JP5308163B2 - 新規アルコール脱水素酵素、その遺伝子、ベクター、形質転換体、およびそれらを利用した光学活性アルコールの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の一つの特徴は、次の(1)から(6)に示す理化学的性質を有するポリペプチドである。
NAD+を補酵素としてアルコールを酸化し、ケトン又はアルデヒドを生成する。また、NADHを補酵素としてケトン又はアルデヒドを還元し、アルコールを生成する。
芳香族置換を含む脂肪族アルコールを酸化反応の基質とする。2−ブタノールのR体に比較してS体を優先的に酸化する。ケトン及びアルデヒドを還元反応の基質とする。アセトフェノンに作用し、S体の1−フェニルエタノールへ還元する。
還元SDSポリアクリルアミド電気泳動において約39,000の分子量を示す。
pHの安定域は、pH5.5〜7.5の範囲である。
(S)−2−ブタノールの酸化反応の作用至適温度は、45℃〜70℃である。
エチレンジアミン4酢酸、o−フェナントロリン、塩化水銀、硫酸銅及び硫酸亜鉛で酵素活性が阻害されるが、2−メルカプトエタノール、ジチオスレイトールには阻害されない。
(b)配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、挿入、置換及び/または付加したアミノ酸配列からなり、かつアセトフェノンに作用して、S体の1−フェニルエタノールへ還元する活性を有するポリペプチド、
(c)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列と85%以上の配列同一性を持つアミノ酸配列からなり、かつアセトフェノンに作用して、S体の1−フェニルエタノールへ還元する活性を有するポリペプチド。
(A)配列表の配列番号2に示す塩基配列を含むDNA、
(B)配列表の配列番号2に示す塩基配列と相補的な塩基配列を含むDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつアセトフェノンに作用して、S体の1−フェニルエタノールへ還元する活性を有するポリペプチドをコードするDNA、
(C)配列表の配列番号2に示す塩基配列と85%以上の配列同一性を示し、かつアセトフェノンに作用して、S体の1−フェニルエタノールへ還元する活性を有するポリペプチドをコードするDNA、
(D)配列表の配列番号2に示す塩基配列において、1もしくは複数個の塩基が欠失、挿入、置換及び/または付加した塩基配列からなり、かつアセトフェノンに作用して、S体の1−フェニルエタノールへ還元する活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
本発明において後述の方法により単離されたポリペプチドは、以下の(1)〜(6)の理化学的性質を有するポリペプチドである。
NAD+を補酵素としてアルコールを酸化し、ケトン又はアルデヒドを生成する。また、NADHを補酵素としてケトン又はアルデヒドを還元し、アルコールを生成する。
芳香族置換を含む脂肪族アルコールを酸化反応の基質とする。2−ブタノールのR体に比較してS体を優先的に酸化する。ケトン及びアルデヒドを還元反応の基質とする。アセトフェノンに作用し、S体の1−フェニルエタノールへ還元する。
還元SDSポリアクリルアミド電気泳動において約39,000の分子量を示す。
pHの安定域は、pH5.5〜7.5の範囲である。
作用至適温度は、45℃〜70℃である。
エチレンジアミン4酢酸、o−フェナントロリン、塩化水銀、硫酸銅、硫酸亜鉛で酵素活性が阻害される。
本発明のポリペプチドは、NAD+の存在下、2級アルコール化合物を酸化してケトン化合物に変換する能力を有する。また、本発明のポリペプチドは、1級アルコール化合物を酸化してアルデヒド化合物に変換する能力を有する。
50mMトリス−塩酸緩衝液(pH9.0)にNAD+2.5mM、酸化活性を評価したいアルコール化合物50mMおよび本発明のポリペプチドを含む反応液を30℃で反応させ、NADH量の増加に伴う波長340nmの吸光度の増加を測定することにより、酸化反応の進行を容易に評価することができる。吸光度が増加した場合、本発明のペプチドは評価対象のアルコール化合物を酸化する能力を有する、と判断することができる。なお、吸光度の増加速度が速いほど、評価対象のアルコール化合物に対する酸化能力が高いといえる。また、ポリペプチドの酸化能力は数値化することも可能であり、酸化活性1Uは、1分間に1μmolのNADHの生成を触媒する酵素量とした。
ジメチルスルホキシド0.3%(v/v)を含む100mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.5)にNADH0.25mM、還元活性を評価したいケトン化合物もしくはアルデヒド化合物50mMおよび本発明のポリペプチドを含む反応液を30℃で反応させ、NADH量の減少に伴う波長340nmの吸光度の減少を測定することにより、還元反応の進行を容易に評価することができる。吸光度が減少した場合、本発明のペプチドは評価対象のケトン化合物もしくはアルデヒド化合物を還元する能力を有する、と判断することができる。なお、吸光度の減少速度が速いほど、評価対象のケトン化合物もしくはアルデヒド化合物に対する還元能力が高いといえる。また、ポリペプチドの還元能力は数値化することも可能であり、還元活性1Uは、1分間に1μmolのNADHの消費を触媒する酵素量とした。
本発明のポリペプチドは、芳香族置換を含む脂肪族アルコールを酸化反応の基質とすることができる。これは、上記の(1)作用で記載の[アルコール化合物に対する酸化能力の評価方法]に記載の方法で評価することができる。
カラム:CHIRALDEX G−PN(30m,0.25mmID)
(RESTEK社製) カラム温度:100℃
注入口温度:150℃
検出器温度:150℃
検出:FID
キャリアーガス:He、130kPa
溶出時間: アセトフェノン(9.2分)
(S)−1−フェニルエタノール(14.5分)
(R)−1−フェニルエタノール(15.2分)
本発明のポリペプチドの還元SDSポリアクリルアミド電気泳動における分子量は約39,000である。この還元SDSポリアクリルアミド電気泳動を用いた分子量測定は、公知の方法、例えば「生物化学実験のてびき2 タンパク質の分離・分析法」(化学同人社刊行)に記載の方法、で実施できる。分子量標準蛋白質との移動度の差から、その分子量を算出することができる。
本発明のポリペプチドのpHの安定域は、pH5.5〜7.5の範囲である。本安定pH域の測定は、例えば、以下のように実施できる。pHの異なるブリットン−ロビンソン緩衝液中でポリペプチドを30℃で30分間処理後、前記の[アルコール化合物に対する酸化能力の評価方法]に記載の方法で(S)−2−ブタノールに対する酸化活性を測定する。処理後の残存活性値が、処理前の活性値の80%以上の値を示すpH域を安定pH域とした。
本発明のポリペプチドの酵素活性の作用至適温度は、45℃〜70℃である。本作用至適温度の測定は、例えば、以下のように実施できる。前記の[アルコール化合物に対する酸化能力の評価方法]に記載の方法において、測定温度を変化させて(S)−2−ブタノールに対する酸化活性を測定する。最も活性の高かった温度での酸化活性値を100%として、各温度での活性値を相対活性で示した時、その相対活性値が60%以上の値を示す温度域を作用至適温度とした。
本発明のポリペプチドの酵素活性は、エチレンジアミン4酢酸、o−フェナントロリン、塩化水銀、硫酸銅及び硫酸亜鉛で阻害されるが、2−メルカプトエタノール、ジチオスレイトールには阻害されない。化合物がポリペプチドの酵素活性を阻害するかどうかは、例えば、以下のような方法で評価できる。1mM濃度の種々の化合物中でポリペプチドを30℃で30分間処理後、前記の[アルコール化合物に対する酸化能力の評価方法]に記載の方法で(S)−2−ブタノールに対する酸化活性を測定する。処理後の残存活性値が、処理前の活性値の30%以下の値を示した場合には、処理に用いた化合物がポリペプチドの酵素活性を阻害する、と評価できる。また、処理後の残存活性値が、処理前の活性値の90%以上の値を示した場合には、処理に用いた化合物はポリペプチドの酵素活性を阻害しない、と評価できる。
本発明のポリペプチドは、2−ブタノールのR体に比較してS体を優先的に酸化する能力を有するポリペプチドから選択しうる。もしくは、カルボニル基を有する化合物を還元してアルコールを生成する活性を有するポリペプチド、好ましくは非対称ケトンを不斉的に還元して光学活性アルコールを生成する活性を有するポリペプチド、もっとも好ましくはアセトフェノンを不斉的に還元して(S)−1−フェニルエタノールを生成する活性を有するポリペプチドから選択しうる。
本発明のポリペプチドとしては、以下の(a)〜(c)のポリペプチドを挙げることができる。
(b)配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、挿入、置換及び/または付加したアミノ酸配列からなり、かつアセトフェノンに作用して、S体の1−フェニルエタノールへ還元する活性を有するポリペプチド、
(c)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列と85%以上の配列同一性を持つアミノ酸配列からなり、かつアセトフェノンに作用して、S体の1−フェニルエタノールへ還元する活性を有するポリペプチド。
本発明のポリペプチドのアミノ酸配列としては、配列表の配列番号2に示す塩基配列によってコードされる、配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列、を挙げることができる。
配列表の配列番号1に示したアミノ酸配列において1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、挿入、置換及び/または付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドは、Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley and Sons, Inc., 1989)等に記載の公知の方法に準じて調製することができ、アセトフェノンに作用して、S体の1−フェニルエタノールへ還元する活性を有する限りは、上記ポリペプチドに包含される。
(第2群:中性極性アミノ酸)Ser, Thr, Gln, Asn, Trp, Tyr
(第3群:酸性アミノ酸)Glu, Asp
(第4群:塩基性アミノ酸)His, Lys, Arg
配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列と85%以上の配列同一性を有するポリペプチドが、アセトフェノンに作用して、S体の1−フェニルエタノールへ還元する活性を有する場合は、これも本発明のポリペプチドに含まれる。配列表の配列番号1のアミノ酸配列と85%以上の配列同一性を有するポリペプチドは本発明のポリペプチドに含まれるが、その配列同一性は90%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、98%以上が更に好ましく、99%以上がより最も好ましい。
本発明のポリペプチドをコードするDNAは、後述する方法に従って導入された宿主細胞内で該酵素を発現し得るものであればいかなるものでもよく、任意の非翻訳領域を含んでいてもよい。該酵素が取得できれば、該酵素の起源となる生物より、当業者であれば公知の方法で、このようなDNAを取得できる。例えば、以下に示した方法で取得できる。
本発明のポリペプチドをコードするDNAとして、例えば、
配列表の配列番号2に示した塩基配列からなるDNA、
配列表の配列番号2に示した塩基配列と相補的な塩基配列を含むDNAと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつアセトフェノンに作用して、S体の1−フェニルエタノールへ還元する活性を有するポリペプチドをコードするDNA、
配列表の配列番号2に示した塩基配列と85%以上の配列同一性を示し、かつアセトフェノンに作用して、S体の1−フェニルエタノールへ還元する活性を有するポリペプチドをコードするDNA、又は、
配列表の配列番号2に示した塩基配列において、1もしくは複数個の塩基が欠失、挿入、置換及び/または付加した塩基配列からなり、かつアセトフェノンに作用して、S体の1−フェニルエタノールへ還元する活性を有するポリペプチドをコードするDNA、
を挙げることができる。
本発明のポリペプチドをコードするDNAを発現ベクターに挿入することにより、ポリペプチド発現ベクターが作成できる。また、このポリペプチド発現ベクターで宿主生物を形質転換して得られる形質転換体を培養することにより、本発明のポリペプチドを発現させることができる。更に、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを染色体中に導入する方法なども利用できる。
[ 反応条件 ]
本発明のポリペプチドもしくは本発明のポリペプチドを発現させた形質転換体を用いて、カルボニル基を有する化合物を還元してアルコールもしくはアルデヒドを製造する場合、以下のように実施され得る。但し、以下の方法に限定されるわけではない。
本発明のポリペプチドの生産能を有する形質転換体を用いて、カルボニル化合物を還元してアルコール化合物を合成する場合、補酵素としてNADHが必要となる。上記のように、反応系にNADHを必要な量だけ添加しても実施しうる。しかし、酸化された該補酵素(NAD+)を還元型NADHに変換する能力(以後還元型補酵素再生能力と呼ぶ)を有する酵素をその基質と共に、つまり補酵素再生系を本発明のポリペプチドと組み合わせて反応を行うことにより、高価な補酵素の使用量を大幅に削減することができる。還元型補酵素再生能力を有する酵素としては、ヒドロゲナーゼ、ギ酸脱水素酵素、アルコール脱水素酵素、グルコース−6−リン酸脱水素酵素及びグルコース脱水素酵素等を用いることができる。好適には、グルコース脱水素酵素、ギ酸脱水素酵素が用いられる。
本発明のポリペプチドもしくは本発明のポリペプチドを発現させた形質転換体を用いて、カルボニル基を有する化合物を還元してアルコールもしくはアルデヒドを製造する場合、その基質となるカルボニル化合物についての制限はない。カルボニル基を有する化合物が非対称ケトンである場合、その産物が有用な光学活性アルコールとなるため、非常に有益な反応となる。
反応後の反応液からのアルコールまたはアルデヒド化合物の採取方法は特に限定されないが、反応液から直接、あるいは菌体等を分離後、酢酸エチル、トルエン、t−ブチルメチルエーテル、ヘキサン、塩化メチレン等の溶剤で抽出し、脱水後、蒸留、再結晶あるいはシリカゲルカラムクロマトグラフィー等により精製すれば、高純度のアルコール化合物が容易に得られる。
Molecular Cloning 2nd Edition(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)、Current Protocols in Molecular Biology(Greene Publishing Associates and Wiley-Interscience)。
以下の方法に従って、キャンディダ・マルトーサ(Candida maltosa)IFO 1977株より、アセトフェノンを不斉的に還元し、(S)−フェニルエタノールを生成する活性を有するポリペプチドを分離し、単一に精製した。特に断りのない限り、精製操作は4℃で行った。また、アセトフェノンに対する還元活性は、前述の[ケトン化合物もしくはアルデヒド化合物に対する還元能力の評価方法]に記載の方法で実施した。
2L容坂口フラスコに、肉エキス10g、ペプトン10g、酵母エキス5g、塩化ナトリウム3g、アデカノールLG−109(日本油脂製)0.1g(いずれも1L当たり)の組成からなる液体培地(pH7)400mlを調製し、120℃で20分間蒸気殺菌をおこなった。この培地に、予め同培地にて前培養しておいたキャンディダ・マルトーサ(Candida maltosa)IFO 1977株の培養液を4ml接種し、30℃で60時間振盪しながら培養を行った。
上記の培養液から遠心分離により菌体を集め、0.8%塩化ナトリウム水溶液を用いて菌体を洗浄した。この菌体を、5mMのβ−メルカプトエタノールを含む20mMリン酸緩衝液(pH8.0)に懸濁し、SONIFIER250型超音波破砕機(BRANSON社製)を用いて破砕した後、遠心分離にて菌体残渣を除き、無細胞抽出液を得た。
上記で得た無細胞抽出液を、60℃で30分間処理した後、遠心分離にて不溶画分を除き、熱処理した無細胞抽出液を得た。
上記で得た熱処理した無細胞抽出液を、5mMのβ−メルカプトエタノールを含む20mMリン酸緩衝液(pH6.5)で予め平衡化したDEAE−TOYOPEARL 650M(東ソー株式会社製)カラム(95ml)に供し、不必要な画分を吸着させた。
DEAE−TOYOPEARLカラムクロマトグラフィーに吸着しなかった活性画分に終濃度0.92Mとなるよう硫酸アンモニウムを溶解後、遠心分離により沈殿を除去した。これを0.92Mの硫酸アンモニウム及び5mMのβ−メルカプトエタノールを含む20mMリン酸緩衝液(pH6.5)で予め平衡化したPhenyl−TOYOPEARL 650M(東ソー株式会社製)カラム(60ml)に供し、活性画分を吸着させた。0.66Mの硫酸アンモニウムを含む同一緩衝液でカラムを洗浄した後、硫酸アンモニウムのリニアグラジエント(0.66Mから0.26Mまで)により活性画分を溶出させた。活性画分を集め、5mMのβ−メルカプトエタノールを含む20mMリン酸緩衝液(pH6.5)にて1夜透析を行った。
Phenyl−TOYOPEARLカラムクロマトグラフィーにより得られた活性画分に終濃度0.92Mとなるよう硫酸アンモニウムを溶解し、0.92Mの硫酸アンモニウム及び5mMのβ−メルカプトエタノールを含む20mMリン酸緩衝液(pH6.5)で予め平衡化したButyl−TOYOPEARL 650M(東ソー株式会社製)カラム(23ml)に供し、活性画分を吸着させた。同一緩衝液でカラムを洗浄した後、硫酸アンモニウムのリニアグラジエント(0.92Mから0Mまで)により活性画分を溶出させ、電気泳動的に単一なポリペプチドの精製標品を得た。
前記のようにして得られたRMAの理化学的性質について検討した。なお各活性の測定は、前記の[アルコール化合物に対する酸化能力の評価方法]に記載の方法により実施した。
(S)−2−ブタノールの酸化活性を100%とした場合の、各基質に対する酸化活性を相対活性として算出し、表1にまとめた。なお、活性測定条件下での各基質の濃度は、表1に記載の濃度でそれぞれ測定した。
標準反応条件のうち温度だけを変化させて(S)−2−ブタノールの酸化活性を測定した。最も活性が高かった60℃での酸化活性を100%とした場合の、各温度での酸化活性を相対活性として算出し、表2にまとめた。相対活性値が60%以上の値を示す温度域は、45℃〜70℃であった。
50mMトリス−塩酸緩衝液(pH 8.0)中、RMAを30℃〜70℃で10分間処理した。その後、(S)−2−ブタノールに対する酸化活性を測定した。30℃での酸化活性を100%とした場合の、各温度での酸化活性を相対活性として算出し、表3にまとめた。
50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7〜pH9)、50mMトリス塩酸緩衝液(pH6〜pH8)及び50mMグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH9〜pH10.5)を用いて、反応のpHを変化させて(S)−2−ブタノールに対する酸化活性を測定した。最も活性が高かったリン酸カリウム緩衝液pH9での酸化活性を100%とした場合の、各緩衝液、及びpHでの酸化活性を相対活性として算出し、表4にまとめた。相対活性値が60%以上の値を示すpH域は、pH7.5〜pH9.5であった。
50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0〜pH9.0)及び50mMブリットン−ロビンソン緩衝液(pH5.0〜pH12.0)中、RMAを30℃で30分間処理した。その後、(S)−2−ブタノールに対する酸化活性を測定した。処理前の活性値を100%とした場合の、各処理後での酸化活性を相対活性として算出し、表5にまとめた。相対活性値が80%以上の値を示すpH域は、pH5.5〜pH7.5であった。
RMAを表6記載の各種試薬の存在下、30℃で30分間処理した。なお、処理時の各試薬濃度は表6に記載した。その後、前記の[アルコール化合物に対する酸化能力の評価方法]に記載の方法により、(S)−2−ブタノールに対する酸化活性を測定した。未処理の活性値を100%とした場合の、各処理後での酸化活性を相対活性として算出し、表6にまとめた。RMAは、エチレンジアミン4酢酸、o−フェナントロリン、塩化水銀、硫酸銅、硫酸亜鉛で阻害されたが、2−メルカプトエタノール、ジチオスレイトールには阻害されない。
RMAの還元SDSポリアクリルアミド電気泳動における分子量は、分子量標準蛋白質との移動度の差から、約39,000と算出された。
0.3%(v/v)のジメチルスルホキシドを含む100mMリン酸緩衝液(pH6.5)に、基質となるカルボニル化合物を終濃度1.5mM、補酵素NADHを終濃度0.25mMとなるようそれぞれ溶解した。これに、実施例1で調製した精製RMAを適当量添加し、30℃で3分間反応を行った。当該反応液の波長340nmにおける吸光度の減少速度から、各カルボニル化合物に対する還元活性を算出し、これをアセトフェノンに対する活性を100%とした場合の相対値で表し、表7に示した。表7から明らかなように、RMAは広範なカルボニル化合物に対して還元活性を示した。
(PCRプライマーの作製)
実施例1で得られた精製RMAを8M尿素存在下で変性した後、アクロモバクター由来のリシルエンドペプチダーゼ(和光純薬工業株式会社製)で消化し、得られたペプチド断片のアミノ酸配列をABI492型プロテインシーケンサー(パーキンエルマー社製)により決定した。このアミノ酸配列から予想されるDNA配列に基づき、RMAをコードする遺伝子の一部をPCRにより増幅するためのプライマー1:5'−GGTGATTGGTTYGGTTTRGG−3'(配列表の配列番号3)、および、プライマー2:5'−SWAGCACCYAAACCAACTGG−3'(配列表の配列番号4)を合成した。
実施例1と同様に培養したキャンディダ・マルトーサ(Candida maltosa)IFO 1977株の菌体からGenとるくんTM(タカラバイオ社製)を用い、取り扱い説明書に従って染色体DNAを抽出した。次に、上記で調製したDNAプライマー1および2を用い、得られた染色体DNAを鋳型としてPCRを行ったところ、目的遺伝子の一部と考えられる約0.5kbpのDNA断片が増幅された。PCRは、DNAポリメラ−ゼとしてTaKaRa Ex Taq(タカラバイオ社製)を用いて行い、反応条件はその取り扱い説明書に従った。このDNA断片を、BigDye Terminator Cycle Sequencing Kit(アプライドバイオシステムズ社製)およびApplied Biosystems 3130xl ジェネティックアナライザ(アプライドバイオシステムズ社製)を用いてダイレクトシーケンスを行い、その塩基配列を解析した。その結果判明した塩基配列を、配列表の配列番号5に示した。
上記で調製したキャンディダ・マルトーサ(Candida maltosa)IFO 1977株の染色体DNAを、制限酵素BglI又はMunI又はXbaIで完全消化し、得られたDNA断片の混合物をT4リガーゼにより分子内環化させた。これを鋳型として用い、インバースPCR法(Nucl. Acids Res., 16, 8186 (1988))により、上述の配列番号5に示す塩基配列を含むRMA遺伝子の全塩基配列を決定した。その結果を配列表の配列番号2に示した。インバースPCRは、DNAポリメラ−ゼとしてPyrobest DNA Polymerase(タカラバイオ社製)を用いて行い、反応条件はその取り扱い説明書に従った。また、配列番号2に示した塩基配列がコードするアミノ酸配列を配列番号1に示した。
プライマー3:5'−GGGAATTCCATATGTCAATTCCATCTACTCAATAC−3'(配列表の配列番号6)、プライマー4:5'−CCGGAATTCTTATGGATGGAAAACAACTCTACC−3'(配列表の配列番号7)を用い、キャンディダ・マルトーサ(Candida maltosa)IFO 1977株の染色体DNAを鋳型としてPCRを行った。その結果、配列表の配列番号2に示す塩基配列からなる遺伝子の開始コドン部分にNdeI認識部位が付加され、かつ終始コドンの直後にEcoRI認識部位が付加された二本鎖DNAを得た。PCRは、DNAポリメラ−ゼとして、Pyrobest DNA Polymerase(タカラバイオ社製)を用いて行い、反応条件はその取り扱い説明書に従った。
プライマー5:5'−CCGGAATTCTAAGGAGGTTAACAATGTATAAAG−3'(配列表の配列番号8)と、プライマー6:5'−ACGCGTCGACTTATCCGCGTCCTGCTTGG−3'(配列表の配列番号9)を用い、プラスミドpGDK1(Eur. J. Biochem., 186, 389 (1989)に記載の方法で当業者が取得及び調製可能)を鋳型としてPCRを行い、バシラス・メガテリウム(Bacillus megaterium)IAM1030株由来のグルコース脱水素酵素(以後、GDHと呼ぶ)遺伝子の開始コドンから5塩基上流に大腸菌のリボゾーム結合配列が、さらにその直前にEcoRI認識部位が付加され、かつ、終止コドンの直後にSalI認識部位が付加された、二本鎖DNAを取得した。
プライマー7:5'−ACCACCGAATTCTAAGGAGGTTAACAATGGCGAAA−3'(配列表の配列番号10)、プライマー8:5'−CCACCAGAGCTCTCAGCCGGCCTTCTTGAAC−3'(配列表の配列番号11)、プライマー9:5'−TCGGCGTCGACGAGTTCCTTCTCGAACAC−3'(配列表の配列番号12)プライマー10:5'−GTGTTCGAGAAGGAACTCGTCGACGCCGA−3'(配列表の配列番号13)を用い、プラスミドpFT002(国際公開公報2003/031626号パンフレットに記載の方法で当業者が取得及び調製可能)を鋳型としてPCRを行った。プライマー7と9の組合せ、及び、プライマー8と10の組合せで、それぞれ約0.3kbp、0.9kbpの二本鎖DNAが得られた。次に、これらの二本鎖DNAを混合したものを鋳型として、プライマー7と8の組合せでPCRを行った。その結果、国際公開公報2003/031626号パンフレットの配列表配列番号3に示す塩基配列の354番目のGをAに改変した、チオバシラス・エスピー(Thiobacillus sp.)のギ酸脱水素酵素(以後、FDHと呼ぶ)遺伝子の開始コドンから5塩基上流に大腸菌のリボゾーム結合配列が、さらにその直前にEcoRI認識部位が付加され、かつ、終止コドンの直後にSacI認識部位が付加された二本鎖DNAを取得した。得られたDNA断片をEcoRIおよびSacIで消化し、実施例5記載のプラスミドpNCMのRMA遺伝子の下流のEcoRI認識部位とSacI認識部位の間に挿入し、組換えベクターpNCMFTを構築した。pNCMFTの作製法および構造を図1に示す。
実施例5で構築した組換えベクターpNCMを用いて、E.coli HB101コンピテントセル(タカラバイオ社製)を形質転換し、E.coli HB101(pNCM)を得た。
実施例8で得た3種の形質転換体、および、ベクタープラスミドpUCN18を含む形質転換体であるE.coli HB101(pUCN18)(比較例)のそれぞれを、200μg/mlのアンピシリンを含む2×YT培地(トリプトン1.6%、イーストエキス1.0%、NaCl0.5%、pH7.0)5mlに接種し、37℃で24時間振盪培養した。遠心分離により菌体を集め、5mlの100mMリン酸緩衝液(pH6.5)に懸濁した。これを、UH−50型超音波ホモゲナイザー(SMT社製)を用いて破砕した後、遠心分離により菌体残渣を除去し、無細胞抽出液を得た。この無細胞抽出液のRMAによるアセトフェノン還元活性、GDH活性およびFDH活性を測定した。
E.coli HB101(pNCM)を実施例9と同様に培養後、超音波ホモゲナイザーによる菌体破砕を実施し、無細胞抽出液100mlを得た。この無細胞抽出液100mlに、グルコース脱水素酵素(商品名:GLUCDH"Amano"II、天野エンザイム社製)700U、グルコース17g、NAD+3mg、アセトフェノン10gを添加し、5Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下することによりpH6.5に調整しながら、30℃で20時間攪拌した。反応終了後、反応液をトルエンで抽出し、得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを除去後、減圧下で有機溶媒を留去することにより、(S)−フェニルエタノール9.8gを得た。先に記載の[ガスクロマトグラフィーによる分析条件(1)]で測定したところ、その光学純度は99.9%e.e.以上であった。
E.coli HB101(pNCMG)を実施例9と同様に培養することで培養液を取得した。培養液100mlにグルコース17g、NAD+3mg、アセトフェノン10gを添加し、5Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下することによりpH6.5に調整しながら、30℃で20時間攪拌した。反応終了後、反応液をトルエンで抽出し、得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを除去後、減圧下で有機溶媒を留去することにより、(S)−フェニルエタノール9.9gを得た。先に記載の[ガスクロマトグラフィーによる分析条件(1)]で測定したところ、その光学純度は99.9%e.e.以上であった。
E.coli HB101(pNCMFT)を実施例9と同様に培養することで培養液を取得した。培養液100mlにギ酸ナトリウム2.8g、NAD+3mg、アセトフェノン10gを添加し、5Nのギ酸水溶液を滴下することによりpH6.0に調整しながら、30℃で20時間攪拌した。反応終了後、反応液をトルエンで抽出し、得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを除去後、減圧下で有機溶媒を留去することにより、(S)−フェニルエタノール9.8gを得た。先に記載の[ガスクロマトグラフィーによる分析条件(1)]で測定したところ、その光学純度は99.9%e.e.以上であった。
E.coli HB101(pNCM)を実施例9と同様に培養後、超音波ホモゲナイザーによる菌体破砕を実施し、無細胞抽出液100mlを得た。この無細胞抽出液100mlに、グルコース脱水素酵素(商品名:GLUCDH"Amano"II、天野エンザイム社製)2000U、グルコース18.4g、NAD+10mgを添加し、30℃で攪拌した。これにメチルビニルケトン1.05gを加え、5Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下することによりpH5.5に調整しながら、30℃で攪拌を続けた。更に、メチルビニルケトン1.05gを15分おきに5回添加した(メチルビニルケトンの総添加量は6.3g)。19時間の反応ののち、反応液を200mlの塩化メチレンで5回抽出し、得られた有機層をあわせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過によって硫酸ナトリウムを除去し、常圧下有機溶媒を留去したのち、常圧で蒸留し、4.5gの(S)−3−ブテン−2−オールを得た(沸点96℃)。このものの光学純度は、99.6%e.e.であった。なお、(S)−3−ブテン−2−オールの生成量は、下記のガスクロマトグラフィー条件で分析することにより決定した。
カラム:GLサイエンス株式会社製 InertCap5(30m×0.25mm)
検出:FID
キャリアーガス:ヘリウム
カラム温度:35℃
また、生成した3−ブテン−2−オールの光学純度は、ジニトロベンゾイル化後、HPLC分析することにより測定した。3−ブテン−2−オールのジニトロベンゾイル化は、反応液から3−ブテン−2−オールを塩化メチレンで抽出後、トリエチルアミン及び3,5−ジニトロ塩化ベンゾイルを3−ブテン−2−オールの1.2等量添加後、室温で2時間攪拌することにより行なった。1規定塩酸で洗浄後、分取用薄層クロマトグラフィーにより精製取得し、これをエタノールに溶解後、下記の高速液体クロマトグラフィー条件で分析した。
カラム:ダイセル化学工業株式会社製 Chiralpak AD−H
(250mm×4.6mm)
溶離液:n−ヘキサン/エタノール=7/3
流速:1.0ml/min
検出:245nm
溶出時間:S体 17.2分、R体 11.0分
E.coli HB101(pNCMG)を実施例9と同様に培養することで培養液を取得した。培養液100mlに、グルコース7.1g、NAD+10mg、5gのエマルゲン810(花王製)を添加し、30℃で10分間攪拌した。これにメチルビニルケトン2.63gを加え、5Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下することによりpH5.5に調整しながら、30℃で攪拌を続けた。3時間の反応ののち、反応液を200mlの塩化メチレンで5回抽出し、得られた有機層をあわせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過によって硫酸ナトリウムを除去し、常圧下有機溶媒を留去したのち、常圧で蒸留し、2.54gの(S)−3−ブテン−2−オールを得た。このものの光学純度は、99.2%e.e.であった。なお、(S)−3−ブテン−2−オールの生成量及び光学純度は、実施例13に記載の方法により行なった。
E.coli HB101(pNCMFT)を実施例9と同様に培養することで培養液を取得した。培養液100mlにギ酸ナトリウム1.94g、NAD+10mgを添加し、30℃で攪拌した。これにメチルビニルケトン0.525gを加え、5Nのギ酸水溶液を滴下することによりpH5.5に調整しながら、30℃で攪拌を続けた。更に、メチルビニルケトン0.525gを30分おきに7回添加した(メチルビニルケトンの総添加量は4.2g)。19時間の反応ののち、反応液を200mlの塩化メチレンで5回抽出し、得られた有機層をあわせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過によって硫酸ナトリウムを除去し、常圧下有機溶媒を留去したのち、常圧で蒸留し、3.94gの(S)−3−ブテン−2−オールを得た。このものの光学純度は、96.3%e.e.であった。なお、(S)−3−ブテン−2−オールの生成量及び光学純度は、実施例13に記載の方法により行なった。
E.coli HB101(pNCMG)を実施例9と同様に培養することで培養液を取得した。培養液50mlに、グルコース21.2g、NAD+2.5mg及び2−オキソ−5−ペンタノール10.0gを加えて、5Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下することによりpH6.5に調整しながら30℃で攪拌を続けた。45時間の反応ののち、反応液から遠心分離により菌体を除去した。その溶液を酢酸エチル200mlで3回抽出し、得られた有機層をあわせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過によって硫酸ナトリウムを除去し、常圧下有機溶媒を留去したのち、溶媒を留去することにより、8.68gの(S)−2−ヒドロキシ−5−ペンタノールを得た。このものの光学純度は、99.2%e.e.であった。なお、(S)−2−ヒドロキシ−5−ペンタノールの生成量は下記のガスクロマトグラフィー条件(a)で、また、光学純度は下記のガスクロマトグラフィー条件(b)で分析することにより決定した。
カラム:GLサイエンス株式会社製 InertCap5(30m×0.25mm)
検出:FID
キャリアーガス:ヘリウム
カラム温度:80℃
カラム:GLサイエンス株式会社製 InertCap CHIRAMI
X(30m×0.25mm)
検出:FID
キャリアーガス:ヘリウム
カラム温度:90℃
溶出時間:S体 17.2分、R体 18.3分
E.coli HB101(pNCMFT)を実施例9と同様に培養することで培養液を取得した。培養液100mlにギ酸ナトリウム2.8g、NAD+3mg、アセト酢酸メチル10gを添加し、5Nのギ酸水溶液を滴下することによりpH6.0に調整しながら、30℃で20時間攪拌した。反応終了後、反応液をトルエンで抽出し、得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを除去後、減圧下で有機溶媒を留去することにより、(S)−3−ヒドロキシ酪酸メチル9.7gを得た。このものの光学純度は、99%e.e.以上であった。なお、(S)−3−ヒドロキシ酪酸メチルの生成量は、下記のガスクロマトグラフィー条件で分析し算出した。
カラム:TC−WAX(15m×0.25mm)(GLサイエンス社製)
検出:FID
カラム温度:85℃
注入温度:200℃
検出温度:200℃
キャリアーガス:ヘリウム(70kPa)
スプリット比:100/1
溶出時間:アセト酢酸メチル 2.9分、3−ヒドロキシ酪酸メチル 3.8分
カラム:Chiralpak AD−H(ダイセル化学社製)
検出波長:230nm
カラム温度:20℃
溶離液:n−ヘキサン/エタノール=3/7
流速:0.7ml/min
溶出時間:S体 21.7分、R体 29.8分
Claims (16)
- 以下の(A)、(B)、(C)又は(D)のDNA:
(A)配列表の配列番号2に示す塩基配列を含むDNA;
(B)配列表の配列番号2に示す塩基配列と相補的な塩基配列を含むDNAと0.7〜1.0MのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.2倍濃度のSSC溶液を用い、65℃の条件下でフィルターを洗浄することにより取得でき、かつアセトフェノンに作用して、S体の1−フェニルエタノールへ還元する活性を有するポリペプチドをコードするDNA;
(C)配列表の配列番号2に示す塩基配列と90%以上の配列同一性を示し、かつアセトフェノンに作用して、S体の1−フェニルエタノールへ還元する活性を有するポリペプチドをコードするDNA;
(D)配列表の配列番号2に示す塩基配列において、1〜100個の塩基が欠失、挿入、置換及び/または付加した塩基配列からなり、かつアセトフェノンに作用して、S体の1−フェニルエタノールへ還元する活性を有するポリペプチドをコードするDNA。 - 次の(1)〜(6)に示す理化学的性質を有し、キャンディダ・マルトーサ(Candida maltosa)である微生物に由来するポリペプチド:
(1)作用:
NAD+を補酵素としてアルコールを酸化して、ケトン又はアルデヒドを生成し、また、NADHを補酵素としてケトン又はアルデヒドを還元して、アルコールを生成する;
(2)基質特異性:
芳香族置換を含む脂肪族アルコールを酸化反応の基質とし、2−ブタノールのR体に比較してS体を優先的に酸化し、ケトン及びアルデヒドを還元反応の基質とし、アセトフェノンに作用し、S体の1−フェニルエタノールへ還元する;
(3)分子量:
還元SDSポリアクリルアミド電気泳動において約39,000の分子量を示す;
(4)pH安定性:
pHの安定域は、pH5.5〜7.5の範囲である;
(5)至適温度:
作用至適温度は、45℃〜70℃である;
(6)阻害剤:
エチレンジアミン4酢酸、o−フェナントロリン、塩化水銀、硫酸銅及び硫酸亜鉛で酵素活性が阻害されるが、2−メルカプトエタノール、ジチオスレイトールには阻害されない。 - 以下の(a)〜(d)のいずれかに記載のポリペプチド:
(a)配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列において、1〜30個のアミノ酸が欠失、挿入、置換及び/または付加したアミノ酸配列からなり、かつアセトフェノンに作用して、S体の1−フェニルエタノールへ還元する活性を有するポリペプチド、
(c)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を持つアミノ酸配列からなり、かつアセトフェノンに作用して、S体の1−フェニルエタノールへ還元する活性を有するポリペプチド、
(d)請求項1に記載のDNAがコードするポリペプチド。 - 請求項2または3に記載のポリペプチドをコードするDNA。
- 請求項1もしくは請求項4のいずれかに記載のDNAを含むベクター。
- 還元型補酵素再生能を有するポリペプチドをコードするDNAをさらに含む、請求項5に記載のベクター。
- 還元型補酵素再生能を有するポリペプチドがグルコース脱水素酵素もしくはギ酸脱水素酵素である、請求項6に記載のベクター。
- 請求項5〜7のいずれかに記載のベクターにより宿主細胞を形質転換して得られる形質転換体。
- 前記宿主細胞が大腸菌である請求項8記載の形質転換体。
- 請求項2または3に記載のポリペプチド、又は、請求項8もしくは請求項9に記載の形質転換体および/またはその処理物を、カルボニル基を有する化合物に作用させることを特徴とする、アルコールの製造方法。
- 前記カルボニル基を有する化合物が非対称ケトンであり、その産物が光学活性アルコールである、請求項10に記載のアルコールの製造方法。
- R3が水素原子である、請求項12に記載のアルコールの製造方法。
- R4がハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、またはニトロ基で置換されていても良い炭素数1〜7のアルキル基である、請求項14に記載のアルコールの製造方法。
- R4がビニル基である、請求項14に記載のアルコールの製造方法。
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