JP5354335B2 - レーザ加工良否判定方法及び装置 - Google Patents
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Description
多くのレーザ加工の品質を決定づける最大の要因は、レーザ光によるキーホールの生成及びキーホールによる貫通の程度である。
特許文献2には、レーザ溶接状態の監視を目的として、レーザ光の光軸と同軸となるように(段落0017,図1)、溶接箇所から発する溶接光を受光し(段落0026から段落0027)、そのうちのプラズマ光及び反射光(段落0034)の位置(面積)及び強度を測定し、溶接ビードと相関する予め実験した値(段落0041)と比較する手法(段落0033から段落0042等)が開示されている。
特許文献3には、レーザ切断機による加工が正常に進行しているか否かを判断することを目的として、加工部の発光部位の面積(段落0038から段落0040,図4及び図5)を測定し、この面積の広狭に応じて異常の発生を判断する手法が開示されている。
特許文献4には、高精度かつリアルタイムに溶接品質を判定することを目的として、第1の受光出力手段が、レーザ反射光を溶接進行方向の前方斜め上方から受光し、第2の受光出力手段が、レーザ光の照射方向と同軸方向にて受光することで(段落0009)、その強度及び強度変化に基づいて溶接品質を判定する(段落0042から段落0054,図5から図8)手法が開示されている。また、レーザ光と同軸方向での画像から、溶融池が大きく後退する欠陥である引け溶接の有無を判定しようとしている(段落0013,段落0048から段落0049及び図7b)。
特許文献5には、溶接状態の確実な検出を目的として、溶融池画像(段落0014)のキーホール内の黒点の有無を測定し(段落0009から段落0010)、溶融部ME面積と、黒点面積と、溶接進行方向の溶融部ME長さと、そして、溶融部ME重心位置とから、溶接の状態を判定する(段落0032から0045,表1)手法が開示されている。また、貫通の有無とキーホール内の黒点の有無とを対応付けている(段落0043)。
上記特許文献2では、溶接欠陥が発生した場合に、プラズマ光あるいは照射レーザ光の反射光の強度が減少するという性質を利用しているため(段落0018)、溶接ビードの深さや幅の評価が試みられているが(段落0049)、貫通の有無を安定して判定することはできない。さらに、プラズマ光の発生は、溶接品質とは一対一に対応しないため、溶接品質を安定して測定することができない。
上記特許文献3では、レーザによる切断加工が正常な際には溶融池及び燃焼部分の面積が小さく、異常が発生した際に面積が広がるという性質を利用しているため(段落0038から段落0041)、レーザ加工中に異常発生を判定することができるが(段落0049から段落0051)、キーホールの状態に応じた貫通の程度を判定することはできない。
上記特許文献4では、特許文献1と同様に、非貫通溶接が発生した場合に、溶接時のレーザの反射光量が多くなるという性質を利用しているため(段落0015)、突発的な異常のない非貫通溶接を発見することができない。
上記特許文献5では、溶融池画像のキーホール内に黒点が存在するか否かを検出することで、貫通であるか非貫通であるかを判断可能という性質を利用しているが(段落0043)、斜め方向からの撮影であるためにキーホールの斜面(ホール壁)の反射及び発光の影響を受けてしまい、画像判定測定精度が悪化し、不安定となる。従って、キーホールの状態に応じた貫通の程度を安定して判定することができない。
また良否判断用の基準面積(段落0044)を必須としており、このため、工程毎の微調整が必要となってしまう、という欠点がある。
[課題2]さらに、上記従来例では、レーザ加工の良否を判定するために正常となる基準データを予め測定しておかなければならず、多数の現場に適用する際に個々の調整が必要となってしまう、という不都合があった。
すなわち、ノイズに強く、撮影した画像のみで判定可能な画像処理手法は、上記各文献に何ら開示されていない。
これにより、上記課題1及び2を解決した。
これにより、上記課題1及び2を解決した。
従って、キーホールと呼ばれる貫通現象の状態や程度を安定して判定することができ、貫通状態の程度を判定できることから、レーザ加工の目的に応じた当該加工の良否をモニタリングすることができる。
従って、課題解決手段1と同様に、キーホールと呼ばれる貫通現象の状態や程度を安定して判定することができ、貫通状態の程度を判定できることから、レーザ加工の目的に応じた当該加工の良否をモニタリングすることができる。
また、図1に示す例では、レーザビームLBを照射するレーザトーチ84と、レーザビームLBを光軸OXにて集光する集光ミラー28と、照射領域ARからの光を集光する集光レンズ30と、カメラ24に向けて反射させるミラー23と、カメラ24に導く光を拡大するエクステンダレンズ32とを備えている。さらに、カメラ24で撮像された照射領域画像10を伝達する通信ケーブル36と、この照射領域画像10を対象とした情報処理をする良否判定コントローラー34とを備えている。
そして、分光部20が、レーザビームLBの光軸OXと同軸の光をカメラ24に導き、カメラ24がレーザビームLBの光軸OXと同軸で照射領域ARを撮影するため、照射領域ARを正投影図の六面図でいう平面図で撮影することができ、カメラ24を斜め方向に設置する際に生ずるような誤差がない。また、完全に平面方向から撮影すると、キーホールKHの壁面(キーホール壁KHw)の発光の影響を均質とする照射領域画像10を生成することができる。
本実施形態の実施例1を開示する。実施例1は、レーザ加工の良否を判定するために、レーザビームの照射による貫通の程度を調べようとするものである。レーザ加工にとって、切断加工であれば貫通が必須であり、溶接の際にも貫通の程度が溶接の良否と相関する。また、木材等の表面装飾やガラスの内部加工等の場合には貫通は不良となる。実施例1のレーザ加工良否判定方法は、レーザ加工の用途や目的と、貫通の程度との関係から、画像処理により当該加工の良否の判定をするものである。
この発光輪抽出工程S2は、図1に示す例では、画像解析部40が実行する。
発光輪12の輝度値が発光輪内側領域16の輝度値とほぼ等しい場合には、タイプ3と判定することができる。発光輪12の輝度値よりも発光輪内側領域16の輝度値が低い(暗い)場合には、タイプ4又は5であり、その程度に応じてタイプ4及び5を区分することができる。
この判定処理工程S3は、図1に示す例では、判定処理部56が実行する。
上述したように実施例1では、撮像工程S1が、レーザビームLBの光軸OXと同軸で照射領域ARを撮像し、判定工程が、円状で高輝度の発光輪12の輝度分布と、発光輪12の内側(発光輪内側領域16や発光輪重心領域18)の輝度分布との比較により、照射領域ARでの貫通の程度を判定する。これにより、キーホールKHと呼ばれる貫通現象の状態や程度を安定して判定することができ、貫通状態の程度を判定できることから、レーザ加工の目的に応じた当該加工の良否をモニタリングすることができる。
実施例1では特に、レーザビームLBの光軸OXと同軸で撮像した照射領域画像10を使用するため、カメラ24を斜めに配置する場合と比較して、第1に、発光輪12をより正円に近い状態で撮像でき、キーホール壁KHwの発光による影響を低減でき、従ってノイズに強く、このため、安定した照射領域画像10の生成と判定とが可能である。
そして、発光輪12の輝度分布と、発光輪内側領域16の輝度分布との比較により貫通の程度を判定可能であるため、判定の基準となる基準データを製造現場毎に生成する必要がない。すなわち、良好な状態を示す基準データを準備しなくとも、発光輪12の輝度分布と発光輪内側領域16の輝度分布との比較によって貫通の程度を判定することができるため、多様な現場への適用する作業負荷が小さく、レーザ加工の現場の相違による撮像環境の相違に強い判定手法を提供することができる。
そして、レーザ加工の品質を決定づける貫通の程度を安定して判定可能であるため、レーザ加工の用途や目的に応じて、その加工の良否を比較的判りやすい画像処理によって判定することができる。
<2.1撮像手段の同軸配置>
次に、実施例2のレーザ加工良否判定装置を開示する。実施例2の開示内容は、レーザ加工良否判定方法として実施例1の方法に適用することができる。また、実施例3及び4は、実施例2の開示内容に依拠している。
再度図1を参照すると、レーザ加工良否判定装置は、実施形態及び実施例1の説明と同様に、ハードウエアに関する主要な要素として、分光部20と、カメラ24と、光学フィルター26とを備えている。レーザ良否加工判定装置のハードウエアに関する要素群を、全体として良否判定ユニット100という(実施例4)。また、ソフトウエアに関する主要な要素として、画像解析部40と、判定処理部とを備えている。
図1に示すように、レーザビームLBの光軸OXに波長選択性を持つハーフミラー22(レーザビームLBは反射するが可視光及び近赤外光は透過する)を45度に挿入してレーザビームLBの光軸OXと同軸にカメラ24を設置することで、照射領域AR(レーザ加工部分を中心とする撮像範囲)を上から垂直方向(平面図となる方向)にて画像撮影をすることができ、キーホールKHの形状を正確に評価することができる。
上述のように、本装置及び方法は、プラズマ光PLやレーザビームLBの反射光を観測するのではなく、対象物OJの自己発光を観測するため、プラズマ光PLはノイズとなる。このため、溶接等のレーザ加工中に生成するプラズマの発光波長スペクトルをあらかじめ測定し、最も発光強度が弱い波長を決定し、その波長域を透過させる光学フィルター26をカメラ24前面に配置すると良い。この光学フィルター26の使用により、プラズマ光PLの成分を低減し、ノイズの影響を低下させることができる。
更に、レーザビームLBからの反射光の影響が残り画像解析に悪影響を及ぼす場合には、その波長のカットフィルタを用いると良い。
また光強度がカメラ24にとって強すぎる場合には、適切なND(Neutral Density(波長特性がフラット(中立)な光学密度を有するフィルター))フィルターをカメラ24の前方に配置すると良い。
溶接不良や欠陥を溶接シームラインに沿って細かく測定・評価するためには、高いフレームレートF (f/s=Hz)を有する高速度のカメラ24で細かい時間間隔で観察すると良い。例えば、溶接ラインに沿って1 [mm] ごとに溶接良否判定をする場合、例えば溶接速度V=10 [m/min]の時は、F=1/(60 [s] × 1 [mm] / 10,000 [mm])=167Hzの高速度のカメラ24が必要となる。このため、例えば、F=300 [Hz] (または600 [Hz] 切替式)のカメラ24を採用すると良い。
このように、カメラ24のフレームレートを適正に設定すると、評価時間の短縮を図ることができる。
上述のように、カメラ24をレーザビームLBと同軸に配置することで、キーホールKHの斜面であるキーホール壁KHwからの光の影響をなくすことができ、発光輪12をほぼ正円で撮影することができ、多様な反射光等のノイズの影響を軽微にすることができ、このため、良否判定の精度を安定させつつ向上させることができる。
次に、発光輪の抽出処理を説明する。
照射領域画像10の大きさを例えば160画素×120画素を10 [bit] とすると、数10 [MB] と大きく、画像解析に時間を要する主要な原因となってしまう。また、画像の枚数も、溶接時間:20 [秒]、フレームレート300 [Hz] とすると、6000 [枚] にも達する。一方、溶接の生産現場では、溶接の良否判定に要する時間は出来うる限り短い方が好ましく、ソフトの処理時間によっては生産現場に適用することができなくなってしまう。とはいえ、判定の安定性を向上させるべく画像全体の情報をなんらかの形で取り込みたい。しかし、扱うデータ量は多くしたくない。
このため、まず、発光輪12の断面について輝度分布(光強度の分布)を取り込むことを検討する。
図6を参照すると、照射領域画像10は、発光輪12を含んでいる。このx方向の全ての各画素について、画素列毎に、y方向の全ての輝度値の平均を算出すると、x方向平均輝度分布Pxを得ることができる。また、y方向の全ての各画素について、画素行毎に、x方向の全ての輝度値の平均を算出すると、y方向平均輝度分布Pyを得ることができる。この平均輝度分布Px, Pyには、発光輪12を含む照射領域画像10の特徴が安定して現れる。すなわち、平均輝度分布Px, Pyは、投影・射影された分布であるから、画像の一部に乱れがあっても平均操作でならされ、解析判定の安定性を増加させることができる。
また、レーザビームLBの光軸OXと同軸に撮影していることから、発光輪12をほぼ正円とすることができ、これによっても、x方向とy方向の平均輝度分布Px, Pyが安定する。そして、断面の方向を選択する必要性がなく、断面の方向選択に依存したノイズの影響を低減することができる。
本実施例2では、この平均輝度分布Px, Py等を用いた画像解析により、高速で安定した判定を図っている。
以下、Pa, Pamax, Ca, Ra, QaTH, DaTH等というとき、「a」は、x又はyや、i又はjとなり得る。例えば、Paというときには、Pxの場合と、Pyの場合と、両方の場合と、xy以外の方向による値の場合とがある。QaTHは、QxTHや、QyTHや、その他の方向での値を含む。
図7及び図8を参照すると、まず、平均輝度分布算出処理42は、前記照射領域画像10(P(i,j))での少なくとも2方向について当該各方向での平均輝度分布Paを算出する(ステップS11)。図6に示す例では、2方向をx方向とy方向としているため、平均輝度分布は、x方向平均輝度分布Pxと、y方向平均輝度分布Pyとなる。二次元画像について2方向というと、通常、直行するx方向とy方向であるが、本実施例2では抽出対象が円であるため、2直線の成す角が45度等の2直線の方向としても良い。また、画像を任意に回転させた後にx方向とy方向とするようにしても良い。ここでは、xy座標を例に説明する。
xy座標系で、x座標の画素位置をi、y座標の画素位置をjで表すと、x方向最大座標値imaxと最小座標値iminとの差がx方向での発光輪の直径Dxとなり、y方向最大座標値jmaxと最小座標値jminとの差がy方向での発光輪の直径Dyとなる。そして、このx方向直径Dxとy方向直径Dyとの平均値を発光輪12の直径と推定することができる。
I(i, j): 二次元輝度分布(照射領域画像10)
Px: x方向平均輝度分布、Py: y方向平均輝度分布
Nxm: x方向画素数、Nym: x方向画素数
なお、取込画像抽出処理44は、図9(B)に示すように、発光輪12の外側の輝度値を0とするための処理であるため、例えばx方向であれば、図中左側の画素から走査を開始して予め定められた数画素の輝度値が連続してQxTHを超えるまでQx[i]を0とし、超えた後は式2aの通りとして、さらに予め定められた数画素の輝度値が連続してQxTHを下回った際にQx[i]を0とするようにしても良い。
Qx: x方向取込輝度分布、 Qy: y方向取込輝度分布
Pxmax: x方向最大輝度値、 Pymax: y方向最大輝度値
β: 取込輝度係数
QaTH: 取込輝度値
Cx: x方向取込画像重心位置、 Cy: y方向取込画像重心位置
Cx0: x方向重心偏心長さ、 Cy0: y方向重心偏心長さ
そして、次式(4a)を用いて、図9(D)に示すx方向直径Dxと、y方向直径Dyとを求め、その平均値を発光輪12の直径Dとする。
なお、直径変更倍率αは、1としても良いが、発光輪12の外側を抽出する方が安定する際には、発光輪12の直径Dを大きめに求めておき、この直径変更倍率αにより小さめに補正すると良い。また、直径Dを小さめに求めて、直径変更倍率αにより大きめに補正することもできる。
D: 発光輪12の直径
Dx: x方向直径、Dy: y方向直径
imax: x座標最大座標値、imin: x座標最小座標値
jmax: y座標最大座標値、jmin: y座標最小座標値
α: 直径変更倍率
γ: 直径抽出係数
上述のように、発光輪12の抽出に図7から図9に示す情報処理を適用すると、横・縦の投影強度分布(2方向の平均輝度分布)の算出によるため、キーホールKHの画像判定における不安定性を解消することができる。また、微分処理などを使用しないため、画像処理を高速に行うことができる。
再度図7及び図8を参照すると、画像解析部40は、発光輪の輝度分布を算出するために、等分座標算出処理50と、発光輪輝度値算出処理52(ステップS16)とを備えている。等分座標算出処理50は、前記重心座標Caを原点とする前記直径Dの円周を予め定められた等分数Mで等分した際の座標値を等分座標Ra[k]として算出する(ステップS15)。発光輪輝度値算出処理52は、この各等分座標Ra[k]の輝度値の平均を算出して当該発光輪の輝度分布として単一の輝度値を求める(ステップS16)。
等分座標算出処理50(ステップS15)は、Caを中心、Dを直径とする円周について等分数Mで等分する位置(等分座標)を次式(5a)及び次式(5b)を用いて算出する。等分数Mに応じて、図10には等分座標Ra[k]が3カ所、図11には等分座標Raを等分x座標Rxと等分y座標Ryとに分解して5カ所特定されている。
M: 発光輪12の等分数
k: 等分番号
Rx[k]: 発光輪のk番等分位置x座標、Ry[k]: 発光輪のk番等分位置y座標
Cx: x方向取込画像重心位置、Cy: y方向取込画像重心位置
θ0: 初期角度
CR(Rx[k], Ry[k]): 発光輪12のk番等分位置の輝度値
Acr: 発光輪12の全等分位置の平均輝度値
IN: 発光輪12の重心位置の輝度値
Ain: 発光輪12の重心位置の(平均)輝度値
この各領域や、各領域の円上の等分位置の平均値等の輝度値の高低のパターンに応じて貫通の状態に応じたレーザ加工の良否を判定するようにしても良い。
上述のように、発光輪12の円周の等分点を用いると、レーザ加工の進行方向と無関係に発光輪12の特徴を捉えることができ、計算時間を短縮しつつ、発光輪12の輝度分布の特徴を良く表すデータを取り扱うことができ、高速でかつ精度の良い判定をすることができる。また、等分点を用いることで、画像に外乱が含まれても、発光輪12の全体の情報を含むので評価が不安定になることがない。そして、データ量を少なくすることができることから、レーザ加工の現場に適用し易い。
さらに、式(6c)による判定は、第1に、レーザ加工の現場で入手する正常を示す基準データを使用せずに判定をすることができ、第2に、比較的判りやすい判定であるためレーザ加工の現場に適切で有用な情報を早期に提供することができる。
実施例3のレーザ溶接良否判定装置は、主要な要素として、実施例2と同様に、分光部20と、カメラ24と、光学フィルター26と、良否判定コントローラー34と、画像解析部40と、判定処理部56とを備えている。
そして、実施例3では特に、バンドパス・フィルター60と、温度推定処理部62とを備えている。バンドパス・フィルター60は、予め定められた可視光から近赤外光中の特定の波長λを透過する。そして、温度推定処理部62は、この特定の波長λでの発光輪12の輝度分布と、発光輪内側領域16の輝度分布とに基づいて前記照射領域ARの温度(分布)を推定する。
輝度分布となる光強度Bは、プランクの公式である次式(7)で表される。hはプランク定数、kはボルツマン定数、cは光速度、Tは温度である。次式(7)により、波長と光強度を特定すると対象物の温度Tを唯一に特定することができる。
また、発光輪12の円周部分の温度と、発光輪重心領域18部分の温度とをそれぞれの光強度から推定することもできる。
また、図3及び4に示すタイプ2及び3のように、キーホールKHができているともできていないとも判定が難しく微妙な場合について、複数波長λ1,λ2によるモニタリングによって、発光輪重心領域18(中央部)の温度を評価することができれば、レーザビームLBの反射光やプラズマ光PLの影響で中央輝度が上昇しているのか、それとも赤熱された溶融部MEからの黒体放射であるかを状態判定に追加し、より正確に安定した良否判定が可能になる。
上述したように温度推定処理部62を備える例では、対象物OJの色(波長λ)及び光強度とから、対象物OJの温度を推定することができるため、発光輪12と発光輪内側領域16との各輝度分布による良否の判定に加えて、温度変化の観察による良否判定を並列して行うことができ、さらに、各輝度分布による判定の正当性を温度変化の観察により判定することもできる。例えば、プラズマ光PLによる輝度であるか、対象物OJの発光による輝度であるかを対象物OJの推定温度により判定することができ、溶接の良否判定をより正確に行うことができる。
図15に示すように、光学フィルター26として、偏光フィルター72を使用しても良い。一般に光の特性として、偏光状態の混在した光が固体や液体表面で反射した場合、その反射光は直線偏光の成分を多く含むことになる。そのため、金属の上部の空中で生じているプラズマには無偏光の光を多く含むので、表面で反射された光は、ある特定の方向の偏光を多く含むことになる。この現象を利用して、偏光素子72を用いると、コントラストの高い照射領域画像10を得ることができる。
また、表面からの反射光を強めるために、図15に示すように、照明部70による外部照明光を利用する方法と組合すことが有効であると考えられる。
このように、偏光フィルター72を用いると、バンドパス・フィルター60を使用せずに、プラズマ光PLの成分を遮断して、コントラストの高い照射領域画像10を得ることができる。また、対象物OJの表面からの反射光を強めるために照明部70を用いると、反射光の成分を精度良く撮影することができる。
図16に示すように、バックライトを使用しても良い。この例では、溶接しようとする金属シートの裏側から、特定の波長に強度が強いバックライトを照射することによって、キーホールの生成を観察する。この例では、実施例2と同様に、主要な構成として、分光部20と、カメラ24と、良否判定コントローラー34とを備えている。そして、図16に示す例では特に、狭帯域光源76と、狭帯域バンドパス・フィルター78と、輝円板抽出処理82とを備えている。
図16及び図17に示す例では、狭帯域の光をバックライトとして使用し、光学フィルター26としてこの狭帯域の光を透過する狭帯域バンドパス・フィルター78を使用したため、カメラ24は、対象物OJのキーホールKHによる貫通穴の状態を安定して撮影することができる。そして、輝円板処理部82は、輝円板80の直径を画像処理により算出することで、貫通の程度に応じた溶接の良否を判定することができる。
<4.1フィードバック制御>
実施例4は、実施例2又は3のレーザ加工良否判定装置を備えたレーザ溶接装置である。
図18を参照すると、このレーザ溶接装置は、対象物OJにレーザビームLBを照射するレーザトーチ84と、このレーザトーチ84を案内可能に支持するロボットアーム90と、このロボットアーム90を駆動することでレーザトーチを溶接位置に案内するロボット86と、このロボット86を駆動制御して前記対象物の溶接を制御する溶接コントローラー88とを備えている。
レーザ溶接装置は、さらに、良否判定ユニット100と、良否判定コントローラー34とを備えている。良否判定ユニット100は、実施例2の主要なハードウエアを備えている。すなわち、良否判定ユニット100は、前記対象物OJに照射されるレーザビームLBの光軸OXと同軸で当該対象物OJの前記照射領域ARからの光を分光する分光部20と、この分光部20で分光された前記照射領域ARの光を光電変換して照射領域画像10を生成するカメラ24と、前記カメラ24と前記照射領域ARとの間に設置され、当該照射領域ARにて発生するプラズマ光PLの波長成分を遮断する光学フィルター26とを備えている。
このように、良否判定コントローラー34が、溶接不良箇所BAを特定し、溶接コントローラー88が、溶接不良箇所BAを再溶接制御するため、溶接不良が発生した際に直ちに再溶接することで、溶接品質を確保することができる。
再度図18を参照すると、レーザ溶接装置は、好適には、良否判定コントローラー34が、光強度監察部94と、光強度別処理96とを備え、溶接コントローラー88が、非貫通再溶接制御処理98を備えている。
光強度観察部94は、前記照射領域画像10の一部又は全部の輝度値に基づいて、前記照射領域ARの光強度の変化を観察する。そして、光強度別処理96は、当該光強度観察部94にて予め定められた輝度値以上の強い光強度が観察されない期間について、前記画像解析部40により解析された前記各輝度分布に基づいて、前記溶接不良の位置を特定する。さらに、前記再溶接制御部92の非貫通再溶接制御処理98は、前記強い光強度が観察されない期間の前記溶接不良とされた位置(溶接不良箇所BA)について、非貫通溶接の場合の再溶接をさせる制御をする。
このように、発光輪12の輝度分布と発光輪内側領域16の輝度分布とを用いた良否判定と、画像全体の輝度値(光強度)の変化による判定とを併用することで、非貫通溶接を捉える精度を向上させることができる。
12 発光輪
16 発光輪内側領域
18 発光輪重心領域
20 分光部
24 カメラ
28 集光ミラー
30 集光レンズ
32 エクステンダレンズ
40 画像解析部
AR 照射領域
KH キーホール
KHw キーホール壁
LB レーザビーム
ME 溶融部
OJ 対象物
OX 光軸
PL プラズマ光
Claims (7)
- 対象物に照射されるレーザビームの光軸と同軸で当該対象物の照射領域での当該対象物の温度に依存した発光を撮像して照射領域画像を生成する撮像工程と、
前記照射領域画像の円状で高輝度の発光輪を抽出する発光輪抽出工程と、
前記照射領域画像のうち前記発光輪の輝度分布と、当該発光輪の内側の輝度分布とに基づいて、前記照射領域での貫通の程度を判定する判定処理工程とを備えた、
ことを特徴とするレーザ加工良否判定方法。 - 対象物に照射されるレーザビームの光軸と同軸で当該対象物の照射領域からの光を分光する分光部と、
この分光部で分光された前記照射領域の光を光電変換して照射領域画像を生成するカメラと、
前記カメラと前記照射領域との間に設置され、当該照射領域にて発生するプラズマ光の波長成分を遮断する光学フィルターと、
前記照射領域画像から円状で高輝度の発光輪を抽出して、前記発光輪の輝度分布と、当該発光輪の内側の輝度分布とを算出する画像解析部と、
この画像解析部で解析された各輝度分布に基づいて、前記照射領域での貫通の程度を判定する判定処理部とを備えた、
ことを特徴とするレーザ加工良否判定装置。 - 前記画像解析部が、前記発光輪の抽出に際して、
前記照射領域画像での少なくとも2方向について当該各方向での平均輝度分布を算出する平均輝度分布算出処理と、
各方向での最大輝度値に予め定められた1以下の取込輝度係数を掛けて取込輝度しきい値を算出すると共に当該取込輝度しきい値よりも明るい画素を取込画像として抽出する取込画像抽出処理と、
この取込画像の重心を算出して前記発光輪の重心となる重心座標を求める重心座標算出処理と、
前記各方向での前記最大輝度値に予め定められた1以下の直径抽出係数を掛けて直径抽出輝度しきい値を求めて前記各方向についてそれぞれ当該直径抽出輝度しきい値よりも明るい画素の最大座標値と最小座標値とを算出すると共に、各方向についての最大座標値と最小座標値との差の平均を前記発光輪の直径として算出する直径算出処理とを備えた、
ことを特徴とする請求項2記載のレーザ加工良否判定装置。 - 前記画像解析部が、前記発光輪の前記輝度分布の算出に際して、
前記重心座標を原点とする前記直径の円周を予め定められた等分数kで等分した際の座
標値を等分座標として算出する等分座標算出処理と、
この各等分座標の輝度値の平均を算出して当該発光輪の輝度分布として単一の輝度値を求める発光輪輝度値算出処理とを備えた、
ことを特徴とする請求項3記載のレーザ加工良否判定装置。 - 対象物に照射されるレーザビームの光軸と同軸で当該対象物の照射領域からの光を分光する分光部と、
この分光部で分光された前記照射領域の光を光電変換して照射領域画像を生成するカメラと、
前記カメラと前記照射領域との間に設置され、予め定められた可視光から近赤外光中の特定の波長を透過するバンドパス・フィルターと、
前記照射領域画像を情報処理して溶接の良否を判定する良否判定コントローラーとを備え、
この良否判定コントローラーが、
前記照射領域画像から円状で高輝度の発光輪を抽出して、前記発光輪の輝度分布と、当該発光輪の内側の輝度分布とを算出する画像解析部と、
前記特定の波長での各輝度分布に基づいて前記照射領域の温度を推定する温度推定処理部と、
前記各輝度分布と前記推定された温度とに基づいて、前記照射領域での貫通の程度に応じた溶接の良否を判定する判定処理部とを備えた、
ことを特徴とするレーザ溶接良否判定装置。 - 対象物にレーザビームを照射するレーザトーチと、
このレーザトーチを対象物の溶接位置に案内するロボットと、
このロボットを駆動制御して前記対象物の溶接を制御する溶接コントローラーと、
前記溶接をモニタリングして当該溶接の良否を判定する良否判定コントローラーと、
前記対象物に照射されるレーザビームの光軸と同軸で当該対象物の照射領域からの光を分光する分光部と、
この分光部で分光された前記照射領域の光を光電変換して照射領域画像を生成するカメラと、
前記カメラと前記照射領域との間に設置され、当該照射領域にて発生するプラズマ光の波長成分を遮断する光学フィルターとを備え、
前記良否判定コントローラーが、
前記照射領域画像から円状で高輝度の発光輪を抽出して、前記発光輪の輝度分布と、当該発光輪の内側の輝度分布とを算出する画像解析部と、
この画像解析部で解析された各輝度分布に基づいて、前記照射領域での貫通の程度を判定すると共に溶接不良の位置を特定する判定処理部とを備え、
前記溶接コントローラーが、前記判定処理部によって溶接不良と判定された位置を再溶接させる制御をする再溶接制御部を備えた、
ことを特徴とするレーザ溶接装置。 - 前記良否判定コントローラーが、
前記照射領域画像の一部又は全部の輝度値に基づいて、前記照射領域の光強度の変化を観察する光強度観察部を備え、
前記画像解析部が、当該光強度観察部にて予め定められた輝度値以上の強い光強度が観察されない期間について、前記画像解析部により解析された各輝度分布に基づいて、前記溶接不良の位置を特定する光強度別処理を有し、
前記再溶接制御部が、前記強い光強度が観察されない期間の前記溶接不良とされた位置について、非貫通溶接の場合の再溶接をさせる制御をする非貫通再溶接制御処理を備えた、
ことを特徴とする請求項6記載のレーザ溶接装置。
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