JP4779775B2 - 内燃機関の吸気制御装置 - Google Patents
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Description
ただし、乗用車等でブレーキの負圧源やパージガス、ブローバイガスを吸気系に吸引するため吸気負圧を要する場合は、スロットル弁を備えて所定条件で吸気負圧を発生させる必要があり、また、低負荷域では、吸気弁による空気量制御が難しくなるため、スロットル弁による制御に切り換えるようにしたものがある。
上記に鑑み、特許文献1には、スロットル開度を入力としエンジントルクを出力とする吸気系モデルを構築し、目標トルクを得る目標スロットル開度を、吸気系モデルの伝達関数における各係数の値を同定しつつ算出して、高応答なトルク制御を図った技術が開示されている。
機関運転状態に基づいて、吸気弁が開いてからシリンダ内圧が排気圧から徐々に低下して吸気上死点より遅れて吸気圧と等しくなる実効上死点位置と、吸気弁閉時期より前にシリンダ内圧が吸気圧に達して断熱圧縮変化が開始する実効吸気弁閉時期と、を求め、前記実効上死点位置におけるシリンダ容積と前記実効吸気弁閉時期におけるシリンダ容積との差としてシリンダ実効容積を算出するシリンダ実効容積算出手段と、
機関運転状態に基づいて目標吸気圧を算出する目標吸気圧算出手段と、
マニホルドプラントモデルを用いて現在の吸気圧の推定値である仮想吸気圧を算出する仮想吸気圧算出手段と、
前記仮想吸気圧と前記シリンダ実効容積とに基づいて、現在の単位時間当たりのシリンダ吸気量の推定値である単位時間当たりの仮想シリンダ吸気量(QE’)を算出する仮想シリンダ吸気量算出手段と、
前記目標吸気圧と前記仮想吸気圧との偏差に基づき、単位時間当たりの目標吸気量変化量を求める目標吸気量変化量算出手段と、
前記仮想シリンダ吸気量(QE’)に前記目標吸気量変化量を加算して、スロットル弁を通過する単位時間当たりの目標吸気流量を求める手段と、
この目標吸気流量からスロットル弁の目標開口面積を求め、スロットル弁を制御するスロットル制御手段と、
を備えて構成される。
したがって、前記仮想シリンダ吸気量に基づいて、マニホールド容積による遅れを補償して所望の応答で目標とするシリンダ吸気量が得られるように目標スロットル開度を逆算しつつ高応答なトルク制御を実現することができる。
さらに、運転状態によらず、所望のトルク応答特性を得ることができる。
図1は、エンジン(内燃機関)の構成図である。
エンジン1の各気筒のピストン51により画成される燃焼室52には、点火栓53を囲むように、吸気弁54及び排気弁55を備えている。吸気は吸気通路56を通って吸気弁54から燃焼室52内に吸入され、該吸気通路56の途中にマニホールド部(吸気マニホールド)57が配設されている。燃焼室52内の排気は、排気弁55から排気通路58を通って排出される。
ここにおいて、点火栓53、可変動弁装置100(作動角変更機構10、位相角変更機構20)、電制スロットル弁59および燃料噴射弁60の作動は、コントロールユニット(ECU)61により制御される。
点火栓53による点火時期は、エンジン運転条件に基づいて、MBT(トルク上の最適点火時期)又はノック限界に制御する。
吸気駆動軸3と揺動カム4との間には、吸気弁2の作動角である吸気作動角及びバルブリフト量を連続的に変更する電動式の作動角変更機構10が設けられている。吸気駆動軸3の一端部には、図外のクランクシャフトに対する吸気駆動軸3の位相を変化させることにより、上記吸気作動角の中心位相である吸気中心位相を連続的に変更する電動式の位相変更機構20が配設されている。
また、制御軸13の回転角度を変化させることにより、ロッカアーム15の揺動中心となる制御カム14の軸心位置が変化して揺動カム4の姿勢が変化する。これにより、吸気中心位相が略一定のままで、吸気作動角及びバルブリフト量が連続的に変化する。
図5は、上記ECU61においてなされるスロットル弁59による吸入空気量制御のメインブロック図を示す。
シリンダ実効容積算出部は、機関1の運転状態および前記吸気弁54の作動特性(特にバルブタイミング)によって、シリンダの吸気行程相当のシリンダ実効容積を算出する。
仮想シリンダ吸気量算出部は、前記シリンダ実効容積と仮想吸気圧に基づいて、現在のシリンダ吸気量の推定値である仮想シリンダ吸気量を算出する。
一方、目標シリンダ空気量算出部は、アクセル開度APO、機関回転速度Ne等に基づいて、目標トルク相当の目標シリンダ空気量を算出する。
時定数算出部は、運転性その他の要求に応じて、目標吸気圧を目標とする応答で実現するための規範応答時定数τpmを算出する。
目標吸気圧変化量算出部は、目標吸気圧と仮想吸気圧との偏差と規範応答時定数τpmとに基づいて、目標吸気圧変化量を算出する。
前記仮想シリンダ吸気量(時間当たりの量に換算)に前記目標吸気量変化量を加算することで、スロットル弁を通過する時間当たりの目標吸気量を算出する。
目標開口面積算出部は、前記目標吸気量に基づいてスロットル弁59の目標開口面積を算出する。
スロットル弁制御部は、前記目標開度に基づいて、スロットル弁59を制御する。
次に、上記各算出部の詳細を説明する。
まず、シリンダ実効容積算出部の詳細を、図6に示すブロック図に基づいて説明する。
静的には、吸気弁閉時期IVCでのシリンダ容積から上死点TDCでのシリンダ容積を差し引いた値が行程容積であるが、実際には、吸気行程開始時期および終了時期は、それぞれ上死点TDC、吸気弁閉時期IVCに対してずれを生じる。
図示のように、吸気弁閉時期IVCより前に、シリンダ内圧が吸気圧に達して断熱圧縮変化が開始、つまり吸気行程が終了する。この吸気弁閉時期IVCに対して実際の吸気行程が終了する時期の進み量は、エンジン回転速度Neが高いときほど、また、バルブリフト量が小さいときほど慣性の影響が大きくなって増大する。
次いで、前記進み量をIVCオフセット量として、エンジン回転速度Neとバルブリフト量をパラメータとするマップを設定し、該マップを参照してIVCオフセット量IVCOFSを求め、吸気弁閉時期IVCからIVCオフセット量IVCOFSを差し引いたクランク角位置を、吸気行程が終了する実効IVCとして算出する。
次いで、エンジン回転速度Neとオーバーラップ開口面積O/LAをパラメータとして、オーバーラップ中心角O/LCAから実効TDCまでの遅れ量をTDCオフセット量としたマップを設定しておき、該マップを参照してTDCオフセット量TDCOFSを求め、オーバーラップ中心角O/LCAにTDCオフセット量TDCOFSを加算したクランク角位置を実効TDCとして算出する。
前記シリンダ容積VEIVCからシリンダ容積VETDCを差し引いて、シリンダ実効容積VE(=VEIVC−VETDC)を算出する。
なお、図8の右上部分に、前記目標開口面積tAtvoに対し、スロットル弁59の作動遅れ補正処理{伝達関数e−Ls/(T1+1)}を施した、実開口面積Atvoにおけるマニホールド内圧PMを算出するマニホールドプラントのモデルが示されており、このマニホールドプラントのモデルを用いて、目標値に制御したときの予測値としての仮想値が算出される。以下、仮想値には、実際値に対して「’」を付して説明する。
PM:マニホールド内圧=吸気圧
tATVOH:一次遅れ補正後の目標開口面積
R:ガス定数
TA:大気温度=吸気温度
κ:比熱比
前記目標開口面積に基づいて算出されたスロットル弁を通過してマニホールドへ流入する時間当たりの吸気流量QA’と、後述するように算出されたマニホールドからの流出量、つまりシリンダへの時間当たりの流入量QE’との偏差(=QA’−QE’)を算出する。
(ΔPM/Δt)’=RTA/VM・(QA’−QE’)・・・(2)
VM:マニホールド容積
前記吸気圧変化量(ΔPM/Δt)’を積分して、仮想吸気圧PM’を算出する(伝達関数:1/s)。
前記仮想吸気圧PM’と、前記シリンダ実効容積VEとに基づいて、次式により1シリンダ当たりの仮想シリンダ吸気量QC’を算出する(伝達関数:K3)。
QC’=PM’・VE/(RTA)・・・(3)
次に、前記仮想シリンダ吸気量QCを、次式によって時間当たりの流量QEに換算する(伝達関数:K4)。
ncyl:エンジンの総気筒数
この時間当たりの仮想シリンダ吸気量QE’が、上述したように、次回算出される吸気流量QA’との偏差の算出に用いられると共に、後述するように目標吸気量tQAの算出に用いられる。
上述したように目標シリンダ吸気量算出部で算出された目標トルク相当の目標シリンダ吸気量tQCを、現在のシリンダ実効容積VEで実現するための目標吸気圧tPMを、次式によって算出する。
tPM=tQC・RTA/VE・・・(5)
次に、目標吸気圧変化量算出部について説明する。
次に、目標吸気量変化量算出部について説明する。
吸気温度TA、マニホールド容積VM、ガス定数Rに基づいて、次式により、前記目標吸気圧変化量を目標吸気量変化量(質量変化量)t(ΔMM/Δt)に換算する(伝達関数:1/K2)。
次に、目標吸気量算出部について説明する。
次式のように、前記仮想シリンダ吸気量QEに前記目標吸気量変化量t(ΔQA/Δt)を加算することで、スロットル弁を通過する時間当たりの目標吸気量tQAを算出する。
次に、目標開口面積算出部について説明する。
前記目標吸気量tQAに基づいて、次式により、スロットル弁59の目標開口面積tATVOを算出する(伝達関数:1/K)。
スロットル制御部は、前記目標開度tTVOに基づいてスロットルアクチュエータを駆動してスロットル弁59を制御する。
以上のように、本実施形態では、エンジン運転状態及び吸気弁のバルブ作動特性に基づいてシリンダ実効容積VEを算出すると共に、マニホールド プラントのモデルによって現在のマニホールド内圧を吸気圧とした推定値である仮想吸気圧PMを算出し、これらシリンダ実効容積VEと仮想吸気圧PMを乗算して算出される仮想シリンダ吸気量に基づいて、目標とする応答(規範応答時定数τPM)で目標シリンダ吸気量が得られるようにスロットル制御を行う構成としたので、マニホールド部容積による遅れを補償し、可変動弁機構でのトルク制御と同等の高応答のトルク制御を実現することができる。
また、特許文献1のような伝達関数の係数の同定やフィードバック制御を併用するなど複雑な制御を必要とせず、物理現象を考慮したスロットル制御伝達関数モデルにおける中間パラメータ(マニホールド内圧)の制御を介してトルク制御を行うことにより、簡易で高精度な制御を実現することができる。
10 作動変更機構
20 位相変更機構
54 吸気弁
57 マニホールド部
59 電動スロットル弁
61 ECU
62 クランク角センサ
63 アクセルペダルセンサ
64 エアフローメータ
65 吸気温度センサ
Claims (5)
- 機関運転状態に基づいて、吸気弁が開いてからシリンダ内圧が排気圧から徐々に低下して吸気上死点より遅れて吸気圧と等しくなる実効上死点位置と、吸気弁閉時期より前にシリンダ内圧が吸気圧に達して断熱圧縮変化が開始する実効吸気弁閉時期と、を求め、前記実効上死点位置におけるシリンダ容積と前記実効吸気弁閉時期におけるシリンダ容積との差としてシリンダ実効容積を算出するシリンダ実効容積算出手段と、
機関運転状態に基づいて目標吸気圧を算出する目標吸気圧算出手段と、
マニホルドプラントモデルを用いて現在の吸気圧の推定値である仮想吸気圧を算出する仮想吸気圧算出手段と、
前記仮想吸気圧と前記シリンダ実効容積とに基づいて、現在の単位時間当たりのシリンダ吸気量の推定値である単位時間当たりの仮想シリンダ吸気量(QE’)を算出する仮想シリンダ吸気量算出手段と、
前記目標吸気圧と前記仮想吸気圧との偏差に基づき、単位時間当たりの目標吸気量変化量を求める目標吸気量変化量算出手段と、
前記仮想シリンダ吸気量(QE’)に前記目標吸気量変化量を加算して、スロットル弁を通過する単位時間当たりの目標吸気流量を求める手段と、
この目標吸気流量からスロットル弁の目標開口面積を求め、スロットル弁を制御するスロットル制御手段と、
を備えてなる内燃機関の吸気制御装置。 - 前記目標吸気圧と前記仮想吸気圧との偏差に基づき、規範とする応答時定数でもって目標吸気圧が実現されるよう、単位時間当たりの目標吸気圧変化量を算出する目標吸気圧変化量算出手段を備え、
前記目標吸気量変化量算出手段は、前記単位時間当たりの目標吸気圧変化量に基づいて前記目標吸気量変化量を算出することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の吸気制御装置。 - 前記シリンダ実効容積算出手段は、エンジン回転速度に基づいて、前記実効上死点位置および前記実効吸気弁閉時期を求めることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の吸気制御装置。
- 吸気弁開時期および吸気弁閉時期を変化させる可変動弁機構を具備し、前記シリンダ実効容積算出手段は、前記吸気弁開時期、吸気弁閉時期およびエンジン回転速度に基づいて、前記実効上死点位置および前記実効吸気弁閉時期を求めることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の吸気制御装置。
- 目標シリンダ吸気量を算出する目標シリンダ吸気量算出手段を備え、前記目標吸気圧算出手段は、前記目標シリンダ吸気量と前記シリンダ実効容積とに基づいて目標吸気圧を算出することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の吸気制御装置。
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