JP5576221B2 - 金属の浸出方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、これらに含有されているレアメタル等は含有元素数も多く、かつ、含有量が低いなどの理由もあり、これらの回収などにおいては、この製錬工程が経済的にも十分な能力を有しているとはいえず、多くの課題が残っている状況にある。
例えば、廃電子基板を粉砕し、酸で金属成分を浸出させる酸溶解方法や、さらに溶解性を上げるために、廃電子基板を粉砕又はそのまま酸化処理し、酸で金属成分を浸出させる方法がある。
例えば、複雑硫化鉱の酸素加圧浸出における、銅、亜鉛、鉄及び硫黄の挙動についての文献がある(非特許文献1参照)。即ち、硫化鉱を、温度が150℃〜200℃、酸素分圧が5kg/cm2〜20kg/cm2にてオートクレーブにより浸出試験をし、各種金属の挙動が記されている。結果は、前記条件で、ZnS、CuFeS、FeS等が溶解されている。硫化物は、液中での硫化物と酸素の反応により溶解され、硫黄が酸素により硫酸基に転換され、遊離硫酸の発生を伴いながら、金属を溶解浸出している。硫化物の加圧浸出における遊離硫酸と元素状硫黄の関係が示されており、温度が120℃以上では、温度の上昇に伴い、遊離硫酸濃度が上昇し、元素状硫黄から硫酸生成が増長されることがわかる。なお、元素状硫黄とは、単体の金属硫黄のことであり、S0とも記載される。
しかし、これでは金属の回収状態も満足できるものでないうえに、ガラス、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の非金属と金属が、分離の困難な状態で混在する金属複合廃材になっている前記廃電子基板類から金属を回収する方法としては問題がある。
加温加圧によって溶解速度を速めることは、オートクレーブ法を用いれば可能であるが、実用的な時間範囲内においては、金属の回収状態も満足できるものではなく、装置、運転コストも嵩むため採用できない。
一方、前記廃電子基板を焼却により酸化処理したものは、酸やアルカリへの溶解性は向上されるが、酸化処理だけでは、回収状態は十分ではないのが現状である。
<1> 廃電子基板粉末と鉄化合物とを、水及び酸性液のうち、少なくともいずれかに加えて、温度が120℃以上、酸素分圧が1MPa〜3MPaの条件下で、2種以上の金属を浸出させることを特徴とする廃電子基板からの金属の浸出方法である。
<2> 廃電子基板粉末が、廃電子基板の粉砕粉、廃電子基板の焼却灰及び電子部品の粉砕粉のうち、少なくともいずれかである前記<1>に記載の金属の浸出方法である。
<3> 鉄化合物が、非鉄金属製錬に用いる、鉱石又は尾鉱である前記<1>から<2>のいずれかに記載の金属の浸出方法である。
<4> 廃電子基板粉末が、廃電子基板をそのまま粉砕したものであり、質量平均粒径が1μm〜2mmである前記<1>から<3>のいずれかに記載の金属の浸出方法である。
<5> 浸出させる金属が、Cu、Zn、Ni、Mn、Cr、Al、Fe、As、B、Co、Ni、Ga、In、Br、Sb、Snのうち、いずれかを含む、前記<1>から<4>のいずれかに記載の金属の浸出方法である。
前処理工程は、廃電子基板粉末を作製し、該廃電子基板粉末に、鉄化合物を混合させる工程である。
<廃電子基板粉末>
前記廃電子基板粉末は、前記廃電子基板を粉砕し、粉末状にしたものである。
前記廃電子基板の粉砕方法は、公知の粉砕機を用いて行えばよい。前記粉砕機としては、例えば、コーヒーミル、ジョークラッシャー、ボールミル、ハンマーミル、多軸回転破砕機、ヘンシェル、竪型粉砕機等が挙げられる。
本発明の前記廃電子基板粉末は、前記廃電子基板をそのまま粉砕した粉末(以下、基板粉砕粉)及び前記廃電子基板を数センチ角に破砕した後に、焼却し粉砕した粉末(以下、基板焼却灰)のうち、少なくともいずれかを使用するが、粉末状のものであれば適用可能であって、廃電子基板以外の雑多な金属粉末が混在されていてもよい。例えば、金属ペースト灰等が挙げられる。
前記廃電子基板粉末は、オートクレーブ等の反応装置へ収納できる程度に粉砕されていればよいが、反応速度を上げるため細かい方がよく、例えば、前記廃電子基板粉末の質量平均粒径としては、1μm〜10mmが好ましく、1μm〜2mmがより好ましい。
前記廃電子基板粉末の質量平均粒径の測定方法としては、マイクロトラック粒度測定装置を用いるのが好ましい。ただし、前記質量平均粒径の精度に10μm程度の誤差があっても影響が少ないため、前記マイクロトラック粒度測定装置以外の測定装置や、ふるい分けによる質量加重平均であってもよい。
なお、本発明の質量平均粒径は、前記マイクロトラック粒度測定装置で測定した数値である。
前記電子基板には、ICチップ、抵抗、コンデンサー、各種センサー、積層基板等の構成部品によりなっている。このため、金属成分は、その部品により構成比が異なるが、金、銀、銅、鉛、亜鉛、ニッケル、コバルト、ガリウム、インジウム等のレアメタルなどが含まれる。
前記鉄化合物とは、Fe、FeS、FeS2、等のように、少なくとも鉄を含むものである。前記鉄化合物は、例えば、鉄としては、鉄粉、還元鉄粉などが挙げられ、鉄化合物としては、尾鉱が挙げられる。前記尾鉱とは、非鉄製錬用の鉱石を粉砕し、選鉱によって精鉱と尾鉱とに分離したもので、硫化鉄のFeS2(パイライト)が含まれている。
前記硫化鉄のFeS2(パイライト)の酸化反応によって生成される硫酸や反応物等が、浸出中における液電位を上昇させ、浸出を助長すると考えられるため、本発明では、前記尾鉱を浸出助剤として活用した。
精鉱であっても前記硫化鉄等が含まれていれば前記浸出助剤として利用できるが、前記尾鉱を用いることで該尾鉱中の金属も回収されることになり、鉱石原料からの金属の総回収率を向上させるためには、前記尾鉱を用いる方が好ましい。
なお、鉱石以外の鉄化合物でも利用可能であるが、鉱石は、多種成分があり、例えば、鉛、銀、等には、ハロゲン化物の不要な浸出を抑えたり、他の元素の浸出を促進するなどの相乗効果を得られる。
前記鉄化合物の前記マイクロトラック粒度測定装置で測定した質量平均粒径としては、1μm〜1,000μmが好ましい。なお、前記鉄化合物として、前記尾鉱を用いる場合は、鉱石の選鉱に用いる程度の粒度でもよい。
前記廃電子基板粉末の金属質量及び前記鉄化合物中のFeS2質量又は全Fe質量を指標として決定する。
多くの場合は、前記廃電子基板粉末と前記鉄化合物との質量混合比(廃電子基板粉末:鉄化合物)としては、1:0.5〜5が好ましく、1:1〜4であるのがより好ましい。
前記鉄化合物の質量混合比が、前記廃電子基板粉末1に対して前記鉄化合物が、0.5未満であると、混合物の銅及び鉄の含有量が増え、浸出率が低下することがあり、5を超えると、未浸出の残渣が増加することがある。
浸出の原料である、前記廃電子基板粉末及び前記鉄化合物の混合については、浸出の工程で撹拌等によっても混合が促進されるため、簡易でもよい。
混合した前記廃電子基板粉末及び前記鉄化合物の原料(以下、混合原料)から金属を浸出させる液体は、浸出残液、水で十分であるが、浸出状況により酸性液を付加するのもよい。
スラリー濃度としては、50g/L〜500g/L程度が好ましく、200g/L〜400g/Lがより好ましい。浸出における液体の混合及び流動がよいためである。
前記混合原料から金属を浸出させる液体の容量としては、前記スラリー濃度に基づいて、適宜設定すればよい。
前記液体の水素イオン指数としては、初期pHが酸性であればよいが、pH3〜pH7が好ましく、pH3〜pH5がより好ましい。
前記廃電子基板粉末、前記鉄化合物及び前記混合原料から金属を浸出させる液体との混合については、特に順はなく適宜行ってよい。
前記廃電子基板粉末と水または酸性液とを混合する際に、親水性を向上させ、混合のなじみを改善するために界面活性剤を添加してもよい。前記界面活性剤は、水との親和性がよければ市販の石けん類、水ガラス(珪酸ソーダ)で十分である。添加量は0.01質量%〜5質量%程度でよく、混合状態で設定される。
なお、前記鉄化合物でも鉄粉を用いる場合は、酸性液を用いる。前記酸性液としては硫酸がよい。前記酸性液における酸の濃度としては、0.1mol/L〜3mol/L程度にする。前記酸の濃度が低いと浸出率が低下し、高過ぎても、浸出量は原料に限られるので不要となる。前記硫酸に代えて、硫黄末を添加硫酸の硫黄分のモル等量程度に添加しても同様に浸出可能である。
金属浸出工程は、金属を前記液体に浸出させる工程である。
本発明の浸出は、高温高圧を必要とするため高温高圧リアクターを用いる。
本発明では、前記高温高圧リアクターとして、加圧浸出型オートクレーブを使用する。
前記金属の浸出における温度及び圧力は、装置の仕様、原料の溶解性によっても設定される。
前記金属の浸出における温度としては、硫黄が液に溶解される温度以上であればよいが、120℃〜200℃が好ましく、150℃〜200℃がより好ましい。
前記金属の浸出における温度が、120℃未満であると、浸出速度が遅いことがあり、200℃を超えると、設備コストの増大を招来することがある。
前記金属の浸出における圧力としては、酸素の供給をしやすい圧力であればよく、酸素分圧で1MPa〜3MPaが好ましい。
金属回収工程は、前記金属浸出工程で金属を浸出させた液体から金属を回収する工程である。
前記金属を浸出させた液体に、製錬処理を施すことで金属を回収することができる。
なお、前記混合原料から浸出させることのできる金属としては、例えば、Cu、Zn、Ni、Mn、Cr、Al、Fe、As、B、Co、Bi、Ga、In、Br、Sb、Sn、等が挙げられる。
前記浸出させることのできる金属のうち、前記廃電子基板由来の金属は、例えば、Cu、Zn、Ni、Mn、Cr、Al、Fe、B、Co、Bi、Br、Sb、Sn、等が挙げられる。
前記浸出させることのできる金属のうち、前記鉄化合物由来の金属は、例えば、Cu、Zn、Ni、Mn、Al、Fe、As、Co、Bi、Ga、In、Sb、Sn、等が挙げられる。
本発明は、前記廃電子基板及び前記鉄化合物とに含まれている多種多様な金属を、同時に、かつ、効率よく、一度のプロセスで浸出させることができる。
前記製錬処理には、乾式製錬と湿式製錬があり、金属を単体として回収することができる。
本発明は、前記湿式製錬が好ましく、公知の製錬方法を使用すれば、前記浸出させることのできる金属を浸出させた液体から、固体の金属として回収することができる。例えば、銅と亜鉛を分離し、銅製錬、亜鉛精錬の製造工程に用いればよい。
前記廃電子基板粉末として、マイクロトラック粒度測定装置(日機装(株)MT3000II)で測定した質量平均粒径が21μmの前記基板粉砕粉と、前記鉄化合物として、前記粒度測定装置で測定した質量平均粒径が13.2μmの前記尾鉱を用いた。
前記基板粉砕粉及び前記尾鉱の質量混合比(基板粉砕粉:尾鉱)を1:4とし、これを、1回目には水に加え、2回目には浸出残液に加え、高温高圧リアクター(日東高圧社製、1Lオートクレーブ)を利用し、パルプ濃度を100g/L、設定温度を180℃、初期酸素圧力を3MPa、反応開始から4時間経過後までを、1時間単位ごとに浸出液をサンプリングをして、浸出元素の分析評価をした。
前記実施例1における前記基板粉砕粉に代えて、前記廃電子基板を2cm〜3cm角に破砕した後、700℃で焼却及び粉砕した質量平均粒径26.1μmの前記基板焼却灰を使用した以外は、前記実施例1と同様にして、浸出を行った。前記廃電子基板の破砕方法は、乾燥した該廃電子基板を竪型粉砕機に投入して行った。
実施例1において、前記基板粉砕粉の粒度を大きく粗いものとした。最大粒径2mmとして、質量平均粒径を500μmとした以外は、実施例1と同様に実施した。
質量平均粒径が大きく、前記粗粉砕の廃電子基板粉末でも十分に金属を浸出できる(表2参照)。
実施例1において、前記尾鉱の代わりに鉄粉((株)高純度化学研究所製、2N以上、75μm以下品)を用いて実施した。
前記鉄粉の添加量は、前記基板粉砕粉と前記鉄粉との質量混合比(基板粉砕粉:鉄粉)を1:0.05として、親水性を向上するため界面活性剤として水ガラス(市販試薬)を1,000ppm添加し、浸出液は1molの硫酸を含む100mlとし、前記スラリー濃度を60g/Lとして、浸出時間は1時間とした。これ以外の条件及び操作は、実施例1と同様である。
前記鉄粉と前記酸とを用いれば、十分に浸出できる(表2参照)。
前記実施例2の条件において、前記尾鉱を混合せず、前記基板焼却灰のみ使用した以外は、前記実施例2と同様にして行った。
その結果、Zn及びCrがわずかに浸出されたが、他の金属はほとんど浸出されなかった。また、酸化した前記基板焼却灰よりも、浸出され難い前記基板粉砕粉のみを使用した結果については、さらに浸出されなかった(表2参照)。
前記実施例1において、前記基板粉砕粉を混合せず、前記尾鉱のみを使用した以外は、前記実施例1と同様にして行った。
その結果、銅及び亜鉛が10質量%浸出された。しかし、他の金属については、浸出が確認されなかった(表2参照)。
Claims (4)
- 廃電子基板粉末と鉄化合物とを、水及び酸性液のうち、少なくともいずれかに加えて、温度が120℃以上、酸素分圧が1MPa〜3MPaの条件下で、2種以上の金属を浸出させることを特徴とする廃電子基板からの金属の浸出方法。
- 廃電子基板粉末が、廃電子基板の粉砕粉、廃電子基板の焼却灰及び電子部品の粉砕粉のうち、少なくともいずれかである請求項1に記載の金属の浸出方法。
- 鉄化合物が、非鉄金属製錬に用いる、鉱石又は尾鉱である請求項1から2のいずれかに記載の金属の浸出方法。
- 廃電子基板粉末が、廃電子基板をそのまま粉砕したものであり、質量平均粒径が1μm〜2mmである請求項1から3のいずれかに記載の金属の浸出方法。
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