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JP5071859B2 - 右手/左手系複合導波管およびその製造方法 - Google Patents

右手/左手系複合導波管およびその製造方法 Download PDF

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JP5071859B2 JP2008103239A JP2008103239A JP5071859B2 JP 5071859 B2 JP5071859 B2 JP 5071859B2 JP 2008103239 A JP2008103239 A JP 2008103239A JP 2008103239 A JP2008103239 A JP 2008103239A JP 5071859 B2 JP5071859 B2 JP 5071859B2
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Description

本発明は電磁波を伝播させるための導波管であって右手系伝送路としても左手系伝送路としても動作可能な複合導波管およびその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、主導波管と先端短絡スタブとからなる単位構造体を周期的に配列した構造を有し、低損失かつ高耐電力であるとともに、低コストで製造可能な右手/左手系複合導波管およびその製造方法に関するものである。
金属、誘電体、磁性体、超伝導体などの小片(単位構造体)を、波長に対して十分短い間隔(波長の10分の1程度以下)で並べることで自然にはない性質を持った媒質を人工的に構成することができる。この媒質を自然にある媒質のカテゴリに比べてより大きいカテゴリに属する媒質と言う意味でメタマテリアル(metamaterials)と呼んでいる。メタマテリアルの性質は、単位構造体の形状、材質およびそれらの配置により様々に変化する。
中でも、等価的な誘電率εと透磁率μとが同時に負となるメタマテリアルは、その電界と磁界と波数ベクトルが左手系をなすことから「左手系媒質(LHM:Left-Handed Materials)」と名付けられた。この左手系媒質を本明細書においては左手系メタマテリアルと呼ぶ。これに対して、等価的な誘電率εと透磁率μとが同時に正となる通常の媒質は「右手系媒質(RHM:Right-Handed Materials)」と呼ばれる。これら誘電率ε、透磁率μと媒質との関係領域は、図1に示すように、誘電率εの正負および透磁率μの正負に応じた第1象限〜第4象限の媒質に分類できる。右手系媒質は第1象限の媒質であり、左手系媒質は第3象限の媒質である。
特に、左手系メタマテリアルは、波の群速度(エネルギーの伝播する速度)と位相速度(位相の進む速度)の符号が逆転している波(バックワード波と呼ばれる)の存在や、また、非伝播領域で指数関数的に減衰する波であるエバネセント波の増幅、等の特異な性質を持つものである。そして、左手系メタマテリアルによるバックワード波を伝送する線路を人工的に構成することができる。このことは、下記の非特許文献1、非特許文献2にも記載されているように公知である。
この左手系媒質構成の概念に基づき、金属パターンからなる単位セルを周期的に並べてバックワード波を伝播させる線路が提案されている。これまで、その伝送特性が理論的に取り扱われ、この線路が左手系伝送帯域を持つこと、左手系伝送帯域と右手系伝送帯域との間にバンドギャップが生じること、そのバンドギャップ幅は単位セル中のリアクタンスによりコントロールすることができること等が理論的に明らかになっている。これらに関しては、下記の非特許文献3に記載されている。
また、左手系媒質の特性を有する導波管としては、下記の非特許文献4、非特許文献5に記載されたものが提案されている。非特許文献4には、伝送する電磁波の周波数において伝搬領域となる主導波管と、主導波管中に設けた絞り(誘導性窓)と、主導波管から分岐した先端短絡スタブとを備えた周期構造の左手系導波管が記載されている。また、非特許文献5には、伝送する電磁波の周波数において遮断領域となる主導波管と、主導波管から分岐した先端短絡スタブとを備えた周期構造の左手系導波管が記載されている。この非特許文献5の左手系導波管における先端短絡スタブ中には誘電体が挿入されている。
D.R.Smith,W.J.Padilla,D.C.Vier,S.C.Nemat-Nasser,andS.Schultz,"Composite medium with simultaneously negative permeability andpermittivity",Phys.Rev.Lett.,vol.84,no.18,p.4184-4187,May 2000 C.Caloz,andT.Itoh,"Application of the transmission line theory of left-handed(LH)materialsto the realization of a microstrip LH line",IEEE-APS Int'lSymp.Digest,vol.2,p.412-415,June 2002 AtsushiSanada,Chritophe Caloz and Tatsuo Itoh,"Characteristics of the CompositeRight/Left-Handed Transmission Lines",IEEE Microwave and Wireless ComponentLetters,vol.14,no.2,p.68-70,February 2004 池田宇宙、榊原久二男、菊間信良、平山裕、"左手系導波管漏れ波スロットアレーアンテナのビーム走査特性"、2007年電子情報通信学会総合大会講演論文集(BS−1−6)、2007年3月、p.S21−S22 久保洋、笹井雅彦、真田篤志、"導波管型左手系線路とアンテナへの応用"、2007年電子情報通信学会総合大会講演論文集(BS−1−5)、2007年3月、p.S19−S20
誘電体基板とその表面上の金属パターンとからなる平面型の左手系伝送線路は、誘電体による損失が比較的大きく、さらに基板の表面波モードとの結合によるエネルギー散逸があるという問題点があった。また、伝送し得る電力の上限値が小さい(低耐電力)という問題点があった。導波管型の左手系伝送路は、平面型の左手系伝送線路に比較して損失が小さく、伝送し得る電力の上限値を大きくすることができる。すなわち、低損失、高耐電力の伝送路とすることができる。
ただし、非特許文献4の左手系導波管は、主導波管中に誘導性窓となる絞りを設ける必要があり、構造が複雑となるため製造コストも増大してしまうという問題点があった。また、非特許文献5の左手系導波管は、誘導性窓が必要なく構造自体は簡素化されているが、先端短絡スタブ中に誘電体を挿入する必要があるため、製造工程においても導波管構造を形成する工程に加えて誘電体を挿入する工程が必要となり、製造工程が複雑で製造コストも増大してしまうという問題点があった。さらに、挿入した誘電体により損失が増加してしまうという問題点があった。
そこで、本発明は、右手系伝送路としても左手系伝送路としても動作可能な低損失かつ高耐電力の複合導波管を低コストで提供することを目的とする。また、そのような右手/左手系複合導波管を低コストで製造するための製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の右手/左手系複合導波管は、複数の単位構造体が電磁波を伝送する方向に配列された構造の右手/左手系複合導波管であって、前記単位構造体は、主導波管と、前記主導波管から分岐された先端短絡スタブとからなり、前記先端短絡スタブの内部の媒質は、前記主導波管の内部の媒質と同一のものである。そして、左手系導波管として動作する場合は、前記主導波管は、伝送する電磁波の周波数において遮断領域となる寸法であり、前記先端短絡スタブは、伝送する電磁波の周波数において伝搬領域となる寸法であるとともに、前記主導波管から見て容量性インピーダンスを示すものである。また、右手系導波管として動作する場合は、前記主導波管は、伝送する電磁波の周波数において伝搬領域となる寸法であり、前記先端短絡スタブは、伝送する電磁波の周波数において伝搬領域となる寸法であるとともに、前記主導波管から見て誘導性インピーダンスを示すものである。
また、上記の右手/左手系複合導波管において、前記主導波管および前記先端短絡スタブは、断面形状が長方形の矩形導波管であり、前記先端短絡スタブの断面の横方向の寸法が前記主導波管の断面の横方向の寸法よりも大きいものであることが好ましい。
また、上記の右手/左手系複合導波管において、片面に前記主導波管を構成する凹溝を形成した第1の金属基板と、片面に前記先端短絡スタブを構成する凹溝を複数形成した第2の金属基板とからなることが好ましい。
また、上記の右手/左手系複合導波管において、前記主導波管は、前記先端短絡スタブに対向する位置にスロットが形成されたものとすることができる。
また、本発明の右手/左手系複合導波管の製造方法は、第1の金属板の片面に主導波管を構成する凹溝を電磁波伝送方向に形成する工程と、第2の金属板の片面に先端短絡スタブを構成する複数の凹溝を電磁波伝送方向と直交する方向に形成する工程と、前記第1の金属板と前記第2の金属板とを互いに接合する工程とを有するものである。そして、前記右手/左手系複合導波管は、複数の単位構造体が電磁波を伝送する方向に配列された構造の右手/左手系複合導波管であって、前記単位構造体は、主導波管と、前記主導波管から分岐された先端短絡スタブとからなり、前記先端短絡スタブの内部の媒質は、前記主導波管の内部の媒質と同一のものである。さらに、前記右手/左手系複合導波管は、左手系導波管として動作する場合は、前記主導波管は、伝送する電磁波の周波数において遮断領域となる寸法であり、前記先端短絡スタブは、伝送する電磁波の周波数において伝搬領域となる寸法であるとともに、前記主導波管から見て容量性インピーダンスを示すものである。さらに、前記右手/左手系複合導波管は、右手系導波管として動作する場合は、前記主導波管は、伝送する電磁波の周波数において伝搬領域となる寸法であり、前記先端短絡スタブは、伝送する電磁波の周波数において伝搬領域となる寸法であるとともに、前記主導波管から見て誘導性インピーダンスを示すものである。
また、上記の右手/左手系複合導波管の製造方法において、前記主導波管および前記先端短絡スタブは、断面形状が長方形の矩形導波管であり、前記先端短絡スタブの断面の横方向の寸法が前記主導波管の断面の横方向の寸法よりも大きいものであることが好ましい。
本発明は、以上のように構成されているので、以下のような効果を奏する。
本発明の右手/左手系複合導波管は、ミリ波領域以上の周波数において低損失かつ高耐電力の伝送路を実現するものである。また、本発明の右手/左手系複合導波管は構造が簡単であり、簡単な工程により製造することができ、製造コストも低減できる。
本発明の右手/左手系複合導波管にスロットを設けることにより、低損失かつ高耐電力のビーム走査機能を有する漏れ波アンテナを実現することができる。
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図2は、本発明の第1の形態の右手/左手系複合導波管4の構成を示す斜視図である。導体(典型的には金属)からなる断面が長方形の主導波管1には、周期的に配置された複数の先端短絡スタブ2が接続されている。図示のように、主導波管1の中心軸方向は、直交座標系(xyz座標)のz軸方向とされている。電磁波は、右手/左手系複合導波管4のz軸方向に伝搬する。
先端短絡スタブ2は、横方向(x軸方向)の寸法が主導波管1の横方向(x軸方向)の寸法よりも大きくなるように形成されている。先端短絡スタブ2と主導波管1の接続部は開口とされており、先端短絡スタブ2の先端側は短絡されている。先端短絡スタブ2は、z軸と直交するように配置されており、xy平面と平行に設けられている。主導波管1と先端短絡スタブ2は、z軸方向に周期性を有する周期構造体である。これは、単位構造体3(図3参照)がz軸方向に周期的に密に配置されているのと等価である。
右手/左手系複合導波管4は、左手系導波管として動作可能であるとともに右手系導波管としても動作可能である。左手系導波管として動作する場合は、主導波管1は、伝送する電磁波の周波数において遮断領域となる寸法となっている。これに対して、先端短絡スタブ2は、伝送する電磁波の周波数において伝搬領域となる寸法とされている。さらに、先端短絡スタブ2は、主導波管1から見て容量性インピーダンスを示すように、y軸方向の長さが設定されている。
言い換えれば、主導波管1が遮断領域となり、先端短絡スタブ2が伝搬領域となり、また、主導波管1から見て先端短絡スタブ2が容量性インピーダンスを示すような周波数では、右手/左手系複合導波管4は、左手系導波管として動作するのである。
右手/左手系複合導波管4が右手系導波管として動作する場合は、主導波管1および先端短絡スタブ2は、伝送する電磁波の周波数において伝搬領域となっている。また、先端短絡スタブ2は、主導波管1から見て誘導性インピーダンスを示すように、y軸方向の長さが設定されている。言い換えれば、主導波管1および先端短絡スタブ2が伝搬領域となり、主導波管1から見て先端短絡スタブ2が誘導性インピーダンスを示すような周波数では、右手/左手系複合導波管4は、右手系導波管として動作するのである。
先端短絡スタブ2の内部の媒質は、主導波管1の内部の媒質と同一のものである。先端短絡スタブ2の横方向寸法が主導波管1の横方向寸法よりも大きくなるようにしているので、左手系導波管として動作させる場合でも動作条件を満足させることができる。
図3は、右手/左手系複合導波管4を構成する単位構造体3の構造を示す図である。単位構造体3は、主導波管1および先端短絡スタブ2からなり、z軸方向の寸法Pは周期構造の周期(ピッチ)である。主導波管1と先端短絡スタブ2の接続部は開口12とされており、電磁界は開口12を通して相互に伝達される。先端短絡スタブ2の先端側は短絡されている。主導波管1の横方向(x軸方向)寸法をAとし、縦方向(y軸方向)寸法をBとする。先端短絡スタブ2の横方向(x軸方向)寸法をAsとし、縦方向(z軸方向)寸法をBsとする。また、先端短絡スタブ2の長さ(y軸方向寸法)をLsとする。
右手/左手系複合導波管4は、このような構造の多数の単位構造体3がz軸方向にピッチPで周期的に配置されているのと等価である。寸法BsはピッチPより小さくされており、z軸方向に配列された先端短絡スタブ2と先端短絡スタブ2の間には寸法(P−Bs)の間隔が設けられる。このような単位構造体3の実際の寸法の例を次に示す。
P=9.5[mm]
A=19.0[mm]
B=6.5[mm]
As=38.0[mm]
Bs=5.5[mm]
Ls=17.5[mm]
単位構造体3の各部の寸法を上記のようにした場合、右手/左手系複合導波管4が左手系導波管として動作するとともに、右手系導波管としても動作することが、電磁界シミュレーションによって確認されている。また、上記の寸法例の場合、左手系の伝送帯域と右手系の伝送帯域の間に非通過帯域(バンドギャップ)がなくなることが分かった。本発明では、このようにバンドギャップをなくすバランス型設計が可能である。
図4は、本発明の第2の形態の右手/左手系複合導波管5の構成を示す斜視図である。これは、右手/左手系複合導波管5を漏れ波アンテナとして利用するものである。右手/左手系複合導波管5の基本的な構成は、図2の右手/左手系複合導波管4の構成と同様である。導体からなる断面が長方形の主導波管1に、周期的に配置された複数の先端短絡スタブ2が接続されている。主導波管1の各先端短絡スタブ2に対向する位置には、スロット13,13,…が設けられている。右手/左手系複合導波管5に伝送される電磁波は、その一部のエネルギーがスロット13,13,…から順次外部に放出される。
これにより、右手/左手系複合導波管5は漏れ波アンテナとして機能する。また、右手/左手系複合導波管5に伝送される電磁波の周波数を変更することにより、漏れ波アンテナの放射特性を変更することができる。導波管が右手系となる周波数から左手系となる周波数まで連続的に変化させることで、電磁波の放射方向を前方から後方まで180度走査することができる。すなわち、右手/左手系複合導波管5によりビーム走査機能を有する漏れ波アンテナを実現できる。
スロット13は各先端短絡スタブ2に対応して同じピッチPで配置する。なお、図4では各スロット13が全て同じ形状であるように表示しているが、各スロット13の幅や長さを順次変化させるようにしてもよい。各スロット13の幅や長さを順次変化させた場合は、全て同一形状の場合とは放射特性が異なってくる。望ましい放射特性となるように各スロット13の幅や長さを順次変化させることができる。
図5は、右手/左手系複合導波管4の製造方法の概略を示す図である。図2のような構造の右手/左手系複合導波管4は、図5に示すように、2つの金属板から容易に製造することができる。まず、第1の金属板10の片面(ここでは下面)に主導波管1を構成するための凹溝11を電磁波伝送方向に形成する。また、第2の金属板20の片面(ここでは上面)に先端短絡スタブ2を構成するための複数の凹溝21を電磁波伝送方向と直交する方向に形成する。そして最後に、第1の金属板10と第2の金属板20とを互いに接合する。その際、主導波管1と先端短絡スタブ2の位置を整合させるようにする。すなわち、金属板の表面上における、それぞれの中心軸が一致するように接合する。
第1の金属板10と第2の金属板20とを接合すると、凹溝11と複数の凹溝21とにより、主導波管1と先端短絡スタブ2とが構成される。主導波管1と先端短絡スタブ2の接続部は開口となり、他の部分はいずれかの金属板により閉塞される。金属板に対する加工は、凹溝11と複数の凹溝21だけであるため、加工コストも低減でき、低コストで右手/左手系複合導波管4を製造することができる。なお、第1の金属板10と第2の金属板20との接合固定方法は、ねじ止め、溶接等の任意の固定方法が使用できる。
図6に、右手/左手系複合導波管4の分散特性を示す。右手/左手系複合導波管4の単位構造体3の寸法は前述の通りである。図6の分散特性は、z軸方向に周期境界条件を与えて計算した有限要素法による電磁界シミュレーション結果である。図6のグラフの横軸はz軸方向の波数すなわち伝搬定数βを表すが、横軸目盛は伝搬定数βを(π/P)で規格化した値として表している。ただし、πは円周率、Pは単位構造体3のz軸方向の周期(ピッチ)である。図6のグラフの縦軸は伝送する電磁波の周波数である。
図6の分散特性を示す曲線の接線の傾きが負である領域は、この領域で右手/左手系複合導波管4が左手系媒質の特性となっていることを示すものである。前述のような構造・寸法の右手/左手系複合導波管4は、図示のように7.18〜7.86GHzの範囲で左手系媒質の特性を示し、7.86〜12.0GHzの範囲で右手系媒質の特性を示す。この右手/左手系複合導波管4では、左手系伝送特性と右手系伝送特性とがバンドギャップ無しに接続しており、バランス型の右手/左手系複合導波管が実現できている。この場合のバランス周波数は7.86GHzである。
なお、右手/左手系複合導波管4の前述の寸法例は一例であり、他の任意の寸法とすることができる。右手/左手系複合導波管4の構造・寸法を変更すれば、左手系媒質・右手系媒質の特性を示す周波数領域も変化する。
図7は、右手/左手系複合導波管4のブロッホインピーダンスを示すグラフである。図7のグラフの横軸は伝送する電磁波の周波数であり、縦軸はブロッホインピーダンスである。ブロッホインピーダンスとは、周期構造線路のインピーダンスを示すものであり、図3の単位構造体3の主導波管1端面における伝送電力と長辺の中心位置での電界の縦方向積分値(電圧)から計算したものである。
図7には、主導波管1の縦方向寸法Bを変化させた場合のブロッホインピーダンスが示されている。点「□」で示されているのがB=4.0mmの場合であり、点「●」で示されているのがB=6.5mmの場合であり、点「○」で示されているのがB=9.0mmの場合である。WRJ10と記されている曲線は、導波管WRJ10のTE10波に対するインピーダンスの理論値である。図7は、B=6.5mmの場合の右手/左手系複合導波管4では導波管WRJ10との広帯域にわたるインピーダンス整合が可能であることを示している。
図8は、右手/左手系複合導波管4の反射・透過特性を示すグラフである。図8のグラフの横軸は伝送する電磁波の周波数であり、縦軸は右手/左手系複合導波管4の反射係数S11と透過係数S21の大きさ[dB]を示す。反射係数S11、透過係数S21ともに、点線は実測値であり、実線は電磁界シミュレーションによる計算値である。実測値は、単位構造体を20個接続した右手/左手系複合導波管を試作し、実際にその散乱特性を測定したものである。電磁界シミュレーションは、単位構造体を4個接続した構造の右手/左手系複合導波管に対して行い、その散乱特性を計算によって求めたものである。
両者の結果はよく一致しており、バランス周波数7.86GHzにおける挿入損失は−0.831dB、反射損失は−13.66dBとなっている。また、反射損失が−10dB以下となる周波数範囲は7.40〜11.8GHzとなっており、低損失かつ広帯域な伝送特性を実現できている。
以上のような右手/左手系複合導波管4は、ミリ波領域以上の周波数において低損失かつ高耐電力の伝送路を実現するものである。また、右手/左手系複合導波管5のようにスロットを設けることにより、低損失かつ高耐電力の漏れ波アンテナを実現することができる。また、本発明の右手/左手系複合導波管は構造が簡単であり、簡単な工程により製造することができ、製造コストも低減できる。
以上の右手/左手系複合導波管において、単位構造体はz軸方向に等間隔で周期的に配置されていることが望ましい。しかし、単位構造体の位置が厳密に正確な周期性を持っていなくとも右手/左手系複合導波管として機能するので、ある程度の範囲での位置ずれは許容される。すなわち、単位構造体の位置は、完全に等間隔で周期的な配置ばかりでなく周期的位置からのずれを含んでいてもよい。また、単位構造体の間隔を所定の数式や規則に従って変化させるような規則的な配置としてもよい。ここで、規則的な配置とは周期的な配置を含むものである。
以上のような右手/左手系複合導波管の応用例としては、バックワード波を利用した位相器や全方向放射漏波アンテナ、分散性を利用したビームスキャンアンテナ、デュアルバンド回路、プレディストータ、パルス成形回路など、その他、強結合バックワードカプラ、零次共振器、デュアルバンド共振器等、数多くの種類の応用機器がある。
さらに、右手/左手系の伝送特性の間にバンドギャップを持たないバランス型の右手/左手系複合導波管として設計することができる。バランス型とすることで、小さな周波数範囲の調整で大きな特性変化を得るデバイスを実現することができる。また、誘電率可変媒質、透磁率可変媒質、構造・寸法可変機構などを利用することにより、一定の周波数であっても波数を正負の範囲で大きく変更できるデバイスを実現することができる。
本発明の右手/左手系複合導波管は、低損失かつ動作周波数が広帯域であり、広範囲の産業分野で利用できる。すなわち、本発明の右手/左手系複合導波管を利用して新規な機能を有するアンテナ、位相器、共振器、結合器などの種々の応用機器を実現することができる。
誘電率ε、透磁率μの正負領域と媒質との関係を示す図である。 本発明の第1の形態の右手/左手系複合導波管4の構成を示す斜視図である。 右手/左手系複合導波管4を構成する単位構造体3の構造を示す図である。 本発明の第2の形態の右手/左手系複合導波管5の構成を示す斜視図である。 右手/左手系複合導波管4の製造方法を示す図である。 右手/左手系複合導波管4の分散特性を示すグラフである。 右手/左手系複合導波管4のブロッホインピーダンスを示すグラフである。 右手/左手系複合導波管4の反射・透過特性を示すグラフである。
符号の説明
1 主導波管
2 先端短絡スタブ
3 単位構造体
4,5 右手/左手系複合導波管
10 第1の金属板
11,21 凹溝
12 開口
13 スロット
20 第2の金属板

Claims (6)

  1. 複数の単位構造体(3)が電磁波を伝送する方向に配列された構造の右手/左手系複合導波管であって、
    前記単位構造体(3)は、主導波管(1)と、前記主導波管(1)から分岐された先端短絡スタブ(2)とからなり、
    前記先端短絡スタブ(2)の内部の媒質は、前記主導波管(1)の内部の媒質と同一のものであり、
    左手系導波管として動作する場合は、
    前記主導波管(1)は、伝送する電磁波の周波数において遮断領域となる寸法であり、
    前記先端短絡スタブ(2)は、伝送する電磁波の周波数において伝搬領域となる寸法であるとともに、前記主導波管(1)から見て容量性インピーダンスを示すものであり、
    右手系導波管として動作する場合は、
    前記主導波管(1)は、伝送する電磁波の周波数において伝搬領域となる寸法であり、
    前記先端短絡スタブ(2)は、伝送する電磁波の周波数において伝搬領域となる寸法であるとともに、前記主導波管(1)から見て誘導性インピーダンスを示すものである右手/左手系複合導波管。
  2. 請求項1に記載した右手/左手系複合導波管であって、
    前記主導波管(1)および前記先端短絡スタブ(2)は、断面形状が長方形の矩形導波管であり、
    前記先端短絡スタブ(2)の断面の横方向の寸法が前記主導波管(1)の断面の横方向の寸法よりも大きいものである右手/左手系複合導波管。
  3. 請求項2に記載した右手/左手系複合導波管であって、
    片面に前記主導波管(1)を構成する凹溝(11)を形成した第1の金属基板(10)と、
    片面に前記先端短絡スタブ(2)を構成する凹溝(21)を複数形成した第2の金属基板(20)とからなる右手/左手系複合導波管。
  4. 請求項2に記載した右手/左手系複合導波管であって、
    前記主導波管(1)は、前記先端短絡スタブ(2)に対向する位置にスロット(13)が形成されたものである右手/左手系複合導波管。
  5. 複数の単位構造体(3)が電磁波を伝送する方向に配列された構造の右手/左手系複合導波管の製造方法であって、
    前記単位構造体(3)は、主導波管(1)と、前記主導波管(1)から分岐された先端短絡スタブ(2)とからなり、
    前記先端短絡スタブ(2)の内部の媒質は、前記主導波管(1)の内部の媒質と同一のものであり、
    左手系導波管として動作する場合は、
    前記主導波管(1)は、伝送する電磁波の周波数において遮断領域となる寸法であり、
    前記先端短絡スタブ(2)は、伝送する電磁波の周波数において伝搬領域となる寸法であるとともに、前記主導波管(1)から見て容量性インピーダンスを示すものであり、
    右手系導波管として動作する場合は、
    前記主導波管(1)は、伝送する電磁波の周波数において伝搬領域となる寸法であり、
    前記先端短絡スタブ(2)は、伝送する電磁波の周波数において伝搬領域となる寸法であるとともに、前記主導波管(1)から見て誘導性インピーダンスを示すものである右手/左手系複合導波管の製造方法であり、
    第1の金属板(10)の片面に主導波管(1)を構成する凹溝(11)を電磁波伝送方向に形成する工程と、
    第2の金属板(20)の片面に先端短絡スタブ(2)を構成する複数の凹溝(21)を電磁波伝送方向と直交する方向に形成する工程と、
    前記第1の金属板(10)と前記第2の金属板(20)とを互いに接合する工程とを有する右手/左手系複合導波管の製造方法。
  6. 請求項5に記載した右手/左手系複合導波管の製造方法であって、
    前記主導波管(1)および前記先端短絡スタブ(2)は、断面形状が長方形の矩形導波管であり、
    前記先端短絡スタブ(2)の断面の横方向の寸法が前記主導波管(1)の断面の横方向の寸法よりも大きいものである右手/左手系複合導波管の製造方法。
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