JP5565579B2 - 非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、電池の初期容量を大きく犠牲にすることなく、電池の熱安定性の向上を図ることのできる非水系電解質二次電池用正極活物質およびその製造方法を提供することにある。
一般式:LiNi1−x−yCoxTiyO2(但し、0≦x≦0.20、0≦y≦0.10)で表される層状構造を有する六方晶系のリチウム含有複合酸化物の粉末からなり、かつ、該リチウム含有複合酸化物における3a、3b、6cの各サイトを[Li]3a[Ni1-x-yCoxTiy]3b[O2]6cで表示した場合、上記リチウム含有複合酸化物のX線回折パターンのリートベルト解析から得られた3aサイトにおけるリチウム以外の金属イオンのサイト占有率が5%以下である非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法において、ニッケルとコバルトのモル比が(1−x):xで固溶し、二次粒子の形 状が球状または楕円球状である金属複合水酸化物(但し、0<x≦0.22)、リチウム 化合物、および、チタン化合物を混合し、この混合物を焼成してリチウム含有複合酸化物 を得る焼成工程と焼成工程で得られたリチウム含有複合酸化物を水洗処理する水洗工程を有するものことを特徴とする。
本発明は、上述したように、ニッケルの一部がコバルトおよびチタンで置換されたリチウム含有複合酸化物(LiNi1−x−yCoxTiyO2)を正極材料に適用することにより、高い初期容量を維持したまま、高温安定性に優れた非水系電解質二次電池を提供するものである。
すなわち、本発明は、ニッケルの一部をサイクル特性向上のためにコバルトで置換した正極活物質に関するものである。上記リチウムニッケル複合酸化物(LiNiO2)は、電池活物質として考えた場合、リチウムの脱離・挿入によって充放電が行われる。200mAh/g程度の満充電状態はLiNiO2から約7割のリチウムが脱離した状態である。すなわち、Li0.3NiO2となっているわけであるが、このとき、ニッケルは3価の一部が4価となっている。4価のニッケルは非常に不安定で、高温にすると容易に酸素を放出して2価(NiO)となりやすい。このような高温での酸素放出をともなう分解挙動は、リチウムを70at%引き抜いて充電状態とした正極活物質の熱分析を行うことで評価できる。充電状態にある正極活物質を電解液とともに密封し、温度に対する発熱量を見ることで酸素放出に伴う分解と電解液との反応温度を特定できるからである。
一般式:LiNi1-x-yCoxTiyO2(但し、0≦x≦0.20、0≦y≦0.10)で表される層状構造を有する六方晶系のリチウム含有複合酸化物の粉末からなり、かつ、該リチウム含有複合酸化物における3a、3b、6cの各サイトを[Li]3a[Ni1-x-yCoxTiy]3b[O2]6cで表示した場合、上記リチウム含有複合酸化物のX線回折パターンのリートベルト解析から得られた3aサイトにおけるリチウム以外の金属イオンのサイト占有率が5%以下である。
また、正極合材には電気二重層容量を増加させるために活性炭を添加することができる。
負極には、金属リチウム、リチウム合金等、また、リチウムイオンを吸蔵および脱離できる負極活物質に結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状にした負極合材を、銅等の金属箔集電体の表面に塗布、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成したものを使用する。
負極活物質としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、フェノール樹脂等の有機化合物焼成体、コークス等の炭素物質の粉状体を用いることができる。この場合、負極結着剤としては、正極同様、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素樹脂等を用いることができ、これら活物質および結着剤を分散させる溶剤としてはN−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いることができる。
正極と負極との間にはセパレータを挟み込んで配置する。セパレータは、正極と負極とを分離し電解質を保持するものであり、ポリエチレン、ポリプロピレン等の薄い膜で、微少な穴を多数有する膜を用いることができる。
非水系電解液は、支持塩としてのリチウム塩を有機溶媒に溶解したものである。
有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート等の環状カーボネート、また、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート等の鎖状カーボネート、さらに、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル化合物、エチルメチルスルホン、ブタンスルトン等の硫黄化合物、リン酸トリエチル、リン酸トリオクチル等のリン化合物等からなる群から選ばれる1種を単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
支持塩としてのリチウム塩は、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiN(CF3SO2)2等、およびそれらの複合塩を用いることができる。
さらに、非水系電解液は、ラジカル補足剤、界面活性剤および難燃剤等を含んでいてもよい。
以上、説明してきた正極、負極、セパレータおよび非水系電解液で構成され、本発明に係る非水系電解質二次電池の形状は、円筒型、積層型等、種々のものとすることができる。
いずれの形状を採る場合であっても、正極および負極を、セパレータを介して積層させて電極体とし、この電極体に前記非水系電解液を含浸させる。正極集電体と外部に通ずる正極端子との間、並びに負極集電体と外部に通ずる負極端子との間を集電用リード等を用いて接続する。以上の構成のものを電池ケースに密閉して電池を完成させることができる。
(実施例1)
正極活物質を合成するため、市販の水酸化リチウム一水和物と、球状の二次粒子からなりニッケルとコバルトのモル比が83:17で固溶してなる金属複合水酸化物と、市販の酸化チタンを、リチウムとリチウム以外の金属とのモル比が1:1となり、かつ、ニッケルとコバルトとチタンのモル比が82:17:1となるように秤量した後、球状の二次粒子の形骸が維持される程度の強度で十分に混合した。この混合粉末を、酸素気流中で350℃で2時間仮焼した後750℃で20時間焼成し、室温まで炉冷した。得られた焼成物を質量比で水1に対し、1.5投入してスラリーにし、30分撹拌後、濾過し、150℃で真空乾燥して正極活物質を得た。得られた正極活物質の組成を化学分析するとともにX線回折で分析したところ、六方晶系の層状構造を有した所望の正極活物質であることが確認できた。また、CuのKα線を用いた粉末X線回折パターンのリートベルト解析から、3aサイトのリチウム以外の金属イオン占有率を求めた。これら結果を以下の表1に示す。
まず、正極活物質粉末90質量%にアセチレンブラック5質量%およびPVDF(ポリ沸化ビニリデン)5質量%を混合し、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)を加えペースト化した。これを20μm厚のアルミニウム箔に乾燥後の正極活物質重量が0.05g/cm2になるように塗布し、120℃で真空乾燥を行った後、直径1cmの円板状に打ち抜いて正極とした。
また、負極としてリチウム金属を適用し、電解液には1モル/リットルのLiClO4を支持塩とするエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の等量混合溶液を用いた。
そして、ポリエチレンからなるセパレータに電解液を染み込ませ、露点が−80℃に管理されたアルゴン雰囲気のグローブボックス中で、電池を作製した。
なお、正極活物質を満充電状態にする方法として、電気化学的な方法以外に、上述したように200mAh/g程度の満充電状態はリチウム含有複合酸化物から約7割のリチウムが脱離した状態であるため、酸水溶液中で活物質を分散させ、攪拌処理する方法が知られている(荒井ら、第38回電池討論会講演要旨集 p83, 1997)。この方法は電気化学的な方法と異なり、導電剤や結着剤などの影響のない状況下でリチウムを引き抜くことが可能であり、これを熱分析にかけることで活物質単独の熱的挙動を評価することができる。
そこで、この方法に従い、得られた正極活物質6.0gを1Nの濃度に調整された塩酸水溶液100ミリリットル(ml)中に投入し、5時間攪拌して、化学式Li1−xNi0.83Co0.17Ti0.01O2においてリチウムをx=0.7となるように引き抜いた。
次に、これをろ過し、残ったスラリーを、40℃で24時間、大気中で乾燥させた後、150℃で3日間、真空中にて加熱乾燥することで水分を蒸発させて、Li0.3Ni0.82Co0.17Ti0.01O2粉末を得た。
この粉末に、上記コイン電池を作製したときと同じ電解液を染み込ませ、密封式の試料ホルダーに入れて密閉し、示差走査熱量分析(DSC)を行うことで熱的挙動を調べた。示差走査熱量分析は昇温速度を10℃/分とした。DSC測定によって得られた発熱ピーク温度と発熱ピーク高さを表1に示す。
正極活物質を合成するため、ニッケルとコバルトとチタンのモル比が81:16:3となるように秤量した以外は、実施例1と同様にして正極活物質を得るとともに評価した。評価結果を表1に示す。
正極活物質を合成するため、ニッケルとコバルトとチタンのモル比が79:16:5となるように秤量した以外は、実施例1と同様にして正極活物質を得るとともに評価した。評価結果を表1に示す。
正極活物質を合成するため、ニッケルとコバルトとチタンのモル比が76:16:8となるように秤量した以外は、実施例1と同様にして正極活物質を得るとともに評価した。評価結果を表1に示す。
正極活物質を合成するために、市販の水酸化リチウム一水和物と、球状の二次粒子から成る水酸化ニッケルとを、リチウムとニッケルのモル比が1:1となるように秤量したことと、焼成後に水洗処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして正極活物質を得るとともに評価した。評価結果を表1に示す。
焼成後に水洗処理を行わなかったこと以外は、実施例4と同様にして正極活物質を得るとともに評価した。評価結果を表1に示す。
(1)作製された各実施例ならびに比較例に係る二次電池を評価したところ、これら実施例の電池のサイクル特性は比較例に比較して概ね良好であった。
(2)二次電池の初期容量(第1回目の放電容量)については、作製された各実施例ならびに比較例1のいずれも150mAh/g以上の高い放電容量を示した。
(3)二次電池の熱安定性(DSC測定)については、作製された各実施例の発熱ピーク温度が比較例1に比較して高温側へシフトしていると同時に、チタンの置換量の増大とともに発熱ピーク高さが減少しており、熱安定性が改善されていることが確認される。
(4)チタン置換量の増大とともに放電容量は減少する傾向があるが、水洗処理を行うことで、150mAh/g以上の高い放電容量を維持可能なチタン置換量は、LiNi1−x−yCoxTiyO2で表されるyが、0≦y≦0.10の範囲まで拡大されることがわかる。
(5)水洗処理を行っていない比較例2では、142mAh/gと十分な放電容量が得られていない。なお、各実施例に係るリチウム含有複合酸化物の合成条件はすべて750℃で20時間としているが、600℃以上850℃未満かつ4時間以上であれば、上記リチウム含有複合酸化物の3aサイトにおけるリチウム以外の金属イオンのサイト占有率を5%以下にすることができることを実験で確認している。
また、各実施例に係るリチウム含有複合酸化物の3aサイトにおけるリチウム以外の金属イオンのサイト占有率はすべて2.2%以下となっているが、金属イオンのサイト占有率が2.2%以上のリチウム含有複合酸化物についても同様の実験を行っており、これら二次電池についても、金属イオンのサイト占有率が5%以下であれば、実施例と略同一の特性を示す傾向があることを確認している。
2 負極
3 セパレータ
4 ガスケット
5 正極缶
6 負極缶
B コイン電池
Claims (4)
- 一般式:LiNi1−x−yCoxTiyO2(但し、0<x≦0.20、0.01≦ y≦0.10)で表される層状構造を有する六方晶系のリチウム含有複合酸化物の粉末からなり、かつ、該リチウム含有複合酸化物における3a、3b、6cの各サイトを[Li]3a[Ni1-x-yCoxTiy]3b[O2]6cで表示した場合、上記リチウム含有複合酸化物のX線回折パターンのリートベルト解析から得られた3aサイトにおけるリチウム以外の金属イオンのサイト占有率が5%以下である非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法において、ニッケルとコバルトのモル比が(1−x):xで固溶し、二次 粒子の形状が球状または楕円球状である金属複合水酸化物(但し、0<x≦0.22)、 リチウム化合物、および、チタン化合物を混合し、この混合物を焼成してリチウム含有複 合酸化物を得る焼成工程と焼成工程で得られたリチウム含有複合酸化物を水洗処理する水洗工程を有することを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 上記焼成を、600℃以上850℃未満の温度で、かつ、4時間以上行うことを特徴とする請求項1に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 上記水洗工程において、リチウム含有複合酸化物を質量比で水1に対し、1〜2投入してスラリーにし、30分〜1時間撹拌後、濾過、乾燥することを特徴とする請求項1また は2に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- リチウム化合物として水酸化リチウムまたはその水和物を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
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