本発明に係る放射線画像撮影装置及び放射線画像撮影システムの好適な実施形態について、図1〜図28Bを参照しながら以下詳細に説明する。
先ず、第1実施形態に係る放射線画像撮影システム10Aについて、図1〜図16を参照しながら説明する。
図1に示すように、放射線画像撮影システム10Aは、ベッド等の撮影台12に横臥した患者等の被写体14に対して、撮影条件に従った線量からなる放射線16を照射する放射線源18と、被写体14を透過した放射線16を検出して放射線画像に変換する電子カセッテ(放射線画像撮影装置)20Aと、放射線源18及び電子カセッテ20Aを制御するコンソール(制御装置)22と、放射線画像を表示する表示装置24とを備える。
コンソール22と、放射線源18、電子カセッテ20A及び表示装置24との間は、例えば、UWB(Ultra Wide Band)、IEEE802.11.a/g/n等の無線LAN(Local Area Network)又はミリ波等を用いた無線通信により信号の送受信が行われる。なお、ケーブルを用いた有線通信により信号の送受信を行ってもよいことは勿論である。
また、コンソール22には、病院内の放射線科において取り扱われる放射線画像やその他の情報を統括的に管理する放射線科情報システム(RIS)26が接続され、また、RIS26には、病院内の医事情報を統括的に管理する医事情報システム(HIS)28が接続される。
電子カセッテ20Aは、撮影台12と被写体14との間に配置されたパネル収容ユニット30を備える可搬型の電子カセッテである。
図2〜図6に示すように、パネル収容ユニット30は、放射線16を透過可能な材料からなる略矩形状の筐体40を有し、被写体14が横臥する筐体40の上面は、放射線16が照射される撮影面(照射面)42とされている。該撮影面42の略中央部には、被写体14の撮影位置の指標となるガイド線44が形成されている。この場合、外枠を示すガイド線44が放射線16の照射可能領域を示す撮影領域46になる。また、ガイド線44の中心位置(十字状に交差する2本のガイド線44の交点)は、該撮影領域46の中心位置である。
撮影面42における撮影領域46外であって、矢印X2方向側の箇所には、各種の情報を表示するための表示部82が配設されている。また、筐体40の矢印X2方向の側面には、医師又は放射線技師が把持するための取っ手80が設けられている。さらに、筐体40の矢印Y2方向の側面には、外部の電源から電源部52に対して充電を行なうためのACアダプタの入力端子72と、外部機器との間で情報の送受信が可能なインターフェース手段としてのUSB(Universal Serial Bus)端子74と、PCカード等のメモリカード76を装填するためのカードスロット78と、電子カセッテ20Aの電源スイッチ86とが配置されている。
図3〜図6に示す筐体40の内部において、該筐体40の底部には、電子カセッテ20A全体を制御するカセッテ制御部50と、電子カセッテ20A内の各部に電力を供給するバッテリ等の電源部52と、コンソール22との間で無線による信号の送受信が可能な通信部54とが配置されている。また、筐体40の内部には、カセッテ制御部50、電源部52及び通信部54を覆うように、基台190が配置されている。基台190の天井部分には、カセッテ制御部50、電源部52及び通信部54に対向するように、放射線16を遮蔽する鉛板等の遮蔽板192が装着されている。
基台190の上面には、絶縁シート270が配置されている。筐体40内における撮影面42と絶縁シート270との間には、被写体14を透過した放射線16を検出する放射線変換パネル92と、放射線変換パネル92に対して外力を作用する平面状の外力作用部218とが一体化された状態(積層された状態)で配置されている。
絶縁シート270は、基台190と外力作用部218との電気絶縁を確保するために設けられている。また、絶縁シート270上に載置された外力作用部218の上面には、解体性接着剤272を介して放射線変換パネル92が接着固定(積層)されている。
放射線変換パネル92としては、例えば、被写体14を透過した放射線16をシンチレータにより可視光に一旦変換し、変換した前記可視光をアモルファス酸化物半導体(例えば、IGZO(InGaZnOx))や有機光電変換材料(OPC)等の物質からなる固体検出素子(以下、画素ともいう。)により電気信号に変換する間接変換型の放射線変換パネルや、放射線16の線量をアモルファスセレン(a−Se)等の物質からなる固体検出素子により電気信号に直接変換する直接変換型の放射線変換パネルを採用することができる。
第1実施形態において、放射線変換パネル92は、間接変換型の放射線変換パネルとされている。
すなわち、図5及び図6に示すように、放射線変換パネル92は、解体性接着剤272を介して外力作用部218に接着固定された基板194と、該基板194上に設けられ、放射線16を放射線画像の電気信号に変換する放射線変換層196と、基板194に設けられた放射線変換層196の側面及び上面を覆うことにより該放射線変換層196を湿気等から保護するための保護膜198とから構成されている。
基板194は、可撓性を有する略矩形状の基板であり、電子カセッテ20A全体の軽量化を図るために、プラスチック樹脂からなる。
放射線変換層196は、平面視で、撮影領域46と略同じ面積を有し(図4参照)、基板194に形成された信号出力層200と、信号出力層200に積層された光電変換層202と、接着層204を介して光電変換層202に接着されたシンチレータ206とから構成される。
シンチレータ206は、基板194に対して略垂直な柱状結晶のCsI等からなり、放射線16を可視光に変換する。接着層204は、前記可視光を透過する物質からなる接着剤であり、基板194側の光電変換層202と、シンチレータ206とを貼り合わせることにより、光電変換層202とシンチレータ206との間へのゴミの進入を防止し、さらには、位置ずれを防止する。
光電変換層202は、アモルファス酸化物半導体(例えば、IGZO)やOPCの物質からなる画素により可視光を電気信号に変換する。信号出力層200は、基板194上にアモルファス酸化物半導体(例えば、IGZO)を用いて室温プロセスにより形成されたTFT(薄膜トランジスタ)のアレイ等から構成され、光電変換層202から前記電気信号を読み出して出力する。
基板194の矢印X2方向の側面側(周縁部230)には、矢印Y方向に沿って、複数のフレキシブル基板(外部接続部)208の一端部が所定間隔で熱圧着等により接続され、各フレキシブル基板208の他端部は、カセッテ制御部50に接続されている。また、各フレキシブル基板208には、駆動回路部210がそれぞれ配設されている。一方、基板194の矢印Y2方向の側面側(周縁部230)には、矢印X方向に沿って、複数のフレキシブル基板(外部接続部)212の一端部が所定間隔で熱圧着等により接続され、各フレキシブル基板212の他端部は、カセッテ制御部50に接続されている。また、各フレキシブル基板212には、読出回路部214がそれぞれ配設されている。
従って、カセッテ制御部50は、フレキシブル基板208、212を介して駆動回路部210、読出回路部214及び放射線変換層196との間で信号の送受信を行う。また、電源部52は、筐体40内のカセッテ制御部50や通信部54等に対する電力供給を行うと共に、フレキシブル基板208、212を介して、駆動回路部210、読出回路部214及び放射線変換層196に対する電力供給も行う。さらに、電源部52は、医師又は放射線技師による電源スイッチ86の投入の有無に関わりなく、カセッテ制御部50や、基板194の四隅に配置された温度センサ216に対して電力供給を常時行う。
なお、図5及び図6では、説明の容易化のために、筐体40内の各構成要素について、大きさ等を一部誇張して図示すると共に、放射線変換パネル92の構成等を模式化して図示している。
ところで、基板194は、前述したように、可撓性を有するプラスチック樹脂からなる。また、放射線変換層196を構成する信号出力層200は、アモルファス酸化物半導体で形成されると共に、光電変換層202は、アモルファス酸化物半導体又はOPCで形成されている。従って、基板194の熱膨張係数(10−5/℃のオーダ)は、信号出力層200や光電変換層202の熱膨張係数(10−6/℃のオーダ)よりも遥かに大きい。
また、電子カセッテ20Aの使用時に、光電変換層202は、放射線16から変換された可視光を電気信号に変換し、一方で、信号出力層200は、前記電気信号をフレキシブル基板212及び読出回路部214を介してカセッテ制御部50に出力する。従って、光電変換層202や信号出力層200は、動作中、発熱し、この結果、放射線変換層196を含めた放射線変換パネル92全体の温度は、常温よりも高い温度にまで上昇する。
そのため、放射線変換パネル92全体の温度が上昇したときには、上述した熱膨張係数の相違に起因して、図7Aで模式的に示すように、基板194の周縁部230が上方に変形する(反る)。すなわち、信号出力層200及び光電変換層202の熱膨張係数が、基板194の熱膨張係数よりも小さいので、基板194の中央部は、信号出力層200及び光電変換層202を含む放射線変換層196に抑えられて伸張し難い。一方、基板194の周縁部230には、放射線変換層196が存在しないので伸張しやすい。この結果、放射線変換パネル92は、温度上昇によって、全体的に、下に凸(上に凹)となった形状に変化する。
これに対して、冬季又は夜間の病院内での電子カセッテ20Aや、病院外での未使用時の電子カセッテ20Aの場合には、放射線変換パネル92全体の温度が常温よりも低下するので、図7Bで模式的に示すように、基板194の周縁部230が下方に変形する(反る)。すなわち、この場合でも、基板194の中央部は、放射線変換層196に抑えられて収縮し難く、一方で、基板194の周縁部230には、放射線変換層196が存在しないので、収縮しやすい。この結果、放射線変換パネル92は、温度低下によって、全体的に、上に凸(下に凹)となった形状に変化する。
従って、上述した温度変化に伴う放射線変換パネル92の変形に対して、何ら対策を施さなければ、前記変形に起因して、放射線変換層196にクラックや剥離が発生し、あるいは、保護膜198における放射線変換層196の防湿機能が低下するおそれがある。また、前記温度変化に応じた周縁部230の反りに起因して、該周縁部230に熱圧着等により接続されたフレキシブル基板208、212が剥離するか、あるいは、接続不良となるおそれもある。
そこで、第1実施形態では、図5、図6、図8A及び図8Bに示すように、筐体40内において、基板194の四隅に温度センサ(温度検出部)216をそれぞれ配置して、該基板194の温度(放射線変換パネル92の温度)を検出するようにしている。
また、前述したように、放射線変換パネル92及び外力作用部218は、解体性接着剤272を介して接着固定されることにより一体化されている。従って、放射線変換パネル92の温度変化により該放射線変換パネル92(の基板194)が変形すると、外力作用部218も一体的に変形する。
そこで、第1実施形態では、放射線変換パネル92の変形(熱膨張や熱収縮)を許容しつつ、各温度センサ216が検出した温度に基づく放射線変換パネル92の温度変化に応じた適切な外力(前記温度変化に伴う基板194の変形量(反り量や伸び量)に応じた外力)を、外力作用部218から解体性接着剤272を介して基板194に作用させることにより、放射線変換パネル92を平坦に維持する(放射線変換パネル92の平面性を確保する)ようにしている。
ここで、外力作用部218の構成について説明する。
外力作用部218は、図5及び図6に示すように、一端部が絶縁シート270に面接触すると共に、他端部が解体性接着剤272を介して基板194に接着し、電圧の印加によって変形するアクチュエータ素子224を2つの電極226、228で挟み込んだ構造である。すなわち、外力作用部218は、カセッテ制御部50から電極226、228間に印加される、前記温度変化に応じた大きさ及び極性の制御電圧によってアクチュエータ素子224が変形することにより基板194に対して外力を作用させるアクチュエータである。
具体的に、制御電圧の印加前における外力作用部218の状態が図8Aである場合に、図8Bのように電極226、228間に制御電圧を印加すると、アクチュエータ素子224は、上下方向に収縮する一方で、水平方向(面方向)に伸張する。この結果、解体性接着剤272(図5及び図6参照)を介して外力作用部218と一体化されている放射線変換パネル92(の基板194)にも水平方向に向かう外力(図8Bの黒色の矢印)が作用するので、例え、温度変化によって放射線変換パネル92に反り(図8Bの白抜きの矢印)が発生する場合であっても、放射線変換パネル92及び外力作用部218を一体的に平面状に維持することができる。
従って、第1実施形態では、アクチュエータとしての外力作用部218が、放射線変換パネル92の温度変化に対応して、基板194に外力(図8Bの黒色の矢印)を作用し続けることにより、該温度変化を考慮しつつ、基板194と一体となって放射線変換パネル92全体を平坦に維持することができる。
なお、信号出力層200及び光電変換層202の形成に用いられるアモルファス酸化物半導体や、光電変換層202の形成に用いられるOPCは、アモルファスシリコン(a−Si)よりも引張り強度が大きいので、信号出力層200又は光電変換層202の材料として好適である。
また、図8A及び図8Bでは、説明の容易化のために、放射線変換パネル92、外力作用部218及びフレキシブル基板208、212以外の構成要素については、図示を省略している。さらに、図8Bは、放射線変換パネル92が図7Aのように変形することに対応して基板194に外力を作用させた場合を図示したものであるが、図7Bのような変形であっても、同様にして外力を作用させることで平面性を確保できることは勿論である。
さらにまた、電極226、228間に図8Bに示す電圧極性とは逆極性の制御電圧を印加した場合には、アクチュエータ素子224は、上下方向に伸張する一方で、面方向に収縮する。このような場合でも、外力作用部218は、解体性接着剤272を介して基板194に外力を作用させることで、放射線変換パネル92を平坦に維持することが可能である。
また、基板194の温度が常温である場合には、基板194を含めて放射線変換パネル92全体が平面性を維持する可能性が高いので、変形が惹起される可能性は低い。このような場合には、電極226、228に対する制御電圧の供給を停止してもよい。
ここで、解体性接着剤272の材質と、外力作用部218を構成する電極226、228及びアクチュエータ素子224の材質とについて説明する。
解体性接着剤272は、熱可塑性接着剤、通電加熱可塑性接着剤、紫外線可塑性接着剤、又は、吸水可塑性接着剤等、基板194と外力作用部218を一旦接着固定しても、加熱、通電加熱、紫外線照射、又は、吸水等によって剥がすことが可能な接着剤からなる。なお、前述したように、外力作用部218は、制御電圧の供給によって伸縮するので、解体性接着剤272は、弾性的な性質を有するエポキシ系又はシリコーン樹脂系の接着剤であることが望ましい。
アクチュエータ素子224は、高分子材料、形状記憶合金又は圧電素子からなる。この場合、高分子材料としては、例えば、高分子ゲル、高分子電解質ゲル、非イオン高分子ゲル又は導電性高分子がある。なお、ゴム状の高分子膜(エラストマー)をアクチュエータ素子224とすれば、電圧印加によって該アクチュエータ素子224が変形することにより、外力作用部218が外部からの衝撃に対する衝撃吸収材としても機能する。
また、圧電素子としては、例えば、水晶、ロッシェル塩、チタン酸バリウム又はジルコンチタン酸鉛がある。
いずれのアクチュエータ素子224を用いても、電極226、228に対する制御電圧の印加によって、例えば、図8Bのように変形するので、基板194に対して容易に外力を作用させることができる。
なお、高分子材料又は形状記憶合金をアクチュエータ素子224とした外力作用部218は、人工筋肉と呼称されるアクチュエータとして機能する。また、形状記憶合金を用いたアクチュエータでは、少なくとも2つの温度に対して形状が予め記憶されていることが必要であり、従って、この場合、温度センサ216による基板194の温度のモニタは、特に行わなくてもよい。
電極226、228は、導電性を有するものであればよく、例えば、金属、あるいは、導電性高分子等の導電性樹脂であればよい。
次に、一例として、間接変換型の放射線変換パネル92を採用した場合の電子カセッテ20Aの回路構成及びブロック図に関し、図9を参照しながら詳細に説明する。
図9で模式的に示すように、放射線変換パネル92では、光電変換層202(図5及び図6参照)を構成する多数の画素100が信号出力層200上に配列され、さらに、これらの画素100に対して駆動回路部210から制御信号を供給する多数のゲート線102と、多数の画素100から出力される電気信号を読み出して読出回路部214に出力する多数の信号線104とが配列されている。すなわち、各画素100が形成された光電変換層202は、信号出力層200を構成する行列状のTFT106のアレイの上に配置した構造を有する。なお、ゲート線102は、フレキシブル基板208の一部であると共に、信号線104は、フレキシブル基板212の一部である。
この場合、駆動回路部210を構成するバイアス回路108からバイアス電圧が供給される各画素100では、可視光を電気信号(アナログ信号)に変換することにより発生した電荷が蓄積され、各列毎にTFT106を順次オンにすることにより前記電荷を画像信号として読み出すことができる。
各画素100に接続されるTFT106には、列方向と平行に延びるゲート線102と、行方向と平行に延びる信号線104とが接続される。各ゲート線102は、ゲート駆動回路110に接続され、各信号線104は、読出回路部214のマルチプレクサ112に接続される。ゲート線102には、列方向に配列されたTFT106をオンオフ制御する制御信号がゲート駆動回路110から供給される。この場合、ゲート駆動回路110には、カセッテ制御部50からフレキシブル基板208を介してアドレス信号が供給される。
また、信号線104には、行方向に配列されたTFT106を介して各画素100に保持されている電荷が流出する。この電荷は、読出回路部214の増幅器114によって増幅される。増幅器114には、サンプルホールド回路116を介してマルチプレクサ112が接続される。マルチプレクサ112は、信号線104を切り替えるFET(電界効果トランジスタ)スイッチ118と、1つのFETスイッチ118をオンにする選択信号を出力するマルチプレクサ駆動回路120とを備える。マルチプレクサ駆動回路120には、フレキシブル基板212を介してカセッテ制御部50からアドレス信号が供給される。FETスイッチ118には、A/D変換器122が接続され、A/D変換器122によってデジタル信号に変換された放射線画像がフレキシブル基板208を介してカセッテ制御部50に供給される。
なお、スイッチング素子として機能するTFT106は、CMOS(Complementary Metal−Oxside Semiconductor)イメージセンサ等、他の撮像素子と組み合わせて実現してもよい。さらにまた、TFTで言うところのゲート信号に相当するシフトパルスにより電荷をシフトしながら転送するCCD(Charge−Coupled Device)イメージセンサに置き換えることも可能である。
カセッテ制御部50は、アドレス信号発生部130と、画像メモリ132と、カセッテIDメモリ134と、外力制御部240とを備える。
アドレス信号発生部130は、ゲート駆動回路110及びマルチプレクサ駆動回路120に対してアドレス信号を供給する。画像メモリ132は、放射線変換パネル92によって検出された放射線画像を記憶する。カセッテIDメモリ134は、電子カセッテ20Aを特定するためのカセッテID情報を記憶する。
外力制御部240は、温度センサ216が検出した基板194の温度に基づいて、放射線変換パネル92の温度変化に応じた大きさ及び極性の制御電圧を外力作用部218に供給する。従って、外力制御部240が基板194の温度変化に応じて制御電圧の極性や大きさを適宜変更することにより、外力作用部218から基板194に作用する外力の大きさ及び方向を変化する(調整する)ことができる。
第1実施形態に係る電子カセッテ20Aを含む放射線画像撮影システム10Aは、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作について、図10のフローチャートを参照しながら説明する。なお、図10の説明では、必要に応じて、図1〜図9も参照しながら説明する。
ここでは、電源スイッチ86投入前の電子カセッテ20Aの温度が常温であり、該電源スイッチ86の投入により放射線変換パネル92の温度が上昇し、一方で、電源スイッチ86のオフにより放射線変換パネル92の温度が常温にまで下降する場合について説明する。
ステップS1において、電子カセッテ20Aの筐体40内では、電源スイッチ86がまだ投入されていないので、電源部52は、カセッテ制御部50及び各温度センサ216にのみ電力供給を行っている。すなわち、電子カセッテ20Aは、スリープ状態にある。
各温度センサ216は、基板194の温度を検出してカセッテ制御部50に出力し、カセッテ制御部50の外力制御部240は、各温度センサ216が検出した温度に基づいて、外力作用部218を動作させるべきか否かを判定する。前述したように、電源スイッチ86の投入前であるため、基板194の温度は、常温であり、従って、基板194を含めて放射線変換パネル92は、平面性を保持している。そのため、外力制御部240は、前記温度が常温であり、温度変化は発生していないので、外力作用部218に対する制御電圧の供給は不要と判定し、各電極226、228に対する前記制御電圧の印加を行わない。この結果、ステップS1の段階では、外力作用部218から基板194に対する外力の作用は行われない。
ステップS2において、医師又は放射線技師は、取っ手80を把持して電子カセッテ20Aを所定の保管場所から撮影台12にまで運搬した後に、放射線源18と放射線変換パネル92との間の撮影間距離をSID(線源受像画間距離)に調整する一方で、撮影面42に被写体14を配置させて、被写体14の撮影部位が撮影領域46に入り、且つ、該撮影部位の中心位置が撮影領域46の中心位置と略一致するように、該被写体14の位置決め(ポジショニング)を行う。また、医師又は放射線技師は、コンソール22を操作することにより、撮影対象である被写体14に関わる被写体情報等の撮影条件(例えば、放射線源18の管電圧や管電流、放射線16の曝射時間)を登録する。撮影部位や撮影方法が予め決まっている場合には、これらの撮影条件も登録しておく。
ステップS3において、医師又は放射線技師が電源スイッチ86を投入すると、電源部52は、電源スイッチ86の投入に起因して、筐体40内の各部に対する電力供給を開始する。これにより、通信部54は、コンソール22との間での無線による信号の送受信が可能な状態となり、該コンソール22にて登録された撮影条件を無線通信により受信し、カセッテ制御部50に出力する。また、表示部82は、各種の情報を表示可能な状態に至る。さらに、駆動回路部210は、電源部52からの電力供給によって起動し、バイアス回路108は、バイアス電圧を各画素100に供給して、該各画素100を電荷蓄積が可能な状態に至らせる。さらにまた、読出回路部214は、電源部52からの電力供給によって起動し、該各画素100からの電荷の読み出しが可能な状態に至る。従って、電子カセッテ20Aは、電源スイッチ86の投入に起因して、スリープ状態からアクティブ状態に移行する。
このように、電子カセッテ20Aがアクティブ状態となって、放射線変換パネル92を構成する信号出力層200及び光電変換層202が動作可能に至ることで、信号出力層200及び光電変換層202が発熱し、基板194を含めた放射線変換パネル92の温度が上昇するに至る。このような温度変化によって、放射線変換パネル92は、図7Aに示す変形を惹起するおそれがある。
そこで、ステップS4において、温度センサ216は、基板194の温度を逐次モニタし(検出し)、モニタした温度をカセッテ制御部50に出力する。外力制御部240は、温度センサ216から逐次入力される温度情報に基づいて、放射線変換パネル92に温度変化(温度上昇)が発生しているか否かを判定し、温度上昇が発生していると判定した場合には、該温度上昇に応じた適切な外力を外力作用部218から基板194に作用させるために必要な大きさ及び方向の制御電圧を生成し、生成した制御電圧を各電極226、228に印加する。
これにより、アクチュエータ素子224は、各電極226、228に印加された前記制御電圧の極性及び大きさに応じて変形し、外力作用部218は、基板194に対して外力を作用させる。このように、前記温度上昇によって基板194を含めた放射線変換パネル92が変形するような場合であっても、前記温度上昇に応じた外力が基板194に対して作用するので、基板194を含めた放射線変換パネル92の形状を平坦に維持することができる。
前述したように、各温度センサ216は、基板194の温度を逐次モニタしてカセッテ制御部50に出力するので、ステップS4以降においても、外力制御部240は、前記温度に基づいて、前記温度上昇に応じた外力を作用させるべきか否かを逐次判定すると共に、前記外力を作用させるために必要な大きさ及び極性の制御電圧を逐次生成して外力作用部218に適宜出力することができる。従って、電子カセッテ20Aでは、基板194の温度を逐次検出することで、前記温度上昇に伴う放射線変換パネル92の変形に対して、外力を作用し続けることができ、この結果、放射線変換パネル92全体を平坦に維持することができる。
このようにして、ステップS1〜S4の撮影準備が完了した後のステップS5において、医師又は放射線技師がコンソール22又は放射線源18に備わる図示しない曝射スイッチを投入する。コンソール22に曝射スイッチが備わっている場合には、曝射スイッチの投入後、コンソール22は、無線通信によって撮影条件を放射線源18に送信する。また、放射線源18に曝射スイッチが備わっている場合には、曝射スイッチの投入後、放射線源18から無線通信によりコンソール22に対して撮影条件の送信が要求され、該コンソール22は、放射線源18からの送信要求に応じて、前記撮影条件を無線通信により放射線源18に送信する。
放射線源18は、撮影条件を受信すると、該撮影条件に従って、所定の線量からなる放射線16を所定の曝射時間だけ被写体14に照射する。放射線16は、被写体14を透過してパネル収容ユニット30内の放射線変換パネル92に至る。
ステップS6において、放射線変換パネル92が間接変換型の放射線変換パネルである場合に、該放射線変換パネル92を構成するシンチレータ206は、放射線16の強度に応じた強度の可視光を発光し、光電変換層202を構成する各画素100は、可視光を電気信号に変換し、電荷として蓄積する。次いで、各画素100に保持された被写体14の放射線画像である電荷情報は、カセッテ制御部50を構成するアドレス信号発生部130からゲート駆動回路110及びマルチプレクサ駆動回路120に供給されるアドレス信号に従って読み出される。
すなわち、ゲート駆動回路110は、アドレス信号発生部130から供給されるアドレス信号に対応するゲート線102に接続されたTFT106のゲートに制御信号を供給する。一方、マルチプレクサ駆動回路120は、アドレス信号発生部130から供給されるアドレス信号に従って、選択信号を出力してFETスイッチ118を順次切り替え(順次オンオフして)、ゲート駆動回路110によって選択されたゲート線102に接続される各画素100に保持された電荷情報としての放射線画像を信号線104を介して順次読み出す。
選択されたゲート線102に接続された各画素100から読み出された放射線画像は、各増幅器114によって増幅された後、各サンプルホールド回路116によってサンプリングされ、FETスイッチ118を介してA/D変換器122に供給され、デジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された放射線画像は、カセッテ制御部50の画像メモリ132に一旦記憶される(ステップS7)。
同様にして、ゲート駆動回路110は、アドレス信号発生部130から供給されるアドレス信号に従って、制御信号を出力するゲート線102を順次切り替え、各ゲート線102に接続されている各画素100に保持された電荷情報である放射線画像を信号線104を介して読み出し、FETスイッチ118及びA/D変換器122を介してカセッテ制御部50の画像メモリ132に記憶させる(ステップS7)。
画像メモリ132に記憶された放射線画像は、カセッテIDメモリ134に記憶されたカセッテID情報と共に、通信部54を介して無線通信によりコンソール22に送信される。コンソール22は、受信した放射線画像に対して所定の画像処理を行い、画像処理後の放射線画像を無線通信により表示装置24に送信する。表示装置24は、受信した放射線画像を表示する(ステップS8)。
なお、ステップS8において、電子カセッテ20Aには、表示部82が備わっているので、該表示部82に放射線画像(のローデータ又は間引きデータ)を表示させてもよい。
医師又は放射線技師が表示装置24又は表示部82に表示された放射線画像を視認して、適切な被写体14の放射線画像が得られたことを確認した後のステップS9において、医師又は放射線技師は、被写体14を解放して撮影を完了させると共に、電源スイッチ86を押して、電子カセッテ20Aを停止させる。これにより、電源部52は、カセッテ制御部50及び温度センサ216以外の筐体40内の各部に対する電力供給を停止する。この結果、電子カセッテ20Aは、アクティブ状態からスリープ状態に移行する。そして、医師又は放射線技師は、取っ手80を把持して、電子カセッテ20Aを所定の保管場所にまで運搬する。
スリープ状態においても、各温度センサ216は、基板194の温度を検出してカセッテ制御部50に出力している。そこで、ステップS10において、外力制御部240は、各温度センサ216が検出した温度が電源スイッチ86の投入前の温度、すなわち、常温にまで低下したか否かを判定する。常温まで低下していない場合、外力制御部240は、温度変化(温度低下)に応じて放射線変換パネル92が変形する可能性があると判断し(ステップS10:NO)、外力作用部218に対する制御電圧の供給を続行する。一方、常温まで低下した場合、外力制御部240は、放射線変換パネル92が変形する可能性がなくなり、平面性が保たれるものと判断し(ステップS10:YES)、外力作用部218に対する制御電圧の供給を停止して、外力作用部218から基板194への外力の作用を停止させる(ステップS11)。
以上説明したように、第1実施形態に係る電子カセッテ20A及び放射線画像撮影システム10Aでは、放射線変換パネル92と外力作用部218とを積層して一体的に構成している。そのため、放射線変換パネル92の温度変化に伴って該放射線変換パネル92が変形(熱膨張又は熱収縮が発生)した場合には、放射線変換パネル92及び外力作用部218が一体的に変形する。そこで、第1実施形態では、これらの変形を許容しつつ、前記温度変化に応じて、外力作用部218から放射線変換パネル92に外力を作用させることで、放射線変換パネル92を平坦に維持する(放射線変換パネル92の平面性を確保する)ことができる。この結果、第1実施形態は、単純に放射線変換パネル92に他の部材を貼着した場合(特許文献1の技術)と比較して、該放射線変換パネル92の変形に伴うクラックや剥離の発生を効果的に回避することができる。
また、温度変化に応じて放射線変換パネル92(の基板194)が変形するので、基板194の温度を温度センサ216により検出し、検出した前記温度に基づいて、前記温度変化(に起因した放射線変換パネル92(の基板194)の変形量)に応じた適切な外力を基板194に作用させることにより、放射線変換パネル92の平面性を効果的に確保することができる。すなわち、前記温度変化に伴う放射線変換パネル92の変形量(反り量や伸び量)が予め把握されていれば、該変形量に応じて外力を基板194に作用し続けることで、基板194を含めた放射線変換パネル92を全体的に平坦に維持することが可能となる。
また、放射線変換パネル92の温度変化に伴って、プラスチック樹脂である基板194は、該基板194の厚み方向に反るので、外力作用部218が前記温度変化に応じて変形(厚み方向に収縮又は伸張、面方向に伸張又は収縮)することにより、該外力作用部218から基板194に外力を容易に作用させることができるので、放射線変換パネル92全体の平面性を確保することが可能となる。放射線変換パネル92の平面性が確保されることで、基板194からのフレキシブル基板208、212の剥離も回避することが可能となり、この結果、前記温度変化に関わりなく、アドレス信号の供給や電気信号の出力を行うことができる。
このように、第1実施形態では、温度変化に応じた外力の作用によって放射線変換パネル92が平坦に維持されるので、シンチレータ206を構成するCsIの柱状結晶も基板194に対して垂直性を維持することができ、この結果、放射線変換パネル92の反りに起因した隣接する柱状結晶間でのクロストークの発生が抑制され、前記温度変化に関わりなく、画像ボケのない、鮮鋭度が高い放射線画像を容易に取得することができる。
また、外力作用部218は、解体性接着剤272を介して基板194に接着されているので、放射線16の照射等によって外力作用部218の機能が低下した際の該外力作用部218の交換が容易になる。
さらに、第1実施形態では、アクチュエータ素子224を高分子材料、特に、ゴム状の高分子膜(エラストマー)で構成すると、アクチュエータ素子224が外部からの衝撃(荷重、振動等)に対する衝撃吸収材の役目も果たすので、筐体40内の各構成要素を前記衝撃から効果的に保護することも可能となる。
なお、上記の説明では、温度センサ216が検出した基板194の温度に基づいて、温度変化に応じた外力を基板194について説明した。第1実施形態は、この説明に限定されることはなく、例えば、電源スイッチ86投入後の経過時間に対する基板194の温度上昇の傾向や、電源スイッチ86オフ後の経過時間に対する基板194の温度低下の傾向が予め分かっている場合には、外力制御部240にタイマ機能を備えさせ、電源スイッチ86投入後からの経過、あるいは、電源スイッチ86オフ後からの経過に応じて、制御電圧の大きさ(及び極性)を逐次変更し、変更後の制御電圧を各電極226、228に印加させてもよい。この場合でも、温度変化に応じて基板194に外力が作用されるので、放射線変換パネル92を平坦に維持することができる。
第1実施形態に係る電子カセッテ20Aは、上述した説明に限定されることはなく、図11〜図16に示す実施形態も実現可能である。
図11は、医療機関内の必要な箇所に配置されたクレードル140による電源部52(図5、図6及び図9参照)の充電処理を示す斜視図である。
この場合、電子カセッテ20Aとクレードル140との間をコネクタ142、144を有するUSBケーブル146で電気的に接続する。
クレードル140は、電源部52の充電だけでなく、クレードル140の無線通信機能又は有線通信機能を用いて、医療機関内のコンソール22やRIS26との間で必要な情報の送受信を行うようにしてもよい。送受信する情報には、電子カセッテ20Aの画像メモリ132(図9参照)に記録された放射線画像を含めることができる。
また、クレードル140に表示部148を配設し、この表示部148に対して、電子カセッテ20Aの充電状態や、電子カセッテ20Aから取得した放射線画像を含む必要な情報を表示させるようにしてもよい。
さらに、複数のクレードル140をネットワークに接続し、各クレードル140に接続されている電子カセッテ20Aの充電状態をネットワークを介して収集し、使用可能な充電状態にある電子カセッテ20Aの所在を確認できるように構成することもできる。
次に、第1実施形態に係る電子カセッテ20Aの変形例(以下、第1〜第3変形例ともいう。)について、図12〜図16を参照しながら説明する。
先ず、図12及び図13に模式的に示す第1変形例の電子カセッテ20Aでは、外力作用部(第3の外力作用部)220、外力作用部(第4の外力作用部)218及び放射線変換パネル92の順に積層されて一体化されている。
この場合、外力作用部220は、外力作用部218と略同じ構成であり、アクチュエータ素子224と同じ機能を奏するアクチュエータ素子234を2つの電極236、238で挟み込んだ構造とされている。また、外力作用部220と外力作用部218とは、基板194直下の箇所が互いに重なり合うような状態で積層されている。
この第1変形例において、外力制御部240から外力作用部218の電極226、228間に制御電圧を印加すると共に、外力作用部220の電極236、238間にも制御電圧を印加すると、図13に示すように、基板194の面方向(水平方向)に対して、外力作用部218及び外力作用部218は、互いに異なる方向(両矢印で示す方向)に伸縮する。従って、第1変形例では、基板194の変形量や変形方向に応じて、各電極226、228、236、238に印加する制御電圧の大きさ及び極性を調整することにより、外力作用部218及び外力作用部218の前記面方向に沿った伸縮量を適宜変更することができ、この結果、基板194を効率よく平坦に維持することができる。
図14及び図15に示す第2変形例の電子カセッテ20Aは、放射線変換パネル92を2つの外力作用部218、220(第1及び第2の外力作用部)で上下方向に挟み込んで一体化したものである。
図14の電子カセッテ20Aでは、保護膜198も解体性接着剤として機能させて、外力作用部220の電極238が保護膜198に接着される一方で、電極236が解体性接着剤232を介して筐体40の上面に接着されている。
この場合、温度変化に伴って放射線変換パネル92が変形するおそれがあっても、基板194側の外力作用部218により該基板194に対して外力を作用し続けると共に、保護膜198及びシンチレータ206側の外力作用部220によって保護膜198及びシンチレータ206に外力を作用し続けることで、放射線変換パネル92の平面性をより確実に且つ効率よく確保することができる。
なお、図14の場合には、基板194の熱膨張係数と保護膜198の熱膨張係数とが互いに異なり、従って、放射線変換パネル92の温度変化に伴う変形量も互いに異なることになる。この場合、前記温度変化に伴う前記各変形量に応じて、各外力作用部218、220に供給する制御電圧の大きさ(及び極性)が互いに異なるように適宜調整することで、適切な外力を作用し続けることが可能となる。
一方、図15の電子カセッテ20Aでは、基板194に信号出力層200及び光電変換層202の順に形成する一方で、アルミニウム基板又はプラスチック樹脂等の他の基板250に蒸着等によりシンチレータ206を形成し、光電変換層202とシンチレータ206とを対向させた状態で、接着層204を介して光電変換層202とシンチレータ206とを接着固定して放射線変換パネル92を構成する。図15の場合には、前述した保護膜198は設けられていない。また、基板194、250は、熱膨張係数が互いに異なる基板である。なお、外力作用部220の電極238は、解体性接着剤244を介して基板250と接着されている。
この場合、温度変化に伴って放射線変換パネル92が変形するおそれがあっても、基板194側の外力作用部218により該基板194に対して外力を作用し続けると共に、基板250及びシンチレータ206側の外力作用部220によって基板250及びシンチレータ206に外力を作用し続けることで、放射線変換パネル92の平面性をより確実に且つ効率よく確保することができる。
なお、図15の場合においても、基板194、250の熱膨張係数が互いに異なり、従って、放射線変換パネル92の温度変化に伴う変形量も互いに異なることになるので、前記温度変化に伴う前記各変形量に応じて、各外力作用部218、220に供給する制御電圧の大きさ(及び極性)が互いに異なるように適宜調整することで、適切な外力を作用し続けることが可能となる。
また、図14及び図15の第2変形例において、シンチレータ206が柱状結晶のCsIからなる場合には、上述のように、放射線変換パネル92の平面性が確保されることで、基板194、あるいは、基板194、250に対する該柱状結晶の垂直性が維持され、この結果、前記温度変化に関わりなく、鮮鋭度の高い放射線画像を容易に得ることができる。さらに、第2変形例でも、アクチュエータ素子224、234がゴム状の高分子膜(エラストマー)から構成されていれば、外部からの衝撃を吸収する衝撃吸収材としても機能するので、筐体40内の各構成要素を前記衝撃から効果的に保護することができる。
さらに、保護膜198を解体性接着剤とし、外力作用部218、220を解体性接着剤232、244、272及び保護膜198で接着固定することにより、放射線16の照射等によって外力作用部218、220の機能が低下した際の該外力作用部218、220の交換が容易になる。
図16の平面視で示すように、第3変形例の電子カセッテ20Aは、基板194の底面において、放射線変換層196の投影面積よりも小さな外力作用部(第5の外力作用部)218aを該放射線変換層196直下の箇所に配設すると共に、該外力作用部218aの周囲(基板194の周縁部230側)に小面積の複数の外力作用部(第6の外力作用部)218bを配設したものである。なお、各外力作用部218a、218bの構成は、外力作用部218と同様であるので、詳細な説明は省略する。
前述したように、基板194における放射線変換層196の箇所よりも、基板194の周縁部230における変形が大きいので、基板194の変形量に応じて、互いに異なる大きさ(及び方向)の制御電圧を各外力作用部218a、218bにそれぞれ供給して、互いに異なる大きさの外力を基板194に対してそれぞれ作用させることにより、基板194を効率よく平坦に維持することができる。
また、基板194には、複数の温度センサ216(図3参照)が配置されている。そこで、外力制御部240は、外力作用部218a、218b近傍の温度センサ216が検出した温度に基づく大きさ及び方向の制御電圧をそれぞれ供給してもよい。これにより、基板194に対して外力を精度よく作用させることが可能となる。
上述した第1実施形態の説明では、放射線16の照射方向に対してシンチレータ206が前方に配置され、且つ、光電変換層202が後方に配置された、いわゆる表面照射型の放射線変換パネル92について説明した。第1実施形態に係る電子カセッテ20Aは、表面照射型に限定されることはなく、放射線16の照射方向に対して光電変換層202が前方に配置され、且つ、シンチレータ206が後方に配置された裏面照射型の放射線変換パネルにも適用可能であることは勿論である。
なお、第1実施形態は、光読出方式の放射線変換パネルを利用して放射線画像を取得する場合にも適用することが可能である。この光読出方式の放射線変換パネルでは、各固体検出素子に放射線が入射すると、その線量に応じた静電潜像が固体検出素子に蓄積記録される。静電潜像を読み取る際には、放射線変換パネルに読取光を照射し、発生した電流の値を放射線画像として取得する。なお、放射線変換パネルは、消去光を放射線変換パネルに照射することで、残存する静電潜像である放射線画像を消去して再使用することができる(特開2000−105297号公報参照)。
また、電子カセッテ20Aでは、血液やその他の雑菌が付着するおそれを防止するために、例えば、装置全体を防水性、密閉性を有する構造とし、必要に応じて殺菌洗浄することにより、1つの電子カセッテ20Aを繰り返し続けて使用することができる。
また、第1実施形態は、医療機関内での放射線画像の撮影に限らず、災害現場、在宅看護の現場、さらには、検診車に搭載して、健康診断における被写体の撮影にも適用することが可能である。さらに、第1実施形態は、このような医療関連の放射線画像の撮影に限定されるものではなく、例えば、各種の非破壊検査における放射線画像の撮影にも適用可能であることは勿論である。
次に、第2実施形態に係る電子カセッテ20B及び放射線画像撮影システム10Bについて、図17〜図21を参照しながら説明する。
なお、電子カセッテ20B及び放射線画像撮影システム10Bにおいて、第1実施形態に係る電子カセッテ20A及び放射線画像撮影システム10A(図1〜図16参照)と同じ構成要素については、同じ参照符号を付けて、その詳細な説明を省略し、以下同様とする。
第2実施形態に係る電子カセッテ20B及び放射線画像撮影システム10Bは、パネル収容ユニット30にヒンジ部170を介して制御ユニット32が連結されている点で、第1実施形態に係る電子カセッテ20A及び放射線画像撮影システム10A(図1〜図16参照)とは異なる。
すなわち、電子カセッテ20Bにおいて、制御ユニット32は、パネル収容ユニット30の筐体40と略同じ形状で、且つ、放射線16に対して非透過の物質からなる筐体48を有し、該筐体48内にカセッテ制御部50、電源部52及び通信部54等が収容されている。また、制御ユニット32には、表示部82及び取っ手80等、放射線16から放射線画像への変換に寄与しない構成要素も配置されている。従って、基台190や遮蔽板192が不要となり、電子カセッテ20Bの軽量化を図ることができる。
図18Aは、運搬時の電子カセッテ20Bの状態であり、パネル収容ユニット30と制御ユニット32とは、折り畳まれた状態で運搬される。一方、図18Bは、撮影時の電子カセッテ20Bの状態であり、医師又は放射線技師は、取っ手80を把持し、ヒンジ部170を中心として筐体48を回動させると、該筐体48は、図18Aの位置から図18Bの位置にまで回動し、撮影が可能な状態となる。
また、パネル収容ユニット30と制御ユニット32との間では、信号の送受信や電力供給をフレキシブル基板62を介して行っている(図19〜図21参照)。このフレキシブル基板62は、前述したフレキシブル基板208、212と同様、可撓性を有する基板であり、図19に示すように、ヒンジ部170内で一回転した状態で配置されている。そのため、上述のように、パネル収容ユニット30に対して制御ユニット32を回動させても、該回動に伴うテンションがフレキシブル基板62にかかることを効果的に抑制することができる。
そして、パネル収容ユニット30の筐体40内において、外力作用部218及び放射線変換パネル92は、図20及び図21に示すように、第1実施形態の場合と同様に、一体的に積層配置されている。従って、外力作用部218と放射線変換パネル92を一体的に構成したことによる第1実施形態での各効果を容易に得ることができる。なお、第2実施形態においても、前述した第1〜第3変形例(図12〜図16参照)を適用してもよいことは勿論である。
次に、第3実施形態に係る電子カセッテ20C及び放射線画像撮影システム10Cについて、図22〜図28Bを参照しながら説明する。
第3実施形態に係る電子カセッテ20C及び放射線画像撮影システム10Cは、パネル収容ユニット30の矢印X2方向の側面側が上方に膨出した突出部分とされ、この突出部分が制御ユニット32として機能する点で、第1及び第2実施形態に係る電子カセッテ20A、20B及び放射線画像撮影システム10A、10B(図1〜図21参照)とは異なる。
従って、カセッテ制御部50、電源部52及び通信部54や、表示部82及び取っ手80等、放射線16から放射線画像への変換に寄与しない構成要素は、この突出部分に集中して配置されている。
また、電子カセッテ20Cでは、パネル収容ユニット30の矢印X1方向の側面が鋭角状になっており、且つ、その頂点部分は、所定の曲率半径で湾曲した湾曲部280として形成されている。従って、医師又は放射線技師が撮影台12と被写体14との間にパネル収容ユニット30を湾曲部280側から挿入する際に、被写体14に違和感を感じさせることなく、スムーズに挿入することが可能となる。
さらに、筐体40内において、一体化された放射線変換パネル92及び外力作用部218の構成としては、図24〜図27のいずれの構成であってもよい。
図24に示す構成は、第2実施形態(図20及び図21参照)と同様に、外力作用部218と放射線変換パネル92とを解体性接着剤272を介して一体的に接着した構成である。従って、図24の電子カセッテ20Cでは、第2実施形態と同様の効果が得られる。
図25に示す構成は、電子カセッテ20Cの底面を絶縁シート270で構成すると共に、外力作用部218が湾曲部280からカセッテ制御部50までの間を矢印X方向に沿って延在している構成である。この場合でも、第2実施形態と同様の効果が得られる、また、外力作用部218が湾曲部280からカセッテ制御部50まで延在しているので、該外力作用部218が放射線変換パネル92を含めたパネル収容ユニット30全体に外力を作用させることにより、パネル収容ユニット30全体を平坦に維持することが可能となり、該パネル収容ユニット30の剛性を強化することができる。
図26に示す構成は、電子カセッテ20Cの底面を絶縁シート270及び外力作用部218で構成したものである。従って、外力作用部218は、湾曲部280からカセッテ制御部50まで矢印X方向に沿って延在している。この場合でも、第2実施形態と同様の効果が得られる。また、パネル収容ユニット30及び制御ユニット32の底面に外力作用部218が設けられるので、外力作用部218が放射線変換パネル92を含めた電子カセッテ30A全体に外力を作用させることにより、パネル収容ユニット30全体が平坦に維持されて、該パネル収容ユニット30の剛性を強化することができると共に、パネル収容ユニット30と制御ユニット32との接続強度を強化することも可能となる。
図27に示す構成は、電子カセッテ20Cの底面に矢印X方向に沿って複数の外力作用部218c〜218eを配設したものである。この場合、外力制御部240(図9参照)は、全ての外力作用部218c〜218eに対して制御電圧を供給して外力の作用を行わせてもよいし、選択的に制御電圧を供給して一部の外力作用部のみ外力を作用させるようにしてもよい。従って、選択的に制御電圧を供給する場合に、制御電圧の供給を受けない外力作用部は、外力の作用を停止した状態になる。
図28A及び図28Bは、図27の電子カセッテ20Cを撮影台12と被写体14との間に挿入する場合を図示したものである。
先ず、図28Aの挿入時において、外力制御部240(図9参照)は、湾曲部280側の外力作用部218cに対する外力の作用を停止すると共に、他の外力作用部218d、218eに対しては外力を作用させるように制御する。これにより、パネル収容ユニット30のうち、外力作用部218cに近接する湾曲部280側は可撓性がある一方で、外力作用部218d、218eの外力を受けた制御ユニット32側は、前記外力の作用によって平坦に維持され且つ剛性を有することになる。従って、パネル収容ユニット30は、図28Aに示すように、湾曲部280から制御ユニット32に向かって略湾曲するような形状となる。この結果、医師又は放射線技師は、被写体14に対して違和感を与えることなく、パネル収容ユニット30を湾曲部280側からスムーズに挿入することができ、挿入作業を効率よく行うことができる。
挿入後の図28Bにおいて、外力制御部240(図9参照)は、全ての外力作用部218c〜218eに対して外力を作用させるように制御電圧を供給する。これにより、パネル収容ユニット30は、各外力作用部218c〜218eによる外力の作用によって平坦に維持されると共に、剛性が強化される。
なお、挿入時において、外力制御部240(図9参照)は、各外力作用部218c〜218eに制御電圧を供給し、該各外力作用部218c〜218eによる外力の作用で、パネル収容ユニット30が図28Aのように積極的に湾曲するよう制御してもよい。この場合でも、被写体14に違和感を与えることなく、挿入作業を容易に且つ確実に行うことができる。
なお、本発明は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。