基本的に、病院、学校、保育園、老人ホーム、役所などの公共施設は絶対標高が高いところに新規に敷地造成して建築されることが望ましい。それ以外の一般的経済活動を執り行う住宅、事務所、工場、商店などを対象とした敷地造成とする。なぜならば、漁業を始めとする水産加工業が経済活動の中心を担う地域なので、この経済活動に支障が出来るだけ少ない造成を目指す。漁船が入港したものの、陸揚げ作業を始めとする関連作業にあまりにも沢山の労力が奪われないように配慮する。
今回の造成工事に使用されるコンクリート製資材は、基本的には工場内製造の鉄筋コンクリート製もしくは、鉄骨鉄板製のものを基本とする。その理由は、実際に施工する場合において、施工期間が短縮できるからである。大型トラックなどで運搬が不可能なものにつては、現場において製造されたものを使用することを考案した。コンクリートの配合は、普通ポルトランドセメントを標準とし、塩害の恐れがある地域での使用を前提とした場合では軽量コンクリートをメインに使用することとした。ただし、合成樹脂剤などを使用して耐塩害性のあるものが開発されれば、積極的に使用する。また、表面には含浸性の樹脂を塗ることも考慮に入れた。ただし、コンクリート表面のひび割れ防止の観点からすれば含浸剤を使用してコンクリート厚を薄くすることが良い選択となる。
鉄筋は、通常の土木工事に於いて使用されているJIS規格の異形鉄筋D10〜50mmくらいのものを使用する。また、異形鉄筋を樹脂で被膜したものがコンクリート内部で定着性を確保できる材質のものである場合には、積極的に使用するものとした。東日本大震災において、特に擁壁などの崩壊が明白に報じられていないことより、通常の土木設計の1.5倍の安全率で計画することとした。具体的な製造段階に於いては、土木学会の報告による安全率を適宜使用することとした。
図1より、陸上フロート1の説明をする。今回の発明の基本部位となるものである。構成材料は、鉄筋コンクリート製、鋼鉄板製、合成化学繊維及びこれらの複合素材でできている。鉄筋コンクリート製であれば、壁の厚さが8〜25cmで普通ポルトランドセメントや軽量コンクリートを使用する。設置場所が海岸に近い場合には、高炉セメントB種を使用することとした。鉄筋は、JIS異形鉄筋D13〜50mmのものを使用する。鋼鉄板製の時は、鉄板の厚みは、5〜25mmのものを使用することとした。化学合成繊維を使用する場合は、カーボン、アラミド繊維などを樹脂で補強して使用することとした。
立体形状の説明をする。今回の実施例では円筒形で示したが、その理由は現実に製作する場合に於いて、円筒形のほうが立方体よりも強度の確保が容易だからである。陸上フロート1は、幾層かの隔壁10で仕切られている。それは、津波到来時には必ず浮力により浮かなければならない。しかし、なにがしかの不幸により陸上フロート1の内部に水が浸入することがあったならば、浮上する点にとって不利益になるしかない。たとえ、一部に水の侵入が発生することがあっても、陸上フロート1の全体に浸水が及ばないようにするためである。それは、造船の製造に於いての常識と同じことを根拠とした。
隔壁10について説明する。使用材料は、陸上フロート1の壁で使用されたものと同等程度のものを使用する。ただし、壁と違う素材を使用したほうが合理的に有益と判断できる場合に於いては、壁の材料と異なるものを使用することも可能とした。ただし、隔壁10の存在目的が水の侵入を中間点で阻止することであることより、構造的に強度を有したものであり、かつ水密性能を有したものでなければならない。隔壁の厚さは、使用材料によりことなる。鉄筋コンクリートを使用した場合では、10〜15cmは必要となる。鋼製鉄板を使用した場合には、厚5〜25mmの鉄板を使用することとなる。また、隔壁10の層数は陸上シェルター1の高さによる。1層あたりの高さは、1.5〜3.0m程度に隔壁10を設定することとした。
新設直後や新設後の10年程度であれば、陸上フロート1やその他の部品の劣化度は軽微である。しかし、新設後20〜50年の経過した時には、ある一定程度の経年劣化を考慮しなければならない。つまり、陸上フロート1の劣化に基づく水漏れの可能性である。通常の維持管理を行っても自然劣化は避けることはできない。そのような場合において水が浸入した場合を想定して、隔壁10の設置を考案した。また、隔壁の段数としても出来るだけ複層数設置するようにした。潜水艦や大型客船などと同じ構造を取り入れた。また、隔壁10で仕切られた各空間内部には、発泡体11を充填することとした。根拠としては、海上で使用されるメガフロートの内部には、発泡体11を充填する場合が多い。また、外部からの衝撃による破損対策としても有効と考えた。
発泡体11の説明をおこなう。陸上フロート1の壁及び隔壁10で囲まれた空間が津波到来時においての浮力発生の源となる。空間の内部を大気だけで満たしておくことも可能ではあるが、予測できない不幸により水の侵入が発生した場合に、発泡スチロール、発泡ウレタンなどの軽量の発泡材料で充填されていた方が浮力の確保という観点から考えて有利となることから、下層の空間には、発泡体11をつめることとした。製造コストを低減するために、廃棄された発泡スチロールを使用することも考案した。ただし、汚れがあったり個体のサイズが不均一であったりするので、樹脂繊維でつくられたメッシュの袋体の中に詰め込むことも考案した。メッシュの袋体につめることにより、海水等が内部に浸入した場合でも、発泡体11が陸上フロート1の外部に流失する危険性が低減することも考案した。
家庭用シェルター2について説明する。陸上フロート1の最上層の内部に住民専用の地下シェルターを装備する。なぜならば、該発明は津波到来で浮力により海面まで上昇することを計画しているが、何がしかの不都合で海水面まで浮上できない場合のための予備装置である。であるから、家庭用シェルター2の耐水圧性能は10〜25mの耐水圧を持ったシェルターとして、軽量化を図った。もし、耐外圧35m仕様のシェルターを鋼製鉄板で円筒形のタンク式で計画する場合は。鉄板の厚みは8〜15mmのものが必要である。しかし、耐外圧35mのシェルターならば、鋼製鉄板の厚みは、12〜20mm程度で強度が担保される。
固定金物8は、陸上フロート1の底部と擁壁基礎4の登頂部に取り付けられるものである。防錆処理がされた金属製であり、漂流防止ワイヤー9と連結することで津波到来時には、垂直方向に浮上することの抑制の効果を発生させる。現在、市販されている津波対策シェルターは漂流式のものがほとんどである。津波の速度は、時速40kmといわれおり漂流式だと高速度でコンクリート構造部に何度も激突することが大いに予測されるからである。垂直方向に浮上した後に、水位がさがるにつれて垂直方向に静かに降下することを目指した。着地地点は、多少ずれてしまっても漂流しないと言う目的が達成できればよい。なぜならば、漂流式は本体自体が危険であることが明白であるだけでなく、第3者の建築物などに激突して破壊する可能性があるからである。漂流防止ワイヤー9は、ステンレス製ワイヤーで外径φ40〜80mmのものを使用する。また、ステンレス鋼製のチェーンで代用できるのであれば、積極的に使用する。そして、ナイロン、ケプラー、カーボン繊維などで耐塩害、耐候性が強いものがあれば積極的に使用する。
建築建物3について説明する。陸上フロート1の屋上部に設置する建物であり、一般の建築物と考えてよい。ただし、軽量建築物である必要があるため、木造、軽量鉄骨造りである必要がある。今回の発明により、住民の人命だけでなく、日常生活で使用している財産を失うことがなくなる可能性が大きくなる。津波が去ったのち垂直方向に水平に近い状態で着地できれば、公共の避難所での生活から解放される。つまり、自宅が避難所となるからである。だたし、ライフラインとなる飲料水や電源については、別に計画を建てて供給を確保する。
渡り板13は、道路から陸上フロート1に渡る為に装備させた。鋼鉄板の縞板を使用する。表面に凹凸が付けられており、通常時に使用されているものを使用する。厚さは、6〜20mmのものを使用する。渡り板13の寸法は、幅4m、奥行2mとすれば、約8m2となり総重量は、厚さ9mmの鉄板を使用した場合は2.7tonの重量となる。固定方法は、陸上フロート1の浮上に支障がなく、通常の使用に安全な方法とする。陸上フロート1側に鋼製ヒンジを取り付けて。そのヒンジに渡り板13を溶接する。擁壁基礎4の側は、頂点に乗っている状態である。隙間には、ブチルゴムなどの衝撃緩衝材を挟んで、摩擦抵抗で定着している。
擁壁基礎4の設置に先立ちボーリング調査を行い地盤支持力が不足している場合には、プレキャスト杭7を事前に打つ。この擁壁基礎4は、大型なので現場施工のコンクリート構造物となる。高さは、3〜12mの高さとなる。擁壁基礎4は、今回の発明の中核を担う各ステージを構成するものである。擁壁基礎4が6mの高さのものを構築すれば、工場内で製造可能で対応可能となり、コストを安く抑えることができる可能性があるので、工場内製造のものを使用する。擁壁基礎4は、陸上フロート1に接する四方向のうち、最低一方のみに存在すれば要件を満たすように考案した。なぜならば、四方向を擁壁基礎4で囲まれてしまうと、震災瓦礫により、陸上フロート1と擁壁基礎4との隙間に瓦礫が埋まってしまい、浮力による浮上が出来なくなる可能性を軽減するために考案した。
擁壁基礎4は、普通コンクリートを使用する。比重は、1.8〜2.35のものを使用する。海岸線が近くにあることから、耐塩害性を確保するのであれば高炉セメントBBを使用することも考えた。鉄筋については、JISD16〜D50の異形鉄筋を縦横ともに20cm間隔で使用する。コンクリートの設計圧縮強度も280〜360Nのものを使用する。合成樹脂などを含有して耐塩害性を有したコンクリートが後発的に開発されたならば、経済性も考えて積極的に使用することも考慮に入れた。
また、擁壁基礎4は造成箇所の支持地盤などの良否により、T型、L型擁壁基礎等に変更できる。また、プレキャスト杭7も省略できる可能性もあることも発明内容に含めた。その根拠は、一般土木における設計基準により施工段階に於いて詳細に検討した場合、省略できる可能性があるからである。ただし、実施例では、逆T基礎で図面に提示した。また、擁壁基礎4はクレームの構成要件に含めたが、実施の際は、公共道路として構成される可能性があるので、民間で施工するとは断定出来ない。
図2(1)より、この事例は設置する該場所が敷地に余裕がある場合や、隣接する敷地にほとんど影響を及ぼさない場合を実例とした。自己の敷地において、擁壁基礎4を建設して隣接する部分の土に影響が及ぶことがない場合のことである。また、海岸線の小規模集落などは、隣接する敷地が非宅地の場合が多く建設する際に当たって、隣接地に大きな損害を与えることが少ない。コの字状に作られた擁壁基礎4の周りは、法面の場合、崩落地であっても差し支えない。ただし、出入り口となる1方向のみは、公道又は私道に接続する必要がある。今回のように擁壁基礎4をコの字とした理由は、ロの字で設置した場合に海水が押し寄せて陸上フロート1が浮上する前に、震災による瓦礫により埋まってしまう危険性を避けるためである。瓦礫により陸上フロート1と擁壁基礎4の間に震災瓦礫が入り込み陸上フロート1が浮上することが出来なくことを回避する為である。法面ブロック18は、隣接する土砂の土留め対策として行うこととした。
一般道路67に平行して存在する擁壁基礎4は、渡り板13を使用して陸上フロート1に乗り込むために最低限に必要なものである。しかし、一般道路67の横断方向に設置された擁壁形式の基礎は、本来は必要としないが、隣接する敷地の状況によって、法面上の土砂が陸上フロート1の周りに流れ込むことを防止するために設置が必要となる。また、後段で説明するが陸上フロート1を集団で設置する場合に於いても、擁壁基礎4の設置のみでは、十分でない場合が発生するので、区画整理事業を行う場合には平面計画が必要となる。一般道路67が公道である場合には、擁壁基礎4が官公庁により作られる必要性がある。また、単独の敷地に於いて擁壁基礎4を設置する場合は、図2(1)のようになる。
また、陸上フロート1を円筒型とした理由は、構造力学的に円筒形の方が外部からの衝撃にたいして有利なことからである。陸上フロート1を四角型で製造した時よりも、外壁を構成する鋼鉄板の厚さを少し薄くできるからである。建築学上からの見地では、無駄が多い形状となってしまうが、構造力学的や製造コストの軽減という見地から円筒形を選択した。ただし、市街地などに複数の集合体で建設する場合は、特に円筒形に特定しない。それは、製造コストよりも、陸上フロート1の屋上部分の平面積の大きさ確保の方が重要となるからである。
図2(2)より、台座17は基礎コンクリート5に陸上フロート1が直接に触れることに成らないように取付られたものである。材質は、鋼製鉄板で厚さ8〜20mmのものである。ただし、表面はメッキや塗装などをほどこし、防錆処理をしたものとする。家庭用シェルター2は、耐水圧を25m程度のものとした。陸上フロート1により、海水面上に浮き上がることを基本性能としたのである。しかし、万が一に十分に浮上できない場合の緊急手段として家庭用シェルター2を備えた。大きさは、家族4人が避難できる10m3程度のものとした。材質は、基本的には鋼製鉄板で厚さは5〜20mmのものとした。軽量コンクリート製のものでも、水圧に対抗する能力があるものでも可能とした。
また、陸上フロート1の内部は、直下型地震に対応するために構造補強を行う。部材は、縦方向は一般の鉄骨造建物で使用されている重量四角鋼や重量H鋼を使用する。陸上フロート1の全体の重量を軽くするためには、四角鋼を多用することが望ましい。ただし、横方向でせん断力が作用するところは、H鋼を使用することとなる。その他で斜め方向の耐力については、筋違を使用する。詳細な構造計画は、陸上フロート1の具体的にサイズが決定して後に強度計算をおこなって、構造柱15、梁19、筋違等サイズ及び使用本数などを決定する。陸上フロート1の屋上部分に建築建物3が乗っかるので、この分の耐荷重量を考慮にいれる必要がある。
図3より、陸上フロート1の外径寸法から、大まかな重量を計算する。直径10m、高さ3mの円筒形の総重量を計算する。上下の円形面積=πr2=3.14×5×5×2面=157.0m2、側面積=円の外周×高さ=2πR×h=2×3.14×10×3=188.4m2となり、合計表面積=157.0+188.4=345.4m2となる。厚さ9mmの鉄板で製造したとすると70.7kg/m2×345.4m2=26.94tonとなる。補強の構造柱15を4本×3m=12m、四角材の155×155で厚さ15mmを使用すると、12m×19.5kg/m=0.234tonとなる。梁19として、内径に対して十字に4本H鋼の材料を3段にしようすると、10m×4本×3段=120mとなる。H鋼のサイズを300×15を使用して厚さ8mmのものを使用する。120m×36.7kg=4.40tonとなる。隔壁10を1層で鉄板を6mmのものを使用すると、157.0m2×47.1kg/m2=7.39tonとなる。総合=26.94+0.234+4.40+7.39=38.964tonとなる。
また、陸上フロート1の屋上部分に建築する木造の建築建物3の重量を計算する。建築面積は、7m×7m=49m2となる。建築業界の概略係数を利用すると、木造2階建住宅のm2単位重量の1ton/m2を使用する。総重量=約49tonとなる。家庭用シェルターの重量が約5tonとして、残りの家具などの重量が5tonとする。陸上フロート1の全体重量=38.964+49.0+5.0+5.0=97.964tonとなる。これを円形面積=157.0m2で割ると0.623mは沈む。このようにその他の家財道具などの重量を加算して計算しても、高さ3mの残り2mは必ず海面上浮く計算となる。
一方で円筒体の容積は、円面積×高さ=πR2×h=157.0m2×3m=471.0m3となる。471tonの浮力がえられることとなる。陸上フロートの高さを3mに設定した理由は、海上で使用されているメガフロートの高さが約3mである。1mの部分が海中に沈み残りの2mが浮上している計算である。このことを根拠として高さを3mとした。また、今回の浮力計算については、十分な計算結果となったが、津波が震災瓦礫と共に襲撃してきたときに、横方向からのモーメント力を軽減して被害を軽減するために、陸上フロート1の高さを少し高く設計することや、水平投影面積を大きく設計することも考案した。たとえれば、円形から楕円形に変更したり、正方形から長方形に変更したりすることが具体的な例である。
図4より、陸上フロート1を人口の集結した市街地において実施する例を示す。海岸から山又は丘陵方向を今後、縦断方向と表記する。縦断方向状に幹線道路16を計画する。今回の実施例では、縦方向を50mで1区画とした。この1区画の中に陸上フロート1を縦段方向に3個配列した。陸上フロート1と擁壁基礎4との間隔を5mとした。陸上フロート1と陸上フロート1の間隔も5mとした。また、横断方向の寸法も陸上フロート1が1個入る寸法とスタビライザー20が左右に2個設置できる幅として、10〜14mを確保した。よって、横幅は10m+10〜14m=20〜24mとなる。
今回のユニットの縦断の長さが、50mに付き高さが3m上昇する。そうなると幹線道路16の上り勾配は、6パーセントとなる。6パーセントの上り勾配は、決して緩い道路勾配ではない。しかし、海に隣接し、しかも今回の大津波が到来する地域と分かっていることを前提として考えたならば、容認してもよいと考える。もし、さらに緩い上り勾配を期待するのであれば、陸上フロート1を縦断方向に5個並べる計画を考える。陸上フロート5個×10m=50m 、各間隔が5m×6か所=30mとなる。合計は、50m+30m=80mとなる。よって、3m÷80m=3.75パーセントと緩くなる。
図5より、幹線道路16と直交するように、一般道路67を計画する。一般道路67は、ユニットの外周を走る道路である。更に、一般道路67と直交して前面道路68を計画する。前面道路68は、陸上フロート1に侵入するための大事な道路である。この前面道路68を挟んで、2つのユニットが存在する。前面道路68は、袋小路である。陸上フロート1に侵入するためだけの道路である。よって、幹線道路16、一般道路67、前面道路68の3個の道路によってユニットが外周を囲まれることにより、宅地造成の計画が完了する。
造成対象地区における幹線道路16の平面的ルートと縦断勾配が決定した後に、敷地地盤のステージの割り付けを行う。ステージとは、海岸部から始まり山間部に至る敷地地盤面を同じ海抜高で統一表示するために使用する。であるから、漁船の船着き場のあるステージは、今回はステージ1と表記する。このステージ1から海抜高で3〜6mの海抜が高くなった敷地地盤面をステージ2と表記する。以後、3〜6mごとに海抜が高くなるごとにステージのナンバリングが増えていくように表記とする。ステージの高さを3m程度として理由は、建築計画において建物の1階あたりの階高が約3.0mとして計画されていることを根拠とした。今回の発明は、陸上フロート1の立体的形状や外部寸法の選択の自由度とユニットを構成する陸上フロートの数量選択の自由度も大きな特徴である。
図6より、スタビライザー20について説明する。スタビライザー20は、陸上フロート1に対して対角上に2対の4か所に設置されている。これは、今回の実施例においてバランスよく配置した結果である。陸上フロート1の立体形状を変更すれば、スタビライザー20の数は変更となる。たとえば、屋上の平面形状を楕円形、長方形にした場合には、2対の4本では不足することが考えられる。アブソーバー23は、油圧式やスプリング式や前者二つの複合式の衝撃吸収装置である。両端部は、ポール22とアジャストポール25とボルトとナットで接合に加工されている。リング24とステーイ29は、鋼製鉄板で製作されたベースプレート26に溶接されている。または、鋳物鋳造に於いて一体鋳造により製作されている。ベースプレート26は、鋼製鉄板で厚みは10〜25mmのもので製作されている。アンカーボルト27は、鋼製ボルトで外径寸法は、30〜50mmのもので製作されている。基礎コンクリート5の中に打設されている。基礎コンクリート5が硬化後にステンレス鋼ナットや防錆処理された鋼製ナットを使用して、ベースプレート26を固定する。アブソーバー23は、実施例では油圧式としたが鋼製スプリングを使用して複合構造のアブソーバー23を使用することも考案した。
固定ボルト28は、ステーイ29とアジャストポール25を結合する為の鋼製ボルトである。外径寸法が40〜60mmでグリスアップされたものである。鋼製ワイヤー30と鋼製鎖31は、陸上フロート1に接合されたリング24とベースプレート26に接合されたリング24を結合するものである。この鋼製ワイヤー30と鋼製鎖31が存在することで、津波が退去したあとでも海上に流されることを防止する目的のために考案した。鋼製ワイヤー30は、ステンレス鋼を使用し外径寸法30〜90mmのものを使用する。鋼製鎖31もステンレス鋼等または、防錆処理を施したものを使用する。また、この2つの代わりに、化学繊維ロープで耐久性能に優れたケプラー、アラミドなども積極的に使用するように考案した。鋼製ワイヤー30と鋼製鎖31とも、予測される津波の高さ以上に余裕を持たせた長さに設定する。
図7−(1)より、ブラケット21は、陸上フロート1に溶接された鋼製部品である。鋼製鉄板10〜25mmの組合せにより溶接されたものである。また、鋳物により一括鋳造された部品である。陸上フロート1が地震に横揺れした場合には、揺れの運動エネルギーがポール22を伝ってアブソーバー23に伝達する。ポール22の端部に溶接接合された鋼製のプレート32とは摩擦抵抗のみで接合している。なぜならば、津波が到来した時には素早く浮上する必要があるからである。
図7−(2)より、ブラケット21は横揺れの際にポール22が脱線しないように端部にツメ32を取り付けてある。ツメ32の素材は、ブラケット21と溶接接合できるもので防錆性能を有したものとした。ポール22は、外径寸法は100〜300mmの中空構造の鋼鉄管である。厚みは、5〜15mmであり、陸上フロート1の横揺れを十分に伝達できる構造とした。また、ツメ32はブラケット21の3方向にコの字の形状で取り付けられており、脱落の可能性を極力軽減した。
図8−(1)より、連結器34について説明する。陸上フロート1は、基本的にはスタビライザー20によって横揺れを防止する構造である。しかし、大規模地震による横揺れまでは、確実に対応できていない。そこで対応策として連結器34を考案した。連結器34は、基礎コンクリート5の内部に埋込まれたリング連結器35及びフック連結器36、陸上フロート1の床に溶接された衝撃吸収スプリング53、スプリング押え55、上部プレート56、下部プレート57ホールプレート58、ズレ止めボルト64、ボルト受け65により構成される。鋳鉄製のリング連結器35のリング部分にフック連結器36の先端部分が挿入される構造である。フック連結器36は、陸上フロート1の屋上部分にある巻上機37を操作することにより、前後に可動することにより連結が解除される。巻上機37は、巻上ワイヤー38と連結フック36を繋げている。ステンレス鋼ワイヤーで外径寸法は、10〜55mmのものである。
巻上機37は、手動で巻上げることのできるウインチである。巻き取能力は、1〜5tonの能力のものを使用する。地震発生時は、電力の供給が停止することを前提とした。巻上機37には、一度巻上げたものを逆回転しないようにすべり止めのブレーキを内蔵したものとした。緊急時において、巻上ワイヤー38の巻上の不備でフック連結器36がリング連結器35から離脱できないと、陸上フロート1が海面上にまで浮上できなくなるので、最重要部品と考えた。巻上ワイヤー38は中間地点に於いて滑車66又は滑車機能を有した部品により、巻上ワイヤー38の方向が一定の方向に制御されるように考案した。
図8−(2)より、手動式の連結器34を説明する。ホールプレート58に付けられたボルト受け65に挿入されているズレ止めボルト64を上方に引き上げている間にフック連結器36を左方向に引き抜く。そうすることにより、リング連結器35とホールプレート58が切り離される。ズレ止めボルト64は、鋼製又はステンレス鋼でてきており、フック連結器36の内部を貫通することにより、連結を確保している。
上部プレート56、下部プレート57の間に装備された衝撃吸収スプリング53が横揺れにたいして抵抗する装置となる。上部プレート56、下部プレート57は、鋼製鉄板であり、厚さは10〜30mmのものとした。衝撃スプリング53も鋼製で焼き入処理がされたものを使用する。スプリング押え55は、衝撃吸収スプリング53を上下のプレートに定着させる鋼製部品である。フック連結器36は、ホールプレート58とリング連結器35を結合する部材である。フック連結器の外径は、Φ50〜200mmのものでズレ止めボルト64で固定されている。ズレ止めボルト64は、ボルト受け65にぶら下がっている。今回の実施例は、手動式で連結解除する形式のものを示した。ズレ止めボルト64は、手動で上方に引き上げ、同時にフック連結器36を引き抜く方式のものである。
図9より、遠隔操作による連結器34の詳細を説明する。手動式と同様に、上下のプレートの間に衝撃吸収スプリング53がスプリング押え55により定着されている。また、さらに衝撃吸収性能を向上させるために衝撃吸収ゴム54も装備させた。衝撃吸収ゴム54は、ゴム素材やシリコン素材などの可撓性を有した素材とした。フック連結器36の先端部分には溝59を設置している。巻上ワイヤー38により遠隔操作が行われた場合には、拡張スプリング61が収縮することで落しツメ60が重力加速で溝59の内部に挿入されて、リング連結器35との連結が解除される。拡張スプリング61は、バネ押え62により圧縮されてホールプレート58とで挟まれて縮む機能となっている。
図10−(1)より、衝撃吸収スプリング53を複数装備した実施例を説明する。連結機能は、図9−(2)で説明した機能と同じである。ただし、衝撃吸収する部分の機能をさらに向上させた。上下のプレートの中心部には、衝撃吸収ゴム54を装備し、その外側に対角方向に衝撃吸収スプリング53を4本設置する。陸上フロート1の床の中心点と上下のプレートの中心点を一致させる。また、この中心点からスタビライザー20の据付け方向に向かい衝撃吸収スプリング53が配置させる。この工法で、スタビライザー20とあいまって、横揺れにたいする抵抗力を増加させることができる。
リング連結器35は、地震などによる横揺れにより前後左右に力をうけると、基礎コンクリート5の内部に定着していたものが、長期間の末に緩みが発生することにより、横揺れを制御する能力が低下する。この経年劣化を緩和するために、衝撃吸収スプリング53及び衝撃吸収ゴム54を備えたものを考案した。
図11より、脱出エントランス39の説明をする。津波が襲来中や撤収後に於いて、陸上フロート1が想定の通りに作動しなくて、陸上フロート1が水平を保ったままで着地しない場合、震災瓦礫が上に覆い被さってしまい、脱出が出来ない場合を想定した。陸上フロート1が天地逆転して降下した場合や、瓦礫に埋もれてしまった場合でも自力で脱出できるために脱出エントランス39を考案した。重量鉄骨H鋼を使用して、陸上フロート1の屋上に装備する。今回の実施例では、H鋼300〜400を使用する。家庭用シェルター2の上部に設置する場合だけでなく、建築建物3の1階部分の骨組みとして兼用することも考案した。脱出エントランス39の外径寸法を縦=3.5m、横=3.5m、高さ=2.5mのサイズで製造した場合、H鋼300を使用すると約7ton、H鋼400をした場合は約12tonの重量となる。いずれにしても、陸上フロート1の浮力と脱出エントランス39の重量の双方を検討したうえで、具体的サイズと使用部材を決定する。陸上フロート1が鉄筋コンクリート製の場合は、ケミカルアンカーやコンクリート内に金属アンカーボルトを埋め込んでナットを使用して接合する。鋼製鉄板で造られた場合は、詳細設計時に構造柱15や梁19の接合を溶接にするかボルトとナットによる接合にするか個別に決定することとした。
図12より、内部階段40の説明をする。陸上フロート1の内部に階段を装備させる。内部階段40を使い最下層まで降下する。そして、最下層の床に装備されている水密扉14を開放して連結器34にたどり着く。遠隔操作が不可能な場合や、遠隔操作による連結器の操作を回避する場合に使用することを考案した。内部階段40は、螺旋階段、折り返し階段、梯子階段の選択をもたせた。ただし、階段の廻りを鋼鉄板により囲むことが重要となる。床の水密扉14などから海水が浸入した場合を想定すると階段室も、単独で機密性能を持つたせる必要があると考えた。また、内部階段40を装備する場合には、隔壁10を水平方向にこだわることなく垂直方向に隔壁10を装備することをも考案した。最終的には、機密性を保持した空間の確保が目的である。製造工程に於いて屋内階段40を装備した場合は、垂直方向に隔壁10を配置する方が製造上でコストの削減が図れる。ただし、陸上フロート1の内部には、ほとんどの部分を発泡体11で充填することとした。内部階段40の配置は、陸上フロート1の形状等に影響されるので、随時形状に適合できる位置と寸法とした。
図13より、水密扉14の説明をする。鋼鉄製の鉄板により製作されたリーフ42とコーム43にとから成り、ヒンジ44を支点として一方向に開閉する。鉄板の厚みは、8〜20mmのものを使用する。回転軸45の両端に接合された内部ハンドル46と外部ハンドル47の何れかを左右に回すことにより同軸上に取り付けられた楕円プレート48が回転する。楕円プレート48に取り付けられた斜行プレート49が上下に動くことで、水平プレート51が上下することにより、ツメ52が回転して施錠が開放される。水密性能を向上させるために、リーフ42とコーム43の間には、水密パッキン50を装備した。また、材質は耐錆性能として表面に樹脂被膜やメッキによる被膜を施工したもので、耐久性能と経済性を保持したものであれば、積極的に使用することも考案した。基本的に、水密扉14の艤装品はJIS−Fの規格のものを使用する。また、水密扉自体の水密性能試験を日本造船規格などの公的機関に於いて行うことにより、扉の水密性能を確保することを担保する。陸上フロート1が鉄筋コンクリートで造られている場合は、コーム43に鉄製のアンカーを溶接する。そして、溶接したアンカーをコンクリートの内部に埋め込む。