JP5365985B2 - 水系プライマー組成物、およびそれを用いたプラスチック製品 - Google Patents
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Description
第一に、
(A)水分散系ポリウレタン樹脂、および
(B)ジエン系合成ゴム系エマルジョン、アクリル系エマルジョンもしくはこれらの組み合わせ
を含有するプライマー組成物を提供する。
プラスチックからなる基体の少なくとも一部の表面に上記のプライマー組成物を塗布し乾燥させてプライマー層を形成する工程と、
該プライマー層の上にハードコート層を形成する工程と
を有するプラスチックからなる基体の改質方法が挙げられる。
前記プライマー層が、上記のプライマー組成物から形成されたものであるプラスチック製品を提供する。
前記プラスチックレンズ基体が、屈折率1.70以上のポリチオエポキシ樹脂或いはウレタン樹脂からなり、
前記プライマー層が上記のプライマー組成物を塗布し乾燥させて形成したものである、
ことを特徴とするプラスチックレンズ製品をも提供する。
本発明のプライマー組成物は、(A)水分散系ポリウレタン樹脂、および(B)ジエン系合成ゴムエマルジョン、アクリル系エマルジョンもしくはこれらの組み合わせを必須の成分として含有する。
水分散系ウレタン樹脂は、即ち、ウレタン樹脂の水分散液である。ウレタン樹脂は水分散性であれば、イオン性は特に限定されず、ノニオン性でもアニオン性でもカチオン性でも両性でもよい。
本発明の組成物に(B)成分として使用されるジエン系合成ゴム系エマルジョン、アクリル系エマルジョンまたはこれらの組み合わせは、水を分散媒とする水系エマルジョンである。該(B)成分は(A)成分の水系ウレタン分散液と良好な相溶性を有し、プライマー層に良好な粘弾性を付与する作用を有する。その結果、該プライマー組成物の使用により得られる製品の耐衝撃性の向上に寄与すると考えられる。
本発明の組成物は(C)成分として金属酸化物微粒子の水ゾルを含有することが望ましい。金属酸化物微粒子は形成されるプライマー層の屈折率を高める作用を有する。したがって、特に基体が透明プラスチック製でレンズ基体として用いられるときには、レンズ基体とプライマー層との屈折率差が小さいことが望まれる。該(C)成分の配合量を調節することによりプライマー層の屈折率を調整することができる。
本発明のプライマー組成物には上述した成分のほかに、必要に応じて、例えば、染色成分、紫外線吸収剤、レベリング剤等を本発明の目的、効果を損なわない範囲で添加することができる。
基体のハードコート層を形成するべき所定の表面にプライマー組成物を塗布し乾燥する。塗布方法は制限されず、例えば、浸漬法、スプレー法、スピン法、フローコート法、カーテンコート法等を使用することができる。
基体上にプライマー層を形成後、その上にハードコート層が形成される。ハードコート層は耐擦傷性、光透過性、耐候性、染色性の向上を図るために形成される。
ZrO2,Sb2O5,SiO2等の金属酸化物複合ゾル)にシランカップリング剤を添加し加水分解させ、硬化触媒、紫外線吸収剤、染色成分、レベリング剤等を混合した通常のハードコート液を用いることができる。
反射防止層は必要に応じてハードコート層上に形成される。公知の方法で形成することができ、例えば、SiO2・TiO2・ZrO2・Al2O3等の無機金属酸化物を真空蒸着法により5〜7層に積層する方法、アモルファス型フッ素樹脂等の有機反射防止液を浸漬法・スピン法・カーテンコート法等の塗布方法で1層に塗布する方法を用いることができる。好ましい反射防止層は、イオンアシスト法により真空蒸着した、SiO2-TiO2-ZrO2系またはSiO2-ZrO2-Al2O3系の積層構造である。
本発明の方法によりプライマー層およびハードコート層を形成して改質する対象としては、例えば、プラスチックからなる基体が挙げられる。プラスチック基体としては、例えば、プラスチック樹脂レンズ、プラスチック樹脂パネルが挙げられる。
(1)ノニオン性水分散系ウレタン樹脂((株)ADEKA製、商品名HUX-840)50重量部に、溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン9重量部およびイオン交換水35重量部を加え、さらにカルボキシ変性型ジエン系エマルジョン((株)JSR製、商品名S2990G)5重量部、およびレベリング剤としてフッ素樹脂系界面活性剤((株))住友3M製、商品名;FC-4430)1重量部を混合して固形分濃度18重量%のプライマー組成物を調製した。
ジエン系合成ゴム系エマルジョンとしてS2990Gの代わりにカルボキシ変性型ジエン系エマルジョン(JSR(株)製、商品名;S2990L)を使用した以外は、実施例1と同様にしてプライマー組成物(固形分濃度18重量%)を調製し、プラスチックレンズ基体に厚さ2.0μmのプライマー層、厚さ3.0μmのハードコート層、反射防止コート層を形成した。
ジエン系合成ゴム系エマルジョンとしてS2990Gの代わりにカルボキシ変性型ジエン系エマルジョン(JSR(株)製、商品名;S2990H)を使用した以外は、実施例1と同様にしてプライマー組成物(固形分濃度18重量%)を調製し、プラスチックレンズ基体に厚さ2.0μmのプライマー層、厚さ3.0μmのハードコート層、反射防止コート層を形成した。
ジエン系合成ゴム系エマルジョンであるS2990Gの代わりに高カルボキシ変性型系アクリルエマルジョン(JSR(株)製、商品名;SX8900A)を使用した以外は、実施例1と同様にしてプライマー組成物(固形分濃度18重量%)を調製し、プラスチックレンズ基体に厚さ2.0μmのプライマー層、厚さ3.0μmのハードコート層、反射防止コート層を形成した。
ジエン系合成ゴム系エマルジョンであるS2990Gの代わりにカルボキシ変性コロイダル型アクリルエマルジョン(JSR(株)製、商品名;SX8900D)を使用した以外は、実施例1と同様にしてプライマー組成物(固形分濃度18重量%)を調製し、プラスチックレンズ基体に厚さ2.0μmのプライマー層、厚さ3.0μmのハードコート層、反射防止コート層を形成した。
ノニオン性の水分散系ウレタン樹脂として、HUX-840の代わりに架橋剤のホルマリン未配合で高硬度化した特長を持つ(株)ADEKA製品を使用した以外は実施例1と同様にしてプライマー組成物(固形分濃度16重量%)を調製し、プラスチックレンズ基体に厚さ1.8μmのプライマー層、厚さ3.0μmのハードコート層、反射防止コート層を形成した。
プライマー組成物の調製において、溶媒として用いたイオン交換水の量35重量部を、60重量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてプライマー組成物(固形分濃度10重量%)を調製し、プラスチックレンズ基体に厚さ1.5μmのプライマー層、厚さ3.0μmのハードコート層、反射防止コート層を形成した。
HUX-840の代わりに、アニオン性の水分散系ウレタン樹脂((株)ADEKA製、商品名;HUX-240)を使用した以外は実施例1と同様にしてプライマー組成物(固形分濃度15重量%)を調製し、プラスチックレンズ基体に厚さ2.0μmのプライマー層、厚さ3.0μmのハードコート層、反射防止コート層を形成した。
HUX-840の代わりに、カチオン性の水分散系ウレタン樹脂((株)ADEKA製、商品名;HUX-680)を使用した以外は実施例1と同様にしてプライマー組成物(固形分濃度20重量%)を調製し、プラスチックレンズ基体に厚さ2.5μmのプライマー層、厚さ3.0μmのハードコート層、反射防止コート層を形成した。
実施例1の(2)で用いたエピスルフィド樹脂レンズ基体の代わりに材料がチオウレタン樹脂からなるもの(三井化学(株)製、商品名;MR-8)を使用した以外は、実施例1と同様にして、プラスチックレンズ基体に厚さ2.0μmのプライマー層、厚さ3.0μmのハードコート層、反射防止コート層を形成した。
実施例1の(2)で用いたエピスルフィド樹脂レンズ基体の代わりに材料がチオウレタン樹脂)からなるもの(三井化学(株)製、商品名;MR-7を使用した以外は、実施例1と同様にして、プラスチックレンズ基体に厚さ2.0μmのプライマー層、厚さ3.0μmのハードコート層、反射防止コート層を形成した。
実施例1で調製したプライマー組成物を、ポリアミド樹脂製の透明プラスチック平面板(厚さ3mm,A4版サイズ)の片面に実施例1と同様にして厚さ1.5μmのプライマー層、厚さ2.5μmのハードコート層、反射防止コート層を形成した。
実施例で使用したプライマー液を扁平な皿状ステンレス製容器上に流延し室温で12時間程度放置し自然乾燥により固化させて2mm厚のシート状に成形した。該プライマー・シートについて、固体粘弾性装置(Metravib製、商品名;DMA-50N)を使用して、粘弾性特性値の測定を行った結果を表1に示す。
各実施例で得られた製品のプラスチックレンズ(レンズの中心厚:0.75mm)について、次の特性について下記の方法で評価を行った結果を表2に示す。
三波長型昼光白色蛍光灯下で透過光および反射光を被験レンズに当て、前記コート付レンズに生じた干渉縞の程度と白化状態を目視で観察し、次の基準で評価した。B−以上のランクが合格と判定される。
B+: 干渉縞極微、しかし白化なし
B−: 干渉縞極微、かつ白化極微
C: 干渉縞極微、白化顕著
JIS K 5600規格に準じてスチールウールのメッシュ#0000を使用し、1kg荷重下で10往復/15秒間擦り、それにより被膜上に生じた傷の本数を計数し次に基準で評価した。表2において括弧内に生じた傷の本数をしました。なお、B以上のランクが合格と判定される。
B: 傷の本数1〜3本
C: 傷の本数4本以上
JIS K 5600−5−6規格に準じて碁盤目試験を行った。粘着テープとしてセロファンテープ(ニチバン製、商品名;「セロテープCT-24」(登録商標))にて10回剥離を繰り返した後、被膜の密着性を観察・判定した。100枡(分母)中、剥離しない枡の数を(分子)に示す。
使用したプライマー組成物において、ジエン系合成ゴム系エマルジョンまたはアクリル系エマルジョンとその他の成分との「相溶性」を目視で観察し、次の基準で評価した。
米国のFDAでは、眼鏡用のプラスチックレンズなどの安全のために衝撃テスト(Impact test)を規定し、これに合格することを求めている。該テストによると、5/8インチ(16mm)で重さ約0.56オンス(16.4g)の鋼球を高さ50インチ(127cm)の高さから水平に置いたレンズの上側表面の幾何学的中心から5/8インチ(約16mm)直径の円内に当るように落下させる。そして、破損(fracture)が生じないたときに合格としている。
・FDAの上記衝撃テストに規定の条件で鋼球を落下させたときに供試レンズに与える衝撃エネルギー値は0.204ジュール(本明細書では「FDA規格値」という)である。
・鋼球の重さを16.4gから32.8g(2倍)、65.6g(4倍)、131.2g(8倍)、そして196.8g(12倍)と増す以外は、FDAの衝撃テストと同じ条件で鋼球を供試レンズに落下させ、与える衝撃エネルギー値を2倍、4倍、8倍、12倍に増していく。そして、供試レンズに破損(割れ、欠け、微細なクラック)発生の有無を目視および顕微鏡で観察し、破損が発生する最小衝撃エネルギー値を測定する。該最小衝撃エネルギー値が上記FDA規格値の何倍であるかで耐衝撃性を評価する。
染色剤(BPI社製、商品名;Molecular Catalytic Dye)の Gray色#32000またはBrown色#32100をイオン交換水10重量部に1重量部を充分に溶解させて染色液を調製した。供試品であるレンズを該染色液に92℃で20分間浸漬後、村上色彩技術研究所製の分光測色システム Color Space for PC装置 DOT-3にて波長550nmにおいて吸光度を測定した。染色を全くしていない以外は供試品と同じレンズについて同様の測定を行い、これを基準とし、染色による吸光度を測定し、レンズの染色濃度%を評価した。(即ち、吸光度0〜100%は濃度0〜100%に対応する。)
Claims (9)
- (A)水分散系ポリウレタン樹脂、および
(B)高カルボキシ変性型アクリル系エマルジョン又はカルボキシ変性コロイダル型アクリル系エマルジョン
を含有するとともに、
(A)成分の固形分濃度が10〜30重量%、(B)成分の固形分濃度が30〜52重量%であって、(A)成分の100重量部当りの(B)成分の配合量が4〜20重量部である水系プライマー組成物。 - さらに、(C)粒径が10〜100nmであってSnO2-ZrO2-Sb2O5-SiO2複合金属粒子又はTiO2-SnO2-ZrO2-W2O3(又はWO3)-Sb2O5-SiO2複合金属粒子からなる金属酸化物微粒子の水ゾルを含有するとともに、
(C)成分の固形分濃度が15〜30重量%であって、(A)成分の100重量部当りの(C)成分の配合量が20〜100重量部である請求項1に係る水系プライマー組成物。 - 前記(A)成分の水分散系ポリウレタン樹脂がノニオン性である請求項1または2に係る水系プライマー組成物。
- プラスチックからなる基体の上にプライマー層を形成し、さらに該プライマー層の上にハードコート層を形成するために用いられる請求項1〜3のいずれか1項に係る水系プライマー組成物。
- プラスチックからなる基体が透明性を有するプラスチックレンズ基体或いはプラスチック平面板である請求項4に係る水系プライマー組成物。
- 前記プラスチックからなる基体が、アリルジエチレングリコールビスカーボネート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、チオウレタン樹脂、エポキシ樹脂、チオエポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂またはポリアミド樹脂のいずれかからなる請求項5に係る水系プライマー組成物。
- プラスチックからなる基体の少なくとも一部の表面に請求項1〜3のいずれか1項に記載の水系プライマー組成物を塗布し乾燥させてプライマー層を形成し、該プライマー層の上にハードコート層を形成し、該ハードコート層の上に反射防止層を形成したプラスチック製品。
- 前記プラスチックからなる基体が屈折1.70以上のポリチオエポキシ樹脂或いはウレタン樹脂からなる請求項7に係るプラスチック製品。
- 請求項8に記載のプラスチック製品からなるプラスチックレンズ製品であって、中心における厚さが0.5〜1.3mmであって、耐衝撃エネルギー値がFDA規格値である0.204ジュールの4.0倍以上の衝撃強度を有するプラスチックレンズ製品。
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