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JP4853971B2 - 標的分子のセンシングチップの作製方法 - Google Patents

標的分子のセンシングチップの作製方法 Download PDF

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Description

本発明は、標的分子のセンシングチップの作製方法に関するものであり、特にチップ基板表面に分子インプリントポリマーを備える標的分子のセンシングチップの作製方法に関するものである。
病気の診断や生体分子の相互作用の評価に用いられる手法として、近年需要を拡大している技術の一つにアレイ技術がある。チップ基板上に多種類の分子認識体が配置されたアレイを用いることにより、試料中の生体分子を網羅的に解析することが可能となる。従来、アレイ上に配置される分子認識体としては、主としてタンパク質、抗体、核酸などの生体分子が用いられている。しかし、生体分子は優れた分子認識能を有する一方、その生産や取得に時間および費用がかかるという問題がある。さらに、長期の保存が困難であるという問題や、基板上に固定化する際にパターニングが難しいという問題などもある。
以前より、生体内における分子認識を人工系で再現することが試みられており、そのなかの有望な技術の一つとしてモレキュラーインプリント法が知られている。この方法は、鋳型重合法の一つであり、認識を目的とした分子(標的分子)を鋳型として重合反応時に共存させることにより、鋳型分子に対して相補的に相互作用する分子認識部位を重合反応時に同時に構築する方法である。最近、モレキュラーインプリント法により得られたポリマー(分子インプリントポリマー)を、センサーアレイの分野に応用することが報告されている(非特許文献1参照)。
本発明者らは、分子インプリントポリマーアレイを実現すべく研究を進めており、優れた成果を達成している。例えば、非特許文献2には、3種類の鋳型タンパク質と2種類の機能性モノマーを用いて合計6種類の分子インプリントポリマーを合成し、これら6種類のインプリントポリマーを用いることにより、3種類の鋳型タンパク質および鋳型でない2種類のタンパク質の合計5種類のタンパク質について、ユニークなフィンガープリントが得られたことが記載されている。
N. T. Greeneand K. D. Shimizu, J. Am. Chem. Soc., 2005, 127, 5695. T. Takeuchi, D.Goto and H. Shinmori, Analyst, 2007, 132, 101-103.
しかしながら、上述の非特許文献2に記載された6種類の分子インプリントポリマーと標的分子との結合は、試験管内で評価されたものであり、上記6種類の分子インプリントポリマーをチップ基板上に配置したアレイを用いたものではない。なぜなら、複数の異なる分子インプリントポリマーをチップ基板上に任意のパターンで配置することは非常に難しく、未だその技術は確立されていないからである。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、チップ基板表面に分子インプリントポリマーを任意のパターンで配置することが可能な標的分子のセンシングチップの作製方法を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、標的分子固定化基板表面にナノ粒子を任意のパターンで配置し、配置されたナノ粒子上に標的分子を固定化させ、固定化された標的分子を鋳型としてチップ基板表面に分子インプリントポリマーを形成させれば、任意のパターンで分子インプリントポリマーが配置された標的分子のセンシングチップを作製できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係る標的分子のセンシングチップの作製方法は、チップ基板表面に分子インプリントポリマーを備える標的分子のセンシングチップの作製方法であって、標的分子固定化基板表面にナノ粒子を配置し、配置されたナノ粒子上に標的分子を固定化し、固定化された標的分子を鋳型としてチップ基板表面に分子インプリントポリマーを形成させることを特徴としている。
また、本発明に係る標的分子のセンシングチップの作製方法は、チップ基板表面に分子インプリントポリマーを備える標的分子のセンシングチップの作製方法であって、標的分子固定化基板表面にビオチン化ナノ粒子を配置するナノ粒子配置工程と、該ナノ粒子配置工程において配置されたビオチン化ナノ粒子にアビジンを結合さるアビジン結合工程と、該アビジン結合工程においてビオチン化ナノ粒子と結合したアビジンに、ビオチン化された標的分子を結合させて固定化する標的分子固定化工程と、該標的分子固定化工程において固定化された標的分子を鋳型として、チップ基板表面に分子インプリントポリマーを形成させる分子インプリントポリマー形成工程と、を包含することを特徴としている。
前記ナノ粒子配置工程において、ビオチン化ナノ粒子は標的分子固定化基板表面に任意のパターンで配置されることが好ましい。
また、前記ナノ粒子配置工程において、ビオチン化ナノ粒子は標的分子固定化基板表面の複数の領域に配置されることが好ましい。
ビオチン化ナノ粒子が標的分子固定化基板表面の複数の領域に配置される場合、ビオチン化ナノ粒子が配置された複数の領域のそれぞれには単一種の標的分子が固定化され、かつ、標的分子固定化基板表面に少なくとも2種類以上の標的分子が固定化されることが好ましく、ビオチン化ナノ粒子が配置された複数の領域のそれぞれに、異なる種類の標的分子が固定化されることがより好ましい。
上記本発明の作製方法により作製される標的分子のセンシングチップは、生体分子を標的分子とするものであることが好ましく、タンパク質を標的分子とするものであることがより好ましい。
本発明に係る製造方法を用いることにより、チップ基板表面に分子インプリントポリマーを、容易に任意のパターンで配置することができるという効果を奏する。したがって、種類の異なる複数の分子を標的とする分子インプリントポリマーをチップ基板表面にパターニングすることも容易にでき、アレイタイプのセンシングチップを簡便かつ低コストで作製することが可能となる。
また、固定化された標的分子を鋳型として分子インプリントポリマーを形成させるので、標的分子に対する選択性の高い分子インプリントポリマーを表面に備えるセンシングチップを作製することができる。
本発明に係る標的分子のセンシングチップの作製方法(以下「本発明に係る作製方法」と記す)は、チップ基板表面に分子インプリントポリマーを備える標的分子のセンシングチップの作製方法であって、標的分子固定化基板表面にナノ粒子を配置し、配置されたナノ粒子上に標的分子を固定化し、固定化された標的分子を鋳型としてチップ基板表面に分子インプリントポリマーを形成させるものであればよい。
本明細書において「標的分子のセンシングチップ」は、チップ基板表面に標的分子認識体を備えるセンサー基板の総称であり、標的分子を選択的に認識し、それと結合する機能、および、その結合情報を何らかの信号に変換して標的分子の結合の度合いを計測できる機能を併せもつものが意図される。結合情報が変換された信号をセンシングチップ自身で検出可能な場合(例えば、発色や発光など)には、当該センシングチップが結合度合いの測定装置となり、結合情報が変換された信号をセンシングチップ自身で検出することが困難な場合(例えば、電気化学的信号、振動など)には、このような信号を検出可能な検出装置と組み合わせることにより、結合度合いの測定装置が構成される。したがって、「標的分子のセンシングチップ」には、その使用態様により、センサー素子、センサーアレイ、センサー基板、分子認識素子などと称されるものが包含される。
本発明に係る作製方法により作製される「標的分子のセンシングチップ」(以下、単に「センシングチップ」と記す)は、標的分子認識体として、分子インプリントポリマーをチップ基板表に備えるものである。
分子インプリントポリマーは、鋳型重合法の一つである分子インプリント法(モレキュラーインプリント法)を用いて合成されるポリマーであり、認識を目的とした分子(標的分子)を鋳型として重合反応時に共存させることにより、重合反応時に鋳型分子に対して相補的に相互作用する分子認識部位を、ポリマー合成と同時に構築する方法である。より詳細には、まず、標的分子と結合可能な官能基および重合可能な官能基を併せ持つ機能性モノマーを標的分子と結合させて、標的分子/機能性モノマー複合体を形成させる。なお、この結合は可逆的であることが必要である。次に、この標的分子/機能性モノマー複合体に架橋剤および重合開始剤を加え、重合反応を行なう。これにより標的分子(鋳型分子)の形状ならびに相互作用点の配置を記憶した有機高分子が得られる。最後に、得られた高分子より鋳型分子を抽出除去することにより、鋳型分子と基質特異的に相互作用する分子認識部位を有する高分子(分子インプリントポリマー)が得られる。なお、分子インプリントポリマーの合成方法については、例えば、参考文献「Komiyama, M., Takeuchi, T., Mukawa, T., Asanuma, H. "Molecular
Imprinting", WILEY-VCH, Weinheim, 2002.」の記載を参照すればよい。
本発明に係る作製方法により作製されるセンシングチップに用いられるチップ基板は、その表面に分子インプリントポリマーを製膜できるものであればよい。好適な基板としては、例えば、金属基板、ガラス基板、シリコン基板、光導波路基板などが挙げられる。また、分子インプリントポリマーと標的分子との結合の検出に用いる検出手段に応じて、適宜基板の材質を選択することが好ましい。例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)法に適用する場合はSPR用の金基板を用いることが好ましく、局在プラズモン共鳴(LSPR)法に適用する場合は光導波路基板を用いることが好ましく、水晶振動子センサーに適用する場合は水晶振動子をセンシングチップとすることが好ましく、電気化学的方法による検出に適用する場合は電極となる金属基板(例えば、金基板)を用いることが好ましい。また、発光や発色による検出に適用する場合はガラスや石英基板、光ファイバー、光導波路基板を用いることが好ましい。
本明細書において「ナノ粒子」は、平均粒子径が1μm未満の微粒子が意図される。平均粒子径は、例えば光散乱光度計で測定することができる。本発明に係る作製方法に用いられるナノ粒子は、標的分子を直接、または間接的に(他の分子を介して)結合して固定化できるものであればよい。例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレートなどの有機ナノ粒子、シリカナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子などの無機ナノ粒子などを好適に用いることができる。また、ナノ粒子は溶媒に分散可能であればよく、その粒子径は十数nm〜数百nmが好ましく、より好ましくは70nm〜800nmである。ナノ粒子は自製してもよく(後段の実施例参照)、また市販品を用いてもよい。
本発明に係る作製方法に用いられる標的分子固定化基板は、その表面にナノ粒子を配置できるものであればよく、材質は特に限定されない。例えば、金属基板、ガラス基板、シリコン基板、光導波路基板などを好適に用いることができる。大きさも限定されず、作製しようとするセンシングチップの大きさに応じて選択すればよい。
ナノ粒子は溶液と同様に扱えるので、アレイヤーやスポッターなどの公知の技術を使って基板上に任意のパターンで配置することできる。それゆえ、ナノ粒子に固定化される標的分子も任意のパターンで配置されることになり、その結果、これを鋳型としてチップ基板表面に作成される分子インプリントポリマーは、任意のパターニングが施されたものとなる。それゆえ、本発明に係る作製方法は、特に、1つのチップ基板上に複数の異なる標的分子をそれぞれ認識可能な分子インプリントポリマーを備えるアレイタイプのセンシングチップを作製する場合に適している。また、アレイタイプのセンシングチップを作製する場合には、標的分子固定化基板の表面に複数の分離した区画が設けられていてもよい。これにより、ナノ粒子を複数の領域に任意のパターンで配置することがより容易にできるようになる。すなわち、本発明に係る作製方法を用いれば、アレイタイプのセンシングチップを簡便に作製することができる。
本発明に係る製造方法において、標的分子は、標的分子固定化基板表面に配置されたナノ粒子上に直接固定化されてもよく、ナノ粒子に間接的に固定化されてもよい。「間接的に固定化される」とは、ナノ粒子上に直接固定化された分子を介して標的分子が固定化され、標的分子とナノ粒子とは直接接触していない状態が意図される。また、「固定化」とは、ある場所のほかへ分子が移動しないようにすることが意図される。なお、ナノ粒子と標的分子との間を仲介する分子は1つに限定されず、複数の分子を介するものでもよい。
標的分子がナノ粒子に間接的に固定化される場合、ビオチンで修飾されたナノ粒子を用い、これにアビジンを結合させて固定化し、この固定化されたアビジンにビオチン化された標的分子を結合させて固定化する手法を好適に用いることができる。ビオチンとアビジンは特異的かつ強力に結合する生体分子であることがよく知られており、これらの結合は固定化と同等の状態を形成することができるからである。なお、本明細書において「アビジン」にはストレプトアビジンも含まれる。
本発明者らは、標的分子固定化基板に固定化された標的分子を鋳型として形成させた分子インプリントポリマーが、重合溶液(機能性モノマー、架橋剤などを溶媒に溶解した溶液)に標的分子を混合して形成させた分子インプリントポリマーより、標的分子に対する選択性が向上していることを見出している(実施例参照)。したがって、本発明に係る作製方法は、パターニングが容易にできるという効果を奏するのみならず、標的分子に対する選択性の高い分子インプリントポリマーを表面に備えるセンシングチップを提供できるという効果をも奏するものである。
本発明に係る作製方法により作製されるセンシングチップの標的分子は特に限定されず、薬剤等の低分子化合物からタンパク質などの高分子化合物まで広範囲の分子を標的分子として適用し得る。好ましい標的分子としては、生体分子が挙げられる。生体分子は生物中に存在する分子であればよい。生体分子を標的とすることにより、病気の診断、臨床検査、生物学の基礎研究などに利用可能なセンシングチップを提供することができる。また、生体分子の中でもタンパク質を標的分子とすることがより好ましい。近年、ポストゲノム研究の必須技術としてタンパク質機能評価のためのタンパク質センシングが注目されているからである。タンパク質を標的とする分子インプリントポリマーについては、タンパク質自身が温度やpHに対して敏感であることから最適なモノマーの選択に困難が伴うため、成功例の報告は少ない。さらに、タンパク質を認識する分子インプリントポリマーをアレイとして配列したセンシングチップは未だ報告されていない。それゆえ、複数のタンパク質を認識可能な分子インプリントポリマーアレイを実現し得る本発明に係る作製方法は、タンパク質分析の分野において非常に有望な技術であると期待される。
以下、本発明の一実施形態として、ビオチン−アビジン結合を利用して標的分子固定化基板表面に固定化された標的分子を用いるセンシングチップの作製方法について、図1および図2を用いて詳細に説明する。図1は本発明に係る作製方法の、ナノ粒子配置工程・アビジン結合工程・標的分子固定化工程を示す模式図であり、図2は本発明に係る作製方法の、分子インプリントポリマー形成工程の一部を示す模式図である。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
〔ナノ粒子配置工程〕
まず、標的分子固定化基板表面にビオチン化ナノ粒子を配置する(図1参照)。本工程においては、予めビオチン化ナノ粒子を準備しておく必要がある。ビオチン化ナノ粒子は、例えば、後段の実施例に示すように、表面にカルボキシル基を有するナノ粒子と、アミノ基を導入したビオチン(例えば、bitoin−(PEG)−NHなど)とを用いて、当該カルボキシル基とアミノ基とを縮合させることにより取得することができる。また、表面にアミノ基を有するナノ粒子と、カルボキシル基を導入したビオチンのカルボキシル基とを用いて、当該アミノ基とカルボキシル基とを縮合させることにより取得することもできる。
標的分子固定化基板は、その表面にビオチン化ナノ粒子を製膜するために、表面を洗浄しておくことが好ましい。例えば、ガラス基板、金属酸化物基板、光導波路基板、金基板などを用いる場合はピランハ溶液(濃硫酸:過酸化水素水=3:1)あるいはUV/オゾンで洗浄すればよい。これにより基板表面上の酸化膜などがなくなり表面修飾の効率が向上する。
ビオチン化ナノ粒子を標的分子固定化基板表面に配置する方法としては、例えば、ビオチン化ナノ粒子の懸濁液に標的分子固定化基板を浸漬してそのまま乾燥させて水分を蒸発させる方法、ビオチン化ナノ粒子の懸濁液を標的分子固定化基板表面に滴下または塗布した後、乾燥して水分を蒸発させる方法などを好適に用いることができる。ビオチン化ナノ粒子を標的分子固定化基板表面に任意のパターンで配置する場合には、滴下または塗布する方法を用いることが好ましい。また、市販のスポッター、アレイヤー、プリンターを好適に用いることができる。スポッターやアレイヤーやプリンターを用いれば、標的分子固定化基板表面の複数の領域にビオチン化ナノ粒子を、容易に任意のパターンで配置することができる。
〔アビジン結合工程〕
本工程では、前段のナノ粒子配置工程において標的分子固定化基板表面に配置されたビオチン化ナノ粒子に、アビジンを結合させる(図1参照)。ビオチン化ナノ粒子にアビジンを結合させる方法は特に限定されず、ビオチン化ナノ粒子とアビジンとが接触可能な方法であればよい。例えば、ビオチン化ナノ粒子が配置された標的分子固定化基板をアビジン溶液に浸漬する方法、標的分子固定化基板表面のビオチン化ナノ粒子が配置された領域にアビジン溶液を滴下または塗布する方法などが挙げられる。ビオチン化ナノ粒子とアビジンとを一定時間接触させた後、水洗などにより結合していないアビジンを除去することで、アビジンが結合した標的分子固定化基板を得ることができる。なお、前述のように、ビオチン−アビジン結合は非常に強力なので、ビオチン化ナノ粒子にアビジンを結合させることにより、アビジンの固定化が達成される。
〔標的分子固定化工程〕
本工程では、前段のアビジン結合工程においてビオチン化ナノ粒子と結合したアビジンに、ビオチン化された標的分子を結合させて、標的分子を標的分子固定化基板表面に固定化する(図1参照)。本工程においては、予めビオチン化標的分子を準備しておく必要がある。ビオチン化標的分子は、例えば、NHS(N−ヒドロキシスクシイミド)で活性化したビオチン化試薬を標的分子の一級アミンなどと反応させることにより取得することができる。ビオチン化試薬(例えば、bitoin−(PEG)−NHなど)は市販のものを好適に用いることができる。また、ビオチン自体のカルボキシル基を用いてビオチン化標的分子を取得することもできる。この場合、標的分子と反応させるのはビオチン自体のカルボキシル基でもよく、また、このカルボキシル基に直接、もしくは適当なスペーサーを介して結合させたアミノ基、チオール基、マレイミド基、活性エステル基、光反応性基などでもよい。ビオチンを標的分子と反応させる際には、必要に応じてルボジイミド化合物などの適当なカップリング試薬を用いることができる。
アビジンにビオチン化標的分子を結合させる方法は特に限定されず、アビジンとビオチン化標的分子とが接触可能な方法であればよい。例えば、アビジンが固定化された標的分子固定化基板を、ビオチン化標的分子溶液に浸漬する方法、標的分子固定化基板表面のアビジンが固定化された領域にビオチン化標的分子溶液を滴下する方法などが挙げられる。アビジンとビオチン化標的分子とを一定時間接触させた後に、水洗などにより結合していないビオチン化標的分子を除去することで、標的分子が結合した標的分子固定化基板を得ることができる。なお、前述のように、ビオチン−アビジン結合は非常に強力なので、アビジンにビオチン化標的分子を結合させることにより、標的分子の固定化が達成される。また、2種類以上の標的分子を混合したものを標的分子溶液としてアビジンと接触させることも可能であるが、通常、アビジンが固定化された1つの領域には単一種の標的分子が固定化される。
ナノ粒子配置工程において、ビオチン化ナノ粒子が標的分子固定化基板表面の複数の領域に配置され、標的分子固定化基板表面に少なくとも2種類以上の標的分子を固定化させる場合には、第1のビオチン化標的分子をアビジンに結合させて固定化した領域と異なる領域に、第1のビオチン化標的分子と異なるビオチン化標的分子をアビジンに結合させて固定化すればよい。標的分子の種類数よりビオチン化ナノ粒子が配置された領域数のほうが多い場合は、同一種の標的分子が複数の領域に固定化されても構わない。好ましくは、ビオチン化ナノ粒子が配置された複数の領域のそれぞれに、異なる種類の標的分子を固定化する。これにより、固定化される標的分子の種類を、ビオチン化ナノ粒子が配置された領域数と同数まで多くすることができる。なお、複数の標的分子を用いる場合には、予め使用するすべての標的分子をビオチン化しておくことが必要である。
〔分子インプリントポリマー形成工程〕
本工程では、標的分子固定化工程において固定化された標的分子を鋳型として、チップ基板表面に分子インプリントポリマーを形成させる。
(a) 重合溶液の滴下
最初に重合溶液を調製し、これを標的分子固定化基板表面の標的分子が固定化された領域に滴下し、標的分子と重合溶液とを接触させる(図2参照)。重合溶液は、重合溶媒に機能性モノマーおよび架橋剤を溶解して調製される。重合溶液に用いる溶媒としては、例えば、クロロホルム、トルエン、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、各種アルコール等の有機溶媒、または緩衝液等の水系の溶媒が挙げられる。鋳型とする標的分子に応じて適宜選択することが好ましい。例えば、標的分子がタンパク質の場合は、有機溶媒に触れると変性する可能性があるので、水系溶媒が好ましい。
機能性モノマーは、標的分子と結合可能な官能基および重合可能な官能基を併せ持つものであればよい。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、2− (ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートなどが挙げられる。機能性モノマーについても、鋳型とする標的分子に応じて適宜選択することが好ましい。
架橋剤としては、分子中に重合可能な官能基(ビニル基など)を少なくとも2個持つ分子を用いることが好ましい。例えば、エチレングリコールジメチルアクリレート、N,N'−メチレンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
重合には、重合開始剤を加えてもよい。重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウム等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系重合開始剤を用いることができる。また、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンなどの重合促進剤を加えてもよい。
標的分子固定化基板表面に複数種類の標的分子が固定化されている場合、すべての標的分子について、同一組成の重合溶液を使用し得るときは、複数種類の標的分子が固定化されている全体の領域に重合溶液を滴下することができる。一方、標的分子の種類に応じて重合溶液の組成を変える必要があるときは、標的分子の領域ごとに組成の異なる重合溶液を滴下する。このような場合には、同一組成の重合溶液を使用できる標的分子ごとにクループ化し、同一グループの標的分子が近接した領域に配置されるようにパターニングすれば、重合溶液の滴下作業を効率よく行うことができる。また、表面に複数の分離した区画が設けられている標的分子固定化基板を用いれば、区画ごとに異なる組成の重合溶液を容易に滴下することができる。
(b) チップ基板を載せる
次に、重合溶液の液滴の上からチップ基板を載せ、重合溶液を標的分子固定化基板とチップ基板との隙間に挟みこむ(図2参照)。このときチップ基板の表面に重合可能な官能基(ビニル基など)を導入しておくことが好ましい。これにより、チップ基板表面の官能基と重合溶液中の架橋剤とが重合され、チップ基板表面に分子インプリントポリマーの膜を形成することができる。
チップ基板表面へのビニル基の導入方法は、チップ基板の材質に応じて公知の方法で行うことができる。例えば、チップ基板が金基板の場合は、図3に示すように、金−チオール結合を利用して、N,N’−Bis(acryloyl)cystamineのメタノール溶液に金基板を浸漬し、その後洗浄することによりビニル基修飾金基板を得ることができる。また、チップ基板がガラス基板の場合は、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤を用いてビニル基修飾ガラス基板を得ることができる(実施例3参照)。
(c) 重合
次に、標的分子固定化基板とチップ基板との隙間に挟まれた重合溶液を重合する。重合方法は特に限定されないが、光重合または熱重合が好ましい。光重合を行う場合は、重合溶液にUVライトなどを用いて、例えば、0〜4℃で10分〜4時間程度紫外線(UV)を放射すればよい(図2参照)。熱重合の場合は、例えば40℃で10分〜3時間程度重合させればよい。
(d) 標的分子固定化基板とチップ基板との分離
次に、標的分子固定化基板とチップ基板とを分離させる。前段の重合により形成された分子インプリントポリマーがチップ基板表面から剥がれないように、物理的に2枚の基盤を引き剥がせばよい。
(e) 標的分子の除去
最後に、形成された分子インプリントポリマーから鋳型分子を除去することにより、標的分子のセンシングチップが完成する。分子インプリントポリマーから鋳型分子を除去する方法としては、例えば、鋳型分子が静電的相互作用で分子インプリントポリマーと結合している場合(例えば鋳型分子がタンパク質の場合)は、1M NaCl溶液に浸漬することで除去することができる。また、鋳型分子が水素結合で分子インプリントポリマーと結合している場合は、メタノールなどの極性溶媒で洗浄することにより除去することができる。
〔本発明に係る作製方法により作製されたセンシングチップの利用〕
本発明に係る作製方法により作製されたセンシングチップは、標的分子を検出するために、表面プラズモン共鳴(SPR)法、局在プラズモン共鳴(LSPR)法、水晶振動子センサー、電気化学的方法、発光法、発色法、光導波路分光法などに適用することができる。
ここで、表面プラズモン共鳴(SPR)とは、特定の波長の光を特定の角度から当てると、分子インプリントポリマー表面で、光子のエネルギーが金属表面の電子に吸収されて反射されなくなる現象のことで、生体高分子の相互作用の計測に使用されている。例えば、BIACORE社製のSPR測定装置などを用いて測定することができる。
局在プラズモン共鳴(LSPR)とは、試料表面への入射光(電磁波)によって分子インプリントポリマー内の自由電子が振動し生じた分極を打ち消すために生じる電場が入射光と起こす共鳴現象であり、入射光は著しく吸収されるため、微小領域のわずかな物質でも検知可能な手法である。
水晶振動子センサーとは、水晶振動子の表面に物質が結合すると振動数が変化することを利用して、分子の結合を測定するものである。
電気化学的方法とは、分子インプリントポリマーに標的分子が結合したときの電流、電圧、インピーダンス、コンダクタンスなどの変化を測定するものである。
発光や発色は、分子インプリントポリマーに標的分子が結合したときに生じる光(蛍光)や、色調の変化を測定するものである。
光導波路分光法は、屈折率が大きい物質の層(コア層)を小さい物質の層(クラッド層)で挟んだ構造を持つ光導波路に、レーザー光を全反射可能な角度で入射し、繰り返し反射により光導波路界面に生じるエバネッセント波の吸収スペクトル情報を高感度に測定する方法である。エバネッセント波は界面にしか発生しないため、導波路界面付近に存在する物質を選択的に測定できる。
以上のように、本発明に係る作製方法は、複数の標的分子を認識可能な分子インプリントポリマーアレイを実現し得るものであり、特に生体分子分析の分野において非常に有望な技術であると期待される。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1:固定化アビジンを鋳型としたインプリントポリマーを備えるセンシングチップの作製と評価〕
(1−1)ナノ粒子の合成
表面にビオチンを導入するため、カルボキシル基を有するナノ粒子を以下の手順で合成した。
水27gにメタクリル酸230mg(1eq、和光純薬工業製)、スチレン2770mg(10eq、和光純薬工業製)、および重合開始剤としての過硫酸カリウム240mg(和光純薬工業製)を添加し、窒素雰囲気下80℃で24時間攪拌した(200rpm)。その後、遠心分離を3回行い、エマルションを洗浄した。得られたエマルションの重合率は99.5%であった。得られたナノ粒子(以下「NP」と記す)を走査型電子顕微鏡(キーエンス・VE9800、以下「SEM」と記す)を用いて観察した結果、粒径が約250nmの均一な球状の粒子であることが確認された。
(1−2)ナノパーティクルへのビオチン導入
まず、ナノパーティクル表面のカルボキシル基の活性化を行った。NP 10mg、1−エチル−3−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミド 14mg(72μmol、渡辺化学工業製)、N−ヒドロキシスクシイミド 8.3mg(72μmol、Aldrich製)を水に懸濁し、室温で5時間攪拌して反応させた。攪拌終了後、遠心分離を3回行い、精製した。次に、得られた活性化カルボン酸を有するNPを10mM PBS(pH8.5)に懸濁し、bitoin−(PEG)−NH 10mg(24μmol、フナコシ製)を加えて縮合反応を行った。6時間攪拌後、遠心分離を3回行い、精製した。
得られたビオチン化NPへのアビジンの吸着実験を行い、NPへのビオチン導入率を算出した。具体的には、各濃度のアビジン溶液にビオチン化NPおよび未修飾NPをそれぞれ3mgずつ添加し、25℃で3時間インキュベートした。その後、遠心分離によりNPを除去し、上清を4倍希釈してUV/visスペクトルを測定することにより、NPへのアビジンの吸着量を算出した。なお、UV/visスペクトルの測定にはJasco製UV/visスペクトル測定装置V−560を用いた。
結果を図4に示した。ビオチン化NPが未修飾NPに比べて多くのアビジンを吸着していることから、ビオチン化NPにはビオチンが導入されていることが確認できた。また、ビオチン化NPのアビジン吸着量は直線的に増加しているのに対して、未修飾NPの吸着量は飽和していることからも、ビオチン化NPにはビオチンが導入されていることが確認できた。
(1−3)ビオチン化ナノパーティクルへのアビジンの固定化
図5に標的分子固定化基板上へのビオチン化NP配置からセンシングチップ完成までの手順の模式図を示した。まず、カバーガラス上にビオチン化NPを製膜するために、ピランハ溶液(濃硫酸:過酸化水素水=3:1)でカバーガラスを洗浄し、乾燥させた。その上にビオチン化NPを20μL滴下し、室温で一晩かけてゆっくりと乾燥させた。次に、得られたカバーガラスを10nMアビジン溶液に一時間浸漬し、その後水で洗浄することにより、カバーガラスにアビジンを固定化した(図5参照)。
(1−4)インプリントポリマーを備えるセンシングチップの作製
上記1−3で得られたアビジンを固定化したカバーガラスをスライドガラス上に置き、重合溶液(アクリル酸 1.75μL(和光純薬工業製)、N,N’−メチレンビスアクリルアミド 38.5mg(シグマ製)、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン 21mg(MPC、信越化学工業製)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド] 1mg(VA−080、和光純薬工業製)をPBS3mLに溶解したもの(表1参照))を5μL滴下した(図5参照)。
Figure 0004853971
この溶液の液滴上にビニル基で修飾したSPRセンサーチップ(金基板)を載せて、4℃で10分間UV−LEDライト(OMRON製、コントロールユニット:ZUV−C10、ヘッドユニット:ZUV−H10)を照射して光重合を行った。重合終了後、金基板とカバーガラスを剥離し、得られたポリマー被覆金基板を水およびメタノールで順次洗浄した。その後1M NaCl水溶液に24時間浸漬して鋳型のアビジンを除去することにより、目的のインプリントポリマー「IP」を備えるセンシングチップを得た(図5参照)。
金基板へのビニル基の導入には、金−チオール結合を利用した。具体的には、N,N’−Bis(acryloyl)cystamine 3.6mgをメタノール5mLに溶解した溶液に金基板を浸漬し、その後基板を水およびメタノールで順次洗浄し、ビニル基修飾金基板を得た(図3参照)。
なお、対照としてリファレンスポリマー「RP」、ブランクポリマー「BP」およびバルクインプリントポリマー「bulkIP」を備えるセンシングチップを同様に作製した。「RP」はビオチンを修飾していないNPを鋳型としたインプリントポリマーであり、「BP」は鋳型のないポリマーであり、「bulkIP」は、固定化したアビジンでなく、上記重合溶液に分散させたアビジンを鋳型として重合したインプリントポリマーである。
(1−5)表面プラズモン共鳴(SPR)測定による吸着実験
表面プラズモン共鳴測定装置にはBiacore社製のBiacoreQを用いた。測定は25℃で行った。ランニングバッファーには10mM PBS pH7.4(80mM NaCl)を流速20μL/minで用いた。再生溶液には、1M NaCl水溶液、および100mM グリンシンバッファー pH10(1M NaCl)を用い、この順にそれぞれ20μLずつ添加した。またアナライトタンパク質溶液の添加量は40μLとした。添加終了60秒後のSPRシグナルを結合量とした。
まず、IP、RP、BPの各ポリマーへのアビジンの親和性を評価した。結果を図6に示した。図6から明らかなように、固定化アビジンを鋳型としたIPは他の2種類のポリマーに比べてアビジンの結合量が著しく大きいことが示された。
次に、アビジン、リゾチームおよびリボヌクレアーゼAの3種類のタンパク質溶液(4μM)を用いて、IP、RP、BP、bulkIPの各ポリマーの選択性を評価した。結果を図7に示した。図7から明らかなように、アビジンに対する親和性は4種類のポリマーのなかでIPが著しく高く、IPは高いアビジン選択性を有することが示された。また、bulkIPではアビジンとリゾチームの親和性はほとんど同じであり、アビジンを鋳型としたインプリント効果が見られていない。このことから、固定化したアビジンを鋳型とすることの有効性が示された。
〔実施例2:固定化グルコースオキシダーゼを鋳型としたインプリントポリマーを備えるセンシングチップの作製と評価〕
(2−1)グルコースオキシダーゼの固定化
実施例1と同様の方法で、ビオチン化NPを製膜したカバーガラスにアビジンを固定化した。次にこの基板にグルコースオキシダーゼ(以下「GOx」と記す)の固定化を行なった。具体的には、ビオチン化グルコースオキシダーゼ(フナコシ製)の10nM溶液を調製し、その中にアビジンを固定化したカバーガラスを一時間浸漬した。その後カバーガラスを水で洗浄して、グルコースオキシダーゼを固定化したカバーガラスを得た(図1参照)。
(2−2)インプリントポリマーを備えるセンシングチップの作製
実施例1と同様に、上記2−1で得たGOxを固定化したカバーガラスをスライドガラス上に置き、重合溶液を5μL滴下し、重合溶液の液滴上にビニル基で修飾したSPRセンサーチップ(金基板)を載せて、4℃で10分間UV−LEDライト(OMRON製、コントロールユニット:ZUV−C10、ヘッドユニット:ZUV−H10)を照射して光重合を行った(図2参照)。なお、GOxは酸性タンパク質であるため、ポリマー重合時のバッファー条件(pH7.4)では負に帯電しているので、機能性モノマーにはカチオン性の2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルアクリラート(DMAEA、和光純薬工業製)を使用した。すなわち、実施例1の重合溶液の組成(表1参照)におけるアクリル酸 1.75μLを、本実施例ではDMAEA 2μLに変更した。
重合終了後、金基板とカバーガラスを剥離し、得られたポリマー被覆金基板を水およびメタノールで順次洗浄した。その後1M NaCl水溶液に24時間浸漬して鋳型のGOxを除去することにより、目的のインプリントポリマー「GOx−IP」を備えるセンシングチップを得た。なお、対照としてブランクポリマー「BP」(鋳型のないポリマー)を備えるセンシングチップを同様に作製した。
(2−3)SPR測定による吸着実験
表面プラズモン共鳴測定装置にはBiacore社製のBiacoreQを用いた。測定は25℃で行った。ランニングバッファーには10mM PBS pH7.4(80mM NaCl)を流速20μL/minで用いた。再生溶液には、1M NaCl水溶液、および100mM グリンシンバッファー pH10(1M NaCl)を用い、この順にそれぞれ10μLずつ添加した。またアナライトタンパク質溶液の添加量は40μLとした。結合部分の終端付近で平衡値解析した値を結合量とした。
まず、GOx−IPおよびBPへのGOxの親和性を評価した。結果を図8に示した。図8から、GOx−IPへのGOxの吸着量はBPへのGOxの吸着量よりも大きい傾向が確認された。
次に、GOx、BSA(ウシ血清アルブミン)およびミオグロビンの3種類のタンパク質溶液(0.5μM)を用いて、GOx−IPおよびBPの選択性を評価した。結果を図9に示した。図9からわかるように、BPには3種類のタンパク質に対する選択性は全く認められないが、GOx−IPはGOxに対して高い選択性を示した。なお、データを示していないが低濃度領域においては、GOx−IPとGOx−bulkIP(固定化したGOxでなく、上記重合溶液に分散させたGOxを鋳型として重合したインプリントポリマー)とのGOxに対する選択性の明確な差が確認されており、このことから、固定化したGOxを鋳型とすることの有効性が示された。
〔実施例3:パターニングの検討〕
(3−1)ビオチン化NPのスポットおよびストレプトアビジンの固定化
3箇所だけ穴の開いた金属をカバーガラスの上に載せ、UVオゾンクリーナー(メイワフォーシス TC003)による洗浄を30分間行い、その3箇所のみを親水化処理した。親水化処理した3箇所にビオチン化NPを5μL滴下して乾燥し、ビオチン化NPを3箇所にスポットしたカバーガラスを得た。このカバーガラスをFITC修飾ストレプトアビジン(和光純薬工業製)溶液に浸漬した後水で洗浄し、FITC修飾ストレプトアビジンを固定化した。
(3−2)パターニングされたインプリントポリマーを備えるセンシングチップの作製
ガラス基板として、ビニル基を導入したスライドガラスを作製した。すなわち、水5mLに酢酸50μLを添加し攪拌した。攪拌しながらシランカップリング剤(3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業製)50μLをゆっくり滴下し、30分間攪拌した。得られた溶液をスライドガラスに10μL滴下し、上からカバーガラスを載せて一晩静置した。カバーガラスをはがし、水およびメタノールで順次洗浄してビニル基修飾スライドガラスを得た。
上記3−1で得られたFITC修飾ストレプトアビジンを固定化したカバーガラスをスライドガラス上に置き、重合溶液(アクリル酸 1.75μL(和光純薬工業製)、N,N’−メチレンビスアクリルアミド 38.5mg(シグマ製)、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン 21mg(MPC、信越化学工業製)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド] 1mg(VA−080、和光純薬工業製)をPBS3mLに溶解したもの)を5μL滴下した。その上に、ビニル基修飾スライドガラスを載せて、4℃で10分間UV−LEDライト(OMRON製、コントロールユニット:ZUV−C10、ヘッドユニット:ZUV−H10)を照射して光重合を行った。重合終了後、ガラス基板(スライドガラス)とカバーガラスを剥離し、得られたポリマー被覆ガラス基板を水およびメタノールで順次洗浄した。その後1M NaCl水溶液に24時間浸漬して鋳型のFITC修飾ストレプトアビジンを除去することにより、目的のインプリントポリマーを備えたセンシングチップを得た。
(3−3)標的分子の吸着
上記3−2で得られたセンシングチップをFITC修飾ストレプトアビジンの1μM溶液に30分間浸漬し、水で洗浄した。
(3−4)パターニングの評価
以下の各時点において、カバーガラスまたはセンシングチップに可視光を照射したときに発する蛍光を観察することにより、パターニングの評価を行った。
(a)FITC修飾ストレプトアビジンを固定化したカバーガラス((3−1)を参照)
(b)ポリマー重合・洗浄後のセンシングチップ((3−2)を参照)
(c)標的分子吸着後のセンシングチップ((3−3)を参照)
結果を図10に示した。(a)ではカバーグラス上に3箇所の蛍光が観察され、ビオチン化NPをスポットした位置のみに固定化されていることが確認できた。(b)ではセンシングチップに蛍光が観察されず、鋳型としたFITC修飾ストレプトアビジンがインプリントポリマーから除去されていることが確認できた。(c)では、センシングチップの3箇所に蛍光が観察され、得られたセンシングチップには、FITC標識ストレプトアビジンに選択的な結合サイトが3箇所構築できていることが確認された。
以上の結果より、ビオチン化NPに任意のタンパク質を固定化する手法を用いれば、インプリントポリマーのパターニングを容易に行うことができることが示された。
なお本発明は上述した各実施形態および実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
本発明は、医療機器、分析機器等の製造産業に広く利用可能である。
本発明に係る作製方法の、ナノ粒子配置工程・アビジン結合工程・標的分子固定化工程を示す模式図である。 本発明に係る作製方法の、分子インプリントポリマー形成工程の一部を示す模式図である。 ビニル基で修飾した金基板の作製方法を示す模式図である。 ビオチン化ナノ粒子へのアビジンの吸着実験の結果を示すグラフである。 標的分子固定化基板表面へのビオチン化ナノ粒子の配置からセンシングチップ完成までの手順を示す模式図である。 各ポリマー(IP、RPおよびBP)のアビジンに対する吸着等温線を示すグラフである。 各ポリマー(IP、RP、BPおよびbulkIP)の3種類のタンパク質に対する選択性評価の結果を示すグラフである。 各ポリマー(GOx−IPおよびBP)のグルコースオキシダーゼ(GOx)に対する吸着等温線を示すグラフである。 各ポリマー(GOx−IPおよびBP)の3種類のタンパク質に対する選択性評価の結果を示すグラフである。 (a)はFITC修飾ストレプトアビジンを固定化したカバーガラスにおけるパターニングを示す図であり、(b)はポリマー重合・洗浄後のセンシングチップにおいて鋳型分子が除去されていることを示す図であり、(c)は作製されたセンシングチップにおいて鋳型分子のパターニングが反映されていることを示す図である。

Claims (8)

  1. チップ基板表面に標的分子認識体として分子インプリントポリマーを備え、標的分子と選択的に結合する機能、および、その結合情報を信号に変換する機能を併せもつ標的分子のセンシングチップの作製方法であって、
    標的分子固定化基板表面にナノ粒子を配置し、配置されたナノ粒子上に標的分子を固定化し、標的分子固定化基板とチップ基板との間に機能性モノマーおよび架橋剤を含む重合溶液を標的分子と接触させた状態で挟み、重合溶液を重合させ、形成された分子インプリントポリマーがチップ基板表面からはがれないように標的分子固定化基板とチップ基板とを分離し、形成された分子インプリントポリマーから標的分子を除去することを特徴とする標的分子のセンシングチップの作製方法。
  2. チップ基板表面に標的分子認識体として分子インプリントポリマーを備え、標的分子と選択的に結合する機能、および、その結合情報を信号に変換する機能を併せもつ標的分子のセンシングチップの作製方法であって、
    標的分子固定化基板表面にビオチン化ナノ粒子を配置するナノ粒子配置工程と、
    該ナノ粒子配置工程において配置されたビオチン化ナノ粒子にアビジンを結合させるアビジン結合工程と、
    該アビジン結合工程においてビオチン化ナノ粒子と結合したアビジンに、ビオチン化された標的分子を結合させて固定化する標的分子固定化工程と、
    該標的分子固定化工程において固定化された標的分子を鋳型として、チップ基板表面に分子インプリントポリマーを形成させる分子インプリントポリマー形成工程とを有し、
    該分子インプリントポリマー形成工程では、標的分子固定化基板とチップ基板との間に機能性モノマーおよび架橋剤を含む重合溶液を標的分子と接触させた状態で挟み、重合溶液を重合させ、形成された分子インプリントポリマーがチップ基板表面からはがれないように標的分子固定化基板とチップ基板とを分離し、形成された分子インプリントポリマーから標的分子を除去することを特徴とする標的分子のセンシングチップの作製方法。
  3. 前記ナノ粒子配置工程において、ビオチン化ナノ粒子は標的分子固定化基板表面にパターニングして配置されることを特徴とする請求項2に記載の標的分子のセンシングチップの作製方法。
  4. 前記ナノ粒子配置工程において、ビオチン化ナノ粒子は標的分子固定化基板表面の複数の領域に配置されることを特徴とする請求項3に記載の標的分子のセンシングチップの作製方法。
  5. ビオチン化ナノ粒子が配置された複数の領域のそれぞれには単一種の標的分子が固定化され、かつ、標的分子固定化基板表面に少なくとも2種類以上の標的分子が固定化されることを特徴とする請求項4に記載の標的分子のセンシングチップの作製方法。
  6. ビオチン化ナノ粒子が配置された複数の領域のそれぞれに、異なる種類の標的分子が固定化されることを特徴とする請求項5に記載の標的分子のセンシングチップの作製方法。
  7. 前記標的分子は、生体分子であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の標的分子のセンシングチップの作製方法。
  8. 前記生体分子は、タンパク質であることを特徴とする請求項7に記載の標的分子のセンシングチップの作製方法。
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