以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。また、図面は模式的なものであり、各部の厚みと幅との関係、各部の比率などは、現実と異なることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
(実施の形態1)
まず、実施の形態1について説明する。図1は、実施の形態1にかかる磁気アクチュエータの正面図であり、図2は、図1に示す磁気アクチュエータの右側面図である。図1および図2に示すように、実施の形態1にかかる磁気アクチュエータ1においては、端部が閉塞された略円筒形状の外装部品であるハウジング2外部に、磁界を発生できるコイル3およびコイル3と相対して配置されたコイル4が固定されている。また、図1および図2に示すように、磁気アクチュエータ1においては、ハウジング2の軸方向に移動可能である移動部材5を有する。移動部材5は、ハウジング2の右端部に移動部材5が軸方向に移動可能とするための通過口が設けられており、図1の矢印に示すように、ハウジング2の内外を出入する。この移動部材5の軸方向における移動によって、被駆動装置における所定動作の駆動が制御される。
つぎに、磁気アクチュエータ1の内部について説明する。図3は、図1におけるA−A線で磁気アクチュエータ1を径方向に切断した図であり、図4は、図1におけるB−B線で磁気アクチュエータ1を径方向に切断した図である。また、図5は、図3におけるC−C線で磁気アクチュエータ1を軸方向に切断した図である。
図3および図5に示すように、ハウジング2内においては、移動部材5と接続する円柱状の回転移動磁石6が設けられている。また、ハウジング2内には、ハウジング2内の内部空間として回転移動磁石6の径サイズに対応した内径を有し、移動部材5が磁気アクチュエータ1内に引き込まれた場合に、移動部材5の右端部が突出しない程度の軸方向の長さを有する誘導領域2aが設けられている。回転移動磁石6は、この誘導領域2a内に設けられている。また、図4および図5に示すように、ハウジング2内においては、内部空間を仕切る仕切りを隔てて回転移動磁石6と相対するように固定磁石7がハウジング2内に固定された状態で設けられている。固定磁石7は、磁化方向が磁気アクチュエータ1の径方向となるように固定されている。そして、回転移動磁石6は、磁気アクチュエータ1の軸心を中心として回転可能である。
回転移動磁石6および回転移動磁石6の右端部に接続する移動部材5は、誘導領域2a内をハウジング2の軸方向に沿って図5の左右に移動可能である。この誘導領域2aは、ハウジング2の軸方向に沿うように、後述するように発生した反発によって回転移動磁石6が移動する方向を制御する。回転移動磁石6は、図3および図5に示すように、固定磁石7の磁化方向を含む平面内で回転可能に配置されており、誘導領域2aの位置に対応してハウジング2外部に固定配置されたコイル3,4が誘導領域2a内に発生させた磁界によって、図3の矢印に示すように磁気アクチュエータ1の径方向に回転可能である。
ハウジング2外に設けられたコイル3,4は、接続する図示しない電力供給部から所定の電力を供給されることによって、誘導領域2a内に所定の磁界強度である磁界を発生させる。ハウジング2は、コイル3,4に固定されている。コイル3,4は、発生する磁界方向が、ハウジング2に対して磁化方向を含む平面内の回転が拘束された固定磁石7の磁化方向と所定の角度を有するように設置される。すなわち、図3の直線lcに示すように、コイル3,4は、固定磁石7の磁化方向を示す直線lgと所定の角度θを有するように設置される。
ここで、図6の曲線lk1,lk2に、―60°から60°の角度θで配置されたコイル3,4における回転移動磁石6が回転動作可能となる磁界強度を示す。図6の曲線lk1,lk2に示すように、角度θの絶対値が60°を超える場合、回転移動磁石6が回転可能となる磁界強度は急激に増加するため、回転移動磁石6は回転できない。角度θの絶対値が0°より大きく60°以下である場合、回転移動磁石6が回転可能となる。したがって、回転移動磁石6が回転するには、コイル3,4と固定磁石7の磁化方向を示す直線lgとが成す角度θの絶対値は、0°より大きく60°以下であることが望ましい。また、図6の曲線lk1,lk2に示すように、角度θが5°以上40°以下である場合、凹形状である曲線lk1,lk2の底部分を含むため、他の角度と比較して小さな磁界強度で回転移動磁石6が回転動作可能となる。このため、コイル3,4と固定磁石7の磁化方向を示す直線lgとが成す角度θは、5°以上40°以下であることがさらに望ましい。さらに、コイル3,4と固定磁石7の磁化方向を示す直線lgとが成す角度θを5°以上30°以下とすることによって、コイル3,4が印加する磁界の磁界強度が比較的小さい「G1」程度で回転移動磁石6を安定して回転させることができる。
つぎに、図7〜図9を参照して、磁気アクチュエータ1の動作について説明する。図7は、コイル3,4が印加する磁界強度の時間依存を示す図であり、図8は、図7に示す時間t1における磁気アクチュエータ1の軸方向の断面図であり、図9は、図7に示す時間t2における磁気アクチュエータ1の軸方向の断面図である。なお、磁気アクチュエータ1における角度θは、約5°から約30°のいずれかである。
まず、図7および図8に示すように、時間t1において、図5に示すOFF状態である磁気アクチュエータ1に対して、コイル3,4は、回転移動磁石6が回転可能である磁界強度G1以上の磁界M1を誘導領域2a内の径方向に印加する。磁界M1の方向は、図8に示すように、図8の下方向である。このため、回転移動磁石6は、磁界M1によって、矢印Y11に示すように、磁界M1の磁界の向きにしたがって図8の下方向に半回転する。この場合、回転移動磁石6の磁界の向きと固定磁石7との磁界の向きが一致するため、回転移動磁石6と固定磁石7との間において反発力H1が発生する。言い換えると、コイル3,4は、回転移動磁石6と固定磁石7とが互いに反発力を発生する方向に回転移動磁石6を相対的に回転させる磁界を発生している。
固定磁石7との間に発生した反発力H1によって、回転移動磁石6は、図9の矢印Y12に示すように、誘導領域2aに沿って図9の右方向に移動する。回転移動磁石6に接続する移動部材5は、回転移動磁石6の右方向の移動にともなって、図9の矢印Y13に示すように、磁気アクチュエータ1の右側面から図9の右方向に突出する。この結果、磁気アクチュエータ1がON状態とされる。
そして、図9に示す磁気アクチュエータ1のON状態を維持するには、図7の時間t2において示すように、回転移動磁石6の位置を誘導領域2aの右端部に維持すればよい。さらに、回転移動磁石6の磁界の方向をコイル3,4が発生させた磁界の方向と一致させた状態すなわち回転移動磁石6を再び回転させないように維持すればよい。ここで、回転移動磁石6は、磁気アクチュエータ1が駆動状態であるときには固定磁石7から離れてしまっているため、磁界強度G1より小さい磁界強度G2で回転移動磁石6の磁界の向きを磁界M1と同じ方向に維持できる。このため、図9に示す磁気アクチュエータ1のON状態を維持するには、図7に示すように、ON状態後の時間t2において、回転移動磁石6が再度半回転しない程度の磁界強度G2で、磁界M1と同方向の磁界を印加すれば足りる。
そして、磁気アクチュエータ1をOFF状態とするには、図7の時間t3において示すように、コイル3,4における磁界の印加を停止すればよい。この場合、回転移動磁石6を図8および図9の下方向に維持する磁界がなくなるため、回転移動磁石6は、図8および図9の上方向に回転し、固定磁石7との間で生じる引力によって、ハウジング2の中に引き込まれる。この結果、回転移動磁石6と接続する移動部材5もハウジング2内に引き込まれるため、磁気アクチュエータ1は、図5に示すOFF状態となる。
このように、実施の形態1にかかる磁気アクチュエータ1は、回転移動磁石6と固定磁石7との間に生じた反発力を利用して、移動部材5を磁気アクチュエータ1外に突出させて磁気アクチュエータ1を駆動するため、従来技術にかかる磁気アクチュエータと比して、迅速な動作を可能としている。また、実施の形態1によれば、一度ON状態となった後には磁界強度を下げてもON状態を維持できるため、エネルギー効率が高い磁気アクチュエータを実現することができる。
なお、実施の形態1においては、圧力センサ、接触センサ、通過センサ、回転センサ、コイルなどの磁気センサをさらに設けて、磁気アクチュエータ1の動作を検出してもよい。
(変形例1)
つぎに、実施の形態1における変形例1について説明する。図10は、変形例1にかかる磁気アクチュエータを軸方向に切断した図である。図10に示すように、変形例1にかかる磁気アクチュエータ11は、磁気アクチュエータ1と比して、図10の回転移動磁石6の左側に配置された固定磁石7aとともに、図10の誘導領域2a内に設置された回転移動磁石6の右側に固定して配置された固定磁石7bの二つの固定磁石を有する。言い換えると、回転移動磁石6が設置された誘導領域2aは、固定磁石7a,7bの間に設置される。固定磁石7bと固定磁石7aとは、磁化方向が異なる向きになるようにハウジング12内に固定配置されている。誘導領域2aは、固定磁石7aと固定磁石7bとの間に設置されることとなる。回転移動磁石6は、ハウジング12に対して回転移動磁石6の磁化方向を含む平面内で回転可能に設置される。
つぎに、図11〜図15を参照して、磁気アクチュエータ11の動作について説明する。図11は、コイル3,4が印加する磁界強度の時間依存を示す図であり、図12は、図11に示す時間t11における磁気アクチュエータ11の軸方向の断面図であり、図13は、図11に示す時間t12における磁気アクチュエータ11の軸方向の断面図であり、図14は、図11に示す時間t13における磁気アクチュエータ11の軸方向の断面図であり、図15は、図11に示す時間t14における磁気アクチュエータ11の軸方向の断面図である。なお、磁気アクチュエータ11における角度θは、磁気アクチュエータ1と同様に約5°から約30°のいずれかである。
まず、磁気アクチュエータ11をOFF状態からON状態に変化させる場合について説明する。図11および図12に示すように、コイル3,4は、時間t11において、図10に示すOFF状態である磁気アクチュエータ11に対して、回転移動磁石6が回転可能である磁界強度G1であって図12の下方向の向きを有する磁界M1を誘導領域2a内の径方向に印加する。このため、回転移動磁石6は、矢印Y14に示すように、磁界M1の磁界の向きにしたがって図12の下方向に半回転し、この結果、回転移動磁石6と固定磁石7aとの間において反発力H1が発生する。
そして、固定磁石7との間に発生した反発力H1によって、回転移動磁石6は、図13の矢印Y15に示すように、誘導領域2aに沿って図13の右方向に移動して移動部材5が磁気アクチュエータ11から突出し、磁気アクチュエータ11がON状態となる。誘導領域2a内に沿って右方向に移動した回転移動磁石6は、固定磁石7bとの間で発生した引力によって固定磁石7bと回転移動磁石6との間の仕切りに引き寄せられた状態となる。このため、図11に示すように、磁気アクチュエータ11は、磁気アクチュエータ11がON状態となった時間t12以降は、コイル3,4における磁界の印加を停止した場合であっても、ON状態を維持することができる。
つぎに、磁気アクチュエータ11をON状態からOFF状態に変化させる場合について説明する。図11の時間t13において、図14に示すように、回転移動磁石6が回転可能である磁界強度G1であって、時間t11において印加した磁界M1と逆の向きである上方向の向きを有する磁界M2を誘導領域2a内の径方向に印加する。このため、回転移動磁石6は、矢印Y16に示すように、磁界M2の磁界の向きにしたがって図14の上方向に半回転し、この結果、回転移動磁石6と固定磁石7bとの間において反発力H2が発生する。そして、固定磁石7bとの間に発生した反発力H2によって、回転移動磁石6は、図15の矢印Y17に示すように、誘導領域2aに沿って図15の左方向に移動して移動部材5がハウジング12内に引き入れられ、磁気アクチュエータ11がOFF状態となる。誘導領域2a内に沿って左方向に移動した回転移動磁石6は、固定磁石7aとの間で発生した引力によって固定磁石7aと回転移動磁石6との間の仕切りに引き寄せられた状態となる。このため、図11に示すように、磁気アクチュエータ11は、磁気アクチュエータ11がOFF状態となった時間t14以降は、コイル3,4における磁界の印加を停止した場合であっても、OFF状態を維持することができる。
変形例1によれば、回転移動磁石6の両側に磁界の向きがそれぞれ逆である固定磁石を設けることによって、ON状態またはOFF状態の変化時のみに磁界を発生すれば足りるため、エネルギー効率をさらに向上させた磁気アクチュエータを実現することができる。さらに、変形例1によれば、各ON状態またはOFF状態において、回転移動磁石6が固定磁石に吸着した状態になるので、ON状態またはOFF状態のいずれの状態でも、ON状態またはOFF状態における強い維持力を発生することができる。
(変形例2)
つぎに、実施の形態1における変形例2について説明する。図16は、変形例2にかかる磁気アクチュエータをコイルが設けられている箇所に対応させて径方向に切断した図である。図16に示すように、変形例2にかかる磁気アクチュエータ21は、磁界を発生する一組のコイル3,4を有する磁気アクチュエータ11に比して、磁界を発生する2組のコイル3a,3b,4a,4bを有する。コイル3aとコイル4aとが一組となって磁界を発生し、コイル3bとコイル4bとが一組となってコイル3a,4aが発生する磁界と逆向きの磁界を発生する。図16に示すように、コイル3a,4aは、磁気アクチュエータ11と同様に、固定磁石7の磁化方向を示す直線と60°以下の所定の角度を有するように設置される。そして、コイル3b,4bは、固定磁石7の磁化方向を示す直線と−60°以下の所定の角度を有するように設置される。
つぎに、図17〜図21を参照して、磁気アクチュエータ21の動作について説明する。図17は、コイル3a,3b,4a,4bが印加する磁界強度の時間依存を示す図であり、図18は、図17に示す時間t21〜t22における磁気アクチュエータ21の径方向の断面図であり、図19は、図17に示す時間t21〜t22における磁気アクチュエータ21の軸方向の断面図であり、図20は、図17に示す時間t23〜t24における磁気アクチュエータ21の径方向の断面図であり、図21は、図17に示す時間t23〜t24における磁気アクチュエータ21の軸方向の断面図である。図17における曲線l1は、コイル3a,4aが印加する磁界の磁界強度を示し、曲線l2は、コイル3b,4bが印加する磁界の磁界強度を示す。図19は、図18におけるD−D線断面図に対応し、図21は、図20におけるE−E線断面図に対応する。
まず、磁気アクチュエータ21をOFF状態からON状態に変化させる場合について説明する。この場合、二組のコイルのうちコイル3a,4aが磁界を発生する。図17の曲線l1、図18(1)に示すように、コイル3a,4aは、時間t21において、OFF状態である磁気アクチュエータ21に対して、回転移動磁石6が回転可能である磁界強度G1であって図18の右下方向の向きを有する磁界M3を誘導領域2a内の径方向に印加する。このため、図18(2)および図19(1)の矢印Y18aに示すように、回転移動磁石6は、磁界M3の磁界の向きにしたがって図18(2)および図19(1)の下方向に時計回りに半回転する。この結果、図19(1)に示すように、回転移動磁石6と固定磁石7aとの間において反発力H3が発生し、回転移動磁石6は、図19(2)の矢印Y18bに示すように、誘導領域2aに沿って図19(2)の右方向に移動し、磁気アクチュエータ21がON状態となる。その後、回転移動磁石6は、固定磁石7bとの間で発生した引力によって固定磁石7bと回転移動磁石6との間の仕切りに引き寄せられた状態となるため、図17および図18(3)に示すように、磁気アクチュエータ21は、ON状態となった時間t22以降は、コイル3a,4aにおける磁界の印加を停止した場合であっても、ON状態を維持することができる。
つぎに、磁気アクチュエータ21をON状態からOFF状態に変化させる場合について説明する。この場合、二組のコイルのうちコイル3b,4bが磁界を発生する。図17の時間t23において、図17の曲線l2、図20(1)に示すように、コイル3b,4bは、ON状態である磁気アクチュエータ21に対して、回転移動磁石6が回転可能である磁界強度G1以上であって図20の右上方向の向きを有する磁界M4を誘導領域2a内の径方向に印加する。このため、図20(2)および図21(1)の矢印Y19aに示すように、回転移動磁石6は、磁界M4の磁界の向きにしたがって図20(2)および図21(1)の上方向に半時計回りに半回転する。すなわち、回転移動磁石6は、コイル3a,4aによって磁界が印加された場合と逆方向に半回転する。この結果、図21(1)に示すように、回転移動磁石6と固定磁石7bとの間において反発力H4が発生し、回転移動磁石6は、図21(2)の矢印Y19bに示すように、誘導領域2aに沿って図21(2)左方向に移動し、移動部材5が磁気アクチュエータ21のハウジング12内に引き込まれ、磁気アクチュエータ21がOFF状態となる。その後、回転移動磁石6は、固定磁石7aとの間で発生した引力によって固定磁石7aと回転移動磁石6との間の仕切りに引き寄せられた状態となるため、図17および図20(3)に示すように、磁気アクチュエータ21は、OFF状態となった時間t24以降は、コイル3b,4bにおける磁界の印加を停止した場合であっても、OFF状態を維持することができる。
変形例2によれば、二組のコイルを設け、ON状態またはOFF状態の変化時に異なる向きの磁界を印加することによって、ON状態における回転移動磁石6の回転方向とOFF状態における回転移動磁石6の回転方向とを逆にすることができるため、移動部材5を同一方向に回転させるべきではない場合に適用することが可能になる。
(変形例3)
つぎに、実施の形態1における変形例3について説明する。図22は、変形例3にかかる磁気アクチュエータを軸方向に切断した図である。図22に示すように、変形例3にかかる磁気アクチュエータ31は、磁気アクチュエータ1と比して、ハウジング32内に、固定磁石7とともに、移動部材5a,5bとそれぞれ接続する複数の回転移動磁石6a,6bを有する。固定磁石7は、回転移動磁石6a,6bの間に設置される。磁気アクチュエータ31は、回転移動磁石6aに対応した誘導領域32a、コイル3a,4aと、回転移動磁石6bに対応した誘導領域32b、コイル3c,4cとを有するハウジング32を備える。誘導領域32aは、回転移動磁石6aが移動する方向を制御し、回転移動磁石6aは、誘導領域32a内に磁化方向を含む平面内で回転可能に設置され、誘導領域32bは、固定磁石7に対応した位置に設けられ、回転移動磁石6bが移動する方向を制御し、回転移動磁石6bは、誘導領域32b内に磁化方向を含む平面内で回転可能に設置される。コイル3a,4aとコイル3c,4cとは、誘導領域32aに加え、回転移動磁石6bが設置された誘導領域32b内に対しても磁界を発生させる。コイル3a,4aは、誘導領域32a内に磁界を発生させ、図示しない第1の外部装置に接続して電力を供給されている。コイル3a,4aは、第1の外部装置によって磁界の発生を制御されている。コイル3c,4cは、誘導領域32a内に磁界を発生させ、第1の外部装置とは異なる第2の外部装置に接続して電力を供給されている。コイル3c,4cは、第2の外部装置によって磁界の発生を制御されている。
つぎに、図23〜図25を参照して、磁気アクチュエータ31の動作について説明する。まず、回転移動磁石6aに接続する移動部材5aを磁気アクチュエータ31から突出させON状態とする場合について説明する。この場合、移動部材5aに対応するコイル3a,4aが磁界を発生し、回転移動磁石6aが回転可能である磁界強度G1であって図23の下方向の向きを有する磁界M5を誘導領域32a内の径方向に印加する。このため、図23の矢印Y21に示すように、回転移動磁石6aは、磁界M5の磁界の向きにしたがって図23の下方向に半回転する。この結果、図23に示すように、回転移動磁石6aと固定磁石7との間において反発力H5が発生し、回転移動磁石6aは、図24の矢印Y22に示すように、誘導領域32aに沿って図24の右方向に移動し、移動部材5aが突出し、ON状態となる。なお、磁気アクチュエータ31においては、磁気アクチュエータ1と同様に、移動部材5aを突出させてON状態となった後に、コイル3a,4aが磁界強度G1よりも強度が低く回転移動磁石6aが再度半回転しない程度の磁界強度G2を印加することによって、ON状態を維持することが可能である。
また、図25(1)に示すように、回転移動磁石6bに接続する移動部材5bを磁気アクチュエータ31から突出させON状態とする場合には、移動部材5bに対応するコイル3c,4cが、回転移動磁石6bが回転可能である磁界強度G1であって図25(1)の下方向の向きを有する磁界M6を誘導領域32b内の径方向に印加する。このため、図25(1)の矢印Y23に示すように、回転移動磁石6bは、磁界M6の磁界の向きにしたがって図25(1)の下方向に半回転し、回転移動磁石6bと固定磁石7との間において反発力H6が発生する。この結果、回転移動磁石6bは、図25(2)の矢印Y24に示すように、誘導領域32bに沿って図25(2)の左方向に移動し、移動部材5bが突出し、ON状態となる。なお、磁気アクチュエータ31においては、磁気アクチュエータ1と同様に、移動部材5bを突出させてON状態となった後に、コイル3c,4cが磁界強度G1よりも強度が低く回転移動磁石6bが再度半回転しない程度の磁界強度G2を印加することによって、ON状態を維持することが可能である。
このように、変形例3によれば、一つの固定磁石7によって二つの回転移動磁石の駆動が可能であるため、磁気アクチュエータ1と比して、さらに省スペース化を図ることが可能になる。さらに、変形例3によれば、コイル3a,4aおよびコイル3c,4cを異なる外部装置によって異なるタイミングで磁界を発生させることによって、移動部材5a,5bをそれぞれ異なるタイミングで動作させるほか、コイル3a,4aおよびコイル3c,4cを同一の外部装置によって磁界を発生させることによって、移動部材5a,5bを同時に動作させてもよい。
なお、変形例3においては、異なる磁界強度を与えることによって、回転移動磁石6a,6bを移動させ、移動部材5a,5bの動作の切り替えを行ってもよい。たとえば、図26に示すように、磁気アクチュエータ31におけるコイル3a,3c,4a,4cに代えて、巻き数が異なるコイル43a,43c,44a,44cを有する磁気アクチュエータ41aについて説明する。磁気アクチュエータ41aにおいては、コイル43aとコイル43cとは、直列に接続されており、コイル44aとコイル44cとは、直列に接続されている。また、コイル43a,43c,44a,44cは、同一の外部装置の電力供給によって磁界を発生する。また、コイル44a,44cは、コイル43a,43cと比較し巻き数が多いため、同一の電力を供給された場合、コイル43a,43cよりも大きな磁界強度である磁界を発生できる。
つぎに、図27および図28を参照して磁気アクチュエータ41aの動作について説明する。図27は、コイル43a,43c,44a,44cに供給される電流値の時間依存を示す図であり、図28は、図27に示す時間t41〜t44における磁気アクチュエータ41aの軸方向の断面図である。まず、移動部材5bをON状態とする場合について説明する。この場合、図27に示すように、時間t41において、コイル43a,43c,44a,44cに対して、コイル43c,44cにおいて回転移動磁石6bが回転可能である磁界強度G1の磁界を発生できる電流値A11以上の電流が供給される。この結果、図28(1)に示すように、コイル43c,44cは誘導領域32bの径方向に磁界強度G1の磁界M7を印加する。このため、図28(1)に示すように、回転移動磁石6bは、磁界M7の磁界の向きにしたがって半回転し、回転移動磁石6bと固定磁石7との間において反発力H7が発生する。この結果、回転移動磁石6bは、図28(2)に示すように、誘導領域32bに沿って図28(2)の左方向に移動し、移動部材5bがON状態となる。そして、移動部材5bのON状態を維持するためには、コイル43a,43c,44a,44cに対して、コイル43c,44cにおいて移動部材5bのON状態を維持可能である磁界強度G2の磁界を発生できる電流値A21以上の電流を供給すれば足りる。
つぎに、移動部材5aをON状態とする場合について説明する。この場合、図27に示すように、時間t42において、コイル43a,43c,44a,44cに対して、コイル43a,44aにおいて回転移動磁石6aが回転可能である磁界強度G1よりも大きい磁界強度の磁界を発生できる電流値A12が供給される。この結果、図28(2)に示すように、コイル43a,44aは誘導領域32aの径方向に磁界強度G1の磁界M8を印加する。このため、図28(2)に示すように、回転移動磁石6aは、磁界M8の磁界の向きにしたがって半回転し、回転移動磁石6aと固定磁石7との間において反発力H8が発生する。この結果、回転移動磁石6aは、図28(3)に示すように、誘導領域32aに沿って図28(3)の左方向に移動し、移動部材5aがON状態となる。そして、移動部材5aのON状態を維持するためには、コイル43a,43c,44a,44cに対して、コイル43a,44aにおいて移動部材5aのON状態を維持可能である磁界強度G2よりも大きい磁界強度の磁界を発生できる電流値A22を供給すれば足りる。
つぎに、移動部材5aをOFF状態にする場合について説明する。この場合、図27に示すように、時間t43において、コイル43a,43c,44a,44cに対して供給する電流値を、コイル43a,44aにおいて移動部材5aのON状態を維持可能である磁界強度G2を発生できる電流値A22よりも低くすればよい。この結果、図28(3)に示すように、誘導領域32a内には、コイル43a,44aによって印加される磁界の向きと同等の向きを維持することができなくなり、上方向に回転する。そして、回転移動磁石6aは、固定磁石7との間による引力によって、固定磁石7側に移動し、これにともなって、固定移動磁石6aに接続する移動部材5aは、磁気アクチュエータ41aのハウジング32内に引き込まれ、OFF状態となる。そして、図27に示すように、時間t44において、コイル43a,43c,44a,44cに対して供給する電流値を停止して磁界の印加を停止することによって、図28(4)に示すように、誘導領域32b内には、コイル43c,44cによって印加される磁界の向きと同等の向きを維持することができなくなり、上方向に回転する。そして、回転移動磁石6bは、固定磁石7との間による引力によって、固定磁石7側に移動し、これにともなって、固定移動磁石6bに接続する移動部材5bは、磁気アクチュエータ41aのハウジング32内に引き込まれ、OFF状態となる。
このように、各回転移動磁石6a,6bが移動するために供給される電流値が異なるように設定できるコイル43a,44a,43c,44cとコイル43a,44a,43c,44cに電力を供給する外部装置とを設けることによって、移動部材5a,5bの動作を切り替え、動作自由度の高い磁気アクチュエータ41aを実現することができる。
また、巻き数の異なるコイルを設けるほか、各回転移動磁石6a,6bが移動する磁界強度が異なるように設定して移動部材5a,5bの動作切り替えを行ってもよい。たとえば、図29の磁気アクチュエータ41bに示すように、固定磁石7と各回転移動磁石6a,6bとの距離を変えて、各回転移動磁石6a,6bが移動する磁界強度が異なるように設定する。この場合、回転移動磁石6aは、厚さD1の仕切りで固定磁石7と隔てられており、回転移動磁石6bは、D1よりも厚い厚さD2の仕切りで固定磁石7と隔てられている。このため、回転移動磁石6bは、回転移動磁石6aと比較して、固定磁石7との間の引力の作用が低いため、回転移動磁石6aよりも弱い磁界強度の磁界の印加によって回転可能となる。
このため、図30に示すように、磁気アクチュエータ41bにおいては、時間t45において、コイル3,4は、回転移動磁石6bが回転可能である磁界強度G11よりも強い磁界強度の磁界を誘導領域32a,32b内に印加することによって、回転移動磁石6bを回転させ、回転移動磁石6bと固定磁石7との間における反発力をもとに、回転移動磁石6bを移動させて、移動部材5bをON状態とする。そして、コイル3,4は、磁界強度G21を下限として磁界強度を弱くし、移動部材5bのON状態を維持する。つぎに、コイル3,4は、図30の時間t46において、回転移動磁石6aが回転可能である磁界強度G12よりも強い磁界強度の磁界を誘導領域32a,32b内に印加することによって、回転移動磁石6aを回転させ、回転移動磁石6aと固定磁石7との間における反発力をもとに、回転移動磁石6aを移動させて、移動部材5aをON状態とする。そして、コイル3,4は、磁界強度G22を下限として誘導領域32a,32b内に印加する磁界強度を弱くし、移動部材5aのON状態を維持する。そして、図30の時間t47において、コイル3,4は、誘導領域32a,32b内に印加する磁界の磁界強度をG22以下に弱めて、回転移動磁石6aを固定磁石7側に移動させて移動部材5aをOFF状態とする。さらに、図30の時間t48において、コイル3,4は、回転移動磁石6aに印加する磁界を停止し、回転移動磁石6bを固定磁石7側に移動させて移動部材5bをOFF状態とする。
このように、回転移動磁石6a,6bと固定磁石7との間の距離を変えて回転移動磁石6a,6bが移動可能となる磁界強度を変えることによって、一組のコイルを用いるにもかかわらず移動部材5a,5bを別々に駆動させることができ、動作自由度の高い磁気アクチュエータ41bを実現することができる。
また、図31の磁気アクチュエータ41cに示すように、回転移動磁石6a,6bのサイズを変えて、回転移動磁石6a,6bが移動可能となる磁界強度を変えてもよい。磁気アクチュエータ41cにおいては、磁石サイズがS2である回転移動磁石6bよりも大きな磁石サイズS1の回転移動磁石6aを備えることによって、回転移動磁石6bを回転移動磁石6aよりも弱い磁界強度の磁界の印加によって回転可能としている。また、図32の磁気アクチュエータ41dに示すように、回転移動磁石6aにおいて、固定磁石7との間に設けられた仕切りと接触する面上に、摩擦力が高い高摩擦部材8を設けることによって、回転移動磁石6a,6bが移動可能となる磁界強度を変えてもよい。回転移動磁石6aは、回転移動磁石6bと比して回転時における摩擦力が高く回転が抑制されるため、回転移動磁石6bと比較し大きな磁界強度で回転可能となる。磁気アクチュエータ41c,41dにおいては、磁気アクチュエータ41bと同様に、図30に示すように誘導領域32a,32bに印加する磁界の磁界強度を変えることによって、移動部材5a,5bの駆動を制御することができる。
(変形例4)
つぎに、実施の形態1における変形例4について説明する。図33は、変形例4にかかる磁気アクチュエータを軸方向に切断した図である。図33に示すように、変形例4にかかる磁気アクチュエータ51aは、磁気アクチュエータ1と比して、回転移動磁石6における磁気アクチュエータ51aの径方向の回転を阻害しないように回転移動磁石6を内部に収容した筐体56と、この筐体56の下端に移動部材5が接続されている。また、ハウジング52内には、回転移動磁石6が配置され、この回転移動磁石6が図33に示す磁気アクチュエータ51a内において図33の上下方向に移動可能とする内部空間である誘導領域52aが設けられている。また、固定磁石7は、磁気アクチュエータ51aの軸心に対して傾斜した角度で、磁気アクチュエータ51a内に固定されている。
つぎに、磁気アクチュエータ51aの動作について説明する。まず、磁気アクチュエータ51aをOFF状態からON状態とするためには、図34(1)に示すように、まず、コイル3,4は、回転移動磁石6が回転可能である磁界強度よりも強い磁界強度の磁界M9を誘導領域52a内に印加する。この結果、図34(1)の矢印Y25に示すように、回転移動磁石6は、磁界M9の磁界の向きにしたがって図34(1)の下方向に半回転する。そして、図34(2)に示すように、回転移動磁石6と固定磁石7との間において反発力H9が発生する。この反発力H9によって、回転移動磁石6は、図34(3)の矢印Y26に示すように、誘導領域52aに沿って図34の下方向に移動する。この回転移動磁石6の移動によって、移動部材5が磁気アクチュエータ51aのハウジング52から突出し、磁気アクチュエータ51aがON状態となる。なお、磁気アクチュエータ51aのON状態を維持するためには、回転移動磁石6が回転可能である磁界強度よりも弱い磁界強度であって、回転移動磁石6の誘導領域52aの下端部における配置状態を維持できる程度に強い磁界強度で磁界を印加し続ける必要がある。
このように、変形例4によれば、固定磁石7の向きおよび誘導領域52aにおける回転移動磁石6の移動方向を変えることによって、磁気アクチュエータの径方向に移動部材5を移動することができ、さらに設計自由度の高い磁気アクチュエータを実現することが可能になる。
なお、図35の磁気アクチュエータ51bに示すように、ハウジング52b内に誘導領域52cを磁気アクチュエータ51bの軸心に対して傾斜した角度で設けることによって、移動部材5を磁気アクチュエータの軸心に対して傾斜した角度で駆動させることも可能である。この磁気アクチュエータ51bをOFF状態からON状態とするためには、図35(1)に示すように、コイル3,4は、回転移動磁石6が回転可能である磁界強度よりも強い磁界強度の磁界M10を誘導領域52c内に印加し、図35(1)の矢印Y27に示すように、回転移動磁石6を回転させる。そして、図35(2)に示すように、回転移動磁石6と固定磁石7との間において反発力H10が発生し、この反発力H10によって、回転移動磁石6は、図35(3)の矢印Y28に示すように、誘導領域52cに沿って磁気アクチュエータの軸心に対して図35(3)の下方向に傾斜した角度で移動する。この回転移動磁石6の移動によって、移動部材5が磁気アクチュエータ51bのハウジング52bから突出し、磁気アクチュエータ51bがON状態となる。なお、磁気アクチュエータ51bのON状態を維持するためには、磁気アクチュエータ51aと同様に、回転移動磁石6が回転可能である磁界強度よりも弱い磁界強度であって、回転移動磁石6の誘導領域52cの下端部における配置状態を維持できる程度に強い磁界強度で磁界を印加し続ける必要がある。
(変形例5)
つぎに、実施の形態1における変形例5について説明する。図36は、変形例5にかかる磁気アクチュエータを軸方向に切断した図である。図36(1)に示すように、変形例5にかかる磁気アクチュエータ61は、磁気アクチュエータ1と比して、回転移動磁石6の表面上に、誘導領域2aと回転移動磁石6との摩擦を軽減する摩擦低減部材9を有する。さらに、誘導領域2aの内表面上においても、回転移動磁石6と接触する領域すべてに摩擦低減部材9が設けられている。このため、磁気アクチュエータ61においては、回転移動磁石6が、摩擦低減部材9が設けられていない場合と比較し、弱い磁界強度で回転可能となる。
したがって、図36(1)の矢印Y29に示すように、コイル3,4は、回転移動磁石6が回転可能である磁界強度G1よりも弱い磁界強度の磁界M11を印加することによって、回転移動磁石6は回転可能である。さらに、回転移動磁石6の表面上に設けられた摩擦低減部材9と、誘導領域2aの表面上に設けられた摩擦低減部材9とが互いに接触するため、図36(2)および図36(3)に示すように、固定磁石7との間で発生した反発力H11に起因する移動も円滑に行われ、図36(3)の矢印Y30に示すように、移動部材5が磁気アクチュエータ61のハウジング2外に突出しON状態となる。
このように、変形例6によれば、摩擦低減部材9を設けて回転移動磁石6の移動時における摺動性を向上させることによって、磁気アクチュエータ61に印加する磁界の磁界強度を低減でき、エネルギー効率をさらに向上させた磁気アクチュエータ61を実現することができる。
なお、回転移動磁石6の表面上または誘導領域2aの内表面上のいずれかに摩擦低減部材9を設けた場合であっても、磁気アクチュエータ1と比較し、回転移動磁石6の移動時における摺動性を向上させることができるため、磁気アクチュエータのエネルギー効率を向上させることが可能になる。
(実施の形態2)
つぎに、実施の形態2について説明する。図37は、実施の形態2にかかる磁気アクチュエータの正面図であり、図38は、図37におけるF−F線で磁気アクチュエータを径方向に切断した図であり、図39は、図37におけるG−G線で磁気アクチュエータを径方向に切断した図である。また、図40は、図38におけるH−H線で磁気アクチュエータを軸方向に切断した図である。
図37に示すように、実施の形態2にかかる磁気アクチュエータ201においては、端部が閉塞された略円筒形状の外装部品であるハウジング202外部に、磁気を発生できるコイル203およびコイル203と相対して配置されたコイル204が固定されている。また、磁気アクチュエータ201は、磁気アクチュエータ1と同様に、ハウジング202の軸方向に移動可能である移動部材5を有する。
また、図39および図40に示すように、ハウジング202内においては、内部空間を仕切る仕切りを隔てて移動磁石207と相対するように回転磁石206が設けられている。回転磁石206は、磁気アクチュエータ201の軸心を中心として回転可能である。すなわち、回転磁石206は、ハウジング202に対して回転磁石206の磁化方向を含む平面内で回転可能に配置されており、回転磁石206の配置位置に対応してハウジング202外部に固定配置されたコイル203,204が誘導領域202a内に発生させた磁界によって、図38の矢印に示すように磁気アクチュエータ201の径方向に回転可能である。
また、コイル203,204は、実施の形態1と同様に、図示しない接続する外部装置による電力の供給によって、回転磁石206に対して磁界を発生させる。そして、コイル203,204は、直線lc2に示すように、移動磁石207の磁化方向を示す直線lg2と所定の角度θ2を有するように設置される。所定の角度θ2は、実施の形態1と同様に、60°以下であることを要し、特に、5°以上40°以下であることが望ましく、さらに、5°以上30°以下とすることによって、コイル203,204が印加する磁界の磁界強度を弱くできるとともに、回転磁石206の安定した回転を実現することができる。
また、図38〜図40に示すように、ハウジング202内には、ハウジング202内の内部空間として移動磁石207の径サイズに対応した内径を有し、移動部材5が磁気アクチュエータ201のハウジング202内に引き込まれた場合に、移動部材5の右端部が突出しない程度の軸方向の長さを有する誘導領域202aが設けられている。移動磁石207は、この誘導領域202a内にハウジング202に対して回転が拘束された状態で設置されている。また、移動磁石207は、ハウジング202の径方向に磁化方向が固定された状態で配置されている。移動磁石207は、凹部207tを有する。誘導領域202aの内表面には、突起部202bが設けられており、この突起部202bと移動磁石207の凹部207tとが噛み合うことによって、図39の矢印に示すように、移動磁石207における磁気アクチュエータ201の径方向の回転が拘束される。このため、移動磁石207は、回転することなく、誘導領域202a内を図40の左右方向に移動する。したがって、移動磁石207に接続する移動部材5も、回転することなく磁気アクチュエータ201の内外を出入する。
つぎに、図41および図42を参照して、磁気アクチュエータ201の動作について説明する。まず、図40に示すOFF状態の磁気アクチュエータ201をON状態にするには、図41に示すように、コイル203,204は、回転磁石206が回転可能である磁界強度の磁界M12を磁気アクチュエータ201の径方向に印加する。この結果、回転磁石206は、磁界M12によって、矢印Y31に示すように、磁界M12の磁界の向きにしたがって図41の下方向に半回転する。この結果、回転磁石206と移動磁石207との間において反発力H12が発生する。
移動磁石207との間に発生した反発力H12によって、回転磁石206は、図42の矢印Y32に示すように、誘導領域202aに沿って図42の右方向に移動する。回転磁石206に接続する移動部材5は、回転磁石206の右方向の移動にともなって、図42の矢印Y33に示すように、磁気アクチュエータ201の右側面から図42の右方向に突出する。この結果、磁気アクチュエータ201がON状態とされる。そして、磁気アクチュエータ201においては、磁気アクチュエータ1と同様に、移動部材5を突出させてON状態となった後に、コイル203,204が、回転磁石206が回転可能である磁界強度よりも強度が低く回転磁石206が再度半回転しない程度の磁界強度を印加することによって、ON状態を維持することが可能である。さらに、磁気アクチュエータ201においては、磁気アクチュエータ1と同様に、コイル203,204による磁界の印加を停止することによって、ON状態からOFF状態にすることが可能である。
このように、実施の形態2によれば、回転磁石206と移動磁石207との間に生じた反発力を利用して磁気アクチュエータ201を駆動するため、実施の形態1における効果と同様の効果を奏することが可能になる。また、実施の形態2によれば、磁気アクチュエータ201動作時に移動部材5が回転しないため、移動部材5を回転させるべきではない場合に適用することが可能になり、さらに設計の自由度を向上させることが可能になる。また、磁気アクチュエータ201においては、磁界を発生させるコイル3,4を誘導領域2aに対応する領域すべてに配置した磁気アクチュエータ1と比して、コイル203,204を回転磁石206近傍に設ければ足りるため、コイルを小型化でき、さらにエネルギー効率を向上させることができる。
(変形例1)
つぎに、実施の形態2における変形例1について説明する。図43は、変形例1にかかる磁気アクチュエータを軸方向に切断した図である。図43に示すように、変形例1にかかる磁気アクチュエータ211は、磁気アクチュエータ201と比して、回転が拘束された状態でハウジング212内に設置された移動磁石207の左側に配置された回転磁石206aとともに、回転が拘束された移動磁石207の右側に配置された回転磁石206bの二つの回転磁石を有する。この回転磁石206a,206bは、ハウジング212に対して各磁化方向を含む平面内で回転可能に設置される。また、ハウジング212外には、回転磁石206aに磁界を印加するコイル203a,204aと、回転磁石206bに磁界を印加するコイル203b,204bが設置されている。コイル203a,204aおよびコイル203b,204bは、コイル203,204と同様に、移動磁石207の磁化方向を示す直線lg2と60°以下の所定の角度θ2を有するように設置される。また、磁気アクチュエータ211においては、磁気アクチュエータ201と比して、移動部材5は、移動磁石207の径方向の端部に接続しており、磁気アクチュエータ211外に常に突出した状態で、図43の左右方向に移動可能である。コイル203a,204aは、図示しない第1の電力供給部によってそれぞれの磁界の発生を制御されている。コイル203b,204bは、図示しない第2の電力供給部によってそれぞれの磁界の発生を制御されている。
つぎに、図44および図45を参照して、磁気アクチュエータ211の動作について説明する。図44は、コイル203a,204a,203b,204bが印加する磁界強度の時間依存を示す図であり、図45は、図43に示す磁気アクチュエータ211の軸方向の断面図である。図44における曲線l21は、コイル203a,204aが印加する磁界の磁界強度を示し、曲線l22は、コイル203b,204bが印加する磁界の磁界強度を示す。
まず、移動部材5を図45(1)に示す位置P1に位置させる場合について説明する。図44の曲線l22および図45(1)に示すように、時間t211において、コイル203b,204bは、回転磁石206bに対して、回転磁石206bが回転可能である磁界強度G3であって移動磁石207の磁界の向きと一致する向きの磁界M13を印加する。このため、回転磁石206bは、図45(1)に示すように、磁界M13の磁界と同じ向きとなり、回転磁石206bと移動磁石207との間において反発力H13が発生する。移動磁石207は、この反発H13によって誘導領域212aの左側の位置P1に移動することとなる。ここで、回転磁石206aには、磁界が印加されていないため、回転磁石206aは移動磁石207の磁界の向きと逆となるように回転する。この結果、移動磁石207と回転磁石206aとの間に発生した引力によって、移動磁石207に接続する移動部材5は、図45(1)に示すように、誘導領域212aの左側の位置P1に安定して位置することができる。このように、移動部材5を誘導領域212aの左側の位置P1に移動させるためには、コイル203b,204bに所定強度の磁界を発生させればよい。
つぎに、移動部材5を図45(2)に示す位置P2に移動させる場合について説明する。図44の曲線l21および図45(2)に示すように、時間t212において、コイル203a,204aは、回転磁石206aに対して、回転磁石206aが回転可能である磁界強度G3以上であって移動磁石207の磁界の向きと一致する向きの磁界M14を印加する。このため、回転磁石206aは、図45(2)に示すように、磁界M14の磁界と同じ向きとなり、回転磁石206aと移動磁石207との間において反発力H14が発生する。移動磁石207は、この反発力H14の作用によって図45(2)に示す矢印Y35の方向に移動する。さらに、図44および図45(2)に示すように、コイル203b,204bにおける磁界印加は継続するため、移動磁石207に接続する移動部材5は、回転磁石206aとの間の反発H14および回転磁石206bとの間の反発力H13の双方の作用によって、誘導領域212a中央の位置P2に位置可能となる。このように、移動部材5を誘導領域212aの中央の位置P2に移動させるためには、コイル203a,204aおよびコイル203b,204bの双方に所定強度の磁界を発生させればよい。
つぎに、移動部材5を図45(3)に示す位置P3に位置させる場合について説明する。図44の曲線l22および図45(3)に示すように、時間t213において、コイル203b,204bによる磁界の印加を停止する。このため、回転磁石206aのみに、回転磁石206bが回転可能である磁界強度G3以上であって移動磁石207の磁界の向きと一致する向きの磁界M14が印加されている。したがって、図45(3)に示すように、回転磁石206aは、移動磁石207の磁界の向きと一致する向きを維持するため、回転磁石206aと移動磁石207との間における反発力H14は維持されたままである。この結果、移動磁石207は、この反発力H14によって誘導領域212aの右側の位置P3に移動することとなる(図45(3)の矢印Y37参照)。なお、回転磁石206bには、磁界が印加されていないため、回転磁石206bは移動磁石207の磁界の向きと逆となるように回転する(図45(3)の矢印Y36参照)。この結果、移動磁石207と回転磁石206bとの間に発生した引力によって、移動磁石207に接続する移動部材5は、図45(3)に示すように、誘導領域212aの右側の位置P3に安定して位置することができる。このように、移動部材5を誘導領域212aの中央の位置P3に移動させるためには、コイル203a,204aに所定強度の磁界を発生させればよい。
このように、変形例1によれば、各コイルにおける磁界の発生を制御することによって、移動部材5の3種類の配置位置を制御することが可能になり、被駆動装置に対してさらに複雑な制御を行なうことが可能になる。
(変形例2)
つぎに、実施の形態2における変形例2について説明する。図46は、変形例2にかかる磁気アクチュエータを軸方向に切断した図である。図46に示すように、変形例2にかかる磁気アクチュエータ221は、磁気アクチュエータ201と比して、ハウジング222内に、回転磁石206が設置された誘導領域222aを有する。この誘導領域222aは、回転磁石206と移動磁石207との間に発生した反発力によって回転磁石206が相対的に移動する方向を制御する。このため、回転磁石206が磁気アクチュエータ221の軸方向に移動可能である。そして、磁気アクチュエータ221は、移動磁石207に接続する移動部材5aとともに、回転磁石206に接続する移動部材5bをさらに備える。移動部材5bは、回転磁石206の回転にともなって回転する。
つぎに、図47を参照して磁気アクチュエータ221の動作について説明する。図47(1)に示すように、コイル203,204は、回転磁石206が回転可能である磁界強度であって移動磁石の磁界の向きと一致する向きの磁界M15を回転磁石206に印加する。この場合、回転磁石206は、図47(1)の矢印Y38に示すように、磁界M15にしたがって図47(1)の下方向に半回転する。この結果、回転磁石206と移動磁石207との間において反発力H15が発生する。そして、発生した反発力H15によって、移動磁石207は、図47(2)の矢印Y39に示すように、誘導領域202aに沿って図47(2)の右方向に移動し、移動部材5aは、移動磁石207の右方向の移動にともなって、図47(2)の右方向に突出する。また、発生した反発力H15によって、回転磁石206は、図47(2)の矢印Y40に示すように、誘導領域222aに沿って図47(2)の左方向に移動し、移動部材5bは、回転磁石206の移動にともなって、図47(2)の左方向に突出する。
このように、変形例2によれば、回転磁石206に対しても誘導領域222aを設けることによって、移動部材による2方向の同時駆動が可能になるため、磁気アクチュエータ201と比して、省スペース化を図ることが可能になる。
(実施の形態3)
つぎに、実施の形態3について説明する。図48は、実施の形態3にかかる磁気アクチュエータを軸方向に切断した図である。図49は、図48に示す磁気アクチュエータをI−I線で径方向に切断した断面図である。
図48に示すように、実施の形態3にかかる磁気アクチュエータ301は、回転移動磁石6と、回転可能である回転磁石206とを有する。回転移動磁石6は、誘導領域2a内に設置され回転し誘導領域2a内を磁気アクチュエータ301の軸方向に移動可能である。回転磁石206と回転移動磁石6とは、ハウジング302に対して磁化方向を含む平面内でそれぞれ回転可能に配置されている。また、回転磁石206は、エンコーダ310と接続している。エンコーダ310は、回転磁石206の回転動作にともなって回転する。また、回転移動磁石6は、回転磁石206と比してサイズが大きい。言い換えると、回転磁石206と回転移動磁石6とは、それぞれ異なる磁界強度を有する。このため、回転移動磁石6は、回転磁石206が回転可能となる磁界強度よりも強い磁界強度の磁界が印加されることによって回転可能になる。
図49に示すように、磁気アクチュエータ301は、コイル303a,304a、コイル303b,304b、コイル303c,304c、コイル303d,304dの4組のコイルを有する。この各組のコイルは、回転移動磁石6および誘導領域2aに対して磁界を順次発生させることによって、回転移動磁石6および回転磁石206が回転可能な平面内に複数の磁界を発生して、磁気アクチュエータ301の軸心を中心に回転する回転磁界を印加できる。磁気アクチュエータ301においては、磁気アクチュエータ301に印加する磁界の磁界強度を変えることによって、図48の上図に示すA状態あるいは図48の下図に示すB状態のいずれかの状態で、回転磁石206を回転させ、エンコーダ310を回転させることが可能である。
つぎに、図48、図49とともに図50、図51を参照して、磁気アクチュエータ301の動作について説明する。図50の曲線l31は、コイル303a,304a、コイル303b,304b、コイル303c,304c、コイル303d,304dのうち、コイル303a,304aが印加する磁界強度の時間依存を示す図であり、図51は、図50に示す時間t312〜t313における磁気アクチュエータ301の軸方向の断面図である。
まず、図50の時間t311〜t312においては、曲線l31に示すように、コイル303a,304a、コイル303b,304b、コイル303c,304c、コイル303d,304dの各組のコイルに磁界強度G41を下回る磁界強度の磁界を順次発生させ、磁気アクチュエータ301に回転磁界M16を印加する。この場合、印加される回転磁界M16の磁界強度が弱いため、回転磁石206と回転移動磁石6とは、互いの引力によって仕切りを介して一体となって回転する。この結果、図48の上図における矢印Y41に示すように、回転磁石206に接続するエンコーダ310は、回転磁石206の回転にともなって回転する。
つぎに、移動部材5を突出させ磁気アクチュエータ301をON状態とするためには、回転移動磁石6および回転磁石206の磁化方向を検出し、実施の形態1と同様に、検出した磁化方向との角度差が60°以内となる強磁界を発生させる。たとえば、検出した磁化方向が図49に示す直線lm3である場合には、この直線lm3と60°以内の角度θ3を有する直線lg3に対応するコイル303a,304aが強磁界を発生する。この場合、エンコーダ310の回転の有無によって、回転磁石6が回転することを検出してから、移動部材5を突出させるための磁界を印加する。図50の時間t312において、図51(1)に示すように、コイル303a,304aは、誘導領域2a内の径方向に、回転移動磁石6が印加される磁界の向きと同一の向きに固定される磁界強度G42を少なくとも超える磁界強度の磁界M18を印加する。この場合、回転移動磁石6は、図51(1)の矢印Y43に示すように、磁界M18の向きにしたがって、図51(1)の下方向に磁界が向くように回転する。この結果、回転移動磁石6と回転磁石206との間において反発力H18が発生する。
この反発力H18によって、回転移動磁石6と回転磁石206とは反発し、図51(2)の矢印Y44に示すように、回転移動磁石6は、誘導領域2aに沿って、図51(2)の右方向に移動する。この場合、移動部材5も回転移動磁石6の移動にしたがって、磁気アクチュエータ301のハウジング302外に突出し、磁気アクチュエータ301はON状態となる。
さらに、磁気アクチュエータ301をON状態としたまま移動部材5を回転させる場合について説明する。この場合、図50の時間t313において、図48の下図に示すように、コイル303a,304a、コイル303b,304b、コイル303c,304c、コイル303d,304dの各組のコイルに磁界強度G41を上回る磁界強度の磁界を順次発生させ、磁気アクチュエータ301に回転磁界M17を印加する。この磁界強度G41は、図48の上図に示すA状態に変化する閾値である。この磁界強度G41を上回る磁界強度の回転磁界M17を印加し続けることによって、図48の下図に示すB状態を維持することができ、図48の下図における矢印Y42に示すように、磁気アクチュエータ301をON状態としたまま移動部材5を回転させることができる。また、回転磁界M17の印加によって、回転磁石206も回転するため、回転磁石206に接続するエンコーダ310の回転を検出することによって、移動部材5の回転動作が正常に行われているか否かを判断することが可能になる。
このように、実施の形態3によれば、回転磁石206にエンコーダ310を接続することによって、エンコーダ310による回転動作と移動部材5による突出動作の2種類の動作が可能になるため、駆動装置に対してさらに複雑な制御を行なうことが可能になる。
(変形例1)
つぎに、実施の形態3における変形例1について説明する。図52は、変形例1にかかる磁気アクチュエータを軸方向に切断した図である。図52に示すように、変形例1にかかる磁気アクチュエータ311は、磁気アクチュエータ301と比して、回転移動磁石6の回転磁石206側の表面上に高摩擦部材8を設けた構造を有する。回転移動磁石6は、回転磁石206側の仕切りと接触していた場合には、高摩擦部材8によって回転が拘束される。
このため、図52(1)に示すように、回転磁界M16が印加されていた場合であっても、回転移動磁石6は回転しない。そして、図52(2)に示すように、強い磁界強度である磁界M18が印加されることによって、磁界M18の磁界の向きにしたがって矢印Y43aのように回転磁石206が回転し、回転移動磁石6の磁界の向きと回転磁石206の磁界の向きとが一致する。この結果、回転移動磁石6と回転磁石206との間に反発力H18が発生し、図52(3)に示すように、反発力H18によって、回転移動磁石6が回転磁石206側の仕切りから離れて、図52(3)の右方向に移動し、磁気アクチュエータ311は、ON状態となる。この場合、回転移動磁石6表面上の高摩擦部材8が回転磁石206側の仕切りから離れるため、回転移動磁石6は、回転の拘束が解除され、回転可能になる。この結果、図52(3)に示すように、回転移動磁石6は、回転磁界M17の印加によって、回転磁石206とともに例えば図52(3)の矢印Y45の方向に回転する。
このように、変形例1によれば、回転移動磁石6の回転磁石206側に高摩擦部材8を設けることによって、移動部材5が突出して磁気アクチュエータ311がON状態となった場合にのみ、回転移動磁石6を回転させることが可能になる。
また、図53の磁気アクチュエータ321に示すように、回転移動磁石6において、回転磁石206側と逆側の面に高摩擦部材8を設けてもよい。図53(1)に示すように、回転磁界M16を印加された場合、回転移動磁石6は、回転磁石206側に位置するため、高摩擦部材8は他の部材と接触することがない。この場合、回転移動磁石6は、高摩擦部材8による回転の拘束を受けることがないため、矢印Y46に示すように、矢印Y41のように回転する回転磁石206と同様に回転可能である。一方、図53(2)に示すように、磁気アクチュエータ321がON状態である場合、すなわち、移動部材5が磁気アクチュエータ321のハウジング302外に突出した状態である場合、回転移動磁石6上の高摩擦部材8とハウジング302の内表面が接触した状態となる。この場合に、磁気アクチュエータ321に回転磁界M17が印加された場合、回転移動磁石6の回転が拘束され、回転磁石6のみが矢印Y42に示すように回転する。
磁気アクチュエータ321によれば、回転移動磁石6に対し回転磁石206側と逆側に高摩擦部材8を設けることによって、移動部材5が磁気アクチュエータ321のハウジング302内に引き入れられ磁気アクチュエータ321がOFF状態となった場合にのみ、回転移動磁石6を回転させることが可能になる。このように、誘導領域2a内に、回転移動磁石6が回転磁石206から引力または反発力を受けるいずれかの状態である場合に、ハウジングに対して回転移動磁石6の磁化方向を含む平面内の回転を拘束する高摩擦部材を備えることによって、回転移動磁石6の回転を拘束した動作を実現することができる。
(実施の形態4)
つぎに、実施の形態4について説明する。実施の形態1〜3については、磁気アクチュエータ本体について説明したが、実施の形態4においては、実施の形態1〜3において説明した磁気アクチュエータを、被検体内に挿入されて被検体内で医療行為を行なうことができるカプセル型内視鏡に応用した場合について具体的に説明する。
図54は、実施の形態4におけるカプセル誘導システムの構成を示す模式図である。図54に示すように、実施の形態4におけるカプセル誘導システム400は、被検体の口から飲み込まれることによって被検体内の体腔内に導入され外部装置と通信するカプセル型のカプセル型内視鏡401と、マトリクス上に固定配置された位置検出用コイル402と、被検体周囲に設けられ3次元の回転磁界を発生できる磁界発生部403と、カプセル型内視鏡401から送信された画像情報を含む各情報に対応する信号を受信する受信部411と、位置検出用コイル402に誘起された電圧をもとに磁界発生部403に対するカプセル型内視鏡401の位置および姿勢を算出して検出する位置算出部412と、カプセル誘導システム400の各構成部位を制御する制御部413と、カプセル型内視鏡401によって撮像された画像を表示出力する表示部415と、カプセル誘導システム400における各種操作を指示する指示情報を制御部413に入力する入力部416と、カプセル型内視鏡401によって撮像された画像情報および位置算出部412によって算出されたカプセル型内視鏡401の位置情報を記憶する記憶部417と、位置検出用コイル402および磁界発生部403に関与する磁界を制御する磁界制御部418と、磁界制御部418の制御にしたがった電力を位置検出用コイル402および磁界発生部403に供給する電力供給部419を備える。
つぎに、実施の形態4にかかるカプセル型内視鏡401について説明する。図55は、図54に示すカプセル型内視鏡401の内部構造を示す模式図である。図55に示すように、カプセル型内視鏡401は、位置検出のための磁場を発する位置検出用発振コイル421と、位置検出用の所定の体腔内を撮像する撮像系422と、受信部411に所定の信号を送信するアンテナ423と、カプセル型内視鏡401の各構成部位に電力を供給する電池424と、薬剤426を貯蔵するバルーン425と、バルーン425内に貯蔵された薬剤426を被検体内の所望部位に注射するための針427と、針427による薬剤の注射を制御する局注機構430とを備える。ここで、局注機構430内に、実施の形態1において説明された磁気アクチュエータ1が応用されている。
つぎに、図56(1)を参照して、局注機構430について説明する。略円筒形状を有する局注機構430は、図56に示すように、回転移動磁石6と、局注機構430の径方向に磁化方向が固定して配置された固定磁石7と、突出時にバルーン425における薬剤を注入する注入口434と接続する貫通穴433を有する針427を有する。回転移動磁石6は、局注機構430の径方向に回転可能であり、局注機構430内に設けられた中空領域である誘導領域2a内を上下方向に移動可能である。固定磁石7は、局注機構430の径方向と一致する向きの磁界を有するように配置されている。針427は、回転移動磁石6の下端部に接続し、回転移動磁石6における図56の上下方向の移動にともなって図56の上下方向に移動する。また、局注機構430は、磁気アクチュエータ1と異なり、回転移動磁石6が回転可能である磁界を発生する磁界発生部403は、局注機構430が設けられたカプセル型内視鏡401を飲み込んだ被検体外部に設置されている。また、磁気アクチュエータ1におけるハウジング2は、被検体内に挿入されて被検体内で医療行為を行なうことができるカプセル型内視鏡401本体に対応する。なお、カプセル型内視鏡401は、被検体内の体腔内を移動するため、被検体外部に設置された磁界発生部403に対する相対位置を変更することができ、磁界発生部403は、磁界制御部418の制御のもと、3次元の回転磁界を発生できるため、複数方向の磁界を発生可能である。
そして、図56を参照して、局注機構430の動作について説明する。カプセル誘導システム400においては、カプセル型内視鏡401から送信された画像情報において、操作者が病変を発見した場合には、入力部416の操作により、病変部への薬剤注入を指示する。この場合、カプセル誘導システム400においては、磁界制御部418の制御によって、電力供給部419によって磁界発生部403に電力が供給され、磁界発生部403から磁界M51が発生される。すなわち、図56(1)に示すように、針427が局注機構430に収納された状態のカプセル型内視鏡401に対して、図56(2)に示す磁界M51が磁界発生部403から発生される。また、磁界発生部403は、位置算出部412によって算出されたカプセル型内視鏡401における固定磁石7の磁化方向に対し60°以下の角度差を有する磁界M51を発生させる。この磁界M51は、回転移動磁石6が回転可能である磁界強度であるとともに、図56(2)の右方向の向きに示されたカプセル型内視鏡401の方向に対し60°以下の角度差を有する磁界である。
このため、図56(2)の矢印Y51に示すように、回転移動磁石6は、磁界M51の磁界の向きにしたがって図56(2)の右方向に半回転する。回転移動磁石6が半回転することによって、局注機構430の軸心の左側に位置していた貫通穴433が局注機構430の軸心の右側に位置する。そして、図56(2)に示すように、回転移動磁石6と固定磁石7との間において反発力H51が発生し、回転移動磁石6は、図56(3)に示すように、誘導領域2aに沿って図56(3)の下方向に移動する。これにともなって、図56(3)の矢印Y52に示すように、回転移動磁石6に接続する針427も図56(3)の下方向に移動する。針427の下方向の移動によって、局注機構430の軸心の右側に位置していた貫通穴433も下方向に移動し、注入口434と接続する。この結果、図56(3)の矢印Y53に示すように、バルーン425内の薬剤426が注入口434および貫通穴433を介して、針427内部から被検体内の所望部位に注入される。
このように、実施の形態4によれば、複雑な水密機構を備える必要がなく、カプセル型内視鏡401内に磁石を設置した簡易な構造によって、針427による薬剤426の注入制御を可能にする。また、実施の形態4によれば、回転移動磁石6と固定磁石7との間に生じた反発力を利用して、針427をカプセル型内視鏡401外に突出させるため、カプセル型内視鏡401内の電池424を使用する必要がない。このため、実施の形態4によれば、カプセル型内視鏡401内の電池424容量を増加させる必要がないため、カプセル型内視鏡401の小型化を可能にし、被検体内への挿入性を向上させることができる。
(変形例1)
つぎに、図57を参照して、実施の形態4における変形例1について説明する。変形例1においては、磁気アクチュエータ1を留置カプセルにおける薬剤放出について適用した場合について説明する。
図57に示すように、変形例1にかかる留置用のカプセル型内視鏡401aおいては、被放出部441にカプセル型内視鏡401aを固定させるための固定部442と、バルーン425内の薬剤426を注入する注入口434と針427との間に開閉可能である膜443とが設けられている。
回転移動磁石6が回転可能である磁界強度の磁界がカプセル型内視鏡401aに印加されていない場合には、バルーン425と膜443との間に設けられカプセル型内視鏡401aの径方向に磁化方向が固定された固定磁石7との間に生じる引力によって、回転移動磁石6は、図57(1)における誘導領域2aの上方向に安定して位置する。この場合、回転移動磁石6と固定磁石7とが引き合い回転移動磁石6が誘導領域2aの上方向に位置することによって、回転移動磁石6と注入口434の間に設けられた膜443は、注入口434を塞ぐこととなる。
そして、図57(2)に示すように、磁界発生部403が位置算出部412によって算出されたカプセル型内視鏡401aにおける固定磁石7の磁化方向に対し60°以下の角度差を有するとともに回転移動磁石6が回転可能である磁界強度の磁界M52を発生させることによって、回転移動磁石6は、磁界M52の磁界の向きにしたがって、図57(2)の矢印Y54に示すように、図57(2)の右方向に半回転する。図57(2)に示すように、回転移動磁石6が半回転することによって、回転移動磁石6と固定磁石7との間において反発力H52が発生し、回転移動磁石6は、図57(2)の矢印Y55に示すように、誘導領域2aに沿って図57(3)の下方向に移動する。これにともなって、図57(3)に示すように、回転移動磁石6によって注入口434を塞いでいた膜443も下方向にたわむ。この結果、図57(3)の矢印Y56に示すように、膜443によって塞がれていた注入口434が開放され、バルーン425内の薬剤426は、注入口434を介して針427に吐出され、針427から被放出部441内の所望部位に注入される。
さらに、磁界発生部403による磁界の印加を停止することによって、回転移動磁石6は、固定磁石7との引力によって誘導領域2a内を図57の上方向に移動し、これにともなって、膜443が注入口434を塞ぐ。この結果、バルーン425内の薬剤426の放出が停止する。
このように、変形例1によれば、注入口434を開閉可能である膜443を挟んで固定磁石7および回転移動磁石6を設けることによって、膜443の開閉を行なって薬剤426のカプセル型内視鏡401aの放出を制御することが可能になる。
(変形例2)
つぎに、図58を参照して、実施の形態4における変形例2について説明する。変形例2においては、図58(1)に示すように、高周波磁場を印加することによって組織を焼くことができる高周波加熱治療カプセルについて磁気アクチュエータ1を適用した場合について説明する。図58に示すように、変形例2にかかる高周波加熱治療カプセルであるカプセル型内視鏡401bは、回転移動磁石6に接続し高周波磁場で発熱可能である高周波発熱部材452を備える。高周波発熱部材452の突出状況および高周波発熱部材452が組織を焼く様子は、撮像系422によって確認可能である。また、位置検出用発振コイル421の検出方向は、カプセル型内視鏡401bの径方向であり、カプセル型内視鏡401bの径方向に回転可能に設置された回転移動磁石6を回転させるために要する磁界の向きと一致している。このため、位置算出部412は、回転移動磁石6の磁界の向きは検出した位置検出用発振コイル421と同じ向きであると判断することが可能である。
図58(1)において撮像系422の観察により治療対象である組織にカプセル型内視鏡401bが到達した場合、図58(2)に示すように、磁界発生部403は、位置算出部412によって算出されたカプセル型内視鏡401bの軸方向に対し60°以下の角度差を有するとともに回転移動磁石6が回転可能である磁界強度の磁界M53を発生させる。磁界発生部403が発生する磁場は、静磁場である。この結果、回転移動磁石6は、磁界M53の磁界の向きにしたがって、図58(2)の矢印Y57aに示すように、図58(2)の上方向に半回転する。そして、図58(2)に示すように、回転移動磁石6が半回転することによって、回転移動磁石6と固定磁石7との間において反発力H53が発生し、回転移動磁石6は、図58(3)の矢印Y57bに示すように、誘導領域2aに沿って図58(3)の右方向に移動する。これにともなって、図58(3)に示すように、回転移動磁石6に接続する高周波発熱部材452も図58(3)の右方向に移動し、カプセル型内視鏡401b外に突出する。そして、磁界発生部403は、カプセル型内視鏡401bに高周波磁場Wbを印加することによって高周波発熱部材452を発熱させ、この結果、治療対象である組織を焼くことが可能になる。
このように、変形例2によれば、磁場発生部403が発生する周波数を制御し磁界発生部403が発生した各周波数に応じて回転移動磁石6に接続する高周波発熱部材の突出および高周波発熱部材の発熱という異なる動作を行なうことが可能になる。
また、図59(1)に示すように、位置検出用発振コイル421cの検出方向が、カプセル型内視鏡401cの軸方向であり、カプセル型内視鏡401cの径方向に回転可能に設置された回転移動磁石6を回転させるために要する磁界の向きと一致しないカプセル型内視鏡401cについて説明する。
この場合、図59(2)に示すように、磁界発生部403は、位置算出部412によって算出されたカプセル型内視鏡401cの方向に垂直な平面内で回転磁界M53aを発生させる。この結果、回転移動磁石6は、磁界M53aの磁界にしたがって、図59(2)の矢印Y57cに示すように、図59(2)の上方向に半回転する。そして、回転移動磁石6が半回転することによって発生した図59(2)に示す反発力H53aによって、回転移動磁石6は、図59(3)の矢印Y57dに示すように、誘導領域2aに沿って図59(3)の右方向に移動する。
これにともなって、図59(3)に示すように、回転移動磁石6に接続する高周波発熱部材452も図59(3)の右方向に移動し、カプセル型内視鏡401c外に突出する。そして、図59(3)に示すように、高周波発熱部材452が撮像系422の視野内の領域S4まで突出した場合には、撮像系422によって高周波発熱部材452の突出が確認できる。このように、撮像系422によって高周波発熱部材452の突出が確認できた場合、磁界発生部403は、磁界の方向を固定磁石7の磁界の向きに固定した磁界M53bを印加する。その後、図59(4)に示すように、磁界発生部403による高周波磁場Wbの印加によって、突出した高周波発熱部材452が発熱し、治療対象である組織を焼く。なお、高周波発熱部材452の突出は、撮像系422以外の接触センサ、通過検出センサなどの磁気アクチュエータの動作が確認できるセンサをカプセル型内視鏡401c内に設けて確認してもよい。この場合、磁界発生部403は、受信部411が受信したセンサの検出結果をもとに磁界の印加を制御すればよい。
(変形例3)
つぎに、図60を参照して、実施の形態4における変形例3について説明する。変形例3においては、図60(1)に示すように、生検ブラシによって組織を取得するブラシ生検カプセルについて磁気アクチュエータ1を適用した場合について説明する。図60に示すように、変形例3にかかる生検ブラシカプセルであるカプセル型内視鏡401dは、誘導領域2a内に設けられた螺旋溝462に沿って回転移動磁石6が回転移動することによって、回転移動磁石6に接続する生検用のブラシ461が回転しながらカプセル型内視鏡401d外に突出する。
図60(1)において、生検対象の組織にカプセル型内視鏡401dが到達した場合、図60(2)に示すように、磁界発生部403は、カプセル型内視鏡401dの軸方向に対し60°以下の角度差を有するとともに回転移動磁石6が回転可能である磁界強度の磁界M54を印加する。この結果、回転移動磁石6は、磁界M54の磁界の向きにしたがって、図60(2)に示すように半回転し、回転移動磁石6と固定磁石7との間において発生した反発力H54によって図60(2)の矢印Y58に示すように、螺旋溝462に沿って回転しながら誘導領域2aに沿って図60(2)の右方向に移動する。これにともなって、図60(3)の矢印Y59に示すように、回転移動磁石6に接続するブラシ461も回転しながら、矢印Y60に示すようにカプセル型内視鏡401d外に突出する。この結果、取得対象である組織は、回転しながら突出するブラシ461によって、被検体から擦り取られる。
このように、変形例3によれば、螺旋溝462に沿って回転移動磁石6を回転移動させることによって、移動時の回転量とブラシ461の突出量を制御することができるため、ブラシ462を回転させながら突出して正確な生検を行なうことが可能になる。
(変形例4)
つぎに、図61を参照して、実施の形態4における変形例4について説明する。図61(1)に示すように、変形例4にかかるカプセル型内視鏡401eは、磁気アクチュエータ1を適用した係止機構473を用いて係止板471を突出させることによって、腸壁472にカプセル型内視鏡を係止できる。
図61(1)において、係止領域にカプセル型内視鏡401eが到達した場合、図61(2)に示すように、磁界発生部403は、カプセル型内視鏡401eの軸方向に対し60°以下の角度差を有するとともに回転移動磁石6が回転可能である磁界強度の磁界M55を印加する。この結果、回転移動磁石6は、磁界M55の磁界の向きにしたがって、図61(2)の矢印Y61に示すように半回転し、回転移動磁石6と固定磁石7との間において発生した反発力H55によって、誘導領域2aに沿って図61(3)の上方向に移動する。これにともなって、図61(3)の矢印Y62に示すように、回転移動磁石6に接続する係止板471がカプセル型内視鏡401e外に突出する。この結果、カプセル型内視鏡401eは、腸壁472などの所定の体腔内に係止することができ、生検などの各処理を安定して行なうことができる。
(変形例5)
つぎに、図62を参照して、実施の形態4における変形例5について説明する。図62(1)に示すように、変形例5にかかるカプセル型内視鏡401fは、磁気アクチュエータ1を適用して、カプセル型内視鏡401fの筐体を開閉して、筐体内に収納されるステント481を開放してマーキングを行なう。固定磁石7は、カプセル型内視鏡401fの左側部分を構成する筐体484aと接続しカプセル型内視鏡401fの筐体の開閉を制御する開閉機構484内に固定して設けられている。回転移動磁石6は、カプセル型内視鏡401fの右側部分を構成する筐体484bにカプセル型内視鏡401fの径方向に回転可能に配置されている。固定磁石7の軸心には、筐体484bと接続する移動部材5が誘導領域2aを左右方向に移動可能に挿入されている。このため、移動部材5は、回転移動磁石6の右方向への移動による筐体484bの移動にともなって、誘導領域2aに沿って固定磁石7の軸心を通過して移動することとなる。
図62(1)において、マーキングを所望する領域にカプセル型内視鏡401fが到達した場合、図62(2)に示すように、磁界発生部403は、カプセル型内視鏡401fの径方向に対し60°以下の角度差を有するとともに回転移動磁石6が回転可能である磁界強度の磁界M56を印加する。この場合、回転移動磁石6は、磁界M56の磁界の向きにしたがって、図62(2)の矢印Y63に示すように半回転する。そして、図62(3)の矢印Y64に示すように、回転移動磁石6は、固定磁石7との間において発生した反発力H56によって、誘導領域2aに沿って図62(3)の右方向に移動する。これにともなって、移動部材5も、固定磁石7の軸心を通過して誘導領域2aに沿って図62(3)の右方向に移動する。この結果、図62(3)に示すように、移動部材5の右方向の移動によって、移動部材5が接続する筐体484b全体も右方向(図62(3)の矢印Y65参照)に移動してカプセル型内視鏡401fが開く。そして、ステント481は、カプセル型内視鏡401f外に開放されて広がる(図62(3)の矢印Y66参照)ことによって、図62(4)に示すようにマーキングを所望する領域に留置する。そして、磁界発生部403による磁界印加が停止することによって、図62(4)に示すように、固定磁石7と回転移動磁石6との間の引力によって、移動部材5が誘導領域2aに沿って左側(図62(4)の矢印Y67参照)に移動し、筐体484aと筐体484bとが接触して、カプセル型内視鏡401fが閉じる。このように、磁気アクチュエータ1を用いることによって、ステント481を円滑に開放することが可能になる。
(変形例6)
つぎに、図63および図64を参照して、実施の形態4における変形例6について説明する。図63(1)に示すように、変形例6にかかるカプセル型内視鏡401gは、浮き485が装着された状態の場合には、水面Wg近くで浮くことができる。そして、カプセル型内視鏡401gは、図63(2)に示すように、浮き485と分離した状態の場合にはカプセル型内視鏡401gの比重が変化するため、水中に沈む。カプセル型内視鏡401gにおいては、図63(1)に示すように、浮き485を装着して水に浮かせた状態で観察した後に、図63(2)に示すように、浮き485を外すことによって、水底からの観察が可能になる。
つぎに、カプセル型内視鏡401gから浮き485が外れる動作について説明する。図64(1)に示すように、カプセル型内視鏡401gは、磁界の向きが同じである固定磁石7a,7bと、固定磁石7a,7bの間に設けられ固定磁石7a,7bと磁界の向きが逆である固定磁石7cを有する。カプセル型内視鏡401gは、固定磁石7a,7b,7cの各間に設けられた各誘導領域32a,32b内に、それぞれ設置された回転移動磁石6a,6bを有する。回転移動磁石6a,6bは、それぞれ移動部材5a,5bが接続する。移動部材5aは、回転移動磁石6aの移動にともなって、固定磁石7aの軸心を図64(1)の左右方向に移動可能であり、移動部材5bは、回転移動磁石6bの移動にともなって、固定磁石7bの軸心を図64(1)の左右方向に移動可能である。移動部材5a,5bが浮き485に設けられた凹部485a,485bにそれぞれ係着することによって、浮き485はカプセル型内視鏡401gに装着される。
そして、カプセル型内視鏡401gから浮き485を外す場合には、図64(2)に示すように、磁界発生部403は、カプセル型内視鏡401gの軸方向に対し60°以下の角度差を有するとともに回転移動磁石6a,6bが回転可能である磁界強度の磁界M57を印加する。この結果、回転移動磁石6a,6bは、磁界M57の磁界の向きにしたがって、図64(2)の矢印Y68,Y69に示すようにそれぞれ半回転し、各回転移動磁石6a,6bとそれぞれ対応する固定磁石7a,7bとの間において発生した反発力H57a,H57bによって、誘導領域32a,32bに沿ってカプセル型内視鏡401g内に移動する。このため、回転移動磁石6aに接続する移動部材5aは、図64(3)の矢印Y70aに示すように、固定磁石7aの軸心を通過して左方向に移動し、カプセル型内視鏡401g内に収容される。また、回転移動磁石6bに接続する移動部材5bは、図64(3)の矢印Y70bに示すように、固定磁石7bの軸心を通過して右方向に移動し、カプセル型内視鏡401g内に収容される。すなわち、浮き485の凹部485a,485bにそれぞれ係着していた移動部材5a,5bが凹部485a,485bから外れカプセル型内視鏡401g内に収容される。
このため、図64(3)の矢印Y71に示すように、浮き485は、カプセル型内視鏡401gから外れて、水面に向かって上昇し、カプセル型内視鏡401gは、矢印Y72に示すように、水中に沈むこととなる。なお、反発力H57a,57bによってカプセル型内視鏡401g内部に移動した回転移動磁石6a,6bは、固定磁石7cとの間で発生する引力によって、固定磁石7cに近接した状態を維持する。この結果、移動部材5a,5bもカプセル型内視鏡401g内に収納された状態を維持し、カプセル型内視鏡401g外に突出することはない。
このように、カプセル型内視鏡401gにおいては、磁界を一次的に印加することによって、浮き485を外すことができるため、高いエネルギー効率で広範囲の観察を円滑に行なうことができる。
(変形例7)
つぎに、実施の形態4における変形例7について説明する。図65に示すように、変形例7にかかるカプセル型内視鏡401hは、撮像系422の観察により生検対象の組織にカプセル型内視鏡401hが到達した場合に、磁気アクチュエータ201を適用した鉗子機構491を用いて、生検を行なう。
つぎに、図66および図67を参照して、カプセル型内視鏡401hにおける鉗子機構491の動作について説明する。図66は、磁界発生部403が印加する磁界強度の時間依存を示す図であり、図67は、図66に示す時間t411〜t414におけるカプセル型内視鏡401hの軸方向の断面図である。カプセル型内視鏡401hは、図67(1)に示すように、回転磁石206aに加え、カプセル型内視鏡401hへの鉗子492収納時に移動磁石207の軸心に挿入された部材が接触する回転磁石206bを備える。カプセル型内視鏡401hは、鉗子492がカプセル型内視鏡401h内に収納された図67(1)に示すC状態で体腔内を移動する。カプセル型内視鏡401hがC状態である場合には、図66に示すように、磁界発生部403は、磁界の発生を停止している。
まず、図66における時間t411において、カプセル型内視鏡401hが図67(1)に示すC状態で移動し生検対象の組織にカプセル型内視鏡401hが到達した場合、磁界発生部403は、鉗子492を突出させるために、図67(2)に示すように、磁界強度G58aよりも強い磁界強度の磁界M58を発生する。この磁界強度G58aは、C状態における回転磁石206aを移動磁石207の磁界の向きと同じ向きに回転可能とする磁界強度である。このため、図67(2)の矢印Y73に示すように、回転磁石206aは、磁界M58の向きと同じ向きに回転し、回転磁石206aと移動磁石207との間において反発力H58が発生する。移動磁石207は、この反発力H58によって図67(2)の右方向に移動する。この場合、回転磁石206bおよび回転磁石206bに接続する鉗子492も移動磁石207の移動にともなって、図67(2)の右方向に移動するため、図67(2)の矢印Y74に示すように、鉗子492の刃部分がカプセル型内視鏡401hから突出したD状態に変化する。なお、図66のt411〜t412の間において、鉗子492が突出した後は、回転磁石206aの磁界の向きを移動磁石207の磁界の向きと同じ向きに維持できる磁界強度G58bよりも強い磁界強度の磁界の印加によって、図67(2)に示すD状態を維持することが可能である。
つぎに、図66の時間t412において、鉗子492を開く場合には、図67(3)に示すように、磁界発生部403は、磁界強度G59aよりも強い磁界強度の磁界M59を発生する。この磁界強度G59aは、D状態における移動磁石207と近接する回転磁石206bを移動磁石207の磁界の向きと同じ向きに回転可能とする磁界強度である。このため、図67(3)の矢印Y75に示すように、回転磁石206bは、磁界M59の向きと同じ向きに回転し、回転磁石206bと移動磁石207との間において反発力H59が発生する。回転磁石206bは、この反発力H59によって図67(3)の右方向に移動する。この場合、回転磁石206bは、図67(3)の右方向に移動することによって、鉗子492の足部分に圧力を付加するため、図67(3)の矢印Y76に示すように、鉗子492の足部分が縮み鉗子492の刃部分が開くE状態に変化する。なお、図66のt412〜t413の間において、鉗子492の刃部分が開いた後は、回転磁石206bの磁界の向きを移動磁石207の磁界の向きと同じ向きに維持できる磁界強度G59bよりも強い磁界強度の磁界の印加によって、図67(3)に示すE状態を維持することが可能である。
そして、図66の時間t413において、生検のために鉗子492の刃部分を閉じる場合には、磁界発生部403によって印加される磁界の磁界強度をG59bよりも弱くすることによって、回転磁石206bに対する回転拘束を解除する。この結果、回転磁石206bは、回転して移動磁石207と引き合うため、カプセル型内視鏡401hは、図67(2)に示すD状態に変化する。そして、図66の時間t414において、鉗子492をカプセル型内視鏡401h内に収納する場合には、磁界発生部403による磁界の印加を停止することによって、回転磁石206aの回転拘束を解除する。この結果、回転磁石206bは、回転して移動磁石207と引き合うため、カプセル型内視鏡401hは、図67(1)に示すC状態に変化する。このように、変形例7によれば、磁界発生部403が発生する磁界強度を変化させることによって、鉗子492の各状態を変化させて生検を行なうことが可能になる。
(実施の形態5)
つぎに、実施の形態5について説明する。実施の形態5においては、実施の形態1,2において説明した複数の磁気アクチュエータを用いて複数の構成部位の動作を制御したカプセル型内視鏡について説明する。なお、実施の形態5におけるカプセル誘導システムは、実施の形態4におけるカプセル誘導システム400と同様の構成を有する。
図68は、実施の形態5にかかるカプセル型内視鏡の軸方向の断面図である。図68(1)に示すように、実施の形態5にかかるカプセル型内視鏡501は、複数の磁気アクチュエータ1を適用し、薬剤弁の開閉処理および針の穿刺処理を行なう。
カプセル型内視鏡501においては、磁界発生部403による磁界が印加されていない場合、図68(1)に示すように、回転移動磁石6aと固定磁石7との間における引力によって、回転移動磁石6aに接続するとともにチューブ503を押圧して薬剤426の流動を停止する弁504は閉じられている。また、図68(1)に示すように、回転移動磁石6bと固定磁石7との間における引力によって、回転移動磁石6bは、カプセル型内視鏡501奥側に固定配置される固定磁石7側に位置するため、回転移動磁石6bに接続する針427はカプセル型内視鏡501内に収納されている。
また、回転移動磁石6aと固定磁石7とによって構成される磁気アクチュエータと、実施の形態1における磁気アクチュエータ41a〜41dのいずれかと同様に、回転移動磁石6bと固定磁石7とによって構成される磁気アクチュエータは、異なる磁界強度で駆動されるように、磁石サイズまたは回転移動磁石6a,6bと固定磁石7とのギャップが設定されている。カプセル型内視鏡501においては、薬剤を無駄なく局注するために、針427の穿刺後に弁504が開くように制御することが望ましい。すなわち、針427を制御する回転移動磁石6bを、弁504を制御する回転移動磁石6aよりも弱い磁界強度で回転可能とすることが望ましい。このため、回転移動磁石6bの磁石サイズを回転移動磁石6aの磁石サイズよりも小さくし、または、回転移動磁石6bと固定磁石7とのギャップを回転移動磁石6aと固定磁石7とのギャップよりも大きくすればよい。
つぎに、カプセル型内視鏡501の動作について説明する。図68(1)において、局注対象領域にカプセル型内視鏡501が到達した場合、図68(2)に示すように、磁界発生部403は、カプセル型内視鏡501に対し回転移動磁石6bが回転可能である磁界強度の磁界M60bを印加する。この結果、回転移動磁石6bは、磁界M60bの磁界の向きにしたがって、図68(2)の矢印Y77bに示すように半回転し、図68(3)に示すように、回転移動磁石6bと固定磁石7との間において発生した反発力によって図68(3)の右方向に移動する。これにともなって、図68(3)の矢印Y78bに示すように、回転移動磁石6bに接続する針427がカプセル型内視鏡501外に突出する。
つぎに、図68(3)に示すように、磁界発生部403は、カプセル型内視鏡501に対し回転移動磁石6aが回転可能である磁界強度であって回転移動磁石6bが回転可能である磁界強度よりも強い磁界強度の磁界M60aを印加する。この結果、回転移動磁石6aは、磁界M60aの磁界の向きにしたがって、図68(3)の矢印Y77aに示すように半回転し、矢印Y78aに示すように、回転移動磁石6aと固定磁石7との間において発生した反発力によって図68(3)の右方向に移動する。これにともなって、回転移動磁石6bに接続する弁504が開く。この結果、図68(3)の矢印Y79a,79bに示すように、バルーン425内の薬剤426は、チューブを介して針427から被検体内の所望部位に注入される。
このように、実施の形態5によれば、針穿刺後に薬液弁を開放するので、薬剤を無駄なく局注することが可能になる。また、実施の形態5によれば、磁界強度を変更することによって複数の動作を同一の駆動源で制御できるため、カプセル誘導システムの簡略化および小型化を図ることが可能になる。また、実施の形態5によれば、簡易な構造であるアクチュエータで複数の動作制御ができるため、カプセル型内視鏡の限られた空間内に複数の機能を持たせることが可能になる。
なお、図68においては、針427の穿刺動作および弁504の開動作を順次行なった場合について説明したが、同時に駆動するように設定してもよい。この場合、回転移動磁石6a,6bの磁石サイズを同一にすることによって、または、回転移動磁石6a,6bと固定磁石7とのギャップを同程度にすることによって、同時駆動を実現できる。または、回転移動磁石6aが回転可能である磁界強度の磁界を印加することによって、回転移動磁石6aとともに、回転移動磁石6aよりも弱い磁界強度の磁化で動作可能となる回転移動磁石6bも動作させることによって、同時駆動を実現できる。
(変形例1)
つぎに、図69を参照して、実施の形態5における変形例1について説明する。図69(1)に示すように、変形例1にかかるカプセル型内視鏡501aは、図55および図56において説明した局注機構430と図61において説明した係止機構473との双方を備える。カプセル型内視鏡501aにおいては、係止機構473が局注機構430よりも早く動作するように、局注機構430を構成する磁気アクチュエータと、係止機構473を構成する磁気アクチュエータとは、磁石サイズまたは回転移動磁石6と固定磁石7とのギャップが設定されている。
このため、図69(2)の矢印Y80に示すように、磁界発生部403は、まず、係止機構473を構成する磁気アクチュエータが動作可能である磁界強度の磁界M61を印加して、係止板471による係止を行なう。その後、磁界発生部403は、図69(2)の矢印Y81に示すように、局注機構430を構成する磁気アクチュエータが動作可能である磁界強度の磁界を印加して針427を穿刺させて局注処理を行なう。このように、変形例1によれば、カプセル型内視鏡501aを係止した状態で薬剤を局注できるので、穿刺時の反力の影響を受けずに確実な穿刺が可能になる。
(実施の形態6)
つぎに、実施の形態6について説明する。図70は、実施の形態6にかかるカプセル型内視鏡の軸方向の断面図である。図71は、図70に示す局注機構の断面構造を示す図であり、図72は、所定の動作を行なうために要する磁界強度を説明する図である。なお、実施の形態6におけるカプセル誘導システムは、実施の形態4におけるカプセル誘導システム400と同様の構成を有する。
図70に示すように、実施の形態6にかかるカプセル型内視鏡601は、図71(1)に示す局注機構430内の回転移動磁石6よりも体積が大きい固定磁石7を備える。固定磁石7の磁界の向きはカプセル型内視鏡601の径方向と一致し、カプセル型内視鏡601の軸周り(例えば図70に示す矢印Y82の方向)に回転磁界がかかることによってカプセル型内視鏡601が回転する。カプセル型内視鏡601の円筒部周りに螺旋突起603が形成される。カプセル型内視鏡601が回転すると螺旋突起603が体内の消化管壁に合うようになりカプセル型内視鏡601がネジのように軸方向に移動できる。
ここで、固定磁石7は、局注機構430内の回転移動磁石6よりも体積が大きいため、図72に示すように、局注機構430が動作可能である磁界強度G61よりも弱い磁界強度の回転磁界の印加によって、カプセル型内視鏡601の磁気誘導による回転が可能である。
また、図71(2)および図72の曲線l61に示すように、局注時には、局注機構430内の回転移動磁石6が回転可能である磁界強度G61よりも強い磁界強度の磁界であって、固定磁石7の磁化方向と60°以下の角度差を有する磁界M62を印加する。この結果、図71(2)の矢印Y83に示すように、回転移動磁石6は、回転し、固定磁石7との間で発生した反発力H62によって、図71(3)の矢印Y84に示すように図71(3)の左方向に移動する。これにともなって、図71(3)の矢印Y85に示すように、針427が回転しながらカプセル型内視鏡601外に突出し薬剤426が注入される。針427は回転しながら突出するため、確実な穿刺が可能になる。なお、局注機構430を動作させるために印加する磁界M62は、固定磁石7の磁化方向を制御した時の発生磁界方向近傍で磁界の傾きを振動させてもよい。この結果、固定磁石7の磁化方向制御時の発生磁界と固定磁石の磁化方向の角度差を吸収することができる。
このように、実施の形態6によれば、カプセル型内視鏡601に回転磁界を印加することによって、カプセル型内視鏡601を誘導することができるため、観察効率の向上を実現するとともに、局注位置を正確に制御することが可能になる。
なお、カプセル型内視鏡601においては、局注機構430内の回転移動磁石6よりも固定磁石7のサイズを大きくし、固定磁石7を利用して磁気誘導が行なう場合について説明したが、固定磁石7よりも局注機構430内の回転移動磁石6のサイズを大きくし、回転移動磁石6を利用して磁気誘導を行なってもよい。この場合には、局注機構430を動作させるための強い磁界M62の印加によって回転移動磁石ではなく固定磁石7が回転するため、固定磁石7が固定されたカプセル型内視鏡601本体が回転しながら針427が突出されることとなる。このように、カプセル型内視鏡601本体が回転することによって、穿刺方向に推進力を発生させ、確実な穿刺動作が可能になる。
また、カプセル型内視鏡601においては、図73に示すように、局注時に発生させる磁界を回転磁界M63にすることによって、螺旋推進で針427を管壁に強く押し付けてもよい。この場合、図73の矢印Y86に示すように、穿刺方向に押し付け力を発生することができるため、確実な穿刺が可能になる。
また、カプセル型内視鏡601においては、図74に示すように、磁力線Mlの各間隔が針427の突出方向に向かうにしたがって狭くなる勾配磁界Smを印加することによって、矢印Y87に示すように発生する磁気引力によってカプセル型内視鏡601を誘導してもよい。また、カプセル型内視鏡601においては、局注時に磁気引力を発生し、時期引力によって針を管壁に強く押し付けてもよい。
(変形例1)
つぎに、図75を参照して、実施の形態6における変形例1について説明する。図75(1)に示すように、変形例1にかかるカプセル型内視鏡601aは、磁気アクチュエータ1を適用して、カプセル型内視鏡601a内における切断刃611を有する生検機構を広げて、所望の組織を採取する。切断刃611を有する生検機構は、回転移動磁石6と接続しており、回転移動磁石6と一体となって、回転または移動する。
図75(2)の矢印Y88aに示すように、回転移動磁石6が回転可能である磁界強度の磁界M64の印加によって、回転移動磁石6が回転する。これにともない、図75(2)の矢印Y88bに示すように、切断刃611を有するカプセル型内視鏡601aの右側部分を構成する生検機構も回転する。
そして、図75(2)に示す回転移動磁石6と固定磁石7との間で発生した反発力H64によって、図75(3)の矢印Y88cに示すように、回転移動磁石6が誘導領域2a内を図75(3)の右方向に移動する。これにともない、図75(3)の矢印Y88dに示すように、回転移動磁石6が接続する生検機構も図75(3)の右方向に移動し、生検機構が広がる。そして、図75(4)に示すように、採取対象の生体組織612がある場合には、磁界発生部403は、磁界M64の磁界強度を弱める。この結果、回転移動磁石6と固定磁石7との間に発生した反発力H64が消え、回転移動磁石6は、図75(4)の矢印89bに示すように、回転しながら固定磁石7側へ移動する。これにともない、回転移動磁石6に接続する生検機構も、矢印Y89aおよび矢印Y89cに示すように、回転しながら固定磁石7側、すなわち、生検機構が閉じる方向に移動する。この場合、取得対象である生体組織612は、切断刃611に切り取られ生検機構内に収容される。なお、生検機構が閉じた状態で組織採取ができない場合には、回転磁界を印加して、カプセル型内視鏡本体を回転させることで採取対象である生体組織を切断、採取する。
このように、変形例1によれば、カプセル型内視鏡601a本体を回転させることで切断刃611が回転しながら生検機構を閉じることができるため、採取対象である生体組織612の切断性が向上し、確実な組織採取が可能である。また、変形例1によれば、磁気アクチュエータの磁石を利用してカプセル型内視鏡601a本体を回転できるため、エネルギー効率の向上を図ることができる。また、変形例1によれば、カプセル型内視鏡本体を回転させるための機構を設ける必要がないので、カプセル型内視鏡本体を小型化でき、被検体内への挿入性を向上させることが可能になる。
また、図76に示すように、磁気引力M64aによってカプセル型内視鏡601a内の切断刃611を生体組織に押し付けることによって、さらに確実な生体組織の切断、採取が可能になる。
(実施の形態7)
つぎに、実施の形態7について説明する。実施の形態7においては、磁気誘導用の磁石に異なる磁界強度の磁界を印加することによって、カプセル型内視鏡の磁気誘導またはカプセル型内視鏡の方向制御を行なう。図77は、実施の形態7にかかるカプセル型内視鏡を軸方向の所定の面で切断した図であり、図78は、図77におけるJ−J線で磁気アクチュエータを径方向に切断した図であり、図79は、図77におけるK−K線で磁気アクチュエータを軸方向に切断した図である。なお、実施の形態7におけるカプセル誘導システムは、実施の形態4におけるカプセル誘導システム400と同様の構成を有する。
図77に示すように、実施の形態7にかかるカプセル型内視鏡701においては、螺旋突起603を利用した磁気誘導を行なう回転移動磁石6がカプセル型内視鏡701の軸方向に回転可能に設けられている。カプセル型内視鏡701のこの回転移動磁石6は、図78に示す誘導領域2a内を図78の左右方向、すなわち、カプセル型内視鏡701の径方向に移動可能である。また、図78および図79に示すように、カプセル型内視鏡701の径方向においては、回転移動磁石6の両側に回転移動磁石6よりも体積が小さく磁力が小さい固定磁石7a,7bが設けられている。固定磁石7aの磁界の向きは、カプセル型内視鏡701の軸方向と一致するようにカプセル型内視鏡701内に固定配置されている。また、固定磁石7bの磁界の向きは、カプセル型内視鏡701の径方向に一致するようにカプセル型内視鏡701内に固定配置されている。
なお、特に図示しないが、この実施の形態7にかかるカプセル型内視鏡701は、上述した実施の形態4にかかるカプセル型内視鏡401と同様に、位置検出用発振コイル421、撮像系422、アンテナ423を介して外部の受信部411に画像信号等を無線送信する無線系、電池424、およびカプセル型内視鏡701の各構成部(位置検出用発振コイル421、撮像系422、および無線系)を制御する制御部をカプセル型筐体内部に備える。また、かかるカプセル型内視鏡701は、上述した実施の形態4〜6または各変形例に例示したように、薬剤を注射する局注機構、生体内部に対して生体組織の採取または焼付け処理等の医療処置を行う処置機構(鉗子、高周波発熱部材等)を適宜備えてもよい。
このカプセル型内視鏡701においては、磁気誘導を行なう回転移動磁石6がカプセル型内視鏡701の軸方向に回転可能に設けられている。このため、回転移動磁石6の磁化方向は、印加される磁界に応じて回転することによって、図77に示すようにカプセル型内視鏡701の径方向、あるいは、カプセル型内視鏡701の軸方向に切り替え可能となる。略円筒形状を有するカプセル型内視鏡701において、回転移動磁石6は、磁化方向をカプセル型内視鏡701の径方向からカプセル型内視鏡701の軸方向に対して変更可能であり、カプセル型内視鏡701の軸方向に変更された磁化方向を維持可能である。ここで、カプセル型内視鏡701における回転移動磁石6の磁化方向の切り替えに関する動作について説明する。図80は、カプセル型内視鏡701の所定の各状態において磁界発生部403が印加する磁界強度を示す図であり、図81は、図77に示すカプセル型内視鏡701の軸方向の断面図である。
カプセル型内視鏡701に対し螺旋突起603を利用して磁気誘導を行なう場合には、図80の曲線l71に示すように、磁界発生部403は、回転移動磁石6がカプセル型内視鏡701内で回転可能となる磁界強度G65よりも弱い磁界強度で、カプセル型内視鏡701の長軸周りに回転磁界M65aを印加する。この場合、図81(1)右図に示すように、回転移動磁石6は、印加された回転磁界M65aの磁界強度が回転可能である磁界強度よりも弱いため、固定磁石7aと引き合って誘導領域2a内の固定磁石7a側に位置し続ける。このため、図81(1)左図に示すように、回転移動磁石6は、磁化方向をカプセル型内視鏡701の径方向のまま維持する状態、すなわちカプセル型内視鏡701内で回転しない状態を維持しながら、カプセル型内視鏡701の長軸周りに印加された回転磁界M65aにしたがって回転する。この結果、図81(1)左図の矢印Y91aに示す方向に、カプセル型内視鏡701は、回転しながら螺旋推進を行なう磁気誘導状態となる。
つぎに、回転移動磁石6の磁化方向をカプセル型内視鏡701の径方向から軸方向に切り替える場合について説明する。この場合、磁界発生部403は、図80の曲線l72に示すように、回転移動磁石6がカプセル型内視鏡701内で回転可能となる磁界強度G65よりも強い磁界強度であって固定磁石7aの磁化方向に60°以下の角度差を有する磁界M65bを印加する。この場合、図81(2)左図の矢印Y91bに示すように、回転移動磁石6は、磁界M65bにしたがって回転する。この結果、図81(2)右図に示すように、回転移動磁石6は、固定磁石7aとの間で生じた反発力の影響を受けて誘導領域2a内を固定磁石7b側に移動し、固定磁石7bとの間で生じる引力によって誘導領域2a内の固定磁石7b側に位置し続ける。このように、回転移動磁石6の磁化方向をカプセル型内視鏡701の径方向から軸方向に切り替えることができる。
そして、図80の曲線l73に示すように、磁界発生部403は、回転移動磁石6がカプセル型内視鏡701内で回転可能となる磁界強度G65よりも弱い磁界強度であって、転換方向に対応させた磁界を印加する。この場合、図81(3)右図に示すように、回転移動磁石6は、印加された回転磁界の磁界強度が回転可能である磁界強度よりも弱いため、固定磁石7bと引き合って誘導領域2a内の固定磁石7b側に位置し続ける。そして、回転移動磁石6は、カプセル型内視鏡701に印加された磁界に応じた磁化方向となるように動作するため、カプセル型内視鏡701は、印加された磁界の向きに応じて一体となって方向を転換することができる。たとえば、図81(3)左図に示すように、磁界M65cが印加された場合には、カプセル型内視鏡701は、上下方向に方向を転換することが可能になり、磁界M65dが印加された場合には、カプセル型内視鏡701は、奥行き方向または手前方向に方向を転換することが可能になる。
このように、実施の形態7によれば、磁気アクチュエータ1を適用することによって、誘導用の磁石のカプセル型内視鏡701内における向きを変更することができる。この結果、カプセル型内視鏡701においては、螺旋推進と方向転換との二つの動作を分けて行なうことができるため、より高度で効率的な誘導が可能になる。さらに、カプセル型内視鏡701においては、螺旋推進と方向転換との二つの動作に対し同じ回転移動磁石6を共用できるため、カプセル型内視鏡本体の小型化が可能になり、被検体内部への挿入性に優れたカプセル誘導システムを実現することが可能になる。
(変形例1)
つぎに、図82および図83を参照して、実施の形態7における変形例1について説明する。図82は、変形例1にかかるカプセル型内視鏡の断面図である。図82の左図は、変形例1にかかるカプセル型内視鏡の軸方向の断面図であり、図82の右図は、図82の左図におけるL−L線でカプセル型内視鏡を切断した断面図である。図83は、変形例1にかかるカプセル型内視鏡の所定の各状態において磁界発生部403が印加する磁界強度を示す図である。図82に示すように、変形例1にかかるカプセル型内視鏡701aは、カプセル型内視鏡701と比較し、固定磁石7aに代えて回転磁石206と、回転移動磁石6に代えて回転磁石206側の表面上に高摩擦部材8が設けられた回転移動磁石6とを備え、固定磁石7bを削除した構成を有する。その他の構成は、上述した実施の形態7にかかるカプセル型内視鏡701と同じである。また、この実施の形態7の変形例1にかかるカプセル誘導システムは、上述した実施の形態4にかかるカプセル誘導システム400と略同様であり、カプセル誘導システムのカプセル型内視鏡401に代えてカプセル型内視鏡701aを備えた構成を有する。
まず、カプセル型内視鏡701aに対し螺旋突起603を利用して磁気誘導を行なう場合には、図83の曲線l71aに示すように、磁界発生部403は、回転磁石206がカプセル型内視鏡701a内で回転可能となる磁界強度G65eよりも弱い磁界強度で、カプセル型内視鏡701aの長軸周りに回転磁界M65eを印加する。この場合、図82(1)右図に示すように、回転移動磁石6は、高摩擦部材8によって回転が拘束された状態で回転磁石206と引き合って誘導領域2a内の回転磁石206側に位置し続ける。図82(1)左図に示すように、回転移動磁石6は、回転磁界M65eにしたがって、カプセル型内視鏡701a内で回転しない状態を維持しながらカプセル型内視鏡701aの長軸周りに印加された回転磁界M65eにしたがって回転するため、矢印Y91aに示す方向に、カプセル型内視鏡701aは、回転しながら螺旋推進を行なう磁気誘導状態となる。
そして、磁界発生部403は、図83の曲線l72aに示すように、磁界強度G65eよりも強い磁界強度であって図82(1)左図の状態である回転移動磁石6の磁化方向に60°以下の角度差を有する磁界M65eを印加する。この場合、図82(2)右図の矢印Y91cに示すように、回転磁石206は、磁界M65eにしたがって回転する。この結果、図82(2)右図に示すように、回転移動磁石6は、回転磁石206との間で生じた反発力H65の影響を受けて誘導領域2a内を移動し、高摩擦部材8の回転拘束が解除されて回転可能となる。そして、回転移動磁石6の磁化方向は、磁界M65fの向きと同一の向きとなり、回転移動磁石6よりも体積が小さい回転磁石206は、回転移動磁石6と逆の磁化方向となるように回転する。この結果、図82(3)右図に示すように、回転移動磁石6および回転磁石206の間で発生した引力によって、回転移動磁石6は、誘導領域2a内を回転磁石206側に移動し、再び高摩擦部材8によって回転が拘束された状態となる。このように、回転移動磁石6の磁化方向をカプセル型内視鏡701aの径方向から軸方向に切り替えることができる。
そして、カプセル型内視鏡701aの方向転換を行なう場合には、カプセル型内視鏡701と同様に、図83の曲線l73aに示すように、磁界発生部403は、磁界強度G65eよりも弱い磁界強度で、磁界M65c、65dなどの転換方向に対応させた向きの磁界を印加すればよい。
このようなカプセル型内視鏡701aは、本発明にかかる磁気アクチュエータを搭載することによって、上述した実施の形態7にかかるカプセル型内視鏡701と同様にカプセル型内視鏡本体の小型化が可能になり、この結果、被検体内部への挿入性に優れたカプセル誘導システムを実現することが可能になる。
(変形例2)
つぎに、図84および図85を参照して、実施の形態7における変形例2について説明する。図84は、変形例2にかかるカプセル型内視鏡の断面図である。図84の左図は、変形例2にかかるカプセル型内視鏡の軸方向の断面図であり、図84の右図は、図84の左図におけるM−M線でカプセル型内視鏡を切断した断面図である。図85は、変形例2にかかるカプセル型内視鏡の所定の各状態において磁界発生部403が印加する磁界強度を示す図である。図84に示すように、変形例2にかかるカプセル型内視鏡701bは、カプセル型内視鏡701aと比して、矢印Y92aのように回転してカプセル型内視鏡701bを移動させるキャタピラ712と、キャタピラ712の回転を制御する歯車711とをさらに備え、上述した螺旋突起603を備えていない。その他の構成は、上述した実施の形態7と同じである。回転移動磁石6は、上述したように回転磁石206に比してサイズ(体積)が大きい磁石であり、歯車711と噛み合う。この歯車711は、かかる回転移動磁石6の回転にしたがって回転し、この結果、キャタピラ712が回転する。
なお、この実施の形態7の変形例2にかかるカプセル誘導システムは、上述した実施の形態4にかかるカプセル誘導システム400と略同様であり、カプセル誘導システムのカプセル型内視鏡401に代えてカプセル型内視鏡701bを備えた構成を有する。
キャタピラ712の回転時には、図85の曲線l71bに示すように、磁界発生部403は、回転移動磁石6がカプセル型内視鏡701b内で回転可能となる磁界強度G66よりも強い磁界強度で、カプセル型内視鏡701bの長軸方向に垂直な径方向の軸回りに回転磁界M66を印加する。この場合、図84(1)右図に示すように、回転移動磁石6は、強磁界である回転磁界M66によって、高摩擦部材8による回転の拘束から開放され回転することが可能になる。そして、回転移動磁石6が回転することによって、歯車711も回転し、キャタピラ712が回転動作して、カプセル型内視鏡701bは移動可能となる。
そして、方向転換時には、図85の曲線l73bに示すように、磁界発生部403は、回転移動磁石6がカプセル型内視鏡701bの誘導領域2a内で回転可能となる磁界強度G66よりも弱い磁界強度で、転換方向に対応させた向きの磁界を印加する。この結果、図84(2)右図に示すように、回転移動磁石6および回転磁石206の間で発生した引力によって、回転移動磁石6は、誘導領域2a内を回転磁石206側に移動し、再び高摩擦部材8によって回転が拘束された状態となる。このように、回転移動磁石6の磁化方向をカプセル型内視鏡701bの径方向から長軸方向に切り替えることができる。
具体的には、磁界発生部403は、回転移動磁石6の磁化方向がカプセル型内視鏡701bの長軸方向(例えばカプセル型内視鏡701bの撮像視野方向)と一致するところで回転磁界M66を停止して、この回転磁界M66の磁界強度を上述した磁界強度G66(図85参照)未満に弱める。この結果、図84(2)左図に示すように、回転移動磁石6は、誘導領域2a内における回転を停止するため、図84(2)右図の矢印Y92bに示すように、誘導領域2aの回転磁石206側に移動する。そして、図84(3)右図に示すように、回転移動磁石6は、回転磁石206との間で生じる引力によって、回転磁石206側の仕切りに接触した状態となり、高摩擦部材8によって回転が拘束された状態となる。回転移動磁石6がカプセル型内視鏡701bに固定された状態となるため、図83の曲線l73bおよび図84(3)左図に示すように、カプセル型内視鏡701bは、上述したカプセル型内視鏡701と同様に、磁界強度G66よりも弱い磁界強度で印加された磁界M65c、65dによって方向転換動作を制御される。この場合、カプセル型内視鏡701bは、上述した磁界発生部403によって変更される磁界M65c,65dの磁化方向に追従して、方向を転換する。
なお、この実施の形態7の変形例2では、カプセル型内視鏡701bの長軸方向と回転移動磁石6の磁化方向とを一致させた状態でカプセル型内視鏡701bに磁界M65c,M65dを印加し、かかる磁界M65c,M65dの磁界方向を制御することによってカプセル型内視鏡701bの方向転換を制御していたが、これに限らず、カプセル型内視鏡701bの径方向と回転移動磁石6の磁化方向とを一致させるように回転磁界M66の磁界強度および磁界方向を制御し、この状態のカプセル型内視鏡701bの長軸回りに回転する回転磁界を形成することによってカプセル型内視鏡701bを長軸回りに回転させてもよい。
このように、変形例2によれば、カプセル型内視鏡701と同様の効果を奏するとともに、外部磁界によって回転移動磁石6の状態(具体的にはハウジング内における回転可能な状態および固定状態)を切り替えることができ、これによって、キャタピラによるカプセル型内視鏡の推進および方向転換を行うことができ、より高度で効率的なカプセル型内視鏡の誘導が可能になる。
また、カプセル型内視鏡の推進と方向転換との二つの動作に対して同じ回転移動磁石6を共用できるため、かかる動作別に磁気アクチュエータをも配置する必要がなく、この結果、カプセル型内視鏡本体の小型化を促進するとともに、被検体内部へのカプセル型内視鏡の挿入性に優れたカプセル誘導システムを実現することが可能になる。
さらに、キャタピラ712の回転によってカプセル型内視鏡701bを推進(前進または後進)させる回転移動磁石6の回転軸をカプセル型内視鏡701bの長軸に対して略垂直にしているので、カプセル型内視鏡701bを径方向の軸回りに転倒させるに足るトルクを大きくすることができ、これによって、かかる回転移動磁石6を回転させる外部の回転磁界M66によってカプセル型内視鏡701bが転倒することを防止できる。この結果、この回転磁界M66の磁力エネルギーをカプセル型内視鏡701bの転倒トルクに浪費せずに効率良く回転移動磁石6を回転させることができ、かかる回転磁界M66によってカプセル型内視鏡701bを確実に推進させることができる。
また、カプセル型内視鏡701bの筐体に対して相対的に回転移動磁石6を回転させ、カプセル型内視鏡701bの筐体に対して相対的に回転するキャタピラ712をこの回転移動磁石6の回転動作に追従して回転させているので、かかる回転移動磁石6およびキャタピラ712をカプセル型内視鏡701bの筐体に対して独立的に回転させることができる。これによって、カプセル型内視鏡701bは、その筐体を長軸回りまたは径方向の軸回りに回転させずに前進または後進することができる。この結果、カプセル型内視鏡701bの撮像系によって撮像する画像がカプセル型内視鏡701bの筐体の回転に起因して画像ぶれを起こすことを防止できる。すなわち、かかるカプセル型内視鏡701bは、被検体内部を前進または後進するとともに、被検体内部の画像を鮮明に撮像することができる。
(変形例3)
つぎに、図86および図87を参照して、実施の形態7における変形例3について説明する。図86は、変形例3にかかるカプセル型内視鏡の断面図である。図86の左図は、変形例3にかかるカプセル型内視鏡の軸方向の断面図であり、図86の右図は、図86の左図におけるN−N線でカプセル型内視鏡を切断した断面図である。図87は、変形例3にかかるカプセル型内視鏡の所定の各状態において磁界発生部403が印加する磁界強度を示す図である。図86に示すように、変形例3にかかるカプセル型内視鏡701cは、カプセル型内視鏡701bと比して、回転移動磁石6は、カプセル型内視鏡701cを移動させるタイヤ721を構成する。そして、カプセル型内視鏡701cは、螺旋突起603を備え、矢印Y91aに示すように、磁気誘導によって螺旋推進を行なうことができる。その他の構成は、上述した実施の形態7の変形例2にかかるカプセル型内視鏡701bと同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。また、この実施の形態7の変形例3にかかるカプセル誘導システムは、上述した実施の形態4にかかるカプセル誘導システム400と略同様であり、カプセル誘導システムのカプセル型内視鏡401に代えてカプセル型内視鏡701cを備えた構成を有する。
まず、図87の曲線l71cに示すように、磁界発生部403は、回転磁石206よりも体積が大きい回転移動磁石6が誘導領域2a内で回転可能となる磁界強度G67よりも弱い磁界強度で、カプセル型内視鏡701cの長軸周りに回転磁界M65aを印加する。この場合、図86(1)右図に示すように、回転移動磁石6は、高摩擦部材8によって回転が拘束され磁化方向がカプセル型内視鏡701cの径方向になるように固定された状態となるため、図86(1)左図に示すように、カプセル型内視鏡701cは、カプセル型内視鏡701cの長軸周りの回転磁界M65aにしたがって長軸回りに回転しつつ、矢印Y91aに示す方向に螺旋推進を行なう。なお、カプセル型内視鏡701cにおいては、回転移動磁石6の磁化方向がカプセル型内視鏡701cの長軸方向になるように固定された場合には、カプセル型内視鏡701cの長軸方向に平行な磁化方向の磁界によって方向が制御される。
そして、タイヤ回転時には、図87の曲線l73cに示すように、磁界発生部403は、回転移動磁石6がカプセル型内視鏡701c内で回転可能となる磁界強度G67よりも強い磁界強度の磁界M67を印加する。この場合、図86(2)右図に示すように、強磁界である回転磁界M67によって、回転移動磁石6および回転磁石206が磁界M67にしたがって同じ向き(図86(2)に示す矢印Y93の方向)に回転し、反発力H67が発生する。そして、図86(3)右図の矢印Y94に示すように、回転移動磁石6は、この反発力H67によって回転磁石206から離れるように誘導領域2a内を移動するため、高摩擦部材8による回転の拘束が解除され、回転可能となる。そして、カプセル型内視鏡701cは、回転移動磁石6が磁界強度G67よりも強い磁界強度の回転磁界が印加されることによって回転し、これにともないタイヤ721も図86(3)に示す矢印Y94aの方向に回転するため、図86(3)左図の矢印94bに示すように、移動することが可能になる。
このように、変形例3によれば、カプセル型内視鏡701と同様の効果を奏するとともに、外部磁界によって回転移動磁石6の状態(具体的にはハウジング内における回転可能な状態および固定状態)を切り替えることができ、これによって、タイヤによるカプセル型内視鏡の推進、螺旋突起によるカプセル型内視鏡の推進を選択的に行なうことができ、さらには、固定状態にした回転移動磁石6の磁化方向を外部磁界によって変化させることによってカプセル型内視鏡の方向転換を行うことができる。この結果、より高度で効率的なカプセル型内視鏡の誘導が可能になる。
また、カプセル型内視鏡701cが保有する撮像系の撮像方向に対して平行な方向(望ましくは一致する方向)に磁化方向をもつ状態で回転移動磁石6をカプセル型内視鏡701cの筐体に一時固定することができ、この固定状態の回転移動磁石6に対して印加する外部磁界の磁化方向を制御することによって、この回転移動磁石6に追従して方向転換するカプセル型内視鏡701cの撮像系の撮像方向を所望の方向に制御することができる。この結果、カプセル型内視鏡701cは、被検体内における所望方向の画像を容易に撮像することができる。
さらに、カプセル型内視鏡の推進と方向転換との二つの動作に対して同じ回転移動磁石6を共用できるため、かかる動作別に磁気アクチュエータをも配置する必要がなく、この結果、カプセル型内視鏡本体の小型化を促進するとともに、被検体内部へのカプセル型内視鏡の挿入性に優れたカプセル誘導システムを実現することが可能になる。
また、タイヤ721の回転によってカプセル型内視鏡701cを推進(前進または後進)させる回転移動磁石6の回転軸をカプセル型内視鏡701cの長軸に対して略垂直にしているので、カプセル型内視鏡701cを径方向の軸回りに転倒させるに足るトルクを大きくすることができ、これによって、かかる回転移動磁石6を回転させる外部の磁界M67によってカプセル型内視鏡701cが転倒することを防止できる。この結果、この磁界M67の磁力エネルギーをカプセル型内視鏡701cの転倒トルクに浪費せずに効率良く回転移動磁石6を回転させることができ、かかる磁界M67によってカプセル型内視鏡701cを確実に推進させることができる。
また、カプセル型内視鏡701cの筐体に対して相対的に回転移動磁石6を回転させているので、かかる回転移動磁石6の外周に配置されたタイヤ721をカプセル型内視鏡701cの筐体に対して独立的に回転させることができる。これによって、カプセル型内視鏡701cは、その筐体を長軸回りまたは径方向の軸回りに回転させずに前進または後進することができる。この結果、カプセル型内視鏡701cの撮像系によって撮像する画像がカプセル型内視鏡701cの筐体の回転に起因して画像ぶれを起こすことを防止できる。すなわち、かかるカプセル型内視鏡701cは、被検体内部を前進または後進するとともに、被検体内部の画像を鮮明に撮像することができる。
なお、上述した実施の形態7の変形例3では、回転移動磁石6および回転磁石206に対して印加する外部磁界の磁化方向および磁界強度を制御することによって、螺旋突起603による螺旋推進とタイヤ721による推進とをカプセル型内視鏡701cに選択的に行わせていたが、これに限らず、カプセル型内視鏡701cは、上述した螺旋突起603を備えず、外部磁界に追従して回転する回転移動磁石6とともに回転するタイヤ721によって前進または後進するようにしてもよい。
また、上述した実施の形態7の変形例3では、回転移動磁石6および回転磁石206に対して印加する外部磁界の磁化方向および磁界強度を制御することによって、この回転移動磁石6をカプセル型内視鏡701cの筐体に対して相対的に固定状態にしていたが、これに限らず、上述した回転磁界206および高摩擦部材8を設けず、回転移動磁石6をカプセル型内視鏡701cの筐体に対して回転自在に軸支してもよい。この場合、かかるカプセル型内視鏡701c内の回転移動磁石6は、カプセル型内視鏡701cの筐体の径方向の軸回りに回転する回転磁界に追従して回転するとともにタイヤ721を回転して、カプセル型内視鏡701cの推進力を生成する。かかる回転移動磁石6を筐体内部に軸支した構造をもつカプセル型内視鏡701cは、上述した磁界強度G67に比して弱い磁界強度の回転磁界によって前進または後進することができ、この結果、かかるカプセル型内視鏡701cが前進または後進する際の消費エネルギーを軽減することができる。また、かかるカプセル型内視鏡701cの筐体の水密構造を簡易に実現することができる。
(変形例4)
つぎに、図88および図89を参照して、実施の形態7にかかる変形例4について説明する。図88は、変形例4にかかるカプセル型内視鏡の断面図である。図88(1)および図88(2)は、変形例4にかかるカプセル型内視鏡の軸方向の断面図であり、図88(3)は、図88(2)におけるO−O線でカプセル型内視鏡を切断した断面図である。図89は、変形例4にかかるカプセル型内視鏡の所定の各状態において磁界発生部403が印加する磁界強度を示す図である。図88に示すように、変形例4にかかるカプセル型内視鏡701dにおいては、回転磁石206が円滑に回転するように回転磁石206の接触面上に摩擦低減部材9が設けられている。また、カプセル型内視鏡701dにおいては、回転磁石6側の仕切りに回転移動磁石6が接触した場合には、回転が拘束されるように、回転移動磁石6の回転磁石206側の表面上には、高摩擦部材8が設けられている。また、カプセル型内視鏡701dは、回転移動磁石6の回転時に回転移動磁石6と噛み合うように、回転針427aの回転動作を制御する歯車739を誘導領域2a内に配置する。
まず、図89の曲線l71dに示すように、磁界発生部403は、回転磁石206よりも体積が大きい回転移動磁石6が誘導領域2a内で回転可能となる磁界強度G68よりも弱い磁界強度で、カプセル型内視鏡701dの長軸周りに回転磁界を印加する。この場合、図88(1)に示すように、回転移動磁石6は、高摩擦部材8によって回転が拘束された状態となるため、カプセル型内視鏡701dは、カプセル型内視鏡701dの長軸周りの回転磁界にしたがって推進する。なお、カプセル型内視鏡701dにおいては、螺旋突起603を設けることによって螺旋推進を促進させてもよい。
バルーン425内の薬剤426の局注時には、図89の曲線l74dに示すように、磁界発生部403は、回転移動磁石6がカプセル型内視鏡701d内で回転可能となる磁界強度G68よりも強い磁界強度の磁界M68を印加する。この場合、図88(2)の矢印Y95aに示すように、磁界M68によって、回転移動磁石6および回転磁石206が磁界M68にしたがって同じ向きに回転し、反発力H68が発生する。そして、図88(2)の矢印Y95bに示すように、回転移動磁石6は、この反発力H68によって回転磁石206から離れるように誘導領域2a内を移動し歯車739と噛み合う。また、回転移動磁石6においては、高摩擦部材8による回転の拘束が解除され、回転可能となる。そして、カプセル型内視鏡701dは、磁界強度G68よりも強い磁界強度で回転針427aの回転方向に対応した向きの磁界が印加されることによって回転し、これにともない歯車739もそれぞれ回転する。この結果、図88(3)に示すように、歯車739の回転によって、回転針427aが矢印Y95cに示すように回転し、カプセル型内視鏡701d外に突出する。そして、回転針427aが回転停止面に接触すると、カプセル型内視鏡701d本体が回転し、腸管などの周方向に沿って回転針427aが穿刺される。さらに、バルーン425の貫通穴433と回転針427aの図示しない貫通穴が接続するため、バルーン425内の薬剤426が回転針427aを介して所望の領域に注入されることとなる。
そして、磁界強度G68よりも強い磁界強度のまま磁界の向きを逆転させることによって、回転針427aがカプセル型内視鏡701d内に収納され、さらに、印加された磁界の磁界強度G68よりも弱めることによって、回転移動磁石6が図88(1)に示すようにカプセル型内視鏡701dに固定されることとなる。
このように、変形例4によれば、カプセル型内視鏡701と同様の効果を奏するとともに、回転移動磁石6の状態を切り替えることによって、より高度で効率的なカプセル型内視鏡の推進動作および局注動作を行なうことが可能になる。
(変形例5)
つぎに、本発明の実施の形態7の変形例5について説明する。上述した実施の形態7の変形例2では、外部磁界の磁化方向および磁界強度を制御することによって回転移動磁石6を回転可能な状態または固定状態に切り替えるようにし、この回転移動磁石6の回転に伴って歯車711とともにキャタピラ712を回転させることによって、カプセル型内視鏡701bの推進力を生成していたが、この実施の形態7の変形例5では、カプセル型内視鏡の筐体に対して回転自在に配置した回転磁界を車軸にし、外部の回転磁界によってこの回転磁界とともにキャタピラ712を回転させてカプセル型内視鏡の推進力を生成するようにしている。
図90は、実施の形態7の変形例5にかかるカプセル型内視鏡の一構成例を示す模式図である。なお、図90には、この実施の形態7の変形例5にかかるカプセル型内視鏡701eの側面図およびP−P線断面図が示されている。
この実施の形態7の変形例5にかかるカプセル型内視鏡701eは、上述した実施の形態7の変形例2にかかるカプセル型内視鏡701bと略同様に、磁気アクチュエータによって回転駆動するキャタピラ712によって前進または後進可能な構成を有する。具体的には図90に示すように、カプセル型内視鏡701eは、被検体の体内に導入し易い大きさに形成されたカプセル型の筐体731と、上述したキャタピラ712と、キャタピラ712を無端状に回転させる車輪732,733と、一方(例えば前方側)の車輪732を回転自在に支持する車軸734と、他方(例えば後方側)の車輪733を回転自在に支持する車軸状の回転磁石735と、を備える。また、カプセル型内視鏡701eは、上述した実施の形態4にかかるカプセル型内視鏡401と同様に、位置検出用発振コイル421、撮像系422、アンテナ423を介して外部の受信部411に画像信号等を無線送信する無線系、電池424、およびカプセル型内視鏡401の各構成部(位置検出用発振コイル421、撮像系422、および無線系)を制御する制御部を筐体731の内部に備える。
なお、特に図示しないが、カプセル型内視鏡701eは、上述した実施の形態4〜6または各変形例に例示したように、薬剤を注射する局注機構、生体内部に対して生体組織の採取または焼付け処理等の医療処置を行う処置機構(鉗子、高周波発熱部材等)を適宜備えてもよい。また、この実施の形態7の変形例5にかかるカプセル誘導システムは、上述した実施の形態4にかかるカプセル誘導システム400と略同様であり、カプセル誘導システムのカプセル型内視鏡401に代えてカプセル型内視鏡701eを備えた構成を有する。
一対の車輪732は、筐体731の前方側(撮像系422が配置された側)の車軸734の両端に取り付けられ、この車軸734によって回転可能に軸支される。また、一対の車輪733は、筐体731の後方側の車軸である回転磁石735の両端に取り付けられ、この回転磁石735によって回転可能に軸支される。かかる車輪732,733は、回転磁石735の回転に伴って回転して、カプセル型内視鏡701eを前進または後進させるキャタピラ712を無端状に回転する。
車軸734は、筐体731の前方側に形成された貫通孔に回転自在に挿通され、上述した一対の車輪732を両端に有する。かかる貫通孔内に挿通された車軸734は、筐体731の長手方向の中心軸である長軸CL1に対して垂直(すなわち筐体731の径方向に平行)な回転軸であり、筐体731に対して独立して回転する。
回転磁石735は、筐体731の後方側に形成された貫通孔に回転自在に挿通され、上述した一対の車輪733を両端に有する。かかる貫通孔内に挿通された回転磁石735は、筐体731の長軸CL1に対して垂直な方向(すなわち筐体731の径方向)の回転軸であり、外部の回転磁界(上述した磁界発生部403によって形成された回転磁界)に追従して、筐体731に対して独立して回転する。かかる回転磁石735は、長軸CL1に垂直な軸周りに車輪733を回転させる車軸として機能するとともに、筐体731の径方向の軸周りに回転する外部の回転磁界の作用によってキャタピラ712を回転させる磁気アクチュエータとして機能する。なお、かかる回転磁石735の表面は、生体適合性のある物質によって覆われる。
ここで、かかる車軸734または回転磁石735を挿通する筐体731の各貫通孔は、筐体731の長軸CL1に垂直な方向(すなわち筐体731の径方向)に沿って形成された貫通孔であり、上述した撮像系422、無線系、および電池424等の内部部品を配置する筐体731の内部空間から隔離される。このため、かかる各貫通孔を有する筐体731は、カプセル型内視鏡701eの内部部品を配置する内部空間の液密を簡易な構造によって確保できるとともに、カプセル型内視鏡701eを前進または後進させるためのキャタピラ機構、すなわち上述した車輪732,733と、車軸734および回転磁石735と、キャタピラ712とをこの内部空間から隔離した状態で備えることができる。
このような構成を有するカプセル型内視鏡701eの重心GPは、上述した各構成部(撮像系422および電池424等の内部部品、車輪732,733、車軸734、回転磁石735、およびキャタピラ712等)の配置を調整することによって筐体731内部の所定の位置に設定される。具体的には、図90に示すように、重心GPは、筐体731の径方向の軸であって筐体731の内部空間の中心CPを通る中心軸CL2上に設定され、さらに望ましくは、中心CPから筐体731の底部側(車輪732,733等のキャタピラ機構が配置された側)に外れた位置に設定される。
なお、かかるカプセル型内視鏡701eの位置および方向の少なくとも一つを上述した位置算出部412によって検出するための位置検出用発振コイル421(図示せず)は、上述した回転磁石735の回転軸とコイル軸とが平行になるように筐体731の内部に配置される。かかる位置検出用発振コイル421は、回転磁石735の磁化方向に対して垂直方向の磁界を形成する。
つぎに、外部の回転磁界によってカプセル型内視鏡701eを前進または後進させるキャタピラ機構の動作について説明する。図91は、カプセル型内視鏡のキャタピラ機構が外部の回転磁界によって動作する状態を示す模式図である。なお、図91には、この実施の形態7の変形例5にかかるカプセル型内視鏡701eの側面図およびP−P線断面図が示されている。
図91に示すように、筐体731の貫通孔内に回転自在に挿通された回転磁石735には、この筐体731の径方向の軸周りに回転する回転磁界M70が上述した磁界発生部403によって印加される。この場合、回転磁石735は、この回転磁界M70に追従して筐体731の径方向の軸周りに回転するとともに、両端の車輪733を回転させる。
キャタピラ712は、かかる回転磁石735の作用によって回転磁石735と同方向に回転して、カプセル型内視鏡701eの推進力を生成する。すなわち、キャタピラ712は、かかる回転磁界M70に追従する回転磁石735の回転力をカプセル型内視鏡701eの推進力に変換する。なお、筐体731の貫通孔内に回転自在に挿通された車軸734およびその両端の車輪732は、かかる回転磁石735の作用によるキャタピラ712の回転を阻害することなく、このキャタピラ712に追従して回転する。カプセル型内視鏡701eは、かかるキャタピラ712の回転によって、筐体731を回転せずに被検体の体内を前進または後進することができる。
ここで、かかるカプセル型内視鏡701eのキャタピラ機構の磁気アクチュエータとして機能する回転磁石735は、上述した高摩擦部材8または別の回転磁石206等によって阻害されることなく、外部の回転磁界M70に追従して円滑に回転する。このため、かかる回転磁石735に印加する回転磁界M70は、上述した実施の形態7の変形例2における回転磁界M66の磁界強度G66に比して小さい磁界強度であっても、筐体731の径方向の軸周りに回転磁石735を回転させることができる。この結果、かかる回転磁石735を回転させる回転磁界M70の発生に必要な消費エネルギーが軽減される。
このように、実施の形態7の変形例5では、撮像系、無線系、および電池等の内部部品を配置するカプセル型の筐体の内部空間から隔離された筐体部分に、この筐体の長手方向に垂直な方向の貫通孔を形成し、当該カプセル型内視鏡のキャタピラ機構の車軸であるとともに磁気アクチュエータとして機能する回転磁石をこの貫通孔に回転自在に挿通し、この筐体の径方向の軸周りに回転する外部の回転磁界をこの回転磁石に対して印加することによって、この回転磁石を筐体に対して独立的且つ筐体の径方向の軸周りに回転させるようにし、かかる回転磁石の作用によってキャタピラを回転させて当該カプセル型内視鏡を前進または後進させるように構成している。このため、外部の回転磁界によって被検体内を容易に前進または後進できるとともに、かかる前進または後進のためのキャタピラ機構を備えるカプセル型の筐体の内部空間(すなわち撮像系、無線系、および電池等のカプセル型内視鏡の内部部品を配置する空間)の液密を簡易な筐体構造によって確保できるカプセル型内視鏡を実現することができる。
また、かかる回転磁石の磁化方向に対して垂直方向の磁界を形成する位置検出用発振コイルを備えるようにしているので、被検体内部における当該カプセル型内視鏡の位置を検出できるとともに、かかる回転磁石の磁化方向に対して常に垂直な方向である回転磁石の回転軸方向を検出することができる。この回転軸方向に対して垂直な回転磁界を回転磁石に対して印加することによって、より高精度にカプセル型内視鏡の位置および方向を誘導することができる。
さらに、かかるキャタピラ機構の磁気アクチュエータとして機能する回転磁石によってキャタピラ機構の一方の車軸を形成しているので、かかるキャタピラ機構を小型化することができ、この結果、カプセル型内視鏡本体の小型化を促進するとともに、被検体内部へのカプセル型内視鏡の挿入性に優れたカプセル誘導システムを実現することが可能になる。
また、かかる回転磁石の回転軸をカプセル型内視鏡の長軸に対して略垂直にしているので、カプセル型内視鏡を径方向の軸回りに転倒させるに足るトルクを大きくすることができ、これによって、かかる回転磁石を回転させる外部の回転磁界によってカプセル型内視鏡が転倒することを防止できる。この結果、この外部の回転磁界の磁力エネルギーをカプセル型内視鏡の転倒トルクに浪費せずに効率良く回転磁石を回転させることができ、かかる回転磁界によってカプセル型内視鏡を確実に推進させることができる。
さらに、カプセル型の筐体の径方向の軸であって筐体の中心を通る中心軸上に当該カプセル型内視鏡の重心を設定したので、キャタピラ機構によるカプセル型内視鏡のキャタピラ走行を安定化することができる。また、かかる筐体の径方向の中心軸上であって筐体の中心位置から筐体の底部側(キャタピラ機構側)に外れた位置に当該カプセル型内視鏡の重心を設定する(すなわち低重心化する)ことによって、かかるキャタピラ機構によるカプセル型内視鏡のキャタピラ走行を一層安定化することができ、たとえ傾斜面をキャタピラ走行する場合であっても、転倒等を起こすことなく、安定的にカプセル型内視鏡の誘導を行うことができる。
また、筐体の貫通孔内に回転自在に挿通した回転磁石を外部の回転磁界によって回転させているので、外部の回転磁界に追従して円滑に回転磁石を回転させることができる。このため、かかる回転磁石に印加する外部の回転磁界の磁界強度を低くすることができ、この結果、かかる回転磁石を回転させる外部の回転磁界の発生に必要な消費エネルギーを軽減することができる。
さらに、カプセル型の筐体に対して相対的に回転磁石を回転させることによってキャタピラを筐体に対して独立的に回転させているので、この筐体を長軸回りまたは径方向の軸回りに回転させずにカプセル型内視鏡を前進または後進させることができる。この結果、このカプセル型内視鏡の撮像系によって撮像する画像が筐体の回転に起因して画像ぶれを起こすことを防止できる。すなわち、かかるカプセル型内視鏡は、被検体内部を前進または後進するとともに、被検体内部の画像を鮮明に撮像することができる。
なお、上述した実施の形態7の変形例5では、被検体内部におけるカプセル型内視鏡の位置および方向の少なくとも一つを検出するための位置検出用発振コイルをカプセル型内視鏡に設けていたが、これに限らず、かかる位置検出用発振コイルに代えてLCマーカをカプセル型内視鏡に設けてもよい。このLCマーカは、そのコイル軸と回転磁石の回転軸とが略平行になるようにカプセル型内視鏡に配置されればよく、例えば、キャタピラ機構において回転磁石と対をなす車軸(上述した車軸734)に配置してもよい。この場合、上述した位置算出部412は、LCマーカ方式に基づいて被検体内部におけるカプセル型内視鏡の位置および方向の少なくとも一つを算出(検出)すればよい。
また、上述した実施の形態7の変形例5では、撮像系422および電池424等の内部部品、車輪732,733、車軸734、回転磁石735、およびキャタピラ712等の配置を調整することによって、筐体731の径方向の中心軸CL2上にカプセル型内視鏡701eの重心GPを設定していたが、これに限らず、筐体731の径方向の中心軸CL2に対して回転磁石735の対称的な位置に回転磁石735と同等な重量のカウンターウエイトを設け、これによって回転磁石735による重量の偏りを補正して、筐体731の径方向の中心軸CL2上(さらには、筐体731の底部側に偏心した位置)にカプセル型内視鏡701eの重心GPを設定してもよい。この場合、かかるカウンターウエイトは、電池、スーパーキャパシタ、位置検出用発振コイル、および錘等のいずれであってもよいし、これらを適宜組み合わせたものであってもよい。
(変形例6)
つぎに、本発明の実施の形態7の変形例6について説明する。上述した実施の形態7の変形例5では、キャタピラ機構の磁気アクチュエータとして機能する回転磁石735をキャタピラ機構の車軸に用いていたが、この実施の形態7の変形例6では、キャタピラ機構の磁気アクチュエータとして機能する回転磁石を筐体の径方向の中心軸上に配置してカプセル型内視鏡を低重心化している。
図92は、本発明の実施の形態7の変形例6にかかるカプセル型内視鏡の一構成例を示す縦断面模式図である。なお、図92には、カプセル型の筐体731とキャタピラ機構とが図示されている。図92に示すように、この実施の形態7の変形例6にかかるカプセル型内視鏡701fは、上述した実施の形態7の変形例5にかかるカプセル型内視鏡701eの回転磁石735に代えて車軸736を備え、この車軸736の歯車部と噛み合って回転する歯車738と、この歯車738と噛み合う歯車部を外周に有する回転磁石737とをさらに備える。その他の構成は上述した実施の形態7の変形例5と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。また、この実施の形態7の変形例6にかかるカプセル誘導システムは、上述した実施の形態4にかかるカプセル誘導システム400と略同様であり、カプセル誘導システムのカプセル型内視鏡401に代えてカプセル型内視鏡701fを備えた構成を有する。
なお、カプセル型内視鏡701fは、特に図示していないが、上述した実施の形態7の変形例5にかかるカプセル型内視鏡701eと同様に、位置検出用発振コイル421、撮像系422、アンテナ423を介して外部の受信部411に画像信号等を無線送信する無線系、電池424、およびこれら各構成部(位置検出用発振コイル421、撮像系422、および無線系)を制御する制御部を筐体731の内部に備える。また、カプセル型内視鏡701fは、上述した実施の形態4〜6または各変形例に例示したように、薬剤を注射する局注機構、生体内部に対して生体組織の採取または焼付け処理等の医療処置を行う処置機構(鉗子、高周波発熱部材等)を適宜備えてもよい。
車軸736は、筐体731の後方側に形成された貫通孔に回転自在に挿通され、一対の車輪733を両端に有する。かかる貫通孔内に挿通された車軸736は、筐体731の長軸CL1に対して垂直(すなわち筐体731の径方向に平行)な回転軸であり、筐体731に対して独立して回転する。
回転磁石737は、筐体731の径方向の軸周りに回転する外部の回転磁界M70の作用によってキャタピラ712を回転させる磁気アクチュエータとして機能する。具体的には、回転磁石737は、筐体731の長軸CL1に垂直な回転軸によって回転自在に軸支され、上述した外部の回転磁界M70に追従して筐体731の径方向の軸周りに回転する。この場合、回転磁石737は、筐体731に対して独立して回転する。かかる回転磁石737は、歯車738と噛み合う歯車部を有し、この歯車738を介して車軸736を回転させる。歯車738は、かかる回転磁石737の歯車部と車軸736の歯車部とに噛み合い、回転磁石737の回転動作を車軸736に伝達する。
このような構成を有するカプセル型内視鏡701fの重心GPは、上述した各構成部(撮像系422および電池424等の内部部品、車輪732,733、車軸734,736、回転磁石737、歯車738、およびキャタピラ712等)のうち、最も重量の大きい回転磁石737の配置を調整することによって筐体731内部の所定の位置に設定される。具体的には、図92に示すように、重心GPは、筐体731の径方向の中心軸CL2上であって筐体731の底部側(車輪732,733等のキャタピラ機構が配置された側)に偏心した位置に回転磁石737を配置することによって設定される。かかる重心GPは、この回転磁石737の回転軸と径方向の中心軸CL2との交点に位置する。
このように、実施の形態7の変形例6では、カプセル型の筐体の径方向の中心軸上であって筐体の底部側(キャタピラ機構が配置された側)に偏心した位置に回転磁石を配置することによって、この回転磁石の回転軸と筐体の径方向の中心軸との交点の位置に当該カプセル型内視鏡の重心を設定し、この回転磁石の回転動作を歯車を介してキャタピラ機構の車軸に伝達するようにし、その他を上述した実施の形態7の変形例5と同様に構成した。このため、上述した実施の形態7の変形例5と同様の作用効果を享受するとともに、筐体の中心から底部側(キャタピラ機構が配置された側)に偏心した位置に当該カプセル型内視鏡の重心を容易に設定することができ、キャタピラ機構によるキャタピラ走行の安定化に有利なカプセル型内視鏡の低重心化を簡易に実現することができる。
(変形例7)
つぎに、本発明の実施の形態7の変形例7について説明する。上述した実施の形態7の変形例5では、筐体731の片側(底部側)にキャタピラ機構を備えていたが、この実施の形態7の変形例7では、カプセル型の筐体の長軸に関して対称的な各筐体部分(すなわち筐体の底部および頂部)にキャタピラ機構を各々備えるようにしている。
図93は、実施の形態7の変形例7にかかるカプセル型内視鏡の一構成例を示す模式図である。なお、図93には、この実施の形態7の変形例7にかかるカプセル型内視鏡701gの側面図およびQ−Q線断面図が示されている。
図93に示すように、この実施の形態7の変形例7にかかるカプセル型内視鏡701gは、上述した実施の形態7の変形例5にかかるカプセル型内視鏡701eの筐体731に代えて、2つのキャタピラ機構を長軸CL1に関して対称的に配置可能な構造をもつカプセル型の筐体740を備える。また、カプセル型内視鏡701gは、この筐体740の底部側に、上述した実施の形態7の変形例5にかかるカプセル型内視鏡701eと同様なキャタピラ機構(キャタピラ712、車輪732,733、車軸734、および回転磁石735)を備え、この筐体740の頂部側に、この底部側のキャタピラ機構に対称的なキャタピラ機構、すなわちキャタピラ741、車輪742,743、および車軸744,745を備える。さらに、カプセル型内視鏡701gは、この筐体740の内部に、かかる底部側のキャタピラ機構と頂部側のキャタピラ機構とを連動させるための歯車746,747を備える。なお、この実施の形態7の変形例7において、回転磁石735は、この歯車746と噛み合う歯車部を備える。その他の構成は実施の形態7の変形例5と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。また、この実施の形態7の変形例7にかかるカプセル誘導システムは、上述した実施の形態4にかかるカプセル誘導システム400と略同様であり、カプセル誘導システムのカプセル型内視鏡401に代えてカプセル型内視鏡701gを備えた構成を有する。
なお、カプセル型内視鏡701gは、特に図示していないが、上述した実施の形態7の変形例5にかかるカプセル型内視鏡701eと同様に、位置検出用発振コイル421、撮像系422、アンテナ423を介して外部の受信部411に画像信号等を無線送信する無線系、電池424、およびこれら各構成部(位置検出用発振コイル421、撮像系422、および無線系)を制御する制御部を筐体740の内部に備える。また、カプセル型内視鏡701gは、上述した実施の形態4〜6または各変形例に例示したように、薬剤を注射する局注機構、生体内部に対して生体組織の採取または焼付け処理等の医療処置を行う処置機構(鉗子、高周波発熱部材等)を適宜備えてもよい。
筐体740は、被検体の体内に導入し易い大きさに形成されたカプセル型の筐体であり、上述したように、2つのキャタピラ機構を長軸CL1に関して対称的に配置可能な構造をもつ。具体的には、筐体740は、上述した実施の形態7の変形例5にかかるカプセル型内視鏡701eの筐体731と同様に、車軸734を回転自在に挿通する貫通孔と回転磁石735を回転自在に挿通する貫通孔とを底部側に有する。また、筐体740は、頂部側のキャタピラ機構のうちの車軸744,745を各々回転自在に挿通する各貫通孔を頂部側に有する。かかる筐体740の頂部側の各貫通孔および底部側の各貫通孔は、長軸CL1に関して対称であって、筐体740の長軸CL1に垂直な方向(すなわち筐体740の径方向)に沿って形成される。また、かかる筐体740の頂部側の各貫通孔および底部側の各貫通孔は、上述した撮像系422、無線系、および電池424等の内部部品を配置する筐体740の内部空間から隔離される。
一対の車輪742は、筐体740の頂部側における前方側(撮像系422が配置された側)の車軸744の両端に取り付けられ、この車軸744によって回転可能に軸支される。また、一対の車輪743は、筐体740の頂部側における後方側の車軸745の両端に取り付けられ、この車軸745によって回転可能に軸支される。かかる車輪742,743は、筐体740の頂部側のキャタピラ機構におけるキャタピラ741を支持するとともに、筐体740の底部側のキャタピラ機構の動作(詳細には回転磁石735の回転)に連動して回転し、この結果、このキャタピラ741を無端状に回転する。この場合、キャタピラ741は、歯車746,747を介して底部側のキャタピラ機構から伝達された回転磁石735の回転力をカプセル型内視鏡701gの推進力に変換する。
車軸744は、筐体740の頂部側に形成された各貫通孔のうちの前方側の貫通孔に回転自在に挿通され、上述した一対の車輪742を両端に有する。一方、車軸745は、筐体740の頂部側に形成された各貫通孔のうちの後方側の貫通孔に回転自在に挿通され、上述した一対の車輪743を両端に有する。かかる各貫通孔内に挿通された車軸744,745は、筐体740の長軸CL1に対して垂直(すなわち筐体740の径方向に平行)な回転軸であり、筐体740に対して独立して回転する。
また、かかる後方側の車軸745は、歯車747と噛み合う歯車部を有し、2つの歯車746,747によって伝達される回転磁石735の回転動作に連動して、この回転磁石735と反対回りに回転する。歯車746,747は、互いに噛み合いつつ回転する一対の歯車であり、筐体740に対して回転自在な回転軸によって各々軸支される。歯車746は、回転磁石735の歯車部と噛み合いつつ、この回転磁石735の回転動作に伴って回転磁石735と反対回りに回転する。かかる歯車746は、この回転磁石735の回転動作を歯車747に伝達する。歯車747は、かかる歯車746および車軸745の歯車部と噛み合いつつ、この歯車746の回転動作に伴って回転磁石735と同じ方向に回転する。かかる歯車747は、この歯車746を介して回転磁石735から伝達された回転動作に伴って、この回転磁石735と反対回りに車軸745を回転させる。
このような構成を有するカプセル型内視鏡701gの重心GPは、上述した各構成部(撮像系422および電池424等の内部部品、頂部側のキャタピラ機構、および底部側のキャタピラ機構等)の配置を調整することによって筐体740内部の所定の位置に設定される。具体的には、図93に示すように、重心GPは、筐体740の長軸CL1上に設定され、さらに望ましくは、筐体740の径方向の中心軸CL2と長軸CL1との交点(すなわち筐体740の中心位置に設定される。
つぎに、上述した筐体740の両側(底部側および頂部側)に設けられた各キャタピラ機構の動作について説明する。図94は、カプセル型内視鏡の両側のキャタピラ機構が外部の回転磁界によって動作する状態を示す模式図である。なお、図94には、この実施の形態7の変形例7にかかるカプセル型内視鏡701gの側面図およびQ−Q線断面図が示されている。
図94に示すように、筐体740の底部側の貫通孔内に回転自在に挿通された回転磁石735には、上述した実施の形態7の変形例5の場合と同様に、筐体740の径方向の軸周りに回転する回転磁界M70が上述した磁界発生部403によって印加され、この印加された回転磁界M70に追従して回転磁石735は筐体740の径方向の軸周りに回転する。この結果、かかる底部側のキャタピラ機構のキャタピラ712、車軸734、および車輪732,733は、上述した実施の形態7の変形例5の場合と同様に、この回転磁石735と同じ方向に回転する。
一方、筐体740の頂部側のキャタピラ機構を構成するキャタピラ741、車輪742,743、および車軸744,745は、かかる底部側のキャタピラ機構の動作(詳細には回転磁石735の回転動作)に連動して動作する。すなわち、車軸745は、歯車746,747によって伝達された回転磁石735の回転動作に連動して、この回転磁石735と反対回りに回転する。かかる車軸745に軸支された車輪743は、車軸745とともに回転して、上述した底部側のキャタピラ機構のキャタピラ712と反対回りにキャタピラ741を回転させる。なお、車輪742および車軸744は、かかるキャタピラ741の前方側を支持しつつキャタピラ741の回転に伴って回転する。
ここで、かかる底部側のキャタピラ機構のキャタピラ712は、筐体740の底部に対向する臓器内壁を捉えつつ、外部の回転磁界M70に追従して回転する回転磁石735の回転力によって回転磁石735と同じ方向に回転する。一方、かかる頂部側のキャタピラ機構のキャタピラ741は、筐体740の頂部に対向する臓器内壁を捉えつつ、上述した回転磁石735の回転動作に連動して回転磁石735と反対回りに回転する。かかるキャタピラ712,741は、互いに反対回りに回転することによって、片側のみのキャタピラによる推進力に比して大きい推進力を生成することができる。
かかるキャタピラ712,741を備えたカプセル型内視鏡701gは、臓器内部が十分に拡張していないために筐体740の外径寸法に比して臓器の内径寸法が小さい場合であっても、上述したように連動しつつ互いに反対回りに回転動作するキャタピラ712,741の作用によって、筐体740の外形に合わせて臓器内部を拡張しつつ前進または後進することができる。また、上述した底部側のキャタピラ機構(キャタピラ712、車輪732,733、車軸734、および回転磁石735)および頂部側のキャタピラ機構(キャタピラ741、車輪742,743、および車軸744,745)は、筐体740に対して独立して回転動作する。このため、カプセル型内視鏡701gは、かかる底部側および頂部側の各キャタピラ機構の回転動作に伴って筐体740を回転させることなく、被検体の体内を前進または後進することができる。
このように、実施の形態7の変形例7では、カプセル型の筐体の長軸に関して対称的に、磁気アクチュエータである回転磁石を有する底部側のキャタピラ機構と、ギアを介して底部側のキャタピラ機構の回転動作に連動する頂部側のキャタピラ機構とを配置し、この回転磁石に対して外部の回転磁界を印加し、この印加した外部の回転磁界に追従してこの回転磁石を回転させることによって底部側のキャタピラ機構を回転動作させるとともに、この回転磁石の回転動作に連動して、底部側のキャタピラ機構と反対回りに頂部側のキャタピラ機構を回転動作させるようにし、その他を上述した実施の形態7の変形例5と同様に構成した。このため、上述した実施の形態7の変形例5と同様な作用効果を享受するとともに、片側のみのキャタピラ機構に比して強力な推進力を生成することができ、臓器内部が十分に拡張していない場合であっても、臓器内壁側から受ける圧力によって推進を阻害されることなく被検体の体内を前進または後進することができる。
なお、上述した実施の形態7の変形例7では、被検体内部におけるカプセル型内視鏡の位置および方向の少なくとも一つを検出するための位置検出用発振コイル421を回転磁石735の回転軸に平行に配置していたが、これに限らず、かかる位置検出用発振コイルに代えてLCマーカをカプセル型内視鏡に設けてもよい。このLCマーカは、そのコイル軸と回転磁石の回転軸とが略平行になるようにカプセル型内視鏡に配置されればよく、例えば、回転磁石735を除くキャタピラ機構の車軸734,744,745のいずれか一つに配置してもよい。この場合、上述した位置算出部412は、LCマーカ方式に基づいて被検体内部におけるカプセル型内視鏡の位置および方向の少なくとも一つを算出(検出)すればよい。
また、上述した実施の形態7の変形例7では、撮像系422および電池424等の内部部品、頂部側のキャタピラ機構、および底部側のキャタピラ機構等の配置を調整することによって、筐体740の長軸CL1上にカプセル型内視鏡701gの重心GPを設定していたが、これに限らず、筐体740内部の中心位置に関して回転磁石735の対称的な位置に回転磁石735と同等な重量のカウンターウエイトを設け、これによって回転磁石735による重量の偏りを補正して、筐体740の長軸CL1上(さらには、筐体740の中心位置)にカプセル型内視鏡701gの重心GPを設定してもよい。この場合、かかるカウンターウエイトは、電池、スーパーキャパシタ、位置検出用発振コイル、および錘等のいずれであってもよいし、これらを適宜組み合わせたものであってもよい。
(変形例8)
つぎに、本発明の実施の形態7の変形例8について説明する。上述した実施の形態7の変形例5では、カプセル型の筐体731の長軸CL1に垂直な軸周りに回転する回転磁石735を磁気アクチュエータとして含むキャタピラ機構によってカプセル型内視鏡の推進力を得ていたが、この実施の形態7の変形例8では、カプセル型の筐体の長軸CL1周りに回転する回転磁石を磁気アクチュエータとして含む推進機構によってカプセル型内視鏡を長軸方向に前進または後進させるようにしている。
図95は、実施の形態7の変形例8にかかるカプセル型内視鏡の一構成例を示す模式図である。図96は、図95に示すカプセル型内視鏡のR−R線断面図である。なお、図96には、この実施の形態7の変形例8にかかるカプセル型内視鏡701hの筐体と推進機構とが模式的に示されている。
この実施の形態7の変形例8にかかるカプセル型内視鏡701hは、上述した実施の形態7の変形例5にかかるカプセル型内視鏡701eのキャタピラ機構に代えて4輪のタイヤを用いた推進機構を備える。すなわち、図95,96に示すように、カプセル型内視鏡701hは、被検体の体内に導入し易い大きさに形成されたカプセル型の筐体751と、筐体751の前方側に配置される一対のタイヤ752と、筐体751の後方側に配置される一対のタイヤ753と、前方側の一対のタイヤ752を軸支する車軸754と、後方側の一対のタイヤ753を軸支する車軸755と、外部の回転磁界に追従して回転動作する磁気アクチュエータである回転磁石756と、筐体751の長軸CL1周りに回転自在に回転磁石756を支持する回転軸757と、この回転磁石756の回転を車軸755周りの回転に変換する歯車757a,755aとを備える。その他の構成は実施の形態7の変形例5と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。また、この実施の形態7の変形例8にかかるカプセル誘導システムは、上述した実施の形態4にかかるカプセル誘導システム400と略同様であり、カプセル誘導システムのカプセル型内視鏡401に代えてカプセル型内視鏡701hを備えた構成を有する。
なお、カプセル型内視鏡701hは、上述した実施の形態7の変形例5にかかるカプセル型内視鏡701eと同様に、位置検出用発振コイル421、撮像系422、アンテナ423を介して外部の受信部411に画像信号等を無線送信する無線系、電池424、およびこれら各構成部(位置検出用発振コイル421、撮像系422、および無線系)を制御する制御部を筐体751の内部に備える。また、カプセル型内視鏡701hは、上述した実施の形態4〜6または各変形例に例示したように、薬剤を注射する局注機構、生体内部に対して生体組織の採取または焼付け処理等の医療処置を行う処置機構(鉗子、高周波発熱部材等)を適宜備えてもよい。
一対のタイヤ752は、筐体751の前方側(撮像系422が配置された側)の車軸754の両端に取り付けられ、この車軸754によって回転可能に軸支される。また、一対のタイヤ753は、筐体751の後方側の車軸755の両端に取り付けられ、この車軸755によって回転可能に軸支される。かかるタイヤ752,753は、回転磁石756の回転に伴って回転して、カプセル型内視鏡701hの推進力を生成する。
車軸754は、筐体751の前方側に形成された貫通孔に回転自在に挿通され、上述した一対のタイヤ752を両端に有する。一方、車軸755は、筐体751の後方側に形成された貫通孔に回転自在に挿通され、上述した一対のタイヤ753を両端に有する。かかる各貫通孔内に挿通された車軸754,755は、筐体751の長軸CL1に対して垂直(すなわち筐体751の径方向に平行)な回転軸であり、筐体751に対して独立して回転する。
回転磁石756は、筐体751の内部に回転自在に配置された回転軸757によって軸支され、外部の回転磁界M70によって回転してカプセル型内視鏡701hの推進力の源になる回転力を生成する。ここで、回転軸757は、筐体751の長軸CL1に対して平行である。かかる回転軸757によって回転自在に軸支された回転磁石756は、外部の回転磁界M70に追従して、筐体751の長軸CL1周りに回転する。この場合、回転磁石756は、筐体751の回転を伴わずに筐体751に対して独立して回転する。
歯車757a,755aは、かさ歯車等を用いて実現され、かかる回転磁石756の回転動作を車軸755の回転動作(すなわち筐体751の長軸CL1に垂直な径方向の軸周りの回転動作)に変換する。具体的には、歯車757aは、回転磁石756の回転軸757の端部に設けられ、この回転軸757とともに回転する。一方、歯車755aは、車軸755と回転軸が一致するように車軸755に設けられ、かかる歯車757aの回転に連動して筐体751の径方向の軸周りに車軸755を回転させる。かかる歯車757a,755aは、互いに噛み合いつつ回転することによって、回転磁石756による長軸CL1周りの回転動作を車軸755回りの回転動作に変換する。
なお、上述した4輪のタイヤ752,753、車軸754,755、回転磁石756、回転軸757、および歯車757a,755aは、この実施の形態7の変形例8にかかるカプセル型内視鏡701hを長軸CL1方向に前進または後進させる推進機構を構成する。また、回転磁石756および回転軸757は、かかるカプセル型内視鏡701hの推進機構における磁気アクチュエータを構成する。
また、かかるカプセル型内視鏡701hの重心GPは、上述した各構成部(撮像系422および電池424等の内部部品、上述した推進機構等)の配置を調整することによって、実施の形態7の変形例5にかかるカプセル型内視鏡701eと同様に筐体751内部の所定の位置に設定される。この場合、重心GPは、筐体751の径方向の中心軸CL2上に設定されることが望ましく、さらには、図95に示すように、筐体751の中心CPから筐体751の底部側(タイヤ752,753等の推進機構が配置された側)に外れた位置に設定されることが望ましい。
なお、かかるカプセル型内視鏡701hの位置および方向の少なくとも一つを上述した位置算出部412によって検出するための位置検出用発振コイル421(図示せず)は、上述した回転磁石756の回転軸757とコイル軸とが平行になるように筐体751の内部に配置される。かかる位置検出用発振コイル421は、回転磁石756の磁化方向に対して垂直方向の磁界を形成する。
つぎに、図96を参照して、カプセル型内視鏡701hの推進機構の動作について説明する。図96に示すように、回転軸757によって筐体751の長軸CL1周りに回転自在に軸支された回転磁石756には、この筐体751の長軸CL1周りに回転する回転磁界M70が上述した磁界発生部403によって印加される。この場合、回転磁石756は、この回転磁界M70に追従して、回転軸757とともに筐体751の長軸CL1周りに回転するとともに、この回転軸757の端部の歯車757aを長軸CL1周りに回転させる。
かかる歯車757aは、車軸755の歯車755aと噛み合いつつ回転して、上述した回転磁石756の回転動作を歯車755aを介して車軸755に伝達する。この場合、歯車755aは、かかる歯車757aを介して回転磁石756から伝達された回転軸757周り(すなわち筐体751の長軸CL1回り)の回転動作を筐体751の径方向の軸周りの回転動作に変換して、車軸755を筐体751の径方向の軸周りに回転させる。
かかる歯車755aとともに筐体751の径方向の軸周りに回転する車軸755は、一対のタイヤ753を筐体751の径方向の軸周りに回転させ、かかる一対のタイヤ753は、車軸755周りに回転するとともに、上述した回転磁石756の回転力をカプセル型内視鏡701hの推進力に変換する。カプセル型内視鏡701hは、かかる一対のタイヤ753の回転動作によって生成された推進力を用いて、被検体の体内を長軸CL1の方向に前進または後進する。なお、筐体751の前方側の車軸754および一対のタイヤ752は、かかるカプセル型内視鏡701hの前進または後進を阻害することなく、筐体751に対して独立してタイヤ753と同じ方向に回転する。
このように、実施の形態7の変形例8では、カプセル型の筐体の長軸周りに回転する回転磁石の回転動作に連動して筐体の径方向の車軸周りにタイヤを回転させる推進機構を備え、この回転磁石に印加した外部の回転磁界に追従して筐体の長軸周りに回転磁石を回転させ、この回転磁石の回転動作を歯車によって車軸周りの回転動作に変換して推進機構のタイヤを回転動作させるようにし、その他を上述した実施の形態7の変形例5と同様に構成した。このため、上述した実施の形態7の変形例5と同様な作用効果を享受するとともに、カプセル型内視鏡の推進に必要なエネルギーを筐体内部に貯蔵する必要がなく、簡易な構成によってカプセル型内視鏡の推進機構を実現することができる。この結果、カプセル型内視鏡の小型化を促進できるとともに、被検体内部へのカプセル型内視鏡の挿入性に優れたカプセル誘導システムを実現することが可能になる。
なお、上述した実施の形態7の変形例8では、被検体内部におけるカプセル型内視鏡の位置および方向の少なくとも一つを検出するための位置検出用発振コイルを回転磁石756の回転軸757と平行に配置していたが、これに限らず、この回転軸757に対して垂直に配置してもよい。また、かかる位置検出用発振コイルに代えてLCマーカをカプセル型内視鏡に設けてもよい。このLCマーカは、そのコイル軸と回転磁石の回転軸とが略垂直または平行になるようにカプセル型内視鏡に配置されればよい。この場合、上述した位置算出部412は、LCマーカ方式に基づいて被検体内部におけるカプセル型内視鏡の位置および方向の少なくとも一つを算出(検出)すればよい。
また、上述した実施の形態7の変形例8では、撮像系422および電池424等の内部部品、回転磁石756およびタイヤ752,753等の推進機構の配置を調整する(例えば最も重い部品である回転磁石756を筐体751の径方向の中心軸CL2上に配置する)ことによって、筐体751の径方向の中心軸CL2上にカプセル型内視鏡701hの重心GPを設定していたが、これに限らず、筐体751の径方向の中心軸CL2に対して回転磁石756の対称的な位置に回転磁石756と同等な重量のカウンターウエイトを設け、これによって回転磁石756による重量の偏りを補正して、筐体751の径方向の中心軸CL2上(さらには、筐体751の底部側に偏心した位置)にカプセル型内視鏡701hの重心GPを設定してもよい。この場合、かかるカウンターウエイトは、電池、スーパーキャパシタ、位置検出用発振コイル、および錘等のいずれであってもよいし、これらを適宜組み合わせたものであってもよい。
(変形例9)
つぎに、本発明の実施の形態7の変形例9について説明する。上述した実施の形態7の変形例5では、外部の回転磁界に追従して筐体731の径方向の軸周りに回転する回転磁石735の回転動作に連動してキャタピラ712を回転させてカプセル型内視鏡701eを推進させていたが、この実施の形態7の変形例9では、外表面に螺旋突起を設けた回転部を回転磁石によって回転させてカプセル型内視鏡を推進させるようにしている。
図97は、実施の形態7の変形例9にかかるカプセル型内視鏡の一構成例を示す模式図である。なお、図97には、この実施の形態7の変形例9にかかるカプセル型内視鏡701iの側面図およびS−S線断面図が示されている。
この実施の形態7の変形例9にかかるカプセル型内視鏡701iは、上述した実施の形態7の変形例5にかかるカプセル型内視鏡701eのキャタピラ機構に代えて、外表面に螺旋突起を有する回転部を長手方向の軸周りに回転させて推進力を得る推進機構を備える。すなわち、図97に示すように、カプセル型内視鏡701iは、被検体の体内に導入し易い大きさに形成されたカプセル型の筐体761と、外表面に螺旋突起763を配設した回転部762a〜762dと、外部の回転磁界M70に追従して回転部762aを回転させる回転磁石764と、この回転部762aの回転動作に連動して残りの回転部762b〜762dを回転させる歯車765とを備える。その他の構成は実施の形態7の変形例5と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。また、この実施の形態7の変形例9にかかるカプセル誘導システムは、上述した実施の形態4にかかるカプセル誘導システム400と略同様であり、カプセル誘導システムのカプセル型内視鏡401に代えてカプセル型内視鏡701iを備えた構成を有する。
なお、カプセル型内視鏡701iは、上述した実施の形態7の変形例5にかかるカプセル型内視鏡701eと同様に、位置検出用発振コイル421、撮像系422、アンテナ423を介して外部の受信部411に画像信号等を無線送信する無線系、電池424、およびこれら各構成部(位置検出用発振コイル421、撮像系422、および無線系)を制御する制御部を筐体761の内部に備える。また、カプセル型内視鏡701iは、上述した実施の形態4〜6または各変形例に例示したように、薬剤を注射する局注機構、生体内部に対して生体組織の採取または焼付け処理等の医療処置を行う処置機構(鉗子、高周波発熱部材等)を適宜備えてもよい。
筐体761は、被検体の臓器内部に導入し易い大きさに形成されたカプセル型の筐体であり、カプセル型内視鏡701iを推進させる4つの回転部762a〜762dを各々配設するための凹部を有する。かかる筐体761は、少なくとも螺旋突起763を凹部の外側に露出させる態様で4つの回転部762a〜762dを回転自在に軸支する。なお、かかる筐体761に軸支された回転部762a〜762dのうち、回転部762aと回転部762cとが筐体761の長軸CL1に関して対称であり、回転部762bと回転部762dとが筐体761の長軸CL1に関して対称である。また、筐体761は、かかる4つの回転部762a〜762dを連動させる歯車765を内部に有し、この歯車765を長軸CL1周りに回転自在に軸支する。
回転部762a〜762dは、外表面に螺旋状に形成された螺旋突起763を有するカプセル形状の部材であり、上述したように筐体761に軸支された態様で長手方向の軸周り(すなわち長軸CL1に平行な軸周り)に回転し、これによって、カプセル型内視鏡701iの推進力を生成する。また、回転部762a〜762dは、歯車765と噛み合う歯車部を有し、この歯車765と噛み合いつつ互いに同じ方向に回転する。すなわち、かかる回転部762a〜762dは、この歯車765を介して互いに連動する。
回転磁石764は、かかる回転部762a〜762dを回転させる磁気アクチュエータとして機能する。具体的には、回転磁石764は、筐体761の長軸CL1に垂直な径方向に磁化方向を有し、かかる4つの回転部762a〜762dのうちのいずれか一つ、例えば回転部762aの内部に固定配置される。かかる回転磁石764は、長軸CL1に平行な軸周りに回転する外部の回転磁界M70が印加された場合、長軸CL1に平行な軸周りに回転部762aを回転させる。
なお、上述した螺旋突起763を外表面に有する4つの回転部762a〜762d、回転磁石764、および歯車765は、この実施の形態7の変形例9にかかるカプセル型内視鏡701iを長軸CL1方向に前進または後進させる推進機構を構成する。
一方、かかるカプセル型内視鏡701iの位置および方向の少なくとも一つを上述した位置算出部412によって検出するための位置検出用発振コイル421(図示せず)は、上述した回転磁石764の回転軸とコイル軸とが平行になるように筐体761の内部に配置される。かかる位置検出用発振コイル421は、回転磁石764の磁化方向に対して垂直方向の磁界を形成する。
つぎに、図97を参照して、カプセル型内視鏡701iの推進機構の動作について説明する。図97に示すように、長軸CL1に平行な軸周りに回転自在に配設された回転磁石764には、この回転磁石764を内包する回転部762aの回転軸周りに回転する外部の回転磁界M70が上述した磁界発生部403によって印加される。この場合、回転磁石764は、この回転磁界M70に追従して回転するとともに、長軸CL1に平行な軸周りに回転部762aを回転させる。
かかる回転部762aは、この回転磁石764とともに長軸CL1に平行な軸周りに回転するとともに、筐体761内部の歯車765を回転させる。歯車765は、4つの回転部762a〜762dの各歯車部と噛み合いつつ回転して、かかる回転磁石764の回転動作を回転部762b〜762dに伝達する。すなわち、回転部762b〜762dは、この歯車765を介して伝達される回転部762aの回転動作に連動して、長軸CL1に平行な軸周りに回転する。この場合、4つの回転部762a〜762dは、被検体内部の臓器内壁に螺旋突起763を接触させつつ、筐体761に対して独立して回転磁石764と同じ方向に回転し、これによって、カプセル型内視鏡701iの推進力を生成する。カプセル型内視鏡701iは、このように回転する回転部762a〜762dの各螺旋突起763の作用によって、筐体761を長軸CL1周りに回転させずに被検体の臓器内部を長軸CL1の方向に前進または後進する。
このように、実施の形態7の変形例9では、カプセル型の筐体の長手方向の軸周りに回転する回転磁石を磁気アクチュエータとして含み、外表面に螺旋突起を有する複数の回転部を長手方向の軸周りに回転させて推進力を生成する推進機構を備え、この回転磁石を外部の回転磁界に追従して回転させ、この回転磁石の回転動作に連動して複数の回転部をこの回転磁石と同じ方向に回転動作させて、これら複数の回転部とともに回転する螺旋突起を臓器内壁に接触させるようにし、その他を上述した実施の形態7の変形例5と同様に構成した。このため、上述した実施の形態7の変形例5と同様な作用効果を享受するとともに、狭い臓器内部を前進または後進するに十分な推進力を得ることができ、臓器内部が十分に拡張していない場合であっても、被検体内部を容易に前進または後進することができる。
また、カプセル型内視鏡の推進に必要なエネルギーを筐体内部に貯蔵する必要がないので、簡易にカプセル型内視鏡の小型化を促進できるとともに、被検体内部へのカプセル型内視鏡の挿入性に優れたカプセル誘導システムを実現することが可能になる。
なお、上述した実施の形態7の変形例9では、被検体内部におけるカプセル型内視鏡の位置および方向の少なくとも一つを検出するための位置検出用発振コイルを回転磁石764の回転軸と平行に配置していたが、これに限らず、この回転軸764に対して垂直に配置してもよい。また、かかる位置検出用発振コイルに代えてLCマーカをカプセル型内視鏡に設けてもよい。このLCマーカは、そのコイル軸と回転磁石の回転軸とが略垂直または平行になるようにカプセル型内視鏡に配置されればよい。この場合、上述した位置算出部412は、LCマーカ方式に基づいて被検体内部におけるカプセル型内視鏡の位置および方向の少なくとも一つを算出(検出)すればよい。
また、上述した実施の形態7の変形例9では、撮像系422および電池424等の内部部品、回転磁石764および回転部762a〜762d等の推進機構の配置を調整することによって、筐体761の長軸CL1上にカプセル型内視鏡701iの重心を設定していたが、これに限らず、筐体761の長軸CL1に対して回転磁石764の対称的な位置(例えば回転部762cの内部)に回転磁石764と同等な重量のカウンターウエイトを設け、これによって回転磁石764による重量の偏りを補正して、筐体761の長軸CL1上(さらには筐体761の中心位置)にカプセル型内視鏡701iの重心を設定してもよい。この場合、かかるカウンターウエイトは、電池、スーパーキャパシタ、位置検出用発振コイル、および錘等のいずれであってもよいし、これらを適宜組み合わせたものであってもよい。
なお、実施の形態4〜7においては、いわゆるカプセル型内視鏡に実施の形態1〜3にかかる磁気アクチュエータを適用した場合について説明したが、内視鏡やカテーテルのように被検体内に挿入する挿入部を有する医療装置に適用した場合も同様の効果を奏することが可能である。
(実施の形態8)
つぎに、図98を参照して、実施の形態8について説明する。実施の形態8は、磁気アクチュエータ1を磁気スイッチについて適用した場合について説明する。図98は、実施の形態8にかかる磁気スイッチの断面図である。
図98に示すように、実施の形態8にかかる磁気スイッチ801は、回転移動磁石6の電極811,812側の表面上に導電部材813が設けられた構成を有する。図98(1)に示すように、OFF状態である磁気スイッチ801をON状態とする場合には、図98(2)に示すように、回転移動磁石6が回転可能である磁界強度であって、回転移動磁石6の磁化方向に対し60°以下の角度差を有する磁界M69を印加する。この場合、図98(2)の矢印Y97に示すように、磁界M69にしたがって、回転移動磁石6が回転し、固定磁石7との間で反発力H69が発生する。この反発力H69によって、図98(3)の矢印Y98に示すように、回転移動磁石6は、電極811,812側に移動し、電極811,812と回転移動磁石6上の導電部材813とが接触して、磁気スイッチ801がON状態となる。なお、磁界M69の印加を継続することによって、磁気スイッチ801のON状態を維持することが可能であり、磁界M69の印加を停止することによって磁気スイッチ801をOFF状態とすることが可能になる。
このように、実施の形態8にかかる磁気スイッチ801によれば、従来使用されていたリードスイッチのように真空管を必要としないため、スイッチの小型化が可能であるとともに、形状の設計自由度を向上させることが可能になる。