JP5463971B2 - 移動体走行経路生成装置 - Google Patents
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Description
この特許文献文献1により提案されている移動経路設定技術は、検出した障害物の位置情報に基づいて障害物が存在し得る確率を表した確率ポテンシャル場を生成し、
この確率ポテンシャル場に、目標位置へ向かう勾配を付加した上で、目標位置に向かう経路を探索するようになし、
これにより、動的な障害物の将来の動作を予測しつつ、センサデータの揺らぎを受けることなく、移動体の障害物回避行動を実現し得るようにしたものである。
生成される経路の、障害物に対する通過方向(回避方向)は、ポテンシャル場の勾配が大きい方向に決定される。
上記の提案技術を用いる場合、状況によっては運転者の意図と異なる方向へ移動体を移動させることがあり、運転者に違和感を与える可能性があるという問題が生ずる懸念を払拭しきれない。
障害物回避方向設定手段は、上記の障害物検出手段により検出した障害物位置を移動体が、運転者の操作に基づく移動体の進行方向と交差する方向へ回避するのに必要な回避方向を設定する。
目標回避経路候補設定手段は、上記障害物検出手段により検出された障害物位置を移動体が上記移動体進行方向と交差する方向へ回避するのに必要な目標回避経路候補を設定する。
回避方向相違度判定手段は、上記障害物回避方向設定手段で設定された回避方向と、上記目標回避経路候補設定手段で設定された目標回避経路候補の前記検出障害物に対する回避方向との相違度を判別する。
第2の経路評価手段は、上記の仮想障害物と、上記目標回避経路候補との接近度合いを算出する。
回避経路決定手段は、上記補正された目標回避経路候補と、上記障害物回避方向設定手段で設定された回避方向とに基づいて回避経路を決定し、これを移動体走行経路となす。
このため本発明の移動体走行経路生成装置によれば、移動体の障害物回避方向を確実に、上記設定した障害物回避方向に一致させることができ、従って運転者の意図と異なる方向へ移動体を回避走行させることがなく、運転者に違和感を与えるという前記の問題を払拭することができる。
<第1実施例>
図1は、本発明の第1実施例になる移動体走行経路生成装置を具えた四輪車両1を、その上方から見て示し、図中、2は車体、3L,3Rはそれぞれ左右前輪、4L,4Rはそれぞれ左右後輪である。
図1に示す車両1(移動体)は、運転者が操舵するステアリングホイール5からの操舵力がステアリングコラム6およびステアリングギヤボックス7を介して前輪転舵系に伝達され、この転舵系により左右前輪3L,3Rを転舵されるものとする。
従ってカメラ11L,11Rは、本発明における障害物検出手段に相当する。
2台一組のカメラ11L,11Rは車幅方向に離間して、略車室内同レベルに配置することにより、自車からの被写体への方向だけでなく、自車から被写体までの距離をも検出可能なものとする。
車速センサ12L,12Rは、左右前輪3L,3Rに取り付けられたロータリーエンコーダ等で構成することができ、左右前輪3L,3Rの回転に比例したパルス幅のパルス信号を発生し、これらパルス信号から車速vを計測可能である。
ヨーレートセンサ13は、水晶振動子や半導体を用いて構成される公知のデバイスを利用可能であり、加速度センサ14は圧電素子等を用いて構成される公知のデバイスを利用可能である。
なお加速度センサ14は、車体2に発生する特定方向の加速度を検出するものとし、ここでは特に、車体2の横方向に発生する横加速度αを検出するものとする。
操舵角センサ15は、ステアリングコラム6内におけるステアリングシャフト(図示せず)の回転角から操舵角θsを検出し、操舵トルクセンサ16は、同じくステアリングコラム6内におけるステアリングシャフト(図示せず)へのトルクから操舵トルクTsを検出するものとする。
転舵アシストモータ17はモータコントローラ18を介してマイクロプロセッサ19により駆動制御する。
これら入力情報を基にマイクロプロセッサ19は、上記メモリ内の格納プログラムを実行して、当該入力情報の信号処理を行うと共に、目標とすべき走行経路(回避経路)、すなわち左右前輪3L,3Rの目標転舵量の時系列信号を算出する。
図2は、上記のマイクロプロセッサ19を機能別ブロック線図により示すもので、マイクロプロセッサ19は概ね、センサ信号処理部21と、障害物回避方向設定部22と、目標回避経路候補設定部23と、目標回避経路候補記憶部24と、第1リスクポテンシャル生成部25と、第2リスクポテンシャル生成部26と、回避経路補正部27と、指令値出力処理部28とから成るものである。
具体的にどのような情報に変換されるかについては後述するが、変換処理要領については、画像処理による障害物や道路境界の検出方法をはじめとして、多数の手法が既に知られているため、ここでは詳細な説明を省略する。
目標回避経路候補設定部23は、本発明における目標回避経路候補設定手段を構成するもので、障害物回避経路の算出に先立って任意の適当な回避経路の候補を設定し、
この設定した目標回避経路候補を目標回避経路候補記憶部24の所定領域内に格納しておく。
第2リスクポテンシャル生成部26は、本発明における第2の経路評価手段を構成するもので、センサ信号処理部21で検出された障害物の位置に対し、障害物回避方向設定部22が設定した障害物回避方向の道路領域に小さなリスク評価値を割り当てたリスクポテンシャル関数を構築する処理を行う。
目標回避経路候補記憶部24と、第1リスクポテンシャル生成部25と、第2リスクポテンシャル生成部26と、回避経路補正部27とから成る回避経路算出部29によって制御されている。
目標回避経路候補の障害物回避方向と、運転者の操作に基づく障害物回避方向とが合致しない場合は、第2リスクポテンシャル生成部26からの第2リスクポテンシャルが回避経路補正部27に読み込まれ、
目標回避経路候補の障害物回避方向と、運転者の操作に基づく障害物回避方向とが合致する場合は、第1リスクポテンシャル生成部25からの第1リスクポテンシャルが回避経路補正部27に読み込まれる。
同時に回避経路補正部27は、後述するように目標回避経路に沿って車両1が走行するために必要な時々刻々の目標前輪転舵量を算出し、この目標前輪転舵量が指令値出力処理部28に送られる。
モータコントローラ18は、転舵アシストモータ17を転舵アシストトルク指令値が発生するよう駆動制御することにより、車両の走行経路が目標回避経路となるよう運転者の操縦操作を支援する。
マイクロプロセッサ19が上記の処理を行うため実行する制御プログラムを、図3,4に基づき以下に詳述する。
但しここでは、説明が判りやすくなるよう、自車1が図5,6に示すごとく直線道路31上で左右道路境界31L,31R間を走行していて、左前方に障害物32がある場合の具体例につき説明を展開することとする。
図5に示す自車1の現在位置をX座標の原点、道路の中心線付近にY座標の原点を置く座標系を設定した場合につき説明する。
上記のように座標系を設定することにより、自車(中心点)の位置を図6に示すごとく(X,Y)=(x,y)の形で表記することができる。
これら運動物理量のうち、車両速度vに関しては非駆動輪の車輪速で近似することができるので、前記した通り左右前輪3L,3Rにとりつけた車速センサ12L,12Rの検出値を用いることができる。
なお、車両縦方向の速度vxを車速vで近似し、車両横方向の速度vyを加速度センサ14の検出値である車両横加速度αの積分によって求めれば、上記の(1)式からすべり角βの近似値を得ることができる。
これ以外にも、車輪速Vw、ヨーレートγ、横加速度α等の信号からオブザーバによって、より精度良くすべり角βを推定する技術も知られているので、そのような手法を用いてすべり角βを得てもよい。
以上に説明した通り、上記で挙げた自車1の運動状態を記述する運動物理量は全てセンサの検出信号を処理することによって具体的な値を算出することができる。
奥行きσxは撮影方向によっては測定が困難な場合もあるが、その場合は便宜的に幅σyと同じ値に設定しておくことにする。
なお、障害物32が検出されなかった場合は、障害物に関する物理量の算出を行わないこと勿論である。
以上のように図3のステップS1では、任意のX−Y座標系を導入し、自車1、障害物32および道路境界31L,31Rに関する情報を、当該X−Y座標系上の値として算出する。
目標回避経路の更新時刻になっている場合は制御をステップS3へ進め、目標回避経路の更新時刻になっていなければ制御をステップS11に進める。
ステップS4においては、検出した障害物32の情報に基づいて第1リスクポテンシャルの生成を行う。
図5,6の場面において自車1が接近を回避すべき対象は、障害物32と道路境界31L,31Rとの2種類であることから、これら障害物32と道路境界31L,31Rとについてそれぞれのリスクポテンシャルを生成し、二つの項の和をとることで全体のリスクポテンシャルを生成する。
具体的には、障害物32のリスクポテンシャルの大きさを規定するパラメータwPを用いた、例えば次式の関数を利用することができる。
具体的には、道路境界31L,31Rへの接近の余裕幅を指定するパラメータΔR(値が大きいほど道路境界31L,31Rとの接近余裕を大きくとる回避経路が算出される)、および道路境界31L,31Rのリスクポテンシャルの大きさを規定するパラメータwRを用いた、例えば次式の関数を利用することができる。
第1リスクポテンシャルL1をX―Y座標上にプロットした図を図5に示す。
図5における中央の山が障害物32に対応する関数LPによって形成されたリスクポテンシャルであり、両側の山が道路境界31L,31Rに対応する関数LRによって形成されたリスクポテンシャルである。
従ってステップS5は、本発明における障害物回避方向設定手段に相当する。
図7に示すように、障害物32を表すリスクポテンシャルは障害物検出位置をピークとする山形となるので、障害物32が道路31の中心付近に存在する場合には、障害物32の右側と左側の両方にリスクポテンシャルの小さい領域が存在し、どちらの方向にも障害物32を回避できる経路が存在する可能性がある。
操舵角θSの大きさが上記の閾値を越えていて運転者が明らかに操舵を行っている場合は、操舵が行われている方向を回避方向に選択するといったような設定方法を採用することができる。
従ってステップS6は、本発明における目標回避経路候補設定手段に相当する。
目標回避経路は一般的に、自車位置を表す座標位置(x,y)の時系列信号として表現されるが、本実施例では運転者の操作をより直接的に支援する目標値を生成するために、自車の操作量である転舵角δの時系列変化によって回避経路を表現する定式化を行う。
転舵角δの時系列変化と自車1の道路31上のにおける走行経路とを相互に関連付けるため、転舵角δを入力として車両の運動を予測する車両モデルを導入する。
車両速度vが一定であると仮定すると、二輪モデルは、微分演算子(d)を用いた以下の微分方程式で記述される。
以上の(6)〜(13)式をまとめると、状態ベクトルvxおよびその微分値dvxを用いた、前輪転舵角δを入力とする以下の微分方程式モデルが得られる。
車両が上記の(14)式に従って動くと仮定すると、入力である前輪転舵角δの時系列を決めれば、(14)式を積分することで状態ベクトルvxの時系列も決まることになる。
すなわち、回避経路は操舵角δの時系列によって表現することができる。
例えば、本実施例ではT秒間分の回避経路を算出する設定とし、T秒間の時間区間をN等分して各分割区間ごとに値をサンプリングした信号として表現する場合には、時刻tにおける走行経路は一般に、
ただし、t0=t ti=t+(T/N)i,(i=1,2,・・・N-1)である。
従って、指定された方向のリスクポテンシャルが小さな領域を通過するようなU(t)を算出することが走行経路算出の目的となる。
具体的には、例えば現時刻tよりもΔtだけ前の時刻t−Δtにおいて走行経路U*(t−Δt)が算出されていた場合、
Δtが十分に短ければ走行経路にも大きな変化はないと見なし得るので、U*(t−Δt)をU*(t)の候補として設定する方法が考えられる。
現時刻よりも前の時刻において走行経路の算出が行われていない場合は、U(t)=(0 0 ・・・0)といった設定を行うことで対処可能である。
図4のステップS71においては、図3のステップS6で上記のごとくに設定した目標回避経路候補が、障害物32のどちら側へ回避するものであるのかを以下のように判定する。
まず、前記(15)式で求めたU(t)を用いて前記(14)式を積分すると、状態ベクトルの時系列として、vx(t0), vx(t1),・・・,vx(tN-1)が得られる。
従って、障害物32のx座標であるxPが、x(t0)<xP≦x(tN-1)の条件を満たす場合には、x(tP)=xPを満たす時刻tPが存在し、サンプル時刻間の信号の変化を直線補間等の適当な補間手法を用いて近似することにより、時刻tPにおける自車のy座標の値y(tP)を近似的に算出することができる。
この時、目標回避経路候補の障害物回避方向を以下のように判定する。
従ってステップS72は、本発明における回避方向相違度判定手段に相当する。
ステップS74においては、リスクポテンシャルの一層小さい領域を通過するように目標回避経路候補に対して補正を加える処理を行う。
従ってステップS74は、本発明における目標回避経路候補補正手段に相当する。
従って、評価式Lは、
そのような回避経路に対する要請を反映するために、時刻t+Tにおける車両ヨー角θを評価する評価項を導入する。
この場合、直進状態はθ=0と定義されているので、時刻t+Tにおける車両ヨー角に対してペナルティを課すという次式
ただし、wyは車両ヨー角のペナルティに対する評価重みを表すパラメータである。
ただし、あまり大きな前輪舵角が指令値として算出されることのないようにするために、ここでは(18)式のペナルティに加えて、指令値として算出される前輪舵角が取れる値の範囲を、
この場合、マイクロプロセッサ19の記憶領域に格納された目標回避経路候補U(t)に対し反復演算のアルゴリズムを適用して新たなU(t)を得る処理が行われる。
最適制御問題を解く具体的なアルゴリズムについては、いくつかのものが周知であるから、ここではその詳細な説明を省略する。
ここでは、例えば反復回数が所定の回数に達した場合や、反復演算による解の変化量の大きさが所定の水準よりも小さくなった場合に反復演算を終了するという条件を設定することができる。
終了条件が満たされていない場合は、反復演算終了条件が満足されるまでステップS74を繰り返し実行し、これにより反復演算終了条件が満たされた場合に、図4のサブルーチンから抜けて図3のメインルーチンに復帰し、制御をステップ8に進める。
反復演算終了条件が成立していない場合は制御をステップS77に進め、反復演算終了条件が成立したときに制御をステップS79に進める。
この第2リスクポテンシャルは、任意の目標回避経路候補が、運転者の操作に基づき設定された障害物回避方向を満たすように補正されることを促進するためのリスクポテンシャルである。
ただし、w2はリスクポテンシャルの大きさを表すパラメータ、Δは自車と障害物が接触しないために最低限確保されなければならない距離の大きさを表す正のパラメータである。
図9は、上記した第2リスクポテンシャル関数の概形を例示するものである。
従って、例えば初期解として設定した目標回避経路候補が障害物の右側を通過する経路になっていた場合、リスクポテンシャルを解の近傍で小さくするように解を補正すると、補正される経路もやはり障害物の右側を通過する経路になる可能性が高く、運転者の操作に基づき設定された通過方向が左側になっていた場合には所望の回避経路を得ることができない懸念がある。
そのためにステップS77では、障害物回避方向だけを考慮した、より単純な第2リスクポテンシャルを用いて回避経路の補正を行うこととした。
従ってステップS78は、本発明における目標回避経路候補補正手段に相当する。
但しステップS78での処理に当たって用いる評価式は、前記(19)式における第1リスクポテンシャルの評価項を、第2リスクポテンシャルの評価項に置き換えた、
従ってステップS79は、本発明における回避経路算出エラー警告手段に相当する。
この目標回避経路U*(t)は、以下のような転舵角指令値δ*の時系列ベクトルとして得られ、
過去の処理サイクルにおいて既に指令値ベクトルが生成・保持されていた場合であっても、過去の指令値ベクトルは破棄されて最新の指令値ベクトルに上書き、更新される。
現在時刻との対応をとり易くするため、例えばマイクロプロセッサ19内における指令値の時系列を保持するメモリにシフト操作を施し、常にメモリの先頭アドレスに格納されている指令値を読み出す方式をとることが考えられる。
その場合、ステップS9を実行する前のメモリ状態が、
補助操舵トルクの制御則としては様々な方式が考えられるが、例えば操舵角指令値(目標前輪転舵角から換算可能)と、実際の操舵角との偏差をフィードバックする以下のような制御則を用いることができる。
マイクロコンピュータ19のメモリ内に目標転舵角の時系列が未だ残っているか否かをチェックする。
目標転舵角の時系列が未だ残っている場合は、制御をステップS9およびステップS10に進めて、残存する目標転舵角の時系列に基づく支援を引き続き行わせる。
ステップS11で目標転舵角の時系列が残っていないと判定する場合、つまり生成した目標転舵角の時系列を全てを実現済みである場合や、或いは目標回避経路の生成が行われて居ない場合は、制御をそのまま処理を終了する。
図10(a)は、回避経路演算開始時における運転操作基準の障害物回避方向X1および初期目標回避経路候補X2と、目標前輪転舵角δ*の時系列初期解とを示す。
ここでは、図10(a)の時点で初めて回避経路演算が開始されるものと仮定し、初期解として全ての目標値を0、すなわち自車1が直進状態を保つこととしたU(t)=(0 0 ・・0)に設定された状況を示している。
そして検出障害物32が、自車正面よりも左方向にオフセットした位置に検出され、運転操作に基づいて設定された障害物回避方向X1が左方向であり、回避経路候補X2の障害物回避方向が右方向である。
この第2リスクポテンシャルに基づく補正により初期回避経路候補X2は、図10(b)に示すように、障害物32を障害物回避方向X1と同様に左方向に回避する回避経路候補X3へと補正され、これを達成するための目標前輪転舵角δ*の時系列が同図に示すように求められる。
第1リスクポテンシャルに基づく目標回避経路候補補正演算が図10(c)に示すごとくに実行される。
この第1リスクポテンシャルに基づく補正により上記の回避経路候補X3は、図10(c)に示すように、障害物32を左方向に回避しつつ、道路境界31Lへの接近が緩和されるよう目標走行経路X4へと補正され、これを達成するための目標前輪転舵角δ*の時系列が同図に示すように求められる。
なお、第1リスクポテンシャルだけを用いて回避経路生成演算を行った場合は、障害物回避方向を右方向と設定した場合と同じ走行経路は得られるが、左方向への回避経路が得られない。
すなわち図11(a),(b)に示す結果は、方向選択的に走行経路を生成する上での本発明の有効性を示している。
この場合、図4のステップS72での回避方向一致判定がNoからYesに切り替わって、目標回避経路候補補正演算がステップS77での第2リスクポテンシャルに基づく補正からステップS73での第1リスクポテンシャルに基づく補正に切り替わるとき、
目標前輪転舵角の時系列および回避経路が図10に示すように大きく変化し、演算効率が悪くなると共に、運転者に違和感を与える。
このため、図4のステップS77で第2リスクポテンシャルを設定するに際しては、前記(22)式および(23)式を用いて第2リスクポテンシャルを設定するのではなく、前記(3)式のリスクポテンシャルを変形することで第2リスクポテンシャルを設定することとする。
第2リスクポテンシャルを構成する仮想的な障害物位置の設定に際しては、仮想障害物に対する目標回避経路候補の回避方向(目標回避経路候補の仮想障害物回避方向)が、運転者の操作に基づく障害物回避方向と一致する場所に設定する。
そこで、障害物のy座標をyPからtyPに変更した以下のリスクポテンシャルを障害物のリスクポテンシャルとして構成する。
従って、この場合もステップS78は、本発明における目標回避経路候補補正手段に相当する。
図12は、図10の場合と同じ状況のもとでの具体例で、同図(a)は、図3のステップS1〜ステップS6の処理により得られた回避経路演算開始時における運転操作基準の障害物回避方向X1および初期目標回避経路候補X2を示す。
つまり図12(a)は、ステップS3で障害物32が検出され、ステップS4で検出障害物32に対応する第1リスクポテンシャルが生成され、ステップS5で運転者の操作に基づき障害物回避方向がX1のごとく左方向に設定され、ステップS6で初期の目標回避経路候補がX2のごとく設定された状況を示す。
しかし図12(b)は、同図(a)のごとく運転操作に基づく障害物回避方向X1と、初期目標回避経路候補X2の障害物回避方向とが異なることから、図4のステップS72が制御をステップS76に進めるため、同図のステップS71→ステップS72→ステップS76→ステップS77による演算結果を示す。
かかる仮想障害物32aの位置は、初期目標回避経路候補X2が仮想障害物32aを、運転操作に基づく障害物回避方向X1と同じく左方に回避するような位置であって、且つこの回避が余裕幅Δをもって行われるような位置である。
従ってテップS77は、本発明における仮想障害物設定手段に相当する。
つまり、ステップS77が、前記(31)式に基づき、第2リスクポテンシャルを生成するための新たな仮想障害物32bを設置し、この新たな仮想障害物32bに基づき第2リスクポテンシャルを生成し直し、この生成し直した第2リスクポテンシャルに基づいて最適化演算により補正後目標回避経路候補X3を、左方向回避のための最終的な目標走行経路X4へと補正する。
従ってステップS77は、本発明における第2の経路評価手段に相当する。
11(a),(b)には更に、障害物回避方向が反対側の右方向である場合における目標前輪舵角δ*の時系列および目標走行経路を、参考までに破線で例示した。
上記した第1実施例によれば、運転者の操作に基づき設定した障害物回避方向(ステップS5)と、障害物回避用に設定された目標回避経路候補(ステップS6)の障害物回避方向とが異なる場合(ステップS72)、目標回避経路候補を、その回避方向が、運転者の操作に基づき設定した障害物回避方向に向かうよう補正して回避経路を決定するため(ステップS78)、
自車1の回避経路を、その障害物回避方向が確実に、運転者の操作に基づき設定した障害物回避方向に一致するよう決定することができ、従って運転者の意図と異なる方向へ自車1を回避走行させることがなく、運転者に違和感を与えるという問題を払拭することができる。
仮想障害物32aの位置を、運転者の操作に基づく回避方向に確実に符合させ得て、運転者の障害物回避意図を反映した目標回避経路を生成可能になり、上記の作用効果を更に顕著なものにすることができる。
第2リスクポテンシャルは、検出障害物ではなく上記仮想障害物に対して、目標回避経路候補が運転者の操作に基づく障害物回避方向と合致する方向へ向かうにつれて、リスク評価を低くするものとしたため、以下の作用効果を奏し得る。
回避経路の補正演算に際し、第2リスクポテンシャルと第1リスクポテンシャルとを切り替える時に、リスクポテンシャルの変化代を小さく抑制することができ、効率的に回避経路の生成演算を進めることができる。
好適な指定方向の回避経路が存在しない場合においては、不適切な回避経路に基づいて運転者の誘導や支援が行われる事態を抑制することができる。
次に、図13〜15を用いて本発明の第2実施例を説明する。
本実施例においても、システム構成は基本的に図1,2につき前述したと同様なものとし、またマイクロプロセッサ19による演算要領は基本的に図3,4につき前述したと同様なものとする。
本実施例は、図13に示すごとく自車1の前方に第1障害物33および第2障害物34のような複数個の障害物が有る場合に、障害物回避経路を如何にして生成するを趣旨とするものである。
そのため以下では、図3,4の制御プログラムに関し、複数障害物の検出に伴って変更すべき箇所を説明するのみとする。
図3のステップS1においては、障害物33,34のそれぞれについて、両者の位置座標および大きさ情報を算出する。
ここでは、第1障害物33の位置座標を(xP 1,yP 1)とし、奥行きをσx 1とし、幅をσy 1とし、第2障害物34の位置座標を(xP 2,yP 2)とし、奥行きをσx 2とし、幅をσy 2とする。
つまり走行方向手前側の第1障害物33および走行方向奥側の第2障害物34に対する順次回避方向の組み合わせとしては、(左、左)、(左、右)、(右、左)、(右、右)の全部で4通りの回避方向が有り得るので、これら4通りの回避方向の中から、目標回避経路を生成する時の回避方向が選択される。
なお(16)式のパラメータΔは、障害物33,34の幅σy 1,σy 2が異なる場合、障害物33,34ごとに異なるΔを設定して判定を行うことができる。
かかる第2リスクポテンシャルの構築は、前記(31)式を、該当する障害物ごとに適用することで実現することができる。
両方の障害物33,34が該当する場合は、tyP 1,tyP 2という二つの仮想障害物位置を表すパラメータが生成される。
図14は、各障害物回避方向別に横軸に反復演算の回数を目盛り、縦軸に第1障害物33に係わる仮想障害物のY軸方向位置tyP 1および第2障害物34に係わる仮想障害物のY軸方向位置tyP 2をプロットした図である。
このことは、第1障害物33を右方向に回避する設定にすれば、適切な目標回避経路が見つることを意味する。
従って、図13のような走行状況では、第1障害物33を右方向に回避する設定にし、図14(c),(d)に示すように仮想障害物を設定して、図15(c)および(d)に示すごとくに目標回避経路を求めることとする。
図14(a)では反復演算の進行によっても、仮想障害物のY軸方向位置tyP 1が、対応するY軸方向検出位置yP 1に一致し得ず、また図14(b)では反復演算の進行によっても、仮想障害物のY軸方向位置tyP 1およびtyP 2の双方が、対応するY軸方向検出位置yP 1,yP 2と一致し得ない。
このことは、第1障害物33を左方向に回避する設定だと、目標回避経路が見つからないことを意味する。
このような場合は、得られた目標回避経路に基づいて前輪転舵を支援しても、第1障害物33を確実に回避できるとは限らないため、図4のステップS79で回避経路算出の失敗時処理を行い、例えば運転者に当該事実を知らせるための警報を発したり、別の障害物回避方向を設定して回避可能な経路の再計算を実行したり、転舵支援制御を中止して障害物との接触を想定した別の支援制御へと切り替える等の処理を行うようにする。
第2実施例おいては、上記した所から明らかなように、複数個の障害物が存在する場合であっても、第1実施例とは障害物の個数増大に応じて演算要領が部分的に異なるだけで、基本的には同様に回避経路を生成することができ、第1実施例による前記の作用効果をそのまま達成することができる。
次に、図16,17に基づき本発明の第3実施例を説明する。
本実施例においても、システム構成は基本的に図1,2につき前述したと同様なものとし、またマイクロプロセッサ19による演算要領は基本的に図3,4につき前述したと同様なものとする。
本実施例は、図16に示すごとく自車1の前方に、自車進行経路を左側から右方向へ横切るよう移動する障害物35が有る場合に、障害物回避経路を如何にして生成するを趣旨とするものである。
そのため以下では、図3,4の制御プログラムに関し、移動障害物35の検出に伴って変更すべき箇所を説明するのみとする。
図3のステップS1では、検出した移動障害物35について、その位置座標(xP,yP)だけでなく、その移動速度vPをも算出する。
従ってステップS1は、本発明における障害物移動検出手段に相当する。
但し、ここでは説明を判りやすくするため、移動障害物35が直進道路31を自車進行方向に直角な方向に横切っており、X軸方向の移動速度は0であると仮定する。
まず、障害物35の検出速度vPから、障害物35の将来の移動軌跡を推定する。
従ってステップS4は、本発明における障害物移動軌跡推定手段に相当する。
ここでは簡単のため、障害物35が等速直線移動を行うものと仮定し、時刻τ(t≦τ≦t+T)における障害物35の存在位置cyP(τ)を、
従って第2リスクポテンシャルは、障害物移動軌跡に対して目標回避経路候補が障害物移動方向と合致する方向へ向かうにつれてリスク評価を低くされたものとなる。
図17 (a)は、横軸に反復演算の回数n、縦軸に上記した障害物35の移動速度検出値vPに最も近い値tvP(移動速度パラメータ)の値をプロットしたものであり、図17(b)は初期回避経路候補X2と、移動速度パラメータtvPが移動速度検出値vPに一致した時の回避経路を示したものである。
しかし移動速度パラメータとして図17 (a)のようなtvPを用いれば、初期目標回避経路候補X2の障害物回避方向を右方向に保つことができるため、最終的に右方向の回避経路X5を得ることができる。
この場合、第2実施例と同様に、障害物回避の確実性が裏付けられないことを運転者に警告した上で、転舵支援を打ち切ることとする。
上記した第3実施例によれば、障害物35の移動方向および移動速度に基づき障害物35の移動軌跡を推定し、第1リスクポテンシャルがこの障害物移動軌跡に基づいてリスク評価を行なうため、
障害物35が移動するものである場合においても、この移動を考慮しつつ適切な障害物回避経路を算出することができる。
第2リスクポテンシャルは、障害物移動軌跡に対して目標回避経路候補が障害物移動方向と合致する方向へ向かうにつれてリスク評価を低くされたものであるため、以下の作用効果を達成し得る。
つまりこの場合、検出障害物35の位置だけでなく、その速度をもずらしてリスクポテンシャルを生成していることとなり、障害物35が移動している場合でも、障害物回避経路の補正演算に際して第2リスクポテンシャルから第1リスクポテンシャルへ切り替わる時のリスクポテンシャルの変化を小さく抑制することができ、回避経路の生成演算を効率的に行うことができる。
なお上記した何れの実施例においても、第2リスクポテンシャルの生成を図4のステップS77で演算サイクルごとに繰り返し行うこととしたが、
この代わりに第2リスクポテンシャルの生成を図4の冒頭で行うこととし、ここで求めた第2リスクポテンシャルを図4のステップS77で読み込むようにしてもよいのは言うまでもない。
2 車体
3L,3R 左右前輪
4L,4R 左右後輪
5 ステアリングホイール
6 ステアリングコラム
7 ステアリングギヤボックス
11L,11R カメラ(障害物検出手段)
12L,12R 車輪速センサ
13 ヨーレートセンサ
14 加速度センサ
15 操舵角センサ
16 操舵トルクセンサ
17 転舵アシストモータ
18 モータコントローラ
19 マイクロプロセッサ
21 センサ信号処理部
22 障害物回避方向設定部(障害物回避方向設定手段)
23 目標回避経路候補設定部(目標回避経路候補設定手段)
24 目標回避経路候補記憶部
25 第1リスクポテンシャル生成部(第1の経路評価手段)
26 第2リスクポテンシャル生成部(第2の経路評価手段)
27 回避経路補正部(目標回避経路候補補正手段)
28 指令値出力処理部
29 回避経路算出部
31 道路
31L,31R 道路境界
32〜35 障害物
Claims (6)
- 運転者が運転する移動体の前方における障害物の現在位置を検出する障害物検出手段と、
この障害物検出手段により検出した障害物位置を移動体が、運転者の操作に基づく移動体の進行方向と交差する方向へ回避するのに必要な回避方向を設定する障害物回避方向設定手段と、
前記障害物検出手段が検出した障害物位置を移動体が前記移動体進行方向と交差する方向へ回避するのに必要な目標回避経路候補を設定する目標回避経路候補設定手段と、
前記障害物検出手段からの障害物位置情報に基づいて、前記目標回避経路候補と前記検出障害物との接近度合いを算出する第1の経路評価手段と、
前記障害物回避方向設定手段で設定された回避方向と、前記目標回避経路候補設定手段で設定された目標回避経路候補の前記検出障害物に対する回避方向との相違度を判別する回避方向相違度判定手段と、
この回避方向相違度判定手段の判定結果に基づき、相違度の大きい目標回避経路候補を対象として、前記障害物位置から移動体進行方向と交差する方向へ移動した点に仮想障害物を設定する仮想障害物設定手段と、
該仮想障害物と、前記目標回避経路候補との接近度合いを算出する第2の経路評価手段と、
前記目標回避経路候補を前記第1の経路評価手段または第2の経路評価手段による評価値に基づいて補正する目標回避経路候補補正手段と、
該補正された目標回避経路候補と、前記障害物回避方向設定手段で設定された回避方向とに基づいて回避経路を決定する回避経路決定手段と、
を具備してなることを特徴とする移動体走行経路生成装置。 - 請求項1に記載の移動体走行経路生成装置において、
前記仮想障害物設定手段は、仮想障害物に対する前記目標回避経路候補の回避方向が、前記障害物回避方向設定手段により設定された運転者の操作に基づく障害物回避方向と合致するような位置に仮想障害物検出点を設定するものであることを特徴とする移動体走行経路生成装置。 - 請求項1または2に記載の移動体走行経路生成装置において、
前記第1の経路評価手段は、前記障害物検出手段が検出した障害物位置に対して、前記目標回避経路候補設定手段により設定された目標回避経路候補が、前記障害物回避方向設定手段で設定された障害物回避方向と合致する方向へ向かうにつれリスク評価を低くするものであり、
前記第2の経路評価手段は、前記仮想障害物設定手段で設定された仮想障害物に対して、前記目標回避経路候補設定手段で設定された目標回避経路候補が前記障害物回避方向設定手段で設定された障害物回避方向と合致する方向へ向かうにつれて、リスク評価を低くするものであることを特徴とする移動体走行経路生成装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の移動体走行経路生成装置において、
前記障害物検出手段で検出した障害物の移動方向および移動速度を検出する障害物移動検出手段と、
該検出した障害物の移動方向および移動速度に応じて障害物の移動軌跡を推定する障害物移動軌跡推定手段とを具備し、
前記第1の経路評価手段は、前記障害物の移動軌跡に応じてリスク評価を行なうものであることを特徴とする移動体走行経路生成装置。 - 請求項4に記載の移動体走行経路生成装置において、
前記第1の経路評価手段は、前記障害物移動軌跡推定手段が算出した障害物移動軌跡に対して、前記目標回避経路候補設定手段で設定された目標回避経路候補が、前記障害物回避方向設定手段で設定された障害物回避方向と合致する方向へ向かうにつれてリスク評価を低くするものであり、
前記第2の経路評価手段は、前記障害物移動軌跡推定手段で推定された障害物移動軌跡に対して、前記目標回避経路候補設定手段で設定した目標回避経路候補が、前記障害物移動検出手段で検出した障害物移動方向と合致する方向へ向かうにつれてリスク評価を低くするものであることを特徴とする移動体走行経路生成装置。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の移動体走行経路生成装置において、
前記目標回避経路候補補正手段が目標回避経路候補の補正を所定回数繰り返した後でも、前記目標回避経路候補の検出障害物に対する回避方向と、前記障害物回避方向設定手段で設定された回避方向とが合致しない場合、適切な回避経路の生成が失敗したとの判定を下して運転者に警報を発する回避経路算出エラー警告手段を設けたことを特徴とする移動体走行経路生成装置。
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