本発明は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置に関するものである。
近年、情報処理機器の多様化に伴って、従来から一般に使用されている陰極線管(CRT)よりも消費電力が少なく、薄型化が可能である平面表示装置に対する需要が高まってきている。そのような平面表示装置として、例えば、液晶表示装置やエレクトロルミネッセンス表示装置(以下、「EL表示装置」とする。)を挙げることができる。
それらのうち、有機EL表示装置は、自発光であり視認性が高く、また、完全固体装置であり耐衝撃性に優れ、取り扱いが容易であるため、特に研究開発が盛んに行われている。
図2は、従来の有機EL表示装置200の断面図である。
この有機EL表示装置200は、基板210と、基板210の上に設けられた有機積層体230と、有機積層体230を狭持するように設けられた第1電極220と、第2電極240と、を有する。
第1電極220は、有機積層体230にホールを注入する機能を有する。また、第2電極240は、有機積層体230に電子を注入する機能を有する。
有機積層体230は、発光する有機発光分子を含有する発光層232と、発光層232を狭持するように設けられたホール輸送層231と電子輸送層233とを有する。
ホール輸送層231は、第1電極220と発光層232との間に介設されており、第1電極220から注入されたホールを発光層232に輸送する機能を有する。また、電子輸送層233は、第2電極240と発光層232との間に介設されており、第2電極240から注入された電子を発光層232に輸送する機能を有する。
ホール輸送層231によって輸送されたホールと、電子輸送層233によって輸送された電子とが発光層232で再結合することによりエネルギーが発生し、そのエネルギーが有機積層体230に含まれる有機発光分子に供給されることにより有機発光分子が励起される。そして、励起された有機発光分子が基底状態に失活する際に有機発光分子が発光する仕組みとなっている。
ところで、発光層232は、発光層232全体が均一に発光するわけではなく、図2に示すように発光輝度分布を持って発光する。図2に示す主発光層232bは、発光層232のうちで最も高い頻度でホールと電子との再結合がおこり、最も強い発光輝度を示す層である。主発光層232bから離れるに従って、ホールと電子との再結合が起こる頻度が低下し、よって、発光輝度も弱くなる。
従来の有機EL表示装置200は、通電することにより経時的に、発光層232の成分のホール輸送層231又は電子輸送層233のへの流出、及び、ホール輸送層231又は電子輸送層233の成分の発光層232への流入が発生する(以下、この現象のことを「
交じり合い」とする。)。有機EL表示装置200において交じり合いが発生した場合は、発光層232における発光効率が悪化し、発光輝度が低下するという問題がある。
以下、有機EL表示装置200で交じり合いが発生した場合に、発光効率が悪化し、有機EL表示装置200の輝度が低下する原理を図3及び図4を用いて説明する。
図3は、通電を行っていない状態の有機EL表示装置200の有機積層体230部分を示す概略断面図である。
図4は、通電を行ったことにより交じり合い層232a’及び232c’が形成された状態の有機EL表示装置200’の有機積層体230’部分を示す概略断面図である。
図3に示すように、通電を行っていない有機EL表示装置200では、ホールと電子との再結合が最も高い頻度でおこる主発光層232bはホール輸送層231及び電子輸送層233から十分に隔離されている。よって、主発光層232bの周辺には、有機発光分子以外にホールと電子とが再結合することにより発生するエネルギー(以下、「再結合エネルギー」とする。)を受け取る分子、又はホールや電子若しくはその両方をトラップし、キャリアの輸送及び発光に寄与しない分子(以下、「クエンチング分子」とする。)が存在しない。従って、再結合エネルギーは、発光層232内に存在する有機発光分子に高い効率で供給される。よって、発光層232の発光効率は高く、有機EL常時装置200の発光輝度は大きい。尚、クエンチング分子としては、例えば、ホール輸送層231や電子輸送層層233に含まれる分子及びそれらの会合体だけでなく、第1電極220又は第2電極240を形成する分子及びそれらの分子と有機分子との会合体、または、有機EL表示装置200’に含まれている不純物及びそれらの不純物と有機物との会合体等が挙げられる。
しかし、図4に示すように、通電を行った有機EL表示装置200’では、ホール輸送層231’の成分と発光層232’の成分との交じり合い、及び、電子輸送層233’の成分と発光層232’の成分との交じり合いが発生することによって、交じり合い層232a’、及び交じり合い層232c’が形成されている。
交じり合い層232a’及び交じり合い層232c’が形成された場合であっても、交じり合い層232a’及び交じり合い層232c’と主発光層232b’とが十分に離れているときは、主発光層232b’の周辺にクエンチング分子が存在しない。従って、再結合エネルギーは発光層232’内に存在する有機発光分子に高い効率で供給される。
しかし、有機EL表示装置200’に通電することにより、交じり合い層232a’及び交じり合い層232c’が成長し、主発光層232b’と交じり合い層232a’及び交じり合い層232c’との距離が近くなった場合は、再結合エネルギーの一部が発光層232’内に存在する有機発光分子に供給されずに、クエンチング分子に供給される。クエンチング分子に再結合エネルギーが供給されることによりクエンチング分子は励起状態となる。しかし、クエンチング分子は、有機発光分子のように励起状態から基底状態に発光過程を経由して失活せず、発熱過程等の発光過程以外の失活過程を経由して励起状態から基底状態に失活する。よって、クエンチング分子は再結合エネルギーが供給された場合にも発光を発しない。従って、再結合エネルギーのクエンチング分子への供給効率の増大、すなわち再結合エネルギーの有機発光分子への供給効率の低下に伴って、発光層232’の発光効率は低下し、有機EL表示装置200’の発光輝度も低下する。
また、主発光層232b’周辺にクエンチング分子が存在する確率は、交じり合い層232a’及び交じり合い層232c’が成長し、それらの交じり合い層と主発光層232
b’との間の距離が近くなるにつれて増大する。よって、交じり合い層232a’及び交じり合い層232c’が成長するに従って、クエンチング分子へ供給される再結合エネルギーの割合が増加する。従って、交じり合い層232a’及び交じり合い層232c’が成長し、それらの層の層厚が大きくなるに従って、発光層232’の発光効率はさらに低下し、有機EL表示装置200’の発光輝度もさらに低下する。また、発光層232’中に有機EL表示装置200’外から発光が視認できないほど発光輝度が著しく低下した部分が生じると、その部分がダークスポットと呼ばれる非発光領域となる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、発光層と発光層に接する層との交じり合いを抑制することにより、発光層の発光輝度低下や発光層にダークスポットと呼ばれる非発光領域が増加することによる表示品質の劣化を効果的に抑制し、製品寿命の長い有機EL表示装置を提供することにある。
本発明に係る有機EL表示装置は、基板と、上記基板の上に設けられた有機積層体と、上記有機積層体を挟持するように設けられた第1電極と第2電極と、を有し、上記有機積層体は、上記第1電極と上記第2電極とからそれぞれ注入されるホールと電子とが再結合することにより励起されるポリオレフィン系の発光材料を含む発光層と、該発光層に接するように積層され、上記ホール又は上記電子の少なくともいずれかを上記発光層に輸送する有機層とを有し、上記発光層及び上記有機層のそれぞれの間において、交じり合いを発生する有機エレクトロルミネッセンス表示装置である。上記発光層及び/又は上記有機層は、JIS K 5600−5−4で定義される引っかき硬度が2H以上である。また、上記発光層及び上記有機層の少なくともいずれか一方の層を多層構造に形成し、当該多層構造を構成する層のうち、上記発光層及び上記有機層の他方の層と接する層の引っかき硬度のみを2H以上にしてあってもよい。
本発明に係る有機EL表示装置では、発光層及び発光層に接するように積層された有機層のうち少なくともいずれか一方の層のJIS K 5600−5−4で定義される引っかき硬度(以下、「JIS K 5600−5−4で定義される引っかき硬度」を「引っかき硬度」とする。)が2H以上に構成されている。
発光層が引っかき硬度2H以上に形成されている場合は、発光層内の分子の物理的・化学的結合が強固である。よって、発光層の成分の発光層に接する層への流出を効果的に抑制することができる。同時に、発光層に接する層の成分の発光層への流入を効果的に抑制することができる。また、発光層に接するように積層された有機層が引っかき硬度2H以上に形成されている場合は、その有機層内の分子の物理的・化学的結合が強固である。よって、その有機層の成分が発光層に流入することを効果的に抑制することができる。同時に、発光層の成分がその有機層に流出することを効果的に抑制することができる。
このように、本発明に係る有機EL表示装置では、発光層と発光層に接するように積層された有機層との間の交じり合いが効果的に抑制される。従って、発光層の発光輝度低下や発光層にダークスポットと呼ばれる非発光領域が増加することによる表示品質の劣化を効果的に抑制することができ、製品寿命の長い有機EL表示装置を実現することができる。
また、本発明においては、上記発光層及び/又は上記有機層は、有機高分子化合物を含むものであっても構わない。
有機高分子化合物を含む有機層は、蒸着法等のドライプロセスと比較して比較的安価に行え、かつ、高精度なパターニングを可能にせしめるインクジェット法等のウエットプロセスによって形成することができる。よって、この構成によれば、発光層及び/又は発光層に接するように積層された有機層をウエットプロセスにより形成することができる。したがって、発光層及び/又は発光層に接するように積層された有機層を安価に形成することができ、また、高精度にパターニングすることができる。よって、高精度なパターニン
グを有する発光層及び/又は発光層に接するように積層された有機層を有する有機EL表示装置を容易にかつ安価に製造することができる。
また、有機高分子化合物を含む発光層及び/又は有機層は、加熱等の処理により、例えば、有機高分子化合物が結晶化するといった、発光層及び/又は有機層の変性が生じにくい。そのため、発光層及び/又は有機層を硬化し、引っかき硬度を向上させるために加熱処理等の幅広い処理方法を選択することができる。
また、本発明に係る有機EL表示装置の製造方法は、基板と、該基板の上に設けられた有機積層体と、該有機積層体を挟持するように設けられた第1電極と第2電極とを有し、上記有機積層体は、上記第1電極と上記第2電極とからそれぞれ注入されるホールと電子とが再結合することにより励起されるポリオレフィン系の発光材料を含む発光層と、該発光層に接するように積層され、上記ホール又は上記電子の少なくともいずれかを上記発光層に輸送する有機層とを有し、上記発光層及び上記有機層のそれぞれに、互いに交じり合う成分が含まれている有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法であって、上記基板上に設けられた上記第1電極の上に、上記発光層及び上記有機層を含む上記有機積層体を形成する有機積層体形成ステップを備え、上記有機積層体形成ステップは、上記発光層及び/又は上記有機層をJIS K 5600−5−4で定義される引っかき硬度が2H以上に硬化させる硬化ステップを含むものである。
この製造方法によれば、有機積層体形成ステップで形成した発光層及び/又は発光層に接するように積層された有機層を引っかき硬度が2H以上に硬化する有機層硬化ステップを有する。そのため、発光層及び発光層に接するように積層された有機層のうち少なくともいずれか一方の引っかき硬度を向上することができ、成分の流出を効果的に抑制できる。
例えば、引っかき硬度が2H以上大きい発光層では、発光層内の分子の物理的・化学的結合が強固である。よって、発光層の成分の発光層に接する有機層等への流出を効果的に抑制することができる。同時に、発光層に接する有機層等の成分の発光層への流入を効果的に抑制することができる。また、引っかき硬度が大きい発光層に接するように積層された有機層では、その有機層内の分子の物理的・化学的結合が強固である。よって、その有機層の成分が発光層に流入することを効果的に抑制することができる。同時に、発光層の成分がその有機層に流出することを抑制することができる。
このように、本発明に係る製造方法により製造された有機EL表示装置は、発光層と発光層に接するように積層された有機層等との間の交じり合いが効果的に抑制される。従って、本発明による有機EL表示装置の製造方法によれば、発光層の発光輝度低下や発光層にダークスポットと呼ばれる非発光領域が増加することによる表示品質の劣化が発生しにくく、製品寿命の長い有機EL表示装置を提供することができる。
以上説明したように、本発明によれば、発光層と発光層に接するように積層された有機層又は電極との間の交じり合いを効果的に抑制することにより発光層の発光輝度低下や非発光領域が増加することによる表示品質の劣化を効果的に抑制することができるので、長い製品寿命を実現することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の対照例に係る有機EL表示装置100の断面図である。
有機EL表示装置100は、基板110と、基板110の上に設けられた有機積層体130と、有機積層体130を狭持するように設けられた第1電極120と第2電極140とからなる。
有機EL表示装置100では、第1電極120と第2電極140とからそれぞれ注入されたホールと電子とは発光層132で再結合する。ホールと電子との再結合により発生したエネルギーは発光層132に含まれる有機発光分子に供給され、有機発光分子が励起される。そして、励起された有機発光分子が発光過程を経由して基底状態に失活することにより、発光層132が発光する仕組みとなっている。
基板110は、例えば、石英、ソーダガラス、若しくはセラミック材料等の無機材料、又は、ポリイミド、ポリエステル等の有機材料等により形成することができるが、有機EL表示装置100を支持するために十分な強度を有するものであれば、何ら限定されるものではない。
また、必要に応じて基板110の上にTFT等を含むアクティブマトリクス回路等の駆動回路を形成しても構わない。この構成によれば、パネル輝度やレスポンスの良好な高画質・大容量表示が可能な有機EL表示装置100を実現することができる。
第1電極120は、有機積層体130にホールを注入する機能を有する。第1電極120は、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)や、酸化錫(SnO2)、Au、Ni、P
t等により構成することができるが、何らこれに限定されるものではない。
尚、第1電極120は、単層構造に限定されるものではなく、例えばAgやAl等の導電性で高い光反射率を有する材料からなる層と、高い仕事関数を有するインジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)等からなる層との多層構造に形成しても勿論構わない。
また、有機EL表示装置100が有機積層体130の発光を第1電極120側から取り出すボトムエミッション方式である場合は、発光の取り出し効率を向上する観点から、第1電極120は、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)や、酸化錫(SnO2)等の高
い仕事関数を有し、かつ、光透過率の高い材料の薄膜により構成することが好ましい。一方、有機EL表示装置100が有機積層体130の発光を第2電極140側から取り出すトップエミッション方式である場合は、発光の取り出し効率を向上する観点から、第1電極120は、高い仕事関数を有し、かつ、光反射率の高い材料の薄膜により構成することが好ましい。
有機積層体130は、ホール輸送層131と発光層132とからなる。
ホール輸送層131は、ホール注入効率がよいものであれば、何ら限定されるものではない。ホール輸送層131の材料としては、例えば、トリフェニルアミン誘動体、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)誘動体、ポリNビニールカーバゾル(PVK)、ポリアニリン、3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンサルフォネート(PEDOT/PSS)、ポリフルオレン誘導体などの有機材料、p型半導体材料等が挙げられるが何らこれに限定されるものではない。
発光層132は、特に限定されるものではなく、例えば、8−ヒドロキシキノリロール誘動体、チアゾール誘動体、ベンズオキサゾール誘動体、キナクリドン誘動体、スチリルアリーレン誘動体、ペリレン誘動体、オキサゾール誘動体、オキサジアゾール誘動体、トリアゾール誘動体、トリフェニルアミン誘動体、蛍光性金属錯体、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)誘動体、ポリビニルNカルバゾール(PVK)、ポリフルオレン誘動体、ポリチオフェン誘動体、スピロ化合物等により形成することができる。また、これらの材料のうち2種以上を組み合わせたり、ドーパント材料などの添加剤を組み合わせても構
わない。尚、ドーパント材料としては、クマリン誘動体、キナクリドン誘動体、公知のレーザー用色素等が挙げられるが何らこれに限定されるものではない。
また、ホール輸送層131と発光層132とは、有機高分子化合物を含むものであっても構わない。この構成によれば、ホール輸送層131と発光層132とを蒸着法等のドライプロセスと比較して比較的安価に行え、かつ、高精度なパターニングを可能にせしめるインクジェット法等のウエットプロセスによって形成することができる。したがって、ホール輸送層131と発光層132とを安価に形成することができ、また、高精度にパターニングすることができる。よって、高精度なパターニングを有するホール輸送層131と発光層132とを有する有機EL表示装置100を容易にかつ安価に製造することができる。
また、この構成によれば、ホール輸送層131と発光層132とを加熱処理等した場合においても、例えば、有機高分子化合物が結晶化するといった、ホール輸送層131と発光層132との変性が生じにくい。そのため、ホール輸送層131と発光層132とを硬化し、引っかき硬度を向上させるために加熱処理等の幅広い処理方法を選択することができる。
有機EL表示装置100では、発光層132及びホール輸送層131のうち少なくともいずれか一方の引っかき硬度が2H以上に形成されている。発光層132が引っかき硬度2H以上に形成されている場合は、発光層132内の分子の物理的・化学的結合が強固である。よって、発光層132の成分のホール輸送層131及び第2電極140への流出を効果的に抑制することができる。同時に、ホール輸送層131及び第2電極140の成分の発光層132への流入を効果的に抑制することができる。また、ホール輸送層131が引っかき硬度2H以上に形成されている場合は、ホール輸送層131内の分子の物理的・化学的結合が強固である。よって、ホール輸送層131の成分が発光層132に流入することを効果的に抑制することができる。同時に、発光層132の成分がホール輸送層131に流出することを効果的に抑制することができる。
このように、有機EL表示装置100では、発光層132とホール輸送層131及び第2電極140との間の交じり合いが効果的に抑制される。従って、発光層132の発光輝度低下や発光層132にダークスポットと呼ばれる非発光領域が増加することによる表示品質の劣化を効果的に抑制することができ、製品寿命の長い有機EL表示装置100を実現することができる。
尚、ホール輸送層131を、第1電極120と接するホール輸送第1層と、発光層132と接するホール輸送第2層との2層構造とを有する多層構造とし、ホール輸送第2層の引っかき硬度を2H以上に形成しても構わない。ホール輸送層131と発光層132との交じり合いは、ホール輸送層131と発光層132との接触面で発生するため、必ずしもホール輸送層131全体の引っかき硬度を2H以上にする必要はなく、発光層132と接するホール輸送第2層の引っかき硬度のみを2Hすることで、ホール輸送層131全体の引っかき硬度を2H以上にした場合と同様の効果が得られる。
同様に、発光層132を多層構造とし、発光層132を構成する層のうち、ホール輸送層131と接する層の引っかき硬度を2H以上としても構わない。また、発光層132を構成する層のうち、ホール輸送層131と接する層と第2電極140と接する層との引っかき硬度のみを2H以上としても構わない。
尚、本発明にかかる発明者が誠意研究した結果から、交じり合い層の層厚が30nm以上に成長した場合に有機EL表示装置100の発光輝度が顕著に低下することがわかって
いる。従って、ホール輸送第2層及び発光層132のうちホール輸送層131と接する層の層厚は、0.01〜50nmであることがより好ましい。
また、有機EL表示装置100では、有機積層体130をホール輸送層131と発光層132との2層構造としたが、何らこの構成に限定されるものではない。すなわち、有機積層体130を、ホール輸送層131、ホール注入層、電子注入層、及び、電子輸送層のうちの1層または2層以上と、発光層132とにより構成しても勿論構わない。
例えば、有機積層体を発光層と発光層を狭持するように設けられたホール輸送層と電子輸送層とにより構成した有機EL表示装置の場合は、発光層、ホール輸送層、又は電子輸送層のうちいずれか1以上の層を引っかき硬度2H以上に形成してもかまわない。例えば、電子輸送層の引っかき硬度を2H以上に構成した場合は、電子輸送層と発光層との交じり合い、及び電子輸送層と第2電極との交じり合いを抑制することができる。よって、ホールと電子とが再結合することにより発生したエネルギーは効率よく発光層に含まれる有機発光分子に供給される状態を長期間維持することができる。従って、この有機EL表示装置は、長い製品寿命を実現することができる。
第2電極140は、有機積層体130に電子を注入する機能を有する。第2電極140は、例えば、Mg、Li、Ca、Ag、Al、In、Ce、又はCu等の薄膜により構成することができるが、何らこれに限定されるものではない。
尚、第2電極140は、単層構造に限定されるものではなく、例えばインジウム錫酸化物(ITO)等の導電性で高い光透過率を有する材料からなる層と、低い仕事関数を有するCaやLi等からなる層との多層構造に形成しても勿論構わない。
また、有機EL表示装置100が有機積層体130の発光を第2電極140側から取り出すトップエミッション方式である場合は、発光の取り出し効率を向上する観点から、第2電極140は、光透過性に構成することが好ましい。一方、有機EL表示装置100が有機積層体130の発光を第1電極120側から取り出すボトムエミッション方式である場合は、発光の取り出し効率を向上する観点から、第2電極140は、光反射性に構成することが好ましい。
また、有機EL表示装置100では、基板110上に第1電極120と有機積層体130と第2電極140とを各画素(又は各絵素)ごとに区画する隔壁を設けても構わない。隔壁を設けることにより、上下リークやクロストークを防止することができ、また、各画素(又は、絵素)間における有機積層体130の混合を防止することができる。
隔壁の材料としては、SiO2やSiNXなどの無機材料や、ポリイミドやフォトレジストなどの有機材料を用いることができるが、何らこれに限定されるものではない。
また、有機EL表示装置100では、基板110上に第1電極120と有機積層体130と第2電極140とを覆うように封止を設けても構わない。有機EL表示装置100は、水分及び酸素の浸入による画像表示性能の劣化が激しいところに封止を設けることにより有機EL表示装置100内に水分及び酸素が浸入することを効果的に抑制することができ、製品寿命の長い有機EL表示装置100を実現することができる。
封止としては、防水性、防湿性、防酸素性に優れた無機物や有機物からなる薄膜や、ガラスや金属等の無機物からなるキャップ等を用いることができるが何らこれに限定されるものではない。
また、より効果的に有機EL表示装置100の中に水分及び酸素が進入することを防止する観点から、乾燥窒素や乾燥アルゴン中において封止を形成することがより好ましい。
以下、有機EL表示装置100の製造方法について説明する。
まず、ガラス等の基板110上にインジウム錫酸化物(ITO)等をスパッタ法等の公知の方法により成膜し、フォトリゾグラフィー技術によりパターニングすることで第1電極120を形成する。
次に、第1電極120を形成した基板110をIPA超音波洗浄、及びIPA蒸気洗浄、及びUVオゾン又は酸素プラズマによる洗浄等を行うことにより第1電極120を形成した基板110を洗浄する。
次に第1電極120を形成した基板110上に3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンサルフォネート(PEDOT/PSS)等のホール輸送材料をスピンコート法等の公知の成膜方法により成膜しホール輸送層131を形成する。
ホール輸送層131は、例えば成膜後所望の温度で加熱処理等を行うことにより、所望の引っかき硬度に形成することができる(硬化ステップ)。しかし、ホール輸送層131の硬化の方法は、この方法に何ら限定されるものではなく、例えば、ホール輸送層131に架橋性ホール輸送高分子を含有させることで、ホール輸送層131内に架橋構造を形成することによりホール輸送層131を硬化しても構わない。
このようにホール輸送層131を硬化ステップにより引っかき硬度2H以上に形成することで、ホール輸送層131と発光層132との交じり合いを効果的に抑制することができる。よって、発光層132の発光輝度低下や発光層132にダークスポットと呼ばれる非発光領域が発生することを効果的に抑制することができ、製品寿命の長い有機EL表示装置100を製造することができる。
また、ホール輸送層131を多層構造に形成しても勿論構わない。ホール輸送層131を多層構造に形成した場合、ホール輸送層131を構成する層のうち、少なくとも発光層132に接する層のみを加熱等により硬化することで、ホール輸送層131全体を硬化ステップにより硬化した場合と同様にホール輸送層131と発光層132との交じり合いを効果的に抑制することができる。よって、発光層132の発光輝度低下や発光層132にダークスポットと呼ばれる非発光領域が発生することを効果的に抑制することができ、製品寿命の長い有機EL表示装置100を製造することができる。
次に、ホール輸送層131を形成した基板110上に、例えばキシレンに溶解させた青色発光ポリフルオレン系材料等の発光材料をスピンコート法等の公知の成膜方法により成膜することにより発光層132を成膜することにより有機積層体130を形成する(有機積層体形成ステップ)。
発光層132は、例えば、加熱処理等をすることにより硬化することができ、所望の引っかき硬度を得ることができる(硬化ステップ)。しかし、発光層132の硬化の方法は、この方法に何ら限定されるものではなく、例えば、発光層132に架橋性ホール輸送高分子を含有させることで、発光層132内に架橋構造を形成することにより発光層132を硬化しても構わない。このように発光層132を硬化ステップにより引っかき硬度2H以上に形成することにより、ホール輸送層131及び第2電極140と発光層132との交じり合いを効果的に抑制することができる。よって、発光層132の発光輝度低下や発
光層132にダークスポットと呼ばれる非発光領域が発生することを効果的に抑制することができ、製品寿命の長い有機EL表示装置100を製造することができる。
また、発光層132を多層構造に形成しても勿論構わない。発光層132を多層構造に形成した場合、発光層132を構成する層のうち、ホール輸送層131に接する層を加熱等により硬化することで、発光層132全体を硬化ステップにより硬化した場合と同様にホール輸送層131と発光層132との交じり合いを効果的に抑制することができる。同様に、発光層132を構成する層のうち、第2電極140に接する層を加熱等により硬化することで、発光層132全体を硬化ステップにより硬化した場合と同様に第2電極140と発光層132との交じり合いを効果的に抑制することができる。よって、発光層132の発光輝度低下や発光層132にダークスポットと呼ばれる非発光領域が発生することを効果的に抑制することができ、製品寿命の長い有機EL表示装置100を製造することができる。
次に、ホール輸送層131と発光層132とにより構成される有機積層体層130を形成した基板110の上に、スパッタ法等の成膜方法により、Ca等を成膜し、第2電極140を形成することにより有機EL表示装置100を製造することができる。
(対照例1)絶縁基板の上にインジウム錫酸化物(ITO)を公知の方法により成膜し、フォトリゾグラフィー技術等によりパターニングすることで第1電極を形成した。第1電極を形成した絶縁基板をIPA超音波洗浄、及びIPA蒸気洗浄を行った後、さらにUVオゾン洗浄を30分行うことにより、第1電極を形成した絶縁基板を洗浄した。
第1電極を形成した絶縁基板上に3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンサルフォネート(以下、「PEDOT/PSS」とする。)をスピンコート法により成膜し、210℃で10分間加熱することによりホール輸送層を形成した。ホール輸送層の層厚は65nmであった。また、ホール輸送層の引っかき硬度をJIS K 5600−5−4で定義される方法により測定したところHであった(以下、実施例、対照例及び比較例に示す引っかき硬度の値は、JIS K 5600−5−4で定義される方法により測定することにより得られた値を示す)。
次に、ホール輸送層を形成した絶縁基板の上に、キシレンに溶解させた青色発光ポリフルオレン系材料をスピンコート法により発光層を成膜し、有機積層体を形成した。
次に、発光層を形成した絶縁基板を窒素雰囲気下、130℃で1時間加熱乾燥することにより発光層を硬化処理した。加熱処理後の発光層の引っかき硬度は2Hであった。
次に、有機積層体を形成した絶縁基板を金属チャンバーに移動し、LiF、Ca、及びAgをそれぞれ1nm、1.25nm、及び100nmの層厚で成膜することにより第2電極を形成した。
次に、第2電極を形成した絶縁基板を、第1電極と、ホール輸送層と発光層とからなる有機積層体と、第2電極とを覆うようにガラス製の封止キャップにより封止することにより有機EL表示装置を作成した。
次に、作成した有機EL表示装置の所定輝度からの輝度半減時間を測定した。
対照例1に係る有機EL表示装置の所定輝度からの輝度半減時間を表1に示す。
(対照例2)発光層を形成した絶縁基板を窒素雰囲気下、200℃で1時間加熱した以外は、対照1と同様の方法により有機EL表示装置を作成し、所定輝度からの輝度半減時間を測定した。
ホール輸送層の層厚は65nmであった。また、ホール輸送層の引っかき硬度はHであった。
また、加熱処理後の発光層の引っかき硬度は3Hであった。
対照2に係る有機EL表示装置の所定輝度からの輝度半減時間を表1に示す。
(対照例3)まず、対照例1と同様の方法により、絶縁基板上に第1電極とホール輸送層とを形成した。ホール輸送層の層厚は65nmであった。また、ホール輸送層の引っかき硬度はHであった。
次に、ホール輸送層を形成した絶縁基板の上に、キシレンに溶解させた緑色発光ポリフルオレン系材料をスピンコート法により発光層を成膜することにより有機積層体を形成した。
次に、発光層を形成した絶縁基板を窒素雰囲気下、200℃で1時間加熱乾燥することにより発光層を硬化した。加熱処理後の発光層の引っかき硬度は2Hであった。
次に、有機積層体を形成した絶縁基板を金属チャンバーに移動し、Ca、及びAgをそれぞれ1.25nm、100nmの層厚で成膜することにより第2電極を形成した。
次に、第2電極を形成した絶縁基板を、第1電極と、ホール輸送層と発光層とからなる有機積層体と、第2電極とを覆うようにガラス製の封止キャップにより封止することにより有機EL表示装置を作成し、所定輝度からの輝度半減時間を測定した。
対照例3に係る有機EL表示装置の所定輝度からの輝度半減時間を表2に示す。
(実施例1)まず、対照例3と同様の方法により、絶縁基板上に第1電極とホール輸送層と発光層とを形成した。ホール輸送層の層厚は65nmであった。また、ホール輸送層の引っかき硬度はHであった。
次に、発光層を形成した絶縁基板を窒素雰囲気下、200℃で1時間加熱乾燥することにより発光層を硬化した。加熱処理後の発光層の引っかき硬度は2Hであった。
さらに、発光層を形成した絶縁基板上に、キシレンに溶解させた青色発光ポリフルオレン系材料をスピンコート法により成膜することにより発光第2層を形成した。
次に発光第2層を形成した絶縁基板を窒素雰囲気下、150℃で1時間加熱した。加熱処理後の発光第2層の引っかき硬度はHであった。
次に、第2電極を形成した絶縁基板を、第1電極と、ホール輸送層と発光層と発光第2層とからなる有機積層体と、第2電極とを覆うようにガラス製の封止キャップにより封止することにより有機EL表示装置を作成し、所定輝度からの輝度半減時間を測定した。
実施例1に係る有機EL表示装置の所定輝度からの輝度半減時間を表2に示す。
(対照例4)まず、対照例1と同様の方法により、絶縁基板上に第1電極とホール輸送層とを形成した。ホール輸送層の層厚は65nmであった。また、ホール輸送層の引っかき硬度はHであった。
次に、ホール輸送層を形成した絶縁基板上に、緑色発光ポリフルオレン系材料と25重量%の熱硬化性ホール輸送性材料とを含有するキシレン溶液をスピンコート法により成膜することにより発光層を形成した。
次に、発光層を形成した絶縁基板を窒素雰囲気下、150℃で1時間加熱乾燥することにより発光層を硬化した。加熱処理後の発光層の引っかき硬度は2Hであった。
次に、対照例3と同様の方法により第2電極を形成し、封止キャップにより封止することにより有機EL表示装置を作成し、所定輝度からの輝度半減時間を測定した。
対照例4に係る有機EL表示装置の所定輝度からの輝度半減時間を表2に示す。
(実施例2)対照例1と同様の方法により絶縁基板上に第1電極を形成した。
第1電極を形成した絶縁基板上に3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンサルフォネート(PEDOT/PSS)をスピンコート法により成膜し、210℃で10分間加熱することによりホール輸送第1層を形成した。
次に、ホール輸送層を形成した絶縁基板上に、熱架橋性ホール輸送高分子を層厚20nmで成膜し、200℃で1時間加熱することによりホール輸送第2層を形成し、ホール輸送第1層とホール輸送第2層とからなるホール輸送層を形成した。
次に、対照例3と同様の方法により発光層を形成した。
次に、発光層を形成した絶縁基板を窒素雰囲気下、150℃で1時間加熱乾燥することにより、発光層内に架橋構造を形成し、発光層を硬化した。加熱処理後の発光層の引っかき硬度はHであった。
次に、対照例3と同様の方法により第2電極を形成し、封止キャップにより風刺することで有機EL表示装置を作成し、所定輝度からの輝度半減時間を測定した。
実施例2に係る有機EL表示装置の所定輝度からの輝度半減時間を表2に示す。
(比較例1)対照例1と同様の方法により絶縁基板上に第1電極とホール輸送層と発光層とを形成した。ホール輸送層の層厚は65nmであった。また、ホール輸送層の引っかき硬度はHであった。
発光層を形成した絶縁基板を窒素雰囲気下、室温(25℃)で1時間放置した。また、1時間放置後の発光層の引っかき硬度はHであった。
次に、対照例1と同様の方法により第2電極を形成し、封止キャップにより封止することにより有機EL表示装置を作成し、所定輝度からの輝度半減時間を測定した。
比較例1に係る有機EL表示装置の所定輝度からの輝度半減時間を表1に示す。
(比較例2)対照例1と同様の方法により絶縁基板上に第1電極とホール輸送層と発光
層とを形成した。ホール輸送層の層厚は65nmであった。また、ホール輸送層の引っかき硬度はHであった。
発光層を形成した絶縁基板を90℃で1時間放置した。また、発光層の引っかき硬度はHであった。
次に、対照例1と同様の方法により第2電極を形成し、封止キャップにより封止することにより有機EL表示装置を作成し、所定輝度からの輝度半減時間を測定した。
比較例2に係る有機EL表示装置の所定輝度からの輝度半減時間を表1に示す。
(比較例3)発光層を形成した絶縁基板を窒素雰囲気下、150℃で1時間加熱した以外は、対照例3と同様の方法により有機EL表示装置を作成し、所定輝度からの輝度半減時間を測定した。
ホール輸送層の層厚は65nmであった。また、ホール輸送層の引っかき硬度はHであった。
また、加熱処理後の発光層の引っかき硬度はHであった。
比較例3に係る有機EL表示装置の所定輝度からの輝度半減時間を表2に示す。
表1は、
対照例1〜2、及び比較例1〜2のそれぞれの輝度半減時間を示す表である。
尚、表1に示した発光材料として青色発光ポリオレフィン系材料を用いた対照例1、2、及び比較例1、2については、所定輝度は、1000cd/m2とした。
また、表1において「輝度半減時間(正規化)」の欄に記載された値は、それぞれの輝度半減時間を比較例1の輝度半減時間を基準として正規化することにより得られた値である。
表1に示すように、発光層の引っかき硬度が2H以上である対照例1及び対照例2は、輝度半減時間が100時間以上と、発光層の引っかき硬度がHである比較例1の3倍以上の値を示した。これは、発光層の引っかき硬度が2H以上と高いため、発光層とホール輸送層、及び発光層と第2電極との交じり合いが抑制されたことにより、有機層の発光効率が低下するまでに要する時間が長くなったためである。従って、発光層の引っかき硬度が2H以上である有機EL表示装置は、長い輝度半減時間を有し、製品寿命が長いことがわかる。
また、比較例2は、発光層を加熱乾燥しているにもかかわらず、短い輝度半減時間を示した。このことより、輝度半減時間は、発光層の乾燥温度と直接的な相関関係を有するものではなく、発光層の引っかき硬度と直接的な相関関係を有することがわかる。
また、表1に示す結果から、発光層の引っかき硬度が2Hである対照例1より発光層の引っかき硬度が3Hである実施例2の方が、輝度半減時間が長いことがわかる。このことより、発光層の引っかき硬度を大きくすることにより、発光層と発光層に接する層との交じり合いが効果的に抑制され、有機EL表示装置の輝度半減時間、及び製品寿命をさらに長くすることができることがわかる。
表2は、実施例
1,2、対照例3,4、及び比較例3のそれぞれの輝度半減時間を示す表である。
尚、表1に示した発光材料として緑色発光ポリオレフィン系材料を用いた実施例等については、所定輝度は、2000cd/m2とした。
また、表2において「輝度半減時間(正規化)」の欄に記載された値は、それぞれの輝度半減時間を比較例3の輝度半減時間を基準として正規化することにより得られた値である。
表2に示すように、発光層の引っかき硬度が2H以上である対照例3及び対照例4は、600時間以上という長い輝度半減時間を有し、発光層の引っかき硬度がHである比較例3の輝度半減時間の3倍以上の値を示した。これは、発光層の引っかき硬度が2H以上と高いため、発光層とホール輸送層、及び発光層と第2電極との交じり合いが抑制されたことにより、有機層の発光効率が低下するまでに要する時間が長くなったためである。従って、発光層の引っかき硬度が2H以上である有機EL表示装置は、長い輝度半減時間を有し、製品寿命が長いことがわかる。
また、発光層を加熱することにより発光層の引っかき硬度を向上した対照例3と、発光層に熱硬化性ホール輸送材料を添加し、熱架橋することにより発光層の引っかき硬度を向上した対照例4とは、共に長い輝度半減時間を有した。このことから、発光層の引っかき硬度を向上する手段によらず、輝度半減時間は発光層の引っかき硬度と相関していることがわかる。すなわち、本発明において、有機層の引っかき硬度の向上方法は、何ら限定されるものではないことがわかる。
また、表2に示すように、発光層を引っかき硬度が2Hである発光第1層と、引っかき
硬度がHである発光第2層との2層構造に形成した実施例1についても比較例3の4.1倍という非常に長い輝度半減時間を有する。このことより、必ずしも発光層全体の引っかき硬度が2H以上である必要はなく、少なくともホール輸送層に接する発光第1層が2H以上の引っかき硬度を有すれば、発光層とホール輸送層との交じり合いを抑制することができ、長い輝度半減時間と製品寿命を実現することができることがわかる。
また、表2に示すように、ホール輸送層の引っかき硬度が2Hである実施例2は、発光層の引っかき硬度がHであるにもかかわらず、比較例3の3倍以上の輝度半減時間を有する。このことより、必ずしも発光層の引っかき硬度が2H以上である必要はなく、発光層に接する有機層の引っかき硬度が2H以上であっても、長い輝度半減時間、および製品寿命を実現することができることがわかる。
尚、実施例は、発光層を有機高分子材料である発光ポリオレフィン系材料を含むものとし、また、ホール輸送層を有機高分子材料であるPEDOT/PSSを含むものとしたため、ウエットプロセスであるスピンコート法により容易かつ安価に形成することができた。
また、上述の通り発光層とホール輸送層とが有機高分子材料を含むため、熱処理等、有機層の引っかき硬度を向上する処理を行うことにより発光層及びホール輸送層が結晶化することなく、有機層効果ステップで幅広い硬化処理条件を選択することができた。
有機EL表示装置100の断面図である。
従来の有機EL表示装置200の断面図である。
通電を行っていない状態の有機EL表示装置200の有機積層体230部分を示す概略断面図である。
通電を行ったことにより交じり合い層232a’及び232c’が形成された状態の有機EL表示装置200’の有機積層体230’部分を示す概略断面図である。
100、200、200’ 有機EL表示装置
110、210 基板
120、220 第1電極
130、230、230’ 有機積層体
131、231、231’ ホール輸送層
132、232、232’ 発光層
140、240 第2電極
232a’、232c’ 交じり合い層
232b 主発光層
233、233’ 電子輸送層