズを加え、この混合溶液をペイントシェイカーで8時間分散処理した。その後、ポリエチレングリコール(キシダ化学株式会社製、重量平均分子量:200000)を酸化チタンに対する重量比で40%添加し、攪拌することにより、酸化チタン粒子が分散した懸濁液Bを得た。
(1)で作製したガラス基板に形成された受光面側の半導体微粒子層上に、前記の酸化チタン懸濁液Bをドクターブレード法で塗布し、塗膜を得た。この塗膜を80℃で20分間予備乾燥し、さらに酸素雰囲気下、約500℃で60分間焼成し、膜厚が22μm程度の第2の半導体微粒子層を形成した。第1の半導体微粒子層上に第2の半導体微粒子層が形成された層(T1とする。)のへイズ率を測定したところ、84%であった。ヘイズ率は、株式会社村上色彩技術研究所製ヘーズ・透過率・反射率計HR−100を用いて、JIS K7105に準拠して測定した。ヘイズ率の測定は、ほかの試料の場合も同様の方法で測定した。
また、(1)で作製したガラス基板に形成された受光面側の半導体微粒子層上に、懸濁液Aと懸濁液Bを特定の比率で混合した懸濁液AB2(A:B=2:8)、懸濁液AB3(A:B=4:6)、懸濁液AB4(A:B=6:4)、および懸濁液AB5(A:B=8:2)をT1と同様の方法で第2の半導体微粒子層を形成した酸化チタン2層膜のサンプルをT2〜T5とした。
(3)光電気化学電池の作製
吸収スペクトルにおける最大感度吸収波長領域を短波長側に有する色素(第1色素)として、下記のメロシアニン系色素S−2をエタノールに溶解して、濃度3×10−4モル/リットルの第1色素の吸着用色素溶液を調製した。
透明導電膜と半導体微粒子層(第1の半導体微粒子層上に第2の半導体微粒子層が形成されたもの;T1〜T5)を具備したガラス基板(G1〜G5とする。)を、約50℃に加温した第1色素の吸着用色素溶液に10分間浸漬させて、多孔質半導体層に第1色素を吸着させた。その後、ガラス基板を無水エタノールで数回洗浄し、約60℃で約20分間乾燥させた。次いで、ガラス基板を0.5N−塩酸に約10分間浸漬させ、第2層多孔質半導体層に第1色素を吸着させた。その後エタノールで洗浄して、過剰な第1色素を取り除いた。さらに、ガラス基板を約60℃で約20分間乾燥させた。
次に、吸収スペクトルにおける最大感度吸収波長領域を長波長側に有する色素(第2色素)として、参考例の色素A−1をエタノールに溶解して、濃度3×10−4モル/リットルの第2色素の吸着用色素溶液を調製した。
透明導電膜と多孔質半導体層を具備したガラス基板(G1)を、室温、常圧で第2色素の吸着用色素溶液に15分間浸漬させて、多孔質半導体層に第2色素を吸着させた。その後、ガラス基板を無水エタノールで数回洗浄し、約60℃で約20分間乾燥させた。ここで多孔質半導体層のへイズ率を測定したところ、85%であった。G2〜G5についても同様な操作を行い、ヘイズ率を測定した結果を表2に示した。
次に、3−メトキシプロピオニトリル溶媒に、ジメチルプロピルイミダゾリウムヨージドが濃度0.5モル/リットル、ヨウ化リチウムが濃度0.1モル/リットル、ヨウ素が濃度0.05モル/リットルになるように溶解させて、酸化還元性電解液を調製した。第1色素と第2色素を吸着させた多孔質半導体層を具備したガラス基板の多孔質半導体層側と、対極として白金を具備したITOガラスからなる対極側支持体の白金側とが対向するように設置し、その間に調製した酸化還元性電解液を注入し、周囲をエポキシ系樹脂の封止材により封止して、試料1−1の光電気化学電池を作製した。
G1をG2〜G5に変えたことと、第2色素を表2記載の色素に変更した以外は同様にして、試料番号1−2〜1−18の光電気化学電池を作製した。これら光電気化学電池に用いた半導体微粒子層のヘイズ率を測定した結果を表2に示した。
また、第2の半導体微粒子層と第1の半導体微粒子層を同じものを用いて半導体微粒子層を形成した。すなわち、前記試料番号1−1で第1の半導体微粒子層を形成するのに用いた酸化チタン懸濁液Aを用いて、第1の半導体微粒子層と第2の半導体微粒子層を形成した(この多層構造の半導体微粒子層をT6とする)。T2を使用すること以外は、同様にして、表2に示すように第2色素を変更して、試料番号1−21〜1−22の光電気化学電池を作製した。
得られた太陽電池を測定条件:AM−1.5(100mW/cm 2 )で評価した結果を表2に変換効率で示した。また、暗所での80℃、85%RHで200時間経時後に調べた変換効率の低下率を表2に示した。結果は、変換効率の低下率3%未満のものを◎、3%以上5%未満のものを○、5%以上10%未満のものを△、10%以上のものを×として示した。
本発明の光電変換素子及び光電気化学電池は、多孔質光電変換層が多層構造を有し、かつ多孔質半導体層の可視光領域の波長におけるヘイズ率が60%以上であるので、電流密度の向上により、変換効率が高く耐久性に優れた光電変換素子及び光電気化学電池を得ることができる。
また、受光面側に位置する第1層多孔質半導体層の形成に平均粒径の小さい半導体微粒子22を用いて、長波長光の散乱を低減することにより、第2層以後の多孔質半導体層に到達する光を多くすることができ、光電変換素子として高い光電変換効率を得ることができる。また、受光面側に位置する多孔質半導体層が、粒度分布の変動係数が10以下の半導体微粒子によって形成されていることで、光電変換効率がより高くなるという効果が得られる。
さらに、第2層以後の多孔質半導体層において光を散乱させることにより、光電変換素子として優れた光電変換効率を得ることができる。そして、多層構造の多孔質半導体層を、吸収スペクトルにおける最大感度波長領域を短波長側に有する層から吸収スペクトルにおける最大感度波長領域を長波長側に有する層の順で受光面側から配置することにより、吸収されやすい短波長の光を受光面側で光電変換することができ、多層構造の内部まで到達できる長波長の光を内部側で光電変換することができるので、吸収可能な波長領域が広がり、有効に太陽光を利用することができ、電流密度の向上により、光電変換素子として高い光電変換効率を得ることができる。