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JP5167865B2 - 加工性および溶接性に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

加工性および溶接性に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、厳しい形状にプレス成形されることが要求される自動車部品などに用いて好適な、加工性および溶接性に優れる引張強度(TS)が980MPa以上の高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法に関するものである。
なお、本発明における溶融亜鉛めっき鋼板は、亜鉛めっき後の合金化熱処理を施した、いわゆる合金化溶融亜鉛めっき鋼板を含むものである。
自動車部品などに用いられる高強度溶融亜鉛めっき鋼板は、その用途の特徴上、高強度に加えて、加工性に優れていることが要求される。
最近、車体軽量化による燃費向上および衝突安全性確保の観点から高強度の鋼板が自動車車体に求められ、適用が拡大している。また、従来は軽加工主体であったが、複雑形状への適用も検討され始めている。
しかしながら、一般に、鋼板の高強度化に伴い加工性は低下する傾向にあるため、高強度鋼板を適用する際の一番の課題として、プレス成形時における割れが挙げられる。従って、部品形状に応じて伸びフランジ性などの加工性を向上させることが要求されている。
また、成形後は組み立て工程にて抵抗スポット溶接が施されるため、加工性に加えて、優れた溶接性も要求される。
上記の要請に応えるべく、例えば特許文献1〜8には、鋼成分や組織の限定、熱延条件や焼鈍条件の最適化などにより、加工性が高く高強度の溶融亜鉛めっき鋼板を得る方法が提案されている。
特開2004−232011号公報 特開2002−256386号公報 特開2002−317245号公報 特開2005−105367号公報 特許第3263143号公報 特許第3596316号公報 特開2001−11538号公報 特開2006-342373号公報
上掲した特許文献のうち、特許文献1には、C,Si含有量の多いTS:980MPa級の鋼材について開示されているが、伸びフランジ性については何ら考慮が払われていない。
特許文献2〜4には、Crを活用した鋼材について開示されているが、やはり伸びフランジ性については何ら考慮が払われていない。
特許文献5〜7には、伸びフランジ性を評価する指標の一つである穴拡げ率λに関する記載があるが、引張強度(TS)は980MPaに達していない。
特許文献8には、強度と延性のバランス、曲げ性、スポット溶接性などに優れる溶融亜鉛めっき鋼板について開示されている。特許文献8に開示された技術は、析出強化に着目して上記の各特性のバランスを図ったものであり、強度レベルが引張強度(TS)で980MPa以上の高強度を達成することも可能ではあるが、980MPa以上の高強度を指向した場合、伸びフランジ性を十分に確保できないという問題があった。
また、引張強度(TS)が980MPa以上の高強度鋼板においては、製造条件のばらつきに起因して材質がばらつきやすい点にも問題を残していた。従って、良好な加工性およびスポット溶接性に加え、材質のばらつき、特に鋼板の長手方向における材質のばらつきが小さい鋼板が求められていた。
本発明は、上記の現状に鑑み開発されたもので、TS≧980MPaの高い引張強度を有し、加工性および溶接性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板を、材質のばらつきを低減した製造方法と共に提案することを目的とする。
さて、発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた。
その結果、
(1) 加工性および溶接性の観点からは、C,P,S量を低減する必要がある、
(2) 良好な表面性状を達成するためにはSi量を低く抑える必要がある、
(3) CやPの低減に伴う強度低下については、Crを活用することにより、合金元素が少な
い場合においても高強度化が可能である、
(4) 上記した成分系において、鋼組織を、体積分率で、フェライト相:20〜60%、マルテンサイト相:40〜80%とし、かつ該フェライト相の平均結晶粒径を5μm以下とすることにより、TS:980MPa以上の高強度の下でも、優れた加工性および溶接性が得られる、
ことの知見を得た。
本発明は上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.質量%で、C:0.05%以上0.10%未満、Si:0.01%以上0.35%未満、Mn:2.0〜3.5%、P:0.020%以下、S:0.0020%以下、Al:0.005〜0.1%、N:0.0050%以下、Cr:1.0%を超え2.0%以下、Ti:0.010〜0.080%、Nb:0.010〜0.080%およびB:0.0001〜0.0030%を含有し、残部はFeおよび不可避不純物の組成になり、鋼組織が、体積分率で、20〜60%のフェライト相と、40〜80%のマルテンサイト相および5%以下(0%を含む)の残部組織からなり、かつ該フェライト相の平均結晶粒径が5μm以下であり、引張強度が980MPa以上で、さらに鋼板表面に溶融亜鉛めっき層を有することを特徴とする加工性および溶接性に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
2.上記鋼板がさらに、質量%で、Ca:0.0001〜0.0050%を含有することを特徴とする上記1に記載の高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
3.質量%で、C:0.05%以上0.10%未満、Si:0.01%以上0.35%未満、Mn:2.0〜3.5%、P:0.020%以下、S:0.0020%以下、Al:0.005〜0.1%、N:0.0050%以下、Cr:1.0%を超え2.0%以下、Ti:0.010〜0.080%、Nb:0.010〜0.080%およびB:0.0001〜0.0030%を含有し、残部はFeおよび不可避不純物の組成になる鋼スラブを、熱間圧延後、コイルに巻取ったのち、酸洗し、ついで冷間圧延後、溶融亜鉛めっきを施して溶融亜鉛めっき鋼板を製造するに際し、
上記熱間圧延では、スラブ加熱温度を1150〜1300℃、熱間仕上げ圧延温度を850〜950℃として熱間圧延した後、熱間仕上げ圧延温度〜(熱間仕上げ圧延温度−100℃)の温度域を平均冷却速度:5〜200℃/秒として冷却し、巻取り温度:400〜600℃でコイルに巻取り、ついで酸洗後、冷間圧延したのち、200℃から中間温度までの1次平均昇温速度を10〜50℃/秒として500〜800℃の中間温度まで加熱し、さらに該中間温度から焼鈍温度までの2次平均昇温速度を0.1〜10℃/秒として750〜900℃の焼鈍温度まで加熱し10〜500秒保持したのち、450〜550℃の冷却停止温度まで1〜30℃/秒の平均冷却速度で冷却し、ついで溶融亜鉛めっき処理、あるいはさらに合金化処理を施すことで、
鋼組織が、体積分率で、20〜60%のフェライト相、40〜80%のマルテンサイト相および5%以下(0%を含む)の残部組織からなり、かつ該フェライト相の平均結晶粒径が5μm以下であり、引張強度が980MPa以上である鋼板を得ることを特徴とする加工性および溶接性に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。


4.上記の熱間仕上げ圧延終了後、(巻取り温度)×1.1の温度までの経過時間を5秒以上とすることを特徴とする上記3に記載の高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
5.上記鋼スラブがさらに、質量%で、Ca:0.0001〜0.0050%を含有することを特徴とする上記3または4に記載の高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
なお、本発明において、加工性に優れるとは、TS×El≧15000MPa・%で、かつTS×λ≧35000MPa・%の両方を満足することであり、また溶接性に優れるとは、ナゲット径:4t1/2(mm)(t:鋼板の板厚)以上で母材破断することであり、高強度とは、引張強度(TS)が980MPa以上を意味する。
本発明によれば、加工性および溶接性に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板を得ることができる。
また、本発明の製造方法によれば、鋼板のコイル長手方向における材質のばらつきが小さい、すなわちコイル長手方向における材質変動の小さい高強度溶融亜鉛めっき鋼板を得ることができる。
そして、本発明により得られる高強度溶融亜鉛めっき鋼板は、自動車部品として要求される強度および加工性を共に満足しており、厳しい形状にプレス成形される自動車部品として好適である。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明において、鋼板の成分組成を上記の範囲に限定した理由について説明するなお、成分に関する「%」表示は特に断らない限り質量%を意味するものとする。
C:0.05%以上0.10%未満
マルテンサイト相の強度はC量に比例する傾向にあるので、Cはマルテンサイト相を利用して鋼を強化する上で不可欠の元素である。980MPa以上のTSを得るには0.05%以上のCが必要であり、C量の増加に伴ってTSは増加する。しかしながら、C量が0.10%以上になるとスポット溶接性が著しく劣化し、またマルテンナイト相の硬質化、さらにはマルテンサイト相よりも硬質な残留オーステナイト相の生成により、伸びフランジ性等の加工性も著しく低下する傾向にある。そのため、C量は0.05%以上0.10%未満の範囲に限定した。980MPa以上のTSを安定して確保する観点から、好ましいC量は0.08%以上0.10%未満である。
Si:0.01%以上0.35%未満
Siは、固溶強化により強度向上に寄与する元素である。しかしながら、含有量が0.01%に満たないとその効果に乏しく、一方0.35%以上含有してもその効果は飽和するばかりか、フェライト相の延性の低下を招く。また、過度に含有されることにより、熱延時に難剥離性のスケールを生成して鋼板の表面性状を劣化させ、加工性を低下させる。また、鋼板表面に酸化物として濃化し、不めっきの原因ともなる。以上より、Si量は0.01%以上0.35%未満に限定した。好ましくは0.01〜0.20%の範囲である。
Mn:2.0〜3.5%
Mnは、強度向上に有効に寄与し、この効果は2.0%以上含有することで認められる。一方、3.5%を超えて過度に含有すると、Mnの偏析などに起因して部分的に変態点が異なる組織となり、結果としてフェライト相とマルテンサイト相がバンド状で存在する不均一な組織となり、加工性が低下する。また、鋼板表面に酸化物として濃化し、不めっきの原因ともなる。以上より、Mn量は2.0〜3.5%の範囲に限定した。好ましくは2.2〜2.8%の範囲である。
P:0.020%以下
Pは、強度向上に寄与する元素であるが、その反面溶接性を劣化させる元素でもあり、P量が0.020%を超えるとその影響が顕著に現れる。また一方で、過度のP低減は製鋼工程における製造コストの増加を伴うため、P量の下限は0.001%程度とすることが好ましい。以上より、P量は0.020%以下に限定した。好ましくは0.015%以下、より好ましくは0.010%以下である。
S:0.0020%以下
S量が増加すると熱間赤熱脆性の原因となり、製造工程上不具合を生じる場合があり、また介在物MnSを形成し、冷間圧延後に板状の介在物として存在することにより、特に材料の極限変形能を低下させ、伸びフランジ性などの成形性を低下させる。S量が0.0020%までは問題ない。なお、過度の低減は製鋼工程における脱硫コストの増加を伴うため、Sの下限は0.0001%程度とすることが好ましい。以上から、S量は0.0020%以下に限定した。好ましくは0.0015%以下である。
Al:0.005〜0.1%
Alは、製鋼工程において脱酸剤として有効であり、また局部延性を低下させる非金属介在物をスラグ中に分離する点でも有用な元素である。さらに、Alは、焼鈍時に、めっき性を阻害する表層でのMn、Si系の酸化物の形成を抑制し、めっき表面外観を向上させる効果がある。このような効果を得るには0.005%以上のAlが必要である。一方、0.1%を超えて添加すると、鋼成分コストの増大を招くだけでなく、溶接性を低下させる。それ故、Al量は0.005〜0.1%の範囲に限定した。好ましくは0.01〜0.06%の範囲である。
N:0.0050%以下
組織強化鋼において材料特性に及ぼすNの影響はあまり大きくはないが、0.0050%以下であれば本発明の効果を損なわない。一方、フェライトの清浄化による延性向上の観点か
らはN量は少ない方が好ましい。なお、製鋼上のコストが増大するため、下限は0.0001%程度とすることが好ましい。以上から、N量は0.0050%以下に限定した。
Cr:1.0%を超え2.0%以下
Crは、鋼の焼入れ性に寄与する元素であり、本発明ではCr添加により焼入れ性を確保してマルテンサイト形成を安定させる。この効果を得るためには1.0%を超えるCr量が必要である。また、Crは、フェライト相を固溶強化し、マルテンサイト相とフェライト相の硬度差を低減して伸びフランジ性の向上に寄与する。しかしながら、Cr量が2.0%を超えると、鋼板表面にCrが局所的に偏在し、不均一な表面性状となることから、成形時に不均一に変形し加工性が低下する。以上から、Cr量は1.0%を超え2.0%以下の範囲に限定した。好ましくは1.1〜1.6%の範囲である。
Ti:0.010〜0.080%
Tiは、鋼中でCまたはNと微細な炭化物や窒化物を形成することにより、熱延板組織および焼鈍後の鋼板組織の細粒化および析出強化の付与に有効に作用する。この効果を得るためには、0.010%以上のTiが必要である。しかしながら、Ti量が0.080%を超えるとこの効果が飽和するだけでなく、フェライト中に過度に析出物が生成し、フェライトの延性を低下させる。従って、Ti量は0.010〜0.080%の範囲に限定した。より好ましくは0.020
〜0.060%の範囲である。
Nb:0.010〜0.080%
Nbは、固溶強化または析出強化により強度の向上に寄与する元素である。また、フェライトを強化することによりマルテンサイト相との硬度差を低減する効果を通じて、伸びフランジ性の改善にも有効に寄与する。このような効果はNb量が0.010%以上で得られる。しかしながら、0.080%を超えて過度に含有させると、熱延板が硬質化し、熱間圧延、冷間圧延時の圧延荷重の増大を招く。また、フェライトの延性を低下させ、加工性が劣化する。従って、Nb量は0.010〜0.080%の範囲に限定した。なお、強度および加工性の観点からは、Nb量は0.030〜0.070%の範囲とするのが好ましい。
B:0.0001〜0.0030%
Bは、焼入れ性を高め、焼鈍冷却過程で起こるフェライトの生成を抑制し、所望のマルテンサイト量を得るのに寄与する。この効果を得るためには、B量は0.0001%以上含有させる必要があるが、0.0030%を超えると上記の効果は飽和する。それ故、B量は0.0001〜0.0030%の範囲に限定した。好ましくは0.0005〜0.0020%の範囲である。
以上、必須成分について説明したが、本発明では、必要に応じてCaを適宜含有させることができる。
Ca:0.0001〜0.0050%
Caは、MnSなど硫化物の形状制御により延性や伸びフランジ性を向上させる効果があるが、多量に含有させてもその効果は飽和する傾向にある。よって、Caを含有させる場合、Caの含有量は0.0001〜0.0050%、より好ましくは0.0001〜0.0020%の範囲とする。
本発明の鋼板は、所望の加工性および溶接性を得る上で、上記を基本成分とし、残部はFeおよび不可避不純物の組成からなる。不可避不純物の中でもVは、炭化物を析出させフェライト相の延性を低下させる。よって、V量は0.05%未満とすることが好ましい。より好ましくは0.005%未満である。
同様に析出物を生成させるZr、Mgなども含有量を極力低減する方が好ましく、それぞれ0.0200%未満とすることが好ましい。より好ましくは、それぞれ0.002%未満、さらに好ましくは0.0002%未満である。
その他の元素として、例えば、Cuは溶接性、Niはめっき後の表面外観に悪影響を及ぼすことから、Cu量およびNi量はそれぞれ0.4%未満とすることが好ましい。より好ましくは0.04%未満である。
なお、その他元素として、例えば、めっき性を大きく変化させることなく硫化物系介在物の形態を制御する作用を有するREMや鋼板表層の結晶粒を整粒にする作用を有するSbをそれぞれ0.0001〜0.1%の範囲で含有させても本発明の効果に影響するものではない。
次に、本発明にとって重要な要件の一つである鋼組織の限定範囲および限定理由について説明する。
フェライト相の平均結晶粒径:5μm以下
結晶粒の微細化は、鋼板の伸びフランジ性の向上に寄与する。そこで、本発明では、複合組織中のフェライト相の平均結晶粒径を5μm以下に制限することとした。フェライト相の平均結晶粒径が過度に粗大化すると、プレス加工後に鋼板表面が荒れることがある。また、軟質な領域と硬質な領域が粗に存在すると、加工が不均一となり成形性が劣化する。この点、フェライト相とマルテンサイト相が均一微細に存在すると、加工時に鋼板の変形が均一となるので、フェライト相の平均結晶粒径は小さい方が望ましい。加工性の劣化を抑制するために好ましい範囲は1〜3.5μmである。
フェライト相の体積分率:20〜60%
フェライト相は軟質相であり、鋼板の延性に寄与するため、本発明の鋼板では、フェライト相を体積分率で20%以上含有させる必要がある。一方で、フェライト相が60%を超えて存在すると過度に軟質化し、強度の確保が困難となる。よって、フェライト相は体積分率で20〜60%、好ましくは30〜50%の範囲とした。
マルテンサイト相の体積分率:40〜80%
フェライト相以外には、オーステナイトからの低温変態相であるマルテンサイト相を体積分率で40〜80%の範囲で含有する組織とすることで、良好な材質が得られる。マルテンサイト相は、硬質相であり、変態組織強化によって鋼板の強度を増加させる作用を有している。また、変態生成時に可動転位の発生を伴うため、鋼板の降伏比を低下させる作用も有する。しかしながら、マルテンサイト相が体積分率で40%に満たない場合、軟質化し
、強度の確保が困難となるという問題があり、一方80%を超えると過度に硬質化し、伸びフランジ性等の加工性が著しく低下するという問題がある。好ましいマルテンサイト相は体積率で50〜70%である。
上記したフェライト相およびマルテンサイト相以外の残部組織としては、ベイナイト相、残留オーステナイト相、セメンタイト等が考えられるが、これらのうちの1種または2種以上の合計が体積分率で5%以下であれば、本発明の効果を損ねるものではない。なお、残部組織の体積分率は0%であっても良い。
次に、本発明の高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法について説明する。
まず、上記の好適成分組成に調製された溶鋼から、連続鋳造法または造塊−分塊法でスラブを製造する。ついで、得られたスラブを、冷却後、再加熱したのち、あるいは鋳造後加熱処理を経ずにそのまま、熱間圧延を行う。スラブ加熱温度を1150〜1300℃として、熱延板を均一組織化し、伸びフランジ性などの加工性を向上させるために仕上げ圧延温度を850〜950℃とし、フェライト相とパーライト相の2相からなるバンド状組織の生成を抑制して熱延板を均一組織化し、さらに伸びフランジ性など加工性を向上させるために[熱間仕上げ圧延温度〜(熱間仕上げ圧延温度−100℃)]間の平均冷却速度を5〜200℃/秒とし、表面性状および冷間圧延性を向上させるため巻取り温度を400〜600℃として、熱間圧延を終了し、酸洗後、冷間圧延により所望の板厚とする。冷間圧延率(冷間圧延の圧下率)は、フェライト相の再結晶促進により延性を向上させるために30%以上とすることが望ましい。なお、圧延負荷が増大しすぎると生産性が低下するため、冷間圧延率の上限は70%程度とすることが好ましい。
ついで、溶融亜鉛めっき工程では、冷却開始前の焼鈍時の組織を制御し、最終的に得られるフェライト分率を最適化させるために、200℃から中間温度までの1次平均昇温速度を10〜50℃/秒とし、中間温度を500〜800℃とし、中間温度から焼鈍温度までの2次平均昇温速度を0.1〜10℃/秒とし、焼鈍温度を750〜900℃とし、この温度域に10〜500秒保持したのち、冷却停止温度:450〜550℃まで1〜30℃/秒の平均冷却速度で冷却する。冷却後、引き続き溶融亜鉛浴に鋼板を浸漬し、ガスワイピング等により亜鉛めっき付着量を制御したのち、あるいはさらに加熱して合金化処理を行った後、室温まで冷却する。
かくして本発明で目的とする高強度溶融亜鉛めっき鋼板が得られるが、めっき後の鋼板
にスキンパス圧延を施しても良い。
以下、製造条件の限定範囲および限定理由を具体的に説明する。
スラブ加熱温度:1150〜1300℃
鋼スラブの加熱段階で存在している析出物は、最終的に得られる鋼板内では粗大な析出物として存在し、強度に寄与しないため、鋳造時に析出したTi,Nb系析出物を再溶解させる必要がある。ここに、1150℃以上の加熱により強度への寄与が認められる。また、スラブ表層の気泡、偏析などの欠陥をスケールオフし、鋼板表面の亀裂、凹凸を減少し、平滑な鋼板表面を達成する観点からも1150℃以上に加熱することが有利である。しかしながら、加熱温度が1300℃を超えると、オーステナイト粒の粗大化を引き起こし、最終組織が粗大化し、伸びフランジ性を低下させる。従って、スラブ加熱温度は1150〜1300℃の範囲に限定した。
熱間仕上げ圧延温度:850〜950℃
熱間仕上げ圧延温度を850℃以上とすることにより加工性(延性、伸びフランジ性)を著しく向上させることができる。仕上げ圧延温度が850℃未満の場合、熱間圧延後に、結晶が展伸された加工組織となり、冷延・焼鈍後に不均一な組織となりやすく、加工時の材料の均一な変形が阻害され、優れた加工性を得ることが困難となる。
一方、熱間仕上げ圧延温度が950℃を超えると酸化物(スケール)の生成量が急激に増大し、地鉄−酸化物界面が荒れ、酸洗、冷間圧延後の表面品質が劣化する傾向にある。また酸洗後に熱延スケールの取れ残りなどが一部に存在しやすくなり、抵抗スポット溶接性に悪影響を及ぼす。さらに、熱間仕上げ圧延温度が950℃を超えると結晶粒径が過度に粗大となり、加工時にプレス品表面荒れを生じる場合がある。従って、熱間仕上げ圧延温度は850〜950℃、好ましくは900℃〜950℃の範囲とした。
[熱間仕上げ圧延温度〜(熱間仕上げ圧延温度−100℃)]間の平均冷却速度:
5〜200℃/秒
熱間仕上げ圧延直後の高温域[熱間仕上げ温度〜(熱間仕上げ温度−100℃)]における、冷却速度が5℃/秒に満たないと、熱間圧延後、再結晶、粒成長し、熱延板組織が粗大化すると共に、フェライトとパーライトが層状に形成されたバンド状組織となる。焼鈍前にバンド状組織になると、成分の濃度ムラが生じた状態で熱処理されるため、めっき工程での熱処理で組織の微細均一化が困難となり、最終的に得られる組織が不均一となり、伸びフランジ性が低下する。このため、[熱間仕上げ温度〜(熱間仕上げ温度−100℃)]における平均冷却速度は5℃/秒以上とする。一方、当該温度域における平均冷却速度が200℃/秒を超えても効果は飽和する傾向にあるので、当該温度域における平均冷却速度は5〜200℃/秒の範囲とした。なお、上記の制御冷却後、巻取りまでの温度域の冷却速度については、特に制限されるものではない。
巻取り温度:400〜600℃
巻取り温度については、600℃を超えると、熱延スケール厚が増加し、酸洗、冷間圧延後の表面が荒れ、表面に凹凸が形成されるため加工性の低下を招き、また酸洗後に熱延スケールが残存しやすくなり抵抗スポット溶接性に悪影響を及ぼす。一方、巻取り温度が400℃未満では熱延板強度が上昇し、冷間圧延における圧延負荷が増大し、生産性が低下する傾向にある。従って、巻取り温度は400〜600℃の範囲とした。
1次平均昇温速度(200℃から中間温度まで):10〜50℃/秒、中間温度:500〜800℃、2次平均昇温速度(中間温度から焼鈍温度まで):0.1〜10℃/秒
1次昇温速度が10℃/秒より遅いと、結晶粒が粗大化し、伸びフランジ性が低下する。この1次昇温速度は速くてもかまわないが、50℃/秒を超えると飽和する傾向にある。従って、1次平均昇温速度は10〜50℃/秒の範囲とした。
中間温度が800℃を超えると結晶粒径が粗大化し、伸びフランジ性が低下する。中間温度は低くてもかまわないが、500℃未満では効果は飽和し、最終的に得られる組織に差が少なくなる。従って、中間温度は500〜800℃の範囲とした。
2次平均昇温速度が10℃/秒より速い場合には、オーステナイトの生成が遅く、最終的に得られるフェライト相分率が多くなり、強度確保が困難となる。一方、2次平均昇温速度が0.1/秒より遅い場合には、結晶粒径が粗大化し、伸びフランジ性が低下する。従って、2次平均昇温速度は0.1〜10℃/秒の範囲とした。
焼鈍温度:750〜900℃、この温度での保持時間:10〜500秒
焼鈍温度が750℃より低い場合、冷間加工により導入された歪が未回復の未再結晶フェライトに存在し、伸び、穴拡げ率など加工性が劣化する傾向にある。一方、焼鈍温度が900℃より高い場合、加熱中にオーステナイトが粗大化し、その後の冷却過程で生成するフェライト相の量が減少し、伸びが低下する傾向にある。また、最終的に得られる結晶粒径が過度に粗大化し、穴拡げ率が低下する傾向にある。従って、焼鈍温度は750〜900℃の範囲とした。
また、当該焼鈍温度における保持時間が10秒未満では焼鈍中に未溶解炭化物が存在する可能性が高くなり、焼鈍中あるいは冷却開始温度におけるオーステナイト相の存在量が少なくなる可能性があり、最終的に鋼板の強度確保が困難となる傾向がある。一方、長時間焼鈍により結晶粒は成長し粗大化する傾向にあり、上記の焼鈍温度における保持時間が500秒を超えると加熱焼鈍中のオーステナイト相の粒径が粗大化し、最終的に熱処理後に得られる鋼板の組織が粗大化し、穴拡げ率が低下する傾向にある。加えて、粗大粒に起因し、プレス成形後の肌荒れの原因ともなり好ましくない。さらに、冷却停止温度までの冷却過程中のフェライト相の生成量も減少するため、伸びも低下する傾向にある。従って、より微細な組織を達成することと、焼鈍前の組織の影響を小さくして均一微細な組織を得ることとを両立するために、保持時間は10〜500秒の範囲とした。好ましい保持時間は20〜200秒の範囲である。
冷却停止温度までの平均冷却速度:1〜30℃/秒
この冷却速度は、軟質なフェライト相と硬質なマルテンサイト相の存在比率を制御し、TS:980MPa級以上の強度と加工性を確保するのに重要な役割を担っている。すなわち、平均冷却速度が30℃/秒を超えると、冷却中のフェライト相生成が抑制され、マルテンサイト相が過度に生成するためTS:980MPa級の確保は容易ではあるが、成形性の劣化を招く。一方、1℃/秒より遅いと、冷却過程中に生成するフェライト相の量が多くなりすぎ、TSの低下を招く傾向にある。当該平均冷却速度の好ましい範囲は5〜20℃/秒である。なお、この場合の冷却は、ガス冷却が好ましいが、炉冷、ミスト冷却、ロール冷却、水冷などを用いて組み合わせて行うことも可能である。
冷却停止温度:450〜550℃
冷却停止温度が550℃より高い場合、オーステナイトからマルテンサイト相より軟質な組織を形成するパーライト変態あるいはベイナイト変態が進行し、TS:980MPa級の確保が困難となる。また、硬質な残留オーステナイト相が生成すると伸びフランジ性が低下する。一方、冷却停止温度が450℃未満の場合、冷却中のフェライト生成が過多となりTS:980MPa級の確保が困難となる。
上記の冷却停止後、一般的な溶融亜鉛めっき処理を施して溶融亜鉛めっきとする。あるいはさらに、上記の溶融亜鉛めっき処理後、誘導加熱装置などを用いて再加熱を施す合金化処理を施して、合金化溶融亜鉛めっき鋼板とする。
ここに、溶融亜鉛めっきの付着量は、片面当たり20〜150g/m2程度とすることが好ましい。
というのは、このめっき付着量が20g/m2未満では、耐食性の確保が困難であり、一方150g/m2を超えると、耐食効果は飽和し、むしろコストアップとなるからである。
なお、連続焼鈍後、最終的に得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板に、形状矯正や表面粗度調整の目的から調質圧延(スキンパス圧延ともいう)を行ってもかまわないが、過度にスキンパス圧延を行うと過多に歪が導入され結晶粒が展伸され圧延加工組織となり、延性が低下するため、スキンパス圧延の圧延率(伸び率)は0.1〜1.5%程度とすることが好ましい。
上記した本発明の製造方法によって、所望の加工性および溶接性を有する高強度溶融亜鉛めっき鋼板を得ることができるが、熱間仕上げ圧延後、熱間仕上げ圧延温度〜(熱間仕上げ圧延温度−100℃)の温度域を平均冷却速度:5〜200℃/秒として冷却したのち、必要に応じてさらに、熱間仕上げ圧延後、(巻取り温度)×1.1までの経過時間を5秒間以上とし、その後、巻取りを行うことによって、コイル長手方向の材質変動を効果的に抑制することができる。
熱間仕上げ圧延終了後に鋼板を巻取り温度近傍、具体的には(巻取り温度)×1.1未満の温度まで急冷する場合、熱間圧延によって一部に展伸された結晶粒を有するオーステナイトと、再結晶した整粒のオーステナイトが混在することがある。このような混在組織は、熱間圧延直後において、特に、鋼板の幅方向のエッジ部などに顕著に発生する。この場合、最終的に得られる熱延板には、一部に展伸された結晶粒が存在していた領域には層状の低温変態相組織が、整粒の再結晶オーステナイトが存在していた領域にはオーステナイトから変態生成した整粒の低温変態組織が、存在することとなる。また、上記のような急速冷却の場合、コイル全長にわたり均一に急速冷却することが困難であり、冷却時に、コイルの先端部、尾端部およびコイル長手方向中央部で温度ムラを生じたり、冷却に使用する水が冷却後に鋼板上に残存したりすることから、不均一な熱延板組織となりやすい。
熱間圧延段階で生じた不均一な組織に起因する鋼板中の成分や組織のむら、あるいは偏在は、溶融亜鉛めっき工程の焼鈍過程においても完全に解消することができない。その結果、最終製品の組織も不均一となる。組織の不均一性に起因して第2相が硬質化すると、軟質なフェライトとの硬度差が発生し、プレス成形時における材料の均一な変形を阻害し、伸びフランジ性の劣化を招く。
熱間仕上げ圧延終了後、(巻取り温度)×1.1の温度までの経過時間が5秒未満の場合、熱間圧延終了後、巻取り温度近傍まで急冷することとなり、上記のような問題が生ずるためと考えられるが、コイル長手方向の材質変動が大きくなりやすい。このため、熱間仕上げ圧延終了後、(巻取り温度)×1.1の温度までの経過時間を5秒以上とする。なお、該経過時間の上限は製造設備にもよるが、長くしすぎると生産性を低下させるだけであるため、その上限は30秒程度とすることが好ましく、より好ましい経過時間の上限は20秒程度である。
表1に示す成分組成になる鋼を溶製し、スラブとしたのち、表2に示す種々の条件で熱間圧延、酸洗、圧下率:50%の冷間圧延、連続焼鈍およびめっき処理を施し、板厚が1.4mmでめっき付着量が片面当たり45g/m2の溶融亜鉛めっき鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造した。得られた溶融亜鉛めっき鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板について、以下に示す材料試験を行い、材料特性を調査した。
得られた結果を表3に示す。
材料試験および材料特性の評価法は次のとおりである。なお、サンプル採取位置は、最終製品コイルの尾端から5mの位置とした。
(1) 鋼板の組織
圧延方向断面、板厚:1/4面位置を光学顕微鏡または走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより調査した。フェライト相の結晶粒径は、JIS G 0551に規定の方法に準拠して結晶粒度を測定し、平均結晶粒径に換算した。また、フェライト相の体積分率は、倍率:1000倍の断面組織写真を用いて、画像解析により、任意に設定した100mm×100mm四方の正方形領域内に存在するフェライト相の占有面積を求め、これをフェライト相の体積分率とした。また、マルテンサイト相の体積分率も同様にして求めた。
(2) 引張特性
圧延方向と90°の方向を長手方向(引張方向)とするJIS Z 2201に記載の5号試験片を用い、JIS Z 2241に準拠した引張試験を行い評価した。なお、引張特性の評価基準はTS×EI値が15000MPa・%以上を良好とした。
(3) 穴拡げ率
日本鉄鋼連盟規格JFST1001に基づき実施した。初期直径d0=10mmの穴を打抜き、60°の円錐ポンチを上昇させて穴を拡げた際に、亀裂が板厚貫通したところでポンチの上昇を止め、亀裂貫通後の打抜き穴径dを測定し、次式
穴拡げ率(%)=((d−d0)/d0)×100
により穴拡げ率を算出した。
この試験は、同一番号の鋼板について3回実施し、穴拡げ率の平均値(λ)を求めた。なお、穴拡げ率の評価基準はTS×λ値が35000MPa・%以上を良好とした。
(4) 抵抗スポット溶接性
電極:DR6mm−40R、加圧力:4.8kN、初期加圧時間:30cycles/60Hz、通電時間:17cycles/60Hz、保持時間:1cycle/60Hzとし、試験電流を変化させた各溶接条件(4.6〜10.0kAまで0.2kAピッチで変化させ、また10.5kAから溶着まで0.5kAピッチで変化させる条件)で、同一番号の鋼板をスポット溶接し、十字引張試験、溶接部のナゲット径の測定に供した。抵抗スポット溶接継手の十字引張り試験はJIS Z 3137に準拠して実施した。ナゲット径はJIS Z 3139の記載に準拠して実施した。抵抗スポット溶接後の対称円状のプラグを板表面に垂直な断面について、溶接点のほぼ中心を通る断面を適当な方法で半切断し、研磨、腐食の後、光学顕微鏡観察による断面組織観察により測定した。コロナボンドを除いた溶融領域の最大直径をナゲット径とした。ナゲット径が4t1/2(mm)(t:鋼板の板厚)以上の溶接材において十字引張り試験を行った際、母材で破断した場合に、溶接性を良好とした。
Figure 0005167865
Figure 0005167865
Figure 0005167865
表3に示したとおり、発明例では、TS×EI≧15000MPa・%、TS×λ≧35000MPa・%で、かつ良好な抵抗スポット溶接性を同時に満足する加工性に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板が得られていることが確認できた。
これに対し、鋼成分が本発明の適正範囲外であるNo.11、12および13は、加工性と溶接性を両立できていなかった。1次昇温速度、中間温度および焼鈍温度のいずれかの条件が本発明の適正範囲外であるNo.14、15および17は、フェライト相の結晶粒怪が粗大なため、伸びフランジ性が劣っていた。
2次昇温速度、保持時間または冷却停止温度が本発明の適正範囲外であるNo.16、18および20は、フェライト相の分率が多く、TSが980MPaよりも低かった。平均冷却速度が本発明の適正範囲外であるNo.19は、フェライト相の分率が少ないため、Elが低く、穴拡げ率λも低く、加工性が劣っていた。
表4に示す成分組成になる鋼を溶製し、スラブとしたのち、表5に示す種々の条件で熱間圧延、酸洗、圧下率:50%の冷間圧延、連続焼鈍およびめっき処理を行い、板厚が1.4mmでめっき付着量が片面当たり45g/m2の溶融亜鉛めっき鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造した。
得られた溶融亜鉛めっき鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板について、上記した(1)〜(4)の材料試験および以下の(5)に示す材質変動評価を行い調査した。
(5) コイル長手方向材質変動調査
最終製品コイルの幅方向中央で、長手方向の位置が、先端部、尾端部および中央部の3箇所において穴拡げ率λ(%)を実施例1の(3)と同様の方法で求め、それぞれλ1、λ2およびλ3とした。なお、先端部とは最終製品コイルの先端から5mの位置、中央部とは最終製品コイルの全長に対して中央の位置、尾端部とは最終コイルの尾端から5mの位置とした。
かくして得られたλ1、λ2およびλ3から、次式より穴拡げ率変動量Δλ(%)を算出し、Δλが−10≦Δλ(%)≦10の範囲にあるとき、コイル全長にわたり材質変動が小さく良好な材料特性を有するものとした。
Δλ(%)=λ3−(λ1+λ2)/2
Figure 0005167865
Figure 0005167865
得られた結果を表6に示す。
Figure 0005167865
表6に示したとおり、発明例では、TS×EI≧15000MPa・%、TS×λ≧35000MPa・%であって、コイル全長にわたって材質変動が小さく、良好な抵抗スポット溶接性をそれぞれ同時に満足する加工性に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板が得られていることが確認できた。
これに対し、熱間仕上げ圧延後、(巻取り温度)×1.1の温度までの経過時間が適正範囲外のNo.32、35、36および37は、加工性と溶接性は満足するものの、材質変動が大きい。また、熱間仕上げ圧延後の鋼板の滞留温度および滞留時間が適正範囲内であっても、鋼板の成分が適正範囲外であるNo.34は、材質変動は小さいものの、加工性に劣っていた。
本発明の高強度溶融亜鉛めっき鋼板は、高い引張強度を有するだけでなく、加工性およ
び溶接性に優れるため、自動車部品をはじめとして、建築および家電分野など厳しい寸法
精度および加工性が必要とされる用途に好適に使用することができる。

Claims (5)

  1. 質量%で、C:0.05%以上0.10%未満、Si:0.01%以上0.35%未満、Mn:2.0〜3.5%、P:0.020%以下、S:0.0020%以下、Al:0.005〜0.1%、N:0.0050%以下、Cr:1.0%を超え2.0%以下、Ti:0.010〜0.080%、Nb:0.010〜0.080%およびB:0.0001〜0.0030%を含有し、残部はFeおよび不可避不純物の組成になり、鋼組織が、体積分率で、20〜60%のフェライト相と、40〜80%のマルテンサイト相および5%以下(0%を含む)の残部組織からなり、かつ該フェライト相の平均結晶粒径が5μm以下であり、引張強度が980MPa以上で、さらに鋼板表面に溶融亜鉛めっき層を有することを特徴とする加工性および溶接性に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
  2. 前記鋼板がさらに、質量%で、Ca:0.0001〜0.0050%を含有することを特徴とする請求項1に記載の高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
  3. 質量%で、C:0.05%以上0.10%未満、Si:0.01%以上0.35%未満、Mn:2.0〜3.5%、P:0.020%以下、S:0.0020%以下、Al:0.005〜0.1%、N:0.0050%以下、Cr:1.0%を超え2.0%以下、Ti:0.010〜0.080%、Nb:0.010〜0.080%およびB:0.0001〜0.0030%を含有し、残部はFeおよび不可避不純物の組成になる鋼スラブを、熱間圧延後、コイルに巻取ったのち、酸洗し、ついで冷間圧延後、溶融亜鉛めっきを施して溶融亜鉛めっき鋼板を製造するに際し、
    上記熱間圧延では、スラブ加熱温度を1150〜1300℃、熱間仕上げ圧延温度を850〜950℃として熱間圧延した後、熱間仕上げ圧延温度〜(熱間仕上げ圧延温度−100℃)の温度域を平均冷却速度:5〜200℃/秒として冷却し、巻取り温度:400〜600℃でコイルに巻取り、ついで酸洗後、冷間圧延したのち、200℃から中間温度までの1次平均昇温速度を10〜50℃/秒として500〜800℃の中間温度まで加熱し、さらに該中間温度から焼鈍温度までの2次平均昇温速度を0.1〜10℃/秒として750〜900℃の焼鈍温度まで加熱し10〜500秒保持したのち、450〜550℃の冷却停止温度まで1〜30℃/秒の平均冷却速度で冷却し、ついで溶融亜鉛めっき処理、あるいはさらに合金化処理を施すことで、
    鋼組織が、体積分率で、20〜60%のフェライト相、40〜80%のマルテンサイト相および5%以下(0%を含む)の残部組織からなり、かつ該フェライト相の平均結晶粒径が5μm以下であり、引張強度が980MPa以上である鋼板を得ることを特徴とする加工性および溶接性に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  4. 前記の熱間仕上げ圧延終了後、(巻取り温度)×1.1の温度までの経過時間を5秒以上とすることを特徴とする請求項3に記載の高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  5. 上記鋼スラブがさらに、質量%で、Ca:0.0001〜0.0050%を含有することを特徴とする請求項3または4に記載の高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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