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JP5522421B2 - がん温熱療法の作用増強剤 - Google Patents

がん温熱療法の作用増強剤 Download PDF

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Description

本発明は、がん温熱療法の作用増強剤、より詳しくは、5−アミノレブリン酸類又はそれらの塩を含む、光線力学療法(Photodynamic therapy:PDT)を併用しないがん温熱療法の作用増強剤に関する。
がん(悪性腫瘍)は日本における最大の死因となっており、日本国民の2人に1人が罹患すると言われている。また、他の先進国においても、がんは死因の上位にランクされている。そのため、がんの有効な治療法の開発は、日本国民を始め、世界の人々にとっての悲願である。しかし、がんは患者自身の細胞であるため、副作用を伴わずに、がんを効果的に治療し得る有効な治療剤や治療方法の開発は容易ではなく、未だ十分な治療剤や治療方法は報告されていない。
現在、がんの治療には、外科的治療、化学療法、放射線治療が主に用いられているが、近年では、温熱療法や、光線力学療法などへも広がりを見せている。
前述の温熱療法は、がん細胞が正常細胞に比べて熱に弱い特性を有していることを利用して、がん細胞の増殖を特異的に抑制する治療法である。すなわち、がん細胞と正常細胞を含む組織を42〜43℃くらいで加温した場合、正常細胞部分は、生体恒常性(ホメオスタシス)が働いて、細胞周囲の血管を拡張して血流を増やし、熱を放出するなどして細胞の温度を40℃くらいに保持し、その結果、ほとんど損傷を受けないが、がん細胞からなる部分は、一般的に血流が不足していること等からホメオスタシスが十分に働かず、その結果、細胞の温度は加温温度付近まで上昇していき、42.5℃くらいで細胞が死滅する。ただ、温熱療法で加温する部位が広い場合や、治療対象とするがんが身体表面からある程度の深さのある位置にある場合は、加温による患者の負担が増すなどの問題点もある。
前述の光線力学療法は、がん組織に親和性を有する光増感剤やその前駆体を患者に投与した後、がん組織にレーザー光を照射して前述の光増感剤を励起させることによって、活性酸素を発生させ、がん細胞を死滅させる治療法である。例えば、特許文献1には、脂質膜内またはその内部水相に、光増感性化合物を含め少なくとも1種以上の薬物を内包し、かつ実質的に有機溶剤を含まないリポソームを含む光線力学療法製剤が開示されており、好ましい光増感性化合物の1つにプロトポルフィリンIX(PpIX)が含まれること、PpIX前駆体である5−アミノレブリン酸(5−ALA)は、腫瘍中で選択的にPpIX産生を導くことが開示されている。また、特許文献1には、光線力学療法と温熱療法を併用することが記載されている。
このように、5−ALAは光増感剤であるPpIXの前駆体であるため、5−ALAをがんの治療に用いる場合は、少なくとも光線力学療法を利用し、場合によってはさらに温熱療法を併用することが従来知られていたが、光線力学療法を利用しない5−ALAの癌治療への応用は従来報告されていなかった。
特開2006−56807号公報
本発明は、光線力学療法を併用しないがん温熱療法の作用増強剤を提供することを課題とする。
背景技術に記載したように、5−ALAは光増感剤であるPpIXの前駆体であるため、5−ALAをがんの治療に用いる場合は、少なくとも光線力学療法を利用し、場合によってはさらに温熱療法を併用することが従来知られていた。本発明者らは、このような状況下で鋭意研究を行った結果、その作用メカニズムは全く不明であるものの、5−ALAは光線力学療法を併用しないがん温熱療法においても、抗がん作用を増強し得ることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、〔1〕一般式(1)
NCHCOCHCHCOR (1)
[式中、R及びRは各々独立に、水素原子、アルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリール基又はアラルキル基を示し;Rはヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基又はアミノ基を示す。]
で表される5−アミノレブリン酸類又はそれらの塩を含むことを特徴とする、光線力学療法を併用しないがん温熱療法の作用増強剤や、
〔2〕5−アミノレブリン酸類又はそれらの塩が、脂質膜内またはその内部水相に内包されていないことを特徴とする上記〔1〕に記載のがん温熱療法の作用増強剤に関する。
また、本発明の他の実施の態様として、一般式(1)で表される5−アミノレブリン酸類又はそれらの塩を対象に投与することを特徴とする光線力学療法を併用しないがん温熱療法や;光線力学療法を併用しないがん温熱療法の作用増強剤又は治療薬の調製のための一般式(1)で表される5−アミノレブリン酸類又はそれらの塩の使用や;一般式(1)で表される5−アミノレブリン酸類又はそれらの塩を含むことを特徴とする、光線力学療法を併用しないがん温熱療法の治療剤;を挙げることができる。
本発明によれば、光線力学療法を併用しないがん温熱療法における抗がん作用を顕著に増強させることができる。また、本発明によれば、温熱療法の際の加温の程度を少し低くしても、十分な抗がん作用を得ることができるため、温熱療法で加温する部位が広い場合や、治療対象とするがんが身体表面からある程度の深さのある位置にある場合などでも、加温による患者の負担を軽減することができる。また、本発明におけるがん温熱療法の作用増強剤を利用したがん温熱療法の、光線力学療法に対するメリットとしては、光線を照射しにくい部分のがんに対しても抗がん作用が得られる点が挙げられる。さらに、本発明によれば、正常細胞へのダメージを最小限に抑えつつ、がん細胞に対しては優れた抗がん作用が得られる。
ヒト胎児腎細胞株HEK293株について、細胞内活性酸素量測定アッセイの結果を示す図である。グラフの横軸は5−ALA濃度(mM)を示し、グラフの縦軸はDCF−DA由来の蛍光のピーク値を示す。 ヒト線維肉腫細胞株HT−1080を用いたフローサイトメトリーによる温熱感受性試験の結果を示す図である。グラフの横軸は5−ALA濃度(mM)を示し、グラフの縦軸は死細胞率(%)を示す。 大腸がん由来細胞株Caco−2を用いたフローサイトメトリーによる温熱感受性試験の結果を示す図である。グラフの横軸は5−ALA濃度(mM)を示し、グラフの縦軸は死細胞率(%)を示す。 がん細胞と同様に異常増殖するように形質転換されたヒト胎児腎細胞株HEK293を用いたフローサイトメトリーによる温熱感受性試験の結果を示す図である。グラフの横軸は5−ALA濃度(mM)を示し、グラフの縦軸は死細胞率(%)を示す。 ヒト線維芽細胞株WI−38を用いたフローサイトメトリーによる温熱感受性試験の結果を示す図である。グラフの横軸は5−ALA濃度(mM)を示し、グラフの縦軸は死細胞率(%)を示す。 マウス線維芽細胞株NIH3T3を用いたフローサイトメトリーによる温熱感受性試験の結果を示す図である。グラフの横軸は5−ALA濃度(mM)を示し、グラフの縦軸は死細胞率(%)を示す。 大腸がん由来細胞株Caco−2を用いたトリパンブルー試薬による温熱感受性試験の結果を示す図である。グラフの横軸は5−ALA濃度(mM)を示し、グラフの縦軸は死細胞率(細胞死率)(%)を示す。 ヒト肝臓がん由来細胞株HepG2を用いたトリパンブルー試薬による温熱感受性試験の結果を示す図である。グラフの横軸は5−ALA濃度(mM)を示し、グラフの縦軸は死細胞率(%)を示す。 ヒト胃がん由来細胞株KatoIIIを用いたトリパンブルー試薬による温熱感受性試験の結果を示す図である。グラフの横軸は5−ALA濃度(mM)を示し、グラフの縦軸は死細胞率(%)を示す。 ヒト子宮頸がん由来細胞株HeLaを用いたトリパンブルー試薬による温熱感受性試験の結果を示す図である。グラフの横軸は5−ALA濃度(mM)を示し、グラフの縦軸は死細胞率(%)を示す。 がん細胞と同様に異常増殖するように形質転換されたヒト胎児腎細胞株HEK293を用いたトリパンブルー試薬による温熱感受性試験の結果を示す図である。グラフの横軸は5−ALA濃度(mM)を示し、グラフの縦軸は死細胞率(%)を示す。 ヒト正常2倍体線維芽細胞株WI−38を用いたトリパンブルー試薬による温熱感受性試験の結果を示す図である。グラフの横軸は5−ALA濃度(mM)を示し、グラフの縦軸は死細胞率(%)を示す。 マウス線維芽細胞様細胞株NIH3T3を用いたトリパンブルー試薬による温熱感受性試験の結果を示す図である。グラフの横軸は5−ALA濃度(mM)を示し、グラフの縦軸は死細胞率(%)を示す。 ヒト胎児肺由来正常線維芽細胞MRC5を用いたトリパンブルー試薬による温熱感受性試験の結果を示す図である。グラフの横軸は5−ALA濃度(mM)を示し、グラフの縦軸は死細胞率(%)を示す。 HEK293株について、細胞内PpIX濃度をHPLCにより測定した結果を示す図である。グラフの横軸は5−ALA濃度(mM)を示し、グラフの縦軸は細胞内PpIX濃度を示す。
[本発明のがん温熱療法の作用増強剤]
本発明のがん温熱療法の作用増強剤(以下、単に「本発明の増強剤」とも表示する。)は、光線力学療法を併用しないがん温熱療法の作用増強剤であり、かかる本発明の増強剤としては、以下の一般式(1)
NCHCOCHCHCOR (1)
[式中、R及びRは各々独立に、水素原子、アルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリール基又はアラルキル基を示し;Rはヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基又はアミノ基を示す。]で表される5−アミノレブリン酸類又はそれらの塩(以下、「本発明における5−アミノレブリン酸類等」とも表示する。)を含んでいる限り特に制限されず、上記の「がん温熱療法の作用」とは、がん温熱療法による抗がん作用を意味する。
なお、ヒトの正常細胞では、好気代謝が優先的に行われているので、投与した5−アミノレブリン酸類はヘムやシトクロムまで代謝されるのに対し、がん細胞は嫌気代謝が優先的に行われているため、投与した5−アミノレブリン酸類はヘムやシトクロムの前駆体であるプロトポルフィリンIXとしてがん細胞に蓄積することを、本発明者らはこれまでに見い出している(特願2009−161657号参照)。本発明の作用機序の詳細は不明であるが、本発明の増強剤によってがん細胞にプロトポルフィリンIXが比較的多く蓄積した状態でがん温熱療法を行うと、レーザー光を照射しなくても、がん細胞中に生じる活性酸素量が顕著に上昇し、がん温熱療法における抗がん作用が顕著に増強される(以下、「本発明の増強効果」とも表示する。)ものと考えられる。その結果、本発明の増強剤によれば、がん温熱療法における抗がん作用を顕著に増強させることができ、また、温熱療法の際の加温の程度を少し低くしても、十分な抗がん作用を得ることができるため、温熱療法で加温する部位が広い場合や、治療対象とするがんが身体表面からある程度の深さのある位置にある場合などでも、加温による患者の負担を軽減することができる。
上記の一般式(1)中、R及びRは各々独立に、水素原子、アルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリール基又はアラルキル基を示す。
上記アルキル基としては、炭素数1〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜18のアルキル基、特に炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。かかる炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基等が挙げられる。
上記アシル基としては、炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖のアルカノイル基、アルケニルカルボニル基又はアロイル基が好ましく、特に炭素数1〜6のアルカノイル基が好ましい。かかるアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等が挙げられる。
上記アルコキシカルボニル基としては、総炭素数2〜13のアルコキシカルボニル基が好ましく、特に炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基が好ましい。かかるアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基等が挙げられる。
上記アリール基としては、炭素数6〜16のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
上記アラルキル基としては、炭素数6〜16のアリール基と上記炭素数1〜6のアルキル基とからなる基が好ましく、例えば、ベンジル基等が挙げられる。
上記の一般式(1)中、Rはヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基又はアミノ基を示す。
上記アルコキシ基としては、炭素数1〜24の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜16のアルコキシ基、特に炭素数1〜12のアルコキシ基が好ましい。かかるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基等が挙げられる。
上記アシルオキシ基としては、炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖のアルカノイルオキシ基が好ましく、特に炭素数1〜6のアルカノイルオキシ基が好ましい。かかるアシルオキシ基としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基等が挙げられる。
上記アルコキシカルボニルオキシ基としては、総炭素数2〜13のアルコキシカルボニルオキシ基が好ましく、特に総炭素数2〜7のアルコキシカルボニルオキシ基が好ましい。かかるアルコキシカルボニルオキシ基としては、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、イソプロポキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。
上記アリールオキシ基としては、炭素数6〜16のアリールオキシ基が好ましく、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。アラルキルオキシ基としては、前記アラルキル基を有するものが好ましく、例えば、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
一般式(1)中、R及びRとしては水素原子が好ましい。Rとしてはヒドロキシ基、アルコキシ基又はアラルキルオキシ基が好ましく、ヒドロキシ基又は炭素数1〜12のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基又はヘキシルオキシ基が特に好ましい。
一般式(1)中、R及びRが水素原子であり、Rがヒドロキシ基である化合物は5−アミノレブリン酸であり、特に好ましく挙げられる。5−アミノレブリン酸以外の5−アミノレブリン酸類(すなわち、5−アミノレブリン酸誘導体)の好適な例として、5−アミノレブリン酸メチルエステル、5−アミノレブリン酸エチルエステル、5−アミノレブリン酸プロピルエステル、5−アミノレブリン酸ブチルエステル、5−アミノレブリン酸ペンチルエステル、5−アミノレブリン酸ヘキシルエステル等の5−アミノレブリン酸エステルが挙げられ、特に5−アミノレブリン酸メチルエステル又は5−アミノレブリン酸ヘキシルエステルが好ましく挙げられる。なお、5−アミノレブリン酸のエステル体が、5−アミノレブリン酸と同様の生理的効果を示すことは、例えば特表平11−501914号公報に開示されている。
5−アミノレブリン酸類の塩としては、特に制限されないが、薬学的に許容される無機酸又は有機酸の酸付加塩が好ましい。無機酸の付加塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等、有機酸の付加塩としては、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、アスコルビン酸塩等が挙げられ、特に5−アミノレブリン酸塩酸塩又は5−アミノレブリン酸リン酸塩が好ましい。これらの塩は、化学合成、微生物や酵素を用いる方法のいずれの方法によっても製造できる。例えば、特開平4−9360号公報、特表平11−501914号公報、特開2006−182753号公報、特開2005−314361号公報、特開2005−314360号公報記載の方法が挙げられる。
本発明の増強剤に含まれる、本発明における5−アミノレブリン酸類等の量としては、本発明の増強効果が得られる限り特に制限されないが、例えば、本発明の増強剤の全量に対して例えば0.0001〜99.9999質量%、好ましくは0.001〜80質量%、より好ましくは0.001〜50質量%、さらに好ましくは0.005〜20質量%を好適に例示することができる。
本発明の増強剤は、本発明の増強効果が得られる限り、本発明における5−アミノレブリン酸類等の他に、がん温熱療法における抗がん作用を増強する他の物質などの任意成分を含んでいてもよい。
本発明における5−アミノレブリン酸類等は、常法によって適宜の製剤とすることができる。製剤の剤型としては散剤、顆粒剤などの固形製剤であってもよいが、簡便に使用し得る観点からは、溶液剤、乳剤、懸濁剤などの液剤とすることが好ましい。前述の液剤の製造方法としては、例えば本発明における5−アミノレブリン酸類等を溶剤と混合する方法や、さらに懸濁化剤や乳化剤を混合する方法を好適に例示することができる。以上のように、本発明における5−アミノレブリン酸類等を製剤とする場合には、製剤上の必要に応じて、適宜の担体、例えば、賦形剤、結合剤、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、乳化剤、等張化剤、緩衝剤、安定化剤、無痛化剤、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、滑沢剤、崩壊剤、湿潤剤、吸着剤、甘味剤、希釈剤などの任意成分を配合することができる。なお、本発明の増強剤としては、本発明における5−アミノレブリン酸類等が、脂質膜内またはその内部水相に内包されていないものを好適に例示することができる。
本発明の増強剤は、インビトロの系、インビボの系のいずれであっても、光線力学療法を併用しないがん温熱療法における抗がん作用を増強することができるが、インビボの系で使用する方法を好適に例示することができる。前述のインビトロの系で使用する方法としては、(a)対象細胞に、本発明の増強剤を接触させる工程:及び、(b)対象細胞を41〜44℃(好ましくは42〜43℃)の範囲内に加温する工程:を含む方法を例示することができ、上記工程(a)としては、(a1)対象細胞を本発明の増強剤に接触させた状態で、一定時間(好ましくは5分間〜25時間、より好ましくは10分間から15時間、さらに好ましくは3時間〜7時間、より好ましくは5時間)培養する工程:をより好適に例示することができ、上記工程(b)としては、(b1)対象細胞を41〜44℃(好ましくは42〜43℃)の範囲内に加温し、該対象細胞をその範囲内の温度で10分間〜5時間(好ましくは15分間〜3時間、より好ましく20分間〜2時間、さらに好ましくは30分間〜60分間)維持する工程:をより好適に例示することができる。
かかるインビトロの系における本発明の増強剤の使用量としては、本発明の増強効果が得られる限り特に制限されないが、対象細胞に接触させる培地中の濃度を、5−アミノレブリン酸類等換算で例えば0.1μM〜1000mM、好ましくは10μM〜50mMとすることを好適に例示することができる。
本発明の増強剤をインビボの系で使用する方法としては、(A)本発明の増強剤を対象へ投与する工程:及び、(B)対象のがん部位を41〜44℃(好ましくは42〜43℃)の範囲内に加温する工程:を含む方法を例示することができ、上記工程(A1)としては、本発明の増強剤を対象へ投与した後、一定時間(好ましくは5分間〜25時間、より好ましくは10分間から15時間、さらに好ましくは3時間〜7時間、より好ましくは4時間〜6時間)経過させる工程:をより好適に例示することができ、上記工程(B)としては、(B1)対象のがん部位を41〜44℃(好ましくは42〜43℃)の範囲内に加温し、該部位をその範囲内の温度で10分間〜5時間(好ましくは15分間〜3時間、より好ましく20分間〜2時間、さらに好ましくは25分間〜90分間、より好ましくは30分間〜75分間、さらに好ましくは40分間〜60分間)維持する工程:をより好適に例示することができる。上記工程(A1)において、一定時間経過させるのは、本発明の増強剤に含まれる5−アミノレブリン酸類等の代謝物であるプロトポルフィリンIXを、より多くがん細胞に蓄積させ、より優れた本発明の増強効果を得るためである。
前述の本発明の増強剤を対象へ投与する方法としては、静脈内、筋肉内、動脈内等への注射投与;経口投与;経皮投与;経粘膜投与;経直腸投与;経腔投与;脳等への局所投与を例示することができ、中でも、静脈内、筋肉内、動脈内等への注射投与;経口投与;経皮投与を好適に例示することができる。
かかるインビボの系における本発明の増強剤の投与量としては、本発明の増強効果が得られる限り特に制限されないが、本発明における5−アミノレブリン酸類等換算で成人1人1日当たり、好ましくは1mg〜10000mg、より好ましくは3mg〜3000mg、さらに好ましくは10mg〜1000mgを好適に例示することができる。本発明の増強剤の投与時間帯は特に制限されず、朝でも夕方でもよいが、投与量が多い場合は複数回に分けて投与する方がよい。
前述のインビトロの系やインビボの系における加温方法としては、所定の温度に加温し得る限り特に制限されないが、例えば、マイクロ波、近赤外線、遠赤外線、可視光線、又は、電磁波等を標的部位近辺に照射して加温する方法や、標的部位付近に温灸を行って加温する方法や、標的部位付近をお湯で加温する方法(例えば風呂)や、標的部位付近を蒸気で加温する方法(例えばサウナ)や、食道や直腸等の管腔内に発熱し得る器具を入れて加温する方法や、がん組織の中に数本の電極針を差し入れて加温する方法を例示することができ、中でも、がん部位をある程度狙って加温し易く、かつ、加温が比較的容易であることから、マイクロ波、近赤外線、遠赤外線、可視光線、又は、電磁波等を標的部位近辺に照射して加温する方法を好適に例示することができ、中でも、電磁波は、身体の深部にまで到達し易いため、電磁波を標的部位付近に照射して加温する方法をより好適に例示することができる。なお、本発明の増強剤は、光線力学療法を併用しないがん温熱療法の作用増強剤であるが、光線力学療法以外の方法(例えば、外科的治療、化学療法、免疫療法)と併用してもよい。
前述の対象細胞の由来や、対象の生物種としては、哺乳動物を好適に例示することができ、ヒト、サル、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウシ、ブタ、ウマ、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、イヌ等を好適に例示することができ、中でもヒトをより好適に例示することができる。
本発明において「がん」とは、悪性黒色腫(メラノーマ)、皮膚がん、肺がん、気管及び気管支がん、口腔上皮がん、食道がん、胃がん、結腸がん、直腸がん、大腸がん、肝臓及び肝内胆管がん、腎臓がん、膵臓がん、前立腺がん、乳がん、子宮がん、卵巣がん、脳腫瘍等の上皮細胞などが悪性化したがん・腫瘍や、筋肉腫、骨肉腫、ユーイング肉腫等の支持組織を構成する細胞である筋肉や骨が悪性化したがん・腫瘍や、白血病、悪性リンパ腫、骨髄腫、バーキットリンパ腫等の造血細胞由来のがん・腫瘍などを挙げることができ、中でも、がん温熱療法を適用し易く、本発明の増強剤の増強効果を特に多く享受し得るがんとして、線維肉腫、メラノーマ、大腸がん、さらには腹腔内転移したがんを好適に例示することができる。
なお、本発明と実質的に同様の態様として、本発明の増強剤の製造における、本発明における5−アミノレブリン酸類等の使用:や、本発明における5−アミノレブリン酸類等を、本発明の増強剤に使用する方法:や、光線力学療法を併用しないがん温熱療法によるがんの予防及び/又は治療における、本発明の増強剤の使用:や、本発明の増強剤を対象へ投与することを特徴とする、光線力学療法を併用しないがん温熱療法の抗がん作用の増強方法も例示することができる。これらの使用や方法における文言の内容やその好ましい態様は、前述したとおりである。
以下に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[細胞内活性酸素量測定アッセイ]
本発明における5−アミノレブリン酸類等が、温熱療法の際の細胞内の活性酸素種量(細胞内活性酸素量)にどのような影響を与えるかを調べるために、ヒト胎児腎臓由来のHEK293細胞及びDCF−DA蛍光試薬(2′,7′-Dichlorodihydrofluorescein Diacetate; HDCFDA)を用いて、細胞内活性酸素量測定アッセイを行うこととした。なお、この測定アッセイは、細胞透過性のHDCFDAが生細胞の細胞質で酸化されるまでは非蛍光物質であるが、生細胞内に入ると、その二酢酸基が細胞内エステラーゼによって切断され、さらに活性酸素種により酸化されると蛍光を発するようになる性質を利用したものである。測定される蛍光量が多いほど、細胞内活性酸素量が多いことを表す。この測定アッセイは以下のような方法で行った。
まず、用意したHEK293細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS)を含むDulbecco’s Modified Eagle (DME)培地で37℃にて、24時間培養し、これを8個の群に分けた。次いで、培地を、FBSを含まないDME培地に交換し、5−アミノレブリン酸(5−ALA)をそれぞれ最終濃度が0.5mM、1.0mM、又は、2.0mMとなるように添加して、37℃にて、2時間培養した後、10%FBSを添加し、これらのHEK293細胞を37℃又は42℃で24時間インキュベートした。また、5−ALAを添加しなかったHEK293細胞についても同様に、37℃又は42℃で24時間インキュベートした。以上、全ての培養過程は遮光して行い、紫外線、可視光線、赤外線、放射線等は一切照射しなかった。
さらに、各群のHEK293細胞に、DCF−DA蛍光試薬(SIGMA社製)を最終濃度が20μMとなるように添加して30分間インキュベートした後、フローサイトメトリー(ベクトン・ディッキンソン社製、FACSCalibur)にて、各群におけるDCF−DA由来の蛍光(FL1;緑色蛍光)を測定した。なお、フローサイトメトリー本体から細胞に照射される励起光は測定のみに用いられ、細胞死には影響しない。各群におけるその蛍光のピーク値を図1のグラフに示す。図1の結果から分かるように、5−ALAを添加すると、インキュベート温度が37℃の場合でも、細胞内活性酸素量がいくらか上昇したものの、インキュベート温度が42℃の場合は、細胞内活性酸素量が顕著に上昇することが示された。より詳細に述べると、インキュベート温度が42℃の場合は、5−ALA無添加の場合と比べて、0.5mMの5−ALAの添加によって、細胞内活性酸素量が1.23倍(300/244)に上昇し、1.0mMの5−ALA添加によって、細胞内活性酸素量が1.34倍(326/244)に上昇し、2.0mMの5−ALA添加によって、細胞内活性酸素量が1.42倍(346/244)に上昇した。
[フローサイトメトリーによる温熱感受性試験]
5−ALAを添加することによって、がん細胞の温熱に対する感受性がどのような影響を受けるかを調べるために、フローサイトメトリー法を利用した、以下のような温熱感受性試験を行った。
まず、がん細胞株として、ヒト線維肉腫細胞株HT−1080、大腸がん由来細胞株Caco−2を用意し、正常細胞株としてヒト線維芽細胞株WI−38、マウス線維芽細胞株NIH3T3を用意し、がん細胞と同様に異常増殖するように形質転換されたヒト胎児腎細胞株HEK293を用意した。これらの細胞を、10%FBSを含むDME培地で37℃にて、24時間培養し、これを8個の群に分けた。次いで、培地を、FBSを含まないDME培地に交換し、5−アミノレブリン酸(5−ALA)をそれぞれ最終濃度が0.5mM、1.0mM、又は、2.0mMとなるように添加して、37℃にて、2時間培養した後、10%FBSを添加し、これらの細胞群を37℃又は42℃で24時間インキュベートした。また、5−ALAを添加しなかった細胞群についても同様に、37℃又は42℃で24時間インキュベートした。以上、全ての培養過程は遮光して行い、紫外線、可視光線、赤外線、放射線等は一切照射しなかった。
次いで、各群の死細胞率(%)を、MBL社製MEBCYTO-apoptosisキットおよびフローサイトメトリーを利用して測定した。なお、フローサイトメトリー本体から細胞に照射される励起光は測定のみに用いられ、細胞死には影響しない。死細胞率は、アポトーシスおよびネクローシスを起こした細胞の総和を計数し、総細胞数に対する割合を算出した。HT−1080の結果を図2に示し、Caco−2の結果を図3に示し、HEK293の結果を図4に示し、WI−38の結果を図5に示し、NIH3T3の結果を図6に示す。図2〜4から分かるように、がん細胞株であるHT1080、Caco−2、および形質転換され、癌細胞のように異常増殖するHEK293においては、5−ALAを添加すると、インキュベート温度が37℃の場合でも、死細胞率(%)がいくらか上昇したものの、インキュベート温度が42℃の場合は、死細胞率(%)が顕著に上昇することが示された。一方、図5及び6から分かるように、正常細胞であるWI−38、NIH3T3においては、42℃培養条件下での5−ALA濃度依存的な細胞死の増強は見られなかった。このように、42℃培養条件下での5−ALAの細胞死増強作用は、正常細胞ではほとんど得られなかったのに対し、がん細胞、あるいはがん細胞様の異常増殖をする細胞では顕著に得られた。すなわち、がん温熱療法において5−ALAを併用すると、がん温熱療法における抗がん作用(細胞死誘導作用)が著しく増強され、しかも、その細胞死誘導作用は正常細胞ではほとんど増強されなかった。このことから、がん温熱療法において5−ALAを併用すると、正常細胞へのダメージを最小限に抑えつつ、がん細胞に対しては優れた抗がん作用が得られることが示された。
なお、図2のHT−1080の結果をより詳細に述べると、インキュベート温度が42℃の場合は、5−ALA無添加の場合と比べて、0.5mMの5−ALAの添加によって、死細胞率(%)が約1.7倍に上昇し、1.0mMの5−ALA添加によって、死細胞率(%)が約1.5倍に上昇し、2.0mMの5−ALA添加によって、死細胞率(%)が約2.3倍に上昇した。また、図3のCaco−2の結果をより詳細に述べると、インキュベート温度が42℃の場合は、5−ALA無添加の場合と比べて、0.5mMの5−ALAの添加によって、死細胞率(%)が約2.1倍に上昇し、1.0mMの5−ALA添加によって、死細胞率(%)が約2.0倍に上昇し、2.0mMの5−ALA添加によって、死細胞率(%)が約1.9倍に上昇した。さらに、図4のHEK293の結果をより詳細に述べると、インキュベート温度が42℃の場合は、5−ALA無添加の場合と比べて、0.5mMの5−ALAの添加によって、死細胞率(%)が約3.2倍に上昇し、1.0mMの5−ALA添加によって、死細胞率(%)が約4.8倍に上昇し、2.0mMの5−ALA添加によって、死細胞率(%)が約6.0倍に上昇した。
[トリパンブルー試薬による温熱感受性試験]
がん細胞株として、大腸がん由来細胞株Caco−2、ヒト肝臓がん由来細胞株HepG2、ヒト胃がん由来細胞株KatoIII、ヒト子宮頸がん由来細胞株HeLaを用い、がん細胞と同様に異常増殖するように形質転換された細胞として、ヒト胎児腎細胞株HEK293を用い、正常細胞として、ヒト正常2倍体線維芽細胞株WI−38、マウス線維芽細胞様細胞株NIH3T3、ヒト胎児肺由来正常線維芽細胞MRC5を用いた。これらの各細胞について、10%FBSと、0、0.5、1、2mMの各濃度の5−ALAとを添加したDME培地で37℃又は42℃にて24時間培養し、トリプシン処理で細胞を回収した。その後、回収された細胞溶液とトリパンブルー試薬とを等量混合し、血球計算板を用いて細胞をカウントし、死細胞(トリパンブルーで染まった細胞)の割合(%)(細胞死率)を算出した。
その結果、がん細胞であるCaco−2(図7参照)、HepG2(図8参照)、KatoIII(図9参照)、HeLa(図10参照)の各がん細胞と、がん細胞と同様に異常増殖するヒト胎児腎細胞株HEK293(図11参照)では、37℃でのインキュベートでは各濃度の5−ALAが添加された場合でも死細胞率の上昇がみられなかったが、42℃にてインキュベートすることによって、5−ALA濃度依存的に、死細胞率が顕著に上昇することが示された。特に形質転換されたヒト胎児腎細胞株HEK293において、5−ALA濃度依存性が顕著に観察された。一方、WI−38(図12参照)、NIH3T3(図13参照)、MRC5(図14参照)の各正常細胞では、42℃にてインキュベートすることによっても5−ALA濃度依存的な、死細胞率の上昇はみられなかった。これらの結果より、がん温熱療法において5−ALAの併用が、正常細胞への障害を最小限に抑制し、かつ、がん細胞に対しては抗がん作用の増強をもたらすことが、上記実施例2におけるフローサイトメトリーによる温熱感受性試験と同様に示された。
なお、図7のCaco−2の結果をより詳細に述べると、インキュベート温度が42℃の場合は、5−ALA無添加の場合と比べて、0.5mMの5−ALAの添加によって、死細胞率(%)が約1.2倍に上昇し、1.0mMの5−ALA添加によって、死細胞率(%)が約1.7倍に上昇し、2.0mMの5−ALA添加によって、死細胞率(%)が約1.6倍に上昇した。また、図8のHepG2の結果をより詳細に述べると、インキュベート温度が42℃の場合は、5−ALA無添加の場合と比べて、0.5mMの5−ALAの添加によって、死細胞率(%)が約1.1倍に上昇し、1.0mMの5−ALA添加によって、死細胞率(%)が約1.35倍に上昇し、2.0mMの5−ALA添加によって、死細胞率(%)が約1.5倍に上昇した。図9のKatoIIIの結果をより詳細に述べると、インキュベート温度が42℃の場合は、5−ALA無添加の場合と比べて、0.5mMの5−ALAの添加によって、死細胞率(%)が約1.8倍に上昇し、1.0mMの5−ALA添加によって、死細胞率(%)が約1.8倍に上昇し、2.0mMの5−ALA添加によって、死細胞率(%)が約1.8倍に上昇した。図10のHeLaの結果をより詳細に述べると、インキュベート温度が42℃の場合は、5−ALA無添加の場合と比べて、0.5mMの5−ALAの添加によって、死細胞率(%)が約1.4倍に上昇し、1.0mMの5−ALA添加によって、死細胞率(%)が約1.5倍に上昇し、2.0mMの5−ALA添加によって、死細胞率(%)が約1.6倍に上昇した。さらに、図11のHEK293の結果をより詳細に述べると、インキュベート温度が42℃の場合は、5−ALA無添加の場合と比べて、0.5mMの5−ALAの添加によって、死細胞率(%)が約1.6倍に上昇し、1.0mMの5−ALA添加によって、死細胞率(%)が約2.0倍に上昇し、2.0mMの5−ALA添加によって、死細胞率(%)が約3.5倍に上昇した。
[細胞内PpIX濃度のHPLCによる測定]
上記実施例3において、5−ALAと温熱療法の併用効果が顕著にみられた、形質転換されたヒト胎児腎細胞株HEK293を用いてさらに検討を行った。また、対照として、5−ALAと温熱療法の併用効果がみられなかった、正常細胞株WI−38株を用いた。これらの2種類の細胞について、10%FBSと、0、0.5、1、2mMの各濃度の5−ALAとを含むDME培地で37℃又は42℃にて24時間培養し、トリプシン処理で細胞を回収したのち血球計算盤を用いて、測定サンプル中に含まれる細胞数が1×10となるように調整した。次にNaOHで細胞を溶解させ、DMF溶液(N,Nジメチルホルムアミド:2−プロパノール=100:1を混合したもの)で処理した細胞溶解液を13,000rpm、4℃にて10分間遠心分離してから上清のみを回収し、24時間室温で反応させた上清を測定サンプルとして、HPLCでのPpIX濃度測定に供した。
上記HEK293株について、細胞内PpIX濃度をHPLCにより測定した結果を図15に示す。42℃培養条件下で5−ALA濃度依存的にHEK293細胞株内のPpIX濃度が上昇していることが確認された。この結果は、上記実施例3で示した5−ALAの温熱療法の増強作用が5−ALA依存的に惹起されていることを示すものである。なお、図15のHEK293の結果をより詳細に述べると、インキュベート温度が42℃の場合は、5−ALA無添加の場合と比べて、0.5mMの5−ALAの添加によって、細胞内PpIX濃度が約2.75倍に上昇し、1.0mMの5−ALA添加によって、細胞内PpIX濃度が約6.3倍に上昇し、2.0mMの5−ALA添加によって、細胞内PpIX濃度が約5.9倍に上昇した。一方、図に示されてはいないが、正常細胞WI−38株においては、添加された5−ALA濃度にかかわらず、本実験に供したいずれの測定サンプルにおいても細胞中PpIX濃度は検出限界以下であった。かかる結果は、上記実施例3で示したとおり、5−ALAと温熱療法の併用は正常細胞には傷害を与えるものではないことを裏付けるものである。
本発明は、がん治療の分野、より詳細には、光線力学療法を併用しないがん温熱療法の作用増強剤の分野に好適に利用することができる。

Claims (2)

  1. 一般式(1)
    NCHCOCHCHCOR (1)
    [式中、R及びRは各々独立に、水素原子、アルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリール基又はアラルキル基を示し;Rはヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基又はアミノ基を示す。]
    で表される5−アミノレブリン酸類又はそれらの塩を含むことを特徴とする、光線力学療法を併用しないがん温熱療法の作用増強剤。
  2. 5−アミノレブリン酸類又はそれらの塩が、脂質膜内またはその内部水相に内包されていないことを特徴とする請求項1に記載のがん温熱療法の作用増強剤。
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